【文献】
1.実物大構造物モデルの活用,平成23年度 土木技術支援・人材センター年報,東京都建設局,2011年12月31日,p.255-262,[2019年10月 3日検索],URL,http://www.kensetsu.metro.tokyo.jp/content/000010020.pdf
【文献】
土木構造物実習施設について,四国技報,国土交通省 四国地方整備局 四国技術事務所,2007年 1月 1日,第6巻12号,p.52-55,[2019年10月 3日検索],URL,http://www.skr.mlit.go.jp/yongi/menu/summary/19-1gihou/img/20.pdf
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る研修施設の実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。ただし、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0020】
[実施の形態の基本的概念]
まずは、実施の形態の基本的概念について説明する。実施の形態は、概略的に、設計図書通りの構造を有する建屋、又は当該建屋に使用可能な設備に関する研修を行うための研修施設である。ここで、「建屋」とは、研修の対象となる構造体であって、例えばオフィスビル、商業ビル、又は住居等といった任意の目的に利用する建屋を含む概念である。なお、この建屋は、具体的な構造や大きさ等は任意であり、現存する建屋に限らず、将来的に施工され得るあらゆる建屋を含む概念である。なお、「設計図書」とは、建屋の製作や施工に必要な図面類(例えば、国土交通省制定の建築設備工事図書作成基準により作成された各図書)や仕様書を含む。また、「設備」とは、研修の対象となる機器であって、例えば、建屋に接着されたりネジ止めされた設備や、必要に応じて取り外して交換したり修理したり可能な設備を含む。なお、この設備は、具体的な構造や大きさ等は任意であり、現存する設備に限らず、将来的に形成され得るあらゆる設備を含む概念である。また、「建屋に使用可能な設備」とは、研修に使用される設備ではなく、設備本来の目的(建屋の保全又は維持等)に使用される設備である事を示す。なお、この研修施設を利用して研修を行う者を必要に応じて「研修者」と称し、研修者による研修を取り仕切る者を「研修官」と必要に応じて称して以下では説明する。
【0021】
ここで、実施の形態に係る研修施設は、同一体、及び相違体の両方を備えている。
【0022】
「同一体」とは、上述した建屋又は設備と同一の構造体である。ここで、「建屋又は設備と同一」とは、具体的には、建屋又は設備との相違点を一切含まない事を示す。例えば、建屋と同一の同一体としては、建屋と比べて意図的な誤りが加えられていない建屋を含み、設備と同一の同一体としては、建屋の保全又は維持に実際に使用される設備を含む。なお、これらの同一体の具体例の詳細については後述する。
【0023】
「相違体」とは、上述した建屋又は設備と異なる構造体である。ここで、「建屋又は設備と異なる」とは、具体的には、建屋又は設備との相違点を少なくとも含む事を示す。例えば、建屋と異なる相違体としては、建屋と比べて意図的な誤りが加えられている建屋を含み、設備と異なる相違体としては、建屋の保全又は維持に実際に使用されることのない設備を含む。なお、これらの相違体の具体例の詳細については後述する。
【0024】
[実施の形態の具体的内容]
次に、実施の形態の具体的内容について説明する。
【0025】
(実施の形態1)
初めに、実施の形態1について説明する。
【0026】
(構成)
初めに、本実施の形態に係る研修施設100の構成について説明する。
図1は、本実施の形態に係る研修施設100を示す断面図である。この
図1に示すように、研修施設100は、外部構造体1、及び模型2を備えて構成されている。ここで、以下では、必要に応じて、この
図1及び後述する
図2におけるX−X’方向を「幅方向」と称し、特にX方向を「右方向」、X’方向を「左方向」と称する。また、Y−Y’方向を「奥行き方向」と称し、特にY方向を「前方向」、Y’方向を「後方向」と称する。また、Z−Z’方向を「高さ方向」と称し、特にZ方向を「上方向」、Z’方向を「下方向」と称する。
【0027】
ここで、本実施の形態に係る研修施設100にて行われる研修について概略的に説明する。まず、従来、建屋を施工する際には人為的な誤りが発生してしまう事があるが、実際の施工現場でこのような誤りを発見する能力を養うためには、実際の施工現場での経験を多く積む必要があった。そこで、実際の施工現場での経験を多く積む必要無く、このような誤りを発見する能力を研修で培う事を目的として、当該研修は行われる。具体的には、模型2は、施工現場を模したものであって、実際の建屋に対して意図的な誤りを含ませることなく形成した正常の構造体(同一体)と、実際の建屋に対して意図的な誤りを含ませて形成した非正常の構造体(相違体)との2種類が設けられている。そして、研修者は、研修においてこの模型2に形成された相違体を見つけ出すことにより、実際の施工現場において形成されてしまったミスを発見する能力を培う事が可能となる。さらに、発見した相違体に対応する同一体も設けられているため、これらの同一体と相違体とを対比することで、誤りの無い正しい構造を容易に認識することができる。このように、本実施の形態においては、同一体と相違体とを相互に対比して研修を行うので、以下では必要に応じて相違体の事を「対比体」と称して説明する。
【0028】
(構成−外部構造体)
外部構造体1は、模型2を内部に収容するための収容手段である。この外部構造体1は模型2を内部に収容可能な限りにおいて任意に構成する事ができ、例えば鉄骨造や鉄筋コンクリート造の構造体として形成されている。そして、外部構造体1の天井面には、模型2を照らすための照明装置3が設けられており、夜間等といった外部からの光量が少ない時間帯であっても研修者が研修を行い易い環境を構築できる。また、外部構造体1に大開口の窓等を多く形成することにより、外部構造体1の内部に収容された模型2の内部が十分に換気されるようにする事が望ましい。
【0029】
(構成−模型)
模型2は、研修者が研修を行うための研修手段であって、施工段階の建屋の実寸大模型である。この模型2は、上述したように同一体と対比体とを備えており、これらを相互に対比した研修が可能となっている。なお、この模型2は、上述したように、本実施の形態においては外部構造体1の内部に収容されているものとして説明するが、一部又は全部が外部構造体1の外部に配置されていても構わない。
【0030】
ここで、模型2は、概略的に、基礎部10、1階床スラブ20、外壁30、2階床スラブ40、及び架台50を備えて構成されている。
【0031】
(構成−模型−基礎部)
基礎部10は、建屋の基礎を模した部分であって、模型2の略中央位置において床面上に配置されている。この基礎部10は、概略的に、コンクリート打設前基礎部11とコンクリート打設後基礎部12とを含む。
【0032】
コンクリート打設前基礎部11は、コンクリート用の型枠(図示省略)の内部に基礎鉄筋11aを配設し、当該基礎鉄筋11aが露出した状態に形成した部分であって、コンクリート打設後基礎部12の左右両側方に配置されている。これらを特に区別して説明するときは、それぞれ、「右方のコンクリート打設前基礎部11」、「左方のコンクリート打設前基礎部11」と称して説明する。
【0033】
ここで、コンクリート打設前基礎部11を構成する基礎鉄筋11aとして、同一体の基礎鉄筋11aと、相違体(対比体)の基礎鉄筋11aとが設けられている。このような同一体の基礎鉄筋11aと相違体(対比体)の基礎鉄筋11aとしては、相互に異なる鉄筋である限り任意の鉄筋を用いる事ができるが、本実施の形態においては、同一体の基礎鉄筋11aとして、設計図書通りに形成された鉄筋が設けられ、相違体(対比体)の基礎鉄筋11aとして、設計図書とは異なる径の鉄筋や、設計図書とは異なる長さの鉄筋が形成されているものとして説明する。そして、研修者は、研修にて、当該相違体(対比体)の基礎鉄筋11aを見つけ出すことにより、実際の施工現場での基礎鉄筋11aに形成された誤りを発見する能力を培うことができる。また、コンクリート打設前基礎部11は、上記のように同一体の基礎鉄筋11aと相違体(対比体)の基礎鉄筋11aとを備えるので、これらを対比する事で正しい基礎鉄筋11aの構造についても学習する事ができる。なお、右方のコンクリート打設前基礎部11と左方のコンクリート打設前基礎部11とは、同一体や相違体の位置や種類が異なるように構成されている。
【0034】
また、コンクリート打設後基礎部12は、コンクリート用の型枠(図示省略)の内部に基礎鉄筋12aを配設し、当該基礎鉄筋12aを覆うようにコンクリートを打設して形成した部分である。このように、コンクリート打設前基礎部11とコンクリート打設後基礎部12との両方を設けることで、基礎部10のコンクリートを打設する前の段階と打設した後の段階との両段階を想定した研修を行う事ができる。なお、このような基礎部10を形成するための具体的な構成については公知であるため、詳細な説明を省略する。
【0035】
(構成−模型−1階床スラブ)
1階床スラブ20は、建屋の1階の床スラブを模した部分であって、コンクリート打設後基礎部12の上方の位置に形成された公知のスラブである。
図2は、
図1のA部の拡大平面図である。この
図2に示すように、本実施の形態に係る1階床スラブ20は、本来の建屋のスラブとは異なり、一部においてコンクリートを打設せず、スラブ筋21やスラブ筋21の下方に配設された複数のダクト22aからダクト22jを露出させた箇所を意図的に設けている。なお、これらのダクト22を相互に区別する必要の無い時は、単に「ダクト」22と称して説明する。また、1階スラブには、前後方向に沿って仮設通路23が架け渡されており、研修者等はこの仮設通路23の上を通って前後に移動する事ができる。なお、1階床スラブ20は、この仮設通路23を基準として、特記する点を除いて左右に略線対称となるように形成されている。
【0036】
ここで、ダクト22aからダクト22eの5つのダクト22は、意図的な誤りを含む相違体(対比体)であり、ダクト22fからダクト22jの5つのダクト22は、意図的な誤りを含まない同一体である。以下では、ダクト22aからダクト22eに設けられた意図的な誤りについて、必要に応じてダクト22fからダクト22jと対比しながら説明する。
【0037】
まず、ダクト22a、22b、22cは、図示のように、その一部においてスラブ筋21の上端筋の上方をダクト22が通っており、この点が意図的に形成した誤りである。このようにダクト22をスラブ筋21の上端筋の上方を通してしまうと、スラブのコンクリートを打設した際に、ダクト22の上端からスラブの上面までの高さが小さくなり、コンクリートの薄い部分が生じて1階床スラブ20の強度が低下してしまい好ましくないので、このような施工方法は誤っている。正しくは、ダクト22h、22i、22jのように、ダクト22の全ての部分がスラブ筋21の上端筋の下方を通るようにダクト22を通す必要がある。
【0038】
また、ダクト22dは、図示のように、同一体であるダクト22gと比べて径が大きく、この点が意図的に形成した誤りである。このように径が大きいと、ダクト22の上から打設するコンクリートが基準の強度とならない可能性があり好ましくないので、このような施工方法は誤っている。正しくは、ダクト22gのように、径の大きくないダクト22を用いる事が望ましい。
【0039】
また、ダクト22eは、図示のように、左右に湾曲して配設おり、この点が意図的に形成した誤りである。このようにダクト22を湾曲して配設してしまうと、必要なダクト22の長さが増大するばかりか、ダクト22の詰まりの原因となってしまう可能性があり好ましくないので、このような施工方法は誤っている。正しくは、ダクト22fのように直線的に配設する事が望ましい。
【0040】
ここで、上述したように、ダクト22aからダクト22e(対比体)と、ダクト22fからダクト22j(同一体)は線対称に、かつ仮設通路23を挟んだ近接した位置に配置されているので、研修者は同一体と相違体(対比体)とを容易に見比べる事ができる。ここで、「近接」とは、例えば同位置から見比べられる程度の距離を示す。
【0041】
(構成−模型−外壁)
外壁30は、建屋の外壁30を模した部分であって、建屋の2階床スラブ40を支える図示しない複数の柱の相互間に配置されている。この外壁30は、基本的には実際の建屋の壁と同様に、型枠の内部に配設した鉄筋の周囲にコンクリートを打設して形成されている。ここで、外壁30には、空調機の空調用ダクトを挿通するための図示しない2つの空調用ダクト挿通孔が設けられている。この2つの空調用ダクト挿通孔のうち一方は、実際の建屋の空調用ダクト挿通孔と同一に形成された同一体であって、他方は、実際の建屋の空調用ダクト挿通孔よりも大きい径を有する相違体(対比体)である。このように空調用ダクト挿通孔が大きいと、空調機の空調用ダクトを当該空調用ダクト挿通孔に挿通した際に隙間ができてしまったり、外壁30の強度が低下してしまったりと好ましくない。そして、上述したダクト22同様に、同一体の空調用ダクト挿通孔と相違体(対比体)の空調用ダクト挿通孔とは相互に近接した位置に配置されており、研修者はこれら2つの空調用ダクト挿通孔を容易に見比べる事ができる。
【0042】
(構成−模型−2階床スラブ)
2階床スラブ40は、建屋の2階の床スラブを模した部分であって、1階床スラブ20の所定高さ離れた上方に配置されている。この2階床スラブ40は、特記する部分を除いて、公知の鉄筋コンクリート製のスラブ同様に、鉄筋を覆うようにコンクリートを打設して形成されている。
【0043】
ここで、
図3は、
図1のB部の拡大図であって、
図3(a)は断面図、
図3(b)は平面図を示す。この
図3に示すように、2階床スラブ40の一部(左方の領域)は、2階のスラブを模した機構として形成されており、2階床スラブ40の他の一部(右方の領域)は、屋上階のスラブを模した機構として形成されており、
図3では、これら左方の領域と右方の領域との境界線を一点鎖線で図示している。具体的には、上述した左方の領域は、2階床スラブ40のように水平に形成されており、右方の領域は、屋上階のスラブのようにスラブに勾配が設けられると共に、右端部にパラペット41が設けられている。このように、2階床スラブ40の一部に屋上階のスラブを模した機構を形成する事で、2階床スラブ40のさらに上に屋上階を設ける事なく屋上階を想定した研修を行う事ができ、効率的なスペースの使用が可能となる。
【0044】
なお、このような2階床スラブ40にも、同一体と相違体(対比体)とを設けても構わない。例えば、屋上階のスラブを模した部分を、勾配を設けた部分(同一体)と、勾配を設けない部分(対比体)とに分割構成しても良い。
【0045】
(構成−模型−架台)
架台50は、建屋を施工する際に、高所を人が移動可能とするために組み立てられる仮設構造体を模した部分であって、模型2の周囲に配置されている。
図3に示すように、架台50は、骨組み51、足場52、及び手摺53を備えて構成されている。
【0046】
骨組み51は、架台50の大部分を構築する部分であり、外部構造体1が設置された床面から2階床スラブ40近傍位置まで立ち上げられて形成されている。
【0047】
足場52は、施工現場で作業する者が移動するための床材であり、2階床スラブ40と略同一平面上に複数配置されている。これらの各足場52は、左右で2枚1セットの板状体に形成されており、それぞれの足場52は、骨組み51の上に載置された状態で骨組み51にボルト等で接合されている。そして、この足場52として、同一体の足場52a及び相違体(対比体)の足場52bが設けられている。すなわち、図示のように、正しく2つセットで配置された同一体の足場52aと、1つのみ配置されて隙間が出来てしまっている相違体(対比体)の足場52bが設けられている。このような相違体(対比体)の足場52bでは、足場52に乗って作業する者が足場52の下に転落してしまう恐れがあり好ましくない。
【0048】
ここで、この足場52は、同一体と相違体(対比体)とを切換え可能に構成されている。具体的には、同一体の足場52aは、上述したようにボルトにより骨組み51に対して接合されているため、このボルトを取り外して足場52を外すことで、容易に相違体(対比体)の足場52bへと切換える事ができる。また、相違体(対比体)の足場52bは、正しく2つセットの足場52を骨組み51に対してボルト接合することで、容易に同一体の足場52aへと切換える事ができる。このように、必要に応じて同一体と相違体(対比体)とを切換えることにより、同一体の位置や相違体(対比体)の位置を様々なパターンに構成する事ができ、研修のワンパターン化を防止する事が可能となる。
【0049】
また、手摺53は、施工現場で足場52に乗って作業する者が側方から転落してしまうことを防止するための部材であり、骨組み51の上端部の左右両側方に配置されている。ここで、各手摺53はいずれも金属製の円筒体にて形成されており、奥行き方向に沿うように、上下の2か所に配置されている。そして、この手摺53として、同一体の手摺53a及び相違体(対比体)の手摺53bが設けられている。すなわち、図示のように、奥行き方向に沿って隙間なく配置されている同一体の手摺53aと、一部において隙間が形成されるように配置されている相違体(対比体)の手摺53bとが設けられている。このような相違体(対比体)の手摺53bでは、足場52に乗って作業する者が手摺53の隙間から転落してしまう恐れがあり好ましくない。
【0050】
ここで、この手摺53は、同一体と相違体(対比体)とを切換え可能に構成されている。具体的には、同一体の手摺53aは、上述したようにボルトにより骨組み51に対して接合されているため、このボルトを取り外して手摺53を外すことで、容易に相違体(対比体)の手摺53bへと切換える事ができる。また、相違体(対比体)の手摺53bは、正しく隙間なく骨組み51に対してボルト接合することで、容易に同一体の手摺53aへと切換える事ができる。このように、必要に応じて同一体と相違体(対比体)とを切換えることにより、同一体の位置や相違体(対比体)の位置を様々なパターンに構成する事ができ、研修のワンパターン化を防止する事が可能となる。なお、研修で実際に上述した相違体(対比体)の足場52bの上を研修者が通行したり、相違体(対比体)の手摺53bの側方を研修者が通行したりすると危険であるため、足場52の上は立ち入り禁止とし、2階床スラブ40の上から研修者が目視で相違体を見つけ出すものとしても良い。
【0051】
(研修)
続いて、このような研修施設100を用いて行う研修について説明する。なお、本実施の形態においては、複数の研修者が同時に研修を行うものとして説明する。
【0052】
初めに、研修の大まかな流れについて説明する。まず、大多数の研修者が存在する場合に全ての研修者が一度に当該研修施設100にて研修を行うと、収拾がつかない可能性がある。したがって、
図1に示すように、模型2を仮想的に第1区分、第2区分、及び第3区分の3つの区分に分けると共に、複数の研修者を対応する数(3つ)のグループに分け、各グループは3つの区分にて時間区切りでローテーションして研修を行うことで、研修の効率を向上させる事が可能となる。
【0053】
次に、研修の具体的な内容について説明する。まず、各研修者は予め配布された模型2の図面(誤りを含まない設計図書通りの図面)を持参して、模型2における予め割り当てられた区分を移動し、図面と実際の模型2の構造を比較しながら、模型2に設けられた相違体(対比体)を見つけ出す。なお、上述したように、模型2の各部は同一体と相違体(対比体)とを備えており、研修者はこれらを対比しながら見つけ出せるので、同一体は相違体(対比体)を見つけ出す上での指標となる。そして、研修者は、相違体(対比体)を発見した場合、その位置や誤りの具体的な内容(例えば、ダクト22の径が誤っている、手摺53が無い等)をメモする。このメモの方法は、後述する答え合わせの際に誤りの内容を特定できる限りにおいて任意であり、例えば図面に直接書き込んでも良いし、メモ用の他の用紙等に書き込んでも良い。
【0054】
そして、制限時間が経過した場合、全ての研修者は次の区分に移動して当該移動後の区分で同様に相違体(対比体)を見つけ出す作業及びメモを行う。本実施の形態においては連続して3つの区分にて研修を行うものとして説明するが、それぞれの区分を異なる日にちに研修しても当然構わない。
【0055】
そして、全ての区分にて相違体(対比体)の見つけ出す作業及びメモを終えた後、又は各区分での相違体(対比体)の見つけ出す作業及びメモを終えた後に、答え合わせを行う。具体的には、研修官が、研修者と共に模型2の内部の各区分を移動しながら、研修者に対して相違体(対比体)の位置や誤りの具体的な内容を示唆すると共に、誤りの無い正しい構造について説明する。この際に、上述したように相違体(対比体)の近傍には誤りの無い同一体が配置されているので、研修官はこの同一体を研修者に見せながら答え合わせを行うことができ、答え合わせによる研修者の理解を深める事ができる。また、相違体(対比体)の位置や誤りの内容を示した解答を研修者に配布してからこのような答え合わせを行っても良い。以上にて、本実施の形態に係る研修施設100を用いて実施される研修の説明を終了する。
【0056】
(実施の形態の効果)
このように、本実施の形態の研修施設100によれば、建屋又は設備と同一の同一体と、建屋又は設備と少なくとも一部において異なる相違体とを備えるので、研修者が同一体と相違体(対比体)とを対比する研修ができ、研修者が建屋又は設備に関する知識を効果的に深める事が可能となる。例えば、正常の構造体である同一体と非正常の構造体である対比体とを研修施設100に備え、この研修施設100にて研修者が対比体を見つけ出す研修を行い、このような対比体の見つけ出す作業の際や答え合わせの作業の際に研修者が同一体と対比体とを対比することで、建屋又は設備に関する知識を深めるような事が可能となる。
【0057】
また、施工段階の建屋の模型2であって、同一体及び対比体を有する模型2を備え、同一体は、建屋との相違点を含まない正常の構造体であり、対比体は、建屋との相違点を含む非正常の構造体であるので、研修者が模型2に備えられた対比体を見つけ出す研修を行う事ができ、施工段階の建屋における非正常の構造体を発見する能力を向上させる事が可能となり、さらに、研修者は当該研修において正常の構造体と非正常の構造体とを対比しつつ見つけ出せるので、正常な構造体についての知識も効果的に深める事が可能となる。
【0058】
また、模型2は、建屋の屋上階と、屋上階以外の階とを、相互に同一のフロアに備えるので、屋上階を別個に形成する必要なく屋上階に関する研修を行う事ができ、屋上階を別個に形成する場合に要する手間、費用、及びスペースを削減する事が可能となる。
【0059】
また、対比体へと切換え可能に構成された同一体、又は同一体へと切換え可能に構成された対比体の少なくとも一方を備えるので、必要に応じて同一体と対比体とを切換えることにより、同一体や対比体の配置がワンパターン化されてしまう事を防止する事ができ、同一の研修者が同一の当該研修施設100にて複数回研修を行う場合においても、研修者が建屋又は設備に関する知識を効果的に深める事が可能となる。また、同一体と対比体とを切換えることで、同一体や対比体の配置と、研修者が対比体を見つけ出せる確率等との因果関係を調べる事ができ、より効果的な研修を探求する事が可能となる。
【0060】
また、一つの同一体との対比対象となる対比体として、第1の対比体と、第2の対比体とを備えるので、研修者は様々な誤りのパターンを学習する事ができ、建屋又は設備に関する知識をより一層効果的に深める事が可能となる。
【0061】
また、同一体と、対比体とを、相互に近接する位置に並設したので、研修者は同一体と対比体とをその場で容易に見比べる事ができ、研修者が正常な構造体に関する知識をより一層効果的に深める事が可能となる。
【0062】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2について説明する。本実施の形態2に係る研修施設は、建屋又は設備に関する研修を行うための建築物である。ただし、特に説明なき構成においては実施の形態1と同様であるものとし、実施の形態1と同様の構成要素には、必要に応じて、実施の形態1で使用したものと同一の符号を付する。
【0063】
(構成)
最初に、本実施の形態2に係る研修施設200の構成を説明する。
図4は、本実施の形態2に係る研修施設200を示す正面図である。
図5は、
図4のC部の拡大断面図である。
図6は、
図4のD部の拡大斜視図である。これらの
図4、
図5、及び
図6に示すように、研修施設200は、外部構造体60、発信機70、感知器80、受信機90、及び制御装置110を備えて構成されている。以下では、
図4、
図5、及び
図6を参照して研修施設200の構成について説明する。
【0064】
ここで、本実施の形態2に係る研修施設200にて行われる研修について概略的に説明する。まず、本実施の形態に係る研修施設200には、上述したように同一体と相違体とを備えているが、同一体としては特に、実際に当該研修施設200の保全又は維持に使用される設備を備え、相違体としては特に、操作対象として研修にのみ使用される設備を備えている。そして、研修者は、研修においてこの相違体を用いて研修を行うことにより、同一体を用いる事無く研修ができ、研修施設200の保全又は維持に影響を及ぼすことなく研修が可能となる。なお、上述したような、相違体のうち特に研修にて操作対象として使用される設備を、以下では必要に応じて「操作体」と称して説明する。
【0065】
(構成−外部構造体)
外部構造体60は、研修に使用される建築物であって、その具体的な構成は任意であるが、本実施の形態においては3階建の鉄筋コンクリート造の建築物であるものとして説明する。この外部構造体60の屋上階の塔屋61には、屋上階へとアクセスするための階段室が形成されており、また、塔屋61の外壁面には発信機70が取り付けられている。
【0066】
また、外部構造体60は手摺62を備えている。この手摺62は、外部構造体60の屋上階から人が落下してしまうことを防止するための公知の鉄製の柵であって、外部構造体60の屋上階の略四周(塔屋61が形成された部分を除く)に設けられている。ここで、この手摺62としては、同一体の手摺62aと、相違体(対比体)の手摺62bとが設けられている。このうち同一体の手摺62aは、外部構造体60の屋上階の外周に隙間なく形成された正常な手摺62であって、相違体(対比体)の手摺62bは、外部構造体60の屋上階の外周の一部に隙間が形成されるように形成された非正常な手摺62である。
【0067】
(構成−発信機)
発信機70は、火災の発生を感知して受信機90に対して火災信号を送信する火災信号発信手段である。この発信機70は、外部構造体60の塔屋61の外壁面に設けられており、その外表面には押しボタンが形成されており、この押しボタンをユーザが押し込むことにより火災信号を受信機90に対して送信する。ここで、この発信機70としては、同一体の発信機70aと、相違体(操作体)の発信機70bとが設けられている。このうち同一体の発信機70aは、当該研修施設200の保全又は維持に実際に利用される発信機であって、相違体(操作体)の発信機70bは、当該研修施設200の保全又は維持に実際に利用される事は無く、研修の際にのみ利用される発信機である。なお、これらの発信機70による処理の詳細については後述する。なお、その他の点においてこれらの発信機70は同様に構成されている。
【0068】
(構成−感知器)
感知器80は、火災の発生をセンサー等により感知して受信機90に対して火災信号を送信する火災感知手段である。この感知器80は、外部構造体60の各階の部屋の天井ボード等に取り付けられており、熱センサーや煙センサー等で部屋の火災を感知して火災信号を受信機90に対して送信する。ここで、この感知器80としては、同一体の感知器80aと、相違体(操作体)の感知器80bとが設けられている。このうち同一体の感知器80aは、当該研修施設200の保全又は維持に実際に利用される感知器であって、相違体(操作体)の感知器80bは、当該研修施設200の保全又は維持に実際に利用される事は無く、研修の際にのみ利用される感知器である。なお、これらの感知器80による処理の詳細については後述する。なお、その他の点においてこれらの感知器80は同様に構成されている。
【0069】
(構成−受信機)
受信機90は、発信機70や感知器80から火災信号を受信する火災信号受信手段である。この受信機90は、外部構造体60のいずれかの階の部屋の内壁等に取り付けられており、上述した発信機70や感知器80に対して有線又は無線にて接続されている。ここで、この受信機90としては、同一体の受信機90aと、相違体(操作体)の受信機90bとが設けられている。このうち同一体の受信機90aは、当該研修施設200の保全又は維持に実際に利用される受信機であって、具体的には、受信機90aが同一体の発信機70a又は同一体の感知器80aから火災信号を受信した場合には、受信機90aは消防署への通報やブザーによる発報を行う。また、相違体(操作体)の受信機90bは、当該研修施設200の保全又は維持に実際に利用される事は無く、研修の際にのみ利用される受信機であって、具体的には、受信機90bが相違体(操作体)の発信機70b又は相違体(操作体)の感知器80bから火災信号を受信したとしても、相違体(操作体)の受信機90bは消防署への通報やブザーによる発報を行わない。
【0070】
ここで、同一体の受信機90aと相違体(操作体)の受信機90bとは相互に異なる機種である。同一体の受信機90aは、発信機70aや感知器80aの電気的な接点が閉じることにより、電流が流れるかどうかで火災信号を直接受信するいわゆるP型受信機であり、相違体(操作体)の受信機90bは、発信機70bや感知器80bに中継器を取り付け、火災信号を固有番号(アドレス)情報に変換し、伝送信号(通信)にて受信するいわゆるR型受信機である。このように、同一体の受信機90aと相違体(操作体)の受信機90bとを異なる機種とする事で、当該研修施設200の保全又は維持に実際に利用される受信機90(受信機90a)の機種に限られず、あらゆる機種の受信機90に関する研修を行う事ができる。
【0071】
(構成−制御装置)
制御装置110は、相違体(操作体)の発信機70b、相違体(操作体)の感知器80b、及び相違体(操作体)の受信機90bを制御するための制御手段であって、外部構造体60のいずれかの部屋の内部等に配置され、公知のコンピュータとして構成される。この制御装置110は、具体的には、相違体(操作体)の発信機70bや相違体(操作体)の感知器80bに火災信号を発信させたり、相違体(操作体)の受信機90bを誤作動させたり等といった、特定の状況を形成する事ができ、実際に各種機器が作動(又は誤作動)した場合を想定した研修を行うことができる。なお、この制御装置110は、各相違体(操作体)を制御するものであるが、この制御装置110自体に対応する同一体は設けられておらず、制御装置110自体は相違体には該当しない。
【0072】
(研修)
続いて、このような研修施設200を用いて行う研修について説明する。
【0073】
初めに、手摺62を利用した研修について説明する。まず、相違体(対比体)の手摺62bの一部には手摺62が設けられていない部分があるので、このような状況下において、どのようにして何らかの作業(例えば機器の整備や修理等)を安全に行うことができるかを、研修者が自ら考えることで、このような状況に直面した際の判断能力を培う事ができる。
【0074】
次に、発信機70、感知器80、受信機90、及び制御装置110を利用した研修について説明する。まず、研修官が、制御装置110を用いて、相違体(操作体)の発信機70b、相違体(操作体)の感知器80b、又は相違体(操作体)の受信機90bのうち少なくとも一つが作動又は誤作動した状況を形成する。そして、研修者は、相違体(操作体)の発信機70b、相違体(操作体)の感知器80b、又は相違体(操作体)の受信機90bを操作して、作動した各種機器の停止処理、故障の有無の判断、又は故障の原因の特定等を行う。このように、実際に建屋(研修施設200)の保全又は維持に使用される設備である同一体の発信機70a、同一体の感知器80a、及び同一体の受信機90aを使用することなく研修を行う事ができ、建屋の保全又は維持に影響を及ぼさない範囲で研修を行う事ができる。また、これらの相違体(操作体)の状態などを制御装置110のディスプレイ等にモニタリングして研修官が研修者に対して指導できるようにしても良い。
【0075】
(実施の形態の効果)
このように、本実施の形態の研修施設200によれば、同一体は、研修施設200の保全又は維持に使用され、操作体は、研修にのみ使用されるので、実際に研修施設200の保全又は維持に使用される同一体を使用する事なく研修を行うことができ、研修施設200の保全又は維持に影響を及ぼすことなく研修を行うことが可能となる。
【0076】
また、操作体の受信機90bは、同一体の受信機90aと異なる機種であるので、同一体と同一の機種に限られず様々な機種の設備について研修を行うことができ、研修者が様々な設備に関して知識を効果的に深める事が可能となる。
【0077】
〔各実施の形態に対する変形例〕
以上、本発明に係る各実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
【0078】
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、上述の内容に限定されるものではなく、発明の実施環境や構成の細部に応じて異なる可能性があり、上述した課題の一部のみを解決したり、上述した効果の一部のみを奏することがある。例えば、各実施の形態に係る研修施設100、200によって、研修者が建屋又は設備に関する知識を深める事ができない場合であっても、従来と異なる技術により研修ができている場合には、本願発明の課題が解決されている。
【0079】
(寸法や材料について)
発明の詳細な説明や図面で説明した研修施設100、200の各部の寸法、形状、比率等は、あくまで例示であり、その他の任意の寸法、形状、比率等とすることができる。
【0080】
(相違体について)
実施の形態1においては、相違体とは建屋又は設備と少なくとも一部において異なる相違体であるものとして説明したが、この相違体には、構造の中の一部分が抜けているものも含む。例えば、本来必要であるはずの鉄筋や鉄骨等が設けられていない構造体なども相違体に含まれる。また、相違体には、構造の中に本来不必要なものが設けられているものも含む。例えば、不必要な耐震スリットが設けられた壁面なども相違体に含まれる。また、実施の形態1においては、研修者が持参する図面の表示と異なるものを相違体(対比体)として見つけ出したが、図面の表示と同一であっても法規上明らかに誤っているものを相違体(対比体)として見つけ出しても良い。
【0081】
また、上述した相違体以外にも様々な相違体を設けても構わない。例えば、数量の不足したスペーサー、誤ったサイズのスペーサー、防錆処置が施されていないスペーサー、かぶり厚さの不足した下端筋や上端筋、コンクリート用の型枠内に配置されたゴミ、梁への定着長さの不足した柱主筋、長さの不足したスラブ定着筋、又は不適正な位置に形成された水平スリット等を設けても構わない。
【0082】
本実施の形態2においては、同一体の受信機90aと相違体(操作体)の受信機90bとを相互に異なる機種としたが、同一の機種であっても良い。このように同一の機種とすることで、実際の事態において行う操作と同等の操作を研修で行うことができ、より実際の事態に則した研修を行うことができる。
【0083】
(第1の付記)
第1の付記1の研修施設は、設計図書通りの構造を有する建屋、又は前記建屋に使用可能な設備に関する研修を行うための研修施設であって、前記建屋又は設備と同一の同一体と、前記建屋又は設備と少なくとも一部において異なる相違体であって、前記同一体との対比対象として前記研修に使用される対比体、又は操作対象として前記研修に使用される操作体、のいずれかを有する相違体と、を備える。
【0084】
第1の付記2の研修施設は、第1の付記1に記載の研修施設において、施工段階の前記建屋の実寸大模型であって、前記同一体及び前記対比体を有する実寸大模型を備え、前記同一体は、前記建屋との相違点を含まない正常の構造体であり、前記対比体は、前記建屋との相違点を含む非正常の構造体である。
【0085】
第1の付記3の研修施設は、第1の付記2に記載の研修施設において、前記実寸大模型は、前記建屋の屋上階と、当該屋上階以外の階とを、相互に同一のフロアに備える。
【0086】
第1の付記4の研修施設は、第1の付記2又は3に記載の研修施設において、前記対比体へと切換え可能に構成された同一体、又は前記同一体へと切換え可能に構成された対比体の少なくとも一方を備える。
【0087】
第1の付記5の研修施設は、第1の付記2から4のいずれか一項に記載の研修施設において、一つの前記同一体との対比対象となる前記対比体として、第1の対比体と、第2の対比体とを備える。
【0088】
第1の付記6の研修施設は、第1の付記2から5のいずれか一項に記載の研修施設において、前記同一体と、前記対比体とを、相互に近接する位置に並設した。
【0089】
第1の付記7の研修施設は、第1の付記1に記載の研修施設において、前記同一体は、当該研修施設の保全又は維持に使用され、前記操作体は、前記研修にのみ使用される。
【0090】
第1の付記8の研修施設は、第1の付記7に記載の研修施設において、前記操作体は、前記同一体と異なる機種である。
【0091】
(第1の付記の効果)
第1の付記1に記載の研修施設によれば、建屋又は設備と同一の同一体と、建屋又は設備と少なくとも一部において異なる相違体とを備えるので、研修者が同一体と相違体(対比体)とを対比する研修や、研修者が同一体とは別個に設けられた相違体(操作体)のみを操作する研修を行うことができ、研修者が建屋又は設備に関する知識を効果的に深める事が可能となる。例えば、正常の構造体である同一体と非正常の構造体である対比体とを研修施設に備え、この研修施設にて研修者が対比体を見つけ出す研修を行い、このような対比体の見つけ出す作業の際や答え合わせの作業の際に研修者が同一体と対比体とを対比することで、建屋又は設備に関する知識を深めるような事が可能となる。また、例えば、研修施設の保全又は維持に使用される同一体とは別個に、研修にのみ使用される操作体を設け、研修者が同一体を使用せずに操作体のみを操作して研修を行う事により、研修施設の保全又は維持に影響を及ぼさずに研修を行う事が可能となる。
【0092】
第1の付記2に記載の研修施設によれば、施工段階の建屋の実寸大模型であって、同一体及び対比体を有する実寸大模型を備え、同一体は、建屋との相違点を含まない正常の構造体であり、対比体は、建屋との相違点を含む非正常の構造体であるので、研修者が実寸大模型に備えられた対比体を見つけ出す研修を行う事でき、施工段階の建屋における非正常の構造体を発見する能力を向上させる事が可能となり、さらに、研修者は当該研修において正常の構造体と非正常の構造体とを対比しつつ見つけ出せるので、正常な構造体についての知識も効果的に深める事が可能となる。
【0093】
第1の付記3に記載の研修施設によれば、実寸大模型は、建屋の屋上階と、屋上階以外の階とを、相互に同一のフロアに備えるので、屋上階を別個に形成する必要なく屋上階に関する研修を行う事ができ、屋上階を別個に形成する場合に要する手間、費用、及びスペースを削減する事が可能となる。
【0094】
第1の付記4に記載の研修施設によれば、対比体へと切換え可能に構成された同一体、又は同一体へと切換え可能に構成された対比体の少なくとも一方を備えるので、必要に応じて同一体と対比体とを切換えることにより、同一体や対比体の配置がワンパターン化されてしまう事を防止する事ができ、同一の研修者が同一の当該研修施設にて複数回研修を行う場合においても、研修者が建屋又は設備に関する知識を効果的に深める事が可能となる。また、同一体と対比体とを切換えることで、同一体や対比体の配置と、研修者が対比体を見つけ出せる確率等との因果関係を調べる事ができ、より効果的な研修を探求する事が可能となる。
【0095】
第1の付記5に記載の研修施設によれば、一つの同一体との対比対象となる対比体として、第1の対比体と、第2の対比体とを備えるので、研修者は様々な誤りのパターンを学習する事ができ、建屋又は設備に関する知識をより一層効果的に深める事が可能となる。
【0096】
第1の付記6に記載の研修施設によれば、同一体と、対比体とを、相互に近接する位置に並設したので、研修者は同一体と対比体とをその場で容易に見比べる事ができ、研修者が正常な構造体に関する知識をより一層効果的に深める事が可能となる。
【0097】
第1の付記7に記載の研修施設によれば、同一体は、研修施設の保全又は維持に使用され、操作体は、研修にのみ使用されるので、実際に研修施設の保全又は維持に使用される同一体を使用する事なく研修を行うことができ、研修施設の保全又は維持に影響を及ぼすことなく研修を行うことが可能となる。
【0098】
第1の付記8に記載の研修施設によれば、操作体は、同一体と異なる機種であるので、同一体と同一の機種に限られず様々な機種の設備について研修を行うことができ、研修者が様々な設備に関して知識を効果的に深める事が可能となる。
【0099】
(第2の付記)
第2の付記1の研修施設は、施工段階の建築現場において建屋の構造の不具合を見つけ出す能力を研修者が身に付けることを目的とする研修を行うための研修施設であって、施工段階の前記建屋の実寸大模型であり、前記建屋を構成する部分と同一の構造体である同一体と、前記建屋を構成する部分と少なくとも一部において異なる相違体であって、前記同一体との対比対象として前記研修に使用される対比体を有する相違体と、を含む実寸大模型を備え、前記同一体と前記対比体とから構成される組を複数組備え、前記複数組の各々の前記同一体及び前記対比体の設置位置及び設置方向が対応する前記建屋を構成する部分の設置位置及び設置方向と対応するように、前記複数組を組み合わせて設置し、前記同一体及び前記対比体は、コンクリート打設前の状態であって型枠の内部に配設された鉄筋が露出した状態になるように形成された構造体である。
【0100】
第2の付記2の研修施設は、第2の付記1に記載の研修施設において、前記同一体は、意図的な誤りを含ませることなく形成した正常の構造体であり、前記相違体は、意図的な誤りを含ませて形成した非正常の構造体である。
【0101】
第2の付記3の研修施設は、第2の付記1又は2に記載の研修施設において、前記実寸大模型は、前記建屋の屋上階と、当該屋上階以外の階とを、相互に同一のフロアに備える。
【0102】
第2の付記4の研修施設は、第2の付記1から3のいずれか一項に記載の研修施設において、前記対比体へと切換え可能に構成された同一体、又は前記同一体へと切換え可能に構成された対比体の少なくとも一方を備える。
【0103】
第2の付記5の研修施設は、第2の付記1から4のいずれか一項に記載の研修施設において、一つの前記同一体との対比対象となる前記対比体として、第1の対比体と、第2の対比体とを備える。
【0104】
第2の付記6の研修施設は、第2の付記1から5のいずれか一項に記載の研修施設において、前記同一体と、前記対比体とを、相互に近接する位置に並設した。
【0105】
(第2の付記の効果)
第2の付記1の研修施設によれば、建屋と同一の同一体と、建屋と少なくとも一部において異なる相違体とを備えるので、研修者が同一体と相違体(対比体)とを対比する研修を行うことができ、研修者が建屋に関する知識を効果的に深める事が可能となる。例えば、正常の構造体である同一体と非正常の構造体である対比体とを研修施設に備え、この研修施設にて研修者が対比体を見つけ出す研修を行い、このような対比体の見つけ出す作業の際や答え合わせの作業の際に研修者が同一体と対比体とを対比することで、建屋に関する知識を深めるような事が可能となる。
【0106】
第2の付記3の研修施設によれば、実寸大模型は、建屋の屋上階と、屋上階以外の階とを、相互に同一のフロアに備えるので、屋上階を別個に形成する必要なく屋上階に関する研修を行う事ができ、屋上階を別個に形成する場合に要する手間、費用、及びスペースを削減する事が可能となる。
【0107】
第2の付記4の研修施設によれば、対比体へと切換え可能に構成された同一体、又は同一体へと切換え可能に構成された対比体の少なくとも一方を備えるので、必要に応じて同一体と対比体とを切換えることにより、同一体や対比体の配置がワンパターン化されてしまう事を防止する事ができ、同一の研修者が同一の当該研修施設にて複数回研修を行う場合においても、研修者が建屋に関する知識を効果的に深める事が可能となる。また、同一体と対比体とを切換えることで、同一体や対比体の配置と、研修者が対比体を見つけ出せる確率等との因果関係を調べる事ができ、より効果的な研修を探求する事が可能となる。
【0108】
第2の付記5の研修施設によれば、一つの同一体との対比対象となる対比体として、第1の対比体と、第2の対比体とを備えるので、研修者は様々な誤りのパターンを学習する事ができ、建屋に関する知識をより一層効果的に深める事が可能となる。
【0109】
第2の付記6の研修施設によれば、同一体と、対比体とを、相互に近接する位置に並設したので、研修者は同一体と対比体とをその場で容易に見比べる事ができ、研修者が正常な構造体に関する知識をより一層効果的に深める事が可能となる。