(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第3の処理において、複数の前記交点の相互間の距離の合計値が所定値未満である場合に複数の前記交点の重心位置を前記子機の真の位置とすることを特徴とする請求項1記載の位置検出システム。
前記第3の処理において、複数の前記交点の相互間の距離の最大値が所定値未満である場合に複数の前記交点の重心位置を前記子機の真の位置とすることを特徴とする請求項1記載の位置検出システム。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、本発明の実施形態に係る位置検出システムを表すブロック図である。
図2は、本実施形態に係る位置検出システムの配置例を例示する平面図である。
なお、
図2では、説明の便宜上、子機180を省略している。
【0015】
本実施形態に係る位置検出システム100は、複数の親機110、120、130、140と、子機180と、を備える。親機は、少なくとも3箇所に配置される。本実施形態の説明では、4つの親機110、120、130、140が配置される場合を例に挙げる。なお、親機の設置数は、4つには限定されず、5つ以上であってもよい。
【0016】
図2に表したように、複数の親機110、120、130、140は、相互に離れて配置され、例えば柱や壁などのように固定構造部に固定される。そのため、複数の親機110、120、130、140は、移動しない。複数の親機110、120、130、140は、測定エリア101を形成し、その測定エリア101を囲んでいる。
【0017】
子機180は、測定エリア101の内部に位置し、例えば自動車や貨物または倉庫内の在庫商品あるいは人間などのように、移動を測定すべき物体や配置場所を測定すべき物体移動に取り付けられる。子機180の例としては、電子タグなどが挙げられる。例えば、移動体が人間である場合には、子機180は、子機180(例えば電子タグ)を内蔵したカードや携帯機器として人間に携帯される。本実施形態に係る位置検出システム100は、子機180の位置を測定することで、移動体の位置を検出する。
【0018】
図1に表したように、第1の親機110は、制御部111と、高周波回路部(RF回路部)112と、メモリ113と、を有する。RF回路部112は、高周波信号(RF信号)(例えば10キロヘルツ(kHz)以上の高周波数の信号)を送受信可能な送受信機を有する。そのため、RF回路部112は、本発明の送受信機に相当する。制御部111は、RF回路部112の動作を制御するほか、後述する処理を実行することができる。処理に必要なプログラムは、メモリ113に保存されている。また、処理の結果は、メモリ113に保存される。
【0019】
図1に表したように、第2の親機120は、制御部121と、RF回路部122と、メモリ123と、を有する。第3の親機130は、制御部131と、RF回路部132と、メモリ133と、を有する。第4の親機140は、制御部141と、RF回路部142と、メモリ143と、を有する。子機180は、制御部181と、RF回路部182と、メモリ183と、を有する。
【0020】
制御部121、131、141、181は、第1の親機110の制御部111と同様である。RF回路部122、132、142、182は、第1の親機110のRF回路部112と同様である。メモリ123、133、143、183は、第1の親機110のメモリ113と同様である。そのため、制御部121、131、141、181、RF回路部122、132、142、182およびメモリ123、133、143、183についての詳細な説明は省略する。
【0021】
第1の親機110のRF回路部112は、第1の親機110のRF回路部112と、第2の親機120のRF回路部122と、の間の距離D1(
図2参照)を測定するための測定用信号を送信する。測定用信号は、メモリ113に記憶されており、制御部111から送信された制御信号に基づいてRF回路部112から送信される。
【0022】
第2の親機120のRF回路部122が第1の親機110のRF回路部112から送信された測定用信号を受信すると、第2の親機120の制御部121は、第2の親機120のRF回路部122が受信した測定用信号の強度を測定する。制御部121は、測定用信号の測定結果を応答信号としてRF回路部122に送信させる。
【0023】
第1の親機110のRF回路部112が第2の親機120のRF回路部122から送信された応答信号を受信すると、第1の親機110の制御部111は、第1の親機110のRF回路部112が受信した応答信号に基づいて、第1の親機110のRF回路部112と、第2の親機120のRF回路部122と、の間の距離D1を算出する。このように、第1の親機110のRF回路部112および第2の親機120のRF回路部122は、測距センサを構成し、相互間の距離D1を測定することができる。
【0024】
距離D1の他の算出方法として、第1の親機110の制御部111において、第1の親機110のRF回路部112から発せられる前記測定用信号と、第1の親機110のRF回路部112で受信する前記応答信号との間の、位相差や時間差を計測し、位相差や時間差から距離D1を算出してもよい。
【0025】
これは、第3の親機130のRF回路部132および第4の親機140のRF回路部142についても同様である。すなわち、第2の親機120のRF回路部122および第3の親機130のRF回路部132は、測距センサを構成し、相互間の距離D2を測定することができる。第3の親機130のRF回路部132および第4の親機140のRF回路部142は、測距センサを構成し、相互間の距離D3を測定することができる。第1の親機110のRF回路部112および第4の親機140のRF回路部142は、測距センサを構成し、相互間の距離D4を測定することができる。第1の親機110のRF回路部112および第3の親機130のRF回路部132は、測距センサを構成し、相互間の距離D5を測定することができる。第2の親機120のRF回路部122および第4の親機140のRF回路部142は、測距センサを構成し、相互間の距離D6を測定することができる。
【0026】
また、第1の親機110のRF回路部112は、第1の親機110のRF回路部112と、子機180のRF回路部182と、の間の距離D11(
図6参照)を測定するための測定用信号を送信する。子機180のRF回路部182が第1の親機110のRF回路部112から送信された測定用信号を受信すると、子機180の制御部181は、子機180のRF回路部182が受信した測定用信号の強度を測定する。制御部181は、測定用信号の測定結果を応答信号としてRF回路部182に送信させる。
【0027】
第1の親機110のRF回路部112が第2の子機180のRF回路部182から送信された応答信号を受信すると、第1の親機110の制御部111は、第1の親機110のRF回路部112が受信した応答信号に基づいて、第1の親機110のRF回路部112と、子機180のRF回路部182と、の間の距離D11を算出する。このように、第1の親機110のRF回路部112および子機180のRF回路部182は、測距センサを構成し、相互間の距離D11を測定することができる。
【0028】
この場合も、第1の親機110の制御部111において、前記測定用信号と前記応答信号との間の、位相差や時間差を計測し、位相差や時間差から距離D11を算出してもよい。
【0029】
これは、第2の親機120のRF回路部122、第3の親機130のRF回路部132および第4の親機140のRF回路部142についても同様である。すなわち、第2の親機120のRF回路部122および子機180のRF回路部182は、測距センサを構成し、相互間の距離D12(
図6参照)を測定することができる。第3の親機130のRF回路部132および子機180のRF回路部182は、測距センサを構成し、相互間の距離D13(
図6参照)を測定することができる。第4の親機140のRF回路部142および子機180のRF回路部182は、測距センサを構成し、相互間の距離D14(
図6参照)を測定することができる。
【0030】
ここで、位置検出システム100は、子機180の位置を測定するためには、距離D11、距離D12、距離D13および距離D14を測定する必要がある。このとき、距離D11、距離D12、距離D13および距離D14を測定するためには、RF回路部112、122、132、142のそれぞれの位置座標を事前に把握しておく必要がある。人が、例えば巻き尺などを用いてRF回路部112、122、132、142のそれぞれの位置座標を手動で測定することは可能である。しかし、RF回路部112、122、132、142の相互間の距離が比較的長い場合や、親機の個数が比較的多い場合には、RF回路部の位置座標の測定の効率が低くなり、時間がかかることがある。
【0031】
これに対して、本実施形態に係る位置検出システム100は、複数のRF回路部112、122、132、142が相互間の距離を測定することで、複数のRF回路部112、122、132、142のそれぞれの位置座標を測定する。そのため、複数のRF回路部112、122、132、142が相互間の距離は、人が手動で測定しなくとも、自動的に測定される。そのため、複数のRF回路部112、122、132、142が相互間の距離を効率的に測定することができる。これにより、複数のRF回路部112、122、132、142の位置座標を効率的に測定することができる。
【0032】
この処理について、図面を参照しつつさらに説明する。
図3は、本実施形態に係る位置検出システムが実行する処理を表すフローチャートである。
【0033】
まず、「N=0」としてカウンタを初期化する処理が実行される(ステップS101)。続いて、複数のRF回路部112、122、132、142の相互間の距離を複数回測定する処理が実行される(ステップS103)。すなわち、RF回路部112およびRF回路部122は、相互間の距離D1を複数回測定する。RF回路部122およびRF回路部132は、相互間の距離D2を複数回測定する。RF回路部132およびRF回路部142は、相互間の距離D3を複数回測定する。RF回路部112およびRF回路部142は、相互間の距離D4を複数回測定する。RF回路部112およびRF回路部132は、相互間の距離D5を複数回測定する。RF回路部122およびRF回路部142は、相互間の距離D6を複数回測定する。
【0034】
続いて、複数回測定した距離D1、D2、D3、D4、D5、D6のそれぞれのうちで、最小の距離(最小値)を求める処理が実行される(ステップS105)。すなわち、複数回測定した距離D1のうちで、最小値D1mを求める処理が実行される。複数回測定した距離D2のうちで、最小値D2mを求める処理が実行される。複数回測定した距離D3のうちで、最小値D3mを求める処理が実行される。複数回測定した距離D4のうちで、最小値D4mを求める処理が実行される。複数回測定した距離D5のうちで、最小値D5mを求める処理が実行される。複数回測定した距離D6のうちで、最小値D6mを求める処理が実行される。このように、複数回測定した距離D1、D2、D3、D4、D5、D6のそれぞれのうちで、最小値D1m、D2m、D3m、D4m、D5m、D6mを求めることで、距離の測定がマルチパスの影響を受けることを抑えることができる。
【0035】
続いて、最小値D1m、D2m、D3m、D4m、D5m、D6mおよび余弦定理を用いて、複数のRF回路部112、122、132、142を相互に結ぶ直線のうちで隣り合う2つの直線の間の角度を求める処理が実行される(ステップS107)。すなわち、最小値D1m、D2m、D5mおよび余弦定理を用いて、複数のRF回路部112、122を相互に結ぶ直線L1と、複数のRF回路部112、132を相互に結ぶ直線L5と、の間の角度θ1を求める処理が実行される。最小値D1m、D4m、D6mおよび余弦定理を用いて、複数のRF回路部112、122を相互に結ぶ直線L1と、複数のRF回路部122、142を相互に結ぶ直線L6と、の間の角度θ2を求める処理が実行される。最小値D2m、D3m、D6mおよび余弦定理を用いて、複数のRF回路部122、132を相互に結ぶ直線L2と、複数のRF回路部122、142を相互に結ぶ直線L6と、の間の角度θ3を求める処理が実行される。最小値D1m、D2m、D5mおよび余弦定理を用いて、複数のRF回路部122、132を相互に結ぶ直線L2と、複数のRF回路部112、132を相互に結ぶ直線L5と、の間の角度θ4を求める処理が実行される。最小値D3m、D4m、D5mおよび余弦定理を用いて、複数のRF回路部132、142を相互に結ぶ直線L3と、複数のRF回路部112、132を相互に結ぶ直線L5と、の間の角度θ5を求める処理が実行される。最小値D2m、D3m、D6mおよび余弦定理を用いて、複数のRF回路部132、142を相互に結ぶ直線L3と、複数のRF回路部122、142を相互に結ぶ直線L6と、の間の角度θ6を求める処理が実行される。最小値D1m、D4m、D6mおよび余弦定理を用いて、複数のRF回路部112、142を相互に結ぶ直線L4と、複数のRF回路部122、142を相互に結ぶ直線L6と、の間の角度θ7を求める処理が実行される。最小値D3m、D4m、D5mおよび余弦定理を用いて、複数のRF回路部112、142を相互に結ぶ直線L4と、複数のRF回路部112、132を相互に結ぶ直線L5と、の間の角度θ8を求める処理が実行される。
【0036】
続いて、3つのRF回路部を相互に結ぶ直線で形成される三角形の内側の角度の合計角度と、180度と、の差の絶対値が所定値(閾値)未満であるか否かを判断する処理が実行される(ステップS109)。すなわち、3つのRF回路部112、122、132を相互に結ぶ直線L1、L2、L5で形成される三角形の内側の角度θ1、θ2、θ3、θ4の合計角度、180度と、の差の絶対値が所定値未満であるか否かを判断する処理が実行される。3つのRF回路部112、132、142を相互に結ぶ直線L3、L4、L5で形成される三角形の内側の角度θ5、θ6、θ7、θ8の合計角度、180度と、の差の絶対値が所定値未満であるか否かを判断する処理が実行される。3つのRF回路部122、132、142を相互に結ぶ直線L2、L3、L6で形成される三角形の内側の角度θ3、θ4、θ5、θ6の合計角度、180度と、の差の絶対値が所定値未満であるか否かを判断する処理が実行される。3つのRF回路部112、122、142を相互に結ぶ直線L1、L4、L6で形成される三角形の内側の角度θ1、θ2、θ7、θ8の合計角度、180度と、の差の絶対値が所定値未満であるか否かを判断する処理が実行される。
【0037】
三角形の内側の角度の合計角度と、180度と、の差の絶対値が所定値未満である場合には(ステップS109:Yes)、各角度θ1〜θ8および各最小値D1m〜D6mをメモリに保存する(S111)。三角形の内側の角度の合計角度と、180度と、の差の絶対値が所定値以上である場合には(ステップS109:No)、ステップS103の処理を実行する。
【0038】
ステップS111に続くステップS113において、「N=N+1」としてカウンタを進める処理が実行される(ステップS113)。続いて、「N」が予め設定された最大値未満であるか否かを判断する処理が実行される(ステップS115)。「N」が最大値未満である場合には(ステップS115:Yes)、各最小値D1m〜D6mを複数のRF回路部112、122、132、142の相互間の距離D1〜D6の真値とする処理が実行される(ステップS117)。これにより、複数のRF回路部112、122、132、142の相互間の距離D1、D2、D3、D4、D5、D6を効率的に測定することができる。そして、各角度θ1〜θ8および各距離D1〜D8を用いることで、複数のRF回路部112、122、132、142の位置座標を効率的に測定することができる。
【0039】
図4は、本実施形態に係る位置検出システムが実行する他の処理を表すフローチャートである。
図4に表したステップS201、S203、S205、S207およびS209の処理は、
図3に関して前述したステップS101、S103、S105、S107およびS109の処理と同じである。
【0040】
ステップS209に続くステップS211において、4つのRF回路部を相互に結ぶ直線で形成される四角形の内側の角度の合計角度と、360度と、の差の絶対値が所定値(閾値)未満であるか否かを判断する処理が実行される(ステップS211)。すなわち、4つのRF回路部112、122、132、142を相互に結ぶ直線L1、L2、L3、L4で形成される四角形の内側の角度θ1、θ2、θ3、θ4、θ5、θ6、θ7、θ8の合計角度、360度と、の差の絶対値が所定値未満であるか否かを判断する処理が実行される。
【0041】
ステップS211に続くステップS213、S215およびS217の処理は、
図3に関して前述したステップS111、S113およびS115の処理と同じである。また、ステップS211に続くステップS203の処理は、
図3に関して前述したステップS103と同じである。
【0042】
ステップS217に続くステップS219において、各角度θ1、θ2、θ3、θ4、θ5、θ6、θ7、θ8の平均値θ1ave、θ2ave、θ3ave、θ4ave、θ5ave、θ6ave、θ7ave、θ8aveおよび各角度θ1、θ2、θ3、θ4、θ5、θ6、θ7、θ8の分散θ1σ、θ2σ、θ3σ、θ4σ、θ5σ、θ6σ、θ7σ、θ8σを求める処理が実行される(ステップS219)。また、各最小値D1m、D2m、D3m、D4m、D5m、D6mの平均値D1ave、D2ave、D3ave、D4ave、D5ave、D6aveおよび各最小値D1m、D2m、D3m、D4m、D5m、D6mの分散D1σ、D2σ、D3σ、D4σ、D5σ、D6σを求める処理が実行される(ステップS219)。
【0043】
続いて、各最小値D1m〜D6mの分散D1σ〜D6σが所定値(第1の所定値)未満であり、各角度θ1〜θ8の分散θ1σ〜θ8σが所定値(第2の所定値)未満であるか否かを判断する処理が実行される(ステップS211)。各最小値D1m〜D6mの分散D1σ〜D6σが所定値(第1の所定値)未満であり、各角度θ1〜θ8の分散θ1σ〜θ8σが所定値(第2の所定値)未満である場合には(ステップS211:Yes)、各角度θ1〜θ8の平均値θ1ave〜θ8aveを、各角度θ1〜θ8の真値とする処理が実行される(ステップS213)。また、各最小値D1m〜D6mの分散D1σ〜D6σが所定値(第1の所定値)未満であり、各角度θ1〜θ8の分散θ1σ〜θ8σが所定値(第2の所定値)未満である場合には(ステップS211:Yes)、各最小値D1m〜D6mの平均値D1ave〜D6aveを複数のRF回路部112、122、132、142の相互間の距離D1〜D6の真値とする処理が実行される(ステップS213)。
【0044】
これによれば、複数のRF回路部112、122、132、142の相互間の距離D1、D2、D3、D4、D5、D6をより高い精度で測定することができる。そして、真値とされた各角度θ1〜θ8および真値とされた各距離D1〜D8を用いることで、複数のRF回路部112、122、132、142の位置座標をより高い精度で測定することができる。また、
図3に関して前述した効果と同じ効果が得られる。
【0045】
図5は、本実施形態に係る位置検出システムが実行するさらに他の処理を表すフローチャートである。
図6は、子機の位置座標を測定する処理を説明する平面図である。
図7は、2つの円弧の交点P1の位置を求める処理を説明する平面図である。
図8は、2つの円弧の交点P2の位置を求める処理を説明する平面図である。
図9は、2つの円弧の交点P3の位置を求める処理を説明する平面図である。
図10は、2つの円弧の交点P4の位置を求める処理を説明する平面図である。
図11は、
図6に表した領域103を拡大して表した平面図である。
【0046】
図3または
図4に関して前述した処理を実行することで、複数のRF回路部112、122、132、142の位置座標を効率的に測定することができる。そのため、その後は、第1の親機110と子機180との間の距離D11、第2の親機120と子機180との間の距離D12、第3の親機130と子機180との間の距離D13、および第4の親機140と子機180との間の距離D14を測定し、子機180の位置を測定することができる。
【0047】
このとき、
図1および
図2に関して前述したように、本実施形態に係る位置検出システム100は、RF信号を用いて、複数の親機110、120、130、140のそれぞれと、子機180と、の間の距離D11、D12、D13、D14を測定する。そのため、距離D11、D12、D13、D14の測定が、マルチパスの影響を受けることがある。すると、距離D11、D12、D13、D14を測定するときの精度が低下することがある。
【0048】
これに対して、本実施形態に係る位置検出システム100では、複数の親機110、120、130、140のそれぞれを中心とし、距離D11、D12、D13、D14の最小値D11m、D12m、D13m、D14mを半径とする複数の円弧のうちの2つの円弧の交点の位置を求め、複数の交点の相互間の距離が所定値以下である場合に複数の交点の重心位置を子機の真の位置とする処理を実行する。このとき、2つの円弧の交点が測定エリア101内で1つとなる場合に、その交点の位置が求められる。
【0049】
これによれば、複数の交点の相互間の距離が所定値以下である場合には、複数の交点は、密集していると考えられる。この場合に、複数の交点の重心位置が、子機の真の位置とされる。これにより、RF信号を用いる場合であっても、複数の親機110、120、130、140のそれぞれと、子機180と、の間の距離D11、D12、D13、D14、および子機180の位置を高い精度で測定することができる。
【0050】
この処理について、
図5〜
図11を参照しつつさらに説明する。
図5に表したように、まず、複数の親機110、120、130、140のそれぞれと、子機180と、の相互間の距離を複数回測定する処理が実行される(ステップS301:第1の処理)。具体的には、第1の親機110のRF回路部112と、子機180のRF回路部182と、は相互間の距離D11を複数回測定する。第2の親機120のRF回路部122と、子機180のRF回路部182と、は相互間の距離D12を複数回測定する。第3の親機130のRF回路部132と、子機180のRF回路部182と、は相互間の距離D13を複数回測定する。第4の親機140のRF回路部142と、子機180のRF回路部182と、は相互間の距離D14を複数回測定する。
【0051】
続いて、複数回測定した距離D11、D12、D13、D14のそれぞれのうちで、最小の距離(最小値)を求める処理が実行される(ステップS303:第1の処理)。すなわち、複数回測定した距離D11のうちで、最小値D11mを求める処理が実行される。複数回測定した距離D12のうちで、最小値D12mを求める処理が実行される。複数回測定した距離D13のうちで、最小値D13mを求める処理が実行される。複数回測定した距離D14のうちで、最小値D14mを求める処理が実行される。
【0052】
続いて、互いに隣り合う複数の親機の測距データから、2つの円弧の交点を求める処理が実行される(ステップS305:第2の処理)。すなわち、
図7に表したように、第1の親機110を中心とし、最小値D11mを半径とする円弧117と、第2の親機120を中心とし、最小値D12mを半径とする円弧127と、の交点P1を求める処理が実行される。
図8に表したように、第2の親機120を中心とし、最小値D12mを半径とする円弧127と、第3の親機130を中心とし、最小値D13mを半径とする円弧137と、の交点P2を求める処理が実行される。
図9に表したように、第1の親機110を中心とし、最小値D11mを半径とする円弧117と、第4の親機140を中心とし、最小値D14mを半径とする円弧137と、の交点P3を求める処理が実行される。
図10に表したように、第3の親機130を中心とし、最小値D13mを半径とする円弧137と、第4の親機140を中心とし、最小値D14mを半径とする円弧147と、の交点P4を求める処理が実行される。
【0053】
このように、互いに隣り合う2つの親機のそれぞれを中心とし、互いに隣り合う2つの親機のそれぞれと子機180との相互間の距離の最小値を半径とする2つの円弧の交点は、測定エリア101内で1つだけ存在する。2つの円弧の交点が測定エリア101内で1つだけ存在する場合に、その交点の位置を求める処理が実行される。
【0054】
続いて、複数の交点P1、P2、P3、P4の相互間の距離を求める処理が実行される(ステップS307)。例えば
図11に表したように、交点P1と交点P2との相互間の距離D21を求める処理が実行される。交点P1と交点P3との相互間の距離D22を求める処理が実行される。交点P1と交点P4との相互間の距離D23を求める処理が実行される。
【0055】
続いて、複数の交点P1、P2、P3、P4の相互間の距離D21、D22、D23のそれぞれが、所定値(閾値)以下であるか否かを判断する処理が実行される(ステップS309)。距離D21、D22、D23のそれぞれが所定値以下である場合には(ステップS309:Yes)、複数の交点P1、P2、P3、P4が密集していると判断することができる。この場合に、複数の交点P1、P2、P3、P4の重心位置を子機180の真の位置とする処理が実行される(ステップS311:第3の処理)。距離D21、D22、D23のいずれかが所定値よりも大きい場合には(ステップS309:No)、ステップS301の処理が実行される。
【0056】
本実施形態によれば、RF信号を用いる場合であっても、複数の親機110、120、130、140のそれぞれと、子機180と、の間の距離D11、D12、D13、D14、および子機180の位置を高い精度で測定することができる。
【0057】
なお、ステップS307では、交点P2を基準にして、複数の交点P1、P2、P3、P4の相互間の距離を求めてもよい。すなわち、交点P2と交点P1との相互間の距離(D21)、交点P2と交点P3との相互間の距離、および交点P2と交点P4との相互間の距離を求める処理が実行されてもよい。あるいは、交点P3を基準にして、複数の交点P1、P2、P3、P4の相互間の距離を求めてもよい。すなわち、交点P3と交点P1との相互間の距離(D22)、交点P3と交点P2との相互間の距離、および交点P3と交点P4との相互間の距離を求める処理が実行されてもよい。あるいは、交点P4を基準にして、複数の交点P1、P2、P3、P4の相互間の距離を求めてもよい。すなわち、交点P4と交点P1との相互間の距離(D23)、交点P4と交点P2との相互間の距離、および交点P4と交点P3との相互間の距離を求める処理が実行されてもよい。そして、ステップS309において、それらの距離のそれぞれが、所定値以下であるか否かを判断する処理が実行されてもよい。
【0058】
これによれば、より多くの距離を用いて、複数の交点P1、P2、P3、P4が密集しているか否かを判断するため、RF信号を用いる場合であっても、複数の親機110、120、130、140のそれぞれと、子機180と、の間の距離D11、D12、D13、D14、および子機180の位置をより高い精度で測定することができる。
【0059】
図12は、本実施形態に係る位置検出システムが実行するさらに他の処理を表すフローチャートである。
図12に表したステップS401、S403およびS405の処理は、
図5に関して前述したステップS301、S303およびS305の処理と同じである。
【0060】
ステップS405に続くステップS407において、複数の交点P1、P2、P3、P4の相互間の距離D21、D22、D23の合計値S1を求める処理が実行される(ステップS407)。続いて、複数の交点P1、P2、P3、P4の相互間の距離D21、D22、D23の合計値S1が、所定値(閾値)以下であるか否かを判断する処理が実行される(ステップS409)。
【0061】
合計値S1が所定値以下である場合には(ステップS409:Yes)、複数の交点P1、P2、P3、P4が密集していると判断することができる。この場合に、複数の交点P1、P2、P3、P4の重心位置を子機180の真の位置とする処理が実行される(ステップS411:第3の処理)。合計値S1が所定値よりも大きい場合には(ステップS409:No)、ステップS401の処理が実行される。
【0062】
本実施形態によれば、複数の交点P1、P2、P3、P4の相互間の距離D21、D22、D23の合計値S1を用いて、複数の交点P1、P2、P3、P4が密集しているか否かを判断するため、RF信号を用いる場合であっても、複数の親機110、120、130、140のそれぞれと、子機180と、の間の距離D11、D12、D13、D14、および子機180の位置をより高い精度で測定することができる。
【0063】
なお、ステップS407では、交点P2を基準にして、複数の交点P1、P2、P3、P4の相互間の距離の合計値S2を求めてもよい。すなわち、交点P2と交点P1との相互間の距離(D21)、交点P2と交点P3との相互間の距離、および交点P2と交点P4との相互間の距離を求め、それらの距離の合計値S2を求める処理が実行されてもよい。あるいは、交点P3を基準にして、複数の交点P1、P2、P3、P4の相互間の距離の合計値S3を求めてもよい。すなわち、交点P3と交点P1との相互間の距離(D22)、交点P3と交点P2との相互間の距離、および交点P3と交点P4との相互間の距離を求め、それら距離の合計値S3を求める処理が実行されてもよい。あるいは、交点P4を基準にして、複数の交点P1、P2、P3、P4の相互間の距離の合計値S4を求めてもよい。すなわち、交点P4と交点P1との相互間の距離(D23)、交点P4と交点P2との相互間の距離、および交点P4と交点P3との相互間の距離を求め、それら距離の合計値S4を求める処理が実行されてもよい。そして、ステップS409において、複数の合計値S1、S2、S3、S4のそれぞれが所定値以下であるか否かを判断する処理が実行されてもよい。
【0064】
これによれば、複数の合計値S1、S2、S3、S4を用いて、複数の交点P1、P2、P3、P4が密集しているか否かを判断するため、RF信号を用いる場合であっても、複数の親機110、120、130、140のそれぞれと、子機180と、の間の距離D11、D12、D13、D14、および子機180の位置をより高い精度で測定することができる。
【0065】
あるいは、ステップS409では、複数の交点P1、P2、P3、P4の相互間の距離D21、D22、D23のうちの最大値が、所定値以下であるか否かを判断する処理が実行されてもよい。すなわち、複数の交点P1、P2、P3、P4の相互間の距離の合計値ではなく、複数の交点P1、P2、P3、P4の相互間の距離D21、D22、D23のうちの最大値を用いて、複数の交点P1、P2、P3、P4が密集しているか否かを判断してもよい。この場合であっても、より高い精度で、複数の交点P1、P2、P3、P4が密集しているか否かを判断することができる。
【0066】
なお、上記に本実施形態およびその適用例を説明したが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。例えば、前述の各実施形態またはその適用例に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除、設計変更を行ったものや、各実施形態の特徴を適宜組み合わせたものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含有される。