(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6703260
(24)【登録日】2020年5月12日
(45)【発行日】2020年6月3日
(54)【発明の名称】衝撃吸収体
(51)【国際特許分類】
F16F 7/12 20060101AFI20200525BHJP
B60R 21/04 20060101ALI20200525BHJP
F16F 7/00 20060101ALI20200525BHJP
B29C 49/48 20060101ALI20200525BHJP
【FI】
F16F7/12
B60R21/04
F16F7/00 J
B29C49/48
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-107397(P2016-107397)
(22)【出願日】2016年5月30日
(65)【公開番号】特開2017-214954(P2017-214954A)
(43)【公開日】2017年12月7日
【審査請求日】2019年2月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000104674
【氏名又は名称】キョーラク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】玉田 輝雄
(72)【発明者】
【氏名】船戸 隆文
【審査官】
鵜飼 博人
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−161028(JP,A)
【文献】
特開2006−096307(JP,A)
【文献】
特開2015−086987(JP,A)
【文献】
特開2012−030619(JP,A)
【文献】
特開2011−247384(JP,A)
【文献】
特開平08−198039(JP,A)
【文献】
特開2002−362273(JP,A)
【文献】
特開平05−288232(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16F 7/00− 7/14
B60R 21/04
B29C 49/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
衝撃が加わったときに変形して前記衝撃を吸収する中空の衝撃吸収部と、前記衝撃吸収部と一体形成され且つ前記衝撃吸収部を取付対象物に固定するための取付片を備える衝撃吸収体であって、
前記衝撃吸収部は、互いに離間されて対向する前面壁及び背面壁と、前記前面壁と前記背面壁を連結する周壁を備え、
前記取付片は、前記前面壁と前記背面壁の中央よりも前記前面壁側に偏った位置において、前記周壁から突出するように設けられ、
前記衝撃が加わったときに前記周壁の破壊を促進する破壊促進構造が設けられ、
前記破壊促進構造は、前記取付片から前記背面壁に向かう部位において前記周壁に設けられた段差を含み、
前記周壁及び前記取付片を取り囲むようにパーティングラインが設けられ、
前記取付片が設けられる取付領域では、前記パーティングラインは、前記前面壁と前記背面壁の中央よりも前記前面壁側に偏った位置に設けられ、
前記周壁の周方向に沿って前記取付領域に隣接した隣接領域では、前記パーティングラインは、前記取付領域での前記パーティングラインよりも前記前面壁から離れた位置に設けられ、
前記段差は、前記隣接領域での前記パーティングラインの延長線上に設けられる、衝撃吸収体。
【請求項2】
前記段差の立ち上がり部の曲率半径は、0.5mm以下である、請求項1に記載の衝撃吸収体。
【請求項3】
前記段差の幅は、0.5〜2mmである、請求項1又は請求項2に記載の衝撃吸収体。
【請求項4】
衝撃が加わったときに変形して前記衝撃を吸収する中空の衝撃吸収部と、前記衝撃吸収部と一体形成され且つ前記衝撃吸収部を取付対象物に固定するための取付片を備える衝撃吸収体であって、
前記衝撃吸収部は、互いに離間されて対向する前面壁及び背面壁と、前記前面壁と前記背面壁を連結する周壁を備え、
前記取付片は、前記前面壁と前記背面壁の中央よりも前記前面壁側に偏った位置において、前記周壁から突出するように設けられ、
前記衝撃が加わったときに前記周壁の破壊を促進する破壊促進構造が設けられ、
前記破壊促進構造は、前記取付片から前記背面壁に向かう部位において前記周壁に設けられた段差を含み、
前記段差よりも前記前面壁に近い部位での前記周壁のテーパー角度は1〜5度であり、前記段差よりも前記前面壁から離れた部位でのテーパー角度は3〜8度である、衝撃吸収体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両構成部材、例えばドア、ドアトリムあるいはボディーサイドパネル、ルーフパネル、ピラー、バンパー(特に、バンパーフェイシアとバンパービームとの間に介在させてバンパーフェイシアが受ける衝撃を吸収させるもの)などに内設することによって搭乗員が車両構成部材の内壁への衝突するような内部または他の車両との衝突のような外部からの衝撃を吸収するための衝撃吸収体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の衝撃吸収体は、衝撃が加わったときに変形して衝撃を吸収する中空の衝撃吸収部を備えている。衝撃吸収部は、互いに対向する第1壁及び第2壁と、これらを連結する周壁面を備える。周壁面には、第1壁及び第2壁の中央にパーティングラインが設けられ、パーティングラインから突出する取付片が折り曲げられて第2壁に向かって形成されている。取付片の先端には、取付孔が設けられている。この結果、取付孔が第2壁と略同一面上に設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−96307公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の構成では、第1壁及び第2壁の中央から突出する突出片を折り曲げて第2壁に向かうように形成した取付片の先端に取付孔を設けているために、取付孔が衝撃吸収部からある程度離れてしまう。このため、取付孔の位置が決められていて、且つ衝撃吸収体を収容する空間に制限ある場合には、取付孔が衝撃吸収部から離れている分だけ、衝撃吸収部が小さくなってしまい、その結果、衝撃吸収性能が低下する場合がある。
【0005】
また、取付孔と衝撃吸収部の距離を近づける方法としては、パーティングラインの位置を第2壁に近い位置に移動させ、その位置から突出させた突出片に取付孔を設ける方法が挙げられる。この場合、突出片を折り曲げなくても、取付孔が第2壁と略同一面上に設けられるので、取付孔を衝撃吸収部に近づけやすくなって、その分だけ、衝撃吸収部を大きくすることができるという利点がある。
【0006】
しかし、パーティングラインを第2壁に近い位置に移動させると、第2壁に隣接した位置において周壁面が厚くなりすぎ、その結果、衝撃吸収部の圧縮に伴って圧縮荷重が過度に増大してしまう場合があることが分かった。
【0007】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、衝撃吸収性能に優れた衝撃吸収体を提供するものである。
【0008】
本発明によれば、衝撃が加わったときに変形して前記衝撃を吸収する中空の衝撃吸収部と、前記衝撃吸収部と一体形成され且つ前記衝撃吸収部を取付対象物に固定するための取付片を備える衝撃吸収体であって、前記衝撃吸収部は、互いに離間されて対向する前面壁及び背面壁と、前記前面壁と前記背面壁を連結する周壁を備え、前記取付片は、前記周壁の、前記前面壁側に偏った位置から突出するように設けられ、前記衝撃が加わったときに前記周壁の破壊を促進する破壊促進構造が前記取付片の近傍に設けられる、衝撃吸収体が提供される。
【0009】
本発明の衝撃吸収体では、取付片を、周壁の、前面壁側に偏った位置から突出するように設け、且つ衝撃が加わったときに周壁の破壊を促進する破壊促進構造を取付片の近傍に設けている。取付片を、周壁の、前面壁側に偏った位置から突出するように設けた場合には、衝撃吸収部の圧縮に伴って圧縮荷重が過度に増大してしまいやすくなるが、このような位置から突出片を突出させた場合でも、破壊促進構造を取付片の近傍に設けることによって、圧縮荷重が過度に増大を抑制することができ、衝撃吸収性能を高めることができる。
【0010】
以下、本発明の種々の実施形態を例示する。以下に示す実施形態は互いに組み合わせ可能である。
好ましくは、前記破壊促進構造は、前記取付片と前記前面壁の間に設けられた溝を含む。
好ましくは、前記溝は、台形形状であり、前記台形の先端の曲率半径は、1mm以下である。
好ましくは、前記溝の入り口での幅は、3〜15mmである。
好ましくは、前記破壊促進構造は、前記取付片から前記背面壁に向かう部位において前記周壁に設けられた段差を含む。
好ましくは、前記周壁及び前記取付片を取り囲むようにパーティングラインが設けられ、前記取付片が設けられる取付領域では、前記パーティングラインは、前記前面壁側に偏った位置に設けられ、前記周壁の周方向に沿って前記取付領域に隣接した隣接領域では、前記パーティングラインは、前記取付領域での前記パーティングラインよりも前記前面壁から離れた位置に設けられ、前記段差は、前記隣接領域での前記パーティングラインの延長線上又はこれに隣接した位置に設けられる。
好ましくは、前記段差の立ち上がり部の曲率半径は、0.5mm以下である。
好ましくは、前記段差の幅は、0.5〜2mmである。
好ましくは、前記段差よりも前記前面壁に近い部位での前記周壁のテーパー角度は1〜5度であり、前記段差よりも前記前面壁から離れた部位でのテーパー角度は3〜8度である。
好ましくは、前記周壁及び前記取付片を取り囲むようにパーティングラインが設けられ、前記取付片が設けられる取付領域では、前記パーティングラインは、前記前面壁側に偏った位置に設けられ、前記周壁の周方向に沿って前記取付領域に隣接した隣接領域では、前記パーティングラインは、前記取付領域での前記パーティングラインよりも前記前面壁から離れた位置に設けられる。
好ましくは、前記隣接領域と前記取付領域の間の連結領域では、前記パーティングラインは、前記隣接領域での前記パーティングラインと前記取付領域での前記パーティングラインを連結するように設けられる。
好ましくは、前記取付領域での前記パーティングラインは、前記取付片の側縁と前記周壁を連結する支持壁に設けられる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態の衝撃吸収体10を示し、(a)は前面壁1f側からの斜視図、(b)は背面壁1r側からの斜視図である。
【
図2】(a)は衝撃吸収体10の背面壁1r側の平面図、(b)は衝撃吸収体10の側面図である。
【
図3】衝撃吸収体10の前面壁1f側の平面図である。
【
図4】(a)は
図2(a)中のA−A断面図であり、(b)は(a)中の領域Xの拡大図である。
【
図5】衝撃吸収体10の製造工程を示し、(a)は分割金型11,13を閉じる前の状態、(b)は分割金型11,13を閉じた後の状態を示す。
【
図6】衝撃吸収体10に溝5及び段差7が設けられない場合の構造を示す、
図4(a)に対応する断面図である。
【
図7】本発明及び比較例の衝撃吸収体10についての圧縮歪み−圧縮荷重の関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。また、各特徴について独立して発明が成立する。
【0013】
以下、
図1〜
図7を用いて、本発明の一実施形態の衝撃吸収体10について説明する。
本実施形態では、衝撃吸収体10は、車両構成部材に内設することによって車両の内部または外部からの衝撃を吸収するための車両用衝撃吸収体である。この場合、取付対象物は、車両である。衝撃吸収体10は、軽自動車のドアの内部に配設されることが想定されている。
【0014】
図1に示すように、衝撃吸収体10は、中空の衝撃吸収部1と、取付片3を備える。衝撃吸収部1は、衝撃が加わったときに変形して衝撃を吸収する機能を有する。取付片3は、衝撃吸収部1を取付対象物に固定するために用いられる。
【0015】
衝撃吸収部1は、互いに離間されて対向する前面壁1f及び背面壁1rと、前面壁1fと背面壁1rを連結する周壁1sを備える。衝撃吸収部1内には中空部1hが設けられる。取付片3は、周壁1sの、前面壁1f側に偏った位置から突出するように設けられている。取付片3には、取付孔3aが設けられており、取付孔3aに挿通させたボルトを取付対象物に固定することによって衝撃吸収体10を取付対象物に固定することが可能になっている。前面壁1fには、前面壁1fが凹まされて形成された丸リブ1faと溝リブ1fbが設けられている。背面壁1rには、背面壁1rが凹まされて形成された丸リブ1raと溝リブ1rbが設けられている。丸リブ1fa,1raは、溶着部1aにおいて互いに溶着されている。溝リブ1fb,1rbは、溶着部1bにおいて互いに溶着されている。
【0016】
衝撃吸収部1と取付片3は、
図5に示すように、分割金型11,13の間に円筒状の溶融パリソン9を配置した状態で分割金型11,13を閉じ、溶融パリソン9内部にエアーを吹き込むことによって得られた成形体を取り出し、この成形体に対してプレス加工を行ってバリ15の除去及び取付孔3aの形成を行うことによって形成することができる。このような工程によって、衝撃吸収部1と取付片3が一体で形成される。なお、取付片3は、溶融パリソン9がコンプレッションされることで形成される。
【0017】
図5に示すように、取付片3は、分割金型11,13に互いに対向するように設けられた取付片形成面11b,13bによって挟まれた部位に形成される。このため、
図1〜
図3に示すように、パーティングラインPLは、周壁1s及び取付片3を取り囲むように形成される。
図2(b)に示すように、取付片3が設けられる取付領域Aでは、パーティングラインPLは、前面壁1f側に偏った位置に形成される。また、取付片3の付け根も前面壁1f側に偏った位置に形成されている。このように、取付片3は、前面壁1f側に偏った位置において周壁1sから突出し、パーティングラインPLが取付片3を取り囲むように設けられている。周壁1sの周方向に沿って取付領域Aに隣接した隣接領域Nでは、パーティングラインPLは、取付領域AでのパーティングラインPLよりも前面壁1fから離れた位置に(具体的には、前面壁1fと背面壁1rのほぼ中間の位置に)形成される。隣接領域Nと取付領域Aの間の連結領域Cでは、パーティングラインPLは、隣接領域NでのパーティングラインPLと取付領域AでのパーティングラインPLを連結するように形成される。
図1(b)に示すように、取付領域AではパーティングラインPLは、取付片3の先端3cを通るように形成されている。このため、
図1(b)に示すように、連結領域Cでは、パーティングラインPLは、周壁1sから取付片3の先端3cに向かって斜め方向に延びるように形成されている。また、連結領域CでのパーティングラインPLに対応した部位には、取付片3の側縁3dと周壁1sを連結する支持壁3bが形成されている。取付片3は、支持壁3bによって強固に支持される。
【0018】
ブロー成形では、パーティングラインPLから離れるほど溶融パリソンが引き伸ばされる程度が大きくなるので、ブロー成形体の肉厚は、パーティングラインPLから離れるほど小さくなる傾向がある。そして、本実施形態では、取付片3が前面壁1f側に偏った位置に設けられているので、取付片3に隣接した部位での周壁1sの肉厚は、前面壁1fから背面壁1rに向かって徐々に薄くなる。このような形状では、
図7の比較例で示すように、圧縮歪みの増大に伴って圧縮荷重が過剰に増大するという問題がある。そこで、本実施形態では、このような問題を解決すべく衝撃吸収部1に衝撃が加わったときに周壁1sの破壊を促進する破壊促進構造が取付片3の近傍に設けられている。破壊促進構造を設けることによって周壁1sの破壊が促進されて圧縮荷重の過剰な増大が抑制される。破壊促進構造としては、周壁1sの破壊を促進する任意の構成が採用可能であるが、衝撃が加わったときに応力集中を引き起こしてクラックの発生を誘起する構造が好適であり、応力集中を引き起こしやすい溝又は段差が好ましい。
【0019】
本実施形態では、破壊促進構造として、溝5及び段差7が設けられている。溝5は、取付片3と前面壁1fの間に設けられており、段差7は、取付片3から背面壁1rに向かう部位において周壁1sに設けられている。このような位置に溝5又は段差7を設けると、衝撃吸収部1に衝撃が加わったときにクラックが発生して周壁1sの破壊が促進される。溝5と段差7は、一方のみを設けてもよく、両方を設けてもよい。溝5と段差7は、取付領域Aの全体に渡って設けることが好ましい。
【0020】
溝5は、周壁1sの周方向に延びるように設けられている。別の表現では、溝5は、取付片3の主面3e(
図1(a)及び
図3に図示)に略平行になるように設けられている。さらに別の表現では、溝5は、前面壁1fに略平行になるように設けられている。溝5の形状は、特に限定されないが、
図4(b)に示すような台形形状が好ましい。また、台形の先端5aの曲率半径が1mm以下であることが好ましく、0.5mm以下であることがさらに好ましく、エッジであることがさらに好ましい。溝5の入り口での幅W1は、3〜15mmであることが好ましい。このような構成の場合、台形の先端5aに応力が集中してクラックが生じやすい。また、取付片3が取付対象物に固定された状態で衝撃吸収部1の前面壁1fに衝撃が加わると、溝5を起点として、衝撃吸収部1が取付片3に対して相対回転する方向に力が加わり、その結果、溝の5の幅が広がって、溝5の底(台形形状の先端)にクラックが入り、そのクラックを起点として周壁1sの破壊が促進される。
【0021】
段差7は、周壁1sの周方向に延びるように設けられている。別の表現では、段差7は、取付片3の主面3e(
図1(a)及び
図3に図示)に略平行になるように設けられている。さらに別の表現では、段差7は、前面壁1fに略平行になるように設けられている。さらに別の表現では、段差7は、溝5に略平行になるように設けられている。
図4(b)に示すように、段差7は、立ち上がり部7aの曲率半径が0.5mm以下であることが好ましく、エッジであることがさらに好ましい。段差7の幅W2は、0.5〜2mmであることが好ましい。段差7は、隣接領域NでのパーティングラインPLの延長線上又はこれに隣接した位置に設けることが好ましい。このような構成の場合、立ち上がり部7aに応力が集中してクラックが生じやすく、そのクラックを起点として周壁1sの破壊が促進される。
【0022】
図4(b)に示すように、段差7よりも前面壁1fに近い部位での周壁1sのテーパー角度α1は1〜5度であることが好ましく、段差7よりも前面壁1fから離れた(背面壁1rに近い)部位でのテーパー角度α2は3〜8度であることが好ましい。また、α1は、α2よりも小さいことが好ましい。このような構成によれば、衝撃吸収体10が分割金型11から外れやすいという利点がある。
【0023】
また、段差7よりも前面壁1fに近い部位では、一対の支持壁3bの対向する側面3b1が背面壁1rに向かって開くテーパー面となっている。段差7よりも前面壁1fから離れた部位には凹領域7bが設けられており、凹領域7bの両側の側面7b1が背面壁1rに向かって開くテーパー面となっている。このような構成によれば、衝撃吸収体10が分割金型11から外れやすいという利点がある。
【0024】
ここで、本発明の作用効果について説明する。衝撃吸収部1に溝5及び段差7に設けない場合には、
図6に示す構造になる。本発明者がこのような構造の衝撃吸収体10について圧縮歪みと圧縮荷重の関係を調べたところ、
図7の「比較例」のグラフで示すように、圧縮歪みの増大に伴って圧縮荷重が過度に大きくなることが分かった。一方、本発明の衝撃吸収体10では、衝撃が加わったときに周壁の破壊を促進する破壊促進構造が取付片3の近傍に設けられているので、圧縮歪みがある程度大きくなると側壁が破壊されて圧縮荷重の増大が抑制されるので、
図7の「本発明」のグラフで示すように圧縮歪み−圧縮荷重の関係が理想的な状態となる。
【符号の説明】
【0025】
1 :衝撃吸収部
1a :溶着部
1f :前面壁
1fa :前面壁側の丸リブ
1fb :前面壁側の溝リブ
1r :背面壁
1ra :背面壁側の丸リブ
1rb :背面壁側の溝リブ
1s :周壁
3 :取付片
3a :取付孔
3b :支持壁
3b1 :支持壁の側面
3c :取付片の先端
3d :取付片の側縁
3e :取付片の主面
5 :溝
5a :溝を構成する台形の先端
7 :段差
7a :段差の立ち上がり部
7b :凹領域
7b1 :凹領域の側面
9 :溶融パリソン
10 :衝撃吸収体
11 :分割金型
11b :取付片形成面
13 :分割金型
13b :取付片形成面
15 :バリ
A :取付領域
C :連結領域
N :隣接領域
PL :パーティングライン
α1 :テーパー角度
α2 :テーパー角度