特許第6703316号(P6703316)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6703316
(24)【登録日】2020年5月12日
(45)【発行日】2020年6月3日
(54)【発明の名称】電子機器およびプリンタードライバー
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/12 20060101AFI20200525BHJP
【FI】
   G06F3/12 367
   G06F3/12 336
   G06F3/12 303
【請求項の数】4
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2019-7559(P2019-7559)
(22)【出願日】2019年1月21日
(62)【分割の表示】特願2016-61303(P2016-61303)の分割
【原出願日】2016年3月25日
(65)【公開番号】特開2019-75170(P2019-75170A)
(43)【公開日】2019年5月16日
【審査請求日】2019年1月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140796
【弁理士】
【氏名又は名称】原口 貴志
(72)【発明者】
【氏名】孫 震宇
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 正史
(72)【発明者】
【氏名】樋渡 達也
(72)【発明者】
【氏名】井上 善夫
【審査官】 征矢 崇
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−156087(JP,A)
【文献】 特開2014−024262(JP,A)
【文献】 特開2005−178347(JP,A)
【文献】 特開2012−203578(JP,A)
【文献】 特開2008−306582(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F3/12
B41J29/00−29/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者を認証するサーバーに利用者の認証用情報を送信する認証用情報送信部と、
印刷ジョブの送信先が指定される送信先被指定部と、
前記印刷ジョブを生成する印刷ジョブ生成部と、
前記印刷ジョブを印刷装置に送信する印刷ジョブ送信部と
を備える電子機器であって
前記印刷ジョブとしては、
通常の前記印刷ジョブと、
特定の指示に応じて実行される前記印刷ジョブとしての指示実行型印刷ジョブと
が少なくとも存在し、
前記送信先被指定部は、
前記印刷装置における通常の前記印刷ジョブ用のポート番号と、
前記印刷装置における前記指示実行型印刷ジョブ用のポート番号と
が前記送信先として少なくとも指定されることが可能であり、
前記電子機器は、利用者のログインの許可を示すアクセストークンを受信すると、前記送信先被指定部を含む印刷指示画面を表示し、
前記印刷ジョブ送信部は、
前記アクセストークンを前記サーバーから受信して、前記印刷ジョブ生成部によって前記印刷ジョブが生成された場合に、
前記印刷装置における前記指示実行型印刷ジョブ用のポート番号が前記送信先として前記送信先被指定部に指定されたとき、前記印刷ジョブ生成部によって生成された前記印刷ジョブを前記指示実行型印刷ジョブとして前記印刷装置に送信し、
前記印刷装置における前記通常の印刷ジョブ用のポート番号が前記送信先として前記送信先被指定部に指定されたとき、前記印刷ジョブ生成部によって生成された前記印刷ジョブを前記通常の印刷ジョブとして前記印刷装置に送信することを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記送信先被指定部は、前記アクセストークンが前記サーバーから受信された後、前記送信先が指定されることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記指示実行型印刷ジョブのデータのヘッダーに、利用者の識別情報および前記アクセストークンをPJL(Printer Job Language)によって書き込むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
利用者を認証するサーバーに利用者の認証用情報を送信する認証用情報送信部と、
印刷ジョブの送信先が指定される送信先被指定部と、
前記印刷ジョブを生成する印刷ジョブ生成部と、
前記印刷ジョブを印刷装置に送信する印刷ジョブ送信部と
を電子機器に実現させるプリンタードライバーであって
前記印刷ジョブとしては、
通常の前記印刷ジョブと、
特定の指示に応じて実行される前記印刷ジョブとしての指示実行型印刷ジョブと
が少なくとも存在し、
前記送信先被指定部は、
前記印刷装置における通常の前記印刷ジョブ用のポート番号と、
前記印刷装置における前記指示実行型印刷ジョブ用のポート番号と
が前記送信先として少なくとも指定されることが可能であり、
前記プリンタードライバーは、利用者のログインの許可を示すアクセストークンを前記電子機器が受信すると、前記送信先被指定部を含む印刷指示画面を前記電子機器に表示させ、
前記印刷ジョブ送信部は、
前記アクセストークンを前記サーバーから受信して、前記印刷ジョブ生成部によって前記印刷ジョブが生成された場合に、
前記印刷装置における前記指示実行型印刷ジョブ用のポート番号が前記送信先として前記送信先被指定部に指定されたとき、前記印刷ジョブ生成部によって生成された前記印刷ジョブを前記指示実行型印刷ジョブとして前記印刷装置に送信し、
前記印刷装置における前記通常の印刷ジョブ用のポート番号が前記送信先として前記送信先被指定部に指定されたとき、前記印刷ジョブ生成部によって生成された前記印刷ジョブを前記通常の印刷ジョブとして前記印刷装置に送信することを特徴とするプリンタードライバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定の指示に応じて実行される印刷ジョブとしての指示実行型印刷ジョブを実行する印刷システムおよびジョブ管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子機器から印刷装置に指示実行型印刷ジョブを送信する印刷システムが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−058555号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の印刷システムにおいては、複数の印刷装置を備えている場合に、一の印刷装置に利用者がログインしている場合に、この利用者の指示実行型印刷ジョブを他の印刷装置がスプールしていたとしても、この指示実行型印刷ジョブを利用者が認識することが困難であるという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、一の印刷装置に利用者がログインしている場合に、この利用者の指示実行型印刷ジョブを他の印刷装置がスプールしているとき、この指示実行型印刷ジョブを利用者に適切に認識させることができる印刷システムおよびジョブ管理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の印刷システムは、複数の印刷装置を備え、前記印刷装置は、特定の指示に応じて実行される印刷ジョブとしての指示実行型印刷ジョブを利用者別にスプールするジョブスプール手段と、利用者のログインを受け付けるログイン受付手段と、前記ログイン受付手段によってログインが受け付けられた利用者の前記指示実行型印刷ジョブの一覧を表示する一覧表示手段と、前記一覧表示手段によって表示されている前記一覧から指定された前記指示実行型印刷ジョブを実行するジョブ実行手段とを備え、前記一覧表示手段は、前記ログイン受付手段によってログインが受け付けられた場合に、前記ログイン受付手段によってログインが受け付けられた利用者の識別情報を他の前記印刷装置に送信し、前記一覧表示手段は、他の前記印刷装置によってログインが受け付けられている利用者の識別情報をこの印刷装置から受信した場合に、この利用者の前記指示実行型印刷ジョブに対する前記ジョブスプール手段によるスプールの状況が変わったとき、この印刷装置に前記状況を通知することを特徴とする。
【0007】
この構成により、本発明の印刷システムにおいて、印刷装置は、他の印刷装置によってログインが受け付けられている利用者の識別情報をこの印刷装置から受信した場合に、この利用者の指示実行型印刷ジョブに対するスプールの状況が変わったとき、この印刷装置にこの状況を送信する。したがって、本発明の印刷システムは、一の印刷装置に利用者がログインしている場合に、この利用者の指示実行型印刷ジョブを他の印刷装置がスプールしているとき、この指示実行型印刷ジョブを利用者に適切に認識させることができる。
【0008】
本発明の印刷システムにおいて、前記一覧表示手段は、前記ログイン受付手段によってログインが受け付けられた場合に、前記ログイン受付手段によってログインが受け付けられた利用者の識別情報に対応付けた通信チャンネルを他の前記印刷装置との間に生成し、前記一覧表示手段は、他の前記印刷装置によってログインが受け付けられている利用者の識別情報に対応付けられた前記通信チャンネルがこの印刷装置との間に生成された場合に、この通信チャンネルを介して前記状況を通知しても良い。
【0009】
この構成により、本発明の印刷システムは、一の印刷装置に利用者がログインしている場合に、この印刷装置と、他の印刷装置との間に通信チャンネルを生成し、他の印刷装置におけるスプールの状況を通信チャンネルを介して一の印刷装置に通知するので、何れの印刷装置にスプールされている印刷ジョブも利用者に更に適切に認識させることがでる。
【0010】
本発明の印刷システムにおいて、前記ジョブ実行手段は、前記一覧表示手段によって表示されている前記一覧から指定された前記指示実行型印刷ジョブが他の前記印刷装置によってスプールされている場合に、この指示実行型印刷ジョブをこの印刷装置から取得して実行しても良い。
【0011】
この構成により、本発明の印刷システムは、一の印刷装置に利用者がログインしている場合に、他の印刷装置によってスプールされている指示実行型印刷ジョブを一の印刷装置によって実行することができる。
【0012】
本発明のジョブ管理プログラムは、特定の指示に応じて実行される印刷ジョブとしての指示実行型印刷ジョブを利用者別にスプールするジョブスプール手段、利用者のログインを受け付けるログイン受付手段、前記ログイン受付手段によってログインが受け付けられた利用者の前記指示実行型印刷ジョブの一覧を表示する一覧表示手段、および、前記一覧表示手段によって表示されている前記一覧から指定された前記指示実行型印刷ジョブを実行するジョブ実行手段として印刷装置を機能させ、前記一覧表示手段は、前記ログイン受付手段によってログインが受け付けられた場合に、前記ログイン受付手段によってログインが受け付けられた利用者の識別情報を他の印刷装置に送信し、前記一覧表示手段は、前記他の印刷装置によってログインが受け付けられている利用者の識別情報をこの印刷装置から受信した場合に、この利用者の前記指示実行型印刷ジョブに対する前記ジョブスプール手段によるスプールの状況が変わったとき、この印刷装置に前記状況を通知することを特徴とする。
【0013】
この構成により、本発明のジョブ管理プログラムを実行する印刷装置は、他の印刷装置によってログインが受け付けられている利用者の識別情報をこの印刷装置から受信した場合に、この利用者の指示実行型印刷ジョブに対するスプールの状況が変わったとき、この印刷装置にこの状況を送信するので、利用者の指示実行型印刷ジョブを利用者自身に適切に認識させることができる
【発明の効果】
【0014】
本発明の印刷システムおよびジョブ管理プログラムは、一の印刷装置に利用者がログインしている場合に、この利用者の指示実行型印刷ジョブを他の印刷装置がスプールしているとき、この指示実行型印刷ジョブを利用者に適切に認識させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施の形態に係る印刷システムのブロック図である。
図2図1に示す利用者端末のブロック図である。
図3図1に示すサーバーのブロック図である。
図4図1に示すMFPのブロック図である。
図5】印刷ジョブを送信する場合の図2に示す利用者端末の動作のフローチャートである。
図6図5に示す動作において表示される印刷指示画面の一例を示す図である。
図7】指示実行型印刷ジョブを実行する場合の図4に示すMFPの動作の一部のフローチャートである。
図8】指示実行型印刷ジョブを実行する場合の図4に示すMFPの動作の図7に示す部分とは異なる一部のフローチャートである。
図9図7に示す動作において表示される一覧画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施の形態について、図面を用いて説明する。
【0017】
まず、本実施の形態に係る印刷システムの構成について説明する。
【0018】
図1は、本実施の形態に係る印刷システム10のブロック図である。
【0019】
図1に示すように、印刷システム10は、印刷データを生成する電子機器としての利用者端末20と、サーバー30と、印刷ジョブを実行する印刷装置としてのMFP(Multifunction Peripheral)40、50、60とを備えている。利用者端末20と、サーバー30と、MFP40と、MFP50と、MFP60は、LAN(Local Area Network)、インターネットなどのネットワーク11を介して互いに通信可能である。
【0020】
なお、MFP50、60の構成は、MFP40と同様の構成である。
【0021】
また、印刷システム10は、利用者端末20以外にも、利用者端末20と同様の利用者端末を少なくとも1つ備えることが可能である。同様に、印刷システム10は、MFP40、50、60以外にも、MFP40と同様のMFPを少なくとも1つ備えることが可能である。
【0022】
図2は、利用者端末20のブロック図である。
【0023】
図2に示すように、利用者端末20は、利用者による種々の操作が入力される入力デバイスである操作部21と、種々の情報を表示するLCD(Liquid Crystal Display)などの表示デバイスである表示部22と、ネットワーク11(図1参照。)経由で外部の装置と通信を行う通信デバイスである通信部23と、各種のデータを記憶している半導体メモリー、HDD(Hard Disk Drive)などの不揮発性の記憶デバイスである記憶部24と、利用者端末20全体を制御する制御部25とを備えている。利用者端末20は、スマートフォンなどの携帯端末やPC(Personal Computer)などのコンピューターによって構成されている。
【0024】
記憶部24は、印刷データを生成して印刷ジョブとして送信するためのプリンタードライバー24aを記憶している。プリンタードライバー24aは、利用者端末20の製造段階で利用者端末20にインストールされていても良いし、USB(Universal Serial Bus)メモリーなどの外部の記憶媒体から利用者端末20に追加でインストールされても良いし、ネットワーク11上から利用者端末20に追加でインストールされても良い。
【0025】
制御部25は、例えば、CPU(Central Processing Unit)と、プログラムおよび各種のデータを記憶しているROM(Read Only Memory)と、CPUの作業領域として用いられるRAM(Random Access Memory)とを備えている。CPUは、ROMまたは記憶部24に記憶されているプログラムを実行する。
【0026】
図3は、サーバー30のブロック図である。
【0027】
図3に示すように、サーバー30は、利用者による種々の操作が入力されるマウス、キーボードなどの入力デバイスである操作部31と、種々の情報を表示するLCDなどの表示デバイスである表示部32と、ネットワーク11(図1参照。)経由で外部の装置と通信を行う通信デバイスである通信部33と、各種のデータを記憶している半導体メモリー、HDDなどの不揮発性の記憶デバイスである記憶部34と、サーバー30全体を制御する制御部35とを備えている。サーバー30は、PCなどのコンピューターによって構成されている。
【0028】
記憶部34は、利用者の識別情報(以下「利用者識別情報」という。)と、利用者のパスワードとの組み合わせなど、利用者を認証するための認証用情報34aを記憶している。
【0029】
制御部35は、例えば、CPUと、プログラムおよび各種のデータを記憶しているROMと、CPUの作業領域として用いられるRAMとを備えている。CPUは、ROMまたは記憶部34に記憶されているプログラムを実行する。
【0030】
図4は、MFP40のブロック図である。
【0031】
図4に示すように、MFP40は、利用者による種々の操作が入力されるボタンなどの入力デバイスである操作部41と、種々の情報を表示するLCDなどの表示デバイスである表示部42と、用紙などの記録媒体に印刷を実行する印刷デバイスであるプリンター43と、原稿から画像データを読み取る読取デバイスであるスキャナー44と、図示していない外部のファクシミリ装置と公衆電話回線などの通信回線経由でファックス通信を行うファックスデバイスであるファックス通信部45と、ネットワーク11(図1参照。)経由で外部の装置と通信を行うネットワーク通信デバイスである通信部46と、各種のデータを記憶している半導体メモリー、HDDなどの不揮発性の記憶デバイスである記憶部47と、MFP40全体を制御する制御部48とを備えている。
【0032】
記憶部47は、Java(登録商標)アプリケーションとしてのアプリケーション47aを記憶している。アプリケーション47aは、本発明のジョブ管理プログラムを構成している。アプリケーション47aは、MFP40の製造段階でMFP40にインストールされていても良いし、SDカード、USBメモリーなどの外部の記憶媒体からMFP40に追加でインストールされても良いし、ネットワーク11上からMFP40に追加でインストールされても良い。なお、記憶部47には、図示していないが、アプリケーション47aを実行するために制御部48によって実行されるJavaプラットフォームも記憶されている。
【0033】
記憶部47は、指示実行型印刷ジョブ47bを複数記憶可能である。記憶部47は、指示実行型印刷ジョブ47bそれぞれを何れかの利用者識別情報に関連付けて記憶する。
【0034】
制御部48は、例えば、CPUと、プログラムおよび各種のデータを記憶しているROMと、CPUの作業領域として用いられるRAMとを備えている。CPUは、ROMまたは記憶部47に記憶されているプログラムを実行する。
【0035】
制御部48は、アプリケーション47aを実行することによって、特定の指示に応じて実行される印刷ジョブとしての指示実行型印刷ジョブを利用者別にスプールするジョブスプール手段48a、利用者のログインを受け付けるログイン受付手段48b、ログイン受付手段48bによってログインが受け付けられた利用者の指示実行型印刷ジョブの一覧を表示する一覧表示手段48c、および、一覧表示手段48cによって表示されている一覧から指定された指示実行型印刷ジョブを実行するジョブ実行手段48dとして機能する。
【0036】
次に、印刷システム10の動作について説明する。
【0037】
まず、印刷ジョブを送信する場合の利用者端末20の動作について説明する。
【0038】
図5は、印刷ジョブを送信する場合の利用者端末20の動作のフローチャートである。
【0039】
利用者端末20の制御部25は、印刷指示画面の表示の指示が操作部21を介して入力されると、プリンタードライバー24aを実行することによって、図5に示す動作を実行する。
【0040】
図5に示すように、制御部25は、操作部21を介して入力された認証用情報をサーバー30に送信する(S101)。ここで、認証用情報は、図5に示す動作の前に操作部21を介して入力されていても良いし、S101において入力されても良い。したがって、サーバー30の制御部35は、利用者端末20から送信されてきた認証用情報と同一の認証用情報34aが記憶部34に記憶されている場合、利用者のログインを許可し、その旨を示すアクセストークンを利用者端末20に返信する。
【0041】
利用者端末20の制御部25は、S101の処理の後、利用者のアクセストークンがサーバー30から通知されてきたか否かを判断する(S102)。
【0042】
制御部25は、利用者のアクセストークンがサーバー30から通知されてきていないとS102において判断すると、認証の失敗がサーバー30から通知されてきたか否かを判断する(S103)。
【0043】
制御部25は、認証の失敗がサーバー30から通知されてきたとS103において判断すると、図5に示す動作を終了する。
【0044】
制御部25は、認証の失敗がサーバー30から通知されてきていないとS103において判断すると、S101の処理の後に特定の時間が経過したか否かを判断する(S104)。
【0045】
制御部25は、特定の時間が経過したとS104において判断すると、図5に示す動作を終了する。
【0046】
制御部25は、特定の時間が経過していないとS104において判断すると、S102の処理を実行する。
【0047】
制御部25は、利用者のアクセストークンがサーバー30から通知されてきたとS102において判断すると、印刷指示画面70(図6参照。)を表示する(S105)。
【0048】
図6に示す印刷指示画面70は、印刷する部数を指定するためのプルダウンメニュー71と、カラー印刷およびモノクロ印刷の何れであるかを指定するためのラジオボタン72aおよび72bと、片面印刷および両面印刷の何れであるかを指定するためのラジオボタン73aおよび73bと、指示実行型印刷ジョブの送信を実行するための送信ボタン74と、図5に示す動作を終了するためのキャンセルボタン75とを含んでいる。なお、印刷の設定は、以上に説明したものに限らず種々の設定が有り得る。例えば、印刷の設定として集約印刷が設定可能な構成であっても良い。
【0049】
図5に示すように、制御部25は、S105の処理の後、送信ボタン74が押されたか否かを判断する(S106)。
【0050】
制御部25は、送信ボタン74が押されていないとS106において判断すると、キャンセルボタン75が押されたか否かを判断する(S107)。
【0051】
制御部25は、キャンセルボタン75が押されたとS107において判断すると、図5に示す動作を終了する。
【0052】
制御部25は、キャンセルボタン75が押されていないとS107において判断すると、S106の処理を実行する。
【0053】
制御部25は、送信ボタン74が押されたとS106において判断すると、印刷指示画面70における設定に応じた印刷ジョブを生成した(S108)後、S108において生成した印刷ジョブを送信先に送信して(S109)、図5に示す動作を終了する。なお、送信先は、印刷指示画面70で指定可能であっても良いし、図5に示す動作の前に設定可能であっても良い。
【0054】
送信先としてMFP40、50または60における指示実行型印刷ジョブ用のポート番号が指定されている場合、制御部25は、印刷ジョブを指示実行型印刷ジョブとして送信する。ここで、制御部25は、指示実行型印刷ジョブのデータのヘッダーに、ログイン中の利用者の利用者識別情報およびアクセストークンをPJL(Printer Job Language)によって書き込む。したがって、MFP40のジョブスプール手段48aは、利用者端末20から送信されてきたアクセストークンに基づいて不正なアクセスではないことを確認した後、利用者端末20から送信されてきた指示実行型印刷ジョブを指示実行型印刷ジョブ47bとして、利用者端末20から送信されてきた利用者識別情報に関連付けて記憶部47に記憶(スプール)する。なお、ジョブスプール手段48aは、利用者端末20から送信されてきたアクセストークンに基づいて不正なアクセスではないことが確認できない場合、利用者端末20から送信されてきた指示実行型印刷ジョブをスプールせずに破棄する。
【0055】
送信先としてMFP40、50または60における通常の印刷ジョブ用のポート番号が指定されている場合、制御部25は、印刷ジョブを通常の印刷ジョブとして送信する。
【0056】
次に、指示実行型印刷ジョブを実行する場合のMFP40の動作について説明する。
【0057】
図7および図8は、指示実行型印刷ジョブを実行する場合のMFP40の動作のフローチャートである。
【0058】
MFP40の制御部48は、一覧画面の表示の指示が操作部41を介して入力されると、図7および図8に示す動作を実行する。
【0059】
図7および図8に示すように、制御部48のログイン受付手段48bは、操作部41を介して入力された認証用情報をサーバー30に送信する(S131)。ここで、認証用情報は、図7および図8に示す動作の前に操作部41を介して入力されていても良いし、S131において入力されても良い。したがって、サーバー30の制御部35は、MFP40から送信されてきた認証用情報と同一の認証用情報34aが記憶部34に記憶されている場合、利用者のログインを許可し、その旨を示すアクセストークンをMFP40に返信する。
【0060】
MFP40のログイン受付手段48bは、S131の処理の後、利用者のアクセストークンがサーバー30から通知されてきたか否かを判断する(S132)。
【0061】
ログイン受付手段48bは、利用者のアクセストークンがサーバー30から通知されてきていないとS132において判断すると、認証の失敗がサーバー30から通知されてきたか否かを判断する(S133)。
【0062】
ログイン受付手段48bは、認証の失敗がサーバー30から通知されてきたとS133において判断すると、図7および図8に示す動作を終了する。
【0063】
ログイン受付手段48bは、認証の失敗がサーバー30から通知されてきていないとS133において判断すると、S131の処理の後に特定の時間が経過したか否かを判断する(S134)。
【0064】
ログイン受付手段48bは、特定の時間が経過したとS134において判断すると、図7および図8に示す動作を終了する。
【0065】
ログイン受付手段48bは、特定の時間が経過していないとS134において判断すると、S132の処理を実行する。
【0066】
一覧表示手段48cは、利用者のアクセストークンがサーバー30から通知されてきたとS132において判断されると、ブロードキャストによってサブネットワークにある全てのMFPを検出し(S135)、ログイン中の利用者の識別情報に対応付けた通信チャンネル(ストリーム)を、S135において検出した全てのMFPのアプリケーションとの間に生成する(S136)。すなわち、他のMFPのアプリケーションは、MFP40にログイン中の利用者の識別情報をMFP40から受信することができる。なお、この通信チャンネルは、明示的に切断するまで、コネクションを維持可能なものである。
【0067】
一覧表示手段48cは、S136の処理の後、S136において生成した通信チャンネルを介して接続された全てのMFPに対して、各MFPがスプールしている指示実行型印刷ジョブのうち、MFP40にログイン中の利用者の指示実行型印刷ジョブの一覧を要求する(S137)。したがって、各MFPの一覧表示手段は、自MFPがスプールしている指示実行型印刷ジョブのうち、MFP40にログイン中の利用者の指示実行型印刷ジョブの一覧をS136において生成された通信チャンネルを介して返信する。
【0068】
一覧表示手段48cは、S137の処理の後、記憶部47にスプールされている指示実行型印刷ジョブ47bのうち、MFP40にログイン中の利用者の指示実行型印刷ジョブ47bの一覧と、各MFPから受信した一覧とを合わせた一覧画面80(図9参照。)を表示部42に表示する(S138)。
【0069】
図9に示す一覧画面80は、MFP40にログイン中の利用者の指示実行型印刷ジョブの一覧を示すリストボックス81と、リストボックス81において指定された指示実行型印刷ジョブを実行するための実行ボタン82と、図7および図8に示す動作を終了するためのキャンセルボタン83とを含んでいる。
【0070】
ジョブ実行手段48dは、S138の処理の後、実行ボタン82が押されたか否かを判断する(S139)。
【0071】
ジョブ実行手段48dは、実行ボタン82が押されたとS139において判断すると、リストボックス81において指定された指示実行型印刷ジョブを取得する(S140)。ここで、ジョブ実行手段48dは、リストボックス81において指定された指示実行型印刷ジョブが他のMFPによってスプールされている場合、この指示実行型印刷ジョブを他のMFPから取得する。また、ジョブ実行手段48dは、リストボックス81において指定された指示実行型印刷ジョブがMFP40によってスプールされている場合、この指示実行型印刷ジョブを記憶部47から取得する。
【0072】
制御部48は、S140の処理の後、S140において取得した指示実行型印刷ジョブをプリンター43によって実行する(S141)。
【0073】
一覧表示手段48cは、実行ボタン82が押されていないとS139において判断されるか、S141の処理が実行されると、キャンセルボタン83が押されたか否かを判断する(S142)。
【0074】
一覧表示手段48cは、キャンセルボタン83が押されたとS142において判断すると、図7および図8に示す動作を終了する。
【0075】
一覧表示手段48cは、キャンセルボタン83が押されていないとS142において判断すると、記憶部47上の指示実行型印刷ジョブ47bのうち、MFP40にログイン中の利用者の指示実行型印刷ジョブ47bのスプールの状況に変化、すなわち、MFP40にログイン中の利用者の指示実行型印刷ジョブ47bの数に増減があったか否かを判断する(S143)。ここで、利用者端末20の制御部25は、任意のタイミングで実行可能な図5に示す動作によって、MFP40に指示実行型印刷ジョブを送信可能である。
【0076】
一覧表示手段48cは、MFP40にログイン中の利用者の指示実行型印刷ジョブ47bのスプールの状況に変化があったとS143において判断すると、MFP40にログイン中の利用者の指示実行型印刷ジョブ47bのスプールの状況に応じてリストボックス81の内容を更新する(S144)。
【0077】
一覧表示手段48cは、MFP40にログイン中の利用者の指示実行型印刷ジョブ47bのスプールの状況に変化がなかったとS143において判断するか、S144の処理を実行すると、MFP40にログイン中の利用者の指示実行型印刷ジョブのスプールの状況が他のMFPから通知されたか否かを判断する(S145)。ここで、利用者端末20の制御部25は、任意のタイミングで実行可能な図5に示す動作によって、任意のMFPに指示実行型印刷ジョブを送信可能である。各MFPの一覧表示手段は、自MFPがスプールしている指示実行型印刷ジョブのうち、MFP40にログイン中の利用者の指示実行型印刷ジョブのスプールの状況に変化、すなわち、MFP40にログイン中の利用者の指示実行型印刷ジョブの数に増減があった場合、MFP40にログイン中の利用者の指示実行型印刷ジョブのスプールの状況を、S136において生成された通信チャンネルを介して通知する。
【0078】
一覧表示手段48cは、MFP40にログイン中の利用者の指示実行型印刷ジョブのスプールの状況が他のMFPから通知されたとS145において判断すると、他のMFPから通知されたスプールの状況に応じてリストボックス81の内容を更新する(S146)。
【0079】
ログイン受付手段48bは、MFP40にログイン中の利用者の指示実行型印刷ジョブのスプールの状況が他のMFPから通知されていないとS145において判断されるか、S146の処理が実行されると、操作部41を介してログアウトの指示が入力されたか否かを判断する(S147)。
【0080】
ジョブ実行手段48dは、ログアウトの指示が入力されていないとS147において判断されると、S139の処理を実行する。
【0081】
ログイン受付手段48bは、ログアウトの指示が入力されたとS147において判断すると、MFP40にログイン中の利用者をログアウトして(S148)、S136において生成した全ての通信チャンネルを破棄した(S149)後、図7および図8に示す動作を終了する。
【0082】
なお、以上においては、指示実行型印刷ジョブの実行について説明している。しかしながら、印刷システム10は、指示実行型印刷ジョブではない通常の印刷ジョブの実行についても対応している。すなわち、利用者端末20からMFP40に通常の印刷ジョブが送信されると、MFP40は、この印刷ジョブを指示実行型印刷ジョブ47bとして記憶部47にスプールすることなくプリンター43によって実行する。
【0083】
以上に説明したように、印刷システム10において、MFP40、50、60のそれぞれは、他のMFPによってログインが受け付けられている利用者の利用者識別情報をこのMFPから受信した場合(S136)に、この利用者の指示実行型印刷ジョブに対するスプールの状況が変わったとき(S145でYES)、このMFPにこの状況を送信する。したがって、印刷システム10は、一のMFPに利用者がログインしている場合に、この利用者の指示実行型印刷ジョブを他のMFPがスプールしているとき、この指示実行型印刷ジョブを利用者に適切に認識させることができる。
【0084】
印刷システム10は、一のMFPに利用者がログインしている場合に、このMFPと、他のMFPとの間に通信チャンネルを生成し(S136)、他のMFPにおけるスプールの状況を通信チャンネルを介して一のMFPに通知するので、何れのMFPにスプールされている印刷ジョブも利用者に更に適切に認識させることがでる。
【0085】
印刷システム10は、一のMFPに利用者がログインしている場合に、他のMFPによってスプールされている指示実行型印刷ジョブを一のMFPによって実行することができる(S141)。
【0086】
本発明の印刷装置は、本実施の形態においてMFPであるが、プリンター専用機など、MFP以外の印刷装置であっても良い。
【符号の説明】
【0087】
10 印刷システム
40 MFP(印刷装置)
47a アプリケーション(ジョブ管理プログラム)
47b 指示実行型印刷ジョブ
48a ジョブスプール手段
48b ログイン受付手段
48c 一覧表示手段
48d ジョブ実行手段
50、60 MFP
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9