(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6703348
(24)【登録日】2020年5月12日
(45)【発行日】2020年6月3日
(54)【発明の名称】エレベータの押しボタン装置
(51)【国際特許分類】
B66B 1/46 20060101AFI20200525BHJP
H01H 13/20 20060101ALI20200525BHJP
【FI】
B66B1/46 A
H01H13/20 C
【請求項の数】8
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-96862(P2016-96862)
(22)【出願日】2016年5月13日
(65)【公開番号】特開2017-202923(P2017-202923A)
(43)【公開日】2017年11月16日
【審査請求日】2019年4月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルテクノサービス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100147566
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100161171
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 潤一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100117776
【弁理士】
【氏名又は名称】武井 義一
(74)【代理人】
【識別番号】100188329
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 義行
(74)【代理人】
【識別番号】100188514
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 隆裕
(74)【代理人】
【識別番号】100090011
【弁理士】
【氏名又は名称】茂泉 修司
(74)【代理人】
【識別番号】100194939
【弁理士】
【氏名又は名称】別所 公博
(74)【代理人】
【識別番号】100206782
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 彰洋
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 勇平
【審査官】
今野 聖一
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭51−090073(JP,U)
【文献】
特開平09−007450(JP,A)
【文献】
実開昭51−078367(JP,U)
【文献】
実開平05−041037(JP,U)
【文献】
実開昭48−099874(JP,U)
【文献】
特開2001−220072(JP,A)
【文献】
特開平08−140782(JP,A)
【文献】
特公昭50−007744(JP,B1)
【文献】
特開2013−161612(JP,A)
【文献】
中国特許出願公開第105621177(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 1/00 − 1/52
B66B 3/00 − 3/02
H01H 13/00 − 13/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータの操作盤に設けられるエレベータの押しボタン装置であって、
ボタンと、
前記ボタンを支持するフレームと、
前記フレームに設けられた開口部から露出した前記ボタンの操作部が押されたことを検出する検出部と、
前記ボタンの、前記操作部とは反対側に設けられた第1永久磁石と、
前記フレームの、前記第1永久磁石と対向する位置に設けられ、前記ボタンに対して、斥力により、前記第1永久磁石から前記操作部に向かう力を与える第2永久磁石と、
前記操作部の外周に設けられた第3永久磁石と、
前記開口部の、前記第3永久磁石と対向する位置に設けられ、前記第3永久磁石との間で斥力を発生させる第4永久磁石と、
を備えたエレベータの押しボタン装置。
【請求項2】
前記検出部は、
前記ボタンに設けられた可動接点と、
前記フレームに、前記可動接点と対向して設けられた固定接点と、を有し、
前記操作部が押されることによって前記可動接点が前記固定接点と接触する
請求項1に記載のエレベータの押しボタン装置。
【請求項3】
前記検出部は、
前記操作部が押されることにより、前記ボタンが前記フレームから離れたときに動作するバック接点である
請求項1に記載のエレベータの押しボタン装置。
【請求項4】
前記検出部は、
前記フレームに設けられた発光部と、
前記フレームに設けられ、前記発光部からの光を受光する受光部と、を有し、
前記ボタンにより前記発光部からの光が遮られることにより、前記操作部が押されたことを検出する
請求項1に記載のエレベータの押しボタン装置。
【請求項5】
前記操作部は、四角形状を有し、
前記第3永久磁石は、前記操作部の4辺に設けられている
請求項1から請求項4までの何れか1項に記載のエレベータの押しボタン装置。
【請求項6】
前記操作部は、四角形状を有し、
前記第3永久磁石は、前記操作部の四隅に設けられている
請求項1から請求項4までの何れか1項に記載のエレベータの押しボタン装置。
【請求項7】
前記操作部は、四角形状を有し、
前記第3永久磁石は、前記操作部の各辺の中間に設けられている
請求項1から請求項4までの何れか1項に記載のエレベータの押しボタン装置。
【請求項8】
前記ボタンの、前記操作部から前記第1永久磁石に向かう方向について、前記第4永久磁石と対向する位置に設けられ、前記第4永久磁石との間で引力を発生させる第5永久磁石
をさらに備えた請求項1から請求項7までの何れか1項に記載のエレベータの押しボタン装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、エレベータの乗場操作盤またはかご操作盤に設けられるエレベータの押しボタン装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のエレベータの押しボタン装置は、ボタンとボタンを支持するフレームとの間に、ボタンの操作部がフレームの開口部から外側に飛び出す方向に力を加えるスプリングが設けられ、エレベータの利用者がボタンを押した後にボタンから手を離すと、スプリングの力によってボタンが戻るようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−291544号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されたエレベータの押しボタン装置では、スプリングの力が経年劣化により低下し、ボタンが戻りにくくなったり、戻らなくなったりするという問題がある。
【0005】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、利用者がボタンを押してボタンから手を離した後、確実にボタンを戻すことができるエレベータの押しボタン装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係るエレベータの押しボタン装置は、エレベータの操作盤に設けられるエレベータの押しボタン装置であって、ボタンと、ボタンを支持するフレームと、フレームに設けられた開口部から露出したボタンの操作部が押されたことを検出する検出部と、ボタンの、操作部とは反対側に設けられた第1永久磁石と、フレームの、第1永久磁石と対向する位置に設けられ、ボタンに対して、斥力により、第1永久磁石から操作部に向かう力を与える第2永久磁石と、
操作部の外周に設けられた第3永久磁石と、開口部の、第3永久磁石と対向する位置に設けられ、第3永久磁石との間で斥力を発生させる第4永久磁石と、を備えたものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明に係るエレベータの押しボタン装置によれば、ボタンの、操作部とは反対側に設けられた第1永久磁石と、ボタンを支持するフレームの、第1永久磁石と対向する位置に設けられ、ボタンに対して、斥力により、第1永久磁石から操作部に向かう力を与える第2永久磁石と、を備えている。
そのため、利用者がボタンを押してボタンから手を離した後、確実にボタンを戻すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】この発明の実施の形態1に係るエレベータの押しボタン装置が適用された乗場操作盤を示す正面図である。
【
図2】この発明の実施の形態1に係るエレベータの押しボタン装置を示す断面図である。
【
図3】この発明の実施の形態2に係るエレベータの押しボタン装置の要部を示す拡大図である。
【
図4】この発明の実施の形態2に係るエレベータの押しボタン装置を示す正面図である。
【
図5】この発明の実施の形態2に係るエレベータの押しボタン装置の要部を示す拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、この発明に係るエレベータの押しボタン装置の好適な実施の形態につき図面を用いて説明するが、各図において同一、または相当する部分については、同一符号を付して説明する。
【0010】
なお、以下の各実施の形態では、この発明に係るブレーキ装置が乗場操作盤に適用された例を示すが、これに限定されず、この発明に係るブレーキ装置は、かご操作盤に適用されてもよい。
【0011】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1に係るエレベータの押しボタン装置が適用された乗場操作盤を示す正面図である。
図1において、乗場操作盤100は、エレベータの乗場に取り付けられ、上り方向または下り方向の乗場呼びを登録するための押しボタン装置10が設けられている。
【0012】
図2は、この発明の実施の形態1に係るエレベータの押しボタン装置を示す断面図である。
図2において、この押しボタン装置10は、ボタン1と、フレーム2と、可動接点3と、固定接点4とを備えている。
【0013】
ボタン1は、エレベータの利用者が呼びを登録する際に押すボタンである。フレーム2は、ボタン1を摺動可能に支持している。また、フレーム2には、開口部21が形成され、開口部21から、ボタン1の操作部11が露出している。
【0014】
可動接点3は、ボタン1の、操作部11とは反対側に設けられている。また、固定接点4は、フレーム2に、可動接点3と対向して設けられている。可動接点3は、操作部11が押されることによって、固定接点4と接触する。ここで、可動接点3と固定接点4とは、操作部11が押されたことを検出する検出部を構成している。
【0015】
また、ボタン1の、操作部11とは反対側には、第1永久磁石12が埋め込まれている。また、フレーム2の、第1永久磁石と対向する位置には、ボタン1に対して、斥力により、第1永久磁石12から操作部11に向かう力を与える第2永久磁石22が埋め込まれている。
【0016】
なお、
図2では、第1永久磁石12のN極と第2永久磁石22のN極とが対向するように配置されているが、これに限定されず、S極同士が対向するように配置されてもよい。また、フレーム2の内部には、操作部11が押されたことが検出された場合に点灯する応答灯が設けられるが、図示を省略している。
【0017】
以下、上記構成のエレベータの押しボタン装置の動作について説明する。まず、利用者がボタン1の操作部11を押すと、ボタン1は、第1永久磁石12および第2永久磁石22による斥力に抗して移動する。その後、ボタン1が一定距離移動すると、可動接点3が固定接点4に接触する。
【0018】
これにより、可動接点3と固定接点4との接点が閉成され、乗場呼びが登録されて、応答灯が点灯する。続いて、利用者がボタン1から手を離すと、ボタン1は、第1永久磁石12および第2永久磁石22による斥力により移動し、可動接点3が固定接点4から離反する。
【0019】
以上のように、実施の形態1によれば、ボタンの、操作部とは反対側に設けられた第1永久磁石と、ボタンを支持するフレームの、第1永久磁石と対向する位置に設けられ、ボタンに対して、斥力により、第1永久磁石から操作部に向かう力を与える第2永久磁石と、を備えている。
ここで、永久磁石は、スプリングと異なり、経年による減磁がほとんど生じないので、ボタンが戻りにくくなったり、戻らなくなったりすることがなくなる。
そのため、利用者がボタンを押してボタンから手を離した後、確実にボタンを戻すことができる。
【0020】
なお、上記実施の形態1において、検出部は、操作部11が押されていない状態において、ボタン1とフレーム2とが接触している位置に設けられ、操作部11が押され、ボタン1がフレーム2から離れたときに動作するバック接点であってもよい。
【0021】
また、上記実施の形態1において、検出部は、フレーム2に設けられた発光部と、フレーム2に設けられ、発光部からの光を受光する受光部とを有し、ボタン1により発光部からの光が遮られることにより、操作部11が押されたことを検出するものであってもよい。
【0022】
実施の形態2.
エレベータの押しボタン装置では、ボタンとフレームとの間に埃が堆積したり、ボタンを押す際に斜めに力が働いたりすることによって、利用者がボタンから手を離した場合に、ボタンの操作部がフレームの裏に引っ掛かり、元の状態に復帰しなくなることがある。この状態を、セリが発生していると称する。
【0023】
セリが発生した状態では、可動接点と固定接点との接点が閉成された状態が維持され、利用者が存在していない階床にかごがサービスされたり、ドアの開閉制御ができなくなったりすることがある。そこで、この発明の実施の形態2では、セリの発生を防止することができる構成について説明する。
【0024】
図3は、この発明の実施の形態2に係るエレベータの押しボタン装置の要部を示す拡大図である。また、
図4は、この発明の実施の形態2に係るエレベータの押しボタン装置を示す正面図である。
【0025】
図3、4において、操作部11の外周には、第3永久磁石13が埋め込まれている。また、開口部21の、第3永久磁石13と対向する位置には、第3永久磁石13との間で斥力を発生させる第4永久磁石23が埋め込まれている。
【0026】
なお、
図3、4では、第3永久磁石13のN極と第4永久磁石23のN極とが対向するように配置されているが、これに限定されず、S極同士が対向するように配置されてもよい。
【0027】
また、
図4では、第3永久磁石13が操作部11の4辺に配置され、第4永久磁石23が第3永久磁石13と対向する位置に埋め込まれているが、これに限定されず、第3永久磁石13が操作部11の四隅や各辺の中間に埋め込むとともに、第4永久磁石23を第3永久磁石13と対向する位置に埋め込んでもよい。
【0028】
これにより、利用者がボタン1を押してボタン1から手を離した後、第3永久磁石13と第4永久磁石23との間の斥力により、操作部11が開口部21の中心に寄りながら戻ってくることになる。
【0029】
以上のように、実施の形態2によれば、操作部の外周に設けられた第3永久磁石と、開口部の、第3永久磁石と対向する位置に設けられ、第3永久磁石との間で斥力を発生させる第4永久磁石とをさらに備えたことにより、セリの発生を防止することができる。
【0030】
なお、上記実施の形態2において、さらにセリの発生を防止することができる構成について、
図5を参照しながら説明する。
図5は、この発明の実施の形態2に係るエレベータの押しボタン装置の要部を示す拡大図である。
【0031】
図5において、ボタン1には、操作部11から第1永久磁石12に向かう方向について、第4永久磁石23と対向する位置に、第4永久磁石23との間で引力を発生させる第5永久磁石14が埋め込まれている。
【0032】
ここで、第5永久磁石14では、第4永久磁石23のN極およびS極と対向して引力を発生するように、S極およびN極が配置されている。なお、第4永久磁石23および第5永久磁石14において、N極およびS極の配置は、逆であってもよい。
【0033】
これにより、利用者がボタン1を押してボタン1から手を離した後、第4永久磁石23と第5永久磁石14との間の引力により、操作部11が開口部21の中心に寄りながら戻ってくることになる。そのため、さらにセリの発生を防止することができる。
【符号の説明】
【0034】
1 ボタン、2 フレーム、3 可動接点、4 固定接点、10 押しボタン装置、11 操作部、12 第1永久磁石、13 第3永久磁石、14 第5永久磁石、21 開口部、22 第2永久磁石、23 第4永久磁石、100 乗場操作盤。