(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6703352
(24)【登録日】2020年5月12日
(45)【発行日】2020年6月3日
(54)【発明の名称】周回移動するベルトをドアに備えたエレベーター
(51)【国際特許分類】
B66B 13/26 20060101AFI20200525BHJP
B66B 13/30 20060101ALI20200525BHJP
【FI】
B66B13/26 A
B66B13/30 B
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-119690(P2016-119690)
(22)【出願日】2016年6月16日
(65)【公開番号】特開2017-222479(P2017-222479A)
(43)【公開日】2017年12月21日
【審査請求日】2019年4月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルテクノサービス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100147566
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100161171
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 潤一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100117776
【弁理士】
【氏名又は名称】武井 義一
(74)【代理人】
【識別番号】100188329
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 義行
(74)【代理人】
【識別番号】100188514
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 隆裕
(74)【代理人】
【識別番号】100090011
【弁理士】
【氏名又は名称】茂泉 修司
(74)【代理人】
【識別番号】100194939
【弁理士】
【氏名又は名称】別所 公博
(74)【代理人】
【識別番号】100206782
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 彰洋
(72)【発明者】
【氏名】須賀 淳一
(72)【発明者】
【氏名】廣澤 研治
【審査官】
今野 聖一
(56)【参考文献】
【文献】
特開平09−132371(JP,A)
【文献】
特開2010−269931(JP,A)
【文献】
特開2009−280374(JP,A)
【文献】
特開2009−029552(JP,A)
【文献】
中国特許出願公開第101128388(CN,A)
【文献】
実開昭63−001871(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 13/00 − 13/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇降路内を移動可能に設けられたかごと、
前記かごまたは乗場に開閉可能に設けられた少なくとも一つのドアと、
全閉時、前記ドアと突き当たる戸当たり対象と
を備えたエレベーターであって、
前記ドアにおける戸閉方向でいう前端部には、ベルト周回機構が設けられており、
ベルト周回機構は、かご昇降方向に離隔する上下一対のホイールと、それら一対のホイールに跨って掛け渡された第1ベルトと、を備え、
前記第1ベルトは、前記ホイールの回転軸方向にそってみて、凹凸形状の外周を有する、
エレベーター。
【請求項2】
昇降路内を移動可能に設けられたかごと、
前記かごまたは乗場に開閉可能に設けられた少なくとも一つのドアと、
全閉時、前記ドアと突き当たる戸当たり対象と
を備えたエレベーターであって、
前記ドアにおける戸閉方向でいう前端部には、ベルト周回機構が設けられており、
ベルト周回機構は、かご昇降方向に離隔する上下一対のホイールと、それら一対のホイールに跨って掛け渡された第1ベルトと、
一つの回転センサおよび制御装置と、を備え、
前記回転センサは、対応する一つの前記ホイールの回転量を検出しており、
前記制御装置は、前記回転センサから検出された前記ホイールの回転量が閾値を超えたとき、前記かごの昇降の停止処理を開始する、
エレベーター。
【請求項3】
昇降路内を移動可能に設けられたかごと、
前記かごまたは乗場に開閉可能に設けられた少なくとも一つのドアと、
全閉時、前記ドアと突き当たる戸当たり対象と
を備えたエレベーターであって、
前記ドアにおける戸閉方向でいう前端部には、ベルト周回機構が設けられており、
ベルト周回機構は、かご昇降方向に離隔する上下一対のホイールと、それら一対のホイールに跨って掛け渡された第1ベルトと、
一対の回転センサおよび制御装置と、を備え、
前記一対の回転センサは、それぞれ、対応する前記ホイールの回転量を検出しており、
前記制御装置は、少なくとも一方の前記回転センサから検出された前記ホイールの回転量が閾値を超えたとき、前記かごの昇降の停止処理を開始し、且つ、前記一対の回転センサから検出された前記一対のホイールの回転量の差が予め決められた値を超えたとき、前記回転センサの少なくともの一方に不具合が発生しているものと判断する、
エレベーター。
【請求項4】
前記回転センサは、パルスエンコーダまたは傾斜角センサである、
請求項2または3のエレベーター。
【請求項5】
昇降路内を移動可能に設けられたかごと、
前記かごまたは乗場に開閉可能に設けられた少なくとも一つのドアと、
全閉時、前記ドアと突き当たる戸当たり対象と
を備えたエレベーターであって、
前記ドアにおける戸閉方向でいう前端部には、ベルト周回機構が設けられており、
ベルト周回機構は、かご昇降方向に離隔する上下一対のホイールと、それら一対のホイールに跨って掛け渡された第1ベルトと、
周回駆動されることで前記ドアに開閉動作を行わせる、第2ベルトと、を備え、
前記第1ベルトと、前記第2ベルトとは、同じ種類のベルトが用いられている、
エレベーター。
【請求項6】
昇降路内を移動可能に設けられたかごと、
前記かごまたは乗場に開閉可能に設けられた少なくとも一つのドアと、
全閉時、前記ドアと突き当たる戸当たり対象と
を備えたエレベーターであって、
前記ドアにおける戸閉方向でいう前端部には、ベルト周回機構が設けられており、
ベルト周回機構は、かご昇降方向に離隔する上下一対のホイールと、それら一対のホイールに跨って掛け渡された第1ベルトと、を備え、
前記ドアには、戸開方向の力を受けたことで前記ドアの反転を行うためのセーフティシューが設けられており、
前記第1ベルトは、前記セーフティシューと離れて配置されている、
エレベーター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベーターに関するものである。
【背景技術】
【0002】
エレベーターは、上下に延びる昇降路と、その中を移動可能に設けられたかごとを備えている。昇降路を画定している構造物は、複数の階を備えており、構造物には、少なくとも複数の乗場が存在する。近年のエレベーターの利用態様には、利用者が単身でエレベーターを利用するだけでなく、ペットと一緒にエレベーターを利用する態様が含まれる。
【0003】
しかしながら、ペットを連れてエレベーターを利用する場合、ペットが単独で急にかごに乗り込んだり逆にかごから降りたりし、飼い主である利用者と、ペットとが、かごと乗場とに分かれて位置し、その状態で、ドアが閉じられ、さらにかごが昇降してしまう事態が否定できない。このような状況では、ペットのリードがドアに挟まれたままとなるため、ペットおよび利用者の双方に、一時的に、引っ張り力が作用する恐れがある。よって、このような事態をいかに防止するかが重要となってきている。
【0004】
特許文献1には、エレベーターの一対のドアに対応した一対の接触板と、それら接触板自体が上下にある程度、移動できるような態様で当該接触板を支持するばねとを備えた、安全装置が開示されている。この装置では、紐等の薄い物体がドアに挟まれた状態で、かごが走行を開始すると、一対の接触板自体が上下の対応する方向に移動し、スイッチを作動させることをもって、挟み込み状態を検出し、かごを緊急停止させるようになっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−29552号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示されたような、弾性支持による上下動可能な接触板タイプの装置では、かごが昇降開始したときに生じる慣性の影響によっても、接触板に上下振動が生じる可能性があり、その分、検出精度を高めにくい問題がある。また、この影響を減少すべく、ばね定数の大きな(硬い)ばねを用いようとすると、今度は、高い弾性反力の影響で、リードを介してペットに作用する引っ張り力が増加する恐れがある。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、ペットの保護作用が高く尚且つ挟み込み発生の検出精度を高めることができる、エレベーターを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した目的を達成するため、本発明は、昇降路内を移動可能に設けられたかごと、前記かごまたは乗場に開閉可能に設けられた少なくとも一つのドアと、全閉時、前記ドアと突き当たる戸当たり対象とを備えたエレベーターであって、前記ドアにおける戸閉方向でいう前端部には、ベルト周回機構が設けられており、ベルト周回機構は、かご昇降方向に離隔する上下一対のホイールと、それら一対のホイールに跨って掛け渡された第1ベルトとを備え
、前記第1ベルトは、前記ホイールの回転軸方向にそってみて、凹凸形状の外周を有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明のエレベーターによれば、ペットの保護作用が高く尚且つ挟み込み発生の検出精度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施の形態1のエレベーターの概略を説明する図である。
【
図2】
図1のエレベーターのドアの開閉機構を説明する図である。
【
図3】本発明の特徴が現れるようにドアを乗り降り方向から示す図である。
【
図4】本発明の特徴が現れるようにドアを平面的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係るエレベーターの実施の形態について添付図面に基づいて説明する。なお、図中、同一符号は同一又は対応部分を示すものとする。
【0012】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1のエレベーターの概略を説明する図である。
図2は、
図1のエレベーターのドアの開閉機構を説明する図である。
図3は、本発明の特徴が現れるようにドアを乗り降り方向から示す図である。
図4は、本発明の特徴が現れるようにドアを平面的に示す図である。
【0013】
エレベーターは、昇降路1内を移動可能に設けられたかご3と、かご3または乗場5に開閉可能に設けられた少なくとも一つのドアと、後述するように全閉時、ドアと突き当たる戸当たり対象とを備えている。
【0014】
昇降路1は、複数階を備える建造物の上下方向すなわち高さ方向にわたって延び、複数階を貫通して延びる、空間通路である。かご3は、公知の態様で、吊るされており、図示しない巻上機によって昇降される。
【0015】
かご3における乗場5側には、かごドア7が開閉可能に設けられている。また、これと対応するように、乗場5のそれぞれの昇降路1側には、乗場ドア9が開閉可能に設けられている。
【0016】
図2の一例に示されるように、通常、かごドア7および乗場ドア9はそれぞれ、開閉方向に延びる対応するドアレール11に引っ掛けられて吊るされている。また、かごドア7および乗場ドア9のそれぞれの開閉動作は、対応するドア開閉ベルト13の動作によって実施される。ドア開閉ベルト13は、開閉方向に離隔した一対のプーリーにまたがって巻き掛けられている。ドア開閉ベルト13には、対応するかごドア7および乗場ドア9が接続されており、ドア開閉ベルト13が周回駆動されることで対応するかごドア7および乗場ドア9の開閉動作が行われる。なお、かごドア7および乗場ドア9の支持機構および開閉機構ならびにそれらの動作は、公知の態様である。また、
図2は、ドアの開閉機構を示すために、実際にはほぼ平行に向き合っている面を、大きな角度を持たせて開いて見せている図となっている。
【0017】
本発明では、かごドアまたは乗場ドアの何れかにおける戸閉方向でいう前端部には、ベルト周回機構が設けられている。実施の形態1では、両開きタイプの一対のかごドア7の一方に、ベルト周回機構15が設けられており、そのドア開閉ベルト13が設けられたかごドア7と突き当たる戸当たり対象として、一対のかごドア7の他方に、固定側バー17が設けられている。
【0018】
ベルト周回機構15は、かご昇降方向に離隔する上下一対のホイール19と、それら一対のホイール19に跨って掛け渡された検出ベルト21(第1ベルト)とを備える。
【0019】
検出ベルト21は、例えばゴム製であってもよい。また、本発明において検出ベルトの外周面は、後述する異物に対して、引っ掛かり作用や大きな摩擦力が生じる作用をもった表面状態を得られることが好ましい。一例として、本実施の形態1では、検出ベルト21として、凹凸が繰り返される外周面を有する歯付き(突起付き)ベルトが用いられる。より詳細には、検出ベルト21は、ホイール19の回転軸方向(
図3の紙面表裏方向すなわち乗り降り方向)にそってみたとき、凹凸形状が確認できる外周面を有している。また、別の捉え方をすると、検出ベルト21の外周面の凹凸は、少なくともベルト周回の前後方向に凹部と凸部とが繰り返されて並んでいる態様となっている。
【0020】
また、エレベーターは、一対の回転センサ23および制御装置25を備える。一対の回転センサ23は、それぞれ、対応するホイール19の回転量を検出している。回転センサ23は、一例であるが、パルスエンコーダまたは傾斜角センサである。
【0021】
かごドア7には、戸開方向の力を受けたことでドアの反転を行うための、いわゆるセーフティシュー27が設けられている。セーフティシュー27の構成ならびに作動態様は、公知の態様でよい。そして、本実施の形態1では、ベルト周回機構15(ドア開閉ベルト13)は、セーフティシュー27と離れて配置されている。つまり、ベルト周回機構15(ドア開閉ベルト13)は、セーフティシュー27とは別の検出機構として用意されている。
【0022】
本発明として限定されるものではないが、本実施の形態1では、第1ベルトである検出ベルト21と、第2ベルトであるドア開閉ベルト13とは、同じ種類のベルトが用いられている。すなわち、ドア開閉ベルト13用として用意されたベルトがそのまま、検出ベルト21として用いられている。
【0023】
次に、上述した本実施の形態1の動作について説明する。
セーフティシュー27に人や物品(例えば荷物または台車など)が当接していない状態で、例えば、かごと乗場との一方にいる飼い主に対してペットが他方に移動してしまった場合、セーフティシュー27による検出だけでは挟み込みが検出されない事態が生じ得る。
【0024】
具体的に
図3を参照して説明する。検出ベルト21と固定側バー17との間に、ペットのリード31等、紐状または帯状などの可撓体が挟まれ、その状態で、かご3が昇降する場合を想定する。より詳細には、飼い主とペットとがかご3内に乗り込んだ後、飼い主がかご3内にいて、ドアが閉まる直前に、元の乗場5にペットだけが戻ってしまい、その状態で、ドアが閉まり、かご3が上昇した場合を想定する。この場合、ペットは元の乗場5にいるため、リード31は、矢印Lで示されるように、かご3から見ると下降するように移動する。
【0025】
ここで、検出ベルト21の外周面には凹凸が設けられており、リード31がその凹凸に引っ掛かるので、リード31の下降に伴い、検出ベルト21も、矢印Bで示されるように、従動される。この従動による検出ベルト21の周回運動により、巻き掛けられている一対のホイール19もまた、従動される。さらに、このホイール19の従動は、回転センサ23によってセンシングされている。
【0026】
制御装置25は、少なくとも一方の回転センサ23から検出されたホイール19の回転量が閾値を超えたとき、ドアとその戸当たり対象との間に異物があり、その異物が検出ベルト21を従動させているものとして判断し、すなわち、挟み込みが発生しているものと判断し、かごの昇降の停止処理を開始させる。また、制御装置25は、一対の回転センサ23から検出された一対のホイール19の回転量の差が予め決められた値を超えたとき、回転センサ23の少なくともの一方に不具合が発生しているものと判断する。
【0027】
以上のように構成された本実施の形態1によれば、次のような優れた利点が得られている。上述したように、本実施の形態1では、ベルト周回機構と固定側バーとの間に、リードのような紐状、帯状等の比較的可撓性のある異物が挟み込まれた状態でかごが昇降すると、ドア開閉ベルトおよびホイールが従動されることで、挟み込みの検出がなされる。ここで、弾性支持による上下動可能な接触板タイプの装置では、かごが昇降開始したときに生じる慣性の影響によっても、接触板に上下振動が生じる可能性があり、その分、検出精度を高めにくい問題がある。また、この影響を減少すべく、ばね定数の大きな(硬い)ばねを用いようとすると、今度は、高い弾性反力の影響で、リードを介してペットに作用する引っ張り力が増加する恐れがある。これに対して、本実施の形態1では、検出ベルト自体が周回移動できるだけで、それを支持するホイールの回転軸や検出ベルト全体は、ドアに対して上下方向に移動しない。このため、かごの昇降において避けることができない慣性の存在があっても、検出精度が悪影響を受けることなく、高い検出精度を維持することができる。また、本実施の形態1では、ドア開閉ベルトが自在に周回移動するので、弾性支持ほどの反力が紐を介してペットに作用しない。また、挟んだまま、かごが昇降しても、ペットに大きな力が作用しないで済む猶予範囲は、ドアの全高すなわちそれに近いベルトの直線延長距離分は稼げる。よって、かなりの大きな範囲にわたって、ペットに大きな力が作用しないで済む猶予が確保できる。以上より、本実施の形態1によれば、ペットの保護作用が高く尚且つ挟み込み発生の検出精度を高めることができる。
【0028】
また、本実施の形態1では、少なくとも一方の回転センサから検出されたホイールの回転量が閾値を超えたときに、挟み込みの発生を認定するので、何らかの要因でドア開閉ベルトが多少、動かされてしまっただけでは、誤って挟み込みの発生と判断される可能性が極めて低くなっている利点がある。これによっても、検出精度を高くすることを容易にしている。
【0029】
また、上述したように、ペットに大きな力が作用しないで済む猶予範囲が、ドアの全高に近いベルトの直線延長距離分は稼げる。すなわち、このようにペットに大きな力が作用しないで済む猶予範囲が長いということは、挟み込みが確認されてから緩停止させても十分に間に合う制御が採用できる利点もある。逆に、弾性支持のタイプでは、いったん、挟み込みが検出された状態ではすぐにでも停止させないとペットに大きな力が作用する恐れがあり、必然的に急停止制御を行う必要性が高い。言い換えると、本実施の形態1では、ペットに優しい制御であるだけでなく搭乗者である人にも優しい制御を採用して、ペットを守ることができる。
【0030】
さらに、一対のホイールのそれぞれに回転センサを設け、一対の回転センサの出力を利用する場合、一方のセンサが故障していたとしても、挟み込みの発生は、問題なく検出することができ、さらに、挟み込み発生の処理をしつつ、回転センサの故障を報知することもでき、故障状態が長く放置されるのを防止することができ、より安全な状態を確保することができる。
【0031】
さらに、回転センサとして、パルスエンコーダまたは傾斜角センサが用いられている場合、既存のエレベーターでよく採用されているドアの開閉速度センサとしてのパルスエンコーダや、はかりセンサとしての傾斜角センサを、上記回転センサとしても用いることができ、回転センサ専用の要素を設計しなおす必要がなくなる。
【0032】
さらに、ベルト周回機構に用いられる検出ベルトは、既存のエレベーターでよく採用されているドア開閉ベルトを用いることができ、ベルト周回機構専用の要素を設計しなおす必要がなくなる。
【0033】
さらに、本実施の形態1では、セーフティシューと、ベルト周回機構とは、別々の要素として用意されており、すなわち、人の挟み込みと、紐状の異物の挟み込みとが個別に検出されるようになっており、それぞれが挟み込み対象に応じて好適な設計・保守のもと、最大限に機能が確保されるように維持しやすい利点がある。
【0034】
以上、好ましい実施の形態を参照して本発明の内容を具体的に説明したが、本発明の基本的技術思想及び教示に基づいて、当業者であれば、種々の改変態様を採り得ることは自明である。
【0035】
例えば、上述した実施の形態では、ベルト周回機構における一対のホイールに対応して、一対の回転センサが設けられ、これらの回転センサが、挟み込みの発生と、回転センサの不具合の発生とに関する処理に活用される態様を記載していた。しかしながら、本発明は、このような実施態様に限定されるものではなく、ベルト周回機構における一対のホイールの一方にのみ回転センサが設けられた構成において、または、ベルト周回機構における一対のホイールに対応して、一対の回転センサが設けられた構成において、単に、一つの回転センサから検出されたホイールの回転量が閾値を超えたときに、挟み込みの発生に関する処理を進めるように構成されていてもよい。
【0036】
また、上述した実施の形態は、本発明の一例として、両開きタイプのかごドアに、ベルト周回機構を設けたものとして説明した。しかしながら、本発明は、これに限定されるものではなく、乗場ドアに、ベルト周回機構を設けたものとして実施することもでき、さらに、片開きタイプのかごドアまたは乗場ドアに、ベルト周回機構を設けたものとして実施することもできる。なお、片開きタイプに関しては、いわゆる戸当たり部材が、ドアと突き当たる戸当たり対象に相当するものとなる。
【符号の説明】
【0037】
1 昇降路、3 かご、5 乗場、7 かごドア、9 乗場ドア、13 ドア開閉ベルト、15 ベルト周回機構、19 ホイール、21 検出ベルト、23 回転センサ、25 制御装置、27 セーフティシュー。