(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
(実施形態1)
図1を参照して、実施形態1の工作機械10は、架台51、移動装置50、主軸装置11、ATC(自動工具交換装置)37、及び制御装置40を含む。
【0010】
移動装置50は、X軸移動装置52、移動コラム53、Y軸移動装置54、Yサドル55、Z軸移動装置56及びZサドル57を含む。X軸移動装置52は架台51に設けられている。移動コラム53は、X軸移動装置52上に設けられ、左右方向(X軸方向)に移動できる。Y軸移動装置54は、移動コラム53上に設けられる。Yサドル55は、Y軸移動装置54上に設けられ、上下方向(Y軸方向)に移動できる。Z軸移動装置56は、Yサドル55上に設けられる。Zサドル57は、Z軸移動装置56上に設けられる。Zサドル57は、前後方向(Z軸方向)に移動できる。X軸移動装置52、Y軸移動装置54及びZ軸移動装置56は、いわゆるボールねじ機構の他、リニアモータ機構が利用できる。
【0011】
主軸装置11は、Zサドル57上に設けられる。主軸装置11は、移動装置50によってXYZ方向に自由に移動できる。なお、上述の形態によれば、主軸装置11がXYZ方向に移動できるが、いくつかの移動軸が加工テーブルを移動できるように構成しても良い。また、軸名称XYZは便宜的なものであり、変更できる。
【0012】
主軸装置11は、主軸頭12、主軸15、ドローバー17、皿ばね25、コレット14、スライダー21、ピン20、駆動シリンダ19及び主軸モータ25を含む。
図1の軸線3の上側はドローバー17が引かれた状態を、下側はドローバー17が押し出された状態を示す。主軸頭12は、中空円筒状をなす。主軸15は、ベアリング13により、主軸頭12の内部に軸線3を中心に回転可能に支持される。主軸15は中空円筒状をなす。主軸15は、工具1(工具1B,工具1Cの総称)を装着できる主軸穴15aを先端部に有する。主軸15の内部には、ドローバー17及び皿ばね25が設けられている。ドローバー17は軸線3の方向に摺動可能に設けられている。皿ばね25は、ドローバー17を主軸15の基端方向に付勢する。ドローバー17の先端部にはコレット14が設けられている。主軸15の内部かつドローバー17の基端部にはスライダー21が設けられている。スライダー21は、主軸15の内部を摺動できる。スライダー21はドローバー17と一体となって軸線3の方向に前後に移動する。スライダー21には、軸線3と直交する方向に貫通穴21aが設けられる。貫通穴21aにはピン20が設けられる。主軸15には、ピン20の移動量に合わせて軸線3の方向に長穴15bが設けられている。そして、ピン20は、長穴15bを貫通して主軸15から突き出すように設けられている。スライダー21の基端部に、小径円筒状の摺動部21bが設けられる。
【0013】
主軸モータ25は、主軸頭12の基端部に設けられる。主軸モータ25の出力軸25aの先端には、軸線3に沿って穴25bが設けられる。出力軸25aと主軸15とは、カップリング24で結合される。摺動部21bは、穴25bに摺動する。スライダー21は、その外面が主軸15の内面と摺動でき、基端部に設けられた摺動部21bが穴25b内を摺動できるため、その振れを抑制できる。
【0014】
駆動シリンダ19は、主軸頭12の基端部の内部に設けられる。駆動シリンダ19は、シリンダ19a及びピストン19bを含む。シリンダ19aは、ケーシング19a1、エンドブロック19a2を含む。ケーシング19a1は中空円筒状をなし、基端側に貫通穴を持つ。エンドブロック19a2はケーシング19a1の先端部を囲み、先端側に貫通穴を持つ。ケーシング19a1とエンドブロック19a2が形成する内部の空間にピストン19bが設けられている。ピストン19bは中空円筒状をなす。主軸15はピストン19bを貫通している。ピストン19bの両端部は、ケーシング19a1とエンドブロック19a2の両端に設けられた貫通穴に摺動する。ピストン19bの中央部は、ケーシング19a1の内部に摺動する大径部をなし、シリンダ19aの内部を第1室19cと第2室19dに区画する。ピストン19bの内部の先端側には、収納室19eが形成されている。収納室19eは、ピン20が回転できる大きさを持つ。ドローバー17が基端方向にひかれているときは、ピン20は収納室19eと接触しない。ピストン19bが先端方向に移動すると、ピン20が収納室19eの基端側の端面19fと接触する。端面19fは、ピン20を軸線3の先端方向に押し出せる構成となっている。駆動シリンダ19は、ピストン19bを進退させてドローバー17を駆動する。
【0015】
ピストン19bには、ドグ23が設けられる。ドグ23は、軸線3と垂直な方向に延びる板状を成す。主軸頭12には、ドグ23に対向するように、変位センサ29が設けられる。変位センサ29は、軸線3の方向におけるピストン19bの変位量Pを測定する。変位センサ29は、0.05ないし0.2mmの分解能を有することが望ましい。変位センサ29は、検出した変位量Pを指令値演算手段42a及び変位監視手段42bへ送る(
図3参照)。
【0016】
主軸装置11は、更に、タンク31、ポンプ33及び方向切替え弁35を含む。タンク31、ポンプ33及び方向切替え弁35は駆動シリンダ19の近傍、特に主軸頭12又はZサドル57に固定できる。タンク31は作動媒体である作動油Fを貯留する。ポンプ33はタンク31に貯留された作動油Fを昇圧する。ポンプ33としてピストンポンプ、ギアポンプが利用できる。方向切替え弁35は、スプリングバック式の2位置2ポート電磁弁を利用できる。方向切替え弁35は、昇圧された作動油Fを第1室19c又は第2室19dの一方に送る。そして、第1室19c又は第2室19dの他方から作動油Fをタンク31へ戻す。ポンプ33及び方向切替え弁35が駆動シリンダ19の近傍に設けられるため、配管34の長さを短縮できる。このため、制御装置40からアンクランプ又はクランプ指令が発せられてから駆動シリンダ19が移動するまでの時間を短縮できる。
【0017】
ピストン19bが基端方向に移動しているときは、ドローバー17は皿ばね25により、基端方向に付勢される。このときに、コレット14は、工具1のプルスタッド1aを掴む。他方、ピストン19bが先端方向に移動し、ドローバー17を先端方向に押し出すと、コレット14はプルスタッド1aを離す。ドローバー17はプルスタッド1aをけり出せる。
【0018】
ATC37は、架台51に設けられている。ATC37は、モータ37a、カム装置37q及びATCアーム(工具交換アーム)37hを含む。モータ37aは、サーボモータ、ステッピングモータその他の同期モータである。カム装置37qは、昇降アーム37b、平面溝カム37c、ローラギアカム37d、タレット37e、案内ローラ37f、カムフォロア37k及びシャフト37gを含む。カムフォロア37kは昇降アーム37bの中央部に設けられている。カムフォロア37kは平面溝カム37cのカム溝に係合する。昇降アーム37bは案内ローラ37fを昇降する。平面溝カム37c及びローラギアカム37dはモータ37aに直結される。平面溝カム37c及びローラギアカム37dは一体に形成できる。ローラギアカム37dのカム溝にはタレット37eが噛み込む。シャフト37gはタレット37eと共に旋回でき、タレット37eに摺動可能に設けられる。ATCアーム37hはシャフト37gの先端に固定されている。ATCアーム37hは2つのグリップ37pを有している。モータ37aは、平面溝カム37c及びローラギアカム37dを同時に回転させるため、ATCアーム37hの昇降動作が旋回動作に連動する。
【0019】
ATC37は更に、レゾルバ、エンコーダその他の位相検出装置37mを有しても良い。位相検出装置37mは、モータ37a、平面溝カム37c又はローラギアカム37dの位相θを検出する。位相検出装置37mはモータ37aに内蔵できる。
【0020】
図2に従って、工作機械10の動作を説明する。
図2は、位相θに対するATCアーム37hの旋回角φを示すグラフ69、位相θに対するATCアーム37hの高さHを示すグラフ71、位相θに対する変位量Pを示すグラフ73、位相θに対するドローバー17の位置Dを示すグラフ75を含む。旋回角φは、ATCアーム37hの初期位置を原点とし、主軸穴15aに向かう方向を正とする。高さHは、工具1を把持する高さH1を原点とし、主軸15から離れる方向を正とする。変位量Pは、ピストン19bの基端側の移動端を原点とし、先端側を正とする。位置Dは、主軸穴15aに工具1が装着されていないときのドローバー17の基端側の移動端を原点とし、先端側を正とする。
【0021】
グラフ69に示すように、モータ37aが1回転する間に、旋回角φは0度から90度、270度、180度と変化する。グラフ73に示すように、高さHは、H1からH2まで移動し、H1へ戻る。同期区間A(位相θは5bないし5d)および同期区間B(位相θは5kないし5m)において、位相θは変位量Pに同期する。
【0022】
主として
図3を参照して、制御装置40について説明する。制御装置40は、記憶装置41、演算装置42、ドライバ44、シリンダ駆動手段45及びポンプ駆動手段46を含む。
【0023】
記憶装置41は、ストレージ又はメインメモリを含む。記憶装置41は、指令関数41a、最高速度41b及び最高加速度41cを記憶する。記憶装置41は更に、工具表41f、現在工具41d、次工具41e、許容速度関数41g及び許容加速度関数41hを記憶しても良い。
【0024】
指令関数41aは、更にアンクランプ関数41a1及びクランプ関数41a2を含む。
図4を参照して、アンクランプ関数41a1は、同期区間Aにおける、変位量Pに対する位相θの指令値θ0を示す。アンクランプ関数41a1は、変位量PがP0からP2に変化する間に、指令値θ0が5bから位相5dの間を直線的に変化する。
【0025】
図5を参照して、クランプ関数41a2は、同期区間Bにおける、変位量Pに対する指令値θ0を示す。クランプ関数41a2は、変位量PがP1からP2に変化する間に、指令値θ0が位相5mから位相5kの間を直線的に変化する。
【0026】
指令関数41aは、更に、閾値T1,T2若しくはT3を含んでもよい。閾値T1は、変位量Pの最小値P0と同じか、わずかに最小値を上回るように設けられる。閾値T2は、変位量Pの中間地点であり、変位量P1と同じ値である。ここで、変位量P1は、ピストン19bが先端方向に移動するときに、ピストン19bとピン20が接触する位置に対応する変位量Pをいう。閾値T3は、変位量Pの最大値P2と同じか、最大値P2より若干小さい値である。
【0027】
最高速度41b、最高加速度41cは、位相θを複数の区間(例えば区間E1,E2,E3)に区分して、区間毎に設定できる。
【0028】
図6に示すように、工具表41fは、工具番号41f1に対する工具イナーシャ41f2を示す表である。
【0029】
現在工具41dは、工具交換開始時点において主軸穴15aに装着されている工具1Bの工具番号である。次工具41eは、ATC37が次に主軸穴15aに装着しようとする工具1Cの工具番号である。
【0030】
図7に示すように、許容速度関数41gは、ATCアーム37hが把持する保持イナーシャIに対するモータ37aの許容速度VAの関数(相関関係)としたものである。許容加速度関数41hは、保持イナーシャIに対するモータ37aの許容加速度AAを関数(相関関係)としたものである。
【0031】
演算装置42は、指令値演算手段42a及び変位監視手段42bを含む。演算装置42は、更にイナーシャ演算手段42cおよび許容速度演算手段42dを含んでも良い。
【0032】
指令値演算手段42aは、変位センサ29から変位量Pを受信する。同期区間A、Bにおいては、指令値演算手段42aは、変位量P及び指令関数41aに基づいてモータ37aの指令値を演算する。
【0033】
区間Eは、変位量Pと位相θが同期しない。区間Eは、区間E1(位相θ=5a〜5b)、区間E2(位相θ=5d〜5k)及び区間E3(位相θ=5m〜5p)を含む。区間Eにおいては、指令値演算手段42aは、最高速度41b及び最高加速度41cでモータ37aを制御するように、指令値θ0を演算できる。
【0034】
指令値演算手段42aは指令値θ0をドライバ44へ送る。また、指令値演算手段42aは、シリンダ駆動手段45、ポンプ駆動手段46に動作指令を発する。
【0035】
変位監視手段42bは、変位センサ29から変位量Pを受信し、ピストン19bが移動端又は中間位置に到達したか否かを判断する。変位監視手段42bは、変位量Pが閾値T1以下であったときにピストン19bが後退端に到達したと判断し、閾値T3以上であったときにピストン19bが前進端に到達したと判断する。変位監視手段42bは、変位量Pが閾値T2に到達したときに、ピストン19bが中間位置に到達したと判断する。
【0036】
イナーシャ演算手段42cは、ATCアーム37hが保持する工具1の工具イナーシャ41f2の総和を保持イナーシャIとして演算する。グリップ37pが2つの場合、イナーシャ演算手段42cは、現在工具41dの工具イナーシャ41f2と、次工具41eの工具イナーシャ41f2を工具表41fから読み出す。イナーシャ演算手段42cは、読み出した工具イナーシャ41f2の和を保持イナーシャIとして演算する。
【0037】
許容速度演算手段42dは、保持イナーシャI及び許容速度関数(相関関係)41gに基づいて保持イナーシャIに相当する許容速度VAを演算する。許容速度演算手段42dは、保持イナーシャI及び許容加速度関数41hに基づいて保持イナーシャIに相当する許容加速度AAを演算できる。
【0038】
ドライバ44は、公知のものである。ドライバ44は、指令値θ0に基づき、指令パルスを生成してモータ37aを駆動する。ドライバ44は、フィードバック制御手段44aを有してもよい。フィードバック制御手段44aは、位相検出装置37mが検出した位相θをフィードバックして、指令値θ0と位相θとの偏差を0にするように、モータ37aを制御する。
【0039】
シリンダ駆動手段45は、指令値演算手段42aからの指令に基づいて、方向切替え弁35を切り替える。
【0040】
ポンプ駆動手段46は、指令値演算手段42aからの指令に基づいて、ポンプ33を回転し、又は停止する。
【0041】
主に
図2、
図3及び
図8に従って、工作機械10の工具交換の手順を説明する。
【0042】
制御装置40は、ポンプ33を駆動する(S1)。制御装置40は、モータ37aを位相5bまで回転させる(S2)。シリンダ駆動手段45は方向切替え弁35を切り替え、ピストン19bを先端方向に押し出す(S3)。変位センサ29は、変位量Pを検知する(S4)。指令値演算手段42aは、変位量P及び指令関数41aに基づいて指令値θ0を演算する(S5)。ドライバ44は、指令値θ0に基づいてモータ37aを回転する(S6)。ピストン19bが前進端に到達した場合、ステップS8へ進む。異なる場合、ステップS4を繰り返し実行する(S7)。続いてポンプ駆動手段46は、ポンプ33を停止できる(S8)。制御装置40は、位相5kまでモータ37aを回転させる(S9)。ポンプ駆動手段46は、再びポンプ33を駆動できる(S10)。シリンダ駆動手段45は方向切替え弁35を切り替え、ピストン19bを基端方向に引き込む(S11)。変位センサ29は、変位量Pを検知する(S12)。指令値演算手段42aは、変位量P及び指令関数41aに基づいて指令値θ0を演算する(S13)。ドライバ44は、指令値θ0に基づいてモータ37aを回転する(S14)。ピストン19bが中間位置に到達した場合、ステップS16へ進む。異なる場合、ステップS12を繰り返し実行する(S15)。制御装置40は、位相5pまでモータ37aを回転する(S16)。ポンプ駆動手段46はポンプ33を停止する(S17)。
【0043】
各ステップを詳細に説明する。ステップS1では、指令値演算手段42aがポンプ駆動指令をポンプ駆動手段46に発する。これを受けてポンプ駆動手段46がポンプ33を駆動する。ポンプ33は、タンク31から作動油Fをくみ上げ、昇圧する。
【0044】
ステップS2では、制御装置40は、最高速度41b及び最高加速度41cでモータ37aを位相5bまで位置決めする。すると、ローラギアカム37dにタレット37eが追従して、ATCアーム37hが旋回を開始する。区間E1において、ATCアーム37hは、工具1を把持していないため、モータ37aは、最高速度41b及び最高加速度41cで回転できる。
【0045】
ステップS3について説明する。指令値演算手段42aは、アンクランプ指令をシリンダ駆動手段45に発する。シリンダ駆動手段45は、方向切替え弁35を切り替える。すると作動油Fが第2室19dに流入する。ピストン19bは、皿ばね25の付勢力に抗して先端方向に移動する。
【0046】
ステップS4では、変位センサ29は、ピストン19bの変位量Pを検出する。
【0047】
ステップS5について説明する。指令値演算手段42aは、変位センサ29から変位量Pを受け取り、記憶装置41からアンクランプ関数41a1を読み出す。指令値演算手段42aは、変位量P及びアンクランプ関数41a1に基づいて、指令値θ0を演算する。指令値θ0は、変位量Pの値に対するアンクランプ関数41a1の値に決められる。
【0048】
ステップS6について説明する。ドライバ44は、指令値θ0に従ってモータ37aを回転させる。位相検出装置37mは、検知した位相θをフィードバック制御手段44aに送る。フィードバック制御手段44aは、位相θと指令値θ0との偏差を0にするようにモータ37aを回転させる。
【0049】
ステップS7について説明する。変位監視手段42bは変位量Pを監視する。変位監視手段42bは、変位量Pが閾値T3以上になったときに、指令値演算手段42aに前進端到達信号を発する。変位量Pが閾値T3以上になったときに、ステップS8へ進む。それ以外のときは、ステップS4へ戻る。変位量PがT3未満の間、ステップS4からステップS7を繰返す。
【0050】
グラフ75を参照して、変位量PがP0ないしP1の区間A1において、ピストン19bはピン20と接触しないため、ドローバー17の位置DはD0又はD1に保たれる。ここで、位置D0は工具1が主軸穴15aに装着されていない場合、位置D1は工具1が主軸穴15aに挿入されている場合における位置Dを示す。区間A1では、位相θは5bから位相(第1の位相)5cまで進む。変位量PがP1に到達してピストン19bはピン20と接触した時に、ちょうど位相θは位相5cに達し、旋回角φが90度となる。このとき、ATCアーム37hは、主軸穴15aに装着された工具1Bおよび図示しない工具ポットに装着されている工具1Cを把持する。
【0051】
変位量PがP1からP2の間の区間A2において、ドローバー17が先端側に移動する。位置Dは、D0又はD1からD2に変化する。変位量Pが最大値P2に到達する直前に、コレット14が開き、プルスタッド1aを離す。その後ドローバー17がプルスタッド1aをけり出す。工具1Bは主軸穴15aから完全に外れる。このとき、変位量Pが閾値T3に到達し、制御装置40は同期制御(ステップS4ないしステップS7)を終了する。区間A2において、位相θは位相(第1の位相)5cから位相(第2の位相)5dに変化する。この間、旋回角φは90度を、高さHはH0を保つ。即ち、区間A2はいわゆる停留区間に該当する。区間A2の間に、グリップ37pと主軸穴15aとの間で工具1Bを受け渡す。
【0052】
ステップS8について説明する。指令値演算手段42aは、ポンプ駆動手段46にポンプ停止指令を発令できる。ポンプ駆動手段46は、ポンプ33を停止できる。
【0053】
ステップS9について説明する。制御装置40は、位相θが位相5kに到達するまでモータ37aを回転させる。区間E2において、ATCアーム37hは、工具1Bおよび工具1Cの両方を把持している。そのため、区間E2においては、区間E1,E3より最高速度41b、最高加速度41cを小さく設定できる。
【0054】
演算装置42がイナーシャ演算手段42c及び許容速度演算手段42dを含むとき、指令値演算手段42aは、最高速度41b及び最高加速度41cに替えて、許容速度VAおよび許容加速度AAを用いて区間Eにおける指令値θ0を演算できる。このとき、指令値演算手段42aは、区間E2において許容速度VA又は許容加速度AAを用い、区間E1及び区間E3において最高速度41b又は最高加速度41cを用いても良い。
【0055】
最高速度41bおよび最高加速度41cのみを利用する場合、大きなイナーシャをもつ工具を把持した状態で駆動できるよう、余裕を持ったパラメータ設計をする必要がある。許容速度VA及び許容加速度AAを用いれば、交換しようとする工具のイナーシャに応じた最適な速度を設定できるため、ステップS9に要する時間を短縮できる。
【0056】
位相θが位相5dないし5eにおいては、旋回角φは90度に保たれたまま、ATCアーム37hの高さHがH2まで上昇する。位相5eないし5fでは、高さH=H2のままでATCアーム37hが旋回する。そして、位相5fないし5gでは、ATCアーム37hが引続き旋回しながら降下する。位相5gでATCアーム37hの旋回角φが270度に達し、その後、ATCアーム37hが旋回角φを保ったまま下降する。位相5kで高さH=H1に到達する。つまり位相5kで工具1Cが主軸穴15aの装着位置に到達する。同時に工具1Bが工具ポット(不図示)に装着される。
【0057】
ステップS10はステップS1と同様である。位相θが5kに到達する直前にステップS10の実行が終了するように、ステップS10の実行開始のタイミングを調整できる。ステップS8を省く場合、ステップS10は省く。
【0058】
ステップS11について説明する。指令値演算手段42aは、クランプ指令をシリンダ駆動手段45に発する。シリンダ駆動手段45は、方向切替え弁35を切り替える。すると作動油Fが第1室19cに流入する。ピストン19bは、駆動シリンダ19内を基端方向に移動する。
【0059】
ステップS12はステップS4と同様である。
【0060】
ステップS13について説明する。指令値演算手段42aは、変位センサ29から変位量Pを受け取り、記憶装置41からクランプ関数41a2を読み出す。指令値演算手段42aは、変位量P及びクランプ関数41a2に基づいて、指令値θ0を演算する。指令値θ0は、変位量Pの値に対するクランプ関数41a2の値に決められる。
【0061】
ステップS14はステップS6と同様である。
【0062】
ステップS15について説明する。変位監視手段42bは、変位量Pを監視する。変位監視手段42bは、変位量Pが閾値T2以下になったときに、指令値演算手段42aに中間位置到達信号を発信する。変位量Pが閾値T2より大きいとき、ステップS12へ戻る。ステップS12ないしステップS15は変位量Pが閾値T2に到達するまで繰り返し実行される。変位量Pが閾値T2以下になったときにステップS16へ進む。
【0063】
ステップS12ないしステップS15において、ピストン19bが移動を開始すると、同時にドローバー17が後退を開始する。ドローバー17の後退開始の直後にコレット14がプルスタッド1aを掴む。そして、ドローバー17の後退とともに、工具1Cが主軸穴15aに密着していく。そして、変位量PがP1に到達したときに、ピン20からピストン19bが離れる。このとき、工具1Cは完全に主軸穴15aに装着されている。変位量PがP2からP1に変化する間、位相θは変位量Pに同期して位相5k(第3の位相)から位相5m(第4の位相)まで変化する。同期区間Bにおいて、旋回角φは270度、高さHはH1に保たれる。同期区間Bは、停留区間に相当する。同期区間Bの間に、グリップ37pと主軸穴15aとの間で工具1Cを受け渡す。
【0064】
なお、ステップS15において、閾値T2に替えて、コレット14がプルスタッド1aをチャックする位置に対応する変位量Pを閾値として利用できる。
【0065】
ステップS16について説明する。制御装置40は、最高速度41b及び最高加速度41cでモータ37aを位相5pまで回転させる。高さH=H1を保ったまま、旋回角φは180°まで戻る。位相5mにおいて、ATCアーム37hが工具1B及び工具1Cを離す。区間E3においてATCアーム37hは工具1を把持していないため、モータ37aは、最高速度41bおよび最高加速度41cで運転できる。
【0066】
区間E3において、駆動シリンダ19は、更に移動を続ける。区間E3では、変位量PがP1ないしP0を示す。ピストン19bがピン20から離れているため、ドローバー17は移動しない。そのため、位相θが変位量Pに連動する必要はない。
【0067】
ステップS17について説明する。指令値演算手段42aは、ポンプ駆動手段46にポンプ停止信号を発する。ポンプ駆動手段46は、ポンプ33を停止する。ステップS17は、ステップ16の実行中に実行されても良い。例えば、ステップS17は、変位監視手段42bは、変位量Pが閾値T1以下になった後に実行できる。全工程が完了したときに、現在工具41dを次工具41eに置き換える。
【0068】
本実施形態の工作機械10によれば、ATCの動作において待ち時間を大幅に省ける。即ち、ATCアーム37hは、動作開始後に最速で旋回する。ATCアーム37hが旋回する途中で駆動シリンダ19の移動を開始する。駆動シリンダ19の移動中は、変位量Pに位相θが同期する。ドローバー17が移動し始めたと同時に、ATCアーム37hが工具1Bを把持する。変位量Pと位相θが同期しているため、工具1Bが主軸穴15aから外れたと同時に、位相θはATCアーム37hが昇降を開始できる値になっている。そして、モータ37aを回転させると、その直後にATCアーム37hは最適速度で昇降、旋回を行う。ATCアーム37hが工具1Cを主軸穴15aの装着位置に移動した直後にドローバー17の引き込みを行う。駆動シリンダ19の移動中は、変位量Pに位相θが同期する。そのため、ドローバー17が完全に工具1Cを装着したと同時に、位相θはATCアーム37hの旋回角φを戻せる値になっている。その後、ATCアーム37hが最速で終了位置に戻される。
【0069】
工作機械10によれば、ATC37と主軸装置11との動作をリンク、カム、油圧回路等を用いて連動しないため、主軸装置11及びATC37の構造を簡略化できる。そのため、主軸装置11、移動装置50のダウンサイジング及び移動速度向上が図れる。また、ピストン19bの変位量Pに同期してATC37を運転するため、待ち時間を短縮できる。
【0070】
工作機械10によれば、ATC37と主軸装置11の動作が連動する。そのため駆動シリンダ19の移動の速度が変化しても、それに応じてモータ37aの位相が追従し、ピストン19bが止まったときは、モータ37aは停止する。ピストン19bの移動状態の変化によっては、ATC37に深刻な問題が生じない。
【0071】
(変形例)
図9を参照して、変形例を説明する。本変形例では、記憶装置41は、保持イナーシャIと許容速度VA及び許容加速度AAの相関関係として、複数のイナーシャに対する許容速度VA及び許容加速度AAを示す許容速度表61及び許容加速度表(不図示)を記憶できる。
【0072】
許容速度演算手段42dは、保持イナーシャI以上の直近に表示された保持イナーシャ61a2に対応する許容速度61b2を許容速度VAとして利用できる。許容速度演算手段42dは、保持イナーシャIを挟み表示される保持イナーシャ61a1、61a2に対応する許容速度61b1、61b2から比例演算によって許容速度VAを求めても良い。
【0073】
許容加速度表は許容速度表61と同様であり、許容加速度AAの演算方法は許容速度VAの演算方法と同様である。
【0074】
(実施形態2)
主として
図12及び
図13に従って、実施形態2について説明する。本実施形態は、アンクランプ関数41a1、クランプ関数41a2、アンクランプ時における同期開始の位相およびクランプ時における同期終了の位相が異なる他、第1実施形態と同じである。以下、第1実施形態と異なる部分について詳細に説明する。第1実施形態と同じ部分については、同一の符号を付けて説明を省略する。
【0075】
図10に示すように、アンクランプ関数41a1は、変位量PがP0からP2に変化する間に、指令値θ0が位相(第1の位相)6bから位相(第2の位相)6dに直線的に変化する。
【0076】
図11に示すように、クランプ関数41a2は、変位量PがP0からP2に変化する間に、指令値θ0が位相(第4の位相)6nから位相(第3の位相)6kに直線的に変化する。
【0077】
図12及び
図13を参照して、ステップS22について説明する。制御装置40は、位相(第1の位相)6bに到達するまでモータ37aを回転する。位相6bにおいて、変位角φは90度となっている。
【0078】
ステップS27において、変位監視手段42bは、変位量Pが閾値T3以上になったときに、指令値演算手段42aに前進端到達信号を発する。変位量Pが閾値T3以上になったときに、ステップ8が実行される。それまではステップS4ないしステップS27が繰り返し実行される。変位量Pに対するモータ37aの同期制御は、ピストン19bが移動を開始してから、ドローバー17がプルスタッド1aをけり出すまで行われる。同期区間Cにおいて、モータ37aの位相θは、位相6bないし位相6dの区間で変化する。同期区間Cの間、旋回角φは90度に、高さHはH1に保たれる。つまり同期区間Cは停留区間に相当する。
【0079】
ステップS29において、制御装置40は、位相(第3の位相)6kに到達するまでモータ37aを回転させる。位相6kにおいて、変位角φ=270度、高さH=H0である。ステップS29終了時には、工具1Bは
工具ポットに装着され、工具1Cは主軸穴15aに挿入される。
【0080】
ステップS35において、変位監視手段42bは、変位量Pが閾値T1以下になったときに、指令値演算手段42aに後退端到達信号を発する。変位量Pが閾値T1以下になったときに、ステップS16が実行される。それまではステップS12ないしステップS35が繰り返し実行される。変位量Pに対するモータ37aの同期制御は、ドローバー17が移動を完了するまで行われる。同期区間Dにおいて、モータ37aの位相は、位相6k(第3の位相)ないし位相(第4の位相)6nの区間で変化する。同期区間Dの間、旋回角φは180度に、高さHはH1に保たれる。つまり同期区間Dは停留区間に一致する。
【0081】
本実施形態によれば、停留区間に相当する同期区間C、D内で駆動シリンダ19の移動が完了するため、制御が容易である。
【0082】
なお、本発明は前述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項の全てが本発明の対象となる。前記実施形態は、好適な例を示したものであるが、当業者ならば、本明細書に開示の内容から、各種の代替例、修正例、変形例あるいは改良例を実現することができ、これらは添付の特許請求の範囲に記載された技術的範囲に含まれる。例えば、ATCアーム37hは、星形に配置された3つ以上のグリップ37pを有する、いわゆるスパイダーアームを利用できる。この場合、位相θに対する各停留範囲A,B、及び終了位置における旋回角φをグリップ37pの数量に応じて変更できる。