(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1のガスと前記第2のガスとがセルスタック内で混合されないように遮断するシール部材を備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の固体酸化物形燃料電池のセルスタック。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
SOFCには、家庭用発電システムなど様々な用途があるが、エンジン燃料を改質して電池燃料として容易に用いることができるので、自動車等の車両に搭載される電源としての用途が見込まれている。この場合、更なる小型化、高出力密度化が要求されるが、上記した構造のSOFCは、単セルの集積構造を形成するために、セパレータやインターコネクタが必要となり、小型化が困難であり、高出力密度化も困難であった。
【0005】
そこで、本発明は、小型で出力密度が高い固体酸化物形燃料電池のセルスタック及び燃料電池モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明では、多孔質の絶縁性材料によりハニカム形状に形成され、第1のガスの流路となるとともに、絶縁層として機能する絶縁部材と、固体酸化物形燃料電池を構成する発電セルと、前記絶縁部材のハニカムセル内に、前記発電セルとの間に充填されて配置される多孔質の導電性材料からなる導電層と、多孔質の導電性材料からなり、前記ハニカムセル内にそれぞれ挿通して配置
され、長手方向に第2のガスが流通
されるとともに、前記発電セルが表面に形成される管状または柱状の集電部材と、前記導電層と電気的に接続される接続部材と、を備え、前記導電層、前記接続部材及び前記集電部材を介して、少なくとも複数個の発電セルが直列に接続されている、という技術的手段を用いる。
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、ハニカム状に形成された絶縁部材が絶縁層として作用して、セパレータやインターコネクタを用いずに発電セルを集積し、直列接続することができる。これにより、セルスタックを小型化することができ、出力密度を向上させることができる。また、セルスタックの構造強度を保持するために、安価に製造可能な絶縁部材を用いるため、製造コストを下げることができる。
【0008】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の固体酸化物形燃料電池のセルスタックにおいて、車両搭載用である、という技術的手段を用いる。
【0009】
請求項1に記載の固体酸化物形燃料電池のセルスタックは、絶縁部材を用いて発電セルを集積し、一体的なセルスタックとして形成するため、軽量かつ小型であり、振動や衝撃にも強いので、車両搭載用として好適に用いることができる。また、発電セルを直列接続して高電圧とすることで、同じ出力を得るために電流を低くすることができる。これにより、発電電流を流すハーネスを細くすることができるので、車両搭載用として好適に用いることができる。
【0010】
請求項3に記載の発明では、請求項1または請求項2に記載の固体酸化物形燃料電池のセルスタックにおいて、前記第1のガスと前記第2のガスとがセルスタック内で混合されないように遮断するシール部材を備える、という技術的手段を用いる。
【0011】
請求項3に記載の発明によれば、シール部材により、第1のガスと第2のガスとがセルスタック内で混合されないように遮断することができるセルスタックとすることができる。
【0012】
請求項4に記載の発明では、燃料電池モジュールが、請求項1ないし請求項3のいずれか1つに記載の固体酸化物形燃料電池のセルスタックを筺体内に搭載して形成される、という技術的手段を用いる。
【0013】
請求項4に記載の発明によれば、小型化することができ、出力密度を向上させることができるセルスタックを用いて燃料電池モジュールを構成するので、小型で出力密度の高い固体酸化物形燃料電池モジュールとすることができる。
【0014】
請求項5に記載の発明では、請求項4に記載の燃料電池モジュールにおいて、前記絶縁部材の側壁を連続しない第1の側壁部と第2の側壁部とに区画し、第1の側壁部に面して第1のガスが導入される第1ガス導入室と、第2の側壁部に面して第1のガスを排出する第1ガス排出室と、前記集電部材の一端に面して第2のガスが導入される第2ガス導入室と、前記集電部材の他端に面して第2のガスを排出する第2ガス排出室と、が前記筺体に区画されて形成されている、という技術的手段を用いる。
【0015】
請求項5に記載の発明のように、ガスの導入室及び排出室を形成することにより、ガス種に応じて専用のマニホールドなどを用意する必要がなく構造を簡単にすることができるので、燃料電池モジュールを小型化することができ、出力密度を向上させることができる。
【0016】
請求項6に記載の発明では、請求項4または請求項5に記載の燃料電池モジュールにおいて、前記集電部材内にヒータを内装する、という技術的手段を用いる。
【0017】
請求項6に記載の発明のように、集電部材内にヒータを備えた構成では、第2のガスを加熱して短時間で燃料電池モジュールを起動することができ、特に車両搭載用に好適なモジュールとすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の固体酸化物形燃料電池のセルスタック及び燃料電池モジュールについて
図1、2を参照して説明する。ここで、各図における各構成部材は説明のため模式的に示しており、適宜縮尺を変更している。
【0020】
本発明のセルスタック1は、絶縁部材10、発電セル20、集電部材30、導電層40、接続部材50を備える。ここで、各構成部材は、使用温度における十分な耐熱性を有している。また、発電セル20と熱膨張に大きな差が生じない組み合わせが好ましい。
【0021】
絶縁部材10は、多孔質の絶縁性材料からなり、外形が直方体状のハニカム形状に形成されている。絶縁部材10は、発電セル20を電気的に絶縁状態で区画して配置し絶縁層として作用するとともに、第1のガスの流路として作用する。本実施形態では、第1のガスは燃料ガスであり、例えば水素を用いる。
【0022】
絶縁部材10は、ガス流路として通気抵抗を小さくするとともに、構造体としての信頼性が高い強度を維持するために、気孔率20−40%が好ましく、更に好ましくは25−30%である。
図1では、絶縁部材10のハニカムセル10aのセル構造は、縦2セル、横2セルの計4セルとしたが、目標電圧等に応じて適宜設定することができる。
【0023】
本実施形態では、発電セル20の固体電解質層22との熱膨張差を小さくする観点から、絶縁部材10の材質としてジルコニアを採用するが、これに限定されるものではなく、例えば、アルミナやコーディエライトなどの多孔質セラミックスを用いることもできる。ここで、絶縁部材10の外形は直方体状としたが、円柱状など他の形状を採用することもできる。また、ハニカムセル10aのセル形状は、矩形状としたが、三角形、六角形など各種形状を採用することができる。
【0024】
発電セル20は、公知の固体酸化物形燃料電池(SOFC)の構成を備えており、集電部材30と導電層40との間に電気的に接続されて構成されている。具体的には、導電層40側から集電部材30側に向かって、燃料極21、固体電解質層22、反応防止層23、空気極24がこの順に積層形成されている。
【0025】
本実施形態では、固体電解質層22としてイットリア安定化ジルコニア(YSZ)を採用し、好適な組み合わせとして、燃料極21としてNi−YSZサーメット、空気極24として(La,Sr)(Co,Fe)O
3系ペロブスカイト型複合酸化物(LSCF)を採用したが、これに限定されるものではなく、その他の公知の構成を採用することもできる。また、反応防止層23として、Gd
2O
3 doped CeO
2(GDC)を用いた。
【0026】
集電部材30は、導電性を有する多孔質材料からなり、ハニカムセル10a内に挿通して配置可能な管状または柱状に形成されており、発電セル20の内側面と接して設けられ、空気極24と電気的に接続されている。ここで、導電性を有する多孔質材料として、ランタンクロマイト、LSCFなどの導電性セラミックスや運転温度によっては多孔質金属を用いることができる。ここで、本実施形態では、接続部材50との接続を容易にするために端部が絶縁部材10及び発電セル20から突出しているが、接続が可能であれば突出していなくてもよい。
【0027】
また、集電部材30は、長手方向に第2のガスを流通可能に構成されている。本実施形態では、第2のガスは酸化ガスであり、例えば空気を用いる。
【0028】
導電層40は、導電性を有する多孔質材料からなり、発電セル20の外周面を覆うように設けられ、発電セル20をハニカムセル10a内に保持するとともに、燃料極21と電気的に接続されている。本実施形態では、導電層40は燃料ガス雰囲気に晒されるため、高温燃料ガスに対する耐久性が要求される。そこで、導電層40を構成する材料として、Ni−YSZサーメットや上記環境下で使用可能な導電性セラミックスや多孔質金属を用いることができる。ここで、導電層40が燃料ガスの供給を律速しないように、導電層40のガス透過係数は絶縁部材10のセル壁のガス透過係数より大きくなるようにすることが好ましい。
【0029】
接続部材50は、導電層40と電気的に接続され、複数個の発電セル20を直列接続するための部材であり、導電性を有し、使用条件下で酸化による劣化が少ない材料で構成される。接続部材50として、SOFCで通常用いられる耐熱金属、例えば、インコネルなどを好適に用いることができる。接続部材50は、複数箇所に設けることにより、効率的に集電することができる。本実施形態では、接続部材50は、4本のインコネル線をそれぞれハニカムセル10aの長手方向に導電層40に貫通して配置し、端部が導電層40の端面から突出するように形成する。接続部材50の大部分が導電層40に埋設されるため、接続部材50と導電層40との接触面積が大きくなるので、効率的に集電することができる。
【0030】
各接続部材50は、2本を1本にそれぞれ集約されて隣接するハニカムセル10aの集電部材30に接続されている。4つのハニカムセル10a内の発電セル20を順次接続することにより、各発電セル20が直列に接続されることになる。
【0031】
接続部材50は、メッシュ状に形成し、導電層40に埋設させることもできる。これにより、接続部材50と導電層40との接触面積を増大させることができるので、効率的に集電することができる。また、接続部材50は、導電層40の各端面に一端を焼き付けなどにより接続して形成することもできる。
【0032】
シール部材60は、第1のガス(本実施形態では燃料ガスである水素)と第2のガス(本実施形態では酸化ガスである空気)とがセルスタック内で混合されないように遮断するための部材である。シール部材60は、気密質の絶縁材料からなり、絶縁部材10の端面及び導電層40の端面を覆うシール板61と、シール板61を接着するとともに、シール板61に形成された集電部材30を挿通する穴部61a及び接続部材50を挿通する穴部61bと挿通された各部材との間をシール剤によりシールするシール層62とを備える。シール部材60は、絶縁性を有し、酸化・還元雰囲気ともに強い材料で構成する必要があり、シール板61は例えばアルミナ、シール剤は例えばケイ酸塩ガラスからなる。シール板61は、隔壁70(
図3)として構成されるか、またはシール層62(
図3)により隔壁70に取り付けられる。
【0033】
図3に示すように、燃料電池モジュールMは、セルスタック1を筺体2の内部に配置して形成される。セルスタック1は、シール板61として作用する隔壁70を介して筺体2の内部に絶縁された状態でシール層62により固定されている。
【0034】
筺体2の内部は、セルスタック1、隔壁70及び充填材76により複数の空間に区画されており、絶縁部材10の側壁部11に面して第1のガスが導入される第1ガス導入室71と、側壁部13に面して第1のガスを排出する第1ガス排出室72と、集電部材30の一端に面して第2のガスが導入される第2ガス導入室73と、集電部材30の他端に面して第2のガスを排出する第2ガス排出室74と、が形成されている。
【0035】
絶縁部材10は、4面ある側壁部11−14の内、対向する側壁部12、14が、これらと筺体2の内面との間に充填され、全面で覆って設けられる充填材76により、流通抵抗が大きくなるように、望ましくは気密にシールされている。これにより、対向する側壁部11、13の間、即ち、第1ガス導入室71と第1ガス排出室72と間でのみ第1のガスが流通可能に構成されている。つまり、絶縁部材10の側壁が、充填材76により連続しない第1の側壁部11と第2の側壁部13とに区画されている状態である。
【0036】
第1ガス導入室71には第1ガス導入口71a、第1ガス排出室72には第1ガス排出口72a、第2ガス導入室73には第2ガス導入口73a、第2ガス排出室74には第2ガス排出口74aがそれぞれ設けられている。
【0037】
また、第2ガス導入室73及び第2ガス排出室74には、発電電流を外部に取りだすための端子(図示せず)がそれぞれ設けられている。
ここで、直列接続の終端となる集電部材30が電気的に接続された端子は正極として、直列接続の終端となる接続部材50が電気的に接続された端子は負極として、それぞれ作用する。
【0038】
セルスタック1の集電部材30の管内には、抵抗線(例えば、被覆されたニクロム線)等の発熱体からなるヒータ75がそれぞれ内装されている。ヒータ75は筺体2外部に設けられた電源(図示せず)により電力を供給し、第2のガスを加熱することができる。これにより、短時間で起動することができるので、車両搭載用に好適なモジュールとすることができる。
【0039】
ここで、ヒータ75を備えずに、他の公知の手段で燃料ガスまたは酸化ガスを加熱し、燃料電池モジュールMを起動させる構成を採用することもできる。
【0040】
筺体2の一例を
図4に示す。筺体2は、セルスタック1を収容する収容部材81、収容部材81に蓋をする蓋部材82、セルスタック1のシールを行うシール部材83、第2ガス導入室73または第2ガス排出室74を形成するための第2ガス室形成部材84を備えている。なお、シール部材83及び第2ガス室形成部材84は、酸化ガスの上流側、下流側の双方に設けられているが、一方の図示を省略している。
【0041】
収容部材81は、断面コの字の本体81aに、フランジ81bと、第1ガス排出口81c(
図3では72aに相当)を備えている。本体81aは、セルスタック1を収容したときに絶縁部材10の一対の側面をシールするとともに第1ガス排出室72が形成されるように、セルスタック1の位置決めを行うスペーサー81d及び充填材76(図示せず)を備えて構成されている。
【0042】
蓋部材82は、板状の本体82aに第1ガス導入口82b(
図3では71aに相当)、フランジ82c及びセルスタック1の位置決めを行うスペーサー82dを備えてなり、収容部材81の開口部に蓋をして第1ガス導入室71が形成されるように構成されている。
【0043】
シール部材83(隔壁70又はシール板61に対応)は、絶縁材料からなる板状の本体83aに正極端子83b、負極端子83cが形成されてなる。本体83aには、集電部材30を挿通する穴部83dがそれぞれ形成されている。本体83aのセルスタック1と反対側の表面には、接続部材50と電気的に接続された配線83eが形成されており、各発電セル20が直列接続になるように、接続部材50と集電部材30とが、順次接続されている。正極端子83bには直列接続の一端である集電部材30が配線83eを介して接続され、負極端子83cには直列接続の一端である接続部材50が配線83eを介して接続されている。
【0044】
第2ガス室形成部材84は、第2ガス排出室74を形成する開口部を有する箱状の本体84aと、本体84aの開口部を囲んで設けられたフランジ84bと、第2ガス排出室74に酸化ガスを導入する酸化ガス導入管84c(
図3では73aに相当)を備えている。また、本体84aには、正極端子83b、負極端子83cをそれぞれ挿通可能な穴部84dが形成されている。なお、燃料電池モジュールMがヒータ75を備える構成では、電力供給用のポートなども形成されている。
【0045】
上述の筺体2を用いて燃料電池モジュールMを作製するには、まず、シール部材83をセルスタック1に装着し、所定の配線を行い、続いて、収容部材81に収容する。そして、正極端子83b、負極端子83cを第2ガス室形成部材84の穴部84dにそれぞれ挿通し、蓋部材82及び第2ガス室形成部材84を各フランジによりフランジ81bに固定することにより、筺体2にセルスタック1を配置してモジュールMを作製することができる。
ここで、正極端子83b、負極端子83cと穴部84dの隙間など、酸化ガス及び燃料ガスの漏洩がないように気密にシールされる。また、正極端子83b、負極端子83cは第2ガス室形成部材84と絶縁されている。
【0046】
次に、燃料電池モジュールMによる発電時における動作を説明する。SOFCでは、燃料ガスとしては水素、一酸化炭素などが用いられ、酸化ガスとして空気、酸素が用いられるが、本実施形態では、一例として、燃料ガスとしては水素、酸化ガスとして空気を用いる。
【0047】
まず、第1ガス導入口71aから第1ガス導入室71に水素が導入され、第2ガス導入口73aから第2ガス導入室73に空気が導入される。
【0048】
第1ガス導入室71に導入された水素は、第1ガス排出室72との差圧により第1ガス排出室72に向かって流れ、絶縁部材10、導電層40を通過し、燃料極21に到達する。
【0049】
第2ガス導入室73に導入された空気は、ハニカムセル10aの長手方向に、各集電部材30に分配されて供給され、各集電部材30の内部を流れる。
図3では左側が上流、右側が下流となり、左から右に流れることになる。このとき、空気は集電部材30の内部を長手方向に流れるとともに、長手方向と交差する方向にも拡散し、空気極24に到達する。
【0050】
ヒータ75により空気及び発電セル20が加熱されて動作温度になると、発電セル20において電気化学反応が開始し、発電される。発電セル20が直列に接続されているので昇圧され、発電電流が端子を介して筐体2外へ取り出される。
【0051】
発電に用いられなかった水素は、電気化学反応で生じた水分とともに、第1ガス排出室72に送られて、第1ガス排出口72aから筺体2の外部に排出される。また、発電に用いられなかった空気は、集電部材30から第2ガス排出室74を介して、第2ガス排出口74aから筺体2の外部に排出される。
【0052】
次に、本発明に係るセルスタック1の製造方法の一例について説明する。
【0053】
まず、
図5(A)に示すように、所定の組成に調整した杯土を用意し、絶縁部材10と導電層40とを同時押し出し成形し、乾燥、焼成する。ここで、導電層40は、円柱状の貫通孔40aを有する形状に成形する。なお、貫通孔40aの形状は、円柱状に限らず、例えば、角柱状などの形状を採用することもできる。
【0054】
次に、
図5(B)に示すように、導電層40に形成された貫通孔40aに、燃料極、固体電解質層、反応防止層、空気極を順次成膜し、焼成することにより、発電セル20の構造を形成する。ここで、成膜、焼成方法は公知の方法を適宜選択して採用することができる。
【0055】
続いて、
図5(C)に示すように、接続部材50を導電層40の端面に焼き付けて形成する。
【0056】
続いて、
図5(D)に示すように、発電セル20の構造が形成された貫通孔40aに、それぞれ集電部材30を挿入して、空気極に焼き付けて接合することにより、セルスタック1が製造される。
【0057】
また、他の製造方法により製造することもできる。例えば、まず、
図5(E)に示すように、所定の組成に調整した杯土を用意し、絶縁部材10を押し出し成形し、乾燥、焼成する。
【0058】
次に、
図5(F)に示すように、集電部材30を用意し、その外表面に、空気極、反応防止層、固体電解質層、燃料極を順次成膜し、焼成することにより、発電セル20の構造を形成する。
【0059】
続いて、
図5(G)に示すように、発電セル20の構造を形成された集電部材30及び接続部材50をハニカムセル10a内に配置し、例えば鋳込み成形法等により導電層40の材料を充填し、乾燥、焼成することにより、セルスタック1が製造される。
【0060】
導電層40と集電部材30との連結による発電セル20の直列接続は、シール部材60の形成後、または燃料電池モジュールMへセルスタック1を配置するときに行う。
【0061】
上記工程以外でも、本発明のセルスタック1の構造を形成することができれば、その製造方法は任意である。例えば、絶縁部材10を押出成形した後に導電層40を鋳込成形により作製したりすることができる。
【0062】
(変更例)
本実施形態では、燃料電池モジュールMには、セルスタック1を1つ配置したが、これに限定されるものではなく、複数個配置することもできる。その場合、第1ガス導入室71と第1ガス排出室72とが連通しないように充填材76などにより区画する。
【0063】
発電セル20、セルスタック1の接続方法は、所望の電圧、電流となるように適宜選択することができる。例えば、いくつかの発電セル20やセルスタック1は直列接続し、その直列接続された発電セル20やセルスタック1を並列で接続することもできる。これによれば、高電圧と高電流とを両立し、容量を大きくすることができる。
【0064】
本実施形態では、集電部材30の両端部で発電セル20の接続を行っているが、片側のみで接続してもよい。また、車両搭載用の燃料電池モジュールとして用いる場合には、負極側をボディーアースとし、正極側の端子からのみ発電電流を取りだすこともできる。
【0065】
また、筐体2の外部で結線し、発電セル20を接続することができる。この場合、接続の切り替えを行うスイッチング機構を設け、用途に応じて、電圧、電流を可変にする構成とすることもできる。
【0066】
(実施形態の効果)
本発明の固体酸化物形燃料電池のセルスタック1及び燃料電池モジュールMによれば、絶縁部材10が絶縁層として作用して、セパレータやインターコネクタを用いずに発電セル20を集積し、直列接続することができるので、セルスタック1を小型化することができ、出力密度を向上させることができる。燃料電池モジュールMは、このようなセルスタック1を用いて構成するので、小型で出力密度の高い燃料電池モジュールとすることができる。
そして、絶縁部材10を用いて発電セル20を集積し、一体的なセルスタック1として形成するため、軽量かつ小型であり、振動や衝撃にも強いので、車両搭載用として好適に用いることができる。
ヒータ75を備えた構成では、第2のガスを加熱して短時間で燃料電池モジュールMを起動することができるので、車両搭載用に好適なモジュールとすることができる。
また、発電セル20を直列接続して高電圧とすることで、同じ出力を得るために電流を低くすることができる。これにより、発電電流を流すハーネスを細くすることができるので、車両搭載用として好適に用いることができる。また、セルスタック1の構造強度を保持するために、安価に製造可能な絶縁部材10を用いるため、製造コストを下げることができる。
【0067】
(その他の実施形態)
上述した実施形態では、絶縁部材10側から燃料ガスを流し、集電部材30に酸化ガスを流したが、ガス種を入れ替えることもできる。この場合には、発電セル20の成膜順が逆になるとともに、導電層40と集電部材30の構成材料を入れ替える。例えば、絶縁部材10の内側に位置する導電層40には、LSCFなどを使用し、集電部材30にはNi−YSZなどを使用する
【0068】
ここで、導電層40に発電セル20を構成していく場合には、発電セル20は、LSFCなどを用いる導電層40の内表面に、空気極24、反応防止層23、固体電解質層22、燃料極21、をこの順で成膜する。そして、例えばNi−YSZなどで作製された集電部材30を挿入し、燃料極21あるいは元々導電層として用いていた構成材料、例えばNi−YSZなどで取り付けて導電性を確保する。
【0069】
集電部材30の外表面に発電セル20を構成していく場合には、発電セル20は、例えばNi−YSZなどで作製された集電部材30の外表面に、燃料極21、固体電解質層22、反応防止層23、空気極24、をこの順で成膜する。このようにして作製した発電セル20を、絶縁部材10と導電層40で構成される部材に挿入して、LSCFなどを用いて取り付けて導電性を確保する。
【0070】
集電部材30の内表面に発電セル20を形成する構成を採用することもできる。この場合、絶縁部材10の内側に位置する導電層40には集電部材30と同じ材料、例えばLSCFなど、を使用する。発電セル20は、集電部材30の内表面に、空気極24、反応防止層23、固体電解質層22、燃料極21、をこの順で成膜する。反応防止層23および固体電解質層22は、集電部材30の内表面の長手方向のすべての面、ならびに端部の全面、およびに外表面のシール板61と接合される部分までの間のすべてに成膜する。これによって、正極と負極の電気的な接触、ならびに燃料ガスと空気との混合を防止する。その内側に接続部材50を取り付ける。この接続部材50は発電セル20の負極になる。この接続部材は、電気的に絶縁な筒状の管(例えば、アルミナ製の保護管)を通すなどして、電気的な絶縁を確保する。
【実施例】
【0071】
本構造のスタック1による出力密度を算出した。計算に用いたモデルを
図6及び表1に示す。
【0072】
【表1】
【0073】
ここで、
発電セル円周=孔径×3.14
発電セル面積=発電セル円周×セルスタック長さ
発電セル電流=発電セル面積×単セル発電電流
セルスタック一辺=((絶縁部材+導電層+発電セル)×2+孔径)×一辺セル数+セルスタック外肉×2-絶縁部材×2
セルスタック体積=セルスタック一辺×セルスタック一辺×セルスタック長さ
により計算した。
【0074】
発電セル1つ当たりの発電電圧は0.66V、電流は0.67A/cm
2とした。
【0075】
次式により計算した発電容量と出力密度とを表2に示す。
発電容量=単セル発電電圧×単セル発電電流
出力密度(体積)=発電容量×セルスタック体積
【0076】
【表2】
【0077】
従来の比較的出力密度の高い平板型セルスタックにおける出力密度が0.2W/cm
3程度であるのに対し、本発明のセルスタックでは、高出力密度化の目標値ともいえる1W/cm
3を超える出力密度を達成することができる。これにより、従来のセルスタックに比べ、セルスタックを小型にし、出力密度を向上することができることが確認された。