(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
近年、いろいろなセンサ技術が発達し、温度センサ、風量計、風速計、雨量計、地震計等の気象観測のためのセンサや、血圧計、心拍数計等の生体情報センサ、放射線量、PM2.5測定器、塵埃計、臭気計等の環境センサ、さらには、人感センサ、監視カメラ等、あらゆるセンサ(計測素子)の情報がインタネットに接続され、集中的な観測が行われている。これらのセンサは屋内はもとより屋外にも設置され、その電源として商用電源を用いるもののほか、電池で駆動されるセンサも多用化されてきている。また通信手段も、無線技術の発達により有線から無線へと推移していて、計測素子は、それ単独で見るとセンサ情報(計測データ)をサーバーへ送信する無線通信端末とも言えるものになってきている。
【0003】
無線通信端末というと携帯電話やタブレットが代表的であり、電池駆動であるがゆえの省電力化対策が採られていて、人が操作をしない時には電源供給を、静止し(ほぼ停止状態)、静止時は、人が操作を開始するかどうかをセンスする回路のみに電力を供給する方法が一般的である。人の操作によらず自動的に省電力化を図る技術としては先行技術文献には、携帯電話のカメラモジュールで顔を認識し、人の存否によって省電力モードへ切り替える技術が開示されている。また、パソコンや携帯電話やタブレットなどインタネット通信を行う端末では、一定の時間間隔で受信メールサーバーにメールの問合せを行うことで、省電力化を図っている。しかし、定期的に受信メールの問合せをしても受信メールがない時は、結果的には無駄な問合せ、つまり無駄な電力消費を行ったことになる。
【0004】
最近、IoT(Internet of Things)と称し、あらゆるものがインタネットに接続される時代が到来すると言われているが、IoT時代とは、計測素子や各種センサが、監視カメラの例に見るように街中のいたるところに設置され、計測データを集中的に管理することで、人々に有益な情報をキメ細かく提供できる時代とも言えるわけで、計測素子の設置数が爆発的に伸び、それゆえ計測素子の消費電力を更に軽減することが、計測素子に使用する電池寿命の長期化に貢献できるだけでなく、より少ないエネルギーの消費という点でも社会的な課題になってくる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、本発明の全体構成概念図であり、1a、1b、1cで示されるような数多くの計測素子(以下個別に参照数字「1」として説明する)が無線通信網2に接続されている。各々の計測素子1で計測されるデータとともに、各計測素子1についての管理データを集中的に管理する計測サーバー3が、無線通信網2に接続されている。図示しないが、無線通信網とともに有線通信網に接続される計測素子もあろうが、すべての計測素子の情報は、計測サーバー3で集中管理されている。無線通信網としては、3G、4G、PHS等の公衆無線通信網であったり、自営の専用無線通信網であってもよい。自営の無線通信網の例としては、PHSの自営モードや、サブギガ波と称す920MHZ帯を使用した無線方式があろう。
【0011】
計測素子は多種多様であり、気象観測のための温度計、風量計、雨量計、地震計等の素子や、生体情報管理のための血圧計、心拍数計、体温計等の素子、環境管理のための放射線量計、PM2.5測定計、塵埃測定計、臭気計等の素子、建築物の劣化管理のための機械的歪測定計、使用料管理のための水道メータ、ガスメータ、電気メータ等、さらに防犯対策のための人感センサ、監視カメラ等がある。
【0012】
計測サーバー3は、計測事業者自身のものであったり、複数の計測事業者から委託される計測サーバーセンタ的な形態もあろう。水道メータなどは水道事業者自身が管理するかもしれないし、生体情報管理は医療関係事業者自身が管理する、あるいは複数の医療関係事業者が計測サーバーセンタに計測を委託し、計測結果情報を受け取り、各医療事業者が結果情報を解析し、顧客に情報提供するサービス形態もあろう。様々な形態が考えられるが、本発明においてはその形態は問わない。
【0013】
計測素子1は計測目的によって、計測頻度(計測の時間間隔)は異なり、月1回のものや、1日3回、1時間毎、1分毎とかの頻度のものがあろう。また計測された数値を平常時のデータと比較し、少し異変が起きていると感じた時は計測頻度を上げたり、あるいは天気予報などの他の情報をもとに、台風の接近をより細かく観察する時は計測頻度を上げるなど、計測頻度は状況に応じて随時変更制御される。計測素子の電源は、商用電源を用いるものや、電池を用いるものがあるが、本発明は計測素子の省電力化に関するもので、電池駆動型の計測素子により好適なものである。
【0014】
計測サーバー3は、表1に示すように各々の計測素子毎に管理データを集計し管理している。表1に示す管理データの意味は後述する。
【0016】
図2は電池駆動型の計測素子1の内部構成を示す。
【0017】
計測素子1は、電源が常時供給される時計部13、電源制御部18によって動作が必要な時のみに通電されるセンサ部11(センサ部は計測部とも言える)、素子通信部12、電池残量検知部20、自己診断を行うための自己診断制御回路21、バイアス回路22、比較判定回路23とからなる。時計部13の中には、時計17のほか、動作を後述するサーバー日時管理M(メモリ)15、次回通信日時管理M(メモリ)16、自己診断日時管理M(メモリ)14がある。
【0018】
これらの日時情報は、2011年3月11日14時46分45秒のように、西暦から始まり、秒までを含む。表1で示す次回通信日時は、スペースの関係上、V,B,C(V時B分C秒)と簡略化されているが、実際は、2011年3月11日14時46分45秒のようになっている。
【0019】
素子通信部12は、無線通信網2を介して計測サーバー3と通信を行うが、本発明においては通信のための発呼は、計測素子1からのみであり、計測サーバー3が計測素子1に発呼することはなく、計測素子1は計測サーバー3からの着呼に備える必要はない。
【0020】
計測素子1の動作は、次回通信日時管理M16が、計測と通信を行う日時になったら、電源制御部18に、センサ部11に計測を行うことを指示し、計測結果データを素子通信部12へ送り、素子通信部12は、計測サーバー3へデータを送信する。センサ部へ電源を供給する時間は、センサが必要とする計測時間に応じている。
【0021】
体温とかの計測では1分程度の計測時間を要すが、気温などは秒程度で良いだろう。素子通信部12への電源供給時間は、通信に必要な時間で、伝送速度にもよるが数秒程度以下のオーダであり、センサ部の測定時間を考慮しながら、センサ部と同時に給電してもよいし、センサ部の給電時間が1分とか長い時は、時間的に分割して給電すればよい。
【0022】
計測結果の送信データの形式は、
図4(a)に示す。
【0023】
送信データは、個別の素子に応じた「素子ID」と「電話番号」あるいはIPアドレスなどの通信に必要な情報に加え、「計測情報」とともに、「電池残量」、「現在日時」、「設置エリア」信号を送信する。電池残量は、計測サーバー3が個々の計測素子の状況を確認するのに必要なデータであり、現在日時は、計測素子1の時計情報である。
【0024】
「計測情報」としては、「計測データ」と、後記する「データなし」と、「自己診断結果」の3種があり、
図4(c)に示すように、計測情報部は、前記3つの「情報種別」を表す部分と「データ」を表す部分の2つの構成になっている。なお、情報種別で「データなし」のときは後続の「データ」は省略される。
【0025】
なお、これらの計測情報(計測データ、自己診断結果、後記する時刻校正信号)が、計測サーバー3が指定した日時に計測サーバー3で受信できない時は、計測素子1が故障か盗難を疑い、計測事業者に別途電子メールや電話で連絡を行う。
【0026】
また「設置エリア」は、計測素子の設置されている場所を、無線通信を利用して通信する際に得られる基地局の情報をそのまま利用するものである。なお、計測素子1が別途GPSセンサを具備していれば、「設置エリア」情報としてはGPS情報を利用する。
【0027】
なお、計測のサービスエリアが狭く、すべての計測素子が、一つのアンテナ圏内(基地局圏内)に設置されているときは、設置エリア情報としては、図示しないが、アンテナからの距離情報に相当する電界強度情報を代替するものとして、受信電波の「受信レベル」情報を用いる。
【0028】
つまり、設置エリア情報としては、基地局情報、GPS情報、受信レベル情報の3種がある。
【0029】
計測サーバー3では設置エリア情報を通信の都度確認し、表1で管理されている本来の設置エリア情報と異なる場合は、計測素子1が盗難されていると判断する。
【0030】
表1に示した管理データの中で、「時計精度」、「電池残量」、「異常状態」、「次回通信日時」は通信の都度データが更新され、「計測周期」、「自己診断周期」は、結果情報をもとに必要があれば通信によって変更される。その他のデータの更新は、設置場所の変更とか、変更の必要がある時に、データ入力部40(
図3参照)から更新される。
【0031】
表1の時計精度は、計測素子1から送られてきた計測素子の現在日時と、計測サーバー3の現在日時とを対比し、計測サーバー3では、前回通信日時をもとに1日に生じた誤差を計算し、更新される。時計精度を管理することで、計測素子1の時計部品である水晶振動子に高い精度を要求することは必要なく、計測素子のコストを低減できる。計測素子が、電波時計を使用すれば理想的であるが、電波時計は常時電力を消費することと、屋内では設置場所によっては電波受信が出来にくいことを留意したうえで、使用を決める必要がある。
【0032】
通信の都度、計測サーバー3からは、
図4(b)に示すように、次回通信日時とサーバ―日時が計測素子1に届く、計測素子1では、サーバー日時管理M15の情報をもとに、時計17をサーバー日時に校正する。また次回通信日時管理M16に次回通信日時を書込み、次回の通信に備え、通信日時になったら前記した動作を行う。
【0033】
計測素子1は、故障診断のために自己診断機能を有している。自己診断周期は、計測素子の故障率とともに計測周期を勘案しながら計測素子そのものが決めるが、その周期情報は、別途、表1に示すように、計測サーバー3で管理されていて、計測サーバー3では自己診断を行うべき時間に診断結果が送信されることを待っている。
【0034】
計測素子1が自己診断を行うには、計測周期に応じて、自己診断日時管理M14が、診断日時になったら、電源制御部18に自己診断制御回路21を駆動するように指示する。自己診断制御回路21は、センサ部11が出力する最小値、最大値、中間値が診断時に出力されるよう、センサ部11へのバイアス値をバイアス回路22から出力し、設定したバイアス値に対するセンサ出力になっているかを比較判定回路23で判定を行う。バイアス回路22では、センサ部11の動作パラメータを変化させるが、別の方法として、センサ部11への入力信号レベルを擬装的に変化してもよい。どの方法でも、変化に応じセンサ部11の出力が変化していれば動作は正常と判断する。その判断は、比較判定回路23で行う。比較判定回路23の出力としては、OK、NGの他に、「とりあえずは使用可であるが近日中に修理必要」とかの情報も出力する。これらの情報は、診断結果情報として、
図4(a)の計測情報において、「情報種別」は自己診断結果、「データ」は、OK、NG、その他の情報(前記「とりあえずは使用可であるが近日中に修理必要」とかの情報)に対応し、別途関連付けされたデータとして送信される。
【0035】
自己診断の周期は、診断結果を見ながら変化することができる。このため、
図4(b)に示すように、計測サーバー3から計測素子1へ送る信号として「次回要求データ」というフィールドがある。「次回要求データ」としては、本発明の主目的からして、定常的には計測データであるが、前記のように「自己診断周期を変更する」要求、さらに後記するが、「日時校正」の要求がある。これら3種の要求に対応した通信符号が「次回要求データ」フィールドに別途割り当てられている。なお、自己診断周期を変更する要求をしたときは、変更したい「周期情報」を送る必要があり、
図4(b)に示すように、「自己診断周期」のデータフィールドを用いて送信する。
【0036】
図3は計測サーバー3の内部構成を示す。
【0037】
計測サーバー3は、サーバー通信部30、次回通信日時管理部31、計測頻度管理部32、時計精度管理部33、異常状態検出管理部34、計測データベース35、次回受信管理部36、計測データ管理部37、頻度情報付加部38、外部情報交換部39、データ入力部40、自己診断結果情報管理部41で構成される。なお、図示しないが高精度の時計を有し、時計情報は、必要な各部へ供給されている。
【0038】
計測データベース35は、計測サーバー3の管理対象下にあるすべての計測素子の管理情報(表1に示す情報)を保存・管理している。
【0039】
また、計測素子毎の計測結果データの計測履歴は、計測データ管理部37に別途管理されている。
【0040】
サーバー通信部30は、計測素子1と無縁通信網2を介して通信を行う。
【0041】
次回受信管理部36には、計測データベース35の次回通信日時データをもとに、次回受信する可能性のある(受信日時誤差として設定した例えば3秒の誤差範囲内で受信の可能性のある)計測素子からの受信日時とID信号、がロードされている。その日時に受信したデータからID信号を復元すると、計測データベース35から当該IDに関する管理データが、計測頻度管理部32、時計精度管理部33へロードされる。
【0042】
時計精度管理部33には、計測データベース35から当該計測素子の時計精度データがロードされる。
【0043】
計測頻度管理部32では、計測周期を変更することが必要かどうかを判断する。計測データ管理部37の計測結果から、計測結果が定常的かどうかを判断し、異常性が感じられるときは計測周期を短くする対応、また頻度情報付加部38が、台風が接近しているので、あるエリア内にある計測素子は計測周期を短くするなどの要求を出しているかを確認し、しばらくの間は、計測データベース35で管理されている計測周期を変更し、何時間毎、何分毎とかの計測周期を決め、次回通信日時管理部31に伝える。
【0044】
なお、計測周期を変更した原因が解除されれば、計測データベース35の計測周期に関する管理データを元に戻す等の対応を採る。いずれにせよ、計測周期は固定的なものでなく、状況に応じ随時変更される。
【0045】
次回通信日時管理部31は、これらの情報に基づき次回の通信日時を算出するが、その時、時計精度管理部33の情報をもとに次回通信日時までに生じるであろう計測素子の時計誤差が、3秒とかの、ある閾値以下であれば、算出された日時を次回通信日時として送信する。もし、閾値以上であれば、次回の計測日時までに、時計合わせを行っておく必要があるので、時計の誤差が閾値以内の日時を次回通信日時データとして送る。
【0046】
つまり、「次回通信日時での計測素子の時間が、計測サーバーで受信管理できる時間誤差を超過する」と時間精度情報を用いて計算されるときは、次回の通信は計測素子1の時計17の日時校正のために行うことが必要になる。例えば、とある計測素子の時計精度が一日に1秒ずれるとする。次回の計測が7日後とすると、7日後には7秒ずれるので、ズレが受信管理できる時間誤差の3秒以内におさまる3日前の4日(7−3)後を次回通信日時として設定する。なお、このとき、次回の送信時には計測素子の計測データは不要の旨を伝えるため、
図4(b)の「次回要求データ」フィールドに「日時校正」を意味する信号を送る。
【0047】
次回要求データとして「日時校正」信号を受信した計測素子1は、次回の送信時には、
図4(a)の計測情報部には、情報種別として「データなし」を送る。この場合、計測素子1からの送信信号は時刻校正信号とも言える。
【0048】
自己診断結果情報管理部41は、自己診断の結果情報を保存・管理するもので、自己診断結果が正常とは言いきれないときに、過去の診断結果情報と対比しながら「正常」と判断するか、「もう少し様子を見るために自己診断周期を変えてみよう」と判断するのに使用される。特に自己診断結果が、「とりあえずは使用可であるが近日中に修理必要」とされたときは、過去の自己診断結果情報が参照され、自己診断周期を短くするとかの対応が採られよう。
【0049】
異常状態検出管理部34は、計測素子1からの受信信号(
図4(a))の中から、電池残量が20%とか少なくなったこと、自己診断結果情報がOKでないことの確認に加え、設置エリア情報が計測データベースで管理されている設置エリア情報との対比を行い、エリア情報が異なる時は、計測素子が盗難にあっていると判断する。
【0050】
異常状態検出管理部34の出力は外部情報交換部39へ届き、計測事業者にその状態を伝えるなどの処置が採られる。伝える内容としては、「電池残量が少ないので交換か充電してください」、「盗難にあっていそうなので確認してください」、「故障していますので、交換してください」などがある。
【0051】
外部情報交換部39は、図示しないが電話や電子メールなどで外部との情報交換を行う。情報交換の内容としては、前記したように、頻度情報付加部38に伝えるものとして気象情報や犯罪情報(逃走犯探しのために監視カメラの測定頻度向上等)、異常状態検出管理部34で計測素子の異常(動作不良、電池消耗、盗難等)が検知されたときの連絡、計測素子事業者への連絡、各計測素子のデータ入力部40へ設定する情報の入手がある。
【0052】
データ入力部40では、運用開始前に初期データとして表1に示した管理データの素子ID、電話番号、電源、設置エリア、計測周期、自己診断間隔、時計精度が入力される。時計精度は、初期入力時は計測素子メーカーの情報を用いるが、運用が開始されると、通信の都度交換される日時情報から実用データに随時更新される。その他の管理データは変更あるときは、計測事業者からの連絡を受け、外部情報交換部39より変更データがデータ入力部40に届き更新される。
【0053】
本発明による計測システムは、風速計とかのひとつのセンサを多くの場所に設置し、各地の風速を管理し情報提供する計測システムであったり、多種のセンサを多数設置し、センサの特性に応じた多数の情報サービスを提供するための大きな計測システムであったり出来るものであり、多くの計測事業者の多種の要望やビジネスモデルの要求に応えられるものである。