(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の形態を説明する。図面は本発明の一実施形態に係り、
図1は車両の走行制御装置の全体構成図、
図2,3は分岐路進入判定ルーチンを示すフローチャート、
図4は分岐路検証条件を例示する説明図、
図5は分岐路進入判定条件を例示する説明図、
図6は地図上の分岐路までの距離の経時的変化を例示する説明図、
図7は前方に分岐路が存在する場合の左右の区画線の角度差の経時的変化を例示する説明図、
図8は自車両が分岐路へ進入する際の対区画線ヨー角の経時的変化を例示する説明図、
図9は車速と対区画線ヨー角の閾値との関係を例示するマップ、
図10は自車両が分岐路へ進入する際の対区画線距離の経時的変化を例示する説明図である。
【0013】
図1において、符号1は車両の走行制御装置を示し、この走行制御装置1は、走行制御部10に、周辺環境認識装置11、ドライバ状態検出装置12、走行パラメータ検出装置13、自車位置情報検出装置14、車車間通信装置15、道路交通情報通信装置16、スイッチ群17等の各入力装置と、エンジン制御装置21、ブレーキ制御装置22、ステアリング制御装置23、表示装置24、スピーカ・ブザー25等の各出力装置が接続されて要部が構成されている。
【0014】
周辺環境認識装置11は、車両の外部環境を撮影して画像情報を取得するために車室内に設けられた固体撮像素子等を備えたカメラ装置(ステレオカメラ、単眼カメラ、カラーカメラ等)と、車両の周辺に存在する立体物からの反射波を受信するレーダ装置(レーザレーダ、ミリ波レーダ等)、ソナー等(以上、図示せず)で構成されている。
【0015】
周辺環境認識装置11は、カメラ装置で撮像した画像情報を基に、例えば、距離情報に対して周知のグルーピング処理を行い、グルーピング処理した距離情報を予め設定しておいた三次元的な道路形状データや立体物データ等と比較することにより、車線区画線データ、道路に沿って存在するガードレール、縁石等の側壁データ、車両(先行車、対向車、併走車、駐車車両)等の立体物データ等を自車両からの相対的な位置(距離、角度)を、速度と共に抽出する。
【0016】
また、周辺環境認識装置11は、レーダ装置で取得した反射波情報を基に、反射した立体物の存在する位置(距離、角度)を、速度とともに検出する。このように、周辺環境認識装置11は走行環境情報取得手段として設けられている。
【0017】
ドライバ状態検出装置12は、例えば、ステアリングホイールに設けられ、ドライバの生体信号を検出するステアリングホイール用生体検出センサであり、本実施の形態においては、このステアリングホイール用生体検出センサにより、ドライバのステアリングホイールの保持状態を検出するようになっている。
【0018】
走行パラメータ検出装置13は、自車両の走行情報、具体的には、車速、前後加速度、横加速度、操舵角、操舵トルク、ヨーレート、アクセル開度、スロットル開度、及び走行する路面の路面勾配、路面摩擦係数推定値等を検出する。このように、走行パラメータ検出装置13は、走行情報検出手段として設けられている。
【0019】
自車位置情報検出装置14は、例えば、公知のナビゲーションシステムであり、例えば、GPS(Global Positioning System:全地球測位システム)衛星から発信された電波を受信し、その電波情報に基づいて現在位置を検出してフラッシュメモリや、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、ブルーレイ(Blu-ray:登録商標)ディスク、HDD(Hard disc drive)等に予め記憶しておいた地図データ上に自車位置を特定する。
【0020】
この予め記憶される地図データとしては、道路データおよび施設データを有している。道路データは、リンクの位置情報、種別情報、ノードの位置情報、種別情報、ノードにおけるカーブ曲率(或いは、カーブ半径)、および、ノードとリンクとの接続関係の情報、すなわち、道路の分岐、合流地点情報と分岐路における最大車速情報等を含んでいる。施設データは、施設毎のレコードを複数有しており、各レコードは、対象とする施設の名称情報、所在位置情報、施設種別(デパート、商店、レストラン、駐車場、公園、車両の故障時の修理拠点の別)情報を示すデータを有している。そして、地図位置上の自車位置を表示して、操作者により目的地が入力されると、出発地から目的地までの経路が所定に演算され、ディスプレイ、モニタ等の表示装置24に表示され、また、スピーカ・ブザー25により音声案内して誘導自在になっている、このように、自車位置情報検出装置14は、走行環境情報取得手段として設けられている。
【0021】
車車間通信装置15は、例えば、無線LANなど100(m)程度の通信エリアを有する狹域無線通信装置で構成され、サーバなどを介さずに他の車両と直接通信を行い、情報の送受信を行うことが可能となっている。そして、他の車両との相互通信により、車両情報、走行情報、交通環境情報等を交換する。車両情報としては車種(本形態では、乗用車、トラック、二輪車等の種別)を示す固有情報がある。また、走行情報としては車速、位置情報、ブレーキランプの点灯情報、右左折時に発信される方向指示器の点滅情報、緊急停止時に点滅されるハザードランプの点滅情報がある。更に、交通環境情報としては、道路の渋滞情報、工事情報等の状況によって変化する情報が含まれている。このように、車車間通信装置15は、走行環境情報取得手段及び走行情報検出手段として設けられている。
【0022】
道路交通情報通信装置16は、所謂、道路交通情報通信システム(VICS:Vehicle Information and Communication System:登録商標)で、FM多重放送や道路上の発信機から、渋滞や事故、工事、所要時間、駐車場の道路交通情報をリアルタイムに受信し、この受信した交通情報を、上述の予め記憶しておいた地図データ上に表示する装置となっている。このように、道路交通情報通信装置16は、走行環境情報取得手段として設けられている。
【0023】
スイッチ群17は、ドライバの運転支援制御に係るスイッチ群で、例えば、速度を予め設定しておいた一定速で走行制御させるスイッチ、或いは、先行車との車間距離、車間時間を予め設定しておいた一定値に維持して追従制御させるためのスイッチ、走行車線を設定車線に維持して走行制御するレーンキープ制御のスイッチ、走行車線からの逸脱防止制御を行う車線逸脱防止制御のスイッチ、先行車(追い越し対象車両)の追い越し制御を実行させる追い越し制御実行許可スイッチ、これら全ての制御を協調して行わせる自動運転制御を実行させるためのスイッチ、これら各制御に必要な車速、車間距離、車間時間、制限速度等を設定するスイッチ、或いは、これら各制御を解除するスイッチ等から構成されている。
【0024】
エンジン制御装置21は、例えば、吸入空気量、スロットル開度、エンジン水温、吸気温度、酸素濃度、クランク角、アクセル開度、その他の車両情報に基づき、車両のエンジン(図示せず)についての燃料噴射制御、点火時期制御、電子制御スロットル弁の制御等の主要な制御を行う公知の制御ユニットである。また、エンジン制御装置21は、自動運転状態の際に、走行制御部10から、上述の各自動運転制御(障害物等との衝突防止制御、定速走行制御、追従走行制御、レーンキープ制御、車線逸脱防止制御、その他追い越し制御等)に必要な加速度(要求加速度)が入力された場合には、該要求加速度に基づいて駆動トルク(自動運転要求トルク)を算出し、この自動運転要求トルクを目標トルクとするエンジン制御を行う。
【0025】
ブレーキ制御装置22は、例えば、ブレーキスイッチ、4輪の車輪速、ハンドル角、ヨーレート、その他の車両情報に基づき、4輪のブレーキ装置(図示せず)をドライバのブレーキ操作とは独立して制御可能で、公知のABS制御や、横すべり防止制御等の車両に付加するヨーモーメントを制御するヨーブレーキ制御を行う公知の制御ユニットである。また、ブレーキ制御装置22は、自動運転状態の際に、走行制御部10から、上述の各自動運転制御(障害物等との衝突防止制御、定速走行制御、追従走行制御、レーンキープ制御、車線逸脱防止制御、その他追い越し制御等)に必要な減速度(要求減速度)が入力された場合には、該要求減速度に基づいて、各輪ブレーキのホイールシリンダの目標液圧を設定し、ブレーキ制御を行う。
【0026】
ステアリング制御装置23は、例えば、車速、操舵トルク、ハンドル角、ヨーレート、その他の車両情報に基づき、車両の操舵系に設けた電動パワーステアリングモータ(図示せず)によるアシストトルクを制御する、公知の制御装置である。また、ステアリング制御装置23は、上述の走行車線を設定車線に維持して走行制御するレーンキープ制御、走行車線からの逸脱防止制御を行う車線逸脱防止制御、これらを協調して実行する自動運転操舵制御が可能となっており、これらレーンキープ制御、車線逸脱防止制御、自動運転操舵制御に必要な操舵角、目標ハンドル角、或いは、操舵トルクが、走行制御部10により算出されてステアリング制御装置23に入力され、入力された制御量に応じて電動パワーステアリングモータが駆動制御される。
【0027】
表示装置24は、例えば、モニタ、ディスプレイ、アラームランプ等のドライバに対して視覚的な警告、報知を行う装置である。また、スピーカ・ブザー25は、ドライバに対して聴覚的な警告、報知を行う装置である。
【0028】
そして、走行制御部10は、上述の各装置11〜17からの各入力信号に基づいて、障害物等との衝突防止制御、定速走行制御、追従走行制御、レーンキープ制御、車線逸脱防止制御、その他追い越し制御等を協調させて行って自動運転制御等を実行する。この自動運転制御の状態で、走行制御部10は、地図情報等に基づいて、自車走行レーンからの分岐路の有無を調べる。そして、自車走行レーンから分岐する分岐路が存在することを認識すると、走行制御部10は、自車走行レーンを区画する車線区画線と自車両との相対関係に基づいて、自車両が本線から分岐路に進入したか否かの判定を行う。
【0029】
具体的には、走行制御部10は、自車走行レーンを区画する左右の車線区画線のうち分岐路とは反対側の車線区画線に対する自車両の対区画線ヨー角θy(
図5参照)が当該分岐路に対して設定された角度閾値Pθ以上となったとき、自車両が分岐路に進入したことを判定する。但し、対区画線ヨー角θyが角度閾値Pθ以上であっても、自車両の中央から分岐路とは反対側の車線区画線までの対区画線距離Wo(
図5参照)が分岐路よりも手前の自車走行レーンのレーン幅に基づいて設定されたレーン幅閾値Wthの半値未満である場合、走行制御部10は、自車両が分岐路に進入したことを判定しない。
【0030】
一方、分岐路の近傍における対区画線ヨー角θyが角度閾値Pθ未満であっても、対区画線距離Woがレーン幅閾値Wth以上となったとき、走行制御部10は、自車両が分岐路に進入したことを判定する。
【0031】
このように、本実施形態において、走行制御部10は、分岐路認識手段及び分岐路進入判定手段としての各機能を実現する。なお、本実施形態の走行制御部10は、上述のような車線区画線と自車両との関係に基づく分岐路進入判定の他に、例えば、GPS衛星からの位置情報等に基づく分岐路進入判定を行うことが可能となっている。このような構成において、走行制御部10は、位置情報等に基づいて自車両が分岐路に進入したとの判定がなされる前に、車線区画線と自車両との相対関係に基づいて自車両が分岐路に進入したとの判定がなされた場合、当該車線区画線と自車両との相対関係に基づく判定結果を優先的に採用する。
【0032】
次に、走行制御部10において行われる分岐路進入判定について、
図2,3に示す分岐路進入判定ルーチンのフローチャートに従って説明する。このルーチンは、設定時間毎に繰り返し実行されるものであり、ルーチンがスタートすると、走行制御部10は、後述する分岐路進入判定開始フラグF2が「1」にセットされているか否かを調べる。
【0033】
そして、走行制御部10は、ステップS101において、分岐路進入判定開始フラグF2が「1」にセットされている場合にはステップS111に進み、分岐路進入判定開始フラグF2が「0」にクリアされている場合にはステップS102に進む。
【0034】
ステップS101からステップS102に進むと、走行制御部10は、後述する分岐路検証フラグF1が「1」にセットされているか否かを調べる。
【0035】
そして、走行制御部10は、ステップS102において、分岐路検証フラグF1が「1」にセットされている場合にはステップS117に進み、分岐路検証フラグF1が「0」にクリアされている場合にはステップS103に進む。
【0036】
ステップS102からステップS103に進むと、走行制御部10は、ナビゲーションシステムの地図データ等の情報を基に、自車前方の設定距離内に、自車走行レーンから分岐する分岐路が認識されているか否かを調べる。
【0037】
そして、走行制御部10は、ステップS103において、自車前方に分岐路が認識されていないと判定した場合にはそのままルーチンを抜け、自車前方に分岐路が認識されていると判定した場合にはステップS104に進む。
【0038】
ステップS103からステップS104に進むと、走行制御部10は、自車両から現在認識されている分岐路までの距離(例えば、分岐開始点までの距離)Lbが予め設定された制御開始距離(設定閾値Lth)以下であるか否かを調べる。
【0039】
そして、走行制御部10は、ステップS104において、分岐路までの距離Lbが設定閾値Lthよりも大きいと判定した場合(
図6参照)にはそのままルーチンを抜け、分岐路までの距離Lbが設定閾値以下であると判定した場合にはステップS105に進む。
【0040】
ステップS104からステップS105に進むと、走行制御部10は、現在認識されている分岐路(地図データ等に基づいて認識されている分岐路)が実在するか否かの検証を、後述のステップS107〜S109の処理において行ったことを示す分岐路検証フラグF1を「1」にセットする。
【0041】
続くステップS106において、走行制御部10は、現在の自車走行レーンのレーン幅W(
図4参照)に基づいてレーン幅閾値Wthを設定するとともに、自車両の前方設定距離の地点(前方注視点Pg)における分岐路側の車線区画線の接線と自車両の前後軸とのなす角度θa(
図4参照)に基づいて角度閾値θthを設定した後、ステップS107に進む。なお、例えば、
図4に示すように、本実施形態において、前方注視点Pgは、自車両からの距離が制御開始距離Lthよりも遠方(例えば、数m〜十数m程度遠方)となる地点に設定されている。
【0042】
ここで、レーン幅閾値Wthとしては現在のレーン幅Wに所定値を加算等した値を設定することも可能であるが、本実施形態においては、現在のレーン幅Wがそのままレーン幅閾値Wthとして設定される。また、角度閾値θthとしては、現在のなす角度θaに所定値を加算或いは減算等した値を設定することも可能であるが、本実施形態においては、現在のなす角度θaがそのまま角度閾値θthとして設定される。
【0043】
ステップS106からステップS107に進むと、走行制御部10は、自車両の前方設定距離の地点(前方注視点Pg)における車線区画線の状況に基づき、ステップS107〜ステップS109までの処理により、現在認識されている分岐路が実在するか否かの検証を行う。
【0044】
具体的には、ステップS107に進むと、走行制御部10は、前方注視点Pgにおける車線区画線の数が現自車位置における車線区画線の数よりも増加しているか否かを調べる。すなわち、自車走行レーンの前方に分岐路が実在する場合、当該分岐路の分岐開始点以遠において周辺環境認識装置11により認識される車線区画線の数は増加することが想定される。そこで、走行制御部10は、ステップS107において、車線区画線が増加している場合には自車両の前方に分岐路が実在すると判定してステップS110に進み、車線区画線が増加していない場合には別途の検証を行うべくステップS108に進む。
【0045】
ステップS107からステップS108に進むと、走行制御部10は、前方注視点Pgにおける左右の車線区画線の角度差|θa−θb|が予め設定された角度閾値Δθ以上であるか否かを調べる。すなわち、自車走行レーンの前方に分岐路が実在する場合、自車走行レーンを区画する左右の車線区画線は分岐が完了するまでの一部区間において遠方に向けて拡開する非平行な状態となる。従って、前方注視点Pgが実在する分岐地点に差し掛かっている場合、当該地点における左右の車線区画線の各接線と自車両の前後軸との各なす角度θa、θbの差の絶対値は零以上の角度に変化する(
図4,7参照)。そこで、走行制御部10は、ステップS108において、前方注視点Pgにおける左右の車線区画線の角度差|θa−θb|が予め設定された角度閾値Δθ以上である場合には自車両の前方に分岐路が実在すると判定してステップS110に進み、角度差|θa−θb|が角度閾値Δθ未満であると判定した場合には別途の検証を行うべくステップS109に進む。
【0046】
ステップS108からステップS109に進むと、前方注視店Pgにおけるレーン幅Wgがレーン幅閾値Wthに所定値αを加算した値以上であるか否かを調べる。すなわち、自車走行レーンの前方に分岐路が実在する場合、自車走行レーンを区画する左右の車線区画線は分岐が完了するまでの一部区間で略平行な状態から遠方に向けて拡開する状態へと変化する。従って、前方注視点Pgが分岐地点に差し掛かっている場合、当該地点におけるレーン幅Wgは、レーン幅閾値Wthよりも所定以上大きくなる。そこで、走行制御部10は、ステップS109において、前方注視点Pgにおけるレーン幅Wgがレーン幅閾値Wthに所定値αを加算した値以上である場合には自車両の前方に分岐路が実在すると判定してステップS110に進み、レーン幅Wgがレーン幅閾値Wthに所定値αを加算した値未満である場合には自車走行レーン前方に分岐路が実在しない可能性があると判定してそのままルーチンを抜ける。
【0047】
ステップS107、ステップS108、或いは、ステップS109からステップS110に進むと、走行制御部10は、実在することが検証された分岐路に対して自車両の進入判定を開始したことを示す分岐路進入判定開始フラグF2を「1」にセットした後、ステップS111に進む。
【0048】
ステップS101或いはステップS110からステップS111に進むと、走行制御部10は、自車両が既に分岐地点を通過したと判断するに十分な距離(より具体的には、ナビゲーションシステムからの位置情報等に基づいて、自車両が本線を走行しているのか或いは分岐路を走行しているのかの別を十分に判断できる距離)まで走行しているか否かを調べる。
【0049】
そして、ステップS111において、走行制御部10は、自車両が分岐地点を通過したと判断するに十分な距離まで走行していると判定した場合にはステップS116に進み、十分な距離まで走行していないと判定した場合にはステップS112に進む。
【0050】
ステップS111からステップS112に進むと、走行制御部10は、自車走行レーンを区画する左右の車線区画線のうち分岐路とは反対側の車線区画線に対する自車両の対区画線ヨー角θy(
図5参照)が角度閾値Pθ以上であるか否かを調べる。ここで、角度閾値Pθは、ステップS106において設定された角度閾値θthに基づいて設定されるものである。
【0051】
そして、ステップS112において、走行制御部10は、対区画線ヨー角θyが角度閾値Pθ未満であると判定した場合にはステップS114に進み、対区画線ヨー角θyが角度閾値Pθ以上であると判定した場合には自車両が分岐路に進入した可能性が高いと判断してステップS113に進む。
【0052】
すなわち、例えば、
図5に示すように、分岐路に進入する際の自車両は分岐路とは反対側の車線区画線の自車側方における接線と自車両の中心軸とのなす角度である対区画線ヨー角θyが大きくなり、この対区画線ヨー角θyは、通常、本線から分岐路が分岐する際の分岐角度(すなわち、ステップS106において設定した角度閾値θthに相当する角度)よりも大きくなる(
図8参照)。そこで、対区画線ヨー角θyが、角度閾値θthに基づいて設定された角度閾値Pθ以上となった場合には、自車両が分岐路に進入した可能性が高いと判断する。
【0053】
但し、自車両は、自車速Vが高いほど(高速であるほど)小さな操舵にて分岐路に進入することが可能であるため、本実施形態における角度閾値Pθは、例えば、
図9に示すように、角度閾値θthを基準として、自車速Vが高いほど小さな値となるよう可変設定される。
【0054】
ステップS112からステップS113に進むと、走行制御部10は、対区画線距離Woがレーン幅閾値Wthの半値以上であるか否かを調べる。すなわち、自車両が本線から分岐路に進入するに十分な対区画線ヨー角θyを有している場合であっても、自車両が分岐路とは反対側の車線区画線寄りに存在する場合、当該対区画線ヨー角θyは、自車両が自車走行レーンからの車線逸脱を防止するための操舵等によって発生したものである可能性がある。その一方で、自車両が分岐路とは反対側の車線区画線から十分に離間している場合、当該対区画線ヨー角θyは、自車両が自車走行レーンから逸脱(すなわち、本線から分岐路へ車線変更)するための操舵等によって発生したものである可能生が高い。
【0055】
そこで、走行制御部10は、ステップS113において、対区画線距離Woを用いた検証を行う。そして、走行制御部10は、ステップS113における検証の結果、対区画線距離Woがレーン幅閾値Wthの半値未満であると判定した場合にはそのままルーチンを抜け、対区画線距離Woがレーン幅閾値Wthの半値以上であると判定した場合にはステップS115に進む。
【0056】
また、ステップS112からステップS114に進むと、走行制御部10は、対区画線幅Woがレーン幅閾値Wth以上であるか否かを調べる。すなわち、例えば、
図10に示すように、自車両が車線変更を行うことなく本線を走行している場合には、対区画線幅Woは、基本的には、レーン幅(レーン幅閾値Wth)の半値の近傍を推移する。その一方で、自車両が分岐路への車線変更を行った場合、対区画線幅Woは、レーン幅閾値Wthを上回ることが予想される。従って、万が一、対区画線ヨー角θyに基づいて自車両が分岐路に進入したことが判定されなかった場合であっても、対区画線幅Woがレーン幅閾値Wth以上となっていれば自車両が既に分岐路に進入済みであることを補完的に判定することが可能である。
【0057】
そこで、走行制御部10は、ステップS114において、対区画線幅Woを用いた補完的な判定を行う。そして、走行制御部10は、ステップS114における判定の結果、対区画線幅Woがレーン幅閾値Wth未満であると判定した場合にはそのままルーチンを抜け、対区画線幅Woがレーン幅閾値Wth以上であると判定した場合にはステップS115に進む。
【0058】
ステップS113或いはステップS114からステップS115に進むと、走行制御部10は、現在、自車両が本線から分岐路へと進入していると判断した後、ステップS116に進む。
【0059】
そして、ステップS111或いはステップS115からステップS116に進むと、走行制御部10は、分岐路検証フラグF1を「0」にクリアするとともに、分岐路進入判定開始フラグF2を「0」にクリアした後、ルーチンを抜ける。
【0060】
また、ステップS102からステップS117に進むと、走行制御部10は、走行制御部10は、自車両が既に地図上の分岐地点(ステップS107〜ステップS109の検証により実在しないと判定された分岐路の分岐地点)を通過したと判断するに十分な距離まで走行しているか否かを調べる。
【0061】
そして、ステップS116において、走行制御部10は、自車両が分岐地点を通過したと判断するに十分な距離まで本線上を走行していると判定した場合にはステップS118に進み、十分な距離まで走行していないと判定した場合にはそのままルーチンを抜ける。
【0062】
ステップS117からステップS118に進むと、走行制御部10は、分岐路検証フラグF1を「0」にクリアした後、ルーチンを抜ける。
【0063】
このような実施形態によれば、分岐路の近傍において、自車走行レーンを区画する左右の車線区画線のうち、分岐路とは反対側の車線区画線に対する自車両の対区画線ヨー角θyが予め設定された角度閾値Pθ以上となったとき、自車両が分岐路に進入したことを判定することにより、自車両の本線から分岐路への進入を精度良く速やかに判断することができる。
【0064】
すなわち、分岐路近傍において、分岐路とは反対側の車線区画線は、分岐路側に存在するゼブラゾーンや車線区画線等と比較して擦れにくく、鮮明に認識することが可能である。また、分岐路とは反対側の車線区画線は、通常、連続した近似曲線等によって認識されるため、仮に一部に擦れ等が発生していたとしても、容易に精度良く認識することが可能である。本実施形態においては、このような特性に着目し、分岐路とは反対側の車線区画線に対する対区画線ヨー角θyに基づいて分岐路への進入判定を行うことにより、自車両の本線から分岐路への進入を精度良く速やかに判断することができる。
【0065】
この場合において、対区画線ヨー角θyが角度閾値Pθ以上であっても、自車両の中央から分岐路とは反対側の車線区画線までの距離である対区画線距離Woが、分岐路よりも手前の自車走行レーンのレーン幅に基づいて設定されたレーン幅閾値Wthの半値未満である場合には、自車両が分岐路に進入したことを判定しないことにより、対区画線ヨー角θyが、分岐路への進入の際に発生したものであるか、或いは、車線逸脱防止等の際に発生したものであるのかの別を的確に切り分けることができる。
【0066】
また、対区画線ヨー角θyが角度閾値Pθ未満であっても、対区画線距離Woがレーン幅閾値Wth以上である場合には自車両が分岐路に進入したことを判定することにより、万が一、対区画線ヨー角θyに基づいて自車両が分岐路に進入したことが判定されなかった場合であっても、対区画線幅Woがレーン幅閾値Wth以上となっていれば自車両が既に分岐路に進入済みであることを補完的に判定することができる。
【0067】
なお、本発明は、以上説明した各実施形態に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であり、それらも本発明の技術的範囲内である。