(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
[粘着テープ1の構成]
図1は、本実施の形態が適用される粘着テープ1の構成の一例を示した図である。
図1に示すように、本実施の形態の粘着テープ1は、アルミニウム箔からなる基材2と、基材2の一方の面に積層される背面層3と、基材2の他方の面に積層される粘着剤層4と、を備えている。
また、図示は省略するが、粘着テープ1は、基材2と粘着剤層4との間に、必要に応じて基材2と粘着剤層4との密着性を改善するためのアンカーコート層等を備えていてもよい。
なお、本実施の形態の粘着テープ1は、剥離ライナーを有していない。このため、粘着テープ1の製造後等に粘着テープ1をロール状に巻き取る場合には、背面層3上に粘着剤層4が直接、積載され、背面層3と粘着剤層4とが接触する。
【0010】
本実施の形態の粘着テープ1は、例えば冷蔵庫等において、冷媒が循環される銅パイプ等の冷媒配管を金属からなる筐体外箱に固定するために用いられる。冷蔵庫等の筐体外箱に対する冷媒配管の固定方法の一例について説明する。まず、巻き出した状態の粘着テープ1によって冷媒配管を冷蔵庫の筐体外箱に貼り付けて固定する。その後、粘着テープ1によって筐体外箱に貼り付けられた冷媒配管の周囲(筐体外箱と内箱との間)に、ポリウレタン発泡剤を注入する。その後、注入されたポリウレタン発泡剤が硬化することで、硬化後のポリウレタン発泡剤(以下、硬化後のポリウレタン発泡剤をポリウレタン発泡体と称する)によって冷媒配管の周囲が埋められ、冷蔵庫の筐体外箱に対して冷媒配管が固定される。
なお、本実施の形態の粘着テープ1は、家庭用の冷蔵庫・冷凍庫の他、業務用の冷蔵庫・冷凍庫や大型の冷蔵室・冷凍室等において冷媒配管を固定する場合にも使用することができる。
【0011】
続いて、本実施の形態の粘着テープ1の各層の構成について説明する。
[基材2]
上述したように、本実施の形態の基材2は、アルミニウム箔により構成される。
基材2の厚さは、6μm以上150μm以下の範囲であることが好ましく、30μm以上80μm以下の範囲であることがより好ましい。
基材2の厚さが6μm未満である場合、粘着テープ1の強度が低下し、粘着テープ1が切断されやすくなる。また、基材2の厚さが6μm未満である場合、粘着テープ1の製造工程において基材2にしわやたるみが生じやすくなり、基材2の加工性が低下するおそれがある。
【0012】
一方、基材2の厚さが150μmよりも厚い場合、粘着テープ1全体の厚さが厚くなるため、粘着テープ1の製造工程や使用時等に、粘着テープ1を切断することが難しくなり、粘着テープ1の取り扱いが困難になるおそれがある。また、基材2の厚さが150μmよりも厚い場合、被着体である冷媒配管に対して、粘着テープ1が追従しにくくなる。この場合、冷蔵庫の筐体外箱から粘着テープ1が浮いて、冷媒配管の固定が不十分になるため、冷蔵庫の振動等によって冷媒配管等が振動し、音鳴りが生じる原因となる場合がある。また、ポリウレタン発泡剤を注入するまでの冷媒配管の固定が困難となって、冷蔵庫の設計通りに冷媒配管を配置することができなくなるおそれがある。
【0013】
本実施の形態の基材2を構成するアルミニウム箔としては、軟質アルミニウム箔および硬質アルミニウム箔のいずれを用いてもよいが、被着体である冷媒配管等の凹凸に対する追従性の観点からは、軟質アルミニウム箔を用いることが好ましい。
基材2として硬質アルミニウム箔を用いた場合、基材2の厚さによっては、被着体である冷媒配管等の凹凸に、粘着テープ1が追従しにくくなる場合がある。
【0014】
ここで、硬質アルミニウム箔とは、加工(圧延)を施して加工硬化させた状態のアルミニウム箔を意味し、例えば加工硬化上がりのアルミニウム箔や、加工硬化後に熱処理を施したアルミニウム箔等が挙げられる。具体的には、JIS規格(JIS H 0001)で用いられる質別記号HX1、HX2、HX3、HX4、HX5、HX6、HX7、HX8、HX9のもの(ただし、X:1〜3)が挙げられる。
【0015】
一方、軟質アルミニウム箔とは、上述した硬質アルミニウム箔以外のアルミニウム箔を意味し、例えば、完全焼き鈍しにより軟化させた状態のアルミニウム箔等が挙げられる。具体的には、JIS規格(JIS H 0001)でO材と称されているものが挙げられる。
【0016】
また、本実施の形態の基材2に用いるアルミニウム箔は、鉄等の不純物を含んでいてもよいが、不純物は少ないほど、言い換えると純度が高いほど好ましい。基材2に用いるアルミニウム箔の純度が低い場合、基材2の柔軟性が低下し、被着体である冷媒配管等の凹凸に、粘着テープ1が追従しにくくなる場合がある。
【0017】
[背面層3]
本実施の形態の背面層3は、水酸基を有する変性ポリオレフィン系樹脂を含有して構成される。また、本実施の形態の背面層3は、水酸基を有する変性ポリオレフィン系樹脂に加えて、非シリコーン系剥離剤を含有することが好ましい。
【0018】
背面層3に含有される水酸基を有する変性ポリオレフィン系樹脂の骨格となるポリオレフィン系樹脂としては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリプロピレンやポリプロピレン−α−オレフィン共重合体が好ましく用いられる。
【0019】
ポリプロピレン−α−オレフィン共重合体のα−オレフィンとしては、例えば、エチレン、1−ブテン、1−ヘプテン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン等が挙げられ、これらのうち1種または数種を用いることができる。
ポリプロピレン−α−オレフィン共重合体におけるポリプロピレンの比率は、特に限定されないが、有機溶剤に対する溶解性の観点から、50モル%以上90モル%以下の範囲であることが好ましい。ポリプロピレンの比率が上記範囲を外れると、有機溶剤に溶解しにくくなり、アルミニウム箔からなる基材2に対して塗工することが難しくなる場合がある。
【0020】
背面層3に含有される水酸基を有する変性ポリオレフィン系樹脂は、例えば、上述した骨格となるポリオレフィン系樹脂に酸基を導入した酸基を有する変性ポリオレフィン系樹脂から得ることができる。具体的には、水酸基を有する変性ポリオレフィン系樹脂は、酸基を有する変性ポリオレフィン系樹脂に二重結合を導入した後に、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸4−ヒドロキシブチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸4−ヒドロキシブチル等の水酸基含有(メタ)アクリル酸系モノマー等をグラフト共重合させることにより得ることができる。
【0021】
背面層3に含有される水酸基を有する変性ポリオレフィン系樹脂の元となる酸基を有する変性ポリオレフィン系樹脂は、上述した骨格となるポリオレフィン系樹脂に、α,β−不飽和カルボン酸やその酸無水物の少なくとも1種をグラフト共重合することにより酸変性して得ることができる。
α,β−不飽和カルボン酸やその酸無水物としては、特に限定されるものではないが、例えば、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、フマル酸、アコニット酸、クロトン酸、イソクロトン酸、アクリル酸やその無水物等が挙げられる。これらは、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。本実施の形態の背面層3では、汎用性の観点から、これらの中でも無水マレイン酸、無水イタコン酸の少なくとも1種を、上記ポリオレフィン系樹脂にグラフト共重合して変性することが好ましい。
【0022】
水酸基を有する変性ポリオレフィン系樹脂の元となる酸基を有する変性ポリオレフィン系樹脂において、ポリオレフィン系樹脂に対するα,β−不飽和カルボン酸やその酸無水物のグラフト重合量は、0.2質量%以上30質量%以下の範囲であることが好ましく、1.0質量%以上10質量%以下の範囲であることがより好ましい。
α,β−不飽和カルボン酸やその酸無水物のグラフト重合量が0.2質量%未満である場合、変性ポリオレフィン系樹脂に導入される水酸基が少なくなるため、有機溶媒に対する溶解性が低くなり、粘着テープ1の製造工程において、背面層3を形成するための塗工液としての安定性が低下するおそれがある。また、α,β−不飽和カルボン酸やその酸無水物のグラフト重合量が0.2質量%未満である場合、背面層3と基材2との密着性や、背面層3とポリウレタン発泡剤との密着性が不十分となるおそれがある。
一方、α,β−不飽和カルボン酸やその酸無水物のグラフト重合量が30質量%を超える場合、未反応物が多くなり、水酸基を有する変性ポリオレフィン系樹脂の低分子量化が避けられなくなる。この場合、背面層3自身の強度が低下するため好ましくない。
【0023】
また、背面層3に含有される水酸基を有する変性ポリオレフィン系樹脂は、(メタ)アクリル酸系モノマーをさらに加えてアクリル変性することにより、極性溶媒に対する溶解性やポリウレタン発泡剤との密着性をより向上させることもできる。
水酸基を有する変性ポリオレフィン系樹脂をアクリル変性する方法としては、例えば、水酸基を有する変性ポリオレフィン系樹脂の変性部分と反応する官能基を有する不飽和結合含有化合物を反応させ、二重結合を導入した後に、(メタ)アクリル酸系モノマーをグラフト共重合する方法が挙げられる。
【0024】
本実施の形態の背面層3に含有される水酸基を有する変性ポリオレフィン系樹脂は、例えば、溶融法や溶液法等の公知の方法により製造することができる。
水酸基を有する変性ポリオレフィン系樹脂としては、市販品を用いてもよく、例えば、三井化学社製のユニストールP801(商品名、固形分水酸基価:40mgKOH/g)、ユニストールP901(商品名、固形分水酸基価:50mgKOH/g)、三菱化学社製のポリテール(商品名、固形分水酸基価:45〜50mgKOH/g)等が挙げられる。
【0025】
背面層3に含有される非シリコーン系剥離剤としては、特に限定されないが、例えば、長鎖アルキル系樹脂、フッ素系樹脂、アクリル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、アルキド系樹脂等が挙げられる。
本実施の形態では、背面層3が非シリコーン系剥離剤を含有することで、非シリコーン系剥離剤を含有しない場合と比較して、粘着剤層4と背面層3とが接着しにくくなり、粘着テープ1の巻き戻し力を小さくすることができる。
水酸基を有する変性ポリオレフィン系樹脂に加えて、非シリコーン系剥離剤を含有する場合、その含有量は、非シリコーン系剥離剤の種類によっても異なるが、粘着テープ1の巻き戻し力およびポリウレタン発泡剤との密着力の兼ね合いにおいて、適宜決定すればよい。例えば、非シリコーン系剥離剤が長鎖アルキル系樹脂の場合、水酸基を有する変性ポリオレフィン系樹脂と長鎖アルキル系樹脂との質量比率は、85/15〜99/1の範囲であることが好ましい。
【0026】
背面層3の厚さは、0.05μm以上10μm以下の範囲であることが好ましい。背面層3の厚さが0.05μm未満である場合、粘着テープ1を巻き回した状態において背面層3と粘着剤層4とが接着して一体化し、粘着テープ1を巻き戻すことができなくなるおそれがある。
一方、背面層3の厚さが10μmを超える場合には、粘着テープ1を巻き戻した際に、粘着剤層4により背面層3が基材2から剥がされるおそれがある。また、背面層3の厚さが10μmを超える場合には、材料コストが高くなりやすい。さらに、背面層3の厚さが10μmを超える場合には、背面層3を構成する材料によっては、ブロッキングが生じるおそれがある。
【0027】
[粘着剤層4]
本実施の形態の粘着剤層4は、ウレタン系粘着剤、アクリル系粘着剤、アクリルウレタン系粘着剤、シリコーン系粘着剤から選ばれる少なくとも1種から構成される。
これらの中でも、粘着テープ1の被着体である冷媒配管等の固定が可能で、粘着テープ1を巻き戻す際の巻き戻し力が過度に高くない、アクリルウレタン系粘着剤あるいはウレタン系粘着剤から選ばれる1種を粘着剤層4に用いることが好ましく、さらにはアクリルウレタン系粘着剤を用いることがより好ましい。
【0028】
<ウレタン系粘着剤>
粘着剤層4に用いられるウレタン系粘着剤は、その構成を特に限定されるものではないが、例えば、(1)ポリオールを主成分とし、ポリイソシアネート化合物を硬化成分(架橋剤)として含有する粘着剤組成物、あるいは(2)ポリオールとポリイソシアネート化合物を予めウレタン反応させることにより得られたウレタンプレポリマーを主成分とし、ポリイソシアネート化合物等を硬化成分(架橋剤)として含有する粘着剤組成物等からなる。上記ウレタン系粘着剤は、必要に応じて、硬さを調整するための可塑剤として脂肪酸エステル等を添加して用いることができる。
【0029】
(ポリオール)
上記(1)(2)のウレタン系粘着剤組成物に用いられるポリオールとしては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリカーボネートポリオール等を挙げることができる。これらは、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0030】
(ポリイソシアネート化合物)
上記(1)(2)のウレタン系粘着剤組成物に用いられるポリイソシアネート化合物としては、特に限定されるものではないが、例えば、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート等を挙げることができる。これらは、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0031】
芳香族ポリイソシアネートとしては、1,3−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’−トルイジンジイソシアネート、2,4,6−トリイソシアネートトルエン、1,3,5−トリイソシアネートベンゼン、ジアニシジンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、4,4’,4’’−トリフェニルメタントリイソシアネート等を挙げることができる。
【0032】
脂肪族ポリイソシアネートとしては、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、1,2−プロピレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等を挙げることができる。
【0033】
芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、ω,ω’−ジイソシアネート−1,3−ジメチルベンゼン、ω,ω’−ジイソシアネート−1,4−ジメチルベンゼン、ω,ω’−ジイソシアネート−1,4−ジエチルベンゼン、1,4−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,3−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等を挙げることができる。
【0034】
脂環族ポリイソシアネートとしては、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート、1,3−シクロペンタンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等を挙げることができる。
【0035】
ポリイソシアネート化合物としては、さらに、上記ポリイソシアネート化合物のトリメチロールプロパンアダクト体、イソシアヌレート環を有する3量体、水と反応したビュウレット体等も挙げられる。このようなポリイシシアネート化合物としては、市販品を使用することができ、具体的には、東ソー社製のコロネートL、コロネートL−55E、コロネートL−45E、コロネートHL、コロネートHX(いずれも商品名)、綜研化学社製の硬化剤L−45(商品名)等が使用されるが、特に、これらに限定されるものではない。
【0036】
なお、上記(2)のウレタン系粘着剤組成物については、上記ポリイソシネート化合物に替えて、上記ウレタンプレポリマーの官能基に合わせて、後述するエポキシ系、金属キレート系、多官能アクリレート系等の架橋剤を1種あるいは2種以上混合したもの等を硬化成分(架橋剤)として使用することもできる。
【0037】
(脂肪酸エステル)
ウレタン系粘着剤組成物の硬さの調整に用いられる脂肪酸エステルとしては、特に限定されるものではないが、例えば、ラウリン酸メチル、ミリスチン酸メチル、パルミチン酸メチル、ステアリン酸メチル、オレイン酸メチル、エルカ酸メチル、ラウリン酸ブチル、ステアリン酸ブチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸オクチル、ステアリン酸オクチル、オレイン酸オクチル、ステアリン酸イソオクチル等が挙げられる。
【0038】
(溶剤)
また、ウレタン樹脂は、通常、上述したポリウレタンポリオール、イソシアネート系架橋剤および脂肪酸エステル等を、溶剤に溶解して調整される。
ウレタン樹脂の調整に用いられる溶剤としては、例えば、トルエン、ベンゼン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、アセトン、またはこれらの混合溶剤等を挙げることができる。
【0039】
<アクリル系粘着剤>
粘着剤層4に用いられるアクリル系粘着剤は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体と極性基含有単量体との共重合体と、架橋剤とからなる。アクリル系粘着剤を用いる場合、アクリル系粘着剤中の溶剤(例えば、トルエン、酢酸エチル、キシレン、n−ヘキサン等)または水を乾燥させることで、粘着剤層4を形成する。または、アクリル系粘着剤中の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体、極性基含有単量体および多官能アクリレートに、光重合開始剤(例えば、BASFジャパン社製のイルガキュア184、イルガキュア651、イルガキュア369、イルガキュア819(いずれも商品名)、チャイテック社製のChivacure TPO、Chivacure107、Chivacure173、Chivacure1256(いずれも商品名)等)を0.001重量部〜5.0重量部添加し、紫外線(UV)重合させることで、粘着剤層4を形成する。
【0040】
(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体と極性基含有単量体との共重合体とは、例えば、アクリル酸2−エチルヘキシルとアクリル酸との共重合体、アクリル酸イソオクチルとメタクリル酸2−ヒドロキシエチルとの共重合体、アクリル酸ブチルとアクリル酸とメタクリル酸2−ヒドロキシエチルとの三元共重合体等が使用されるが、特に、これらに限定されるものではない。
【0041】
((メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体)
上述した(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体としては、例えば、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、イソオクチル基、ノニル基、イソノニル基、デシル基などで代表される通常、炭素数が20以下のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸のエステル等が挙げられる。なお、上記した(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、単独もしくは2種以上で使用される。
【0042】
(極性基含有単量体)
上述した極性基含有単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸ジメチルアミノエチル、アクリロニトリル、アクリル酸−β−カルボキシエチル(β−CEA)、メタクリロニトリル、N−ビニル−2−ピロリドン等で代表される、分子中にカルボキシル基、水酸基、アミノ基等の極性基を有する重合性不飽和単量体等が挙げられる。
【0043】
(粘着付与剤)
また、アクリル系粘着剤層の粘着付与剤とは、耐候性の高い水素化ロジン樹脂(完全水素化ロジン樹脂)、脂肪族完全飽和炭化水素樹脂、水素化テルペン樹脂(完全水素化テルペン樹脂)またはシランカップリング剤であって、具体的には、荒川化学工業社製のパインクリスタルKE−100、パインクリスタルKE−311、パインクリスタルKE−359、パインクリスタルKE−604、アルコンP−70、アルコンP−100、アルコンP−115、アルコンP−125、アルコンP−140(いずれも商品名)、ヤスハラケミカル社製のクリアロンP−85、クリアロンP−105、クリアロンP−115、クリアロンP−125、クリアロンM−105、クリアロンK−100、クリアロンK−110(いずれも商品名)および東レ・ダウコーニング社製のシランカップリング剤Z−6011、Z−6020、Z−6050、Z−6041、Z−6044、Z−6920、Z−6075、Z−6300、Z−6825、Z−6033、Z−6062、Z−6860(いずれも商品名)等が使用されるが、特に、これらに限定されるものではない。
【0044】
(架橋剤)
また、アクリル系粘着剤層の架橋剤とは、例えば、分子中にイソシアネート基(ポリイソシアネート)、グリシジル基(エポキシ樹脂)等の官能基を2個以上持つもの、イソシアネート基(ポリイソシアネート)含有化合物とポリオール化合物との反応物でポリウレタン骨格を有し、末端にイソシアネート等の官能基を2個以上持つもの、または、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート等の多官能アクリレート、または、金属キレート化合物が存在する。具体的には、東ソー社製のコロネートL、コロネートL−55E、コロネートL−45E(いずれも商品名)、三菱瓦斯化学社製のTETRAD−C、TETRAD−X(いずれも商品名)、綜研化学社製の硬化剤L−45、硬化剤E−AX、硬化剤E−5C、硬化剤E−100X、硬化剤M−5、硬化剤M−5A(いずれも商品名)、新中村化学工業社製のA−HD−NA−1000(商品名)等が使用されるが、特に、これらに限定されるものではない。
【0045】
<アクリルウレタン系粘着剤>
粘着剤層4に用いられるアクリルウレタン系粘着剤は、その構成を特に限定されるものではないが、例えば、(1)(メタ)アクリル系ポリオールを主成分とし、ポリイソシアネート化合物を硬化成分(架橋剤)として含有する粘着剤組成物、(2)(メタ)アクリル系ポリオールとポリイソシアネート化合物を予めウレタン反応させることにより得られた(メタ)アクリルウレタンプレポリマーを主成分とし、ポリイソシアネート化合物等を硬化成分(架橋剤)として含有する粘着剤組成物等からなるものが挙げられる。また、本願発明におけるアクリルウレタン系粘着剤は、(3)上記ウレタン系粘着剤の説明で例示した主成分と上記アクリル系粘着剤の説明で例示した主成分とを混合したものを主成分とし、ポリイソシアネート化合物等を硬化成分(架橋剤)として含有させ、最終的にウレタン系粘着剤の主成分とアクリル系粘着剤の主成分とを硬化成分(架橋剤)を介して架橋反応させることが可能な粘着剤組成物からなるものであっても良い。
アクリルウレタン系粘着剤を用いる場合、アクリルウレタン系粘着剤中の溶剤(例えば、トルエン、酢酸エチル、キシレン、n−ヘキサン等)を乾燥させることで、粘着剤層4を形成する。
【0046】
((メタ)アクリル系ポリオール)
上記(1)(2)のアクリルウレタン系粘着剤組成物に用いられる(メタ)アクリル系ポリオールとしては、特に限定されるものではないが、例えば、極性基として少なくともヒドロキシル基を有する(メタ)アクリル系単量体を重合してヒドロキシル基を導入した(メタ)アクリル系ポリオールや、(メタ)アクリル系ポリマーを変性して極性基として少なくともヒドロキシル基を導入した(メタ)アクリル系ポリマーポリオール等が挙げられる。通常は、ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリル系単量体を重合してヒドロキシル基を導入した(メタ)アクリル系ポリオールが好ましく用いられる。具体的には、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、ポリオキシプロピレン(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリル系単量体の内の1種以上を他の共重合性単量体と共重合させて得られたものを使用することができる。
【0047】
水酸基含有(メタ)アクリル系単量体と共重合させる他の共重合性単量体の例としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香族系ビニルモノマー、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、iso−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート類、マレイン酸、フマル酸もしくはイタコン酸等の不飽和ジカルボン酸と1価アルコールとのジエステル類、酢酸ビニル、安息香酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ラウリン酸ビニル等のビニルエステル類やビニルエーテル類が挙げられる。
【0048】
上記(3)のアクリルウレタン系粘着剤組成物に用いられるウレタン系粘着剤の主成分としては、上記ウレタン系粘着剤の説明にて例示したポリオールやウレタンプレポリマーと同様のものを用いることができる。
また、(3)のアクリルウレタン系粘着剤組成物に用いられるアクリル系粘着剤の主成分としては、上記アクリル系粘着剤の説明にて例示した(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体と極性基含有単量体との共重合体と同様のものを用いることができる。
【0049】
(配合割合)
粘着剤層4に用いる上記(3)のアクリルウレタン系粘着剤組成物において、ウレタン系粘着剤の主成分(Aとする)とアクリル系粘着剤の主成分(Bとする)との質量比率(A/B)は、目的とする特性によっても異なるが、90/10〜10/90の範囲が好ましく、80/20〜20/80の範囲であることがより好ましい。
【0050】
(ポリイソシアネート化合物)
上記(1)(2)(3)のアクリルウレタン系粘着剤組成物に用いられるポリイソシアネート化合物としては、上記ウレタン系粘着剤の説明にて例示したポリイソシアネート化合物と同様のものを用いることができる。
【0051】
なお、上記(2)(3)のアクリルウレタン系粘着剤組成物については、上記ポリイソシネート化合物に替えて、主成分の官能基に合わせて、上記アクリル系粘着剤の説明にて例示したエポキシ系、金属キレート系等の架橋剤を1種あるいは2種以上混合したものを硬化成分(架橋剤)として使用することもできる。さらに、例えば、メチル化トリメチロールメラミン、ブチル化ヘキサメチロールメラミン等のメラミン化合物を硬化成分(架橋剤)として使用することもできる。
【0052】
(添加剤)
粘着剤層4に用いるアクリルウレタン系粘着剤組成物は、必要に応じて、粘着付与剤、充填剤、着色剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、消泡剤、光安定剤等の添加剤を含んでいてもよい。
【0053】
<シリコーン系粘着剤>
粘着剤層4に用いられるシリコーン系粘着剤組成物は、その構成を特に限定されるものではないが、例えば、(1)付加反応型シリコーン系粘着剤を主成分として含有する粘着剤組成物、(2)過酸化物硬化型シリコーン系粘着剤を主成分として含有する粘着剤組成物等からなる。これら(1)(2)は、単独で用いてもよく、併用してもよい。
【0054】
上記(1)の付加反応型シリコーン系粘着剤組成物に用いられる付加反応型シリコーン系粘着剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、信越化学工業社製のKR3700、KR3701、X−40−3237−1、X−40−3240、X−40−3291−1、X−40−3229、X−40−3270、X−40−3306(いずれも商品名)や、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製のTSR1512、TSR1516、XR37−B9204(いずれも商品名)や、東レ・ダウコーニング社製のSD4584、SD4585、SD4560、SD4570、SD4600PFC、SD4593(いずれも商品名)等を用いることができる。
【0055】
上記付加反応型シリコーン系粘着剤を架橋するための架橋剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、信越化学工業社製のX−92−122(商品名)や、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製のCR50(商品名)や、東レ・ダウコーニング社製のBY24−741(商品名)等を用いることができる。
【0056】
上記(2)の過酸化物硬化型シリコーン系粘着剤組成物に用いられる過酸化物硬化型シリコーン系粘着剤としては、信越化学工業社製のKR100、KR101−10(いずれも商品名)や、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製のYR3340、YR3286、PSA610−SM、XR37−B6722(いずれも商品名)や、東レ・ダウコーニング社製のSH4280(商品名)等を用いることができる。
【0057】
過酸化物硬化型シリコーン系粘着剤を架橋するための架橋剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、ベンゾイールペルオキシド、ジクミルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、1,1′−ジ−t−ブチルペルオキシ−3,3,5−トリメチレンシクロヘキサン、1,3−ジ−(t−ブチルペルオキシ)−ジイソプロピルベンゼン等が挙げられる。
【0058】
粘着剤層4の厚さは、10μm以上であることが好ましく、50μm以上であることがより好ましい。粘着剤層4の厚さが10μm未満である場合、粘着剤層4による粘着力が低くなりやすく、粘着テープ1の被着体に対する粘着力が不十分になるおそれがある。
さらに、粘着剤層4の厚さは、100μm以下であることが好ましく、80μm以下であることがより好ましい。粘着剤層4の厚さが100μmよりも厚い場合、粘着テープ1において粘着剤層4を構成する粘着剤が基材2の周縁からはみ出すおそれがある。この場合、粘着テープ1の外観が悪化したり、粘着剤層4が劣化しやすくなったりするおそれがある。
また、基材2との関係を考慮すると、粘着剤層4の厚さは、基材2の厚さと同程度であることが好ましい。
【0059】
以上説明したように、本実施の形態の粘着テープ1は、アルミニウム箔からなる基材2と、基材2の一方の面上に積層され、水酸基を有する変性ポリオレフィン系樹脂を含有する背面層3と、基材2の他方の面上に積層され、アクリル系粘着剤、アクリルウレタン系粘着剤、ウレタン系粘着剤およびシリコーン系粘着剤の少なくとも1種からなる粘着剤層4とを有する。
【0060】
そして、このような構成を有することで、本実施の形態の粘着テープ1では、背面層3が、粘着剤層4に対しては剥離性を有するとともに、ポリウレタン発泡体に対しては密着性を向上させる機能を有する。
これにより、粘着テープ1を冷蔵庫における冷媒配管の固定に用いた場合に、粘着テープ1の背面層3とポリウレタン発泡体の間の密着性が良好となる。この結果、冷蔵庫の使用中に粘着テープ1とポリウレタン発泡体とが剥がれることが抑制され、例えば冷蔵庫の圧縮機や冷却ファンのモータ等の振動によって音鳴りを引き起こす等の問題の発生が抑制される。
【0061】
さらに、本実施の形態の粘着テープ1では、粘着テープ1を、剥離ライナーを用いずにロール状に巻き取った場合であっても、粘着剤層4と背面層3とが接着して一体化することが抑制される。これにより、ロール状に巻かれた粘着テープ1を巻き戻す際に必要な力(巻き戻し力)が過度に大きくなることが抑制され、粘着テープ1の使用時に、粘着テープ1が巻き戻せなくなる等の問題の発生が抑制される。
【0062】
また、本実施の形態の粘着テープ1では、粘着剤層4と背面層3とが一体化することを抑制するために剥離ライナー等を用いる必要がない。このため、剥離ライナーを用いる場合と比較して、廃棄物を減らすことができ、省資源化に繋がる。また、粘着テープ1の使用時に粘着テープ1を剥離ライナーから剥離するという作業を省略できるため、粘着テープ1の使用性が向上する。
【0063】
[粘着テープ1の製造方法]
続いて、本実施の形態の粘着テープ1の製造方法の一例について説明する。粘着テープ1は、例えば基材2上に粘着剤層4を形成した後、基材2における粘着剤層4を形成した面とは反対側の面に背面層3を形成することにより、製造することができる。
【0064】
具体的に説明すると、まず、粘着剤層4を構成する粘着剤組成物を作製する。この粘着剤組成物を、アルミニウム箔からなる基材2の一方の面に、乾燥後の厚さが均一となるように、コンマコータ等を用いて塗布する。次いで、基材2に塗布した粘着剤組成物を予め定めた温度で加熱することで乾燥させ、粘着剤層4を形成する。そして、剥離フィルムを粘着剤層4に貼合して巻き取り、所定の条件でエージングする。
【0065】
続いて、基材2の粘着剤層4を形成した面とは反対側の面(他方の面)に、背面層3を構成する水酸基を有する変性ポリオレフィン系樹脂を、グラビアロール等で塗布する。次いで、基材2に塗布した水酸基を有する変性ポリオレフィン系樹脂を、予め定めた温度で加熱することにより乾燥させ、背面層3を形成する。その後、背面層3が外周側となるように巻き取る。粘着剤層4に貼合された剥離フィルムは、この巻き取りの際に、剥離除去される。剥離除去された剥離フィルムは、再度利用することも可能である。
【0066】
あるいは、粘着剤層4と背面層3とを形成する順序を逆にして粘着テープ1を製造してもよい。具体的には、アルミニウム箔からなる基材2の一方の面に、背面層3を構成する水酸基を有する変性ポリオレフィン系樹脂を、グラビアロール等で塗布する。次いで、基材2に塗布した水酸基を有する変性ポリオレフィン系樹脂を、予め定めた温度で加熱することにより乾燥させ、背面層3を形成する。そして、背面層3を形成した基材2を、背面層3が外周側となるように巻き取る。
【0067】
続いて、粘着剤層4を構成する粘着剤組成物を作製する。この粘着剤組成物を、基材2の背面層3を形成した面とは反対側の面(他方の面)に、乾燥後の厚さが均一となるように、コンマコータ等を用いて塗布する。次いで、基材2に塗布した粘着剤組成物を予め定めた温度で加熱することで乾燥させ、粘着剤層4を形成する。そして、背面層3および粘着剤層4を形成した基材2を、背面層3が外周側となるように巻き取り、所定の条件でエージングする。この際、必要に応じて剥離フィルムを粘着剤層4に貼合して巻き取ってもよい。剥離フィルムを使用した場合は、エージング後に再度巻き直しを行って、剥離フィルムを剥離除去すればよい。剥離除去された剥離フィルムは、再度利用することも可能である。
以上の工程により、アルミニウム箔からなる基材2の一方の面に背面層3が積層され、他方の面に粘着剤層4が積層された、本実施の形態の粘着テープ1が得られる。
【0068】
なお、粘着テープ1の製造方法は上述した方法に限定されるものではない。例えば、基材2に対して、背面層3を構成する水酸基を有する変性ポリオレフィン系樹脂と粘着剤層4を構成する粘着剤組成物とを同時に塗工してもよい。
【実施例】
【0069】
続いて、本発明を実施例に基づいてより詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
1.粘着テープ1の作製
(実施例1)
アクリルウレタン系粘着剤“LMS−102”(商品名、藤倉化成社製、固形分濃度:30重量%)100重量部にイソシアネート系架橋剤“コロネート L−55E”(商品名、東ソー社製、固形分濃度:55重量%)2重量部を加えて攪拌し、粘着剤組成物溶液aを作製した。次いで、粘着剤組成物溶液aを、JIS H 4160に準拠する軟質アルミニウム箔(厚さ50μm)からなる基材2の表面に、乾燥後の厚さが20μmとなるように、コンマコータを用いて塗布した。
続いて、基材2に塗布した粘着剤組成物溶液aを、温度110℃で180秒間加熱し、粘着剤組成物溶液aを乾燥させることで、基材2上に粘着剤層4が積層された積層体を得た。その後、積層体の粘着剤層4の面に、片面シリコーン離型処理ポリエステル(剥離PET)フィルムの剥離処理面を貼り合わせて巻き取り、40℃で72時間エージングした。
【0070】
続いて、水酸基を有する変性ポリオレフィン系樹脂“ユニストールP801”(商品名、三井化学社製、固形分濃度:16重量%、固形分水酸基価40mgKOH/g)25重量部を、トルエン475重量部に溶解させて、樹脂溶液Aを作製した。
次いで、巻き取った積層体を巻き戻しながら、樹脂溶液Aを、基材2のうち粘着剤層4が形成されたのとは反対側の面に、バーコータを用いて塗布した。続いて、基材2上に塗布した樹脂溶液Aを110℃で2分間加熱し、樹脂溶液Aを乾燥させ、巻き取り直前に剥離PETフィルムを剥離除去することで、軟質アルミニウム箔からなる基材2の一方の面に厚さが0.08μmの背面層3が積層され、他方の面に厚さが20μmの粘着剤層4が積層された粘着テープ1を得た。
【0071】
(実施例2)
非シリコーン系剥離剤“ピーロイル1010”(商品名、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ社製、粉末)0.4重量部を、トルエン/ホワイトガソリン混合溶媒99.6重量部に溶解させた樹脂溶液に、水酸基を有する変性ポリオレフィン系樹脂“ユニストールP801”(商品名、三井化学社製、固形分濃度:16重量%、固形分水酸基価40mgKOH/g)25重量部を加えて攪拌し、樹脂溶液Bを作製した。
樹脂溶液Aに替えて樹脂溶液Bを用い、背面層3の厚さを0.20μmとした以外は実施例1と同様にして、粘着テープ1を得た。
【0072】
(実施例3)
ウレタン系粘着剤“オリバイン SP−205”(商品名、トーヨーケム社製、固形分濃度:50重量%)100重量部に、イソシアネート系架橋剤“コロネート L−55E”(商品名、東ソー社製、固形分濃度:55重量%)1重量部を酢酸エチル2重量部に溶解させた溶液を加えて攪拌し、粘着剤組成物溶液bを作製した。
粘着剤組成物溶液aに替えて粘着剤組成物溶液bを用いた以外は実施例1と同様にして、粘着テープ1を得た。
【0073】
(実施例4)
付加反応型シリコーン系粘着剤“SD4580”(商品名、東レ・ダウコーニング社製、固形分濃度:60重量%)100重量部に、付加反応型シリコーン系粘着剤用架橋剤“BY−24−741”(商品名、東レ・ダウコーニング社製)1重量部をトルエン2重量部に溶解させた溶液を加えて攪拌し、粘着剤組成物溶液cを作製した。
粘着剤組成物溶液aに替えて粘着剤組成物溶液cを用い、剥離PETフィルムとして片面フロロシリコーン離型処理ポリエステルフィルムを用い、乾燥温度を140℃とした以外は、実施例1と同様にして、粘着テープ1を得た。
【0074】
(実施例5)
アクリル系粘着剤“SKダイン1415”(商品名、綜研化学社製、固形分濃度:30重量%)100重量部に、イソシアネート系架橋剤“硬化剤L−45”(商品名、綜研化学社製、固形分濃度:45重量%)1重量部を酢酸エチル3重量部に溶解させた溶液を加えて攪拌し、粘着剤組成物溶液dを作製した。
粘着剤組成物溶液aに替えて、粘着剤組成物溶液dを用いた以外は実施例1と同様にして、粘着テープ1を得た。
【0075】
(実施例6)
背面層3の乾燥後の厚みを0.04μmとした以外は実施例1と同様にして、粘着テープ1を得た。
【0076】
(実施例7)
背面層3の乾燥後の厚みを0.16μmとした以外は実施例1と同様にして、粘着テープ1を得た。
【0077】
(実施例8)
基材2としてJIS H 4160に準拠する硬質アルミニウム箔(厚さ50μm)を用いた以外は実施例1と同様にして、粘着テープ1を得た。
【0078】
(比較例1)
基材2上に背面層3を設けなかった以外は実施例1と同様にして、粘着テープ1を得た。
【0079】
(比較例2)
酸基を有する変性ポリオレフィン系樹脂“ユニストールP802”(商品名、三井化学社製、固形分濃度:22重量%、固形分酸価:55mgKOH/g)18重量部を、トルエン482重量部に溶解させて、樹脂溶液Cを得た。
樹脂溶液Aに替えて樹脂溶液Cを用いた以外は実施例1と同様にして、粘着テープ1を得た。
【0080】
(比較例3)
天然ゴム100重量部、ポリβ−ピネン樹脂75重量部、鉱物系オイル5重量部、老化防止剤2重量部を、トルエン350重量部に溶解させて、粘着剤組成物溶液eを作製した。
粘着剤組成物溶液aに替えて粘着剤組成物溶液eを用いた以外は実施例1と同様にして、粘着テープ1を得た。
【0081】
(比較例4)
ポリオレフィン樹脂“ペトロセン203”(商品名、東ソー社製)を、基材2上に厚さが1.8μmとなるように熱ラミネートすることで背面層3を形成した以外は実施例1と同様にして、粘着テープ1を得た。
【0082】
2.評価方法
続いて、粘着テープ1の評価方法について説明する。
(1)巻き戻し力の測定、および巻戻し時における基材2の切れの評価
JIS Z 0237(2009)の低速巻き戻し力試験に基づいて、低速巻き戻し力を測定した。また、低速巻き戻し力を測定した際、粘着テープ1の端部における基材2の切れの有無を確認し評価した。基材2の切れは、基材2の端部に切れ目が生じないものを「なし」、基材2の端部に切れが生じたものを「あり」と評価した。
【0083】
(2)背面層3とポリウレタン発泡体との密着力の測定
粘着剤層4にPETフィルムを貼り合わせた後、背面層3が上方に向いた状態で、粘着テープ1を箱(内寸:50mm×150mm×10mm)に配置し、箱内にポリウレタン発泡剤を充填し、発泡・硬化させた。そして、硬化させたポリウレタン発泡剤(硬化後のポリウレタン発泡剤をポリウレタン発泡体と称する)を取り出し、粘着テープ1を粘着剤層4側から180°方向にピールした際のピール力(背面層3とポリウレタン発泡体との密着力)を測定した。
【0084】
(3)粘着力の測定
JIS Z 0237(2009)に記載される方法で、ステンレス板に対する粘着力を測定した。
【0085】
3.評価結果
続いて、実施例1〜実施例8、および比較例1〜比較例3のそれぞれの粘着テープ1の評価結果を表1および表2に示す。
【0086】
【表1】
【0087】
【表2】
【0088】
表1に示すように、アルミニウム箔からなる基材2と、水酸基を有するポリオレフィン系樹脂を含む背面層3と、アクリル系粘着剤、アクリルウレタン系粘着剤、ウレタン系粘着剤およびシリコーン系粘着剤の少なくとも1種を含む粘着剤層4とを備える実施例1〜実施例8の粘着テープ1では、巻き戻し力、巻き戻し時の基材2の切れ、ポリウレタン発泡体との密着力、および粘着力のいずれの評価試験においても、良好な結果が得られることが確認された。特に、粘着剤としてアクリルウレタン系粘着剤またはウレタン系粘着剤を用いた実施例1〜3、6〜8の粘着テープ1では、巻き戻し力が小さく、より好ましいことが確認された。
【0089】
これに対し、基材2に背面層3を設けていない比較例1の粘着テープ1では、実施例1〜8と比較して、巻き戻し力が大きくなり、巻き戻し時に基材2が切れる結果となった。
また、背面層3が水酸基を有するポリオレフィン系樹脂ではなく酸基を有する変性ポリオレフィン系樹脂を含有する比較例2の粘着テープでは、ポリウレタン発泡体との密着力は大きかったものの、粘着剤層4と背面層3との密着力が高くなり過ぎ、比較例1と同様に、巻き戻し力が大きくなり、巻き戻し時に基材2が切れる結果となった。
【0090】
さらに、粘着剤層4がゴム系粘着剤を含む比較例3の粘着テープ1では、粘着剤層4と背面層3との密着力が高くなり過ぎ、巻き戻し力が大きくなり、巻き戻し時に基材2が切れる結果となった。
さらにまた、背面層3が水酸基を有するポリオレフィン系樹脂ではなく非変性のポリオレフィン系樹脂を含有する比較例4の粘着テープ1では、巻き戻し力が低く容易に巻き戻すことができたものの、ポリウレタン発泡体との密着性が低く、冷蔵庫の冷媒配管を固定する用途に適さないことが確認された。