(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の導波管・マイクロストリップ線路変換器は、導波管を用いているため、変換器全体の大きさが大きい。これは、導波管の場合、電磁波が伝搬するための導波路として、導波管内部に側壁に覆われた中空部を設ける必要があるためである。よって、電力変換器の小型化を達成するのが困難である。
【0006】
そこで、本発明は、小型化された電力変換器及びその電力変換器を有するアンテナを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一観点に係る電力変換器は、第1基板と、第1伝送パターンと、結合素子と、第1伝送グラウンドと、第2基板と、整合素子と、離隔パターンと、第2伝送グラウンドと、第2伝送パターンと、固定部材とを備える。
【0008】
第1基板は、第1面、及び当該第1面とは反対側に配置される第2面を有する。第1伝送パターンは、第1面に配置される。結合素子は、第1面に配置され、第1伝送パターンの端部に接続される。第1伝送グラウンドは、第2面において、少なくとも一部が第1伝送パターン及び結合素子と対応する位置に配置され、第1伝送パターン及び結合素子とともに電磁波の反射壁を構成する。第2基板は、第1基板の第1面と対向する第3面、及び当該第3面とは反対側に配置される第4面を有する。整合素子は、第3面において、結合素子と対向する位置に配置され、当該結合素子と電磁的に結合する。離隔パターンは、第3面に配置され、整合素子から離隔し、当該整合素子の周囲の少なくとも一部に配置され、整合素子からの電磁波の漏出を抑制する。第2伝送グラウンドは、第3面に配置される。第2伝送パターンは、第4面において、整合素子及び第2伝送グラウンドと対応する位置に配置され、整合素子及び第2伝送グラウンドとともに電磁波の反射壁を構成する。固定部材は、第1基板と第2基板とを固定している。なお、固定部材は、両基板を接着剤等により接着する接着部材、両基板を所定の位置に固定する固定部材、及び両基板を所定の位置に固定し、かつ両基板から脱着可能な固定部材など、両基板を一時的又は永続的に固定する部材を含むものを意味する。
【0009】
上記構成により、以下の効果を得ることができる。まず、この電力変換器では、第1基板を挟んで、第1伝送パターン及び結合素子と、第1伝送グラウンドとが、電磁波の伝送線路であるマイクロストリップ線路を構成している。一方、第2基板を挟んで、第2伝送グラウンド及び整合素子と、第2伝送パターンとが、電磁波の伝送線路であるマイクロストリップ線路を構成している。電磁波は、第1基板のマイクロストリップ線路によって結合素子に伝送された後、第2基板に放射され、さらに第2基板のマイクロストリップ線路により、第2伝送パターンに沿って伝送される。そして、第2基板の第2伝送パターンから、第1基板の第1伝送パターンへの電磁波の伝送は、前述とは逆の順序で行われる。
【0010】
つまり、上記電力変換器によれば、第1基板の伝送線路と、第2基板の伝送線路との間で電力変換が行われる。これら伝送線路は、各基板の両面のパターンにより形成できるため、電力変換器の薄型化及び小型化を達成できる。したがって、例えば内部に中空部を形成する必要のある導波管に比べて薄型でかつ小型にすることができる。
【0011】
また、上記電力変換器では、整合素子から離隔した位置に離隔パターンが設けられている。この離隔パターンの端面を基準として第2基板の実効誘電率が変化し、それによって整合素子から漏出して第2基板内を伝搬する電磁波が反射される。よって、整合素子から放射された電磁波が第2基板及び空気中等内に広がり、不要放射されるのを抑えることができる。その結果、電力損失を抑制し、効率の良い電力変換器を得ることができる。
【0012】
上記電力変換器においては、第1及び第2伝送パターンは、少なくとも一部が、第1及び第2基板の面方向に沿う第1方向に延びるように形成できる。この場合、離隔パターンは、第1及び第2基板の面方向において、整合素子に対して、第1伝送パターンとは反対側に離隔して、第1方向と交差する第2方向に延びる第1パターンを含む。
【0013】
これにより、第1方向に延びる第1伝送パターン又は第2伝送パターンを経て、整合素子から主として第1方向の電磁波が放射される。第1パターンは、第1方向と交差する第2方向に延びており、この第1パターンの端面を基準として第2基板の実効誘電率が変化する。この実効誘電率の変化によって整合素子から漏出して第2基板内を伝搬する電磁波が反射される。つまり、第2方向に延びる第1パターンは、主に、整合素子から放射され第2基板内を伝搬する第1方向の電磁波を反射する。これにより整合素子からの電磁波が第2基板内及び空気中等に広がるのを抑制し、電力損失を抑制できる。
【0014】
上記電力変換器においては、第1パターンにおける電磁波の管内波長をλfとすると、第1幅は、1/4λfの奇数倍とできる。
この場合、第1パターンにおいては定在波が形成され、第1パターンのうち、整合素子に近い端面においては定在波の節が位置し、整合素子から遠い端面においては定在波の腹が位置する。定在波の節が位置する端面では、整合素子側から第1パターン側に向かうインピーダンスがゼロ、つまり電位がゼロとなりショートした状態となる。一方、定在波の腹が位置する端面では、整合素子側から第1パターンの外方に向かうインピーダンスが無限大となる。これにより、整合素子から漏出した第1方向の電磁波が第2基板内及び空気中等に広がるのを抑制し、電力損失を抑制できる。
【0015】
上記電力変換器においては、離隔パターンは、第1及び第2基板の面方向において、整合素子に対して、第1伝送パターン側に離隔して、第2方向に延びる第2パターンを含むことができる。
上記の第2方向に延びる第2パターンは、第1パターンと同様に第2基板の実効誘電率の変化を生じさせる。この実効誘電率の変化によって整合素子から漏出して第2基板内を伝搬する電磁波が反射される。つまり、第2方向に延びる第2パターンは、主に、整合素子から放射され第2基板内を伝搬する第1方向の電磁波を反射する。これにより整合素子からの電磁波が第2基板内及び空気中等に広がるのを抑制し、電力損失を抑制できる。
【0016】
上記電力変換器においては、第2パターンにおける電磁波の管内波長をλgとすると、第2幅は、1/4λgの奇数倍とできる。この場合、第2パターンにおいては定在波が形成され、第2パターンのうち、整合素子に近い端面においては定在波の節が位置し、整合素子から遠い端面においては定在波の腹が位置する。これにより、整合素子から漏出した第1方向の電磁波が第2基板内及び空気中等に広がるのを抑制し、電力損失を抑制できる。
【0017】
上記電力変換器においては、第2パターンは、第1伝送パターンに対応する部分に隙間を有するものとできる。この場合、第1基板と第2基板とを貼り合わせた場合に、第1基板の第1面の第1伝送パターンは、第2基板の第3面の第2パターンの隙間に対応するように位置する。よって、第1伝送パターンと第2パターンとがショートし、電磁波が漏出するのを回避できる。
【0018】
上記電力変換器においては、離隔パターンは、第3パターンと、第4パターンとを含むことができる。第3パターンは、第1パターンの第1端部と第2パターンの第1端部とを接続し、第2方向において整合素子から離隔して、第1方向に延びる。第4パターンは、第1パターンの第2端部と第2パターンの第2端部とを接続し、第2方向のうち、整合素子を基準として第3パターンと対向する位置において整合素子から離隔して、第1方向に延びる。
【0019】
整合素子からは第1方向のみならず第2方向にも電磁波が放射されている。上記の通り、第3及び第4パターンは、第1方向に延びており、この第3及び第4パターンの端面を基準として第2基板の実効誘電率が変化する。よって、第1方向に延びる第3及び第4パターンは、主に、整合素子から放射され第2基板内を伝搬する第2方向の電磁波を反射する。これにより整合素子からの電磁波が第2基板内及び空気中等に広がるのが抑制され、電力損失を抑制できる。このように、第1及び第2パターンに加えて、第3及び第4パターンを設けることで、第1〜第4パターンにより整合素子を取り囲み、さらに電力損失を抑制できる。
【0020】
上記電力変換器においては、離隔パターンは第2伝送グラウンドに接続されていることができる。この場合、離隔パターンは、第2伝送グラウンドに接続されており、グラウンド電位に維持されている。離隔パターンの整合素子に近い端面では定在波の節が位置し、インピーダンスがゼロ、つまり電位がゼロとなりショートした状態となる。離隔パターンがグラウンド電位に維持されることで、整合素子に近い端面の電位を確実にゼロとし、ショートした状態とできる。これにより、整合素子から漏出した電磁波が、整合素子以外の第2基板内及び空気中等に広がるのを抑制し、電力損失を抑制できる。
【0021】
上記電力変換器においては、固定部材は、結合素子と整合素子との間に空間が形成されるように、第1基板と第2基板とを固定することができる。この構成によれば、結合素子と整合素子との間には空間が形成されているため、これらの間の電磁波の放射が誘電率の低い空気を介して行われる。その結果、電力損失が抑制され、効率の良い電力変換器を得ることができる。
【0022】
本発明の一観点に係る電力変換器は、第1基板と、第1伝送パターンと、結合素子と、第1伝送グラウンドと、第2基板と、整合素子と、第2伝送グラウンドと、第2伝送パターンと、固定部材と、を備える。
【0023】
第1基板は、第1面、及び当該第1面とは反対側に配置される第2面を有する。第1伝送パターンは、第1面に配置される。結合素子は、第1面に配置され、第1伝送パターンの端部に接続される。第1伝送グラウンドは、第2面において、少なくとも一部が第1伝送パターン及び結合素子と対応する位置に配置され、第1伝送パターン及び結合素子とともに電磁波の反射壁を構成する。第2基板は、第1基板の第1面と対向する第3面、及び当該第3面とは反対側に配置される第4面を有する。整合素子は、第3面において、結合素子と対向する位置に配置され、当該結合素子と電磁的に結合する。第2伝送グラウンドは、第3面に配置される。第2伝送パターンは、第4面において、整合素子及び第2伝送グラウンドと対応する位置に配置され、整合素子及び第2伝送グラウンドとともに電磁波の反射壁を構成する。固定部材は、結合素子と整合素子との間に空間が形成されるように、第1基板と第2基板とを固定している。
【0024】
上記構成により、以下の効果を得ることができる。まず、この電力変換器では、第1基板を挟んで、第1伝送パターン及び結合素子と、第1伝送グラウンドとが、電磁波の伝送線路であるマイクロストリップ線路を構成している。一方、第2基板を挟んで、第2伝送グラウンド及び整合素子と、第2伝送パターンとが、電磁波の伝送線路であるマイクロストリップ線路を構成している。電磁波は、第1基板のマイクロストリップ線路によって結合素子に伝送された後、第2基板に放射され、さらに第2基板のマイクロストリップ線路により、第2伝送パターンに沿って伝送される。そして、第2基板の第2伝送パターンから、第1基板の第1伝送パターンへの電磁波の伝送は、前述とは逆の順序で行われる。
【0025】
つまり、上記電力変換器によれば、第1基板の伝送線路と、第2基板の伝送線路との間で電力変換が行われる。これら伝送線路は、各基板の両面のパターンにより形成できるため、電力変換器の薄型化及び小型化を達成できる。したがって、例えば内部に中空部を形成する必要のある導波管に比べて薄型でかつ小型にすることができる。
【0026】
また、結合素子と整合素子との間には空間が形成されているため、これらの間の電磁波の放射が誘電率の低い空気を介して行われる。その結果、電力損失が抑制され、効率の良い電力変換器を得ることができる。
【0027】
上記電力変換器においては、第1基板及び第2基板は異なる材料で形成できる。これにより、基板に搭載される素子に応じて、基板材料を選択することができる。
【0028】
上記電力変換器においては、第1基板はガラスエポキシ樹脂で形成でき、第2基板はガラスフッ素樹脂で形成できる。
ガラスフッ素樹脂は、高周波を低損失で送受信可能な材料である。よって、例えば、この電力変換器をアンテナ装置に用い、第2基板の第2伝送パターンの端部に高周波の電磁波を送受信するための平面アンテナパターンを接続する場合には、第2基板をガラスフッ素樹脂で形成するのが好ましい。
一方、ガラスエポキシ樹脂は、熱膨張係数が比較的小さいため、スルーホールを形成する過程においてもひび割れ等の破損が生じにくい。よって、第1基板の結合素子の周囲にスルーホールを形成する場合には、第1基板をガラスエポキシ樹脂で形成するのが好ましい。このスルーホールは、結合素子以外の第1基板内及び空気中等に電磁波が広がるのを抑制する。また、スルーホールは、第1基板に高周波回路を搭載するための結合穴としても利用できる。
【0029】
上記電力変換器においては、第1基板を貫通する複数のスルーホールが形成されており、複数のスルーホールは、結合素子を取り囲むように形成できる。これらのスルーホールは、結合素子から放射される電磁波が、結合素子以外の例えば第1基板内及び空気中等に広がるのを抑制するため、電力損失を抑制できる。
【0030】
上記電力変換器においては、第1及び第2伝送パターンは、少なくとも一部が、第1及び第2基板の面方向に沿う第1方向に延びるように形成できる。この場合、整合素子は矩形状に形成され、整合素子における電磁波の管内波長をλeとすると、整合素子は、第1方向の距離が1/2λeとすることができる。これにより、第1方向の整合素子の両端面を腹とし、両端面の中央を節とする定在波が生じる。このとき、整合素子はある共振周波数で共振し、整合素子での電力損失を最小化できる。
【0031】
上記電力変換器においては、第1及び第2伝送パターンは、少なくとも一部が、第1及び第2基板の面方向に沿う第1方向に延びるように形成できる。この場合、結合素子は矩形状に形成され、結合素子における電磁波の管内波長をλaとすると、結合素子は、第1方向の距離が1/2λaとすることができる。これにより、第1方向の結合素子の両端面を腹とし、両端面の中央を節とする定在波が生じる。このとき、結合素子はある共振周波数で共振し、結合素子での電力損失を最小化できる。
【0032】
上記電力変換器においては、固定部材は、結合素子と整合素子との重畳部分を除いた少なくとも一部において、第1基板と第2基板とを固定できる。
【0033】
本発明の一観点に係るアンテナ装置は、上記いずれかの電力変換器と、第2基板の第4面に配置され、第2伝送パターンの端部と接続される平面アンテナパターンと、を備えている。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、伝送線路と伝送線路との間で電力変換を行う、小型化された電力変換器及びその電力変換器を有するアンテナを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態に係る電力変換器及びこれを含むアンテナ装置について説明する。
【0037】
本実施形態に係る電力変換器は、伝送線路間で電力変換を行う装置であり、例えば平面アンテナパターンと高周波回路との間に接続されている。そして、平面アンテナが電磁波を受信すると、この電力変換器によって伝送線路間で電力変換が行われ、高周波回路に出力される。また、高周波回路から電磁波が出力されると、この電力変換器によって伝送線路間で電力変換が行われ、平面アンテナから電磁波が放射される。以下では、まず本実施形態の電力変換器について説明し、その後、この電力変換器を有するアンテナ装置について説明する。
【0038】
<1.電力変換器>
(1)電力変換器の全体構成
図1は、本実施形態に係る電力変換器の斜視図である。
図2は、
図1の電力変換器を上側からみた分解斜視図である。
図3は、
図2とは逆に、電力変換器を下側からみた分解斜視図である。
【0039】
本実施形態に係る電力変換器100は、板状の第1基板ユニット101と、この第1基板ユニット101と対向配置される板状の第2基板ユニット102と、これら基板ユニット101,102を接着する接着部材(固定部材)103と、を含む。
【0040】
以下では、
図1等に示す方向、つまり上、下、前、後、右、左にしたがって説明を行う。具体的には、第1基板ユニット101と第2基板ユニット102との間の方向が上下方向であり、各基板ユニット101,102の面方向に沿って、前後方向及びこれと直交する左右方向が規定され、この方向にしたがって、説明を行うこととする。但し、この向きによって、本発明が限定されるものではないが、本実施形態の「前後方向」が本発明の第1方向に相当し、「左右方向」が本発明の第2方向に相当する。
【0041】
また、以下の説明において、ある部分の管内波長という場合には、ある部分に隣接するあらゆる構成によって影響を受けた、ある部分の電磁波の波長を意味するものとする。例えば、後述するように、整合素子における電磁波の管内波長とは、整合素子が設けられている第2基板ユニット、整合素子と対向する結合素子、整合素子と結合素子との間の空気等、整合素子の周囲のあらゆる構成によって影響を受けた、整合素子における電磁波の波長を意味するものとする。
【0042】
(2)電力変換器100の各部の構成
次に、
図4〜
図10も参照しつつ、電力変換器100の各部の構成について説明する。
図4は、電力変換器を上側から見た透視図である。
図5は、
図1のA−A’線断面図である。
図6は、第1基板の第1下面の平面図である。
図7は、第1基板の第1上面の平面図である。
図8は、第2基板の第2下面の平面図である。
図9は、第1離隔グラウンドの拡大平面図である。
図10は、第2基板の第2上面の平面図である。
【0043】
(2−1)第1基板ユニット101
図2、
図5及び
図7等に示すように、第1基板ユニット101は、矩形状の第1基板10を備え、この第1基板10の第1上面(第1面)10aに、結合素子11と、第1伝送パターン12と、接地電位を有する第1上面グラウンド13とが配置されている。第1伝送パターン12は前後方向に延びており、後側の第1端部12aには、図視しない高周波回路が接続可能となっている。また、第1伝送パターン12は、前側の第2端部12bにおいて、結合素子11と接続されている。一方、
図2、
図5及び
図6等に示すように、第1基板10の第1下面(第2面)10bには、概ね全体に亘って接地電位を有する第1下面グラウンド14が配置されている。また、第1基板10には、これを貫通する複数のスルーホール16が形成されている。
【0044】
なお、第1基板10に形成されるグラウンド13、14、後述する接続グラウンド15、第1伝送パターン12及び結合素子11等のパターンは、例えば金、銀、銅、銅合金、アルミニウム等の金属から適切な材料が選択され、メッキ処理及びフォトレジストリソグラフィ等により薄膜状に形成される。これらの厚みは、例えば、9〜36μmとすることができる。また、各パターンそれぞれが異なる材料の金属から形成されていてもよい。以下、各部材について詳細に説明する。
【0045】
(a)第1基板10
図6等に示すように、第1基板10は、長方形状に形成されている。また、第1基板10は、例えばガラスエポキシ樹脂から形成されている。ガラスエポキシ樹脂基板は、熱膨張係数が比較的小さいため、スルーホール16を形成する過程においてもひび割れ等の破損が生じにくい。また、この第1基板10の厚みは、例えば、0.5〜1.0mmとすることができる。
【0046】
(b)第1伝送パターン12及び結合素子11
図7に示すように、第1伝送パターン12は、第1基板10の第1上面10aにおいて、前後方向に延びる長尺状に形成されている。上記のように、第1伝送パターン12の第1端部12aには、高周波回路が接続可能となっており、第2端部12bには、結合素子11が接続されている。結合素子11は、矩形状に形成されており、後述する第2基板20の整合素子21と電磁的に結合され、これにより電力変換が行われる。
【0047】
第1伝送パターン12の左右方向の距離W12は、例えばインピーダンスが約50Ωとなる距離である。また、第1伝送パターン12の前後方向の距離L12は、任意であるが、例えば高周波回路との接続に必要な距離に設計されている。
【0048】
結合素子11の前後方向の距離L11は、例えば結合素子11における電磁波の管内波長をλaとすると、1/2λaである。これにより、前後方向の結合素子11の両端面を腹とし、両端面の中央を節とする定在波が生じる。このとき、結合素子11はある共振周波数で共振し、結合素子11と整合素子21との間での電力変換の損失を最小化できる。なお、結合素子11の左右方向の距離W11は任意である。但し、距離W11は、例えば、結合素子11において電磁波を共振させるため、第1伝送パターン12の左右の距離W12よりも大きい。結合素子11は、距離W11と距離L11とが概ね同一の正方形であってもよい。
【0049】
(c)第1上面グラウンド13
第1上面グラウンド13は、結合素子11及び第1伝送パターン12が配置される開口を有し、それ以外の部分については、第1基板10の第1上面10aの全体に亘って形成されている。具体的には、第1上面グラウンド13の開口は、前側から後側へ向かって配置される、第1開口端13aと、第2開口端13bと、第3開口端13cとを有し、これらが一体的に形成されている。第1開口端13aは、結合素子11から離隔した位置で矩形状に形成され、結合素子11の周囲を取り囲んでいる。第2開口端13b及び第3開口端13cは、第1伝送パターン12から離隔して位置している。
【0050】
第1開口端13aは、前後方向に延びる一対の短辺と、左右方向に延びる一対の長辺とを有する長方形状である。そして、一対の長辺の距離W13aは、1/2λbより大きい。ここで、λbは、第1開口端13a内における電磁波の管内波長である。この第1開口端13a内における電磁波の遮断波長は2×W13aである。つまり、遮断波長と長辺の距離W13aとがこの関係を満たす場合、電磁波は減衰する。よって、第1開口端13a内の管内波長λbは2×W13aより小さくする必要がある。上記の構成によれば、距離W13aは1/2λbより大きいため、電磁波の減衰を抑制できる。
【0051】
また、第1開口端13aの短辺の距離L13aは、長辺の距離W13aより小さいか、あるいは距離W13a×1/2である。このように距離L13aを定義することで、短辺が延びる前後方向を、結合素子11の共振方向とすることができる。よって、第1伝送パターン12及び第2伝送パターン28における電磁波の伝送方向である前後方向と、結合素子11の共振方向である前後方向とが概ね一致するため、電力損失を抑制できる。一方、L13aを上記のように定義しない場合には、共振方向が、短辺が延びる前後方向から変化してしまい、結合素子11の共振状態を維持できず電力損失が大きくなる。
【0052】
なお、結合素子11は第1開口端13aの概ね中央部に配置されると好ましい。この場合、例えば、第1開口端13aの前側の電磁波が結合素子11に与える影響と、後側の電磁波が結合素子11に与える影響とが概ね均一となる。同様に、例えば、第1開口端13aの右側の電磁波が結合素子11に与える影響と、左側の電磁波が結合素子11に与える影響とが概ね均一となる。よって、結合素子11及び第1開口端13aの設計を容易化できる。
【0053】
第2開口端13bは、第1伝送パターン12に沿って前後方向に延びており、その前端が、第1開口端13aに接続され、後端は、第3開口端13cに接続されている。第2開口端13bの左右方向の距離W13bは、第2開口端13bと第1伝送パターン12とが接触しない範囲において、加工精度に応じてできるだけ狭く設定される。すなわち、第1開口端13a及び第3開口端13cよりも狭く形成されている。一方、第2開口端13bの前後方向の距離L13bは、任意の長さである。距離L13bは、例えば、結合素子11での電磁波の共振状態に、結合素子11の周囲の構成が影響を与えない程度の長さに設定されている。
【0054】
第3開口端13cは、第1伝送パターン12に沿って前後方向に延びている。第3開口端13cと第1伝送パターン12との間の左右方向における距離W13cは、1/4λcである。ここで、λcは、第3開口端13cと第1伝送パターン12との間の空間における管内波長である。これにより、第1伝送パターン12における電磁波と第1上面グラウンド13における電磁波とが、お互いに影響し合わないようにできる。よって、第1伝送パターン12に沿って電磁波を結合素子11に効率よく伝送できる。また、第3開口端13cの前後方向の距離L13cは、例えば高周波回路との接続に必要な距離に設計されている。
【0055】
(d)第1下面グラウンド14
図6に示すように、第1下面グラウンド14は、スルーホール16を除く、第1基板10の第1下面10bの概ね全体に亘って配置されている。これにより、第1基板10が第1下面グラウンド14により支持されるため、第1基板10の強度を高めることができる。ここで、第1下面グラウンド14のうち、第1上面10aの第1伝送パターン12に対応する部分が第1伝送グラウンド14aを構成し、第1上面10aの結合素子11に対応する部分が結合グラウンド14bを構成する。
【0056】
そして、第1伝送グラウンド14aと第1上面10aの第1伝送パターン12とが一体として、電磁波の反射壁となる。同様に、第1上面10aの結合素子11と、第1下面10bの結合グラウンド14bとが一体として、電磁波の反射壁となる。
【0057】
高周波回路から電磁波が送信される場合、この電磁波は、第1伝送パターン12と第1伝送グラウンド14aとの間で反射しながら、後側から前側に伝送され、結合素子11及び結合グラウンド14bまで伝送される。そして、結合素子11から整合素子21に向かって電磁波が放射される。逆に、結合素子11及び結合グラウンド14bが整合素子21から放射された電磁波を受信すると、電磁波は第1伝送パターン12と第1伝送グラウンド14aとの間を前側から後側に向かって高周波回路に伝送される。
【0058】
(e)スルーホール16
図6及び
図7に示すように、結合素子11及び第1伝送パターン12の周囲には、第1基板10を貫通する多数のスルーホール16が形成されている。
図5に示すように、スルーホール16の内壁面に沿って接地電位を有する接続グラウンド15が形成されており、この接続グラウンド15は第1上面10aの第1上面グラウンド13と第1下面10bの第1下面グラウンド14とを接続している。
【0059】
図7に示すように、これらスルーホール16は、結合素子11の周囲に配置された複数の第1スルーホール16a(スルーホール)と、第1伝送パターン12の周囲に沿って配置された複数の第2スルーホール16bとで構成される。第1スルーホール16aは、第1上面グラウンド13の第1開口端13a及び第2開口端13bの外方に近接して配置されている。第2スルーホール16bは、第1上面グラウンド13の第3開口端13cの外方に近接して配置されている。なお、外方とは、第1開口端13a、第2開口端13b及び第3開口端13cに対して、結合素子11及び第1伝送パターン12が配置されている側(内方)とは反対側を意味する。
【0060】
第1スルーホール16aは、結合素子11の周囲を取り囲むことで、結合素子11から放射される電磁波を反射し、この電磁波が、整合素子21以外の例えば第1基板10内及び空気中等に広がるのを抑制する。第2スルーホール16bは、第1伝送パターン12から放射される電磁波が第1基板10内及び空気中等に広がるのを抑制する。よって、これらスルーホール16によって、電力損失を抑制できる。隣接するスルーホール16の壁面間の距離は、例えば1/4λdである。ここで、λdは、スルーホール16における電磁波の管内波長である。
【0061】
上述の通り、ガラスエポキシ樹脂からなる第1基板10は熱膨張係数が比較的小さいため、上記スルーホール16を形成してもひび割れ等の破損が生じにくい。また、第1基板10に高周波回路を搭載するための結合穴として、さらなるスルーホール16を形成してもよい。例えば、高周波回路は、モールド樹脂で覆われており、モールド樹脂から下部に向かって突出するリードを有する。この高周波回路のリードをスルーホール16に差し込むことで、高周波回路を第1基板10に固定することができる。なお、高周波回路は、例えばMMIC(monolithic microwave integrated circuit:モノシリックマイクロ波集積回路)であり、ミリ波及びマイクロ波などの高周波を送受信する回路である。
【0062】
(2−2)第2基板ユニット102
次に、第2基板ユニット102について説明する。
図2、
図5及び
図10等に示すように、この第2基板ユニット102は、第2基板20を備え、この第2基板20の第2上面(第4面)20aに、シールド板27と、第2伝送パターン28とが配置されている。一方、
図3、
図5及び
図8等に示すように、第2基板20の第2下面(第3面)20bには、整合素子21と、接地電位を有する複数の第2下面グラウンド25と、が配置されている。
【0063】
なお、第2基板20に形成される整合素子21、第2下面グラウンド25、第2伝送パターン28、シールド板27等のパターンは、例えば金、銀、銅、銅合金、アルミニウム等の金属から適切な材料が選択され、メッキ処理及びフォトレジストリソグラフィ等により薄膜状に形成される。これらの厚みは、例えば、9〜36μmとすることができる。また、各パターンそれぞれが異なる材料の金属から形成されていてもよい。以下、各部材について説明する。
【0064】
(a)第2基板20
第2基板20は、
図1、
図4等に示すように、前後方向に、第1基板10よりも短い長方形状に形成されている。そして、
図4、
図5に示すように、第1基板10と第2基板20とは、第1基板10の結合素子11と第2基板20の整合素子21とが対向するように配置される。第1基板10の後端部は、第2基板20の後端から突出するように配置される。また、第2基板20の左右方向の幅は、特に限定されないが、例えば
図4に示すように第1基板10より小さくすることができる。
【0065】
第2基板20は、例えばガラスフッ素樹脂から形成することができる。ガラスフッ素樹脂基板は、高周波の電磁波を低損失で送受信可能な基板である。よって、後述するように、電力変換器100に例えば平面アンテナパターンを形成する場合、ガラスフッ素樹脂基板からなる第2基板20に平面アンテナパターンを形成する。一方で、ガラスフッ素樹脂基板は熱膨張係数が大きいため、スルーホールを形成する過程において、ガラスフッ素樹脂基板にひび割れ等の破損が生じる。また、ガラスフッ素樹脂基板は、ガラスエポキシ樹脂よりも高価である。よって、平面アンテナパターンを搭載する第2基板20には、ガラスフッ素樹脂を用い、上記の通り、第1基板10には、スルーホール16を形成可能である安価なガラスエポキシ樹脂を用いる。また、この第2基板20の厚みは、例えば、0.05〜0.2mmとすることができる。
【0066】
(b)整合素子21
図8に示すように、整合素子21は、第2基板20の第2下面20bに配置されており、矩形状に形成されている。また、この整合素子21は、第1基板10の結合素子11と対向するように、第2基板20の後側に配置されている。そして、整合素子21は結合素子11と電磁的に結合され、これにより電力変換が行われる。
【0067】
整合素子21の前後方向の距離L21は、例えば整合素子21における電磁波の管内波長をλeとすると、1/2λeである。これにより、前後方向の整合素子21の両端面を腹とし、両端面の中央を節とする定在波が生じる。このとき、整合素子21はある共振周波数で共振し、整合素子21での電力損失を最小化できる。なお、整合素子21の左右方向の距離W21は任意である。しかし、例えば、距離W21は距離L21と概ね同一であってもよい。
【0068】
(c)第2下面グラウンド25
図3、
図8等に示すように、第2基板20の第2下面20bには、接地電位を有する第2下面グラウンド25が配置されている。第2下面グラウンド25は、一体的に形成された、第1離隔グラウンド22、第2伝送グラウンド23、及び拡張グラウンド24により構成されている。以下にこれらについて説明する。
【0069】
(c1)第1離隔グラウンド22(離隔パターン)
図8、
図9に示すように、第1離隔グラウンド22は、整合素子21を取り囲む形状であり、一体的に形成された、第1グラウンド22a(第1パターン)、第2グラウンド22b(第2パターン)、第3グラウンド22c(第3パターン)、及び第4グラウンド22d(第4パターン)を有する。
【0070】
第1グラウンド22aは、左右方向に延びており、整合素子21に対して、前側に第1距離ΔK1離隔して位置する。この位置関係により、上面視において、第1基板ユニット101の第1伝送パターン12は整合素子21よりも後側に位置し、第1グラウンド22aは整合素子21よりも前側に位置する。また、第1グラウンド22aは、前後方向において第1幅A1を有する。第1グラウンド22aの管内波長をλfとすると、第1幅A1は1/4λfの奇数倍である。
【0071】
この第1グラウンド22aの端面を基準として第2基板20の実効誘電率が変化し、それによって整合素子21から漏出して第2基板20内を伝搬する電磁波が反射される。より具体的には、第1幅A1が1/4λfの奇数倍であるため、第1グラウンド22aのうち、整合素子21に近い端面においては定在波の節が位置し、整合素子21から遠い端面においては定在波の腹が位置する。定在波の節が位置する端面では、整合素子21側から外方に向かうインピーダンスがゼロ、つまり電位がゼロとなりショートした状態となる。一方、定在波の腹が位置する端面では、整合素子21側から外方に向かうインピーダンスが無限大となる。これにより、左右方向に延びる第1グラウンド22aは、主に、整合素子21から放射され第2基板20内を伝搬する前後方向の電磁波を反射する。よって、整合素子21から漏出した電磁波が第2基板20内及び空気中等に広がるのを抑制し、電力損失を抑制できる。
【0072】
第2グラウンド22bは、左右方向に延びており、第1基板10の第1伝送パターン12に対応する部分に隙間22b1を有するように、左右に分断された形状となっている。この隙間22b1は左右方向に距離C1を有しており、距離C1は、例えば第1伝送パターン12の左右の距離W12(
図7)よりも大きく、整合素子21の左右の距離W21より小さい。また、第2グラウンド22bは、整合素子21に対して、後側に第2距離ΔL1離隔して位置する。よって、上面視において、第1伝送パターン12及び第2グラウンド22bはともに整合素子21よりも後側に位置する。また、第2グラウンド22bは、前後方向において第2幅D1を有する。第2グラウンド22bの管内波長をλgとすると、第2幅D1は1/4λgの奇数倍である。
【0073】
この第2グラウンド22bの端面を基準として第2基板20の実効誘電率が変化し、それによって整合素子21から漏出して第2基板20内を伝搬する電磁波が反射される。より具体的には、第2幅D1が1/4λgの奇数倍であるため、第2グラウンド22bのうち、整合素子21に近い端面においては定在波の節が位置し、整合素子21から遠い端面においては定在波の腹が位置する。これにより、左右方向に延びる第2グラウンド22bは、主に、整合素子21から放射され第2基板20内を伝搬する前後方向の電磁波を反射する。よって、整合素子21から漏出した電磁波が第2基板20内及び空気中等に広がるのを抑制し、電力損失を抑制できる。
【0074】
さらに、隙間22b1によって、第1基板10と第2基板20とを貼り合わせた場合に、第1伝送パターン12と後述する第2伝送パターン28とがショートするのを回避することができる。その結果、電磁波が漏出するのを防止できる。
【0075】
第3グラウンド22cは、前後方向に延びており、整合素子21に対して右側(この右側とは、
図4のように電力変換器100を上から見たときの右側に対応している。なお
図9は、電力変換器100を下から見た場合の平面図である。)に第3距離ΔM1離隔して位置する。第3グラウンド22cは、第1グラウンド22aの右側の端部と第2グラウンド22bの右側の端部とを接続する。また、第3グラウンド22cは、左右方向において第3幅I1を有する。第3幅I1は、例えば第1グラウンド22aの第1幅A1及び第2グラウンド22bの第2幅D1よりも小さいことが好ましい。例えば、第3幅I1は、第3グラウンド22cの管内波長をλhとすると、1/4λhよりも小さい。この場合、第3グラウンド22cに電磁波が補足されてしまうのが抑制され、電力損失を抑制できる。なお、第3幅I1が小さくても、整合素子21からは主として、第1伝送パターン12及び後述する第2伝送パターン28に沿った前後方向の電磁波が放射されており、左右方向への電磁波の放射量は相対的に少ない。よって、第3幅I1が小さくても、電力損失を小さく抑えることができる。
【0076】
第4グラウンド22dは、第3グラウンド22cとほぼ同様に前後方向に延びるように構成されており、第1及び第2グラウンド22a,22bの左側(この左側とは、
図4のように電力変換器100を上から見たときの左側に対応している。)の端部に連結されている。また、整合素子21に対して左側に第4距離ΔN1離隔して位置する。第4グラウンド22dは、左右方向において第4幅J1を有する。この第4幅J1は、例えば第1グラウンド22aの第1幅A1及び第2グラウンド22bの第2幅D1よりも小さいことが好ましい。例えば、第4幅J1は、第4グラウンド22dの管内波長をλiとすると、1/4λiよりも小さい。この場合、第3グラウンド22cと同様に、第4グラウンド22dは、電磁波の補足を抑制でき、また第4幅J1が小さくても電力損失を小さく抑えることができる。
【0077】
なお、第1〜第4グラウンド22a〜22dは、第2伝送グラウンド23に接続されることで、特にグラウンド電位に維持されている。上述の通り、第1グラウンド22a及び第2グラウンド22bの整合素子21に近い端面では定在波の節が位置する。このとき、第1グラウンド22a及び第2グラウンド22bがグラウンド電位に維持されることで、整合素子21に近い端面の電位を確実にゼロとし、ショートした状態とできる。これにより、整合素子21から漏出した電磁波が、整合素子21以外の第2基板20内及び空気中等に広がるのをさらに抑制し、電力損失を抑制できる。
【0078】
以上のような第1〜第4グラウンド22a〜22dによって環状の第1離隔グラウンド22が形成される。第1離隔グラウンド22の内周は、第1グラウンド22aと第2グラウンド22bとの間を短辺とし、第3グラウンド22cと第4グラウンド22dとの間を長辺とする長方形状である。短辺は前後方向に延びており、長辺は左右方向に延びている。
【0079】
内周の長辺の距離G1は1/2λjより大きい。λjは、第1〜第4グラウンド22a〜22dによって形成される長方形状の内側領域における電磁波の管内波長である。この長方形状の内側領域内における電磁波の遮断波長は2×G1である。つまり、遮断波長と長辺の距離G1とがこの関係を満たす場合、電磁波は減衰する。よって、長方形状の内側領域内の管内波長λjは2×G1より小さくする必要がある。上記の構成によれば、距離G1は1/2λjより大きいため、電磁波の減衰を抑制できる。
【0080】
一方、内周の短辺の距離E1は、内周の長辺の距離G1よりも小さい。より好ましくは、内周の短辺の距離E1は、内周の長辺の距離G1の1/2である。このように定義することで、短辺が延びる前後方向を、整合素子21の共振方向とすることができる。よって、第1伝送パターン12及び第2伝送パターン28における電磁波の伝送方向である前後方向と、整合素子21の共振方向である前後方向とが概ね一致するため、電力損失を抑制できる。
【0081】
また、整合素子21は、第1〜第4グラウンド22a〜22dの長方形状の内周から概ね均等の位置、つまり中央部に配置されていると好ましい。この場合、例えば、第1グラウンド22aにおける前後方向の電磁波が整合素子21の電磁波に与える影響と、第2グラウンド22bにおける前後方向の電磁波が整合素子21の電磁波に与える影響とが概ね均一となる。同様に、例えば、第3グラウンド22cにおける左右方向の電磁波が整合素子21の電磁波に与える影響と、第4グラウンド22dにおける左右方向の電磁波が整合素子21の電磁波に与える影響とが概ね均一となる。よって、整合素子21及び第1〜第4グラウンド22a〜22dの設計を容易化できる。
【0082】
なお、環状の第1離隔グラウンド22の外周もまた長方形状であり、外周の前後方向が短辺であり、外周の左右方向が長辺である。外周の短辺の距離H1は、距離E1と、第1幅A1と、第2幅D1との合計である。外周の長辺の距離B1は、距離G1と、第3幅I1と、第4幅J1との合計である。また、ΔK1及びΔL1の合計は、距離E1から距離L21を引いた長さである。ΔM1及びΔN1の合計は、距離G1から距離W21を引いた長さである。
【0083】
(c2)第2伝送グラウンド23
図4及び
図8に示すように、第2伝送グラウンド23は、第1離隔グラウンド22のうち第1グラウンド22aから前方に向かって延びるグラウンドである。第2伝送グラウンド23は、後述する、第2基板20の第2上面20aの第2伝送パターン28に対応して配置されている。また、第2伝送グラウンド23は、上面視において、整合素子21に対して、第1基板10の第1上面10aの第1伝送パターン12と対向する位置に配置されている。つまり、上面視において、整合素子21の後側に第1伝送パターン12が位置しており、整合素子21の前側に第2伝送グラウンド23が位置する。
【0084】
(c3)拡張グラウンド24
拡張グラウンド24は、後側に凹部24abを有するように、全体としてU字状に形成されており、この凹部24ab内に、整合素子21、第1離隔グラウンド22、及び第2伝送グラウンド23が配置されている。そして、この凹部24abの前端縁に、第2伝送グラウンド23の先端部が接続されている。また、この凹部24abの前端縁は、第2伝送グラウンド23との連結部分よりも左右の部分24a,24bが、それぞれ前側に凸となる円弧状に形成されている。これにより、第2伝送グラウンド23と拡張グラウンド24との接続領域において、インピーダンスの変化を緩やかにできる。よって、電磁波の反射を抑制し、電力損失を抑制できる。
【0085】
また、第3グラウンド22cと拡張グラウンド24との間における電磁波の管内波長をλkとすると、第3グラウンド22cと拡張グラウンド24との距離Oは1/4λk以上である。同様に、第4グラウンド22dと拡張グラウンド24との間における電磁波の管内波長をλlとすると、第4グラウンド22dと拡張グラウンド24の距離Pとは1/4λl以上である。これにより、第3グラウンド22c及び第4グラウンド22dにおける電磁波と、それらに隣接する拡張グラウンド24における電磁波とが、お互いに影響し合わないようにできる。よって、第1〜第4グラウンド22a〜22dの設計への影響を減らすことができる。
【0086】
(d)シールド板27
図4、
図10に示すように、シールド板27は、整合素子21よりも上面視における面積が大きく、少なくとも整合素子21に対応して、第2基板20の第2上面20aに配置されている。より具体的には、シールド板27は、整合素子21及び第1離隔グラウンド22に対応するように配置されている。また、シールド板27の前側の端部には後側に凹む矩形状の凹部27aが形成されている。
【0087】
このようなシールド板27は、整合素子21及び結合素子11等から漏出した電磁波が、例えば第2基板20内及び空気中等に広がるのを抑制する。よって、電力損失を抑制できる。
【0088】
シールド板27の前後方向の距離L27は、第1離隔グラウンド22の外周の前後方向の距離H1に相当する。また、シールド板27の左右方向の距離W27は、第1離隔グラウンド22の外周の左右方向の距離B1に相当する。
【0089】
(e)第2伝送パターン28
図10に示すように、第2伝送パターン28は、第2基板20の第2上面20aにおいて、前後方向に延びる帯状に形成されており、前後方向の両端に、第1端部28a及び第2端部28bを有している。また、第2伝送パターン28は、第2下面20bの第2伝送グラウンド23に対応するように配置されており、これにより、第2伝送パターン28と第2伝送グラウンド23とが一体として、電磁波の反射壁となる。さらに、第2伝送パターン28の第1端部28aは、シールド板27の凹部27aに非接触状態で挿入されており、
図4に示すようにこの第1端部28aが整合素子21の端部と重畳している。つまり、整合素子21の前後方向の中央部よりも前側において、第2伝送パターン28の第1端部28aと、整合素子21とが重畳している。
【0090】
図8に示すように、第2伝送パターン28の左右方向の距離W28は、第2伝送グラウンド23の左右方向の距離W23よりも小さく形成されている。これにより、第2伝送グラウンド23の距離W28の範囲内において、第2伝送パターン28の配置がずれても、第2伝送パターン28と第2伝送グラウンド23とを対応づけることができる。その結果、第2伝送パターン28と第2伝送グラウンド23とにより、電磁波の伝送路を構成できる。
【0091】
また、第1基板10は、第2基板20から後側に突出しているため、上面視においては、整合素子21を挟んで、前側に第2伝送パターン28が位置し、後側に第1伝送パターン12が位置している。つまり、第1伝送パターン12及び第2伝送パターン28は、上面視において連続的に前後方向に延びるように配置されている。これにより、第1伝送パターン12によって前方に伝送された電磁波は、結合素子11及び整合素子21を介して、さらに前方に延びる第2伝送パターン28によって前方に連続的に伝送される。逆に、第2伝送パターン28によって後方に伝送された電磁波は、結合素子11及び整合素子21を介して、さらに後方に延びる第1伝送パターン12によって後方に連続的に伝送される。これにより、電磁波の伝送を電力損失を少なくしつつスムーズに行うことができる。
【0092】
このように、第1伝送パターン12から第2伝送パターン28に向かって電磁波が伝送される場合であっても、第2伝送パターン28から第1伝送パターン12に向かって電磁波が伝送される場合であっても、整合素子21からは、主として前後方向に電磁波が放射される。このとき、前述の第1グラウンド22a及び第2グラウンド22bは、左右方向に延びているため、整合素子21から放射される主に前後方向の電磁波が、第2基板20内及び空気中等に広がるのが抑制される。これにより、電力損失を抑制できる。
【0093】
(2−3)接着部材103
次に、接着部材103について説明する。接着部材103は第1基板10と第2基板20とを接着する部材であり、第2基板20よりも小さく形成されている。これにより、第1基板10に第2基板20を接着する場合に、接着部材103が第1基板10からはみ出るのを抑制できる。また、
図4に示すように、接着部材103は、全体としては矩形状であるが、結合素子11及び整合素子21に対応した凹部103aを後側に有している。よって、
図4、
図5に示すように、結合素子11と整合素子21とが対向する部分には接着部材103は介在しておらず、結合素子11と整合素子21とは空気を介して対向している。接着部材103は、特には限定されないが、例えば両面テープで形成することができる。但し、接着部材103は、結合素子11及び整合素子21を除いた部分において第1及び第2基板10、20を接着できればよく、液状の接着剤であってもよい。また、接着部材103は非導電性であるのが好ましい。この場合、第1基板10と第2基板20とが電気的に接続されてショートするのを防止できる。なお、このような接着部材103により形成される結合素子11と整合素子21との間の距離は、例えば、30〜100μmとすることができる。
【0094】
(2−4)電力変換器の製造方法
上述の電力変換器100を製造する工程では、グラウンド及び伝送パターン等のパターニング工程が、第1基板10及び第2基板20それぞれに対して行われ、第1及びと第2基板ユニット101,102が形成される。また、接着部材103を所定の大きさに加工するとともに、凹部103aを形成する。その後、第1基板ユニット101と第2基板ユニット102との間に接着部材103を介在させ、位置合わせを行った上で、両基板ユニット101、201を貼り合わせる。
【0095】
<2.電力変換器の動作>
次に、上記の電力変換器100の動作について説明する。まず、この電力変換器100において、第1基板ユニット101の第1伝送パターン12から、第2基板ユニット102の第2伝送パターン28に電磁波が伝送される場合について説明する。
【0096】
第1基板ユニット101の第1伝送パターン12の第1端部12aから電磁波が入力されると、この電磁波は、第1上面10aの第1伝送パターン12と、第1下面10bの第1伝送グラウンド14aとの間で反射されながら第1伝送パターン12に沿って第2端部12bに伝送される。そして、電磁波は、第1伝送パターン12の第2端部12bから、これに連続する結合素子11に供給される。ここで、第1伝送パターン12及び結合素子11と、第1伝送グラウンド14aとは、第1基板10を挟んで、電磁波の伝送線路であるマイクロストリップ線路を構成している。
【0097】
次に、第1基板10の第1上面10aの結合素子11から、対向する第2基板20の第2下面20bの整合素子21に電磁波が放射される。結合素子11と整合素子21とは空気を介して互いに電磁的に結合し、結合素子11と整合素子21との間で電力変換が行われる。
【0098】
続いて、第2基板ユニット102の整合素子21が受信した電磁波は、第2基板20の第2上面20aの第2伝送パターン28と、第2下面20bの第2伝送グラウンド23との間で反射されながら、前方に向かって進行し、第2伝送パターン28の第2端部28bに伝送される。ここで、第2伝送グラウンド23及び整合素子21と、第2伝送パターン28とは、第2基板20を挟んで、電磁波の伝送線路であるマイクロストリップ線路を構成している。さらに、シールド板27の凹部27aでは、第2基板20上に第2伝送パターン28及びシールド板27が並んで配置されており、これらによりコプレーナ線路が構成されている。
【0099】
以上の通り、電磁波は、第1基板10のマイクロストリップ線路によって結合素子11に伝送されて第2基板20に放射され、さらに第2基板20のマイクロストリップ線路及びコプレーナ線路によって、第2伝送パターン28の第2端部28bに伝送される。つまり、上記電力変換器100によれば、第1基板10の伝送線路と、第2基板20の伝送線路との間で電力変換が行われる。
【0100】
なお、第2基板20の第2伝送パターン28から、第1基板10の第1伝送パターン12への電磁波の伝送は、上記と逆の順序である。
【0101】
<3.アンテナ装置>
次に、上記の電力変換器100を用いたアンテナ装置200について説明する。
図11、
図12は、電力変換器に平面アンテナパターン及び高周波回路が接続されたアンテナの平面図である。
【0102】
図11に示すように、本実施形態に係るアンテナ装置200は、第2基板20の第2上面20aにおいて、第2伝送パターン28の第2端部28bに平面アンテナパターン50を接続する。このとき、第2伝送パターン28は、シールド板27から前方に延びる第1部位28−1と、この第1部位28−1の前端から左右に分かれた一対の第2部位28−2とで構成される。左側の第2部位28−2は、第1部位28−1の前端から左側に延びた後、後方に延び、さらに左側に延びている。これにより、左側の第2部位28−2の先端部は、第2基板20の左後端の角部付近に位置する。また、右側の第2部位28−2は左側の第2部位28−2と対称な形状である。
【0103】
そして、各第2部位28−2の先端には、後方に凸のU字状に形成された平面アンテナパターン50がそれぞれ接続されている。これら第2伝送パターン28や平面アンテナパターン50は、
図8に示す拡張グラウンド24に対応した位置に配置される。このように、一対の平面アンテナパターン50は、第2基板20の左右方向の両端部に配置されるため、第1及び第2基板ユニット101、201が前後方向に長くなりすぎず、電力変換器100を含むアンテナ装置をコンパクトにできる。一方、電力変換器100の第1基板10の第1上面10aには、高周波回路60が配置されている。高周波回路60は、第1伝送パターン12の第1端部12aと接続されている。
【0104】
このアンテナ装置200では、高周波回路60から出射された電磁波が、電力変換器100の第1伝送パターン12に入力される。入力された電磁波は電力変換器100を経て第2伝送パターン28の第2端部28bに到達し、平面アンテナパターン50から出射される。逆に、平面アンテナパターン50が受信した電磁波は、第2伝送パターン28を経て電力変換器100に入力され、第1伝送パターン12を経て高周波回路60に入力される。このように電磁波を送受信するアンテナ装置200は、障害物検知及び無線通信等の機能を達成できる。
【0105】
また、平面アンテナパターン50は、次のように配置することもできる。
図12に示す例では、第2伝送パターン28が前後方向に延びる直線状に形成されており、その第2端部28bに後方に凸のU字状に形成された平面アンテナパターン50が接続されている。
【0106】
以上のようなアンテナ装置200は、衝突防止用のレーダ等として使用することができ、例えばミリ波領域などの短波長領域の電磁波を用いて自動車の周辺環境を監視するのに用いられる。ミリ波領域等の短波長の電磁波は分解能が高く、周辺環境等を精度良く検出するのに適している。なお、本実施形態に係るアンテナ装置200は、衝突防止用に限られず障害物検知、無線LAN等としても使用可能であり、また使用可能な波長帯はミリ波領域に限られずマイクロ波領域等にも適用可能である。
【0107】
<4.特徴>
<4−1>
上記の電力変換器100では、上述したように、第1基板10のマイクロストリップ線路と、第2基板20のマイクロストリップ線路及びコプレーナ線路との間で電力変換が行われる。伝送線路は、基板の両面のパターンにより形成できるため、電力変換器100の薄型化及び小型化を達成できる。パターンを薄層の金属等により形成する場合には、さらに電力変換器100の薄型化及び小型化を達成できる。このような電力変換器100は、例えば内部に中空部を形成する必要のある導波管に比べて薄型でかつ小型である。
【0108】
<4−2>
結合素子11と整合素子21との間には空間が形成されているため、結合素子11及び整合素子21間の電磁波の放射が空気を介して行われる。空気の誘電率は約1.0であり、例えば樹脂などの誘電率に比べて小さい。よって、結合素子11及び整合素子21間で放射される電磁波の減衰を抑制できる。結果として電力損失を抑制でき、効率の良い電力変換器100を得ることができる。
【0109】
<4−3>
第2基板20に形成されている第1離隔グラウンド22は、その端面を基準として第2基板20の実効誘電率に変化をもたらすため、整合素子21から漏出して第2基板20内を伝搬する電磁波を反射する。よって、整合素子21からの電磁波が第2基板20内及び空気等に拡がるのが抑制される。その結果、この第1離隔グラウンド22によっても電力損失をさらに抑制できる。
【0110】
<4−4>
第1基板10をガラスエポキシ樹脂で形成することによって、第1基板10にひび割れを生じさせることなくスルーホール16を形成できる。また、第2基板20をガラスフッ素樹脂で形成することによって、第2基板20に平面アンテナパターン50を搭載しても高周波の電磁波を低損失で送受信可能とできる。
【0111】
また、ガラスフッ素樹脂はガラスエポキシ樹脂よりも高価である。よって、第1及び第2基板10、20の両方にガラスフッ素樹脂を用いる場合よりも、第2基板20のみにガラスフッ素樹脂を用いる方が、安価な電力変換器100を得ることができる。さらに、高価なガラスフッ素樹脂を用いた第2基板20の面積を小さくしてガラスフッ素樹脂の使用量を減らすことで、さらに安価な電力変換器を得ることができる。なお、高周波回路60等を搭載するために第1基板10の面積を大きくした場合であっても、第1基板10に安価なガラスエポキシ樹脂を用いることで、電力変換器100のコストアップを抑制できる。
【0112】
<4−5>
本実施形態の電力変換器100は、上記の通り、導波管を含んでおらず、板状の第1基板ユニット101と、板状の第2基板ユニット102と、これら基板ユニット101,102間の接着部材103とを含む。また、第1基板ユニット101の第1基板10と、第2基板ユニット102の第2基板20とは、熱膨張係数が異なる。この電力変換器100では、内部において熱が発生する場合、あるいは、電力変換器100の外部から熱が加わる場合などがある。この場合、両基板10、20の熱膨張係数の違いによって、両基板10、20に挟まれた接着部材103に歪が発生することがあるが、両基板10、20の電力変換構造に大きな影響を及ぼさず、電力変換器100での電力の変換効率に大きな影響はない。
一方、導波管を用いて、導波管により伝送される電力と、伝送線路を構成する複数の基板との間で電力変換を行う電力変換器では、複数の基板間の熱膨張係数の違いによって導波管の形状が歪む。これにより、電力の変換効率が低下する。
よって、導波管を用いない本実施形態の電力変換器100は、異なる熱膨張係数を有する基板10、20を含む場合であっても、電力の変換効率に優れている。
【0113】
<5.変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。例えば、以下の変更が可能である。また、以下の変形例の要旨は、適宜組み合わせることができる。
【0114】
<5−1>
上記実施形態では、結合素子11と整合素子21とが空気を介して対向している構成(構成1)に加えて、さらに整合素子21の周囲に第1離隔グラウンド22が配置された構成(構成2)を採用している。しかし、例えば、上記構成1に代えて、結合素子11と整合素子21とが誘電体を介して対向している構成1aを採用してもよい。つまり、電力変換器100において、結合素子11と整合素子21とが誘電体を介して対向している構成(構成1a)に加えて、構成2を採用して電力変換器100を構成してもよい。結合素子11と整合素子21との間に誘電体が介在するため電磁波の減衰の抑制効果は、空気に比べて小さい。しかし、構成2の第1離隔グラウンド22によって、整合素子21からの電磁波が第2基板20内及び空気等に広がるのを抑制でき、電力損失を抑制できる。
【0115】
また、上記実施形態において、電力変換器100が第1離隔グラウンド22を備えていない構成(構成2a)に加えて、構成1を採用して電力変換器100を構成してもよい。この場合、構成1の採用によって結合素子11及び整合素子21間に誘電率の低い空気が介在するため、結合素子11及び整合素子21間で放射される電磁波の減衰を抑制し、結果として電力損失を抑制できる。
【0116】
<5−2>
上記実施形態では、第1離隔グラウンド22の第2グラウンド22bは、隙間22b1を有して分断されている。しかし、
図13に示すように、第2グラウンド22bは隙間22b1がなく、一連の帯状に形成されていてもよい。
図13は、第1離隔グラウンドの別の一例における拡大平面図である。
図13によると、第1離隔グラウンド22は、第1〜第4グラウンド22a〜22dが連結されて構成されており、整合素子21の全周囲を取り囲むように連続した環状に形成されている。
【0117】
なお、隙間22b1の有無について、他の条件を同じにして検討したところ、本実施形態の
図9の隙間22b1を有する第1離隔グラウンド22の場合には、78GHzにおける透過量が約−0.9dBであった。一方、
図13の連続した帯状である第1離隔グラウンド22の場合には、78GHzにおける透過量が約−0.9dBであった。
図9の場合も
図13の場合も透過量が大きく、電力の挿入損失が極めて小さいことが分かる。ただし、隙間22b1を有する第1離隔グラウンド22(
図9)の場合よりも、隙間22b1の無い第1離隔グラウンド22(
図13)の場合の方が、透過量が若干高かった。よって、隙間22b1の無い第1離隔グラウンド22(
図13)を用いることで、透過量を大きくし、電力の挿入損失を極めて小さくできることが分かる。
【0118】
<5−3>
上記実施形態では、第1離隔グラウンド22は、第1〜第4グラウンド22a〜22dにより構成されている。しかし、第1離隔グラウンド22は、
図14〜
図16に示すように構成されてもよい。
図14〜
図16は、第1離隔グラウンドの別の一例における拡大平面図である。
図14に示すように、第1離隔グラウンド22は、第2伝送グラウンドに接続される第1グラウンド22aのみにより構成されてもよい。
【0119】
また、
図15に示すように、第1離隔グラウンド22は、第1グラウンド22a及び第2グラウンド22bのみにより構成されてもよい。
図14及び
図15の第1離隔グラウンド22の場合には、78GHzにおける透過量が約−1.0dBであり同程度であった。ただし、第1離隔グラウンド22が、第1グラウンド22aのみからなる場合(
図14)よりも、第1グラウンド22a及び第2グラウンド22bからなる場合(
図15)の方が透過量が若干高かった。なお、透過量の測定において、
図14、
図15では、第1離隔グラウンド22の構成以外の条件を同一とした。よって、
図14及び
図15の第1離隔グラウンド22を用いることで、透過量を大きくし、電力の挿入損失を極めて小さくできることが分かる。
【0120】
また、
図16に示すように、第1離隔グラウンド22は、第1グラウンド22a、第3及び第4グラウンド22c、22dにより構成されてもよい。この場合、第1グラウンド22aだけでなく、第3及び第4グラウンド22c、22dを設けることで、整合素子21からの前後方向への電磁波の不要放射だけでなく、左右方向への電磁波の不要放射を抑制できる。
【0121】
また、上記実施形態では、第1離隔グラウンド22は矩形の環状である。しかし、第1離隔グラウンド22の形状はこれに限定されず、例えば円形状及び楕円形状等であってもよい。
【0122】
<5−4>
上記実施形態では、第1離隔グラウンド22は、第2伝送グラウンド23に接続されている。しかし、第1離隔グラウンド22は、必ずしも第2伝送グラウンド23に接続されている必要はない。
図17は、第1離隔グラウンドの別の一例における拡大平面図である。
【0123】
図17に示すように、第1離隔グラウンド22は、第2伝送グラウンド23から離隔し、グラウンド電位に維持されていない第1離隔パターン221(離隔パターン)であってもよい。よって、第1離隔パターン221を構成する第1〜第4パターン221a〜221dは、グラウンド電位に維持されていない。しかし、第1〜第4パターン221a〜221dが整合素子21の周囲を取り囲むことで、第1〜第4パターン221a〜221dの端面において第2基板20の実効誘電率が変化する。よって、整合素子21から放射された電磁波が反射されるため、第2基板20内及び空気中等に広がるのを抑制できる。これにより、電力損失を抑制できる。第1離隔パターン221も上記変形例と同様に矩形状に限定されず、例えば円形状及び楕円形状等であってもよい。
【0124】
<5−5>
上記実施形態では、第2基板20にガラスフッ素樹脂を用いたが、高周波の電磁波を低損失で送受信可能であればよく、ガラスフッ素樹脂に限定されない。例えば、ポリフェニレンエーテル(PPE)、液晶ポリマー(LCP)、ポリエチレンなどであってもよい。同様に、上記では、第1基板10にガラスエポキシ樹脂を用いたが、熱膨張係数が小さくスルーホールを形成可能であればく、ガラスエポキシ樹脂に限定されない。例えば、ガラスコンポジット、ビスマレイミドトリアジン樹脂などであってもよい。
【0125】
さらに言えば、第1基板10及び第2基板20の材料は、第1基板10及び第2基板20が要求する仕様、例えば各基板に搭載される素子が要求する仕様等に応じて多様に選択できる。例えば、基板材料としては、ガラスフッ素樹脂及びガラスエポキシ樹脂以外にも、ポリイミド、ポリエチレン、テフロン(登録商標)、プラスチック、各種ビニル、天然ゴム、マイカ、ガラス及びセラミック等からも適宜選択可能である。
【0126】
また、上記実施形態では、ガラスフッ素樹脂からなる第2基板20は、ガラスエポキシ樹脂からなる第1基板10よりも上面視の面積が小さい。しかし、面積の大小はこれに限定されない。例えば、第2基板20の面積が第1基板10の面積より大きくてもよい。
また、例えば、第1基板10の材料と第2基板20との材料は同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0127】
<5−6>
上記実施形態では、第1基板10にスルーホール16を形成しているが、スルーホール16は必須ではない。また、スルーホール16の代わりに、結合素子11の周囲に環状の第2離隔グラウンド40を形成してもよい。
図18は、第1基板の第1上面において、結合素子の周囲に第2離隔グラウンドを形成した構成を示す説明図である。本変形例に係る電力変換器100は、結合素子11を取り囲むように環状の第2離隔グラウンド40が第1基板10の第1上面10aに形成されている。第2離隔グラウンド40は、第5グラウンド40a、第6グラウンド40b、第7グラウンド40c及び第8グラウンド40dを有する。
【0128】
図18に示すように、第2離隔グラウンド40は、結合素子11を取り囲む形状であり、第5グラウンド40a、第6グラウンド40b、第7グラウンド40c及び第8グラウンド40dを有する。
【0129】
第5グラウンド40aは、左右方向に延びており、結合素子11に対して、前側に第1距離ΔK2離隔して位置する。第5グラウンド40aは、前後方向において第5幅A2を有する。第5グラウンド40aの管内波長をλmとすると、第5幅A2は1/4λmの奇数倍である。
【0130】
この第5グラウンド40aは、上記実施形態の第1グラウンド22aと同様の効果を奏する。つまり、左右方向に延びる第5グラウンド40aは、結合素子11から放射される前後方向の電磁波が、第1基板10内及び空気中等に広がるのを抑制する。また、第1グラウンド22aが上記の第5幅A2を有することで、第5グラウンド40aのうち、結合素子11に近い端面においては定在波の節が位置し、結合素子11から遠い端面においては定在波の腹が位置する。これにより、結合素子11から漏出した電磁波が第1基板10内及び空気中等に広がるのを抑制し、電力損失を抑制できる。
【0131】
第6グラウンド40bは、左右方向に延びており、結合素子11に対して、後側に第2距離ΔL2離隔して位置する。第6グラウンド40bは、前後方向において第6幅D2を有する。第6グラウンド40bの管内波長をλnとすると、第6幅D2は1/4λnの奇数倍である。第6グラウンド40bは、第1基板10の第1伝送パターン12に対応する部分に隙間40b1を有している。隙間40b1は左右方向に距離C2を有しており、距離C2は、第1伝送パターン12の距離W12よりも大きい。
【0132】
第6グラウンド40bは、第5グラウンド40a同様に左右方向に延びているため、結合素子11から放射される前後方向の電磁波が、第2基板20内及び空気中等に広がるのを抑制する。また、第6グラウンド40bでは、第5グラウンド40aと同様の定在波が形成されるため、結合素子11から漏出した電磁波が第1基板10内及び空気中等に広がるのが抑制され、電力損失を抑制できる。
【0133】
第7グラウンド40cは、前後方向に延びており、結合素子11に対して右側に第3距離ΔM2離隔して位置する。第7グラウンド40cは、第5グラウンド40aの右側の第1端部と第6グラウンド40bの右側の第1端部とを接続する。第7グラウンド40cは、左右方向において第7幅I2を有する。第7幅I2は、例えば第5グラウンド40aの第5幅A2及び第6グラウンド40bの第6幅D2よりも小さいと好ましい。例えば、第7幅I2は、第7グラウンド40cの管内波長をλoとすると、1/4λoよりも小さい。この場合、第7グラウンド40cに電磁波が補足されてしまうのが抑制され、電力損失を抑制できる。なお、第7幅I2が小さくても、結合素子11からは、主として第1伝送パターン12及び第2伝送パターン28に沿った前後方向の電磁波が放射されており、左右方向への電磁波の放射量は相対的に少ない。よって、第3パターンの第7幅I2が小さくても、電力損失を小さく抑えることができる。
【0134】
第8グラウンド40dは、前後方向に延びており、結合素子11に対して左側に第4距離ΔN2離隔して位置する。第8グラウンド40dは、第5グラウンド40aの左側の第2端部と第6グラウンド40bの左側の第2端部とを接続する。第8グラウンド40dは、左右方向において第8幅J2を有する。第8幅J2は、例えば第5グラウンド40aの第5幅A2及び第6グラウンド40bの第6幅D2よりも小さいと好ましい。例えば、第8幅J2は、第8グラウンド40dの管内波長をλpすると、1/4λpよりも小さい。この場合、第7グラウンド40cと同様に、第8グラウンド40dは、電磁波の補足を抑制でき、また第8幅J2が小さくても電力損失を小さく抑えることができる。
【0135】
なお、第5〜第8グラウンド40a〜40dは、特にグラウンド電位に維持されている。上述の通り、第5グラウンド40a及び第6グラウンド40bの結合素子11に近い端面では定在波の節が位置する。このとき、第5グラウンド40a及び第6グラウンド40bがグラウンド電位に維持されることで、結合素子11に近い端面の電位を確実にゼロとし、ショートした状態とできる。これにより、結合素子11から漏出した電磁波が、結合素子11以外の第2基板20内及び空気中等に広がるのをさらに抑制し、電力損失を抑制できる。
【0136】
このような第5〜第8グラウンド40a〜40dによって環状の第2離隔グラウンド40が形成される。第2離隔グラウンド40の内周は、第5グラウンド40aと第6グラウンド40bとの間を短辺とし、第7グラウンド40cと第8グラウンド40dとの間を長辺とする長方形状である。短辺は前後方向に延びており、長辺は左右方向に延びている。
【0137】
内周の長辺の距離G2は1/2λqより大きい。λqは、第5〜第8グラウンド40a〜40dによって形成される長方形状の内側領域における電磁波の管内波長である。この長方形状の内側領域内における電磁波の遮断波長は2×G2である。つまり、遮断波長と長辺の距離G2とがこの関係を満たす場合、電磁波は減衰する。よって、距離G2を1/2λqより大きくすることで、電磁波の減衰を抑制できる。
【0138】
一方、内周の短辺の距離E2は、内周の長辺の距離G2よりも小さい。より好ましくは、内周の短辺の距離E2は、内周の長辺の距離G2の1/2である。短辺が延びる前後方向が共振方向となり、第1伝送パターン12及び第2伝送パターン28における電磁波の伝送方向である前後方向と一致するため、電力損失を抑制できる。
【0139】
また、結合素子11は、第5〜第8グラウンド40a〜40dの長方形状の内周から概ね均等の位置に配置されていると好ましい。この場合、例えば、第5グラウンド40aにおける前後方向の電磁波が結合素子11の電磁波に与える影響と、第6グラウンド40bにおける前後方向の電磁波が結合素子11の電磁波に与える影響とが概ね均一となる。同様に、例えば、第7グラウンド40cにおける左右方向の電磁波が結合素子11の電磁波に与える影響と、第8グラウンド40dにおける左右方向の電磁波が結合素子11の電磁波に与える影響とが概ね均一となる。よって、結合素子11及び第5〜第8グラウンド40a〜40dの設計を容易化できる。
【0140】
なお、環状の第2離隔グラウンド40の外周もまた長方形状であり、外周の前後方向が短辺であり、外周の左右方向が長辺である。なお、第2離隔グラウンド40の形状は、矩形状に限らず、円形状及び楕円形状でえあってもよい。
【0141】
<5−7>
上記実施形態では、スルーホール16の接続グラウンド15は、第1上面10aの第1上面グラウンド13と第1下面10bの第1下面グラウンド14とを接続している。しかし、第1上面10aの第1上面グラウンド13及び第1下面10bの第1下面グラウンド14が形成されていない第1基板10において、壁面に接続グラウンド15が形成されたスルーホール16が形成されていてもよい。また、第2スルーホール16bは省略し、結合素子11の周囲の第1スルーホール16aのみを形成してもよい。
【0142】
<5−8>
上記実施形態では、拡張グラウンド24と第2伝送グラウンド23との接続部分の平面形状は緩やかに変化している。しかし、接続部分の形状はこれに限定されない。
図19及び
図20は、拡張グラウンドと第2伝送グラウンドとの接続部分の平面形状を示す平面図である。
図19に示すように、第2伝送グラウンド23は前後方向に延びており、拡張グラウンド24は第2伝送グラウンド23に対して左右方向に延びており、拡張グラウンド24と第2伝送グラウンド23とが直交するように接続されていてもよい。
【0143】
また、
図20に示すように拡張グラウンド24は、第2伝送グラウンド23から左右方向に向かうにつれて、後側に傾斜するように形成されていてもよい。
【0144】
<5−9>
上記実施形態では、結合素子11及び整合素子21は矩形状である。しかし、結合素子11及び整合素子21の形状はこれに限定されず、例えば円形状及び楕円形状等その他の形状であってもよい。
【0145】
<5−10>
上記実施形態では、第1基板10の第1下面10bにおいて、第1下面グラウンド14が概ね全体に亘って配置されているが、これに限定されない。例えば、第1下面グラウンド14は、少なくとも第1伝送パターン12に対応する第1伝送グラウンド14aと、結合素子11に対応する結合グラウンド14bとを含んで構成されればよい。
【0146】
<5−11>
上記実施形態では、第1伝送パターン12と第2伝送パターン28とは、上面視において、整合素子21を挟んで同一直線状において対向するように配置されている。しかし、第1伝送パターン12及び第2伝送パターン28の配置はこれに限定されず、例えば第2伝送パターン28は、上面視において、整合素子21を基準として第1伝送パターン12と同じ側に配置されていてもよい。
また、第2伝送パターン28は、上面視において、整合素子21を挟んで第1伝送パターン12と同一直線状とは異なる位置に配置されていてもよい。例えば、第1伝送パターン12の延びる方向と、第2伝送パターン28が延びる方向とが角度を有して交差してもよい。
また、第1伝送パターン12及び第2伝送パターン28の少なくとも1つは、直線状でなくてもよく、例えば曲線状であってもよいし、屈曲していてもよい。
【0147】
<5−12>
上記実施形態では、第1及び第2基板ユニット101、102は左右方向に長い長方形状であるが、前後方向に長い長方形状であってもよい。また、各基板ユニット101,102の形状は長方形状に限定されず、例えば正方形状、円形状、楕円形状及び多角形状であってもよい。
【0148】
<5−13>
上記実施形態では、第1基板10及び第2基板20に1つ電力変換器100が形成されている。しかし、第1基板10及び第2基板20に複数の電力変換器100が形成されていてもよい。
【0149】
<5−14>
上記実施形態では、アンテナとして平面アンテナを例に挙げているが、アンテナはこれに限定されない。例えば、上記電力変換器100に接続可能な、例えばスロット型アンテナ等の各種のアンテナを適用可能である。
【0150】
<5−15>
上記実施形態では、電力変換器100はアンテナ装置200に使用される例を示した。しかし、電力変換器100の用途はこれに限定されず、例えば高速映像有線伝送、高速無線LAN等に使用することができる。
【0151】
<5−16>
上記実施形態では、電力変換器100の下部の第1基板10の熱膨張係数が、上部の第2基板20の熱膨張係数よりも小さい。しかし、例えば、第1基板10と第2基板20とを入れ替えてもよい。例えば、第1基板10の結合素子11と第2基板20の整合素子21とが対向するように、電力変換器100の上部に第1基板10を配置し、下部に第2基板20を配置してもよい。つまり、基板の熱膨張係数の大きさによって、基板に設ける構成を適切に選択すればよい。さらに言い換えれば、基板の上下に関係なく、熱膨張係数の小さい基板には熱膨張の影響を受けやすい構成を設け、代わりに熱膨張係数の大きい基板に熱膨張の影響を受けにくいスルーホール等を形成するようにすればよい。
【0152】
<5−17>
上記実施形態では、第1基板ユニット101と第2基板ユニット102とは、本発明の固定部材である接着部材103によって接着されている。しかしながら、本発明の固定部材は、これに限定されず、第1基板ユニット101と第2基板ユニット102とを固定するものであれば、特には限定されない。したがって、接着剤のように取り外し不能に固定してもよいし、着脱自在に固定してもよい。以下では、本発明に係る固定部材の他の例について、
図21を参照しつつ説明する。
図21は、固定部材を備えた電力変換器の
図1のA−A’線断面図である。
【0153】
図21に示す固定部材205は、対向する一対の板状の支持部205a、205bと、これら支持部205a、205bを連結する連結部205cとを有する、断面U字状に形成されている。そして、一対の支持部205a、205bの間には、第1基板ユニット101及び第2基板ユニット102が挟み込まれて固定されている。また、第1基板ユニット101と第2基板ユニット102との間には、上記実施形態の接着部材103の代わりに、スペーサ210が設けられている。このスペーサ210によって、第1基板ユニット101の結合素子11と、第2基板ユニット102の整合素子21とは互いに空気を介して対向している。
【0154】
このような固定部材205を用いても、第1基板ユニット101及び第2基板ユニット102を固定することができる。また、これらの基板ユニット101,102は、接着剤などで固定部材205に固定してもよいし、両支持部205a、205bの間に両基板ユニット101,102を圧入してもよく、その固定方法は特には限定されず、取り外し可能であってよい。その他、両基板ユニット101,102をネジ、ボルトなどで取り外し可能に固定することもできる。さらに、接着剤を併用して固定してもよい。