(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の遮光シートは、酸化チタンを含有し、実質的に紫外線を透過させずに、可視光をほぼ遮光するが長波長にいくほど可視光を透過させるという特徴を有する。
【0017】
本発明の1つの実施態様は、酸化チタンを含有し、400nm以下の紫外線を実質的に透過せず、400〜700nmにおける分光光度計による全光線透過率の平均値が30%以下である遮光シートである。
本発明の遮光シートは、葭簀や藁の透過特性に類似した光透過特性を有し、テアニンの量を増やすことができ、葭簀や藁と同程度の栽培効果を得ることが可能となる。
【0018】
本発明の遮光シートは、400nm以下の紫外線を実質的に透過しない。本発明の遮光シートは、300〜400nmにおける分光光度計による全光線透過率の平均値が10%以下、好ましくは5%以下、より好ましくは3%以下、更に好ましくは1%以下である。
本発明の遮光シートの400〜700nmの分光光度計による全光線透過率の平均値は、30%以下であり、好ましくは20%以下であり、より好ましくは10%以下である。また、本発明の遮光シートの400〜700nmの分光光度計による全光線透過率の平均値は、好ましくは3%以上である。ここで、全光線透過率の平均値とは1nmごとの透過率の平均値を表す。
【0019】
本発明のもう1つの態様は、酸化チタンを含有し、400nm以下の紫外線を実質的に透過せず、使用環境下において、400〜700nmにおける分光放射計による透過率の平均値が30%以下であり、波長700nmにおける透過率と、波長400nmにおける透過率の比率が1.5倍以上である遮光シートである。
即ち、本発明の遮光シートは、実際の使用環境下においても、実質的に紫外線を透過させずに、可視光をほぼ遮光するが長波長にいくほど可視光を透過させるという特徴を有する。
本発明の遮光シートは、300〜400nmにおける分光光度計による全光線透過率の平均値が10%以下、好ましくは5%以下、より好ましくは1%以下、更に好ましくは0.5%以下である。
遮光シートの使用環境下での400〜700nmにおける分光放射計による透過率の平均値は、30%以下であり、好ましくは20%以下であり、更に好ましくは10%以下である。
また、本発明の遮光シートの分光放射計による波長700nmにおける透過率と、波長400nmにおける透過率の比率は、1.5倍以上であり、好ましくは2倍以上、より好ましくは10倍以上、更に好ましくは20倍以上である。
本発明の遮光シートは、このような光透過特性を有することにより、特に被覆茶用茶葉を栽培するにあたり、葭簀や藁と同程度の栽培効果を得ることが可能となる。
【0020】
本発明の遮光フィルムを構成する樹脂としては、塩化ビニル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂等の農業用フィルムに通常用いられる樹脂を用いることができるが、ポリオレフィン系樹脂であることが好ましい。
【0021】
本発明に用いることができるポリオレフィン系樹脂としては、α−オレフィン系の単独重合体、α−オレフィンを主成分とする異種単量体との共重合体、α−オレフィンと共役ジエンまたは非共役ジエン等の多不飽和化合物、アクリル酸、メタクリル酸、酢酸ビニル等との共重合体などがあげられ、例えば高密度、低密度または直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体等が挙げられる。これらのうち、密度が0.910〜0.935の低密度ポリエチレンやエチレン−α−オレフィン共重合体および酢酸ビニル含有量が30重量%以下のエチレン−酢酸ビニル共重合体が、柔軟性や耐候性やおよび価格の点から好ましい。また、本発明において、ポリオレフィン系樹脂の少なくとも一成分としてメタロセン触媒で共重合して得られるエチレン−α−オレフィン共重合体樹脂を使用することができる。
【0022】
メタロセン触媒で共重合して得られるエチレン−α−オレフィン共重合体樹脂としては、通常エチレンとブテン−1、ヘキセン−1、4−メチルペンテン−1、オクテンなどのα−オレフィンとの共重合体であり、例えば下記の(A法)(特開昭58−19309号、特開昭59−95292号、特開昭60−35005号等)や(B法)(特開平6−9724号、特開平6−136195号、特開平6−136196号等)により得られる。
【0023】
本発明の遮光シートは、酸化チタンを含有する。酸化チタンとしては、市販の酸化チタンを使用することができ、また、ルチル型、アナターゼ型、ブルッカイト型のいずれであってもよい。
【0024】
本発明の遮光シートは、実質的に紫外線を透過させずに、可視光をほぼ遮光するが長波長にいくほど可視光を透過させる光学特性を実現するために更に別の顔料を含むことができる。このような顔料としては、カーボンブラック、複合酸化物系顔料が好適に用いることができる。
カーボンブラックとしては、市販のカーボンブラックを使用することができる。
【0025】
本発明の1つの態様は、複合酸化物系顔料を含む遮光シートである。
複合酸化物系顔料の一例としては、クロム、アンチモン、ニッケル等を含有する複合酸化物系顔料が挙げられ、このような複合酸化物系顔料として、例えば、Ti−Sb(III)−Crを主成分とする構成元素からなる複合酸化物系顔料を用いることができる。
【0026】
本発明の1つの側面は、酸化チタン及び/又はカーボンブラック、及び複合酸化物系顔料を含む遮光シートである。
酸化チタン及び/又はカーボンブラック、及びTi−Sb(III)−Crを主成分とする構成元素からなる複合酸化物系顔料の合計含有量は、遮光シートの全重量に対し、通常1〜20重量%、好ましくは2〜15重量%、更に好ましくは3〜10重量%である。
また、Ti−Sb(III)−Crを主成分とする構成元素からなる複合酸化物系顔料の含有量は、遮光シートの全重量に対し、通常0.3〜3重量%、好ましくは0.5〜2.5重量%である。
酸化チタン、カーボンブラックの含有量は、酸化チタン、カーボンブラック及びTi−Sb(III)−Crを主成分とする構成元素からなる複合酸化物系顔料の合計含有量が上記の範囲内となるように適宜定めることができる。
【0027】
また、複合酸化物系顔料として、クロム及びアンチモンを含有しない複合酸化物顔料を用いることがより好ましい。Ti−Sb(III)−Crを主成分とする構成元素からなる複合酸化物系顔料のようなクロムやアンチモンを含有する複合酸化物系顔料は、安定な構造を有し、有害性が低いという特性を有するものの、かかる複合酸化物系顔料に含まれるクロム、アンチモンは環境負荷物質であり、安全性について一部指摘され始めている。従って、クロム及びアンチモンを含有しない複合酸化物系顔料を用いると環境負荷を低減することができるため好ましい。
本発明の好ましい態様は、クロム及びアンチモンを含有しない複合酸化物顔料を含む遮光シートである。
【0028】
クロム及びアンチモンを含有しない複合酸化物系顔料としては、例えば、アルミニウム、鉄及び酸化チタンを含有する複合酸化物系顔料(例えば、東罐マテリアル・テクノロジー(株)のBrown48)、酸化亜鉛、酸化鉄、カーボンブラック、酸化チタン、シリカを含有する複合酸化物系顔料(例えば、大日精化(株)のPE−M15N7065BE、PE−M16N0077BE)等が挙げられる。これらのクロム及びアンチモンを含有しない複合酸化物系顔料を使用した本発明の遮光シートは、環境負荷をより低減させることができ好ましい。
【0029】
また、本発明の遮光シートには、上記の複合酸化物系顔料以外に、隠蔽性を上げるために通常使用される顔料(例えば、酸化亜鉛、硫酸バリウム、炭酸カルシウム等)や、一般的に使用される種々の着色顔料(例えば、黄色、赤色又は黒色の酸化鉄等)を添加することができる。
【0030】
本発明における遮光シートには農業用フィルムに通常使用される各種添加剤を配合することができる。これらの添加剤としては、例えば、防曇剤、防霧剤、耐候性向上剤(ヒンダードアミン系光安定剤、紫外線吸収剤等)、耐候剤、赤外線吸収剤、保温剤、充てん剤、金属の有機酸塩、塩基性有機酸塩および過塩基性有機酸塩、ハイドロタルサイト化合物、エポキシ化合物、β−ジケトン化合物、多価アルコール、ハロゲン酸素酸塩、硫黄系、フェノール系およびホスファイト系などの酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、帯電防止剤、着色剤、アンチブロッキング剤、などがあげられる。
【0031】
本発明の遮光シートに各種添加剤を配合するには、各々必要量秤量し、リボンブレンダー、バンバリーミキサー、加圧ニーダー、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、単軸又は二軸押出機、ロールなどの配合機や混練機その他従来から知られている配合機、混合機を使用すればよい。このようにして得られた樹脂組成物をフィルム化するには、それ自体公知の方法、例えば、溶融押出し成形法(Tダイ法、インフレーション法を含む)、カレンダー加工、ロール加工、押出成型加工、ブロー成型、インフレーション成型、溶融流延法、加圧成型加工、ペースト加工、粉体成型等の方法を好適に使用することができる。
【0032】
本発明の遮光シートは、不織布、織布、フィルム、ネットのいずれか、またはこれらの複合体の形態をとることができる。以下において、遮光シートがフィルムの形態の場合は、「本発明の遮光フィルム」とも言う。
【0033】
本発明の遮光フィルムの厚みについては、強度やコストの点で0.01〜1mmの範囲のものが好ましく、0.05〜0.5mmのものがより好ましく、更に好ましくは0.05〜0.2mmである。厚みがこの範囲であれば強度的、成形上、展張作業性の問題のないフィルムを得ることができる。
【0034】
本発明の遮光フィルムは、単層フィルムとすることもでき、また、3層から5層程度の多層フィルムとすることもできる。3層フィルムを構成する層比としては、成形性や透明性及び強度の点から1/0.5/1〜1/5/1の範囲が好ましく、1/2/1〜1/4/1の範囲がより好ましい。また、外層と内層の比率としては、特に規定されるものではないが、得られるフィルムのカール性から同程度の比率とするのが好ましい。
多層フィルムの場合は、酸化チタン、及び、任意にカーボンブラックや複合酸化物系顔料は、全層に添加してもよく、また一部の層(中間層、又は中間層及び外層等)に添加することもできる。
また、上記の耐候性向上剤(ヒンダードアミン系光安定剤、紫外線吸収剤等)、耐候剤、赤外線吸収剤、保温剤等の各種添加剤についても、全層に添加してもよく、また一部の層(中間層、又は中間層及び外層等)に添加することもできる。
【0035】
また、本発明の遮光フィルムには、防曇性塗膜及びそれ以外の塗膜を形成することが出来る。例えば、農業用フィルムとしてハウスに被覆した際に内側になる面に防曇性塗膜を、外側になる面に防塵性塗膜を形成しても良い。
【0036】
防曇性塗膜としては、無機質コロイドゾル及び/又は熱可塑性樹脂等のバインダー樹脂を主成分とする組成物等が挙げられる。好ましくは無機コロイド物質と親水性有機化合物を主成分とした防曇性塗膜や無機コロイド物質とアクリル系樹脂を主成分とする防曇性塗膜を用いることができる。又、バインダー樹脂は添加しなくても良く、コロイダルシリカやコロイダルアルミナ等の無機物を積層しても良い。
【0037】
無機質コロイドゾルとしては、シリカ、アルミナ、水不溶性リチウムシリケート、水酸化鉄、水酸化スズ、酸化チタン、硫酸バリウム等の無機質水性コロイド粒子を、種々の方法で、水又は親水性媒体中に分散させた、水性ゾルが挙げられる。中でも好ましく用いられるのは、シリカゾルとアルミナゾルで、これらは、単独で用いても併用しても良い。
【0038】
本発明の遮光シートの別の態様は、ポリオレフィン系フラットヤーンおよび/またはモノフィラメントを用いて形成される遮光シートである。
【0039】
フラットヤーンは、酸化チタン、及び、任意にカーボンブラックや複合酸化物系顔料を含むポリオレフィン系樹脂組成物をインフレーション法やTダイ法などで成形することにより製造することができる。好ましくは、酸化チタン、及び任意にカーボンブラック、複合酸化物系顔料を含むポリオレフィン系樹脂組成物から単層または多層のフィルムを成形し、得られたフィルムをスリット加工等により裁断し、さらに必要に応じて延伸することによりフラットヤーンを製造することができる。
一般に、フラットヤーンの厚みは10〜200μmであり、幅は1〜20mmである。
【0040】
モノフィラメントは、酸化チタン、及び任意にカーボンブラックや複合酸化物系顔料を含むポリオレフィン系樹脂組成物を押出機でノズルから押出すことにより成形され、さらに必要に応じて延伸することにより製造することができる。
モノフィラメントの繊度は通常100〜3000デニールである。
【0041】
遮光シートのうちの織布はフラットヤーン、モノフィラメント、マルチフィラメント、紡績糸などを単独または組み合せて経糸および緯糸に使用して製織することにより形成され、織構造は平織り、絡み織り、ラッセル織りなどで行うことが可能である。経糸および緯糸の打ち込み本数は最終用途により適宜設定されるが通常0.1〜30本/25mmである。また、目ずれを防止するために経緯糸の交点を熱融着やホットメルト接着剤により目止め処理するのが望ましい。
【0042】
この時の目の大きさは、風通しの良さと、目の隙間を通って地表あるいは作物に到達する制御すべき熱線の量によって異なる。通常 織製時における該フラットヤーンの本数は1〜20本/25mmである。 通常2〜18本/25mmのものが用いられ、好ましくは4〜16本/25mmのものが用いられる。該テープの幅も同様に、風通し、目の大きさによっても異なるが、通常1〜20mmのものが用いられ、好ましくは2〜8mmのものが用いられる。
【0043】
また遮光シートのうちの不織布は、該フラットヤーンおよび/またはモノフィラメントを経緯、斜めなど任意の方向に積層して熱融着あるいはホットメルト接着剤などで目止め処理する方法などにより製造することができる。また不織布はスパンボンド法、メルトブロー法、フラッシュ防止法、湿式法などで製造することができ通常繊度は0.001〜15 デニール、目付は10〜600g/m
2である。
【0044】
フラットヤーンは、酸化チタン、及び任意にカーボンブラックや複合酸化物系顔料を含むポリオレフィン系樹脂フィルムをスリット加工して得ることができる。
【0045】
本発明の遮光シートは、同一の種類のフラットヤーンおよび/またはモノフィラメントを用いて形成することもでき、また、異なる種類のフラットヤーンおよび/またはモノフィラメントを用いて形成することもできる。従って、2種類以上のフラットヤーンおよび/またはモノフィラメントを用いて形成した遮光シートも本発明の遮光シートに含まれる。また、酸化チタン、及び任意にカーボンブラックや複合酸化物系顔料を含むフラットヤーンおよび/またはモノフィラメントと、酸化チタン、カーボンブラック、複合酸化物系顔料のいずれか1以上を含むフラットヤーンおよび/またはモノフィラメント、及び/又はこれら顔料を含まないフラットヤーンおよび/またはモノフィラメントとを用いて形成した遮光シートも本発明の遮光シートに含まれる。
【0046】
本発明の遮光シートの1つの側面は、表面に穴を有し、前記穴は、スリット、十字又は斜め十字の形状を有する遮光シートである。
即ち、本発明の遮光シートは、不織布、織布、フィルム、ネットのいずれか、またはこれらの複合体の形態をとることができるが、ネットや寒冷紗は風にあおられにくく、雨水が通りやすいメリットはあるものの、光環境としては不均一になり、一般的には、不使用時の収束性に劣り、コスト的にも不利になる傾向がある。これに対して、フィルム形状の資材は、ネットや寒冷紗の様に不均一な透過特性を有する資材と異なり、均一な透過特性による均一な光環境を設計、設定が可能であり、且つ軽量で、収束性に優れ、コスト的にも有利であることが特徴となる。しかしながら、編目のある不織布、織布、ネットでは雨や光が通る隙間があるのに対して、フィルムの場合には、展張すると雨がフィルム表面に溜まり、その自重によりフィルムが破断する恐れがある。そこで、フィルム形状の遮光シートに穴を設けることにより、雨の通りもよく、均一な透過特性を有し、軽量で、収束性に優れる遮光資材を提供することができる。従って、本発明の遮光シートの1つの好ましい側面は、表面に穴を有するフィルム形状の遮光シートである。
【0047】
遮光シートの表面に設ける穴の形状として、円、楕円、四角形、菱形、星形、十字形、斜め十字形、スリット等及びこれらの組み合わせを用いることができるが、十字、斜め十字、スリット、又はこれらの組み合わせが好ましい。穴の形状を、スリット、十字、斜め十字の形状にした場合、穴あけ加工時のゴミが出ない上、資材設置下の光環境も均一になるため好ましい。フィルムの開口面積は、風にあおられて破れる可能性、資材下の光環境の均一性等に配慮して、任意に設計することが出来るが、遮光シートの表面に設ける穴の形状として、十字、斜め十字の形状が好ましい。特に巻形状のフィルム原反をロール to ロールで加工する場合、穴の形状を巻きの流れ方向に対して十字形状にすることで、ロールの巻形状が良好になる上、フィルムの切れ目端部が耳折れしにくく、好ましい。フィルムの穴あき部の切れ目端部が耳折れすると、展張時の開口部が大きくなり、資材下の光環境が不均一になるため、配慮が必要となる。ロールの巻形状が悪くなると、ロールに凹凸ができ、フィルム保管時に局所的に荷重がかかり、フィルムの平滑性が失われるうえ、フィルムの強度低下を招く可能性があり、配慮が必要となる。
【0048】
フィルムの厚みにもよるが、スリット、十字又は斜め十字の大きさとしては、例えば100μm厚程度のポリオレフィン系フィルムの場合、1辺が10cm以下程度であることが好ましく、巻形状を考慮すると、十字形状で1辺が5cm以下程度であると更に好ましい。1辺の長さは、短すぎると雨の透過性に劣る上、風にあおられ易くなる為、使用する地域、気候、期間等に配慮して設定する必要がある。
【0049】
遮光シートに穴を設ける頻度としては、任意の頻度で設けることができるが、例えば、略30cm×30cmの単位において約1〜約20個、好ましくは約2〜約10個、更に好ましくは約3個〜約5個の頻度で、雨の透過性や風による破れに配慮しながら、任意に設けることができる。
本発明の遮光シートの1つの好ましい側面は、穴の形状が巻きの流れ方向に対して十字形状であり、例えば、十字形状の1辺が5cm以下程度の場合、略30cm×30cmの単位において約1〜約20個、好ましくは約2〜約10個、更に好ましくは約3個〜約5個の頻度で穴が設けられた遮光シートである。
【0050】
本発明の1つの好ましい態様においては、遮光シートはフィルムの形態であり、表面に穴を有し、前記穴は、スリット、十字又は斜め十字の形状を有する。
【0051】
本発明の遮光シートは、被覆茶用茶葉の栽培に好適に使用することができる。
【0052】
本発明のもう1つの態様は、遮光シートの幅方向における端部、好ましくは両端部にハトメ加工がされた部位を有する、遮光シートである。
本発明の更に1つの態様は、遮光シートの幅方向における端部及び中央近傍にハトメ加工がされた部位を有する、遮光シートである。
ハトメ加工がされた部位は、遮光シートの幅方向における端部及び中央近傍に沿って、所定の間隔おきに設けることができる。ハトメ加工は、例えば、端部については、本木工業株式会社の全自動ハトメ機を使用してハトメを打つことができ、中央部については、人の手でハトメを打つことができる。
ここで、遮光シートには前記実施態様1及び2の遮光シートが含まれるが、フィルム形態の遮光シートであることが好ましい。
【0053】
伝統的に遮光資材を用いた茶の棚栽培は、本ず栽培と呼ばれる、コモや藁を使用した人手による手間がかかる栽培方法で行われてきた。この方法は、人が棚の上に乗り、藁等の自然素材を設置する為、作業場の危険が伴う上、設置作業に経験が必要とされる等問題があった。一方で、黒色化繊を用いた簡易的な棚栽培方法の検討が進められ、金属製ワイヤーやアトラス線と呼ばれる樹脂線を棚に這わせて、吊りカンと呼ばれる金属製の金具で吊った黒色化繊を使用するときに茶の畝上に設置し、不使用時はたたむという方法が普及しつつある。この方法は、作業が簡易であるものの、黒色化繊が収束性に劣り、不使用時に畝上に大きな影を落すうえ、黒色化繊が持つ、遮光特性(透過特性)により、自然素材の様な、テアニンをはじめとする遊離アミノ酸量の多い、旨味成分が多く、且つ、色調にすぐれ、香味成分も豊かなお茶を生産することができなかった。このような黒色化繊による栽培方法の問題点が指摘される中、自然素材を用いた椰子シートを用いた高級茶用遮光資材の資材が提案されるも(特開2013−188138号公報)、素材自体が重く、収束性に著しく劣るなど、その具体的な解決方法が求められていた。
本発明の遮光シートにハトメ加工を施すことにより、黒色化繊で使用されている吊りカンで遮光シートを吊ることができ、容易にかつ強度的にも際切れ等に配慮して展張することができる。
【0054】
本発明のもう1つの態様は、ハトメ加工がされた部位を治具で固定することにより遮光シートを展張することを特徴とする遮光シートの使用方法である。
遮光シートの使用方法の非限定的例としては、ハトメ加工部分をワッシャーと吊りカンで固定することにより、遮光シートを展張する方法がある。
遮光シート自体は、風にあおられた場合、局所的な力を受けると固定部分の際で破れやすいこともあり、任意のテープ、ワッペン等補強資材を用いた上で、金属製等のハトメ加工を行い、圃場に展張することが好ましい。
遮光シートの使用方法の非限定的例としては、ハトメ加工部分を金属部品と吊りカンで固定することにより、遮光シートを展張する方法がある。金属部品としては任意のものを使用することが出来るが、コスト、強度、入手しやすさを配慮して、ワッシャーを好ましく使用することが出来る。従来から存在する黒寒冷紗を用いた遮光栽培用の棚を利用して、アトラス線に吊りカンと金属部品を用いて、本願記載の遮光資材を固定し、使用時は広げ、不使用時はコンパクトに収束することが出来る。収束性に劣る黒寒冷紗と異なり、本発明の遮光シートは、たたんだ時の体積が小さい為、圃場に影を落とす面積が小さい為、栽培への悪影響を最小限に出来る為、好ましい。また、不使用時の耐候劣化を抑制するために、たたんだ状態の本発明の遮光シートを別の遮光シートで覆うことで、長期間にわたり圃場での使用が可能となる。
【0055】
本発明の遮光シートは、単独で使用することもでき、または、従来の遮光資材と組み合わせて使用することもできる。本発明の遮光シートを単独で使用する場合は、
図1に示すように、一段棚栽培を行うのに好適に用いることができる。また、本発明の遮光シートを従来の遮光資材と組み合わせて使用する場合は、
図1に示すように、二段棚栽培を行うのに好適に用いることができる。何れの使用の態様においても、葭簀や藁の透過特性に類似した透過特性を示すことから、被覆茶用茶葉の栽培に用いると、高品質の茶を大量に生産することが可能である。
【実施例】
【0056】
以下、本発明を実施例、比較例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の例に限定されるものではない。
【0057】
(1)ポリオレフィン系樹脂多層フィルムの調製
3層インフレーション成形装置として3層ダイに300mmφ((株)プラコー製)を用い、押出機はチューブ外中内層を55mmφ((株)プラコー製)3台として、外中内層押出し機温度180℃、ダイス温度180〜190℃、ブロー比2.0〜3.0、厚さ0.10mmにて表1に示した成分からなる3層の積層フィルムを得た。なお、これらのフィルムは、展張時にチューブの端部を切り開いて使用するため、展開した際に製膜時のチューブ外層が展張時には内層(内面)となる。
基材の配合を表1に示す。
【0058】
【表1】
【0059】
〔配合〕 添加量は各表記載の通りである。
HP−LDPE:高圧ラジカル法触媒で製造した分岐状ポリエチレン(MFR:0.7g/10分、密度0.924)日本ポリケム製ノバテックLD「LF240」
メタロセンPE:メタロセン触媒で製造したエチレン・αオレフィン共重合体(MFR:2.0g/10分、密度0.913)日本ポリケム製カーネル「KF270」
EVA1:エチレン・酢酸ビニル共重合体(酢酸ビニル含有量15重量%、MFR2g/10分)
【0060】
キマソーブ944:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製光安定剤
合成ハイドロタルサイトA:協和化学(株)製「DHT4A」
エチレン・環状アミノビニル共重合体:日本ポリケム(株)製「ノバテックLD・XJ100H」MFR=3g/10分(190℃、JIS−K6760) 密度=0.931g/cm
3(JIS−K6760)環状アミノビニル化合物含量=5.1重量%(0.7モル%)孤立して存在する環状アミノビニル化合物の割合=90モル% 融点=111℃
【0061】
顔料マスターバッチA:ブラウン24系顔料A(藁色顔料)を30重量%含有するPE系マスターバッチ(大日精化工業(株)製)を使用
顔料マスターバッチB:ノンクロム、ノンアンチモン系顔料B(こげ茶色顔料)を20重量%含有するPE系マスターバッチ(大日精化工業(株)製)を使用
【0062】
今回用いた樹脂、添加剤以外の組み合わせ、又は今回と異なるフィルム厚みでも、その要旨を変えない限り、同様の効果が得られる。
【0063】
[実施例1〜6]
表1で示した多層フィルムの配合において、顔料マスターバッチAを中間層に30重量%を添加、顔料マスターバッチBを中間層に20重量%を添加し、夫々、実施例1〜6の多層フィルムを調製した。ここで、実施例2〜6では、多層フィルムに
図2で示す形状で穴あけ加工を施した。
【0064】
[比較例1〜3]
市販されている遮光率50%の黒寒冷紗を、1枚、2枚重ね、3枚重ねの状態で使用し、慣行的に使用される遮光資材の一例として使用した。
【0065】
[比較例4〜6]
市販されている遮光率75%の黒い遮光シートを、1枚、2枚重ね、3枚重ねの状態で使用し、慣行的に使用される遮光資材の一例として使用した。
【0066】
[比較例7]
市販されているよしずに藁をのせて使用し、慣行的に使用される本ず栽培の一例として使用した。
【0067】
[実施例7〜10]
実施例3、実施例4の資材を、比較例1、比較例4の資材と組み合わせて使用し、慣行的に使用される二段棚栽培での遮光資材の一例として使用した(
図1を参照)。
【0068】
各々のサンプルについて次のような光学特性測定及び加工性の評価を行った。
【0069】
(1)全光線透過率
3層インフレーション成形により得られた多層フィルム(ハウス内層側表面に防曇性塗膜を形成(塗工)後)を分光光度計(島津製作所製、UV−2450型:積分球ユニット装着)により測定し、各波長におけるその値を示した。
【0070】
(2)分光放射計による各波長の照度測定
上記各資材を60cm四方〜100cm四方程度サンプリングし、幅35cm×高さ50cm×奥行55cmの箱の上部前面に開口部(幅35cm×縦35cm)を作成し、各資材を覆える様にした。分光放射計(英弘精機(株)製、MS−720型)を開口部の下15cmに設置し、受光部が、太陽光を直接、もしくは上部を覆った各資材を通過した太陽光に当たるように設置した。上記各状態で測定し、各波長における透過光量(Irradiance(W/m
2/s/μm))を示した。
測定は、名古屋市内において、2016年6月15日に実施した。測定の際には、測定前後に、サンプルフィルムを覆わない状態で測定し、照度が安定している(光源の照度が同じ)状態であることを確認しながら、注意深く測定を行い比較を行った。
更に、各資材の各波長照度データを太陽光直接の各波長照度データで割り、100%表示することにより、各資材の分光放射計での透過率データを計算した。
また、当該透過率データを用いて、300〜400nmの紫外線平均透過率、400〜700nmの可視光平均透過率、700nm/400nmでの透過率の比(700nmの透過率/400nmの透過率)を計算した。
【0071】
(3)加工性
(i)巻き形状
上記で得られたフィルム表面に十字もしくは×印の切れ目を設ける加工において、3インチの紙芯に加工後フィルムを100m巻き付ける過程での巻外観を目視にて以下の評価基準によって評価した。
◎:巻状態に凹凸が全く認められない。
○:巻状態に凹凸がわずかに認められるものの、フィルムの平滑性を全く損なわない程度。
△:巻状態に凹凸が認められるものの、フィルムの平滑性を殆ど損なわない程度。
×:巻状態に凹凸が認められ、フィルムの平滑性が損なわれ、巻出し、巻き取り作業に支障が出る程度。
【0072】
(ii)耳折れ
上記で得られたフィルム表面に十字もしくは×印の切れ目を設ける加工において、3インチの紙芯に加工後フィルムを100m巻き付ける過程で、切れ目の端部が耳折れするか、目視にて以下の評価基準によって評価した。
○:耳折れが発生せず、フィルムも平滑な状態を保つ。
△:切れ目端部が巻外側にやや出っ張るものの、フィルムが折り返った状態で巻かれることはない。
×:耳折れが発生し、切れ目端部でフィルムが折り返った状態で巻き込まれ固定される。
【0073】
(iii)展張時破れ
上記で得られた2m幅のフィルムを、フィルム表面に十字もしくは×印の切れ目を設けた上で、端部を補強テープでシール加工してからハトメ加工し、更に、中央部にパッチテープで補強してからハトメ加工を施して、アトラス線を這わせた棚を三重県松阪市の農場に設置し、アトラス線に吊りカンとワッシャーで吊るして、2015年3月〜2016年3月の1年間展張した。その際のフィルムの十字もしくは×印の切れ目からの破れ状態を、目視にて以下の評価基準によって評価した。
○:十字もしくは×印の切れ目から破れが全く発生しない。
×:十字もしくは×印の切れ目から破れが発生する。
【0074】
(iv)光の抜けにくさ
上記で得られたフィルムを2mの高さに水平に展張した場合に、地面に映る影の状態を、目視にて以下の評価基準によって評価した。
○:十字もしくは×印の切れ目の端部が垂れ下がらず、切れ目からの透過光が殆どない。
△:十字もしくは×印の切れ目からの光の透過が若干認められるものの、耳折れによる光の透過は殆ど発生しない。
×:十字もしくは×印の切れ目が自重で垂れ下がる、もしくは耳折れにより、フィルムを透過しない太陽からの直達光が地面に映る。
【0075】
上記各資材についての評価結果を表2〜表8に示す。また、各資材の光透過特性を
図3〜
図7に示す。
【0076】
【表2】
【0077】
【表3】
【0078】
【表4】
【0079】
【表5】
【0080】
【表6】
【0081】
【表7】
【0082】
【表8】
【0083】
図1に示すように、実施例2〜実施例4の遮光フィルムは、400nm以下の紫外線を実質的に透過せず、400〜700nmにおける分光光度計による全光線透過率の平均値が30%以下であり、また、400〜700nmにおける分光放射計による透過率の平均値が30%以下である。従って、実施例2〜実施例4の遮光フィルムは、葭簀や藁の透過特性に類似した透過特性を有するものである(
図7参照)。また、フィルム表面に穴を設けた実施例2〜実施例6の遮光フィルムは、加工性が良好であることから、簡易に展張することが可能で、取り扱いが良好である。
【0084】
また、
図8に示すように、本発明の遮光フィルム(実施例3、実施例4の資材)を、比較例1、比較例4の資材と組み合わせて使用した場合(
図1の左から2番目の使用態様)も、葭簀や藁の透過特性に類似した透過特性を有する。
【0085】
従って、本発明の遮光フィルムは単独で用いても、従来の遮光資材と組み合わせて使用しても、葭簀や藁の透過特性に類似した透過特性を有することから、被覆茶用茶葉の栽培に用いると、高品質の茶を大量に生産することが可能である。