(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
熱可塑性樹脂からなる柔軟性のある絶縁基板を有するフレキシブルプリント配線板の製造方法であって、平板状のフレキシブルプリント配線板を中間製品として、湾曲状に折り曲げられたひだ部を複数有する最終製品としてのフレキシブルプリント配線板を製造する製造方法において、
少なくとも一方に複数の挿入孔が形成された一対の保持部材の間に、複数の前記中間製品を挟み込んだ状態で保持させる第1工程と、
先端が湾曲面で構成された押し込みプレートを、前記挿入孔から押し込むことによって、複数の前記中間製品に対して同時に折り曲げ加工を施し、かつ前記押し込みプレートを前記一対の保持部材に対して保持させる第2工程と、
を有し、
複数の押し込みプレートを用いて第2工程を繰り返した後に、複数の前記中間製品、及び複数の押し込みプレートを前記一対の保持部材に保持させた状態で、前記熱可塑性樹脂が軟化する温度まで、これらを加熱する第3工程と、
を有することを特徴とするフレキシブルプリント配線板の製造方法。
前記一対の保持部材には、それぞれ複数の挿入孔が形成されており、前記一対の保持部材を前記押し込みプレートを押し込む方向に見た場合に、一方の保持部材に形成された複数の挿入孔と、他方の保持部材に形成された複数の挿入孔とは、それぞれ重ならず、かつ交互に並ぶように配置されており、
第2工程を繰り返す際においては、一方の保持部材に形成された挿入孔に対して前記押し込みプレートを押し込む工程と、他方の保持部材に形成された挿入孔に対して前記押し込みプレートを押し込む工程とを交互に行うことを特徴とする請求項1に記載のフレキシブルプリント配線板の製造方法。
前記一対の保持部材のうちの一方の保持部材には、他方の保持部材側に向かって突出し、かつ先端が湾曲面で構成されたプレート状突出部が複数設けられており、他方の保持部材には前記挿入孔が複数形成されており、前記一対の保持部材を前記押し込みプレートを押し込む方向に見た場合に、一方の保持部材に設けられた複数のプレート状突出部と、他方の保持部材に形成された複数の挿入孔とは、それぞれ重ならず、かつ交互に並ぶように
配置されており、
第2工程を繰り返す際においては、他方の保持部材に形成された複数の挿入孔に対して、順番に、前記押し込みプレートを押し込んでいくことを特徴とする請求項1に記載のフレキシブルプリント配線板の製造方法。
熱可塑性樹脂からなる柔軟性のある絶縁基板を有するフレキシブルプリント配線板の製造装置であって、平板状のフレキシブルプリント配線板を中間製品として、湾曲状に折り曲げられたひだ部を複数有する最終製品としてのフレキシブルプリント配線板を製造する製造装置において、
複数の前記中間製品を挟み込んだ状態で保持することができ、かつ少なくとも一方に複数の挿入孔が形成された一対の保持部材と、
前記挿入孔に対してそれぞれ押し込まれることによって、複数の前記中間製品に対してそれぞれ同時に折り曲げ加工を施すことができ、かつ先端が湾曲面で構成された複数の押し込みプレートと、
を備えることを特徴とするフレキシブルプリント配線板の製造装置。
前記一対の保持部材には、それぞれ複数の挿入孔が形成されており、前記一対の保持部材を前記押し込みプレートを押し込む方向に見た場合に、一方の保持部材に形成された複数の挿入孔と、他方の保持部材に形成された複数の挿入孔とは、それぞれ重ならず、かつ交互に並ぶように配置されていることを特徴とする請求項4または5に記載のフレキシブルプリント配線板の製造装置。
前記押し込み装置は、前記一対の保持部材に対して、前記一方の保持部材側と前記他方の保持部材側の双方にそれぞれ設けられていることを特徴とする請求項6に記載のフレキシブルプリント配線板の製造装置。
前記一対の保持部材のうちの一方の保持部材には、他方の保持部材側に向かって突出し、かつ先端が湾曲面で構成されたプレート状突出部が複数設けられており、他方の保持部材には前記挿入孔が複数形成されており、前記一対の保持部材を前記押し込みプレートを押し込む方向に見た場合に、一方の保持部材に設けられた複数のプレート状突出部と、他方の保持部材に形成された複数の挿入孔とは、それぞれ重ならず、かつ交互に並ぶように
配置されていることを特徴とする請求項4または5に記載のフレキシブルプリント配線板の製造装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、生産性の向上を図ったフレキシブルプリント配線板の製造方法及びフレキシブルプリント配線板の製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するために以下の手段を採用した。
【0007】
本発明のフレキシブルプリント配線板の製造方法は、
熱可塑性樹脂からなる柔軟性のある絶縁基板を有するフレキシブルプリント配線板の製造方法であって、平板状のフレキシブルプリント配線板を中間製品として、湾曲状に折り曲げられたひだ部を複数有する最終製品としてのフレキシブルプリント配線板を製造する製造方法において、
少なくとも一方に複数の挿入孔が形成された一対の保持部材の間に、複数の前記中間製品を挟み込んだ状態で保持させる第1工程と、
先端が湾曲面で構成された押し込みプレートを、前記挿入孔から押し込むことによって、複数の前記中間製品に対して同時に折り曲げ加工を施し、かつ前記押し込みプレートを前記一対の保持部材に対して保持させる第2工程と、
を有し、
複数の押し込みプレートを用いて第2工程を繰り返した後に、複数の前記中間製品、及び複数の押し込みプレートを前記一対の保持部材に保持させた状態で、前記熱可塑性樹脂が軟化する温度まで、これらを加熱する第3工程と、
を有することを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、一対の保持部材を用いて、複数の中間製品に対して曲げ加工を施すことができる。また、押し込みプレートによって、複数の中間製品(平板状のフレキシブルプリント配線板)に対して同時に折り曲げ加工を施すことができる。
【0009】
前記一対の保持部材には、それぞれ複数の挿入孔が形成されており、前記一対の保持部材を前記押し込みプレートを押し込む方向に見た場合に、一方の保持部材に形成された複数の挿入孔と、他方の保持部材に形成された複数の挿入孔とは、それぞれ重ならず、かつ交互に並ぶように配置されており、
第2工程を繰り返す際においては、一方の保持部材に形成された挿入孔に対して前記押し込みプレートを押し込む工程と、他方の保持部材に形成された挿入孔に対して前記押し込みプレートを押し込む工程とを交互に行うとよい。
【0010】
また、前記一対の保持部材のうちの一方の保持部材には、他方の保持部材側に向かって突出し、かつ先端が湾曲面で構成されたプレート状突出部が複数設けられており、他方の保持部材には前記挿入孔が複数形成されており、前記一対の保持部材を前記押し込みプレートを押し込む方向に見た場合に、一方の保持部材に設けられた複数のプレート状突出部と、他方の保持部材に形成された複数の挿入孔とは、それぞれ重ならず、かつ交互に並ぶように配置されており、
第2工程を繰り返す際においては、他方の保持部材に形成された複数の挿入孔に対して、順番に、前記押し込みプレートを押し込んでいくことも可能である。
【0011】
本発明のフレキシブルプリント配線板の製造装置は、
熱可塑性樹脂からなる柔軟性のある絶縁基板を有するフレキシブルプリント配線板の製造装置であって、平板状のフレキシブルプリント配線板を中間製品として、湾曲状に折り曲げられたひだ部を複数有する最終製品としてのフレキシブルプリント配線板を製造する製造装置において、
複数の前記中間製品を挟み込んだ状態で保持することができ、かつ少なくとも一方に複数の挿入孔が形成された一対の保持部材と、
前記挿入孔に対してそれぞれ押し込まれることによって、複数の前記中間製品に対してそれぞれ同時に折り曲げ加工を施すことができ、かつ先端が湾曲面で構成された複数の押し込みプレートと、
を備えることを特徴とする。
【0012】
これにより、一対の保持部材を用いて、複数の中間製品に対して曲げ加工を施すことができる。また、押し込みプレートによって、複数の中間製品(平板状のフレキシブルプリント配線板)に対して同時に折り曲げ加工を施すことができる。
【0013】
土台と、該土台に対して前記一対の保持部材を位置決めした状態で固定させる第1位置決め機構とを有する設置装置と、
前記土台に位置決めされた前記一対の保持部材に対して、複数の前記押し込みプレートを複数の前記
挿入孔に順次押し込む押し込み装置と、
複数の前記
挿入孔に対してそれぞれ押し込まれた複数の押し込みプレートを、前記一対の保持部材に対して位置決めさせる複数の第2位置決め機構と、
を備えるとよい。
【0014】
これにより、押し込みプレートを押し込む作業を自動的に行わせることができる。
【0015】
前記一対の保持部材には、それぞれ複数の挿入孔が形成されており、前記一対の保持部
材を前記押し込みプレートを押し込む方向に見た場合に、一方の保持部材に形成された複数の挿入孔と、他方の保持部材に形成された複数の挿入孔とは、それぞれ重ならず、かつ交互に並ぶように配置されているとよい。
【0016】
そして、前記一方の保持部材に形成された挿入孔に対して前記押し込みプレートが押し込まれる場合と、前記他方の保持部材に形成された挿入孔に対して前記押し込みプレートが押し込まれる場合とで、前記押し込み装置に対向する保持部材を変えるために、前記土台を回転可能に支持する回転機構が設けられているとよい。
【0017】
また、前記押し込み装置は、前記一対の保持部材に対して、前記一方の保持部材側と前記他方の保持部材側の双方にそれぞれ設けられていることも好適である。
【0018】
前記一対の保持部材のうちの一方の保持部材には、他方の保持部材側に向かって突出し、かつ先端が湾曲面で構成されたプレート状突出部が複数設けられており、他方の保持部材には前記挿入孔が複数形成されており、前記一対の保持部材を前記押し込みプレートを押し込む方向に見た場合に、一方の保持部材に設けられた複数のプレート状突出部と、他方の保持部材に形成された複数の挿入孔とは、それぞれ重ならず、かつ交互に並ぶように配置されていることも好適である。
【0019】
なお、上記各構成は、可能な限り組み合わせて採用し得る。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したように、本発明によれば、生産性の向上を図ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に図面を参照して、この発明を実施するための形態を、実施例に基づいて例示的に詳しく説明する。ただし、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0023】
(実施例1)
図1〜
図15を参照して、本発明の実施例1に係るフレキシブルプリント配線板の製造方法及びフレキシブルプリント配線板の製造装置について説明する。なお、本実施例に係る製造方法及び製造装置は、平板状のフレキシブルプリント配線板を中間製品として、湾曲状に折り曲げられたひだ部を複数有する最終製品としてのフレキシブルプリント配線板を製造するための製造方法及び製造装置である。中間製品である平板状のフレキシブルプリント配線板の製造方法については、公知技術であるので、その説明は省略する。
【0024】
また、フレキシブルプリント配線板自体の構成についても公知技術であるので、
図15を参照して、概略を簡単に説明する。
図15は最終製品としてのフレキシブルプリント配線板の斜視図と、一部を拡大した断面図とを示している。フレキシブルプリント配線板20は、熱可塑性樹脂からなる柔軟性のある絶縁基板20Aと、絶縁基板20Aに積層される配線20Bと、熱可塑性樹脂からなる柔軟性のある絶縁性のカバーレイフィルム20Cと、カバーレイ接着剤20Dとを備えている。絶縁基板20A及びカバーレイフィルム20Cの具体例としては、液晶ポリマー(LCP)からなるフィルムを好適な例として挙げることができる。配線20Bの具体例としては、銅箔層を好適な例として挙げることができる。なお、本実施例においては、フレキシブルプリント配線板として、配線層が1層のみの片面フレキシブルプリント配線板を例に挙げて説明するが、本発明においては、配線層を複数有する多層フレキシブルプリント配線板についても適用可能である。
【0025】
<製造装置の概要>
図1を参照して、本発明の実施例1に係るフレキシブルプリント配線板の製造装置の概要を説明する。
図1は本発明の実施例1に係る製造装置の概略構成図である。製造装置10は、一対の保持部材を有する治具本体100と、治具本体100を設置する設置装置200とを備えている。なお、一対の保持部材については、以下、それぞれ第1保持部材110,第2保持部材120と称する。また、製造装置10は、第1保持部材110と第2保持部材120に各々複数設けられている挿通孔に対して、押し込みプレート500をそれぞれ押し込むための押し込み装置300と、押し込みプレート500を治具本体100に対して位置決めさせる複数の第2位置決め機構250も備えている。
【0026】
<製造工程及び製造装置の詳細>
図2〜
図14を参照して、本発明の実施例1に係るフレキシブルプリント配線板の製造工程を説明しつつ、製造装置の詳細な構成について説明する。
【0027】
<<治具本体に対して中間製品を保持させる工程(第1工程)>>
図2〜
図5を参照して、治具本体100に対して中間製品(平板状のフレキシブルプリント配線板20)を保持させる工程(第1工程)について説明する。治具本体100は、一対の保持部材のうちの一方の保持部材としての第1保持部材110と、他方の保持部材としての第2保持部材120と、台座130とから構成される。
【0028】
図2は第1保持部材110の外観図を示しており、同図(a)は正面図であり、同図(b)は平面図であり、同図(c)は側面図である。
【0029】
第1保持部材110は、一対の保持板を備えている。以下、これら一対の保持板のうち、製造装置10の設置時において下側に配置される保持板を第1保持板111と称し、上側に配置される保持板を第2保持板112と称する。また、第1保持部材110は、第1保持板111及び第2保持板112の両側にそれぞれ固定される一対の側板113,113と、第1保持板111及び第2保持板112の背面側に設けられ、一対の側板113,113に対して固定される背面板114とを備えている。
【0030】
第1保持板111には、中間製品である平板状のフレキシブルプリント配線板20の両側を位置決めするためのサイド用ガイドピン111aが複数設けられている。また、第2保持板112には、中間製品の両側を位置決めするためのサイド用ガイドピン112aと、中間製品の先端を位置決めするための先端用ガイドピン112bとが複数設けられている。また、第1保持板111の短手方向の一端側(第2保持板112が設けられている側)には湾曲面111Xが形成されており、第2保持板112の短手方向の他端側(第1保持板111が設けられている側)にも湾曲面112Xが形成されている。これらの湾曲面111X,112Xは、フレキシブルプリント配線板20に対して折り曲げ加工を施すために設けられている。従って、これらの湾曲面の曲率半径と、フレキシブルプリント配線板20に形成される湾曲面の曲率半径とはほぼ等しくなる。また、背面板114には、矩形状の複数(本実施例では2つ)の挿入孔114aが設けられている。
【0031】
図3は第1保持部材110に対して、複数の中間製品が取り付けられた状態の外観図を示しており、同図(a)は正面図であり、同図(b)は平面図であり、同図(c)は側面図である。
【0032】
中間製品である平板状のフレキシブルプリント配線板20は、その先端が第2保持板112に設けられた先端用ガイドピン112bに突き当たるように、第2保持板112に取り付けられる。このとき、フレキシブルプリント配線板20の両側に、第1保持板111に設けられた一対のサイド用ガイドピン111aと、第2保持板112に設けられた一対のサイド用ガイドピン112aとがそれぞれ接触した状態となる。これにより、フレキシブルプリント配線板20は第1保持部材110に対して位置決めされる。なお、本実施例においては、先端用ガイドピン112bが7個設けられており、サイド用ガイドピン111a,112aは8個設けられている。これにより、7つのフレキシブルプリント配線板20を第1保持部材110に対して保持させることができる。
【0033】
なお、本実施例においては、フレキシブルプリント配線板20を第1保持部材110に対して位置決めさせるために複数のガイドピンを採用する場合の構造を示した。しかしながら、第1保持部材110に対してフレキシブルプリント配線板20を位置決めさせるための構造としては、これに限られることはない。例えば、第1保持板111及び第2保持板112に、フレキシブルプリント配線板20が嵌る凹部を形成する構造を採用することもできる。
【0034】
図4は一対の保持部材(第1保持部材110及び第2保持部材120)の間に、複数の中間製品が挟み込まれるように保持された状態の外観図を示しており、同図(a)は正面図であり、同図(b)は平面図であり、同図(c)は側面図である。
【0035】
第2保持部材120は板状の部材により構成されている。また、第2保持部材120には、複数のサイド用ガイドピン111aと、複数のサイド用ガイドピン112aと、複数の先端用ガイドピン112bがそれぞれ挿通される複数の挿通孔121,122a,122bが設けられている。更に、第2保持部材120には、矩形状の複数(本実施例では3つ)の挿入孔123が設けられている。
【0036】
以上のように構成された第2保持部材120は、複数の中間製品が取り付けられた第1保持部材110に対して固定される。なお、第1保持部材110と第2保持部材120は着脱自在に構成されている。これらを着脱自在とする構成としては、特に限定されるものではなく、例えば、一方にマグネットを設けることにより磁力によって両者を固定可能とする構成を採用してもよいし、ネジやクランプなどの固定具を用いる構成を採用してもよい。
【0037】
第1保持部材110と第2保持部材120とが固定されることによって、これら一対の保持部材の間に、複数の中間製品が挟み込まれた状態で保持される。より具体的には、複数の中間製品は、第1保持部材110に設けられた第1保持板111及び第2保持板112と、第2保持部材120とにより挟み込まれることによって、これら一対の保持部材に保持される。
【0038】
図5は治具本体100に対して、複数の中間製品が取り付けられた状態の外観図を示しており、同図(a)は正面図であり、同図(b)は平面図であり、同図(c)は側面図である。
【0039】
台座130は、内部が直方体形状にくりぬかれた空間部131を有し、かつ製造装置10の設置時において上部に空間部131を開放する開口部が設けられた箱状の部材により構成されている。このように構成された台座130は、複数の中間製品が保持された第1保持板111及び第2保持板112に対して固定される。なお、台座130と、第1保持部材110及び第2保持部材120とは着脱自在に構成されている。これらを着脱自在とする構成としては、特に限定されるものではなく、例えば、一方にマグネットを設けることにより磁力によって両者を固定可能とする構成を採用してもよいし、ネジやクランプなどの固定具を用いる構成を採用してもよい。
【0040】
台座130が第1保持部材110及び第2保持部材120に対して固定されると、複数の中間製品の自由端側は、台座130に設けられた空間部131内に挿入された状態となる。
【0041】
<<設置装置に対して治具本体を設置させる工程>>
図6及び
図7を参照して、設置装置200に対して治具本体100を設置させる工程について説明する。
図6は設置装置200に対して治具本体100を載置し、治具本体100が位置決め固定される前の状態の外観図を示しており、同図(a)は正面図であり、同図(b)は平面図であり、同図(c)は側面図である。
図7は設置装置200に対して治具本体100が位置決め固定された状態の外観図を示しており、同図(a)は正面図であり、同図(b)は平面図であり、同図(c)は側面図である。
【0042】
設置装置200は、土台210と、土台210に対して一対の保持部材を有する治具本体100を位置決めした状態で固定させる第1位置決め機構とを備えている。第1位置決め機構は、土台210に対してスライド自在に構成される第1スライド部材220と、第1スライド部材220に対してスライド自在に構成される第2スライド部材230とを備えている。第1スライド部材220は、治具本体100を介して両側にそれぞれ設けられており、土台210に対して所望の位置で固定可能に設けられている。また、第2スライド部材230は、各第1スライド部材220に対して、それぞれ一対設けられており、各第1スライド部材220に対して所望の位置で固定可能に設けられている。そして、合計4つの第2スライド部材230には、治具本体100を位置決めした状態で固定するための係止部材240がそれぞれ設けられている。
【0043】
土台210に対して第1スライド部材220をスライド自在にするための機構、及び第1スライド部材220に対して第2スライド部材230をスライド自在にするための機構については、適宜、公知技術を採用すればよい。例えば、土台210に固定軸を設ける一方、第1スライド部材220には、当該軸が挿通される軸孔を設ける構成を採用することができる。第2スライド部材230に対しても同様の構成を採用することができる。また、第1スライド部材220を土台210に対して所望の位置で固定させるための構成、及び第2スライド部材230を第1スライド部材220に対して所望の位置で固定させるための構成についても、適宜、公知技術を採用すればよい。例えば、マグネットを利用した
構成やネジなどの固定具を用いた構成を採用することができる。
【0044】
土台210に対して治具本体100が固定される前においては、一対の第1スライド部材220は土台210の両端付近にそれぞれ配置され、2組の一対の第2スライド部材230は各第1スライド部材220の両端付近にそれぞれ配置されている(
図6参照)。この状態で、土台210の中央に治具本体100が載置される。その後、一対の第1スライド部材220が、それぞれ治具本体100に向かってスライドされ、治具本体100の両側にそれぞれ接触した位置で固定される。これにより、治具本体100は両側から一対の第1スライド部材220によって挟み込まれた状態となる。その後、各第2スライド部材230が、それぞれ治具本体100に向かってスライドされ、各係止部材240が治具本体100の両面側にそれぞれ接触した位置で固定される。これにより、治具本体100は両面側から各係止部材240によって挟み込まれた状態となる。以上により、治具本体100は土台210に対して位置決めされた状態で固定される。
【0045】
なお、第1スライド部材220の土台210に対するスライド、及び第2スライド部材230の第1スライド部材220に対するスライドは、手作業により行うようにしてもよいし、往復動アクチュエータを用いて自動制御するようにしてもよい。
【0046】
また、本実施例に係る設置装置200においては、土台210を回転可能に支持する回転機構200Rが設けられている。この回転機構200Rについては、適宜、公知技術を採用すればよい。例えば、軸部を有する台に対して、軸受を有する土台210を載せて、台に対して土台210を回転可能に構成することができる。なお、土台210の回転は、手作業により行うようにしてもよいし、モータなどのアクチュエータを用いて自動制御するようにしてもよい。
【0047】
また、各第2スライド部材230には、押し込みプレート500を、一対の保持部材を有する治具本体100に対して位置決めさせる第2位置決め機構250が複数設けられている。
図6(d)は
図6(b)中のX部を拡大した図であり、第2位置決め機構250を拡大した平面図を示している。この第2位置決め機構250については、押し込みプレート500を押し込む工程の説明の中で詳細に説明する。
【0048】
<<押し込みプレートの運搬工程>>
図8〜
図10を参照して、押し込みプレート500を設置装置200まで運搬する工程について説明する。
図8は複数の押し込みプレート500が載置された多段ラック600の外観図を示しており、同図(a)は正面図であり、同図(b)は平面図であり、同図(c)は側面図である。
図9は多段ラック600から押し込み装置300により押し込みプレート500を運搬する前の状態を示す外観図を示しており、同図(a)は正面図であり、同図(b)は平面図であり、同図(c)は側面図である。
図10は押し込み装置300により押し込みプレート500を設置装置200まで運搬した状態を示す外観図を示しており、同図(a)は正面図であり、同図(b)は平面図であり、同図(c)は側面図である。
【0049】
設置装置200の近くには、複数の押し込みプレート500を載置可能な多段ラック600が配置されている。より具体的には、設置装置200に固定される治具本体100に対向する位置(例えば、
図7(a)中の設置装置200に対しては紙面手前側の位置、同図(c)中の設置装置200に対しては図中右側の位置)に多段ラック600が配置されている。この多段ラック600は、台の上などに設置可能な一対のラック構成部材610により構成される。これら一対のラック構成部材610の双方には、互いに対向する対向面側と正面側(設置装置200が配置されている側)に対してそれぞれ開口する凹部620が複数設けられている。また、一対のラック構成部材610のそれぞれに設けられる凹
部620は同じ高さの位置に設けられている。以上のような構成により、押し込みプレート500の両端を、各ラック構成部材610に設けられた凹部620にそれぞれ載せることにより、押し込みプレート500を多段ラック600に載置させることができる。なお、本実施例に係る多段ラック600の場合には、最大5つの押し込みプレート500を載置させることが可能である。なお、複数種類の押し込みプレート500に対応できるように、一対のラック構成部材610の間の距離を変更できるような機構を設けてもよい。
【0050】
押し込みプレート500は、板状部材により構成されており、その両端側には、それぞれ位置決め用突起510が設けられている。また、押し込みプレート500の押し込み方向の先端は湾曲面520により構成されている。この湾曲面520は、フレキシブルプリント配線板20に対して折り曲げ加工を施すために設けられている。従って、これらの湾曲面の曲率半径と、フレキシブルプリント配線板20に形成されるひだ部における曲率半径とはほぼ等しくなる。また、押し込みプレート500は、第1保持部材110に設けられた挿入孔114a、及び第2保持部材120に設けられた挿入孔123に押し込まれる。ここで、挿入孔114a,123を、押し込みプレート500の押し込み方向に見た形状は、いずれも矩形であり、かつ縦横の寸法が同一となるように設計されている。そして、押し込みプレート500を、これらの挿入孔114a,123に押し込んだ場合には、押し込みプレート500と挿入孔114a,123との間には、微小なクリアランスが形成される程度に設計されている。つまり、押し込みプレート500における押し込み方向に垂直な断面(ただし、位置決め用突起510が設けられている部位と湾曲面520が設けられている部位を除く部位の断面)も矩形で、かつ、縦横の寸法も、挿入孔114a,123における上記の縦横寸法とほぼ等しい。以上の構成により、挿入孔114a,123は、押し込みプレート500が押し込まれる際に、押し込みプレート500の位置を案内するガイドとしての役割を担っている。
【0051】
そして、多段ラック600に載置された押し込みプレート500は、押し込み装置300によって、設置装置200まで運搬される。押し込み装置300は、運搬部材310と、押圧部材320とを備えている。運搬部材310は、駆動装置310aによって、上下動及び往復移動(多段ラック600と設置装置200との間の往復移動)ができるように構成されている。なお、物体を上下動させるための機構及び装置と、物体を往復移動させるための機構及び装置については、適宜、公知技術を採用すればよいので、その詳細説明は省略する。また、本実施例においては、運搬部材310の上下動、及び往復移動は自動制御されるように構成されている。
【0052】
また、運搬部材310は、支柱部311と、支柱部311の上端から水平方向に伸びる載置台部312とから構成される。この載置台部312の上面において、支柱部311から載置台部312が伸びる方向と平行な方向に対して、押圧部材320が往復移動可能に設けられている。押圧部材320は、往復動アクチュエータ321により往復移動可能に構成されている。また、押圧部材の往復移動は自動制御されるように構成されている。
【0053】
以上のように構成される押し込み装置300によって、押し込みプレート500が設置装置200に運ばれる。なお、多段ラック600に載置された複数の押し込みプレート500のうち、最も下段に載置されている押し込みプレート500から順番に設置装置200に運ばれる。より具体的には、まず、載置台部312が最も下段の押し込みプレート500の真下に位置するように、駆動装置310aにより、押し込み装置300が移動される。
図9はこの時の様子を示している。その後、駆動装置310aによって、運搬部材310が上方に移動され、載置台部312によって押し込みプレート500がラック構成部材610に設けられた凹部620から持ち上げられ状態となる。その後、駆動装置310aによって、押し込み装置300は設置装置200に向かって移動する。つまり、
図9(a)においては紙面奥側、
図9(c)においては図中左側に、押し込み装置300は移動
する。これにより、押し込みプレート500は、押圧部材320により押し出されることで、多段ラック600から取り出され、設置装置200へと搬送される。
図10は押し込みプレート500が設置装置200まで運搬された様子を示している。
【0054】
<<押し込みプレートによる折り曲げ加工工程(第2工程)>>
図11〜
図13を参照して、押し込みプレート500によって、中間製品(平板状のフレキシブルプリント配線板20)に対して折り曲げ加工を施す工程(第2工程)について説明する。
図11は一つ目の押し込みプレート500が押し込まれた状態の外観図を示しており、同図(a)は正面図であり、同図(b)は平面図であり、同図(c)は側面図である。
図12は二つ目の押し込みプレート500が押し込まれる直前の状態の外観図を示しており、同図(a)は正面図であり、同図(b)は平面図であり、同図(c)は側面図である。
図13は全ての押し込みプレート500が押し込まれた状態の外観図を示しており、同図(a)は正面図であり、同図(b)は平面図であり、同図(c)は側面図である。
【0055】
本実施例に係る製造装置10においては、治具本体100に対して、5つの押し込みプレート500が押し込まれる。つまり、第1保持部材110の背面板114に設けられた2つの挿入孔114aと、第2保持部材120に設けられた3つの挿入孔123に対して、それぞれ押し込みプレート500が押し込まれる。ここで、治具本体100を、押し込みプレート500を押し込む方向(例えば、
図12(c)においては左方向)に見た場合に、第1保持部材110に形成された複数の挿入孔114aと、第2保持部材120に形成された複数の挿入孔123とは、それぞれ重ならず、かつ交互に並ぶように配置されている。より具体的には、上から下に向かって、第2保持部材120側の挿入孔123、第1保持部材110側の挿入孔114a、第2保持部材120側の挿入孔123、第1保持部材110側の挿入孔114a、第2保持部材120側の挿入孔123の順に並んでいる。また、各挿入孔間の間隔は、フレキシブルプリント配線板20の厚みと同程度となるように設定されている。これにより、フレキシブルプリント配線板20が押し込みプレート500によって折り曲げ加工が施される際に、フレキシブルプリント配線板20と押し込みプレート500との間のクリアランスが殆どない状態となる。
【0056】
中間製品に対する折り曲げ加工は、中間製品の先端側から順番に行われる。つまり、最上部の挿入孔から最下部の挿入孔に向かって順番に押し込みプレート500が押し込まれていく。以下、より具体的に説明する。
【0057】
上述した
図10に示すように、押し込みプレート500は、押し込み装置300によって、設置装置200まで搬送される。そして、駆動装置310aによる運搬部材310の高さ調整によって、第2保持部材120に設けられた挿入孔123のうち、最上部の挿入孔123に対向する位置に、押し込みプレート500の高さ位置が調整される。その後、往復動アクチュエータ321の駆動によって、押圧部材320が載置台部312に沿って、治具本体100に向かって移動する。これにより、押し込みプレート500が治具本体100に向かって押されて、第2保持部材120に設けられた挿入孔123のうち、最上部の挿入孔123に押し込まれる。押し込みプレート500は、その両側にそれぞれ設けられた位置決め用突起510における押し込み方向の先端側端面510aが、第1保持部材110における一対の側板113,113にそれぞれ突き当たるまで挿入される。この位置まで押し込みプレート500が挿入されると、押し込みプレート500の両側にそれぞれ設けられた位置決め用突起510における押し込み方向の後端側端面510bが第2位置決め機構250によりロックされて位置決めがなされる。
【0058】
ここで、第2位置決め機構250について、
図6(d)を参照して、詳細に説明する。第2位置決め機構250は、4つの第2スライド部材230に対して、それぞれ複数設け
られている。なお、図示の例では、一つの第2スライド部材230に対して、上下方向に並ぶように12か所に第2位置決め機構250が設けられている。なお、複数個所に第2位置決め機構250を設けることで、寸法や挿入孔の数が異なる様々な種類の治具本体に対して適用可能としている。
【0059】
そして、第2位置決め機構250は、押し込みプレート500の後端側をロックするためのロック部材251と、ロック部材251を付勢するスプリング252とから構成される。スプリング252は、その一端側がロック部材251に対して固定され、その他端側が、第2スライド部材230に設けられた凹部231の底に固定されている。ロック部材251は、5角柱形状の部材であり、押し込みプレート500が挿入孔内に押し込まれる際に、押し込みプレート500における位置決め用突起510が突き当たる位置に傾斜面251aが設けられている。これにより、押し込みプレート500が押し込まれる過程で、位置決め用突起510は傾斜面251aに対して摺動する。これに伴い、ロック部材251には凹部231の底の方向に向かう分力が作用するため、ロック部材251はスプリング252による付勢力に抗して凹部231内に向かって移動する。そして、位置決め用突起510がロック部材251を通り過ぎると、スプリング252による付勢力によって、ロック部材251は元の位置に戻る。これにより、ロック部材251における内側(治具本体100が配置されている側)の端面251bが、位置決め用突起510における押し込み方向の後端側端面510bに対して対向した状態となる。これにより、押し込みプレート500の押し込み方向とは反対側への移動が規制されるため、押し込み装置300が設置装置200から離れた後も、押し込みプレート500が挿入孔123から抜け出してしまうことはない。
【0060】
以上のように、位置決め用突起510における押し込み方向の先端側端面510aと後端側端面510bが、第1保持部材110の側板113とロック部材251とによって挟み込まれた状態となる。これにより、押し込みプレート500は、一対の保持部材を備える治具本体100に対して保持された状態となる。
【0061】
以下、同様の工程(押し込みプレート500を運搬する工程と、押し込みプレート500を押し込む工程(第2工程))が繰り返し行われる。ここで、第1保持部材110に形成された挿入孔114aに対して押し込みプレート500が押し込まれる場合と、第2保持部材120に形成された挿入孔123に対して押し込みプレート500が押し込まれる場合とで、押し込み装置300に対向する保持部材を変える必要がある。本実施例の場合には、上記の通り、設置装置200において、土台210を回転可能に支持する回転機構200Rが設けられている。従って、上記のように、第2保持部材120に設けられた挿入孔123のうち、最上部の挿入孔123に対して押し込みプレート500を挿入させた後に、回転機構200Rによって土台210を180°回転させることで、第1保持部材110を押し込み装置300に対向させることができる。
図12においては、第1保持部材110を押し込み装置300に対向させ、かつ2つ目の押し込みプレート500が搬送された後に、第1保持部材110に形成された挿入孔114aに対して押し込まれる直前の様子を示している。
【0062】
また、
図13においては、全て(5つ)の押し込みプレート500が各挿入孔に押し込まれ、かつ治具本体100に保持された状態を示している。このように、押し込みプレート500が押し込まれることにより、中間製品である平板状のフレキシブルプリント配線板20は、複数の押し込みプレート500に沿って折れ曲がった状態となり、折り曲げ加工が施される。より具体的には、各押し込みプレート500の先端の湾曲面520に沿って、フレキシブルプリント配線板20には、5か所に、湾曲状に折り曲げられたひだ部21,22,23,24,25が形成された状態となる。なお、一つの押し込みプレート500の押し込み動作によって、本実施例の場合には、7つのフレキシブルプリント配線板
20に対して同時に折り曲げ加工が施される。
【0063】
<<加熱工程(第3工程)>>
図14及び
図15を参照して、加熱工程(第3工程)について説明する。
図14は治具全体の外観図を示しており、同図(a)は正面図であり、同図(b)は平面図であり、同図(c)は側面図である。
図15は加熱工程後に治具から取り出された最終製品としてのフレキシブルプリント配線板の斜視図である。なお、
図15においては、一部を拡大した断面図も示している。
【0064】
上記のように、第2工程が繰り返された後、全ての押し込みプレート500が保持された治具本体100は設置装置200から取り出される。そして、押し込みプレート500が治具本体100から抜け落ちてしまわないように、一対の固定プレート700が、治具本体100の両面側にそれぞれ固定される。なお、一対の固定プレート700と治具本体100は着脱自在に構成されている。これらを着脱自在とする構成としては、特に限定されるものではなく、例えば、一方にマグネットを設けることにより磁力によって両者を固定可能とする構成を採用してもよいし、ネジやクランプなどの固定具を用いる構成を採用してもよい。なお、治具は、治具本体100と、上述した一対の固定プレート700とによって構成される。
【0065】
以上のように、複数のフレキシブルプリント配線板20(中間製品)と複数の押し込みプレート500とを保持させた治具を、オーブンなどの加熱機器によって加熱する。このときの加熱温度は、フレキシブルプリント配線板20における絶縁基板20A及びカバーレイフィルム20Cを構成する熱可塑性樹脂が軟化する温度に設定する。本実施例においては、200℃で30分間加熱している。以上の加熱工程後、フレキシブルプリント配線板20が常温まで冷却されることで、湾曲状に折り曲げられたひだ部21,22,23,24,25の形状が保持される。
【0066】
その後、治具から最終製品、すなわち、湾曲状に折り曲げられたひだ部21,22,23,24,25を複数有するフレキシブルプリント配線板20が取り出される。ひだ部21,22,23,24,25は、フレキシブルプリント配線板20の長手方向(配線20Bが伸びる方向)に対して垂直方向に折れ曲がるように構成されている。なお、ひだ部21,23,25は、第2保持部材120に設けられた3つの挿入孔123からそれぞれ押し込まれた押し込みプレート500によって折り曲げられ加工が施された部位である。また、ひだ部22,24は、第1保持部材110の背面板114に設けられた2つの挿入孔114aからそれぞれ押し込まれた押し込みプレート500によって折り曲げられ加工が施された部位である。更に、ひだ部21と一端側の平面部との間の湾曲面部21aとひだ部25と他端側の平面部との間の湾曲部25aは、それぞれ第1保持板111に設けられた湾曲面111Xと第2保持板112に設けられた湾曲面112Xによって折り曲げ加工が施された部位である。
【0067】
<本実施例に係るフレキシブルプリント配線板の製造方法及びフレキシブルプリント配線板の製造装置の優れた点>
以上のように、本実施例によれば、一対の保持部材を有する治具を用いて、複数の中間製品に対して曲げ加工を施すことができる。また、押し込みプレート500によって、複数の中間製品(平板状のフレキシブルプリント配線板20)に対して同時に折り曲げ加工を施すことができる。従って、生産性の向上を図ることができる。
【0068】
なお、背景技術で説明した特許文献1に開示された技術の場合には、折り曲げ加工を施す際に、中間製品である平板状のフレキシブルプリント配線板に対してテンションを与えるために、フレキシブルプリント配線板の他端側を掴んでおく必要があった。そのため、
特許文献1に開示された技術の場合には、フレキシブルプリント配線板の他端側に掴み代を必要としていた。これに対して、本実施例においては、第1保持部材110と第2保持部材120との間に中間製品を挟み込んで保持させた状態で、押し込みプレート500によって折り曲げ加工を施す構成を採用している。従って、中間製品である平板状のフレキシブルプリント配線板の他端側は自由端としておけるため、掴み代が不要であるという利点もある。
【0069】
(その他)
本実施例においては、一つの治具を用いて、7つのフレキシブルプリント配線板に対して、それぞれ5か所のひだ部を成形する場合を説明した。しかしながら、治具を変えることで、一つの治具によって、同時に折り曲げ加工を施すフレキシブルプリント配線板の数や、ひだ部の数を変えられることは言うまでもない。例えば、250mm幅の治具を用いる場合、最大25本の10mm幅のフレキシブルプリント配線板に対して一度に折り曲げ加工を施すことが可能である。また、250mm幅の治具を用いる場合、最大5本の50mm幅のフレキシブルプリント配線板に対して一度に折り曲げ加工を施すことが可能である。なお、フレキシブルプリント配線板の厚みや剛性によっては、治具内の同じ位置に複数枚のフレキシブルプリント配線板を重ねて配置させることで、一度により多くのフレキシブルプリント配線板に折り曲げ加工を施すことが可能である。
【0070】
(実施例2)
図16には、本発明の実施例2が示されている。上記実施例においては、押し込み装置に対向する保持部材を変えるために、土台を回転させる回転機構を設ける場合の構成を説明した。これに対して、本実施例においては、一対の保持部材の両側にそれぞれ押し込み装置を設けることで、回転機構を不要とする場合の構成を説明する。その他の構成および作用については実施例1と同一なので、同一の構成部分については同一の符号を付して、その説明は省略する。
【0071】
図16は本発明の実施例2に係る製造装置の説明図であり、実施例1における
図11に相当する図である。本実施例においては、上記実施例1で説明した製造装置の構成に対して、回転機構200Rが設けられていない代わりに、押し込み装置が、治具本体100を構成する一対の保持部材に対して、一方の第1保持部材110側と他方の第2保持部材120側の双方にそれぞれ設けられている。なお、説明の便宜上、第2保持部材120側に配置される押し込み装置300については、
図10等を参照して説明した通りであるので、
図16においては省略している。また、多段ラック600についても、第2保持部材120側に備えられているが、実施例1で説明した通りであるので、
図16においては省略している。本実施例においては、上記の通り、第1保持部材110側にも押し込み装置300Xが配置されている。この押し込み装置300Xは、上述した押し込み装置300と同一の構成であり、支柱部311Xと載置台部312Xとから構成される運搬部材310Xと、押圧部材320Xと、駆動装置310Xaと、往復動アクチュエータ321Xとから構成される。押し込み装置300Xは、
図16においては不図示の押し込み装置300に対して対称的に配置されているに過ぎず、各構成の動作は同一であるので、その説明は省略する。
【0072】
以上のように構成される本実施例に係る製造装置によれば、第1保持部材110に形成された挿入孔114aに対して押し込みプレート500を押し込む場合には、第1保持部材110側に設けられた押し込み装置300X及び不図示の多段ラックが用いられる。そして、第2保持部材120に形成された挿入孔123に対して押し込みプレート500を押し込む場合には、第2保持部材120側に設けられた押し込み装置300及び多段ラック600(
図10等に示した押し込み装置300及び多段ラック600)が用いられる。従って、上記実施例1の場合のように、治具本体100を回転させる必要がないため、回
転機構200Rが不要となる。
【0073】
(実施例3)
図17には、本発明の実施例3が示されている。上記実施例においては、治具本体を構成する一対の保持部材の双方に、それぞれ複数の挿入孔を設ける場合の構成を説明した。これに対して、本実施例においては、一対の保持部材のうちの一方の保持部材には、他方の保持部材側に向かって突出し、かつ先端が湾曲面で構成されたプレート状突出部が複数設けられており、他方の保持部材に挿入孔が複数形成される場合の構成を示す。その他の構成および作用については実施例1と同一なので、同一の構成部分については同一の符号を付して、その説明は省略する。
【0074】
図17は本発明の実施例3に係る製造装置(治具本体)の説明図であり、実施例1における
図5に相当する図である。本実施例に係る治具本体100Xにおいても、上記実施例1の場合と同様に、一対の保持部材のうちの一方の保持部材としての第1保持部材110Xと、他方の保持部材としての第2保持部材120と、台座130とから構成される。第2保持部材120と台座130については、上記実施例1に示した構成と同一であるので、その説明は省略する。本実施例においては、第1保持部材110Xの構成のみが実施例1と異なっている。
【0075】
本実施例に係る第1保持部材110Xも、上記実施例1の場合と同様に、一対の保持板(第1保持板111及び第2保持板112)と、第1保持板111及び第2保持板112の両側にそれぞれ固定される一対の側板113,113と、第1保持板111及び第2保持板112の背面側に設けられ、一対の側板113,113に対して固定される背面板114Xとを備えている。第1保持板111,第2保持板112、及び一対の側板113,113については、実施例1の場合と同様の構成であるので、その説明は省略する。
【0076】
本実施例に係る背面板114Xには、上記実施例1の場合とは異なり、挿入孔が設けられていない。その代わりに、背面板114Xには、第2保持部材120側に向かって突出し、かつ先端が湾曲面で構成されたプレート状突出部114Xaが複数(本実施例では2つ)設けられている。ここで、治具本体100を、押し込みプレート500を押し込む方向(例えば、
図17(c)においては左方向)に見た場合に、第1保持部材110Xに設けられた複数のプレート状突出部114Xaと、第2保持部材120に形成された複数の挿入孔123とは、それぞれ重ならず、かつ交互に並ぶように配置されている。より具体的には、上から下に向かって、第2保持部材120側の挿入孔123、第1保持部材110X側のプレート状突出部114Xa、第2保持部材120側の挿入孔123、第1保持部材110X側のプレート状突出部114Xa、第2保持部材120側の挿入孔123の順に並んでいる。また、挿入孔123とプレート状突出部114Xaと間の間隔は、フレキシブルプリント配線板20の厚みと同程度となるように設定されている。これにより、フレキシブルプリント配線板20が押し込みプレート500によって折り曲げ加工が施される際に、フレキシブルプリント配線板20と押し込みプレート500との間、及びフレキシブルプリント配線板20とプレート状突出部114Xaとの間にクリアランスが殆どない状態となる。
【0077】
本実施例に係るプレート状突出部114Xaは、上記実施例1において、第1保持部材110の背面板114に設けられた挿入孔114aから押し込みプレート500が挿入された状態と同様の状態が得られるように構成されている。
【0078】
従って、本実施例の場合には、第2工程において、第2保持部材120に設けられた複数の挿入孔123に対してのみ、上から順番に、それぞれ押し込みプレート500を押し込めばよい。そして、その後、加熱工程を経ることで、上記実施例1で得られた最終製品
と同様のフレキシブルプリント配線板20を得ることができる。
【0079】
このように、本実施例の場合には、上記実施例1の場合に比べて、押し込みプレートによる折り曲げ加工工程(第2工程)において必要な押し込みプレート500の数と第2工程の工数と全体の加工時間とを減らすことができる。