特許第6703453号(P6703453)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6703453
(24)【登録日】2020年5月12日
(45)【発行日】2020年6月3日
(54)【発明の名称】粘度指数向上剤組成物及び潤滑油組成物
(51)【国際特許分類】
   C10M 149/10 20060101AFI20200525BHJP
   C10M 145/14 20060101ALI20200525BHJP
   C10N 20/00 20060101ALN20200525BHJP
   C10N 20/02 20060101ALN20200525BHJP
   C10N 20/04 20060101ALN20200525BHJP
   C10N 30/00 20060101ALN20200525BHJP
   C10N 30/06 20060101ALN20200525BHJP
   C10N 40/04 20060101ALN20200525BHJP
   C10N 40/06 20060101ALN20200525BHJP
   C10N 40/08 20060101ALN20200525BHJP
   C10N 40/25 20060101ALN20200525BHJP
【FI】
   C10M149/10
   C10M145/14
   C10N20:00 Z
   C10N20:02
   C10N20:04
   C10N30:00 Z
   C10N30:06
   C10N40:04
   C10N40:06
   C10N40:08
   C10N40:25
【請求項の数】12
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2016-146299(P2016-146299)
(22)【出願日】2016年7月26日
(65)【公開番号】特開2017-31400(P2017-31400A)
(43)【公開日】2017年2月9日
【審査請求日】2019年6月28日
(31)【優先権主張番号】特願2015-155447(P2015-155447)
(32)【優先日】2015年8月5日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002288
【氏名又は名称】三洋化成工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】中田 繁邦
(72)【発明者】
【氏名】龍見 岳典
【審査官】 中野 孝一
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2014/170169(WO,A1)
【文献】 特開2015−007225(JP,A)
【文献】 特開2013−129730(JP,A)
【文献】 特開2013−133460(JP,A)
【文献】 特開平08−169922(JP,A)
【文献】 特開2008−31459(JP,A)
【文献】 特開2009−191258(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C10M101/00−177/00、
C08F283/01、
C08F290/00−290/14、
C08F299/00−299/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)で表される単量体(a)を構成単量体とする 重合体(A)と基油とを含有してなる粘度指数向上剤組成物であって、40℃動粘度を100℃動粘度で除した値(V1)が0.2〜5の範囲である粘度指数向上剤組成物。
【化1】
[Rは水素原子又はメチル基;−X−は−O−、−O(AO)−又は−NH−で表される基であって、Aは炭素数2〜4の直鎖又は分岐アルキレン基であり、mは0〜20の整数であり、mが2以上の場合のAは同一でも異なっていてもよく、(AO)部分はランダム結合でもブロック結合でもよい;Rはイソブチレン及び/又は1,2−ブチレンを必須構成単位とする炭化水素重合体から水素原子を1つ除いた残基;pは0又は1の数]
【請求項2】
80℃動粘度を100℃動粘度で除した値(V2)が0.2〜10の範囲である請求項1に記載の粘度指数向上剤組成物。
【請求項3】
基油が、100℃動粘度1〜10mm/sであり、 APIグループIIである基油、APIグループIIIである基油及びAPIグループIII+である基油からなる群から選ばれる1種以上の基油である 請求項1又は2に記載の粘度指数向上剤組成物。
【請求項4】
(A)の濃度が粘度指数向上剤組成物の質量の基づいて15〜30質量%である請求項1〜3のいずれかに記載の粘度指数向上剤組成物。
【請求項5】
(A)のSP値と基油のSP値の差の絶対値(ΔSP)が1.0〜1.5(cal/cm1/2である請求項1〜4のいずれかに記載の粘度指数向上剤組成物。
【請求項6】
(A)が、一般式(3)で表される単量体(c)を構成単量体とする共重合体である請求項1〜5のいずれかに記載の粘度指数向上剤組成物。
【化3】
[Rは水素原子又はメチル基;−X−は−O−又は−NH−で表される基;Rは炭素数2〜4の直鎖又は分岐アルキレン基;Rは炭素数1〜8の直鎖アルキル基;rは1〜20の整数であり、rが2以上の場合のRは同一でも異なっていてもよく、(RO)部分はランダム結合でもブロック結合でもよい。]
【請求項7】
(A)が、(A)の構成単量体として更に炭素数1〜4の直鎖アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(d)及び/又は炭素数12〜36の直鎖アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(e)を含有してなる共重合体である請求項1〜6のいずれかに記載の粘度指数向上剤組成物。
【請求項8】
(A)が、構成単量体として(A)の重量に基づいて、(a)を1〜50質量%、(c)を1〜50質量%、(d)を1〜70質量%及び(e)を1〜40質量%含有する共重合体である請求項7に記載の粘度指数向上剤組成物。
【請求項9】
(A)が、更に一般式(2)で表される単量体(b)を含有してなる共重合体である請求項1〜8のいずれかに記載の粘度指数向上剤組成物。
【化2】
[Rは水素原子又はメチル基;−X−は−O−又は−NH−で表される基;Rは炭素数2〜4の直鎖又は分岐アルキレン基;R及びRはそれぞれ独立に炭素数8〜24の直鎖アルキル基;qは0〜20の整数であり、qが2以上の場合のRは同一でも異なっていてもよく、(RO)部分はランダム結合でもブロック結合でもよい。]
【請求項10】
(A)の重量平均分子量が200,000〜2,000,000である請求項1〜9のいずれかに記載の粘度指数向上剤組成物。
【請求項11】
基油の粘度指数が110以上である請求項1〜10のいずれかに記載の粘度指数向上剤組成物。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれかに記載の粘度指数向上剤組成物と、清浄剤、分散剤、酸化防止剤、油性向上剤、摩擦摩耗調整剤、極圧剤、消泡剤、抗乳化剤及び腐食防止剤からなる群から選ばれる1種以上の添加剤とを含有してなる潤滑油組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘度指数向上剤組成物及び粘度指数向上剤組成物を含有してなる潤滑油組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、CO排出量低減及び石油資源保護等の実現のために、自動車の省燃費化がより一層要求されている。省燃費化の一つとして、エンジン油の低粘度化による粘性抵抗の低減が挙げられる。しかし、低粘度化すると液漏れや焼付きといった問題が生じてくる。また、寒冷地では低温始動性が求められる。この問題に対しては、米国SAEのエンジン油用粘度規格(SAEJ300)に定められており、0W−20グレードにおいては、高温高せん断下での150℃HTHS粘度(ASTM D4683又はD5481)がMin.2.6に規定されている。また、同グレードは、寒冷地での始動性保証のために−40℃下の低温粘度が60,000mPa・s以下及び降伏応力無きこと(ASTM D4684)が規定されている。省燃費化については、上記規格を満たした上で、80℃又は100℃の実効温度域でのHTHS粘度がより低いエンジン油が求められ、従来から各種の粘度指数向上剤が提案されている。そのような粘度指数向上剤としては、メタクリル酸エステル共重合体(特許文献1〜4)、オレフィン共重合体(特許文献5)、櫛型共重合体(特許文献6〜8)等が知られている。
しかしながら、上記の粘度指数向上剤は、エンジン油組成物に添加した場合に100℃HTHS粘度の低減に未だ十分でなく、剪断による粘度低減を受けやすく、また、低温での粘度が上昇するという問題があった。
また、粘度指数向上剤は希釈可能な鉱物油等により重合体を希釈した状態で物流されているが、輸送費コストを低減するために重合体濃度を高くすることが要求される。一方で、重合体濃度を高くすると粘度が高くなり、大気温度下では取り扱えないために加温する必要があり、加温設備等が必要になるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第2732187号公報
【特許文献2】特許第2754343号公報
【特許文献3】特許第3831203号公報
【特許文献4】特許第3999307号公報
【特許文献5】特開2005−200454号公報
【特許文献6】特許第3474918号公報
【特許文献7】特表2008−546894号公報
【特許文献8】特表2010−532805号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、潤滑油組成物の剪断安定性に優れ、潤滑油組成物のHTHS粘度が低く、潤滑油組成物の低温粘度を上昇させにくく、有効成分濃度を保持しながら大気温度下で取り扱いが容易な粘度指数向上剤組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記の目的を達成するべく検討を行った結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、一般式(1)で表されるエチレン性不飽和単量体(a)を構成単量体とする重合体(A)と基油を含有してなる粘度指数向上剤組成物であって、40℃動粘度を100℃動粘度で除した値(V1)が0.2〜5の範囲である粘度指数向上剤組成物である。
【化1】
[Rは水素原子又はメチル基;−X−は−O−、−O(AO)−又は−NH−で表される基であって、Aは炭素数2〜4の直鎖又は分岐アルキレン基であり、mは0〜20の整数であり、mが2以上の場合のAは同一でも異なっていてもよく、(AO)部分はランダム結合でもブロック結合でもよい;Rはイソブチレン及び/又は1,2−ブチレンを必須構成単位とする炭化水素重合体から水素原子を1つ除いた残基;pは0又は1の数]
【発明の効果】
【0006】
本発明の粘度指数向上剤組成物を含有してなる潤滑油組成物は、剪断安定性に優れ、実効温度域でのHTHS粘度が低く、潤滑油組成物の低温粘度を上昇させにくいという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明における重合体(A)は、一般式(1)で表される単量体(a)を構成単量体とする共重合体である。
【0008】
一般式(1)におけるRは、水素原子又はメチル基である。これらのうち、実効温度域でのHTHS粘度の観点から好ましくは、メチル基である。
【0009】
一般式(1)におけるmは0〜20の整数であり、粘度指数向上効果及び低温粘度の観点から、好ましくは0〜5の整数であり、更に好ましくは0〜2の整数である。
mが2以上の場合のAは同一でも異なっていてもよく、(AO)部分はランダム結合でもブロック結合でもよい。
【0010】
一般式(1)におけるRは、イソブチレン基(−CHC(CH−)、及び/又は1,2−ブチレン基(−CHCH(CHCH)−)を必須構成単位とする炭化水素重合体(以下、「炭化水素重合体」と略記する)の残基である。
なお、炭化水素重合体の残基とは、炭化水素重合体から水素原子を1つ除いた部分を意味する。
【0011】
炭化水素重合体としては、1−ブテン、イソブテン又は/及びブタジエンに加え、以下の(1)〜(3)を構成単量体とする重合体が挙げられる。
炭化水素重合体は、ブロック重合体でもランダム重合体であってもよい。
(1)脂肪族不飽和炭化水素[炭素数2〜36のオレフィン(例えばエチレン、プロピレン、2−ブテン、ペンテン、ヘプテン、ジイソブチレン、オクテン、ドデセン、オクタデセン、トリアコセン及びヘキサトリアコセン等)及び炭素数2〜36のジエン(例えばイソプレン、1,4−ペンタジエン、1,5−ヘキサジエン及び1,7−オクタジエン等)等]
(2)脂環式不飽和炭化水素[例えばシクロヘキセン、(ジ)シクロペンタジエン、ピネン、リモネン、インデン、ビニルシクロヘキセン及びエチリデンビシクロヘプテン等]
(3)芳香族基含有不飽和炭化水素(例えばスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、2,4−ジメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、フェニルスチレン、シクロヘキシルスチレン、ベンジルスチレン、クロチルベンゼン、ビニルナフタレン、ジビニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジビニルキシレン及びトリビニルベンゼン等)等が挙げられる。
炭化水素重合体が、二重結合を有する場合には、水素添加により、二重結合の一部又は全部を水素化したものであってもよい。
【0012】
炭化水素重合体の合計構成単量体数に基づき、イソブチレン基及び1,2−ブチレン基の合計比率は、50モル%以上であり、更に好ましくは55モル%以上、特に好ましくは60モル%以上である。
炭化水素重合体は、公知の製造方法によって得ることができる(特公昭44−27469等)。
【0013】
単量体(a)は、炭化水素重合体の片末端に水酸基を導入した片末端水酸基含有(共)重合体(Y)と、(メタ)アクリル酸とのエステル化反応により得ることができる。
【0014】
片末端水酸基含有(共)重合体(Y)の具体例としては、以下のものが挙げられる。
アルキレンオキサイド付加物(Y1);不飽和炭化水素(x)をイオン重合触媒(ナトリウム触媒等)存在下に重合して得られた(共)重合体に、アルキレンオキサイド(エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド等)を付加して得られたもの等。
ヒドロホウ素化物(Y2);末端二重結合を有する(x)であって、その(共)重合体のヒドロホウ素化反応物(例えばUS4,316,973号に記載のもの)等。
無水マレイン酸−エン−アミノアルコール付加物(Y3);末端二重結合を有する(x)であって、その(共)重合体と無水マレイン酸とのエン反応で得られた反応物を、アミノアルコールでイミド化して得られたもの等。
ヒドロホルミル−水素化物(Y4);末端二重結合を有する(x)であって、その(共)重合体をヒドロホルミル化し、次いで水素化反応して得られたもの(例えば特開昭63−175096号に記載のもの)等。
(Y)のうち好ましくは、(Y1)、(Y2)及び(Y3)であり、更に好ましくは、(Y1)である。
【0015】
(Y)の数平均分子量(以下Mnと略記する)は、剪断安定性及びHTHS粘度の観点から好ましくは1,000〜25,000であり、更に好ましくは2,000〜20,000、特に好ましくは3,000〜15,000、最も好ましくは4,000〜10,000である。なお、(Y)のMn及び後述する(共)重合体(A)の重量平均分子量(以下Mwと略記する)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより以下の条件で測定することができる。
<(Y)のMnとMw、(A)のMwの測定条件>
装置 :「HLC−802A」[東ソー(株)製]
カラム :「TSK gel GMH6」[東ソー(株)製]2本
測定温度 :40℃
試料溶液 :0.5質量%のテトラヒドロフラン溶液
溶液注入量:200μl
検出装置 :屈折率検出器
基準物質 :標準ポリスチレン(TSKstandardPOLYSTYRENE)12点(分子量:500、1,050、2,800、5,970、9,100、18,100、37,900、96,400、190,000、355,000、1,090,000、2,890,000)[東ソー(株)製]
【0016】
(V1)は、粘度指数向上剤組成物の40℃動粘度を100℃動粘度で除した値である。計算式で表すと(V1)=(40℃動粘度)/(100℃動粘度)である。粘度指数向上剤組成物のハンドリング性の観点から、通常0.2〜5、更に好ましくは0.2〜4、特に好ましくは0.2〜3、最も好ましくは0.2〜2である。(V1)が0.2未満であると、生産時(100℃以上)のハンドリング性に問題があり、5を超えると40℃でのハンドリング性に問題がある。(V1)は、重合体(A)における単量体(a)の使用量、並びにSP値を制御することで調整することができる。
【0017】
(V2)は、粘度指数向上剤組成物の80℃動粘度を100℃動粘度で除した値である。計算式で表すと(V2)=(80℃動粘度)/(100℃動粘度)である。粘度指数向上剤組成物のハンドリング性の観点から、好ましくは0.2〜10、更に好ましくは0.3〜8である。(V2)は、重合体(A)における単量体(a)の使用量、並びにSP値を制御することで調整することができる。
【0018】
(A)の濃度は潤滑油製造時の流動性の観点から、粘度指数向上剤組成物の質量に基づいて好ましくは10〜50質量%、更に好ましくは10〜40質量%、特に好ましくは15〜30質量%の範囲である。
【0019】
(A)は、潤滑油の粘度指数の観点から、特定の溶解度パラメーター(以下SP値と略記する)を有するものが好ましい。SP値の範囲は、好ましくは7.0〜9.0(cal/cm1/2であり、更に好ましくは7.3〜8.5(cal/cm1/2である。なお、本発明におけるSP値は、Fedors法(Polymer Engineering and Science,Feburuary,1974,Vol.14、No.2 P.147〜154に記載)の方法で算出される値である。
(Y)のSP値は、(Y)を構成する単量体それぞれのSP値を前記の方法で算出し、それぞれの単量体のSP値を、構成単量体単位のモル分率に基づいて平均した値である。
(Y)のSP値は、使用する単量体のSP値、モル分率を適宜調整することにより所望の範囲にすることができる。
【0020】
(Y)は、潤滑油への溶解性の観点から、特定の溶解度パラメーター(以下SP値と略記する)を有するものが好ましい。SP値の範囲は、好ましくは7.0〜9.0(cal/cm1/2であり、更に好ましくは7.3〜8.5(cal/cm1/2である。なお、本発明におけるSP値は、Fedors法(Polymer Engineering and Science,Feburuary,1974,Vol.14、No.2 P.147〜154に記載)の方法で算出される値である。
(Y)のSP値は、(Y)を構成する単量体それぞれのSP値を前記の方法で算出し、それぞれの単量体のSP値を、構成単量体単位のモル分率に基づいて平均した値である。
(Y)のSP値は、使用する単量体のSP値、モル分率を適宜調整することにより所望の範囲にすることができる。
【0021】
(Y)の結晶化温度は、潤滑油組成物の低温粘度の観点から好ましくは−40℃以下であり、更に好ましくは−50℃以下、特に好ましくは−55℃以下、最も好ましくは−60℃以下である。
なお、(Y)と後述する(共)重合体(A)の結晶化温度は、示差走査熱量計「ユニックス(登録商標)DSC7」(PERKIN−ELMER社製)を使用して測定することができ、(Y)、(A)5mgを試料とし、10℃/分の等温速度で100℃から−80℃まで冷却したときに観測される結晶化温度である。
【0022】
本発明における(共)重合体(A)は、単量体(a)に加え、下記一般式(2)で表される単量体(b)を構成単量体とする共重合体であることが、実効温度でのHTHS粘度の観点から好ましい
【0023】
【化2】
[Rは水素原子又はメチル基;−X−は−O−又は−NH−で表される基;Rは炭素数2〜4の直鎖又は分岐アルキレン基;R及びRはそれぞれ独立に炭素数8〜24の直鎖アルキル基;qは0〜20の整数であり、qが2以上の場合のRは同一でも異なっていてもよく、(RO)部分はランダム結合でもブロック結合でもよい。]
【0024】
一般式(2)におけるRは、水素原子又はメチル基である。これらのうち、粘度指数向上効果の観点から好ましくは、メチル基である。
【0025】
一般式(2)における−X−は、−O−又は−NH−で表される基である。これらのうち、粘度指数向上効果の観点から好ましくは−O−で表される基である。
【0026】
一般式(2)におけるRは、炭素数2〜4の直鎖又は分岐アルキレン基である。炭素
数2〜4の直鎖又は分岐アルキレン基としては、エチレン基、イソプロピレン基、1,2−又は1,3−プロピレン基、イソブチレン基、及び1,2−、1,3−又は1,4−ブチレン基等が挙げられる。これらのうち、粘度指数向上効果の観点から好ましくは、エチレン基及び1,2−プロピレン基である。
【0027】
一般式(2)におけるqは0〜20の整数であり、粘度指数向上効果及び低温粘度の観点から、好ましくは0〜5の整数であり、更に好ましくは0〜2の整数である。
qが2以上の場合のAは同一でも異なっていてもよく、(RO)部分はランダム結合でもブロック結合でもよい。
【0028】
一般式(2)におけるR、Rは、それぞれ独立に、炭素数8〜24の直鎖アルキル基である。具体的には、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−テトラデシル基、n−ヘキサデシル基、n−オクタデシル基、n−エイコシル基及びn−テトラコシル基が挙げられる。
炭素数8〜24の直鎖アルキル基のうち、実効温度域でのHTHS粘度の観点から好ましくは、炭素数8〜20の直鎖アルキル基であり、更に好ましくは炭素数9〜18の直鎖アルキル基、特に好ましくは炭素数10〜14の直鎖アルキル基である。
【0029】
単量体(b)の具体例としては、(メタ)アクリル酸2−オクチルデシル、エチレングリコールモノ−2−オクチルペンタデシルエーテルと(メタ)アクリル酸とのエステル、(メタ)アクリル酸2−オクチルドデシル、(メタ)アクリル酸2−デシルテトラデシル、(メタ)アクリル酸2−ドデシルヘキサデシル、(メタ)アクリル酸2−テトラデシルオクタデシル、(メタ)アクリル酸2−ドデシルペンタデシル、(メタ)アクリル酸2−テトラデシルヘプタデシル、(メタ)アクリル酸2−ヘキサデシルヘプタデシル、(メタ)アクリル酸2−ヘプタデシルイコシル、(メタ)アクリル酸2−ヘキサデシルドコシル、(メタ)アクリル酸2−エイコシルドコシル、(メタ)アクリル酸2−テトラコシルヘキサコシル及びN−2−オクチルデシル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
【0030】
単量体(b)のうち、実効温度域でのHTHS粘度の観点から好ましくは、(メタ)アクリル酸2−オクチルドデシル、(メタ)アクリル酸2−デシルテトラデシル、(メタ)アクリル酸2−ドデシルヘキサデシル、(メタ)アクリル酸2−テトラデシルオクタデシルである。
【0031】
本発明における(共)重合体(A)は、単量体(a)に加え、一般式(3)で表される単量体(c)、炭素数1〜4の直鎖アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(d)及び炭素数12〜36の直鎖アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(e)からなる群から選ばれる1種以上を構成単量体とする共重合体であることが、実効温度でのHTHS粘度の観点から好ましい。
【0032】
【化3】
[Rは水素原子又はメチル基;−X−は−O−又は−NH−で表される基;Rは炭素数2〜4の直鎖又は分岐アルキレン基;Rは炭素数1〜8の直鎖アルキル基;rは1〜20の整数であり、rが2以上の場合のRは同一でも異なっていてもよく、(RO)部分はランダム結合でもブロック結合でもよい。]
【0033】
一般式(3)におけるRは、水素原子又はメチル基である。これらのうち、実効温度域でのHTHS粘度の観点から好ましいのは、メチル基である。
【0034】
一般式(3)における−X−は、−O−又は−NH−で表される基であり−X−のうち、実効温度域でのHTHS粘度の観点から好ましいのは、−O−で表される基である。
【0035】
一般式(3)におけるRは、炭素数2〜4の直鎖又は分岐アルキレン基であり、エチレン基、1,2−又は1,3−プロピレン基、及び1,2−、1,3−又は1,4−ブチレン基が挙げられる。これらのうち、実効温度域でのHTHS粘度の観点から好ましいのは、エチレン基及び1,2−プロピレン基である。
【0036】
一般式(3)におけるrは1〜20の整数であり、実効温度域でのHTHS粘度の観点から好ましくは1〜16の整数、更に好ましくは1〜12の整数である。
rが2以上の場合のRは同一でも異なっていてもよく、(RO)部分はランダム結合でもブロック結合でもよい。
【0037】
一般式(3)におけるRは、炭素数1〜8の直鎖アルキル基であり、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基が挙げられる。炭素数1〜8の直鎖アルキル基のうち、実効温度域でのHTHS粘度の観点から好ましいのは、炭素数1〜6の直鎖アルキル基であり、更に好ましいのは炭素数1〜5の直鎖アルキル基である。
【0038】
単量体(c)の具体例としては、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−エトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−n−プロポキシエチル、(メタ)アクリル酸2−n−ブトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−n−ペントキシエチル、(メタ)アクリル酸2−n−ヘキソキシエチル、(メタ)アクリル酸2−n−ヘプトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−n−オクトキシエチル、2−n−エトキシエチル(メタ)アクリルアミド、2−n−ブトキシエチル(メタ)アクリルアミド、2−n−ヘキソキシエチル(メタ)アクリルアミド及び2−n−オクトキシエチル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
(c)のうち実効温度域でのHTHS粘度の観点から好ましいのは、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−エトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−n−プロポキシエチル、(メタ)アクリル酸2−n−ブトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−n−ペントキシエチルである。
【0039】
炭素数1〜4の直鎖アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(d)としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル及び(メタ)アクリル酸n−ブチルが挙げられる。
(d)のうち好ましくは、(メタ)アクリル酸メチル及び(メタ)アクリル酸ブチルであり、特に好ましくは(メタ)アクリル酸ブチルである。
【0040】
炭素数12〜36の直鎖アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(e)としては、(メタ)アクリル酸n−ドデシル、(メタ)アクリル酸n−トリデシル、(メタ)アクリル酸n−テトラデシル、(メタ)アクリル酸n−ペンタデシル、(メタ)アクリル酸n−ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸n−オクタデシル、(メタ)アクリル酸n−イコシル、(メタ)アクリル酸n−テトラコシル、(メタ)アクリル酸n−トリアコンチル及び(メタ)アクリル酸n−ヘキサトリアコンチル等が挙げられる。
(d)のうち好ましくは、炭素数12〜32の直鎖アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルであり、更に好ましくは炭素数16〜30の直鎖アルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル、特に好ましくは炭素数18〜24の直鎖アルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルである。
【0041】
本発明における(共)重合体(A)は、単量体(a)〜(e)に加え、更に窒素原子含有単量体(f)、水酸基含有単量体(g)及びリン原子含有単量体(h)からなる群から選ばれる1種以上を構成単量体とする共重合体であることが、実効温度域でのHTHS粘度の観点から好ましい。
窒素原子含有単量体(f)としては、単量体(a)、(b)及び(c)を除く、以下の単量体(e1)〜(e4)が挙げられる。
【0042】
アミド基含有単量体(f1):
(メタ)アクリルアミド、モノアルキル(メタ)アクリルアミド[窒素原子に炭素数1〜4のアルキル基が1つ結合したもの;例えばN−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド及びN−n−又はイソブチル(メタ)アクリルアミド等]、N−(N’−モノアルキルアミノアルキル)(メタ)アクリルアミド[窒素原子に炭素数1〜4のアルキル基が1つ結合したアミノアルキル基(炭素数2〜6)を有するもの;例えばN−(N’−メチルアミノエチル)(メタ)アクリルアミド、N−(N’−エチルアミノエチル)(メタ)アクリルアミド、N−(N’−イソプロピルアミノ−n−ブチル)(メタ)アクリルアミド及びN−(N’−n−又はイソブチルアミノ−n−ブチル)(メタ)アクリルアミド等]、ジアルキル(メタ)アクリルアミド[窒素原子に炭素数1〜4のアルキル基が2つ結合したもの;例えばN,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジイソプロピル(メタ)アクリルアミド及びN,N−ジ−n−ブチル(メタ)アクリルアミド等]、N−(N’,N’−ジアルキルアミノアルキル)(メタ)アクリルアミド[アミノアルキル基の窒素原子に炭素数1〜4のアルキル基が2つ結合したアミノアルキル基(炭素数2〜6)を有するもの;例えばN−(N’,N’−ジメチルアミノエチル)(メタ)アクリルアミド、N−(N’,N’−ジエチルアミノエチル)(メタ)アクリルアミド、N−(N’,N’−ジメチルアミノプロピル)(メタ)アクリルアミド及びN−(N’,N’−ジ−n−ブチルアミノブチル)(メタ)アクリルアミド等];N−ビニルカルボン酸アミド[N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニル−n−又はイソプロピオン酸アミド及びN−ビニルヒドロキシアセトアミド等]等が挙げられる。
【0043】
ニトロ基含有単量体(f2):
4−ニトロスチレン等が挙げられる。
【0044】
1〜3級アミノ基含有単量体(f3):
1級アミノ基含有単量体{炭素数3〜6のアルケニルアミン[(メタ)アリルアミン及びクロチルアミン等]、アミノアルキル(炭素数2〜6)(メタ)アクリレート[アミノエチル(メタ)アクリレート等]};2級アミノ基含有単量体{モノアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート[窒素原子に炭素数1〜6のアルキル基が1つ結合したアミノアルキル基(炭素数2〜6)を有するもの;例えばN−t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート及びN−メチルアミノエチル(メタ)アクリレート等]、炭素数6〜12のジアルケニルアミン[ジ(メタ)アリルアミン等]};3級アミノ基含有単量体{ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート[窒素原子に炭素数1〜6のアルキル基が2つ結合したアミノアルキル基(炭素数2〜6)を有するもの;例えばN,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート及びN,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等]、窒素原子を有する脂環式(メタ)アクリレート[モルホリノエチル(メタ)アクリレート等]、芳香族系単量体[N−(N’,N’−ジフェニルアミノエチル)(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノスチレン、4−ビニルピリジン、2−ビニルピリジン、N−ビニルピロール、N−ビニルピロリドン及びN−ビニルチオピロリドン等]}、及びこれらの塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩又は低級アルキル(炭素数1〜8)モノカルボン酸(酢酸及びプロピオン酸等)塩等が挙げられる。
【0045】
ニトリル基含有単量体(f4):
(メタ)アクリロニトリル等が挙げられる。
【0046】
(f)のうち好ましくは、(f1)及び(f3)であり、更に好ましくは、N−(N’,N’−ジフェニルアミノエチル)(メタ)アクリルアミド、N−(N’,N’−ジメチルアミノエチル)(メタ)アクリルアミド、N−(N’,N’−ジエチルアミノエチル)(メタ)アクリルアミド、N−(N’,N’−ジメチルアミノプロピル)(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート及びN,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートである。
【0047】
水酸基含有単量体(g):
水酸基含有芳香族単量体(p−ヒドロキシスチレン等)、ヒドロキシアルキル(炭素数2〜6)(メタ)アクリレート[2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、及び2−又は3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等]、モノ−又はビス−ヒドロキシアルキル(炭素数1〜4)置換(メタ)アクリルアミド[N,N−ビス(ヒドロキシメチル)(メタ)アクリルアミド、N,N−ビス(ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、N,N−ビス(2−ヒドロキシブチル)(メタ)アクリルアミド等]、ビニルアルコール、炭素数3〜12のアルケノール[(メタ)アリルアルコール、クロチルアルコール、イソクロチルアルコール、1−オクテノール及び1−ウンデセノール等]、炭素数4〜12のアルケンモノオール又はアルケンジオール[1−ブテン−3−オール、2−ブテン−1−オール及び2−ブテン−1,4−ジオール等]、ヒドロキシアルキル(炭素数1〜6)アルケニル(炭素数3〜10)エーテル(2−ヒドロキシエチルプロペニルエーテル等)、多価(3〜8価)アルコール(グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ソルビタン、ジグリセリン、糖類及び蔗糖等)のアルケニル(炭素数3〜10)エーテル又は(メタ)アクリレート[蔗糖(メタ)アリルエーテル等]等;
ポリオキシアルキレングリコール(アルキレン基の炭素数2〜4、重合度2〜50)、ポリオキシアルキレンポリオール[上記3〜8価のアルコールのポリオキシアルキレンエーテル(アルキレン基の炭素数2〜4、重合度2〜100)]、ポリオキシアルキレングリコール又はポリオキシアルキレンポリオールのアルキル(炭素数1〜4)エーテルのモノ(メタ)アクリレート[ポリエチレングリコール(Mn:100〜300)モノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(Mn:130〜500)モノ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(Mn:110〜310)(メタ)アクリレート、ラウリルアルコールエチレンオキサイド付加物(2〜30モル)(メタ)アクリレート及びモノ(メタ)アクリル酸ポリオキシエチレン(Mn:150〜230)ソルビタン等]等;が挙げられる。
【0048】
リン原子含有単量体(h)としては、以下の単量体(h1)〜(h2)が挙げられる。
【0049】
リン酸エステル基含有単量体(h1):
(メタ)アクリロイロキシアルキル(炭素数2〜4)リン酸エステル[(メタ)アクリロイロキシエチルホスフェート及び(メタ)アクリロイロキシイソプロピルホスフェート]及びリン酸アルケニルエステル[リン酸ビニル、リン酸アリル、リン酸プロペニル、リン酸イソプロペニル、リン酸ブテニル、リン酸ペンテニル、リン酸オクテニル、リン酸デセニル及びリン酸ドデセニル等]等が挙げられる。なお、「(メタ)アクリロイロキシ」は、アクリロイロキシ又はメタクリロイロキシを意味する。
【0050】
ホスホノ基含有単量体(h2):
(メタ)アクリロイロキシアルキル(炭素数2〜4)ホスホン酸[(メタ)アクリロイロキシエチルホスホン酸等]及びアルケニル(炭素数2〜12)ホスホン酸[ビニルホスホン酸、アリルホスホン酸及びオクテニルホスホン酸等]等が挙げられる。
【0051】
(h)のうち好ましくは(h1)であり、更に好ましくは(メタ)アクリロイロキシアルキル(炭素数2〜4)リン酸エステルであり、特に好ましくは(メタ)アクリロイロキシエチルホスフェートである。
【0052】
(A)は、単量体(a)〜(h)に加え、更に不飽和基を2つ以上有する単量体(i)を構成単量体とする共重合体であることが、実効温度域でのHTHS粘度の観点から好ましい。
【0053】
不飽和基を2つ以上有する単量体(i)としては、例えば、ジビニルベンゼン、炭素数4〜12のアルカジエン(ブタジエン、イソプレン、1,4−ペンタジエン、1,6−ヘプタジエン及び1,7−オクタジエン等)、(ジ)シクロペンタジエン、ビニルシクロヘキセン及びエチリデンビシクロヘプテン、リモネン、エチレンジ(メタ)アクリレート、ポリアルキレンオキサイドグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、国際公開WO01/009242号公報に記載の、不飽和カルボン酸とグリコールとのエステル及び不飽和アルコールとカルボン酸のエステルなどであって、Mnが500以上のエステルが挙げられる。
【0054】
(A)は、単量体(a)〜(i)に加え、以下の単量体(j)〜(p)を構成単量体としてもよい。
【0055】
脂肪族炭化水素系単量体(j):
炭素数2〜20のアルケン(エチレン、プロピレン、ブテン、イソブテン、ペンテン、ヘプテン、ジイソブチレン、オクテン、ドデセン及びオクタデセン等)等が挙げられる。
【0056】
脂環式炭化水素系単量体(k):
シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン及びピネン等が挙げられる。
【0057】
芳香族炭化水素系単量体(l):
スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、2,4−ジメチルスチレン、4−エチルスチレン、4−イソプロピルスチレン、4−ブチルスチレン、4−フェニルスチレン、4−シクロヘキシルスチレン、4−ベンジルスチレン、4−クロチルベンゼン、インデン及び2−ビニルナフタレン等が挙げられる。
【0058】
ビニルエステル、ビニルエーテル、ビニルケトン類(m):
炭素数2〜12の飽和脂肪酸のビニルエステル(酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル及びオクタン酸ビニル等)、炭素数1〜12のアルキル、アリール又はアルコキシアルキルビニルエーテル(メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル、ビニル−2−メトキシエチルエーテル及びビニル−2−ブトキシエチルエーテル等)及び炭素数1〜8のアルキル又はアリールビニルケトン(メチルビニルケトン、エチルビニルケトン及びフェニルビニルケトン等)等が挙げられる。
【0059】
エポキシ基含有単量体(n):
グリシジル(メタ)アクリレート及びグリシジル(メタ)アリルエーテル等が挙げられる。
【0060】
ハロゲン元素含有単量体(o):
塩化ビニル、臭化ビニル、塩化ビニリデン、塩化(メタ)アリル及びハロゲン化スチレン(ジクロロスチレン等)等が挙げられる。
【0061】
不飽和ポリカルボン酸のエステル(p):
不飽和ポリカルボン酸のアルキル、シクロアルキル又はアラルキルエステル[不飽和ジカルボン酸(マレイン酸、フマール酸及びイタコン酸等)の炭素数1〜8のアルキルジエステル(ジメチルマレエート、ジメチルフマレート、ジエチルマレエート及びジオクチルマレエート)]等が挙げられる。
【0062】
(A)を構成する(a)の割合は、実効温度域でのHTHS粘度及び低温粘度の観点から、(A)の重量に基づいて、好ましくは1〜50質量%であり、更に好ましくは5〜45質量%、特に好ましくは8〜30質量%、最も好ましくは10〜20質量%である。
(A)を構成する(b)の割合は、実効温度域でのHTHS粘度及び低温粘度の観点から、(A)の重量に基づいて、好ましくは0〜50質量%であり、更に好ましくは0〜45質量%、特に好ましくは0〜30質量%である。
(A)を構成する(c)の割合は、実効温度域でのHTHS粘度及び低温粘度の観点から、(A)の重量に基づいて、好ましくは1〜50質量%であり、更に好ましくは5〜45質量%、特に好ましくは10〜40質量%である。
(A)を構成する(d)の割合は、実効温度域でのHTHS粘度及び低温粘度の観点から、(A)の重量に基づいて、好ましくは1〜70質量%であり、更に好ましくは5〜70質量%、特に好ましくは10〜65質量%、最も好ましくは45〜65質量%である。
(A)を構成する(e)の割合は、実効温度域でのHTHS粘度及び低温粘度の観点から、(A)の重量に基づいて、好ましくは1〜40質量%であり、更に好ましくは5〜35質量%、特に好ましくは10〜30質量%である。
(A)を構成する(a)〜(e)の割合の合計は、実効温度域でのHTHS粘度及び低温粘度の観点から、(A)の重量に基づいて、好ましくは50〜100質量%であり、更に好ましくは70〜100質量%、特に好ましくは80〜100質量%である。
(A)を構成する(f)〜(h)それぞれの割合は、実効温度域でのHTHS粘度及び潤滑油組成物の低温粘度の観点から、(A)の重量に基づいて、好ましくは0〜15質量%であり、更に好ましくは1〜12質量%、特に好ましくは2〜10質量%である。
(A)を構成する(i)の割合は、実効温度域でのHTHS粘度の観点から、(A)の重量に基づいて、好ましくは0.01〜200ppmであり、更に好ましくは0.05〜50ppm、特に好ましくは0.1〜20ppmである。
(A)を構成する(j)〜(p)それぞれの割合は、粘度指数向上効果及び潤滑油組成物の低温粘度の観点から、(A)の重量に基づいて、好ましくは0〜10質量%であり、更に好ましくは1〜7質量%、特に好ましくは2〜5質量%である。
【0063】
(A)のSP値は、7.3〜9.5(cal/cm1/2であり、粘度指数向上効果及び潤滑油組成物の低温粘度の観点から、好ましくは8.5〜9.5(cal/cm1/2、更に好ましくは8.8〜9.3(cal/cm1/2、特に好ましくは9.0〜9.2(cal/cm1/2である。
(A)のSP値は、(A)を構成する単量体それぞれのSP値を前記の方法で算出し、それぞれの単量体のSP値を、構成単量体単位のモル分率に基づいて平均した値である。
(A)のSP値は、使用する単量体のSP値、モル分率を適宜調整することにより7.3〜9.5(cal/cm1/2にすることができる。
【0064】
(A)のSP値と基油のSP値の差の絶対値(ΔSP)は、実効温度域でのHTHS粘度及び低温粘度の観点から、好ましくは1.0〜1.5(cal/cm1/2である。
【0065】
(A)のMwは、実効温度域でのHTHS粘度及び低温粘度の観点から、好ましくは5,000〜2,000,000であり、更に好ましい範囲は、潤滑油組成物の用途によって異なり、表1に記載の範囲である。Mwが200,000〜2,000,000の用途に用いることが好ましい。
【0066】
【表1】
* :オートマチックトランスミッション油
** :ベルト−コンティニュアスリーバリアブルトランスミッション油
*** :マニュアルトランスミッション油
【0067】
(A)は、公知の製造方法によって得ることができ、具体的には前記の単量体を溶剤中で重合触媒存在下に溶液重合することにより得る方法が挙げられる。
溶剤としては、トルエン、キシレン、炭素数9〜10のアルキルベンゼン、メチルエチルケトン及び鉱物油等が挙げられる。
重合触媒としては、アゾ系触媒(2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)及び2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等)、過酸化物系触媒(ベンゾイルパーオキサイド、クミルパーオキサイド及びラウリルパーオキサイド等)及びレドックス系触媒(ベンゾイルパーオキサイドと3級アミンの混合物等)が挙げられる。更に必要により、公知の連鎖移動剤(炭素数2〜20のアルキルメルカプタン等)を使用することもできる。
重合温度は、好ましくは25〜140℃であり、更に好ましくは50〜120℃である。また、上記の溶液重合の他に、塊状重合、乳化重合又は懸濁重合により(A)を得ることができる。
(A)が共重合体である場合の重合形態としては、ランダム付加重合体又は交互共重合体のいずれでもよく、また、グラフト共重合体又はブロック共重合体のいずれでもよい。
【0068】
本発明の粘度指数向上剤は、(A)と、(A)以外のアルキル(メタ)アクリル酸エステル(共)重合体(B)を併用してもよい。
(B)としては、(A)以外のアルキル(メタ)アクリル酸エステル(共)重合体であれば特に限定しないが、炭素数1〜18の直鎖アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(共)重合体等が挙げられる。
(B)の具体例としては、メタクリル酸n−オクタデシル/メタクリル酸n−ドデシル(モル比10〜30/90〜70)共重合体、メタクリル酸n−テトラデシル/メタクリル酸n−ドデシル(モル比10〜30/90〜70)共重合体、メタクリル酸n−ヘキサデシル/メタクリル酸n−ドデシル/メタクリル酸メチル(モル比20〜40/55〜75/0〜10)共重合体及びアクリル酸n−ドデシル/メタクリル酸n−ドデシル(モル比10〜40/90〜60)共重合体等が挙げられ、これらは単独でも2種以上を併用してもよい。
【0069】
(A)と(B)を併用する場合の(B)の使用量は、(A)の重量に基づいて、低温粘度の観点から好ましくは0.01〜30質量%であり、更に好ましくは0.01〜20質量%、特に好ましくは0.01〜10質量%である。
【0070】
本発明の粘度指数向上剤組成物は、本発明の粘度指数向上剤及び基油を含有してなる。基油としては、鉱物油(溶剤精製油、パラフィン油、イソパラフィンを含有する高粘度指数油、イソパラフィンの水素化分解による高粘度指数油及びナフテン油等)、合成潤滑油[炭化水素系合成潤滑油(ポリα−オレフィン系合成潤滑油等)及びエステル系合成潤滑油等]及びこれらの混合物が挙げられる。これらのうち好ましくはAPIグループIIである基油、APIグループIIIである基油及びAPIグループIII+である基油であり、更に好ましくはAPIグループIIの鉱物油、APIグループIIIの鉱物油及びAPIグループIII+の鉱物油である。
【0071】
基油の100℃における動粘度(JIS−K2283で測定したもの)は、実効温度でのHTHS粘度の観点から好ましくは1〜10mm/sであり、更に好ましくは1.5〜8mm/sであり、特に好ましくは1.5〜6mm/sであり、最も好ましくは2〜6mm/sである。
基油の粘度指数(JIS−K2283で測定したもの)は、実効温度域でのHTHS粘度の観点から好ましくは110以上である。
【0072】
基油の曇り点(JIS−K2269で測定したもの)は、好ましくは−5℃以下であり、更に好ましくは−15℃以下である。基油の曇り点がこの範囲内であると潤滑油組成物の低温粘度が良好である。
【0073】
本発明の潤滑油組成物における粘度指数向上剤の含有率は、基油の重量に基づいて、粘度指数向上剤中の(A)の重量に換算して、好ましくは1〜30質量%である。
潤滑油組成物がエンジン油として使用される場合には、100℃の動粘度が4〜10mm/sの基油に、(A)を2〜10質量%含有しているものが好ましい。
潤滑油組成物がギヤ油として使用される場合には、100℃の動粘度が2〜10mm/sの基油に、(A)を3〜30質量%含有しているものが好ましい。
潤滑油組成物が自動変速機油(ATF及びbelt−CVTF等)として使用される場合には、100℃の動粘度が2〜6mm/sの基油に、(A)を3〜25質量%含有しているものが好ましい。
潤滑油組成物がトラクション油として使用される場合には、100℃の動粘度が1〜5mm/sの基油に、(A)を0.5〜10質量%含有しているものが好ましい。
【0074】
本発明の潤滑油組成物は、各種添加剤を含有してもよい。添加剤としては、以下のものが挙げられる。
(1)清浄剤:
塩基性、過塩基性又は中性の金属塩[スルフォネート(石油スルフォネート、アルキルベンゼンスルフォネート及びアルキルナフタレンスルフォネート等)の過塩基性又はアルカリ土類金属塩等]、サリシレート類、フェネート類、ナフテネート類、カーボネート類、フォスフォネート類及びこれらの混合物;
(2)分散剤:
コハク酸イミド類(ビス−又はモノ−ポリブテニルコハク酸イミド類)、マンニッヒ縮合物及びボレート類等;
(3)酸化防止剤:
ヒンダードフェノール類及び芳香族2級アミン類等;
(4)油性向上剤:
長鎖脂肪酸及びそれらのエステル(オレイン酸及びオレイン酸エステル等)、長鎖アミン及びそれらのアミド(オレイルアミン及びオレイルアミド等)等;
(5)摩擦摩耗調整剤:
モリブデン系及び亜鉛系化合物(モリブデンジチオフォスフェート、モリブデンジチオカーバメート及びジンクジアルキルジチオフォスフェート等)等;
(6)極圧剤:
硫黄系化合物(モノ又はジスルフィド、スルフォキシド及び硫黄フォスファイド化合物)、フォスファイド化合物及び塩素系化合物(塩素化パラフィン等)等;
(7)消泡剤:
シリコン油、金属石けん、脂肪酸エステル及びフォスフェート化合物等;
(8)抗乳化剤:
4級アンモニウム塩(テトラアルキルアンモニウム塩等)、硫酸化油及びフォスフェート(ポリオキシエチレン含有非イオン性界面活性剤のフォスフェート等)等;
(9)腐食防止剤:
窒素原子含有化合物(ベンゾトリアゾール及び1,3,4−チオジアゾリル−2,5−ビスジアルキルジチオカーバメート等)等。
【実施例】
【0075】
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0076】
<製造例1>片末端水酸基含有(共)重合体の製造
反応装置にn−ヘキサン330重量部を仕込み、−40℃に冷却した。これにsec−ブチルリチウムのシクロヘキサン溶液(濃度は10.6質量%)28重量部を添加し、次いで−78℃で液化したブタジエン84重量部、2時間撹拌した、ついでのテトラヒドロフラン(THF)18重量部を添加し、−20℃で30分間、攪拌した。さらに1.5時間後に酸化エチレン(1.1mol/l、THF溶液)125重量部を添加した。反応液を室温まで昇温し、40分攪拌した後、メタノール122重量部を添加した。
この溶液を300重量部の0.3質量%塩酸で2回洗浄し、続いて300重量部の純水で2回洗浄した。有機層に11重量部の無水硫酸マグネシウムを加え、30分間、静置した。ろ過操作を行い、ろ液を濃縮し、溶媒を留去した後、既知の水添処理することで89重量部の高粘稠の片末端水酸基含有(共)重合体(Y1−1)を得た。
得られた樹脂の物性値は以下のとおりであった。
1,2−ブチレン基の合計比率68モル%
Mn=5,800、Mw/Mn=1.07
【0077】
<製造例2>
製造例1において、sec−ブチルリチウムのシクロヘキサン溶液(濃度は10.6質量%)28重量部を、t−ブトキシカリウムのTHF溶液(t−ブトキシカリウムの濃度は7.5質量%、添加量はn−ブチルリチウムの2倍モル)80重量部に変更した以外は同様の操作で片末端水酸基含有(共)重合体(Y2−2)を得た。
得られた樹脂の物性値は以下のとおりであった。
イソブチレン基及び1,2−ブチレン基の合計比率50モル%
Mn=7,300、Mw/Mn=1.19
【0078】
<実施例1〜6、比較例1〜2>
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計及び窒素導入管を備えた反応容器に、表2に記載の基油200重量部、表2に記載の単量体配合物100重量部、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.5重量部及び2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)0.2重量部を投入し、窒素置換(気相酸素濃度100ppm)を行った後、密閉下、撹拌しながら76℃に昇温し、同温度で4時間重合反応を行った。120〜130℃に昇温後、同温度で減圧下(0.027〜0.040MPa)未反応の単量体を2時間かけて除去し、表2の濃度になるように表2記載の基油で希釈した共重合体(A1)〜(A6)、(H1)〜(H2)を含有する粘度指数向上剤組成物(R1)〜(R6)、(S1)〜(S2)を得た。得られた共重合体(A1)〜(A6)、(H1)〜(H2)のSP値を上記の方法で計算し、Mwを上記の方法で測定した。また、40℃、80℃及び100℃における粘度指数向上剤組成物の動粘度を測定(JIS−K2283)し、V1、V2を計算した。共重合体の基油溶解性を以下の方法で評価した。結果を表2に示す。
【0079】
<共重合体の基油溶解性の評価方法>
粘度指数向上剤組成物(R1)〜(R6)、(S1)〜(S2)の外観を目視で観察し、以下の評価基準で基油溶解性を評価した。
[評価基準]
○:外観が均一であり、共重合体の不溶解物がない
×:外観が不均一であり、共重合体の不溶解物が認められる
【0080】
<大気温下での取り扱い(ハンドリング性)の評価方法>
粘度指数向上剤組成物(R1)〜(R6)、(S1)〜(S2)のハンドリング性を以下の評価基準で評価した。
[評価基準]
良好:大気温度(20℃)下での動粘度(JIS−K2283で測定したもの)が3,000mm/s以下
不可:大気温度(20℃)下での動粘度(JIS−K2283で測定したもの)が3,000mm/sを超える
【0081】
【表2】
【0082】
表2に記載の基油は、以下のとおりである。
基油A:SK製YUBASE4 PLUS、SP値8.10、100℃動粘度4.16mm/s、粘度指数132(APIグループ III+)
基油B:SK製YUBASE6、SP値8.10、100℃動粘度6.3mm/s、粘度指数130(APIグループ III)
基油C:SK製YUBASE2、SP値8.10、100℃動粘度2.54mm/s、粘度指数100(APIグループ II)
【0083】
表2に記載の単量体(a)〜(g)の組成は、以下に記載した通りである。
(a−1):(Y1−1)のメタクリル酸エステル化物
(b−1):メタクリル酸2−n−デシルテトラデシル
(c−1):メタクリル酸2−ブトキシエチル
(c−2):メタクリル酸2−エトキシエチル
(d−1):メタクリル酸ブチル
(d−2):メタクリル酸メチル
(e−1):メタクリル酸n−ドデシル
(e−2):メタクリル酸n−テトラデシル
(e−3):メタクリル酸n−ヘキサデシル
【0084】
<実施例7〜12、比較例3〜4>
撹拌装置を備えたステンレス製容器に、基油Aを投入し、150℃のHTHS粘度が2.60±0.05(mm/s)になるように、粘度指数向上剤組成物(R1)〜(R6)、(S1)〜(S2)をそれぞれ添加し、潤滑油組成物(T1)〜(T6)、(W1)〜(W2)を得た。
潤滑油組成物(T1)〜(T6)、(W1)〜(W2)の剪断安定性、HTHS粘度(80℃及び100℃)、低温粘度(−40℃)を以下の方法で測定した。また、40℃及び100℃における粘度指数向上剤組成物の動粘度を測定(JIS−K2283)し、粘度指数を計算した。結果を表3に示す。
【0085】
<潤滑油組成物の剪断安定性の測定方法及び計算方法>
ASTM D 6278の方法で測定し、ASTM D 6022の方法で計算した。
【0086】
<潤滑油組成物のHTHS粘度の測定方法>
ASTM D 5481の方法により、80℃、100℃で測定した。
【0087】
<潤滑油組成物の低温粘度及び降伏応力の測定方法>
ASTM D 4684の方法で−40℃での粘度及び降伏応力を測定した。ここで降伏応力35Pa以下であることが、降伏応力無きことを示す。なお、N.Dは測定できなかったことを示す。
【0088】
【表3】
【0089】
表3の結果から明らかなように、本発明の粘度指数向上剤を含有してなる潤滑油組成物(実施例7〜12)は、剪断安定性に優れ、かつ実効温度域でのHTHS粘度が低く、低温粘度が低い。一方で、比較例3の潤滑油組成物は、低温粘度が劣る。比較例4の潤滑油組成物は、実効温度域でのHTHS粘度が劣る。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明の粘度指数向上剤を含有してなる潤滑油組成物は、駆動系潤滑油(MTF、デファレンシャルギヤ油、ATF及びbelt−CVTF等)、作動油(機械の作動油、パワーステアリング油及びショックアブソーバー油等)、エンジン油(ガソリン用及びディーゼル用等)及びトラクション油として好適である。