特許第6703455号(P6703455)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6703455
(24)【登録日】2020年5月12日
(45)【発行日】2020年6月3日
(54)【発明の名称】チャック
(51)【国際特許分類】
   B23B 31/173 20060101AFI20200525BHJP
   B23B 31/12 20060101ALI20200525BHJP
【FI】
   B23B31/173 Z
   B23B31/12 E
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-149308(P2016-149308)
(22)【出願日】2016年7月29日
(65)【公開番号】特開2018-15851(P2018-15851A)
(43)【公開日】2018年2月1日
【審査請求日】2019年6月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】506249772
【氏名又は名称】石井 祥友
(73)【特許権者】
【識別番号】592110602
【氏名又は名称】株式会社九州工具製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100077470
【弁理士】
【氏名又は名称】玉利 冨二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100067116
【弁理士】
【氏名又は名称】立川 登紀雄
(72)【発明者】
【氏名】石井 祥友
(72)【発明者】
【氏名】石井 政人
(72)【発明者】
【氏名】溝口 靖
【審査官】 中里 翔平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−188579(JP,A)
【文献】 特開平7−266112(JP,A)
【文献】 米国特許第3926446(US,A)
【文献】 実開昭59−136210(JP,U)
【文献】 特開平5−253713(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23B 31/173
B23B 31/12
B23B 31/16
B23B 31/177
B23Q 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
工作機械の回転主軸の前端取付座に取付手段を介し着脱自在に支持したチャック本体と、このチャック本体内に設けた中空室と、この中空室内に前後方向に往復スライドするように組み込んだピストンと、上記中空室の上記ピストンの後方室に連通して圧入エアーにより前記ピストンを前方にスライドさせるように設けた第1エアー流入通路と、上記中空室の上記ピストンの前方室に連通して圧入エアーにより前記ピストンを後方にスライドさせるように設けた第2エアー流入通路と、上記中空室の前端面と上記チャック本体の前端面とが連通すると共に、前記チャック本体の軸芯の周りの少なくとも三等分位置で、かつ前方に登り勾配になるように設けた透孔と、この各透孔にエアー漏れ防止及び回転阻止手段を施してスライド自在に貫通したロッドと、上記ピストンのスライドを上記ロッドに伝達するように前記ピストンの前端と前記ロッドの末端とに設けた係合伝達手段と、上記各ロッドの先端から前方に突出させてワークの外周をクランプするように設けたワークの外掴み爪とからなることを特徴とするチャック。
【請求項2】
工作機械の回転主軸の前端取付座に取付手段を介し着脱自在に支持したチャック本体と、このチャック本体内に設けた中空室と、この中空室内に前後方向に往復スライドするように組み込んだピストンと、上記中空室の上記ピストンの後方室に連通して圧入エアーにより前記ピストンを前方にスライドさせるように設けた第1エアー流入通路と、上記中空室の上記ピストンの前方室に連通して圧入エアーにより前記ピストンを後方にスライドさせるように設けた第2エアー流入通路と、上記中空室の前端面と上記チャック本体の前端面とが連通すると共に、前記チャック本体の軸芯の周りの少なくとも三等分位置で、かつ前方に下り勾配になるように設けた透孔と、この各透孔にエアー漏れ防止及び回転阻止手段を施してスライド自在に貫通したロッドと、上記ピストンのスライドを上記ロッドに伝達するように前記ピストンの前端と前記ロッドの末端とに設けた係合伝達手段と、上記各ロッドの先端から前方に突出させてワークの内周を掴むように設けたワークの内掴み爪とからなることを特徴とするチャック。
【請求項3】
前記ピストンの後退方向のエアーの圧入が何らかの要因によりストップすると、中空室内に後退方向にピストンを押し戻す弾性部材を組み込んだことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のチャック。
【請求項4】
前記各ロッドの先端から前方に突出内径支承面と外掴み爪の掴み面との距離がそれぞれ同一になる支承突部を設けて、この支承突部で外径が同心円の成形治具を抱き込むようにしたことを特徴とする請求項1に記載のチャック。
【請求項5】
前記各ロッドの先端から前方に突出外径支承面と内掴み爪の掴み面との距離がそれぞれ同一になる支承突部を設けて、この支承突部で内径が同心円の成形治具を保持するようにしたことを特徴とする請求項2に記載のチャック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、工作機械に使用するチャックに関する。
【背景技術】
【0002】
旋盤などの工作機械の主軸に取り付けて使用すると共に、前後方向のスライド運動によって軸芯周りの複数の傾斜孔のガイドによりマスタージョウ(シャフト)をスライドさせて、このマスタージョウの爪を拡径方向、縮径方向に移動することで、ワークを掴むようにした構成は、既に知られている(例えば、特許文献1,2,3及び4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5524034号公報
【特許文献2】特許第5769495号公報
【特許文献3】特開2015−66655号公報
【特許文献4】特開平5−253713号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1,2及び3の構成は、いずれもドローバー方式で、この発明のシリンダ方式とは基本的に全く異なる。すなわち、各部の構成が相違する。
【0005】
次に、特許文献4の構成は、機械主軸の後端に回転流体圧シリンダー(ドローバー)を取り付ける必要があるので、大型化すると共に、高価で、かつ交換などはできない。
【0006】
また、油圧のため、力が強すぎ、かつ圧力調整が大変難しい問題があると共に、ワークの変更などによりチャック交換変更には、大変大掛かりで、かつ時間もかかるため不向きとなる問題があった。
【0007】
さらには、特許文献4の回転流体圧シリンダ部とチャック部の交換は、ワークが多種少数であれば対応しずらいため、専用機的な設備しか利用できないことになり、応用範囲が狭まる問題もあった。
そこで、この発明は、上述の問題を解消したチャックを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、この発明は、工作機械の回転主軸の前端取付座に取付手段を介し着脱自在に支持したチャック本体と、このチャック本体内に設けた中空室と、この中空室内に前後方向に往復スライドするように組み込んだピストンと、上記中空室の上記ピストンの後方室に連通して圧入エアーにより前記ピストンを前方にスライドさせるように設けた第1エアー流入通路と、上記中空室の上記ピストンの前方室に連通して圧入エアーにより前記ピストンを後方にスライドさせるように設けた第2エアー流入通路と、上記中空室の前端面と上記チャック本体の前端面とが連通すると共に、前記チャック本体の軸芯の周りの少なくとも三等分位置で、かつ前方に登り勾配になるように設けた透孔と、この各透孔にエアー漏れ防止及び回転阻止手段を施してスライド自在に貫通したロッドと、上記ピストンのスライドを上記ロッドに伝達するように前記ピストンの前端と前記ロッドの末端とに設けた係合伝達手段と、上記各ロッドの先端から前方に突出させてワークの外周をクランプするように設けたワークの外掴み爪とからなる構成を採用する。
【0009】
また、工作機械の回転主軸の前端取付座に取付手段を介し着脱自在に支持したチャック本体と、このチャック本体内に設けた中空室と、この中空室内に前後方向に往復スライドするように組み込んだピストンと、上記中空室の上記ピストンの後方室に連通して圧入エアーにより前記ピストンを前方にスライドさせるように設けた第1エアー流入通路と、上記中空室の上記ピストンの前方室に連通して圧入エアーにより前記ピストンを後方にスライドさせるように設けた第2エアー流入通路と、上記中空室の前端面と上記チャック本体の前端面とが連通すると共に、前記チャック本体の軸芯の周りの少なくとも三等分位置で、かつ前方に下り勾配になるように設けた透孔と、この各透孔にエアー漏れ防止及び回転阻止手段を施してスライド自在に貫通したロッドと、上記ピストンのスライドを上記ロッドに伝達するように前記ピストンの前端と前記ロッドの末端とに設けた係合伝達手段と、上記各ロッドの先端から前方に突出させてワークの内周を掴むように設けたワークの内掴み爪とからなる構成を採用する。
【0010】
さらに、ピストンの後退方向のエアーの圧入が何らかの要因によりストップすると、中空室内に後退方向にピストンを押し戻す弾性部材を組み込んだ安全機構としての構成を採用する。
【0011】
また、各ロッドの先端から前方に突出内径支承面と外掴み爪の掴み面との距離がそれぞれ同一になる支承突部を設けて、この支承突部で外径が同心円の成形治具を抱き込むようにした構成を採用する。
【0012】
さらに、各ロッドの先端から前方に突出外径支承面と内掴み爪の掴み面との距離がそれぞれ同一になる支承突部を設けて、この支承突部で内径が同心円の成形治具を保持するようにした構成を採用する。
【発明の効果】
【0013】
以上のように、この発明のチャックによれば、第2エアー流入通路からエアーを圧入して後方にピストンをスライドすることで、係合伝達手段を介し連結された各ロッドを後方にスライドさせる。
【0014】
すると、前方に登り勾配の各透孔により各ロッドの先端が中心方向に(縮径方向)に移動し、この移動にともない各ロッドの先端の外掴み爪が中心方向に引き寄せられ、この引き寄せにともないワークの外周を外掴み爪でクランプすることができる。
【0015】
このため、エアー圧の調整が容易で、ワークの保持力、切削条件などを自由に変更可能になると共に、シンプルなため故障しにくいなどの利点以外に、周知の機構が主軸の後端に回転流体圧シリンダ(ドローバ)を取り付ける方式のためによる大型で、かつ高価になる以外に交換できない不都合や、油圧のため、力が強すぎ、かつ圧力調整が大変難しいといった問題をなくすることができる特有の効果がある。
【0016】
また、第2エアー流入通路からエアーを圧入して後方にピストンをスライドすることで、係合伝達手段を介し連結された各ロッドを後方にスライドさせる。
【0017】
すると、前方に下り勾配の各透孔により各ロッドの先端が中心の反対方向に(拡径方向)に移動し、この移動にともない各ロッドの先端内掴み爪が中心の反対方向に移動し、この移動にともないワークの内周を内掴み爪でクランプすることができるので、前述の外掴み爪と同様な特有の効果がある。
【0018】
そして、外掴み方式と内掴み方式との変換に際しても、回転主軸の前端取付座に対し取付手段を介し取り付けてあるチャック本体を交換するのみで、極めて簡単、迅速にでき、かつ機構への稼働率を低下させることがない。
【0019】
さらに、外掴み方式や内掴み方式のチャックのピストンに中空室内の後方に(ピストンを)押し戻す押圧用弾性部材を組み込んであるので、停電その他の何らかの要因によりエアー圧が低下、作用しなくなると、弾性部材の弾力でピストンを後方室に向け押し戻す。
【0020】
このため、ワークのクランプ状態を維持して、ワークの損傷やワーク加工側のトラブルの発生原因などをなくする特有の効果がある。
【0021】
また、外掴み爪の支承突部で外径が同心円の成形治具を抱き込み、内掴み爪の支承突部で内径が同心円の成形治具を抱き込むようにしてあるので、使用する成形治具により外掴み爪や内掴み爪を定位置かつ、それぞれ(爪)を均一な位置に拘束することができる。
このため、研磨や切削による修正作業を能率よくかつ正確に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】この発明の第1の実施形態を示す全体の側面図である。
図2】同上の要部を示す縦断拡大側面図である。
図3】同上の正面図である。
図4】同上の縦断拡大正面図である。
図5】ワークのクランプ解除を示す縦断拡大側面図である。
図6】第2の実施形態の要部を示す縦断拡大側面図である。
図7】同上の正面図である。
図8】外掴み爪の仕上げ加工及び修正の実施例を示す縦断拡大側面図である。
図9】内掴み爪の仕上げ加工及び修正の実施例を示す縦断拡大側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
次に、この発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
第1の実施形態の図1から図4に示すチャックは、図1及び図2に示すように、工作機械Xの回転主軸Y(エアーチューブ)の前端取付座Zに取付手段Aを介しチャック本体B1を着脱自在に取り付ける。
【0024】
上記の取付手段Aによる取り付けは、図1に示すように、取付座Zにチャック本体B1の末端の端板1を重ねて、端板1の孔2に挿入したボルト3を、取付座Zのネジ穴4にねじ込んで行う。
【0025】
また、チャック本体B1内に中空室5を設けて、この中空室5内には、前後方向に往復スライドするピストン6が組み込んである。
【0026】
さらに、中空室5のピストン6の後方室7には、前方にピストン6をスライドさせる第1エアー流入通路8が、中空室5のピストン6の前方室9には、後方にピストン6をスライドさせる第2エアー流入通路10がそれぞれ設けてある。
【0027】
上記の第1エアー流入通路8及び第2エアー流入通路10には、周知の方式(図1参照)の工作機械Xの後側無回転ジャーナル部11の各流入口12からのエアーの供給を受け、この供給を受けたエアーを流入口12に接続されたチューブ(図示省略)を中空の回転主軸Y内を通して、第1エアー流入通路8、第2エアー流入通路10に接続してエアーの供給を受けるようになっている。
【0028】
また、中空室5の前端面とチャック本体B1の前端面とが連通すると共に、チャック本体B1の軸芯の周りの少なくとも三等分位置で、かつ前方(チャック本体B1の前端面に向け)に登り勾配の透孔13を設け、この各透孔13には、エアー漏れ防止及び回転阻止手段を施したスライド自在のロッド14が貫通させてある。
【0029】
上記エアー漏れ防止手段としては、図示の場合、ロッド14の外周面に設けてある環状溝15にOリング16を嵌め込み、回転阻止手段としては、図示の場合、ロッド14の周面軸線方向の長溝17にチャック本体B1の外周面からねじ込んだビス18の先端を嵌入させて目的を達成した。
【0030】
さらに、ピストン6のスライドにともない、ロッド14もスライドするように係合伝達手段Cを介し伝達するようにしてある。
【0031】
上記の係合伝達手段Cとしては、図示の場合、ピストン6に設けた凸部19を、ロッド14の末端側周面に設けてある凹部20に嵌め込んで係合させたが、限定されない。
【0032】
また、各ロッド14の先端には、それぞれが中心方向に突出してワークWの外周面を掴む外掴み爪21が設けてある。
【0033】
図中22は、各ロッド14の先端に外掴み爪21を固定する取付具、23は、チャック本体B1の前端面中心にボルト24により取り付けるストッパで、このストッパ23は、外掴み爪21によりクランプするワークWの正確な停止位置を決めるようになる。
【0034】
上記のように構成すると、ストッパ23に端面が当接するようにワークWを供給する。
この状況下で、第2エアー流入通路10から前方室9内にエアーを圧入すると、各ロッド14が後方にスライドする。
【0035】
このスライドにともない透孔13の勾配により各ロッド14の先端が中心方向に移動し、この中心方向の移動により中心方向に移動する外掴み爪21でワークWの外周をクランプする。
【0036】
なお、ワークWのクランプを解除するには、第1エアー流入通路8から中空室5の後方室7にエアーを圧入すればよい。
【0037】
上記エアーの圧入にともないピストン6と共に各ロッド14を前方にスライドし、このスライドにともない透孔13の勾配で各ロッド14の先端が外方向に移動し、この移動により図5に示すようにワークWの外周面に対し外掴み爪21が離反する。
【0038】
次に、第2の実施形態を図6、7に基づいて説明する。
第1の実施形態の図1と同様に、工作機械Xの回転主軸Yの前端取付座Zに取付手段Aを介しチャック本体B2を着脱自在に取り付ける。
【0039】
図6に示す第2実施形態では、図1に示す第1実施形態の工作機械X、回転主軸Y及び取付手段Aを介し取り付ける取付座Zと同様につき図示省略し、取付手段Aの構成及び取付方法についても同様につき詳細な説明を省略する。
【0040】
上記チャック本体B2には、第1の実施形態と同様の内部に中空室5を設けて、この中空室5に前後方向にスライドするピストン6を組み込み、中空室5のピストン6の後方室7には、前方にピストン6をスライドさせる第1エアー流入通路8が、中空室5のピストン6の前方室9には、後方にピストン6をスライドさせる第2エアー流入通路10がそれぞれ接続してある。
【0041】
上記第1エアー流入通路8及び第2エアー流入通路10へのエアーの供給方式の構成は、第1の実施形態と同様につき詳細な説明を省略する。
【0042】
また、チャック本体B2の中空室5の前端面とチャック本体B2の前端面とが連通すると共に、チャック本体B2の軸芯の周りの少なくとも三等分位置で、かつ前方(チャック本体B2の前端面に向け)に下り勾配の透孔31を設け、この各透孔31には、エアー漏れ防止及び回転阻止手段を施したスライド自在なロッド32が貫通させてある。
【0043】
上記のエアー漏れ防止手段及び回転防止手段は、第1の実施形態と同様につき詳細な説明を省略する。
【0044】
さらに、ピストン6のスライドにともない各ロッド32もスライドするように係合伝達手段Cを介し伝達するようにしてある。
上記の係合伝達手段Cは、第1の実施形態と同様につき詳細な説明を省略する。
【0045】
また、各ロッド32の先端には、ストッパ23に当接するように供給したワークWの内周を内掴みする内掴み爪33が設けてある。
【0046】
上記の内掴み爪33は、第1の実施形態の外掴み爪21と同様に、ロッド32に締付具22を介し内掴み爪33を取り付けてある。
【0047】
そして、内掴み爪33は、ワークWの内周を掴むため、図6に示すように、ロッド32に取り付けたベース部の各中心方向内端から前方に水平の掴み部を突出させてL型の形状になっている。
【0048】
上記のように構成すると、ストッパ23に端面が当接するようにワークWを供給する。
この状況下で第2エアー流入通路10から前方室9内にエアーを圧入すると、各ロッド32が後方にスライドする。
【0049】
このスライドにともない透孔31の勾配により、各ロッド32の先端が外周(外径)方向に移動し、この外周(外径)方向の移動により外周(外径)方向に移動する内掴み爪33でワークWの内周をクランプする。
【0050】
なお、ワークWのクランプを解除するには、第1エアー流入通路8から中空室5の後方室7にエアーを圧入すればよい。
【0051】
この圧入にともない、ピストン6と共に各ロッド32が前方にスライドし、このスライドにともない各内掴み爪33が中心方向に移動するので、解除できる。
【0052】
次に、第3の実施形態を図2、5、6に基づいて説明する。
ピストン6の後退方向のエアーの圧入(第2エアー流入通路10からのエアー圧入)が何らかの要因(例えばポンプの運転中の停電やエアー回路の損傷などによる)によりストップすると、安全機構として、後方室7の方向にピストン6を常に押し戻すように、中空室5に弾性部材41を組み込む。
【0053】
上記の弾性部材41としては、図示の場合、中空室5の前端壁(前方室9側)に末端を支持させた突軸42にコイルバネの一端部を嵌装して支持すると共に、ピストン6の前方室9側端面にコイルバネの他端を当接したが、限定されず、例えば軸状のゴム材などを使用して目的を達成することもある。
なお、弾性部材41は、図示の場合、複数の点在位置に配置しておく。
【0054】
上記のように構成すると、各ロッド14、32の後退圧力の作用が何らかの影響で働かなくなると、弾性部材41の弾性がピストン6に作用して、後方室7側にピストン6を押し戻し続ける。
【0055】
このため、ワークWに対する内掴み爪33、外掴み爪21によるクランプを維持(持続)する。
【0056】
次に、第4の実施形態を図8に基づいて説明する。
図8に示すように、各ロッド14の先端から前方に突出して、内径側の支承面51と外掴み爪21の掴み面との(チャック本体B1の中心との)距離が同一になる支承突部52を設けておく。
【0057】
この各支承突部52の内側に内径が同心円の外爪用の成形治具53を嵌め込み(図8参照)、その後にピストン6に作用させるエアー圧により各ロッド14を後退させながら、成形治具53の外径を支承突部52でクランプする。
しかして、各内掴み爪21の掴み面を研磨や切削加工して、成形(修正)する。
【0058】
次に、第5の実施形態を図9に基づいて説明する。
図9に示すように、各ロッド32の先端から前方に突出して、外径側の支承面54と内掴み爪33の掴み面との(チャック本体B2の中心との)距離が均一になる支承突部55を設けておく。
【0059】
この支承突部55の外径に内径が同心円の内爪用の成形治具56を嵌め込み(図9参照)、その後にピストン6に作用させるエアー圧により各ロッド32を後退させながら、成形治具56の内径を支承面54でクランプする。
しかして、各外掴み爪33の掴み面を研磨や切削加工して成形(修正)する。
【符号の説明】
【0060】
X 工作機械
Y 回転主軸
Z 取付座
A 取付手段
B1,B2 チャック本体
C 係合伝達手段
W ワーク
1 端板
2 孔
3 ボルト
4 ネジ孔
5 中空室
6 ピストン
7 後方室
8 第1エアー流入通路
9 前方室
10 第2エアー流入通路
11 ジャーナル部
12 流入口
13 透孔
14 ロッド
15 環状溝
16 Oリング
17 長溝
18 ビス
19 凸部
20 凹部
21 外掴み爪
22 取付具
23 ストッパ
24 ボルト
31 透孔
32 ロッド
33 内掴み爪
41 弾性部材
42 突軸
51 支承面
52 支承突部
53 成形治具
54 支承面
55 支承突部
56 成形治具
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9