特許第6703464号(P6703464)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 青森宝栄工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6703464-取手付き収納ケース 図000002
  • 特許6703464-取手付き収納ケース 図000003
  • 特許6703464-取手付き収納ケース 図000004
  • 特許6703464-取手付き収納ケース 図000005
  • 特許6703464-取手付き収納ケース 図000006
  • 特許6703464-取手付き収納ケース 図000007
  • 特許6703464-取手付き収納ケース 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6703464
(24)【登録日】2020年5月12日
(45)【発行日】2020年6月3日
(54)【発明の名称】取手付き収納ケース
(51)【国際特許分類】
   A45C 13/22 20060101AFI20200525BHJP
   A45C 13/26 20060101ALI20200525BHJP
   A01K 97/08 20060101ALN20200525BHJP
   B65D 25/28 20060101ALN20200525BHJP
【FI】
   A45C13/22 B
   A45C13/26 K
   !A01K97/08
   !B65D25/28 105A
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-180217(P2016-180217)
(22)【出願日】2016年9月15日
(65)【公開番号】特開2018-42777(P2018-42777A)
(43)【公開日】2018年3月22日
【審査請求日】2019年4月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】501109769
【氏名又は名称】青森宝栄工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100060759
【弁理士】
【氏名又は名称】竹沢 荘一
(74)【代理人】
【識別番号】100087893
【弁理士】
【氏名又は名称】中馬 典嗣
(72)【発明者】
【氏名】和田 信一郎
【審査官】 高田 基史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−315489(JP,A)
【文献】 特開2008−006004(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45C 1/00−15/08
A45F 3/00− 3/12
A01K 97/08
B65D 25/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を収容するケース本体と、
前記ケース本体の外面に設けた互いに平行をなす1対のガイドレールと、
前記両ガイドレールに、その長手方向に摺動可能として装着され、かつ前記ケース本体の外面に対向する面に、前記長手方向に延びる凹溝が設けられた1対のスライド片と、
把持部の両端に弾性帯板部が連設され、この弾性帯板部が前記ケース本体の外面に接触するようにして、前記各スライド片の凹溝を摺動可能として挿通し、かつ前記弾性帯板部の外端部に、前記スライド片の凹溝からの抜け止め用の突部が設けられた取手と、
前記両スライド片間であって、前記取手の把持部とそれに対向する前記ケース本体の外面との間において、前記両ガイドレールに、その長手方向に摺動可能として装着され、かつ前記取手の把持部を前記ケース本体から離れる方向に引き出したとき、両端部が前記取手の弾性帯板部の内面に当接して、前記取手の両端部の互いに近接する方向への移動を阻止するスペーサ
とを備えることを特徴とする取手付き収納ケース。
【請求項2】
前記両ガイドレールの断面形状を、互いに対向する鉤形とし、かつ前記各スライド片の断面形状を、前記凹溝を形成するコ字形部の開口縁部に、前記両ガイドレールの鉤形部分に係合する外向き係合片を連設したものとした請求項記載の取手付き収納ケース。
【請求項3】
前記ケース本体の複数の側面に、前記1対のガイドレールをそれぞれ設け、そのいずれの側面における両ガイドレールにも、前記1対のスライド片と取手とスペーサとを、選択的に装着可能としたことを特徴とする請求項または記載の取手付き収納ケース。
【請求項4】
前記ケース本体を、長尺物を収容しうる横長の筒状に形成し、前記ケース本体の長手側の外面に、前記ガイドレールを、前記外面の長手方向に向けて設けたことを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の取手付き収納ケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、取手付き収納ケースに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の取手付き収納ケースには、取手が、不使用時にはケースの外面に近い位置か、またはケースの外面に設けた凹溝内に埋没する位置に収容され、使用時には、取手を、上記位置からケースより離れる方向に引き出して使用するようにしたものがある(例えば特許文献1〜3参照)。
また、例えば釣竿等の長尺物を収容する収納ケースにおいては、ショルダーベルトを肩に掛け、ケースを上下方向に向けて持ち歩くようになっている(例えば特許文献4または5参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第2751487号公報
【特許文献2】特許第5782491号公報
【特許文献3】特公平7−20445号公報
【特許文献4】特開2000−270743号公報
【特許文献5】特開2006−158355号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1〜3に記載されている取手付き収納ケースは、取手の両端部を支持する金具がケースに固着されているため、ケースに対する取手の取付位置を、運搬時の状況に応じて変更することはできず、また、特許文献4および5に記載されている釣竿収納ケースにおいても、ケースに対するショルダーベルトの取付位置を、運搬時の状況に応じて変更することはできない。
そのため、特許文献4および5に記載されている釣竿収納ケースにおいては、ケースを水平にして運搬する際に、ショルダーベルトを手に持たざるを得ず、そのようにすると、ケースの両端部が上下に揺動し、安定性が悪いという問題がある。
【0005】
本発明は、従来の技術が有する上記のような問題点に鑑みてなされたもので、ケース本体に対する取手の取付位置を、運搬時の状況に応じて変更しうるようにした取手付き収納ケースを提供することを目的としている。
また、本発明は、取手の不使用時には、取手をケース本体に近接する位置に保持しておくことができ、取手の使用時に、取手をケース本体から離れる方向に引き出すと、取手の取付位置の移動が阻止されるようにした、取手付き収納ケースを提供することをも目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)物品を収容するケース本体と、前記ケース本体の外面に設けた互いに平行をなす1対のガイドレールと、前記両ガイドレールに、その長手方向に摺動可能として装着され、かつ前記ケース本体の外面に対向する面に、前記長手方向に延びる凹溝が設けられた1対のスライド片と、把持部の両端に弾性帯板部が連設され、この弾性帯板部が前記ケース本体の外面に接触するようにして、前記各スライド片の凹溝を摺動可能として挿通し、かつ前記弾性帯板部の外端部に、前記スライド片の凹溝からの抜け止め用の突部が設けられた取手と、前記両スライド片間であって、前記取手の把持部とそれに対向する前記ケース本体の外面との間において、前記両ガイドレールに、その長手方向に摺動可能として装着され、かつ前記取手の把持部を前記ケース本体から離れる方向に引き出したとき、両端部が前記取手の弾性帯板部の内面に当接して、前記取手の両端部の互いに近接する方向への移動を阻止するスペーサとを備えるものとする。
【0009】
このような構成によると、ケース本体に対する取手の取付位置を、運搬時の状況に応じて、都合のいい位置に適宜変更することができるだけでなく、取手の不使用時には、取手の把持部をケース本体に近接する位置に保持しておくことができ、取手の使用時に、取手をケース本体から離れる方向に引き出すと、スペーサの両端が取手の弾性帯板部の内面に当接し、かつ弾性帯板部がケース本体の外面に圧接して、取手の取付位置の移動が阻止されるようにすることができる。
したがって、取手を持って収納ケースを運搬している途中で、取手の取付位置が不意に変動して、収納ケースの重量バランスが崩れるおそれをなくすことができる。
【0010】
(2)上記(1)項において、前記両ガイドレールの断面形状を、互いに対向する鉤形とし、かつ前記各スライド片の断面形状を、前記凹溝を形成するコ字形部の両側部に、前記両ガイドレールの鉤形部分に係合する外向き係合片を連設したものとする。
【0011】
このような構成によると、ガイドレールおよびスライド片の構造を簡素化し、製造コストを低減させることができる。
【0012】
(3)上記(1)または(2)項において、前記ケース本体の複数の面に、前記1対のガイドレールをそれぞれ設け、そのいずれの面における両ガイドレールにも、前記1対のスライド片と取手とスペーサとを、選択的に装着可能とする。
【0013】
このような構成によると、取手の取付位置を、ガイドレールの長手方向に沿う位置に変更できるだけでなく、取手を取付けるケース本体の面をも選択することができ、取手の取付態様を多様化させて、収納ケースの汎用性を高めることができる。
また、ケース本体の複数の面に設けたガイドレールが、ケース本体の各面を補強する補強材として作用し、取手を装着しないガイドレールであっても、ケース本体の強度の向上に寄与させることができる。
さらに、取手を装着しないガイドレールに、例えば、収納ケースを車両のルーフに取付けるための金具や、ショルダーベルト用の金具、または他の目的のための付属部品等を装着することができる。
【0014】
(4)上記(1)(3)項のいずれかにおいて、前記ケース本体を、長尺物を収容しうる横長の筒状に形成し、前記ケース本体の長手側の外面に、前記ガイドレールを、前記外面の長手方向に向けて設ける。
【0015】
このような構成によると、収納ケースを水平にして運搬する際には、取手を、長尺物を収容した収納ケースの全体の重心位置に近い位置に装着し、収納ケースを上下方向に向けて持ち歩く際には、取手を、長尺物を収容した収納ケースの全体の重心位置から離れた位置に装着し、その重心が取手の下方に位置するようにすることができ、取手の位置を、運搬時の態様に応じた適切な位置に変更することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によると、ケース本体に対する取手の取付位置を、運搬時の状況に応じて変更しうるようにした取手付き収納ケースを提供することができる。
また、取手の不使用時には、取手をケース本体に近接する位置に保持しておくことができ、取手の使用時に、取手をケース本体から離れる方向に引き出すと、取手の取付位置の移動が阻止されるようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の取手付き収納ケースの第1の実施形態の正面図である。
図2】同じく、平面図である。
図3図2のIII−III線における縦断正面図である。
図4図3のIV−IV線における縦断側面図である。
図5図3のV−V線における縦断側面図である。
図6図3の状態から、取手を上方に引き上げ、左方の係止片を係合ピンから上方に外し、かつ右方の蓋体を下方に開いた状態を示す、図3と同様の縦断正面図である。
図7】本発明の取手付き収納ケースの第2の実施形態における、図4と同様の部分の縦断側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の取手付き収納ケースの第1の実施形態を、図1図6を参照して説明する。
この取手付き収納ケースは、金属または硬質合成樹脂材料等により、左右の両端が開口する角筒状に形成され、かつ釣竿等の長尺物(図示略)を収容しうる左右方向を向くケース本体1と、このケース本体1の上面に設けられた取手装置2と、ケース本体1の左右の端部に設けられた蓋体装置3、3とを備えている。
【0019】
ケース本体1の上面には、互いに平行をなして左右方向を向く前後1対のガイドレール4、4が設けられている。
前後のガイドレール4、4は、図4に示すように、ケース本体1の前後の縁より起立する起立片4a、4aと、その上端より互いに対向する方向を向く折曲片4b、4bとからなる、互いに対向する鉤形の断面形状をなしている。
【0020】
取手装置2は、前後のガイドレール4、4に、その長手方向に摺動可能として装着され、かつケース本体1の上面に対向する下面に、左右方向を向く凹溝5aが設けられた左右1対のスライド片5、5と、左右方向を向く把持部6aの両端に弾性帯板部6b、6bが連設され、この弾性帯板部6b、6bがケース本体1の上面に接触するようにして、上記各スライド片5の凹溝5aを左右方向に摺動可能として挿通し、かつ両弾性帯板部6b、6bの外端部に、スライド片5の凹溝5aからの抜け止め用の上向きの突部6c、6cが設けられた取手6と、両スライド片5、5間であって、かつ取手6の把持部6aの下面とそれに対向するケース本体1の上面との間において、両ガイドレール4、4に、その長手方向に摺動可能として装着されたスペーサ7とを備えている。
【0021】
各スライド片5は金属板よりなり、その断面形状は、図4に示すように、凹溝5aを形成する下向きコ字形部5bの開口縁部に、両ガイドレール4、4の鉤形部分に係合する、前後方向を向く外向き係合片5c、5cを連設したものとしてある。
【0022】
取手6の把持部6aと弾性帯板部6b、6bと突部6c、6cとは、ゴムまたは軟質合成樹脂材料等により、ほぼ同幅として一体的に形成されている。
把持部6aの下面には、把持部6aを把持し易くするための下向膨出部6dが設けられている。
【0023】
スペーサ7は、図5に示すように、上面が両ガイドレール4の折曲片4b、4bの上面と整合するようにして、それらの間に配設された下向きコ字形部7aと、その開口縁部に、両ガイドレール4、4の鉤形部分に係合する、前後方向を向く外向き係合片7b、7bとからなっている。
スペーサ7の左右方向の長さは、図1図3に示すように、取手6の下向膨出部6dがスペーサ7の上面に当接または近接し、取手6全体がほぼ扁平となった不使用時の状態において、左右のスライド片5、5間の間隔より、取手6の弾性帯板部6bの厚さの2倍を差し引いた寸法より、さらに短くしてある。
【0024】
取手6が不使用時の状態のときは、取手6を左右に移動させることにより、取手6と左右のスライド片5、5とスペーサ7とを、一体として、両ガイドレール4、4に沿って、そのままの状態で左右方向に摺動させることができる(スペーサ7は、若干遅れて摺動することがある)。
したがって、ケース本体1に対する取手6の取付位置を、運搬時の状況に応じて、都合のいい位置に適宜変更することができる。
例えば、ケース本体1を水平にして持ち運ぶときは、取手6を、重心位置であるケース本体1の左右方向のほぼ中央部に位置させて、安定よく提げることができ、また、収納ケースを上下方向に向けて持ち運ぶときは、取手6が重心より上方に位置するように、ケース本体1の長手方向の中央部より一端寄りに位置させて安定よく吊り下げて運ぶことができる。
【0025】
図6に示すように、取手6の把持部6aを把持して、ケース本体1の上面から上方に離れるように引き上げると、左右の弾性帯板部6b、6bが弾性変形しつつ、その外端部同士が、左右のスライド片5、5とともに互いに内方に引き寄せられ、その後、スペーサ7の両端が、互いに引き寄せられた左右の弾性帯板部6b、6bの内面とケース本体1の上面との間に楔入し、その左右の弾性帯板部6b、6bの内面に当接すると、取手6の両端部の互いに近接する方向への移動が阻止されるとともに、スペーサ7の両端に当接した部分から外側の両弾性帯板部6b、6bの下面がケース本体1の上面に圧接させられ、それがブレーキとなって、取手6の取付位置の移動が阻止される。
したがって、取手6を把持して収納ケースを運搬している途中で、取手6の取付位置が不意に変動して、収納ケースの重量バランスが崩れるおそれを防止することができる。
【0026】
左右の蓋体装置3、3は、互いに左右対称の同一構造をなしている。
各蓋体装置3は、ケース本体1の各端部に外嵌したほぼ矩形枠状の縁枠材8と、この縁枠材8の下端部に、前後方向を向く軸9をもって枢着され、かつ縁枠材8の開口を閉塞する閉止位置(図3参照)と上記開口を開放する開放位置(図6の右端部参照)とに回動可能とした蓋体10と、蓋体10の閉止時の上端部に前後方向を向く軸11をもって枢着され、蓋体10が閉止位置に位置している状態で、ケース本体1の上面に近接する係合位置とケース本体1の上面から離れた解放位置とに回動可能であり、かつ先端部に円形の係合孔12が設けられた係止片13と、縁枠材8(またはケース本体1)の上面に突設され、かつ先端に、南京錠(掛け金式錠前)の掛け金(図示略)が挿通可能な通孔14が設けられた球頭部15aを有し、係止片13を係合位置としたとき、球頭部15aが係止片13の係合孔12と弾性係合するようにした係合ピン15とを備えている。
【0027】
蓋体10は、内端部が開口する方形の箱状をなし、その内部には、スポンジ等からなる緩衝材10aが設けられている。
また、蓋体10の開口縁部には、蓋体10の閉止時に、縁枠材8の開口端面に設けた環状溝8aに嵌合する環状突条10bが設けられ、蓋体10の閉止時の密閉性を向上するようにしてある。
【0028】
縁枠材8の上面には、ケース本体1の中央部に向かって突出する突部8bが設けられており、この突部8bを含む縁枠材8の上面と、蓋体10の閉止時の上面とには、前後幅を係止片13の前後幅と同一か、またはそれよりもわずかに大とした凹入段部16、17が設けられている。
縁枠材8の凹入段部16は、上方と外側方とに開口し、その底面16aにおける外側端寄りの部分には、係合ピン15における球頭部15aから下方に向かってなだらかに拡開するテーパー状の軸部15bが立設されている。
また、凹入段部16の底面16aにおける外側端部には、前後方向を向く突縁部18が設けられている。
【0029】
蓋体10の凹入段部17は、上方と左右両側方とに開口し、その凹入段部17の外側端部内において、係止片13の基端部が軸11をもって蓋体10に枢着されている。
図3に示すように、係止片13は、係合位置に位置しているときは、その上面が、縁枠材8の上面および蓋体10の上面とほぼ整合するようにして縁枠材8の凹入段部16と蓋体10の凹入段部17とに嵌合し、凹入段部16の上方開口部の一部と凹入段部17の上方開口部のほぼ全体を閉塞している。
縁枠材8の凹入段部16の内端部と係止片13の先端との間には、係止片13を係合位置から解放位置に外す際に指を挿入するための空間Sが形成されている。
【0030】
係合位置に位置しているときの係止片13の下面における左右方向の中間部には、係止片13を係合位置としたとき、縁枠材8の突縁部18に弾性係合するようにした前後方向を向く突条19が設けられている。
突条19と突縁部18との弾性係合が外れにくく、しかも円滑に弾性係合させることができるようにするため、突条19の先端部と縁枠材8の先端部とは、図3および図6に示すように、緩やかな曲線をなすフック状に形成するのが好ましい。
【0031】
左右の蓋体装置3、3は、上記のような構成としてあるので、蓋体10を閉止位置とした後、係止片13に設けた係合孔12を、係合ピン15の球頭部15aに圧嵌して、弾性係合させるだけで、係止片13は係合位置に保持され、蓋体10を閉止位置に確実に保持することができ、また、係止片13を係合ピン15の球頭部15aから離れる方向に回動させるだけで、蓋体10を容易に開くことができる。
係止片13を係合位置に位置させた後、南京錠の掛け金を、係合ピン15の球頭部15aに設けた通孔14に挿通させて、南京錠を施錠することにより、蓋体10を確実に施錠することができる。
しかも、係合ピン15は、縁枠材8に突設するだけでよいので、特許文献1に記載されているリング状の掛け金受けのように、ケース本体1の外面等に回転可能に枢着する必要はなく、蓋体10の取付部分の構造を簡素化することができる。
【0032】
また、係止片13に設けた係合孔12と係合ピン15の球頭部15aとの弾性係合により、係止片13が係合位置から解放位置側に開くのを防止することができ、かつ係止片13の中間部に設けた突条19と縁枠材8に設けた突縁部18との弾性係合により、蓋体10が閉止位置から開放位置側に開くのを防止することができる。
なお、突条19と突縁部18とを省略することができ、この場合には、係合孔12と係合ピン15の球頭部15aとの弾性係合のみにより、係止片13が係合位置から解放位置側に開くのを防止し、かつ蓋体10が閉止位置から開放位置側に開くのを防止することができる。
【0033】
さらに、係合ピン15および突縁部18を凹入段部16に配設してあるので、それらが外部に大きく突出するのを防止することができ、スマートな外観を呈することができる。
【0034】
しかも、係止片13を係合位置としたとき、係止片13が、凹入段部16の一部を閉塞するようにして、凹入段部16に嵌合するようにしてあるので、体裁がよい。
また、凹入段部16における、係止片13によって覆われていない部分を、係止片13を係合位置から解放位置に外す際の指の挿入用の空間Sとすることができる。
【0035】
図7は、本発明の取手付き収納ケースの第2の実施形態を示す。なお、第1の実施形態におけるのと同一または類似の部材には、同一の符号を付して図示するに止め、それらについての詳細な説明は省略する。
この第2の実施形態においては、ケース本体1の下面および前後の両側面に、上面における1対のガイドレール4、4と同様のガイドレール4、4をそれぞれ設け、そのいずれの両ガイドレール4、4にも、上記1対のスライド片5、5と取手6とスペーサ7(図3および図6参照)とを、選択的に装着可能としてある。
その他の構成は、第1の実施形態におけるのと同一である。
【0036】
このような構成によると、取手6の取付位置を、ガイドレール4、4の長手方向に沿う位置に変更できるだけでなく、取手6を取付けるケース本体1の面をも選択することができ、取手6の取付態様を多様化することができ、収納ケースの汎用性を増すことができる。
また、ケース本体1の複数の面に設けたガイドレール4、4が、ケース本体1の各面を補強する補強材として作用し、取手6等を装着しないガイドレール4、4であっても、ケース本体1の強度の向上に寄与することができる。
さらに、取手6を装着しないガイドレール4、4に、例えば、収納ケースを車両のルーフに取付けるための金具や、他の目的のための付属部品(いずれも図示略)を装着することができる。
【0037】
本発明は、上記実施形態のみに限定されるものではなく、特許請求の範囲を逸脱することなく、例えば、次のような幾多の変形した態様での実施が可能である。
(1) 図7に示す本発明の取手付き収納ケースの第2の実施形態におけるケース本体1の上面、下面および両側面のうちの任意の複数の面のみにガイドレール4、4を設ける。
(2) 取手6の把持部6aを硬質材料により形成し、弾性帯板部6bを弾性体、または軟質合成樹脂材料等により形成する。
(3) 取手6の前後方向の幅を、弾性帯板部6bの前後方向の幅より大とする。
【符号の説明】
【0038】
1 ケース本体
2 取手装置
3 蓋体装置
4 ガイドレール
4a起立片
4b折曲片
5 スライド片
5a凹溝
5b下向きコ字形部
5c外向き係合片
6 取手
6a把持部
6b弾性帯板部
6c突部
6d下向膨出部
7 スペーサ
7a下向きコ字形部
7b外向き係合片
8 縁枠材
8a環状溝
8b突部
9 軸
10 蓋体
10a緩衝材
10b環状突条
11 軸
12 係合孔
13 係止片
14 通孔
15 係合ピン
15a球頭部
15b軸部
16 凹入段部
16a底面
17 凹入段部
18 突縁部
19 突条
S 空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7