(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記閉じたマトリクス構造中の前記フィラーの量が、乾燥質量を基準として0.5重量パーセント〜4重量パーセントの前記閉じたマトリクス構造に対応する、請求項1または2に記載の喫煙物品。
前記閉じたマトリクス構造中の前記陰イオン性多糖類の量が、乾燥重量を基準として少なくとも前記両親媒性多糖類の量の2倍である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の喫煙物品。
前記液体送達材料が風味送達材料であって、前記高分子マトリクスによって画定される前記複数の領域内に閉じ込められた前記液体組成物が風味組成物であり、前記風味組成物が室温(22℃)で液体である1つ以上の脂肪と混合された風味剤を含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の喫煙物品。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の説明では、本発明による液体放出構成要素、風味放出構成要素、徐放性の液体送達材料または風味送達材料の特徴または特性への任意の参照は、別途記載のない限り、本発明によるフィルターまたは喫煙物品の液体放出構成要素、風味放出構成要素、液体送達材料または風味送達材料にも適用される。
【0012】
液体放出構成要素を組み込む本発明による喫煙物品は、フィルター紙巻たばこ、またはたばこ材料または別の可燃性材料が燃焼して煙を形成する他の喫煙物品であってもよい。別の方法として、本発明による喫煙物品は、たばこなどのエアロゾル形成基体が、燃焼されるのではなく加熱されてエアロゾルを形成する物品であってもよい。ある種類の加熱式喫煙物品では、たばこ材料または別のエアロゾル形成材料は、1つ以上の電気発熱体によって加熱されてエアロゾルを発生する。別の種類の加熱式喫煙物品では、可燃物または熱源からエアロゾル形成基体への熱の移動によってエアロゾルを発生する。本発明は、ニコチン含有エアロゾルがたばこ材料、たばこ抽出物、または他のニコチン源から、燃焼することなく、また一部の場合では加熱することなく、例えば、化学反応によって生成される、喫煙物品をさらに包含する。
【0013】
本発明による喫煙物品は、完全な組み立てられた喫煙装置でもよく、または例えば、加熱式喫煙装置の消耗部品などの、エアロゾルを発生させるために組み立てられた装置を提供する目的で1つ以上の他の構成要素と組み合わせられる喫煙装置の構成要素でもよい。
【0014】
本明細書で使用される場合、「煙」という用語は、フィルター紙巻たばこなどの可燃性喫煙物品により発生した煙、および上述の種類の加熱式喫煙物品または非加熱式喫煙物品などの不燃性喫煙物品により発生したエアロゾルを記述するために使用される。
【0015】
「液体放出構成要素」という用語は、本明細書を通して、喫煙物品の中に組み込むのに好適な形態の液体送達材料の個別の断片または部分を指すために使用される。液体放出構成要素は、下記に記述するように、ビーズの形態であるのが好ましいが、特定の実施形態では、例えば、糸または薄片などの代替的な形態も好適である場合がある。好ましい実施形態では、液体放出構成要素は、喫煙物品に風味を提供する風味放出構成要素である。
【0016】
本明細書で使用される場合、「液体]という用語は、室温において(22℃)液体の状態である組成物を指す。
【0017】
「液体組成物」という用語は、喫煙中に発生するエアロゾルまたは煙に効果を提供するためにエアロゾル発生装置の構成要素の中に組み込むことができる任意の液状剤を指す。液体組成物は、例えば、エアロゾルの1つ以上の成分を減少する能力を有する物質であってもよい。あるいは、液体組成物は、エアロゾルを発生させるためにエアロゾル発生装置の中で1つ以上の他の物質と反応する能力を有する物質であってもよい。本発明の好適な実施形態では、液体組成物は液体風味組成物であり、そして液体送達材料は、喫煙物品または喫煙物品の部分に風味を提供するように適合される。
【0018】
本明細書では、「両親媒性であるように化学修飾されたデンプンまたはデンプン誘導体」という表現は、デンプンまたはデンプン誘導体に両親媒性の性質を付与するために、疎水性基を含有する化合物で処理されたかまたはそれと反応したデンプンまたはデンプン誘導体を記述するために使用される。デンプンまたはデンプン誘導体の処理またはそれとの反応に好適な化合物は、当業者にとって周知であろう。一例として、好ましい1つの好適な化合物はオクテニル無水コハク酸(OSA)である。OSAの疎水性および立体的属性により、理論に束縛されるものではないが、OSA修飾したデンプンは、望ましい安定性、界面性および流体力学的属性につながると理解される分枝度の高い巨大分子構造を示す。
【0019】
下記の記述では、本発明は風味組成物の徐放性を提供する風味送達材料で形成される風味放出構成要素を参照して記述される。しかしながら、教示内容を代替的な液体組成物の徐放のための材料に適用することもできる。
【0020】
「徐放性」という用語は、風味送達材料が、かけられた圧縮力の範囲にわたり、材料の変形の範囲にわたり、またはその両方にわたり、風味組成物を放出する能力を持つことを示すために使用される。例えば、かけられた圧縮力の関数としての風味組成物の放出が測定される場合、その材料は、xニュートンの力で風味組成物を放出する能力を有することがわかり、また力がxニュートンから(x+y)ニュートン(例えば、式中でyは5ニュートン)に増えるのに伴い、漸進的にさらに多くの風味組成物を放出し続ける。
【0021】
これらは範囲であるため、本明細書に記述する力の範囲および変形範囲は幅を有し、またこれらは範囲の両端の間に延在する。例えば、上記のyが5ニュートンである上記の一般的な例を使用すると、力の範囲は、5ニュートンの幅を持ち、またxニュートンから(x+5)ニュートンまで延在することになる。
【0022】
力の範囲にわたる圧縮力の増加は風味送達材料から風味組成物をさらに放出することになるため、「徐放性」という用語は「漸進的な放出」としても記述することができる。これは、風味が特定の力で放出されるが特定の力の前または後では放出されない、先行技術の喫煙物品用の風味放出機構とは対照的である。例えば、本発明の風味放出構成要素により提供される徐放性の風味送達プロフィールは、カプセルの風味送達プロフィールとは対照的である。カプセルは典型的には、カプセルの外側シェルが特定の定義された圧縮力で破壊するように製造される。その特定の力で、外側シェルが粉砕され、カプセルのコア内に含まれている実質的にすべての風味剤が同時に放出される。しかしながら、かけられた力がその特定の力より小さい時は、実質的に風味は放出されない。
【0023】
本発明の喫煙物品の風味放出構成要素の徐放性属性については、以下にさらに詳細に記述する。
【0024】
本発明の喫煙物品の風味放出構成要素は、圧縮力が構成要素にかけられるまで、材料の構造内の風味組成物を保持する。風味組成物のかかる保持を達成するために、風味送達材料は閉じた構造内に風味組成物を捕捉する、閉じたマトリクス構造またはネットワーク構造を含む。すなわち、風味組成物は、マトリクス構造の中の領域内に閉じ込められる。材料の圧縮に際して、風味組成物は、例えば、周囲の構造の破損を通して、強制的にマトリクス構造から外に出される。
【0025】
風味送達材料の閉じたマトリクス構造は、複数の領域を画定するネットワークを形成する三次元構造の高分子マトリクスを備える。「領域」という用語は、本明細書全体を通して、以下にさらに記述するように、風味組成物もしくは区別された領域、または、マトリクス材料の特定の製造プロセスについては、高分子マトリクスの前駆体材料内に分散された風味組成物の小滴を含有する、閉じた穴またはポケットを指すために使用される。風味組成物は、高分子マトリクスによって囲まれかつ封入された複数の個別の領域内の高分子マトリクスを通して分散される。
【0026】
風味送達材料の高分子マトリクスは、風味送達材料が圧縮されるまで、風味剤が高分子マトリクスの構造内に実質的に保持されるように風味組成物を分離する。風味送達材料の圧縮は、高分子マトリクスの変形をもたらす。かけられた力、変形、または力と変形の両方のレベルが増えるにつれて、マトリクスは徐々に破壊され、領域内に保持されている風味組成物が放出されるように、領域が破裂し始める。
【0027】
本発明の風味放出構成要素において、風味送達材料の高分子マトリクスは、多価の陽イオンによって架橋結合された1つ以上の陰イオン性多糖類によって形成される。高分子マトリクスの架橋は、多糖類を架橋結合するための塩橋を形成する多価の陽イオンを有する陰イオン性多糖類の反応を通して達成される。
【0028】
「陰イオン性多糖類」という用語は、本明細書全体を通して正味の負電荷を有する多糖類を指すために使用される。
【0029】
本発明に関連して、「多価の陽イオン」という用語は、1より大きい価数を有する正電荷を帯びたイオン、例えば、二価または三価の陽イオンを記述するために使用される。多価の陽イオンは、金属塩化物溶液などの、多価の金属塩溶液の形態で提供されるのが好ましい。好ましい多価の陽イオンとしては、カルシウム、鉄、アルミニウム、マンガン、銅、亜鉛、またはランタンが挙げられる。特に好ましい陽イオンは二価カルシウム(Ca
2+)である。
【0030】
多糖類は、架橋結合を通して不水溶性かつ熱安定性にすることができ、また無味であるため、本発明での使用に特に好適である。マトリクスを形成する1つ以上の陰イオン性多糖類の架橋結合は、材料を組み込む喫煙物品の製造または加工の間に材料にかかりうる熱および剪断力に対する高分子マトリクスの耐性を改善する構造強度および安定性を提供する。閉じたマトリクス構造は、風味送達材料に風味組成物の効果的な閉じ込めも提供する。高分子マトリクスは耐水性または耐湿性であるのが好ましい。
【0031】
本発明の風味送達材料の閉じたマトリクス構造は、高分子マトリクスの中にフィラーをさらに備え、ここでフィラーは1つ以上の両親媒性多糖類を含む。「両親媒性多糖類」という用語は、本明細書を通して親水性の部分および疎水性の部分を有する多糖類を指すために使用される。本発明の風味送達材料では、1つ以上の両親媒性多糖類が高分子マトリクスの中に組み込まれるが、それら自体とまたは1つ以上の陰イオン性多糖類と架橋結合して高分子マトリクスを形成する能力はわずかしかまたは全くない。
【0032】
1つ以上の両親媒性多糖類を含むフィラーの使用は、数多くの有利な特性を有する本発明の風味送達材料を提供する。閉じたマトリクス構造内の両親媒性多糖類は、有利なことにフィラーと乳化剤との両方として機能する能力を有する。これは、別個の乳化剤が必要ないこと、およびより大きな比率で他の機能的構成要素をマトリクス構造の中に組み込むことができることを意味する。
【0033】
フィラーとしてのその機能において、両親媒性多糖類は、閉じたマトリクス構造内の乾燥物質含有量を増やす。理論に束縛されるものではないが、デンプンなどのフィラーの導入は乾燥遅延剤として作用し、水を吸収し蒸発を困難にする。従って、乾燥工程の間に形状の球形度をより良好に制御することができる。急速な乾燥は蒸発を増やし、マトリクスの崩壊につながりかねない。以下にさらに説明するように、両親媒性多糖類は、架橋結合のプロセスを減速させ、これによっても球形度が改善することができ、比較的軟質の内側部分を有するより丈夫な外側シェルを提供することもできる。
【0034】
両親媒性多糖類は、その両親媒性構造から効果的な乳化剤として作用する能力があり、これには、乳濁液の親水性の相と相互作用できる親水性の部分と、乳濁液の疎水性または親油性の相と相互作用できる疎水性の部分とが含まれる。以下により詳細に記述するように、本発明の風味送達材料の製造中に、乳濁液は典型的には陰イオン性多糖類の溶液を含む親水性の相と、風味化合物の油性の溶液を含む親油性の相とを有して形成される。製造時に両親媒性多糖類を含むことは、より均一な組成物を有するより安定した乳濁液を形成するのに役立つ。結果として、風味組成物は、より効果的に高分子マトリクス構造内に閉じ込められ、従って結果として生じる風味送達材料もより安定したものとなる。風味送達材料の安定性が改善されることで、材料の保管中に風味剤が構造内で効果的に保持されることが確実になる。
【0035】
フィラーを高分子マトリクスの中に含むことが風味送達材料の構造に影響を与えることがさらに見出された。本発明の風味送達材料では、高分子マトリクスの構造は材料の外側から中心に向かって変化する。具体的には、風味送達材料は、架橋結合した高分子マトリクスの比率が比較的高い、高分子を多く含む外側領域と、風味剤の比率が比較的高い、風味剤を多く含むコア領域とを備える。陰イオン性多糖類の親水性溶液と疎水性の風味組成物との反応に起因してこの構造が生まれ、これは2つの構成成分の乳濁液の液滴の形成に際して、疎水性の風味組成物をコア領域の中に集めさせる傾向がある。
【0036】
以下により詳細に説明するように、陰イオン性多糖類の溶液中の風味組成物の乳濁液が多価の陽イオン架橋溶液の中へと滴下された時に、陰イオン性多糖類の架橋結合が発生する。上述のように、風味剤を多く含むコア領域内よりも高分子を多く含む外側領域内で架橋結合の程度が高いのが好ましい。これは、閉じたマトリクス構造の中の多価の陽イオンの濃度の勾配によって反映され、多価の陽イオンの濃度は、架橋結合の程度が最も高い風味放出構成要素の外側領域で最も高く、高分子マトリクスの比率が低下するのに伴い、風味放出構成要素の内側のコア領域に向かって低下する。
【0037】
風味送達材料の高分子を多く含む外側領域での高い程度の架橋結合は、高分子マトリクスの硬さを増やす。従って、風味放出構成要素の外側領域はコア領域よりも硬く、風味組成物の濃度がより低い。
【0038】
フィラーを高分子マトリクスの中に含むことが、結果として風味放出構成要素の外側領域とコア領域との間に多価の陽イオンの濃度勾配の増加をもたらすことが見出された。以下に記述するように、コア領域と比較してより高い程度の架橋結合が外側領域内で発生するように、フィラーの両親媒性の多糖類は、外側表面から乳濁液を通した多価の陽イオンの濃度の完全な均等化を阻止すると考えられる。これは、外側領域の硬さを増やす一方で、コア領域の硬さを低減させ、一方ではコア領域の中の風味組成物の保持のさらなる改善を提供する。
【0039】
さらに、風味放出構成要素の外側領域内の中の高分子マトリクス内の架橋結合レベルの上昇は、風味組成物の放出の前に、材料の当初の圧縮に際して、比較的脆くパチパチ音またはひび割れが生じる可能性がある、より硬い「層」を材料の外側の周りに提供する。これは、消費者による材料への圧縮力の適用に際して、風味組成物を放出するのに十分な程度まで材料が圧縮される前に、その力が当初に、より脆い外側領域にある高分子マトリクスの破壊を生じさせることを意味する。ポリマーが豊富な外側領域が破壊された時のパチパチ音は、消費者によって感知される場合があり、また可聴音も生成される場合がある。従って消費者には、有利なことに、風味を喫煙物品の中へと放出するための風味送達材料の有効化の知覚的表示が提供される。
【0040】
風味放出構成要素の外側表面を離れて中心に向けて移動する高分子マトリクス内の架橋の程度が低下すると、より硬い外側領域の下により軟らかい内側領域が提供される。これは、外側領域の下では支持が小さいことを意味し、これにより、有利なことに風味放出要素の圧縮に際して外側領域内にある高分子マトリクスが壊れやすくする場合があり、さらに圧縮に際して提供されるパチパチ音の効果を高める場合がある。その上、内側領域内の風味送達材料の軟らかさを増やすことによって、より硬い外側領域が破壊されると、風味送達材料はより簡単に圧縮されるようになり、これによって、風味放出構成要素の持続的な圧縮に際して風味組成物の放出が促進される。
【0041】
風味放出構成要素の外側領域の硬さの増加は、さらに望ましくない変形に対する風味放出構成要素の抵抗を改善するが、これは構成要素の加工を容易にする。以下に記述するように、風味送達材料が乳濁液の液滴から形成されたビーズの形態である時、液滴を通して多価の陽イオンの拡散を遅らせることが結果得られるビーズの丸さを改善することも見出された。これは、風味送達材料の加工をさらに促進するが、特に、喫煙物品に材料のビーズを挿入する際の可能な精度が向上する。
【0042】
風味放出構成要素の閉じたマトリクス構造内の多価の陽イオンの濃度の勾配が、液体放出構成要素を通して閉じたマトリクス構造の外側表面から液体放出構成要素の質量中心へと延びる線に沿って、閉じたマトリクス構造の外側表面から250マイクロメートル以内の多価の陽イオンの最高濃度が質量中心から500マイクロメートル以内の多価の陽イオンの最高濃度の少なくとも約1.5倍となるように変化するのが好ましい。
【0043】
液体放出構成要素を閉じたマトリクス構造の外側表面から液体放出構成要素の質量中心へと通して延びる線に沿って、閉じたマトリクス構造の外側表面から250マイクロメートル以内の多価の陽イオンの最高濃度は、質量中心から500マイクロメートル以内の多価の陽イオンの最高濃度の少なくとも1.75倍であるのが好ましく、少なくとも2倍であるのがより好ましい。
【0044】
さらに、風味放出構成要素は、閉じたマトリクス構造の外側表面と液体放出構成要素の質量中心との間の最小寸法が少なくとも1.5mmであるのが好ましく、少なくとも2.0mmであるのがより好ましい。
【0045】
風味放出構成要素の閉じたマトリクス構造の中の多価の陽イオンの濃度の勾配が、液体放出構成要素を通して閉じたマトリクス構造の外側表面から液体放出構成要素の質量中心へと延びる線に沿って、閉じたマトリクス構造の外側表面から250マイクロメートル以内の多価の陽イオンの最高濃度が質量中心から250マイクロメートル以内の多価の陽イオンの最高濃度の少なくとも約1.5倍であるのが好ましい。
【0046】
液体放出構成要素を閉じたマトリクス構造の外側表面から液体放出構成要素の質量中心へと通して延びる線に沿って、閉じたマトリクス構造の外側表面から250マイクロメートル以内の多価の陽イオンの最高濃度は、質量中心から250マイクロメートル以内の多価の陽イオンの最高濃度の少なくとも1.75倍であるのが好ましく、少なくとも2倍であるのがより好ましい。
【0047】
さらに、風味放出構成要素は、閉じたマトリクス構造の外側表面と液体放出構成要素の質量中心との間の最小寸法が少なくとも1.5mmであるのが好ましく、少なくとも2.0mmであるのがより好ましい。
【0048】
本発明の目的のために、風味放出構成要素を形成する風味送達材料の中の多価の陽イオンの濃度の勾配は、風味放出構成要素を通して閉じたマトリクス構造の外側表面から風味放出構成要素の質量中心へと延びる線に沿って濃度を測定することによって定量される。外側表面から質量中心を通して延びる顆粒からサンプルまたはコアを抽出して、サンプルまたはコアに沿った多数の位置で横断方向の切断をすることによって複数の切片を形成することによって測定を行いうる。ここで、「横断方向の切断」という用語は、サンプルまたはコアの長軸方向に対して横断する方向に、すなわち風味放出構成要素を通して、閉じたマトリクス構造の外側表面から風味放出構成要素の質量中心へ延びる線に対して横断する方向に、サンプルまたはコアを切断することによって切片が形成されることを意味するために使用される。各切片について、多価イオンの濃度は質量分析法を使用して測定してもよい。風味送達材料の周りに提供される任意の被覆層は、カルシウム勾配の測定が閉じたマトリクス構造の外側表面で始まるように無視されるべきである。
【0049】
コアに沿って複数のセクションでカルシウム濃度を測定することにより、閉じたマトリクス材料の外側表面から250マイクロメートル以内の最高濃度、および液体送達材料質量中心から500マイクロメートル以内の最高濃度が特定されうる。多価の陽イオンの濃度の勾配を測定するための他の好適な技法も、当業者には既知であろう。特定の場合には、液体送達構成要素からのサンプルの取り出しは、構成要素を凍結することによって促進されうる。
【0050】
本発明の好ましい実施形態では、フィラーの1つ以上の両親媒性ポリマーには、修飾したデンプンまたはデンプン誘導体が含まれる。本発明で使用するための修飾したデンプンの特に好ましい形態は、オクテニル無水コハク酸(OSA)デンプンである。好適なデンプン誘導体としては、マルトデキストリン、高アミラーゼ食品用デンプン、およびそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。
【0051】
閉じたマトリクス構造は、閉じたマトリクス構造の合計乾燥質量を基準として少なくとも約10重量パーセントの両親媒性多糖類を含んでもよいが、少なくとも約15重量パーセント含むのがより好ましい。別の方法としてまたは追加的に、閉じたマトリクス構造は、閉じたマトリクス構造の合計乾燥質量を基準として約30重量パーセント未満の両親媒性多糖類を含んでもよいが、約25重量パーセント未満含むのがより好ましい。閉じたマトリクス構造は、閉じたマトリクス構造の合計乾燥質量を基準として約10重量パーセント〜約30重量パーセントの両親媒性多糖類を含むのが好ましく、約15重量パーセント〜約25重量パーセントを含むのがより好ましい。本明細書では、閉じたマトリクス構造の合計乾燥質量に対する任意の参照は、閉じたマトリクス構造の領域内に含まれる液体組成物の重量を除く。
【0052】
閉じたマトリクス構造内の陰イオン性多糖類の量は、閉じたマトリクス構造内の両親媒性多糖類の量よりも多いのが好ましい。例えば、閉じたマトリクス構造内の陰イオン性多糖類の量は、閉じたマトリクス構造内の両親媒性多糖類の量より少なくとも約2倍多いのが好ましく、そして少なくとも約3倍多いのがより好ましい。
【0053】
高分子マトリクスは、単一の架橋結合された陰イオン性多糖類で形成されてもよい。例えば、1つの好ましい実施形態では、高分子マトリクスは、架橋結合されたアルギネートで形成される。別の方法として、高分子マトリクスは2つ以上の架橋結合された陰イオン性多糖類の組み合わせで形成されてもよく、ここで2つ以上の陰イオン性多糖類は互いに架橋結合する能力を有する。例えば、一部の実施形態では、高分子マトリクスは、アルギネートおよびペクチンを含み、アルギネートおよびペクチンは相互に架橋結合する。一部の実施形態では、高分子マトリクスは少なくとも約20重量パーセントのペクチンを含む。さらに、高分子マトリクスは少なくとも約50重量パーセントのアルギネートを有する場合がある。好ましいペクチンの形態は、低メトキシのペクチンである。
【0054】
高分子マトリクスはアルギネートを含むのが好ましいが、アルギネートは、単独で使用されてもよく、または1つ以上の他の多糖類と組み合わせて使用されてもよい。高いレートで架橋結合し、また塩橋を形成してアルギネートを架橋結合する多価の陽イオンと良好に相互作用する構造を有するため、アルギネートは高分子マトリクスで使用するのに特に効果的である。特に、アルギネート構造は、多価の陽イオンと強力に相互作用をするグルロン酸(G)残基のブロックを含む。
【0055】
高分子マトリクスがアルギネートを含む場合、アルギネート構造内でのグルロン酸(G)残基の比率は、少なくとも約25%であるのが好ましく、少なくとも約30重量パーセントであるのがより好ましく、約35%であるのが最も好ましい。一部の実施形態では、構造の残部は、本質的にマンヌロン酸(M)残基で構成される。別の方法としてまたは追加的に、アルギネート構造中のグルロン酸(G)残基の比率は、約70%未満であるのが好ましく、約65%未満であるのがより好ましい。一部の実施形態では、構造の残部は、本質的にマンヌロン酸(M)残基で構成される。アルギネート構造内のG:M残基の比は、アルギネートの架橋結合特性に影響することが分かっており、架橋結合プロセスを制御する目的で調節することができる。特に、G:M比が増大すると、多価の陽イオンによるアルギネートの架橋結合を助ける立体化学を提供するようである。
【0056】
閉じたマトリクス構造は、閉じたマトリクス構造の合計乾燥質量を基準として少なくとも約50重量パーセントの1つ以上の多糖類を含んでもよいが、少なくとも約60重量パーセント含むのがより好ましい。別の方法としてまたは追加的に、閉じたマトリクス構造は、閉じたマトリクス構造の合計乾燥質量を基準として約90重量パーセント未満の1つ以上の多糖類を含んでもよいが、約80重量パーセント未満含むのがより好ましい。閉じたマトリクス構造は、閉じたマトリクス構造の合計乾燥質量を基準として約50重量パーセント〜約90重量パーセントの1つ以上の多糖類を含むのが好ましく、約60重量パーセント〜約80重量パーセント含むのがより好ましい。
【0057】
本発明の望ましい実施形態では、風味送達材料の閉じたマトリクス構造は可塑剤をさらに含む。
【0058】
「可塑剤」という用語は、その柔軟性または加工性を増やすために材料を形成するマトリクス内に組み込まれる物質または材料を指す。多くの可塑剤は、ポリマー鎖間の分子間力を低減する傾向があり、結果として柔軟性および圧縮性が増加するか、または高分子マトリクス内に不連続性を起こすため可塑性の効果を発揮する場合がある。可塑剤のクラスの例には、サッカライド類(モノ−、ジ−、またはオリゴ−サッカライド)、アルコール類、ポリオール類、酸性塩類、脂質類、および誘導体(脂肪酸類、モノグリセリド類、エステル類、リン脂質類などの)、ならびに界面活性剤がある。好適な可塑剤の具体的な例としては、ブドウ糖、果糖、ハチミツ、ソルビトール、ポリエチレングリコール、グリセロール、プロピレングリコール、ラクチトール、乳酸ナトリウム、水和した加水分解デンプン、トレハロース、またはこれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。本発明で使用するための他の好適な可塑剤は、当業者であれば提供された例に基づいて特定することができる。
【0059】
本発明の風味送達材料の閉じたマトリクス構造は、単一の可塑剤、または2つ以上の可塑剤の組み合わせを含む場合がある。
【0060】
本発明の喫煙物品の風味送達材料では、高分子マトリクスを軟化して材料をより圧縮可能にするために閉じたマトリクス構造内に可塑剤を組み込む場合がある。これによって、風味送達材料に徐放性の風味送達プロフィールをより効果的に提供することができる。特に、可塑剤は、風味組成物の持続的な送達がなされうる力の範囲を増やしたり風味組成物の放出を開始したりするために要求される力の量を低減しうる。
【0061】
閉じたマトリクス構造は、閉じたマトリクス構造の合計乾燥質量を基準として少なくとも約5重量パーセントの可塑剤を含んでもよいが、少なくとも約10重量パーセント含むのがより好ましい。別の方法としてまたは追加的に、閉じたマトリクス構造は、閉じたマトリクス構造の合計乾燥質量を基準として約30重量パーセント未満含む場合があるが、約25重量パーセント含むのがより好ましい。高分子マトリクスは、閉じたマトリクス構造の合計乾燥質量を基準として約10重量パーセント〜約30重量パーセントの可塑剤を含むのが好ましく、約15重量パーセント〜約25重量パーセント含むのがより好ましい。
【0062】
風味送達材料は、風味送達材料の乾燥質量を基準として少なくとも約4重量パーセントの上述の閉じたマトリクス構造材料を含むのが好ましく、少なくとも約6重量パーセント含むのが好ましい。別の方法としてまたは追加的に、風味送達材料は、約15重量パーセント未満の上述の閉じたマトリクス構造材料を含むのが好ましく、約10重量パーセント未満を含むのがより好ましい。風味送達材料は、約4重量パーセント〜約15重量パーセントの上述の閉じたマトリクス構造材料を含むのが好ましく、約4重量パーセント〜約10重量パーセントを含むのがより好ましく、約6重量パーセント〜約10重量パーセントを含むのが最も好ましい。
【0063】
本明細書では、風味送達材料の合計乾燥質量に対する任意の参照は、風味送達材料が22℃、相対湿度60%の条件で1週間にわたり調整された後での、閉じたマトリクス構造の重量および風味組成物の重量との和を指す。
【0064】
風味送達材料は、風味送達材料の乾燥質量を基準として少なくとも約60重量パーセントの風味組成物を含むのが好ましく、少なくとも約75重量パーセント含むのが好ましい。別の方法としてまたは追加的に、風味送達材料は、約95重量パーセント未満の風味組成物を含むのが好ましく、約90重量パーセント未満含むのがより好ましい。風味送達材料は、約60重量パーセント〜約95重量パーセントの風味組成物を含むのが好ましく、約75重量パーセント〜約90重量パーセント含むのがより好ましい。
【0065】
本発明の喫煙物品の中へと組み込まれた風味送達材料の風味組成物は、1つ以上の脂肪と混合された風味剤を含むのが好ましい。1つ以上の脂肪は、室温(22℃)で液体であるか、または融点が22℃より低いのが特に好ましい。本発明の目的では、脂肪の「融点」は、示差走査熱量測定(DSC)を使用して測定される。
【0066】
1つ以上の液体脂肪は、風味剤のための担体として作用し、「賦形剤」とも呼ばれる。風味剤は、賦形剤と混合して風味組成物を形成する。特定の実施形態では、風味剤は賦形剤内で分散または溶解される。
【0067】
室温で液体である風味剤用の賦形剤の使用は、圧縮に際して風味送達材料から風味組成物をより簡単に放出することができるため特に有利である。さらに、液体賦形剤を用いると、風味剤は典型的には、材料から風味組成物が放出された後に周囲の環境に対してさらに利用可能になる。これは、揮発性の風味化合物は、固体の担体よりも液体の担体からの方が簡単に放出されうるためである。
【0068】
さらに、液体賦形剤の使用は有利なことに、風味組成物が風味送達材料から放出された後、フィルター材料内での風味組成物の分散を向上させる。例えば、フィルターが繊維質の濾過材料で形成される場合、濾過材料のより大きい表面積が風味組成物によって覆われるように、風味組成物はより繊維を通してより簡単に伝搬する。これが次に、煙中への風味剤の移動が増すように煙がフィルターを通して引き出される際に煙と風味組成物との間の接触のレベルを向上させる。風味組成物のうち1つ以上の液体脂肪は、中性の臭いおよび味覚を持つのが好ましい。従って脂肪は、脂肪と混合された風味剤によって提供される風味への影響をほとんど受けない。
【0069】
風味組成物中の液体脂肪には、鎖の長さが6〜12であるカルボン酸を1つ以上有するトリグリセリドが、少なくとも約30重量パーセント含まれるのが好ましく、少なくとも約50重量パーセント含まれるのが好ましく、少なくとも約75重量パーセント含まれるのがより好ましく、約100重量パーセント含まれるのが最も好ましい。あるいは、液体脂肪には、鎖の長さがすべて6〜12である3つのカルボン酸を有するトリグリセリドが、少なくとも約30重量パーセント含まれ、少なくとも約50重量パーセント含まれるのが好ましく、少なくとも約75重量パーセント含まれるのがより好ましく、約100重量パーセント含まれるのが最も好ましい。
【0070】
風味組成物中の液体脂肪には、鎖の長さが8〜10である1つ以上のカルボン酸を有するトリグリセリドが、少なくとも約30重量パーセント含まれることが特に好ましく、少なくとも約50重量パーセント含まれるのが好ましく、少なくとも約75重量パーセント含まれるのがより好ましく、約100重量パーセント含まれるのが最も好ましい。あるいは、液体脂肪には、鎖の長さがすべて8〜10である3つのカルボン酸を有するトリグリセリドが、少なくとも約30重量パーセント含まれ、少なくとも約50重量パーセント含まれるのが好ましく、少なくとも約75重量パーセント含まれるのがより好ましく、約100重量パーセント含まれるのが最も好ましい。
【0071】
トリグリセリドは、グリセロールおよび3つの脂肪酸、またはカルボン酸に由来するエステルである。トリグリセリド内のカルボン酸鎖の「鎖の長さ」は、カルボン酸のバックボーン内の炭素原子の数を指す。例えば、鎖の長さが12であるカルボン酸は、グリセロールおよび脂肪酸の脂肪族末端のバックボーン内に12個の炭素原子を有する脂肪酸から形成される。鎖の長さが6〜12であるカルボン酸を1つ以上有するトリグリセリドは、典型的には中鎖トリグリセリド(MCT)と呼ばれる。
【0072】
中鎖トリグリセリドは、室温(22℃)で安定した液体状であるため、本発明の喫煙物品の風味送達材料内で使用するのに特に好適である。さらに、MCTは、喫煙中に風味組成物によって提供される風味に対して無視できる程度の効果しか与えない中性の臭いおよび味覚を提供する。さらに、6〜12の鎖の長さでは、有利なことに煙中へは脂肪構成要素がほとんど移動しないことがわかっている。
【0073】
本発明の特に好ましい実施例では、風味組成物は、MCTオイル(例えば、分別蒸留ココナッツオイルからのカプリル酸/カプリン酸トリグリセリド)と混合した風味剤を含む。市販されているMIGLYOL(登録商標)810は、好適なMCTオイルの一例である。
【0074】
1つ以上のトリグリセリドが個別の構成要素として提供されてもよく、または他の構成要素と組み合わせた1つ以上の中鎖トリグリセリドを含む材料で提供されてもよい。
【0075】
風味組成物の中鎖トリグリセリドのカルボン酸鎖は、鎖内の炭素原子間のすべての結合が一重結合であるように飽和状態にあってもよく、または鎖内の2つの炭素原子間に少なくとも1つの二重結合または三重結合を含むように、少なくとも部分的に不飽和状態であってもよい。トリグリセリド化合物内に不飽和鎖よりも多くの飽和鎖があるのが好ましい。一部の場合において、飽和鎖と不飽和鎖の比は少なくとも約1.6であり、少なくとも約1.8であるのがより好ましく、少なくとも2.0であるのが最も好ましい。飽和鎖の相対量が多いほど、経時的に製品をより安定したものにすることができ、一部の場合には製品の潜在的な有効期間を延ばすことになる。
【0076】
風味組成物は、相互に異なる鎖の長さを持つ2つ以上のトリグリセリドの組み合わせを含んでもよい。例えば、風味組成物は、中鎖トリグリセリドの混合物を含むオイルまたは脂肪を含んでもよく、所望により他の短鎖のトリグリセリド(例えば、その中のすべての鎖の長さが6未満のトリグリセリド)または長鎖のトリグリセリド(例えば、その中のすべての鎖の長さが12よりも長いトリグリセリド)と組み合わせた混合物を含むオイルまたは脂肪を含んでもよい。トリグリセリドを含むオイルまたは脂肪は、植物由来、動物由来、または人工的に製造されたものであってもよい。
【0077】
風味組成物の風味剤は、風味送達材料の加熱に際して望ましい風味を提供するための1つ以上の風味化合物を含む。本発明の風味送達材料で使用するための好適な風味剤は、当業者には周知である。風味剤は、風味組成物が液体であるように、室温で賦形剤内に溶解するのが好ましい。風味剤は、1つ以上の天然風味剤、1つ以上の合成風味剤、または天然風味剤と合成風味剤との組み合わせを含んでもよい。
【0078】
本発明の喫煙物品の風味送達材料には、様々な風味を使用することができる。好適な風味剤としては、天然または合成のメントール、ペパーミント、スペアミント、コーヒー、お茶、スパイス(シナモン、クローブ、およびショウガなど)、ココア、バニラ、果実風味、チョコレート、ユーカリ、ゼラニウム、オイゲノール、リュウゼツラン、ビャクシン、アネトール、およびリナロオールが挙げられるが、これらに限定されない。
【0079】
風味剤は、精油、または1つ以上の精油の混合物を含むのが好ましい。「精油」は、採取元の植物の特徴的な匂いおよび風味を有するオイルである。本発明の風味のついた顆粒内に含めるための好適な精油としては、ペパーミント油およびスペアミント油が含まれるが、これらに限定されない。
【0080】
本発明の好ましい実施形態では、風味剤はメントール、オイゲノール、またはメントールおよびオイゲノールの混合物を含む。これらの風味のタイプは一般に、喫煙物品の煙にさわやかな風味を提供するために使用される。本発明の特に好ましい実施形態では、風味組成物はMCTオイル内に分散されたメントールを含む。
【0081】
風味組成物は、風味剤を少なくとも約15重量パーセント含んでもよく、少なくとも約20重量パーセント含むのが好ましく、少なくとも約25重量パーセント含むのが最も好ましい。別の方法としてまたは追加的に、風味組成物は風味剤を約50重量パーセント未満含んでもよく、約40重量パーセント未満含むのがより好ましく、約35重量パーセント未満含むのが最も好ましい。風味組成物は、風味剤を約15重量パーセント〜約50重量パーセント含むのが好ましく、約20重量パーセント〜約40重量パーセント含むのがより好ましく、約25重量パーセント〜約35重量パーセント含むのが最も好ましい。
【0082】
風味組成物は、1つ以上の液体脂肪を少なくとも約50重量パーセント含む賦形剤を含んでもよく、少なくとも約60重量パーセント含むのがより好ましく、少なくとも約65重量パーセント含むのが最も好ましい。別の方法としてまたは追加的に、風味組成物は、賦形剤を約85重量パーセント未満含んでもよく、約80重量パーセント未満含むのがより好ましく、約75重量パーセント未満含むのが最も好ましい。風味組成物は、約50重量パーセント〜約85重量パーセント含むのが好ましく、約60重量パーセント〜約80重量パーセント含むのがより好ましく、約65重量パーセント〜約75重量パーセント含むのが最も好ましい。
【0083】
全体的に、風味送達材料は、風味剤を少なくとも約12重量パーセント含んでもよく、少なくとも約15重量パーセント含むのが好ましく、少なくとも約20重量パーセント含むのが最も好ましい。別の方法としてまたは追加的に、風味送達材料は、風味剤を約40重量パーセント未満含んでもよく、約35重量パーセント未満含むのが好ましく、約30重量パーセント未満含むのがより好ましい。風味送達材料は、風味剤を約12重量パーセント〜約40重量パーセント含むのが好ましく、約15重量パーセント〜約35重量パーセントの風味剤を含むのがより好ましく、約20重量パーセント〜約30重量パーセントの風味剤を含むのが最も好ましい。特に好ましい実施形態では、風味剤はメントールを含む。
【0084】
全体的に、風味送達材料は、本明細書に記載する任意の1つ以上の液体脂肪を少なくとも約40重量パーセント含むのが好ましく、少なくとも約50重量パーセント含むのが好ましい。別の方法としてまたは追加的に、風味送達材料は、本明細書に記載する任意の1つ以上の液体脂肪を約70重量パーセント未満含み、約65重量パーセント未満含むのが好ましく、約60重量パーセント未満含むのがより好ましい。風味送達材料は、本明細書に記載する任意の1つ以上の液体脂肪を約40重量パーセント〜約70重量パーセント含むのが好ましく、約50重量パーセント〜約65重量パーセント含むのがより好ましく、約50重量パーセント〜約60重量パーセント含むのが最も好ましい。
【0085】
上述の通り、本発明の風味放出構成要素の風味送達材料は、消費者によってかけられる圧縮力(例えば少なくとも5ニュートンの範囲にわたる)の調節を通して、風味放出構成要素の圧縮に際して放出される風味組成物の量を制御することができるように、徐放性の送達プロフィールを提供する。これは、放出することができる風味組成物の量により大きな柔軟性を提供し、従って喫煙中に提供される風味の強度により大きな制御を提供する。
【0086】
当業者であれば、「徐放性」という用語が、所与の力において放出される風味組成物の量が力をかける時間にさらに依存する実施形態を包含することを理解するであろう。例えば、一部の実施形態では、2回の短い所与の力をかけることは、単一の延長した所与の力をかけるのと同じ量の風味組成物を放出させる場合がある。これらの実施形態では、風味放出構成要素に同一のまたは同様の力を繰返しかけることによって、風味組成物の多重「投与」を提供するための材料の徐放性特性を使用することができる。さらに、漸進的により高い力を多重にかけることも使用することができ、これは、場合によっては放出される多重「投与」での風味の量を増加することができる。
【0087】
風味放出構成要素が喫煙物品の中の定位置にある時、圧縮力は、圧縮力を風味放出構成要素が組み込まれている喫煙物品の一部に対してかけることによって風味送達材料に行使される。しかしながら、本明細書に別途記載のない限り、材料の特性およびパラメータは、喫煙物品とは関係なく材料自体に関連して画定される。例えば、かけられた圧縮力および変形に対する言及は、材料が喫煙物品の外側にある時の材料の直接的な圧縮または変形に関する。ほとんどの場合、材料は切り取るか、または別の方法で材料を喫煙物品から除去し材料を直接試験することによって、試験してもよい。
【0088】
圧縮力または変形の範囲内で、材料から放出される風味組成物の量は、かけられる圧縮力または変形に依存する。圧縮力または変形と放出される風味組成物の量との間には実質的に連続的な関係がある場合がある。この場合、圧縮力がかけられるかまたは材料の変形が増えると、放出される風味組成物の量が実質的に連続的に増える。あるいは、例えば以下に説明した一部のマトリクス材料を用いて、画定された圧縮力または変形の範囲内のある特定の力で、個別の量の風味組成物が放出される場合がある。この場合、圧縮力または変形が増えるのに従い、放出される風味組成物の量は段階的に増えることになる。
【0089】
本発明に関連して、風味組成物が風味送達材料の外側の環境に晒された時に、風味組成物は風味送達材料の中から「放出された」と考えられる。風味組成物は、風味送達材料から喫煙物品内の周囲の空間または材料の中に出された場合に「放出された」と考えられる。さらに、風味組成物は、まだ風味送達材料内にあるが風味組成物が領域外に徐々に移動しうるように周囲環境の中への風味剤の揮発のための1つ以上の開かれた経路が提供されている場合に「放出された」と考えられる。例えば、開かれたセル構造(スポンジなど)内の風味組成物は「放出された」と考えられる。
【0090】
風味送達材料の徐放性のプロフィールは、風味組成物が材料から2回以上放出可能であることを意味する。少なくとも5ニュートンの範囲を越える圧縮力をかけることで、風味組成物の残りは後続の放出のために材料内に残るように、利用可能な風味組成物の一部分のみが材料から放出されうる。風味送達材料のこの特徴は、消費者に喫煙中の風味の送達のタイミングおよび風味の強度に対する高いレベルの制御を提供する。消費者は、喫煙中に、例えば最後の吸煙の直前に1回のみ、風味組成物を放出するよう選択してもよい。あるいは、消費者は、喫煙中に異なる時点で風味組成物の2回以上の破裂を放出するよう選択してもよい。
【0091】
風味送達材料の徐放性の風味送達プロフィールは、圧縮力を増加させつつ高分子マトリクスを徐々に崩壊することによって提供される。例えば、少なくとも5ニュートンの力の範囲内で、風味送達材料内の領域は、風味組成物が範囲にわたり放出されるように圧縮力の増加に伴い引き続き破壊する。一定のレベルでかけられた力で領域の大半は破壊され、ほぼこのレベルに圧縮力が増えてもさらなる風味組成物の放出はもはや起こらない。
【0092】
典型的には、喫煙物品の中の風味放出構成要素が定位置にある時、消費者による構成要素の圧縮は、当初は領域の一部分の破壊をもたらすのみである。従って領域の残部は、さらなる圧縮力がかけられるまで風味組成物が内側に閉じ込められた状態で閉じたままである。従って領域構造は、喫煙中に風味を複数回放出するために、風味送達材料を提供するうえで特に良好に適合される。
【0093】
風味送達材料は、少なくとも約5ニュートンの力の範囲にわたる材料の圧縮に際して風味組成物の徐放を提供するのが好ましく、少なくとも約8ニュートンであるのがより好ましく、少なくとも約10ニュートンであるのがさらに好ましく、少なくとも約20ニュートンであるのが最も好ましい。
【0094】
風味送達材料が、約10ニュートン〜約15ニュートンの力の範囲にわたる材料の圧縮に際して風味組成物の徐放を提供するのが好ましい。すなわち、力の範囲が、約10ニュートン〜約15ニュートンまで延在するのが好ましい。
【0095】
風味送達材料が、より広い力の範囲にわたり、例えば、約5ニュートン〜約50ニュートンの力の範囲にわたり、風味組成物の徐放を提供するのが特に好ましい。これは、約5ニュートン〜約50ニュートンに延在する範囲として記述することもできる。風味送達材料は、約5ニュートン〜約25ニュートンの力の範囲にわたり風味組成物の徐放を提供するのがより好ましく、約5ニュートン〜約20ニュートンの力の範囲であるのが最も好ましい。
【0096】
約5ニュートンの力での風味放出構成要素の圧縮に際して放出される風味組成物の量は、少なくとも約2重量パーセントの圧縮を受ける前の風味送達材料に対応するのが好ましく、少なくとも約4重量パーセントに対応するのが好ましい。風味放出構成要素の約10ニュートンの力を用いたさらなる圧縮(合計最大15ニュートン)に際して放出される風味組成物の追加的な量は、いかなる圧縮も受ける前の風味送達材料の少なくとも10重量パーセントに対応するのが好ましい。
【0097】
約10ニュートンの力での風味放出構成要素の圧縮に際して放出される風味組成物の量は、少なくとも約15重量パーセントの圧縮を受ける前の風味送達材料に対応するのが好ましく、少なくとも約20重量パーセントに対応するがより好ましい。約15ニュートン(合計最大25ニュートン)の力での風味放出構成要素のさらなる圧縮に際して放出される風味組成物の追加的な量は、いかなる圧縮も受ける前の風味送達材料のうち少なくとも10重量パーセントに対応するのが好ましい。
【0098】
本発明は、少なくとも25パーセントの変形率の変形範囲にわたる材料の圧縮に際して放出可能な風味組成物を含む徐放性の風味送達材料を組み込んだ喫煙物品をさらに提供する。すなわち、変形範囲は少なくとも25パーセントの変形の幅を有する。材料の変形は、典型的には圧縮力の増加に伴い増える。材料の変形の百分率は、圧縮力がかけられる方向への圧縮力の適用に際しての材料寸法の減少に対応する。風味送達材料は、変形範囲にわたり風味組成物を放出する能力を有するが、これは、放出される風味組成物の量は、定義された範囲内で変形が増えるにつれて徐々に増えることを意味する。
【0099】
力の範囲にわたる風味組成物の徐放性に関連して上述した通り、放出される風味組成物の量は、定義された範囲にわたり材料の変形が増えるに従い、実質的に連続的に増える場合がある。別の方法として、放出される風味組成物の量は定義された変形範囲にわたり段階的に増えてもよい。
【0100】
本発明の喫煙物品の風味放出構成要素は、特徴的な風味放出プロフィールを有する。風味放出構成要素の「風味放出プロフィール」は、風味送達材料からの風味組成物の放出が、かけられた圧縮力の関数または材料の変形の関数として変化することを指す。
【0101】
すべてではないとしてもほとんどの場合は、放出構成要素の圧縮または変形に際して呈される重量損失は、風味送達材料からの風味組成物の放出の結果であると仮定される。従って、材料から放出される風味組成物の量は、風味送達材料の圧縮の前後の重量の差異を測定して、風味送達材料の全重量中の減少の百分率を計算することによって決定することができる。上記で定義したように、重量損失はいかなる圧縮も受ける前の風味送達材料の初期重量を参照して計算される。
【0102】
上述の風味放出構成要素は、多種多様に異なる種類の喫煙物品の中に有利に組み込まれうる。例えば、風味放出構成要素は、フィルター紙巻たばこなど、喫煙中に燃焼されるたばこカットフィラーまたは他の喫煙可能材料のロッドを有する可燃性の喫煙物品に組み込まれうる。
【0103】
別の方法として、風味放出構成要素は、材料が燃焼ではなく加熱されてエアロゾルを形成する、上述のタイプの加熱式喫煙物品に組み込まれうる。例えば、風味放出構成要素は、国際特許公開公報第2009/022232号に開示される可燃性熱源および可燃性熱源の下流にあるエアロゾル発生基体を備えるものなどの、可燃性熱源を備える加熱式喫煙物品の中に組み込まれうる。風味放出構成要素は、例えば、化学的熱源または電気抵抗性のある発熱体などの電気的熱源など、不燃焼性熱源を備える、加熱式喫煙物品にも組み込まれうる。
【0104】
別の方法として、上述の風味放出構成要素は、燃焼を用いずに、場合によっては加熱なしで、ニコチン含有エアロゾルがたばこ材料または他のニコチン源から形成される喫煙物品(国際特許公開公報第2008/121610号および同第2010/107613号に記述されたものなど)に組み込まれてもよい。
【0105】
本発明による喫煙物品は、喫煙物品の構成要素のうちの任意の1つ以上の中に風味放出構成要素を組み込む場合がある。喫煙物品の構成要素または風味送達材料を組み込む構成要素の部分は、構成要素の圧縮を通して風味送達材料に圧縮力をかけることができるように変形可能であるべきである。風味放出構成要素は、喫煙物品のフィルターまたはマウスピースの中に組み込まれるのが好ましい。フィルターまたはマウスピースは、圧縮力を風味送達材料にかけて風味組成物を周囲のフィルターの中に放出するために圧縮されてもよい。喫煙物品の喫煙中、風味送達材料から放出された風味組成物の部分からの風味剤は、フィルターを通過する煙中に送達される。
【0106】
フィルターは、風味送達材料を組み込む単一のセグメントで形成された単一のセグメントフィルターであってもよい。別の方法として、フィルターは、風味放出構成要素を組み込む少なくとも1つのフィルターセグメントおよび少なくとも1つの追加的なフィルターセグメントを備える複数構成要素のフィルターであってもよい。繊維質のフィルタートウ、くぼみフィルターセグメント、管状フィルターセグメント、および流量制限器セグメントを含むがこれらに限定されない、様々な好適なフィルターセグメントが、当業者には周知であろう。フィルターセグメントのうちの1つ以上は、追加的な風味材料、吸収材材料、または風味材料と吸収材材料との組み合わせを備える場合がある。
【0107】
本発明の実施例のある特定の好ましい実施形態では、風味放出構成要素は、酢酸セルローストウなどの繊維質の濾過材料のセグメント内に組み込まれる。かかる実施形態では、組み立てられたフィルター内に風味送達材料がセグメント内部に埋め込まれるように、フィルターセグメントの製造中に繊維質の濾過材料を通して1つ以上の風味放出構成要素が分散されるのが好ましい。フィルターおよびフィルター内の風味放出構成要素の圧縮に際して、風味組成物は周囲の繊維質の濾過材料中に放出される。有利なことに、風味組成物が1つ以上の液体脂肪などの液体賦形剤を含む場合、風味組成物は、上述の通り、風味送達材料からの放出に際して繊維質の濾過材料中に容易に分散される。これによって風味組成物は、濾過材料の繊維を覆い、煙中への風味剤の移動を最適化する。
【0108】
本発明の代替的な実施形態では、風味放出構成要素はフィルター内のくぼみの中に組み込まれる。例えば、風味放出構成要素は、2つのフィルタープラグの間のくぼみの中に組み込まれてもよく、くぼみはフィルターを包囲するフィルターラッパーによって画定される。
【0109】
フィルター内の風味放出構成要素は、フィルターを囲む包装材料の1つ以上の層を通して消費者に見えるのが好ましい。フィルター材料を見ることができるフィルターを提供するための好適な配置は、当業者には周知であろう。
【0110】
上述の通り、風味放出構成要素の形態は変化する場合がある。本発明による喫煙物品またはフィルターに組み込むのに好適な形態としては、ビーズ、糸、シート、または薄片が挙げられるが、これらに限定されない。風味放出構成要素はビーズの形態であるのが好ましく、これは丸みのあるものが好ましく、実質的に円筒形または球体であるのが特に好ましい。
【0111】
風味放出構成要素の幅は、約1mmより大きくてもよく、約2mmより大きいのが好ましく、そして約3mmより大きいのがより好ましい。別の方法としてまたは追加的に、風味放出構成要素の幅は約8mmより小さくてもよく、約6mmより小さいのが好ましく、約4mmより小さいのがより好ましい。風味放出構成要素の幅は約1mm〜約8mmであるのが好ましく、約2mm〜約6mmであるのがより好ましく、約3mm〜約4mmであるのがさらにより好ましい。
【0112】
風味放出構成要素の「幅」は、風味放出構成要素の横断断面の最大寸法に対応し、ここで横断断面は、喫煙物品に組み込まれることを意図して配置した時に風味放出構成要素を横切って切断した平面によって生成される最大の断面であり、この平面は実質的に喫煙物品の長軸方向と直角をなす。実質的に球状のビーズについては、ビーズの幅は、実質的にビーズの直径に対応する。
【0113】
単一の風味放出構成要素が喫煙物品内に提供される場合があり、または複数の風味放出構成要素、例えば2つ以上、3つ以上、または4つ以上の風味放出構成要素が提供される場合がある。複数の風味放出構成要素が提供される場合、風味放出構成要素は、喫煙物品に沿って間隙を介していてもよく、または喫煙物品の1つ以上の特定の領域内、例えばフィルターの中に配置されていてもよい。風味送達材料の1つ以上の風味放出構成要素を、物体をフィルターまたはたばこロッドの中に挿入するための周知の装置および方法を使用して、本発明による喫煙物品に挿入することができる。
【0114】
風味送達材料は、望ましい場合には、着色料を含めることで色付きとしうる。風味放出構成要素が組み込まれる喫煙物品の構成要素中の材料の色に似るように、材料の色を調節するために着色料が風味送達材料に組み込まれるのが好ましい。例えば、風味放出構成要素が喫煙物品のたばこロッドに組み込まれる場合、風味送達材料の色は茶色または緑色であってもよい。従って、風味放出構成要素のたばこロッド内での視認性が低い。
【0115】
本発明による喫煙物品は各々、本明細書に記述する風味送達材料のいずれかを約1mgより多く含んでもよく、約3mgより多く含むのが好ましい。別の方法としてまたは追加的に、各々の喫煙物品は、本明細書に記述する風味送達材料のいずれかを約20mg未満含んでもよく、約12mg未満含むのが好ましく、約8mg未満含むのがより好ましい。各々の喫煙物品は、風味送達材料を約1mg〜約20mg含むのが好ましく、約1mg〜約12mg含むのがより好ましく、約3mg〜約8mg含むのが最も好ましい。
【0116】
本発明による喫煙物品の全長は、約70mm〜約128mmであるのが好ましく、約84mmであるのがより好ましい。
【0117】
本発明による喫煙物品の外径は約5mm〜約8.5mmとするのが好ましく、スリムサイズの喫煙物品に対しては約5mm〜約7.1mm、または通常サイズの喫煙物品に対しては約7.1mm〜約8.5mmとするのがより好ましい。
【0118】
本発明による喫煙物品のフィルターの全長は、約18mm〜約36mmであるのが好ましく、約27mmであるのがより好ましい。
【0119】
本発明による喫煙物品は、1つ以上の風味剤で被覆された内側ライナー付きの容器内(例えば、軟質パックまたはヒンジ-リッドパック内)に包装してもよい。
【0120】
本発明によると、上述した通り、風味送達材料を製造するための方法も提供される。この方法は、上述の風味剤のうちのいずれかを室温(22℃)で液体である1つ以上の脂肪中に分散させることによって風味組成物を形成する工程と、風味組成物を1つ以上の陰イオン性多糖類、1つ以上の両親媒性多糖類を含むフィラー、および可塑剤を含むマトリクス溶液と混合して、乳濁液を形成する工程と、乳濁液を多価の陽イオンの架橋溶液に添加して、陰イオン性多糖類を架橋させて、風味組成物の複数の領域を含む高分子マトリクスを形成する工程と、を含む。
【0121】
風味剤は、室温(22℃)で1つ以上の脂肪と混合して親油性の風味組成物を形成するのが好ましい。次いで、風味組成物は室温(22℃)でマトリクス溶液と混合するのが好ましく、また、混合は高剪断力下で、例えば、剪断レートが100s
-1の剪断ミキサーで実施するのが好ましい。混合物はこの工程の間は加熱されないが、かけられた剪断力の結果として混合物の温度は上昇する場合がある。温度は約50℃より高く上昇しないのが好ましい。
【0122】
マトリクス溶液は、1つ以上の陰イオン性多糖類および1つ以上の両親媒性多糖類の親水性の水溶液を含むのが好ましい。マトリクス溶液は、約5重量パーセント以下の陰イオン性多糖類を含有するのが好ましい。マトリクス溶液は、約2重量パーセント〜約5重量パーセントの陰イオン性多糖類を含有するのが特に好ましい。マトリクス溶液は、約4重量パーセント以下の両親媒性多糖類を含有するのが好ましい。マトリクス溶液は、0.5重量パーセント〜4重量パーセントの両親媒性多糖類を含有するのが特に好ましい。マトリクス溶液は、上述した通り、追加的に約1重量パーセント以下の可塑剤を含むのが好ましい。マトリクス溶液は、約0.1重量パーセント〜約0.8重量パーセントの可塑剤を含むのが特に好ましい。
【0123】
親油性の風味組成物および親水性のマトリクス溶液を混合して約15重量パーセント〜約35重量パーセントの風味組成物を含む乳濁液を形成するのが好ましく、約20重量パーセント〜約30重量パーセントの風味組成物を含むのがより好ましい。
【0124】
乳化中に、両親媒性多糖類は乳化剤として作用し、両親媒性多糖類の親水性の部分が親水性のマトリクス溶液と相互作用し、両親媒性多糖類の疎水性の部分が親油性の風味組成物と相互作用する。
【0125】
乳濁液は、多価の陽イオン架橋溶液と、約5℃〜約15℃の温度で接触するのが好ましい。架橋溶液は、およそ5重量パーセントの多価の陽イオンの水溶液であるのが好ましい。架橋溶液は、カルシウム塩溶液、例えば、塩化カルシウム溶液であるのが特に好ましい。乳濁液は、約5分〜約15分の間、架橋溶液と接触したままであるのが好ましく、約8分〜約12分の間接触したままであるのがより好ましい。時間の長さは、所望の架橋結合の程度および所望の高分子マトリクスの硬さに依存して選択されてもよい。架橋結合の工程中、両親媒性多糖類の架橋結合はほとんどまたは全くない。
【0126】
架橋結合の工程中、両親媒性多糖類は、乳濁液の表面から乳濁液の内部への多価の陽イオンの移動を減速するように作用することがわかっている。これは、乳濁液の外側領域でより高いレベルの架橋結合が発生し、それによって、上記で考察した通り、乳濁液の外側領域とコア領域との間でのカルシウムイオン濃度の勾配が強化されることを意味する。
【0127】
架橋結合の後、結果として生じる風味送達材料は、例えば、ふるいまたは類似の装置を使用して架橋溶液から除去される。次いで、風味送達材料は、すすぎ洗いして表面から架橋溶液を除去してから乾燥させるのが好ましい。乾燥は、例えば高温空気流を含む任意の好適な手段を使用して実施してもよい。所望により真空下で乾燥を実施してもよい。
【0128】
架橋溶液に加える前に、風味組成物およびマトリクス溶液の乳濁液は、風味送達材料の所望の形態に応じて様々な形状に形成してもよい。例えば、乳濁液を、材料の糸、ビーズ、または小滴を製造するために円筒形または球形に形成してもよい。これは、好適な押出または球形化の技法を使用して実施される場合がある。別の方法として、乳濁液はシートに成形するか、細片または薄片へと切断するか、または細長いフィラメントまたは糸に引き出してもよい。
【0129】
例証としてのみであるが、添付図面を参照しながら本発明をさらに説明する。
【0130】
本発明によるフィルター紙巻たばこの側面図を示す
図1は、たばこロッドの中に風味送達材料を備える。
【0131】
図1に示すフィルター紙巻たばこ10は、軸方向に整列された細長い円筒形フィルター14の一方の端に取り付けられた、細長い円筒形の包まれたたばこロッド12を備える。フィルター14は、酢酸セルローストウの単一のセグメントを含む。包まれたたばこロッド12とフィルター14とは、チッピングペーパー16によって従来的な方法で結合され、このチッピングペーパーがフィルター14の全長と包まれたたばこロッド12の隣接部分とを囲む。周囲空気を包まれたたばこロッド12の燃焼中に発生した主流煙と混合するため、複数の環状穿孔18が、フィルター14に沿った場所にチッピングペーパー16を通して提供される。
【0132】
上述のような徐放性のある風味送達材料で形成された単一風味のビーズ20が、フィルター14内の中央に提供された。風味ビーズ20は、4mm程度の直径を有する。ビーズ20内の風味送達材料は、約5ニュートン〜約10ニュートンの力を用いた材料の圧縮に際して放出されるメントール風味剤を含む風味組成物を組み込む。圧縮後、喫煙中に煙がフィルターを通過するのに伴い、主流煙の中に放出するためにメントールの風味剤を使用できるようになる。
【0133】
風味送達材料から放出される風味組成物の量はかけられた圧縮力に依存し、これによりフィルターにかけられる圧力の制御を通して風味強度を制御することができる。メントール風味の破裂を提供するために、風味ビーズを喫煙の前または喫煙中に1回以上圧縮することができる。
【0134】
ビーズを形成するための風味送達材料に対する好適な処方および風味送達材料を形成するためのプロセスの実施例を以下に説明する。
【0135】
実施例1
風味送達材料は、マトリクスを通して分散したメントール風味組成物の複数の領域を有する、架橋結合したアルギネートマトリクスを含む。風味送達材料を生産するために、まずメントール風味組成物を以下の構成成分の混合物から形成する。
【0136】
磁気撹拌を用いて30℃の温度で20分間、混合を行った。
【0137】
次いで、以下の構成成分の混合物からマトリクス溶液を形成した。
【0138】
両親媒性多糖類フィラーとして、OSA修飾トウモロコシデンプンHI−CAP(商標)100(National Starch&Chemical(英国、Manchester)から市販されている)を使用した。HI−CAP(商標)100は、モチトウモロコシ由来のOSA修飾デンプンである。OSAによって付与される疎水性特性および立体的特性に起因して、HI−CAP(商標)100は、Merizet(登録商標)100デンプン(Tate&Lyleから市販されている)などの天然のデンプンとは構造的に著しく異なり、そしてそれに応じて異なる化学的物理的特性(特に界面特性およびレオロジー特性を含む)を示す。
【0139】
混合は、毎分1500回転で30℃未満の温度で運転されるマリンインペラを用いて実施される。混合は30分間継続する。
【0140】
次いで、30%(w/w)の風味組成物と70%(w/w)のマトリクス溶液とを用いて溶液を形成する。この溶液はKinematicaから入手可能なPolytron 3100Bなどの剪断ミキサーの中で混合される。溶液は、15000〜20000RPMで高剪断を受け、同時に混合物は52〜55℃の温度に維持される。混合を3〜4分間継続し、風味組成物のマトリクス高分子溶液中の乳濁液を製造し、その中で風味組成物液滴のサイズが約10〜50マイクロメートル未満に減少される。
【0141】
次いで、乳濁液を以下の組成の架橋溶液に添加して、複数の領域を有する高分子マトリクスを形成する。
【0142】
架橋溶液槽中に乳濁液を滴下し、ビーズの形態の風味送達材料を形成する。蠕動ポンプを使用してノズルを通して乳濁液を一滴ずつ添加する。乳濁液は、5ミリメートルのノズルを通して毎時500グラムの流量で滴下された。このプロセスは室温で実施され、架橋溶液槽は磁気ミキサーを毎分100回転の速さで使用して撹拌された。乳濁液および架橋溶液を10分間反応させた。
【0143】
次いで、架橋溶液からビーズを除去し、脱イオン水中で洗い、その後少なくとも360分の間、約25℃の温度の乾燥空気流中で乾燥した。
【0144】
各乾燥した風味材料のビーズの数平均重量は、29.1ミリグラムであり、そして各ビーズの数平均直径は3.94ミリメートルである。各ビーズの平均含水率は約4重量パーセント〜約6重量パーセントであり、そして各ビーズの平均メントール含有率はおよそ20〜25重量パーセントである。
【0145】
上記の方法に従って製造したビーズのうちの1つの閉じたマトリクス構造中のカルシウム陽イオンの濃度勾配を、以下の方法を使用して測定した。
【0146】
先ずビーズをTissue Tek(登録商標)樹脂の中に埋め込み、そして−10℃の温度まで冷凍した。1mmの断面を有するビーズのコアを、Harrisユニコア使い捨てキットを用いて直径に沿って取った。ビーズから抽出したコアを、Tissue Tek(登録商標)の中に埋め込み、そして再度冷凍した後、Reichert−Yung Autocut 1150ミクロトームのカスタマイズしたコールドステージの上に移し、ここでコアを125マイクロメートルの間隙を介した間隔で垂直に切断して複数の切片を形成した。次いで各切片をTissue Tek(登録商標)の冷凍シリンダーの中に移し、切片の中のカルシウムイオン濃度の分析のために質量分析計に供した。
【0147】
コアの外側250マイクロメートルから取った切片の中で測定された最高カルシウム濃度は、ビーズの質量中心から500マイクロメートル延在するコアの部分から取った切片の中で測定された最高濃度のおよそ1.6倍だった。
【0148】
ビーズのうちの1つへの圧縮力の適用に際して、外側領域中の高分子マトリクスが破壊すると、最初ビーズにひびが入り、その後高分子マトリクスの中から風味組成物を放出し始めることがわかった。従って、風味組成物の放出についての可聴での表示が検出された。外側領域での高分子マトリクスの破壊に続いて、少なくとも5ニュートンの力の範囲にわたってビーズが風味組成物の徐放を提供することがわかった。