(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6703488
(24)【登録日】2020年5月12日
(45)【発行日】2020年6月3日
(54)【発明の名称】転がり軸受要素を潤滑化するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
F16C 33/66 20060101AFI20200525BHJP
F16C 19/06 20060101ALI20200525BHJP
F16C 33/38 20060101ALI20200525BHJP
【FI】
F16C33/66 Z
F16C19/06
F16C33/38
【請求項の数】18
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-557036(P2016-557036)
(86)(22)【出願日】2015年3月6日
(65)【公表番号】特表2017-508929(P2017-508929A)
(43)【公表日】2017年3月30日
(86)【国際出願番号】US2015019173
(87)【国際公開番号】WO2015138238
(87)【国際公開日】20150917
【審査請求日】2018年3月6日
(31)【優先権主張番号】14/203,313
(32)【優先日】2014年3月10日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】511077292
【氏名又は名称】ユニバーサル シティ スタジオズ リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】ヴァンス エリック エイ
(72)【発明者】
【氏名】キドー マイケル ロイ
【審査官】
増岡 亘
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第2647807(US,A)
【文献】
特開2003−49872(JP,A)
【文献】
実開昭52−125660(JP,U)
【文献】
特開平11−218144(JP,A)
【文献】
米国特許第3006447(US,A)
【文献】
米国特許出願公開第2006/0219494(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16C 33/66
F16C 19/06
F16C 33/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
転がり軸受要素アセンブリの軸受システム軸の周りの回転要素の振動運動を可能にするように構成され、1つの内輪と、1つの外輪と、該内輪の又は該外輪の接触面と、該内輪及び外輪間に1列に配置された複数の転がり軸受要素と、該転がり軸受要素が該軸受システム軸の周りに周方向に離間するように該転がり軸受要素を保持するように構成された軸受ケージとを含む転がり軸受要素アセンブリと、
前記軸受ケージに固定されて前記接触面とのバネ荷重インデキシング要素の係合を通じて前記軸受システム軸の周りの該軸受ケージの回転を可能にするように構成され、前記回転要素が該軸受システム軸の周りを第1の方向に回転している時に該接触面との該係合を確立するように構成され、かつ該回転要素が該軸受システム軸の周りを該第1の方向と反対の第2の方向に回転する時に該接触面に沿って摺動するように構成され、前記第1の方向に沿って転がり軸受け要素アセンブリの潤滑化を可能とするように、前記第2の方向に前記軸受ケージの回転に抵抗するように構成されたバネ荷重インデキシング要素と、
を含み、
前記内輪、前記外輪、及び前記複数の転がり軸受要素の組は、前記転がり軸受要素アセンブリに対して1組のみであることを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記回転要素は、該回転要素が前記振動運動を前記内輪に付与するように該内輪に結合され、
前記内輪は、前記接触面を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記回転要素は、該回転要素が前記振動運動を前記外輪に付与するように該外輪に結合され、
前記外輪は、前記接触面を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記インデキシング要素及び前記接触面は、該インデキシング要素及び該接触面の間の摩擦力が該インデキシング要素及び該接触面を係合状態に保持するように構成されることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記接触面は、ラチェット歯を含むことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記インデキシング要素は、前記軸受ケージに回転可能に結合された前縁と、前記回転要素が前記第1の方向に回転している時に前記接触面と係合するように構成された後縁とを含むことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記転がり軸受要素アセンブリは、密封された転がり軸受アセンブリを含むことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
軸受システムであって、
軸受システム軸と位置合わせされて配置された1つの外輪と、
前記外輪と同心であり、かつ該外輪の内径よりも小さい外径を有する1つの内輪と、
前記内輪又は前記外輪のうちの一方に結合された回転要素と、
前記内輪及び前記外輪の間に1列に配置され、かつそれらと転がり接触する複数の転がり軸受要素と、
前記複数の転がり軸受要素に結合され、該複数の転がり軸受要素を前記軸受システム軸の周りに周方向に離間して保つように構成された軸受ケージと、
前記軸受ケージに回転可能に結合された第1の端部と前記内輪又は前記外輪の接触面に接触する第2の端部とを有するバネ荷重インデキシング要素と、
を含み、
前記内輪、前記外輪、及び前記複数の転がり軸受要素の組は、前記転がり軸受要素アセンブリに対して1組のみであり、
前記インデキシング要素は、前記回転要素が第1の方向に回転している時に前記軸受システム軸の周りの該第1の方向の前記軸受ケージの回転を可能にするために前記第2の端部を通じて前記接触面と係合するように構成され、
前記インデキシング要素の前記第2の端部は、前記軸受システム軸の周りの前記第1の方向とは反対の第2の方向の前記軸受ケージの回転に対して前記回転要素が該第2の方向に回転している時に抵抗するように前記接触面に沿って摺動するように構成され、前記第1の方向に沿って軸受けシステムの潤滑化を可能とするように、前記第2の方向に前記軸受ケージの回転に抵抗するように構成される、
ことを特徴とする軸受システム。
【請求項9】
前記インデキシング要素の前記第2の端部と前記接触面の間の摩擦力が、前記回転要素が前記第1の方向に回転している時に該インデキシング要素の該第2の端部を該接触面と係合させ、それによって該第1の方向の前記軸受ケージ及び前記複数の転がり軸受要素の回転を引き起こすことを特徴とする請求項8に記載の軸受システム。
【請求項10】
前記接触面は、ラチェット歯を含み、
前記インデキシング要素は、前記回転要素が前記第1の方向に回転している時に前記歯と連結し、それによって前記軸受ケージの該第1の方向の回転を引き起こすようにバネ荷重される、
ことを特徴とする請求項8に記載の軸受システム。
【請求項11】
各々が前記軸受ケージに結合され、かつ前記軸受システム軸の周りに周方向に配置された複数のバネ荷重インデキシング要素を含むことを特徴とする請求項8に記載の軸受システム。
【請求項12】
前記インデキシング要素は、非対称形状を含み、
前記第1の端部は、丸い前縁を含み、前記第2の端部は、前記内輪と係合するように構成された後縁を含む、
ことを特徴とする請求項8に記載の軸受システム。
【請求項13】
前記回転要素は、前記内輪に結合され、
前記内輪は、前記接触面を含む、
ことを特徴とする請求項8に記載の軸受システム。
【請求項14】
前記回転要素は、前記外輪に結合され、
前記外輪は、前記接触面を含む、
ことを特徴とする請求項8に記載の軸受システム。
【請求項15】
転がり軸受要素アセンブリを通じて軸受システム軸の周りのかつ静止要素に対する回転要素の振動回転を容易にする段階であって、該転がり軸受要素アセンブリが、該回転要素に結合された1つの内輪と、該静止要素に結合された1つの外輪と、該内輪及び外輪間に1列に配置された複数の転がり軸受要素とを含む前記容易にする段階と、
前記回転要素が前記軸受システム軸の周りを第1の方向に回転する時に前記転がり軸受要素が該軸受システム軸の周りを該第1の方向に回転することを可能にする段階と、
前記第1の方向に沿って軸受けシステムの潤滑化を可能とするように、前記回転要素が前記軸受システム軸の周りを第2の方向に回転する時に該第2の方向の該軸受システム軸の周りの前記転がり軸受要素の回転に抵抗する段階と、
を含み、
前記内輪、前記外輪、及び前記複数の転がり軸受要素の組は、前記転がり軸受要素アセンブリに対して1組のみであることを特徴とする方法。
【請求項16】
前記転がり軸受要素が前記軸受システム軸の周りを前記第1の方向に回転することを可能にする段階は、前記回転要素が該第1の方向に回転する時に該転がり軸受要素に結合されたバネ荷重インデキシング要素を前記内輪の接触面と係合させる段階を含み、
前記転がり軸受要素が前記第2の方向に回転することを阻止するか又はそれに抵抗する段階は、前記回転要素が該第2の方向に回転する時に前記インデキシング要素に対して前記内輪の前記接触面を摺動させる段階を含む、
ことを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記転がり軸受要素が前記軸受システム軸の周りを前記第1の方向に回転することを可能にする段階は、前記回転要素が該第1の方向に回転する時に前記転がり軸受要素に結合されたバネ荷重インデキシング要素を前記外輪の接触面と係合させる段階を含み、
前記転がり軸受要素が前記第2の方向に回転することを阻止するか又はそれに抵抗する段階は、前記回転要素が該第2の方向に回転する時に前記インデキシング要素に対して前記外輪の前記接触面を摺動させる段階を含む、
ことを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記回転要素が前記第1の方向に回転する時に前記転がり軸受要素を前記内輪と係合させる段階と、該回転要素が前記第2の方向に回転する時に該転がり軸受要素が該内輪に対して摺動することを可能にする段階とを含むことを特徴とする請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の開示は、一般的に、回転構成要素に関し、詳細には、振動運動にある転がり軸受要素を潤滑化するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
機械的軸受は、遊園地、製造、自動車、コンピュータハードウエア、及び産業オートメーションなどを含む広範な産業にわたって回転する機器を支持するために使用される。軸受システムは、典型的に、回転構成要素(例えば、シャフト)と静止構成要素(回転構成要素に対して一般的に静止した構成要素)の間の摩擦を最小にするように潤滑化される1又は2以上の回転構成要素を使用する。例えば、転がり軸受要素アセンブリは、多くの場合に、回転構成要素と静止構成要素の間に着座した複数の転がり軸受要素を含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
軸受システムは、それらが適切に潤滑化された時により効率的に作動する。へこみ又は他の変形が軸受、静止構成要素、及び回転構成要素上に形成するのを防ぐことを助けるために、オイル又はグリースが軸受に塗布される。このような変形は、軸受システム及びそれらが支持するより大きな機械システムの非効率的な作動をもたらす可能性がある。連続的に回転する軸受を有する軸受システムでは、潤滑剤が軸受システムに塗布された状態で、システム内の軸受は、システム全体を通して潤滑剤を機械的に塗布かつ分配する。しかし、回転構成要素が振動性の及び/又は非常に小さい回転を受ける軸受システムでは、軸受が潤滑剤を適切に分配できない場合があることが現在認識されている。すなわち、振動運動を容易にする軸受システムを潤滑化するための改良された方法に対する必要性が存在することが現在認識されている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の開示の一態様によれば、システムは、静止要素に対する回転要素の回転を可能にするように構成された転がり軸受要素アセンブリを含み、その回転は転がり軸受要素アセンブリの軸受システム軸の周りである。転がり軸受アセンブリは、内輪と、外輪と、内輪と外輪間に配置された複数の転がり軸受要素と、転がり軸受要素間隔を維持するための転がり軸受要素ケージとを含む。転がり軸受要素アセンブリは、回転要素が軸受システム軸の周りを第1の方向に回転する時に転がり軸受要素が軸受システム軸の周りを第1の方向に回転し、かつ回転要素が軸受システム軸の周りを第1の方向と反対の第2の方向に回転する時に転がり軸受要素の軸受システム軸の周りの回転が抵抗を受けるか又は阻止されるように、静止要素に対する回転要素の振動運動を容易にするように構成される。
【0005】
本発明の開示の別の態様によれば、軸受システムは、軸受システム軸に位置合わせして配置された外輪と、外輪と同心で外輪の内径よりも小さい外径を有する内輪とを含む。内輪は、軸受システム軸の周りを外輪に対して回転するように構成される。軸受システムはまた、内輪と外輪の間にそれらと転がり接触状態で配置された複数の転がり軸受要素と、複数の転がり軸受要素に結合された軸受ケージとを含む。軸受ケージは、複数の転がり軸受要素を軸受システム軸の周りに周方向に離間して保つように構成される。軸受システムは、更に、軸受ケージに回転可能に結合された第1の端部と内輪の接触面に接触する第2の端部とを有するバネ荷重インデキシング要素(例えば、輪止め)を含む。インデキシング要素は、内輪が第1の方向に回転している時に軸受システム軸の周りの第1の方向の軸受ケージの回転を可能にするために第2の端部を通じて内輪と係合するように構成された摩擦又は連結機構である。インデキシング要素は、内輪が第1の方向とは反対の第2の方向に回転している時に内輪の接触面に対して摺動して軸受システム軸の周りの第2の方向の軸受ケージの回転を阻止するか又はそれに抵抗するように構成される。
【0006】
本発明の実施形態はまた、滑り軸受アセンブリを潤滑化する方法を提供する。本方法は、転がり軸受要素アセンブリを通じて軸受システム軸の周りのかつ静止要素に対する回転要素の振動回転を容易にする段階を含む。転がり軸受要素アセンブリは、回転要素に結合された内輪と、静止要素に結合された外輪と、内輪と外輪間に配置された複数の転がり軸受要素とを含む。本方法は、回転要素が軸受システム軸の周りを第1の方向に回転する時に軸受システム軸の周りに第1の方向に回転するローラー要素軸受の本来の運動を可能にする段階を含む。これに加えて、本方法は、回転要素が軸受システム軸の周りを第2の方向に回転する時に第2の方向の軸受システム軸の周りのローラー要素軸受の回転を阻止するか又はそれに抵抗する段階を含む。
【0007】
本発明の開示のこれら及び他の特徴、態様、及び利点は、その全体を通して同様の文字が同様の部分を表す添付図面を参照して以下の詳細説明を読む時により良く理解されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の技術の実施形態に従って振動運動中に潤滑化を与えるように構成された転がり軸受要素アセンブリの正面図である。
【
図2】本発明の技術の実施形態による
図1の転がり軸受要素アセンブリの斜視断面図である。
【
図3】本発明の技術の実施形態による
図1の転がり軸受要素アセンブリの半径方向断面図である。
【
図4】本発明の技術の実施形態による密封された転がり軸受要素アセンブリの半径方向断面図である。
【
図5】本発明の技術の実施形態による
図1の転がり軸受要素アセンブリの概略正面図である。
【
図6】本発明の技術の実施形態に従って振動運動中に転がり軸受アセンブリを潤滑化する方法の工程流れ図である。
【
図7】本発明の技術の実施形態に従って振動運動中に潤滑化を与えるように構成された円筒形滑り軸受アセンブリの分解斜視図である。
【
図8】本発明の技術の実施形態に従って振動運動中に潤滑化を与えるように構成された円筒形滑り軸受アセンブリの分解斜視図である。
【
図9】本発明の技術の実施形態に従って振動運動中に潤滑化を与えるように構成された円筒形滑り軸受アセンブリの分解斜視図である。
【
図10】本発明の技術の実施形態に従って振動運動中に潤滑化を与えるように構成された球形滑り軸受アセンブリの分解斜視図である。
【
図11】本発明の技術の実施形態に従って振動運動中に滑り軸受アセンブリを潤滑化する方法の工程流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の開示の実施形態は、振動運動において回転要素(例えば、シャフト)を支持するように構成された転がり軸受要素アセンブリの内部にある転がり軸受要素を潤滑化するためのシステム及び方法に向けられる。転がり軸受要素アセンブリは、内輪、外輪、及びそれらの間に配置された複数の転がり軸受要素を含む。内輪及び外輪は、互いと及び支持される回転機器と同心に位置合わせされた環状ディスクとすることができる。転がり軸受要素は、内輪と外輪間の環状容積内に配置された軸受ケージによって軸受システム軸の周りに周方向に離間される(例えば、等間隔の角度で位置決めされる)。転がり軸受要素アセンブリは、一般的に、回転機器が軸受システム軸の周りを第1の方向に回転する時に、その周方向に離間した転がり軸受要素も軸受システム軸の周りを第1の方向に回転するように構成される。しかし、回転機器が第1の方向とは反対の第2の方向に回転する時には、転がり軸受要素アセンブリは、転がり軸受要素が軸受システム軸の周りを第2の方向へ回転することを阻止するか又はそれに抵抗する。具体的には、転がり軸受要素は、それ自体の軸の周りに回転することができ、かつ回転機器が第2の方向に回転する時に軸受システム軸の周りを第2の方向に僅かに回転するように摺動することさえ可能である。しかし、この回転の距離は、転がり軸受要素の第1の方向への回転と比較すると無視することができる程度とすることができる。従って、回転機器が振動する時に、内外輪間に配置された転がり軸受要素は、全体として軸受システム軸の周りを単一方向に移動する。
【0010】
本発明の開示の実施形態は、振動を受け入れるために転がり軸受要素自体が軸受システム軸の周りを振動するのを可能にするシステムと比べて、内輪及び外輪と転がり軸受要素の間の潤滑剤(例えば、オイル、グリースなど)の分配及び再塗布を相対的に増加させることができる。転がり軸受要素が内輪及び外輪間を前後に振動することを許容する従来の転がり軸受要素システムは、非効率的な軸受作動をもたらすある一定の困難に遭遇する場合があることが現在認識されている。例えば、軸受システム軸の周りの回転機器の回転角度が小さい場合に、転がり軸受要素は、隣接する転がり軸受要素からの残りの潤滑剤を拾って再分配するのに十分なほど軸受アセンブリの周りを遠くに移動することができない。これは、転がり軸受要素の潤滑不良と転がり軸受要素アセンブリの非効率的な作動とをもたらす可能性がある。本発明の開示の実施形態は、上述の振動運動の代わりに、軸受システム軸の周りの単一回転方向だけに軸受の運動を容易にする完全に機械的な構成要素を含み、それによって軸受システムの全体を通して潤滑剤の機械的な塗布を増加させる。
【0011】
図1は、取り付けられた回転機器の振動運動を軸受アセンブリに配置された転がり軸受要素12の一方向性運動に移すこのような軸受アセンブリ10の概略図である。図示の軸受アセンブリ10は、内輪14、外輪16、内外輪14及び16間に配置された複数の転がり軸受要素12、軸受ケージ18、及び複数のインデキシング要素(例えば、輪止め20)を含む。軸受アセンブリ10の全体は、軸受システム軸22の周りに同心円状に配置される。
【0012】
一部の実施形態において、内輪14は、転がり軸受要素アセンブリ10の作動中に回転するシャフトのような回転機器に結合され、外輪16は、回転機器を支持するために使用される固定機器に結合される。以下の説明は、一般的に、内輪14に結合された回転機器によって駆動される軸受アセンブリ10に着目しているが、他の実施形態において、転がり軸受要素アセンブリ10が外輪16に結合された回転機器によって駆動される場合があることに注意しなければならない。
【0013】
内輪14と外輪16間に配置された転がり軸受要素12は、玉軸受(1列又は2列に配置された)、円筒軸受(例えば、ピン)、先細ローラー軸受、針状ローラー軸受、球面ローラー軸受、及び転がり軸受要素アセンブリ10の内輪及び外輪間に配置するように構成されたいずれかの他のタイプの転がり軸受要素12を含むことができる。使用される転がり軸受要素12のタイプは、転がり軸受要素アセンブリ10への予期される荷重に基づいて決定することができる。転がり軸受要素アセンブリ10内にあらゆる望ましい数の転がり軸受要素12を位置決めすることができる。
【0014】
転がり軸受要素アセンブリ10の様々な構成を異なる実施形態でも同様に使用することができる。例えば、開示する転がり軸受要素アセンブリ10は、半径方向負荷構成(例えば、回転軸を支持する)又はスラスト負荷構成(例えば、垂直方向に位置合わせした回転機器)に使用することができる。転がり軸受要素アセンブリ10は、振動運動中及び転がり軸受要素アセンブリ10の事前負荷中に内外輪14及び16間の転がり軸受要素12の一方向性回転を容易にすることができる。
【0015】
図1で線として示す軸受ケージ18は、転がり軸受要素12間を延びて転がり軸受要素12の全てに結合するあらゆる望ましい構造を含むことができる。軸受ケージ18は、転がり軸受要素12を軸受システム軸22の周方向に位置決めされた状態に保ちながら、軸受ケージ18に対する転がり軸受要素12の回転を可能にすることができる。それによって軸受アセンブリ10が回転機器により駆動される際に、その内部で均衡のとれた力の分布を容易にすることができる。図示の実施形態において、複数の輪止め20が軸受ケージ18に結合している。あらゆる望ましい数の輪止め20を軸受アセンブリ10の周方向に位置決めすることができることに注意しなければならない。各輪止め20は、第1の端部24で軸受ケージ18に回転可能に結合し(例えば、ピン23により)、かつ第1の端部24の反対側の第2の端部26では従動輪(例えば、内輪)に係合するように構成することができる。輪止め20は、この回転性結合の周りを特定方向に回転するようにバネ荷重することができる。図示の実施形態において、例えば、第2の端部26を内輪14との係合状態に維持するために、輪止め20は、回転性結合(例えば、ピン23)の周りを反時計回りに回転するようにバネ荷重することができる。一部の実施形態において、輪止め20は、各々が回転性結合の周りで輪止めにバネ荷重するために不可欠なバネ機構を含む。別の実施形態において、輪止め20の各々は、輪止め20に結合した別々のバネによってバネ荷重することができる。
【0016】
用語「輪止め」は、バネ荷重されて軸受アセンブリ10の別の構成要素の少なくとも1つの接触面と接するように成形された非対称形状のインデキシング要素を指すことができる。図示の実施形態は、いくつかの非対称な(例えば、涙の滴)形状の輪止め20を含み、各々は、第1の端部24に丸い前縁と第2の端部に先細の後縁とを有する。後縁は、具体的には、歯と連結するように又は輪止め20と輪止め接触面の間の摩擦力を増大させるように成形することができる。1又は2以上の輪止め20を使用して転がり軸受要素アセンブリ10の構成要素をインデキシングするように示すが、別の実施形態ではあらゆる他の望ましいバネ荷重インデキシング要素を使用することができることに注意しなければならない。
【0017】
図示の軸受アセンブリ10は、従動内輪14の回転方向にかかわらず、転がり軸受要素12が軸受システム22の周りを一方向に回転すること可能にすることができる。具体的には、内輪14が矢印28(例えば、時計回り)で示される第1の方向に回転する時に、輪止め20は、内輪14の接触面と係合する。本発明の開示の実施形態において、輪止め20はバネ荷重とすることができる。より詳細には、バネ又は他の付勢特徴部が接触面に対して各輪止め20を付勢し、摩擦力は、輪止め20、取り付けた軸受ケージ18、及び転がり軸受要素12を同様に第1の方向28への回転状態にロックする。内輪14が軸受システム軸22の周りを第1の方向28と反対の第2の方向(例えば、反時計回り)に回転する時には、内輪14は、輪止め20を摺動して通り過ぎる。輪止め20は、具体的には、輪止め20及び内輪14間の摩擦力を最小にするように成形することができ、それによって一方向に内輪14及び輪止め20間の滑り運動かつ反対方向に輪止め20及び内輪14間の摩擦の増大を可能にする。一部の実施形態において、以下で説明するように、輪止め20及び輪止め20が係合する接触面は、一方向性係合を与えるために能動連結(例えば、ラチェット)機構を含むことができる。
【0018】
図2は、
図1の転がり軸受要素アセンブリ10の実施形態の斜視断面図である。図示の実施形態は、ピン23によって軸受ケージ18に回転可能に結合された輪止め20の配置を示している。軸受ケージ18は、内輪14及び外輪16間の環状領域の周囲全体に沿って延びることができる。図示の実施形態において、軸受ケージ18は、転がり軸受要素12を軸受システム軸22の周方向に離間して保つために、転がり軸受要素12を取り囲み、転がり軸受要素12の各隣接対間の空間を埋めるように構成される。
【0019】
図示の実施形態において、内輪14に形成された溝48が輪止め20に対する接触面50を与える。一部の実施形態において、溝48が含まれず、接触面50が内輪14(又は別の実施形態では外輪16)の外側境界と面一である。輪止め20を接触面50に向けて付勢して、内輪14が第1の方向28に回転する際に輪止め20及び接触面50間の摩擦力がこの2つの構成要素を互いに係合状態に保つようにすることができる。一部の実施形態において、接触面50及び輪止め20間の摩擦力を増大させるために接触面50をテクスチャ処理することができる。上述のように、内輪14が反対方向に回転する際に内輪14が輪止め20を摺動して通り過ぎることを可能にするように輪止め20を成形する。
【0020】
内輪14及び外輪16の両方が図示の実施形態ではカラー付きであることに注意しなければならない。すなわち、内輪14及び外輪16の各々は、転がり軸受要素12の両側に溝48を定めるカラーを含む。それによって転がり軸受要素アセンブリ10の様々な構成を受け入れるために、輪止め20/接触面50インタフェースの比較的柔軟な設計を可能にすることができる。例えば、内輪14の代わりに外輪16が駆動される実施形態において、輪止め20は、軸受ケージ18に対して反対方向と回転可能に結合されて、輪止め20が外輪16の溝48の中に延びて外輪16の接触面と係合するようにすることができる。いずれの構成(内輪14従動又は外輪16従動)でも、輪止め20は、内外輪14及び16間の軸受ケージの両側に配置することができる。それによって冗長性と転がり軸受要素アセンブリ10内の内力均衡とを提供することができる。
【0021】
輪止め20及び接触面50の他の変形を別の実施形態に使用することができる。例えば、
図3は、内輪14と軸受ケージ18上に配置された接触面50とに回転可能に結合された輪止め20を特徴とする転がり軸受要素アセンブリ10の実施形態の半径方向断面図を示している。より詳細には、転がり軸受要素アセンブリ10は、内輪14に結合されて外輪16に向けて延びる延長部分56を含むことができる。輪止め20は、ピン58、又は何らかの他の回転可能な結合を通して延長部分56に結合される。これに加えて、外輪16が転がり軸受要素アセンブリ10の駆動部分である実施形態において、輪止め20は、外輪16に取り付けることができることに注意すべきである。
【0022】
更に他の実施形態において、転がり軸受要素アセンブリ10は、
図4に示すように、内輪14(又は外輪16、いずれが駆動されるかに応じて)と共に回転するように構成されたシール60によって密封することができ、輪止め20をシール60の内面に取り付けて軸受ケージ18の接触面50と係合するように構成することができる。図示の実施形態において、2つのシール60が転がり軸受要素アセンブリ10の各側面に1つ含まれる。しかし、別の実施形態において、シール60は、転がり軸受要素アセンブリ10の片側にのみ含まれる。図示の実施形態において、シール60は、内輪14に結合されて外輪16に向けて延びている。しかし、別の実施形態において、これを逆転させることができる。一部の実施形態において、転がり軸受要素アセンブリ10のシール60は、鋼、ワイヤ、ゴム、又はその組合せから製造することができる。更に、一部の実施形態において、一方の輪(例えば、内輪14又は外輪16)から対向する輪(例えば、外輪16又は内輪14)に延びて接触する1又は2以上のシール60を含むことができる。
【0023】
以上のように、転がり軸受要素アセンブリ10の一部の実施形態において、転がり軸受要素12を軸受システム軸22の周りに単一方向に回転させるために能動連結機構を利用することができる。
図5は、転がり軸受要素アセンブリ10のこのような一実施形態を示している。本発明の実施形態において、能動連結機構は、輪止め20とラチェット歯70を備えた接触面50とを含むラチェットアセンブリである。各輪止め20は、輪止め29の第2の端部26を歯70に向けて付勢された状態に保つようにバネ荷重することができるので、内輪14が第1の方向28に回転する時に輪止め20は歯70と係合し、一方では、内輪14が第2の方向30に回転する時に歯70が輪止め20を摺動して通り過ぎることを可能にする
【0024】
上述のように、転がり軸受要素アセンブリ10の他の配置を別の実施形態に使用することができる。例えば、外輪16が回転構成要素によって駆動される実施形態において、歯70を外輪16の面に配置することができ、輪止め20を逆転させて輪止め20の第2の端部が歯70と係合するようにすることができる。更に、別の実施形態において、歯70を軸受ケージ18の面に配置することができ、同時に輪止め20は、内輪14、外輪16、又は従動輪と共に回転するように構成されたシール60に結合することができる。
【0025】
歯70は、望ましい回転用途にふさわしく大きさを決定して内輪14の接触面50の周りに離間させることができる。すなわち、歯70は、内輪14の周りに互いに対して軸受システム軸22に関して特定の度数で配置することができる。度数は修正可能であり、内輪14の半径、外輪16の半径、転がり軸受要素12の半径、及び輪止め20の形状のような転がり軸受要素アセンブリ10内の構成要素の相対的大きさに関連付けることができる。
【0026】
図6は、振動回転用途に使用される転がり軸受要素アセンブリ10を潤滑化する方法90を示している。方法90は、回転要素(例えば、内輪14に結合されたシャフト)の軸受システム軸22の周りの振動回転を容易にする段階(ブロック92)を含む。方法90はまた、回転要素が第1の方向28に回転する時に、転がり軸受要素12が軸受システム軸22の周りを第1の方向28に回転する(固定輪に対する回転により)ことを可能にする段階(ブロック94)を含む。上述のように、この段階は、回転要素が第1の方向に回転する時に軸受ケージ18(及び転がり軸受要素12)に結合されたバネ荷重輪止め20を内輪14の接触面と係合させる段階を伴うことができる。更に、方法90は、回転要素が第2の方向30に回転する時に、転がり軸受要素12が軸受システム軸22の周りを第2の方向に回転することに対して抵抗を与えるか又はそれを阻止する段階(ブロック96)を含む。この段階は、回転要素が第2の方向30に回転する時に、内輪14の接触面14を輪止め20に対して摺動させる段階を伴うことができる。
【0027】
上記に開示する実施形態において、転がり軸受要素12は、回転要素が第2の方向30に回転するのに応じて、第2の方向30に僅かに回転することができることに注意しなければならない。しかし、この回転の距離は、輪止め20及び接触面50により許容される時に転がり軸受要素12の第1の方向28への回転と比較すると無視することができる。更に、転がり軸受要素12自体は、軸受ケージ18及び転がり軸受要素12が軸受システム軸22の周りを回転しているか否か又はどの方向に回転しているかにかかわらず、それ自体の軸の周りに回転することを許される。
【0028】
同様の技術は、シャフト又は他の回転要素の上を直接覆って配置された円筒形滑り軸受を含む軸受システムに適用可能である。一例として、
図7は、円筒形滑り軸受要素の配置を使用してシャフト112がそれを支持する静止構成要素に対して回転することを可能にする滑り軸受アセンブリ110の分解斜視図である。滑り軸受アセンブリ110は、半径方向荷重、スラスト荷重、又はあらゆる他の望ましい軸受構成のために使用することができる。図示の滑り軸受アセンブリ110は、数ある中でも、シャフト112、シャフト112に取り付けられたカラー114、中間円筒形軸受116、及び外部円筒形軸受118を含むことができる。
【0029】
カラー114は、シャフト112の周りに配置されてそれに結合され、カラー114は、シャフト112の周りに配置された中間軸受116に隣接して配置されるように構成される。中間軸受116は、回転するシャフト112と固定機器の間の摩擦を低減するために、回転するシャフト112と固定外部軸受118との間で自由に回転するように構成される。中間軸受116と外部軸受118の間、中間軸受116とシャフト112の間、又はその両方の空間には、グリース又は何らかの他の潤滑剤をポンピングすることができる。シャフト112が振動運動して回転する際に、滑り軸受アセンブリ110は、潤滑剤を軸受要素間に均等に分配された状態に保つために、中間軸受116の軸受システム軸22の周りの一方向性回転を容易にする。
【0030】
転がり軸受要素アセンブリの実施形態に関して上述したように、輪止め20と適切な接触面50の組合せは、回転要素(例えば、シャフト112)の振動回転を軸受構成要素(例えば、転がり軸受要素12又は中間軸受116)の一方向性回転に移すことを可能にすることができる。図示の実施形態において、輪止め20は、シャフト112のカラー114上に配置され、カラー114と回転可能に結合される。輪止め20は、中間軸受116の一部である接触面50と係合するように構成される。図示の実施形態において、接触面50は、輪止め20と接触面50間のラチェット(例えば、連結)係合を与えるための歯70を含む。
図8に示す実施形態のような別の実施形態において、接触面50は比較的平坦な面119とすることができ、この接触面50と輪止め20間の摩擦力が中間軸受116の一方向性回転を与えることができる。
【0031】
図7及び8では、滑り軸受アセンブリ110は、シャフト112が軸受システム軸22の周りを第1の方向28(例えば、時計回り)に回転する時に、輪止め20は接触面50と係合し、中間軸受116に対して、回転するシャフト112と共に第1の方向28に回転するように促すか又はそれを可能にする。シャフト112が軸受システム軸22の周りを第2の方向30(例えば、反時計回り)に回転する時に、輪止め20は接触面50を摺動して通り過ぎ、それによって中間軸受116が回転するシャフト112と共に第2の方向30に回転することを阻止するか又はそれに抵抗する。従って、図示の実施形態は、シャフト112が軸受システム軸22の周りの振動回転を示す間でさえ、中間軸受116の主として第1の方向28への回転を容易にする。
【0032】
滑り軸受アセンブリ110において潤滑剤の分配及び機械的塗布の増加を容易にするために、中間軸受116は、中間軸受116と外部軸受118の間、中間軸受116とシャフト112の間、又はその両方に潤滑剤を分配するように構成された分配特徴部を含むことができる。例えば、図示の実施形態において、中間軸受116はその中に形成された有向流れ溝120を含むが、他のタイプの分配特徴部を別の実施形態に使用することができる。溝120は、一部の実施形態では中間軸受116の中へ途中まで延びることができる。同様の溝120はまた、シャフト112、中間軸受116、及び外部軸受118間の潤滑を提供するために、シャフト112に面する中間軸受116の面に沿って存在することができる。滑り軸受アセンブリ110に対して比較的軽い荷重を有する実施形態において、溝120は、中間軸受116を完全に貫通して延びることができるので、中間軸受116は、円筒形状に配置された段を有する。
【0033】
有向流れ溝120は、具体的には、中間軸受116が第1の方向に回転する際に潤滑剤の塗布を容易にするように成形することができる。図示の実施形態において、例えば、溝120は、湾曲プロファイルを辿り、湾曲プロファイルの凹面側は、中間軸受116が回転するように構成される第1の方向に向いている。別の実施形態において、溝120は、V字形状パターンに類似した「シェブロン形状」に形成することができる。溝120の他の形状及びプロファイルを異なる実施形態に使用して、滑り軸受アセンブリ110で潤滑剤の分配を容易にすることができる。
【0034】
一部の実施形態において、シャフト装着式カラー114と中間軸受116間の主要な輪止め20及び接触面50機構に冗長性を持たせることが望ましい場合がある。
図9は、別の接触面50と係合するように構成された輪止め20の追加の組を含む滑り軸受アセンブリ110の実施形態を示している。より詳細には、シャフト112と中間軸受116間で結合する第1輪止め20及び接触面50は、中間軸受116と外部軸受118間で結合する第2輪止め20及び接触面50によって補完することができる。図示の実施形態において、輪止め20の第2の組は、中間軸受116上に配置されてそれに結合されたカラー122を通して中間軸受116に取り付けられ、第2の接触面50は、外部軸受118の縁部上に配置された比較的平坦な面124を含む。しかし、別の実施形態において、これらの構成要素の異なる配置を使用することができる。例えば、外部軸受118の第2接触面50は、中間軸受116の第1接触面と同様に歯70を含むことができる。
【0035】
中間軸受116と外部軸受118との間で結合される第2の組の輪止め20及び接触面50は、中間軸受116が軸受システム軸22の周りを第2の方向30に回転することを阻止するか又はそれに抵抗するように位置決めすることができる。シャフト112が第2の方向30に回転する時に第1の組の輪止め20が第1接触面50の歯70を必要に応じて摺動して通り過ぎない場合に、第2の組の輪止め20は外部軸受118の接触面50と係合して、中間軸受116がシャフト112と共に第2の方向30に回転することを阻止するか又はそれに抵抗することができる。シャフト112及び中間軸受116が第1の方向28に共に回転する時には、第2の組の輪止め20は、外部軸受118の接触面50を滑り抜ける。従って、第2の組の輪止め20及び接触面50は、シャフト112と中間軸受116間の第1の組の輪止め20及び対応する接触面50に冗長性を与えることができる。
【0036】
滑り円筒形軸受に加えて、同様の技術を滑り軸受アセンブリ110の他のタイプに適用することができる。例えば、
図10は、中間軸受116の球形外部軸受130に対する一方向性運動を与えるために使用される滑り軸受アセンブリ110の実施形態を示している。本発明の実施形態において、シャフト112はいずれの方向にも回転可能であるが、円筒形中間軸受116は、球形外部軸受130とシャフト112の間を主として第1の方向に回転することができる。
図9に関連して上述したように、球形軸受130の外側部分は、歯70、摩擦平坦面124、又は球形軸受130の中間部分と係合するように構成された輪止め20を含み、この中間部分が軸受システム軸22の周りを第2の方向30に回転しないようにすることができる。
【0037】
図11は、振動回転用途に使用される滑り軸受アセンブリ110を潤滑化する方法150を示している。方法150は、回転要素(例えば、内輪14に結合されたシャフト)の軸受システム軸22の周りのシャフト112の振動回転を容易にする段階(ブロック152)を含む。方法150はまた、シャフト112が第1の方向28に回転する時に、中間軸受要素116が軸受システム軸22の周りを第1の方向28に回転することを可能にする段階(ブロック154)を含む。更に、方法150は、中間軸受116が第1の方向28に回転している時に、潤滑剤を拾い上げて中間軸受116に形成された溝120を通して中間軸受116と外部軸受118の間に再分配する段階(ブロック156)を含むことができる。更に、方法150は、シャフト112が第2の方向30に回転する時に、中間軸受116が軸受システム軸22の周りを第2の方向に回転することに対して抵抗を与えるか又はそれを阻止する段階(ブロック158)を含む。上記に開示する実施形態において、中間軸受116は、シャフト112が第2の方向30に回転するのに応じて、第2の方向30に僅かに回転することができることに注意しなければならない。しかし、この回転の距離は、輪止め20及び接触面50により許容される時に中間軸受116の第1の方向28への回転の距離と比較すると無視することができる。
【0038】
本発明の実施形態のある一定の特徴だけを本明細書に図示かつ説明したが、多くの修正及び変形が当業者には想起されるであろう。従って、特許請求の範囲は、本発明の開示の真の精神に属するような修正及び変形の全てを網羅するように意図していることは理解されるものとする。
【符号の説明】
【0039】
10 転がり軸受アセンブリ
14 内輪
16 外輪
18 軸受ケージ
20 輪止め