【課題を解決するための手段】
【0012】
これは、請求項1の特徴を有する用量標示機構によって、また請求項14の特徴を有する薬物送達デバイスによって達成される。
【0013】
具体的には、用量設定中、第2の薬物の設定された用量を表示するように構成される第2の用量インジケータ手段を提供することにより、ユーザは、用量ダイヤル部材が薬物Aの設定された用量に従って変位されるにつれて自分が設定している第1の薬物Aの現在の用量値についての情報を、第1の用量インジケータ手段を通じて絶えず受け取る。同時に、ユーザは、自分が設定している薬物Bの用量値についての情報を受け取る。実際の用量値が用量設定工程を通じて絶えず表示されるので、薬物Aと薬物Bの間の比率に基づく計算はもはや必要でない。第1の用量インジケータ手段は、薬剤全体の設定された用量を表示するように適用され、これは、たとえば薬物Bが薬物A内に溶存するとき効果的である。また、第1の用量インジケータ手段は、ある割合の薬剤、または薬剤が有意な割合を有する2つの混合された物質、たとえば薬物Aと薬物Bの混合物を含むとき効果的である成分の設定された用量だけを表示するように適用される。
【0014】
本発明の意味での「薬物」は、薬剤として理解すべきであるが、薬剤成分でもあり得る。
【0015】
本発明を組み込むことができるペン型デバイスの例は、欧州特許第1603611B1号に記載されている。この機構は、吸入器、軟膏応用例など、他の応用例にも適している。
【0016】
欧州特許第1603611B1号明細書は、ペン型注射器または薬物送達デバイスの構造および機能、特に本体と用量ダイヤル部材の間の相互作用について記載しており、カートリッジ内に含まれる薬剤の設定された用量を示すためのそれぞれの第1の用量インジケータ手段をも含む。ペン型注射デバイスの完全な説明は、参照により本明細書に組み入れる欧州特許第1603611B1号に開示されている。
【0017】
それは、第1の用量インジケータ手段および/または第2の用量インジケータ手段が、用量値を、好ましくは数字で表して表示するように構成されるとき効果的であることが証明されている。他の好適な用量関連の情報は、投薬数、ポインタ、数値もしくはグラフィカルな記号、ディジット、または設定された用量に関する正確な情報を患者に提供するための他の好適なキャラクタなどインデックスを有する用量標示スケールを含む。
【0018】
用量ダイヤル部材は、本体に対して軸方向に可動とすることができ、第1の用量インジケータ手段は、用量ダイヤル部材が変位するまたは動くと、表示される用量が変化するように構成される。本発明の他の実施形態では、用量ダイヤル部材は、本体内に回転可能に配置される。また、用量ダイヤル部材は、本体とねじ係合され、用量ダイヤル部材は、用量ダイヤル部材の外部表面に沿って螺旋溝を有してもよく、本体は、用量が設定され用量ダイヤル部材が本体に対して回転されたとき用量ダイヤル部材が本体に対して螺旋運動で動くように用量ダイヤル部材の螺旋溝と係合する、対応するねじ山を有する。本体は、用量ダイヤル部材を少なくとも一部受けるように適用された薬物送達デバイスのハウジングまたはハウジング要素として構成され、スリーブのような要素としても構成される。
【0019】
本発目の他の実施形態によれば、第2の用量インジケータ手段は、第2の用量インジケータ手段の表示される用量値が用量ダイヤル部材の変位または動きとは独立して、またはそれに対応して変化するように用量ダイヤル部材に結合される。第2の用量インジケータ手段を用量ダイヤル部材に連結することによって、第1および第2の薬物の設定された用量のそれぞれの値が同時に表示されることを確実にすることができる。第1の用量インジケータ手段は、それに応じて用量ダイヤル部材に連結される。代替として、またはそれに加えて、第2の用量インジケータ手段は、第2の用量インジケータ手段の表示される用量値が第1の用量インジケータ手段の表示される値に応じて変化するように第1の用量インジケータ手段に連結される。
【0020】
本発明の他の実施形態によれば、第2の薬物の表示される設定された用量は、第1の薬物の同時に表示される用量に対して一定の比率にある。好ましくは、第2の用量インジケータ手段の同時に提示される値は、第1の用量インジケータ手段の値に対して異なる。両用量インジケータ手段は、用量が設定されていないとき、用量設定の前にどちらの用量インジケータ手段もゼロ単位の設定された用量を表示するように構成される。
【0021】
好ましくは、同時に示される設定された用量間の比率は、同様でないものである。用量設定中、ゼロ単位より大きい設定された用量で、第1および第2の用量インジケータ手段の値間の比率は、第1の薬物Aと第2の薬物Bの間の比率に対応し、用量設定中、一定のままである。換言すれば、用量設定中、第2の用量インジケータ値は、第1の用量インジケータ値の比率に対して異なる比率で増大する。
【0022】
明瞭に見える情報を患者に提供するために、第1の用量インジケータ手段および/または第2の用量インジケータ手段は、少なくとも1つの用量スケールを含んでもよい。第1の用量インジケータ手段および/または第2の用量インジケータ手段は、スケール上のそれぞれの値を参照する、または指すことによって設定された用量を示すために、ポインタ、色付きマーキングなど、インジケータを含んでもよい。
【0023】
他の実施形態によれば、第1のスケールは、第2のスケールに対して異なる。たとえば、第1のスケール上の値は、第2のスケール上の値とは異なる比率で増大してもよい。これらのスケールは、区別するのがより容易であるだけでなく、用量設定中にスケールに対して動くように構成された共通のインジケータ、ポインタなどを使用することをも可能にする。また、第1の用量インジケータ手段および第2の用量インジケータ手段は、共通のスケールを共用してもよいが、スケール上で設定された用量の値を示すために、ポインタなどそれ自体のインジケータをそれぞれ備える。
【0024】
混乱を回避するために、どちらのスケールも、患者によって明確に区別可能であるように構成される。異なるスケールタイプを使用してもよい。さらに、スケールは、異なるサイズ、色、向きまたは位置を有してもよい。たとえば、一方のスケールは、用量ダイヤル部材上に回転可能に設けられ、一方、他方のスケールは、本体の外側表面上に設けられ、したがって動かない。
【0025】
本発明の他の実施形態によれば、用量ダイヤル部材は、スケール上の値を示すために、ポインタまたは色付きマーキングなどのような少なくとも1つの用量スケールまたはインジケータなど、用量関連の情報を備える。好ましくは、用量関連の情報は、用量ダイヤル部材の外側周囲表面上に設けられる。たとえば、数字スリーブが、その外側表面上に投薬数と共に設けられる。
【0026】
本発明の他の実施形態によれば、第1および/または第2の用量インジケータ手段は、用量関連の情報を備えた、また用量ダイヤル部材の変位が用量関連の情報の変位を引き起こし、それぞれの表示される用量値を変化させるように用量ダイヤル部材に連結される少なくとも1つの可動の要素を含む。それにより、第1の薬物または第2の薬物の設定された用量を、効率的に表示することができる。たとえば、可動の要素は、表示窓に沿って動くことができる少なくとも1つの用量スケールを備えてもよい。
【0027】
可動の要素は、本体に対して軸方向に、好ましくは本体内で動くように構成されることが好ましい。このために、可動の要素は、たとえば、好ましくは本体の内側表面上の溝など軸方向に延びるガイダンス(guidance)によって、本体内で軸方向に案内される。
【0028】
本体は、設定された用量を示すために可動の要素上および/または用量ダイヤル部材上の少なくとも1つの用量関連の情報と相互作用するように構成された本体の外側表面内のスケール、投薬数、グラフィカルな記号、または穴など用量関連の情報を備えてもよい。可動の要素上および/または用量ダイヤル部材は、ポインタ、色付きマーキング、または色付きバーなど、少なくとも1つの対応するインジケータを含んでもよい。可動の要素上および/または用量ダイヤル部材は、少なくとも1つのスケール、数字などを備えてもよく、本体上の用量関連の情報は、少なくとも1つの穴、用量表示窓、ポインタ、または任意の他の好適なインジケータなど、少なくとも1つの対応するインジケータを含んでもよい。
【0029】
本発明の好ましい実施形態によれば、本体の外側表面上に、第1の薬剤薬物の設定された用量を示すための第1のスケールが設けられる。さらに、好ましくは第1のスケールに対して異なる第2のスケールもまた、本体の外側表面上に設けられる。好ましくは色付きバー、ポインタなど、少なくとも1つの対応する標示要素が、それぞれの薬物の設定された用量を示すためなどに、スケールに対して動いてもよい。この可動の標示手段は、たとえば用量ダイヤル部材上に設けられる。さらに、この標示手段は、可動の要素上に設けてもよい。それぞれの場合において、標示手段は、用量ダイヤル部材の変位に対応して、スケールに対して動き、それによりそれぞれの薬物の設定された用量を示す。
【0030】
患者が設定された用量に関する情報を容易に捉えることを可能にするために、本体は、用量インジケータ窓など少なくとも1つのアパーチャを備え、アパーチャは、第1の用量インジケータ値および/または第2の用量インジケータ値がアパーチャによって示される、またはそこを通じて見えるように配置される。アパーチャのそれぞれは、拡大ガラスなど透明なカバーで覆ってもよい。本体は、第1の薬物の設定された用量の用量値を表示するための第1の用量インジケータ窓と、第2の薬物の設定された用量を表示するための本体内の第2の用量窓とを備えてもよい。これは、患者が第1の薬物と第2の薬物の間で明確に区別することを可能にする。好ましくは、これらの用量窓は、異なるサイズおよび/または形状を有する。
【0031】
他の実施形態によれば、本体は、可動の要素上の少なくとも1つのインジケータまたは少なくとも1つのスケールなど用量関連の情報を視覚的に捉えるために細長いアパーチャを含む。アパーチャは、可動の要素を軸方向に案内するように構成してもよい。
【0032】
他の実施形態によれば、本体は、スケール値として働くいくつかのアパーチャまたは穴を備え、可動の要素上および/または用量ダイヤル部材上のマーキングなどが、それぞれ用量設定中にアパーチャの1つと位置合わせされ、それにより、ある用量が設定されたことを示す。アパーチャには、それぞれ数字などがマーキングされ、それらの数字は、設定された用量の値に対応する。
【0033】
本発明の他の実施形態によれば、第1および第2の用量インジケータ手段は、たとえばスケールを異なるプレミックス薬剤の異なる比率に調整することができるように調整可能である。たとえば、第1の用量インジケータ手段のスケールと第2の用量インジケータ手段のスケールは、異なるプレミックスが使用されるとき適合されたスケールが本体に取り付けられるように、交換可能なステッカ、ラベルなどを使用することによって交換可能に構成してもよい。
【0034】
本発明の目的は、それぞれの用量インジケータ機構を含む薬物送達デバイスによっても解決される。好ましくは、そのような薬物送達デバイスは、予め混合された薬剤を備える薬剤カートリッジを含み、予め混合された薬剤は、第1の薬物および第2の薬物を含み、第1の薬物と第2の薬物の間の比率は、第1の用量インジケータ手段の表示される値と、第2の用量インジケータ手段の同時に表示される値との間の比率に対応する。
【0035】
特に、本発明の利点は、ペン型注射器が使い捨てペン注射デバイスであるとき明らかな効果をもたらす。そのようなデバイスは、薬剤の内容物が使い果たされた後で廃棄またはリサイクルすることができる。ペン型注射器は、欧州特許第1603611B1号から知られているものと同様に設計される。
【0036】
本明細書で使用する用語「薬剤」は、少なくとも1つの薬学的に活性な化合物を含む医薬製剤を意味し、
ここで、一実施形態において、薬学的に活性な化合物は、最大1500Daまでの分子量を有し、および/または、ペプチド、タンパク質、多糖類、ワクチン、DNA、RNA、酵素、抗体もしくはそのフラグメント、ホルモンもしくはオリゴヌクレオチド、または上述の薬学的に活性な化合物の混合物であり、
ここで、さらなる実施形態において、薬学的に活性な化合物は、糖尿病、または糖尿病性網膜症などの糖尿病関連の合併症、深部静脈血栓塞栓症または肺血栓塞栓症などの血栓塞栓症、急性冠症候群(ACS)、狭心症、心筋梗塞、がん、黄斑変性症、炎症、枯草熱、アテローム性動脈硬化症および/または関節リウマチの処置および/または予防に有用であり、
ここで、さらなる実施形態において、薬学的に活性な化合物は、糖尿病または糖尿病性網膜症などの糖尿病に関連する合併症の処置および/または予防のための少なくとも1つのペプチドを含み、
ここで、さらなる実施形態において、薬学的に活性な化合物は、少なくとも1つのヒトインスリンもしくはヒトインスリン類似体もしくは誘導体、グルカゴン様ペプチド(GLP−1)もしくはその類似体もしくは誘導体、またはエキセンジン−3もしくはエキセンジン−4もしくはエキセンジン−3もしくはエキセンジン−4の類似体もしくは誘導体を含む。
【0037】
インスリン類似体は、たとえば、Gly(A21),Arg(B31),Arg(B32)ヒトインスリン;Lys(B3),Glu(B29)ヒトインスリン;Lys(B28),Pro(B29)ヒトインスリン;Asp(B28)ヒトインスリン;B28位におけるプロリンがAsp、Lys、Leu、Val、またはAlaで置き換えられており、B29位において、LysがProで置き換えられていてもよいヒトインスリン;Ala(B26)ヒトインスリン;Des(B28−B30)ヒトインスリン;Des(B27)ヒトインスリン、およびDes(B30)ヒトインスリンである。
【0038】
インスリン誘導体は、たとえば、B29−N−ミリストイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−パルミトイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−ミリストイルヒトインスリン;B29−N−パルミトイルヒトインスリン;B28−N−ミリストイルLysB28ProB29ヒトインスリン;B28−N−パルミトイル−LysB28ProB29ヒトインスリン;B30−N−ミリストイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B30−N−パルミトイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B29−N−(N−パルミトイル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(N−リトコリル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)−des(B30)ヒトインスリン、およびB29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)ヒトインスリンである。
【0039】
エキセンジン−4は、たとえば、H−His−Gly−Glu−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Leu−Ser−Lys−Gln−Met−Glu−Glu−Glu−Ala−Val−Arg−Leu−Phe−Ile−Glu−Trp−Leu−Lys−Asn−Gly−Gly−Pro−Ser−Ser−Gly−Ala−Pro−Pro−Pro−Ser−NH2配列のペプチドであるエキセンジン−4(1−39)を意味する。
【0040】
エキセンジン−4誘導体は、たとえば、以下のリストの化合物:
H−(Lys)4−desPro36,desPro37エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)5−desPro36,desPro37エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンジン−(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);または
desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンジン−(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
(ここで、基−Lys6−NH2が、エキセンジン−4誘導体のC−末端に結合していてもよい);
【0041】
または、以下の配列のエキセンジン−4誘導体:
desPro36エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2(AVE0010)、
H−(Lys)6−desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
desAsp28Pro36,Pro37,Pro38エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
H−desAsp28Pro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
desMet(O)14,Asp28Pro36,Pro37,Pro38エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2;
desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Lys6−desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
H−desAsp28,Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(S1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2;
または前述のいずれか1つのエキセンジン−4誘導体の薬学的に許容される塩もしくは溶媒和化合物
から選択される。
【0042】
ホルモンは、たとえば、ゴナドトロピン(フォリトロピン、ルトロピン、コリオンゴナドトロピン、メノトロピン)、ソマトロピン(ソマトロピン)、デスモプレシン、テルリプレシン、ゴナドレリン、トリプトレリン、ロイプロレリン、ブセレリン、ナファレリン、ゴセレリンなどの、Rote Liste、2008年版、50章に列挙されている脳下垂体ホルモンまたは視床下部ホルモンまたは調節性活性ペプチドおよびそれらのアンタゴニストである。
【0043】
多糖類としては、たとえば、グルコサミノグリカン、ヒアルロン酸、ヘパリン、低分子量ヘパリン、もしくは超低分子量ヘパリン、またはそれらの誘導体、または上述の多糖類の硫酸化形態、たとえば、ポリ硫酸化形態、および/または、薬学的に許容されるそれらの塩がある。ポリ硫酸化低分子量ヘパリンの薬学的に許容される塩の例としては、エノキサパリンナトリウムがある。
【0044】
抗体は、基本構造を共有する免疫グロブリンとしても知られている球状血漿タンパク質(約150kDa)である。これらは、アミノ酸残基に付加された糖鎖を有するので、糖タンパク質である。各抗体の基本的な機能単位は免疫グロブリン(Ig)単量体(1つのIg単位のみを含む)であり、分泌型抗体はまた、IgAなどの2つのIg単位を有する二量体、硬骨魚のIgMのような4つのIg単位を有する四量体、または哺乳動物のIgMのように5つのIg単位を有する五量体でもあり得る。
【0045】
Ig単量体は、4つのポリペプチド鎖、すなわち、システイン残基間のジスルフィド結合によって結合された2つの同一の重鎖および2本の同一の軽鎖から構成される「Y」字型の分子である。それぞれの重鎖は約440アミノ酸長であり、それぞれの軽鎖は約220アミノ酸長である。重鎖および軽鎖はそれぞれ、これらの折り畳み構造を安定化させる鎖内ジスルフィド結合を含む。それぞれの鎖は、Igドメインと呼ばれる構造ドメインから構成される。これらのドメインは約70〜110個のアミノ酸を含み、そのサイズおよび機能に基づいて異なるカテゴリー(たとえば、可変すなわちV、および定常すなわちC)に分類される。これらは、2つのβシートが、保存されたシステインと他の荷電アミノ酸との間の相互作用によって一緒に保持される「サンドイッチ」形状を作り出す特徴的な免疫グロブリン折り畳み構造を有する。
【0046】
α、δ、ε、γおよびμで表される5種類の哺乳類Ig重鎖が存在する。存在する重鎖の種類により抗体のアイソタイプが定義され、これらの鎖はそれぞれ、IgA、IgD、IgE、IgGおよびIgM抗体中に見出される。
【0047】
異なる重鎖はサイズおよび組成が異なり、αおよびγは約450個のアミノ酸を含み、δは約500個のアミノ酸を含み、μおよびεは約550個のアミノ酸を有する。各重鎖は、2つの領域、すなわち定常領域(C
H)と可変領域(V
H)を有する。1つの種において、定常領域は、同じアイソタイプのすべての抗体で本質的に同一であるが、異なるアイソタイプの抗体では異なる。重鎖γ、α、およびδは、3つのタンデム型のIgドメインと、可撓性を加えるためのヒンジ領域とから構成される定常領域を有し、重鎖μおよびεは、4つの免疫グロブリン・ドメインから構成される定常領域を有する。重鎖の可変領域は、異なるB細胞によって産生された抗体では異なるが、単一B細胞またはB細胞クローンによって産生された抗体すべてについては同じである。各重鎖の可変領域は、約110アミノ酸長であり、単一のIgドメインから構成される。
【0048】
哺乳類では、λおよびκで表される2種類の免疫グロブリン軽鎖がある。軽鎖は2つの連続するドメイン、すなわち1つの定常ドメイン(CL)および1つの可変ドメイン(VL)を有する。軽鎖のおおよその長さは、211〜217個のアミノ酸である。各抗体は、常に同一である2本の軽鎖を有し、哺乳類の各抗体につき、軽鎖κまたはλの1つのタイプのみが存在する。
【0049】
すべての抗体の一般的な構造は非常に類似しているが、所与の抗体の固有の特性は、上記で詳述したように、可変(V)領域によって決定される。より具体的には、各軽鎖(VL)について3つおよび重鎖(HV)に3つの可変ループが、抗原との結合、すなわちその抗原特異性に関与する。これらのループは、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる。VHドメインおよびVLドメインの両方からのCDRが抗原結合部位に寄与するので、最終的な抗原特異性を決定するのは重鎖と軽鎖の組合せであり、どちらか単独ではない。
【0050】
「抗体フラグメント」は、上記で定義した少なくとも1つの抗原結合フラグメントを含み、そのフラグメントが由来する完全抗体と本質的に同じ機能および特異性を示す。パパインによる限定的なタンパク質消化は、Igプロトタイプを3つのフラグメントに切断する。1つの完全なL鎖および約半分のH鎖をそれぞれが含む2つの同一のアミノ末端フラグメントが、抗原結合フラグメント(Fab)である。サイズが同等であるが、鎖間ジスルフィド結合を有する両方の重鎖の半分の位置でカルボキシル末端を含む第3のフラグメントは、結晶可能なフラグメント(Fc)である。Fcは、炭水化物、相補結合部位、およびFcR結合部位を含む。限定的なペプシン消化により、Fab片とH−H鎖間ジスルフィド結合を含むヒンジ領域の両方を含む単一のF(ab’)2フラグメントが得られる。F(ab’)2は、抗原結合に対して二価である。F(ab’)2のジスルフィド結合は、Fab’を得るために切断することができる。さらに、重鎖および軽鎖の可変領域は、縮合して単鎖可変フラグメント(scFv)を形成することもできる。
【0051】
薬学的に許容される塩は、たとえば、酸付加塩および塩基性塩である。酸付加塩としては、たとえば、HClまたはHBr塩がある。塩基性塩は、たとえば、アルカリまたはアルカリ土類、たとえば、Na+、またはK+、またはCa2+から選択されるカチオン、または、アンモニウムイオンN+(R1)(R2)(R3)(R4)(式中、R1〜R4は互いに独立に:水素、場合により置換されたC1〜C6アルキル基、場合により置換されたC2〜C6アルケニル基、場合により置換されたC6〜C10アリール基、または場合により置換されたC6〜C10ヘテロアリール基を意味する)を有する塩である。薬学的に許容される塩のさらなる例は、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」17版、Alfonso R.Gennaro(編)、Mark Publishing Company、Easton、Pa.、U.S.A.、1985およびEncyclopedia of Pharmaceutical Technologyに記載されている。
【0052】
薬学的に許容される溶媒和物は、たとえば、水和物である。
【0053】
以下では、本発明について、例として、概略図を参照して述べる。