【課題を解決するための手段】
【0005】
これを実現するために、本発明は、地盤内に要素を形成する方法であって、
地盤内に掘削孔を掘削するステップと、
掘削孔内の現場の地盤と、ジオポリマーとを原位置で混合するステップと、を有する方法を提供する。
【0006】
掘削孔の形状は、使用される掘削ツールによって決まる。掘削孔は溝または細長いボーリング孔であってよく、その形状は作成される要素の形状による。
【0007】
よって、堀削ステップ中に掘削孔の地盤を解体してジオポリマーと混合し、前記要素を構成する材料を形成する。前記要素は前記材料を硬化させることで得られる。
【0008】
ジオポリマーセメントともいわれるジオポリマーは、一般的に、シリコアルミニウム鉱物をアルカリ性試薬と混合することで得られる。
【0009】
ジオポリマーセメントは、ポルトランドセメントと比較してカーボンフットプリントが格段に低いことで知られる。さらに、ジオポリマーセメントの腐食性は高くない。この点について、WO2011/020975は、非腐食性のジオポリマーセメントの一例を開示している。
【0010】
現場の地盤をジオポリマーと混合した材料を硬化して得られた要素は、地盤からの薬品侵食に対するより良い耐性を有し、これによってより高い耐久性を持つ。
【0011】
本発明の方法は、より良い耐久性を有する、ダイヤフラム、スクリーン、または円柱を地盤内に形成することを可能にする。これは、土留め工の場合では長期間に渡っての存在が期待されることから、特に大きな利点となる。
【0012】
よって、本発明の方法は、特に以下の用途に用いられる。
【0013】
地下水面の存在または不存在下において、地盤に一体的に内包される(長方形、円形、正方形などの)部分として要素を形成すること。
地盤に一体化された直線的な形状、連続的なスクリーン、または互いに隣り合う一体的な要素の連続として、要素を形成すること。
低透過性のスクリーンを形成すること。
一時的または恒久的な土留めスクリーンを形成すること。
【0014】
変形例において、前記方法は、ジオポリマーの硬化前に、補強ケージなどの補強部材を掘削孔に挿入するステップを有する。
【0015】
第一実施形態において、本発明の方法は、ジオポリマーを含む混合物を掘削孔に注入して、混合ステップ中に該混合物を地盤と原位置で混合するステップを有する。このように、この第一実施形態では、ジオポリマーを含む混合物を掘削孔に注入して掘削された地盤と原位置で混合する。
【0016】
好ましくは、前記ジオポリマーは、地盤への注入前に、掘削混合ツールの近傍で、例えばスラリーまたはモルタルとして、表面上に設けられる。
【0017】
第二実施形態において、アルカリ基材を掘削孔に注入して、該アルカリ基材と現場の地盤との反応によって掘削孔中に原位置でジオポリマーを形成する。
【0018】
アルカリ基材は次に、地盤内に自然に存在するシリコアルミニウム鉱物と反応する。よって、現地の地盤との混合の際に、ジオポリマーは掘削孔内において原位置で合成される。
【0019】
第三実施形態において、掘削混合ツールを用意し、前記方法は、掘削混合ツールを下降させる段階と、これに続く掘削混合ツールを持ち上げる段階とを有し、前記方法は、下降段階において第一混合物を注入するステップと、持ち上げ段階において第二混合物を注入するステップとを有し、前記掘削ステップを下降段階で実行し、前記混合ステップは、下降段階で現場の地盤と第一混合物とを原位置で混合する第一段階と、これに続く、既に第一混合物と混合された現場の地盤と第二混合物とを原位置で混合する第二段階とを有し、第二段階を持ち上げ段階で実行し、ジオポリマーは第一混合物と第二混合物との反応によって原位置で形成される。よって、掘削混合ツールの持ち上げ段階でジオポリマーが形成され、掘削された地盤と混合されて、要素を構成する素材を形成する。
【0020】
この第三実施形態にはいくつかの利点がある。まず、ジオポリマーの硬化を制御することが可能となる。本方法により、ジオポリマーと掘削された地盤とを混合した素材の硬化を、下降段階の後、好ましくは持ち上げ段階の後に遅らせることができる。これにより、下降段階でジオポリマーが硬化して、特に大深度の掘削の際にツールが持ち上げにくくなるリスクを避けることができる。
【0021】
さらに、要素の作成を二つの異なるタイミングで行うこと、例えば下降段階と、その数時間から数日後の持ち上げ段階とで行うことができる。
【0022】
好適には、第一混合物がシリコアルミニウム鉱物を含む一方、第二混合物がアルカリ基材(alkaline base)を含み、あるいは、変形例として、第一混合物がアルカリ基材を含む一方、第二混合物がシリコアルミニウム鉱物を含む。
【0023】
第一混合段階で注入される第一混合物は、好ましくは、アルミナシリカ粉末を含む液体であり、第二段階で注入される第二混合物は液体のケイ酸アルカリである。
変形例として、ともに液体の第一及び第二混合物を高圧で、例えば5メガパスカル(MPa)を超える圧力で注入する。
【0024】
第一および/または第二混合物を粉の形状で地盤に注入してもよい。この場合、必要に応じて水を注入する。
【0025】
この第三実施形態の実施について、WO2007/116178やEP1878833に記載の掘削混合ツールや、その他の掘削混合ツールを用いることができる。
【0026】
第四実施形態において、掘削ステップの前に、地盤内に予備溝を形成し、予備溝を第一混合物で満たし、次に掘削ステップ中に掘削孔に第二混合物を注入するステップを実行し、
掘削ステップは、第一混合物を入れた溝と対応する掘削孔を掘削して、第一混合物を掘削孔に入れることからなり、
混合ステップは、現場の地盤を第一及び第二混合物と混合することからなり、
ジオポリマーを原位置で第一混合物と第二混合物との反応により形成する。
よって、堀削ステップ中に予備溝内の第一混合物が掘削孔に入って、そこで混合ステップ中に現地の地盤および第一及び第二混合物と混合され、これにより、要素を構成する材料、すなわち現地の地盤と第一及び第二混合物の反応によって得られたジオポリマーとを混合した材料を形成する。
【0027】
好適には、第一混合物がシリコアルミニウム鉱物を含む一方、第二混合物がアルカリ基材を含み、あるいは、変形例として、第一混合物がアルカリ基材を含む一方、第二混合物がシリコアルミニウム鉱物を含む。
【0028】
好ましくは、予備溝に広がった第一混合物がシリコアルミニウム鉱物である一方、第二混合物がケイ酸アルカリ溶液である。
【0029】
第四実施形態の実施には、連続掘削混合ツールや、掘削機、垂直ブレードを有するものを用いることができる。第二混合物は、好適には、ブレードに沿って設けられたノズルを通じて掘削孔に注入される。
【0030】
最後に、本発明は、前記請求項のいずれかに記載の方法を実行することで得られる、地盤内の要素であって、ジオポリマーを含む混合物と混合された現場の地盤からなる要素を提供する。
【0031】
限定的ではないが好ましくは、前記要素は土留め要素である。
【0032】
本発明は、非限定的な例示および添付の図面とともに提示される本発明の実施形態の記載によって、よりよく理解されるであろう。