(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6703521
(24)【登録日】2020年5月12日
(45)【発行日】2020年6月3日
(54)【発明の名称】溢流部を備えるハイドロスタティッククラッチアクチュエータ
(51)【国際特許分類】
F16D 25/12 20060101AFI20200525BHJP
F16D 25/0635 20060101ALI20200525BHJP
F16D 25/08 20060101ALI20200525BHJP
F16D 48/06 20060101ALI20200525BHJP
【FI】
F16D25/12 B
F16D25/0635
F16D25/08 D
F16D25/08 E
F16D48/06 102
【請求項の数】10
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-507786(P2017-507786)
(86)(22)【出願日】2015年7月24日
(65)【公表番号】特表2017-524111(P2017-524111A)
(43)【公表日】2017年8月24日
(86)【国際出願番号】DE2015200419
(87)【国際公開番号】WO2016023550
(87)【国際公開日】20160218
【審査請求日】2018年7月20日
(31)【優先権主張番号】102014215926.1
(32)【優先日】2014年8月12日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】515009952
【氏名又は名称】シェフラー テクノロジーズ アー・ゲー ウント コー. カー・ゲー
【氏名又は名称原語表記】Schaeffler Technologies AG & Co. KG
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ズィーモン ヘーア
(72)【発明者】
【氏名】エドゥアート ミュラー
【審査官】
日下部 由泰
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭58−12719(JP,U)
【文献】
特開2005−319825(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0193316(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0122887(US,A1)
【文献】
特開2009−262735(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16D 25/00−39/00,48/00−48/12
B60T 11/22,11/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車のクラッチに用いられるハイドロスタティッククラッチアクチュエータ(1)であって、
当該ハイドロスタティッククラッチアクチュエータ(1)は、
駆動ユニット(2,3)と、
該駆動ユニット(2,3)により駆動されるマスタピストンシリンダユニット(4,5)と、
該マスタピストンシリンダユニットと流体接続されるハイドロリックリザーバ(6)と、
前記クラッチを操作するためのハイドロリックシステムと、
を備え、前記マスタピストンシリンダユニット(4,5)により、ハイドロリック媒体を、前記ハイドロリックリザーバ(6)から前記ハイドロリックシステムへ圧送可能であるとともに、ハイドロリック媒体は、前記ハイドロリックシステムに圧力を加えることが可能である、ハイドロスタティッククラッチアクチュエータにおいて、
前記ハイドロリックリザーバ(6)は、溢流部(10)を有し、該溢流部(10)を介して、ハイドロリック媒体を、前記ハイドロリックリザーバ(6)および前記ハイドロリックシステムから排除可能であり、
流入開口(11)と流出開口(12)との間に形成された管状の管路区分(13)が、前記ハイドロリックリザーバ(6)の規定通りの位置で、該ハイドロリックリザーバ(6)に向けて降下する傾斜を有することを特徴とする、ハイドロスタティッククラッチアクチュエータ(1)。
【請求項2】
自動車のクラッチに用いられるハイドロスタティッククラッチアクチュエータ(1)であって、
当該ハイドロスタティッククラッチアクチュエータ(1)は、
駆動ユニット(2,3)と、
該駆動ユニット(2,3)により駆動されるマスタピストンシリンダユニット(4,5)と、
該マスタピストンシリンダユニットと流体接続されるハイドロリックリザーバ(6)と、
前記クラッチを操作するためのハイドロリックシステムと、
を備え、前記マスタピストンシリンダユニット(4,5)により、ハイドロリック媒体を、前記ハイドロリックリザーバ(6)から前記ハイドロリックシステムへ圧送可能であるとともに、ハイドロリック媒体は、前記ハイドロリックシステムに圧力を加えることが可能である、ハイドロスタティッククラッチアクチュエータにおいて、
前記ハイドロリックリザーバ(6)は、溢流部(10)を有し、該溢流部(10)を介して、ハイドロリック媒体を、前記ハイドロリックリザーバ(6)および前記ハイドロリックシステムから排除可能であり、
前記溢流部(10)は、前記ハイドロリックリザーバ(6)を閉鎖するキャップ(18)に組み込まれていることを特徴とする、ハイドロスタティッククラッチアクチュエータ(1)。
【請求項3】
前記溢流部(10)は、捕集容器と流体接続されている、請求項1または2記載のハイドロスタティッククラッチアクチュエータ(1)。
【請求項4】
前記溢流部(10)は、該溢流部(10)を通り前記ハイドロリックリザーバ(6)内へ向かうハイドロリック媒体の流れが阻止されるように構成されている、請求項1から3までのいずれか1項記載のハイドロスタティッククラッチアクチュエータ(1)。
【請求項5】
前記溢流部(10)は、流入開口(11)を有し、該流入開口(11)は、前記ハイドロリックリザーバ(6)から前記溢流部(10)の中へハイドロリック媒体を導くように構成されており、前記溢流部(10)は、流出開口(12)を有し、該流出開口(12)は、前記溢流部(10)から外へハイドロリック媒体を通流させるように用意されている、請求項1から4までのいずれか1項記載のハイドロスタティッククラッチアクチュエータ(1)。
【請求項6】
前記流入開口(11)は、当該クラッチアクチュエータ(1)の規定通りの位置および/または配置で、捕集容器よりも高い位置に配置されているか、または、前記溢流部(10)は、逆止弁により遮断可能である、請求項1または5記載のハイドロスタティッククラッチアクチュエータ(1)。
【請求項7】
前記流出開口(12)は、チューブ接続部(14)として構成されている、請求項1または5記載のハイドロスタティッククラッチアクチュエータ(1)。
【請求項8】
前記溢流部(10)は、前記ハイドロリックリザーバ(6)の壁に組み込まれている、請求項1から7までのいずれか1項記載のハイドロスタティッククラッチアクチュエータ(1)。
【請求項9】
前記ハイドロリックリザーバ(6)は、充填開口(16)を有する、請求項1から8までのいずれか1項記載のハイドロスタティッククラッチアクチュエータ(1)。
【請求項10】
前記溢流部(10)は、前記ハイドロリックリザーバ(6)を閉鎖するキャップ(18)に組み込まれている、請求項1記載のハイドロスタティッククラッチアクチュエータ(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のクラッチ、特に湿式作動式のクラッチに用いられるハイドロスタティッククラッチアクチュエータに関し、ハイドロリッククラッチアクチュエータは、駆動ユニットと、駆動ユニットにより駆動されるマスタピストンシリンダユニットと、マスタピストンシリンダユニットと流体接続されるハイドロリックリザーバと、クラッチを直接にまたは間接に操作するためのハイドロリックシステムと、を備え、マスタピストンシリンダユニットにより、ハイドロリック媒体を、ハイドロリックリザーバからハイドロリックシステムへ圧送可能であるとともに、ハイドロリック媒体は、ハイドロリックシステムに圧力を加えることが可能である。
【背景技術】
【0002】
背景技術において、独立したハイドロリックリザーバひいては閉じたハイドロリックシステムを有するハイドロスタティッククラッチアクチュエータが知られている。圧力補償を目的として、リザーバまたはリザーバのキャップに、通常は、ベローズまたはこれに類する圧力補償ユニットが設けられている。そのような公知のシステムは、場合により、ベローズのジオメトリによっては圧力補償が限定的にしか可能でないという欠点を有することがある。さらに、そのようなシステムは、後で記述されるような閉じたシステムとみなされるが、特定の状況下で、システムにおけるハイドロリック媒体量が増加することがあり、その結果としてアクチュエータの故障をもたらすおそれがある。
【0003】
独国特許出願公開第102013204561号明細書は、たとえば結合ロッドを介してピストンシリンダユニットのピストンと結合された出力要素を有する操作アクチュエータを備える圧力媒体操作システムが開示されている。ピストンは、ピストンシリンダユニットのシリンダ内に軸方向に移動可能に配置されているので、作動圧力室の容積が可変であり、したがって、作動圧力室から接続管路を介して、圧力媒体をスレーブシリンダユニットの第2の作動圧力室に供給することができ、これにより、ピストンが、ピストンシリンダユニットのシリンダ内で軸方向に移動させられ、結合ロッドとレバーまたは別の結合要素、たとえばクラッチとを介して接続または切断のような操作を行うことができる。ピストンシリンダユニットは、開口と接続管路とを介して、圧力媒体リザーバと接続されている。これらを介して、作動圧力室はリザーバと流体接続することができるので、容積補償を行うことができる。
【0004】
出願人の、これまで開示されていない以前の出願において、操作装置に用いられる、特に内燃機関で駆動される自動車の駆動系統に配置された摩擦クラッチ装置に用いられるハイドロスタティックアクチュエータアセンブリが知られている。そこでは、アクチュエータアセンブリは、ステータとロータとを有する少なくとも1つの電気的な回転駆動装置と、少なくとも1つのボールねじ伝動装置を有する、回転運動を並進運動に変換する伝動装置と、軸方向に移動可能なピストンを有する少なくとも1つのマスタシリンダとを備え、回転駆動装置は回転軸線を有し、マスタシリンダは並進軸線を有し、回転駆動装置の回転軸線と、マスタシリンダの並進軸線とは、互いに平行にかつ互いに間隔を置いて配置されている。
【0005】
出願人の、これまで開示されていない以前の出願において、ハイドロスタティックシステムが知られており、このハイドロスタティックシステムは、マスタシリンダの圧力室を可変に画定する直線移動可能なマスタシリンダピストンを有するマスタシリンダと、スレーブシリンダの圧力室を画定するスレーブシリンダピストンを有するスレーブシリンダと、これらの圧力室の間の、圧力媒体により充填されるハイドロスタティック区間と、圧力媒体により充填される補償容器と、ハイドロスタティック区間と補償容器との間に配置された、マスタシリンダピストンの位置に依存して制御されるスニッファ孔と、を備え、スニッファ孔の制御は、圧力室の外側で行われる。
【0006】
前述の3つのシステムでは、ハイドロリックリザーバがそれぞれ閉じて構成されているので、システム内側と周辺との間の圧力補償を用意しなければならないという欠点がある。たとえば、ハイドロリックリザーバに配置されたベローズとしての、圧力補償のために使用される圧力補償装置は、追加的な手間と複雑性を生じさせる。上述の閉じたシステムの他の欠点は、システムからのハイドロリック媒体の交換または放出が不可能であり、これにより、特に湿式クラッチに用いられるハイドロスタティッククラッチアクチュエータでは、以下の問題を生じさせ得ることである。
【0007】
湿式クラッチでは、レリーズシステム(CRSとも称される)が、たいてい少なくとも部分的にクラッチの湿潤空間の内側に配置されている。レリーズシステム内に負圧が生じると、レリーズシステムをクラッチの湿潤空間に対してシールするシールを越えて、油がレリーズシステムに引き込まれ、レリーズシステム(CRS)とクラッチアクチュエータ(HCA)との間のハイドロリックシステムに供給され得る。特にレリーズシステムが規則的にかつ連続的に油を引き込む場合、結果として、持続的にハイドロリックシステムの充填レベルが上昇する。ハイドロリックシステムにおける充填レベルひいては圧力が過剰に上昇すると、レリーズシステムのシールが、計画通りではない圧力負荷(この場合、圧力が誤った側から、つまりハイドロリック側からクラッチへ向けてシールに作用する)に基づいて密でなくなり、クラッチの所望の操作が不可能になるおそれがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前述の背景技術から出発して、本発明の課題は、前述の欠点を有さず、特に、クラッチアクチュエータの機能を損なうことなく、ハイドロリックシステムにおけるハイドロリック媒体の量の上昇を回避することができる、ハイドロスタティッククラッチアクチュエータを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題は、本発明によれば、冒頭で記載されたクラッチにおいて、ハイドロリックリザーバが溢流部を有し、溢流部を介して、ハイドロリック媒体をハイドロリックリザーバおよびハイドロリックシステムから排除可能であるかつ/または排除するべきであることによって解決される。
【0010】
本発明の格別な利点は、ハイドロリックリザーバが、溢流部を介して開いており、ハイドロリック媒体を流出させることができない閉じた密なシステムを形成していないことである。ハイドロリックリザーバに溢流部を設けることにより、特に好適には、余剰の媒体を的確にハイドロリックシステムから放出または導出することができる。このことは、湿式クラッチを有するクラッチアクチュエータが運転され、場合によりクラッチの湿潤空間とアクチュエータのハイドロリックシステムとの間のシールを通る漏れ流に基づき、ハイドロリックシステムへのクラッチ油の進入が生じ、これが結果として、ハイドロリックシステム内の流体量を増加させるときに特に有利である。ハイドロリックシステム内の流体量が特定の限界値を越えて上昇すると、余剰の流体は、溢流部を介して流出し、システムは、常時、最大許容流体量未満で運転される。このようにして、ハイドロリックシステム内の圧力を、簡単にかつ効果的に、臨界値未満に保持することができる。臨界値を上回ると、媒体がシールを通り、ハイドロリックシステムからたとえばクラッチの湿潤空間へ進入し、これがシールの早期の劣化および漏れを招いてしまうので、クラッチの確実で正確な操作が保証されない。
【0011】
換言すると、本発明に係るクラッチアクチュエータのハイドロリックシステムは、開いたシステムとして構成されているので、周辺環境に対する圧力補償が、常時、自動的にかつ継続的に行われる。好適には、圧力補償を実現する特別な装置は不要であり、これが結果として、より簡単な製造、よりわずかなコスト、よりわずかな部品数およびより簡単な保守などの、これに伴う全ての利点を有するアクチュエータの簡単化をもたらす。上述のように、クラッチの湿潤空間からクラッチアクチュエータのハイドロリックシステムに油が進入するとき、ハイドロスタティッククラッチアクチュエータにおける圧力は一定に維持され、余剰の油またはハイドロリック媒体を、溢流部を介して、ハイドロリックシステムから流出し、排除することができる。
【0012】
本発明の好適な形態は、従属請求項で請求されていて、以下に詳説される。
【0013】
溢流部は、特に所定のユニットと流体接続されてよく、このユニットに、溢流部を介して、ハイドロスタティックシステムから流出する媒体が収容されて捕集され、廃棄または再利用または場合により再処理に供される。溢流部は、たとえば捕集容器、油溜め、油タンクまたはハイドロリック媒体用の同等の捕集ユニットと接続されてよく、特に伝動装置ハウジングまたはクラッチ、たとえばクラッチハウジングの湿潤空間と接続されてよい。そうして、ハイドロリックリザーバから流出するハイドロリック媒体を、これらのユニットにおける後続の利用に供することができる。さらに好適には、ハイドロリックシステムから流出する媒体は、周辺環境に到達しない。
【0014】
1つの実施の形態では、溢流部は、流入開口と流出開口とを有し、ハイドロリック媒体は、流入開口を通り、ハイドロリックリザーバから溢流部へ流れることができ、流出開口を通り、溢流部から流出することができる。追加的に、溢流部は、流入開口と流出開口との間に形成された管状の管路区分を有していてよい。流入開口、流出開口および管路区分のジオメトリおよび配置の適切な構成により、たとえばメアンダ(蛇行)状またはラビリンス状の経過により、ハイドロリックリザーバからの媒体の流出を十分に制御することができるので、リザーバの十分な充填レベルが常時保証されていて、多すぎる媒体がシステムから流出することはない。管状の管路区分が、ハイドロリックリザーバの規定通りの位置でハイドロリックリザーバに向けて降下する傾斜を有する場合、溢流部を通り流出するハイドロリック媒体の量を調整することができる。
【0015】
特に好適には、溢流部を通りハイドロリックリザーバ内へ向かうハイドロリック媒体の流れが阻止されている/実施されない。このことは、特に、流入開口が、クラッチアクチュエータの規定通りの位置および/または配置で、捕集容器よりも高い位置に配置されているか、または換言すると鉛直方向のより高いレベルに位置するように配置されているか、または溢流部が逆止弁または同等のユニットにより遮断可能であることにより、達成することができる。そうして、ハイドロリックリザーバに含まれる媒体の汚染を簡単にかつ効果的に回避することができる。
【0016】
流出開口がチューブ接続部として構成されている場合、捕集容器などの周辺ユニットに本発明に係るクラッチアクチュエータを特に簡単に接続することができる。
【0017】
1つの実施の形態では、溢流部は、ハイドロリックリザーバを閉鎖するキャップに組み込まれていてよい。溢流部は、好適には、キャップと一体的に形成されてよい。別の実施の形態では、溢流部は、ハイドロリックリザーバの壁に組み込まれていてよい。溢流部は、特に壁と一体的に形成されてよい。
【0018】
特に、一方向のオーバーフローの場合、ハイドロリックリザーバが、好適には栓、特にスクリュープラグにより閉鎖される充填開口を有すると有利である。ハイドロリック媒体の簡単な補充は、このようにして保証されている。
【0019】
換言してまとめて述べると、本発明は、油溜めまたは油タンク、伝動装置ハウジング、クラッチハウジングおよび/または外部のリザーバへの液体の溢流能力を有する、ハイドロスタティッククラッチアクチュエータ(HCA)に関する。1つの実施の形態では、リザーバハウジングに直接にチューブ接続部が組み込まれている。別の実施の形態によれば、チューブ接続部が、リザーバキャップに組み込まれている。
【0020】
以下、本発明を、図面に基づき、複数の実施の形態を用いて詳説する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】2つの電気的な回転駆動装置と2つのマスタシリンダとを有する第1の実施の形態で、本発明に係るハイドロスタティッククラッチアクチュエータを概略斜視図で示す。
【
図2】
図1のクラッチアクチュエータのハイドロリックリザーバを単独で斜視図で示す。
【
図3】
図1のクラッチアクチュエータのハイドロリックリザーバを単独で横断面図で示す。
【
図4】2つの電気的な回転駆動装置と2つのマスタシリンダとを有する第2の実施の形態で、本発明に係るハイドロスタティッククラッチアクチュエータを概略斜視図で示す。
【
図5】
図4のクラッチアクチュエータのハイドロリックリザーバを単独で斜視図で示す。
【
図6】
図4のクラッチアクチュエータのハイドロリックリザーバを単独で横断面図で示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図面は、概略的なものでしかなく、本発明を理解するためだけに用いられるものである。同一の構成要素には同一の符号が与えられている。様々な実施の形態の詳細部分は、互いに組み合わせてもよいし、または互いに組み替えてもよい。
【0023】
図1〜
図3は、2つの電気的な駆動装置2,3と2つのマスタシリンダハウジング4,5とを有するハイドロスタティッククラッチアクチュエータ1を斜視図で示している。マスタシリンダハウジング5は、正確にはカバーハウジングとも称され、事実上、マスタシリンダハウジング4から独立している。クラッチアクチュエータ1は、図面には示されていないクラッチ、たとえば湿式作動式の自動車用ツインクラッチの操作に用いられる。
【0024】
通常は、操作は、ハイドロリック区間とも称されるハイドロリックシステムと、同じく図面には示されていない、2つのスレーブシリンダを有する操作装置とを介して行われる。マスタシリンダハウジング4,5に収容されたマスタシリンダは、それぞれハイドロリック区間によりスレーブシリンダと接続可能であるので、マスタシリンダを起点としてハイドロリック出力をスレーブシリンダに伝達可能である。ツインクラッチは、2枚のプレッシャプレートを有する。プレッシャプレートは、操作装置、特にスレーブシリンダにより、それぞれ接続される操作位置と切断される操作位置との間で軸方向に移動可能である。
【0025】
電気的な駆動装置2,3は、両方のマスタシリンダの駆動に用いられる。駆動装置2は、機能的に、マスタシリンダハウジング4内に設けられたマスタシリンダに割り当てられている。駆動装置3は、機能的に、マスタシリンダハウジング/カバーハウジング5内に設けられたマスタシリンダに割り当てられている。マスタシリンダハウジング5は、「カバーハウジング」またはこれに類するものであり、これにより、アクチュエータの内側の機構が、周辺影響に対して防護される。
【0026】
マスタシリンダとスレーブシリンダとを有するハイドロリックシステムに用いられるハイドロリック媒体は、ハイドロリックリザーバ6に収容されている。ハイドロリック媒体は、たとえば調整弁または調節弁としての、介在されたユニットを介して、ハイドロリックシステムに供給されてよく、かつハイドロリックシステムから排出されてよい。
【0027】
ハイドロリックリザーバ6は、たとえばプラスチックまたは金属に基づく容器であり、好適には射出成形容器である。図示の形態では、ハイドロリックリザーバ6は、上部シェル7と下部シェル8とを有し、上部シェル7と下部シェル8とは、溶接シーム9により互いに密に結合されている。
図1および
図2の実施の形態では、上部シェル7に、溢流部10が一体的に組み込まれている。溢流部10は、流入開口11(流入開口11を介して媒体がハイドロリックリザーバ6から溢流部10に進入することができる)と、流出開口12(流出開口12を介して媒体が溢流部10から流出することができる)と、流入開口11と流出開口12との間に配置された管路区分13とを有する。管路区分13は、クラッチアクチュエータ1の規定通りの配置では、ハイドロリックリザーバ6に向けてわずかに傾斜している。流出開口12は、図示されていないチューブを被嵌するための肉厚部14を有するチューブ接続部として構成されており、チューブを介して、ハイドロリックリザーバ6から流出する媒体が、捕集タンクまたは油溜めに供給される。ハイドロリック媒体によるハイドロリックリザーバ6の簡単な充填を目的として、ハイドロリックリザーバ6の上部シェル7に、スクリュープラグ15により閉鎖可能な充填開口が設けられている。
【0028】
図4〜
図6は、
図1および
図2の形態に類似する、本発明の別の実施の形態を示しているので、以下、相違点を説明し、他の点については
図1および
図2の実施の形態の記述が参照される。本実施の形態のハイドロリックリザーバ6の上部シェル7は、充填開口16を有して構成されている。上部シェル7の、この充填開口16を包囲する壁に、雄ねじ山17が設けられており、雄ねじ山17に、充填開口16を閉鎖するために、雌ねじ山を有するスクリューキャップ18が螺着されている。スクリューキャップ18には、その中央に、流入開口11と流出開口12とを有する管路区分13から成る溢流部10が形成されている。管路区分13の出口側の端部は、同様にチューブを被嵌するための肉厚部14を有するチューブ接続部として構成されている。この実施の形態では、追加的な充填開口が不要であることが有利である。というのも、キャップ18の螺着により充填が充填開口16を介して行われるからである。
【0029】
図示の両方の実施の形態では、溢流部10は、ハイドロリックリザーバのできるだけ高い位置にある。溢流部10は、ハイドロリックリザーバ6からの余剰の媒体の流出だけではなく、圧力変動時のハイドロリックシステムの吸気および排気にも役立つ。
【符号の説明】
【0030】
1 クラッチアクチュエータ
2 駆動装置
3 駆動装置
4 マスタシリンダハウジング
5 スレーブシリンダハウジング/カバーハウジング
6 ハイドロリックリザーバ
7 上部シェル
8 下部シェル
9 溶接シーム
10 溢流部
11 流入開口
12 流出開口
13 管路区分
14 肉厚部
15 スクリュープラグ
16 充填開口
17 雄ねじ山
18 スクリューキャップ