(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6703545
(24)【登録日】2020年5月12日
(45)【発行日】2020年6月3日
(54)【発明の名称】電気変換
(51)【国際特許分類】
H02M 7/12 20060101AFI20200525BHJP
【FI】
H02M7/12 A
【請求項の数】7
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2017-537903(P2017-537903)
(86)(22)【出願日】2015年12月17日
(65)【公表番号】特表2018-501769(P2018-501769A)
(43)【公表日】2018年1月18日
(86)【国際出願番号】GB2015054047
(87)【国際公開番号】WO2016113526
(87)【国際公開日】20160721
【審査請求日】2018年12月5日
(31)【優先権主張番号】1500567.1
(32)【優先日】2015年1月14日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】516017204
【氏名又は名称】ユニバーシティ オブ プリマス
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITY OF PLYMOUTH
(74)【代理人】
【識別番号】100075557
【弁理士】
【氏名又は名称】西教 圭一郎
(72)【発明者】
【氏名】アフメッド,モハメッド
【審査官】
佐藤 匡
(56)【参考文献】
【文献】
特開平06−209574(JP,A)
【文献】
特開2011−223840(JP,A)
【文献】
特開2012−105529(JP,A)
【文献】
特開平11−041930(JP,A)
【文献】
特開昭63−107457(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力側と出力側とを有するブリッジ整流器と、整流器の出力側の両端間に接続されたスイッチトキャパシタラインとを含み、スイッチトキャパシタラインは、キャパシタと、充電脚と、スイッチ式放電脚とを含み、充電脚は、トランジスタが導通しているとき、実質的に一定の充電電流を維持するように制御されるトランジスタを内蔵し、ブリッジ整流器からの出力が、所定値よりも大きく、キャパシタの出力より高いとき、一定電流におけるキャパシタの充電が生じ、一旦キャパシタの充電が整流器のキャパシタへの出力を超える点に達すると、充電が停止し、キャパシタの充電が維持されるようにスイッチ式放電脚が制御され、その後、スイッチ式放電脚のスイッチを制御してキャパシタの放電を許容することを特徴とする、電気変換に使用される装置。
【請求項2】
トランジスタのベースに印加される電圧が、少なくとも部分的に、ツェナーダイオードによって制御されるように、トランジスタが接続されていることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
トランジスタのベースに印加される電圧が、少なくとも部分的に、抵抗器に基づく分圧器を用いて制御されるように、トランジスタが接続されていることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
充電が生じる期間が、ブリッジ整流器からのピーク出力電圧に関して、実質的に対称であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
電気機器または電子機器のための電源の一部を形成していることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
入力側と出力側とを有するブリッジ整流器と、整流器の出力側の両端間に接続されたスイッチトキャパシタラインとを準備することを含み、スイッチトキャパシタラインは、キャパシタと、充電脚と、スイッチ式放電脚とを含み、充電脚は、トランジスタを内蔵しており、トランジスタが導通しているとき、実質的に一定の充電電流を維持するように、トランジスタを制御し、ブリッジ整流器からキャパシタへの出力が、所定値よりも大きく、キャパシタの出力より高いとき、一定電流でのキャパシタの充電が生じ、一旦キャパシタの充電がキャパシタへの整流器の出力を超える点に達すると、充電が停止し、キャパシタの充電が維持されるようにスイッチ式放電脚が制御され、その後、スイッチ式放電脚のスイッチを制御してキャパシタの放電を許容することを特徴とする電気変換方法。
【請求項7】
充電が生じる期間が、ブリッジ整流器からのピーク出力電圧について、実質的に対称であることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直流出力を提供するために交流電源の変換または整流に使用される方法および装置に関する。本装置は、たとえば、電気装置または電子装置の電源の一部を形成してもよい。
【背景技術】
【0002】
交流信号を整流するために、変化する直流出力を生成するブリッジ整流器の使用がよく知られている。ブリッジ整流器の使用に関連する1つの不利益は、直流出力が著しく変化し、実質的に交流のピーク入力大きさとゼロの間で変化するということである。出力信号の変化を低減するために一般的に用いられる1つの技術は、ブリッジ整流器の出力側の両端間に接続され、出力信号を平滑化するために使用中に充電し放電する平滑化キャパシタを、回路に提供することである。そのような平滑化キャパシタの提供は多くの用途で満足のいくように機能するけれども、著しい出力変動または微小変動がなお存在している。さらに、キャパシタは、静電容量の点とその寸法の点とから、典型的に相対的に大きくなければならない。結果として、いくつかの用途においてそのようなキャパシタの収容は困難であるかも知れない。
【0003】
上部に概説したタイプの回路配置の力率は、たとえば0.3から0.6の範囲では、典型的に比較的に低い。さらに、中または高電圧の用途では、特に関連する負荷が切替えられなければならないような場合には、高調波の発生によって、そのような高調波を抑制するために追加の回路を付与する必要性が生じ得、追加の複雑性と費用とを配置に付加する結果となる。
【発明の概要】
【0004】
電気変換に使用される方法および装置であって、既知の変換機構が有する不利益のうち少なくとも幾つかが克服されているか減少する結果となるような方法および装置を提供することが本発明の目的である。
【0005】
本発明の一態様によれば、入力側と出力側とを有するブリッジ整流器と、整流器の出力側の両端間に接続されたスイッチトキャパシタラインとを含み、スイッチトキャパシタラインは、キャパシタと、充電脚と、スイッチ式放電脚とを含み、充電脚は、トランジスタが導通しているとき、実質的に一定の充電電流を維持するように制御されるトランジスタを内蔵する、電気変換に使用される装置が提供されている。
【0006】
キャパシタの充電が行われている期間中、実質的に一定の充電電流を維持することによって、充電の開始時のサージ電流の存在を避けることができる。
【0007】
好都合には、トランジスタは、そのベースに印加される電圧が少なくとも部分的にツェナーダイオードによって制御されるように接続される。しかしながら、これは必ずしも必要ではなく、必要に応じて、適切に選択された構成要素を用いる抵抗器に基づく分圧器を用いることもできる。
【0008】
そのような配置において、ブリッジ整流器からの出力が所定値よりも大きく、キャパシタの出力よりも高いとき、一定電流におけるキャパシタの充電が生じる。一旦キャパシタの充電が整流器の出力を超える点に達すると、充電が停止し、スイッチ式放電脚のスイッチが制御されてキャパシタの放電を許容するときまで、キャパシタの充電は維持される。
【0009】
装置に用いられる構成要素の適切な選択によって、充電が生じる期間とキャパシタのピーク充電とを制御することができる。
【0010】
本発明は、さらに、入力側と出力側とを有するブリッジ整流器と、整流器の出力側の両端間に接続されたスイッチトキャパシタラインとを準備することを含み、スイッチトキャパシタラインは、キャパシタと、充電脚と、スイッチ式放電脚とを含み、充電脚はトランジスタを内蔵しており、トランジスタが導通しているとき、実質的に一定の充電電流を維持するようにトランジスタを制御する、電気変換方法に関する。
【0011】
本発明は、一例として、添付の図面に参照し、以下に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施形態の装置を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
まず
図1を参照すると、電気変換装置10が示されており、その装置は、交流電源16に接続された入力側14と出力側18とを有するブリッジ整流器12を含む。出力側18の両端間に接続されているのがスイッチトキャパシタライン20である。
【0014】
スイッチトキャパシタライン20は、キャパシタ22と、充電脚24であって、これによってキャパシタ22の充電が生じ得る、充電脚24と、スイッチ式放電脚26であって、これによって負荷28を満たすようにキャパシタ22が放電され得る、スイッチ式放電脚26とを含む。
【0015】
充電脚24は、トランジスタ30を含み、そのコレクタが抵抗器32を介して高出力線または高出力側18aに接続され、そのエミッタがダイオード34を介してキャパシタ22に接続される。トランジスタ30のベースは、ツェナーダイオード36と、高出力線18aと接地線18bとの間に接続された抵抗器38とによって制御されたレベルに維持される。
【0016】
スイッチ式放電脚26は、適切なスイッチ40とダイオード42とを含む。スイッチ40は、たとえば、適切に制御されたMOSFETまたはIGBTを含んでもよい。
【0017】
抵抗器38は、高出力線18aの電圧が所定値を超えたとき、十分な電流がツェナーダイオード36を通じて流れることを確保して、ツェナーダイオードが高出力線18aとトランジスタ30のベースとの間の一定または実質的に一定の電位差を維持することを確保するように、選択される。その結果として、実質的に一定の電流が、抵抗器32、トランジスタ30およびダイオード34を通じて流れ、キャパシタ22を充電する。
【0018】
図2に示され、第1モードまたは期間44として識別されるように、そのような動作の間、キャパシタ22の充電は、キャパシタの充電がブリッジ整流器12の出力側18からキャパシタへの供給を超える点に達するまで、一定のまたは実質的に一定な速度で継続する。モード44の間、負荷28はブリッジ整流器12の出力から満足される。一旦この点に達すると、キャパシタ22のさらなる充電は生じ得ない。負荷28は、ブリッジ整流器12の出力から満足され続ける。
図2において第2モードまたは期間46によって示されるように、キャパシタ22の放電は、ダイオード34と開放されたスイッチ40とによって妨げられる。したがって、このモード46の間、キャパシタ22は充電されたままである。
【0019】
次の時点において、スイッチ40は閉じられ、キャパシタ22の放電が開始することができ、キャパシタ22からの放電が、この第3モードまたは期間48の間、負荷28を満たすように使用される。
【0020】
モード44,46,48の存続期間とキャパシタ22の最大充電量とは、回路の構成要素の適切な選択とスイッチ40の動作の適切な制御とによって制御される。一例として、抵抗器32によって与えられる抵抗を変化させることによって、充電電流を変化させることができる。充電電流を減少させることによって、
図3に示されるように、第1モード44の持続期間を延長することができる。このような第1モード44の持続期間の延長は、ブリッジ整流器からの出力電圧のピークについて、充電電流をおおよそ対称にする結果となる。さらに高められた対称性は、力率をさらに高める結果となり得る。
【0021】
上記の記述では、トランジスタ30が導通しているとき、トランジスタ30を通じてキャパシタ22に流れる実質的に一定の電流を維持するように、トランジスタ30のベースに印加される電圧を制御する際にツェナーダイオード36が使用されているが、これは必ずしも必要ではない。一例として、抵抗器32の抵抗値が抵抗器38の抵抗値よりもずっと小さいことを条件として、キャパシタ22への実質的に一定の充電電流を依然として達成している間は、ツェナーダイオード36は抵抗器に置換えることができる。
【0022】
上記に概説された電気変換配置は、比較的少ない構成要素を使用するという点において有利であると理解されるであろう。キャパシタ22は大きさを小さくすることができ、このようにして既知の配置に関連するパッケージング問題が克服されている。上述したように、キャパシタの充電電流が実質的に一定であるので、充電の開始時と終了時とに重大なサージが存在しない。配置は単一のスイッチの動作に対する制御を必要とするだけであり、それゆえ、比較的運転が簡単である。
【0023】
好都合には、この装置は、たとえば、コンピュータ機器、テレビジョンまたはオーディオ機器などの民生用の電子装置とともに使用される、電気装置または電子装置の電源に組込まれてもよい。しかしながら、広範囲のその他の機器とともに使用され、または広範囲の他の機器に組込まれてもよいことは理解されるであろう。
【0024】
上述の記載は、発明の特定の実施態様に関する。しかしながら、本発明はこの点に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲によって定義されるような発明の範囲から逸脱することなく修正されてもよい。