特許第6703552号(P6703552)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6703552制限されたダイを有する半径方向圧縮装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6703552
(24)【登録日】2020年5月12日
(45)【発行日】2020年6月3日
(54)【発明の名称】制限されたダイを有する半径方向圧縮装置
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/844 20130101AFI20200525BHJP
   A61M 25/10 20130101ALI20200525BHJP
   B21J 5/02 20060101ALI20200525BHJP
【FI】
   A61F2/844
   A61M25/10 512
   B21J5/02
【請求項の数】16
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-560323(P2017-560323)
(86)(22)【出願日】2016年9月29日
(65)【公表番号】特表2018-531629(P2018-531629A)
(43)【公表日】2018年11月1日
(86)【国際出願番号】US2016054360
(87)【国際公開番号】WO2017059024
(87)【国際公開日】20170406
【審査請求日】2018年9月12日
(31)【優先権主張番号】62/235,075
(32)【優先日】2015年9月30日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】15/276,539
(32)【優先日】2016年9月26日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517399077
【氏名又は名称】ゴフ,エド
(73)【特許権者】
【識別番号】517399088
【氏名又は名称】ウォリナー,ジェレマイア,ジェイ.
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】特許業務法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ゴフ,エド
(72)【発明者】
【氏名】ウォリナー,ジェレマイア,ジェイ.
【審査官】 竹下 晋司
(56)【参考文献】
【文献】 特表2008−503264(JP,A)
【文献】 特表2014−523294(JP,A)
【文献】 米国特許第07886661(US,B1)
【文献】 国際公開第2013/101704(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/82 − 2/945
A61M 25/10
B21J 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半径方向圧縮機構であって、
複数の支承面により画定され、貫通して形成された切欠きを有する制限構造と、
前記制限構造によって支持され、中心軸を中心とした円形パターンで配置されている複数のダイと、
前記複数のダイのうちの少なくとも1つに連結され、すべての前記ダイを開位置と閉位置との間で一斉に駆動する駆動機構と
を備え、
前記複数のダイの各ダイは、前記複数の支承面のうちの対応する支承面に支承されるように当該支承面に平行に並置されかつ当該支承面に対向して配置された底面を有し、各ダイが、前記支承面に沿って双方向に直線的に移動するように制限されており、
前記複数のダイの各ダイは作用面を有し、前記複数のダイの前記作用面は、協働して、前記複数のダイの一斉移動に伴って開位置と閉位置との間で移動可能な中央の製品受容円筒形キャビティを形成する、半径方向圧縮機構。
【請求項2】
前記複数のダイの各々は、前記作用面に対向する滑動面を有しており、前記複数のダイの各ダイの前記滑動面は、隣接するダイの前記作用面に対して実質的に平行に並置されて配置され、前記複数のダイの各ダイの前記滑動面と、前記複数のダイの隣接するダイ各々の前記作用面との間に一定幅のギャップが形成されている、請求項1に記載の半径方向圧縮機構。
【請求項3】
前記駆動機構は、前記制限構造に対して移動可能なカム要素を備えており、前記カム要素は、前記複数のダイのうちの少なくとも1つに係合する少なくとも1つのカム面を有しており、前記カム要素の移動により、すべての前記ダイを前記開位置と前記閉位置との間で同時かつ一斉に駆動する、請求項1に記載の半径方向圧縮機構。
【請求項4】
前記駆動機構は、前記制限構造に対して移動可能なカム要素を備えており、前記カム要素は、複数のカム面を備えており、各カム面は、前記複数のダイのうちの1つのダイに対応し、かつ当該ダイに係合し、前記カム要素の移動により、すべての前記ダイを前記開位置と前記閉位置との間で同時かつ一斉に駆動する、請求項1に記載の半径方向圧縮機構。
【請求項5】
前記複数のダイの隣接するダイ間、および各ダイと対応する支承面との係合は、それらの間の直接の滑動面接触、それらの間への種々の摩擦低減または摩耗改善材料のコーティング、ラミネート、または付着、およびそれらの間への軸受要素の配置のうちの1つである、請求項1に記載の半径方向圧縮機構。
【請求項6】
前記切欠きは多角形形状であり、各支承面は前記多角形形状の側面を形成する、請求項1に記載の半径方向圧縮機構。
【請求項7】
前記複数のダイは、3〜15個のダイを含む、請求項1に記載の半径方向圧縮機構。
【請求項8】
前記中央の製品受容円筒形キャビティは、前記閉位置において0.3mmの小ささである、請求項1に記載の半径方向圧縮機構。
【請求項9】
前記制限構造は、
複数の支承面により画定され、貫通して形成された第1の切欠きを有する第1の固定板と、
複数の支承面により画定され、貫通して形成された第2の切欠きを有する第2の固定板と
を備える、請求項1に記載の半径方向圧縮機構。
【請求項10】
半径方向圧縮機構であって、
複数の支承面により画定され、貫通して形成された第1の切欠きを有する第1の固定板と、
複数の支承面により画定され、貫通して形成された第2の切欠きを有する第2の固定板と、
中心軸を中心とした円形パターンで配置されており、前記第1の固定板と前記第2の固定板との内方においてそれらの間に支持され、前記第1の固定板と前記第2の固定板との内方においてそれらの間に延びている複数のダイと、
前記複数のダイのうちの少なくとも1つに連結され、すべての前記ダイを開位置と閉位置との間で一斉に駆動する駆動機構と
を備え、
前記第1の固定板および前記第2の固定板は、前記第1の切欠きおよび前記第2の切欠きが平行かつ位置合わせされた関係が維持された状態で、平行に配置されており、
前記複数のダイの各ダイは、前記第1の固定板および前記第2の固定板の前記複数の支承面のうちの対応する支承面に支承されるように当該支承面に平行に並置されかつ当該支承面に対向して配置された底面を有し、各ダイが、前記対応する支承面に沿って双方向に直線的に移動するように制限されており、
前記複数のダイの各ダイは作用面を有し、前記複数のダイの前記作用面は、協働して、前記複数のダイの一斉移動に伴って開位置と閉位置との間で移動可能な中央の製品受容円筒形キャビティを形成する、半径方向圧縮機構。
【請求項11】
前記複数のダイの各々は、前記作用面に対向する滑動面を有しており、前記複数のダイの各ダイの前記滑動面は、隣接するダイの前記作用面に対して実質的に平行に並置されて配置され、前記複数のダイの各ダイの前記滑動面と、前記複数のダイの隣接するダイ各々の前記作用面との間に一定幅のギャップが形成されている、請求項10に記載の半径方向圧縮機構。
【請求項12】
前記駆動機構は、
前記第1の固定板および前記第2の固定板に対する移動のために、前記第1の固定板および前記第2の固定板の間に保持された回転カム要素と、
各々が前記複数のダイのうちの1つのダイに対応し、これに係合する、複数のカム面と
を備え、
前記カム要素の移動により、すべての前記ダイを前記開位置と前記閉位置との間で同時かつ一斉に駆動する、請求項10に記載の半径方向圧縮機構。
【請求項13】
前記複数のダイの隣接するダイ間、および各ダイと対応する支承面との係合は、それらの間の直接の滑動面接触、それらの間への種々の摩擦低減または摩耗改善材料のコーティング、ラミネート、または付着、およびそれらの間への軸受要素の配置のうちの1つである、請求項10に記載の半径方向圧縮機構。
【請求項14】
前記切欠きは多角形形状であり、各支承面は前記多角形形状の側面を形成する、請求項10に記載の半径方向圧縮機構。
【請求項15】
前記複数のダイは、3〜15個のダイを含む、請求項10に記載の半径方向圧縮機構。
【請求項16】
前記中央の製品受容円筒形キャビティは、前記閉位置において0.3mmの小ささである、請求項10に記載の半径方向圧縮機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、半径方向圧縮機構に関し、より具体的には、ステント、カテーテル、バルーン等のような器具を圧縮する機構に関する。
【背景技術】
【0002】
医療器具の製造および試験において、ステント、バルーン、およびカテーテルのような円筒形器具を半径方向に圧縮するための機構が使用される。例えば、カテーテルバルーンへのステントの設置は、典型的には、十分な圧力でステントをバルーンに半径方向内側に圧縮して、ステントをより小さい直径へと永久的に変形させ、金属ステントをプラスチックバルーンにわずかに埋め込むことにより達成される。別の例では、ポリマーカテーテルバルーンは、カテーテルシャフトの周りをポリマーカテーテルバルーンでぴったり包み込むように襞を付けて畳んだ後、半径方向に圧縮される。また別の例では、自己拡張型ステントは、シースまたはデリバリーシステム内に挿入されるように半径方向に圧縮される。医療器具試験の一例においては、ステントの直径と半径方向力との間の機能的な関係を測定するために、必要な力を測定しながら、ステントが半径方向に圧縮される。
【0003】
第1のタイプの従来技術の装置は、半径方向圧縮機構を備え、平面を有するいくつかの同様のくさび形ダイが略円筒形中央キャビティを形成するように配置され、くさびは、ヒンジ留めされ、一緒に駆動されてキャビティの直径を変化させる。この機構の例は、Phoenix Contact GmbH 7 Co.KGにより販売されるCrimpfoxツール(CRIMPFOX UD 6−6、部品番号1206366)、およびMachine Solutions Incorporatedにより市販され、特許文献1に記載されている「セグメント圧縮機構」である。このタイプの機構では、ダイの作用面は、2つの平面が先端で交わるくさび形状を有する。このタイプの機構の欠点は、隣接しているくさびの間にギャップが存在しており、その大きさが、キャビティの直径に応じて不所望な変化を示すことである。典型的には、この機構は、所望の範囲のキャビティ直径を提供するように特別に設計されている。最小直径および最大直径では、ダイは、互いに対してぴったりとくさび留めされる(ギャップがない)。直径が最小直径から増加されるにつれて、ギャップは、最大値まで増加し、その後、最大直径で再びゼロになるまで減少する。直径範囲および(直径に応じた)ギャップは、当該機構の具体的な設計、特に、ダイのヒンジ点の位置および当該機構内のすべてのダイヒンジ点によって形成される円の直径に依存する。ヒンジ点による円の直径がより大きいほど、所与の直径範囲に対する最大ギャップがより小さくなる。このタイプの機構における設計上の厳しいトレードオフにより、所与の直径範囲に対して小さな最大ギャップを提供するためには機構を大きくしなければならなくなるか、または小さなサイズの機構で同じ直径範囲を提供するためには大きなギャップを有していなければならなくなる。くさび間の大きなギャップは、圧縮される器具の部品が入り込む空間があるため、不都合となる。例えば、ステントの金属ストラットは、ギャップ内に入り込み、損傷を受ける可能性がある。
【0004】
第2のタイプの従来技術の装置は、半径方向圧縮機構を備え、平面を有するいくつかの同様のくさび形ダイが、略円筒形の中央キャビティを形成するように配置され、くさびは、固定部品に対して直線的に移動するように、各ダイを個別に制限するリニアガイドに取り付けられ、ダイは一斉に駆動されて中央キャビティの直径を変化させる。各ダイの運動経路は、固定部品に組み付けられていれば、たとえ他のダイが存在しなくても、制限される。ダイは、リニアガイドによってのみガイドされ、隣接するダイによってはガイドされない。この機構の例としては、特許文献2のコキッシュ(Kokish)によって教示されている機構、またはDFW−1000モデルのballon Fluter−Wrapperマシンの部品としてInterface Catheter Solutionsによって市販されている機構が挙げられる。このタイプの機構では、ダイの作用面は、2つの平面が先端で交わるくさび形状を有する。この機構におけるくさびの直線運動によって、くさび間ギャップは、キャビティの直径とは関係無く一定であり、かつ任意の所望の大きさに設計できる。この機構の欠点は、典型的には、ダイのくさび形作用端部が十分に正確な位置関係にならないことである。ダイの正確な位置関係は、中央キャビティが略円形のままであり、圧縮された器具の周囲に均一な圧縮を与え、最大のダイ間ギャップが平均よりもあまり大きくならないようにするために、重要である。各ダイはそれ自身のリニアガイド上に支持され、すべてのガイドはプレートまたはベースに取り付けられ、カムのような別の回転部品を使用して一斉に運動させなければならない。したがって、多くの部品および付属品が中央キャビティの精度(真円度)に影響を及ぼし得る。医療器具の製造および試験では、しばしば、0.3mmの小ささの直径で正確に丸いキャビティが必要であるが、このタイプの機構は、典型的には、多くの部品の寸法変動のため、これを達成できない。
【0005】
第3のタイプの従来技術の装置は、半径方向圧縮機構であり、いくつかの弓形のダイが、ヒンジプレートに旋回可能に取り付けられた外端と、略円筒形の中央キャビティを形成する略くさび形の内側作用先端とを有する。ダイは一斉に駆動されて、中央キャビティの直径を形成し、変化させる。このタイプの機構は、特許文献3に記載されており、Blockwise Engineering LLCによって「J−Crimp」機構として市販されている。このタイプの機構は、第1のタイプの従来技術よりも重要な利点、すなわち、開口直径に伴って変化しない一定のダイ間ギャップという利点を有する。これは、さらに、第2のタイプの従来技術よりも重要な利点、すなわち、ダイ間ギャップをより小さくかつより正確に製造することができるという利点を有している。この第3のタイプの機構のダイ間ギャップは、開口直径に応じて変化しないようにすることができ、一般に、他の従来技術のものよりもより小さいが、ダイ間ギャップの公差は、長細いダイそれ自体を含め、製造寸法変動に寄与するいくつかの部品が存在するため、依然としてかなりのものである。非常に小さいステントのステントクリンピングまたは非常に小さなバルーンのバルーンラッピングのように、圧縮された製品が、非常に小さく、均一で正確に丸いことによる利益を享受するいくつかの用途では、ダイ間ギャップの小ささおよび精度のさらなる改善が有利である。
【0006】
したがって、従来技術に固有の前述の欠点および他の欠点を改善することは非常に有利であろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第6,968,607号明細書
【特許文献2】米国特許第6,651,478号明細書
【特許文献3】米国特許第7,963,142 B2号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本発明の一つの目的は、新規の改善された半径方向圧縮機構を提供することである。
【0009】
本発明の他の一つの目的は、医療産業において、ステント、カテーテル、バルーン等のような器具を圧縮するための新規かつ改善された半径方向圧縮機構を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
要約すると、本発明の所望の目的および利点を達成するために、貫通して形成された切欠きを有する制限構造を備えた半径方向圧縮機構が提供される。切欠きは、複数の支承面により画定される。複数のダイは、制限構造によって支持されており、中心軸を中心とした円形パターンで配置されている。複数のダイの各ダイは、各ダイが、対応する支承面に沿って双方向に直線的に移動するように制限された状態で、複数の支承面のうちの対応する支承面に平行に並置された底面を有している。複数のダイの各ダイは作用面を有し、複数のダイの作用面は、協働して、複数のダイが一斉移動するときに開位置と閉位置との間で移動可能な中央の製品受容円筒形キャビティを形成する。駆動機構は、複数のダイのうちの少なくとも1つに連結され、ダイを開位置と閉位置との間で一斉に駆動する。
【0011】
より具体的には、複数のダイの各々は、作用面に対向する滑動面(sliding surface)を有する。複数のダイの各ダイの滑動面は、隣接するダイの作用面に対して実質的に平行に並置されて配置され、一定幅のギャップが、複数のダイの各ダイの滑動面と、複数のダイの隣接するダイ各々の作用面との間に形成される。
【0012】
さらに具体的には、前記制限構造が、第1の固定板および第2の固定板を備えている、半径方向圧縮機構が提供される。第1の固定板は、複数の支承面によって画定され、貫通して形成された第1の切欠きを備えており、第2の固定板は、複数の支承面によって画定され、貫通して形成された第2の切欠きを備えている。第1の固定板および第2の固定板は、第1の切欠きおよび第2の切欠きが平行かつ位置合わせされた関係が維持された状態で、平行に配置される。複数のダイは、第1の固定板および第2の固定板の内方においてそれらの間に支持され、第1の固定板と第2の固定板との内方においてそれらの間に延びている。
【0013】
本発明の上記およびさらなるより具体的な目的および利点は、添付の図面を参照しながら、好ましい実施形態の以下の詳細な説明により当業者には容易に明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明による半径方向圧縮装置の斜視側面図であり、開いた状態を示す。
図2】本発明による半径方向圧縮装置の斜視側面図であり、閉じた状態を示す。
図3】本発明の好ましい実施形態の要部の側面図であり、開いた状態を示し、略二等辺三角形のダイと、固定板と、ダイの間およびダイ外縁部と固定板との間の両方にある転動球とを示す。
図4】本発明の好ましい実施形態の要部の側面図であり、閉じた状態を示し、略二等辺三角形のダイと、固定板と、ダイの間およびダイ外縁部と固定板との間の両方にある転動球とを示す。
図5】本発明の好ましい実施形態の完全なダイアセンブリの斜視図であり、ダイを移動させて開状態から閉状態への動きを生み出すアームおよび転動カムフォロアベアリングを示している。
図6】本発明による半径方向圧縮装置の側面斜視切り欠き図であり、部分的に開いた状態を示し、ダイアセンブリ、転動球、固定板、およびダイを開状態と閉状態との間で作動させる回転カムリングを示している。
図7】ガイドのために球を収容するための切欠き部を有する二等辺三角形のダイを示す。
図8】ガイドのために球を収容するための切欠き部がない二等辺三角形のダイを示す。
図9】キャビティを形成する作用先端の側面拡大図であり、それらの間に形成されるギャップを示す。
図10】本発明について、ダイ間ギャップとキャビティ直径との関係を示すグラフである。
図11】ダイ間ギャップの主な影響要素、すなわち、ダイの段の寸法および球の直径を示す。
図12】固定板が取り外された状態の半径方向圧縮装置の側面図であり、戻しばねを示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
ここで、同様の参照符号がいくつかの図を通じて対応する要素を示す図面を参照して、まず、本発明による一つの半径方向圧縮装置10を示す、図1図2、および図6に注目する。装置10は、制限構造12を含み、この制限構造12は、この好ましい実施形態においては、一対の離間した固定板14、16を含む。各板14および16は、略中央に配置された切欠き18および19をそれぞれ有しており、切欠き18および19は、各板14および16を貫通して形成され、複数の支承面20によって区画されている。支承面20によって区画された各切欠き18および19は、略多角形形状であり、各支承面20は、多角形形状の側面を成している。切欠き18および19は、支承面20を合致させて、平行に整列している。板14および16は、相対移動を防止して、安定した装置を提供するために、ベース22に取り付けられている。2枚の板14および16が説明されるが、支承面によって区画される切欠きが存在する限り、1つまたは複数の板を制限構造12において用いることができることが理解されるであろう。
【0016】
装置10はさらに、切欠き18および19内に支持された複数のダイ24を備えている。各ダイ24は、固定板14および16の間で、板14の切欠き18から板16の切欠き19まで延びている。複数のダイ24は、中心軸を中心とした略円形のパターンに配置されており、制限構造12によって制限され、かつ開位置と閉位置との間で移動可能である。複数のダイ24のうちの少なくとも1つに駆動機構が結合されており、すべてのダイを開位置と閉位置との間で一斉に駆動する。この好ましい実施形態では、駆動機構は、固定板14と固定板16との間に双方向に回転可能に支持され、作動力によって駆動されるアーム26によって作動される回転カム要素25を備えている。前記作動力は、電動モータ、機械式、手動式等を含む実質的にどんな手段によっても提供することができる。ダイ24は、切欠き18および19内で、カム要素25によって、開位置(図1)と閉位置(図2)との間で移動され、それにより、0.3mmという小さな直径の正確に丸いキャビティを有することができる。
【0017】
引き続き図1図2、および図6を参照すると、各ダイ24は、一点に集まる側面28および側面29により形成される頂点27を有する、二等辺三角形またはくさび形であることが好ましい(図8)。頂点27は、この好ましい実施形態では、約36°の角度を有することが好ましい。各ダイ24は、頂点27の反対側に底面30をさらに備えている。切欠き18および19の支承面20の数は、使用されるダイ24の数に依存する。この好ましい実施形態では、切欠き18および19の多角形形状は、10個のダイ24を支持する十角形である。より多くの、またはより少ないダイ24が、その数に相当する多角形形状を選択することにより、使用可能であることが理解されるであろう。ダイの数は、製造業者の要件および要望に応じて、3〜15の実用的な範囲にわたって変化し得ることに留意すべきである。また、本明細書で記載されている十角形というのは、一般化すれば、ダイの数に等しい辺の数を有する正多角形であり、二等辺三角形のダイの頂角は、一般的には、360°をダイの数で除したものに等しくなることにも留意すべきである。
【0018】
複数のダイ24は、ダイ24の側面28が隣接するダイ24の側面29と平行に並置された状態で、中心軸の周りに略円形のパターンで配置されている。ダイ24のこの配置は、切欠き18、19内に制限され、それによって、複数のダイ24の各ダイの底面30は、多角形の切欠き18および19の側面を形成する支承面20の1つに隣接して配置される。切欠き18および19の寸法ならびにダイ24の寸法は、固定板14および16の切欠き18および19の中にダイ24を収納して支承面20と係合させるのに過不足のない空間が生じるように選択される。適切な寸法により、ダイ24の底部30は支承面20に支承されて案内され、かつダイ24の側面28は隣接するダイ24の側面29に支承されて案内される。各ダイ24の側面29の頂点27に近い部分は、製品と接触する作用面34を形成し、他のダイの作用面34と協働して、配置されたダイ24の円形パターンの略中心軸において、中央の円筒形状の製品受容キャビティ35を形成する。
【0019】
図3および図4に示すように、固定板14および16、ならびにダイ24の上述の配置によって、ダイ24の特定の制限された動きがもたらされる。各ダイ24は、固定板に対して直線運動でのみ、矢印Aによって示されるように支承面20に平行な方向に沿ってのみ、かつ互いに対して一斉にのみ、移動することが許される。さらに、この配置は、隣接する2つのダイ24の各々に対して直線運動でのみ移動するように、すなわち、隣接するダイの側面28と側面29との間のスライド運動で移動するように、各ダイ24を制限する。さらに、この制限され、かつ調和したダイの動きによって、開位置と閉位置との間で、中央の円筒形状の製品受容キャビティ35の直径の変化がもたらされる。この動きは、支承面20に摩擦がない場合、ダイ24のいずれか1つに加えられる力によって、ダイ群全体が一斉に移動して中央キャビティ35を開閉させるように完全に制限されている。
【0020】
上述したダイ24の配置はまた、図9および図10に示すように、中央キャビティ35の直径に応じて変化することのない一定のダイ間ギャップをもたらす。ダイ間ギャップの寸法は、用途の要件に応じて任意の大きさに設計されてもよいが、多くの用途では、部品の達成可能な製作公差に従って、作用先端34の直接の摩擦接触を防止しながら、できるだけ小さくするべきである。いくつかの用途では、隣接する作用先端34同士の直接の摩擦接触が許容可能であってもよく、または望ましい場合がある。
【0021】
ダイ24間の接触は、潤滑グリースもしくはオイルを伴うか、またはこれらを伴わない、平面同士の直接の摺動接触によって行うことができ、あるいは低摩擦材料を塗布することによるか、または転動シリンダ(「ニードルローラ」としても一般に知られている)等のベアリング要素を使用することによるか、または図示されている好ましい実施形態におけるように球40を使用することによって、互いに対して、また支承面20上で容易に滑動することができる。軸受球40は、ダイ間の支承およびガイドのために使用される。球40は、隣接するダイ24の隣接する側面28と側面29との間、ならびに底部30と支承面20との間に配置されている。ダイ24および転動軸受球40は、硬化工具鋼または硬化マルテンサイトステンレス鋼またはセラミック等の硬質材料から作製されることが好ましい。軸受球40は、低摩擦、低摩耗での長い耐用年数、手入れの簡単さ、および非常に良好なガイド精度を提供する。本実施形態では、ダイ間ギャップの精度は、ダイ24それら自体および転動軸受球40を含む少数の部品によってのみ影響を受ける。
【0022】
図7および図11を参照すると、ダイ24は、各ダイ24の側面29に沿って挿入段42を形成することによって、ダイ24間に形成されるギャップをさらに減少させるように改造することができる。軸受球40は、ダイ24間で挿入段42内に保持され、挿入段42のそれぞれはボールレース(ball race)として機能する。このようにして、ダイ24間の摩擦は軸受球40によって減少され、その一方で、作用先端34には、あるとしてもごくわずかなギャップが形成される。ダイ24のたった1つの特徴、すなわち、容易に非常に高精度にすることができる特徴である、作用先端面34とボールレース面との間の挿入段42の寸法が、ギャップに影響を及ぼす主な因子である。例えば、平面研削またはワイヤカットEDMのような容易に利用可能な金属切削方法は、±0.0002インチの精度でそのような切削を行うことができる。これらの金属切削方法を使用することで、マシンから部品を取り外すことなく、ダイ24の関連するすべての特徴を作り出すことができ、したがって、切削マシンへの部品固定による寸法誤差を回避できる。さらに、例えば、直径寸法0.125インチ±0.00005インチの極めて高い精度の軸受球40が一般に入手可能であり、安価である。ダイの段の寸法および球の直径が、ダイ間ギャップの寸法に主に影響を与えるため、過剰な摩擦および摩耗を起こす可能性があるダイ同士の擦れの危険性なしに、従来技術の機構よりもずっと小さくギャップを設計することができる。
【0023】
ダイ24と固定板14および16との間、また隣接するダイ24の側面間で生じる支承およびガイドは、実際には、1)潤滑グリースもしくはオイル有りまたは無しでの部品の直接の滑動面接触、または2)一般的に使用される種々の摩擦低減もしくは摩耗改善材料をコーティング、ラミネート、もしくは付着することによって、または3)転動シリンダ(一般的に「ニードルころ」としても知られている)、または4)平面上で転動するカムフォロア型球軸受もしくは滑り軸受、または5)図1図4および図6の実施形態に示されるような、隣接する部品間に配置された転動球などのような、広範囲の設計要素により達成されてよいことも留意すべきである。また、ダイの形状は、この説明しやすい実施形態では二等辺三角形であると示されているが、一般的には、各ダイに係合する3つの支承・ガイド機構により可能となる直線移動方向が二等辺三角形を成すのであれば、多種多様な形状をとることができることにも留意すべきである。
【0024】
1つまたは複数のダイ24に力を加える多種多様な作動方法によって装置10の中央キャビティ35を開閉することができるが、一つの好ましい実施形態は、回転カム要素25を使用してすべてのダイ24を同時に作動させる。すべてのダイ24の同時作動は、これもまた可能ではある1つだけまたは少数のダイ24の作動と比較して、支承・ガイド装置に加わる力がより小さい。図5および図6を参照すると、回転カム要素25が固定板14および16の間に回転可能に連結されている。回転カム25は、各ダイ24のためのカム面50を備えている。具体的には図5を参照すると、各ダイは、カムフォロア軸受とも呼ばれるローラ54で終端する一対のアーム52を備えている。アーム52は、底部30から垂直に延びており、ダイ24がハウジング12に取り付けられたときに固定板14および16の間にある。カム面50は、各ダイ24のローラ、すなわちカムフォロア軸受54に係合する。カム要素25は、開位置と閉位置との間でダイ24を移動させるように回転でき、中央キャビティ35の直径を連続的に増加または減少させることができる。本実施形態では、作動アーム26は、エアシリンダ、ハンドル、または電気モータ等のアクチュエータからアーム26への下向きの力により中央キャビティ35が閉鎖されるように、回転カム要素25に取り付けられている。アーム26は、中央キャビティの直径を増加または減少させるように連続的に動作することができる。一つの使用例では、中央キャビティ35を最大にして、ステント、バルーン、カテーテル等の半径方向に圧縮させるべき任意の器具が中央キャビティ35内に挿入される。次に、アーム26は、製品が適切に圧縮されるまで、中央キャビティ35の直径を連続的に減少させるように動作させられる。
【0025】
図12を参照すると、ダイ24は、隣接するアーム52の間に保持された戻しばね60によって生成される付勢力に抗して、カム要素25により閉位置に移動される。ローラ54がカム面50から解放されると、ばね60はダイ24を開位置へと付勢する。
【0026】
このように、新しく新規な半径方向圧縮機構が開示された。新しく新規な半径方向圧縮機構は、隣接するダイ間に一定のギャップを有して動作し、連続した半径方向の移動により最大直径の中央キャビティと最小直径の中央キャビティとの間で一斉にダイを移動させ、隣接するダイ間の非常に小さく正確なギャップを有するように製造可能であるように構成されている。したがって、いくつかの従来技術の装置の大きな可変ギャップ、および他の従来技術の装置の比較的不正確なギャップが克服されている。
【0027】
説明のために選択された本明細書の実施形態に対する種々の変更および修正が、当業者には容易に思い浮かぶであろう。そのような修正および変形が本発明の精神から逸脱しない限り、それらはその範囲内に含まれることが意図される。
【0028】
当業者が同じことを理解し実行することを可能にするように、本発明をそのような明瞭かつ簡潔な用語で十分に説明したが、特許請求される発明は以下である。
図1
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図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12