(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6703584
(24)【登録日】2020年5月12日
(45)【発行日】2020年6月3日
(54)【発明の名称】セラミックス搭載板と厚膜回路の接着力を高める方法
(51)【国際特許分類】
H05K 3/38 20060101AFI20200525BHJP
H05K 3/12 20060101ALI20200525BHJP
H01L 23/36 20060101ALI20200525BHJP
H01L 23/12 20060101ALI20200525BHJP
C04B 41/88 20060101ALI20200525BHJP
【FI】
H05K3/38 D
H05K3/12 610J
H01L23/36 C
H01L23/12 D
C04B41/88 A
【請求項の数】12
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2018-206195(P2018-206195)
(22)【出願日】2018年11月1日
(65)【公開番号】特開2020-72207(P2020-72207A)
(43)【公開日】2020年5月7日
【審査請求日】2018年11月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】514173696
【氏名又は名称】國家中山科學研究院
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】林 嘉鼎
(72)【発明者】
【氏名】姚 錦富
(72)【発明者】
【氏名】呂 忠諺
(72)【発明者】
【氏名】郭 養國
【審査官】
齊藤 健一
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭52−37914(JP,A)
【文献】
特開昭59−223280(JP,A)
【文献】
特開昭61−17475(JP,A)
【文献】
特開2015−209356(JP,A)
【文献】
特開昭61−26231(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0107631(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2013/0098867(US,A1)
【文献】
国際公開第2017/108939(WO,A1)
【文献】
特開平2−177463(JP,A)
【文献】
特開平6−234081(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C04B37/00−37/04,41/08−41/91
H01L23/12−23/15,23/36
H05K1/00−3/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
セラミックス搭載板と厚膜回路との接着力を高める方法であって、
(A)セラミックス材料のセラミックス搭載板の本体を提供するステップ、
(B)前記セラミックス搭載板をクリーニングし、かつ艶出し及び研磨工程によって平らで滑らかにするステップ、
(C)金属銅または金属銅酸化物を用いたスクリーン印刷技術によって、回路パターンを前記セラミックス搭載板の表面に印刷し、金属回路を前記セラミックス搭載板の表面に密着させて貼り合わせるステップ、
(D)前記セラミックス搭載板をオーブンに設置し、105℃より低い温度で乾燥させるステップ、
(E)前記セラミックス搭載板を雰囲気環境の高温炉に設置すると同時に、40kgf/cm2以下でかつ搭載板に垂直な方向の圧力を加えるステップ、
(F)高温炉温度を前記金属銅と前記セラミックス搭載板の共晶温度±10℃以内に設定し、前記セラミックス搭載板と前記金属回路との間に固相拡散接合によって金属銅‐セラミックス共晶層を生成させるステップ、
(G)温度が下がった後、得られた前記セラミックス搭載板は、前記金属銅‐セラミックス共晶層によって、前記金属回路との接着力を高めるステップを含むセラミックス搭載板と厚膜回路との接着力を高める方法。
【請求項2】
前記セラミックス搭載板は、窒化アルミニウム(AlN)、酸化アルミニウム(Al2O3)、窒化ケイ素(Si3N4)、炭化ケイ素(SiC)または窒化酸化ケイ素(SiON)を含む、請求項1に記載のセラミックス搭載板と厚膜回路との接着力を高める方法。
【請求項3】
前記セラミックス搭載板が艶出し研磨工程を経た後、平滑度TTVが100μmより小さくなり、異なるニーズによって上記平滑度及び粗度を調整できる、請求項1に記載のセラミックス搭載板と厚膜回路との接着力を高める方法。
【請求項4】
前記金属銅または前記金属銅酸化物は、ペースト材またはコロイド材の形状であり、かつ高分子材料と均一に混合され、
前記金属銅または前記金属銅酸化物が総量の90%以上を占める、請求項1に記載のセラミックス搭載板と厚膜回路との接着力を高める方法。
【請求項5】
前記ステップ(D)において、
前記ペースト材または前記コロイド材中の前記高分子材料を気体化させて、前記セラミックス搭載板と前記金属回路とを完全に貼り合わせる、請求項4に記載のセラミックス統制板と厚膜回路との接着力を高める方法。
【請求項6】
前記雰囲気は窒素ガスであり、かつ10%以下の水素ガスを含む窒素ガス、または30%以下のアンモニアガスを含む窒素ガスである、請求項1に記載のセラミックス搭載板と厚膜回路との接着力を高める方法。
【請求項7】
高温炉中に加える圧力は、搭載板に垂直な方向の正方向力であり、または、高温炉内部の気圧を40kgf/m2以下まで高めるものである、請求項1に記載のセラミックス搭載板と厚膜回路との接着力を高める方法。
【請求項8】
前記セラミックス搭載板はアルミニウム系のセラミックス搭載板であり、
前記高温炉の温度を前記金属銅と前記アルミニウム系のセラミックス搭載板との共晶温度1065℃±10℃以内に設定する、請求項1に記載のセラミックス搭載板と厚膜回路との接着力を高める方法。
【請求項9】
得られた前記金属銅‐セラミックス共晶層がAlN−Al2O3−Cuである、請求項8に記載のセラミックス搭載板と厚膜回路との接着力を高める方法。
【請求項10】
前記金属銅‐セラミックス共晶層の厚さが2〜20μmである、請求項1に記載のセラミックス搭載板と厚膜回路との接着力を高める方法。
【請求項11】
前記セラミックス搭載板が窒化アルミニウム(AlN)、窒化ケイ素(Si3N4)または炭化ケイ素(SiC)を含む時、前記セラミックス搭載板を雰囲気環境の高温炉に設置するステップはさらに、
1%〜2%のO2を添加し、及び酸化反応を起こせるには十分な温度で前記セラミックス搭載板を処理するステップと、
前記雰囲気環境のガスを抜くステップと、
窒素ガス、10%以下の水素を含む窒素ガス、または30%以下のアンモニアガスを含む窒素ガスの雰囲気を提供するステップとを含む、請求項2に記載のセラミックス搭載板と厚膜回路との接着力を高める方法。
【請求項12】
金属化セラミックス搭載板であって、
窒化アルミニウム(AlN)、酸化アルミニウム(Al2O3)、窒化ケイ素(Si3N4)、炭化ケイ素(SiC)または窒化酸化ケイ素(SiON)を含むセラミックス搭載板と、
前記セラミックス搭載板の表面に印刷され、かつ金属銅を含み、厚さが2〜100μmである回路パターンと、
前記セラミックス搭載板と前記金属回路との間に、AlN−Al2O3−Cuであり、かつ固相拡散接合によって生成された金属銅‐セラミックス共晶層とを含む、接着力の高い金属化セラミックス搭載板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はセラミックス搭載板と厚膜回路の接着力を高める方法に関し、特に、高温の共晶条件において、正圧の雰囲気により、固相拡散接合によってセラミックス−金属の共晶相を形成させることで、セラミックス搭載板と金属厚膜回路の接着力を高める方法に関する。
【背景技術】
【0002】
セラミックス放熱搭載板は既に各種のLED、パワーモジュール等の電子関連分野に広く応用されている。厚膜技術は、スクリーン版を用いて回路を各種の搭載板上に印刷した後、LTCC(低温同時焼成セラミックス積層)またはHTCC(高温同時焼成セラミックス積層)等の方法でセラミックスの表面に固定するものである。なお、銅の直接接合(Direct Bonded Copper)技術は、主に、銅金属回路とセラミックス基板が雰囲気環境の共晶温度において形成する酸化銅の共晶相によって、両者を緊密に接合させ、回路の接着力を高めるものである。
【0003】
現在、セラミックス放熱基板と回路の接合は、DBC、DPC(直接銅めっき技術)、LTCC及びHTCC等の方法による金属化工程を含む。DBC工程は、機械強度が高い等の利点を有する一方、依然として黄色光によるフォトリソグラフィ及びエッチング等コストの高い技術で表面を覆う余分な銅箔を除去する必要がある。DPC技術も、その工程条件自身の制限により、回路の厚さを150μm以上にすることができず、ハイパワー応用端に対し制限がある。LCTT及びHTCCは、物理条件の制限により、一般的に銅回路及び酸化アルミニウム搭載板の組み合わせのみが適用され、熱伝導係数がより高い窒化アルミニウムを用いた場合、燒結温度が金属銅の融点を大きく上回るため、回路バターンが形成され難い。
【0004】
従来のスクリーン印刷回路は、回路と搭載板との間の接着力を高めるために、中間層を用いて、差異が過大な熱膨張係数のバランスを整え、回路強度を高める必要があるが、中間層があるからこそ、依然としてプロセス中にエッチングまたはフォトリソグラフィ等の関連ステップを考慮しなければならない。
【0005】
従って、当該分野では、セラミックス搭載板と金属回路との間の接着力を効率よく高め、かつ時間及び製造コストを下げることができる方法が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、接着力を改善する方法を含む、厚膜スクリーン印刷とセラミックス−金属共晶相工程を組み合わせた方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記従来技術の欠点を鑑み、本発明は、金属回路とセラミックス搭載板との接着力を高める方法を見出し、かつ、セラミックス−金属共晶層を生成することで、時間及び製造コストが低減される。
【0008】
上記目的を達成するために、本発明はセラミックス−金属銅回路の接着力を高めるプロセス方法を提供し、その第1実施形態として、当該方法には以下のことが含まれる。セラミックス搭載板が提供され、かつ、その表面にスクリーン印刷厚膜技術によって金属銅酸化物層回路パターンが生成されている。オーブンにおいて表面を乾燥させて、金属銅酸化物層中の余分な溶剤を除去する。雰囲気環境の高温炉に設置すると同時に、40kgf/cm
2以下でかつ搭載板に垂直な方向の圧力を加える。高温炉の温度を金属銅とセラミックス搭載板の共晶温度±10℃以内に設定して、セラミックス搭載板と金属銅との間に金属銅‐セラミックス共晶層を生成させる。
【0009】
上記にように、当該方法では、金属銅とセラミックス搭載板との間に金属銅‐セラミックス共晶層が生成され、この共晶層によって金属銅回路とセラミックス搭載板との間の接着力を高め、熱膨張係数の差異または外力によって発生し易かった金属銅回路とセラミックス搭載板の剥離を防止する。また、搭載板に垂直な方向の圧力によって、固相拡散接合の効率を高めることが可能であり、さらに金属銅‐セラミックス共晶層の生成を促進する。
【0010】
本発明の方法は、(A)セラミックス材料のセラミックス搭載板本体を提供するステップ、(B)前記セラミックス搭載板をクリーニングし、かつ艶出し(polishing)及び研磨(grinding)工程によって平らで滑らかにするステップ、(C)金属銅または金属銅酸化物を用いたスクリーン印刷技術によって、回路パターンを前記セラミックス搭載板の表面に印刷し、金属回路を前記セラミックス搭載板の表面に密着させて貼り合わせるステップ、(D)前記セラミックス搭載板をオーブンに設置し、105℃より低い温度で乾燥させるステップ、(E)前記セラミックス搭載板を雰囲気環境の高温炉に設置すると同時に、40kgf/cm
2以下で、搭載板に垂直な方向の圧力を加えるステップ、(F)高温炉温度を金属銅とセラミックス搭載板の共晶温度±10℃以内の設定し、前記セラミックス搭載板と金属回路との間に金属銅‐セラミックス共晶層を生成させるステップを含む。
【0011】
以上の概説と以下に述べる詳細な説明及び図面はいずれも、本発明で想定された目的を達成するための方法、手段及び効果を開示するものである。本発明のその他の目的及び利点について、以下の説明及び図面において示される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の第1実施例の素子構造を示す断面概略図である。
【
図2】
図1の金属銅とセラミックス搭載板の接合部分を拡大した説明図である。
【
図3】本発明のセラミックス搭載板と厚膜回路の接着力を高める方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について、特定かつ具体的な実施例を挙げて説明し、当業者は、本明細書に公開された内容から、本発明の利点と効果を簡単に理解することができる。
【0014】
従来のセラミックス搭載板上に金属化回路を形成する技術の多くは、フォトリソグラフィ、黄色光、エッチング等の半導体工程を用いるため、手間暇が費やされるだけではなく、コストも高い。従来のスクリーン印刷等を用いた厚膜技術は、多くの原材料の異なる特性により許容性の問題が生じ、単一のプロセス技術を用いることがなかなかできず、複合型の材料または工程を組み合わせる必要がある。本発明は、セラミックス搭載板と厚膜回路と接着力を高める方法を提供し、金属銅とセラミックス搭載板との間に、高温時の共晶条件によって、界面において金属銅‐セラミックス共晶層を生成し、かつ同時に搭載板の表面に垂直な正方向の圧力を用いて、金属銅‐セラミックス共晶層の生成効率を高めるものである。本発明において、一つのプロセス技術で、セラミックス搭載板上の金属回路の接着力を高めることが可能であり、余分の材料または工程技術を必要とせずに、かつ、薄膜工程をセラミックス搭載板金属化に応用する時に発生するコスト、及び窒化アルミニウムと金属銅を共に焼成できない問題を解決できる。
【0015】
図1及び
図2は本発明の一実施例の素子断面図である。
【0016】
図1を参照すると、半導体素子6ははんだ層5によって金属回路4上に固定され、金属回路4は本発明のセラミックス搭載板と厚膜回路の接着力を高める方法によってセラミックス搭載板3上に固定され、そして、セラミックス板は導熱コロイド2によって放熱フィン1の裏板に貼り付けられている。
【0017】
図2を参照すると、40kgf/cm
2以下で、かつセラミックス搭載板3に対し垂直な方向の圧力を加えると同時に、高温炉を金属銅‐セラミックスの共晶温度に設定して、固相拡散接合工程を行うことによって、金属銅‐セラミックス共晶層7を生成し、さらに、セラミックス搭載板3と厚膜回路4の接着力を高める。
【0018】
図2を参照すると、この方法に適用されるセラミックス搭載板は、無酸素のセラミックス搭載板、例えば、窒化アルミニウム(AlN)、窒化ケイ素(Si
3N
4)、炭化ケイ素(SiC)を含み、または、酸素を含むセラミックス搭載板、例えば、酸化アルミニウム(Al
2O
3)または窒化酸化ケイ素(SiON)を含む。
【0019】
図3は本発明のセラミックス搭載板と厚膜回路との接着力を高める方法を示すフローチャートである。
図3が示すように、本発明のセラミックス搭載板と厚膜回路との接着力を高める方法は、以下のステップを含む:(A)セラミックス材料のセラミックス搭載板3の本体を提供するステップ、(B)前記セラミックス搭載板3をクリーニングし、かつ艶出し及び研磨工程によって平らで滑らかにするステップ、(C)金属銅または金属銅酸化物を用いたスクリーン印刷技術によって、回路パターンを前記セラミックス搭載板3の表面に印刷し、回路パターンを有する金属回路4を前記セラミックス搭載板3の表面に密着させて貼り合わせるステップ、(D)前記セラミックス搭載板3をオーブンに設置し、105℃より低い温度で乾燥させるステップ、(E)前記セラミックス搭載板3を雰囲気環境または不活性ガス環境の高温炉に設置すると同時に、40kgf/cm
2以下でかつ搭載板に垂直な方向の圧力を加えるステップ。回路パターンの厚さが2〜100μmであってもいい。
【0020】
この方法に応用されるセラミックス搭載板が無酸素のセラミックス搭載板、例えば、窒化アルミニウム(AlN)である場合、前記セラミックス搭載板3の置かれた雰囲気環境に微量の酸素、例えば、1%〜2%のO
2を添加し、かつ、セラミックス搭載板が酸化反応を起こせるために十分な温度、例えば、400℃±10℃に設定し、無酸素のセラミックス搭載板を酸化させて、セラミックス搭載板3の界面が微量の酸素によって酸化されて酸化物が生成するようにしてもよい。酸化が完了後、雰囲気環境のガスを抜き、窒素ガス、10%以下の水素ガスを含む窒素ガス、または30%以下のアンモニアガスを含む窒素ガスの雰囲気に変えてもよい。
【0021】
(F)高温炉の温度を金属銅とセラミックス搭載板3の高温共晶温度1065℃±10℃以内に設定し、前記セラミックス搭載板3と前記金属回路4との間に金属銅‐セラミックス共晶層7を生成させるステップ、(G)温度が下がった後、得られたセラミックス搭載板3は、金属銅‐セラミックス共晶層7によって、金属回路4との接着力を高めるステップ。得られた金属銅‐セラミックス共晶層の厚さが2〜20μmであってもよい。
【0022】
以上、従来のスクリーン印刷回路及び共晶層のプロセス技術を組み合わせ、正方向の圧力高温工程を合わせて、サンドイッチ積層加圧方式によって、金属酸化物回路の還元及び共晶層の生成を同時に行い、金属回路をセラミックス搭載板上に安定して貼り合わせることで、時間及びコストの無駄を解消するとともに、低い熱伝導係数のセラミックスの使用を回避する。また、従来のスクリーン印刷セラミックス基板の回路金属化のプロセスをさらに進化させて、2つのステップの高温工程を一つの工程に集約し、時間コストを低減させ、かつ回路の剥離等の問題を克服できる。同時に、高い熱伝導係数のセラミックス材料を用いて、素子において発生した廃熱を迅速に伝達し、作業温度を低減させ、製品の寿命を長くすることができる。
【0023】
本実施例におけるセラミックス搭載板3はアルミニウム系のセラミックス搭載板であってもよく、窒化アルミニウムを例にすると、実施例のステップ(B)において、窒化アルミニウムセラミックス搭載板3が艶出し研磨工程を経た後、平滑度TTVが100μmより小さくなり、かつ異なるニーズによってこの平滑度及び粗度を調整することができる。実施例のステップ(C)において、金属銅または金属銅酸化物はペースト材またはコロイド材の形状であり、かつ高分子材料と均一に混合され、金属銅または金属銅酸化物が総量の90%以上を占める。実施例のステップ(D)において、乾燥温度を105℃以下に設定し、金属銅または金属銅酸化物のペースト材中の高分子材料を気体化させて、セラミックス搭載板3と金属銅または金属銅酸化物を完全に貼り合わせる。実施例のステップ(E)において、セラミックス搭載板3を雰囲気環境の高温炉に設置し、前記雰囲気は窒素ガスであり、10%以下の水素ガスを含む窒素ガス、または30%以下のアンモニアガスを含む窒素ガスであってもよい。実施例のステップ(E)において加えられる圧力は、搭載板に垂直な方向の正方向力であり、また、高温炉内部の気圧を40kgf/m
2以下まで高める圧力であってもよい。実施例のステップ(F)において、高温炉温度を金属銅とセラミックス搭載板3の高温共晶温度1065℃±10℃以内に設定する。本実施例で用いらえるセラミックス搭載板の材料は窒化アルミニウムセラミックスであり、アルミニウム系セラミックスと金属銅の高温共晶温度が1065℃であるため、本実施例で設定される高温共晶温度は1065℃±10℃以内となり、それで当該アルミニウム系セラミックス搭載板3と金属銅との間に金属銅‐セラミックス共晶(AlN-Al
2O
3-Cu)が形成される。本実施例のステップを完成すると、接着力の高い金属化セラミックス搭載板が得られる。
【0024】
以上をまとめると、本発明は、金属または金属酸化物をセラミックス基板にスクリーン印刷した後、金属酸化物の高温還元が行われる時に、セラミックスと金属が共晶温度で頑丈な共晶界面を形成し、かつ正方向の圧力を加えると、金属化セラミックス搭載板の製造及び回路接着力の強化が同時に行われるため、工程の簡易化、設備及びマンパワーコストの削減を実現し、かつ同時に熱伝導効率を高め、ハイパワーモジュールまたは3C素子等の廃熱を迅速に降下させ、素子寿命を延長させ、及び安全性を向上させる。また、本発明は、金属-セラミックス共晶理論を基礎とし、かつ正方向の圧力を合わせて、金属とセラミックス共晶温度において(微量のO
2を添加)、強力な共晶界面を生成し、熱膨張係数の相違等のプロセスの問題を克服する。さらに、上記方法は、黄色光によるフォトリソグラフィ等の製造技術を必要とするDBDまたはDPCに比べて、設備及びマンパワーコストを大幅に低減させることが可能であり、かつ、プロセス温度が比較的に低い(1065℃±10℃、即ち1055℃〜1075℃)ため、高い熱伝導の窒化アルミニウムセラミックス搭載板材料を用いることができる(LCTT及びHTCCは酸化アルミニウムを使用しなければならない)。
【0025】
上記実施例は本発明の特徴と効果を例示して説明したものに過ぎず、本発明の実質的な技術内容の範囲を制限するものではない。当業者であれば、本発明の趣旨及び範囲内に、上記実施例に対し修正と変更を加えることができる。従って、本発明の権利保護の範囲は、特許請求の範囲を基準とする
【符号の説明】
【0026】
1 放熱フィン
2 熱伝導コロイド
3 セラミックス搭載板
4 金属回路
5 はんだ層
6 半導体素子
7 金属銅‐セラミックス共晶層
S101〜S106 ステップ