特許第6703585号(P6703585)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6703585
(24)【登録日】2020年5月12日
(45)【発行日】2020年6月3日
(54)【発明の名称】流体圧制御装置
(51)【国際特許分類】
   F15B 11/17 20060101AFI20200525BHJP
   F15B 11/00 20060101ALI20200525BHJP
【FI】
   F15B11/17
   F15B11/00 D
【請求項の数】9
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2018-206882(P2018-206882)
(22)【出願日】2018年11月1日
(65)【公開番号】特開2020-70903(P2020-70903A)
(43)【公開日】2020年5月7日
【審査請求日】2020年2月5日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000929
【氏名又は名称】KYB株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】特許業務法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鋸屋 宜和
(72)【発明者】
【氏名】吉田 説与
(72)【発明者】
【氏名】田中 勇多
【審査官】 谿花 正由輝
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−257440(JP,A)
【文献】 特開2007−147074(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F15B 11/17
F15B 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ポンプから吐出される作動流体を導く第1ポンプ通路と、
第2ポンプから吐出される作動流体を導く第2ポンプ通路と、
前記第1ポンプ又は前記第2ポンプから吐出される作動流体が選択的に導かれるメイン通路と、
前記第1ポンプ通路に設けられ第1アクチュエータに給排される作動流体の流れを制御する第1制御弁と、
前記メイン通路に設けられ第2アクチュエータに給排される作動流体の流れを制御する第2制御弁と、
前記メイン通路から分岐して前記第2制御弁へ作動流体を導く供給通路と、
前記第1ポンプ通路から分岐して前記供給通路に接続されるパラレル通路と、
前記パラレル通路に設けられ前記第1ポンプから前記供給通路へ向かう作動流体の流れのみを許容する逆止弁と、
前記メイン通路に設けられ前記第1ポンプ通路及び前記第2ポンプ通路のうち前記メイン通路に連通する通路を選択的に切り換える切換弁と、を備え、
前記切換弁は、
前記第1ポンプ通路と前記メイン通路とを連通する第1切換ポジションと、
前記第2ポンプ通路と前記メイン通路とを連通する第2切換ポジションと、を有することを特徴とする流体圧制御装置。
【請求項2】
前記第1アクチュエータは、駆動対象の負荷が作用する負荷側圧力室と反負荷側圧力室との圧力差によって伸縮作動する流体圧シリンダであり、
前記第1制御弁は、
前記第1ポンプ通路を開放する第1中立ポジションと、
前記第1ポンプ通路を開放すると共に、前記第1ポンプ通路と前記反負荷側圧力室とを連通する駆動ポジションと、を有し、
前記第2制御弁は、
前記メイン通路をタンクに連通する第2中立ポジションと、
前記供給通路から導かれる作動流体を前記第2アクチュエータに供給する供給ポジションと、を有し、
前記切換弁は、
前記第1切換ポジションにおいて前記第2ポンプ通路と前記タンクとを連通すると共に、前記第2切換ポジションにおいて前記第1ポンプ通路と前記タンクとを連通し、
前記第1ポンプ通路には、前記第1制御弁の下流において、前記第1ポンプ通路の開放と遮断とを切り換えるバイパスカット弁が設けられることを特徴とする請求項1に記載の流体圧制御装置。
【請求項3】
前記切換弁と前記バイパスカット弁を収容するハウジングをさらに備え、
前記切換弁は、ポジションを切り換える第1スプールを有し、
前記バイパスカット弁は、ポジションを切り換える第2スプールを有し、
前記切換弁の前記第1スプールと前記バイパスカット弁の前記第2スプールとは、前記ハウジングに形成される収容孔内に互いに対向して同軸的に収容されることを特徴とする請求項2に記載の流体圧制御装置。
【請求項4】
前記収容孔は、両端が前記ハウジングの端面に開口する貫通孔として形成され、
前記切換弁は、
前記ハウジングに取り付けられ前記収容孔の一方の開口を封止する第1キャップと、
前記第1キャップ内に形成される内圧室と、
前記第1キャップ内に設けられ前記第1スプールを前記第2スプールから離間する方向に付勢する第1付勢部材と、
前記第1キャップに設けられ、手動操作によって前記第1付勢部材の付勢力に抗して前記第1スプールを移動させる切換部と、をさらに有し、
前記バイパスカット弁は、
前記ハウジングに取り付けられ前記収容孔の他方の開口を封止する第2キャップと、
前記第2キャップ内に形成され、前記第2スプールを前記第1スプールに向けて付勢するパイロット圧がパイロットポートを通じて導かれるパイロット室と、
前記第2キャップ内に設けられ前記第2スプールを前記第1スプールから離間する方向に向けて付勢する第2付勢部材と、をさらに有することを特徴とする請求項3に記載の流体圧制御装置。
【請求項5】
前記第1キャップには、前記第1付勢部材の付勢力に抗して前記第1スプールを移動させるパイロット圧を前記内圧室に導く導入ポートが形成され、
前記第1キャップ内の前記内圧室は、ドレン通路を通じて前記タンクと常時連通し、
前記ドレン通路には、通過する作動流体の流れに抵抗を付与する絞り部が設けられることを特徴とする請求項4に記載の流体圧制御装置。
【請求項6】
前記ドレン通路は、
互いに対向する前記第1スプールの端部と前記第2スプールの端部とによって前記収容孔内に区画される内部空間と、
前記第1スプールに形成され前記内圧室と前記内部空間とを連通する第1内部通路と、
前記第2スプールに形成され前記内部空間と前記タンクとを連通する第2内部通路と、を有することを特徴とする請求項5に記載の流体圧制御装置。
【請求項7】
前記切換弁は、前記第1付勢部材の両端が着座して前記第1付勢部材の伸縮に伴い相対移動する一対の第1着座部材をさらに有し、
前記バイパスカット弁は、前記第2付勢部材の両端が着座して前記第2付勢部材の伸縮に伴い相対移動する一対の第2着座部材をさらに有し、
前記一対の第1着座部材が互いに当接することにより、前記第1付勢部材の付勢力に抗する前記第1スプールの移動が規制され、
前記一対の第2着座部材が互いに当接することにより、前記第2付勢部材の付勢力に抗する前記第2スプールの移動が規制されることを特徴とする請求項4から6のいずれか一つに記載の流体圧制御装置。
【請求項8】
前記第1スプールは、
前記収容孔の内周面に摺接する第1本体部と、
前記第1本体部の端部に取り付けられ、外周に前記第1付勢部材が設けられる第1支持部と、を有し、
前記第2スプールは、
前記収容孔の内周面に摺接する第2本体部と、
前記第2本体部の端部に取り付けられ、外周に前記第2付勢部材が設けられる第2支持部と、を有し、
前記第1本体部は、前記第1支持部に向けて軸方向に突出し、前記第1支持部が当接する第1突出部を有し、
前記第2本体部は、前記第2支持部に向けて軸方向に突出し、前記第2支持部が当接する第2突出部を有することを特徴とする請求項7に記載の流体圧制御装置。
【請求項9】
前記収容孔は、内径が一様な貫通孔として形成されることを特徴とする請求項3から8のいずれか一つに記載の流体圧制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体圧制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、建設機械の油圧駆動装置として、ブームシリンダ及びアームシリンダをそれぞれ作動させる圧油を供給する第1油圧ポンプ及び第2油圧ポンプと、第1油圧ポンプに対しパラレル接続され、ブームシリンダに供給される圧油の流れを制御する第1ブーム用方向制御弁及びアームシリンダに供給される圧油の流れを制御する第2アーム用方向制御弁と、第2油圧ポンプに対しパラレル接続され、ブームシリンダに供給される圧油の流れを制御する第2ブーム用方向制御弁及びアームシリンダに供給される圧油の流れを制御する第1アーム用方向制御弁と、を備える作業機械の油圧駆動装置が開示されている。
【0003】
この油圧駆動装置は、ブームシリンダ及びアームシリンダをそれぞれ作動させる圧油を供給する第3油圧ポンプと、第3油圧ポンプに接続され、ブームシリンダに供給される圧油の流れを制御する第3ブーム用方向制御弁と、第3ブーム用方向制御弁にタンデム接続され、アームシリンダに供給される圧油の流れを制御する第3アーム用方向制御弁と、第3ブーム用方向制御弁とパラレルに第3油圧ポンプに接続される第2予備用方向制御弁と、をさらに備える。
【0004】
この油圧駆動装置では、アームに接続される第2特殊アタッチメントを駆動させる第2アクチュエータを設け、第3油圧ポンプの圧油を第2予備用方向制御弁を介して第2アクチュエータに供給することで、第2特殊アタッチメントを駆動させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012−241803号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の油圧駆動装置では、第3ブーム用方向制御弁と第2予備用方向制御弁とが互いにパラレルに第3ポンプに接続される。このため、第3ブーム用方向制御弁と第2予備用方向制御弁とを同時操作した場合、一方が制御するアクチュエータの作動によって他方が制御するアクチュエータに供給される作動流体の流量が変動する。このため、第3ブーム用方向制御弁と第2予備用方向制御弁との同時操作時において、これらの制御弁によって制御されるアクチュエータの作動が不安定になるおそれがある。
【0007】
このような不安定なアクチュエータの作動を防止するために、特許文献1には、第3油圧ポンプと第2予備用方向制御弁とを接続する管路部分を遮断し、第2予備用方向制御弁の追加用ポンプポートに追加用油圧ポンプを配管を介して接続してもよいことが記載されている。これによれば、追加用油圧ポンプの圧油を第2予備用方向制御弁を介してアクチュエータに供給し、特殊アタッチメントの駆動を、ブーム操作等とは独立して実施させることができる。
【0008】
しかしながら、ある制御弁(予備用方向制御弁)を他の制御弁(ブーム用方向制御弁)と同じポンプにパラレルに接続するか、別のポンプに接続して他の制御弁とは独立させるかは、搭載される作業機械やニーズなどに応じて異なる。
【0009】
また、ある制御弁を他の制御弁と同じポンプにパラレルに接続するか、独立させるかによって、作動流体を供給するポンプが異なるため、配管構造も異なる。
【0010】
よって、特許文献1に記載される油圧駆動装置では、搭載される作業機械やニーズ等に応じて、複数の配管構造を有する油圧駆動装置を製造しなければならず、製造コストが増加する。
【0011】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、流体圧制御装置の製造コストを低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、第1ポンプから吐出される作動流体を導く第1ポンプ通路と、第2ポンプから吐出される作動流体を導く第2ポンプ通路と、第1ポンプ又は第2ポンプから吐出される作動流体が選択的に導かれると共にタンクに連通するメイン通路と、第1ポンプ通路に設けられ第1アクチュエータに給排される作動流体の流れを制御する第1制御弁と、メイン通路に設けられ第2アクチュエータに給排される作動流体の流れを制御する第2制御弁と、メイン通路から分岐して第2制御弁へ作動流体を導く供給通路と、第1ポンプ通路から分岐して供給通路に接続されるパラレル通路と、パラレル通路に設けられ第1ポンプから供給通路へ向かう作動流体の流れのみを許容する逆止弁と、メイン通路に設けられ第1ポンプ通路及び第2ポンプ通路のうちメイン通路に連通する通路を選択的に切り換える切換弁と、を備え、切換弁は、第1ポンプ通路とメイン通路とを連通する第1切換ポジションと、第2ポンプ通路とメイン通路とを連通する第2切換ポジションと、を有することを特徴とする。
【0013】
この発明では、切換弁を第1切換ポジションとすると、第2制御弁に作動流体を導くメイン通路が、第1ポンプ通路と連通し、第2制御弁には、第1ポンプから吐出される作動流体が導かれる。よって、第1アクチュエータ及び第2アクチュエータは、それぞれ第1ポンプから吐出される作動流体により作動する。切換弁を第2切換ポジションとすると、メイン通路は、第2ポンプ通路と連通し、第2制御弁には、第2ポンプから吐出される作動流体が導かれる。このため、第1アクチュエータは第1ポンプから吐出される作動流体により、第2アクチュエータは第2ポンプから吐出される作動流体により、互いに独立して作動する。このように、切換弁のポジションを切り換えることによって、第2制御弁に第1ポンプからの作動流体を導くか、第2ポンプからの作動流体を導くか、を選択できる。したがって、第1ポンプ及び第2ポンプのいずれから第2アクチュエータに作動流体を導くかに関わらず、配管構造を共通化することができる。
【0014】
また、本発明は、第1アクチュエータが、駆動対象の負荷が作用する負荷側圧力室と反負荷側圧力室との圧力差によって伸縮作動する流体圧シリンダであり、第1制御弁は、第1ポンプ通路を開放する第1中立ポジションと、第1ポンプ通路を開放すると共に、第1ポンプ通路と反負荷側圧力室とを連通する駆動ポジションと、を有し、第2制御弁は、メイン通路をタンクに連通する第2中立ポジションと、供給通路から導かれる作動流体を第2アクチュエータに供給する供給ポジションと、を有し、切換弁は、第1切換ポジションにおいて第2ポンプ通路とタンクとを連通し、第2切換ポジションにおいて第1ポンプ通路とタンクとを連通し、第1ポンプ通路には、第1制御弁の下流において、第1ポンプ通路の開放と遮断とを切り換えるバイパスカット弁が設けられることを特徴とする。
【0015】
この発明では、切換弁が第1切換ポジションであり第2制御弁が第2中立ポジションである状態、及び、切換弁が第2切換ポジションである状態において、バイパスカット弁によって第1ポンプ通路を開放すると共に第1制御弁を駆動ポジションとすると、第1ポンプ通路はタンクに連通する。この場合、第1ポンプから吐出される作動流体は、第1アクチュエータには供給されず、第1アクチュエータは、負荷の自重によって作動する。一方、バイパスカット弁によって第1ポンプ通路が遮断された状態で第1制御弁を駆動ポジションに切り換えると、第1ポンプ通路とタンクとの連通が遮断されているため、第1ポンプから吐出される作動流体は、第1アクチュエータの反負荷側圧力室に供給される。このため、流体圧シリンダは、第1ポンプから吐出される作動流体の圧力により作動する。このように、第1ポンプ通路の開放と遮断とを切り換えるバイパスカット弁を設けることにより、負荷による駆動と流体圧による駆動との両方によって第1アクチュエータを駆動させることができる。
【0016】
また、本発明は、切換弁とバイパスカット弁を収容するハウジングをさらに備え、切換弁は、ポジションを切り換える第1スプールを有し、バイパスカット弁は、ポジションを切り換える第2スプールを有し、切換弁の第1スプールとバイパスカット弁の第2スプールとは、ハウジングに形成される収容孔内に互いに対向して同軸的に収容されることを特徴とする。
【0017】
この発明では、ハウジングをコンパクト化することができる。
【0018】
また、本発明は、収容孔が、両端がハウジングの端面に開口する貫通孔として形成され、切換弁は、ハウジングに取り付けられ収容孔の一方の開口を封止する第1キャップと、第1キャップ内に形成される内圧室と、第1キャップ内に設けられ第1スプールを第2スプールから離間する方向に付勢する第1付勢部材と、第1キャップに設けられ、手動操作によって第1付勢部材の付勢力に抗して第1スプールを移動させる切換部と、をさらに有し、バイパスカット弁は、ハウジングに取り付けられ収容孔の他方の開口を封止する第2キャップと、第2キャップ内に形成され、第2スプールを第1スプールに向けて付勢するパイロット圧がパイロットポートを通じて導かれるパイロット室と、第2キャップ内に設けられ第2スプールを第1スプールから離間する方向に向けて付勢する第2付勢部材と、をさらに有することを特徴とする。
【0019】
また、本発明は、第1キャップには、第1付勢部材の付勢力に抗して第1スプールを移動させるパイロット圧を内圧室に導く導入ポートが形成され、第1キャップ内の内圧室は、ドレン通路を通じてタンクと常時連通し、ドレン通路には、通過する作動流体の流れに抵抗を付与する絞り部が設けられることを特徴とする。
【0020】
また、本発明は、ドレン通路は、互いに対向する第1スプールの端部と第2スプールの端部とによって収容孔内に区画される内部空間と、第1スプールに形成され内圧室と内部空間とを連通する第1内部通路と、第2スプールに形成され内部空間とタンクとを連通する第2内部通路と、を有する。
【0021】
これらの発明では、内圧室にパイロット圧を導くと、ドレン通路を通じて内圧室内の作動流体の一部は排出されるものの、絞り部によって抵抗が付与されるため、内圧室には所定の圧力が生じる。よって、内圧室にパイロット圧を供給することで、内圧室内に第1スプールを移動させる推力が発生し、第1スプールを移動させることができる。
【0022】
また、本発明は、切換弁が、第1付勢部材の両端が着座して第1付勢部材の伸縮に伴い相対移動する一対の第1着座部材をさらに有し、バイパスカット弁は、第2付勢部材の両端が着座して第2付勢部材の伸縮に伴い相対移動する一対の第2着座部材をさらに有し、一対の第1着座部材が互いに当接することにより、第1付勢部材の付勢力に抗する第1スプールの移動が規制され、一対の第2着座部材が互いに当接することにより、第2付勢部材の付勢力に抗する第2スプールの移動が規制されることを特徴とする。
【0023】
この発明では、第1スプール及び第2スプールの移動量を容易に設定することができる。
【0024】
また、本発明は、第1スプールが、収容孔の内周面に摺接する第1本体部と、第1本体部の端部に取り付けられ、外周に第1付勢部材が設けられる第1支持部と、を有し、第2スプールが、収容孔の内周面に摺接する第2本体部と、第2本体部の端部に取り付けられ、外周に第2付勢部材が設けられる第2支持部と、を有し、第1本体部は、第1支持部に向けて軸方向に突出し、第1支持部が当接する第1突出部を有し、第2本体部は、第2支持部に向けて軸方向に突出し、第2支持部が当接する第2突出部を有することを特徴とする。
【0025】
この発明では、第1突出部及び第2突出部の突出量を変更することで、第1支持部、第2支持部、第1着座部材、及び第2着座部材を共通使用しつつ、第1スプール及び第2スプールの移動量を変更することができる。
【0026】
また、本発明は、収容孔が、内径が一様な貫通孔として形成されることを特徴とする。
【0027】
この発明では、収容孔の内周面を研磨仕上げすることができるため、収容孔の加工精度が向上する。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、流体圧制御装置の製造コストが低減される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】油圧ショベルの一部分を示す構成図である。
図2】本発明の実施形態に係る流体圧制御装置を示す油圧回路図である。
図3】本発明の実施形態に係る流体圧制御装置を示す油圧回路図の一部を拡大した拡大図である。
図4】本発明の実施形態に係る流体圧制御装置の切換弁及びバイパスカット弁を示す断面図であり、切換弁が第1切換ポジション、バイパスカット弁が開放ポジションである状態を示す。
図5】本発明の実施形態に係る流体圧制御装置の切換弁を示す拡大断面図である。
図6】本発明の実施形態に係る流体圧制御装置の切換弁及びバイパスカット弁を示す断面図であり、切換弁が第2切換ポジション、バイパスカット弁が遮断ポジションである状態を示す。
図7】本発明の実施形態に係る流体圧制御装置の切換弁及びバイパスカット弁を示す断面図であり、パイロット圧によって切換弁が第2切換ポジションに切り換わった状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る流体圧制御装置100について説明する。以下では、建設機械、特に油圧ショベル(図1参照)に用いられ、流体圧アクチュエータに給排される作動流体の流れを制御する流体圧制御システム101に設けられる流体圧制御装置100を例に説明する。
【0031】
まず、図2を参照して、流体圧制御装置100を備える流体圧制御システム101の全体構成について説明する。
【0032】
流体圧制御システム101は、作動流体としての作動油を吐出する第1ポンプP1及び第2ポンプP2と、作動油を貯留するタンクTと、ブーム102,アーム103,又はバケット104等の駆動対象(図1参照)を駆動する第1アクチュエータとしての第1油圧シリンダ(流体圧シリンダ)1と、予備用アタッチメント(図示省略)を駆動する第2アクチュエータとしての第2油圧シリンダ(流体圧シリンダ)2と、第1油圧シリンダ1及び第2油圧シリンダ2の作動を制御する流体圧制御装置100と、を備える。以下では、第1油圧シリンダ1がブーム102を駆動する場合を例に説明し、ブーム102以外の駆動対象を駆動する油圧シリンダについては、詳細な説明を省略する。
【0033】
第1ポンプP1及び第2ポンプP2は、それぞれエンジン(図示省略)又はモータ(図示省略)によって駆動されて、作動油を吐出する。
【0034】
第1油圧シリンダ1及び第2油圧シリンダ2は、互いに同様の構成を備える。よって、以下では、第1油圧シリンダ1の構成について具体的に説明し、第2油圧シリンダ2の各構成については、対応する第1油圧シリンダ1の各構成と同様の符号を付して図中に記載し、詳細な説明を省略する。
【0035】
第1油圧シリンダ1は、シリンダチューブ3の内部をロッド側室6とボトム側室7とに区画するピストン4を有する複動形シリンダである。ピストン4にはピストンロッド5が連結される。第1油圧シリンダ1のロッド側室6には、第1ロッド側通路8aを通じて作動油が給排される。第1油圧シリンダ1のボトム側室7には、第1ボトム側通路9aを通じて作動油が給排される。なお、第2油圧シリンダ2のロッド側室6には、第2ロッド側通路8bを通じて作動油が給排される。第2油圧シリンダ2のボトム側室7には、第2ボトム側通路9bを通じて作動油が給排される。
【0036】
ボトム側室7に作動油が供給されロッド側室6から作動油が排出されることにより、第1油圧シリンダ1は伸長作動してブーム102を上昇させる。反対に、ロッド側室6に作動油が供給されボトム側室7から作動油が排出されることにより、第1油圧シリンダ1は収縮作動してブーム102を下降させる。ブーム102を駆動する第1油圧シリンダ1では、ボトム側室7がブーム102の自重が作用する負荷側圧力室であり、ロッド側室6が反負荷側圧力室である。よって、第1油圧シリンダ1は、負荷側圧力室であるボトム側室7をタンクTに連通して、ブーム102の自重により収縮作動することも可能である。第1油圧シリンダ1及び第2油圧シリンダ2の作動については、後に詳細に説明する。
【0037】
次に、流体圧制御装置100について説明する。
【0038】
流体圧制御装置100は、第1ポンプP1及び第2ポンプP2から吐出される作動油の流れを制御して、第1油圧シリンダ1及び第2油圧シリンダ2の伸縮作動を制御する。第1油圧シリンダ1は、第1ポンプP1から吐出される作動油が供給されることで、伸縮作動する。第2油圧シリンダ2は、第1ポンプP1又は第2ポンプP2から吐出される作動油が選択的に供給されることで、伸縮作動する。以下、図2の油圧回路図を参照して、流体圧制御装置100の全体構成について説明する。
【0039】
流体圧制御装置100は、図2に示すように、第1ポンプP1から吐出される作動油を導く第1ポンプ通路10と、第2ポンプP2から吐出される作動油を導く第2ポンプ通路11と、第1ポンプP1又は第2ポンプP2から吐出される作動油が選択的に導かれるメイン通路12と、第1ポンプ通路10に設けられ第1油圧シリンダ1に給排される作動油の流れを制御する第1制御弁20と、メイン通路12に設けられ第2油圧シリンダ2に給排される作動油の流れを制御する第2制御弁30と、メイン通路12に設けられ第1ポンプ通路10及び第2ポンプ通路11のうちメイン通路12に連通する通路を選択的に切り換える切換弁40と、を備える。
【0040】
第1制御弁20及び第2制御弁30は、それぞれスプール(図示省略)を有し、スプールが移動することによってポジションが切り換わるスプール弁である。
【0041】
第1制御弁20は、一対のパイロット室21a,21bと、付勢部材としてのスプリング22a,22bと、を有し、一対のパイロット室21a,21bの圧力差に応じて作動する。
【0042】
第1制御弁20には、第1ポンプ通路10、第1制御弁20の上流(第1ポンプP1側)において第1ポンプ通路10から分岐する第1分岐通路13、タンクTに連通する第1タンク通路16a、及びそれぞれ第1油圧シリンダ1に接続される第1ロッド側通路8a及び第1ボトム側通路9aが接続される。第1分岐通路13には、第1ポンプP1から第1制御弁20へ向かう作動油の流れを許容し、その反対を規制する第1逆止弁81が設けられる。
【0043】
第1制御弁20は、第1ポンプ通路10を開放する第1中立ポジション20Aと、第1分岐通路13を通じて第1ポンプ通路10から導かれる作動油を第1油圧シリンダ1に導く第1伸長ポジション20B及び第1収縮ポジション20Cと、を有する。
【0044】
第1制御弁20の一対のパイロット室21a,21bにパイロット圧が導かれない状態では、第1制御弁20は、一対のスプリング22a,22bによって第1中立ポジション20Aに保持される。第1中立ポジション20Aでは、第1ロッド側通路8a、第1ボトム側通路9a、第1分岐通路13、及び第1タンク通路16aがそれぞれ遮断される。よって、第1油圧シリンダ1は、伸縮作動せず、負荷保持状態に維持される。
【0045】
第1制御弁20の一方のパイロット室21aにパイロット圧が導かれると、第1制御弁20は、第1伸長ポジション20Bに切り換わる。第1伸長ポジション20Bでは、第1分岐通路13と第1ボトム側通路9aとが連通し、第1タンク通路16aと第1ロッド側通路8aとが連通する。また、第1伸長ポジション20Bでは、第1ポンプ通路10は遮断される。よって、第1制御弁20が第1伸長ポジション20Bに切り換わると、第1ポンプP1から吐出された作動油がボトム側室7供給され、ロッド側室6の作動油はタンクTに排出される。これにより、第1油圧シリンダ1は伸長作動する。
【0046】
第1制御弁20の他方のパイロット室21bにパイロット圧が導かれると、第1制御弁20は、第1収縮ポジション20Cに切り換わる。第1収縮ポジション20Cでは、第1分岐通路13と第1ロッド側通路8aとが連通し、第1タンク通路16aと第1ボトム側通路9aとが連通する。また、第1収縮ポジション20Cでは、第1ポンプ通路10は、通過する作動油の流れに抵抗を付与するポンプ絞り23を介して開放される。第1制御弁20が第1収縮ポジション20Cに切り換わると、ボトム側室7がタンクTと連通するため、第1ポンプP1からロッド側室6に供給される吐出圧又はブーム102の負荷によって第1油圧シリンダ1は収縮作動する。なお、第1収縮ポジション20Cが、駆動ポジションに相当する。
【0047】
ここで、図3を参照して、第1制御弁20の第1収縮ポジション20Cについてより具体的に説明する。以下では、第1収縮ポジション20Cにおいて、第1分岐通路13と第1ロッド側通路8aとを連通する流路を「第1連通路27」、第1タンク通路16aと第1ボトム側通路9aとを連通する流路を「第2連通路28」とする。第1制御弁20には、通過する作動油の流れに抵抗を付与する絞りとして、ロッド側絞り24とボトム側絞り25が設けられる。ロッド側絞り24は、第1連通路27に設けられる。ボトム側絞り25は、互いに直列に第2連通路28に設けられる第1絞り25a及び第2絞り25bと、第1絞り25a及び第2絞り25bに対して並列に設けられる第3絞り25cと、を有する。
【0048】
第1連通路27と第2連通路28とは、第3連通路29を通じて連通する。第3連通路29は、第1絞り25aと第2絞り25bの間の流路において第2連通路28に連通する。第3連通路29には、第2連通路28から第1連通路27へ向かう作動油の流れのみを許容する内部チェック弁85が設けられる。第1制御弁20を第1収縮ポジション20Cに切り換え、第1油圧シリンダ1を収縮作動させる具体的内容については、後に詳細に説明する。
【0049】
第2制御弁30は、一対のパイロット室31a,31bと、付勢部材としてのスプリング32a,32bと、を有し、一対のパイロット室31a,31bの圧力差に応じて作動する。第2制御弁30は、図2に示すように、第1ポンプP1又は第2ポンプP2から吐出される作動油が導かれタンクTに連通するメイン通路12に設けられる。また、第2制御弁30には、メイン通路12、第2制御弁30の上流においてメイン通路12から分岐する供給通路としての第2分岐通路14、タンクTに連通する第2タンク通路16b、及びそれぞれ第2油圧シリンダ2に接続される第2ロッド側通路8b及び第2ボトム側通路9bが接続される。
【0050】
第2分岐通路14には、第1制御弁20の上流において第1ポンプ通路10から分岐するパラレル通路15が合流する。パラレル通路15によって、第1ポンプP1から吐出される作動油が第2制御弁30に導かれる。第2分岐通路14には、メイン通路12から第2制御弁30へ向かう作動油の流れを許容し、その反対を規制する第2逆止弁82が設けられる。第2逆止弁82により、パラレル通路15により導かれる作動油がメイン通路12に導かれることが規制される。また、パラレル通路15には、第1ポンプ通路10から第2分岐通路14へ向かう作動油の流れを許容し、その反対を規制する第3逆止弁83が設けられる。第2逆止弁82よりも上流側(第1ポンプP1側)のパラレル通路15には、通過する作動油の流れに抵抗を付与する絞り84が設けられる。
【0051】
第2制御弁30は、メイン通路12を開放する第2中立ポジション30Aと、第1ポンプP1又は第2ポンプP2から吐出された作動油を第2油圧シリンダ2に供給する供給ポジションとしての第2伸長ポジション30B及び第2収縮ポジション30Cと、を有する。
【0052】
第2制御弁30の一対のパイロット室31a,31bにパイロット圧が導かれない状態では、第2制御弁30は、一対のスプリング32a,32bによって第2中立ポジション30Aに保持される。第2中立ポジション30Aでは、第2分岐通路14、第2ロッド側通路8b、第2ボトム側通路9b、及び第2タンク通路16bがそれぞれ遮断される。よって、第2油圧シリンダ2は、伸縮作動せず、負荷保持状態に維持される。
【0053】
第2制御弁30の一方のパイロット室31aにパイロット圧が導かれると、第2制御弁30は、第2伸長ポジション30Bに切り換わる。第2伸長ポジション30Bでは、第2分岐通路14と第2ボトム側通路9bとが連通し、第2タンク通路16bと第2ロッド側通路8bとが連通する。また、第1伸長ポジション20Bでは、メイン通路12は遮断される。よって、第2制御弁30が第2伸長ポジション30Bに切り換わると、第1ポンプP1又は第2ポンプP2から吐出された作動油が第2分岐通路14を通じてボトム側室7に供給され、ロッド側室6の作動油はタンクTに排出される。これにより、第2油圧シリンダ2は伸長作動する。
【0054】
第2制御弁30の他方のパイロット室31bにパイロット圧が導かれると、第2制御弁30は、第2収縮ポジション30Cに切り換わる。第2収縮ポジション30Cでは、第2分岐通路14と第2ロッド側通路8bとが連通し、第2タンク通路16bと第2ボトム側通路9bとが連通する。また、第2伸長ポジション30Bでは、メイン通路12は遮断される。よって、第2制御弁30が第2収縮ポジション30Cに切り換わると、第1ポンプP1又は第2ポンプP2から吐出された作動油が第2分岐通路14を通じてロッド側室6に供給され、ボトム側室7の作動油はタンクTに排出される。これにより、第2油圧シリンダ2は収縮作動する。
【0055】
切換弁40は、スプール(図4参照)を有し、スプールが移動することによってポジションが切り換わる2ポジションのスプール弁である。以下、切換弁40のスプールを「第1スプール41」とする。
【0056】
切換弁40は、第1ポンプP1から吐出される作動油を導く第1ポンプ通路10、第2ポンプP2から吐出される作動油を導く第2ポンプ通路11、第2制御弁30(第2油圧シリンダ2)に作動油を導くメイン通路12、及びそれぞれタンクTに連通する第3タンク通路16c及び第4タンク通路16dに接続される。
【0057】
切換弁40は、第1ポンプ通路10とメイン通路12とを連通し、第2ポンプ通路11と第3タンク通路16cとを連通する第1切換ポジション40Aと、第2ポンプ通路11とメイン通路12とを連通し、第1ポンプ通路10と第4タンク通路16dとを連通する第2切換ポジション40Bと、を有する。切換弁40が第1切換ポジション40Aに切り換えられると、第1ポンプP1から吐出される作動油がメイン通路12を通じて第2制御弁30に導かれる。切換弁40が第2切換ポジション40Bに切り換えられると、第2ポンプP2から吐出される作動油がメイン通路12を通じて第2制御弁30に導かれる。よって、切換弁40のポジションを切り換えることで、第1ポンプP1から第2制御弁30に作動油を導くか、第2ポンプP2から第2制御弁30に作動油を導くか、を選択することができる。
【0058】
切換弁40は、第1切換ポジション40Aとなるように第1スプール41を付勢する第1付勢部材としての第1スプリング51と、作業者による手動操作によって第1スプリング51の付勢力に抗して第1スプール41を移動させて第2切換ポジション40Bに切り換える切換部55と、を有する。切換弁40の具体的構成及び作用については、後に詳細に説明する。
【0059】
流体圧制御装置100は、第1制御弁20の下流であって切換弁40の上流(第1制御弁20と切換弁40との間)において第1ポンプ通路10に設けられるバイパスカット弁60をさらに備える。
【0060】
バイパスカット弁60は、スプール(図4参照)を有し、スプールが移動することによってポジションが切り換わる2ポジションのスプール弁である。以下、バイパスカット弁60のスプールを「第2スプール61」とする。
【0061】
バイパスカット弁60は、第1ポンプ通路10を開放する開放ポジション60Aと、第1ポンプ通路10を遮断する遮断ポジション60Bと、を有する。バイパスカット弁60は、開放ポジション60Aとなるように第2スプール61を付勢する第2付勢部材としての第2スプリング71と、第2スプリング71の付勢力に抗して第2スプール61を付勢するパイロット圧が導かれるパイロット室78と、を有する。バイパスカット弁60の具体的構成及び作用については、後に詳細に説明する。
【0062】
次に、流体圧制御装置100の作動について説明する。
【0063】
流体圧制御装置100では、切換弁40のポジションを切り換えることで、第1油圧シリンダ1に作動油を供給する第1ポンプP1によって第2油圧シリンダ2も駆動するか、第1ポンプP1によって第1油圧シリンダ1を駆動すると共に第2ポンプP2によって第2油圧シリンダ2を駆動するか、が切り換えられる。以下、切換弁40が第1切換ポジション40Aにある場合と切換弁40が第2切換ポジション40Bにある場合とについて、それぞれ説明する。
【0064】
[第1切換ポジション40A]
まず、切換弁40が第1切換ポジション40Aに切り換えられる場合について説明する。切換弁40が第1切換ポジション40Aにある場合には、第1ポンプ通路10とメイン通路12とが連通して、第1ポンプP1から吐出される作動油が第2制御弁30に導かれる。
【0065】
[第1油圧シリンダ1の単独駆動]
第2油圧シリンダ2を駆動せず、第1油圧シリンダ1を単独で駆動する場合には、第2制御弁30は、一対のスプリング32a,32bにより第2中立ポジション30Aに切り換えられる。また、バイパスカット弁60は、開放ポジション60Aに切り換えられる。
【0066】
第1油圧シリンダ1を伸長作動させる場合には、作業者による操作レバー(図示省略)の操作に応じて、第1制御弁20の一方のパイロット室21aにパイロット圧が導かれる。これにより、第1制御弁20は、第1伸長ポジション20Bに切換えられる。
【0067】
第1制御弁20が第1伸長ポジション20Bに切り換わると、第1ポンプP1から吐出される作動油が、第1ポンプ通路10、第1分岐通路13、及び第1ボトム側通路9aを通じて第1油圧シリンダ1のボトム側室7に導かれる。また、第1油圧シリンダ1のロッド側室6の作動油は、第1ロッド側通路8aから第1タンク通路16aを通じてタンクTに排出される。これにより、第1油圧シリンダ1が伸長作動する。
【0068】
第1油圧シリンダ1を収縮作動させる場合には、作業者による操作レバーの操作に応じて、第1制御弁20の他方のパイロット室21bにパイロット圧が導かれる。これにより、第1制御弁20は、第1収縮ポジション20Cに切り換えられる。
【0069】
第1制御弁20が第1収縮ポジション20Cに切り換わると、第1分岐通路13と第1ロッド側通路8aとが連通すると共に、第1ポンプ通路10はポンプ絞り23を介して開放される。第1油圧シリンダ1を単独で収縮作動する際には、第2制御弁30によってメイン通路12は開放されてタンクTに連通する。このため、第1ポンプ通路10は、メイン通路12を通じてタンクTに連通し、ロッド側室6には、第1ポンプP1の吐出圧は導かれない。一方、ブーム102を駆動する第1油圧シリンダ1では、ブーム102の自重がボトム側室7に作用する。よって、この場合には、第1ポンプP1の吐出圧ではなくブーム102の負荷によってボトム側室7が収縮し、ボトム側室7の作動油が、第1ボトム側通路9a及び第1タンク通路16aを通じてタンクTに排出される。また、ロッド側室6には、容積の拡張に伴い第1分岐通路13を通じて作動油が供給される。このようにして、第1油圧シリンダ1は、ブーム102の負荷により収縮作動する。
【0070】
第1油圧シリンダ1が収縮する際にボトム側室7から排出される作動油は、第1制御弁20の第2連通路28に設けられる第1絞り25a、第2絞り25b、及び第3絞り25cを通じてタンクTに導かれる(図3参照)。よって、第1油圧シリンダ1は、第1絞り25a、第2絞り25b、及び第3絞り25cによって付与される抵抗に応じた速度で収縮作動する。このため、第1絞り25a、第2絞り25b、及び第3絞り25cが付与する抵抗を調整することで、第1油圧シリンダ1の収縮作動の速度を調整することができる。
【0071】
また、第1絞り25a、第2絞り25b、及び第3絞り25cが付与する抵抗を調整することで、ボトム側室7から排出される作動油を第2連通路28及び第3連通路29を通じて第1連通路27へ再生させることも可能である。具体的に説明すると、第1絞り25aと第3絞り25cの流路抵抗(開度)を調整することにより、第1油圧シリンダ1のボトム側室7から排出される作動油において、タンクTへ排出される作動油の流量(ブリード流量)と第1連通路27へ再生される流量(再生流量)の割合を調整することができる。第1絞り25aの開度が第3絞り25cの開度よりも大きい場合には、開度の差に応じて再生流量の割合が大きくなる。反対に、第1絞り25aの開度が第3絞り25cの開度よりも小さい場合には、開度の差に応じてブリード流量の割合が大きくなる。このように、主に第1絞り25aと第3絞り25cの開度を調整することで、再生流量とブリード流量とを調整することができる。
【0072】
[第2油圧シリンダ2の単独駆動]
切換弁40が第1切換ポジション40Aであって、第1油圧シリンダ1を駆動せず、第2油圧シリンダ2を単独で駆動する場合には、第1制御弁20は、一対のスプリング22a,22bにより第1中立ポジション20Aに切り換えられる。また、バイパスカット弁60は、開放ポジション60Aに切り換えられる。メイン通路12には、第1ポンプ通路10及びパラレル通路15を通じて第1ポンプP1から吐出される作動油が導かれる。
【0073】
第2油圧シリンダ2を伸長作動させる場合には、作業者による操作レバーの操作に応じて、第2制御弁30の一方のパイロット室31aにパイロット圧が導かれる。これにより、第2制御弁30は、第2伸長ポジション30Bに切換えられる。
【0074】
第2制御弁30が第2伸長ポジション30Bに切り換わると、メイン通路12に導かれる第1ポンプP1から吐出された作動油が、第2ボトム側通路9bを通じて第2油圧シリンダ2のボトム側室7に導かれる。また、第2油圧シリンダ2のロッド側室6の作動油は、第2ロッド側通路8bから第2タンク通路16bを通じてタンクTに排出される。これにより、第2油圧シリンダ2が伸長作動する。
【0075】
第2油圧シリンダ2を収縮作動させる場合には、作業者による操作レバーの操作に応じて、第2制御弁30の他方のパイロット室31bにパイロット圧が導かれる。これにより、第2制御弁30は、第2収縮ポジション30Cに切換えられる。
【0076】
第2制御弁30が第2収縮ポジション30Cに切り換わると、メイン通路12を通じて導かれる第1ポンプP1から吐出された作動油が、第2ロッド側通路8bを通じて第2油圧シリンダ2のロッド側室6に導かれる。また、第2油圧シリンダ2のボトム側室7の作動油は、第2ボトム側通路9bから第2タンク通路16bを通じてタンクTに排出される。これにより、第2油圧シリンダ2が収縮作動する。
【0077】
[複合動作]
次に、第1油圧シリンダ1を伸縮作動させると共に、第2油圧シリンダ2を伸縮作動させる複合動作について説明する。以下では、複合動作として、第1制御弁20を第1伸長ポジション20Bに切り換えて第1油圧シリンダ1を伸長作動させると共に、第2制御弁30を第2伸長ポジション30Bに切り換えて第2油圧シリンダ2を伸長作動させる場合について説明する。
【0078】
複合動作において第1油圧シリンダ1を伸長作動させる場合は、第1油圧シリンダ1を単独で伸長作動させる場合と基本的に同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0079】
第1制御弁20が第1伸長ポジション20Bに切り換わると、第1ポンプ通路10は遮断される。このため、第2分岐通路14には、第1ポンプ通路10及びメイン通路12を通じて、第1ポンプP1から吐出される作動油が導かれることはない。一方、第2分岐通路14には、パラレル通路15を通じて第1ポンプP1から吐出される作動油が導かれる。よって、第2油圧シリンダ2のボトム側室7には、パラレル通路15から第2分岐通路14を通じて第2ボトム側通路9bに導かれる作動油が供給されて、第2油圧シリンダ2が伸長作動する。
【0080】
このように、切換弁40が第1切換ポジション40Aの場合における複合動作では、第1ポンプP1から吐出される作動油の一部が第1ポンプ通路10を通じて第1油圧シリンダ1に導かれ、第1ポンプP1から吐出される残りの作動油がパラレル通路15を通じて第2油圧シリンダ2に導かれる。
【0081】
なお、複合動作では、第2制御弁30は、第2伸長ポジション30B又は第2収縮ポジション30Cに切り換えられる。このため、複合動作において、第1油圧シリンダ1を収縮作動させる場合には、第1制御弁20を第1収縮ポジション20Cに切り換えると、第2制御弁30によってメイン通路12はタンクTとの連通が遮断される。よって、複合動作において第1油圧シリンダ1を収縮作動させる場合には、ロッド側室6には、第1ポンプP1の吐出圧が導かれ、第1油圧シリンダ1は、第1ポンプP1の吐出圧により収縮作動する。
【0082】
[ジャッキアップ]
上述のように、バイパスカット弁60が開放ポジション60A、第2制御弁30が第2中立ポジション30A、第1制御弁20が第1収縮ポジション20Cとなると、第1ポンプ通路10はタンクTに連通して、第1油圧シリンダ1は、ブーム102の負荷(自重)により収縮作動する。このようなブーム102の負荷による第1油圧シリンダ1の収縮作動は、バケット104が接地していない状態で行われる。
【0083】
これに対し、油圧ショベルでは、バケット104が接地した状態で第1油圧シリンダ1を収縮作動(ブーム102を下降)させることで、油圧ショベルの車体を持ち上げるジャッキアップ動作が行われる。ジャッキアップ動作では、第1ポンプP1の吐出圧を第1油圧シリンダ1のロッド側室6に導いて、第1油圧シリンダ1を収縮作動させる。
【0084】
ジャッキアップ動作を行う際には、作業者の操作レバーの操作によって、バイパスカット弁60のパイロット室78にパイロット圧が導かれる。これにより、バイパスカット弁60は遮断ポジション60Bに切り換えられ、第1ポンプ通路10が遮断される。よって、バイパスカット弁60が遮断ポジション60Bである状態で、第1制御弁20が第1収縮ポジション20Cに切り換えられても、第1ポンプ通路10はタンクTに連通しない。このため、第1ポンプP1の吐出圧は、第1分岐通路13及び第1ロッド側通路8aを通じて第1油圧シリンダ1のロッド側室6に導かれる。これにより、第1油圧シリンダ1は、第1ポンプP1の吐出圧により収縮作動するため、油圧ショベルの車体を持ち上げる推力を発揮する。このようにして、ジャッキアップ動作が行われる。
【0085】
[第2切換ポジション40B]
次に、切換弁40が第2切換ポジション40Bに切り換えられ、第2制御弁30に第2ポンプP2から吐出される作動油が導かれる場合について説明する。切換弁40が第2切換ポジション40Bに切り換えられる場合には、第2ポンプ通路11とメイン通路12とが連通し、第1ポンプ通路10は、第4タンク通路16dを通じてタンクTに連通する。なお、切換弁40が第1切換ポジション40Aであり、第2制御弁30が第2中立ポジション30Aにある場合も、第1ポンプ通路10は、タンクTに連通する。よって、切換弁40が第2切換ポジション40Bにある場合の第1油圧シリンダ1の単独駆動は、切換弁40が第1切換ポジション40Aにある場合と同様である。また、ジャッキアップ動作についても、切換弁40のポジションに関わらず同様である。このため、以下では、第2油圧シリンダ2の単独駆動と複合動作について説明する。
【0086】
[第2油圧シリンダ2の単独駆動]
切換弁40が第2切換ポジション40Bにある場合、第2分岐通路14には、メイン通路12を通じて、第2ポンプP2から吐出される作動油が導かれる。また、切換弁40が第2切換ポジション40Bにある場合には、第1ポンプ通路10はタンクTに連通するため、パラレル通路15もタンクTに連通する。よって、第2分岐通路14には、第1ポンプP1から吐出される作動油は導かれず、第2ポンプP2から吐出される作動油のみが導かれる。
【0087】
したがって、第2制御弁30を切り換えることで、第2分岐通路14を通じて第2油圧シリンダ2に第2ポンプP2から吐出される作動油が導かれる。このように、切換弁40が第2切換ポジション40Bにある場合には、第2油圧シリンダ2は、第2ポンプP2から吐出される作動油によって駆動される。
【0088】
[複合動作]
切換弁40が第2切換ポジション40Bにある場合、第1制御弁20が第1収縮ポジション20Cに切り換えられると、第1ポンプ通路10はポンプ絞り23を通じてタンクTに連通する。よって、パラレル通路15には、第1ポンプP1から吐出される作動油は導かれず、第2分岐通路14には第2ポンプP2から吐出される作動油のみが導かれる。
【0089】
また、切換弁40が第2切換ポジション40Bにある場合、第1制御弁20が第1伸長ポジション20Bに切り換えられると、第1ポンプ通路10は遮断される。このため、パラレル通路15には、第1ポンプP1から吐出される作動油が導かれる。ここで、パラレル通路15には、絞り84と第3逆止弁83が設けられるため、パラレル通路15に導かれる作動油の流れには絞り84によって圧力損失が生じる。また、第1ポンプP1から吐出される作動油の一部は、第1油圧シリンダ1に導かれるため、これに応じてパラレル通路15に導かれる作動油の流量が減少し、圧力も低くなる。よって、第2分岐通路14に導かれる第2ポンプP2の吐出圧がパラレル通路15に導かれる第1ポンプP1の吐出圧よりも大きくなる。このため、第3逆止弁83が開弁せず、パラレル通路15を通過する作動油が第2分岐通路14に導かれることが規制される。つまり、第3逆止弁83が開弁しないため、第2分岐通路14には、第2ポンプP2から吐出される作動油のみが導かれる。
【0090】
このように、切換弁40が第2切換ポジション40Bにある場合の複合動作においても、第2油圧シリンダ2を単独駆動する場合と同様に、第2油圧シリンダ2は、第2ポンプP2から吐出される作動油によって駆動される。
【0091】
以上のように、切換弁40が第1切換ポジション40Aにある場合には、第2油圧シリンダ2が単独駆動する場合及び複合動作する場合のいずれにおいても、第1ポンプP1から吐出される作動油によって第2油圧シリンダ2が駆動する。切換弁40が第2切換ポジション40Bにある場合には、第2油圧シリンダ2が単独駆動する場合及び複合動作する場合のいずれにおいても、第2ポンプP2から吐出される作動油によって第2油圧シリンダ2が駆動する。
【0092】
ここで、第2油圧シリンダ2が駆動する予備用アタッチメントは、流体圧制御装置100が搭載される油圧ショベルの種類に応じて異なる。予備用アタッチメントの駆動に大きな推力が必要な場合には、第2油圧シリンダ2を大型にする必要がある。また、第1ポンプP1の作動油を第1油圧シリンダ1及び第2油圧シリンダ2の両方に導く場合、第1油圧シリンダ1及び第2油圧シリンダ2の一方の作動によって他方に供給される作動油の流量が変動する。このため、第2油圧シリンダ2が比較的大型である場合には、第2油圧シリンダ2に供給される作動油の流量がその分多くなり、複合動作時において第1油圧シリンダ1及び第2油圧シリンダ2の作動が不安定になるおそれがある。
【0093】
反対に、第2油圧シリンダ2が小型である場合や、複合動作時において第1油圧シリンダ1及び第2油圧シリンダ2に供給される作動油の流量変動が許容される場合もある。この場合には、第1ポンプP1の作動油によって第1油圧シリンダ1及び第2油圧シリンダ2の両方を駆動することで、第2ポンプP2を設けないように構成することや、第2ポンプP2を他の油圧シリンダの駆動に利用することができ、コスト面や効率面でメリットがある。
【0094】
流体圧制御装置100では、手動操作によって切換弁40のポジションを切り換えることで、油圧ショベルの種類やユーザーのニーズに応じて、第1ポンプP1から第2油圧シリンダ2に作動油を導くか、第2ポンプP2から第2油圧シリンダ2に作動油を導くか、を選択することができる。切換弁40の切換によって第2油圧シリンダ2に作動油を供給するポンプを選択できるため、ユーザーがいずれのポンプで第2油圧シリンダ2を駆動する場合であっても、流体圧制御装置100の配管構造を共通にすることができる。よって、流体圧制御装置100の製造コストを低減することができる。
【0095】
言い換えれば、切換弁40のポジションを手動で切り換えることで、異なる油圧ショベルやユーザーのニーズに対しても同一の流体圧制御装置100を用いることができ、製造コストが低減する。
【0096】
また、流体圧制御装置100では、第1メイン通路10から分岐するバイパス通路15は、第2分岐通路14に接続される。第2分岐通路14は、第2制御弁30がいずれのポジションであっても、タンクTには連通しない。また、切換弁40が第2切換ポジション40Bに切り換えられる際、第2ポンプP2の吐出圧により第3チェック弁83は閉弁されるため、第1ポンプP1の吐出圧は第2制御弁に導かれない。よって、切換弁40が第2切換ポジション40Bである場合に第1油圧シリンダ1を伸長作動させる際には、第2制御弁30のポジションに関わらず、第1ポンプP1から吐出される作動油がバイパス通路15を通じてタンクTや他の機器へ導かれることがない。このように、流体圧制御装置100では、切換弁40を第2切換ポジション40Bにして第1油圧シリンダ1と第2油圧シリンダ2とを独立させた際、第1ポンプP1から吐出される作動油をすべて第1油圧シリンダ1に導いて第1油圧シリンダ1を伸長作動させることができる。つまり、流体圧制御装置100では、切換弁40を第2切換ポジション40Bに切り換えた際も、第1ポンプP1から吐出される作動油を有効に利用することができる。なお、本実施形態では、切換弁40が第1切換ポジション40Aであっても、バイパス通路15とタンクTとの連通が遮断されるか、バイパス通路15を通じて第2油圧シリンダ2へ作動油が導かれるか、のいずれかとなる。よって、切換弁40が第1切換ポジション40Aである際も、第1ポンプP1から吐出される作動油を有効に利用することができる。
【0097】
次に、図4及び図5を参照して、切換弁40及びバイパスカット弁60の具体的構成について説明する。
【0098】
流体圧制御装置100は、図4に示すように、切換弁40及びバイパスカット弁60を収容するハウジング90を備える。ハウジング90には、両端がハウジング90の端面90a,90bに開口する貫通孔である収容孔91が形成される。収容孔91は、内径が一様な貫通孔として形成される。
【0099】
また、ハウジング90には、第1ポンプ通路10、第2ポンプ通路11、メイン通路12、第3タンク通路16c、及び第4タンク通路16dが形成され、それぞれ収容孔91の内周面に環状のポート(符示省略)を通じて開口する。さらに、ハウジング90には、タンクTに連通する環状のドレンポート18aが収容孔91の内周面に開口して形成される。なお、以下では、バイパスカット弁60の上流側の第1ポンプ通路10を「上流通路10a」、下流側の第1ポンプ通路10を「下流通路10b」とも称する。
【0100】
切換弁40は、収容孔91に摺動自在に挿入される第1スプール41を有する。バイパスカット弁60は、収容孔91に摺動自在に挿入される第2スプール61を有する。切換弁40の第1スプール41とバイパスカット弁60の第2スプール61とは、互いに対向して同軸的に収容孔91内に収容される。
【0101】
切換弁40は、ハウジング90の端面90aに取り付けられ収容孔91の一方の開口を封止する第1キャップ50と、第1キャップ50内に設けられ第1スプール41を第2スプール61から離間する方向(図中左方向)へ付勢する第1スプリング51と、第1スプリング51の両端が着座し第1スプリング51の伸縮に伴い相対移動する一対の第1着座部材としての一対の第1ばね座52,53と、第1キャップ50に取り付けられ手動操作によって第1スプリング51の付勢力に抗して第1スプール41を移動させる切換部55と、第1キャップ50の内部に形成される内圧室58と、第1キャップ50に形成され内圧室58にパイロット圧を導く導入ポート50cと、を有する。
【0102】
第1スプール41は、収容孔91の内周面に摺接する第1本体部42と、第1本体部42の一端(図中左側端)に取り付けられる第1支持部46と、を有する。
【0103】
第1本体部42は、それぞれ収容孔91の内周面に摺接し互いに軸方向に並ぶ第1ランド部42a、第2ランド部42b、及び第3ランド部42cを有する。第1ランド部42aと第2ランド部42bとの間の外周面には、第1環状溝43aが形成され、第2ランド部42bと第3ランド部42cとの間の外周面には、第2環状溝43bが形成される。
【0104】
第1本体部42の一端には、収容孔91の内径よりも外径が小さい第1小径部44と、第1小径部44の一端側(第1支持部46側、図中左側)に設けられ第1小径部44よりも外径が小さい第2小径部45と、が形成される。第1小径部44と収容孔91との間には、環状空間43cが形成される。第2小径部45は、第1小径部44から第1支持部46へ向けて軸方向に突出し第1支持部46が当接する第1突出部に相当する。
【0105】
図5に示すように、第1支持部46は、第1キャップ50の内部に収容される。第1支持部46は、第1本体部42の一端の第2小径部45にねじ締結されるねじ部47aを有する第1軸部47と、第1軸部47よりも外径が大きい第1ヘッド部48と、を有する。第1支持部46は、第1軸部47のねじ部47aの螺合によって第1本体部42に対して着脱自在に取り付けられる。
【0106】
第1軸部47は、第1本体部42の第2小径部45と略同一の外径を有し、第2小径部45に同軸的に取り付けられる。第1ヘッド部48の端面には、径方向に延びるスリット48aされる。
【0107】
第1キャップ50には、収容孔91に連通し第1スプール41が進入可能な第1大径穴50aと、第1大径穴50aに連通し第1大径穴50aよりも内径が小さい第1小径穴50bと、第1大径穴50aに連通する導入ポート50cと、が形成される。第1小径穴50b及び第1大径穴50aにより、内圧室58が形成される。第1小径穴50bには、第1支持部46の第1ヘッド部48が進入する。
【0108】
第1スプリング51は、第1支持部46の第1軸部47の外周に設けられ、一対の第1ばね座52,53によって両端が支持される。第1大径穴50aと第1小径穴50bとの間の段差面50dに一方の第1ばね座52が着座し、第1キャップ50が取り付けられるハウジング90の端面90aに他方の第1ばね座53が着座する。第1スプリング51の伸縮(第1スプール41の移動)に伴い、一方の第1ばね座52は、他方の第1ばね座53に対して第1スプール41の軸方向に沿って相対移動する。第1スプリング51は、一対の第1ばね座52,53の間に圧縮状態で介装される。第1スプリング51は、切換弁40が第1切換ポジション40Aとなるように(言い換えればバイパスカット弁60の第2スプール61から離間するように)第1スプール41を移動させる付勢力を発揮する。
【0109】
一対の第1ばね座52,53は、互いに同一形状に形成される。一方の第1ばね座52は、図5に示すように、第1キャップ50の第1大径穴50aと第1小径穴50bとの間の段差面50dに接触する円板状のフランジ部52aと、フランジ部52aから他方の第1ばね座53に向けて軸方向に延びる筒状のボス部52bと、を有する。第1スプリング51の一端は、フランジ部52aに着座する。ボス部52bは、第1スプリング51に挿入され第1スプリング51の内周を支持する。フランジ部52aの内径は、第1ヘッド部48の外径よりも小さく形成される。第1大径穴50aと第1小径穴50bとの間の段差面50dに接触するフランジ部52aの端面には、径方向に延びるスリット52cが形成される。
【0110】
他方の第1ばね座53は、ハウジング90の端面90aに接触する円板状のフランジ部53aと、フランジ部53aから一方の第1ばね座52に向けて軸方向に延びる筒状のボス部53bと、を有する。第1スプリング51の他端は、フランジ部53aに着座する。ボス部53bは、第1スプリング51に挿入され第1スプリング51の内周を支持する。ハウジング90の端面90aに接触するフランジ部53aの端面には、径方向に延びるスリット53cが形成される。
【0111】
切換部55は、第1キャップ50に形成されるねじ孔50eに螺合し、手動操作によって第1スプール41に対して進退する切換ボルト56と、ねじ孔50eに対する切換ボルト56の螺合位置の変化を規制する規制ナット57と、を有する。ねじ孔50eは、内圧室58(第1小径穴50b)に連通するように第1キャップ50に形成される。
【0112】
切換ボルト56は、第1スプール41の第1支持部46と同軸的に設けられる。切換ボルト56は、ねじ孔50eに螺合する雄ねじが形成される螺合部56aと、第1スプール41の第1ヘッド部48に軸方向から接触する接触部56bと、作業者によって操作される操作部56cと、を有する。接触部56bは、第1小径穴50b内に収容される。螺合部56aは、一部が第1キャップ50の外側に突出し、突出する螺合部56aの端部に操作部56cが設けられる。作業者が操作部56cを把持して回転することで、ねじ孔50eに対する螺合部56aの螺合位置が調整される。
【0113】
規制ナット57は、第1キャップ50の外側に露出する螺合部56aに螺合する。切換ボルト56に螺合する規制ナット57が第1キャップ50に対して締め付けられることで、第1キャップ50のねじ孔50eに対する切換ボルト56の螺合位置の変化が規制される。反対に、規制ナット57を緩めて規制ナット57と第1キャップ50との間に隙間を生じさせることで、第1キャップ50のねじ孔50eに対する切換ボルト56の螺合位置の調整が可能となり、切換ボルト56が第1スプール41に対して進退可能となる。
【0114】
バイパスカット弁60は、図4に示すように、ハウジング90の端面90bに取り付けられ収容孔91の他方の開口を封止する第2キャップ70と、第2キャップ70内に設けられ第2スプール61を第1スプール41から離間する方向(図中右方向)へ付勢する第2スプリング71と、第2スプリング71の両端が着座し第2スプリング71の伸縮に伴い相対移動する一対の第2着座部材としての一対の第2ばね座72,73と、第2キャップ70の内部に形成されるパイロット室78と、を有する。
【0115】
第2スプール61は、収容孔91の内周面に摺接する第2本体部62と、第2本体部62の一端(図中右側端)に取り付けられる第2支持部66と、を有する。
【0116】
第2本体部62は、それぞれ収容孔91の内周面に摺接し互いに軸方向に並ぶ第4ランド部62a、第5ランド部62b、第6ランド部62c、及び第7ランド部62dを有する。第4ランド部62aと第5ランド部62bとの間の外周面には、第3環状溝63aが形成される。第5ランド部62bと第6ランド部62cとの間の外周面には、第4環状溝63bが形成される。第6ランド部62cと第7ランド部62dとの間の外周面には、第5環状溝63cが形成される。第5環状溝63cは、第2スプール61の位置に関わらず、ドレンポート18aに常時連通する。
【0117】
第2本体部62の一端部には、収容孔91の内径よりも外径が小さく、第2本体部62から軸方向に突出する第3小径部64が形成される。第3小径部64は、第2本体部62から第2支持部66に向けて軸方向に突出し第2支持部66が当接する第2突出部に相当する。
【0118】
第2支持部66は、第2キャップ70の内部に収容される。第2支持部66は、第2スプール61の第2本体部62の一端部にねじ締結されるねじ部67aを有する第2軸部67と、第2軸部67よりも外径が大きい第2ヘッド部68と、を有する。第2支持部66は、第2軸部67のねじ部67aの螺合によって第2本体部62に対して着脱自在に取り付けられる。
【0119】
第2軸部67は、第2本体部62の第3小径部64と略同一の外径を有し、第3小径部64に同軸的に取り付けられる。
【0120】
第2キャップ70には、収容孔91に連通し第2スプール61が進入可能な第2大径穴70aと、第2大径穴70aに連通し第2大径穴70aよりも内径が小さい第2小径穴70bと、第2小径穴70bに連通するパイロットポート70cと、が形成される。第2小径穴70b及び第2大径穴70aにより、パイロット室78が形成される。第2小径穴70bには、第2支持部66の第2ヘッド部68が進入する。
【0121】
第2スプリング71は、第2支持部66の第2軸部67の外周に設けられ、一対の第2ばね座72,73によって両端が支持される。第2キャップ70の第2大径穴70aと第2小径穴70bとの間の段差面70dに一方の第2ばね座72が着座し、ハウジング90の他方の端面90bに他方の第2ばね座73が着座する。第2スプリング71は、一対の第2ばね座72,73の間に圧縮状態で介装される。第2スプリング71は、バイパスカット弁60が開放ポジション60Aとなるように(言い換えれば切換弁40の第1スプール41から離間するように)第2スプール61を移動させる付勢力を発揮する。
【0122】
一対の第2ばね座72,73は、互いに同一形状に形成される。一方の第2ばね座72は、第2キャップ70の第2大径穴70aと第2小径穴70bとの間の段差面70dに接触する円板状のフランジ部72aと、フランジ部72aから他方の第2ばね座73に向けて軸方向に延びる筒状のボス部72bと、を有する。フランジ部72aの内径は、第2ヘッド部68の外径よりも小さく形成される。
【0123】
他方の第2ばね座73は、ハウジング90の端面90bに接触する円板状のフランジ部73aと、フランジ部73aから一方の第2ばね座72に向けて軸方向に延びる筒状のボス部73bと、を有する。第2スプリング71の両端は、それぞれ第2ばね座72,73のフランジ部72a,73aに着座し、ボス部72b,73bは、それぞれ第2スプリング71に挿入され第2スプリング71の内周を支持する。
【0124】
第1スプール41と第2スプール61とは、切換弁40及びバイパスカット弁60のポジションに関わらず、互いに接触しないように軸方向に離間する。収容孔91内には、第1スプール41の端部と第2スプール61の端部とで内部空間92が形成される。
【0125】
第1キャップ50の内部の内圧室58は、ドレン通路18を通じてタンクTに常時連通する。ドレン通路18には、第1ばね座53におけるスリット53c(図5参照)、第1スプール41における第1小径部44の外周の環状空間43c、第1スプール41の第1本体部42に形成される第1内部通路49、第1スプール41と第2スプール61との間の内部空間92、第2スプール61の第2本体部62に形成される第2内部通路69、及びハウジング90に形成されるドレンポート18aが含まれる。
【0126】
第1内部通路49は、第1本体部42の軸心をとおり、第2スプール61に対向する第1スプール41の端面に開口して内部空間92に連通する第1軸方向通路49aと、第1軸方向通路49aに連通すると共に第1小径部44の外周の環状空間43cに開口する絞り通路49bと、が形成される。
【0127】
第2内部通路69は、第2本体部62の軸心をとおり、第1スプール41に対向する第2スプール61の端面に開口して内部空間92に連通する第2軸方向通路69aと、第2軸方向通路69aに連通すると共に第5環状溝63cに開口する径方向通路69bと、を有する。第5環状溝63cは、第2スプール61の位置に関わらず、ドレンポート18aに常時連通するため、第1キャップ50内の内圧室58は、ドレン通路18を通じてタンクTに常時連通する。第1キャップ50内の内圧室58がタンクTに常時連通することにより、第1キャップ50内の圧力のこもりにより第1スプール41が移動する誤作動が防止される。
【0128】
第1本体部42に形成される絞り通路49bは、通過する作動油の流れに抵抗を付与する絞り部である。絞り通路49bは、内圧室58からドレンポート18aへの作動油の流路において、作動油の流れに付与する抵抗が最も大きい通路である。なお、絞り部は、ドレン通路18に着脱可能に取り付けられるオリフィスプラグ等によって構成されてもよい。
【0129】
次に、図4、6、7を参照して、切換弁40とバイパスカット弁60の作動について説明する。
【0130】
手動操作によって切換弁40を第1切換ポジション40A(図4に示す状態)から第2切換ポジション40B(図6に示す状態)に切り換える場合には、規制ナット57を緩め、第1スプール41に向けて移動するように切換ボルト56を回転させる。これにより、第1スプール41は、切換ボルト56により押圧されて、第1スプリング51の付勢力に抗して移動する。また、第1スプリング51の付勢力に抗した第1スプール41の移動に伴い、第1ヘッド部48に押圧されて一方の第1ばね座52も他方の第1ばね座53に向けて移動する。
【0131】
第1スプール41は、一対の第1ばね座52,53のそれぞれのボス部52b,53bが当接するまで第1スプリング51の付勢力に抗して移動する。言い換えれば、一対の第1ばね座52,53が当接することによって、第1スプリング51の付勢力に抗した第1スプール41の移動が規制される。一対の第1ばね座52,53が当接するまで第1スプール41が移動すると、図6に示すように、第2ポンプ通路11が、第2環状溝43bを通じてメイン通路12に連通する。また、第1ポンプ通路10の下流通路10bは、第2ランド部42bによってメイン通路12との連通が遮断される一方、第1環状溝43aを通じて第4タンク通路16dに連通する。この状態で、規制ナット57をハウジング90に対して締め付けて、切換ボルト56の螺合位置(第1スプール41の位置)の変化を規制する。このようにして、切換弁40は、第2切換ポジション40Bに切り換えられる。
【0132】
切換弁40を第2切換ポジション40B(図6に示す状態)から第1切換ポジション40A(図4に示す状態)に切り換える場合には、規制ナット57を緩め、第1スプール41から離間するように切換ボルト56を回転させる。これにより、第1スプール41は、第1スプリング51の付勢力を受けて、第1スプール41から離間する切換ボルト56に追従するように一方の第1ばね座52と共に移動する。第1スプール41は、一方の第1ばね座52が第1大径穴50aと第1小径穴50bとの間の段差面50dに当接するまで、第1スプリング51の付勢力を受けて移動する。第1ばね座52が第1大径穴50aと第1小径穴50bとの間の段差面50dに当接するまで第1スプール41が移動すると、図4に示すように、第1ポンプ通路10の下流通路10bとメイン通路12とが第1環状溝43aを通じて連通する。また、第2ポンプ通路11は、第2環状溝43bを通じて第3タンク通路16cに連通する。この状態で、規制ナット57をハウジング90に対して締め付けて、切換ボルト56の螺合位置の変化を規制する。このようにして、切換弁40は、第2切換ポジション40Bから第1ポジション40Aに切り換えられる。
【0133】
以上のように、切換弁40は、切換部55を手動操作することにより、ポジションを切り換えることができる。
【0134】
ここで、一般に、手動操作によって切り換えられる切換弁が組み込まれる流体圧制御装置は、製造時の検査工程において、自動の検査ラインにより出荷時の検査が行われることがある。しかしながら、手動操作される切換弁が流体圧制御装置に組み込まれると、切換弁の動作確認は、自動の検査ラインによる検査とは別に、作業者によって手動で行う必要がある。また、切換弁の切換部の周辺のスペースが少ない場合には、切換部を操作しにくくなり、切換弁の動作確認をする工程に多くの工数を要する。このように、流体圧制御装置と共に自動検査ラインによって動作確認をする場合など、手動操作される切換弁であっても外部からの信号によって作動させたい場合がある。しかしながら、手動の切換弁では、第1キャップの内部の圧力のこもりによる誤作動を防止するために、第1キャップの内部は、タンクに連通させることが望ましい。このため、一般には、第1キャップの内部にパイロット圧を供給してもパイロット圧が第1スプールに作用せず、第1スプールを移動させることが難しい。
【0135】
これに対し、本実施形態に係る切換弁40では、第1キャップ50の内圧室58の作動油をタンクTに導くドレン通路18に、絞り通路49bが設けられる。これにより、内圧室58は、タンクTに常時連通するものの、絞り通路49bを通過する作動油には抵抗が付与される。よって、パイロット圧が導かれた内圧室58の圧力は、絞り通路49bによってタンク圧まで低下せずに所定の圧力が維持される。これにより、切換弁40が第1切換ポジション40Aにある状態で内圧室58にパイロット圧を供給すると、一方の第1ばね座52のフランジ部52aにおけるスリット52cを通じて第1ヘッド部48のスリット48aにタンク圧以上の圧力が作用する(図4参照)。第1ヘッド部48に作用する圧力により、第1スプール41が第1スプリング51の付勢力に抗して付勢される。よって、図7に示すように、切換部55を操作しなくとも、内圧室58にパイロット圧が供給されている間は、内圧室58に生じる圧力により、切換弁40は、第2切換ポジション40Bに切り換えられる。内圧室58へのパイロット圧の供給を停止すると、内圧室58の圧力はドレン通路18を通じてタンクTに排出される。このため、第1スプール41は、第1スプリング51の付勢力を受けて移動し、第1切換ポジション40Aに切り換えられる。
【0136】
このように、切換弁40は、手動操作による切り換えに加え、パイロット圧によるポジションの切り換えも可能である。手動操作される切換弁40であっても、外部からの信号によって作動させることができるため、自動の検査ラインによって切換弁40の動作確認をすることができ、検査工程に要する工数を低減することができる。なお、パイロット圧による切換弁40の作動は、自動の検査ラインにおいて検査する場合に限らず、その他の状況において実行されてもよい。
【0137】
バイパスカット弁60は、パイロット室78にパイロット圧が導かれていない状態では、第2スプリング71の付勢力により、開放ポジション60Aに保持される。開放ポジション60Aでは、図4に示すように、上流通路10aと下流通路10bとが第2スプール61の第3環状溝63a及び第4環状溝63bを通じて連通し、第1ポンプ通路10は開放される。
【0138】
バイパスカット弁60を開放ポジション60A(図4に示す状態)から遮断ポジション60B(図6に示す状態)に切り換える場合には、バイパスカット弁60のパイロット室78にパイロット圧が導かれる。これにより、第2スプール61がパイロット圧を受けて第2スプリング71の付勢力に抗して移動する。第2スプール61は、一対の第2ばね座72,73のボス部72b,73bが当接するまで、第2スプリング71の付勢力に抗して移動する。これにより、図6に示すように、上流通路10aと下流通路10bとの連通が第2スプール61の第5ランド部62b及び第6ランド部62cにより遮断され、第1ポンプ通路10は遮断される。このようにして、バイパスカット弁60は、遮断ポジション60Bとなる。
【0139】
以上のように、切換弁40が第2切換ポジション40Bに切り換えられ、バイパスカット弁60が遮断ポジション60Bに切り換えられた状態でも、第1スプール41と第2スプール61とは、互いに接触せずに離間する(図6参照)。よって、切換弁40とバイパスカット弁60とが、互いの動作に影響し合うことが防止される。
【0140】
また、切換弁40とバイパスカット弁60とは、それぞれ2ポジションのスプール弁であるため、第1スプール41と第2スプール61とを、互いに同軸的に一つの収容孔91に挿入することができる。この場合であっても、切換弁40とバイパスカット弁60の作動は、互いに影響を与えない。よって、第1スプール41と第2スプール61をそれぞれ別の収容孔に挿入する場合と比較して、ハウジング90を小型化できると共に、収容孔91を加工するコストを低減することができる。
【0141】
次に、本実施形態の変形例について説明する。
【0142】
上記実施形態では、一様な内径を有する貫通孔である収容孔91に切換弁40の第1スプール41とバイパスカット弁60の第2スプール61とが挿入される。また、第1スプール41と第2スプール61との間には、内部空間92が形成される。これに対し、例えば、第1スプール41と第2スプール61との間に隔壁部を設け、第1スプール41が収容される収容孔91と第2スプール61が収容される収容孔91とを隔壁部によって隔ててもよい。この場合には、第1キャップ50内の内圧室58の圧力をタンクTに排出するために、第1スプール41及び第2スプール61を収容する収容孔91を連通する孔を隔壁部に形成することが望ましい。また、この場合、隔壁部に絞り部を設けてもよい。
【0143】
以上の実施形態によれば、以下に示す効果を奏する。
【0144】
流体圧制御装置100では、手動操作によって切換弁40のポジションを切り換えることで、油圧ショベルの種類やユーザーのニーズに応じて、第1ポンプP1から第2油圧シリンダ2に作動油を導くか、第2ポンプP2から第2油圧シリンダ2に作動油を導くか、を選択することができる。切換弁40の切り換えによって第2油圧シリンダ2に作動油を供給するポンプを選択できるため、ユーザーがいずれのポンプで第2油圧シリンダ2を駆動する場合であっても、流体圧制御装置100の配管構造を共通にすることができる。よって、流体圧制御装置100の製造コストを低減することができる。
【0145】
また、流体圧制御装置100では、切換弁40の第1スプール41とバイパスカット弁60の第2スプール61とは、一つの収容孔91に対向して挿入される。これにより、ハウジング90の大型化を防止し、製造コストを低減することができる。
【0146】
また、流体圧制御装置100では、ドレン通路18に絞り部としての絞り通路49bが形成されるため、切換弁40は、手動操作によってポジションの切り換えが可能であると共に、内圧室58に供給されるパイロット圧によってもポジションの切り換えが可能である。これにより、例えば、手動操作される切換弁40を自動の検査ラインで動作確認することができ、流体圧制御装置100の製造を容易に行うことができる。
【0147】
以下、本発明の実施形態の構成、作用、及び効果をまとめて説明する。
【0148】
流体圧制御装置100は、第1ポンプP1から吐出される作動油を導く第1ポンプ通路10と、第2ポンプP2から吐出される作動油を導く第2ポンプ通路11と、第1ポンプP1又は第2ポンプP2から吐出される作動油が選択的に導かれると共にタンクTに連通するメイン通路12と、第1ポンプ通路10に設けられ第1油圧シリンダ1に給排される作動油の流れを制御する第1制御弁20と、メイン通路12に設けられ第2油圧シリンダ2に給排される作動油の流れを制御する第2制御弁30と、メイン通路12から分岐して第2制御弁30へ作動油を導く第2分岐通路14と、第1ポンプ通路10から分岐して第2分岐通路14に接続されるパラレル通路15と、パラレル通路15に設けられ第1ポンプP1から第2分岐通路14へ向かう作動油の流れのみを許容する第3逆止弁83と、メイン通路12に設けられ第1ポンプ通路10及び第2ポンプ通路11のうちメイン通路12に連通する通路を選択的に切り換える切換弁40と、を備え、切換弁40は、第1ポンプ通路10とメイン通路12とを連通する第1切換ポジション40Aと、第2ポンプ通路11とメイン通路12とを連通する第2切換ポジション40Bと、を有する。
【0149】
この構成では、切換弁40を第1切換ポジション40Aとすると、第2制御弁30に作動油を導くメイン通路12は、第1ポンプ通路10と連通し、第2制御弁30には、第1ポンプP1から吐出される作動油が導かれる。よって、第1油圧シリンダ1及び第2油圧シリンダ2は、それぞれ第1ポンプP1から吐出される作動油により作動する。切換弁40を第2切換ポジション40Bとすると、メイン通路12は、第2ポンプ通路11と連通し、第2制御弁30には、第2ポンプP2から吐出される作動油が導かれる。このため、第1油圧シリンダ1は第1ポンプP1から吐出される作動油により、第2油圧シリンダ2は第2ポンプP2から吐出される作動油により、互いに独立して作動する。このように、切換弁40のポジションを切り換えることによって、第2制御弁30に第1ポンプP1からの作動油を導くか、第2ポンプP2からの作動油を導くか、を選択できる。よって、第1ポンプP1及び第2ポンプP2のいずれから第2制御弁30に作動油を導くかに関わらず、配管構造を共通化することができる。したがって、流体圧制御装置100の製造コストが低減される。
【0150】
また、流体圧制御装置100では、第1アクチュエータは、ブーム102の負荷が作用するボトム側室7とロッド側室6との圧力差によって伸縮作動する油圧シリンダであり、第1制御弁20は、第1ポンプ通路10を開放する第1中立ポジション20Aと、第1ポンプ通路10を開放すると共に、第1ポンプ通路10とロッド側室6とを連通する第1収縮ポジション20Cと、を有し、第2制御弁30は、メイン通路12をタンクTに連通する第2中立ポジション30Aと、第2分岐通路14から導かれる作動油を第2油圧シリンダ2に供給する供給ポジション(第2伸長ポジション30B、第2収縮ポジション30C)と、を有し、切換弁40は、第1切換ポジション40Aにおいて第2ポンプ通路11とタンクTとを連通すると共に、第2切換ポジション40Bにおいて第1ポンプ通路10とタンクTとを連通し、第1ポンプ通路10には、第1制御弁20の下流において、第1ポンプ通路10の開放と遮断とを切り換えるバイパスカット弁60が設けられる。
【0151】
この構成では、切換弁40が第1切換ポジション40Aであり第2制御弁30が第2中立ポジション30Aである状態、及び、切換弁40が第2切換ポジション40Bである状態において、バイパスカット弁60が第1ポンプ通路10を開放し、第1制御弁20を第1収縮ポジション20Cとすると、第1ポンプ通路10はタンクTに連通する。この場合、第1ポンプP1から吐出される作動油は、第1油圧シリンダ1には供給されず、第1油圧シリンダ1は、負荷の自重によって作動する。一方、バイパスカット弁60によって第1ポンプ通路10が遮断された状態で第1制御弁20が第1収縮ポジション20Cに切り換わると、第1ポンプ通路10とタンクTとの連通が遮断されているため、第1ポンプP1から吐出される作動油は、第1油圧シリンダ1に供給される。このため、第1油圧シリンダ1は、第1ポンプP1から吐出される作動油の圧力により収縮作動する。このように、バイパスカット弁60によって第1ポンプ通路10の開放と遮断とを切り換えることにより、負荷による駆動と油圧による駆動との両方によって第1油圧シリンダ1を駆動させることができる。
【0152】
また、流体圧制御装置100は、切換弁40とバイパスカット弁60を収容するハウジング90をさらに備え、切換弁40は、ポジションを切り換える第1スプール41を有し、バイパスカット弁60は、ポジションを切り換える第2スプール61を有し、切換弁40の第1スプール41とバイパスカット弁60の第2スプール61とは、ハウジング90に形成される収容孔91内に互いに対向して同軸的に収容される。
【0153】
この構成では、ハウジング90をコンパクト化することができる。
【0154】
また、流体圧制御装置100では、収容孔91は、両端がハウジング90の端面90a,90bに開口する貫通孔として形成され、切換弁40は、ハウジング90に取り付けられ収容孔91の一方の開口を封止する第1キャップ50と、第1キャップ50内に形成される内圧室58と、第1キャップ50内に設けられ第1スプール41を第2スプール61から離間する方向に付勢する第1スプリング51と、第1キャップ50に設けられ、手動操作によって第1スプリング51の付勢力に抗して第1スプール41を移動させる切換部55と、をさらに有し、バイパスカット弁60は、ハウジング90に取り付けられ収容孔91の他方の開口を封止する第2キャップ70と、第2キャップ70内に形成され第2スプール61を第1スプール41に向けて付勢するパイロット圧がパイロットポート70cを通じて導かれるパイロット室78と、第2キャップ70内に設けられ第2スプール61を第1スプール41から離間する方向に向けて付勢する第2スプリング71と、をさらに有する。
【0155】
また、流体圧制御装置100では、第1キャップ50には、第1スプリング51の付勢力に抗して第1スプール41を移動させるパイロット圧を内圧室58に導く導入ポート50cが形成され、第1キャップ50内の内圧室58は、ドレン通路18を通じてタンクTと常時連通し、ドレン通路18には、通過する作動流体の流れに抵抗を付与する絞り通路49bが設けられる。
【0156】
また、流体圧制御装置100では、ドレン通路18は、互いに対向する第1スプール41の端部と第2スプール61の端部とによって収容孔91内に区画される内部空間92と、第1スプール41に形成され内圧室58と内部空間92とを連通する第1内部通路49と、第2スプール61に形成され内部空間92とタンクTとを連通する第2内部通路69と、を有する。
【0157】
これらの構成では、内圧室58にパイロット圧を導くと、ドレン通路18を通じて内圧室58内の作動油の一部は排出されるものの、絞り通路49bによって抵抗が付与されるため、内圧室58には所定の圧力が生じる。よって、内圧室58にパイロット圧を供給することで、内圧室58内に第1スプール41を移動させる推力が発生し、第1スプール41を移動させることができる。
【0158】
また、流体圧制御装置100では、切換弁40は、第1スプリング51の両端が着座して第1スプリング51の伸縮に伴い相対移動する一対の第1ばね座52,53をさらに有し、バイパスカット弁60は、第2スプリング71の両端が着座して第2スプリング71の伸縮に伴い相対移動する一対の第2ばね座72,73をさらに有し、一対の第1ばね座52,53が互いに当接することにより、第1スプリング51の付勢力に抗する第1スプール41の移動が規制され、一対の第2ばね座72,73が互いに当接することにより、第2スプリング71の付勢力に抗する第2スプール61の移動が規制される。
【0159】
この構成では、第1スプール41及び第2スプール61の移動量を容易に設定することができる。
【0160】
また、流体圧制御装置100では、第1スプール41は、収容孔91の内周面に摺接する第1本体部42と、第1本体部42の端部に取り付けられ、外周に第1スプリング51が設けられる第1支持部46と、を有し、第2スプール61は、収容孔91の内周面に摺接する第2本体部62と、第2本体部62の端部に取り付けられ、外周に第2スプリング71が設けられる第2支持部66と、を有し、第1本体部42は、第1支持部46に向けて軸方向に突出し、第1支持部46が当接する第2小径部45を有し、第2本体部62は、第2支持部66に向けて軸方向に突出し、第2支持部66が当接する第3小径部64を有する。
【0161】
この構成では、第2小径部45及び第3小径部64の突出量を変更することで、第1支持部46、第2支持部66、第1ばね座52,53、及び第2ばね座72,73を共通使用しつつ、第1スプール41及び第2スプール61の移動量を変更することができる。
【0162】
また、流体圧制御装置100では、収容孔91は、内径が一様な貫通孔として形成される。
【0163】
この構成では、収容孔91の内周面を研磨仕上げすることができるため、収容孔91の加工精度が向上する。
【0164】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0165】
1…第1油圧シリンダ(第1アクチュエータ)、2…第2油圧シリンダ(第2アクチュエータ)、10…第1ポンプ通路、11…第2ポンプ通路、12…メイン通路、14…第2分岐通路(供給通路)、15…パラレル通路、18…ドレン通路、20…第1制御弁、30…第2制御弁、40…切換弁、41…第1スプール、42…第1本体部、45…第2小径部(第1突出部)、46…第1支持部、49…第1内部通路、49b…絞り通路(絞り部)、50…第1キャップ、50c…導入ポート、51…第1スプリング(第1付勢部材)、52,53…第1ばね座(第1着座部材)、55…切換部、58…内圧室、60…バイパスカット弁、61…第2スプール、62…第2本体部、64…第3小径部(第2突出部)、66…第2支持部、69…第2内部通路、70…第2キャップ、71…第2スプリング(第2付勢部材)、72,73…第2ばね座(第2着座部材)、83…第3逆止弁(逆止弁)、90…ハウジング、91…収容孔、92…内部空間、100…流体圧制御装置、P1…第1ポンプ、P2…第2ポンプ、T…タンク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7