特許第6703587号(P6703587)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6703587物体の凹凸パターンをスキャンすることができる静電容量方式のパターンイメージスキャナ及びパターンイメージの生成方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6703587
(24)【登録日】2020年5月12日
(45)【発行日】2020年6月3日
(54)【発明の名称】物体の凹凸パターンをスキャンすることができる静電容量方式のパターンイメージスキャナ及びパターンイメージの生成方法
(51)【国際特許分類】
   G06T 1/00 20060101AFI20200525BHJP
   B41K 1/02 20060101ALI20200525BHJP
【FI】
   G06T1/00 400F
   B41K1/02 Z
【請求項の数】16
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-209628(P2018-209628)
(22)【出願日】2018年11月7日
(65)【公開番号】特開2020-67996(P2020-67996A)
(43)【公開日】2020年4月30日
【審査請求日】2018年11月8日
(31)【優先権主張番号】10-2018-0128447
(32)【優先日】2018年10月25日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】313006692
【氏名又は名称】ユニオンコミュニティー シーオー エルティディ
【氏名又は名称原語表記】UNIONCOMMUNITY CO.,LTD
(74)【代理人】
【識別番号】100082418
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 朔生
(74)【代理人】
【識別番号】100167601
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 信之
(74)【代理人】
【識別番号】100201329
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 真二郎
(72)【発明者】
【氏名】ペク、ヨンヒョン
(72)【発明者】
【氏名】シン、ヨシク
【審査官】 新井 則和
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−030840(JP,A)
【文献】 特開2005−326166(JP,A)
【文献】 特開2005−227244(JP,A)
【文献】 特開2000−300543(JP,A)
【文献】 特開2010−050030(JP,A)
【文献】 特開2017−224210(JP,A)
【文献】 特開2018−136764(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 1/00
B41K 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体の凹凸面のパターンイメージを生成するパターンイメージスキャナにおいて、
パターン認識センサ部の入力面に配置され、前記物体の凹凸面で押されるとき、前記凹凸面の形状に前記パターン認識センサ部の入力面を押印する電気伝導性弾性膜と、
前記入力面が一面に形成され、前記入力面において前記弾性膜により前記パターンで押印された領域である押印領域の静電容量の変化を検出して前記物体の凹凸面のパターンを検出する平板の前記パターン認識センサ部と、
前記弾性膜に接続され、前記弾性膜が既に設定された大きさ以上のキャパシタンスを有するようにすることにより、前記押印領域の静電容量を変更する静電容量変更部と、を含むことを特徴とする、
パターンイメージスキャナ。
【請求項2】
前記弾性膜は、一定の張力で引っ張られた状態で前記入力面に配置され、前記物体によって押印されるとき、前記物体のパターン形状に伸びて前記入力面に密着することを特徴とする請求項1に記載のパターンイメージスキャナ。
【請求項3】
前記弾性膜は、前記パターン認識センサ部の上面から離隔されて配置され、前記物体の押印があるときに前記物体のパターン形状に前記入力面に密着されることを特徴とする請求項2に記載のパターンイメージスキャナ。
【請求項4】
前記静電容量変更部は、前記弾性膜とグラウンド(GND)との間を接続するキャパシタを含むことを特徴とする請求項1に記載のパターンイメージスキャナ。
【請求項5】
前記静電容量変更部は、前記弾性膜とグラウンド(GND)との間に放電経路を提供する電気導線であることを特徴とする請求項1に記載のパターンイメージスキャナ。
【請求項6】
前記弾性膜は、合成樹脂、シリコーン及びゴムの中から選択された少なくとも1つの材料に電気伝導性金属の粉末を混合して膜状に加工することにより、弾性を有するようにしたものであるか、又は、合成樹脂、シリコーン及びゴムの中から選択された少なくとも1つの材料の膜の両面のうち少なくとも1面に電気伝導性金属のペースト(Paste)を塗布したものであることを特徴とする請求項1に記載のパターンイメージスキャナ。
【請求項7】
前記パターン認識センサ部と静電容量変更部を収容するハウジングと、前記ハウジングを保護するための外装ケースと、をさらに含み、前記弾性膜は、ハウジングを保護するための外装ケースの一部に設けられることを特徴とする請求項6に記載のパターンイメージスキャナ。
【請求項8】
前記弾性膜の両面のうち前記入力面と向き合う面は不導体であることを特徴とする請求項1〜6のうちいずれか1項に記載のパターンイメージスキャナ。
【請求項9】
前記パターン認識センサ部の出力を用いて前記物体の凹凸面のパターンイメージを生成する制御部をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のパターンイメージスキャナ。
【請求項10】
前記制御部は、前記パターン認識センサ部の出力を用いて前記パターンイメージを生成する過程を前記物体の押印が行われる間に既に設定された時間間隔で繰り返すことにより、前記物体に対して複数のパターンイメージを生成した後、前記複数のパターンイメージを重畳して最終的なパターンイメージを生成することを特徴とする請求項9に記載のパターンイメージスキャナ。
【請求項11】
物体の凹凸面のパターンイメージを生成する方法において、
パターン認識センサ部の入力面の上部に電気伝導性がある弾性膜を配置するステップと、
前記弾性膜に接続された静電容量変更部が前記弾性膜に既に設定された大きさ以上のキャパシタンスを提供するステップと、
前記弾性膜が前記物体の凹凸面によって押されながら、前記弾性膜が前記凹凸面の形状に前記パターン認識センサ部の入力面を押印するステップと、
前記パターン認識センサ部が前記入力面において前記弾性膜により押印された押印領域の静電容量の変化を検出して前記物体の凹凸面のパターンを検出するステップと、を含むことを特徴とする、
パターンイメージの生成方法。
【請求項12】
前記弾性膜は、一定の張力で引っ張られた状態で前記入力面に配置され、前記物体によって押印されるとき、前記物体のパターン形状に伸びて前記入力面に密着することを特徴とする請求項11に記載のパターンイメージの生成方法。
【請求項13】
前記弾性膜は、前記パターン認識センサ部の上面から離隔されて配置され、前記物体の押印があるときに前記物体のパターン形状に前記入力面に密着されることを特徴とする請求項12に記載のパターンイメージの生成方法。
【請求項14】
前記弾性膜は、合成樹脂、シリコーン及びゴムの中から選択された少なくとも1つの材料に電気伝導性金属の粉末を混合して膜状に加工することにより、弾性を有するようにしたものであるか、又は、合成樹脂、シリコーン及びゴムの中から選択された少なくとも1つの材料の膜の両面のうち少なくとも1面に電気伝導性金属のペースト(Paste)を塗布して生成することを特徴とする請求項11に記載のパターンイメージの生成方法。
【請求項15】
制御部は、前記のパターン認識センサ部の出力を用いて前記物体の凹凸面のパターンイメージを生成するステップをさらに含むことを特徴とする請求項14に記載のパターンイメージの生成方法。
【請求項16】
前記パターンイメージを生成するステップは、前記パターン認識センサ部の出力を用いて前記パターンイメージを生成する過程を前記物体の押印が行われる間に既に設定された時間間隔で繰り返すことにより、前記物体に対して複数のパターンイメージを生成した後、前記複数のパターンイメージを重畳して最終的なパターンイメージを生成することを特徴とする請求項15に記載のパターンイメージの生成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電容量方式のパターンイメージスキャナであって、判子やスタンプなどのような物体の凹凸パターンをスキャンしてパターンイメージを取得することができる静電容量方式のパターンイメージスキャナに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、各種書類がデジタル化されている。例えば、銀行に提出する書類のほとんどは、デジタルイメージとしてスキャンして保管したり、或いは、最初からデジタル文書として作成することもある。
大韓民国や日本を含む一部の国は、個人認証の手段の1つとして判子(又は印鑑)を使用しているが、今まで判子はデジタル化の障害要素として認識されていた。判子やスタンプは、凹凸状に彫られた面に朱肉やインクをつけて紙面などに押印するもので、その凹凸のイメージを生成するものである。従来の判子やスタンプで捺印した文書をデジタルイメージとして取得する最初の方法は、判子が押された紙文書を別のスキャン装置を用いてデジタルイメージとしてスキャンする方式であった。
これにより出願人は、光学式指紋リーダーのように、プリズムを用いて印鑑をスキャンする印鑑スキャナを開発した。光学式印鑑スキャナは、処理速度に優れており、誤動作率などが低いなどの利点があるが、光屈折器を使用するため、基本的に小さく、そして薄く作るには一定の限界がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】大韓民国特許第1542818号公報(二重弾性入力構造を備えたパターンイメージスキャナ及びその方法)(光学式指紋入力装置を基にしたパターンイメージスキャナについての発明である。)
【特許文献2】大韓民国特開第10−2017−0054372号公報(指紋センサパッケージ)(半導体静電容量方式の指紋イメージセンサの構造を提示している。)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、静電容量方式のパターンイメージスキャナとして、判子やスタンプなどのような物体の凹凸パターンをスキャンしてパターンイメージを取得することができる静電容量方式のパターンイメージスキャナとそのパターンイメージの生成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するための本発明に係るパターンイメージスキャナは、判子のような物体の凹凸面のパターンイメージを生成することができる。本発明のスキャナは、電気伝導性弾性膜、平板状のパターン認識センサ部及び静電容量変更部を含む。
弾性膜は、パターン認識センサ部の入力面に配置され、前記物体の凹凸面の形状に前記パターン認識センサ部の入力面を押印する。静電容量変更部は、前記弾性膜に接続され、前記弾性膜が既に設定された大きさ以上のキャパシタンスを有するようにすることにより、前記押印領域の静電容量を変更する。パターン認識センサ部は、一面に前記入力面が形成され、前記入力面において前記弾性膜により前記パターンで押印された領域である「押印領域」の静電容量の変化を検出して前記物体の凹凸面のパターンを検出する。
実施例により、本発明のパターンイメージスキャナは、前記パターン認識センサ部の出力を用いて前記物体の凹凸面のパターンイメージを生成する制御部をさらに含むことができる。
他の実施例により、前記制御部は、前記パターン認識センサ部の出力を用いて前記パターンイメージを生成する過程を前記物体の押印が行われる間に既に設定された時間間隔で繰り返すことにより、前記物体に対して複数のパターンイメージを生成した後、前記複数のパターンイメージを重畳して最終的なパターンイメージを生成することが望ましい。
【0006】
弾性膜
前記弾性膜は一定の弾性を有さなければならない。弾性膜は、一定の張力で引っ張られた状態で前記入力面に配置されることにより、前記物体によって押印されるとき前記物体のパターン形状に伸びて前記入力面に密着することが望ましい。
又、他の実施例により、前記弾性膜は、前記パターン認識センサ部の上面から離隔されて配置され、前記物体の押印があるときに前記物体のパターン形状に前記入力面に密着することが望ましい。
又、他の実施例により、前記弾性膜は、合成樹脂、シリコーン及びゴムの中から選択された少なくとも1つの材料に電気伝導性金属の粉末を混合して膜状に加工することにより、弾性を有するようにしたものであるか、又は、合成樹脂、シリコーン及びゴムの中から選択された少なくとも1つの材料の膜の両面のうち少なくとも1面に電気伝導性金属のペースト(Paste)を塗布したものである。一方、前記弾性膜の両面のうち前記入力面と向き合う面は不導体であることも可能である。
又、他の実施例により、本発明のパターンイメージスキャナは、前記パターン認識センサ部と静電容量変更部を収容するハウジングと、前記ハウジングを保護するための外装ケースと、をさらに含むことができる。この場合、前記弾性膜は、ハウジングを保護するための外装ケースの一部に設けることができる。
【0007】
静電容量変更部
前記静電容量変更部は、前記弾性膜とグラウンド(GND)との間を接続するキャパシタを含むこともでき、又は、前記弾性膜とグラウンド(GND)との間に放電経路を提供することもできる。
本発明は、物体の凹凸面のパターンイメージを生成する方法にも及ぶ。本発明の方法は、パターン認識センサ部の入力面の上部に電気伝導性がある弾性膜を配置するステップと、前記弾性膜に接続された静電容量変更部が前記弾性膜に既に設定された大きさ以上のキャパシタンスを提供するステップと、前記弾性膜が前記物体の凹凸面により押されながら、前記弾性膜が前記凹凸面の形状に前記パターン認識センサ部の入力面を押印するステップと、前記パターン認識センサ部が前記入力面の中から前記弾性膜により押印された押印領域の静電容量の変化を検出して前記物体の凹凸面のパターンを検出するステップと、を含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明のパターンイメージスキャナは、判子のような物体の凹凸面の形状(パターン)をスキャンしてデジタルイメージを生成することができる。
本発明のパターンイメージスキャナは、半導体製造技術で実現した静電容量センサを基本とするため、非常に薄い構造で実現することができる。静電容量センサを用いるが、本発明のパターンイメージスキャナは、物体が非導電性である場合にもパターンイメージをスキャンすることができる。
又、静電容量センサの入力面も剛体であり、物体も剛体であるが、本発明のパターンイメージスキャナは、弾性を有する弾性膜を用いてパターンを入力するので、パターンの入力が非常に容易である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施例に係るパターンイメージスキャナの構造を示す断面図である。
図2】物体が押印された状態のパターンイメージスキャナの状態を示す断面図である。
図3】静電容量センサ部の一例を示す図である。
図4】本発明の他の実施例に係るパターンイメージスキャナの構造を示す断面図である。
図5】本発明の又他の実施例に係るパターンイメージスキャナの構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明に係る実施例をさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例により限定されるものではない。
図1及び図2を参照する。本発明のパターンイメージスキャナ100は、物体10の凹凸面10aに対するパターンイメージを生成する。ここで、物体10は、一端に特定のパターンの凹凸が形成された凹凸面10aを有したものであれば良い。例えば、判子又はスタンプなどが本発明の物体10に該当する。本発明は、物体10が非導電性材料で製作されたもののみではなく、凹凸面10aと外面のうち一部が電気伝導性材料で製作されたものであっても良い。
本発明のパターンイメージスキャナ100は、平板状のパターン認識センサ部110、弾性膜130、静電容量変更部150及び制御部170を含み、パターン認識センサ部110の入力面113の上部に弾性膜130が配置される。
パターン認識センサ部110は、半導体製造技術で実現した静電容量方式のセンサであって、平板状に実現される。パターン認識センサ部110は、様々な構造で実現することができる。例えば、パターン認識センサ部110は、静電容量方式で多点(Multi Point)の接触を認識することができるセンサであれば良い。
例えば、図3に示した例を参照する。パターン認識センサ部110は、静電容量センサ301、保護板303及び信号処理回路305を備える。
静電容量センサ301は、従来知られている様々な方法で実現することができ、パターンイメージを生成するのに十分な解像度を有するセンサアレイ(Sensor Array)を含まなければならない。一般的に知られている静電容量センサの単位構造は、誘電体基板の下面に2つの電極が形成された構造を有する。2つの電極の間には誘電体を経てキャパシタンス(Capacitance)が生じる。この際、誘電体基板に他のキャパシタンスが接続されると、2つの電極の間のキャパシタンスが変わることになる。キャパシタンスの変化を検出するための入力信号を2つの電極のうち、第1の電極に供給した後、他の第2の電極から出力される信号を用いてキャパシタンスの変化を検出することができる。キャパシタンスの変化を検出する方法は様々であるが、例えば、入力信号としてパルスを提供し、出力信号(入力信号を微分した形)のピーク値の変化を検出する方法が代表的である。
保護板303は、静電容量センサ301の上部に設けられ、保護板303の上面全部又は上面の一部に物体10の凹凸面10aのパターンが入力される入力面113が形成される。保護板303は、例えば、サファイア、ガラス、強化ガラス、プラスチック、PC(Polycarbonate)系合成樹脂及びPI(Polyamide)系合成樹脂の中から選択された1つを用いて実現することができる。
信号処理回路305は、静電容量センサ301の出力を基に、入力面113において物体10が接触した部分(以下、「押印領域」とする。)の座標とその静電容量の変化を出力する。以下で説明する制御部170は、信号処理回路305の出力の中で座標情報を基にしてパターンイメージの形を生成する。又、弾性膜130の電気的特性に応じて、静電容量の変化量は、例えば、弾性膜130又は物体10の接触圧力に対応する値となるので、制御部170は、信号処理回路305が提供する静電容量の変化量の大きさを基にパターンイメージのグレーレベル(Grey Level)を決定することができる。
弾性膜130は、剛体である物体10の凹凸面10aが剛体である入力面113に容易に接触してイメージを生成できるようにすると共に、パターン認識センサ部110の静電容量の変化を引き起こす必要がある。
静電容量の強さは、誘電体の誘電率と誘電体の両端に配置された電極の大きさに比例し、2つの電極間の距離に反比例する。したがって、物体10が弾性膜130を押印して入力面113に接触するときに入力面113の押印領域(A)に静電容量の変化を起こすためには、弾性膜130が電気伝導性を有さなければならない。弾性膜130の電気伝導性は、弾性膜130の全体に全面的に実現する必要はない。例えば、少なくとも弾性膜130の両面のうち入力面113に接触する面は、不導体であっても構わない。
弾性膜130は、パターン認識センサ部110の入力面113の上部に設けられる。図1に示すように、弾性膜130は、入力面113から一定の間隔で離隔されることが望ましいが、図5に示す弾性膜510のように、入力面113に付着することもできる。ユーザは、物体10の凹凸面10aを弾性膜130に押印する方法で凹凸面10aのパターンをパターン認識センサ部110に入力することになる。弾性膜130が物体10によって押印されると、凹凸面10aのパターン形状に伸びて入力面113に密着し押印領域(A)が形成される。したがって、弾性膜130は、剛体である凹凸面10aと入力面113上に緩衝作用をするために弾性を有さなければならない。又、電気伝導性のある弾性膜130は、入力面113の全体に静電容量の変化を起こしてはならず、押印領域(A)でみの静電容量の変化を起こさなければならないので、弾性膜130は、物体10の凹凸面10aのパターン形状に伸びながら押印されるように弾性を有さなければならない。弾性膜130は、弾性のある材料で製作されると共に、一定の張力で引っ張られた状態で入力面113の上部に配置されることが望ましい。
弾性膜130は、物体10の押印がない状態ではパターン認識センサ部110の静電容量の変化に影響を与えないように、入力面113から一定の間隔で離隔されて配置されることにより、弾性膜130と入力面113との間に空間部111が形成されることが望ましい。
以上をまとめると、弾性膜130は、弾性を有しながらも、電気伝導性を有さなければならず、この2つの条件を満足させるために、本発明の弾性膜130は、合成樹脂、シリコン及びゴムの中から選択された少なくとも1つの材料に電気伝導性金属の粉末を混合して膜状に加工することにより、弾性を有するように加工することもでき、合成樹脂、シリコン及びゴムの中から選択された少なくとも1つの材料の膜に電気伝導性金属のペースト(Paste)を塗布することもできる。
パターン認識センサ部110は、静電容量センサ301を静電容量変化の検出でパターンを認識するため、押印領域(A)で静電容量が変わらなければならない。静電容量変更部150は、弾性膜130に接続された電気的構成であって、弾性膜130が既に設定された大きさ以上のキャパシタンスを有するようにすることにより、弾性膜130の接触によって形成される押印領域(A)で静電容量の変化を起こす。
静電容量変更部150は、弾性膜130とスキャナ100の電気的グラウンド(GND)との間を接続するキャパシタ(Capacitor)の形で実現することもでき、単純に弾性膜130とグラウンドとの間に放電経路を提供する電気導線であっても良い。静電容量変更部150は、弾性膜130の一側に設けられた電極(図示せず)に半田付けや電気溶接などの方法で電気的に接続される。
制御部170は、パターン認識センサ部110の出力を用いて物体10の凹凸面10aのパターンイメージを生成する。付加的に、制御部170は、本発明のパターンイメージスキャナ100の全般的な動作を制御することもできる。
上述したように、制御部170は、パターン認識センサ部110が提供する押印領域(A)の座標を用いてパターンイメージを生成するが、パターン認識センサ部110が提供する押印領域(A)での静電容量の変化量を用いてパターンイメージのグレーレベルを決定する。したがって押印領域(A)での静電容量の変化は、ユーザが判子を押印する圧力に比例しながら、制御部170が生成するパターンイメージのグレーレベルも比例的に濃くなったり薄くなる。
一方、物体10が剛体であり、入力面113も剛体であるので、弾性膜130があっても押印が一度に容易に行われないことがあり、物体10が常に入力面113に垂直方向に押印されることではないので、凹凸面10aが入力面113に順次接触することが一般的である。ユーザも判子を押すときに既存の経験に基づいて前後左右に交互に力を与えながら凹凸面10aの全体が順次押印されるようにすることが一般的である。
したがって、望ましくは、制御部170は、パターン認識センサ部110の出力を用いてパターンイメージを生成する過程を物体10の押印が行われる間に既に設定された時間間隔で繰り返すことにより、物体10に対して複数のパターンイメージを生成することができる。その後、制御部170は、複数のパターンイメージを重畳して最終的なパターンイメージを生成する。
【0011】
パターンイメージの生成過程(図1および図2を参照)
図2のように、凹凸面10aのパターンイメージを生成するために、ユーザは、物体10の凹凸面10aが弾性膜130となるべく平行を維持しながら、弾性膜130を押して押印する。判子のような物体は垂直方向に弾性膜130に押印する。
一定の張力で引っ張られた状態で配置された弾性膜130は、物体10の押印によって凹凸面10aの形状に引っ張られながら凹凸面10aの形状に入力面113を押して加圧する。物体10によって押印された押印領域(凹凸面の陽刻部分)(A)では空間部111がなくなり、押印されない部分(凹凸面の陰刻部分)(B)は依然として空間部111が存在する。
物体10によって押印された押印領域(A)では、電気的に静電容量変更部150が入力面113と接続される形になって静電容量が変わることになるが、物体10によって押印されない部分(B)は、電気的にどのような変化も生じず、当然、静電容量が変わらない。したがって、パターン認識センサ部110の静電容量センサ301は、押印領域(A)での静電容量の変化を検出し、信号処理回路305は、押印領域(A)での静電容量の変化を認識して出力する。
制御部170は、パターン認識センサ部110が提供する押印領域(A)の座標と静電容量の変化量を用いて物体10の凹凸面10aのパターンイメージを生成する。上述したように、制御部170は、パターン認識センサ部110の出力を用いてパターンイメージを生成する過程を物体10の押印が行われる間に既に設定された時間間隔で繰り返すことにより、物体10に対して複数のパターンイメージを生成することができる。その後、制御部170は、複数のパターンイメージを重畳して物体10に対する最終的なパターンイメージを生成することができる。
【0012】
実施例:弾性膜の実現形態
図4を参照する。本発明のパターンイメージスキャナ400は、図1のパターン認識センサ部110と静電容量変更部150を収容するハウジング410をさらに含む。制御部170もハウジング410内に収容することができる。ハウジング410は、入力面113が露出するようにパターン認識センサ部110を収容するが、最近の製品は入力面113の縁部のベゼルの幅や厚さが十分に薄く製作される。
さらに、パターンイメージスキャナ400は、ハウジング410を保護するための外装ケース430をさらに含むことができる。この場合、弾性膜130は、ハウジング410を保護するための外装ケース430の一部に設けることができる。即ち、弾性膜130と外装ケース430を一体に設けることもできる。
【0013】
実施例:弾性膜の実現形態
図5を参照する。本発明のパターンイメージスキャナ500は、図1の弾性膜130の代わりに、パターン認識センサ部110の入力面113に接触した状態で配置された弾性膜510を含む。
物体10の押印がない状態で、弾性膜130が接触された状態の静電容量センサ301の出力を基に押印している間の静電容量の変化を検出する方法で処理することができる。望ましくは、弾性膜130の電気伝導度を高くないようにすることにより、静電容量の変化を最小化することが良い。
物体10が弾性膜510を押印すると、押印領域(A)が押されながら押印領域(A)の電気伝導度が残りの領域よりも高くなる。当然、弾性膜130は、物体10の押印により弾性膜130の厚さが収縮されることが可能である。
図1
図2
図3
図4
図5