特許第6703588号(P6703588)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6703588
(24)【登録日】2020年5月12日
(45)【発行日】2020年6月3日
(54)【発明の名称】電力取引仲介装置および方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/06 20120101AFI20200525BHJP
   G06Q 50/06 20120101ALI20200525BHJP
   H02J 3/00 20060101ALI20200525BHJP
【FI】
   G06Q30/06 312
   G06Q50/06
   H02J3/00 180
【請求項の数】15
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2018-212844(P2018-212844)
(22)【出願日】2018年11月13日
(65)【公開番号】特開2019-121361(P2019-121361A)
(43)【公開日】2019年7月22日
【審査請求日】2018年11月13日
(31)【優先権主張番号】10-2017-0183970
(32)【優先日】2017年12月29日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】515163874
【氏名又は名称】エンコアード テクノロジーズ インク
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【弁理士】
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】リ,ヒョソプ
【審査官】 石坂 博明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2017−028986(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00−99/00
H02J 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定のデータベースから複数の加入者各々の所定の課金期間の間の消費電力量および生産電力量を取得する情報取得部、
前記複数の加入者各々が前記複数の加入者のうち少なくとも一人の他の加入者から前記消費電力量のうち一部を購入する量である購入量を算出する購入量算出部、
前記複数の加入者各々が前記購入量を通じて節減する電気料金および取引費用に基づいて、前記購入量に対する購入量電気料金を算出する購入量電気料金算出部、および
前記購入量および前記購入量電気料金を前記複数の加入者各々の装置に送信する送信部を含み、
前記情報取得部は、前記所定の課金期間が未来の期間を含む場合、前記所定の課金期間の以前課金期間の情報および外部環境情報に基づいて、前記消費電力量および前記生産電力量を推定することを特徴とする電力取引仲介装置。
【請求項2】
所定のデータベースから複数の加入者各々の所定の課金期間の間の消費電力量および生産電力量を取得する情報取得部、
前記複数の加入者各々が前記複数の加入者のうち少なくとも一人の他の加入者から前記消費電力量のうち一部を購入する量である購入量を算出する購入量算出部、
前記複数の加入者各々が前記購入量を通じて節減する電気料金および取引費用に基づいて、前記購入量に対する購入量電気料金を算出する購入量電気料金算出部
前記購入量および前記購入量電気料金を前記複数の加入者各々の装置に送信する送信部、および
前記複数の加入者各々の前記生産電力量の総和に対する前記複数の加入者各々の前記購入量の総和の割合を計算し、前記複数の加入者各々の生産電力量に前記割合を乗じて取引生産量を算出する取引生産量算出部を含むことを特徴とする電力取引仲介装置。
【請求項3】
前記送信部は、前記複数の加入者各々に対して前記購入量、前記購入量電気料金および前記取引生産量を課金部に送信することを特徴とする、請求項に記載の電力取引仲介装置。
【請求項4】
前記課金部は、前記電力取引仲介装置内に存在するか、またはネットワークを介して連結された外部装置に存在することを特徴とする、請求項に記載の電力取引仲介装置。
【請求項5】
所定のデータベースから複数の加入者各々の所定の課金期間の間の消費電力量および生産電力量を取得する情報取得部、
前記複数の加入者各々が前記複数の加入者のうち少なくとも一人の他の加入者から前記消費電力量のうち一部を購入する量である購入量を算出する購入量算出部、
前記複数の加入者各々が前記購入量を通じて節減する電気料金および取引費用に基づいて、前記購入量に対する購入量電気料金を算出する購入量電気料金算出部、および
前記購入量および前記購入量電気料金を前記複数の加入者各々の装置に送信する送信部を含み、
前記購入量は、下記の式によって決定されることを特徴とする電力取引仲介装置。
ただし、
(ここで:
(D):加入者kの消費電力量Dに対する電気料金関数、
:加入者kの取引費用、
argmin(f(x)):関数f(x)を最小値に作るためのx値を求める関数、
:加入者kの購入量、
:加入者kの生産電力量、
:加入者kの消費電力量)
【請求項6】
所定のデータベースから複数の加入者各々の所定の課金期間の間の消費電力量および生産電力量を取得する情報取得部、
前記複数の加入者各々が前記複数の加入者のうち少なくとも一人の他の加入者から前記消費電力量のうち一部を購入する量である購入量を算出する購入量算出部、
前記複数の加入者各々が前記購入量を通じて節減する電気料金および取引費用に基づいて、前記購入量に対する購入量電気料金を算出する購入量電気料金算出部、および
前記購入量および前記購入量電気料金を前記複数の加入者各々の装置に送信する送信部を含み、
前記購入量電気料金は、前記複数の加入者各々が前記購入量を通じて節減する電気料金から取引費用を引いた費用の総和を、前記購入量の総和で割ったものであることを特徴とする電力取引仲介装置。
【請求項7】
所定のデータベースから複数の加入者各々の所定の課金期間の間の消費電力量および生産電力量を取得する情報取得部、
前記複数の加入者各々が前記複数の加入者のうち少なくとも一人の他の加入者から前記消費電力量のうち一部を購入する量である購入量を算出する購入量算出部、
前記複数の加入者各々が前記購入量を通じて節減する電気料金および取引費用に基づいて、前記購入量に対する購入量電気料金を算出する購入量電気料金算出部、および
前記購入量および前記購入量電気料金を前記複数の加入者各々の装置に送信する送信部を含み、
前記購入量電気料金は、下記の式によって決定されることを特徴とする電力取引仲介装置。
(ここで:
(D):加入者kの消費電力量Dに対する電気料金関数、
:算出された加入者kの購入量、
:加入者kの消費電力量、
:加入者kの取引費用)
【請求項8】
情報取得部によって所定のデータベースから複数の加入者各々の所定の課金期間の間の消費電力量および生産電力量を取得するステップ、
購入量算出部によって前記複数の加入者各々が前記複数の加入者のうち少なくとも一人の他の加入者から前記消費電力量のうち一部を購入する量である購入量を算出するステップ、
購入量電気料金算出部によって前記複数の加入者各々が前記購入量を通じて節減する電気料金および取引費用に基づいて、前記購入量に対する購入量電気料金を算出するステップ、および
送信部によって前記購入量および前記購入量電気料金を前記複数の加入者各々の装置に送信するステップを含み、
前記消費電力量および生産電力量を取得するステップは、前記所定の課金期間が未来の期間を含む場合、前記所定の課金期間の以前課金期間の情報および外部環境情報に基づいて、前記消費電力量および前記生産電力量を推定することを特徴とする電力取引仲介方法。
【請求項9】
情報取得部によって所定のデータベースから複数の加入者各々の所定の課金期間の間の消費電力量および生産電力量を取得するステップ、
購入量算出部によって前記複数の加入者各々が前記複数の加入者のうち少なくとも一人の他の加入者から前記消費電力量のうち一部を購入する量である購入量を算出するステップ、
購入量電気料金算出部によって前記複数の加入者各々が前記購入量を通じて節減する電気料金および取引費用に基づいて、前記購入量に対する購入量電気料金を算出するステップ
送信部によって前記購入量および前記購入量電気料金を前記複数の加入者各々の装置に送信するステップ
取引生産量算出部によって前記複数の加入者各々の前記生産電力量の総和に対する前記複数の加入者各々の前記購入量の総和の割合を計算するステップ、および
前記取引生産量算出部によって前記複数の加入者各々の生産電力量に前記割合を乗じて取引生産量を算出するステップを含むことを特徴とする電力取引仲介方法。
【請求項10】
前記送信部によって前記複数の加入者各々に対して前記購入量、前記購入量電気料金および前記取引生産量を課金部に送信するステップをさらに含むことを特徴とする、請求項に記載の電力取引仲介方法。
【請求項11】
前記課金部は、前記電力取引仲介装置内に存在するか、またはネットワークを介して連結された外部装置に存在することを特徴とする、請求項10に記載の電力取引仲介方法。
【請求項12】
情報取得部によって所定のデータベースから複数の加入者各々の所定の課金期間の間の消費電力量および生産電力量を取得するステップ、
購入量算出部によって前記複数の加入者各々が前記複数の加入者のうち少なくとも一人の他の加入者から前記消費電力量のうち一部を購入する量である購入量を算出するステップ、
購入量電気料金算出部によって前記複数の加入者各々が前記購入量を通じて節減する電気料金および取引費用に基づいて、前記購入量に対する購入量電気料金を算出するステップ、および
送信部によって前記購入量および前記購入量電気料金を前記複数の加入者各々の装置に送信するステップを含み、
前記購入量は、下記の式によって決定されることを特徴とする電力取引仲介方法。
ただし、
(ここで:
(D):加入者kの消費電力量Dに対する電気料金関数、
:加入者kの取引費用、
argmin(f(x)):関数f(x)を最小値に作るためのx値を求める関数、
:加入者kの購入量、
:加入者kの生産電力量、
:加入者kの消費電力量)
【請求項13】
情報取得部によって所定のデータベースから複数の加入者各々の所定の課金期間の間の消費電力量および生産電力量を取得するステップ、
購入量算出部によって前記複数の加入者各々が前記複数の加入者のうち少なくとも一人の他の加入者から前記消費電力量のうち一部を購入する量である購入量を算出するステップ、
購入量電気料金算出部によって前記複数の加入者各々が前記購入量を通じて節減する電気料金および取引費用に基づいて、前記購入量に対する購入量電気料金を算出するステップ、および
送信部によって前記購入量および前記購入量電気料金を前記複数の加入者各々の装置に送信するステップを含み、
前記購入量電気料金は、前記複数の加入者各々が前記購入量を通じて節減する電気料金から取引費用を引いた費用の総和を、前記購入量の総和で割ったものであることを特徴とする電力取引仲介方法。
【請求項14】
情報取得部によって所定のデータベースから複数の加入者各々の所定の課金期間の間の消費電力量および生産電力量を取得するステップ、
購入量算出部によって前記複数の加入者各々が前記複数の加入者のうち少なくとも一人の他の加入者から前記消費電力量のうち一部を購入する量である購入量を算出するステップ、
購入量電気料金算出部によって前記複数の加入者各々が前記購入量を通じて節減する電気料金および取引費用に基づいて、前記購入量に対する購入量電気料金を算出するステップ、および
送信部によって前記購入量および前記購入量電気料金を前記複数の加入者各々の装置に送信するステップを含み、
前記購入量電気料金は、下記の式によって決定されることを特徴とする電力取引仲介方法。
(ここで:
(D):加入者kの消費電力量Dに対する電気料金関数、
:算出された加入者kの購入量、
:加入者kの消費電力量、
:加入者kの取引費用)
【請求項15】
コンピュータに、請求項14のいずれか1項に記載の方法を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力取引仲介方法および装置に関し、より詳しくは、加入者が自身の消費電力量のうち一部を他の加入者から購入できるように、最適な購入量および購入量電気料金を算出する電力取引仲介装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
世界的に太陽光および電気バッテリーなどのような分散発電資源が速い速度で広がっている。家庭あるいは建物単位で分散発電資源の生産電力量が発生する場合、従来は電力会社が消費電力量に応じた電気料金から生産電力量に応じた電気料金を引いた金額に相殺精算処理をした。すなわち、電力販売会社は、所定の課金期間の間電力網から消費者に流入された電力量から、同一期間の間消費者から電力網に流入された電力量だけ差し引きして精算した。
【0003】
最近では個人間(P2P:Peer−to−Peer)電力取引が許容されているため、個人たちは個人間に相互取引契約を結んで余剰電力を取引することができるが、個人たちが直接に相互間の利益を極大化する取引相手および取引量を算定するには困難がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上述した技術的問題に対応するために導き出されたものであり、本発明の目的は、従来技術における限界と短所によって発生する様々な問題点を実質的に補完できるものとして、加入者が自身の消費電力量のうち一部を他の加入者から購入できるように、最適な購入量および購入量電気料金を算出する電力取引仲介装置およびその方法を提供することにあり、前記方法を実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を提供することにある。
【0005】
なお、本研究は、2016年度産業通商資源部(MOTIE)と韓国エネルギー技術評価院(KETEP)の支援を受けて遂行した研究課題である(No.20161210200410)。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態によれば、電力取引仲介方法は、情報取得部によって所定のデータベースから複数の加入者各々の所定の課金期間の間の消費電力量および生産電力量を取得するステップ、購入量算出部によって前記複数の加入者各々が前記複数の加入者のうち少なくとも一人の他の加入者から前記消費電力量のうち一部を購入する量である購入量を算出するステップ、購入量電気料金算出部によって前記複数の加入者各々が前記購入量を通じて節減する電気料金および取引費用に基づいて、前記購入量に対する購入量電気料金を算出するステップ、および送信部によって前記購入量および前記購入量電気料金を前記複数の加入者各々の装置に送信するステップを含む。
【0007】
本発明の一実施形態によれば、前記消費電力量および生産電力量を取得するステップは、前記所定の課金期間が未来の期間を含む場合、前記所定の課金期間の以前課金期間の情報および外部環境情報に基づいて、前記消費電力量および前記生産電力量を推定する。
【0008】
本発明の一実施形態によれば、取引生産量算出部によって前記複数の加入者各々の前記生産電力量の総和に対する前記複数の加入者各々の前記購入量の総和の割合を計算するステップ、および前記取引生産量算出部によって前記複数の加入者各々の生産電力量に前記割合を乗じて実際に取引された生産量を算出するステップをさらに含む。
【0009】
本発明の一実施形態によれば、前記送信部によって前記複数の加入者各々に対して前記購入量、前記購入量電気料金および前記取引生産量を課金部に送信するステップをさらに含む。
【0010】
本発明の一実施形態によれば、前記課金部は、前記電力取引仲介装置内に存在するか、またはネットワークを介して連結された外部装置に存在する。
【0011】
本発明の一実施形態によれば、前記購入量を算出するステップは、前記複数の加入者各々が前記購入量を通じて節減する電気料金から取引費用を引いた費用の総和が最大になる、前記複数の加入者各々の前記購入量を算出する。
【0012】
本発明の一実施形態によれば、前記購入量は下記の式によって決定される。
ただし、
(ここで:
(D):加入者kの消費電力量Dに対する電気料金関数、
:加入者kの取引費用、
argmin(f(x)):関数f(x)を最小値に作るためのx値を求める関数、
:加入者kの購入量、
:加入者kの生産電力量、
:加入者kの消費電力量)
【0013】
本発明の一実施形態によれば、前記購入量電気料金は、前記複数の加入者各々が前記購入量を通じて節減する電気料金から取引費用を引いた費用の総和を、前記購入量の総和で割ったものである。
【0014】
本発明の一実施形態によれば、前記購入量電気料金は下記の式によって決定される。
(ここで:
(D):加入者kの消費電力量Dに対する電気料金関数、
:算出された加入者kの購入量、
:加入者kの消費電力量、
:加入者kの取引費用)
【0015】
また、本発明の一実施形態によれば、前記方法を実行するためのプログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体を含む。
【0016】
また、本発明の一実施形態によれば、電力取引仲介装置は、所定のデータベースから複数の加入者各々の所定の課金期間の間の消費電力量および生産電力量を取得する情報取得部、前記複数の加入者各々が前記複数の加入者のうち少なくとも一人の加入者から前記消費電力量のうち一部を購入するための購入量を算出する購入量算出部、前記複数の加入者各々が前記購入量を通じて節減する電気料金および取引費用に基づいて、前記購入量に対する購入量電気料金を算出する購入量電気料金算出部、および前記購入量および前記購入量電気料金を前記複数の加入者各々の装置に送信する送信部を含む。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、加入者が自身の消費電力量のうち一部を他の加入者から購入できるように、最適な購入量および購入量電気料金を算出する電力取引仲介装置および方法を提供することによって、個人間の電力取引を活性化するためのシステムを構築する。
【0018】
電力取引仲介装置が提供した最適な購入量および購入量電気料金に基づいて、加入者は他の加入者からの電力購入可否を合理的で効率的に判断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態に係る電力取引仲介システムを示す図である。
図2】本発明の一実施形態に係る電力取引仲介装置のブロック図である。
図3】本発明の一実施形態に係る電力取引仲介方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面を参照して本発明の好ましい実施形態について詳しく説明する。図面における同一の参照符号は同一の構成要素を指し示し、図面上における各構成要素の大きさは説明の明瞭性のために誇張されることがある。
【0021】
図1は、本発明の一実施形態に係る電力取引仲介システムを示す図である。
電力取引仲介システムは、電力取引仲介装置110、電力取引に参加する複数の加入者、電力会社、および電力会社から電力が供給される電力網を含む。
【0022】
複数の加入者各々は、所定の課金期間の間電力を消費または生産する。宅内に設けられたスマートメータなどの測定装置(図示せず)は、所定の課金期間の間、電力網から加入者に流入された電力量である消費電力量と、加入者から電力網に流入された電力量である生産電力量とを測定する。加入者iの消費電力量および生産電力量をそれぞれD、Sと定義する。測定装置は、複数の加入者各々の消費電力量および生産電力量をサーバに送信して、所定のデータベースに記録されるようにする。サーバおよび所定のデータベースは、電力会社、仲介事業者および第三者を含む様々な運営主体によって運営できることは当業者に明らかなことである。
【0023】
電力取引仲介装置110は、前記所定のデータベースから取得した加入者各々の消費電力量および生産電力量に基づいて、加入者が自身の消費電力量のうち一部を他の加入者から購入できるように最適な購入量および購入量電気料金を算出する。電力取引仲介装置110は、加入者間に電力取引を仲介する仲介事業者によって運営される。
【0024】
電力取引仲介装置110は、算出された購入量および購入量電気料金を前記複数の加入者各々が保有した装置に送信する。
【0025】
加入者は、前記購入量および前記購入量電気料金に基づいて、電力取引に参加するか否かを判断する。
【0026】
本発明の一実施形態によれば、電力取引が行われた場合、電力会社は電力会社から購入した消費電力量に対して課金し、仲介事業者が加入者間に取引した購入量および取引生産量に基づいて取引料金を精算する。取引生産量は、複数の加入者の生産電力量のうち実際に取引された生産電力量を意味する。取引生産量は、複数の加入者各々の前記生産電力量の総和に対する複数の加入者各々の前記購入量の総和の割合を計算し、複数の加入者各々の生産電力量に前記割合を乗じて算出される。
【0027】
また、本発明の他の実施形態によれば、電力取引仲介装置110が前記購入量、前記購入量電気料金および前記取引生産量を電力会社に通知することによって、電力会社が電力会社から購入した消費電力量、加入者間に取引した購入量および取引生産量に基づいて加入者に課金する。
【0028】
図2は、本発明の一実施形態に係る電力取引仲介装置のブロック図である。
本発明の一実施形態に係る電力取引仲介装置200は、情報取得部210、購入量算出部230、購入量電気料金算出部250および送信部270を含む図2における電力取引仲介装置200は、図1における電力取引仲介装置110に対応する。
【0029】
情報取得部210は、所定のデータベースから複数の加入者各々の所定の課金期間の間の消費電力量および生産電力量を取得する。所定のデータベースは、電力会社、仲介事業者および第三者を含む様々な運営主体によって運営できることは当業者に明らかなことである。
【0030】
前記消費電力量および前記生産電力量は、宅内に設けられたスマートメータなどの測定装置(図示せず)によって測定され、前記所定のデータベースに記録される。前記測定装置は、所定の課金期間の間、電力網から加入者に流入された電力量である消費電力量と、加入者から電力網に流入された電力量である生産電力量とを測定する。加入者iの消費電力量および生産電力量をそれぞれD、Sと定義する。
【0031】
情報取得部210は、前記所定の課金期間が未来の期間を含む場合、前記所定の課金期間の以前課金期間の情報および外部環境情報に基づいて、前記消費電力量および前記生産電力量を推定する。外部環境情報は温度および湿度を含むが、その他の環境変数が外部環境情報に含まれてもよいことは当業者に明らかなことである。前記所定課金期間の間の前記消費電力量が課金額を決定するため、前記所定の課金期間のうち一部期間が到来していない場合、情報取得部210は、前記所定の課金期間の以前課金期間の情報および外部環境情報に基づいて、前記消費電力量および前記生産電力量を推定する。
【0032】
購入量算出部230は、前記複数の加入者各々が前記複数の加入者のうち少なくとも一人の加入者から前記消費電力量のうち一部を購入するための購入量を算出する。
【0033】
購入量算出部230は、前記複数の加入者各々が前記購入量を通じて節減する電気料金から取引費用を引いた費用の総和が最大になる、前記複数の加入者各々の前記購入量を算出する。本発明の一実施形態に係る購入量算出部230は、複数の加入者各々の前記購入量
を数式1によって決定する。購入量算出部230は、数式1を満たす、複数の加入者各々の最適な購入量
を算出する。
ただし、
(ここで:
(D):加入者kの消費電力量Dに対する電気料金関数、
:加入者kの取引費用、
argmin(f(x)):関数f(x)を最小値に作るためのx値を求める関数、
:加入者kの購入量、
:加入者kの生産電力量、
:加入者kの消費電力量)
【0034】
下記の数式2の分子の部分を参照すれば、数式2の分子の部分は、加入者kの消費電力量に応じた電気料金から、加入者kの加入者間購入量を除いた消費電力量に応じた電気料金および取引費用を除いた金額であり、加入者kが前記購入量を通じて節減する電気料金を意味する。加入者各々の最適購入量は複数の加入者各々が節減する電気料金の総和が最大になるように算出し、数式1はこれを数式で示したものである。数式1は、数式2の固定値C(D)を除き、残りの負数の部分が最小化される式を示したものである。加入者kの購入量は他加入者の生産電力量の総和を超えず、複数の加入者の購入量の総和は複数の加入者の生産電力量の総和を越えない。また、加入者kの購入量は加入者kの消費電力量を越えない。
【0035】
前述したように、前記所定の課金期間が未来の期間を含めて、情報取得部210が前記消費電力量および前記生産電力量を推定した場合、C(D)関数は、推定された消費電力量に基づいて電力価格を算出する。
【0036】
数式1は、ラグランジュ乗数法(Lagrange multiplier method)のような最適化技法を活用して解決することができるが、特定の最適化技法に制限されないことは当業者に明らかなことである。
【0037】
購入量電気料金算出部250は、前記複数の加入者各々が前記購入量を通じて節減する電気料金および取引費用に基づいて、前記購入量に対する購入量電気料金を算出する。
【0038】
購入量電気料金算出部250は、前記複数の加入者各々が前記購入量を通じて節減する電気料金から取引費用を引いた費用の総和を、前記購入量の総和で分けて前記購入量電気料金を算出する。本発明の一実施形態に係る購入量電気料金算出部250は、前記購入量電気料金を数式2によって決定する。
(ここで:
(D):加入者kの消費電力量Dに対する電気料金関数、
:算出された加入者kの購入量、
:加入者kの消費電力量、
:加入者kの取引費用)
【0039】
数式2の分子は複数の加入者各々が前記購入量を通じて節減する電気料金から取引費用を引いた費用の総和を意味し、分母は前記複数の加入者各々の購入量の総和を意味する。数式2により、購入量電気料金算出部250は、購入量単位当たりの購入量電気料金を算出する。
【0040】
電力取引仲介装置200は取引生産量算出部をさらに含む。取引生産量算出部は、複数の加入者の生産電力量のうち実際に取引された生産量を算出する。取引生産量算出部は、複数の加入者各々の前記生産電力量の総和に対する複数の加入者各々の前記購入量の総和の割合を計算し、複数の加入者各々の生産電力量に前記割合を乗じて、複数の加入者各々の取引生産量を算出する。
【0041】
送信部270は、前記購入量および前記購入量電気料金を前記複数の加入者各々の装置に送信する。前記複数の加入者各々は、前記購入量および前記購入量電気料金に基づいて、電力取引に参加するか否かを判断する。
【0042】
送信部270は、前記複数の加入者各々に対して前記購入量、前記購入量電気料金および前記取引生産量を課金部に送信する。課金部は、前記電力取引仲介装置内に存在するか、またはネットワークを介して連結された外部装置に存在する。
【0043】
本発明の一実施形態によれば、電力会社は、前記課金部から取得した前記購入量、前記購入量電気料金および前記取引生産量に基づいて、電力会社から購入した消費電力量および加入者間に購入/販売した電力量に対して精算して課金する。
【0044】
本発明の他の実施形態によれば、電力会社は電力会社から購入した消費電力量に対して課金し、仲介事業者は前記課金部から取得した前記購入量、前記購入量電気料金および前記取引生産量に基づいて取引料金を精算する。
【0045】
図3は、本発明の一実施形態に係る電力取引仲介方法のフローチャートである。
【0046】
ステップ310において、電力取引仲介装置200は、情報取得部によって所定のデータベースから複数の加入者各々の所定の課金期間の間の消費電力量および生産電力量を取得する。
【0047】
ステップ320において、電力取引仲介装置200は、購入量算出部によって前記複数の加入者各々が前記複数の加入者のうち少なくとも一人の加入者から前記消費電力量のうち一部を購入するための購入量を算出する。電力取引仲介装置200は、購入量算出部によって前記所定の課金期間が未来の期間を含む場合、前記所定の課金期間の以前課金期間の情報および外部環境情報に基づいて、前記消費電力量および前記生産電力量を推定する。外部環境情報は温度および湿度を含むが、その他の環境変数が外部環境情報に含まれてもよいことは当業者に明らかなことである。電力取引仲介装置200は、購入量算出部によって前記複数の加入者各々が前記購入量を通じて節減する電気料金から取引費用を引いた費用の総和が最大になる、前記複数の加入者各々の前記購入量を算出する。
【0048】
ステップ330において、電力取引仲介装置200は、購入量電気料金算出部によって前記複数の加入者各々が前記購入量を通じて節減する電気料金および取引費用に基づいて、前記購入量に対する購入量電気料金を算出する。前記購入量電気料金は、前記複数の加入者各々が前記購入量を通じて節減する電気料金から取引費用を引いた費用の総和を、前記購入量の総和で割ったものである。
【0049】
本発明の一実施形態に係る電力取引仲介方法は、取引生産量算出部によって前記複数の加入者各々の前記生産電力量の総和に対する前記複数の加入者各々の前記購入量の総和の割合を計算するステップ(図示せず)、および前記取引生産量算出部によって前記複数の加入者各々の生産電力量に前記割合を乗じて実際に取引された生産量を算出するステップ(図示せず)をさらに含む。
【0050】
ステップ340において、電力取引仲介装置200は、送信部によって前記購入量および前記購入量電気料金を前記複数の加入者各々の装置に送信する。
【0051】
電力取引仲介装置200は、前記送信部によって前記複数の加入者各々に対して前記購入量、前記購入量電気料金および前記取引生産量を課金部に送信するステップをさらに含む。前記課金部は、前記電力取引仲介装置内に存在するか、またはネットワークを介して連結された外部装置に存在する。
【0052】
以上、本発明の好ましい実施形態が詳細に記述されたが、本発明の範囲はこれに限定されず、様々な変形および均等な他の実施形態が可能である。よって、本発明の真の技術的な保護範囲は添付された特許請求の範囲によって定められなければならない。
【0053】
例えば、本発明の例示的な実施形態に係る装置は、図示されたような装置各々のユニットにカップリングされたバス、前記バスにカップリングされた少なくとも一つのプロセッサを含むことができ、命令、受信されたメッセージまたは生成されたメッセージを格納するために前記バスにカップリングされ、前述したような命令を実行するための少なくとも一つのプロセッサにカップリングされたメモリを含むことができる。
【0054】
また、本発明に係るシステムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体にコンピュータ読み取り可能なプログラムとして実現することができる。コンピュータ読み取り可能な記録媒体は、コンピュータシステムによって読み取り可能なデータが格納される全ての記録装置を含む。前記コンピュータ読み取り可能な記録媒体は、マグネチック格納媒体(例えば、ROM、フロッピーディスク、ハードディスクなど)および光学的な読取媒体(例えば、CD−ROM、DVDなど)を含む。また、コンピュータ読み取り可能な記録媒体は、ネットワークを介して連結されたコンピュータシステムに分散し、分散方式でコンピュータ読み取り可能なプログラムが格納し実行される。
【符号の説明】
【0055】
200 電力取引仲介装置
210 情報取得部
230 購入量算出部
250 購入量電気料金算出部
270 送信部
図1
図2
図3