特許第6703591号(P6703591)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6703591
(24)【登録日】2020年5月12日
(45)【発行日】2020年6月3日
(54)【発明の名称】ベルトテンショナー
(51)【国際特許分類】
   B60R 22/46 20060101AFI20200525BHJP
【FI】
   B60R22/46 142
【請求項の数】9
【外国語出願】
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2018-234165(P2018-234165)
(22)【出願日】2018年12月14日
(62)【分割の表示】特願2016-517185(P2016-517185)の分割
【原出願日】2014年5月27日
(65)【公開番号】特開2019-64587(P2019-64587A)
(43)【公開日】2019年4月25日
【審査請求日】2018年12月20日
(31)【優先権主張番号】102013009393.7
(32)【優先日】2013年6月5日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】504122767
【氏名又は名称】ティーアールダブリュー・オートモーティブ・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【弁理士】
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100093089
【弁理士】
【氏名又は名称】佐久間 滋
(72)【発明者】
【氏名】ランドベック,アドリアン
(72)【発明者】
【氏名】ホフマン,ベルント
(72)【発明者】
【氏名】バイトマン,アレクサンデル
【審査官】 飯島 尚郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−126311(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/134567(WO,A1)
【文献】 特開平05−193445(JP,A)
【文献】 特開2005−280667(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0169105(US,A1)
【文献】 特開2010−260426(JP,A)
【文献】 特開2013−001153(JP,A)
【文献】 特開平07−251709(JP,A)
【文献】 独国特許出願公開第102008032371(DE,A1)
【文献】 特表2007−522030(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 22/00−22/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
細長い円筒状の圧力シリンダー(12)と、インフレ−タ(16)からの加圧した流体により負荷が加えられるようにされ、かつこのため、緊張方向(S)に動き得るようにされた、圧力シリンダー(12)内にて長手方向に可動に支持されたピストン(18)と、該ピストン(18)と相互作用するスラスト手段(20)と、圧力シリンダー(12)の内側(38)に設けられたストッパー(24)であって、ピストン(18)が圧力シリンダー(12)を密封するようにした、末端位置にて、ピストン(18)が緊張方向(S)に向けて隣接することができる、前記ストッパー(24)とを備える、シートベルト用の回転式ベルトテンショナー(10)であって、
前記ストッパー(24)は、塑性変形可能な材料にて出来ており、かつ末端位置にてピストン(18)により塑性変形されるようにし、このため、ピストンは、圧力シリンダー(12)の内側と密封的に接触するようにした、前記回転式テンショナーにおいて、
前記ピストン(18)は、ストッパー(24)と相互作用する減速要素(26)と、該減速要素(26)の前記インフレータ(16)側に隣接して設けられて圧力シリンダー(12)を密封する有底筒形部形状の密封要素(28)とを備え、
前記減速要素(26)は、後側部から突き出して密封要素(28)の有底筒形部内に伸長する伸長部(32)を含むことを特徴とする、ベルトテンショナー。
【請求項2】
請求項1に記載のベルトテンショナーにおいて、ストッパー(24)は、圧力シリンダーの直径の収縮部により、周方向を向いた周縁の収縮部により形成されることを特徴とする、ベルトテンショナー。
【請求項3】
請求項2に記載のベルトテンショナーにおいて、収縮部は、圧力シリンダー(12)の内側(38)にて肩部又は傾斜部を形成することを特徴とする、ベルトテンショナー。
【請求項4】
請求項1から3の何れかの項に記載のベルトテンショナーにおいて、ピストン(18)は、緊張方向(S)に向けて見た前端にて、周方向を向いた周縁であり、かつストッパー(24)と相互作用する切刃部(30)を含むことを特徴とする、ベルトテンショナー。
【請求項5】
請求項1から4の何れかの項に記載のベルトテンショナーにおいて、ピストン(18)の直径は、緊張方向(S)と反対方向に減少し、ピストンは、少なくとも部分的にテーパーが付けられることを特徴とする、ベルトテンショナー。
【請求項6】
請求項1から5の何れかに記載のベルトテンショナーにおいて、
減速要素(26)及び密封要素(28)は接着剤フォースクロージャー及び/又はフォームクロージャーにより相互に接続されることを特徴とする、ベルトテンショナー。
【請求項7】
請求項1から6の何れかの項に記載のベルトテンショナーにおいて、ピストン(18)は、前記スラスト手段(20)に対する凸型又は部分球形の接触面(36)を含むことを特徴とする、ベルトテンショナー。
【請求項8】
請求項7に記載のベルトテンショナーにおいて、前記スラスト手段(20)は、ベルトリールを駆動する歯車(22)と相互作用する歯付きラック又は可撓性のスラストロッドであることを特徴とする、ベルトテンショナー。
【請求項9】
請求項1から8の何れかの項に記載のベルトテンショナーにおいて、圧力シリンダー(12)と流体的に連通しかつ流体を提供するインフレータ(16)が設けられることを特徴とする、ベルトテンショナー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、細長く、かつ好ましくは、円筒状の圧力シリンダーと、加圧した流体により負荷が加えられるようにされ、かつこのため、緊張方向に動き得るようにされた、長手方向に向けて圧力シリンダー内にて可動に支持されたピストンと、該ピストンと相互作用するスラスト手段と、圧力シリンダーの内側に設けられたストッパーであって、ピストンが圧力シリンダーを密封するようにした末端位置にてピストンが緊張方向に当接することができる上記ストッパーとを備える、シートベルト用のベルトテンショナー、特に、回転式テンショナーに関する。
【背景技術】
【0002】
先行技術から、インフレータを備えるベルトテンショナーが知られており、該テンショナーは、圧力シリンダーを含み、該圧力シリンダー内にて長手方向に向けて可動に支持されたピストンは、圧力流体により緊張方向に動くことができる。ベルトリールと相互作用するスラスト手段、例えば、歯付きラックは、ピストンにより押しのけられ、このため、ベルトリールが緊張方向に回転されるようにする。圧力シリンダーの内側にはストッパーが設けられており、該ストッパーに対してピストンは、緊張方向に向けて当接し、このため、圧力シリンダー外に動くことはできない。ストッパー及び/またはピスンは、ピストンがストッパーに当接するとき、圧力シリンダーが密封されるような構造とされている。このことは、圧力流体、特に、インフレータからの熱ガスが圧力シリンダーから逃げるのを確実に防止することになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、圧力シリンダーの密封効果を改良しかつストッパーに対するピストンの当接する挙動を改良する冒頭記載の型式のベルトテンショナーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この目的を実現するため、細長く、かつ好ましくは、円筒状の圧力シリンダーと、加圧した流体により負荷が加えられるようにされ、かつこのため、緊張方向に動き得るようにされた、長手方向に向けて圧力シリンダー内にて可動に支持されたピストンと、該ピストンと相互作用するスラスト手段と、圧力シリンダーの内側に設けられたストッパーであって、ピストンが圧力シリンダーを密封するようにした末端位置にてピストンが緊張方向に当接することができる上記ストッパーとを備える、シートベルト用のベルトテンショナー、特に、回転式テンショナーが提供される。本発明に従って、塑性変形可能な材料から成り、末端位置にてピストンにより塑性変形されるようにし、このため、ピストンは圧力シリンダーの内側と密封的に接触するようにしたストッパーが提供される。
【0005】
先行技術から既知のベルトテンショナーにおいて、ピストンが末端位置まで動くとき、ストッパーは変形されない。密封は、ピストンがストッパーに当接することにより行われ、この場合、ピストン及びストッパーの双方は確実な密封効果が得られるよう最小の製造公差にて製造しなければならない。これと代替的に、圧力シリンダー内の上昇する圧力により変形される追加的な密封要素を配置することができ、該密封要素は、周方向に向けて圧力シリンダーの内側にて周縁において隣接するようにする。本発明に従って提供されたストッパーの変形は、ピストンとストッパーとの間の密封作用を改良することになり,それは、ストッパーが変形することができ、ピストンは圧力シリンダーの内側と密封的に接触するからである。本発明に従ったベルトテンショナーは、更に、ピストンがストッパーを変形させることによってよりゆっくりと減速することができ、該ピストンの減速する挙
動はストッパー、特に、ピストンの材料を選ぶことにより、また、ストッパーの形状を選ぶことにより影響を与えることができるという利点を提供する。
【0006】
ストッパーは、例えば、圧力シリンダーの直径の収縮部により形成することができ、このため、ストッパーを簡単な手段により圧力シリンダー内に形成することを可能にする。ストッパーは、周方向を向いた周縁の収縮部により特別に形成し、ピストンは、周方向に向けて圧力シリンダーの内側に対して完全に周縁において隣接し、このため、適正な密封作用を実現することができる。更に、ピストンは、ピストンの片側だけの減速に起因して生ずるであろう傾動が防止される。
【0007】
ピストンの減速性能は、ストッパーの幾何学的形態より影響を与えることができる。この目的のため、収縮部は、ショルダー部を有することができるが、減速過程の開始時から多量の材料を変形させなければならないから、該ショルダー部によりピストンは急激に減速される。1つの代替例として、該収縮部は、圧力シリンダーの内側の傾斜部により形成してもよいが、押しのけるべき材料の量は停止距離の増加と共に増すから、停止距離の増加と共に、減速力の増大は遅くなる。
【0008】
該ピストンは、例えば、ストッパーの材料を押しのけることができる。しかし、該ピストンは、掻き取り(chip)によりストッパーの材料を変形させることも考えられ、この場合、特に分離しない小片部(chip)が形成され、このため、ストッパーの残留材料が圧力シリンダーから落ちることはない。このため、ピストンは、特に、緊張方向に向けた前端にてストッパーと相互作用する切刃部を含む。
【0009】
上記の切刃部は、ストッパーの領域内にて周方向に向けてのみ提供することができる。好ましくは、該切刃部は、ピストンの周方向に向けて周縁に形成にされ、このため、圧力シリンダー内のピストンの向きと独立的に切断効果が実現される。
【0010】
ピストンの直径は、例えば、緊張方向と反対方向に向けて減少する。細長い圧力シリンダーは、一部分、湾曲し又は円弧状の形状となるような構造とすることもできる。連続的に一定の直径を有するピストンは、圧力シリンダーの曲率に依存して、曲り部にて動かなる可能性があり、このため、ピストン又は圧力シリンダーを変形させることによってのみ更なる動きが可能である。ピストンは、緊張方向と反対の方向に向けて減少する直径を有するから、ストッパーを変形させるピストンの先端部分のみが圧力シリンダーの内側に隣接することが保証される。ピストンの直径の減少は、ピストンの後部領域は、圧力シリンダーの内側から全体的に、すなわち、圧力シリンダーの湾曲した部分内にても十分な距離を有し、このため、ピストンは、圧力区画室の曲率部を通じてさえ動くことが可能である。
【0011】
ピストンは、例えば、一体的に形成するとことができる。しかし、該ピストンは、多数部品から成る構造とし、かつストッパーと相互作用する減速要素と、及び減速要素の下流にて緊張方向に向けて設けられた密封要素とを含み、該密封要素は圧力シリンダーを密封するようにする。この実施の形態において、減速要素は、ストッパーを変形させ得るようにした硬質な材料にて出来たものであることが好ましい。他方、密封要素は、変形により圧力シリンダーの内側に隣接することのできる柔軟な材料にて出来たものである。
【0012】
好ましくは、減速要素及び密封要素は、接着剤フォースクロージャー及び/又はフォームクロージャーにより接続し、これらが互いに分離できないようにし、また、ストッパーが変形したとき、特に、ピントンが終端位置に到達したとき、圧力シリンダーが密封要素により密封されるようにする。
【0013】
減速要素及び密封要素を互いに確実に接続するため、減速要素は、例えば、好ましくは、後側部にて突き出しかつ密封要素内に伸びる伸長部を備えている。該密封要素は、該伸長部が伸びる、伸長部に相応する開口を含む。該開口は、伸長部の肥厚部が係合するアンダーカット部を含むことができる。
【0014】
例えば、該ピストンは、スラスト媒体に対する特別な凸型又は部分球形の接触面を備えるものとする。このようにして、圧力部材の形状に関係なく、ピストンとスラスト媒体との間に確実な接触が形成される。曲率のため、スラスト媒体は、ピストンと接触し、このため、スラスト力は、常に、圧力シリンダーの長手方向に向けてスラスト媒体に作用する。
【0015】
該スラスト媒体は、例えば、ベルトリールを駆動する歯車と相互作用する歯付きラック又は可撓性のスラストロッドの形態をしている。かかる可撓性のスラストロッドは、例えば、歯車を駆動する歯の浮き出しプロファイルを含む。可撓性のスラストロッドの材料に依存して、かかるスラストロッドは、何らの浮き出しプロファイル無く製造することができ、この場合、歯車の歯は、その押し出す間、スラスト手段内に係合する。
【0016】
ピストンを駆動するため、圧力シリンダーと流体的に連通しかつ流体を提供する、例えば、インフレータが提供される。
【0017】
更なる利点及び特徴は、添付図面と組み合わせて以下の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】最初の状態にて長手方向断面図による本発明に従ったベルトテンショナーを示す。
図2】緊張作用後の図1のベルトテンショナーの詳細図を示す。
図3図2のベルトテンショナーの詳細図を示す。
図4】緊張作用の終了直前の本発明に従ったベルトテンショナーの第二の実施の形態を示す。
図5】緊張作用の完了後の図4のベルトテンショナーを示す。・。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1及び図2において、インフレータ16がダクト14を介して接続される細長い円筒状の圧力シリンダー12を備える、車用のベルトテンショナー10が図示されている。圧力シリンダー12内にて、緊張方向Sに向けて可動に支持されたピストン18と、歯車22と相互作用するスラスト手段20とが設けられており、この場合、スラストロッドがピストン18の前方にて緊張方向Sに向けてかつピストンに隣接する位置に配置されている。
【0020】
緊張方向Sに向けて圧力シリンダー12の前端には、緊張方向Sに向けたピストン18の動きを規制するストッパー24が設けられている。該ストッパー24は、圧力シリンダー12の片側だけの収縮部により形成され、圧力シリンダーの直径は、ピストン18の直径より小さいように減少させてある。
【0021】
特に図3から明らかであるように、ピストン18は、二つの部分から成る構造とされており、減速要素26と、緊張方向Sに向けてその下流に配置された密封要素28とを含む。該減速要素26は、硬質な材料にて出来ている。該密封要素28は、柔軟な材料にて出来ている。
【0022】
減速要素26は、図示した実施の形態にてキノコ状の形状をしており、緊張方向Sに向けたその前端にて、ピストン18の最大直径を規定する切刃部30を含む。
【0023】
切刃部30の後方にて緊張方向Sに向けて、ピストン18、特に減速要素26の直径は減少し、減速要素26は、この部分にて緊張方向Sの反対方向に向けて実質的にテーパーが付けられている。
【0024】
後側部にて、減速要素は、密封要素28の凹所34内に伸長する伸長部32を更に含み、このため、これらの要素は、互いに確実に接続される。
【0025】
減速要素26の前側部にて、緊張方向Sに向けて部分的に球形の形状にて突き出すスラスト手段20に対する接触面36が提供されている。
【0026】
図1から明らかであるように、圧力シリンダー12の直径は、ピストン18が圧力シリンダー12内にて自由に動き得るように選ばれ、また、減速要素26は圧力シリンダー内にて支持されている。柔軟な材料にて出来た密封要素28は、僅かに大きい直径を有し、このため、該密封要素は、圧力シリンダー12の下方領域を上側領域に対して図1に関して密封する。
【0027】
インフレータ16から逃げる加圧した流体は、ダクト14を通って圧力シリンダー12内に流れ、これによりピストン18を上昇する圧力により緊張方向Sに向けて動かす。緊張方向Sに向けて動くピストン18は、スラスト手段20を圧力シリンダー12の外に緊張方向Sに向けて押す。該スラスト手段20は、歯車22内に係合しかつ該歯車を回転方向Dに向けて回転させる。歯車22は、図示しないベルトリールに結合されている。該ベルトリールは、回転方向Dに向けて歯車22の回転により回転され、ウェブは、ベルトリールに巻き取られ、又は、ベルトバックルに結合されたケーブルは、巻き取られ、従って、シートベルトは緊張する。
【0028】
ピストン18は、該ピストンが圧力シリンダー12のストッパー24に当接する迄、緊張方向Sに向けて動く。該ストッパー24は、塑性変形可能な材料にて出来ており、このため、該ストッパー24は、ピストン18によって変形され、ピストン18は減速する。更に、圧力シリンダー12は、ストッパー24の変形により更に密封される。このことは、例えば、熱ガスのような、加圧した流体が圧力シリンダー12から車の内部に逃げるのを防止することを確実にする。
【0029】
ストッパー24は、圧力シリンダー12を構成するチューブの塑性的に収縮した部分により特別に形成される。
【0030】
更に、減速要素26の後方に配置された密封要素28は、圧力シリンダー12内の上昇する圧力により減速要素26に押し付けられ、減速要素が変形されて、圧力シリンダー12の内側とピストン18との間を更に密封する。
【0031】
図示した実施の形態において、ストッパー24の材料は、減速要素26の切刃部30を削り取ることにより変形され、小片部40が形成される。切刃部30及びストッパー24の材料は、分離しない小片部40が形成されるように、すなわち、圧力シリンダー12から分離するストッパー24の材料が無いように形成される。
【0032】
スラスト手段20は、プロファイルの無い可撓性のスラストロッドである。該可撓性のスラストロッドは、比較的柔軟な材料にて出来ており、このため、歯車22の歯42は、スラストロッド内に係合し、これにより、スラスト手段20と歯車22とを確実に接続す
る。
【0033】
かかる可撓性のスラストロッドに代えて、上述した浮き出し加工したプロファイルを含むスラストロッド又は剛性な歯付きラックを採用することができる。好ましくは、単一部品から成るスラスト手段が使用されるものとする。
【0034】
上記のベルトテンショナー10の第二の実施の形態が図4及び図5に図示されている。該ベルトテンショナー10の構造は、図1から図3に示したベルトテンショナー10に実質的に相応する。上記の実施の形態と相違して、圧力シリンダー12は、細長であるが、湾曲しかつベルトリールを駆動する歯車22の回りを実質的に伸長する構造とされている。更に、スラスト手段20に対する受け入れチャンバー46が提供され、該受け入れチャンバーは、歯車22の回りにて圧力シリンダー12内に伸長する。
【0035】
この実施の形態においても、ピストン18は、該ピストン18がストッパー24に当接しかつ該ストッパーを変形させる迄、加圧した流体により緊張方向に向けて動かされる。
【0036】
図5から明らかであるように、受け入れチャンバー46は、スラスト手段20、この場合、プロファイルの無い同等の可撓性のスラストロッドを完全に収容し得るような設計とされている。緊張作用の後、スラスト手段は、圧力シリンダー12から完全に離れている。このため、歯車22は、緊張作用の後、スラスト手段20により動かすことができる。
【0037】
圧力シリンダー12が曲がるため、この実施の形態は、ピストン18、特に、減速要素16の直径が緊張方向Sと反対の切刃部30から開始して減少し、単に、切刃部30が圧力シリンダー12の内側38に隣接するようにする。
【0038】
ピストン18の直径が緊張方向と反対の方向に減少することは、ピストン18、特に、切刃部の後方に配置された減速要素26の部分が圧力シリンダー12の湾曲した部分内にて圧力シリンダー12の内側38に隣接しないことを確実にし、かかる隣接する状態となれば、末端位置に到達する前に、圧力シリンダー12内にてピストン18は傾動することになるであろう。
【0039】
図示した双方の実施の形態において、ストッパーは、圧力シリンダー12の壁の片側の収縮部により形成される。しかし、周方向に向けて完全に周縁の収縮部を提供し、これにより、ピストン18がストッパー24に到達したとき、切刃部30によりストッパー24に対し完全に周縁において隣接するようにすることも考えられる。勿論、このことは、先の実施の形態に応用することも可能である。
【0040】
該切刃部30は、ストッパー24の領域内にてのみ提供することも可能である。しかし、該切刃部30は、周方向を向いた周縁の構造とし、常に切刃部30がストッパー24に隣接し、かつピストン18を回転させたとき、該ストッパーを変形させるようにすることもできる。
【0041】
しかし、ピストン18、特に、減速要素は、また、ストッパー24を異なる仕方にて変形させることも可能である。この目的のため、切刃部30は不要である。
【0042】
図示した実施の形態において、ピストン18は、減速要素26と、密封要素28とを含む二つの部分にて形成される。これらの部分は、フォームクロージャー及び/または接着剤フォースクロージャーにより相互に接続し、これらが常に圧力シリンダー12内にて共に動くようにすることができる。しかし、ピストン18を単一部分にて、すなわち、1つの材料にて製造することも可能である。
【0043】
部分的に球形の接触面は、特に、湾曲したシリンダー12を含む、図4及び図5に図示した実施の形態において、ピストン18とスラスト手段20との間にて常に信頼性の高い接触状態が確立され、スラスト手段20に作用する圧力の方向は、常に、圧力シリンダー12の長手方向に伸長するようにするという利点がある。接触面36は、また、異なる構造、例えば、凸型又は平面状の構造を有することも可能である。
【0044】
実施の形態に依存して、接触面は、ピストン18の前面の全体を覆うことができ、又は、単に、図示した実施の形態におけるように、前側部の一部のみを覆うようにしてみよい。
【0045】
ピストン18の減速する特徴は、ストッパー24及び/または収縮部の形状又は幾何学的形態により随意に対応させることができる。
【0046】
直径が漸進的に減少するようにすることも考えられる。
【0047】
更に、圧力シリンダー12の直径は、連続的にテーパーを付け、これにより、押しのけ距離の増加に伴い、ブレーキ性能が向上するようにすることも可能である。
【0048】
しかし、ストッパー24は、例えば、圧力シリンダー12の内側に配置された突起により又はその他の構成要素により異なる仕方にて形成することもできる。
図1
図2
図3
図4
図5