特許第6703595号(P6703595)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6703595
(24)【登録日】2020年5月12日
(45)【発行日】2020年6月3日
(54)【発明の名称】脳血管疾患用治療ペプチド
(51)【国際特許分類】
   A61K 38/08 20190101AFI20200525BHJP
   A61K 38/10 20060101ALI20200525BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20200525BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20200525BHJP
   C07K 7/06 20060101ALN20200525BHJP
   C07K 7/08 20060101ALN20200525BHJP
【FI】
   A61K38/08ZNA
   A61K38/10
   A61P9/10
   A61P25/28
   !C07K7/06
   !C07K7/08
【請求項の数】11
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2018-505510(P2018-505510)
(86)(22)【出願日】2015年4月16日
(65)【公表番号】特表2018-516273(P2018-516273A)
(43)【公表日】2018年6月21日
(86)【国際出願番号】CN2015076747
(87)【国際公開番号】WO2016165102
(87)【国際公開日】20161020
【審査請求日】2018年3月30日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】517361096
【氏名又は名称】プライム・バイオ‐ドラッグ・ディヴェロップメント・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】PRIME BIO‐DRUG DEVELOPMENT LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】リン,チェン‐ルン
【審査官】 菊池 美香
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2000/051624(WO,A1)
【文献】 J Stroke Cerebrovasc Dis., 2014, 23(5), e355-e363
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 38/08
A61K 38/10
A61P 9/10
A61P 25/28
C07K 7/06
C07K 7/08
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペプチドを含む対象体における虚血性神経障害を治療又は改善するための医薬組成物であって、
前記ペプチドは、
1)DEAQETAVSSH(配列番号1)のアミノ酸配列、又は、
2)配列番号1のアミノ酸配列のC末端において、1〜3のアミノ酸付加を含むアミノ酸配列、からなる、医薬組成物。
【請求項2】
前記アミノ酸配列は、配列番号1に対して少なくとも80%、85%、90%、95%、98%、又は、99%、若しくは、それ以上の同一性を有する請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記ペプチドは、1のアミノ酸付加を有する請求項1又は2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記ペプチドは、配列番号1、及び/又は、DEAQETAVSSHEQD(配列番号2)からなる請求項1又は2に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記対象体は、機能不全によって神経系の障害がもたらされる脳血管疾患を有する請求項1〜の何れか一項に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記対象体は、虚血性脳血管障害から選択される脳血管疾患を有する請求項1〜の何れか一項に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記対象体は、脳卒中を有する請求項1〜の何れか一項に記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記虚血性神経障害は、神経細胞を保護することによって治療又は改善される請求項1〜の何れか一項に記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記対象体は、ヒトである請求項1〜の何れか一項に記載の医薬組成物。
【請求項10】
対象体における虚血性神経障害の治療用の薬剤の製造方法であって、
前記薬剤が、
1)DEAQETAVSSH(配列番号1)のアミノ酸配列、又は、
2)配列番号1のアミノ酸配列のC末端において、1〜3のアミノ酸付加を含むアミノ酸配列、からなるペプチドを含み、
前記ペプチドを含んだ薬剤を製造する工程を、含む、方法。
【請求項11】
前記ペプチドは、配列番号1、及び/又は、配列番号2からなる請求項10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、脳血管疾患の治療に関し、特に、ワクシニアウイルスによって炎症をおこしたウサギ皮膚からの抽出物から単離されたペプチドを使用することによって対象体の脳血管疾患を治療又は改善する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
脳血管疾患は、局部的(regional)脳の異常な血液供給によって引き起こされる神経機能損傷である。大半の国々において、すべての死亡原因のトップスリーに入る、脳血管疾患によって、成人の脳損傷が起こり得る。脳血管疾患は、中年及び老齢者の健康を脅かす主要原因であり、大半の国々における中年及び高齢者の死亡又は障害の主要原因である。
【0003】
急性脳血管疾患の一つである脳卒中は、世界人口の死亡の第3の原因であり、種々の疾患のなかで最も高い障害率を誘発する。脳血管疾患は高齢者の生活の質に深刻な影響を与え、患者の家族と社会に対して極めて大きな負担をもたらす可能性がある。それは、又は、若年者においても増加する傾向にある。
【0004】
脳血管疾患は、主として、二つのタイプ、出血性と虚血性、とに分類され、後者が60〜70%であり、最も一般的なタイプの脳血管疾患である。虚血性脳血管疾患の病理的機序を研究し、神経保護として機能する薬剤を探究することが重要である。
【0005】
脳虚血疾患の病理的機序の研究は、1980年代以降、神経科学の分野において最も注目されてきたものの一つであり、これまで、エネルギ代謝、酸中毒、過酸化損傷、興奮性アミノ酸誘発毒性障害、カルシウム過負荷等に関する脳虚血症の理論が提案されており、これらのうちの最後の二つが虚血性神経障害及び死亡において重要な役割を演じている。虚血性脳血管疾患の病理学的基本により、脳虚血症を臨床的に治療するために今日使用されている薬物は、カルシウムイオンアンタゴニスト(ニモジピン)、酸素ラジカルスカベンジャー(VitE、SOD)、ニュートロフィックファクター(神経成長因子、ニュートロフィックファクター)、興奮性アミノ酸アンタゴニスト、抗酸化剤、及び後天性神経障害を改善する薬物を含む。これらの薬物は、様々な作用機序で機能するものであり、治療効果が不確かであるか、もしくは、特異性が低いか、あるいは、深刻な副作用が付随するものであって、従って、未だ臨床的要請を満たすものではない。ピラセタム、フルナリジン、カラン(calan)、銀杏抽出物等といった、脳循環と、代謝と機能を改善するために使用可能な多くの市販の薬物がある。それらはすべてある種の特徴を有するものであるが、脳血管疾患に対するそれらの治療効果は不確かである。虚血性脳血管疾患治療用の新たな薬物の研究と開発が、製剤学及び薬理学において益々重要になってきている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ワクシニアウイルスによって炎症をおこしたウサギ皮膚からの抽出物は、アナルゲシン(analgecine)の商品名で市販されており、これはVanworldPharmaceutical(Rugao)Co. Ltd.によって製造されている。過去の研究証拠は、ワクシニアウイルスの接種によって引き起こされた炎症性ウサギト皮膚からの抽出物は、無痛覚症(analgesia)に対して薬理作用を及ぼすことができることを示している。しかしながら、この作用に寄与するアナルゲシンの活性成分はいまだ報告されていない。従って、この作用に関与する成分に対する洞察を得ることが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明の要旨
一態様において、本発明は、対象体における脳血管疾患を治療又は改善する方法を提供し、この方法は、前記対象体に対して、DEAQETAVSSH(配列認識番号1)に対して少なくとも70%の同一性を有するアミノ酸配列、若しくは、そのバリアント、変異体、誘導体、又は、フラグメントを含む単数又は複数のペプチドを有効量投与する工程を含む。
【0008】
別の態様において、本発明は、配列認識番号1に対して少なくとも70%の同一性を有するアミノ酸配列、若しくは、そのバリアント、変異体、誘導体を含む単数又は複数のペプチドの対象体における脳血管疾患の治療用の薬剤の製造における使用を提供する。
【0009】
一実施態様において、ここに記載される前記脳血管疾患は、機能不全によって神経系の障害をもたらすものである。一特定実施例において、ここに記載の前記脳血管疾患は、虚血性脳血管障害又は出血性脳障害からなるグループから選択される。更に特定の実施例において、前記脳血管疾患は脳卒中である。
【0010】
前記表現「配列認識番号1に対して少なくとも70%の同一性を有する」は、配列認識番号1に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、98%又は99%又はそれ以上の同一性を有するアミノ酸配列を意味する。
【0011】
別の実施態様において、前記ペプチドは、配列認識番号1、及び/又は、DEAQETAVSSHEQD(配列認識番号2)を含む。更に特定の実施例において、前記ペプチドは配列認識番号1、及び/又は、配列認識番号2からなる。
【0012】
様々な実施態様において、前記ペプチドは、少なくとも1つのアミノ酸付加、欠失、及び/又は、置換、好ましくは、1〜5、好ましくは1〜3のアミノ酸付加、欠失、及び/又は、置換を含む。別の実施例において、前記アミノ酸追加、欠失、及び/又は、置換は、C末端、及び/又は、N末端に位置する。
【0013】
更に別の実施態様において、前記疾患は、神経細胞を保護することによって治療又は改善される。
【0014】
特定の実施態様において、前記対象体はヒトである。
【0015】
別の態様において、本発明は、本発明による前記ペプチドをコード化するポリヌクレオチド、当該ポリヌクレオチドを含むベクター、当該ポリヌクレオチド又は当該ベクターを含む宿主細胞に関する。
【0016】
別の態様において、ここに記載の本発明による前記ペプチド、前記ポリヌクレオチド、前記ベクター、又は、前記宿主細胞と、薬学的に許容可能なキャリアとを含む医薬組成物が提供される。
【0017】
本発明は、更に、ここに記載の、前記ペプチド、前記ポリヌクレオチド、前記ベクター、前記宿主細胞、又は、前記医薬組成物の医薬としての使用にも関する。特に、本発明は、配列認識番号1及び配列認識番号2を含む、又は、からなるペプチド組成物、当該組成物を含む薬物組成物、更に、それを使用する方法にも関する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、ワクシニアウイルスの接種によって引き起こされた炎症性ウサギ皮膚からの粗抽出物からポリペプチド/小ペプチドレベル鎮痛剤(analgesic agents)をスクリーニングするのに使用される手順の略図である。
図2図2は、機能ペプチドの同定を例示している。二重荷電イオンm/z772.745のMS/MSスペクトルが図示されている。一例として図示されているアミノ酸配列DEAQETAVSSHEQD(配列認識番号2)は、y及びb-フラグメントイオン列とウサギα1-抗プロテイナーゼのマッチング残基1〜14のMS差から測定されたものである。
図3図3は、種々のpH値でのペプチド5の安定性を図示している。
図4図4は、サンプルのMALDI-TOF MSスペクトルを図示している。
図5図5は、ペプチド5のCD(円偏光二色性)を図示している。
図6図6は、AGC 0.25、0.5、又は、1U/mlでの処理有り、又は処理無しで、24時間H2O2に晒されたPC12細胞の細胞生存を図示している。処理無しとの比較**P<0.01。データは3つの実験からの平均±SDとして表されている。
図7図7は、AGC 1U/ml、又は、ペプチド1(10μg/ml)、ペプチド5(10μg/ml)、或いは、ペプチド1と5との組み合わせ(それぞれ10μg/ml)での、処理有り、又は処理無しで、24時間H2O2に晒されたPC12細胞の細胞生存を図示している。ペプチド1又は5それぞれの使用との比較**P<0.05。データは3つの実験からの平均±SDとして表されている。
図8図8は、L-グルタミン酸処理PC12細胞の細胞生存に対するAGCの作用を図示している。
図9図9は、L-グルタミン酸処理PC12細胞の細胞生存に対するAGC、ペプチド1及びペプチド5の作用を比較している。
図10図10は、AGC 0.25、0.5、又は、1U/mlでの処理有り、又は処理無しで、24時間の、低血糖、低酸素、又は、これら両方の組み合わせの条件下での、PC12細胞の細胞生存を図示している。処理無しとの比較**P<0.01。データは3つの実験からの平均±SDとして表されている。
図11図11は、AGC 1U/ml、又はペプチド1(配列認識番号1)(10μg/ml)、ペプチド5(配列認識番号2)(10μg/ml)、又はペプチド1と5の組み合わせ(それぞれ10μg/ml)での処理有り、又は処理無しで、24時間の、低血糖、低酸素、又は、これら両方の組み合わせの条件下での、PC12細胞の細胞生存を図示している。ペプチド1又は5それぞれの使用との比較**P<0.01。データは4つの実験からの平均±SDとして表されている。
図12図12は、ペプチド1及び5の注射が15分間と30分間(左と右 ラット)で脳において検出された高蛍光強度(黄色で表示)をもたらしたのに対して、対照ペプチドの注射ではそれが起こらなかったことを(中間)を示している。データは3つの実験を表している。
図13図13は、ペプチド1及び5の注射が30分間と60分間(左と右 ラット)で脊髄において検出された高蛍光強度(黄色で表示)をもたらしたのに対して、対照ペプチドの注射ではそれが起こらなかったことを(中間)を示している。データは3つの実験を表している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
詳細説明
本発明者等は、ワクシニアウイルスによって炎症をおこしたウサギ皮膚由来の抽出物から単離された二つのペプチドが、イン・ヴィトロ、及び/又は、イン・ヴィヴォでのH2O2又はL-グルタミン酸に対する曝露時、低酸素、低血糖条件下、又はこれらの両方の条件下での神経細胞の生存性を有意に保存するという驚くべき発見をした。更に驚くべきことに、前記ペプチド1とペプチド5は、AGC(たとえば1U/ml)の使用時に見られる類似の強度で、H2O2及びL-グルタミン酸、低酸素、低血糖条件下、又はこれらの両方の条件下で誘発される神経細胞(PC12)の細胞毒性を抑制する相乗作用を示す。従って、我々のデータは、少なくとも部分的に、虚血性脳卒中におけるAGCの神経保護作用を説明可能な活性成分としてのAGC中の二つの短いペプチドを成功裏に同定するものである。
【0020】
H2O2は、脳虚血、トラウマ、脳老化、アルツハイマー病等の神経系疾患の発病に関わる重要な活性酸素成分である。それは、膜脂質を過酸化し、細胞膜流動性を低下させ、細胞内たん白質の成分と活性を変化させ、クロマチンを高濃度化してDNAを破壊させ、最終的に細胞死をもたらす。
【0021】
グルタミン酸などの興奮性アミノ酸は、神経死を伴う種々の慢性又は急性神経疾患の経路において重要な役割を果たしている。グルタミン酸は、投与量依存的に、神経細胞系と中枢神経細胞にダメージを与えうる。それは、細胞内カルシウムイオンの増大と、システイン摂取の阻害とに寄与し、それは細胞内還元グルタチオン(GSH)の損失と、酸素ラジカルの増大と、神経細胞死とを誘発する。従って、H2O2又はグルタミン酸誘発神経細胞損傷モデルを、神経保護剤のスクリーニングモデルとして使用することができる。
【0022】
従って、一実施例において、本発明による前記ペプチドは、ペプチド1と5との併用において見られる予想外の相乗作用で、イン・ヴィトロ、及び/又は、イン・ヴィヴォでのH2O2に対する曝露時の、神経細胞生存率を保持するために使用される。別実施例において、本発明による前記ペプチドは、ペプチド1と5との併用において見られる予想外の相乗作用で、Lグルタミン酸処理PC12細胞に対する保護作用を示す。
【0023】
神経活性は、酸素と糖との連続的供給を必要とする。酸化代謝の障害は、イオン的及び代謝的事象のカスケードを引き起こし神経死へと導く。従って、一実施例において、本発明の前記ペプチドは、ペプチド1と5との併用において見られる予想外の相乗作用で、イン・ヴィトロ、及び/又は、イン・ヴィヴォ条件下での神経細胞生存性を保持するために使用される。
【0024】
一実施例において、本発明は、イン・ヴィトロ又はイン・ヴィヴォでのH2O2に対する曝露時の神経細胞の生存性を保持する方法に関し、これは、神経細胞をペプチド1、及び/又は、5で治療する、又は、それを必要とする対象体に対してペプチド1、及び/又は、5を投与する工程を含む。
【0025】
別の実施例において、本発明は、イン・ヴィトロ又はイン・ヴィヴォで低血糖、及び/又は、低酸素下において神経細胞生存性を保持する方法に関し、これは、神経細胞をペプチド1、及び/又は、5で治療する、又は、それを必要とする対象体に対してペプチド1、及び/又は、5を投与する工程を含む。
【0026】
更に別の実施例において、本発明は、イン・ヴィトロ又はイン・ヴィヴォでグルタミン酸誘発障害から神経細胞を保持する方法に関し、これは、神経細胞をペプチド1、及び/又は、5で治療する、又は、それを必要とする対象体に対してペプチド1、及び/又は、5を投与する工程を含む。
【0027】
特に銘記されない限り、ここに使用されるすべての科学用語は、当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。以下、方法と材料の例について記載する。但し、それらの均等物も使用することが可能である。すべての刊行物及びその他の参考文献はその全体を参考文献として合体させる。
【0028】
以下、下記の具体例を参照して本発明について更に記載する。但し、これらの例は本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【実施例】
【0029】
例1: Analgecine(登録商標)(AGC)の活性成分の単離と特徴付け
1.1. Analgecine活性成分の単離と構造分析
1.1.1. 材料と方法
1)サンプル調製
ワクシニアウイルスの接種によって引き起こされた炎症を患うウサギ皮膚から作り出された生物由来物質の混合物約200μLを真空遠心分離機で乾燥させた。
【0030】
凍結乾燥された材料を、8Mの尿素と0.5Mのジチオトレイトール(DTT)とを含有する0.5M炭酸水素アンモニウム緩衝液100μLで37℃で1時間、その後、更に暗所条件下で4℃で2時間再構成し、400μLの炭酸水素アンモニウムでの希釈の前に、10μLの0.5Mヨードアセトアミド(IAM)をアルキル化のために添加した。その後、得られた溶液を、0.2μgのトリプシンで18時間37℃で消化し、そのトリプシン消化溶液を、10%トリフルオロ酢酸(TFA)/H2OによってpH3.0値にまで酸性化した。反応後、完全に酸性化された溶液を200Lの0.1%TFA/H2O(pH3.0)で予め平衡された逆相C18カラムに適用した。前記カラムを、200μLの0.1%TFA/H2O(pH3.0)で洗浄し、その後、室温で0.1% TFA中で、段階的アセトニトリルグラジエントで50%から100%で溶出した。ナノ-LC-MS/MSにおける対照として、凍結乾燥生成物からの再構成液を、トリプシン消化を除いて、上述したように、還元、アルキル化、脱塩化、酸性化によって処理した。
【0031】
2)ナノ-LC-MS/MS分析
溶出フラクションを収集し、真空遠心分離機で乾燥させ、その後、H2O中の25μLの80%ACNで戻し、LTQ OrbitrapXL(Thermo Fisher Scientific、San Jose、CA)によって分析した。逆相ナノ-LC分離をAgilent 1200シリーズナノフローシステム(Agilent Technologies、 Santa Clara CA)で行った。フラクションからの全部で10μLのサンプルをAgilent Zorbax XDB C18プレカラム(0.35mm、5μm)に装填し、その後、C18カラム(i.d. 75μm×25-cm、3μm、Micro Tech、Fontana、CA)を使用する分離を行った。使用された移動相は、(A)0.1% FAと(B)100%ACN中0.1% FAであった。300nL/分の流速で90分間以上で5%から35%(B)のリニアグラジエントを適用した。ペプチドを注射針に1.8Kvの電圧を加えることによって陽イオンモードで分析した。前記MSは、30ms/走査の速度を使用してOrbitrap(m/z400でR=60 000)でm/z300-2000で一フルスキャンとするデータ依存モードで操作された。LTQ中で正規化衝突エネルギー値35%でのフラグメンテーションで6つの最も強いピークを選択した。フラグメンテーションのために再選択からの同じm/zイオンを除外するために、30秒の反復時間を適用した。
【0032】
3)データベース検索と同定
MASCOT検索プログラム(http:www.matrixcience.com; Hirosawa et al.、1993)を使用して正確なマッチングのためのSwiss-Protデータベースでの動物分類に対する検索によって前記ナノLC-MS/MSスペクトルから変換されたピークリストによってペプチドを同定した。前駆イオンとフラグメントイオンとの両方の質量許容差をそれぞれ、10ppmと0.8Daに設定した。固定修飾(fixed modification)としてのcarbamidomethylation(C)と、可変修飾(variable modification)としてのトリプシン無しを可能にするために検索を行った。
【0033】
それらのMescot個別イオンスコアが20以上(p<0.05)である場合にペプチドが同定されたとみなした。
【0034】
1.12.結果
過去の実験証拠によって、ワクシニアウイルスの接種によって引き起こされた炎症ウサギ皮膚の粗抽出物は、無痛覚症(analgesia)に対してその薬学的作用を及ぼすことができることが示されている。しかしながら、これらの抽出物のタンパク質濃度は極めて低く、検出限界以下であって、タンパク質レベル物質は無痛覚症(analgesia)における重要な役割をほとんど果たしていないことを示した。どの種類の成分がこの作用に関与しているかについての洞察を得るために、我々は、ナノLC-MS/MSを使用して質量対電荷率(m/z)における差を測定するためにプロテオーム分析を使用した。次に、トリプシン消化有り、と無しとで生成されたタンパク質フラグメントの質量スペクトルパターンを、そのままのタンパク質(タンパク質ID)の同定のために使用可能な、ペプチドを確認するためにデータバンク中に寄託された既知のタンパク質のそれらとの比較に使用した。従って、我々は、ショットガン分析によるペプチドの広範囲な適用範囲を達成し、ポリペプチド及び小ペプチドの発現プロファイルを解明し、配列を同定し、更に、生化学的特徴付けを行うことができる。この作業に使用される方法のフローチャートが図1に示されている。この作業において同定されたペプチドと生化学的特徴付けが表1にリストされている。MS/MS分析からの代表的ペプチドピークが検出され(図2)、それによってMASCOT検索による信頼性の高いタンパク質同定が得られる。二重荷電イオンm/z773.3192のMS/MSスペクトルが図示されている。y-及びb-フラグメントイオン列とウサギα1-抗プロテナーゼFのマッチング残基1〜14とのMS差から測定されたアミノ酸配列DEAQETAVSSHEQD(配列認識番号2)は、ヒト、マウス、更にウシα1-抗プロテナーゼFには存在しない。両方のペプチドは長さが異なるが、それらはウサギα1-抗プロテナーゼFのアミノ酸配列からの同じ由来を共有している。
【0035】
【表1】
ナノLC-MS/MS分析からのMS/MSスペクトルによって同定された二つの小ペプチドの特徴付け
【0036】
1.2. AGC活性成分の化学的特性
1.2.1. 材料と方法
1) ペプチド合成
固相合成装置(PS3、Protein Technologies, Inc.)によって第1アミノ酸-プレローディングWang樹脂、N-Fmocアミノ酸、及びPyBOPを使用してペプチドを合成した。粗ペプチドを、中圧液体クロマトグラフィ(MPLC)によってRP-18カラムで精製し、それらの純度が220nm波長でのUV検出での高速液体クロマトグラフ(HPLC)によって>95%であることを確認した。これらのペプチドの特徴付けに先立って、更なる研究の前に、MALDI-TOF質量スペクトルメータ(Autoflex IIIシステム、Bruker Daltonics)と核磁気共鳴スペクトル分析(Varian 400 MHz)を行った。ペプチド5もMission Biotech Co.(M.B. Taipei、Taiwan)から受け取ったが、これは我々が合成したものと同じ鎮痛活性を示した。
【0037】
2) 安定性テスト
ペプチド5を、異なるpH値を有する一連の溶液で溶解させ、3日間放置した。各得られた溶液の適量を、Nucleodur Pyramid C18カラム(250 mm×4.6 mm、5μm)と0.2mL/流速でのグラジエント溶出(0分: H2O中0.1% TFA; 10分: MeOH中0.1%TFA; 15分: MeOH中0.1%TFA)を使用してHPLC(Agilent 1100シリーズ)によって分析した。シグナルを、220nm波長のUV検出器によってモニタした。この安定性テストにで収集したサンプルも、マトリックスとして2、5-ジヒドロキシ安息香酸を用いるMALDI-TOF Mass(Bruker Daltronics、Autoflex III)によって分析した。更に、7.8分のシグナルに応答する部分を収集し、MALDI-MS分析にかけた。ペプチド5も、PBS中で50μMとして調製され、円偏光二光性から記録した(Jasco、J-810)。
【0038】
1.2.2. 結果
図3に図示されているように、ペプチド5を、3日、様々なpH値(pH2.0〜8.5)の溶液中に放置した。その結果得られた溶液を、HPLCによって分析し、クロマトグラムをUV検出装置に記録した(青色線: ブランク;赤色線pH2.0; 緑色線pH4.0; ピンク色線: pH7.0: 黒色線: pH8.5。ペプチド5の保持時間は7.8分であった)。このことは、ペプチド5自身が、非常に高い酸性環境においても安定していることを示すものである。
【0039】
図4に図示されているように、異なるpH値(pH2.0〜8.5)を有する溶液中のペプチド5の安定性が示されている。サンプルのMALDI-TOF MSスペクトルは、それぞれ(a)pH2、(b)pH4、(c) pH7及び(d)pH8.5の溶液中のサンプルに応答する。
【0040】
図5に図示されているように、ペプチド5のCD(50μM中)は、ペプチド5が極めて安定的であることを示した。前記CDは、左右の円形偏光の吸収差であり、ペプチド又はタンパク質の二次構造のインジケータとして使用可能である。
【0041】
ペプチド1とそのCDパターンの安定性はペプチド5のものと類似している(データ示さず)。
【0042】
1.2.3.要約
上述の実験から、我々は、AGCから単離されたペプチドが、少なくとも、溶媒のpH値の変化とCDパターンとにおいて、実際非常に安定したものであることを確認した。従って、これらのペプチドは、それらの構造及び配列における大きな変化無く、イン・ヴィヴォで存在しうる。
【0043】
例2
2.1.過酸化水素処理したPC12細胞に対する保護作用
2.1.1.材料と方法
1)H2O2に対する曝露時のPC12細胞生存における単離ペプチド又はAGC
神経ガングリオンのある種の特徴を示すラット副腎髄質の褐色細胞腫からのPC12細胞を、Chinese Academy of Medical Sciences、 Beijing、 Chinaから入手した。H2O2に対する曝露時の細胞生存を調べるために、PC12細胞を、96ウェルプレートでコンフルエンス(confluence)まで成長させ、24時間で培地を200μM H2O2(最終容量100μl)を含有する無血清培地に変えた。処理を受けた細胞において、単離ペプチド又はAGCを、H2O2に対する曝露前に1時間、ウェルに与えた。24時間のインキュベーション後、追加の4時間のインキュベーションのために、100μL MTT(最終濃度0.5mg/ml)を添加し、その後、細胞生存を、Fluostarマイクロプレートリーダ(BMG、ドイツ)で540nmでの吸収率によって評価した。
【0044】
2)統計的分析
データを、平均±標準誤差(SE)として表し、複数の比較を、分散分析とNeuman-Keulsテストによって評価した。p<0.05で差が有意であるとみなした。神経傷害データをノンパラメトリックMann-Whitneyテストによって評価した。
【0045】
2.1.2.結果
前記実験において、我々は、0.25u/ml、0.5u/ml、及び、1u/mlのAGCがH2O2処理神経細胞に対して保護作用を有すること(図6; **p<0.01、n=4)、そして、ペプチド1とペプチド5(各ペプチドにつき10μg/ml)が、それぞれ、H2O2処理神経細胞に対してある程度の保護作用を有することを示した。興味深いことに、ペプチド1と5を処理のために組み合わせた時、その組み合わせ処理は神経細胞に対してAGCと同じ程度の保護作用を及ぼした(図7; p<0.01、n=3)。
【0046】
2.1.3.要約
H2O2誘発細胞毒性から細胞を保護する作用のスクリーニングから、我々は、(1)AGCが事実、0.25〜1U/mlの濃度でのH2O2へのPC12細胞の曝露に由来する細胞毒性に対する保護作用を有すること、(2)ペプチド1及び5が、少なくとも部分的に、PC12細胞神経細胞のH2O2誘発細胞毒性を効果的に防止することができること、そして(3)ペプチド1と5の組み合わせ使用が、H2O2誘発細胞毒性からPC12細胞を保護することにおいて相乗作用を有し、その保護作用は、1U/mlのAGCの使用と同じ強度があること、の証拠を提供する。
【0047】
2.2.L-グルタミン酸処理PC12細胞に対する保護作用
2.2.1.材料と方法
1)L-グルタミン酸に対する曝露時のPC12細胞生存における同定されたペプチド又はAGCの作用
PC12細胞を、Chinese Academy of Medical Sciences、Beijing、Chinaから入手した。L-グルタミン酸に対する曝露時の細胞生存を調べるために、PC12細胞を、無血清RPMI-1640で96ウェルプレートでコンフルエンス(confluence)まで成長させた。処理を受ける細胞において、所与の投与量の同定ペプチド又はAGCを、1mM L-グルタミン酸を含有するMg2+フリーのイーグル培地の培地中でLグルタミン酸に対する曝露前に1時間ウェルに入れた。15分間のインキュベーション後、培地を無血清RPMI-1640にかえた。24時間のインキュベーション後、追加の4時間のインキュベーションのために、100μL MTT(最終濃度0.5mg/ml)を添加し、その後、細胞生存をFluostarマイクロプレートリーダ(BMG、ドイツ)で540nmでの吸収率によって評価した。
【0048】
2)統計的分析
データを、平均±標準誤差(SE)として表し、複数の比較を、分散の分析とNeuman-Keulsテストによって評価した。p<0.05で差が有意であるとみなした。神経障害データをノンパラメトリックMann-Whitneyテストによって評価した。
【0049】
2.2.2.結果
本実験において、我々は、異なる濃度(0.25u/ml、0.5u/ml、及び1u/ml)のAGCがPC12細胞の細胞生存率に対して陽性作用を有すること(図8; *p<0.05、**p<0.01、n=4)、そして、ペプチド1とペプチド5(各ペプチドにつき10μg/ml)が、それぞれ、L-グルタミン酸処理PC12細胞に対してある程度の保護作用を有することを示した。興味深いことに、ペプチド1と5を処理のために組み合わせた時、その組み合わせ処理は神経細胞に対してAGCと同じ程度の保護作用を及ぼした(図9; *p<0.05、**p<0.01、n=3)。
【0050】
2.2.3. 要約
LC12細胞のL-グルタミン酸に対する曝露からなされた前記観察に類似して、L-グルタミン酸誘発細胞毒性から細胞を保護する作用のスクリーニングから、我々は、(1)AGCが事実L-グルタミン酸への0.25〜1U/mlの濃度でのPC12細胞の曝露に由来する細胞毒性に対する保護作用を有すること、(2)ペプチド1及び5が、少なくとも部分的に、PC12細胞神経細胞のL-グルタミン酸誘発細胞毒性を効果的に防止することができこと、そして(3)ペプチド1と5の組み合わせ使用が、L-グルタミン酸誘発細胞毒性からPC12細胞を保護することにおいて相乗作用を有し、その保護作用は、1U/mlのAGCの使用と同じ強度があることの証拠を提供する。
【0051】
2.3.低血糖、低酸素及び低血糖-低酸素条件下でのPC12細胞の細胞生存に対する保護作用
2.3.1.材料及び方法
1)低血糖、低酸素、及び、低血糖-低酸素条件下で培養したPC12細胞生存におけるAGC及びペプチド1又は5の作用
PC12細胞を上述したようにして増殖し培養した。低血糖条件に関しては、125μM Cobaltous Chloride (CoCl2、Sigma、USA)を、PC12細胞が上述したように追加の24時間のインキュベーションのために単層にある時に、前記培養培地に添加した。低血糖の誘発のために、PC12が追加の24時間のインキュベーションのために単層に成長する時に、培養培地を、グルコースフリーのイーグル培地に変えた。低血糖及び低酸素条件に関しては、PC12細胞を、125μMのCoCl2を添加したグルコースフリーのイーグル培地で培養した。24時間後、細胞を収集し、MTTアッセイにかけた。
【0052】
2)統計学的分析
データを、平均±標準誤差(SE)として表わし、複数の比較を、分散の分析とNeuman-Keulsテストによって評価した。P<0.05で差が有意であるとみなした。神経障害データをノンパラメトリックMann-Whitneyテストによって評価した。
【0053】
2.3.2.結果
前記実験は、AGC(0.5u/ml、1u/ml)がそれぞれ低血糖及び低酸素条件下において細胞死からPC12に対して保護作用を有することを示した(図10)。個別的には、ペプチド1とペプチド5(各ペプチドにつき10μg/ml)も保護作用を有していた。しかしながら、細胞を処理するためにこれらのペプチドを組み合わせた時は、それらは、AGCと同じ程度の作用を示した(図11)。
【0054】
2.3.3.要約
この実験において、我々は、(1)AGCが事実、0.25〜1U/mlの濃度において、低酸素、低血糖又は(低酸素+低血糖)に対するPC12細胞の曝露に由来する細胞毒性に対する保護作用を有すること、(2) 個々に使用した場合は、ペプチド1又はペプチド5は、低酸素によって誘発される細胞死に対するある程度の保護作用を有するが、低酸素又は(低血糖+低酸素)によって誘発される細胞死に対しては保護作用が無いこと、(3)それにも拘らず、組み合わせて使用された時、ペプチド1+5は、低酸素、低血糖又は、低酸素プラス低血糖の組み合わせに対して曝露されるPC12細胞の死に対して保護作用を有すること、その保護作用は、1U/mlのAGCの使用と比較したときに類似の程度のものである、というデータを提供する。
【0055】
2.4.静注後のペプチド1及び5のイン・ヴィヴォ分布
2.4.1.材料と方法
C57B/L6マウス(6〜8週齢、メス)をNational Laboratory Animal Center、台湾、から購入した。光学撮像のために、動物を酸素混合2%イソフランガスと、Cy5.5-共役ペプチド1又はCy5.5-共役ペプチド5(各マウスに対して35nモル)の静脈注射(静注)で麻酔をかけた。投与後、前記マウスを暗室中でうつむけ又はうつぶせに置き、先ず、低光量(曝露時間: 5秒間)で写真画像をとった。プローブ投与後の指示された時点で、−70℃まで熱電気的に冷却されたCCDカメラ(Xenogen-IVIS(登録商標)Spectrum Imaging System、Xenogen Technology)を使用して蛍光信号を得た。光子統合(photon integration)時間は1〜2秒間であった。蛍光信号を、最大光子/秒/センチメートル2/ステラジアン(photon/sec/cm2/sr)として記録し、擬似色で表示し、Xenogen’s Living Imageソフトウエアを使用して写真画像上に重ねた。
【0056】
2.4.2.結果
イン・ヴィヴォイメージングシステム(IVIS; Perkin Elmer、USA)を使用して、我々は、前記マウスに静注によって注入された二つのペプチドの分布を観察することができる(図12)。マウスに対する静注の15分後、ペプチド1及びペプチド5は、血液脳関門を通過して脳に到達した。前記ペプチドが注射の30分後に脊髄に到達したことが観察された。これらのペプチドは、1〜4時間、マウス内において、IVIS観察可能レベルにとどまった。前記ペプチドは代謝され排出された。更に、体外抽出された器官においても、我々は前記ペプチドの存在を検出した。
【0057】
2.4.3.要約
従って、我々は、両ペプチド1及び5が、腹腔内投与後15〜30分間もの早い速度で、末梢循環から血液脳関門を通って脳と脊髄へと移動することができることを確認した。
【0058】
本発明は、適用法によって許可されてここに添付される特許請求の範囲に記載されている発明の全ての改造及び均等物を含むものである。
【0059】
参照文献
1. Jiang, B. et al. Incidence and trends of stroke and its subtypes in China: results from three large cities. Stroke; a journal of cerebral circulation 37, 63-68, doi: 10.1161/01. STR. 0000194955.34820.78 (2006).
2. Nedergaard, M., Goldman, S. A., Desai, S. &Pulsinelli, W.A. Acid-induced death in neurons and glia. J Neurosci11, 2489-2497 (1991).
3. Magistretti, P.J. Cellular bases of functional brain imaging: insights from neuron-glia metabolic coupling. Brain Res 886, 108-112 (2000).
4. Manev, H., Favaron, M., Guidotti, A. &Costa, E. Delayed increase of Ca2+influx elicited by glutamate: role in neuronal death. MolPharmacol 36, 106-112 (1989).
5. Greene, L.A. &Tischler, A.S. Establishment of a noradrenergic clonal line of rat adrenal pheochromocytoma cells which respond to nerve growth factor. Proc Natl Acad SciU S A 73, 2424-2428 (1976).
6. Khan, S., Liu, S., Stoner, M. &Safe, S. Cobaltous chloride and hypoxia inhibit aryl hydrocarbon receptor-mediated responses in breast cancer cells. Toxicol Appl Pharmacol 223, 28-38 (2007).
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]