(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
1つ又は両方のプレートにおいて、所定の領域を有する乾燥結合部位をさらに含み、前記乾燥結合部位が、前記試料中の分析物に結合し、それを固定化する、請求項1または2に記載の装置。
均一な厚さの層を調節するスペーサが、少なくとも1%の充填率を有し、前記充填率が、均一な厚さの層と接触するスペーサ面積と、均一な厚さの層と接触する総プレート面積との比である、請求項1〜11のいずれか一項に記載の装置。
均一な厚さの層を調節するスペーサについて、スペーサのヤング率とスペーサの充填率との乗積が10MPa以上であり、前記充填率が、スペーサ接触面積と、総プレート面積との比である、請求項1〜12のいずれか一項に記載の装置。
均一な厚さの層を調節するスペーサについて、スペーサのヤング率とスペーサの充填率との乗積が10MPa以上であり、前記充填率が、均一な厚さの層と接触するスペーサ面積と、均一な厚さの層と接触する総プレート面積との比である、請求項1〜13のいずれか一項に記載の装置。
可撓性プレートについて、前記可撓性プレートの厚さと前記可撓性プレートのヤング率との乗積が、60GPa−μm〜750GPa−μmの範囲内にある、請求項1〜14のいずれか一項に記載の装置。
1つ又は両方のプレートが、前記プレートの表面又は内部のいずれか一方に、前記プレートの位置情報を提供する位置マーカーを含む、請求項1〜16のいずれか一項に記載の装置。
1つ又は両方のプレートが、前記プレート表面又は内部のいずれか一方に、前記試料及び/又はプレートの構造の横方向寸法の情報を提供するスケールマーカーを含む、請求項1〜17のいずれか一項に記載の装置。
1つ又は両方のプレートが、前記プレート表面又は内部のいずれか一方に、前記試料の画像化を支援する画像化マーカーを含む、請求項1〜18のいずれか一項に記載の装置。
前記均一な厚さの層の平均厚さが、1.8μm〜3.8μmの範囲にあり、かつ前記試料が他の液体で希釈されていない全血である、請求項1〜20のいずれか一項に記載の装置。
前記スペーサが、円形、多角形、環形、正方形、長方形、長円形、楕円形又はそれらの任意の組み合わせから選択される断面形状を有する柱である、請求項1〜25のいずれか一項に記載の装置。
第1のプレート及び第2のプレートが前記プレートとは別個の材料であるヒンジにより接続され、かつ前記ヒンジに沿ってプレートを折り畳むことによって開放構成から閉鎖構成に変化するように構成される、請求項1〜36のいずれか一項に記載の装置。
前記間隔が、前記プレートを直接的にエンボス加工するか又は前記プレートを射出成形することによってプレートに固定される、請求項1〜46のいずれか一項に記載の装置。
前記プレート及び前記スペーサの材料が、ポリスチレン、PMMA、PC、COC、COP又は他種のプラスチックから選択される、請求項1〜47のいずれか一項に記載の装置。
前記プレートのうちの1つが、分析物に結合する結合部位を有し、前記均一な試料厚さの層の少なくとも一部が、前記結合部位の上にあり、かつ前記結合部位の平均横方向線形寸法よりも実質的に小さい、請求項49に記載のシステム。
前記ハウジングが、前記移動通信装置による前記試料の画像化及び/又は信号処理を容易にするための光学素子と、前記光学素子を前記移動通信装置に保持するように構成されたマウントとを含む、請求項51に記載のシステム。
前記移動通信装置が、医療専門家、医療機関又は保険会社に、検査及び対象に関する情報を伝達するようにさらに構成される、請求項49〜54のいずれか一項に記載のシステム。
前記移動通信装置が、検査の情報をクラウドネットワークに伝達するように、かつクラウドネットワークが、前記情報を処理して検査結果を洗練するようにさらに構成される、請求項49〜55のいずれか一項に記載のシステム。
前記移動通信装置が、検査及び対象に関する情報をクラウドネットワークに伝達するように、かつクラウドネットワークが、前記情報を処理して検査結果を洗練し、洗練された検査結果を対象に返信するようにさらに構成される、請求項49〜56のいずれか一項に記載のシステム。
前記分析物が、分子(例えば、タンパク質、ペプチド、DNA、RNA、核酸又はその他の分子)、細胞、代謝産物、組織、ウイルス、または異なる形状のナノ粒子を含む、請求項60に記載の方法。
前記スペーサの充填率とヤング率の積が2MPa以上であり、前記充填率が、スペーサ接触面積と、総プレート面積との比である、請求項68〜70のいずれか一項に記載の方法。
前記均一な厚さの層内の、ナトリウム、カリウム、塩化物、重炭酸塩、血液尿素、窒素、マグネシウム、クレアチニン、グルコース、カルシウム、HDLコレステロール、LDLコレステロールレベル及び/又はトリグリセリドレベルを計測するステップをさらに含む、請求項68〜76のいずれか一項に記載の方法。
前記試料が、羊水、房水、硝子体液、血液(例えば全血、分画血液、血漿、又は血清等)、母乳、脳脊髄液(CSF)、耳垢(耳あか)、乳糜、糜汁、内リンパ液、外リンパ液、糞便、呼気、胃酸、胃液、リンパ液、粘液(鼻漏及び粘液質を含む)、心膜液、腹膜液、胸膜液、膿液、炎症性分泌物、唾液、呼気凝縮液、皮脂、精液、喀痰、汗、滑液、涙液、嘔吐物及び尿液から選択される生体試料である、請求項1〜48のいずれか一項に記載の装置。
【発明を実施するための形態】
【0035】
例示的な態様の詳細な説明
以下の詳細な説明は、本発明のいくつかの実施形態を示すが、限定するものではない。本明細書で使用されるセクション見出し及び任意のサブタイトルは構成目的に過ぎず、任意の方式で記載された主題を限定するものと理解されるべきではない。セクション見出し及び/又はサブタイトルの内容はセクション見出し及び/又はサブタイトルに限定されず、本発明の全体の説明に適用される。
【0036】
任意の出版物の引用は、本出願日の前に開示されるためであり、本発明が先の発明によりその出版物よりも先行する権利がないことを認めるものと理解されるべきではない。また、提供される公開日は、独立して確認する必要のある、実際の公開日と異なる可能性がある。
【0037】
本発明は、特に試料中の分析物及び/又は実体の、定量化、結合及び/又は検知を改善及び/又は加速する方法、装置及びシステムに関する。
【0038】
定義
別に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術及び科学用語は、本開示の属する分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。以下にいくつかの例示的な方法及び材料を説明するが、本教示の実践又は検査において、本明細書に記載の類似又は同一の任意の方法及び材料を用いてもよい。
【0039】
用語「ポリヌクレオチド」、「ヌクレオチド」、「ヌクレオチド配列」、「核酸」、「核酸分子」、「核酸配列」及び「オリゴヌクレオチド」は、変換可能に使用され、かつそれぞれ用語を用いた文脈に応じて各用語の複数を含んでもよい。
【0040】
本明細書で使用される用語「捕捉剤」とは、例えば、核酸分子、ポリペプチド分子又はその結合相手に特異的に結合できる任意の他の分子又は化合物のような結合メンバーを指し、例えば第1の核酸分子に相補的なヌクレオチド配列を有する第2の核酸分子、抗原を特異的に認識する抗体、抗体によって特異的に認識された抗原、標的分子に特異的に結合できる核酸アプタマー等である。
【0041】
用語「二次捕捉剤」は、「検出剤」とも呼ばれ、抗原に非常に特異的な親和性を有する一群の生体分子又は化学化合物を指す。二次捕捉剤は、光学的に検出可能な標識(例えば酵素、蛍光標識)に密着結合することができ、あるいはそれ自体は生体結合により光学的に検出可能な標識に結合されて他の検出剤によって検出することができる(Hermanson、「Bioconjugate Techniques」 Academic Press、第2版、2008)。
【0042】
用語「捕捉剤−反応性基」は、捕捉剤と反応できる分子の中の化学的機能の部分を指し、つまり捕捉剤の中の一部(例えばヒドロキシ、チオール、カルボキシル又はアミン基)と反応して、安定かつ強力な共有結合を生成するものである。
【0043】
用語「特異的結合」と「選択的結合」とは、異なる標的分析物を有する不均質混合物内に存在する特定の標的分析物に優先的に結合する捕捉剤の能力を指す。特異的又は選択的結合は、相互作用して試料の中の所望の(例えば、活性化)標的分析物と望ましくない(例えば、不活性化)標的分析物とを区別し、一般的に約10倍超〜100倍以上(例えば、約1000又は10000倍を超える)である。
【0044】
本明細書で使用される用語「試料」は、一種又は複数種の関心対象の分析物又は実体含有の材料又は材料の混合物に関する。特定の実施形態において、試料は、生体試料(例えば細胞、組織、体液及び糞便)から得ることができる。関心対象となる体液は、羊水、房水、硝子体液、血液(例えば全血、分画血液、血漿、血清等)、母乳、脳脊髄液(CSF)、耳垢(耳あか)、乳糜、糜汁、内リンパ液、外リンパ液、糞便、胃酸、胃液、リンパ液、粘液(鼻漏及び粘液質を含む)、心膜液、腹膜液、胸膜液、膿液、炎症性分泌物、唾液、皮脂(皮膚の油)、精液、喀痰、汗、滑液、涙液、嘔吐物、尿及び呼気凝縮液を含むが、これらに限定されない。特定の実施形態において、試料は、対象(例えばヒト)から得ることができ、かつ対象アッセイに用いられる前に処理することができる。例えば、分析の前に、使用前に組織試料からタンパク質/核酸を抽出することができ、その方法は公知である。特定の実施形態において、試料は臨床試料、例えば患者から採取した試料であってもよい。
【0045】
用語「分析物」とは、異なる形状を有する分子(例えばタンパク質、ペプチド、DNA、RNA、核酸又は他の分子)、細胞、組織、ウイルス及びナノ粒子を指す。
【0046】
用語「アッセイ」とは、分析物の存在及び/又は存在量を検出するために試料を検査することを指す。
【0047】
本明細書で使用されるように、用語「決定」、「計測」及び「評価」は、「アッセイ」と変換可能に使用され、かつ定量的及び定性的決定を含む。
【0048】
本明細書で使用されるように、用語「発光標識」(light−emitting label)とは、外部励起下で発光できる標識を指す。それは発光することができる。蛍光標識(色素分子又は量子ドットを含む)と発光標識(例えば電気又は化学発光標識)は、蛍光標識のタイプである。外部励起は、蛍光用の光(光子)、電界発光用の電流及び化学発光用の化学反応を指す。外部励起は、上記の組み合わせであってもよい。
【0049】
語句「標識された分析物」とは、発光標識で検出可能に標識された分析物を指し、その結果、標識の存在を評価することにより前記分析物を検出することができる。標識された分析物は、直接標識されてもよく(すなわち、分析物自体は、強力な結合、例えば共有結合又は非共有結合を介して標識に直接結合されてもよい)、標識された分析物は、間接的に標識されてもよい(すなわち、分析物は直接標識された二次捕捉剤に結合される)。
【0050】
核酸についての用語「ハイブリダイゼーション」と「結合」は変換可能に使用される。
【0051】
用語「捕捉剤/分析物複合体」とは、捕捉剤と分析物の特異的結合から生じる複合体を指す。一般的に、捕捉剤と捕捉剤用の分析物は「特異的結合条件」又は「特異的結合に適する条件」の下で互いに特異的に結合し、それらの条件(塩濃度、pH、界面活性剤、タンパク質濃度、温度等)は、溶液中で捕捉剤と分析物との間に結合が生じることを可能にする条件である。それらの条件、特に抗体及びその抗原及び核酸ハイブリダイゼーションについての条件は、当該分野で周知である(例えばHarlow及びLane(Antibodies:A Laboratory Manual Cold Spring Harbor Laboratory、Cold Spring Harbor、NY(1989)、Ausubelら、Short Protocols in Molecular Biology、第5版、Wiley&Sons、2002を参照)。
【0052】
対象は、あらゆるヒト又は非ヒトの動物とすることができる。対象は、本方法を実施する人、患者、検査センターの顧客等であってもよい。
【0053】
本明細書で使用されるように、「分析物」は、本方法の検査に適する任意の物質である。
【0054】
本明細書で使用されるように、「診断試料」とは、対象から得られた、身体副産物である(例えば体液)任意の生体試料を指す。診断試料は、液体の形態で対象から直接得ることができ、又は、身体副産物を溶液(例えば緩衝液)に置くことにより対象から得ることができる。例示的な診断試料は、唾液、血清、血液、喀痰、尿、汗、涙液、精液、糞便、呼気、生体組織、粘液等を含むが、これらに限定されない。
【0055】
本明細書で使用されるように、「環境試料」とは、環境から得られた任意の試料を指す。環境試料は、河川、湖、池、海洋、氷河、氷山、雨、雪、下水、貯水池、水道水、飲料水等からの液体試料;土壌、堆肥、砂、岩石、コンクリート、木材、煉瓦、汚泥等からの固体試料;及び空気、水中熱通気口、工業排気ガス、車両排気ガス等からの気体試料を含んでもよい。一般的に、本発明の方法を用いて試料を分析する前に、非液体形態の試料を液体形態に変換する。
【0056】
本明細書で使用されるように、「食品試料」は、動物の消費、例えば、ヒトの消費に適する任意の試料を指す。食品試料は、原材料、調理済み食品、動植物由来の食品、前処理済み食品及び部分的に又は完全に処理された食品等を含んでもよい。一般的に、本発明の方法を用いて試料を分析する前に、非液体形態の試料を液体形態に変換する。
【0057】
本明細書で使用される用語「診断」とは、ある方法又は分析物を用いて、関心対象の病気又は病状の結果を鑑定し、予測し、及び/又はその治療反応を予測することを指す。診断は、病気又は病状に罹患する可能性又は体質を予測すること、病気又は病状の重篤度を推定すること、病気又は病状の進行のリスクを決定すること、治療に対する臨床的応答を評価すること、及び/又は治療に対する応答を予測することを含んでもよい。
【0058】
本明細書で使用されるように、「バイオマーカー」とは、関心対象の試料から発見された任意の分子又は化合物であり、対象における関心対象の病気又は病状の存在又はその体質を診断するか、又はそれに関連付けることが知られており、前記試料は対象から採取される。バイオマーカーは、ポリペプチド又はその複合体(例えば抗原、抗体)、核酸(例えばDNA、miRNA、mRNA)、薬物代謝物、脂質、炭水化物、ホルモン、ビタミン等を含むが、これらに限定されず、関心対象の病気又は病状に関連することが知られている。
【0059】
本明細書で使用され、健康状態の診断に関連付けられる「状態」とは、その他の生理学的状態と区別することができる心身の生理学的状態を指す。場合によっては、健康状態は、病気と診断されない可能性がある。例示的な関心対象となる健康状態は、栄養上の健康、老化、環境有害物質、農薬、除草剤、合成ホルモン類似体への曝露、妊娠、閉経、男性休止、睡眠、ストレス、糖尿病前症、運動、疲労、化学的バランス等を含むが、これらに限定されない。用語「ビオチン部分」とは、ビオチン又はビオチン類似体(例えばデスチオビオチン、オキシビオチン、2’−イミノビオチン、ジアミノビオチン、ビオチンスルホキシド、ビオシチン等)を含む親和性試薬を指す。ビオチン部分は、少なくとも10−8Mの親和力でストレプトアビジンに結合される。ビオチン親和性試薬は、リンカー、例えば─LC−ビオチン、─LC−LC−ビオチン、─SLC−ビオチン又は─PEGn−ビオチンを含んでもよく、nは3〜12である。
【0060】
用語「増幅」とは、信号の大きさの増幅を指し、例えば、信号における少なくとも10倍の増幅、少なくとも100倍の増幅、少なくとも1000倍の増幅、少なくとも10000倍の増幅又は少なくとも100000倍の増幅である。
【0061】
用語「実体」とは、「結合部位」に結合するタンパク質、ペプチド、DNA、RNA、核酸、分子(小分子又は大分子)、細胞、組織、ウイルス、異なる形状のナノ粒子を指すが、これらに限定されない。実体は、捕捉剤、検出剤及び遮断剤を含む。「実体」は「分析物」を含み、これらの二つの用語は、交換可能に使用される。
【0062】
用語「結合部位」とは、試料中の実体を固定化することができる固体表面上の位置を指す。
【0063】
用語「実体パートナー」とは、「結合部位」に位置し、かつ実体に結合するタンパク質、ペプチド、DNA、RNA、核酸、分子(小分子又は大分子)、細胞、組織、ウイルス、異なる形状のナノ粒子を指すが、これらに限定されない。実体は、捕捉剤、検出剤、二次検出剤又は「捕捉剤/分析物複合体」を含むが、これらに限定されない。
【0064】
交換可能に使用される用語「スマートフォン」又は「携帯電話」とは、カメラ及び通信ハードウェアとソフトウェアを有し、カメラを使用して画像を撮影し、カメラによって撮影された画像を処理し、遠隔地にデータを通信することができる携帯電話のタイプを指す。いくつかの実施形態において、スマートフォンはフラッシュライトを有する。
【0065】
ある領域の「平均線形寸法」という用語は、該領域の面積に4を乗算し該領域の周長で割って取得するものに等しい長さと定義される。例えば、該領域は矩形であり、幅がWで、長さがLであれば、該矩形の線形寸法の平均値は、4*W*L/(2*(L+W))である(「*」が乗算を示し、「/」が割り算を示す)。この定義により、平均線形寸法はそれぞれ、幅がWの正方形についてはWであり、直径がdの円形についてはdである。領域は結合部位又は貯蔵部位の領域を含むが、これらに限定されない。
【0066】
周期構造配列の「周期」という用語は、ある構造の中心から、最も近い隣接した同じ構造の中心までの距離を指す。
【0067】
用語「貯蔵部位」とは、試料に添加される試薬を含む、プレート上のある領域の部位を指し、かつ前記試薬は、試薬と接触する試料に溶解し、拡散することができる。
【0068】
用語「関連」とは、分析物の検出、試料中又はプレート上の分析物又は実体の定量化及び/又は制御、試料又はプレートに添加される試薬の定量化又は制御に関連することを指す。
【0069】
表面の「親水性」、「湿潤性」又は「濡れ性」という用語は、表面上の試料の接触角が90度より小さいことを指す。
【0070】
表面の「疎水性」、「非湿潤性」又は「非濡れ性」という用語は、表面上の試料の接触角が90度以上であることを指す。
【0071】
量の「変化」という用語は、実際の値と目標値又は量の平均値との差を指す。量の「相対的変化」という用語は、変化と目標値又は量の平均値との比を指す。例えば、ある量の目標値がQで、実際の値が(Q+Δ)である場合、Δは変化であり、かつΔ/(Q+Δ)は、相対的変化である。用語「相対的な試料の厚さ変化」とは、試料の厚さ変化と平均試料の厚さとの比を指す。
【0072】
用語「光透過性」とは、光信号の伝送を可能にする材料の特性を指し、特に断らない限り、用語「光信号」とは、試料、プレート、スペーサ、スケールマーク、使用される任意の構造、又はそれらの任意の組み合わせの特性を検出するために使用される光信号を指す。
【0073】
用語「非試料体積」とは、CROFプロセスにおける閉鎖構成で、プレートの間の体積が、試料ではなく、試料以外の他の物体によって占有されることを指す。これらの物体はスペーサ、気泡、粉塵又はそれらの任意の組み合わせを含むが、これらに限定されない。一般的に、「非試料体積」は試料内部に混入している。
【0074】
用語「飽和インキュベーション時間」とは、二つのタイプの分子(例えば、捕捉剤及び分析物)の間の結合が平衡に達することに必要な時間を指す。表面固定化アッセイについて、「飽和インキュベーション時間」とは、試料中の標的分析物(実体)とプレート表面上の結合部位との間の結合が平衡に達することに必要な時間、すなわち、結合部位によって捕捉され固定化された標的分子(実体)の平均数が統計学的にほぼ一定になった後の時間を指す。
【0075】
場合により、「分析物」と「結合実体」と「実体」は、交換可能に使用される。
【0076】
「プロセッサ」、「通信装置」、「モバイル装置」は、計算タスクを実行するための基本的な電子部品(メモリ、入出力インタフェース、中央処理ユニット、命令、ネットワークインタフェース、電源などのうちの1つ以上を含む)を含むコンピュータシステムを指す。コンピュータシステムは、特定のタスクを実行するための命令を含む汎用コンピュータであってもよく、専用コンピュータであってもよい。
【0077】
信号又はデータ通信の説明に使用される「サイト」又は「位置」とは、装置又は対象が存在するローカル領域を指す。サイトは、建築構造(例えば病院)内の部屋、又は広い地理的に定義された領域内の小さい地理的に定義された領域を指す。第2のサイトから離れた第1のサイトに対して、リモートサイト又はリモート位置は、距離及び/物理的障害によって第2のサイトから物理的に離された第1のサイトである。リモートサイトは、建築構造中の第2のサイトから離れた第1のサイト、第2のサイトと異なる建築構造にある第1のサイト、第2のサイトと異なる都市にある第1のサイトであってもよい。
【0078】
本明細書で使用されるように、用語「試料採取サイト」とは、対象から試料を得る位置を指す。試料採取位置は、例えば小売店の位置(例えば、チェーンストア、薬局、スーパーマーケット又はデパート)、プロバイダーのオフィス、医師のオフィス、病院、対象の家、軍関係の敷地、雇用主サイト又は他のサイト又はサイトの組み合わせであってもよい。本明細書で使用されるように、用語「試料採取サイト」とは、さらに、該サイトに位置し、あるいは該サイトに所属するビジネス、サービス又は施設の所有者又は代表者を指す。
【0079】
本明細書で使用されるように、「生データ」は、試料の特性又は特徴を検出するか又は測定するセンサ、カメラ、他のコンポーネント及び機器からの信号及び直接読み取りデータを含む。
【0080】
本明細書で使用されるように、「プロセス管理」とは、試料分析プロセスなどのプロセスの実行を計画及び/又はモニタリングするための任意の数の方法及びシステムを指す。
【0081】
当業者であれば、本発明は、本明細書の記述又は図面に記載された構造の詳細、コンポーネントの配置、カテゴリ選択、重み付け、所定の信号制限又はステップへの適用に限定されないことを理解すべきである。本発明は、他の実施形態も可能であり、また様々な方法で実施又は実行することができる
【0082】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用されるように、文脈上明確に指示されない限り、例えば、用語「単数」が使われる場合、単数形の「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その(the)」は、複数の意味も含むことを注意しなければならない。例えば、「分析物」を言及すると、単一の分析物及び複数の分析物を含み、「捕捉剤」を言及すると、単一の捕捉剤及び複数の捕捉剤を含み、「検出剤」を言及すると、単一の検出剤及び複数の検出剤を含み、「試薬」を言及すると、単一の試薬及び複数の試薬を含む。
【0083】
試料、特に血液を分析するための装置及びシステム、並びにそれらの使用方法
本明細書において、試料、特に血液中の分析物を分析するための装置が提供される。いくつかの実施形態において、前記装置は、第1のプレート及び第2のプレート、試料中の分析物を検出する検出器を含み、
前記プレートは、異なる構成になるように互いに対して(例えば、ヒンジを介して)移動可能であり、
1つ又は両方のプレートは可撓性であり、
各プレートは、そのそれぞれの表面に、試料を分析物と接触させるための試料接触領域を有し、
前記プレートの1つ又は両方は、それぞれのプレートで固定されたスペーサを含み、前記スペーサは、所定の実質的に均一な高さ、及び7μm〜200μm(例えば、7μm〜50μm(ミクロン)、50μm〜120μm又は120μm〜200μm)の範囲内にある所定の一定のスペーサ間距離を有し、少なくとも1つのスペーサは、試料接触領域内にあり、
前記構成の1つは、2つのプレートが離され、プレート間の間隔がスペーサにより調節されず、試料が1つ又は両方のプレートに付着する開放構成であり、
別の構成は、開放構成で試料を付着させた後に構成された閉鎖構成であり、前記閉鎖構成で、試料の少なくとも一部が、2つのプレートによって高度に均一な厚さの層へと圧縮され、プレートに対して実質的に停滞し(すなわち、電流又は方向性の流れが実質的にない)、(少なくとも0.1mm
2、少なくとも0.5mm
2又は少なくとも1mm
2の横方向面積を有することができる)層の均一な厚さは、2つのプレートの内面によって閉じ込められ、プレート及びスペーサにより調節され、かつ小さいばらつきで(例えば、10%未満、5%未満又は1%未満の変化)5μm以下(例えば、1.8μm〜2μm、2μm〜2.2μm、2.2μm〜2.6μm、又は2.6μm〜3.8μm)である平均厚さを有し、閉鎖構成で、検出器は試料の少なくとも一部の分析物を検出する。
【0084】
以下に説明するように、装置は、分子(例えば、タンパク質、ペプチド、DNA、RNA、核酸又はその他の分子)、細胞、組織、ウイルス及び異なる形状のナノ粒子を含む分析物を分析し、例えば、装置に配置された血液試料中の細胞(例えば、赤血球及び白血球)を計数することに用いられる。
【0085】
いくつかの実施形態において、該装置は、1つ又は両方のプレートに塗布された乾燥試薬を含んでもよい。いくつかの実施形態において、乾燥試薬は、試料中の分析物に結合し、分析物を1つ又は両方のプレートの表面に固定することができる。これらの実施形態において、前記試薬は、例えば、抗体又は他の特異的結合剤であってもよい。この乾燥試薬は、所定の領域を有することができる。他の実施形態において、装置は、1つ以上のプレート上の放出可能な乾燥試薬、例えば細胞染色などの標識試薬又は抗体などの標識検出試薬を含むことができる。場合によっては、放出可能な乾燥試薬を含む放出時間制御材料がプレート上に存在してもよく、放出時間制御材料は、放出可能な乾燥試薬が試料に放出される時間を遅らせる。場合によっては、放出時間制御材料は、乾燥試薬が試料に放出され始める時間を、少なくとも3秒、例えば少なくとも5秒又は少なくとも10秒遅らせる。いくつかの実施形態において、駆動装置は、複数の乾燥結合部位及び/又は複数の試薬部位を含むことができ、それによってマルチプレックスアッセイを実行することを可能にする。場合によっては、乾燥結合部位が占める領域は、プレートが閉鎖位置にある時に試薬部位が占める領域に対向することができる。
【0086】
いくつかの実施形態では、前記試薬は、抗凝固剤及び/又は染色試薬を含む。
【0087】
いくつかの実施形態において、分析物は、分子(例えば、タンパク質、ペプチド、DNA、RNA、核酸又はその他の分子)、細胞、組織、ウイルス及び異なる形状のナノ粒子であってもよい。いくつかの実施形態において、分析物は、白血球、赤血球及び血小板であってもよい。いくつかの実施形態において、分析物は染色される。
【0088】
いくつかの実施形態において、均一な厚さの層を調節するスペーサ(すなわち、層内でプレートを互いに離すスペーサ)は、少なくとも1%の「充填率」を有し、例えば、少なくとも2%又は少なくとも5%を有し、充填率は、均一な厚さの層と接触するスペーサ面積と、均一な厚さの層と接触する総プレート面積との比である。いくつかの実施形態において、均一な厚さの層を調節するスペーサについて、スペーサのヤング率にスペーサの充填率を乗算して10MPa以上であり、例えば、少なくとも15MPa又は少なくとも20MPaであり、充填率は、均一な厚さの層と接触するスペーサ面積と、均一な厚さの層と接触する総プレート面積との比である。いくつかの実施形態において、可撓性プレートの厚さに可撓性プレートのヤング率を乗算し、60〜750GPa−μmの範囲内にあり、例えば、100〜300GPa−μm、300〜550GPa−μm又は550〜750GPa−μmである。いくつかの実施形態において、可撓性プレートについて、スペーサ間距離(ISD)の4乗を可撓性プレートの厚さ(h)及び可撓性プレートのヤング率(E)で割り算したISD
4/(hE)は、10
6μm
3/GPa以下であり、例えば、10
5μm
3/GPa未満、10
4μm
3/GPa未満又は10
3μm
3/GPa未満である。
【0089】
いくつかの実施形態において、1つ又は両方のプレートは、プレート表面又は内部のいずれか一方に位置して該プレートの位置情報を提供する位置マーカーを含み、例えば、分析しようとする位置、又は血液が付着する位置である。場合によっては、1つ又は両方のプレートは、プレート表面又は内部のいずれか一方に位置して血液試料及び/又はプレートの構造の横方向寸法情報を提供するスケールマーカーを含んでもよい。いくつかの実施形態において、1つ又は両方のプレートは、プレート表面又は内部のいずれか一方に位置して試料の画像化を支援する画像化マーカーを含む。例えば、画像化マーカーは、画像化装置の焦点を合わせるのを助け、画像化装置を装置上のある位置に向けることができる。いくつかの実施形態において、スペーサは、位置マーカー、スケールマーカー、画像化マーカー、又はそれらの任意の組み合わせとして機能することができる。
【0090】
いくつかの実施形態において、均一な厚さの層の平均厚さは2μm〜2.2μmの範囲内にあり、かつ試料は血液である。いくつかの実施形態において、均一な厚さの層の平均厚さは2.2μm〜2.6μmの範囲内にあり、かつ試料は血液である。いくつかの実施形態において、均一な厚さの層の平均厚さは1.8μm〜2μmの範囲内にあり、かつ試料は血液である。いくつかの実施形態において、均一な厚さの層の平均厚さは2.6μm〜3.8μmの範囲内にあり、かつ試料は血液である。いくつかの実施形態において、均一な厚さの層の平均厚さは1.8μm〜3.8μmの範囲内にあり、かつ試料は他の液体で希釈されることがない全血である。
【0091】
場合によっては、均一な厚さの層の平均厚さは、試料中の分析物、例えば赤血球又は別の細胞の最小寸法にほぼ等しい。
【0092】
いくつかの実施形態において、スペーサ間距離は、実質的に周期的である。場合によっては、スペーサは規則的なパターンであってもよく、隣接するスペーサ間の間隔はほぼ同じであってもよい。スペーサは、円形、多角形、環形、正方形、長方形、長円形、楕円形又はそれらの任意の組み合わせから選択される断面形状を有する柱であってもよく、いくつかの実施形態において、実質的に平坦な上面を有し、各スペーサについて、その高さに対するスペーサの横方向寸法の比は少なくとも1である。場合によっては、スペーサの最小横方向寸法は、試料中の分析物の最小寸法より小さいか又はそれに実質的に等しい。スペーサの最小横方向寸法は、0.5μm〜100μmの範囲内にあり、例えば、2μm〜50μm又は0.5μm〜10μmの範囲内にある。
【0093】
いくつかの実施形態において、試料は全血、例えば臨床試料由来の血液であってもよい。場合によっては、血液は、個体から血液を採取することによって、例えば、個体の皮膚を穿刺し、採取した血液を(血液移送装置を用いずに)プレートの1つに接触させることによって取得することができる。いくつかの実施形態において、試料は、希釈されていない全血である。
【0094】
いくつかの実施形態において、スペーサは柱形状を有し、スペーサの側壁角は、少なくとも1μm、例えば少なくとも1.2μm、少なくとも1.5μm又は少なくとも2.0μmの曲率半径を有する円形状を有する。スペーサは、任意の適切な密度、例えば少なくとも1000/mm
2の密度、少なくとも2000/mm
2の密度、少なくとも5,000/mm
2の密度、又は少なくとも10,000/mm
2の密度などの少なくとも1000/mm
2の密度を有する。
【0095】
該装置において、少なくとも1つのプレートは透明であり、それによってアッセイを光学的に読み取ることを可能にする。同様に、該装置において、少なくとも1つのプレートは、可撓性ポリマーで製造されてもよく、それによってプレートをともに圧縮することによって試料を効率的に広げることを可能にする。いくつかの実施形態において、プレートを圧縮する圧力に対して、スペーサは圧縮性ではなく、及び/又は独立して、プレートのうち1つのみが可撓性である。可撓性プレートは、10μm〜200μm、例えば10μm〜50μm、50μm〜150μm又は150μm〜200μmの範囲内の厚さを有することができる。上述したように、閉鎖位置において、均一な厚さの層の厚さは、小さな変化を有することができる。いくつかの実施形態において、変化は、30%未満、20%未満、10%未満、5%未満又は2%未満であってもよく、該領域の厚さが+/−30%、+/−20%、+/−10%、+/−5%又は+/−2%の平均厚さを超えないことを意味する。
【0096】
いくつかの実施形態において、第1のプレート及び第2のプレートは接続され、かつプレートを折り畳むことにより、開放構成から閉鎖構成に変化するように構成される。いくつかの実施形態において、第1のプレート及び第2のプレートは、ヒンジにより接続され、かつヒンジに沿って装置が曲がるようにプレートを折り畳むことにより、開放構成から閉鎖構成に変化するように構成される。ヒンジは、プレートに取り付けられた別個の材料であってもよく、場合によっては、プレートはプレートと一体となってもよい。いくつかの実施形態において、第1のプレート及び第2のプレートは、単一の材料片で製造され、例えばヒンジに沿って、プレートを折り畳むことにより、開放構成から閉鎖構成に変化するように構成される。
【0097】
いくつかの実施形態において、該装置は、試料を非常に迅速に分析するように構成される。場合によっては、分析は、60秒以下、30秒、20秒以下又は10秒以下で行われてもよい。
【0098】
任意の実施形態において、乾燥結合部位は、抗体又は核酸などの捕捉剤を含むことができる。いくつかの実施形態において、放出可能な乾燥試薬は、蛍光標識された試薬、例えば蛍光標識された抗体又はロマノフスキー染色液、レーシュマン染色液、メイ‐グリンヴァルト染色液、ギムザ染色液、ジェンナー染色液、ライト染色液、又はそれらの任意の組み合わせ(例えば、ライト‐ギムザ染色液)のような細胞染色液などの標識試薬であってもよい。このような染色液は、メチオニンブルーを有するエオシンY又はエオシンBを含むことができる。いくつかの実施形態において、染色液は、ヘマトキシリンなどのアルカリ性染色液であってもよい。
【0099】
いくつかの実施形態において、検出器は、光信号を検出する光検出器であってもよい。いくつかの実施形態において、検出器は、電気信号を検出する電気検出器であってもよい。
【0100】
いくつかの実施形態において、プレートの直接エンボス加工又はプレートの射出成形により、スペーサはプレート上に固定される。
【0101】
いくつかの実施形態において、プレート及びスペーサの材料は、ポリスチレン、PMMA、PC、COC、COP又は他のプラスチックで構成される。
【0102】
さらに携帯電話を用いて試料を迅速に分析するシステムを提供する。いくつかの実施形態において、該システムは、(a)上記のような装置と;(b)移動通信装置(例えば、iphoneなどの携帯電話)であって、i、試料を検出及び/又は画像化するための1つ以上のカメラ、ii、検出された信号及び/又は試料の画像を受信及び/又は処理し、遠隔通信するための電子機器、信号プロセッサ、ハードウェア及びソフトウェアを含む、装置と;(c)移動通信装置又は外部ソースのいずれかからの光源と、を含むことができる。場合によっては、装置内の検出器は、移動通信装置によって提供され、閉鎖構成で試料中の分析物を検出することができる。
【0103】
該システムにおいて、プレートのうちの1つは分析物に結合する結合部位を有することができ、均一な試料厚さ層の少なくとも一部は、結合部位の上方に位置し、かつ結合部位の平均横方向線形寸法より実質的に小さい。
【0104】
いくつかの実施形態において、システムは、
(d)試料を保持し、移動通信装置に搭載されるように構成されたハウジング
をさらに含むことができる。ハウジングは、移動通信装置によって試料の画像化及び/又は信号処理を容易にするための光学素子と、光学素子を移動通信装置に保持するように構成されたマウントとを含むことができる。場合によっては、試料が少なくとも2つのチャネルにおいて画像化されるように、ハウジング内の装置の光学素子(例えば、レンズ、フィルタ、反射ミラー、プリズム又はビームスプリッタ)はハウジングに対して移動可能であってもよい。
【0105】
いくつかの実施形態において、移動通信装置は、医療専門家(例えば、MD)、医療機関(例えば、病院又は試験研究室)又は保険会社に、検査結果を伝達するように構成される。さらに、移動通信装置は、医療専門家、医療施設、又は保険会社と対象に関する情報(例えば、対象の年齢、性別、体重、住所、名前、事前検査結果、過去の病歴など)を伝達するように構成されてもよい。いくつかの実施形態において、移動通信装置は、医療専門家から処方、診断又は勧告を受信するように構成される。例えば、いくつかの実施形態において、移動通信装置は、医療専門家が診断を与える遠隔地にアッセイ結果を送信することができる。診断は、移動通信装置を介して対象に通信することができる。いくつかの実施形態において、移動通信装置は、さらに、検査の情報をクラウドネットワークに伝達するように構成されてもよく、かつクラウドネットワークは、検査結果を洗練するために該情報を処理する。いくつかの実施形態において、移動通信装置は、検査の情報をクラウドネットワークに伝達するように構成されてもよく、かつクラウドネットワークは、検査結果を洗練するために該情報を処理し、洗練された検査結果を対象に返信する。
【0106】
いくつかの実施形態において、移動通信装置は、それが(a)試料の画像を取り込み、(b)画像内の検査位置及び制御位置を分析し、そして(c)検査位置の分析から得られた値を、迅速診断試験を特徴付ける閾値と比較することを可能にするハードウェア及びソフトウェアを含むことができる。場合によっては、移動通信装置は、無線又はセルラネットワークを介して遠隔地と通信する。いずれの実施形態においても、移動通信装置は携帯電話であってもよい。
【0107】
該システムは、(a)試料をシステムの装置に付着させるステップと;(b)装置に付着した試料中の分析物をアッセイして結果を生成するステップと;(c)移動通信装置からの結果を移動通信装置から離れた位置に伝達するステップと、を含む方法に用いることができる。該方法は、遠隔地での結果を分析して、分析結果を提供し、また遠隔地からの分析結果を移動通信装置に伝達することを含むことができる。上述のように、分析は、遠隔地の医療専門家によって行われてもよい。また、いくつかの実施形態において、移動通信装置は、遠隔地の医療専門家から処方、診断又は勧告を受信することができる。
【0108】
例えば、該方法において、分析物は、分子(例えば、タンパク質、ペプチド、DNA、RNA、核酸又はその他の分子)、細胞、組織、ウイルス及び異なる形状のナノ粒子であってもよい。いくつかの実施形態において、分析物は、白血球、赤血球及び血小板であってもよい。
【0109】
この方法において、試料は、採血部位から装置上に直接的に移すことができる希釈されていない全血であってもよい。いくつかの実施形態において、血液試料は臨床試料である。
【0110】
いくつかの実施形態において、アッセイステップは、試料中の検体、例えば血液中のタンパク質、核酸、細胞又は代謝産物などのバイオマーカーを検出することを含むことができる。このアッセイは、例えば、結合アッセイ又は生化学アッセイであってもよい。
【0111】
いくつかの実施形態において、該方法は赤血球の数を計数し、かつ/又は白血球の数を計数することを含む。場合によっては、該方法は、試料中の細胞を染色し、試料中の好中球、リンパ球、単球、好酸球及び好塩基球のうちの1種類以上の数を計数することを含むことができる。
【0112】
いくつかの実施形態において、該方法は、感染症、炎症、アレルギー、喘息、免疫障害(例えば、自己免疫障害又は免疫不全)、白血病(例えば、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ球性白血病)、骨髄異形成症候群又は骨髄増殖性新生物(例えば、骨髄線維症)のための潜在的な診断を得るために、(少なくとも好中球、好酸球及びリンパ球のため)白血球分化を実行することに用いられてもよい。
【0113】
さらに試料を分析する方法を提供する。いくつかの実施形態において、該方法は、前記装置を取得し、試料を装置の1つ又は両方のプレートに配置するステップと;プレートを閉鎖構成にして、少なくとも一部のプレートに外からの力を加えるステップと;プレートが閉鎖構成にある時に均一な厚さの層内の試料中の分析物を分析するステップと、を含むことができる。
【0114】
いくつかの実施態様において、該方法は以下のステップ(a)〜(e)を含む:
(a)試料を取得し、
(b)異なる構成になるように互いに対して移動可能な第1のプレート及び第2のプレートを取得し、
各プレートは、実質的に平坦な試料接触表面を有し、1つ又は両方のプレートは可撓性であり、前記プレートの1つ又は両方は、それぞれの試料接触表面に固定されたスペーサを含み、
スペーサが、
i.所定の実質的に均一な高さと、
ii.実質的に均一な断面及び平坦な上面を有する柱の形状と、
iii.1以上の、高さに対する幅の比と、
iv.10μm〜200μmの範囲内にある所定の一定のスペーサ間距離と、
v.1%以上の充填率と、を有し
(c)プレートが開放構成に構成されている時に、試料をプレートのうちの1つ又は両方に付着させ、
前記開放構成とは、2つのプレートが部分的に又は完全に離され、かつプレート間の距離がスペーサにより調節されない構成であり、
(d)(c)の後、2つのプレートを用いて、試料の少なくとも一部を、プレートの試料接触表面により限定された実質的に均一な厚さの層へと圧縮し、
該層の均一な厚さは、スペーサ及びプレートにより調節され、10%より小さいばらつきで1.8μm〜3μmの範囲内にある平均値を有し、
前記圧縮は、以下:
前記2つのプレートを一体に合わせることと、
閉鎖構成へと前記プレートを押し付けるように、並行して又は順次のいずれかで前記プレートのうち少なくとも1つのプレートの1つの領域を適切に押すことを含み、前記適切に押すことにより前記試料の前記少なくとも一部を介して前記プレートに略均一な圧力を発生させ、前記押すことにより前記試料の前記少なくとも一部を前記プレートの前記試料接触面間に横方向に広げ、前記閉鎖構成が、均一な厚さ領域の前記層において前記プレート間の前記距離が前記スペーサにより調節される構成であり、
(e)プレートが閉鎖構成にある時に、均一な厚さの層内の血液を分析し、
前記充填率は、総プレート面積に対するスペーサ接触面積の比であり、
前記適切に押すことは、前記プレートの外面の形状の違いに関わらず、ある領域に加えた圧力を実質的に一定にする方法であり、
前記並行して押すことは、同時に所望の領域に圧力を加え、前記順次押すことは、所定の領域の一部に圧力を加え、かつ徐々に他の領域に移行する。
【0115】
いくつかの実施形態において、該方法は、プレートを閉鎖構成にした後に、外からの力を除去するステップと、プレートを閉鎖構成にする時に、均一な厚さの層内を画像化するステップと、画像の領域内の細胞などの分析物の数を計数するステップとを含むことができる。上述のように、これらの実施形態において、スペーサ間距離は、20μm〜200μm又は5μm〜20μmの範囲にあってもよい。これらの実施形態において、スペーサの充填率とヤング率の積は、2MPa以上である。いくつかの実施形態において、表面変化は、30nmより小さい。
【0116】
いくつかの実施形態において、試料は、抗凝固剤が添加されていない希釈されていない全血である。これらの実施形態において、付着ステップ(b)は、i.ヒトの皮膚を穿刺して皮膚上に小滴の血液を放出する段階と、ii.血液移送器具を使用せずに前記小滴の血液を一つ又は両方の前記プレートと接触させる段階によって行うことができる。
【0117】
分析ステップは、例えば、赤血球の数を計数する、及び/又は白血球の数を計数することによって行うことができる。いくつかの実施形態において、該方法は、試料中の細胞を染色し、好中球、リンパ球、単球、好酸球及び好塩基球、又はそれらの任意の組み合わせの数を計数することを含むことができる。
【0118】
これらのいずれかの実施形態においても、画像化と計数は、i、均一な厚さの層内の細胞を照射するステップと;ii、CCD又はCMOSセンサを用いて、細胞の1つ以上の画像を取るステップと;iii、コンピュータを用いて画像内の細胞を識別するステップと;iv、画像の領域内の細胞の数を計数するステップによって行うことができる。
【0119】
いくつかの実施形態において、外からの力は、例えば、親指などの指を使用して押し込むことによって、又は親指と同じ手の人差し指のような別の指で挟むことによって、人間の手によって提供されてもよい。
【0120】
いくつかの実施形態において、前記方法は、均一な厚さの層内の、ナトリウム、カリウム、塩化物、重炭酸塩、血液尿素、窒素、マグネシウム、クレアチニン、グルコース、カルシウム、HDLコレステロールLDLコレステロールレベル及び/又はトリグリセリドレベルを計測することを含むことができる。このようなアッセイを行う方法の詳細は、既知の方法から適応させることができる。
【0121】
いくつかの実施形態において、1つ以上のプレートは、1つ又は両方のプレート上に塗布された乾燥試薬(例えば、結合剤、染色剤、検出剤又はアッセイ反応物)を含むことができる。
【0122】
いくつかの実施形態において、均一な厚さの試料の層は、+/−5%まで、例えば+/−2%まで、又は+/−1%までの厚さ均一性を有することができる。
【0123】
いくつかの実施形態において、スペーサは、円形、多角形、環形、正方形、長方形、長円形、楕円形又はそれらの任意の組み合わせから選択される断面形状を有する柱であってもよい。いくつかの実施形態において、スペーサ間の間隔は、ほぼ赤血球の平均厚さである。
【0124】
試料は、様々な異なる方法で分析することができる。例えば、いくつかの実施形態において、分析ステップは、赤血球、血球細胞などの血液中の細胞又は血小板を画像化することを含む。分析は、血液中のがん細胞、ウイルス又は細菌を画像化することを含む。いくつかの実施態様において、該方法は、タンパク質又は核酸の検出を含む血液分析を含むことができる。
【0125】
いくつかの実施形態において、分析は、スペーサを用いて試料の厚さを決定し、画像化によって横方向面積を決定し、かつ2D画像を用いて赤血球の面積を計算することを含む、血球を計測するステップを含むことができる。該方法は、血液中の赤血球濃度、血液中の白血球濃度、及び/又は血液中の血小板濃度を計測することを含むことができる。
【0126】
上記いずれかの実施形態において、試料は全血であってもよい。
【0127】
免疫組織化学
免疫組織化学(IHC)染色方法において、(例えば、パラホルムアルデヒド中で)組織試料を固定し、必要に応じてワックスに包埋し、100μm未満の厚さ(例えば2μm〜6μmの厚さ)の薄切片にスライスし、そしてスライドガラスのような支持体上にのせる。一旦のせられると、組織切片は、濃度が増加するアルコール洗浄剤を用いて脱水され、キシレンのような界面活性剤を用いて除去されてもよい。
【0128】
大部分のIHC方法において、一次及び二次抗体を使用することができる。そのような方法において、一次抗体は、関心対象の抗原(例えば、バイオマーカー)に結合し、かつ標識されていない。二次抗体は、一次抗体に結合し、レポーター分子又は溶液中にあるレポーター分子を動員することができるリンカー分子(例えば、ビオチン)のいずれかに直接コンジュゲートする。あるいは、一次抗体自体は、レポーター分子又は溶液中にあるレポーター分子を動員することができるリンカー分子(例えば、ビオチン)のいずれかに直接コンジュゲートすることができる。レポーター分子は、発蛍光団(例えば、FITC、TRITC、AMCA、フルオレセイン及びローダミン)と、アルカリホスファターゼ(AP)及びホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)等のような酵素とを含み、その中に様々な蛍光、発色及び化学発光基質、例えば、DAB又はBCIP/NBTがある。
【0129】
直接法において、結合緩衝液中、組織切片を標識一次抗体(例えば、FITC結合抗体)とともにインキュベートする。一次抗体は組織切片中で抗原と直接的に結合する。組織切片を洗浄して全ての未結合一次抗体を除去した後に、顕微鏡で切片を分析する。
【0130】
間接法において、組織内の標的抗原と結合する非標識一次抗体とともに、組織をインキュベートする。組織切片を洗浄して未結合一次抗体を除去した後に、一次抗体と結合する標識二次抗体とともに組織切片をインキュベートする。
【0131】
抗原の免疫組織化学的染色の後に、別の色素、例えば、
ヘマトキシリン、
ヘキスト色素及び
DAPIで組織切片を染色することにより、対比を提供する、及び/又は他の特徴を識別する。
【0132】
本装置は、組織試料に対する免疫組織化学的(IHC)染色のために用いることができる。これらの実施形態において、該装置は、
第1のプレート及び第2のプレートを含み、
前記プレートが異なる構成になるように互いに対して移動可能であり、
1つ又は両方のプレートが可撓性であり、
各プレートが、そのそれぞれの表面上に、組織試料又はIHC染色液と接触するための試料接触領域を有し、
前記第1のプレートの試料接触領域が滑らかで、かつ平坦的であり、
前記第2のプレートが、プレートに固定されかつ実質的に均一的な所定の高さと7μm〜200μmの範囲にある所定の一定のスペーサ間距離とを有するスペーサを含み、
前記構成のうち1つは開放構成であり、これは前記2つのプレートが完全に又は部分的に離され、前記プレート間の間隔がスペーサにより調節されない構成であり、
別の構成は、閉鎖構成であり、これは開放構成で試料及び前記IHC染色液を付着させた後に構成された構成であり、この閉鎖構成においては、少なくとも一部の試料が2つのプレートの間に位置し、少なくとも一部の染色液層が少なくとも一部の試料と第2のプレートとの間に位置し、そのうち、少なくとも一部の染色液層の厚さが、プレート、試料及びスペーサにより調節され、試料表面と第2のプレート表面との間には、小さいばらつきで250μm以下である平均距離を有する。
【0133】
いくつかの実施形態において、前記装置は、1つ又は両方のプレート上に塗布された乾燥IHC染色剤を含んでもよい。
【0134】
いくつかの実施形態において、前記装置は、第2のプレート上に塗布された乾燥IHC染色剤を含んでもよく、かつ該IHC染色液は、乾燥IHC染色剤を溶解させる液体を含む。前記試料の厚さが2μm〜6μmである、請求項1に記載の装置。
【0135】
さらに、以下を含む、携帯電話を用いて組織試料を迅速に染色して分析するシステムを提供する:
(a)前記のような、試料、染色液及び装置;
(b)
i.試料を検出及び/又は画像化するための1つ以上のカメラ、
ii.検出された信号及び/又は試料の画像を受信及び/又は処理し、遠隔通信するための電子機器、信号プロセッサ、ハードウェア及びソフトウェア
を含む移動通信装置;及び
(c)移動通信装置又は外部源のいずれか一方からの光源。
【0136】
さらに、以下のステップを含む、携帯電話を用いて組織試料を迅速に染色して分析する方法を提供する:
(a)組織試料と染色液を上記システムの装置に付着させ、2つのプレートを閉鎖構成にするように配置し、
(b)画像化、データ処理及び通信ためのハードウェアとソフトウェアを有する携帯電話を取得し、
(c)携帯電話により、CROF装置に配置された組織試料を分析して結果を生成し、
(d)携帯電話からの結果を、携帯電話から離れた位置に伝達する。
【0137】
さらに、以下のステップ(a)〜(d)を含む、組織試料を分析する方法を提供する:
(a)組織試料を取得し、
(b)染色液を取得し、
(b)第1のプレート及び第2のプレートを取得し、
前記プレートが異なる構成になるように互いに対して移動可能であり、
1つ又は両方のプレートが可撓性であり、
各プレートが、そのそれぞれの表面上に、組織試料又はIHC染色液と接触するための試料接触領域を有し、
第1のプレートの試料接触領域が滑らかで、平坦であり、
第2のプレートが、プレートに固定されかつ実質的に均一的な所定の高さと7μm〜200μmの範囲にある所定の一定のスペーサ間距離とを有するスペーサを含み、
(c)プレートが開放構成に構成されている時に、組織試料及び染色液をプレートに付着させ、
前記開放構成が、2つのプレートが部分的に又は完全に離され、かつプレート間の間隔がスペーサにより調節されない構成であり、
(d)(c)の後、2つのプレートを用いて少なくとも一部の組織試料及び少なくとも一部の染色液を閉鎖構成に圧縮し、
前記閉鎖構成において、少なくとも一部の試料が2つのプレートの間に位置し、少なくとも一部の染色液層が少なくとも一部の試料と第2のプレートとの間に位置し、前記少なくとも一部の染色液層の厚さが、プレート、試料及びスペーサにより調節され、試料表面と第2のプレート表面との間には、小さいばらつきで250μm以下である平均距離を有する。
【0138】
他の実施形態の全てのメリット及び利点(例えば、加速された反応、より速い結果等)を、該装置、システム及び方法に応用することができる。
【0139】
また、他の実施形態の文脈において記載された全てのパラメータ(例えば、スペーサの寸法、間隔及び形状、スペーサとプレートの可撓性、及び該装置とシステムの使用方法等)を、この部分において記載されたIHC実施形態に編入してもよい。
【0140】
例えば、いくつかの実施形態において、均一な厚さの層を調節するスペーサ(すなわち、層内でプレートを互いに離すスペーサ)は、少なくとも1%の「充填率」、例えば、少なくとも2%又は少なくとも5%を有し、該充填率は、均一な厚さの層と接触するスペーサ面積と、均一な厚さの層と接触する総プレート面積との比である。いくつかの実施形態において、均一な厚さの層を調節するスペーサについて、スペーサのヤング率にスペーサの充填率を乗算して10MPa以上であり、例えば、少なくとも15MPa又は少なくとも20MPaであり、充填率は、均一な厚さの層と接触するスペーサ面積と、均一な厚さの層と接触する総プレート面積との比である。いくつかの実施形態において、可撓性プレートの厚さに可撓性プレートのヤング率を乗算し、60〜550GPa−μmの範囲内にあり、例えば、100〜300GPa−μmである。いくつかの実施形態において、可撓性プレートについて、スペーサ間距離(ISD)の4乗を、可撓性プレートの厚さ(h)及び可撓性プレートのヤング率(E)で割り算したISD
4/(hE)は、10
6μm
3/GPa以下であり、例えば、10
5μm
3/GPa未満、10
4μm
3/GPa未満又は10
3μm
3/GPa未満である。
【0141】
いくつかの実施形態において、1つ又は両方のプレートは、プレート表面又は内部のいずれか一方に位置して該プレートの位置情報、例えば、分析される位置、又は切片を付着させる位置を提供する位置マーカーを含む。場合によっては、1つ又は両方のプレートは、プレート表面又は内部のいずれか一方に位置して切片及び/又はプレートの構造の横方向寸法情報を提供するスケールマーカーを含んでもよい。いくつかの実施形態において、1つ又は両方のプレートは、プレート表面又は内部のいずれか一方に位置して試料の画像化を支援する画像化マーカーを含む。例えば、画像化マーカーは、画像化装置の焦点を合わせるのを助け、画像化装置を装置上のある位置に向けることができる。いくつかの実施形態において、スペーサは、位置マーカー、スケールマーカー、画像化マーカー、又はそれらの任意の組み合わせとして機能することができる。
【0142】
いくつかの実施形態において、スペーサ間距離は、実質的に周期的である。場合によっては、スペーサは規則的なパターンであってもよく、隣接するスペーサ間の間隔はほぼ同じであってもよい。スペーサは、円形、多角形、環形、正方形、長方形、長円形、楕円形又はそれらの任意の組み合わせから選択される断面形状を有する柱であってもよく、いくつかの実施形態において、実質的に平坦な上面を有し、各スペーサについて、その高さに対するスペーサの横方向寸法の比は少なくとも1である。場合によっては、スペーサの最小横方向寸法は、試料中の分析物の最小寸法より小さいか又はそれに実質的に等しい。スペーサの最小横方向寸法は、0.5μm〜100μmの範囲内にあり、例えば、2μm〜50μm又は0.5μm〜10μmの範囲内にある。
【0143】
いくつかの実施形態において、スペーサは柱形状を有し、スペーサの側壁角は、少なくとも1μm、例えば少なくとも1.2μm、少なくとも1.5μm又は少なくとも2.0μmの曲率半径を有する円形状を有する。スペーサは、任意の適切な密度、例えば少なくとも1000/mm
2の密度、少なくとも2000/mm
2の密度、少なくとも5,000/mm
2の密度、又は少なくとも10,000/mm
2の密度などの少なくとも1000/mm
2の密度を有する。
【0144】
該装置において、少なくとも1つのプレートは透明であり、それによってアッセイを光学的に読み取ることを可能にする。同様に、該装置において、少なくとも1つのプレートは、可撓性ポリマーで製造されてもよく、それによってプレートをともに圧縮することによって試料を効率的に広げることを可能にする。いくつかの実施形態において、プレートを圧縮する圧力に対して、スペーサは圧縮性ではなく、及び/又は独立して、プレートのうち1つのみが可撓性である。可撓性プレートは、20μm〜200μm、例えば50μm〜150μmの範囲内の厚さを有することができる。上述したように、閉鎖位置において、均一な厚さの層の厚さは、小さな変化を有することができる。いくつかの実施形態において、変化は、10%未満、5%未満又は2%未満であってもよく、該領域の厚さが+/−10%、+/−5%又は+/−2%の平均厚さを超えないことを意味する。
【0145】
いくつかの実施形態において、第1のプレート及び第2のプレートは接続され、かつ該装置は、プレートを折り畳むことにより、開放構成から閉鎖構成に変化させることができる。いくつかの実施形態において、第1のプレート及び第2のプレートは、ヒンジにより接続されてもよく、かつ該装置は、ヒンジに沿って装置が曲がるようにプレートを折り畳むことにより、開放構成から閉鎖構成に変化させることができる。ヒンジは、プレートに取り付けられた別個の材料であってもよく、場合によっては、プレートはプレートと一体となってもよい。
【0146】
いくつかの実施形態において、該装置は、切片を非常に迅速に分析することができる。場合によっては、分析は、60秒以下、30秒、20秒以下又は10秒以下で行われてもよい。
【0147】
任意の実施形態において、乾燥結合部位は、抗体又は核酸などの捕捉剤を含むことができる。いくつかの実施形態において、放出可能な乾燥試薬は、蛍光標識された試薬、例えば蛍光標識された抗体又はロマノフスキー染色液、レーシュマン染色液、メイ‐グリンヴァルト染色液、ギムザ染色液、ジェンナー染色液、ライト染色液、又はそれらの任意の組み合わせ(例えば、ライト‐ギムザ染色液)のような細胞染色液などの標識試薬であってもよい。このような染色液は、メチオニンブルーを有するエオシンY又はエオシンBを含むことができる。いくつかの実施形態において、染色液は、ヘマトキシリンなどのアルカリ性染色液であってもよい。
【0148】
いくつかの実施形態において、(d)試料を保持し、移動通信装置に搭載されるように構成されたハウジングを、システムはさらに含むことができる。ハウジングは、移動通信装置によって試料の画像化及び/又は信号処理を容易にするための光学素子と、光学素子を移動通信装置に保持するように構成されたマウントとを含むことができる。場合によっては、試料が少なくとも2つのチャネルにおいて画像化されるように、装置の光学素子(例えば、レンズ、フィルタ、反射ミラー、プリズム又はビームスプリッタ)が移動可能であってもよい。
【0149】
いくつかの実施形態において、移動通信装置は、医療専門家(例えば、MD)、医療機関(例えば、病院又は試験研究室)又は保険会社に、検査結果を伝達するように構成される。さらに、移動通信装置は、医療専門家、医療施設、又は保険会社と対象に関する情報(例えば、対象の年齢、性別、体重、住所、名前、事前検査結果、過去の病歴など)を伝達するように構成されてもよい。いくつかの実施形態において、移動通信装置は、医療専門家から処方、診断又は勧告を受信するように構成される。例えば、いくつかの実施形態において、移動通信装置は、医療専門家が診断を与える遠隔地にアッセイ結果を送信することができる。診断は、移動通信装置を介して対象に通信することができる。
【0150】
いくつかの実施形態において、移動通信装置は、それが(a)試料の画像を取り込み、(b)画像内の検査位置及び制御位置を分析し、そして(c)検査位置の分析から得られた値を、迅速診断試験を特徴付ける閾値と比較することを可能にするハードウェア及びソフトウェアを含むことができる。場合によっては、移動通信装置は、無線又はセルラネットワークを介して遠隔地と通信する。いずれの実施形態においても、移動通信装置は携帯電話であってもよい。
【0151】
該システムは、(a)試料をシステムの装置に付着させるステップと、(b)装置に付着させた試料をアッセイして結果を生成するステップと、(c)移動通信装置からの結果を移動通信装置から離れた位置に伝達するステップとを含む方法に用いることができる。該方法は、遠隔地での結果を分析して、分析結果を提供し、また遠隔地からの分析結果を移動通信装置に伝達することを含むことができる。上述のように、分析は、遠隔地の医療専門家によって行われてもよい。また、いくつかの実施形態において、移動通信装置は、遠隔地の医療専門家から処方、診断又は勧告を受信することができる。
【0152】
本発明は、組織切片を分析する方法をさらに提供する。いくつかの実施形態において、該方法は、前記装置を取得し、切片を装置の1つ又は両方のプレートに付着させるステップと、プレートを閉鎖構成にして、少なくとも一部のプレートに外からの力を加えるステップと、プレートが閉鎖構成に場合に、均一な厚さの層内の試料を分析するステップとを含んでもよい。
【0153】
いくつかの実施態様において、該方法は以下のステップ(a)〜(d)を含む:
(a)組織切片を取得し、
(b)異なる構成になるように互いに対して移動可能な第1のプレート及び第2のプレートを取得し、
各プレートが、実質的に平坦な試料接触表面を有し、前記プレートの1つ又は両方が可撓性であり、1つ又は両方のプレートが、それぞれの試料接触表面に固定されたスペーサを含み、
スペーサが、
i.所定の実質的に均一な高さと、
ii.実質的に均一な断面及び平坦な上面を有する柱の形状と、
iii.1以上の、高さに対する幅の比と、
iv.10μm〜200μmの範囲内にある所定の一定のスペーサ間距離と、
v.1%以上の充填率と、を有し、
(c)プレートが開放構成に構成されている時に、切片を1つ又は両方のプレートに付着させ、
前記開放構成とは、2つのプレートが部分的に又は完全に離され、プレート間の間隔がスペーサにより調節されない構成であり、
(d)(c)の後、2つのプレートを用いて、切片の少なくとも一部を、プレートの試料接触表面により限定された実質的に均一な厚さの層へと圧縮し、
該層の均一な厚さが、スペーサ及びプレートにより調節され、10%より小さいばらつきで1.8μm〜3μmの範囲内にある平均値を有し、
前記圧縮が以下:
前記2つのプレートを一体に合わせることと
閉鎖構成へと前記プレートを一緒に押し付けるように、並行して又は順次のいずれかで前記プレートのうち少なくとも1つのプレートのある領域を適切に押すこと、を含み、
前記適切に押すことにより、前記試料の前記少なくとも一部を介して前記プレートに略均一な圧力を発生させ、前記押すことにより、前記試料の前記少なくとも一部を前記プレートの前記試料接触面間に横方向に広げ、前記閉鎖構成が、均一な厚さ領域の前記層において前記プレート間の前記距離が前記スペーサにより調節される構成であり、
(e)プレートが閉鎖構成にある時に、均一な厚さの層内の切片を分析し、
前記充填率が、総プレート面積に対するスペーサ接触面積の比であり、
前記適切に押すことが、前記プレートの外面の形状の違いに関わらず、ある領域に加えた圧力を実質的に一定にする方法であり、
前記並行して押すことが、同時に所望の領域に圧力を加え、前記順次押す段階が、所定の領域の一部に圧力を加え、かつ徐々に他の領域に移行する。
【0154】
いくつかの実施形態において、該方法は、プレートが閉鎖構成になった後、外からの力を除去するステップと、プレートが閉鎖構成にある時に、均一な厚さの層内の切片を画像化するステップとを含んでもよい。上述のように、これらの実施形態において、スペーサ間距離は、20μm〜200μm又は5μm〜20μmの範囲にあってもよい。これらの実施形態において、スペーサの充填率とヤング率の積は、2MPa以上である。いくつかの実施形態において、表面変化は、30nmより小さい。
【0155】
これらのいずれかの実施形態において、画像化と計数は、i、均一な厚さの層内の切片を照射するステップと、ii、CCD又はCMOSセンサを用いて、切片の1つ以上の画像を取るステップによって行うことができる。
【0156】
いくつかの実施形態において、外からの力は、例えば、親指などの指を使用して押し込むことによって、又は親指と同じ手の人差し指のような別の指で挟むことによって、人間の手によって提供されてもよい。
【0157】
いくつかの実施形態において、1つ以上のプレートは、1つ又は両方のプレート(例えば、結合剤、染色剤、検出剤又はアッセイ反応物)上に塗布された乾燥試薬を含むことができる。
【0158】
いくつかの実施形態において、均一な厚さの試料の層は、+/−5%まで、例えば+/−2%まで、又は+/−1%までの厚さ均一性を有することができる。
【0159】
いくつかの実施形態において、スペーサは、円形、多角形、環形、正方形、長方形、長円形、楕円形又はそれらの任意の組み合わせから選択される断面形状を有する柱であってもよい。
【0160】
「圧縮調節開放流」(CROF)
本発明の多くの実施形態は、「圧縮調節開放流」(CROF)という方法とCROFを実行するデバイスを用いて、試料及び/又は試薬の幾何学的サイズ、位置、接触面積及び混合を操作する。
【0161】
用語「圧縮開放流COF」とは、(i)他のプレートを少なくとも一部の試料の頂部に配置し、(ii)その後に2つのプレートを対向して押して2つのプレートの間の試料を圧縮することにより、プレートに付着させた流動可能試料の形状を変化させる方法を指し、該圧縮は、少なくとも一部の試料の厚さを減少させることにより、前記試料がプレートの間の開放空間に流入する。
【0162】
用語「圧縮調節開放流」又は「CROF」(又は「自己較正圧縮開放流」又は「SCOF」又は「SCCOF」)とは、特定のタイプのCOFを指し、圧縮後に試料の一部又は全体の最終厚さは、2つのプレートの間に配置されたスペーサによって「調節」される。
【0163】
CROFにおいて、「試料の一部又は全体の最終厚さはスペーサによって調節される」という用語は、CROF中に特定の試料の厚さに達すると、2つのプレートの相対移動を停止させ、これにより試料の厚さの変化も停止し、特定の厚さがスペーサによって決定されることを指す。
【0164】
図1に示すように、CROF方法の一実施形態は、以下のステップ(a)〜(d)を含む:
(a)流動可能な試料を取得し、
(b)異なる構成になるように互いに対して移動可能な第1のプレート及び第2のプレートを取得し
それぞれのプレートが実質的に平坦な試料接触表面を有し、前記プレートの1つ又は両方が、所定の高さを有して対応する試料接触表面に位置するスペーサを含み、
(c)プレートが開放構成に構成されている時に、プレートのうちの1つ又は両方に試料を付着させ、
前記開放構成とは、2つのプレートが部分的に又は完全に離され、プレート間の間隔がスペーサにより調節されない構成であり、
(d)(c)の後、プレートを閉鎖構成にして前記試料を広げ、
閉鎖構成において、プレートが互いに対向して、スペーサ及び試料の関連体積がプレートの間に位置し、試料の関連体積の厚さがプレート及びスペーサにより調節され、関連体積が前記試料の全体積の少なくとも一部であり、かつ試料を広げている間は、試料が2つのプレートの間に横方向に流動する。
【0165】
特に断らない限り、用語「プレート」とは、CROFプロセスにおいて使用されるプレートを指し、それは使用可能な表面を有する固体であり、2つのプレートの間に配置された試料を他のプレートとともに圧縮して試料の厚さを減少させる。
【0166】
用語「プレート」又は「プレートの対」とは、CROFプロセスにおける2つのプレートを指す。
【0167】
用語「第1のプレート」又は「第2のプレート」とは、CROFプロセスにおいて使用されるプレートを指す。
【0168】
用語「プレートが互いに対向する」とは、一対のプレートが少なくとも部分的に、互いに対向する場合を指す。
【0169】
特に断らない限り、用語「スペーサ」又は「ストッパ」とは、2つのプレートの間に配置される場合、2つのプレートが共に圧縮される時に到達可能な2つのプレートの間の最小間隔の制限を設定する機械的な物体を指す。すなわち、圧縮の際に、スペーサは、プレート間の間隔がプリセット値(すなわち、所定値)よりも小さくならないように2つのプレートの相対移動を停止させる。スペーサは、「開放スペーサ」と「密閉スペーサ」という二種類のタイプを有する。
【0170】
用語「開放スペーサ」とは、液体が該スペーサの全周囲に流動しかつスペーサをわたって流れることを可能にする形状を有するスペーサを意味する。例えば、柱は開放スペーサである。
【0171】
用語「密閉スペーサ」とは、液体が該スペーサの全周囲に流動しかつスペーサをわたって流れることができない形状を有するスペーサを意味する。例えば、リング状スペーサはリング内液体用の密閉スペーサであり、リング状スペーサ内の液体はリング内に留まり、外部(外周囲)に出ることができない。
【0172】
用語「スペーサが所定の高さを有する」、及び「スペーサが所定のスペーサ間の距離を有する」とは、それぞれCROFプロセスの前にスペーサの高さとスペーサ間の距離の値が既知であることを意味する。CROFプロセスの前に、スペーサの高さとスペーサ間の距離の値が既知で無い場合、それらは予め設定されない。例えば、プレートにスペーサとしてビーズを散布し、ビーズがプレートのランダムな位置に止まる場合、スペーサ間の距離は予め設定されない。スペーサ間の距離が予め設定されない別の事例は、スペーサがCROFプロセス中に移動することである。
【0173】
CROFプロセスにおける用語「スペーサがその対応するプレートに固定される」とは、スペーサがプレートのある位置に取り付けられ、かつCROF中に該位置との取り付けを維持する(すなわち、各プレート上のスペーサの位置が変化しない)ことを意味する。「スペーサがその対応するプレートに固定される」の一事例は、スペーサがプレート材料で一体的に作られ、かつCROF中にスペーサのプレート表面に対する位置が変化しないことである。「スペーサがその対応するプレートに固定されない」の一事例は、スペーサが接着剤によりプレートに接着されるが、プレートを使用する時に、CROF中に接着剤がスペーサをそのプレート表面上の元の位置に維持せず、スペーサがそのプレート表面上の元の位置から離れることである。
【0174】
用語「スペーサがプレートに一体的に固定される」とは、スペーサとプレートの挙動が、一体式の物体であるように、使用中に、スペーサがそのプレート上の元の位置から移動したり離れたりしないことを意味する。
【0175】
CROFプロセスにおける2つのプレートの「開放構成」という用語は、二つのプレートが部分的に又は完全に離され、プレート間の間隔がスペーサにより調節されないという構成を意味する。
【0176】
CROFプロセスにおける2つのプレートの「閉鎖構成」という用語は、プレートが互いに対向して、スペーサ及び試料の関連体積がプレートの間に位置し、試料の関連体積の厚さがプレート及びスペーサにより調節される構成を意味し、前記関連体積は前記試料の全体の体積の少なくとも一部である。
【0177】
CROFプロセスにおける用語「試料の厚さをプレート及びスペーサにより調節する」とは、プレート、試料、スペーサ及びプレート圧縮方法の所与の条件に対して、プレートの閉鎖構成で、少なくとも一部の試料の厚さをスペーサ及びプレートの特性に基づいて予め設定することができることを指す。
【0178】
CROF装置中のプレートについての用語「内表面」又は「試料表面」とは、試料と接触するプレートの表面を指し、プレートの他の表面(試料と接触しない」は「外表面」と呼ばれる。
【0179】
CROF装置の「X‐プレート」という用語は、プレートの試料表面上に存在するスペーサを含むプレートを指し、前記スペーサは、所定のスペーサ間距離とスペーサの高さを有し、かつ少なくとも1つのスペーサは試料接触領域内にある。
【0180】
用語「CROF装置」とは、CROFプロセスを実行する装置を指す。用語「CROFを行う」とは、CROFプロセスを使用することを意味する。例えば、用語「試料にCROFを行う」とは、試料をCROF装置内に入れて、CROFプロセスを実行することを意味し、特に明記しない限り、該試料をCROFの最終構成に保持する。
【0181】
用語「CROFプレート」とは、CROFプロセスの実行に使用される2つのプレートを指す。
【0182】
平坦な表面についての用語「表面平滑度」又は「表面平滑度変化」とは、数マイクロメートル又はそれ以下の短距離の、平坦な表面と、完全に平坦な表面との平均偏差を指す。表面平滑度は、表面平坦度変化とは異なる。平坦な表面は、良好な表面平坦度を有するが、その表面平滑度が低い。
【0183】
平坦な表面についての用語「表面平坦度」又は「表面平坦度変化」とは、10μm又はそれ以上の長距離の、平坦な表面と、完全に平坦な表面との平均偏差を指す。表面平坦度変化は、表面平滑度とは異なる。平坦な表面は、良好な表面平滑度を有するが、その表面平坦度が低い(すなわち、その表面平坦度変化が大きい)。
【0184】
プレート又は試料についての用語「相対的な表面平坦度」とは、プレートの表面平坦度変化と最終的試料厚さとの比を指す。
【0185】
特に断らない限り、CROFプロセスにおける用語「最終的試料厚さ」とは、CROFプロセス中のプレートの閉鎖構成における試料の厚さを指す。
【0186】
CROFにおける用語「圧縮方法」とは、2つのプレートを開放構成から閉鎖構成にする方法を指す。
【0187】
プレートについての用語「関心対象領域」又は「関心のある領域」とは、プレートが実行する機能に関連するプレートの領域を指す。
【0188】
用語「最大」とは、「それ以下」を意味する。例えば、スペーサの高さが最大1μmであり、これはスペーサの高さが1μm以下であることを意味する。
【0189】
用語「試料面積」とは、プレート間の空間とほぼ平行でありかつ試料の厚さに垂直な方向における、試料の面積を指す。
【0190】
用語「試料厚さ」とは、互いに対向するプレートの表面に垂直な方向(例えば、プレートの間の距離の方向)における、試料寸法を意味する。
【0191】
用語「プレートの間の距離」とは、2つのプレートの内表面間の距離を指す。
【0192】
CROFにおける用語「最終的な試料の厚さの偏差」とは、所定のスペーサの高さ(スペーサの製造により決定される)と、最終的な試料厚さの平均値との間の差を意味し、その平均の最終的な試料の厚さは、所定の領域の平均値(例えば、1.6cm×1.6cmの領域における25個の異なる点(距離が4mmである)の平均値)である。
【0193】
CROFプロセスにおける用語「計測された最終的試料厚さの均一性」とは、所定の試料領域において計測された最終的試料厚さの標準偏差(例えば、平均値に対する標準偏差)を意味する。
【0194】
CROFプロセスにおける用語「試料の関連体積」及び「試料の関連面積」とは、CROFプロセス中の、プレートに付着した試料の一部又は全体の、それぞれ体積及び面積を指し、それは対応する方法又は装置によって実行され、分析物又は実体の結合時間の減少、分析物の検出、体積の定量化、濃度の定量化、試薬の混合又は濃度(分析物、実体又は試薬)制御を含むが、これらに限定されない機能に関連する。
【0195】
別途指摘されない限り、用語「いくつかの実施形態」、「いくつかの実施形態において」、「本発明のいくつかの実施形態において」、「実施形態」、「1つの実施形態」、「他の実施形態」、「特定の実施形態」、「多くの実施形態」などは、全ての開示内容(すなわち全発明)に応用された実施形態である。
【0196】
別途指摘されない限り、CROFプロセスにおける物体の、用語「高さ」又は「厚さ」とは、プレートの表面と垂直な方向における物体の寸法を指す。例えば、スペーサの高さとは、プレートの表面と垂直である方向におけるスペーサの寸法であり、スペーサの高さ及びスペーサの厚さとは、同じものを意味する。
【0197】
別途指摘されない限り、CROFプロセスにおける物体の、用語「面積」とは、プレートの表面と平行な物体の面積を指す。例えば、スペーサの面積とは、プレートの表面に平行なスペーサの面積を指す。
【0198】
別途指摘されない限り、CROFプロセスにおける用語「横方向」又は「横に」とは、プレートの表面と平行な方向を指す。
【0199】
別途指摘されない限り、CROFプロセスにおける用語「幅」とは、スペーサの横方向の寸法を指す。
【0200】
用語「試料内のスペーサ」は、スペーサが試料により取り囲まれる(例えば、試料内の柱状スペーサである)を意味する。
【0201】
CROFプロセスにおけるプレートの用語「臨界湾曲スパン」とは、2つの支持具間のプレートのスパン(すなわち、距離)を指し、所定の可撓性プレート、試料、圧力について、プレートの湾曲は、許容可能な湾曲と等しい。例えば、所定の可撓性プレート、試料及び圧力について、許容可能な湾曲が50nmであり、臨界湾曲スパンが40μmである場合、40μm離れた2つの隣接するスペーサの間のプレートの湾曲が50nmであり、かつ2つの隣接するスペーサが40μmより小さい場合、湾曲が50nmより小さい。
【0202】
試料に関する用語「流動可能」とは、試料の厚さが減少する場合、その横方向寸法が増加することを意味する。例えば、糞便試料は流動可能であると考えられる。
【0203】
本発明のいくつかの実施形態において、試料の厚さがCROFプロセスにおいて減少できる限り、CROFプロセスにおける試料は流動可能である必要がなく、従ってプロセスから利益を受ける。例えば、CROFプレートの表面に色素を載置することによって組織を染色し、CROFプロセスにおいて組織の厚さを減少させることで、色素による染色の飽和インキュベーション時間を加速させる。
【0204】
1.結合又は混合時間(X)の減少(短縮)
アッセイ又はその他の化学反応を行うインキュベーション/反応時間の減少が必要である。例えば、プレート表面に固定化された捕捉剤(すなわち固相)により試料中の標的分析物を捕捉する表面固定化アッセイにおいては、一般的に、試料中の標的分析物を捕捉するための飽和インキュベーション時間が短く、又は溶液における捕捉剤及び検出剤をプレート表面に固定化する時間が短く、又は両方がいずれも短いことが望ましい。別の事例は、捕捉剤をプレート表面に塗布する時間を短縮する需要である。別の事例は、試薬と試料との混合時間を短縮する需要である。
【0205】
本発明は、試料中の実体を固体表面上の結合部位に結合するために必要な飽和インキュベーション時間(すなわち実体の、体積から表面への時間)を減少(すなわち短縮)させる方法及び装置を提供する。本発明の別の態様は、プレートの表面に貯蔵された実体を他のプレート表面上の結合部位に結合するために要する時間(すなわち実体の、1つの表面から別の表面への時間)を短縮することである。本発明の別の様態は、表面に貯蔵された試薬を一定の体積の試料に添加/混合するために要する時間(すなわち試薬の、表面から一定の体積の試料に添加/混合する時間)を短縮することである。
【0206】
本発明は、試料(又は液体)を薄い厚さに広げる装置及び方法を用いることにより、アッセイにおける結合及び/又は混合の飽和インキュベーション時間を減少させ、これにより実体が試料厚さにわたって拡散する時間を減少させる。材料(例えば、液体又は固体又は半固体)における実体の拡散時間は、拡散距離の平方に正比例し、従って試料厚さの減少により拡散距離を減少させることができ、拡散時間及び飽和インキュベーション時間の急激減少を引き起こすことができる。薄い厚さ(例えば、狭い密閉空間)も、実体と、材料における他の実体との衝突頻度を上げ、それにより結合及び混合をさらに強化させる。本発明における方法は、さらに試料厚さの減少を、正確に、均一に、迅速かつ簡単(操作ステップがより少ない)にし、試料厚さをミクロン又はナノメートルの厚さに減少させることに適用される。これらの発明は迅速で、低コストで、PoC、診断及び化学/生物分析の面に、高い実用性を有する。
図1〜4は本発明のいくつかの実施形態を示す。
【0207】
1.1 試料の厚さを減少させることによる、試料中の実体を固体表面上の結合部位に結合するために必要な飽和インキュベーション時間の減少
X1.
図1〜2、3a及び4aに示すように、試料中の標的実体をプレート表面にある結合部位に結合するために必要な飽和インキュベーション時間を減少させる方法は、以下のステップ(a)〜(d)を含む:
(a)流動可能かつ試料内に拡散できる標的実体を含有する試料を取得し、
(b)異なる構成になるように互いに対して移動可能な第1のプレート及び第2のプレートを取得し、
前記第1のプレートが、その表面に標的実体に結合するように構成された結合部位を有し、前記プレートの1つ又は両方が、その対応するプレートに固定されかつ所定の高さを有するスペーサを含み、
(c)プレートが開放構成に構成されている時に、プレートのうちの1つ又は両方に試料を付着させ、
前記開放構成とは、2つのプレートが部分的に又は完全に離され、プレート間の間隔がスペーサにより調節されない構成であり、
(d)(c)の後、プレートを閉鎖構成にして試料を広げ、
閉鎖構成において、プレートが互いに対向して、スペーサ及び試料の関連体積がプレートの間に位置し、結合部位が関連体積と接触し、試料の関連体積の厚さがプレート及びスペーサにより調節され、該厚さが、プレートが開放構成にある時の試料の最大の厚さよりわずかに薄く、
前記関連体積が、試料の一部又は全体積であり、
減少した試料厚さにより、関連体積中の標的実体を結合部位に結合するための飽和インキュベーション時間が減少する。
【0208】
所定の試料体積に対して、CROFは試料厚さを減少させるが、試料の横方向寸法を増加させる。本発明は、以上の事実を用いて、(a)試料の一部における局所的な結合又は混合を行い、(b)流体バリアがない場合では、複数の結合又は混合部位の多重化を行って、試料流体を異なる隔離液嚢に分離させる。
【0209】
X2.
図1〜2、3a及び4aに示すように、試料の関連体積中の標的実体を表面に結合するために必要な飽和インキュベーション時間を減少させる装置は、
(a)異なる構成になるように互いに対して移動可能で、(b)各プレートが試料と接触するための試料接触領域を有し、該試料が試料関連体積に標的実体を有し、(c)プレートの1つが標的実体を結合する結合部位を有し、(d)プレートの少なくとも1つがスペーサを含み、スペーサが所定のスペーサ間距離及び高さを有し、かつそれぞれの表面に固定され、スペーサの少なくとも1つが試料接触領域内に位置するという特徴を有する、第1のプレート及び第2のプレートを含み、
前記構成の1つは、2つのプレートが部分的に又は完全に離され、プレート間の間隔がスペーサにより調節されない開放構成であり、
別の構成は、開放構成で試料を付着させた後に構成された閉鎖構成であり、前記閉鎖構成で、プレートが互いに対向し、スペーサ及び試料の関連体積がプレートの間に位置し、結合部位が関連体積と接触し、かつ試料の関連体積の厚さがプレート及びスペーサにより調節され、プレートが開放構成にある時に、該厚さが試料の最大の厚さより小さく、前記関連体積が、試料の部分又は全体の体積であり、かつ前記減少した試料厚さにより、関連体積中の標的実体を結合部位に結合するための飽和インキュベーション時間が減少する。
【0210】
1.2 プレートの表面に貯蔵された実体を他のプレート表面上の結合部位に結合するために必要な飽和インキュベーション時間の減少
X3.
図1、3c及び4bに示すように、プレートの貯蔵部位に貯蔵された実体を別のプレートにある関連結合部位に結合するための飽和インキュベーション時間を減少させる方法は、以下のステップ(a)〜(d)を含む:
(a)異なる構成になるように互いに対して移動可能な第1のプレート及び第2のプレートを取得し、
前記第1のプレートがその表面に結合部位を有し、前記第2のプレートがその表面に結合部位に結合する実体を含む貯蔵部位を有し、前記結合部位の面積及び貯蔵部位の面積がそのそれぞれのプレートの面積より小さく、かつ前記プレートの1つ又は両方が、各々がそのそれぞれプレートで固定されかつ所定の高さを有するスペーサを含み、
(b)貯蔵部位にある実体が溶解かつ拡散できる搬送媒体を取得し、
(c)プレートが開放構成に構成されている時に、プレートのうちの1つ又は両方に搬送媒体を付着させ、
前記開放構成とは、2つのプレートが部分的に又は完全に離され、プレート間の間隔がスペーサにより調節されない構成であり
(d)(c)の後、プレートを閉鎖構成にして試料を広げ、
閉鎖構成で、プレートが互いに対向して、スペーサ、結合部位、貯蔵部位及び少なくとも一部の搬送媒体がプレートの間に位置し、結合部位が貯蔵部位と少なくとも部分的に重なり、搬送媒体が結合部位と貯蔵部位の少なくとも一部と接触し、搬送媒体の厚さがプレート及びスペーサにより調節され、該厚さが、プレートが開放構成にある時の搬送媒体の最大の厚さよりわずかに薄く、
搬送媒体の減少した厚さにより第2のプレートに貯蔵された実体を第1のプレート上の結合部位に結合するために必要な時間を減少させる。
【0211】
X4.
図1、3c及び4bに示すように、1つのプレートの貯蔵部位に貯蔵された実体を別のプレート上の結合部位に結合するための飽和インキュベーション時間を減少させる装置は、
異なる構成になるように互いに対して移動可能な第1のプレート及び第2のプレートを含み、前記第1のプレートはその表面に結合部位を有し、前記第2のプレートはその表面に結合部位に結合する実体を含む貯蔵部位を有し、前記結合部位の面積及び貯蔵部位の面積はそのそれぞれのプレートの面積より小さく、かつ前記プレートの1つ又は両方は、各々がそのそれぞれプレートで固定され、かつ所定の高さを有するスペーサを含み、
前記構成の1つは、2つのプレートが部分的に又は完全に離され、プレート間の間隔がスペーサにより調節されず、搬送媒体が前記プレートの1つ又は両方に付着し得る開放構成であり、貯蔵部位上の実体は搬送媒体内に溶解でき、かつ拡散でき、
別の構成は、開放構成で搬送媒体を付着させた後に構成された閉鎖構成であり、閉鎖構成において、プレートは互いに対向して、スペーサ、結合部位、貯蔵部位及び少なくとも一部の搬送媒体がプレートの間に位置し、結合部位は貯蔵部位と少なくとも部分的に重なり、搬送媒体は結合部位と貯蔵部位の少なくとも一部と接触し、搬送媒体の厚さはプレート及びスペーサにより調節され、プレートが開放構成にある時に、該厚さは搬送媒体の最大の厚さよりわずかに薄く、
搬送媒体の減少した厚さにより、第2のプレートの貯蔵部位上の実体を第1のプレート上の結合部位に結合するための飽和インキュベーション時間が減少する。
【0212】
いくつかの実施形態において、段落X3の方法及び段落X4の装置において、搬送媒体は実体又は試薬又は両者が拡散する液体を含む。
【0213】
いくつかの実施形態において、段落X3の方法及び段落X4の装置において、搬送媒体は、結合部位に結合する分析物(標的分析物とも呼ばれる)を含む試料である。
【0214】
いくつかの実施形態において、段落X3の方法及び段落X4の装置において、搬送媒体は、結合部位に結合する分析物(標的分析物とも呼ばれる)を含む試料であり、試料は、分析物に結合する検出剤である。
【0215】
1.3 表面に貯蔵された試薬を液体試料に添加(混合)するための時間の減少
多くのアッセイは、試料(液体を含む)に試薬を添加する必要がある。一般的に試料又は液体に添加された試薬の濃度を制御する必要がある。簡単かつ/又は低コストでこのような試薬の添加及び濃度制御を実行する新たな方法を必要とする。所望の試薬添加の2つの実例は、(a)抗凝固剤及び/又は染色試薬を血液試料に添加する血球計数、及び(b)検出剤を添加して溶液における標的分析物を結合する免疫学的アッセイである。
【0216】
本発明の一態様は、このような試薬の添加及び濃度制御を簡単かつ/又は低コストにする方法、装置及びシステムである。本発明の一実施形態において、まず試薬層(例えば乾燥された試薬層)をCROF装置のプレート表面に載置し、次に試料をCROF装置に付着させて、CROFプロセスで試料を試薬と接触させ、かつ試料の厚さを、CROFプレートが開放構成にある時の試料の厚さよりも薄くさせる。試料厚さを減少させることにより、試薬の表面から全試料への拡散時間を減少させ、これにより試薬と試料混合の時間を減少させる。
【0217】
X5.
図1、3b及び4cに示すように、プレート表面に貯蔵された試薬を試料と混合するための時間を減少させる方法は、以下のステップ(a)〜(d)を含む:
(a)異なる構成になるように互いに対して移動可能な第1のプレート及び第2のプレートを取得し、
前記第1のプレートが、その表面に試料に添加される試薬を含む貯蔵部位を有し、該試薬が試料内に溶解し、かつ試料内に拡散でき、2つのプレートの1つ又は両方がスペーサを含み、かつ各スペーサがそのそれぞれのプレートで固定され、かつ所定の高さを有し、
(b)試料を取得し、
(c)プレートが開放構成に構成されている時に、プレートのうちの1つ又は両方に試料を付着させ、
前記開放構成とは、2つのプレートが部分的に又は完全に離され、プレート間の間隔がスペーサにより調節されない構成であり、
(d)(c)の後、プレートを閉鎖構成にして前記試料を広げ、
閉鎖構成で、プレートが互いに対向して、スペーサ、貯蔵部位及び試料の少なくとも一部がプレートの間に位置し、試料が貯蔵部位の少なくとも一部と接触し、貯蔵部位上の試料厚さがプレート及びスペーサにより調節され、該厚さが、プレートが開放構成にある時の試料の最大の厚さよりわずかに薄く、
試料の減少した厚さにより、貯蔵部位上の試薬と試料を混合するための時間が減少する。
【0218】
段落X5の方法において、プレートが閉鎖構成にある時にインキュベーションを行うステップがさらに含まれ、インキュベーション時間は、試料内に溶解した大量の試薬が試料の関連体積内に含まれるように選択される。ここで、関連体積とは、貯蔵部位に位置する試料の体積を指し、インキュベーションとは、試薬が試料内に溶解及び拡散することを可能にする過程を指す。
【0219】
段落X5の方法は、ステップ(d)の後、プレートが閉鎖構成にある時に、閉鎖構成にある時のプレートによって調節された試料の厚さにわたって試料中の試薬が拡散する時間の因子倍以下の時間でインキュベーションし、次にインキュベーションを停止させるステップをさらに含み、ここで前記インキュベーションは、試薬が試料内に拡散することを可能にし、前記因子は、0.0001、0.001、0.01、0.1、1、1.1、1.2、1.3、1.5、2、3、4、5、10、100、1000、10000又はこれらの値の間の任意の範囲である。例えば、因子が1.1で拡散時間が20秒であれば、インキュベーション時間は22秒以下である。好ましい実施形態において、因子は0.1、1、1.5又はこれらの値の間の任意の範囲である。
【0220】
X6.
図1、3b及び4cに示すように、プレート表面に貯蔵された試薬を試料内に添加するための時間を減少させる装置は、
異なる構成になるように互いに対して移動可能な第1のプレート及び第2のプレートを含み、前記第1のプレートは、その表面に試料に添加される試薬を含む貯蔵部位を有し、該試薬は試料内に溶解し、かつ試料内に拡散でき、プレートの1つ又は両方はスペーサを含み、かつ各スペーサはそのそれぞれのプレートで固定され、所定の高さを有し、
前記構成の1つは、2つのプレートが部分的に又は完全に離され、プレート間の間隔がスペーサにより調節されず、試料が前記プレートの1つ又は両方に付着する開放構成であり、
別の構成は、開放構成で搬送媒体を付着させた後に構成された閉鎖構成であり、閉鎖構成において、プレートは互いに対向して、スペーサ、貯蔵部位及び試料の少なくとも一部がプレートの間に位置し、試料は貯蔵部位の少なくとも一部と接触し、貯蔵部位上の試料の厚さはプレート及びスペーサにより調節され、プレートが開放構成にある時に、該厚さは試料の最大の厚さよりも薄く、
試料の減少した厚さにより、貯蔵部位上の試薬と試料を混合するための時間を減少させる。
【0221】
段落X1〜6のいずれか1つの段落に記載の方法又は装置において、いくつかの実施形態において、試料の関連体積は、結合部位又は貯蔵部位に位置する(すなわち、その頂部に位置する)試料の体積である。
【0222】
段落X1〜6のいずれか1つの段落に記載の方法又は装置において、いくつかの実施形態において、試料の関連体積は、結合部位又は貯蔵部位の全領域又は一部の領域に位置する(すなわち、その頂部に位置する)試料の体積である。
【0223】
段落X1〜6のいずれか1つの段落に記載の方法又は装置において、いくつかの実施形態において、閉鎖構成における試料厚さに対する結合部位又は貯蔵部位の横方向寸法の比は、1.53以上、3以上、5以上、10以上、20以上、30以上、50以上、100以上、200以上、1000以上、10,000以上、又はこれらの値のいずれか2つの間の範囲である。
【0224】
段落X1〜6のいずれか1つの段落に記載の方法又は装置において、閉鎖構成における試料厚さに対する結合部位又は貯蔵部位の横方向寸法の比は、好ましい実施形態において3〜20の間であり、別の好ましい実施形態において20〜100の間であり、別の好ましい実施形態において100〜1000の間であり、また、別の好ましい実施形態において1000〜10000の間である。
【0225】
段落X1及びX3のいずれか1つの段落に記載の方法において、いくつかの実施形態において、最終的に減少した試料厚さは、結合部位の面積上の試料厚さよりも顕著に小さいことによって、結合部位の外に位置する試料領域における実体を結合部位に結合するための、より長い時間を必要とする。適切なインキュベーション時間を選択した場合、結合部位に結合された実体は、主に結合部位に位置する(すなわち、ちょうど結合領域上にある試料体積)試料体積中の実体である。次に、試料中の実体濃度の計算は、試料厚さ及び結合部面積に基づく。
【0226】
段落X5の方法において、いくつかの実施形態において、最終的に減少した試料厚さは、貯蔵部位の面積上の試料厚さより顕著に小さいことにより、結合部位の外に位置する試料領域における実体を結合部位に結合するためのより長い時間を必要とする。
【0227】
適切なインキュベーション時間を選択した場合、結合部位に結合された実体は、主に結合部位に位置する(すなわち、ちょうど結合領域上にある試料体積)試料体積中の実体である。次に、試料中の実体濃度の計算は、試料厚さ及び結合部面積に基づく。
【0228】
段落X2、X4、X6のいずれか1つの段落に記載の方法において、プレートを開放構成から閉鎖構成にする圧縮装置をさらに含む。いくつかの実施形態において、圧縮装置は、本開示に記載の実施形態の1つ又は任意の組み合わせである。
【0229】
段落X2、X4、X6のいずれか1つの段落に記載の方法において、プレートを開放構成から閉鎖構成にする圧縮装置と、プレートを閉鎖構成に保持するように構成された保持装置とを含む。いくつかの実施形態において、保持装置は、本開示に記載の実施形態の1つ又は任意の組み合わせである。
【0230】
段落X2、X4、X6のいずれか1つの段落に記載の方法において、プレートを開放構成から閉鎖構成にする圧縮装置と、0.001秒以下、0.01秒以下、0.1秒以下、1秒以下、5秒以下、10秒以下、20秒以下、30秒以下、40秒以下、1分間以下、2分間以下、3分間以下、5分間以下、10分間以下、20分間以下、30分間以下、60分間以下、90分間以下、120分間以下、180分間以下、250分間以下、又はこれらの値のいずれか2つの間の範囲内の時間でプレートを閉鎖構成に保持するように構成された保持装置とを含む。
【0231】
段落X2、X4、X6のいずれか1つの段落に記載の方法において、プレートを開放構成から閉鎖構成にする圧縮装置と、好ましい実施形態において、0.001秒以下、0.01秒以下、0.1秒以下、1秒以下、5秒以下、10秒以下、20秒以下、30秒以下、40秒以下、1分間以下、2分間以下、3分間以下、又はこれらの値のいずれか2つの間の範囲内の時間でプレートを閉鎖構成に保持するように構成された保持装置とを含む。
【0232】
最終的な試料厚さ プレートの閉鎖構成における最終的な試料厚さは、飽和インキュベーション時間を減少させる重要な要素である可能性がある。プレートの調節された間隔に関して論じられるように、試料厚さの減少/変形後の最終的な試料厚さは、実体及び試料の性質と用途に依存する。
【0233】
いくつかの実施形態において、最終的な試料厚さは、約0.5μm(マイクロメータ)未満、約1μm未満、約1.5μm未満、約2μm未満、約4μm未満、約6μm未満、約8μm未満、約10μm未満、約12μm未満、約14μm未満、約16μm未満、約18μm未満、約20μm未満、約25μm未満、約30μm未満、約35μm未満、約40μm未満、約45μm未満、約50μm未満、約55μm未満、約60μm未満、約70μm未満、約80μm未満、約90μm未満、約100μm未満、約110μm未満、約120μm未満、約140μm未満、約160μm未満、約180μm未満、約200μm未満、約250μm未満、約300μm未満、約350μm未満、約400μm未満、約450μm未満、約500μm未満、約550μm未満、約600μm未満、約650μm未満、約700μm未満、約800μm未満、約900μm未満、約1000μm(1mm)未満、約1.5mm未満、約2mm未満、約2.5mm未満、約3mm未満、約3.5mm未満、約4mm未満、約5mm未満、約6mm未満、約7mm未満、約8mm未満、約9mm未満、約10mm未満、又はこれらの値のいずれか2つの間の範囲である。
【0234】
いくつかの実施形態において、閉鎖構成における最終的な試料厚さは、0.5μm(ミクロン)未満、1μm未満、5μm未満、10μm未満、20μm未満、30μm未満、50μm未満、100μm未満、200μm未満、300μm未満、500μm未満、800μm未満、200μm未満、1mm(ミリメートル)未満、2mm(ミリメートル)未満、4mm(ミリメートル)未満、8mm(ミリメートル)未満、又はこれらの値のいずれか2つの間の範囲である。
【0235】
特定の実施形態において、Q方法は、最終的な試料厚さを均一にし、かつ第1のプレート及び第2のプレートの平坦な表面を用いる。
【0236】
本発明において、試料のインキュベーションは、振盪の有無にかかわらず、様々な温度、湿度、気体環境及び様々な持続時間で行われる。
【0237】
インキュベーション時間 段落X1及びX3のいずれか1つの段落に記載の方法は、ステップ(d)の後、プレートが閉鎖構成にある時に、実体が閉鎖構成にある時のプレートにより調節される試料の厚さにわたって試料において拡散した時間の因子倍以下の時間でインキュベーションし、次にインキュベーションを停止させるステップをさらに含み、ここで前記インキュベーションは、実体を結合部位に結合することを可能にし、前記因子は、0.0001、0.001、0.01、0.1、1、1.1、1.2、1.3、1.5、2、3、4、5、10、100、1000、10000又はこれらの値の間の任意の範囲である。例えば、因子が1.1で拡散時間が20秒であれば、インキュベーション時間は22秒以下である。好ましい実施形態において、因子は0.1、1、1.5又はこれらの値の間の任意の範囲である。
【0238】
段落X5のいずれか1つの段落に記載の方法は、ステップ(d)の後、プレートが閉鎖構成にある時に、実体が閉鎖構成にある時のプレートにより調節される試料の厚さにわたって試料において拡散した時間の因子倍以下の時間でインキュベーションし、次にインキュベーションを停止させるステップをさらに含み、ここで前記インキュベーションは、実体を結合部位に結合することを可能にし、前記因子は、0.0001、0.001、0.01、0.1、1、1.1、1.2、1.3、1.5、2、3、4、5、10、100、1000、10000又はこれらの値の間の任意の範囲である。例えば、因子が1.1で拡散時間が20秒であれば、インキュベーション時間は22秒以下である。好ましい実施形態において、因子は0.1、1、1.5又はこれらの値の間の任意の範囲である。
【0239】
段落X1、X3及びX5のいずれか1つの段落に記載の方法又は段落X2、X4及びX6のいずれか1つの段落に記載の装置において、少なくとも1つのスペーサは試料接触領域内に位置する。
【0240】
段落X1、X3及びX5のいずれか1つの段落に記載の方法又は段落X2、X4及びX6のいずれか1つの段落に記載の装置において、スペーサは所定のスペーサ間距離を有する。
【0241】
段落X1、X3、X5のいずれか1つの段落に記載の方法において、プレートが開放構成にある時のインキュベーションステップをさらに含み、ここで飽和インキュベーション時間は、0.001秒以下、0.01秒以下、0.1秒以下、1秒以下、5秒以下、10秒以下、20秒以下、30秒以下、40秒以下、1分間以下、2分間以下、3分間以下、5分間以下、10分間以下、20分間以下、30分間以下、60分間以下、90分間以下、120分間以下、180分間以下、250分間以下、又はこれらの値のいずれか2つの間の範囲である。
【0242】
段落X1、X3、X5のいずれか1つの段落に記載の方法において、閉鎖構成で減少した試料厚さでの飽和インキュベーション時間は、0.001秒以下、0.01秒以下、0.1秒以下、1秒以下、5秒以下、10秒以下、20秒以下、30秒以下、40秒以下、1分間以下、2分間以下、3分間以下、5分間以下、10分間以下、20分間以下、30分間以下、60分間以下、90分間以下、120分間以下、180分間以下、250分間以下、又はこれらの値のいずれか2つの間の範囲である。
【0243】
いくつかの実施形態において、まず捕捉剤を結合部位に固定化し、次に試料を結合部位と接触させ、試料中の実体を捕捉剤により捕捉し、最後に検出剤を添加して捕捉された実体と結合し、(例えば、光学方法又は電気的方法又は組み合わせにより)検出剤からの信号を読み取る。いくつかの実施形態において、捕捉剤及び検出剤以外の他の試薬(例えば遮断剤)を添加する。
【0244】
例えばPoCの多くの応用において、追加の試薬を試料に添加するための簡単かつ/又は低コストの装置及び方法を有することが望ましい。本発明の一態様は、追加の試薬を試料に添加するための簡単かつ/又は低コストの装置及び方法に関する。添加された追加の試薬は、検出剤、遮断剤、光信号増強剤、光信号消光剤又は他の試薬を含む。本発明のいくつかの実施形態において、同じ位置に貯蔵された試薬の異なる放出時間によりアッセイ過程を制御する。異なる溶解速度を有する他の材料を添加することにより、異なる放出時間を付与することができる。
【0245】
特定の実施形態において、試料厚さを制御する(例えば、試料厚さと貯蔵部位面積との比及び/又は混合時間を制御する)ことにより試料に混合された試薬の濃度を制御する。
【0246】
2.プレート、スペーサ、スケールマーカー、試料厚さの調節
2.1 プレートの構成及び試料厚さの調節
開放構成 いくつかの実施形態において、開放構成では、2つのプレート(すなわち、第1のプレート及び第2のプレート)を互いに離す。特定の実施形態において、2つのプレートは、プレートのすべての操作期間(開放構成及び閉鎖構成を含む)において、一体に接続された片側を有し、2つのプレートの開放及び閉鎖は、本と類似する。いくつかの実施形態において、2つのプレートは、長方形(又は正方形)の形状を有し、プレートのすべての操作期間において接続された2つの長方形の辺を有する。
【0247】
いくつかの実施形態において、開放構成は、プレートが互いに遠く離れて、試料を1対の他のプレートの妨害なしに該1対のプレートの1つに付着させる構成を含む。
【0248】
いくつかの実施形態において、開放構成は、プレートが互いに遠く離れる構成を含み、その結果として、別のプレートが存在しないかのように、1つのプレートに試料を付着させる。
【0249】
いくつかの実施形態において、開放構成は、1対のプレートの間の距離が少なくとも10nm、少なくとも100nm、少なくとも1000nm、少なくとも0.01cm、少なくとも0.1cm、少なくとも0.5cm、少なくとも1cm、少なくとも2cm、又は少なくとも5cm、又は任意の2つの値の範囲である構成を含む。
【0250】
いくつかの実施形態において、開放構成は、1対のプレートが異なる向きに配向された構成を含む。いくつかの実施形態において、開放構成は、試料添加を可能にするように構成された1対のプレート間に接近ギャップを画定する構成を含む。
【0251】
いくつかの実施形態において、開放構成は、各プレートが試料接触表面を有し、かつプレートが1つの開放構成にある時にプレートの少なくとも1つの接触表面が露出される構成を含む。
【0252】
閉鎖構成及び試料厚さの調節 本発明において、2つのプレートの閉鎖構成は、2つのプレートの内面間の間隔(すなわち、距離)が2つのプレート間のスペーサによって調節される構成である。プレートの内面(「試料表面」とも呼ばれる)は、CROFプロセスの圧縮ステップの間において、試料と接触し、従って、閉鎖構成では、試料厚さがスペーサによって調節される。
【0253】
プレートを開放構成から閉鎖構成にするプロセスの間において、プレートは互いに対向し(プレートの少なくとも一部が互いに対向し)、かつ力で2つのプレートを一体にする。2つのプレートを開放構成から閉鎖構成にする場合、2つのプレートの内面は、プレートに付着させた試料を圧縮して、試料厚さを減少させ(同時に試料は、プレート間に横方向に自由に流れる)、試料の関連体積の厚さは、スペーサ、プレート、及び使用される方法、及び試料の機械的/流体的特性によって決定される。所定の試料及び所定のスペーサ、プレート及びプレートプレス法について、閉鎖構成での厚さを予め決定することができる。
【0254】
用語「スペーサによりプレートの内面間の間隔を調節する」又は「プレート及びスペーサにより試料厚さを調節する」又は「試料厚さはスペーサ及びプレートにより調節される」とは、CROFプロセスにおける試料厚さが所定のプレート、スペーサ、試料及びプレス方法によって決定されることを指す。
【0255】
いくつかの実施形態において、閉鎖構成で調節された試料厚さはスペーサの高さと同じであり、この場合、閉鎖構成で、スペーサは、2つのプレートに直接接触する(1つのプレートが、スペーサが固定されたプレートであり、別のプレートがスペーサと接触するプレートである)。
【0256】
特定の実施形態において、閉鎖構成で調節された試料厚さはスペーサの高さより大きく、この場合、閉鎖構成で、その表面に固定又は取り付けられたスペーサを有するプレートのみにスペーサが直接接触し、別のプレートと間接接触する(すなわち、間接接触である)。用語、プレートと「間接接触する」とは、スペーサとプレートとが「残量の試料層」と呼ばれる薄い試料層によって離されることを指し、その厚さは「残留物の厚さ」と呼ばれる。所定のスペーサ及びプレート、所定のプレートプレス方法及び所定の試料について、残留物の厚さを予め設定して(予め設定とは、閉鎖構成になる前を指す)、閉鎖構成で試料厚さを予め設定する。これは、所定の条件(試料、スペーサー、プレート及び圧力)について、残留層の厚さが同じであり、かつ予め較正及び/又は計算が可能であるためである。調節された試料の厚さは、スペーサの高さに試料の残留物の厚さを加えたものにほぼ等しい。
【0257】
多くの実施形態において、カラムの寸法及び形状は、使用前に予め特徴付けられる(すなわち、予め設定される)。予め設定された情報は、試料体積(又は関連体積)及び他のものの決定のような後続のアッセイに使用される。
【0258】
いくつかの実施形態において、試料厚さの調節は、プレートの間の距離を維持するようにプレートに閉鎖(圧縮)力を加えることを含む。
【0259】
いくつかの実施形態において、試料厚さの調節は、スペーサによってプレートの間の距離を確立すること、プレートに加えられた閉鎖力、試料の物理的特性を含み、試料の物理的特性は、好ましくは粘度及び圧縮性のうち少なくとも1つを含む。
【0260】
2.2 プレート
本発明において、一般的に、CROFのプレートは、(i)スペーサとともに試料の一部又は全部の体積の厚さを調節するために用いることができ、(ii)達成しようとする試料、アッセイ又はゴールに、プレートが顕著な悪影響を及ぼさない材料で製造される。しかし、特定の実施形態において、特定の材料(従ってその特性)が特定の目的を達成するようにプレートに用いられる。
【0261】
いくつかの実施形態において、2つのプレートは、プレート材料、プレートの厚さ、プレートの形状、プレートの面積、プレートの柔軟性、プレートの表面特性及びプレートの光透過性の各パラメータに対して、同じ又は異なるパラメータを有する。
【0262】
プレートの材料 プレートは、単一材料、複合材料、多種の材料、多層の材料、合金又はその組み合わせで製造される。プレートに用いられる各材料は、無機材料、有機材料又は混合物であり、材料の例は、Mat−1及びMat−2の段落で説明される。
【0263】
Mat−1. プレートに用いられる無機材料は、ガラス、石英、酸化物、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸化ハフニウム(HfO)、酸化アルミニウム(AIO)、半導体(シリコン、GaAs、GaNなど)、金属(例えば、金、銀、銅、アルミニウム、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)など)、セラミック又はそれらの任意の組み合わせを含むが、これらに限られない。
【0264】
Mat−2. スペーサに用いられる有機材料は、ポリマー(例えば、プラスチック)又はアモルファス有機材料を含むが、これらに限られない。スペーサに用いられるポリマー材料は、アクリレートポリマー、ビニルポリマー、オレフィンポリマー、セルロースポリマー、非セルロースポリマー、ポリエステルポリマー、ナイロン、環状オレフィンコポリマー(COC)、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、環状オレフィンポリマー(COP)、液晶ポリマー(LCP)、ポリアミド(PA)、ポリエチレン(PE)、ポリイミド(PI)、ポリプロピレン(PP)、ポリ(フェニレンエーテル)(PPE)、ポリスチレン(PS)、ポリオキシメチレン(POM)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリ(エチレンフタレート)(PET)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ゴム、又はそれらの任意の組み合わせを含むが、これらに限られない。
【0265】
いくつかの実施態様において、プレートは、それぞれ、ガラス、プラスチック、セラミック及び金属のうちの少なくとも1つで製造される。いくつかの実施態様において、プレートは、それぞれ、ガラス、プラスチック、セラミック及び金属のうちの少なくとも1つを含む。
【0266】
いくつかの実施形態において、一方のプレートは、横方向面積、厚さ、形状、材料、又は表面処理について、他方のプレートと異なる。いくつかの実施形態において、一方のプレートは、横方向面積、厚さ、形状、材料、又は表面処理について、他方のプレートと同じである。
【0267】
スペーサに用いられる材料は、剛性、可撓性、又は両者の間にある任意の柔軟性である。剛性(すなわち、硬度)又は柔軟性は、プレートを閉鎖構成にする際に使用される圧力に関連している。
【0268】
いくつかの実施形態において、剛性又は可撓性プレートの選択は、閉鎖構成での試料厚さの均一性を制御する要件から決定される。
【0269】
いくつかの実施態様において、2つのプレートのうちの少なくとも1つ(光に対して)は透明である。いくつかの実施態様において、1つのプレート又は両方のプレートの少なくとも一部又は複数の部分は透明である。いくつかの実施形態において、プレートは非透明である。
【0270】
プレートの厚さ いくつかの実施形態において、少なくとも1つのプレートの平均厚さは、2nm以下、10nm以下、100nm以下、500nm以下、1000nm以下、2μm(ミクロン)以下、5μm以下、10μm以下、20μm以下、50μm以下、100μm以下、150μm以下、200μm以下、300μm以下、500μm以下、800μm以下、1mm(ミリメートル)以下、2mm以下、3mm以下、又はこれらの値のいずれか2つの間の範囲である。
【0271】
いくつかの実施形態において、少なくとも1つのプレートの平均厚さは、最大3mm(ミリメートル)、最大5mm、最大10mm、最大20mm、最大50mm、最大100mm、最大500mm、又はこれらの値のいずれか2つの間の範囲である。
【0272】
いくつかの実施形態において、プレートの厚さは、プレートを横切って均一ではない。異なる位置で異なるプレートの厚さを用いて、プレートの湾曲、折り畳み、試料厚さの調節などを制御するために用いることができる。
【0273】
プレートの形状及び面積 一般的に、プレートは、形状が試料の圧縮開放流れ及び試料厚さの調節を可能にする限り、任意の形状を有することができる。しかしながら、特定の実施形態において、特定の形状が有利であってもよい。プレートの形状は、円形、楕円形、長方形、三角形、多角形、環状又はこれらの形状の任意の重なりであってもよい。
【0274】
いくつかの実施形態において、2つのプレートは、同じ又は異なる寸法又は形状を有してもよい。プレートの面積は、その応用によって異なる。プレートの面積は、最大1mm
2(平方ミリメートル)、最大10mm
2、最大100mm
2、最大1cm
2(平方センチメートル)、最大5cm
2、最大10cm
2、最大100cm
2、最大500cm
2、最大1000cm
2、最大5000cm
2、最大10,000cm
2、又は10,000cm
2以上、又はこれらの値のいずれか2つの間の範囲である。プレートの形状は、長方形、正方形、円形又は他の形状であってもよい。
【0275】
特定の実施形態において、プレートのうちの少なくとも1つは、幅、厚さ、及び長さを有するベルト(又はストリップ)の形式である。幅は、最大0.1cm(センチメートル)、最大0.5cm、最大1cm、最大5cm、最大10cm、最大50cm、最大100cm、最大500cm、最大1000cm、又はこれらの値のいずれか2つの間の範囲である。長さは、必要な長さにすることができる。ベルトはロール状に巻くことができる。
【0276】
プレート表面の平坦度 多くの実施形態において、プレートの内面は、平坦又は非常に平坦な平面である。特定の実施形態においては、2つの内面は、閉鎖構成で、互いに平行である。平坦な内面は、閉鎖構成で所定のスペーサの高さのみを用いることによって、試料厚さの定量化及び/又は制御を容易にする。プレートの非平坦な内面については、閉鎖構成での試料厚さを定量化及び/又は制御するように、スペーサの高さだけでなく、内面のトポロジーを正確に知る必要がある。表面トポロジーを知るためには、追加の測定及び/又は補正が必要であり、これは複雑で時間がかかり、コストが高い。
【0277】
プレート表面の平坦度は、最終的な試料厚さ(最終的な厚さは、閉鎖構成での厚さである)について、一般的に、最終的な試料厚さに対するプレート表面の平坦度変化の比である「相対的な表面の平坦度」という用語によって特徴付けられる。
【0278】
いくつかの実施形態において、相対表面は、0.01%、0.1%より小さく、0.5%より小さく、1%より小さく、2%より小さく、5%より小さく、10%より小さく、20%より小さく、30%より小さく、50%より小さく、70%より小さく、80%より小さく、100%より小さく、又はこれらの値のいずれか2つの間の範囲である。
【0279】
プレート表面の平行度 いくつかの実施形態において、プレートの2つの表面は、顕著に互いに平行である。特定の実施形態において、プレートの2つの表面は、互いに平行ではない。
【0280】
プレートの柔軟性 いくつかの実施形態において、CROFプロセスの圧縮ステップにおいて、プレートは可撓性である。いくつかの実施形態において、CROFプロセスの圧縮ステップにおいて、2つのプレートはいずれも可撓性である。いくつかの実施形態において、CROFプロセスの圧縮ステップにおいて、一方のプレートは剛性であり、他方のプレートは、可撓性である。いくつかの実施形態において、2つのプレートはいずれも剛性である。いくつかの実施形態において、2つのプレートはいずれも可撓性であるが、柔軟性が異なる。
【0281】
プレートの光学的透明度 いくつかの実施形態において、プレートは光学的に透明である。いくつかの実施形態において、2つのプレートはいずれも光学的に透明である。いくつかの実施形態において、一方のプレートは光学的に透明であり、他方のプレートは非透明である。いくつかの実施形態において、2つのプレートはいずれも非透明である。いくつかの実施形態において、2つのプレートはいずれも光学的に透明であるが、光学的透明度が異なる。プレートの光学的透明度とは、プレートの一部の又は全体領域を指す。
【0282】
表面の濡れ性 いくつかの実施形態において、プレートは、試料、転移液体、又は両者を湿潤させる(すなわち、接触角が90度未満である)内面を有する。いくつかの実施形態において、2つのプレートは、いずれも、試料、転移液体、又は両者を湿潤させ、同じ又は異なる湿潤性を備える内面を有する。いくつかの実施形態において、1つのプレートは、試料、転移液体、又は両者を湿潤させる内面を有し、別のプレートは、湿潤しない内面を有する(すなわち、接触角が90度未満である)。プレートの内面の湿潤とは、プレートの一部の又は全体の領域を指す。
【0283】
いくつかの実施形態において、プレートの内面は、CROF中に試料の横方向流動を制御するための、他のナノ又はマイクロ構造を有する。ナノ又はマイクロ構造は、チャネル、ポンプなどを含むが、これらに限られない。ナノ及びマイクロ構造も、内面の湿潤特性を制御するために用いられる。
【0284】
2.3 スペーサ
スペーサの機能 本発明において、スペーサは、(1)プレートとともに試料の厚さ又は試料の関連体積を制御すること(好ましくは、関連領域における厚さ制御は正確あるいは均一的であるか、又は両方である)、(2)試料がプレート表面に圧縮調節開放流れ(CROF)を有することを可能にすること、(3)所定の試料領域(体積)において大きな表面積(体積)を占用しないこと、(4)試料中の粒子又は分析物の沈降効果を減少させるか又は向上させること、(5)プレートの内表面の湿潤特性を変更及び/又は制御すること、(6)プレートの位置、寸法の割合及び/又はプレートの関連情報を識別すること、及び(7)上記任意の組み合わせを行うこと、という機能及び特性のうちの一種又は任意の組み合わせを有するように、構成される。
【0285】
スペーサアーキテクチャ及び形状 所望の試料厚さの減少と制御を実現するために、特定の実施形態において、スペーサが、その対応するプレート上に固定される。一般的には、スペーサは、任意の形状を有してもよく、スペーサは、CROFプロセスにおいて試料厚さを調節することができる限り、一定の形状が、一定の機能、例えば、より優れた均一性、プレス時のより少ないオーバーシュート等の実現に対して、好ましい。
【0286】
スペーサは、1つのスペーサ又は複数のスペーサである。(例えば、アレイ)。複数のスペーサに係るいくつかの実施形態は、スペーサ(例えば、柱体)のアレイであり、そのうちスペーサ間距離は、周期的であるか又は非周期的であり、又はプレートの一定の領域において周期的であるか又は非周期的であり、又はプレートの異なる領域において異なる距離を有する。
【0287】
スペーサは、「開放スペーサ」と「密閉スペーサ」という二種類のタイプを有する。開放スペーサは、試料がスペーサを通って流れることを可能にするスペーサ(すなわち、試料がスペーサの周囲を流れて通過する。例えば、スペーサとしてのポスト)であり、密閉スペーサは、試料の流れを止めるスペーサ(すなわち、試料がスペーサから流れ出すことができない。例えば、環状スペーサであり、試料が環内にある)である。二種類のタイプのスペーサは、その高さを用いて閉鎖構成における最終的な試料厚さを調節する。
【0288】
いくつかの実施形態において、スペーサは、開放スペーサのみがある。いくつかの実施形態において、スペーサは、密閉スペーサのみがある。いくつかの実施形態において、スペーサは、開放スペーサと密閉スペーサの組み合わせである。
【0289】
用語「柱状スペーサ」は、スペーサが柱形状を呈することを意味し、柱形状とは、試料が圧縮開放流の間に、その周囲を流れることを可能にする高さ及び横方向形状を有する物体を指す。
【0290】
いくつかの実施形態において、柱状スペーサの横方向形状は、(i)円形、楕円形、矩形、三角形、多角形、環形、星形、英文字形(例えば、L形、C形、英文字A〜Z)、数字形(例えば、0、1、2、3、4、…9等の形状);(ii)少なくとも1つの丸い角を有するグループ(i)における形状;(iii)ジグザグ形又はギザギザの縁を有する、グループ(i)における形状;及び、(iv)(i)、(ii)と(iii)の任意の重ね合わせ、というグループにおける形状から選択される。複数のスペーサについて、異なるスペーサは、異なる横方向形状と寸法及び隣接するスペーサの異なる距離を有してもよい。
【0291】
いくつかの実施形態において、スペーサは、ポスト状、円柱状、ビーズ状、ボール状及び/又は他の適切な幾何学形状である、かつ/又はそれらを含んでもよい。スペーサの横方向形状及び寸法(すなわち、それぞれのプレート表面を横断する)は、いくつかの実施形態において、(i)スペーサの幾何学形状が試料厚さ及び体積を測定する時に明らかな誤差を引き起こさず、又は(ii)スペーサの幾何学形状がプレート間の試料の流れ出しを止めない(すなわち、密閉した構成ではない)、という制限を有する以外、任意であってもよい。しかしながら、いくつかの実施形態において、試料フローを制限するための、密閉スペーサであるいくつかのスペーサが必要とされる。
【0292】
いくつかの実施形態において、スペーサの形状は、丸い角を有する。例えば、1つの矩形のスペーサは、1つ以上の丸い角を有するか、又は全ての角が丸い角(円形に似ているが90度角ではない)である。一般的には、丸い角により、スペーサの製造が容易になり、生物学的材料への損害を小さくする場合もある。
【0293】
柱の側壁は、直線状、湾曲状、傾斜状であり、あるいは側壁の部分によって異なる形状を有してもよい。いくつかの実施形態において、スペーサは、様々な横方向形状、側壁、及び柱の高さと柱の側面積との比を有する柱である。
【0294】
1つの好ましい実施形態において、スペーサは、開放流れを可能にする柱状を有する。
【0295】
スペーサの材料 本発明において、スペーサは、通常、2つのプレートとともに試料の関連体積の厚さを調節するために使用できる任意材料で製造される。いくつかの実施形態において、スペーサの材料とプレートの材料とは異なる。いくつかの実施形態において、スペーサに使用される材料は、少なくとも1つのプレートに使用される材料の一部と少なくとも同じである。
【0296】
スペーサは、単一材料、複合材料、多種の材料、多層の材料、合金又はそれら組み合わせで製造される。プレートに使用される材料は、無機材料、有機材料又はその組み合わせであり、その材料の実施例については段落Mat−1及びMat−2で説明する。1つの好ましい実施形態において、スペーサは、CROFに使用されるプレートの材料と同じ材料で製造される。
【0297】
スペーサの機械的強度及び柔軟性 いくつかの実施形態において、スペーサは、機械的強度が十分に高いので、プレートの圧縮及び閉鎖構成過程では、スペーサの高さが開放構成にある時のプレートの高さと同じであるか、又は実質的に同じである。いくつかの実施形態において、開放構成と閉鎖構成にある、スペーサの間の差異は、特徴付けられるか、又は予め決定されてもよい。
【0298】
スペーサに使用される材料は、剛性、可撓性又は両者の間にある任意の柔軟性であってもよい。剛性は、プレートを閉鎖構成にする押圧力に関連し、該押圧力で、空間高さが1%未満変形する場合はスペーサが剛性であると考えられ、そうでなければ、可撓性であると考えられる。スペーサが可撓性材料で製造される場合に、押圧力及びスペーサの機械的強度に基づいて、閉鎖構成にある最終的な試料の厚さを依然として予め決定することができる。
【0299】
試料内のスペーサ 試料厚さに対する所望の低減と制御を達成するために、特に、優れた試料厚さ均一性を達成するために、特定の実施例において、スペーサは試料内又は試料の関連体積内に載置される。いくつかの実施形態において、試料又は試料の関連体積内に、適切なスペーサ間距離で、1つ以上のスペーサが存在する。特定の実施形態において、スペーサのうちの少なくとも1つは試料内に位置し、スペーサのうちの少なくとも2つは試料又は試料の関連体積内に位置するか、又は少なくとも「n」個のスペーサは試料又は試料の関連体積内に位置し、ここで、「n」が、CROF間の試料厚さ均一性又は必要とされる試料流れ特性によって決定される。
【0300】
スペーサ高さ いくつかの実施形態において、全てのスペーサは、同じ所定の高さを有する。いくつかの実施形態において、スペーサは、異なる所定の高さを有する。いくつかの実施形態において、スペーサは、グループ又は領域に分けられ、そのうち、各グループ又は領域がそれぞれのスペーサ高さを有する。また、特定の実施形態において、スペーサは、所定の高さが、スペーサの平均高さである。いくつかの実施形態において、スペーサは、実質的に同じ高さを有する。いくつかの実施形態において、一定の百分率の数量のスペーサは、同じ高さを有する。
【0301】
スペーサの高さは、所望の調節された最終的な試料厚さ及び残留試料厚さによって選択される。スペーサの高さ(所定のスペーサの高さ)及び/又は試料の厚さは、3nm以下、10nm以下、50nm以下、100nm以下、200nm以下、500nm以下、800nm以下、1000nm以下、1μm以下、2μm以下、3μm以下、5μm以下、10μm以下、20μm以下、30μm以下、50μm以下、100μm以下、150μm以下、200μm以下、300μm以下、500μm以下、800μm以下、1mm以下、2mm以下、4mm以下、又はこれらの値のいずれか2つの間の範囲である。
【0302】
スペーサの高さ及び/又は試料の厚さは、1つの好ましい実施形態において、1nm〜100nmにあり、別の好ましい実施形態において、100nm〜500nmにあり、1つの単独な好ましい実施形態において、500nm〜1000nmにあり、別の好ましい実施形態において、1μm(すなわち、100nm)〜2μmにあり、別の好ましい実施形態において、2μm〜3μmにあり、別の好ましい実施形態において、3μm〜5μmにあり、別の好ましい実施形態において、5μm〜10μmにあり、別の好ましい実施形態において、10μm〜50μmにあり、1つの単独な好ましい実施形態において、50μm〜100μmにある。
【0303】
いくつかの実施形態において、スペーサ高さ及び/又は試料厚さは、(i)分析物の最小寸法に等しいか又はやや大きいか、又は(ii)分析物の最大寸法に等しいか又はやや大きい。「やや大きい」は、1%〜5%大きく、2つの値の間の任意の数であることを意味する。
【0304】
いくつかの実施形態において、スペーサ高さ及び/又は試料厚さは、分析物(例えば、異向性形状を有する分析物)の最小寸法よりも大きいが、分析物の最大寸法よりも小さい。
【0305】
例えば、赤血球は、最小寸法が2μm(ディスク厚さ)で、最大寸法が11μm(ディスク直径)であるディスク形状を有する。本発明の1つの実施形態において、スペーサは、関連領域内にあるプレートの内表面間隔を、1つの実施形態において2μm(最小寸法に等しい)にして、別の実施形態において2.2μmにするか、又は別の実施形態において3μm(最小寸法よりも50%大きい)にするが、赤血球の最大寸法よりも小さくするように選択される。このような実施形態は、赤血球の計数において、一定の利点を有する。1つの実施形態において、赤血球の計数のために、内表面間隔を、2μm又は3μmにして、2つの値の間の任意の数値にすることにより、希釈されていない全血試料を間隔内に平均に限定し、各赤血球(RBC)を他の赤血球と重複せず、それにより視覚的に赤血球を正確に計数することができる。(RBC間に多く重複があると、深刻な計数誤差をもたらす可能性がある)。
【0306】
いくつかの実施形態において、本発明は、プレート及びスペーサを用いて、試料厚さだけでなく、プレートが閉鎖構成にある時の試料中の分析物/実体の配向及び/又は表面密度も調節する。プレートが閉鎖構成にある時に、試料の薄い厚さにより、表面積当たりの分析物/実体が少なくなる(すなわち、小さい表面濃度)。
【0307】
スペーサ横方向寸法 開放スペーサの場合、横方向寸法は、それがxとyという2つの直交方向における横方向寸法によって特徴付けることができる。スペーサの各方向における横方向寸法は、同じであるか、又は異なる。いくつかの実施形態において、各方向(x又はy)における横方向寸法は…。
【0308】
いくつかの実施形態において、y方向に対するx方向の横方向寸法の比は、1、1.5、2、5、10、100、500、1000、10000であるか、又はこれらの値のいずれか2つの間の範囲である。いくつかの実施形態において、試料の流れ方向を調節するために、異なる比が使用され、比が大きいほど、流れが1つの方向(より大きな寸法方向)に沿う。
【0309】
いくつかの実施形態において、x方向とy方向におけるスペーサの異なる横方向寸法は、(a)スペーサをプレートの方向を示すためのスケールマーカーとして使用し、(b)スペーサを使用して、好ましい流れ方向におけるより多くの試料を作るか、又は両方とも達成するように使用される。
【0310】
1つの実施形態において、周期、幅及び高さ。
【0311】
いくつかの実施形態において、全てのスペーサは、同じ形状及び寸法を有する。いくつかの実施形態において、各スペーサは、異なる横方向寸法を有する。
【0312】
密閉スペーサの場合、いくつかの実施形態において、内部の横方向形状及び寸法は、密閉スペーサによって密閉される試料の総体積に応じて選択され、体積寸法は、本開示において既に説明され、特定の実施形態において、外部の横方向形状及び寸法は、スペーサに対する液体の押圧力とプレートを押圧する押圧力とをサポートするために必要な強度に応じて選択される。
【0313】
柱状スペーサの高さと平均横方向寸法とのアスペクト比
特定の実施形態において、柱状スペーサの高さと平均横方向寸法とのアスペクト比は、100000、10000、1000、100、10、1、0.1、0.01、0.001、0.0001、0.00001であるか、又はこれらの値のいずれか2つの間の範囲である。
【0314】
スペーサ高さの精度 スペーサ高さの精度を、正確に制御すべきである。スペーサの相対的な精度(すなわち、所望のスペーサ高さと偏差との比)は、0.001%以下、0.01%以下、0.1%以下、0.5%以下、1%以下、2%以下、5%以下、8%以下、10%以下、15%以下、20%以下、30%以下、40%以下、50%以下、60%以下、70%以下、80%以下、90%以下、99.9%以下であるか、又はこれらの任意の数値の間の範囲である。
【0315】
スペーサ間距離 スペーサは、プレート上又は試料の関連領域における、1つのスペーサであるか又は複数のスペーサであってもよい。いくつかの実施形態において、プレート上のスペーサは、アレイ形態で配置され及び/又は配列され、該アレイは周期的、非周期的アレイであるか、又はプレートのいくつかの位置で周期的であるが、他の位置で非周期的である。
【0316】
いくつかの実施形態において、スペーサの周期的アレイは、正方形、矩形、三角形、六角形、多角形又はその任意の組み合わせの格子を有し、そのうち該組み合わせは、プレートの異なる位置に異なるスペーサ格子を有することを意味する。
【0317】
いくつかの実施形態において、スペーサアレイのスペーサ間距離は、アレイの少なくとも1つの方向において周期的である(すなわち、スペーサ間距離が均一的である)。いくつかの実施形態において、スペーサ間距離は、閉鎖構成でのプレート間隔の間の均一性を改善するように構成される。
【0318】
隣接するスペーサ間距離(すなわち、スペーサ間距離)は1μm以下、5μm以下、10μm以下、20μm以下、30μm以下、40μm以下、50μm以下、60μm以下、70μm以下、80μm以下、90μm以下、100μm以下、200μm以下、300μm以下、400μm以下であるか、又はこれらの値のいずれか2つの間の範囲である。
【0319】
特定の実施形態において、スペーサ間距離は400以下、500以下、1mm以下、2mm以下、3mm以下、5mm以下、7mm以下、10mm以下であるか、又はこれらの値の間の任意の範囲である。特定の実施形態において、スペーサ間距離は10mm以下、20mm以下、30mm以下、50mm以下、70mm以下、100mm以下であるか、又はこれらの値の間の任意の範囲である。
【0320】
隣接するスペーサ間距離(すなわち、スペーサ間距離)は、プレート及び試料の所定の特性にとって、プレートの閉鎖構成で、隣接する2つのスペーサの間の試料厚さの変化が、いくつかの実施形態において、最大0.5%、1%、5%、10%、20%、30%、50%、80%、又はこれらの値の間の任意の範囲であり、あるいは特定の実施形態において、最大80%、100%、200%、400%、又はこれらの値のいずれか2つの間の範囲であるように、選択される。
【0321】
明らかに、隣接する2つのスペーサの間の所定の試料厚さの変化を維持するために、より近いスペーサ間距離が、可撓性のより高いプレートが使用される時に必要とされる。
【0323】
1つの好ましい実施形態において、スペーサは周期的な正方形アレイであり、そのうちスペーサは、高さが2μm〜4μmで、平均横方向寸法が5μm〜20μmで、スペーサ間の間隔が1μm〜100μmである、柱である。
【0324】
1つの好ましい実施形態において、スペーサは周期的な正方形アレイであり、スペーサは、高さが2μm〜4μmで、平均横方向寸法が5μm〜20μmで、スペーサ間の間隔が100μm〜250μmである、柱である。
【0325】
1つの好ましい実施形態において、スペーサは周期的な正方形アレイであり、スペーサは、高さが4μm〜50μmで、平均横方向寸法が5μm〜20μmで、スペーサ間の間隔が1μm〜100μmである、柱である。
【0326】
1つの好ましい実施形態において、スペーサは周期的な正方形アレイであり、そのうちスペーサは、高さが4μm〜50μmで、平均横方向寸法が5μm〜20μmで、スペーサ間の間隔が100μm〜250μmである、柱である。
【0327】
スペーサアレイの周期は、1つの好ましい実施形態において、1nm〜100nmにあり、別の好ましい実施形態において、100nm〜500nmにあり、別の好ましい実施形態において、500nm〜1000nmにあり、別の好ましい実施形態において、1μm(すなわち、1000nm)〜2μmにあり、別の好ましい実施形態において、2μm〜3μmにあり、別の好ましい実施形態において、3μm〜5μmにあり、別の好ましい実施形態において、5μm〜10μmにあり、別の好ましい実施形態において、10μm〜50μmにあり、別の好ましい実施形態において、50μm〜100μmにあり、別の好ましい実施形態において、100μm〜175μmにあり、別の好ましい実施形態において、175μm〜300μmにある。
【0328】
スペーサ密度 スペーサは、1個/1μm
2よりも大きく、1個/10μm
2よりも大きく、1個/100μm
2よりも大きく、1個/500μm
2よりも大きく、1個/1000μm
2よりも大きく、1個/5000μm
2よりも大きく、1個/0.01mm
2よりも大きく、1個/0.1mm
2よりも大きく、1個/1mm
2よりも大きく、1個/5mm
2よりも大きく、1個/10mm
2よりも大きく、1個/100mm
2よりも大きく、1個/1000mm
2よりも大きく、1個/10000mm
2よりも大きいか、又はこれらの値のいずれか2つの間の範囲である表面密度で、それぞれのプレート上に配列される。
【0329】
(3)スペーサは、所定の試料面積(体積)内に明らかな表面積(体積)を占用しないように構成される。
【0330】
スペーサ体積と試料体積との比 いくつかの実施形態において、特定の利点を達成するために、スペーサ体積(すなわち、スペーサの体積)と試料体積(すなわち、試料の体積)との比、及び/又は試料の関連体積内にあるスペーサ体積と試料の関連体積との比が制御される。該利点は、試料厚さ制御の均一性、分析物の均一性、試料流れ特性(すなわち、流速、流れ方向等)を含むが、それらに限定されない。
【0331】
特定の実施形態において、スペーサ体積rと試料体積との比、及び/又は試料の関連体積内部にあるスペーサの体積と試料の関連体積との比は、100%未満、最大99%、最大70%、最大50%、最大30%、最大10%、最大5%、最大3%、最大1%、最大0.1%、最大0.01%、最大0.001%であるか、又はこれらの任意の値の間の範囲である。
【0332】
プレートに固定されたスペーサ 本発明において、重要な役割を果たすスペーサ間距離及び配向は、好ましくは、スペーサを開放構成から閉鎖構成にするプロセスにおいて保持され、及び/又は好ましくは、開放構成から閉鎖構成にするプロセスの前に予め決定される。
【0333】
本発明のいくつかの実施形態は、プレートを閉鎖構成にする前に、スペーサが1つのプレート上に固定されることである。用語「スペーサがその対応するプレートに固定される」ということは、スペーサがプレート上に取り付けられ、かつプレートの使用中に取り付けが維持されることを意味する。「スペーサがそのそれぞれのプレートに固定される」の一実施例は、スペーサが1枚のプレート材料でモノリシックに作られ、かつプレート表面に対するスペーサの位置が変化しないことである。「スペーサがそのそれぞれのプレートに固定されない」の一実施例は、スペーサが接着剤によりプレートに接着されるが、プレートの使用中に、接着剤がスペーサをプレート表面上の元の位置に維持しない(すなわち、スペーサがプレート表面上の元の位置から離れる)ことである。
【0334】
いくつかの実施形態において、少なくとも1つのスペーサは、その対応するプレートに固定される。特定の実施形態において、少なくとも2つのスペーサは、その対応するプレートに固定される。特定の実施形態において、大部分のスペーサは、その対応するプレートに固定される。特定の実施形態において、全てのスペーサは、その対応するプレートに固定される。
【0335】
いくつかの実施形態において、スペーサは、全体としてその対応するプレートに固定される。
【0336】
いくつかの実施形態において、スペーサは、取り付け、貼り合わせ、融合、インプリント、エッチングという方法及び/又は形態のうちの1種又はそれらの任意の組み合わせにより、その対応するプレートに固定される。
【0337】
用語「インプリント」とは、プレート表面にスペーサを形成するために、1つの材料をインプリント(すなわち、エンボス加工)することにより、スペーサとプレートとを一体的に固定することを意味する。材料は、単層材料であるか、又は多層材料であってもよい。
【0338】
用語「エッチング」とは、プレート表面にスペーサを形成するために、1つの材料をエッチングすることにより、スペーサとプレートとを一体的に固定することを意味する。材料は、単層材料であるか、又は多層材料であってもよい。
【0339】
用語「融合」とは、スペーサとプレートとを一緒に取り付けることにより、スペーサとプレートを一体的に固定し、スペーサとプレートとの原材料が互いに融合し、かつ融合した後の2つの材料の間に明らかな材料境界が存在することを意味する。
【0340】
用語「貼り合わせ」とは、接着でスペーサとプレートとを一体的に結合することにより、スペーサとプレートとを一体的に固定することを意味する。
【0341】
用語「取り付ける」とは、スペーサとプレートとを一緒に接続することを意味する。
【0342】
いくつかの実施形態において、スペーサとプレートは、同じ材料で製造される。別の実施形態において、スペーサとプレートは、異なる材料で製造される。別の実施形態において、スペーサとプレートは、一体的に形成される。別の実施形態において、スペーサの一端は、その対応するプレート上に固定され、端部が開放され、2つのプレートの異なる形態を収容するために用いられる。
【0343】
別の実施形態において、各スペーサは、取り付け、貼り合わせ、融合、インプリント、エッチングのうちの少なくとも1種の方法で対応するプレートに独立して接続される。用語「独立して」とは、対応するプレートに取り付け、貼り合わせ、融合し、インプリントし、エッチングする方法から選択された、同じであるか又は異なる方法で、1つのスペーサをその対応するプレートに固定することを意味する。
【0344】
いくつかの実施形態において、2つのスペーサの間の少なくとも1つの距離は予め決定される(「所定のスペーサ間距離」とは、ユーザがプレートを使用する時に、該距離が既知であることを意味する)。
【0345】
本明細書に記載の全ての方法及び装置に係るいくつかの実施形態において、固定スペーサの他、追加的なスペーサもある。
【0346】
特定の試料厚さ 本発明において、小さなプレート間隔(所定の試料領域に対する)又は大きな試料領域(所定のプレート間隔に対する)、又は両者ともによって、大きなプレート保持力(すなわち、2つのプレートを一体的に保持する力)を得ることができることが観察された。
【0347】
いくつかの実施形態において、少なくとも1つのプレートは、関連領域を包囲する領域において透明であり、各プレートは、閉鎖構成において試料に接触し、閉鎖構成において、プレートの内表面が実質的に互いに平行であり、スペーサを有する位置の他に、プレートの内表面が実質的に平面であるように構成されるか、又は任意に組み合わせられる1つの内表面を有する。
【0348】
2.4 最終的な試料厚さ及び均一性
いくつかの実施形態において、著しく平坦であることが、最終的な試料厚さに関して決定され、実施形態及び応用に応じて、それと試料厚さとの比は、0.1%より小さく、0.5%より小さく、1%より小さく、2%より小さく、5%より小さいか、又は10%より小さいか、又はこれらの値のいずれか2つの間の範囲である。
【0349】
いくつかの実施形態において、試料厚さに対する平坦度は、0.1%より小さく、0.5%より小さく、1%より小さく、2%より小さく、5%より小さく、10%より小さく、20%より小さく、50%より小さいか、又は100%より小さいか、又はこれらの値のいずれか2つの間の範囲であってもよい。
【0350】
いくつかの実施形態において、著しく平坦であることは、表面平坦度の変化自体(平均厚さから測定される)が0.1%より小さく、0.5%より小さく、1%より小さく、2%より小さく、5%より小さいか、又は10%より小さいか、又はこれらの値のいずれか2つの間の範囲であることを指す。一般的には、試料厚さに対する平坦度は、0.1%より小さく、0.5%より小さく、1%より小さく、2%より小さく、5%より小さく、10%より小さく、20%より小さく、50%より小さいか、又は100%より小さいか、又はこれらの値のいずれか2つの間の範囲であってもよい。
【0351】
2.5 スペーサの製造方法
スペーサは、石版刷り、エッチング、エンボス加工(ナノインプリント)、堆積、リフトオフ、融合又はそれらの組み合わせを使用して、プレートに様々な方法で製造することができる。いくつかの実施形態において、スペーサは、プレートに直接的にエンボス加工されるか又はインプリントされる。いくつかの実施形態において、スペーサは、プレートに堆積された材料(例えば、プラスチック)内にインプリントされる。特定の実施形態において、スペーサは、CROFプレートの表面を直接的にインプリントすることにより、製造される。ナノインプリントは、ローラインプリンタを使用するロール・ツー・ロール技術、又は平面ナノインプリントに巻き取ることによって行うことができる。このようなプロセスは、優れた経済上の利点を有するため、コストが低下する。
【0352】
いくつかの実施形態において、スペーサは、プレートに堆積される。該堆積は、蒸発、貼り付け又はリフトオフであってもよい。貼り付ける時に、まず、スペーサをキャリア上に製造し、次にスペーサをキャリアからプレートに移す。リフトオフする時に、まずプレートに除去可能な材料を堆積し、かつ該材料内に孔を形成し、孔底部にプレート表面を露出させる。次にスペーサ材料を孔内に堆積し、その後に除去可能な材料を除去し、スペーサのみをプレート表面に残す。いくつかの実施形態において、プレートに堆積されたスペーサはプレートと融合される。いくつかの実施形態において、スペーサとプレートは、同じプロセスにおいて製造される。該同じプロセスは、インプリント(すなわち、エンボス加工、鋳型成形)又は合成を含む。
【0353】
いくつかの実施形態において、少なくとも2つのスペーサは、異なる方法でその対応するプレートに固定され、任意で、該異なる方法は、堆積、貼り合わせ、融合、インプリント及びエッチングの少なくとも1種を含む。
【0354】
いくつかの実施形態において、1つ以上のスペーサは、貼り合わせ、融合、インプリント又はエッチング又はそれらの任意の組み合わせの製造方法によって、対応するプレートに固定される。
【0355】
いくつかの実施形態において、プレートにこのような一体的なスペーサを形成するための製造方法は、貼り合わせ、融合、インプリント、エッチング又はそれらの任意の組み合わせの方法を含む。
【0356】
2.6 スケールマーカー
用語「スケールマーカー」は、関連領域及び/又は試料の相対体積への定量化(すなわち、寸法測定)又は制御を補助することができるスケールマーカーを指す。いくつかの実施形態において、スケールマーカーは、第1のプレート又は第2のプレート、2つのプレート、プレートの1つの表面、プレートの2つの表面、プレートの間、プレートの付近に位置するか、又はそれらの任意の組み合わせである。いくつかの実施形態において、スケールマーカーは、第1のプレート又は第2のプレート、2つのプレート、プレートの1つの表面、プレートの2つの表面、プレートの間、プレートの付近に固定されるか、又はそれらの任意の組み合わせである。いくつかの実施形態において、スケールマーカーは、第1のプレート又は第2のプレート、2つのプレート、プレートの1つの表面、プレートの2つの表面、プレートの間、プレートの付近に堆積されるか、又はそれらの任意の組み合わせである。いくつかの実施形態において、いくつかのスペーサは固定され、いくつかのスペーサは堆積される。
【0357】
いくつかの実施形態において、スケールマーカーは、エッチングされたスケールマーカー、堆積された材料又は印刷された材料である。特定の実施形態において、該材料は、光吸収、光反射、光放出、又はそれらの任意の組み合わせを有する材料である。
【0358】
いくつかの実施形態において、スケールマーカーは、既知の寸法及び/又は既知の間隔距離を有する1つ以上の物体である。物体の実施例は、矩形、円柱形又は円形を含むが、これに限定されない。
【0359】
いくつかの実施形態において、スケールマーカーは、ナノメートル(nm)、ミクロン(μm)又はミリメートル(mm)、又は他の寸法範囲内の寸法を有する。
【0360】
いくつかの実施形態において、スケールマーカーは定規であり、それが物体の寸法を測定するように構成されたスケールマーカーを有する。いくつかの実施形態において、スケールマーカーは、ナノメートル(nm)、ミクロン(μm)又はミリメートル(mm)、又は他の寸法範囲内にある。いくつかの実施形態において、スケールマーカーは、エッチングされたスケールマーカー、堆積された材料又は印刷された材料である。いくつかの実施形態において、スケールマーカーの材料は、光吸収、光反射、光散乱、光干渉、光回折、光放出、又はそれらの任意の組み合わせの材料である。
【0361】
いくつかの実施形態において、前記マーカーは、スペーサであり、それは「試料厚さを調節する」及び「スケールマーキング及び/又は寸法測定を提供する」という二重の機能を有する。例えば、既知の寸法を有する矩形スペーサ又は既知の間隔を有する2つのスペーサを使用して、スペーサの周囲の試料に関する寸法を測定することができる。計測された試料寸法によって、試料の関連体積の体積を算出することができる。
【0362】
いくつかの実施形態において、スケールマーカーは、試料の関連体積の境界を部分的に定義するように構成される。
【0363】
いくつかの実施形態において、少なくとも1つのスケールマーカーは、試料の関連体積の横方向領域の平面と平行である既知の寸法を有するように構成される。
【0364】
いくつかの実施形態において、少なくとも1対のスケールマーカーは横方向領域の平面と平行である既知の距離によって分けられる。
【0365】
いくつかの実施形態において、スケールマーカーは、光学的検出に用いられるように構成される。
【0366】
いくつかの実施形態において、各スケールマーカーは、光吸収、光反射、光散乱、光回折及び光放出のうちの少なくとも1つの機能を独立して有する。
【0367】
いくつかの実施形態において、スケールマーカーは、既知の横方向間隔を有する規則的なアレイに配列される。
【0368】
いくつかの実施形態において、各スケールマーカーは、正方形、矩形、多角形及び円形のうちの少なくとも1つの横方向輪郭を独立して有する。
【0369】
いくつかの実施形態において、少なくとも1つのスケールマーカーは、1つのプレートに取り付けられ、貼り合わせされ、融合され、インプリントされ、エッチングされる。
【0370】
いくつかの実施形態において、少なくとも1つのスケールマーカーは、1つのスペーサである。
【0371】
いくつかの実施形態において、いくつかのスペーサは、試料の関連体積を定量化するために、さらにスケールマーカーの役割を果たす。
【0372】
特定の実施形態において、(分析物を固定化するための)結合部位、貯蔵部位等は、スケールマーカーとして使用される。一つの実施形態において、既知の横方向寸法を有する部位は、既知の横方向寸法を再現する検出可能な信号を生成する光と相互作用し、それによりスケールマーカーを提供する。
【0373】
他の実施形態において、部位の寸法はCROFプロセスの前に予め決定され、プレートが閉鎖構成にある時に、該部位に位置した試料部分の厚さは、該部位の横方向の平均寸法よりも顕著に小さく、その後、インキュベーション時間を制御することにより、インキュベーション後に、(1)結合部位に結合された大部分の分析物/実体は、結合部位の頂部の試料体積から由来し;(2)大部分の結合部位の頂部の試料体積に混合(拡散)された試薬は、貯蔵部位から由来する。これらの場合、結合又は試薬混合の試料の関連体積は、所定の部位面積と該部位の試料厚みとの乗算にほぼ等しい。それについて主な理由は、所定のインキュベーション時間に関して、関連体積外の試料体積中の分析物/実体が、結合部位に拡散する十分な時間がないか、又は貯蔵部位上の試薬が関連体積外の試料体積に拡散する十分な時間がないことである。
【0374】
既知の寸法を有する部位を使用しインキュベーション時間を制限することによって、関連面積及び体積を測定及び/又は制御する方法を説明する一例において、アッセイは、CROFプロセスでの第1のプレート(その表面は結合部位よりも大きい)に、1000μm×1000μmの結合部位(すなわち捕捉剤を含有する領域)を有し、プレートの閉鎖構成で、分析物を含有する試料は結合部位の上方に位置し、該試料は約20μmの厚さ(結合部位の領域内)及び結合部位よりも大きな面積を有し、これは、ターゲット分析物/実体の試料厚さでの拡散時間と等しい時間インキュベーションされる。結合部位から20μm離れた試料部分では結合部位に拡散する時間が(統計的に)ないため、この場合、結合部位に結合された大部分の分析物/実体は、結合部位の頂部の試料体積から由来し、1000μm×1000μm×20μm=0.02pである。この場合、結合部位により捕捉された分析物/実体に起因して、信号がインキュベーション後に計測されると、関連領域及び関連体積の情報(結合部位により提供される)に基づいて、試料の関連領域及び関連体積での分析物/実体の濃度を決定することができる。分析物の濃度は、結合部位が捕捉した分析物の量を関連体積で割ることにより、定量化される。
【0375】
いくつかの実施形態において、関連体積は、結合部位面積と試料厚さとの乗算にほぼ等しく、試料中の標的分析物の濃度は、結合部位が捕捉した分析物の量を関連試料体積で割る結果にほぼ等しい。結合部位寸法と試料厚さとの比が大きければ大きいほど、標的分析物体積の定量化方法の精度は高い(インキュベーション時間は、試料中の標的分析物が約試料厚さの距離まで拡散することに必要な時間であると仮定する)。
【0376】
CROFにおける広げる時間 本発明において、2つのプレートにより試料を広げるすべての段落の方法及び装置において、閉鎖構成で試料を最終厚さまで広げることに必要な時間は、0.001秒以下、0.01秒、0.1秒、1秒、5秒、10秒、20秒、30秒、60秒、90秒、100秒、150秒、200秒、300秒、500秒、1000秒又はこれらの値のいずれか2つの間の範囲である。
【0377】
2つのプレートにより試料を展開するすべての段落の方法及び装置では、一つの好ましい実施形態において、閉鎖構成で試料を最終厚さまで展開することに必要な時間は、0.001秒以下、0.01秒、0.1秒、1秒、3秒、5秒、10秒、20秒、30秒、60秒、90秒、100秒、150秒又はこれらの値のいずれか2つの間の範囲である。
【0378】
2つのプレートにより試料を展開するすべての段落の方法及び装置で、一つの好ましい実施形態において、閉鎖構成で試料を最終厚さまで広げることに必要な時間は、0.001秒以下、0.01秒、0.1秒、1秒、3秒、5秒、10秒、20秒、30秒、60秒、90秒又はこれらの値のいずれか2つの間の範囲である。
【0379】
2つのプレートにより試料を展開するすべての段落の方法及び装置で、一つの好ましい実施形態において、閉鎖構成で試料を最終厚さまで広げることに必要な時間は、0.001秒以下、0.01秒、0.1秒、1秒、3秒、5秒、10秒、20秒、30秒又はこれらの値のいずれか2つの間の範囲である。
【0380】
2つのプレートにより試料を展開するすべての段落の方法及び装置で、一つの好ましい実施形態において、閉鎖構成で試料を最終厚さまで広げることに必要な時間は、0.001秒以下、0.01秒、0.1秒、1秒、3秒、5秒、10秒又はこれらの値のいずれか2つの間の範囲である。
【0381】
2つのプレートにより試料を展開するすべての段落の方法及び装置では、一つの好ましい実施形態において、閉鎖構成で試料を最終厚さまで広げることに必要な時間は、0.001秒以下、0.01秒、0.1秒、1秒、3秒又はこれらの値のいずれか2つの間の範囲である。
【0382】
セクション3に記載された実施形態及びそれらの任意の組み合わせは、本発明の説明全体において他の実施形態に適用される(すなわちそれらと組み合わせられる)。
【0383】
好ましい実施形態において、スペーサは、金型を用いて薄いプラスチックフィルムを圧印する(例えば、ナノインプリント)ことにより、X−プレートに一体的に製造され、かつ同じ材料で製造される。
【0384】
好ましい実施形態において、スペーサは、金型を用いて薄いプラスチックフィルムを圧印する(例えば、ナノインプリント)ことにより、X−プレートに一体的に製造され、かつ同じ材料で製造され、X−プレートの厚さは、50μm〜500μmである。
【0385】
好ましい実施形態において、スペーサは、金型を用いて薄いプラスチックフィルムを圧印する(例えば、ナノインプリント)ことにより、X−プレートに一体的に製造され、かつ同じ材料で製造され、X−プレートの厚さは、50μm〜250μmである。
【0386】
好ましい実施形態において、スペーサは、X−プレートに一体的に製造され、かつ同じ材料で製造され、X−プレートの厚さは、50μm〜500μmである。
【0387】
好ましい実施形態において、スペーサは、金型及び薄いプラスチックフィルムを用いることにより、X−プレートに一体的に製造され、かつ同じ材料で製造され、X−プレートの厚さは、50μm〜250μmである。
【0388】
好ましい実施形態において、スペーサは、金型を用いて薄いプラスチックフィルムを圧印する(例えば、ナノインプリント)ことにより、X−プレートに一体的に製造され、かつ同じ材料で製造され、該プラスチックフィルムは、PMMA(ポリメチルメタクリレート)又はPS(ポリスチレン)である。
【0389】
好ましい実施形態において、スペーサは、金型を用いて薄いプラスチックフィルムを圧印する(例えば、ナノインプリント)ことにより、X−プレートに一体的に製造され、かつ同じ材料で製造され、該プラスチックフィルムは、PMMA(ポリメチルメタクリレート)又はPS(ポリスチレン)であり、X−プレートの厚さは、50μm〜500μmである。
【0390】
好ましい実施形態において、スペーサは、金型を用いて薄いプラスチックフィルムを圧印する(例えば、ナノインプリント)ことにより、X−プレートに一体的に製造され、かつ同じ材料で製造され、該プラスチックフィルムは、PMMA(ポリメチルメタクリレート)又はPS(ポリスチレン)であり、X−プレートの厚さは、50μm〜250μmである。
【0391】
好ましい実施形態において、スペーサは、金型を用いて薄いプラスチックフィルムを圧印する(例えば、ナノインプリント)ことにより、X−プレートに一体的に製造され、かつ同じ材料で製造され、該プラスチックフィルムは、PMMA(ポリメチルメタクリレート)又はPS(ポリスチレン)であり、スペーサは、正方形又は長方形の形状を有し、同じスペーサ高さを有する。
【0392】
好ましい実施形態において、スペーサは、正方形又は長方形の形状を有する(丸い角を有するか又は丸い角を有しない)。
【0393】
好ましい実施形態において、スペーサは、正方形又は長方形の柱を有し、柱の幅(各横方向でのスペーサの幅)は1μm〜200μmにあり、柱の周期(すなわち、スペーサ周期)は2μm〜2000μmにあり、柱の高さ(すなわち、スペーサの高さ)は1μm〜100μmにある。
【0394】
好ましい実施形態において、PMMA又はPSで製造されたスペーサは、正方形又は長方形の柱を有し、柱の幅(各横方向でのスペーサの幅)は1μm−200μmにあり、柱の周期(すなわち、スペーサ周期)は2μm〜2000μmにあり、柱の高さ(すなわち、スペーサの高さ)は1μm〜100μmにある。
【0395】
好ましい実施形態において、スペーサは、Xプレートに一体的に製造され、かつプラスチック材料で製造され、前記スペーサは正方形又は長方形の柱を有し、柱の幅(各横方向でのスペーサの幅)は1μm〜200μmにあり、柱の周期(すなわち、スペーサ周期)は2μm〜2000μmにあり、柱の高さ(すなわち、スペーサの高さ)は1μm〜100μmにある。
【0396】
好ましい実施形態において、スペーサは、Xプレートに一体的に製造され、かつ同じ材料で製造され、前記スペーサは正方形又は長方形の柱を有し、柱の幅(各横方向でのスペーサの幅)は1μm〜200μmにあり、柱の周期(すなわち、スペーサ周期)は2μm〜2000μmにあり、柱の高さ(すなわち、スペーサの高さ)は1μm〜10μmにある。
【0397】
好ましい実施形態において、スペーサは、Xプレートに一体的に製造され、かつPMMA又はPS又は他のプラスチックから選択される同じ材料で製造され、前記スペーサは正方形又は長方形の柱を有し、柱の幅(各横方向でのスペーサの幅)は1μm〜200μmにあり、柱の周期(すなわち、スペーサ周期)は2μm〜2000μmにあり、柱の高さ(すなわち、スペーサの高さ)は10μm〜50μmにある。
【0398】
CROF装置の一つの好ましい実施形態において、一方のプレートは、Xプレートであり、他方のプレートは、平面フィルムであり、少なくとも1つのプレートの厚さは10μm〜250μmにあり、スペーサはXプレートに固定され、プレートとスペーサの材料は同じであってもよく異なってもよく、かつPMMA(ポリメチルメタクリレート)、PS(ポリスチレン)又はPMMA若しくはPSと類似した機械的特性を有する類似材料で製造される。
【0399】
CROF装置の一つの好ましい実施形態において、一方のプレートは、Xプレートであり、他方のプレートは、平面フィルムであり、少なくとも1つのプレートの厚さは250μm〜500μmにあり、スペーサはXプレートに固定され、プレートとスペーサの材料は同じであってもよく異なってもよく、かつPMMA(ポリメチルメタクリレート)、PS(ポリスチレン)又はPMMA若しくはPSと類似した機械的特性を有する類似材料で製造される。
【0400】
CROF装置の一つの好ましい実施形態において、一つのプレートは、Xプレートであり、他のプレートは、平面フィルムであり、少なくとも1つのプレートの厚さは10μm〜250μmにあり、スペーサはXプレートに固定され、スペーサは正方形又は長方形柱のアレイであり、柱の幅(各横方向でのスペーサの幅)は1μm〜200μmにあり、柱の周期(すなわち、スペーサ周期)は2μm〜2000μmにあり、柱の高さ(すなわち、スペーサの高さ)は1μm〜100μmにあり、プレートとスペーサの材料は同じであってもよく異なってもよく、かつPMMA(ポリメチルメタクリレート)、PS(ポリスチレン)又はPMMA若しくはPSと類似した機械的特性を有する類似材料で製造される。
【0401】
以上の段落における「類似」は、機械的特性の差異が60%以内にあることを指す。
【0402】
保護リング いくつかの実施形態は、試料がプレート表面から流出することを防止する保護リングを有する。保護リングのいくつかの実施形態は、試料領域を中心として封止された壁である。壁の高さは、スペーサの高さと等しいか又はそれと等しくない。壁は、試料計測領域から離れてもよい。
【0403】
CROFプロセスにおける可動プレートは、ヒンジ、ステージ又はいくつかの他の位置決めシステムを含む、かつ/又はそれに結合することができ、該システムはプレートを開放構成と閉鎖構成との間に変換するように構成される。少なくとも1つの継手及び/又は少なくとも1つのプレートの柔軟性が、前記開放と閉鎖構成を実現することに十分であるという条件で、プレート間の空間に入る(例えば、試料を挿入及び/又は除去する)ための開口部を残す方法で、可動プレートは1つ以上の継手と結合することができる。膜ポンプは、可動プレートと考えられない。
【0404】
3. 均一なプレート間隔及び試料の厚さ(U)
CROFプロセスの多くの適用において、特に間隔がマイクロメートル及び/又はナノメートルスケールである場合、プレート間隔の均一性を改善することにより、閉鎖構成での試料の厚さを改善することが望ましい。良好な均一性は、アッセイの均一性を改善することができる。本発明は、均一性を改善する方法を提供する。
【0405】
CROFにおけるプレート間隔の均一性を低下させる要因は、(a)プレートの局所的な湾曲、(b)プレートの内表面の凹凸、及び(c)塵埃を含む。最終プレートの間隔が小さければ小さいほど、これらの要因の影響がより深刻になる。
【0406】
ピッチの均一性(そのため試料の厚さ)を改善するために、本発明は、プレートにおいて特定の設計(機械的強度、厚さ等)、例えばスペーサの寸法、スペーサの数、スペーサのレイアウト、スペーサ間距離、スペーサの高さ等の精度を使用して、不均一をもたらす要因を解消する。
【0407】
内表面の円滑度について
3.1 柔軟性プレートの均一な試料厚さを実現するためのスペーサ間距離の使用
いくつかの適用において、1つ又は両方のCROFプレートはいずれも柔軟性プレートであることが望ましい。しかしながら、
図5aに示すように、柔軟性プレート(例えば、プラスチックフィルム)について、スペーサ間距離が大きすぎると、CROFプロセスでのプレートの柔軟性は、隣接した2つのスペーサ間の位置での局所的な湾曲(例えば、くぼみ、すなわち内向きの湾曲)を起こし、試料厚さ均一性を低くする。試料厚さの低い均一性による欠点が多く、例えば、試料体積及び/又は分析物濃度決定時の誤差が大きく、インキュベーション時間が変化する等である。
【0408】
本発明の1つの実施形態は、適切なスペーサ間距離を使用することにより局所的な湾曲を低減し、従って、最終試料厚さの変動を低減する解決手段を提供する。
図5に示すように、スペーサ間距離が大きすぎると、CROF装置は、平坦な試料表面を有する一方の剛性プレート、及び2つの隣接したスペーサの間に局所的な湾曲を有するもう一方の柔軟性プレートを有することになる(
図5a)。局所的な湾曲を低減するために、スペーサ間距離は、可撓性プレートの臨界湾曲スパン以下に設定される(
図5b)。両方のプレートがいずれも柔軟性プレートである場合は、スペーサ間距離は、2つのプレートの臨界湾曲スパンの最小値よりも小さくすべきである。
【0409】
U1. 2つのプレートを用いて試料の関連体積の厚さを均一に調節する方法は、以下のステップ(a)〜(d)を含む:
(a)試料を取得し、
前記試料の関連体積の厚さが調節され、
(b)異なる構成になるように互いに対して移動可能な2つのプレートを取得し、
1つ又は両方のプレートが柔軟性であり、プレートのうちの1つ又は両方がいずれもスペーサを含み、前記スペーサが、所定のスペーサ間距離及び高さを有し、各スペーサがその対応するプレートに固定され、
(c)プレートが開放構成に構成されている時に、プレートのうちの1つ又は両方に試料を付着させ、
前記開放構成とは、2つのプレートが部分的に又は完全に離され、プレート間の間隔がスペーサにより調節されない構成であり、
(d)(c)の後、プレートを閉鎖構成にすることにより、試料を広げ、
閉鎖構成で、プレートが互いに対向し、スペーサ及び試料の関連体積がプレートの間に位置し、試料の関連体積の厚さが、プレート及びスペーサにより調節され、
所定のプレートについて、スペーサが、試料の関連体積の厚さの所定の面積での変化を所定値よりも小さいように構成され、関連体積が、試料の体積の一部又は体積全体である。
【0410】
段落U1の方法において、スペーサ及びプレートの構成は、適切なスペーサ間距離を選択することを含む。いくつかの実施形態において、スペーサ間距離を選択することにより、許可された試料厚さの変化、所定の2つのプレート、及び圧縮方法について、圧縮方法に係る2つのプレートの湾曲は、許可された試料厚さの変化以下である。閉鎖構成にある時に、調節された試料厚さは、プレートが開放構成にある時に試料の最大厚さよりも薄くなることができる。
【0411】
U2. 試料の関連体積の厚さを調節する装置は、
異なる構成になるように互いに対して移動可能な第1のプレート及び第2のプレートを含み、
前記プレートの1つ又は両方は柔軟性であり、かつこれらは、所定のスペーサ間距離及び高さを有していずれもその対応するプレートに固定されたスペーサを含み、
前記構成の1つは、2つのプレートが部分的に又は完全に離され、プレート間の間隔がスペーサにより調節されず、試料が2つのプレートの1つ又は両方に付着する開放構成であり、
別の構成は、開放構成で試料を付着させた後に構成された閉鎖構成であり、前記閉鎖構成で、プレートは互いに対向し、スペーサ及び試料の関連体積はプレートの間に位置し、試料の関連体積の厚さは、プレート及びスペーサにより調節され、
所定のプレートについて、スペーサは、試料の関連体積の厚さの、ある領域での厚さの変化が所定値よりも小さいように構成され、関連体積は、試料の体積の一部又は体積全体である。
【0412】
段落U2の装置において、スペーサ及びプレートの構成は、適切なスペーサ間距離を選択することを含む。いくつかの実施形態において、スペーサ間距離を選択することにより、許可された試料厚さの変化、所定の2つのプレート、及び圧縮方法について、圧縮方法に係る2つのプレートの湾曲は、許可された試料厚さの変化以下である。閉鎖構成にある時に、調節された試料厚さは、プレートが開放構成にある時に試料の最大厚さよりも薄くなることができる。
【0413】
いくつかの実施形態において、スペーサ間距離を2つのスペーサの間のプレートの湾曲よりも小さくすることにより、小さなスペーサ間距離は、柔軟性フィルム(例えば、厚さが100μmのプラスチックシート)の使用もまた可能にする。
【0414】
いくつかの実施形態において、閉鎖構成での広い領域に均一な試料厚さを備えさせるために、所定の柔軟性プレートに許可された最大湾曲に対して、プレートの臨界湾曲スパンに対するスペーサ間距離の比は、最大0.001%、最大0.001%、最大0.001%、最大0.01%、最大0.1%、最大1%、最大10%、最大20%、最大50%、最大70%、最大100%、又はこれらの値のいずれか2つの間の範囲である。
【0415】
3.2 CROFにおける塵埃の影響を克服するための柔軟性プレート及びスペーサの使用
CROFプロセスで克服する必要がある課題は、厚さがスペーサの高さよりも大きな塵埃が、スペーサの所望の最終プレート間隔(そのため試料の最終厚さ)を達成するための調節作用を破壊し得る(
図6aに示す)ことである。2つの剛性プレートを使用すると、この塵埃は、プレート領域全体のスペーサ調節を破壊し得る。
【0416】
本発明の特定の実施形態は、柔軟性プレートとスペーサとの間の適切な距離を使用して塵埃の周りの小さな領域における塵埃の影響を制限し、同時に小さな領域外の領域が、スペーサで設定(調節)された最終プレート間隔及び試料厚さを備えることを可能にすることにより、該問題を解決する。
【0417】
例えば
図6bに示すように、塵埃の影響を克服するために、適切な柔軟性を備えた柔軟性プレートを使用して塵埃の面積を制限し、かつそれを固定スペーサー付きの剛性プレートとともに使用する。
図6cは、塵埃の影響を低減する他の実施形態を示し、スペーサが柔軟性プレートに固定される。明らかに、他の実施形態において、両方のプレートはいずれも柔軟性プレートである。
【0418】
プレートの厚さ及び機械的特性から、CROFプロセスにおける塵埃の影響を最小化する適切なプレートの柔軟性を選択することができる。実施例に示した検査に基づいて、好ましい実施形態は以下のとおりである。
【0419】
U3. 試料の関連体積の厚さ調節に対する塵埃の影響を最小化する方法は、以下のステップ(a)〜(d)を含む:
(a)試料を取得し、
前記試料の関連体積の厚さが調節され、
(b)異なる構成になるように互いに対して移動可能な2つのプレートを取得し、
前記プレートの1つ又は両方が柔軟性であり、かつこれらは、所定のスペーサ間距離及び高さを有していずれもその対応するプレートに固定されたスペーサを有し、
(c)プレートが開放構成に構成されている時に、1つ又は両方に試料を付着させ、
前記開放構成とは、2つのプレートが部分的に又は完全に離され、プレート間の間隔がスペーサにより調節されない構成であり、
(d)(c)の後、プレートを閉鎖構成にすることにより、試料を広げ、
閉鎖構成で、プレートが互いに対向し、スペーサ、試料の関連体積及び厚さがプレートの高さよりも大きな1つ以上の塵埃が、プレートの間に位置し、試料の関連体積の厚さが、プレート及びスペーサにより調節され、
スペーサ及びプレートが、2つのプレートの間の塵埃により影響された面積を最小化するように構成され、塵埃により影響された領域において、塵埃阻止スペーサが、塵埃なしのようにプレートの閉鎖構成で、領域内のプレート間の最終間隔を調節し、関連体積が、試料の体積の一部又は体積全体である。
【0420】
段落U3の方法において、塵埃の影響領域を最小化するためのスペーサとプレートの構成は、柔軟性プレートの適切な厚さ及び機械的特性を選択することを含む。
【0421】
いくつかの実施形態において、スペーサ間距離を選択することにより、可能な試料厚さの変化、所定の2つのプレート、及び圧縮方法について、圧縮方法に係る2つのプレートの湾曲は、許可された試料厚さの変化以下となる。閉鎖構成にある時に、調節された試料厚さは、プレートが開放構成にある時に試料の最大厚さよりも薄くなることができる。
【0422】
プレートの可撓性を特定する。
U4. 塵埃の、試料の関連体積の厚さ調節への影響を最小化するための装置は、
異なる構造になるように互いに対して移動可能で、それぞれが試料と接触する試料接触表面を有する第1のプレート及び第2のプレートと、前記プレートの1つ又は両方の接触表面上にあるスペーサとを含み、
前記プレートの1つ又は両方が可撓性であり、前記スペーサは所定のスペーサ間距離及び高さを有し、それぞれが対応するプレートに固定され、
前記構成の1つは、2つのプレートが部分的に又は完全に離され、プレート間の間隔がスペーサにより調節されず、試料がプレートの1つ又は両方に付着する開放構成であり、
別の構成は、開放構成で試料を付着させた後に構成された閉鎖構成であり、前記閉鎖構成で、プレートは互いに対向し、スペーサ、試料の関連体積及び厚さがプレートの高さよりも大きな1つ以上の塵埃は、プレートの間に位置し、試料の関連体積の厚さは、プレート及びスペーサにより調節され、
スペーサ及びプレートは、2つのプレートの間の塵埃により影響された面積を最小化するように構成され、塵埃により影響された領域は、プレート及びスペーサが塵埃なしの領域のように試料厚さを調節することができないプレートの内表面の領域であり、関連体積は、試料の体積の一部又は体積全体である。
【0423】
3.3 表面平坦度の変化による影響を低減するためのスペーサの使用
実際のところ、表面が完全に平坦なプレートはない。
図7aに示すように、CROFにおいて、所望の試料厚さに比べて、表面の平坦度の変化は非常に大きくなり得、これにより試料厚さを決定した時に大きな誤差を起こす可能性がある。CROFにおける最終試料の厚さが薄ければ薄いほど(例えば、マイクロメートル又はナノメートルで配列される)、表面平坦度の変化はますます顕著な誤差を起こし得る。
【0424】
表面平坦度変化は、プレートの表面平坦度変化距離により特徴付けられ、λは、表面高さの局所的な最大値から、隣接する局所的な最小値までの距離である(
図7bに示す)。
【0425】
本発明は、CROFプロセスにおいて閉鎖構成での最終試料厚さ変化を、プレートが開放構成にある時に存在するプレート試料表面上の表面平坦度変化よりも小さくする方法を提供する。本発明において、最終試料厚さ均一性を実現するための重要な方法は、柔軟性プレート、適切なスペーサ間距離及び適切な圧力(
図7c及び
図7dに示す)を使用することである。
【0426】
CROFプロセスにおける剛性プレート及び柔軟性プレートの使用を考慮すると、プレートの開放構成で、剛性プレートの試料表面には良好な平坦度を有するが、柔軟性プレートの試料表面には顕著な表面平坦度変化を有し(すなわち、予想された最終試料厚さに比べてより顕著である)、
図7a及び7bに示される。本発明は、(i)初期表面平坦度変化距離よりも小さなスペーサ間距離、(ii)閉鎖構成での試料とプレートとの間の、柔軟性プレートを変形させる適切な圧縮力及び/又は適切な毛管力、(iii)柔軟性プレートの適切な柔軟性により、開放構成での試料表面の初期平坦度変化を校正することにより(例えば平坦度変化を小さくする)、プレートの最終構成で、柔軟性プレートの試料表面が変形し、剛性プレートの平坦な表面の輪郭と一致する(
図7c)。また、最終試料厚さの変化を低減するために、スペーサ間距離も柔軟性プレートの臨界湾曲スパンよりも小さくすべきである。
【0427】
上記表面平坦度の変化を校正する方法は、(a)剛性プレートに顕著な初期試料表面の平坦度変化を有し、柔軟性プレートに円滑な試料表面を有し、(b)柔軟性プレートと剛性プレートのその所望の試料表面にいずれも顕著な平坦度変化を有し、及び(c)両方のプレートは柔軟性であり、1つ又は両方のプレーの試料表面に顕著な表面平坦度変化を有する(
図7d)場合にも適用される。
【0428】
U5. CROFプロセスでプレート表面の平坦度変化が、試料の関連体積の最終厚さの均一性に与える影響を低減する方法は、以下のステップ(a)〜(d)を含む:
(a)試料を取得し、
前記試料の関連体積の厚さが調節され、
(b)異なる構成になるように互いに対して移動可能な2つのプレートを取得し、
前記プレートの1つ又は両方が柔軟性であり、いずれも表面平坦度変化を有し、かつスペーサを含み、前記スペーサが、所定の高さを有し、各スペーサがその対応するプレートに固定され、
(c)プレートが開放構成に構成されている時に、プレートのうちの1つ又は両方に試料を付着させ、
前記開放構成とは、2つのプレートが部分的に又は完全に離され、プレート間の間隔がスペーサにより調節されない構成であり、
(d)(c)の後、プレートを閉鎖構成にすることにより、試料を広げ、
閉鎖構成で、プレートが互いに対向し、スペーサ及び試料の関連体積がプレートの間に位置し、試料の関連体積の厚さが、プレート及びスペーサにより調節され、
スペーサ及びプレートが、閉鎖構成での試料の関連体積の厚さ変化がプレートの開放構成での表面平坦度変化よりも小さいように構成され、関連体積が、試料の体積の一部又は体積全体である。
【0429】
U6.プレート表面の平坦度変化の、試料の関連体積の厚さ均一性調節への影響を低減する装置は、
異なる構成になるように互いに対して移動可能で、その1つ又は両方が柔軟性であり、かつその1つ又は両方が表面平坦度変化を有する第1のプレート及び第2のプレートと、
1つ又は両方のプレートに固定され、所定の高さを有するスペーサを含み、
前記構成の1つは、2つのプレートが部分的に又は完全に離され、プレート間の間隔がスペーサにより調節されず、試料が前記プレートの1つ又は両方に付着する開放構成であり、
別の構成は、開放構成で試料を付着させた後に構成された閉鎖構成であり、前記閉鎖構成で、プレートは互いに対向し、スペーサ及び試料の関連体積はプレートの間に位置し、試料の関連体積の厚さは、プレート及びスペーサにより調節され、
スペーサ及びプレートは、閉鎖構成での試料の関連体積の厚さ変化がプレートの開放構成での表面平坦度変化よりも小さいように構成され、関連体積は、試料の体積の一部又は体積全体であり、関連体積の平均寸法は、開放構成でのプレートの表面平坦度変化よりも大きい。
【0430】
段落U5の方法及び段落U6の装置において、プレート表面の平坦度変化の、試料の関連体積の最終厚さの均一性への影響を低減するスペーサ及びプレートの構成は、適切なスペーサ間距離(ISD)を使用することを含む。好ましい実施形態において、ISDは、開放構成でのプレートの初期表面平坦度変化距離以下である。
【0431】
段落U5と段落U6の方法及び装置において、いくつかの実施形態において、(1)閉鎖構成でスペーサが試料内部にあること、(2)スペーサが対応するプレートに固定されること、(3)スペーサ間距離が短いこと、又は(4)それらの任意の組み合わせを有する。
【0432】
段落U1〜U6の方法及び装置において、試料の関連体積の厚さを均一化するスペーサ及びプレートの構成に、上記実施形態を有する。いくつかの実施形態において、所定のスペーサ間距離は、2つのスペーサ間のプレートの局所的な湾曲を制限するように構成され、関連体積は、試料の体積の一部又は体積全体である。
【0433】
これは、1つ又は両方のプレートが柔軟性であり、柔軟性が様々である場合を含む。(例えば、厚さが100μmのPMMA又はPS)。
【0434】
1つの好ましい実施形態において、プレートはPMMAである。1つの好ましい実施形態において、1つのプレート(第1のプレート)は、厚さが0.5〜1.5mmのガラスでありかつスペーサを備えず、他のプレート(第2のプレート)は、厚さが175μmのPMMAフィルムでありかつスペーサのアレイを備え、スペーサは、丸い角を有する矩形柱(x方向での寸法が40μmで、y方向での寸法が30μmである)であり、x方向での周期が120μmで、y方向での寸法が110μmである(それにより、スペーサ間距離はx方向とy方向でいずれも80μmである)。
【0435】
セクション3の方法及び装置において、閉鎖構成での試料内のスペーサのいくつかの実施形態において、スペーサの材料及びプレートは、セクション2の実施形態である。
【0436】
段落U1〜6の方法及び装置において、いくつかの実施形態において、柱の高さに対する柱の幅(又は横方向平均寸法)の比は、0.01以上、0.1以上、1以上、1.5以上、2以上、3以上、5以上、10以上、50以上、100以上、又はこれらの値のいずれか2つの間の範囲である。
【0437】
段落U1〜6の方法及び装置において、好ましい実施形態において、柱の高さに対する柱の幅(又は横方向平均寸法)の比は、1、1.5、2、10、20、30、50、100、又はこれらの値のいずれか2つの間の範囲である。
【0438】
段落U1〜6の方法及び装置において、いくつかの実施形態において、柱の幅(又は横方向平均寸法)に対する柱の周期の比は、1.01、1.1、1.2、1.5、1.7、2、3、5、7、10、20、50、100、500、1000、10000、又はこれらの値のいずれか2つの間の範囲である。
【0439】
段落U1〜6の方法及び装置において、好ましい実施形態において、柱の幅(又は横方向平均寸法)に対する柱の周期の比は、1.2、1.5、1.7、2、3、5、7、10、20、30、又はこれらの値のいずれか2つの間の範囲である。
【0440】
段落U1〜6の方法及び装置において、好ましい実施形態において、柱の幅(又は横方向平均寸法)に対する柱の周期の比は、1.2、1.5、1.7、2、3、5、7、10、又はこれらの値のいずれか2つの間の範囲である。
【0441】
c)例えば、血球計算アプリケーションで、好ましいX−プレートの柱の高さは1μm〜5μmにあり、柱の幅は2μm〜30μmにあり、柱の周期は、4μm〜300μmにある。
【0442】
d)例えば、免疫学的アッセイアプリケーションでは、好ましいX−プレートの柱の高さは5μm〜50μmであり、柱の幅は10μm〜250μmであり、柱の周期は20μm〜2500μmである。
【0443】
セクション3に記載された実施形態及びそれらの任意の組み合わせは、本発明の説明全体において他の実施形態に適用される(すなわちそれらと組み合わせられる)。
【0444】
いくつかの実施形態において、他の要素も試料厚さ均一性の制御に使用され、これらの要素は試料面積、プレート機械的性質、閉鎖構成下の最終試料厚さ及びプレート表面湿潤特性を含むがそれらに限定されることはない。
【0445】
以下ではセクション1及びほかの開示内容における方法及び装置のいくつかの好ましい実施形態である。
【0446】
1つの好ましい実施形態において、スペーサは周期的な正方形アレイであり、そのうちスペーサは、高さが2μm〜4μmで、平均横方向寸法が5μm〜20μmで、スペーサ間の間隔が1μm〜100μmである柱である。
【0447】
1つの好ましい実施形態において、スペーサは周期的な正方形アレイであり、スペーサは、高さが2μm〜4μmで、平均横方向寸法が5μm〜20μmで、スペーサ間の間隔が100μm〜250μmである柱である。
【0448】
1つの好ましい実施形態において、スペーサは周期的な正方形アレイであり、スペーサは、高さが4μm〜50μmで、平均横方向寸法が5μm〜20μmで、スペーサ間の間隔が1μm〜100μmである柱である。
【0449】
1つの好ましい実施形態において、スペーサは周期的な正方形アレイであり、そのうちスペーサは、高さが4μm〜50μmで、平均横方向寸法が5μm〜20μmで、スペーサ間の間隔が100μm〜250μmである柱である。
【0450】
スペーサアレイの周期は、1つの好ましい実施形態において、1nm〜100nmにあり、別の好ましい実施形態において、100nm〜500nmにあり、1つの単独な好ましい実施形態において、500nm〜1000nmにあり、別の好ましい実施形態において、1μm(すなわち、1000nm)〜2μmにあり、別の好ましい実施形態において、2μm〜3μmにあり、別の好ましい実施形態において、3μm〜5μmにあり、別の好ましい実施形態において、5μm〜10μmにあり、別の好ましい実施形態において、10μm〜50μmにあり、1つの単独な好ましい実施形態において、50μm〜100μmにあり、1つの単独な好ましい実施形態において、100μm〜175μmにあり、1つの単独な好ましい実施形態において、175μm〜300μmにある。
【0451】
4 試料及び付着
CROF過程を使用する本発明の方法及び装置において、いくつかの方法又はこれらの方法の組み合わせにより試料を付着させる。付着の一つの特定の実施形態において、試料は一つのプレートのみに付着する。特定の実施形態において、試料は両方のプレート(すなわち第1のプレート及び第2のプレート)に付着する。
【0452】
試料はプレートが開放構成にある時に付着する。いくつかの実施形態において、第1のプレートと第2のプレートとは試料付着の間に好ましくは互いに離され、これにより試料は一つのプレートに付着しやすく、別のプレートを妨害することはない。例えば、第1のプレートと第2のプレートとを遠く離してもよく、これにより試料は直接的に第1のプレート又は第2のプレートに落ち、別のプレートが存在しないようにすることができる。試料付着の特定の実施形態において、第1のプレートと第2のプレートとをプレートの開放構成下で互いに一定の距離で隔て、次に試料を(例えば水平流動又は他の滴落方法により)プレートに付着させる。特定の実施形態において、2つのプレートは、プレートのすべての操作過程において、接続された片側(例えば縁部)(
図30)を有し、2つのプレートの開閉は本の開閉に類似する。
【0453】
試料の付着は単一の滴又は複数の滴であってもよい。複数の滴は一つのプレート又は両方のプレートの一つの位置又は複数の位置に落ちることができる。液滴は互いに十分に分離し、接続し、又は組み合わせることができる。
【0454】
いくつかの実施形態において、試料は一種以上の材料を含み、前記材料は共に又は別々に付着する。前記材料はそれぞれ並行して又は順次のいずれかで付着する。
【0455】
試料のプレート(すなわち第1のプレート及び第2のプレート)への付着は装置を用いて、又は検査対象からプレートまで直接的に行ってもよい。いくつかの実施形態において、装置を用いて試料を付着させる。装置はピペット、針、スティック、綿棒、管、噴射器、液体ディスペンサー、チップ、スティック、インクジェット、プリンター、噴射装置等を含むがそれらに限定されることはない。特定の実施形態において、試料を試料源の試料とCROFプレートとの間の直接接触により付着させ、任意の装置を使用することはない(すなわち、試料とプレートとを一緒にして両者を接触させる)。これは「直接試料付着」という用語で呼ばれる。
【0456】
試料が直接的にプレートに付着する実例は、以下である:(a)穿刺された指(又は他の身体部位)とプレートとの間の直接的な接触;(b)唾液をプレートに吐き出す;(c)涙液とプレートとの間の直接接触により人の目から涙液を取り出す;(d)汗液とプレートとの間の直接接触;及び(e)直接的に息をプレートに吐き出して呼気を凝結させる等。このような直接付着方法はヒト及び動物に用いることができる。
【0457】
いくつかの実施形態において、直接的及び間接的(装置による)な試料付着が使用される。
【0458】
本発明において、単一プレート又は複数のプレートに付着した試料の体積(「試料体積」)は、最大0.001 pL(ピコリットル)、最大0.01 pL、最大0.1 pL、最大1 pL、最大10 pL、最大100 pL、最大1 nL(ナノリットル)、最大10 nL、最大100 nL、最大1μL(マイクロリットル)、最大10μL、最大100μL、最大1 mL(ミリリットル)、最大10 mL又はこれらの値のいずれか2つの間の範囲である。
【0459】
いくつかの実施形態において、試料の付着は以下のステップを含む:(a)試料を1つの又は両方のプレートに配置し、(b)CROF過程における第2のプレートを圧縮する以外の方式を用いて試料を広げる。試料を広げる方法は別の装置(例えばスティック、カッタ)を使用すること、ブローイング又はその他を含む。
【0460】
試料変形
CROF過程において、いくつかの実施形態において、試料はほぼ非圧縮性液体(形状変形下で一定の体積を保持する液体を指す)のように振る舞うため、試料厚さの変化は試料面積の変化を引き起こす。いくつかの実施形態において、試料は圧縮液体のように振る舞うが、CROF過程の間にその厚さが減少する時に、横方向面積はなお拡大する。特定の実施形態において、試料は液体、ゲル又はソフト固体であり、CROF過程においてその厚さが減少する時に横方向面積が拡大すればよい。
【0461】
本発明の開示において、「第1のプレート及び第2のプレートに対向する」は第1のプレート又は第2のプレート又は両者の位置及び方向を操作することにより試料を第1のプレートと第2のプレートの内表面の間にあるようにする過程である。いくつかの実施形態において、「第1のプレート及び第2のプレートに対向する」という動作は、人の手、特定の装置を有する人の手又は人の手のない自動装置により実行する。
【0462】
いくつかの実施形態において、厚さは最大1 mm、最大100μm、最大20μm、最大10μm又は最大2μmである。いくつかの実施形態において、厚さは少なくとも0.1μmである。いくつかの実施形態において、厚さの計測をさらに含む。
【0463】
いくつかの実施形態において、試料の関連体積の厚さ変化は、関連領域の有効直径の最大300%、最大100%、最大30%、最大10%、最大3%、最大1%、最大0.3%又は最大0.1%である。
【0464】
いくつかの実施形態において、厚さは少なくとも部分的にプリセット高さにより決定される。
【0465】
5 分析物、実体、結合部位、貯蔵部位及び搬送媒体
本発明において、実体はタンパク質、アミノ酸、核酸、脂質、炭水化物、代謝産物、細胞又はナノ粒子のうちの一種を含むがそれらに限定されることはない。
【0466】
いくつかの実施形態において、結合部位は実体に結合するように構成された結合パートナーを含む。
【0467】
いくつかの実施形態において、結合部位は該結合部位に結合された実体を含む。
【0468】
いくつかの実施形態において、試料の配置は試料を結合部位内に配置することを含む。
【0469】
いくつかの実施形態において、試薬はタンパク質、アミノ酸、核酸、脂質、炭水化物及び代謝産物のうちの少なくとも一種を含む。
【0470】
特定の実施形態において、貯蔵部位は乾燥試薬を含む。
【0471】
いくつかの実施形態において、貯蔵部位は試料と接触すると貯蔵部位から放出されるように構成された試薬を含む。
【0472】
いくつかの実施形態において、第1の貯蔵部位及び第2の貯蔵部位は一つの共同の貯蔵部位中に位置する。
【0473】
いくつかの実施形態において、搬送媒体は試料である。いくつかの実施形態において、搬送媒体は液体であり、ここで試薬又は実体は該液体に溶解しかつ拡散できる。
【0474】
いくつかの実施形態において、プレートは複数の貯蔵部位を有する。別の実施形態において、一つの貯蔵部位は様々な試薬を有する。
【0475】
異なる放出時間 いくつかの実施形態において、プレートはプレートの異なる位置に複数の貯蔵部位を有するか又は一つの貯蔵部位に複数の試薬を保存し、試薬は貯蔵部位に試料と接触すると放出され、しかし同じ貯蔵部位の異なる試薬又は異なる貯蔵部位の試薬は異なる時間に放出される。
【0476】
いくつかの実施形態において、第1の試薬は試料と接触すると第1の平均放出時間内に第1の貯蔵部位から放出されるように配置され、第2の試薬は試料と接触すると第2の平均放出時間内に第2の貯蔵部位から放出されるように配置され、ここで第1の平均放出時間は第2の平均放出時間より小さい。
【0477】
いくつかの実施形態において、第1の試薬は試料と接触すると第1の貯蔵部位から放出されるように配置され、ここで第2の試薬は結合試薬である。
【0478】
いくつかの実施形態において、付着は、少なくとも一種の試薬を対応するプレートに結合することを含む。
【0479】
いくつかの実施形態において、接触は、少なくとも一種の試薬を対応するプレートから放出することを含む。
【0480】
いくつかの実施形態において、付着は、第1の試薬及び第2の試薬を付着させることを含み、ここで接触は第2の試薬の前に第1の試薬を放出することを含む。
【0481】
いくつかの実施形態において、少なくとも一つのプレートは貯蔵部位を含み、該貯蔵部位は試料の関連体積に添加される試薬を含む。
【0482】
いくつかの実施形態において、試薬はタンパク質、アミノ酸、核酸、脂質、炭水化物及び代謝産物のうちの少なくとも1種を含む。
【0483】
いくつかの実施形態において、貯蔵部位は乾燥試薬を含む。
【0484】
いくつかの実施形態において、貯蔵部位は試料と接触すると貯蔵部位から放出されるように構成された試薬を含む。
【0485】
いくつかの実施形態において、貯蔵部位は第1の貯蔵部位であり、かつ試薬は第1の試薬であり、ここで装置は第2の貯蔵部位を含み、それは試料の関連体積に添加される第2の試薬を含み、ここで第2の貯蔵部位はプレートの一つに位置する。
【0486】
いくつかの実施形態において、第1の貯蔵部位及び第2の貯蔵部位は1つの共同の貯蔵部位中に位置する。
【0487】
いくつかの実施形態において、第1の試薬は試料と接触すると第1の平均放出時間内に第1の貯蔵部位から放出されるように配置され、第2の試薬は試料と接触すると第2の平均放出時間内に第2の貯蔵部位から放出されるように配置され、第1の平均放出時間は第2の平均放出時間より小さい。
【0488】
いくつかの実施形態において、少なくとも一種の試薬は対応するプレートに乾燥される。
【0489】
キットのいくつかの実施形態において、少なくとも一種の試薬は対応するプレートに結合される。
【0490】
キットのいくつかの実施形態において、少なくとも一種の試薬は、試料と接触した後に対応するプレートから放出されるように配置される。
【0491】
キットのいくつかの実施形態において、第1の試薬はプレートのうちの一つ又は両方に位置し、第2の試薬はプレートのうちの一つ又は両方に位置し、ここで第1の試薬は試料と接触すると第1の平均放出時間内に対応するプレートから放出されるように配置され、第2の試薬は試料と接触すると第2の平均放出時間内に対応するプレートから放出されるように配置され、ここで第1の平均放出時間は第2の平均放出時間より小さい。
【0492】
装置のいくつかの実施形態において、貯蔵部位は第1の貯蔵部位であり、かつ試薬は第1の試薬であり、装置は第2の貯蔵部位を含み、それは試料の関連体積に添加される第2の試薬を含み、第2の貯蔵部位はプレートの1つに位置する。
【0493】
6 一部の試料内の局所的結合又は混合(P)
いくつかの応用において、試料全体中の分析物ではなく、一部の試料中の分析物のみを捕捉(結合)する結合部位を有することが望ましい。場合によっては、試薬が試料全体に添加されず、一部の試料に添加(すなわち、混合)されることが望ましい。一般的には試料の一部と試料のほかの部分との間に流体的分離がないことが望ましい。特定の多重検出において、このような要求が好ましいか又は必要である。
【0494】
本発明はCROF方法及び装置を使用することにより、試料を厚さが試料の一部の横方向寸法より小さい超薄膜に再形成し、それにより上記要件に解決手段を提供し、ここで試料の一部の内部の分析物のみが捕捉され、又は該一部の試料のみが試薬と混合される。このようなアプローチの作業原理は以下のとおりである:試料厚さが一部の試料の横方向寸法より小さい場合、表面による分析物の捕捉又は表面上に配置された試薬の混合は主に分析物及び試薬の厚さ方向における拡散により制限され、ここで水平拡散の拡散は比較的顕著ではない。例えば、試料を厚さ5μmの薄膜に再形成し、試料中の捕捉すべき分析物の一部又は混合すべき試薬が5mm×5mmの横方向寸法を有し、そして、分析物又は試薬の5μmにわたる拡散時間が10秒であれば、(拡散時間は拡散距離の2乗に比例するため)分析物又は試薬の5mm距離にわたる横方向拡散は1,000,000秒である。これは、試料の関心のある部分の横方向寸法と試料厚さとの適切な比率を選択することにより、一定の時間間隔内に、捕捉される分析物が主に関心のある試料部分から由来し、あるいは、試薬が主に関心のある試料部分に混合されることを意味している。
【0495】
6.1 試料の一部中の実体と表面との局所的結合(P:体積から表面へ)
P1. 試料の関連体積中の標的実体を表面上の結合部位に局所的に結合させる方法は、以下の(i)〜(ii)を含む:
(i)段落X1の方法におけるステップ(a)〜(d)を実行し、閉鎖構成における試料厚さが結合部位の平均線形サイズより顕著に小さく、関連体積が、プレートが閉鎖構成にある時に結合部位に位置する試料体積であり、
(ii)(i)の後、プレートが閉鎖構成にある時に、
(1)関連のある時間長さで試料をインキュベーションし、次にインキュベーションを停止し、あるいは、
(2)関連のある時間長さの最小値以上の時間で試料をインキュベーションし、次に、関連のある時間長さの最大値以下の時間内に、標的分析物の結合部位への結合を評価し、
前記関連のある時間長さは、
i.標的実体が閉鎖構成で均一な厚さの層の厚さにわたって拡散することに必要な時間以上であり、そして
ii.標的実体が横方向に結合部位の最小の横方向寸法にわたって拡散することに要する時間より顕著に短く、
(1)におけるインキュベーションが終了する時又は(2)における評価期間において、結合部位に結合される大部分の標的実体は試料の関連体積から由来し、
インキュベーションにより、標的実体が結合部位に結合することを可能にし、関連体積は、閉鎖構成で結合部位にある試料の一部である。
【0496】
段落P2の方法において、用語「試料の関連体積の厚さは結合部位の最小平均サイズより顕著に小さい」は、結合部位の最小平均サイズと試料厚さとの比(「長さと厚さとの比」と呼ばれる)が少なくとも3、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも50、少なくとも100、少なくとも500、少なくとも1,000、少なくとも10,000、少なくとも100,000又はこれらの値の間の任意の範囲にあるということを指す。好ましい実施形態において、長さと厚さとの比は少なくとも3、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも50、少なくとも100、少なくとも500、又はこれらの値の間の任意の範囲にある。
【0497】
段落P2の方法では、用語「標的実体が結合部位の最小の横方向寸法にわたって拡散することに要する時間より顕著に短い」は、結合部位の最小の横方向寸法にわたって拡散することに必要な時間と、試料厚さにわたって拡散することに要する時間との比(「長さと厚さとの拡散時間比」と呼ばれる)が、最小3、最小10、最小50、最小10、最小100、最小1,000、最小10,000、最小100,000、最小1,00,000、又はこれらの値の間の任意の範囲にあるということを意味する。好ましい実施形態において、長さと厚さとの拡散時間の比は少なくとも3、少なくとも10、少なくとも50、少なくとも10、少なくとも100、少なくとも1,000、少なくとも10,000、又はこれらの値の間の任意の範囲にある。
【0498】
P2. 試料の関連体積中の実体を、表面にある結合部位に局所的に結合させるための装置は、
異なる構成になるように互いに対して移動可能な第1のプレート及び第2のプレートを含み、
第1のプレートはその表面に面積がプレート面積より小さい結合部位を有し、それは試料中の標的実体に結合するように配置され、該標的実体は試料中に拡散でき、そのうちの1つ又は両方のプレートはいずれもスペーサを含み、各スペーサはその対応するプレートに固定されて所定の高さを有し、
前記構成の1つは、2つのプレートが部分的に又は完全に離され、プレート間の間隔がスペーサにより調節されず、試料が前記プレートの1つ又は両方に付着する開放構成であり、
別の構成は、開放構成で試料を付着させた後に構成された閉鎖構成であり、前記閉鎖構成で、プレートは互いに対向し、スペーサ、結合部位及び少なくとも一部の試料はプレートの間に位置し、試料は結合部位の少なくとも一部と接触し、かつ試料の関連体積の厚さがプレート及びスペーサにより調節され、プレートが開放構成にある時に該厚さは試料の最大厚さより小さく、関連体積は試料の結合部位に位置する体積であり、
スペーサの高さは、閉鎖構成下で関連体積の厚さを結合部位の平均線形寸法の少なくとも3分の1よりも小さいように調節するように選択される。
【0499】
関連体積の厚さを結合部位の平均線形サイズの3分の1に調節することにより、実体の試料厚さにわたる拡散時間は、結合部位の平均線形サイズと等しい距離にわたる拡散時間の9分の1である。このような厚さ調節はインキュベーション時間の選択を可能にし、それにより、(i)関連体積中の顕著な数量の標的実体は結合部位に結合され、及び(ii)結合部位に結合される顕著な数量の標的実体は試料の関連体積から由来するというインキュベーション結果を達成し、インキュベーションは標的実体を結合部位に結合することを可能にする。
【0500】
例えば、インキュベーション時間が、実体が試料の関連体積の厚さにわたる拡散時間と等しいように設定される場合に、インキュベーション後に、関連体積内の大部分の実体はすでに結合部位に達し、かつレート方程式に従って結合され、最初(すなわちインキュベーション前)に関連体積の外に位置する実体は関連体積の周辺にのみ(比較的小さい体積)拡散でき、かつ結合部位の平均線形サイズと関連体積厚さとの比が大きくなるため、この体積の重要性が低減する。
【0501】
6.2 他のプレート表面上の結合部位(表面から別の表面)へのプレートの表面に貯蔵された実体の局所的結合
P3. プレートの貯蔵部位に貯蔵された実体を別のプレート上の結合部位に局所的に結合する方法は、以下のステップ(a)〜(e)を含む:
(a)異なる構成になるように互いに対して移動可能な第1のプレート及び第2のプレートを取得し、
前記第1のプレートがその表面に結合部位を有し、第2のプレートがその表面に結合部位に結合する実体を含む貯蔵部位を有し、前記結合部位の面積及び試薬部位の面積がその対応するプレートの面積より小さく、かつ前記プレートの1つ又は両方が、各々がその対応するプレートに固定され、かつ所定の高さを有するスペーサを含み、
(b)前記実体がその中に溶解でき、かつ拡散できる搬送媒体を取得し、
(c)プレートが開放構成に構成されている時に、プレートのうちの1つ又は両方に搬送媒体を付着させ、
前記開放構成とは、2つのプレートが部分的に又は完全に離され、プレート間の間隔がスペーサにより調節されない構成であり
(d)(c)の後、プレートを閉鎖構成にして前記搬送媒体を広げ、
閉鎖構成において、プレートが互いに対向して、スペーサ、結合部位、貯蔵部位及び少なくとも一部の搬送媒体がプレートの間に位置し、少なくとも一部の貯蔵部位が結合部位と直面し、その間に一部の搬送媒体を有し、搬送媒体の関連体積の厚さがプレート及びスペーサにより調節され、プレートが開放構成にある時に、該厚さが試料の最大の厚さより薄く、かつプレートの表面方向上の関連体積の平均線形寸法より顕著に小さく、
(e)(d)の後、プレートが閉鎖構成にある時に、試料を一定の時間インキュベーションしかつインキュベーションを停止させ、
結合部位に結合したかなりの数の実体が貯蔵部位からものであるようにインキュベーション時間を選択し、関連体積が結合部位にある搬送媒体の体積であり、インキュベーションが結合部位への実体の結合を可能にする。
【0502】
用語「少なくとも一部の貯蔵部位が結合部位と直面する」とは、該部位のある点から結合部位までの最短距離がプレートの閉鎖構成での関連体積の厚さと同じであることを指す。
【0503】
P4. プレートの貯蔵部位に貯蔵された実体を別のプレート上の関連結合部位に結合する装置は、
異なる構成になるように互いに対して移動可能な第1のプレート及び第2のプレートを含み、前記第1のプレートはその表面に結合部位を有し、前記第2のプレートはその表面に結合部位に結合する実体を含む貯蔵部位を有し、前記結合部位の面積及び貯蔵部位の面積がそのそれぞれのプレートの面積より小さく、かつ前記プレートの1つ又は両方は、各々がそのそれぞれプレートで固定され、かつ所定の高さを有するスペーサを含み、
前記構成の1つは、2つのプレートが部分的に又は完全に離され、プレート間の間隔がスペーサにより調節されず、搬送媒体が2つのプレートの1つ又は両方に付着する開放構成であり、貯蔵部位上の実体は搬送媒体内に溶解でき、かつ拡散でき、
別の構成は、開放構成で搬送媒体を付着させた後に構成された閉鎖構成であり、閉鎖構成において、プレートが互いに対向して、スペーサ、結合部位、貯蔵部位及び少なくとも一部の搬送媒体がプレートの間に位置し、少なくとも一部の貯蔵部位が結合部位と直面し、その間に一部の搬送媒体を有し、搬送媒体の関連体積の厚さがプレート及びスペーサにより調節され、かつプレートが開放構成にある時に、該厚さが試料の最大の厚さより薄く、
前記関連体積は、プレートが閉鎖構成にある時に、貯蔵部位にある搬送媒体の体積であり、
スペーサの高さは、閉鎖構成下で関連体積の厚さを結合部位の平均線形寸法の少なくとも3分の1よりも小さいように調節するように選択される。
【0504】
少なくとも1つのスペーサは試料接触領域内に位置し、
スペーサは、所定のスペーサ間距離及び高さを有する。
【0505】
6.3 プレートの複数の貯蔵部位の実体を別のプレート上の複数の対応する結合部位に局所的に結合する方法
P5. プレートの複数の貯蔵部位に貯蔵された実体を別のプレート上の複数の対応する結合部位に局所的に結合する方法は、以下のステップ(a)〜(e)を含む:
(a)異なる構成になるように互いに対して移動可能な第1のプレート及び第2のプレートを取得し、
前記第1のプレートの表面が複数の結合部位を有し、第2のプレートの表面が複数の対応する貯蔵部位を有し、各対応する貯蔵部位が結合部位に対応する第2のプレートの位置に位置することにより、2つのプレートを対向して配置する場合、各結合部位が1つのみの貯蔵部位に重なり、プレートの1つ又は両方が、各々がその対応するプレートに固定され、かつ所定の高さを有するスペーサを含み、
(b)貯蔵部位にある実体がその中に溶解でき、拡散できる搬送媒体を取得し、
(c)プレートが開放構成に構成されている時に、プレートのうちの1つ又は両方に搬送媒体を付着させ、
前記開放構成とは、2つのプレートが部分的に又は完全に離され、プレート間の間隔がスペーサにより調節されない構成であり、
(d)(c)の後、プレートを閉鎖構成にして搬送媒体を広げ、
閉鎖構成で、2つのプレートが互いに対向して、スペーサ、結合部位、貯蔵部位及び少なくとも一部の搬送媒体がプレートの間に位置し、各結合部位が1つのみの対応する貯蔵部位と直面し、搬送媒体が、各結合部位の少なくとも一部及び各貯蔵部位の一部と接触し、搬送媒体の関連体積の厚さがプレート及びスペーサにより調節され、該厚さが、プレートが開放構成にある時の搬送媒体の最大の厚さより薄く、結合部位の平均線形寸法より顕著に小さく、
(e)(d)の後、プレートが閉鎖構成にある時に、試料を一定の時間インキュベーションしかつインキュベーションを停止させ、
各結合部位に結合したかなりの数の実体が対応する貯蔵部位からものであるようにインキュベーション時間を選択し、関連体積が結合部位にある搬送媒体の体積であり、インキュベーションが結合部位への実体の結合を可能にする。
【0506】
いくつかの実施形態において、間隔は試料結合領域に限定される。
【0507】
方法P5のいくつかの実施形態において、搬送媒体は、標的分析物を有する試料であり、結合部位は捕捉剤を含み、貯蔵部位における実体は検出剤であり、標的分析物は捕捉剤及び検出剤に結合して、捕捉剤−分析物−検出剤サンドイッチを形成する。より短い飽和アッセイ時間のために、分析物及び検出剤について、より薄い試料厚さとより短い垂直拡散時間を有するように、より小さいスペーサの高さを使用することによって、方法P5は、アッセイステップを簡略化し、アッセイ時間を短縮することができる。
【0508】
P6. プレートの複数の貯蔵部位に貯蔵された実体を別のプレート上の複数の対応する結合部位に局所的に結合する装置は、
異なる構成になるように互いに対して移動可能な第1のプレート及び第2のプレートを含み、
前記第1のプレートの表面は複数の結合部位を有し、第2のプレートの表面は複数の対応する貯蔵部位を有し、各対応する貯蔵部位が結合部位に対応する第2のプレートの位置に位置することにより、2つのプレートを対向して配置する場合、各結合部位は1つのみの貯蔵部位に重なり、プレートの1つ又は両方は、各々がその対応するプレートに固定され、かつ所定の高さを有し、
前記構成の1つは、2つのプレートが部分的に又は完全に離され、プレート間の間隔がスペーサにより調節されず、搬送媒体が2つのプレートの1つ又は両方に付着する開放構成であり、貯蔵部位上の実体は搬送媒体内に溶解でき、かつ拡散でき、
別の構成は、開放構成で搬送媒体を付着させた後に構成された閉鎖構成であり、閉鎖構成において、2つのプレートが互いに対向して、スペーサ、結合部位、貯蔵部位及び少なくとも一部の搬送媒体がプレートの間に位置し、各結合部位は1つのみの対応する貯蔵部位と直面し、搬送媒体は、各結合部位の少なくとも一部及び各貯蔵部位の一部と接触し、搬送媒体の関連体積の厚さがプレート及びスペーサにより調節され、プレートが開放構成にある時に、該厚さが搬送媒体の最大の厚さより薄く、
前記関連体積は、プレートが閉鎖構成にある時に、貯蔵部位にある搬送媒体の体積であり、
所定のスペーサ高さを選択して、開放構成で関連体積の厚さを調節することにより、それが結合部位の平均線形寸法より顕著に小さい。
【0509】
6.4 試料の一部(表面から体積)への表面に貯蔵された試薬の局所的添加
P7. 試料の関連体積に局所的に試薬を添加する方法は、以下のステップ(a)〜(e)を含む:
(a)異なる構成になるように互いに対して移動可能な第1のプレート及び第2のプレートを取得し、
前記第1のプレートが、その表面に試料の関連体積に添加される試薬の貯蔵部位を有し、該試薬が試料内に溶解し、かつ試料内に拡散でき、貯蔵部位の面積がプレートの面積より小さく、プレートの1つ又は両方がスペーサを含み、かつ各スペーサがその対応するプレートに固定され、かつ所定の高さを有し、
(b)試料を取得し、
(c)プレートが開放構成に構成されている時に、プレートのうちの1つ又は両方に試料を付着させ、
前記開放構成とは、2つのプレートが部分的に又は完全に離され、プレート間の間隔がスペーサにより調節されない構成であり、
(d)(c)の後、プレートを閉鎖構成にして前記試料を広げ、
閉鎖構成で、プレートが互いに対向して、スペーサ、貯蔵部位及び試料の少なくとも一部がプレートの間に位置し、試料が貯蔵部位の少なくとも一部と接触し、かつプレートと接触するその面積が、貯蔵部位と接触するその面積より大きく、試料の関連体積の厚さがプレート及びスペーサにより調節され、該厚さが、プレートが開放構成にある時の試料の最大の厚さより薄く、かつプレートの表面方向上の関連体積の平均線形寸法より顕著に小さく、
(e)(d)の後、プレートが閉鎖構成にある時に、試料を一定の時間インキュベーションしかつインキュベーションを停止させ、
(i)試料内に溶解した大量の試薬が試料の関連体積に含まれ、かつ
(ii)試薬が該関連体積の顕著な部位にあるように
インキュベーション時間が選択され、関連体積が、プレートが閉鎖構成にある時に、結合部位にある試料の体積であり、インキュベーションが、結合部位への実体の結合を可能にする。
【0510】
P8. プレートの表面に貯蔵された試薬を試料の関連体積に局所的に添加する装置は、
異なる構成になるように互いに対して移動可能な第1のプレート及び第2のプレートを含み、
前記第1のプレートは、その表面に試料の関連体積に添加される試薬の貯蔵部位を有し、該試薬が試料内に溶解し、かつ試料内に拡散でき、2つのプレートの1つ又は両方がスペーサを含み、かつ各スペーサがその対応するプレートに固定され、かつ所定の高さを有し、
前記構成の1つは、2つのプレートが部分的に又は完全に離され、プレート間の間隔がスペーサにより調節されず、試料が2つのプレートの1つ又は両方に付着する開放構成であり、
別の構成は、開放構成で試料を付着させた後に構成された閉鎖構成であり、前記閉鎖構成で、プレートが互いに対向して、スペーサ、貯蔵部位及び試料の少なくとも一部がプレートの間に位置し、試料が貯蔵部位の少なくとも一部と貯蔵部位以外のプレート表面の少なくとも一部と接触し、試料の関連体積の厚さがプレート及びスペーサにより調節され、プレートが開放構成にある時に、該厚さが試料の最大の厚さよりわずかに薄く、関連体積は、プレートが閉鎖構成にある時に、貯蔵部位にある試料の体積であり、
所定のスペーサ高さを選択して、プレートの開放構成で関連体積の厚さを調節することにより、それはプレートの表面方向上の関連体積の平均線形寸法より3倍小さい。
【0511】
7 結合部位(W)上の捕捉剤−分析物−検出剤サンドイッチの形成
本発明の一態様は、CROFプロセスで、結合部位をプレートに配置し、かつ検出剤を貯蔵するための貯蔵部位を別のプレートの対応位置に配置することにより、固体表面上の結合部位に捕捉剤−分析物−検出剤サンドイッチを一段階で形成することである。
【0512】
7.1 インキュベーション(一般)の一段階による結合部位(W)上の捕捉剤−分析物−検出剤サンドイッチの形成
W1. プレートの結合部位で捕捉剤−分析物−検出剤サンドイッチを形成する方法は、以下のステップ(a)〜(f)を含む:
(a)試料内に拡散できる標的分析物を含有する試料を取得し、
(b)標的分析物に結合(可能)して捕捉剤−標的分析物−検出剤サンドイッチを形成する捕捉剤及び検出剤を取得し、
(c)異なる構成になるように互いに対して移動可能な第1のプレート及び第2のプレートを取得し、
前記第1のプレートが、捕捉剤が固定化された結合部位を有し、第2のプレートが、検出剤を貯蔵するための貯蔵部位を有し、貯蔵部位が試料と接触する場合、検出剤が試料内に溶解し、かつ試料内に拡散でき、プレートの1つ又は両方がスペーサを含み、かつ各スペーサがその対応するプレートに固定され、かつ所定の高さを有し、
(d)プレートが開放構成に構成されている時に、プレートのうちの1つ又は両方に試料を付着させ、
前記開放構成とは、2つのプレートが部分的に又は完全に離され、プレート間の間隔がスペーサにより調節されない構成であり、
(e)(d)の後、プレートを閉鎖構成にして前記試料を広げ、
前記閉鎖構成で、プレートが互いに対向して、スペーサ及び試料の関連体積がプレートの間に位置し、試料の関連体積の厚さがプレート及びスペーサにより調節され、プレートが開放構成にある時に、該厚さが試料の厚さより薄く、試料が結合部位及び貯蔵部位と接触し、
(f)(e)の後、プレートが閉鎖構成にある時に、試料を一定の時間インキュベーションして、捕捉剤−標的分析物−検出剤サンドイッチの形成を可能にし、
前記関連体積は、試料の少なくとも一部又は全体積である。
【0513】
W2. プレートの結合部位で捕捉剤−分析物−検出剤サンドイッチを形成する装置は、
異なる構成になるように互いに対して移動可能な第1のプレート及び第2のプレートを含み、
第1のプレートは、捕捉剤が固定化された結合部位を有し、第2のプレートは、検出剤を貯蔵するための貯蔵部位を有し、捕捉剤及び検出剤が試料中の標的分析物に結合(可能)して捕捉剤−標的分析物−検出剤サンドイッチを形成し、貯蔵部位が試料と接触する場合、検出剤は試料内に溶解し、かつ試料内に拡散でき、プレートの1つ又は両方がスペーサを含み、かつ各スペーサがその対応するプレートに固定され、かつ所定の高さを有し、
構成の1つは、プレートが部分的に又は完全に離され、プレート間の間隔がスペーサにより調節されず、試料が2つのプレートの1つ又は両方に付着する開放構成であり、
別の構成は、開放構成で試料を付着させた後に構成された閉鎖構成であり、前記閉鎖構成で、プレートが互いに対向して、スペーサと試料の関連体積がプレートの間に位置し、試料の関連体積の厚さがプレート及びスペーサにより調節され、プレートが開放構成にある時に、該厚さが試料の厚さより薄く、試料が結合部位及び貯蔵部位と接触し、
前記関連体積は、試料の少なくとも一部又は全体積である。
【0514】
7.2 試料の一部(すなわち、局所的)からの分析物を用いて、単一ステップインキュベーションで結合部位に捕捉剤−分析物−検出剤サンドイッチを形成する
W3. 試料の一部からの分析物を用いてプレートの結合部位に捕捉剤−分析物−検出剤サンドイッチを形成する方法は、以下のステップ(a)〜(f)を含む:
(a)その中に拡散できる標的分析物を含有する試料を取得し、
(b)標的分析物に結合して捕捉剤−標的分析物−検出剤サンドイッチを形成する捕捉剤及び検出剤を取得し、
(c)異なる構成になるように互いに対して移動可能な第1のプレート及び第2のプレートを取得し、
前記第1のプレートが、捕捉剤が固定化された結合部位を有し、第2のプレートが、検出剤を貯蔵するための貯蔵部位を有し、貯蔵部位が試料と接触する場合、検出剤が試料内に溶解し、かつ試料内に拡散でき、プレートの1つ又は両方がスペーサを含み、かつ各スペーサがその対応するプレートに固定され、かつ所定の高さを有し、
(d)プレートが開放構成に構成されている時に、プレートのうちの1つ又は両方に試料を付着させ、
前記開放構成とは、2つのプレートが部分的に又は完全に離され、プレート間の間隔がスペーサにより調節されない構成であり、
(e)(d)の後、プレートを閉鎖構成にして前記試料を広げ、
閉鎖構成で、プレートが互いに対向して、スペーサ、結合部位及び貯蔵部位がプレートの間に位置し、結合部位及び貯蔵部位が試料の関連体積と接触し、試料の関連体積の厚さがプレート及びスペーサにより調節され、該厚さが、プレートが開放構成にある時の試料の厚さより薄く、結合部位の平均線形寸法より顕著に小さく、
(f)(e)の後、プレートが閉鎖構成にある時に、試料を一定の時間インキュベーションしかつインキュベーションを停止させ、
結合部位に形成したかなりの数の捕捉剤−分析物−検出剤サンドイッチが試料の関連体積からの分析物を含むようにインキュベーション時間を選択し、関連体積が結合部位にある試料の体積であり、インキュベーションが捕捉剤−分析物−検出剤サンドイッチの形成を可能にする。
いくつかの実施形態において、部位寸法に対する間隔の比は1/5未満であってもよい。
【0515】
W4. 試料の一部からの分析物を用いてプレートの結合部位に捕捉剤−分析物−検出剤サンドイッチを形成する装置は、
異なる構成になるように互いに対して移動可能な第1のプレート及び第2のプレートを含み、
前記第1のプレートは、捕捉剤が固定化された結合部位を有し、前記第2のプレートは、検出剤を貯蔵するための貯蔵部位を有し、捕捉剤及び検出剤が試料中の標的分析物に結合(可能)して捕捉剤−標的分析物−検出剤サンドイッチを形成し、前記貯蔵部位が試料と接触する場合、検出剤は試料内に溶解し、かつ試料内に拡散でき、前記プレートの1つ又は両方がスペーサを含み、各スペーサがその対応するプレートに固定され、かつ所定の高さを有し、
前記構成の1つは、2つのプレートが部分的に又は完全に離され、プレート間の間隔がスペーサにより調節されず、試料が前記プレートの1つ又は両方に付着する開放構成であり、
別の構成は、開放構成で試料を付着させた後に構成された閉鎖構成であり、前記閉鎖構成で、プレートが互いに対向して、スペーサ、結合部位及び貯蔵部位がプレートの間に位置し、結合部位及び貯蔵部位が試料の関連体積と接触し、試料の関連体積の厚さがプレート及びスペーサにより調節され、プレートが開放構成にある時に、該厚さが試料の厚さより薄く、関連体積は結合部位にある試料の体積であり、
スペーサの高さを選択して、閉鎖構成で関連体積の厚さを調節することにより、それが結合部位の平均線形寸法より顕著に小さい。
【0516】
7.3 拡散距離(W、X)を減少させることにより結合部位に捕捉剤−分析物−検出剤サンドイッチを形成する時間を短縮する方法
W5. プレートの結合部位に捕捉剤−分析物−検出剤サンドイッチを形成する時間を短縮する方法は、以下のステップ(a)〜(e)を含む:
(a)試料内に拡散できる標的分析物を含有する試料を取得し、
(b)標的分析物に結合して捕捉剤−標的分析物−検出剤サンドイッチを形成する捕捉剤及び検出剤を取得し、
(c)異なる構成になるように互いに対して移動可能な第1のプレート及び第2のプレートを取得し、
前記第1のプレートが、捕捉剤が固定化された結合部位を有し、第2のプレートが、検出剤を貯蔵するための貯蔵部位を有し、貯蔵部位が試料と接触する場合、検出剤が試料内に溶解し、かつ試料内に拡散でき、プレートの1つ又は両方がスペーサを含み、かつ各スペーサがその対応するプレートに固定され、かつ所定の高さを有し、
(d)プレートが開放構成に構成されている時に、プレートのうちの1つ又は両方に試料を付着させ、
前記開放構成とは、2つのプレートが部分的に又は完全に離され、プレート間の間隔がスペーサにより調節されない構成であり、
(e)(d)の後、プレートを閉鎖構成にして前記試料を広げて、
閉鎖構成で、プレートが互いに対向して、スペーサ、結合部位及び貯蔵部位がプレートの間に位置し、結合部位が貯蔵部位と重なり、結合部位及び貯蔵部位が試料の関連体積と接触し、試料の関連体積の厚さがプレート及びスペーサにより調節され、該厚さが、プレートが開放構成にある時の試料の厚さより薄く、試料厚さを減少させることにより、試料の厚さ方向に分析物及び検出剤が拡散する時間を減少させ、関連体積が試料の全体積の少なくとも一部である。
【0517】
関連体積中の標的実体が結合部位に結合することを可能にする時間は、閉鎖構成がない時間より短い。
【0518】
該方法は、プレート間の試料を除去し、プレートが閉鎖構成又は開放構成にある時に実行される洗浄ステップをさらに含む。
【0519】
該方法は、結合部位に固定化された捕捉剤−分析物−検出剤サンドイッチから信号を読み取るステップをさらに含む。洗浄後、又はいかなる洗浄もない場合に、読み取る。
【0520】
上記又は下記のように、該方法は、さらに多重化されてもよい。
【0521】
W6. プレートの結合部位に捕捉剤−分析物−検出剤サンドイッチを形成する時間を短縮する装置は、
異なる構成になるように互いに対して移動可能な第1のプレート及び第2のプレートを含み、
前記第1のプレートは、捕捉剤が固定化された結合部位を有し、前記第2のプレートは、検出剤を貯蔵するための貯蔵部位を有し、捕捉剤及び検出剤が試料中の標的分析物に結合(可能)して捕捉剤−標的分析物−検出剤サンドイッチを形成し、前記貯蔵部位が試料と接触する場合、検出剤は試料内に溶解し、かつ試料内に拡散でき、前記プレートの1つ又は両方がスペーサを含み、各スペーサがその対応するプレートに固定され、かつ所定の高さを有し、
前記構成の1つは、2つのプレートが部分的に又は完全に離され、プレート間の間隔がスペーサにより調節されず、試料が前記プレートの1つ又は両方に付着する開放構成であり、
別の構成は、開放構成で試料を付着させた後に構成された閉鎖構成であり、前記閉鎖構成で、プレートが互いに対向して、スペーサ、結合部位及び貯蔵部位がプレートの間に位置し、結合部位が貯蔵部位と重なり、結合部位及び貯蔵部位が試料の関連体積と接触し、試料の関連体積の厚さがプレート及びスペーサにより調節され、プレートが開放構成にある時に該厚さが試料の厚さより薄く、試料厚さを減少させることにより、試料の厚さ方向に分析物及び検出剤が垂直に拡散する時間を短縮し、関連体積は試料の全体積の少なくとも一部である。
【0522】
これらの実施形態において、該方法は、捕捉剤をプレートに取り付けることを含んでもよく、該取り付けは、捕捉剤とプレート上の反応基との化学的反応によって行われる。別のプレートは、プレートが閉鎖された後、貼り付けられた捕捉剤と検出剤が互いに対向するように、ある位置で乾燥した1つの検出剤を含んでもよい。次に、上記のように、該方法は、標的分析物含有試料を装置と接触させ、かつプレートを閉鎖することを含んでもよい。検出剤は、試料内に溶解しかつ拡散する。標的分析物が溶液にあるため、標的分析物は捕捉剤によって結合され、かつプレートの1つの表面に固定化される。検出剤は、捕捉剤に結合する前又はその後に標的分析物に結合することができる。場合によっては、該方法は、捕捉剤に結合していない全ての標的分析物、又は結合していない全ての検出試薬を除去する(例えば、結合緩衝液中のプレートの表面を洗浄することによる)ことを含んでもよく、検出剤は、光学的に検出可能な標識と結合することができ、それにより標的分析物を検出する方法を提供する。標的分析物に結合していない検出剤を任意で除去した後、プレートに結合した検出剤から光信号(例えば、波長範囲が300nm〜1200nmの光)を(例えば、読み取りシステムを用いる)読み取るために、該システムを読み取ることができる。さらに、上述したように、検出剤は、直接標識されてもよく(この場合、検出剤は、1つのプレートに付着する前に、発光標識と緊密に接続されてもよい)、又は間接的に標識されてもよい(すなわち、結合検出剤及び二次捕捉剤、例えば標識された二次抗体又は標識された核酸により、二次捕捉剤が検出剤に特異的に結合されかつ発光標識に接続される)。いくつかの実施態様において、該方法は、遮断剤を含むことにより、捕捉剤と非標的分析物との非特異的結合を防止することができる。標的分析物と他の試薬との特異的結合の適切な条件は、適切な温度、時間、溶液pH値、周囲光強度、湿度、化学試薬濃度、抗原−抗体比等を含み、これらはいずれも周知であるか、又は現在の開示から容易に取得するものである。捕捉剤とその結合パートナー(分析物を含む)との間の分子相互作用の一般的な方法は、当該技術分野において周知である(例えば、Harlowら、抗体:A Laboratory Manual、第1版(1988)Cold spring Harbor、N.Y.、Ausubelら、Short Protocols in Molecular Biology、第3版、Wiley&Sons、1995を参照)。上記及び下記の方法は例示的なものであり、本明細書の方法は、アッセイを行う唯一の方法ではない。
【0523】
特定の実施形態において、タンパク質分析物(例えば、DNA又はRNA結合タンパク質)を捕捉するために、核酸捕捉剤を使用することができる。代替実施形態において、核酸分析物を捕捉するために、タンパク質捕捉剤(例えば、DNA又はRNA結合タンパク質)を使用することができる。
【0524】
試料は、細胞、組織又は体液からの臨床試料であってもよい。関心対象となる体液は、羊水、房水、硝子体液、血液(例えば全血、分画血液、血漿、血清等)、母乳、脳脊髄液(CSF)、耳垢(耳あか)、乳糜、糜汁、内リンパ液、外リンパ液、糞便、胃酸、胃液、リンパ液、粘液(鼻漏及び粘液質を含む)、心膜液、腹膜液、胸膜液、膿液、炎症性分泌物、唾液、皮脂(皮膚の油)、精液、喀痰、汗、滑液、涙液、嘔吐物、尿及び呼気凝縮液を含むが、これらに限定されない。
【0525】
該アッセイの一実施形態において、プレートを標的分析物(例えば標的タンパク質)含有の試料と接触させ、その後にプレートを閉鎖する。試料は、特異的結合に適した全ての必要な試薬(例えば、塩等)条件を含むか、又は含有するように修正される。捕捉剤(例えば抗体)及び検出剤は、試料中の標的分析物に特異的に結合し、それにより標識された1つの分析物を検出することができる。
【0526】
任意の実施形態のように、試料中の標的分析物の量を計測して、試料中の標的分析物の量の定性的又は定量的計測を提供することができる。いくつかの実施形態において、信号の大きさは、試料中の標的分析物の量の定量的計測を提供する。場合によっては、特定の場合に既知の濃度であってもよい標準曲線(例えば、第2の分析物又はスパイクイン分析物の標準曲線)と評価を比較することができる。異なる密度(例えば、異なる濃度)で捕捉剤を付着させ、かつ各捕捉剤から信号を読み取ることにより、該比較を促進することができる。
【0527】
8 小体積(V)の試料及び試薬での結合及び添加
多くの応用において、可能な限り少量の体積の試料又は試薬を使用することは非常に望ましい。しかしながら、マイクロ流体チャネルデバイス(現在に、小さい試料を使用する最も普及している装置)において、デバイスの入口から検査(検出)領域に流れる間に、大量の試料を浪費するため、検査位置の体積より大きい試料体積を必要とする。本発明の一態様は、小体積の試料又は試薬をプレートに付着させ、その後に該体積を、小さい厚さと以前より大きい面積とを有する薄膜に再成形することにより、検査中に使用される試料又は試薬の体積を顕著に減少させることである。このような再形成により、反応をより迅速にする。
【0528】
8−1 試料を広げることにより、小体積の試料中の標的実体を表面結合部位に結合すること
V1. 試料中の標的実体を結合部位に結合する方法は、以下のステップ(a)〜(c)を含む:
(a)異なる構成になるように互いに対して移動可能な第1のプレート及び第2のプレートを取得し、
前記第1のプレートが、その表面に結合部位を有し、前記プレートの1つ又は両方が、各々がその対応するプレートに固定され、かつ所定の高さを有するスペーサを含み、
(b)結合部位に結合される標的実体含有の試料を取得し
(c)プレートが開放構成に構成されている時に、プレートのうちの1つ又は両方に試料を付着させ、
開放構成とは、2つのプレートが部分的に又は完全に離され、プレート間の間隔がスペーサにより調節されず、かつ付着させた試料は結合部位の領域又は一部の領域を覆わず、
(d)(c)の後、プレートを閉鎖構成にして前記試料を広げ、
閉鎖構成で、プレートが互いに対向して、スペーサ及び試料の関連体積がプレートの間に位置し、プレートが開放構成にある時に比べて、結合部位と接触する試料の領域がより大きく、かつ結合部位にある試料の関連体積の厚さがプレート及びスペーサにより調節され、関連体積が試料の一部又は全体積である。
【0529】
V2. 試料中の標的実体を表面結合部位に結合する装置は、
異なる構成になるように互いに対して移動可能な第1のプレート及び第2のプレートを含み、
前記第1のプレートは、その表面に試料中の標的実体と結合する結合部位を有し、試料を1つのみのプレートに付着させ、かつ別のプレートと接触しない場合、結合部位は試料接触領域より大きい領域を有し、
プレートの1つ又は両方は、各々がその対応するプレートに固定され、かつ所定の高さを有するスペーサを含み、
前記構成の1つは、2つのプレートが部分的に又は完全に離され、プレート間の間隔がスペーサにより調節されず、試料が前記プレートの1つ又は両方に付着し、かつ付着時に結合部位の領域又は一部の領域を覆わない開放構成であり、
別の構成は、開放構成で試料を付着させた後に構成された閉鎖構成であり、前記閉鎖構成で、プレートが互いに対向し、スペーサ及び試料がプレートの間に位置し、プレートが開放構成にある時に比べ、試料が結合部位のより多くの領域と接触し、結合部位上の試料の厚さがプレート及びスペーサにより調節される。
【0530】
8−2 試料を広げて試薬を小体積の試料に添加すること
V3. 試料中の標的実体を結合部位に結合する方法は、以下のステップ(a)〜(c)を含む:
(a)異なる構成になるように互いに対して移動可能な第1のプレート及び第2のプレートを取得し、
前記第1のプレートが、その表面に試料に添加される試薬を含む貯蔵部位を有し、前記プレートの1つ又は両方がスペーサを含み、かつ各スペーサがそのそれぞれのプレートで固定され、かつ所定の高さを有し、
(b)プレートが開放構成に構成されている時に、プレートのうちの1つ又は両方に試料を付着させ、
開放構成で、2つのプレートが部分的に又は完全に離され、プレート間の間隔がスペーサにより調節されず、かつ付着時に試料が貯蔵部位の領域と接触しないか又は一部の領域と接触し、
(c)(b)の後、プレートを閉鎖構成にする前記試料を広げ、
閉鎖構成において、プレートが互いに対向し、スペーサ及び試料の関連体積がプレートの間に位置し、プレートが開放構成にある時に比べ、試料が貯蔵部位のより多くの領域と接触し、結合部位上の試料の関連体積の厚さをスペーサにより調節し、関連体積が貯蔵部位に位置する試料の一部である。
【0531】
V4. 試料中の標的実体を結合部位に結合する装置は、
異なる構成になるように互いに対して移動可能な第1のプレート及び第2のプレートを含み、
前記第1のプレートは、その表面に試料に添加される試薬を含む貯蔵部位を有し、プレートの1つ又は両方がスペーサを含み、かつ各スペーサがそのそれぞれのプレートで固定され、かつ所定の高さを有し、
プレートの1つ又は両方は、各々がその対応するプレートに固定され、かつ所定の高さを有するスペーサを含み、
1つの構成は、2つのプレートが部分的に又は完全に離され、プレート間の間隔がスペーサにより調節されず、試料が2つのプレートの1つ又は両方に付着する開放構成であり、
別の構成は、開放構成で試料を付着させた後に構成された閉鎖構成であり、前記閉鎖構成で、プレートが互いに対向し、スペーサ及び試料の関連体積がプレートの間に位置し、プレートが開放構成にある時に比べ、試料が貯蔵部位のより多くの領域と接触し、結合部位上の試料の関連体積の厚さをスペーサにより調節し、関連体積が貯蔵部位に位置する試料の一部である。
【0532】
段落V1及びV2に記載の方法とV3及びV4に記載の装置において、場合によっては、試料が少量で表面に湿潤性があるため、試料を結合部位領域又は貯蔵領域に付着させても、付着させた試料とプレートとの接触面積が結合部位又は貯蔵部位の面積より小さい。従って、広げること、特に正確に広げることが必要とされる。
【0533】
試料の滴は複数の滴であってもよく、閉鎖構成では、滴が、最大の厚さより小さい厚さを有するフィルムに融合する。
【0534】
本発明において、段落V1〜V7に記載の方法及び段落V2〜V8に記載の装置において、単一のプレート又は複数のプレートに付着した試料の体積(「試料体積」)は、最大0.001pL(ピコリットル)、最大0.01pL、最大0.1pL、最大1pL、最大10pL、最大100pL、最大1nL(ナノリットル)、最大10nL、最大100nL、最大1μL(マイクロリットル)、最大10μL、最大100μL、最大1mL(ミリリットル)、最大10mL、又はこれらの値のいずれか2つの間の範囲である。
【0535】
9 均一な試料の厚さ(UAB)を用いる試薬の均一な結合又は添加
アッセイ及び化学反応にとって、非常に大きい領域で薄い試料厚さを均一にすることが有利である。これらの実施例は、試料の実体を表面結合部位に結合すること、試薬を試料内に添加すること、試料の関連体積を定量化すること、分析物を定量化すること等を含む。2つのプレートを用いて試料の関連体積(一部又は全体積)の厚さを低減して調整する方法について、正確さ、均一性及び使いやすさは不可欠である。
【0536】
本発明の1つの態様は、2つのプレートを用いて試料を圧縮することにより、試料の関連体積の厚さを調節する方法及び/又は装置の精度、均一性又は使用しやすさを改善することである。
【0537】
9.1 試料中の標的実体を試料中の結合部位に均一に結合する方法
UAB1. 試料中の標的実体をプレートの結合部位に均一に結合する方法は、以下のステップ(a)〜(d)を含む:
(a)試料内に拡散できる標的実体を含有する試料を取得し、
(b)異なる構成になるように互いに対して移動可能な第1のプレート及び第2のプレートを取得し、
前記第1のプレートは、その表面に標的実体に結合するように構成された結合部位を有し、前記プレートの1つ又は両方は、その対応するプレートに固定され、かつ所定の高さを有するスペーサを含み、
(c)プレートが開放構成に構成されている時に、プレートのうちの1つ又は両方に試料を付着させ、
前記開放構成とは、2つのプレートが部分的に又は完全に離され、プレート間の間隔がスペーサにより調節されない構成であり、
(d)(c)の後、プレートを閉鎖構成にして前記試料を広げ、
閉鎖構成で、プレートが互いに対向し、スペーサ及び試料の関連体積がプレートの間に位置し、結合部位が関連体積と接触し、試料の関連体積の厚さがプレート及びスペーサにより調節され、該厚さが、プレートが開放構成にある時の試料の最大の厚さより薄く、結合部位でより均一であり、
スペーサ及びプレートは、閉鎖構成での試料の関連体積の調節された厚さが開放構成での調節された厚さより均一であるように構成され、該関連体積は、試料の体積の一部又は体積全体である。
【0538】
これは、結合部位の対応するプレートに、均一なサンドイッチを形成するための貯蔵部位をさらに有する。
【0539】
UAB2. 試料中の標的実体をプレートの結合部位に均一に結合する装置は、
異なる構成になるように互いに対して移動可能な第1のプレート及び第2のプレートを含み、
前記第1のプレートは、その表面に標的実体に結合するように構成された結合部位を有し、前記プレートの1つ又は両方は、各々がその対応するプレートに固定され、かつ所定の高さを有するスペーサを含み、
前記構成の1つは、2つのプレートが部分的に又は完全に離され、プレート間の間隔がスペーサにより調節されず、試料が2つのプレートの1つ又は両方に付着する開放構成であり、
別の構成は、開放構成で試料を付着させた後に構成された閉鎖構成であり、前記閉鎖構成で、プレートが互いに対向して、スペーサと試料の関連体積がプレートの間に位置し、結合部位が関連体積と接触し、試料の関連体積の厚さがプレート及びスペーサにより調節され、プレートが開放構成にある時に、該厚さが試料の最大の厚さより薄くかつ結合部位でより均一であり、
スペーサ及びプレートは、閉鎖構成での試料の関連体積の調節された厚さが開放構成での調節された厚さより均一であるように構成され、該関連体積は、試料の体積の一部又は体積全体である。
【0540】
9.2 プレート上の試薬を試料内に均一に添加する方法
UAB3. 試薬を試料の関連体積に均一に添加する方法は、以下のステップ(a)〜(d)を含む:
(a)異なる構成になるように互いに対して移動可能な第1のプレート及び第2のプレートを取得し、
前記第1のプレートが、その表面に試料の関連体積に添加される試薬を含む貯蔵部位を有し、該試薬が試料内に溶解し、かつ試料内に拡散でき、2つのプレートの1つ又は両方がスペーサを含み、かつ各スペーサがそのそれぞれのプレートで固定され、かつ所定の高さを有し、
(b)試料を取得し、
(c)プレートが開放構成に構成されている時に、プレートのうちの1つ又は両方に試料を付着させ、
前記開放構成とは、2つのプレートが部分的に又は完全に離され、プレート間の間隔がスペーサにより調節されない構成であり、
(d)(c)の後、プレートを閉鎖構成にして前記試料を広げ、
閉鎖構成で、プレートが互いに対向して、スペーサ及び試料の関連体積がプレートの間に位置し、貯蔵部位が関連体積と接触し、試料の関連体積の厚さがプレート及びスペーサにより調節され、プレートが開放構成にある時に、該厚さが試料の最大の厚さより薄く、
スペーサ及びプレートが、プレート開放構成にある時に比べ、プレート閉鎖構成にある関連体積の領域にわたってより均一である試料の関連体積の厚さより均一であるように構成され、該関連体積が、試料の体積の一部又は体積全体である。
【0541】
UAB4. 試薬を試料の関連体積に均一に添加する装置は、
異なる構成になるように互いに対して移動可能な第1のプレート及び第2のプレートを含み、
前記第1のプレートは、その表面に試料の関連体積に添加される試薬の貯蔵部位を有し、該試薬が試料内に溶解し、かつ試料内に拡散でき、2つのプレートの1つ又は両方がスペーサを含み、かつ各スペーサがその対応するプレートに固定され、かつ所定の高さを有し、
前記構成の1つは、2つのプレートが部分的に又は完全に離され、プレート間の間隔がスペーサにより調節されず、試料が2つのプレートの1つ又は両方に付着する開放構成であり、
別の構成は、開放構成で試料を付着させた後に構成された閉鎖構成であり、前記閉鎖構成で、プレートが互いに対向して、スペーサと試料の関連体積がプレートの間に位置し、貯蔵部位が関連体積と接触し、試料の関連体積の厚さがプレート及びスペーサにより調節され、プレートが開放構成にある時に、該厚さが試料の最大の厚さより薄く、
スペーサ及びプレートは、プレート開放構成にある時に比べ、プレート閉鎖構成にある関連体積の領域にわたってより均一である試料の関連体積の厚さより均一であるように構成され、該関連体積は、試料の体積の一部又は体積全体である。
【0542】
9.3 捕捉−分析物−検出サンドイッチを均一に形成する方法
UAB5. プレートの接合部位で捕捉−分析物−検出サンドイッチを均一に形成する方法は、以下のステップ(a)〜(e)を含む:
(a)標的分析物を含有する試料を取得し、
(b)標的分析物に結合(可能)して捕捉剤−標的分析物−検出剤サンドイッチを形成する捕捉剤及び検出剤を取得し、
(c)異なる構成にするように互いに相対的に移動可能な第1のプレート及び第2のプレートを取得し、
前記第1のプレートが、捕捉剤が固定化された結合部位を有し、第2のプレートが、検出剤を貯蔵するための貯蔵部位を有し、貯蔵部位が試料と接触する場合、試薬が試料内に溶解し、かつ試料内に拡散でき、プレートの1つ又は両方がスペーサを含み、かつ各スペーサがその対応するプレートに固定され、かつ所定の高さを有し、
(d)プレートが開放構成に構成されている時に、プレートのうちの1つ又は両方に試料を付着させ、
前記開放構成とは、2つのプレートが部分的に又は完全に離され、プレート間の間隔がスペーサにより調節されない構成であり、
(e)(d)の後、プレートを閉鎖構成にして前記試料を広げ、
閉鎖構成で、プレートが互いに対向して、スペーサ及び試料の関連体積がプレートの間に位置し、試料の関連体積の厚さがプレート及びスペーサにより調節され、該厚さが、プレートが開放構成にある時の試料の厚さより薄く、試料が結合部位及び貯蔵部位と接触し、
スペーサ及びプレートは、プレート開放構成にある時に比べ、プレート閉鎖構成にある関連体積の領域にわたってより均一である試料の関連体積の厚さより均一であるように構成され、該関連体積は、試料の体積の一部又は体積全体である。
【0543】
UAB6. プレートの接合部位で捕捉−分析物−検出サンドイッチを均一に形成する装置は、
異なる構成になるように互いに対して移動可能な第1のプレート及び第2のプレートを含み、
第1のプレートは、捕捉剤が固定化された結合部位を有し、該捕捉剤が試料内の標的分析物と結合することができ、
第2のプレートは、(a)貯蔵部位が試料と接触する時に、試料内に溶解しかち試料内に拡散すること、(b)標的分析物と結合し、かつ捕捉剤−標的分析物−検出剤サンドイッチを形成することを可能にする検出剤を貯蔵する貯蔵部位を有し、
1つ又は両方のプレートはスペーサを含み、各スペーサがその対応するプレートに固定されかつ所定の高さを有し、
構成の1つは、2つのプレートが部分的に又は完全に離され、プレート間の間隔がスペーサにより調節されず、試料が2つのプレートの1つ又は両方に付着する開放構成であり、
別の構成は、開放構成で試料を付着させた後に構成された閉鎖構成であり、前記閉鎖構成で、プレートが互いに対向して、スペーサと試料の関連体積がプレートの間に位置し、試料の関連体積の厚さがプレート及びスペーサにより調節され、プレートが開放構成にある時に、該厚さが試料の厚さより薄く、試料が結合部位及び貯蔵部位と接触し、
スペーサ及びプレートは、プレート開放構成にある時に比べ、プレート閉鎖構成にある関連体積の領域にわたってより均一である試料の関連体積の厚さより均一であるように構成され、該関連体積は、試料の体積の一部又は体積全体である。
【0544】
9.4 2つのプレートの間の試料の関連体積の厚さを均一に調節すること
UAB7. 試料の関連体積の厚さを調節する方法は、以下のステップ(a)〜(d)を含む:
(a)試料を取得し、
前記試料の関連体積の厚さが調節され、
(b)異なる構成になるように互いに対して移動可能な2つのプレートを取得し、
前記プレートの一つ又は両方が、所定のスペーサ間距離及び高さを有し、それぞれのプレートに固定されたスペーサを含み、
(c)プレートが開放構成に構成されている時に、プレートのうちの1つ又は両方に試料を付着させ、
前記開放構成とは、2つのプレートが部分的に又は完全に離され、プレート間の間隔がスペーサにより調節されない構成であり、
(d)(c)の後、プレートを閉鎖構成にして前記試料を広げ、
閉鎖構成で、プレートが互いに対向して、スペーサ及び試料の関連体積がプレートの間に位置し、試料の関連体積の厚さがプレート及びスペーサにより調節され、該厚さが、プレートが開放構成にある時の試料の最大の厚さより薄く、
スペーサ及びプレートが、プレート開放構成にある時に比べ、プレート閉鎖構成にある関連体積の領域にわたってより均一である試料の関連体積の厚さより均一であるように構成され、該関連体積が、試料の体積の一部又は体積全体である。
【0545】
UAB8. 試料の関連体積の厚さを調節する装置は、
異なる構成になるように互いに対して移動可能な第1のプレート及び第2のプレートを含み、
前記1つ又は両方のプレートは、所定のスペーサ間距離及び高さを有し、それぞれのプレートに固定されるスペーサを含み、
前記構成の1つは、2つのプレートが部分的に又は完全に離され、プレート間の間隔がスペーサにより調節されず、試料が前記プレートの1つ又は両方に付着する開放構成であり、
別の構成は、開放構成で試料を付着させた後に構成された閉鎖構成であり、前記閉鎖構成で、プレートが互いに対向して、スペーサと試料の関連体積がプレートの間に位置し、試料の関連体積の厚さがプレート及びスペーサにより調節され、プレートが開放構成にある時に、該厚さが試料の最大の厚さより薄く、
スペーサ及びプレートは、プレート開放構成にある時に比べ、プレート閉鎖構成にある関連体積の領域にわたってより均一である試料の関連体積の厚さより均一であるように構成され、該関連体積は、試料の体積の一部又は体積全体である。
【0546】
段落U1〜U8に記載の方法及び装置において、試料の関連体積の厚さを均一化するスペーサ及びプレートの構成は、本開示に記載の実施形態を有する。
【0547】
試料厚さの均一性 U1〜U8の段落の方法及び装置において、試料の関連体積の厚さの均一性とは、閉鎖構成における試料の厚さが、最大0.001%、最大0.01%、最大0.05%、最大0.1%、最大0.5%、最大1%、最大2%、最大5%、最大10%、最大20%、最大30%、最大50%、最大75%、最大90%、100%未満、又はこれらの値のいずれか2つの間の範囲で相対的に変動することである。
【0548】
段落U1〜U8の方法及び装置の好ましい実施形態において、試料の関連体積の厚さの均一性とは、閉鎖構成における試料の厚さが、最大0.1%、最大0.5%、最大1%、最大2%、最大5%、最大10%、最大20%、最大30%、最大50%、又はこれらの値のいずれか2つの間の範囲で相対的に変動することである。
【0549】
飽和インキュベーション時間の短縮に対して非常に重要なパラメータは、試料厚さの均一性である。結合部位で厚さが大きく変化すると、飽和インキュベーション時間は結合部位の位置によって異なり、より長い飽和インキュベーション時間を促成し、結合部位における全ての位置が飽和に達成することを確保する。
【0550】
10 増幅表面
PoC診断及び小さい試料体積を使用するいずれかのアッセイに対して、従来の主要障害の1つは、低い感度である。アッセイの信号を増強することが望ましい。本発明の1つの態様は、結合部位を信号増幅表面(SAS)に載置して、信号を増幅することにより、高い感度を達成する装置及び方法に関する。信号増幅表面は、信号増幅層(SAS)とも呼ばれる。
【0551】
SALの一般構造は、局所表面電界及び勾配及び光信号を増幅するナノスケール金属−誘電体/半導体−金属構造を含む。増幅は、金属構造の鋭い(曲率が大きい)エッジを有する位置及び2つの金属構造の小さな隙間の間で高い。最も高い増幅領域は、鋭いエッジと小さな隙間を有する領域である。さらに、全ての金属及び非金属マイクロ/ナノ構造の寸法は、一般的にはSALが増幅する光の波長(すなわち、サブ波長)より小さい。
【0552】
いくつかの実施形態において、SAL層は、できるだけ多くの金属の鋭いエッジ及び小さな隙間を有する。これは、ナノ構造の間の隙間が小さい金属ナノ構造の密集したグループを有することが必要である。SAL構造は、いくつかの異なる層を含んでもよい。さらに、SAL層自体は、様々な目的のために参照文献として本明細書に組み込まれる2013年3月15日に出願された米国特許仮出願第61/801424号、2014年3月15日に出願されたPCT出願WO2014197096、並びに様々な目的のために本明細書に参照文献として組み込まれるPCT/US2014/028417(Chouら、「Analyte Detection Enhancement By Targeted Immobilization,Surface Amplification, and Pixelated Reading And Analysis」)に記載されているように、鋭いエッジ及び小さな隙間のない金属材料の部分をさらに覆うことができるプロセスにより、さらに改善することができる。
【0553】
信号増幅表面の1つの特定の実施形態は、前記金属ドット構造、前記金属ディスク及び/又は前記金属バックプレーンの少なくとも一部少なくとも一部と、任意に分析物に特異的に結合する捕捉剤とを覆う分子接着層を含むD2PAアレイ(ディスク・カップルド・ドット・オン・ピラー・アンテナアレイ)であり、該捕捉剤がD2PAアレイに結合する。前記分析物が捕捉剤に結合する時、ナノセンサーは、分析物からの光信号を増幅することができる。いくつかの実施形態において、SALの1つ、いくつか又は全ての臨界金属及び誘電体成分の寸法は、検知中の光の波長より小さい。ディスク・カップルド・ドット・オン・ピラー・アンテナアレイの物理的構造の詳細、それらの製造方法、捕捉剤をディスク・カップルド・ドット・オン・ピラー・アンテナアレイに結合する方法、及びディスク・カップルド・ドット・オン・ピラー・アンテナアレイを用いて分析物を検出する方法は、様々な目的のために参照文献として本明細書に組み込まれるWO2012024006、WO2013154770、Liら(Optics Express 2011 19、3925−3936),Zhangら(Nanotechnology 2012 23:225−301),Zhouら(Anal.Chen.2012 84:4489)を含む様々出版物に記載されている。
【0554】
10.1 試料の関連体積中の標的実体をアッセイする信号の増幅
M1. 試料の関連体積中の標的実体をアッセイする信号を増幅する方法は、以下のステップ(a)〜(e)を含む:
(a)標的実体を含有する試料を取得し、
(b)異なる構成になるように互いに対して移動可能な2つのプレートを取得し、
1つのプレートが、その表面に標的実体に結合して信号増幅表面上又は付近にある光信号を増幅するように構成された信号増幅表面を含む、1つの結合部位を含み、2つのプレートの1つ又は両方が、各々がその対応するプレートに位置し、かつ所定の高さを有するスペーサを含み、
(c)プレートが開放構成に構成されている時に、プレートのうちの1つ又は両方に試料を付着させ、
前記開放構成とは、2つのプレートが離され、プレート間の間隔がスペーサにより調節されない構成であり、
(d)(c)の後、プレートを閉鎖構成にして前記試料を広げ、
閉鎖構成で、プレートが互いに対向して、スペーサ及び試料の関連体積がプレートの間に位置し、試料の関連体積の厚さがプレート及びスペーサにより調節され、スペーサは、プレートが開放構成にある時のスペーサより薄く、試料の関連体積が結合部位と接触し、
(e)(d)の後、プレートが閉鎖構成にある時に、一定の時間インキュベーションして、試料の関連体積中の標的実体が結合部位に結合することを可能にし、
前記関連体積は、プレートが閉鎖構成にある時に、試料が結合部位と接触する部分である。
【0555】
M2. 試料の関連体積中の標的実体をアッセイする信号を増幅する装置は、
異なる構成になるように互いに対して移動可能な第1のプレート及び第2のプレートを含み、
第1のプレートは、その表面に、(i)試料内の標的実体に結合し、(ii)信号増幅表面上又は付近にある光信号を増幅するように構成された信号増幅表面を含む、1つの結合部位を含み、
プレートの1つ又は両方は、各々がその対応するプレートに位置し、かつ所定の高さを有するスペーサを含み、
構成の1つは、2つのプレートが部分的に又は完全に離され、プレート間の間隔がスペーサにより調節されず、試料が前記プレートの1つ又は両方に付着する開放構成であり、
別の構成は、開放構成で試料を付着させた後に構成された閉鎖構成であり、前記閉鎖構成で、プレートが互いに対向して、スペーサと試料の関連体積がプレートの間に位置し、試料の関連体積の厚さがプレート及びスペーサにより調節され、該厚さはプレートが開放構成にある時の厚さより薄く、
関連体積は、プレートが閉鎖構成にある時に、試料が結合部位と接触する部分である。
【0556】
いくつかの実施形態において、信号増幅表面は、金属−誘電体ナノ構造、金属−半導体ナノ構造及びディスク・カップルド・ドット・オン・ピラー・アンテナアレイのうちの少なくとも1つを含む。
【0557】
いくつかの実施形態において、信号増幅表面は、金属層を含む。
【0558】
11 アッセイ中の迅速な結合における試薬体積(S)の節約
試薬中の実体を表面上の結合部位に結合する(例えば、捕捉剤でプレートをコーティングするか又は生体試料表面を染色する)場合には、短いインキュベーション時間を有することが望ましい。短いインキュベーション時間を取得する1つの方法は、試薬中の実体濃度を大幅に増加させることである。しかしながら、このような方法は、短いインキュベーション時間に、結合部位に近い試薬中の実体のほんの一部のみが結合部位に達して結合でき、残りは実体から遠すぎて結合部位に拡散して結合できず、無用で無駄になるので、実体を無駄にして、従ってコストがかかる。一般的な溶液中の一般的な試薬の典型的な拡散定数について、1s(秒)、10s及び100sのインキュベーション時間では、典型的な拡散の長さは、それぞれ約10μm、33μm及び100μmである。典型的な表面上の液滴の典型的な厚さは、2.5mmであり、上記拡散の長さより少なくとも25倍厚く、インキュベーション時間が100s以下であれば、顕著な無駄(高コスト)をもたらす。本発明の1つの態様は、試薬の液滴を広い領域に非常に薄く(自然な滴下よりも薄い)広げ、試薬を節約してコストを低減することである。
【0559】
11−1 試薬を広げることにより表面結合部位に結合する標的実体を含む試薬を節約する方法(体積が自然接触領域より小さい結合部位を有する)
S1. 表面結合部位に結合する標的実体を含む試薬を節約する方法は、以下のステップ(a)〜(d)を含む:
(a)異なる構成になるように互いに対して移動可能な第1のプレート及び第2のプレートを取得し、
前記第1のプレートが、その表面に結合部位を有し、前記プレートの1つ又は両方が、各々がその対応するプレートに固定され、かつ所定の高さを有するスペーサを含み、
(b)試薬を取得し、
前記試薬が(i)結合部位に結合可能な標的実体を含み、(ii)体積及び湿潤特性を有するため、結合部位に付着させた試薬の接触領域が結合部位の領域よりも小さく、他のプレートと接触せず、
(c)プレートが開放構成に構成されている時に、プレートのうちの1つ又は両方に試料を付着させ、
前記開放構成で、2つのプレートが部分的に又は完全に離され、プレート間の間隔がスペーサにより調節されず、
(d)、(c)の後、プレートを閉鎖構成にして前記試料を広げ、
閉鎖構成で、プレートが互いに対向して、スペーサ及び試料がプレートの間に位置し、プレートが開放構成にある時に比べて、結合部位と接触する試料の領域がより大きく、かつ結合部位にある試料の関連体積の厚さがプレート及びスペーサにより調節され、厚さはプレートが開放構成にある時の厚さより薄い。
【0560】
段落S1に記載の方法において、(d)の後、プレートが閉鎖構成にある時に、試料を一定の時間インキュベーションしかつインキュベーションを停止させるステップをさらに含み、インキュベーション時間は、プレートの閉鎖構成にある時に標的実体が拡散して最大試料厚さを通る時間にほぼ等しく、かつインキュベーションは実体と結合部位との結合を可能にする。
【0561】
S2. 表面結合部位に結合する標的実体を含む試薬を節約する装置は、
異なる構成になるように互いに対して移動可能な第1のプレート及び第2のプレートを含み、
第1のプレートは、その表面に試薬中の標的実体と結合する結合部位を有し、試薬を1つのみのプレートに付着させ、かつ別のプレートと接触しない場合、結合部位は試薬接触領域より大きい面積を有し、
プレートの1つ又は両方は、各々がその対応するプレートに固定され、かつ所定の高さを有するスペーサを含み、
前記構成の1つは、2つのプレートが部分的に又は完全に離され、プレート間の間隔がスペーサにより調節されず、試料が前記プレートの1つ又は両方に付着する開放構成であり、
別の構成は、開放構成で試薬を付着させた後に構成された閉鎖構成であり、閉鎖構成において、プレートが互いに対向して、スペーサ及び試薬がプレートの間に位置し、プレートが開放構成にある時に比べ、試料が結合部位のより多くの領域と接触し、結合部位上の試薬の厚さがプレート及びスペーサにより調節され、該厚さはプレートが開放構成にある時の厚さより薄い。
【0562】
12 体積及び/又は濃度の検出及び/又は定量化(Q)
試料の関連体積の定量化及び/又は制御は、試料中の化学化合物(分析物、実体、試薬等を含む)の濃度の定量化及び/又は制御に有用である。
【0563】
試料体積の定量化のための一般的な方法は、計量ピペット(例えば、エッペンドルフの「リサーチプラスピペット、調節可能であり、0.5〜10μL」、SKU#3120000020)又は幾何構造の使用を含む。PoC(ポイント・オブ・ケア)又は家庭用の場合、このような計量装置は、使用しにくく及び/又は高価である。試料体積及び/又は濃度の定量化及び/又は制御のためのより簡単で安価な方法及び装置が必要とされる。
【0564】
本発明の1つの態様は、計量ピペット及び/又は固定マイクロ流体流路を使用せずにプレート上に付着した試料の関連体積を定量化し及び/又は制御する方法、装置及びシステムに関する。試料体積の一部又は全体であってもよい関連体積は、試料中の標的分析物及び/又は実体の濃度の定量化及び/又は制御に関連する。本発明の方法、装置及びシステムは、使いやすく、コストが低い。
【0565】
12.1 試料の関連体積を定量化する方法
Q1. 試料の関連体積を定量化する方法は、以下のステップ(a)〜(e)を含む:
(a)試料の関連体積が定量化される試料を取得し、
(b)異なる構成になるように互いに対して移動可能な2つのプレートを取得し、
前記プレートの一つ又は両方が、所定のスペーサ間距離及び高さを有し、それぞれのプレートに固定されたスペーサを含み、
(c)プレートが開放構成に構成されている時に、プレートのうちの1つ又は両方に試料を付着させ、
前記開放構成とは、2つのプレートが部分的に又は完全に離され、プレート間の間隔がスペーサにより調節されない構成であり、
(d)(c)の後、プレートを閉鎖構成にして前記試料を広げ、
閉鎖構成で、プレートが互いに対向して、スペーサ及び試料の関連体積がプレートの間に位置し、試料の関連体積の厚さがプレート及びスペーサにより調節され、該厚さが、プレートが開放構成にある時の試料の最大の厚さより薄く、少なくとも1つのスペーサが試料内に位置し、
(e)プレートが閉鎖構成にある時に、試料の関連体積を定量化し、
前記関連体積は、試料の一部又は全体積である。
【0566】
Q2. いくつかの実施形態において、試料の関連体積を定量化する方法は、以下のステップ(a)〜(d)を含む:
(a)第1のプレート及び第2のプレートを取得し、
(b)2つのプレートの間に定量化される試料を生じ、
(c)2つのプレートを圧縮して試料の厚さを減少させることにより試料の形状を変形させ、プレート間に試料を横方向に広げ、
(d)プレートが閉鎖構成にある時に、試料の関連体積を定量化し、
前記関連体積は、試料の一部又は全体積である。
【0567】
12.2 試料中の関連体積を定量化するためのプレート
Q3. 試料中の関連体積を定量化するためのプレートは、
その表面に、(i)所定のスペーサ間の距離及び高さを有し、表面に固定されたスペーサと、(ii)試料と定量化される関連体積を有する試料と接触させるための試料接触領域とを含み、少なくとも1つのスペーサは、試料接触領域の内部にあるプレートを含む。
【0568】
12.3 試料中の関連体積を定量化するための装置
Q4. 試料中の関連体積を定量化するための装置は、
第1のプレート及び第2のプレートを含み、それは、(a)異なる構成になるように互いに対して移動可能であり、(b)それぞれ、定量化される関連体積を有する試料と接触させるための試料接触領域を有し、
1つ又は両方のプレートは、その表面に、所定のスペーサ間の距離及び高さを有しそれぞれのプレートに固定されるスペーサを含み、
前記構成の1つは、開放構成であり、2つのプレートが離され、プレート間の間隔がスペーサにより調節されず、試料を1つ又は両方のプレートに付着させ、
別の構成は、開放構成で試料を付着させた後に構成された閉鎖構成であり、前記閉鎖構成で、プレートは互いに対向し、スペーサ及び試料の関連体積はプレートの間に位置し、試料の関連体積の厚さは、プレート及びスペーサにより調節され、かつプレートが開放構成にある時に比べて小さく、少なくとも1つのスペーサは、試料内部にあり、
試料の関連体積は、閉鎖構成で定量化され、関連体積は、試料の体積全体の少なくとも一部である。
【0569】
12−5.試料関連体積の計測
MS1. 本発明において、プレートが閉鎖構成にある時、試料の関連体積の定量化は、以下の5つの実施形態を含むが、それらに限定されない:
(a)機械、光学、電気又はそれらの任意の組み合わせの方法により、試料の関連体積を計測すること、
(b)機械、光学、電気、又はそれらの任意の組み合わせの方法から選択される方法を使用して、試料の関連体積に関連した1つ以上のパラメータを独立して計測すること、
(c)試料の関連体積に関連した所定の1つ以上のパラメータ(すなわち、プレートが閉鎖構成にある前に決定された試料のパラメータ)を使用すること、
(d)(i)プレートが閉鎖構成にある時、関連体積に関連した1つ以上のパラメータを測定し、(ii)プレートが閉鎖構成にある前、関連体積に関連した他のパラメータを予め決定することにより、試料の関連体積を決定すること、
(e)非試料体積を決定すること、
(f)以上の(a、b及びc)の任意の組み合わせ。
【0570】
段落MS1の方法において、機械的方法は、スペーサ(すなわち、基板の内面とカバープレートとの間の間隔を所定の値に調節する機械的装置)、機械的プローブ又は定規、音波(例えば、間隔を計測するための超音波の反射及び/又は干渉)、又はそれらの任意の組み合わせの使用を含むが、それらに限定されない。
【0571】
段落MS1の方法において、光干渉、光学撮像(例えば、試料の2D(2次元)/3D(3次元)画像を撮る)、複数回の光学撮像(異なる視野角、異なる波長、異なる位相及び/又は異なる偏光による)、画像処理、又はそれらの任意の組み合わせの使用を含むが、それらに限定されない。
【0572】
電気的方法は、容量、抵抗又はインピーダンスの計測、又はそれらの任意の組み合わせを含むが、それらに限定されない。
【0573】
段落MS1の方法において、いくつかの実施形態において、試料厚さの計測は、2つのプレートの内面間の間隔を計測することである。
【0574】
段落MS1の方法において、いくつかの実施形態において、試料の関連体積に関連した所定の1つ以上のパラメータの試料を使用し、所定のパラメータは、プレートが閉鎖構成にある時にスペーサにより調節された所定の試料厚さである。
【0575】
段落MS1の方法において、いくつかの実施形態において、試料の関連体積に関連した所定の1つ以上のパラメータの試料を使用し、所定のパラメータは、所定のスペーサの高さである。
【0576】
段落MS1の方法において、いくつかの実施形態において、試料の関連体積に関連したパラメータは、閉鎖構成でのパラメータであり、それは、(i)(CROF内)第1のプレートの内面と第2のプレートの内面との間の間隔、(ii)試料厚さ、(iii)試料領域の全体又は関連部分、(iv)試料体積の全体又は関連部分、又は(v)それらの任意の組み合わせを含むが、それらに限定されない。
【0577】
段落MS1の方法において、いくつかの実施形態において、試料体積又は関連試料体積の定量化は、(i)試料厚さと試料面積全体とを乗算して、試料体積全体を取得し、(ii)試料厚さと関連試料面積とを乗算して、関連試料体積を取得し、(iii)関連試料厚さと全体又は関連試料面積とを乗算して、関連試料体積を取得するステップを含む。
【0578】
段落MS1の方法において、いくつかの実施形態において、計測は、関連体積の3D(3次元)画像を撮ることである。
【0579】
段落MS1の方法において、いくつかの実施形態において、試料の関連体積の定量化は、試料の関連体積の横方向面積を計測し、その後にそれと関連体積の厚さを使用して、試料の関連体積の体積を決定することにより実行され、関連体積の厚さは、スペーサの情報から決定され、スペーサの情報は、スペーサの高さを含み、
段落MS1の方法において、いくつかの実施形態において、試料の関連体積の定量化は、試料の関連体積及びスペーサの横方向面積をともに計測し、その後にそれと関連体積の厚さ及びスペーサの体液を使用して、試料の関連体積の体積を決定することにより実行され、関連体積の厚さは、スペーサの情報から決定され、
段落MS1の方法において、いくつかの実施形態において、試料の関連体積の定量化は、試料の関連体積の横方向面積及び厚さを計測することにより実行され、
段落MS1の方法において、いくつかの実施形態において、試料の関連体積の定量化は、試料の関連体積の体積を光学に計測することにより実行される。
【0580】
段落MS1の方法において、いくつかの実施形態において、スケールマークは、プレートが閉鎖構成にある時、試料の関連体積の定量化を補助するために使用され、スケールマーカーのいくつかの実施形態において、それらの使用及び計測等は、セクション2に記載される。
【0581】
段落MS1の方法において、いくつかの実施形態において、試料の関連体積の定量化は、非試料体積を引くステップを含み、いくつかの実施形態において、非試料体積は本発明に記載された実施形態により決定される。
【0582】
12−4. 試料の関連体積における分析物の濃度を定量化する装置
Q5. 試料の関連体積における分析物を定量化する方法は、以下のステップ(a)、(b)を含む:
(a)段落Q1の方法におけるステップを実行し、
(b)ステップ(a)の後、関連体積からの分析物に関連した信号を計測し、
前記関連体積は、試料の一部又は全体積である。
【0583】
Q6. 試料の関連体積における分析物を定量化する方法は、以下のステップ(a)、(b)を含む:
(a)段落Q2の方法におけるステップを実行し、
(b)ステップ(a)の後、関連体積からの分析物に関連した信号を計測し、
前記関連体積は、試料の全体積の少なくとも一部である。
【0584】
段落Q5〜6のいずれかの方法において、いくつかの実施形態において、さらに、関連体積の体積に基づいて、試料の関連体積からの分析物に関連した信号を分割することにより、分析物濃度を計算するステップを含む。
【0585】
段落Q5〜6のいずれかの方法において、1つ又は両方のプレートは、さらに、結合部位、貯蔵部位又は両方を含む。
【0586】
段落Q5〜6のいずれかの方法において、いくつかの実施形態において、分析物に関連した信号は、直接的に分析物から又は分析物に付けられた標識からの信号である。
【0587】
Q7. 試料の関連体積における分析物を定量化する方法は、以下のステップ(a)、(b)を含む:
(a)1つ又は両方のプレートは結合部位を含むことを特徴とする段落Q1の方法におけるステップを実行し、
(b)ステップ(a)の後、関連体積からの分析物に関連した信号を計測し、
前記関連体積は、試料の一部又は全体積である。
【0588】
Q8. 試料の関連体積における分析物を定量化する方法は、以下のステップ(a)、(b)を含む:
(a)1つ又は両方のプレートは結合部位を含むことを特徴とする段落Q2の方法におけるステップを実行し、
(b)ステップ(a)の後、関連体積からの分析物に関連した信号を計測し、
前記関連体積は、試料の一部又は全体積である。
【0589】
段落Q7〜8のいずれかの方法において、いくつかの実施形態において、分析物に関連した信号は、直接的に結合部位に結合した分析物からの信号又は結合部位に結合した分析物に付けられた標識からの信号である。
【0590】
12.5 試料中の関連体積内の分析物濃度を定量化するためのプレート
Q9. 試料中の関連体積内の分析物濃度を定量化するためのプレートは、
その表面に、(i)所定のスペーサ間の距離及び高さを有するスペーサと、(ii)定量化される関連体積での分析物濃度を有する試料と接触させるための試料接触領域とを含み、少なくとも1つのスペーサは、試料接触領域の内部にあるプレートを含む。
【0591】
12.6 試料の関連体積中の分析物濃度を定量化するための装置
試料中の標的分析物及び/又は実体の数が定量化され、かつ試料の関連体積も定量化されると、試料中の標的分析物及び/又は実体の濃度を定量化又は制御することができる。
【0592】
Q10. 試料の関連体積における分析物濃度を定量化するための装置は、
第1のプレート及び第2のプレートを含み、それは、(a)異なる構成になるように互いに対して移動可能であり、(b)それぞれ、定量化される関連体積での分析物濃度を有する試料と接触させるための試料接触領域を有し、1つ又は両方のプレートは、その表面に、所定のスペーサ間の距離及び高さを有するスペーサを含み、各スペーサはそれぞれのプレートに固定され、
構成の1つは、開放構成であり、2つのプレートが離され、プレート間の間隔がスペーサにより調節されず、試料を1つ又は両方のプレートに付着させ、
別の構成は、開放構成で試料を付着させた後に構成された閉鎖構成であり、前記閉鎖構成で、プレートは互いに対向し、スペーサ及び試料の関連体積はプレートの間に位置し、試料の関連体積の厚さは、プレート及びスペーサにより調節され、かつプレートが開放構成にある時に比べて小さく、少なくとも1つのスペーサは、試料内部にあり、
試料の関連体積での分析物濃度は、閉鎖構成で定量化され、関連体積は、試料の体積全体の少なくとも一部である。
【0593】
段落Q9及びQ10のいずれかの装置において、プレートは、さらに、結合部位又は貯蔵部位又は両方を含む。結合部位の1つの実施形態は、試料中の分析物に結合した結合部位である。
【0594】
段落Q9及びQ10のいずれの装置において、スケールマークは、プレートは、さらに、1つ以上のスケールマーカーを含み、スケールマーカーのいくつかの実施形態は、セクション2に記載される。
【0595】
段落Q1〜10のいずれかの方法又は装置において、いくつかの実施形態において、計測装置は、撮像装置及びカメラのうちの少なくとも1つを含む。
【0596】
段落Q1〜10のいずれかの方法又は装置において、いくつかの実施形態において、計測装置は、試料の関連体積の横方向面積を撮像するように構成される。
【0597】
段落Q1〜10のいずれかの方法又は装置において、いくつかの実施形態において、計測装置は、試料の関連体積の横方向面積を照らすための光源を含む。
【0598】
段落Q1〜10のいずれかの方法又は装置において、いくつかの実施形態において、濃度を計算するステップは、関連試料体積で、総標的分析物又は実体を割ることである。
【0599】
段落Q1〜10のいずれかの方法又は装置において、いくつかの実施形態において、計測信号は、光学撮像装置を用いて、標的分析物又は実体を計数する。例えば、計測は、光学顕微鏡を用いて、血液試料中の血液細胞(赤血球、白血球、血小板)を計測することであってもよい。
【0600】
段落Q1〜10のいずれかの方法又は装置において、いくつかの実施形態において、試料中の標的分析物又は実体の数の計測は、表面の標的分析物又は実体を捕捉する表面固定化アッセイの実施形態であってもよい。
【0601】
いくつかの実施形態において、試料の体積を定量化するか又は試料中の分析物を検出/定量化する装置は、段落Q1〜10のいずれかの装置、(1)光学撮像装置、及び/又は(2)光源及び光学撮像装置等を含む。光学撮像装置は、フォトセンサ、光学レンズ、フィルタ、偏光子、波長板、ビームスプリッタ、機械マウント、又はそれらの任意の組み合わせを含む。
【0602】
いくつかの実施形態において、関連試料面積又は体積の計測は、(i)第1のプレート、カバープレート、それらの間、又はそれらの任意の組み合わせにマーカーを付け、(ii)光学撮像し(例えば、試料の2D(2次元)/3D(3次元)画像を撮像する)、該撮像を、異なる視野角、異なる波長、異なる位相、及び/又は異なる偏光で複数回行い、(iii)、メーカー及び試料画像に基づいて画像を処理することを含む。関連方法は、標的分析物濃度の決定に関連する。
【0603】
走査 いくつかの実施形態において、試料からの信号の読み取りは、走査方法を使用し、ここで、リーダ(例えば、光検出器又はカメラ)は、試料(又はプレート)の一部を読み取り、その後に試料(又はプレート)の他の部分に移動し、このようなプロセスは、試料(又はプレート)の特定の予め指定された部分が読み取られるまで行われる。試料への走査と読み取りは、試料(又はプレート)のすべての部分又は試料(又はプレート)の一部をカバーする。いくつかの実施形態において、走査と読み取りは、試料(又はプレート)を指示する位置マーカーにより、補助される。位置マーカーの一例は、固定された周期及び位置を有する周期的スペーサであり、又は試料又はプレートの位置を指示する所定の位置及び寸法も有する関連領域用のマーカーである。
【0604】
13 分析物及びその他の検出及び定量化(D)
特定の実施形態において、分析物に関連した信号を計測することにより、分析物を検出及び/又は定量化(すなわち、アッセイ)する。該信号は、光学信号、電気信号、機械的信号、化学−物理的信号、又はそれらの任意の組み合わせである。いくつかの実施形態において、CROF装置内の2つのプレートが互いに接近している時に、分析物アッセイが実行される。いくつかの実施形態において、CROF装置内の2つのプレートが互いに離された時に、分析物アッセイが実行される。
【0605】
いくつかの実施形態において、光学信号は、光反射、散乱、透過、吸収、スペクトル、色、発光、強度、波長、位置、偏光、冷光、蛍光、電子発光、化学発光、電気化学発光、又はそれらの任意の組み合わせを含むが、それらに限定されない。光学信号は、光学画像(すなわち、光信号と試料又は装置の位置)又は所定の面積又は体積からのすべての光子の総数の形態である。光の好ましい波長は、400nm〜1100nmの範囲、50nm〜400nmの範囲、1nm〜50nmの範囲、又は1100nm〜30000nmの範囲内にある。他の好ましい波長は、テラヘルツである。
【0606】
電気信号は、電荷、電流、インピーダンス、容量、抵抗、又はそれらの任意の組み合わせを含むが、それらに限定されない。機械信号は、機械波、音波、衝撃波、又は振動を含むが、それらに限定されない。化学−物理的信号は、反応において生成されたPH値、イオン、熱、気泡、色変化を含むが、それらに限定されない。
【0607】
例えば、標識はビーズであり、かつ標識が、分析物特異的結合プロセス(すなわち、検出剤を用いてビーズを分析物に取り付けること、捕捉剤を用いて分析物及びビーズを捕捉すること、捕捉剤を用いて分析物を結合して、次に検出剤を用いてビーズを付けること、又は他の手段)により、標識に付けられる(捕捉剤と検出剤は分析物に特異的に結合することに留意されたい)。その後に計測を用いて、分析物に付けられた各ビーズを識別し、それらを計数する。
【0608】
いくつかの実施形態において、各分析物又はビーズを、光学手段(例えば、(i)光学標識及び標識の読み取り、(ii)表面プラズモン共鳴、(iii)光学干渉、(iv)電気的方法(例えば、容量、抵抗、インピーダンス等)又は他の手段により、検知し、計数する。センサは、第1のプレート及び/又は第2のプレートの表面に位置することができる。
【0609】
特定の実施形態は、(a)表面固定化アッセイ、(b)バルクアッセイ(例えば、血球計数)及び(c)他のもので分析物濃度を決定することを含む。いくつかの実施形態において、試料体積、試料の関連体積、又は濃度の方法は、スマートフォンを使用する。
【0610】
段落Q1〜10のいずれかの方法又は装置において、いくつかの実施形態において、信号計測は、試料中の分析物の数を計測するか、又は試料中の分析物に付けられた標識の数を計測することである。段落Q5の他の実施形態において、「計測信号」は、(a)各分析物又は各分析物に付けられた各標識を識別し、(b)その数を計数する。
【0611】
いくつかの実施形態において、電極が1つ又は両方の第1及び第2のプレートに置かれた場合(これはCROFを使用するいずれの方法及び装置に適用される)、分析物検出は、電気的方法である。電極は、試料の電荷、電流、容量、インピーダンス又は抵抗、又はそれらの任意の組み合わせを計測する。電極は、試料中の電解質を計測する。電極は、スペーサの厚み以下の厚みを有する。いくつかの実施形態において、電極は、スペーサの一部として機能する。電極は、様々な導電性材料により製造される。好ましい電極材料は、金、銀、アルミニウム、銅、白金、カーボンナノチューブ、又はそれらの任意の組み合わせである。
【0612】
段落Q1〜10のいずれかの方法又は装置において、いくつかの実施形態において、計測は、カメラ又は光検出器である装置と、計測を行うように構成されたプロセッサとを使用する。
【0613】
段落Q1−10のいずれかの方法又は装置において、いくつかの実施形態において、濃度決定装置は、計測値(体積、面積、厚さ、分析物の数、強度)に基づいて濃度を決定するように構成されたプロセッサを含む。
【0614】
段落Q1−10のいずれかの方法又は装置において、いくつかの実施形態において、計測された横方向面積、厚さ及び標的分子の数に基づいて、関連体積における標的分析物の濃度を決定するように構成された濃度決定装置をさらに含む。
【0615】
画素化した読み取り及び分析を用いる信号検出の詳細
本発明では、いくつかの実施形態において、試料、分析物、実体、結合部位、試薬、CROFプレート又はそれらの任意の組み合わせからの信号を、検出し、分析する。画素化した読み取り及び分析を用いる信号検出のいくつかの実施形態は、本発明に記載され、いくつかの他の実施形態は、公報番号WO2014144133A及び出願番号PCT/US2014/028417(Chouら、「Analyte Detection Enhancement By Targeted Immobilization、Surface Amplification、And Pixelated Reading And Analysis」)に記載され、それらは、あらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0616】
いくつかの実施形態において、信号は、異なる周波数、光強度、蛍光、色度、発光(電気及び化学発光)、ラマン散乱、時間分解信号(点滅を含む)を有する電気及び光学信号を含む電磁信号である。信号は、さらに、局部電気、局部機械、局部生物学又はプレートと読み取り装置との間の局部光学相互作用による力であってもよい。信号は、さらに、信号の空間的(すなわち、位置)、時間的及びスペクトル分布を含む。検出信号も吸収することができる。
【0617】
分析物は、タンパク質、ペプチド、DNA、RNA、核酸、小分子、細胞、及び異なる形状のナノ粒子を含む。標的分析物は、溶液又は空気又は気相のいずれかであってもよい。検知は、存在の検出、濃度の定量化、標的分析物の状態の決定を含む。
【0618】
いくつかの実施形態において、電界は、分子選択性、又は結合及び検出を補助するために用いられる。
【0619】
検出/読み取り方法
光学検出(すなわち、電磁放射による検出)のいくつかの実施形態において、方法は、遠視野光学方法、近接場光学方法、落射蛍光分光法、共焦点顕微鏡法、2光子顕微鏡法、及び全反射顕微鏡法を含むが、それらに限定されず、標的分析物は電磁放射エミッタにより標識され、これらの顕微鏡中の信号は、CROFプレートの増幅表面により増幅することができる。
【0620】
いくつかの実施形態において、信号は、位置、局部強度、局部スペクトル、局部偏波、局部位相、前記信号の局部ラマンシグネチャ、又はそれらの任意の組み合わせの情報を含む。
【0621】
いくつかの実施形態において、信号検出は、ある領域からの一括信号(すなわち、領域内のとの位置かに関わらず、領域からの信号)を計測することである。
【0622】
特定の実施形態において、信号検出は、ある領域の信号画像(すなわち、信号と位置)を検出することであり、すなわち、該領域を複数の画素に分割し、該領域の各画素中の信号を個別に検出することであり、「PIX」又は「画素化画像検出」とも呼ばれる。各画素の個々の計測は、並行又は順次又は混合であってもよい。
【0623】
いくつかの実施形態において、読み取りは、適切な検出システムを使用して、信号を順次又は並行して、又はそれらの組み合わせで検出する。順次検出においては、1つ又は複数の画素を1回に検出し、かつスキャナを用いて検出をSALの他の領域に移動する。並行検出においては、撮像カメラ(例えばCCDカメラ)のようなマルチ画素検出器アレイを使用して、異なる画素からの信号を同時に検出する。走査は、単一のパス又は異なる画素寸法を有するマルチパスである。PCT/US2014/028417の
図2Cは、x、y、z状態での画素化した読み取りを概略的に示す。
【0624】
読み取り/検出のための画素寸法は、光学解像度と全読み取り時間のバランスのために調節される。小さな画素寸法は、SALの全体又は一部の読み取り/走査により長い時間がかかる。一般的な画素寸法は、1μm〜10μmである。画素の形状は、円形、正方形、長方形である。画素寸法の下限は、顕微鏡システムの光学解像度により決定され、画素寸法の上限は、撮像装置(光学収差、照明均一度等)の不均一な光学応答による読み取りエラーを回避するために、決定される。
【0625】
読み取りシステム
PCT/US2014/028417の図面を参照すると、読み取りシステムの一実施形態は、(a)CROF用の1つ又は複数のプレートと、(b)個々の標的分析物の結合事象を表す、前記プレートの表面から発する信号の画像を生成するための読み取り装置205と、(c)プレートと撮像装置を保持する装置アセンブリ300と、(d)前記画像を記憶するための電子機器及びデータ記憶装置301と、(e)画像のある領域内の個々の結合事象を識別し計数するためのプログラミングを含むコンピュータとを含む。
【0626】
装置アセンブリ300は、信号を読み取るために、3つ(x,y,z)の直交方向の少なくとも1つで、プレートと読み取り装置との間の相対位置を制御し、変更する。装置アセンブリの実施形態は、走査機301を含む。いくつかの実施形態において、走査機301は、3つ(x,y,z)の直交方向の少なくとも1つを走査する。
【0627】
いくつかの実施形態において、読み取り装置302は、CCDカメラである。いくつかの実施形態において、読み取り装置302は、光学フィルタ303、分光計、レンズ304、アパーチャ、ビームスプリッタ305、ミラー306、偏光子307、波長板及びシャッタから選択される1つ以上の他の光学機器を含む光検出器である。いくつかの実施形態において、読み取り装置302は、ローカル及びリモート通信機能を有するスマートフォン又は携帯電話である。読み取り装置は、前記信号の位置、局部強度、局部スペクトル、局部ラマンシグネチャ、又はそれらの任意の組み合わせを収集する。
【0628】
いくつかの実施形態において、光学フィルタ303、光ビームスプリッタ305、光ファイバ、光検出器(例えば、pn接合、ダイオード、PMT(光電子増倍管)、又はAPD(アバランシェフォトダイオード))、撮像カメラ(例えば、CCDカメラ又は携帯電話のカメラ))、及び分光計は、装置アセンブリ301により提供される走査機と共に、遠視野共焦点設定又は広視野設定を使用する顕微鏡システムに結合される。
【0629】
いくつかの実施形態において、共焦点設定では、読み取りは、1つ以上の画素の輝度、時間変化及びスペクトル変化を1回記録し、SALの関心領域全体をラスタ走査することにより、実行される。いくつかの実施形態において、広視野設定では、カメラは、SAL領域の全体又は一部の輝度及び時間変化を記録するために使用される。いくつかの実施形態において、適切な光学フィルタ及び光ビームマニピュレータ(偏光子、ビームスプリッタ、光ファイバ等)は、所望の信号のみが収集し、検出されるように確保するために、必要とされる。PCT/US2014/028417の
図9は、このシステム用の構成要素の一配置を概略的に示す。いくつかの実施形態では、分析は、Open−CV又はImage−Jにおける方法を含むが、これらに限定されない画像化処理方法を含む。
【0630】
画素化した分析(PIX) PIXのいくつかの実施形態において、画素化した方法で検出された信号は、特定の画素又は複数の画素での特定の分子の数及び/又はタイプを決定するために分析され、次に、それは、標的分析物のタイプ及び/又は濃度を定量化するために使用される。用語「画素化方法による信号検出」とは、信号を有する領域を複数の画素に分割し、かつ該領域の各画素からの信号を個別に検出する方法を指し、「PIX」又は「画素化画像検出」とも呼ばれる。各画素の個々の計測値は、並行又は順次又は混合であってもよい。
【0631】
いくつかの実施形態において、分析は、信号の空間、テンポ、スペクトル情報を分析することを含む。いくつかの実施形態では、分析は、統計分析、比較、統合等を含むが、それらに限定されない。PCT/US2014/028417の
図5は、該方法の一実施形態のフローチャートを示す。
【0632】
14 標識
本開示全体に記載された光標識の実施形態の1つ又は任意の組み合わせは、本発明の説明全体に記載されたすべての方法及び装置に適用される。
【0633】
いくつかの実施形態において、標識は、検出剤、分析物又は実体(複数可)に付けられる。特定の実施形態において、前記標識は、光標識、電気的標識、光学的又は電気的信号を生成するために用いられる酵素、又はそれらの任意の組み合わせである。特定の実施形態において、検出剤、分析物又は実体(複数可)は、その後に標識に付けられる接続分子(例えば、タンパク質、核酸、又は他の化合物)に付けられる。いくつかの実施形態において、細胞(例えば血球、細菌等)又はナノ粒子は、標識により染色される。いくつかの実施形態において、光標識は、光信号を生成可能な物体であり、光信号の生成は、光(すなわち、光子)の反射、散乱、透過、吸収、スペクトル、色、放射、強度、波長、位置、偏光、発光、蛍光、エレクトロルミネッセンス、フォトルミネセンス(蛍光)、化学発光、電気化学発光又はそれらの任意の組み合わせを含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、光信号は、光学画像(すなわち、光信号と試料又は装置の位置)又は所定の面積又は体積からのすべての光子の総数の形態である。光の好ましい波長は、400nm〜1100nmの範囲、50nm〜400nmの範囲、1nm〜50nmの範囲、又は1100nm〜30000nmの範囲内にある。他の好ましい波長は、テラヘルツである。
【0634】
ビーズ、ナノ粒子及び量子ドット いくつかの実施形態において、光標識は、ビーズ、ナノ粒子、量子ドット、又はそれらの任意の組み合わせである。
【0635】
いくつかの実施形態において、ビーズ、ナノ粒子又は量子ドットの直径は、1nm以下、2nm以下、5nm以下、10nm以下、20nm以下、30nm以下、40nm以下、50nm以下、60nm以下、70nm以下、80nm以下、100nm以下、120nm以下、200nm以下、300nm以下、500nm以下、800nm以下、1000nm以下、1500nm以下、2000nm以下、3000nm以下、5000nm以下、又はこれらの値のいずれか2つの間の範囲である。
【0636】
いくつかの実施形態において、ビーズ又は量子ドットは標識として使用され、かつそれらはCROFのプレート上に予め塗布され、2つのプレート間の内部間隔は、1μm以下、10μm以下、50μm以下、又はこれらの値のいずれか2つの間の範囲である。
【0637】
いくつかの実施形態における、溶液中のビーズ間の分離
・拡散時間。(搬送媒体の関連体積の厚さは、厚さ全体にわたる光標識の拡散時間が1ms未満であることをもたらし、
・溶解時間を制御することができる。光子、熱量又は他の励起及びそれらの組み合わせを用いて制御することができる。励起エネルギーが印加されるまで、溶解は開始しない。
【0638】
標識のいくつかの実施形態において、10nm以上の直径を有するナノ粒子である。このような大きな直径のナノ粒子は、拡散定数が小さな分子(質量<1000Da)及び大きな分子(質量=1000〜1000000ダルトン(da))よりも小さく、所定の溶液及び距離に対する拡散時間が長くなる。拡散時間の短縮は、拡散距離を減少させることである。
【0639】
光標識が数ナノメートルより大きい直径を有するビーズ又は他のナノ粒子である場合、それらは従来技術に対して特別な利点を有する。これは、液体中の物体の拡散定数が、1次近似に対して、物体の直径に反比例するからである(アインシュタイン・ストークス方程式による)。
【0640】
例えば、それぞれ直径20nm、200nm及び2000nmを有するビーズ光標識は、拡散定数を有し、従って、2nmのビーズより10倍、100倍及び1000倍大きい拡散時間を有する。現在アッセイで使用される典型的な拡散距離に対して、これはPoC(ポイントオブケア)アプリケーション用の実際の飽和インキュベーション時間が長いことをもたらす。
【0641】
しかし、本発明は、数ナノメートルより大きい直径を有する光標識用のインキュベーション時間が長いという問題を解決した。本発明は、プレート表面に貯蔵された光標識を有し、次に、サブミリメートル、ミクロン又はナノメートルスケールで(2つの間の)別個の距離を有する結合部位に隣接する貯蔵表面に置き、搬送媒体で分離隙間を充填する(貯蔵された光標識が搬送媒体に溶解し、結合部位に拡散する)。本発明は、さらに、大きな結合部位の領域にわたってこのような小さな距離を均一に制御することができ、かつスペーサ技術を使用することによって容易に制御することができる。
【0642】
分析物を標識することは、例えば、検出可能な標識を含む分析物特異的結合メンバーのような標識剤を使用することを含んでもよい。検出可能な標識には、蛍光標識、比色標識、化学発光標識、酵素結合試薬、多色試薬、アビジン−ストレプトアビジン関連検出試薬などを含むが、これらに限定されない。特定の実施形態において、検出可能な標識は蛍光標識である。蛍光標識は、蛍光検出器によって検出可能な標識部分である。例えば、関心対象の分析物への蛍光標識の結合は、関心対象の分析物を蛍光検出器によって検出することを可能にしてもよい。蛍光標識の実施例は、試薬と接触すると蛍光を発する蛍光分子、電磁放射線(例えば、UV、可視光線、X線など)で照射される場合に蛍光を発する蛍光分子などを含むが、これらに限定されない。
【0643】
特定の実施形態において、標識用の適切な蛍光分子(蛍光体)は、IRDye800CW、Alexa 790、Dylight 800、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、カルボキシフルオレセインのスクシンイミジルエステル、フルオレセインのスクシンイミジルエステル、フルオロセインジクロロトリアジンの5−異性体、ケージドカルボキシフルオレセイン−アラニン−カルボキシアミド、オレゴングリーン488、オレゴングリーン514、ルシファーイエロー、アクリジンオレンジ、ローダミン、テトラメチルローダミン、テキサスレッド、ヨウ化プロピジウム、JC−1(5,5’,6,6’−テトラクロロ−1,1’,3,3’−テトラエチルベンゾイミダゾイルカルボシアニンヨウ化物)、テトラブロモローダミン123、ローダミン6G、TMRM(テトラメチルローダミンメチルエステル)、TMRE(テトラメチルローダミンエチルエステル)、テトラメチルロサミン、ローダミンB及び4−ジメチルアミノテトラメチルロサミン、緑色蛍光タンパク質、青色偏移緑色蛍光タンパク質、シアン偏移緑色蛍光タンパク質、赤色偏移緑色蛍光タンパク質、黄色偏移緑色蛍光タンパク質、4−アセトアミド−4’−イソチオシアネートスチルベン−2,2’ジスルホン酸、アクリジン、アクリジンイソチオシアネートなどのアクリジン及び誘導体、5−(2’−アミノエチル)アミノナフタリン−1−スルホン酸(EDANS)、4−アミノ−N−[3−ビニルスルホニル)フェニル]ナフト−アリミド−3,5ジスルホン酸塩、N−(4−アニリノ−1−ナフチル)マレイミド、アントラニルアミド、4,4−ジフルオロ−5−(2−チエニル)−4−ボラ−3a,4aジアザ−5−インダセン−3−プロピオニ−c酸BODIPY、カスケードブルー、ブリリアントイエロー、クマリン、7−アミノ−4−メチルクマリン(AMC、クマリン120)、7−アミノ−4−トリフルオロメチルクマリン(クマリン151)のようなクマリン及び誘導体、シアニン色素、シアノシン、4’,6−ジアミニジノ−2−フェニルインドール(DAPI)、5’,5”−ジブロモピロガロール−スルホナフタレイン(ブロモピロガロールレッド)、7−ジエチルアミノ−3−(4’−イソチオシアナトフェニル)−4−メチルクマリン、ジエチレントリアミンペンタアセテート、4,4’−ジイソチオシアナートジヒドロ−スチルベン−2−,2’−ジスルホン酸、4,4’−ジイソチオシアナートスチルベン−2,2’−ジスルホン酸、5−(ジメチルアミノ]ナフタリン−1−スルホニルクロリド(DNS、ダンシルクロリド)、4−ジメチルアミノフェニルアゾフェニル−4’−イソチオシアネート(DABITC)、エオシン、エオシンイソチオシアネートのようなエオシン及び誘導体、エリスロシンB、エリスロシン、イソチオシアネートのようなエリスロシン及び誘導体、エチジウム、5−カルボキシフルオレセイン(FAM)、5−(4,6−ジクロロトリアジン−2−イル)アミノ−−フルオレセイン(DTAF)、2’,7’ジメトキシ−4’5’−ジクロロ−6−カルボキシフルオレセイン(JOE)、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、QFITC、(XRITC)のようなフルオレセイン及び誘導体、フルオレスカミン、IR144、IR1446、マラカイトグリーンイソチオシアネート、4−メチルウンベリ−フェロネオルトクレゾールフタレイン、ニトロチロシン、パラローザニリン、フェノールレッド、B−フィコエリトリン、o−フタルジアルデヒド、ピレン、ピレン酪酸、スクシンイミジル1−ピレンのようなピレン及び誘導体、ブチラート量子ドット、6−カルボキシ−X−ローダミン(ROX)、6−カルボキシローダミン(R6G)、リサミンローダミンBスルホニルクロリドローダミン(Rhod)、ローダミンB、ローダミン123、ローダミンXイソチオシアネート、スルホローダミンB、スルホローダミン101、スルホローダミン101のスルホニルクロリド誘導体(テキサスレッド)のようなリアクティブレッド4(チバクロン(商標)ブリリアントレッド3B−A)ローダミン及び誘導体、N,N,N’,N’−テトラメチル−6−カルボキシローダミン(TAMRA)、テトラメチルローダミン、テトラメチルホダミンイソチオシアネート(TRITC)、リボフラビン、5−(2’−アミノエチル)アミノナフタリン−1−スルホン酸(EDANS)、4−(4’−ジメチルアミノフェニルアゾ)安息香酸(DABCYL)、ロゾール酸、CAL Fluor Orange 560、テルビウムキレート誘導体、Cy3、Cy5、Cy5.5、Cy7、IRD700、IRD800、ラヨラブルー、フタロシアニン、及びナフタロシアニン、クマリン及び関連色素、キサンテン色素、例えば、ロードール、レソルフィン、ビマン、アクリジン、イソインドール、ダンシル色素、アミノフタルヒドラジド、例えばルミノール、及びイソルミノール誘導体、アミノフタルイミド、アミノナフタルイミド、アミノベンゾフラン、アミノキノリン、ジシアノヒドロキノン、蛍光ユーロピウム及びテルビウム錯体、これらの組み合せなどを含むが、これらに限定されない。適切な蛍光タンパク質及び発色性タンパク質は、オワンクラゲに由来するGFP又はその誘導体、例えば増強GFPなどの「ヒト化」誘導体、ウミシイタケ、レニラムレリ、チロサルクスゲルニのような別の種からのGFP、「ヒト化」組み換えGFP(hrGFP)、花虫類種からの様々な蛍光及び着色タンパク質のいずれか、それらの組み合せなどを含むが、これらに限定されない。
【0644】
特定の実施形態において、色素は、血球を染色するために用いられ、色素は、ライト染色(エオシン、メチレンブルー)、ギムザ染色(エオシン、メチレンブルー、アズールB)、メイ−グリンヴァルト色素、リーシュマン染色(「多色性」メチレンブルー(つまり、脱メチル化して様々な青色になる)及びエオシン)、エリスロシンB染色(エリトロシンB)及び他の蛍光染色を含み、これらの蛍光染色は、アクリジンオレンジ色素、3,3−ジヘキシルオキサカルボシアニン(DiOC6)、ヨウ化プロピジウム(PI)、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)及びベーシックオレンジ21(BO21)色素、臭化エチジウム、ブリリアントスファフラビン及びスチベンジスルホン酸誘導体、エリスロシンB又はトリパンブルー、ヘキスト33342、三塩酸塩、三水和物及びDAPI(4’,6−ジアミジノ−2−フェニルインドール、二塩酸塩)を含むが、これらに限定されない。
【0645】
特定の実施形態において、標識剤は、関心対象の分析物に特異的に結合するように構成される。特定の実施形態において、試料をCROF装置に適用する前に、標識剤はCROF装置内に存在してもよい。他の実施形態において、試料をCROF装置に適用した後に、標識剤はCROF装置に適用されてもよい。特定の実施形態において、試料をCROF装置に適用した後、CROF装置を洗浄して、試料中の非結合分析物及び他の非分析物成分のようないずれかの非結合成分を除去し、かつ洗浄後に標識剤をCROF装置に適用して結合分析物を標識してもよい。いくつかの実施形態において、標識剤を分析物捕捉剤複合体に結合した後にCROF装置を洗浄して、分析物−捕捉剤複合体に結合していない任意の過剰な標識剤をCROF装置から除去する。
【0646】
特定の実施形態において、分析物をCROF装置に結合した後、例えば、分析物をCROF装置(例えば、サンドイッチ型アッセイ内)に結合し、同時に捕捉剤として分析物に結合可能な標識結合剤を使用して、分析物を標識する。いくつかの実施形態において、核酸分析物をCROF装置に捕捉してもよく、かつ標識された核酸は、核酸分析物がCROF装置に結合される捕捉剤として分析物に同時にハイブリダイズすることができる。
【0647】
特定の態様では、CROF装置は、分析物に直接的又は間接的に結合され、次にCROF装置に結合される検出可能な標識によって生成される蛍光又は発光のような光信号を増強する。特定の実施形態において、信号は、信号増幅の物理的プロセスによって増強される。いくつかの実施形態において、光信号は、ナノプラズモン効果(例えば、表面増強ラマン散乱)によって増強される。例えば、LiらのOptics Express 2011 19:3925−3936及びWO2012/024006は、ナノプラズモン効果による信号増強の例を記載しており、参照文献として本明細書に組み込まれる。特定の実施形態において、信号の生物学的/化学的増幅を使用せずに信号の増強を達成する。信号の生物学的/化学的増幅は、信号の酵素的増幅(例えば、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)に使用される)及び信号のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅を含んでもよい。他の実施形態において、物理的プロセス及び生物学的/化学的増幅によって信号の増強を達成してもよい。
【0648】
感度 特定の実施形態において、CROF装置は、0.1nM以下、例えば、10pM以下、又は1pM以下、又は100fM以下、例えば、1fM以下、又は0.5fM以下、又は100aM以下、又は50aM以下、又は20aM以下を含む10fM以下の検出感度を有するように構成される。特定の実施形態において、CROF装置は、10aM〜0.1nM、例えば、100aM〜100fMを含む20aM〜10pM、50aM〜1pMの検出感度を有するように構成される。場合によっては、CROF装置は、1ng/mL以下、例えば、10pg/mL以下、1pg/mL以下、100fg/mL以下、10fg/mL以下、又は5fg/mL以下を含む100pg/mL以下の濃度で分析物を検出できるように構成される。場合によっては、CROF装置は、1fg/mL〜1ng/mL、例えば、10fg/mL〜10pg/mLを含む5fg/mL〜100pg/mLの濃度で分析物を検出できるように構成される。特定の実施形態において、CROF装置は、7桁以上を含む6桁以上のような5桁以上のダイナミックレンジを有するように構成される。
【0649】
読み取り 場合によっては、試料のCROF装置への適用からCROF装置への読み取りまでの期間は、1秒〜30分、例えば、1分〜5分を含む10秒〜20分、30秒〜10分の範囲にあってもよい。場合によっては、試料の信号増強検出器への適用から装置によって受信可能な出力の生成までの期間は、1時間以下、30分以下、15分以下、10分以下、5分以下、3分以下、1分以下、50秒以下、40秒以下、30秒以下、20秒以下、10秒以下、5秒以下、2秒以下、1秒以下であってもよく、あるいはさらに短くてもよい。場合によっては、試料の信号増強検出器への適用から装置によって受信可能な出力の生成までの期間は、200ミリ秒以上を含む100ミリ秒以上、例えば、500ミリ秒以上、1秒以上、10秒以上、30秒以上、1分以上、5分以上であってもよく、あるいはさらに長くてもよい。
【0650】
任意の適切な方法を使用して、CROF装置を読み取って、試料中の分析物の量の計測値を取得することができる。いくつかの実施形態において、CROF装置への読み取りは、CROF装置内の分析物に結合した検出可能な標識から電磁信号を得ることを含む。特定の実施形態において、電磁信号は光信号である。得られる光信号は、光の強度、光の波長、光源の位置などを含むことができる。特定の実施形態において、標識によって生成される光信号は、300nm〜900nmの範囲内の波長を有する。特定の実施形態において、光信号は、CROF装置の視像の形態で読み取られる。
【0651】
特定の実施形態において、CROF装置への読み取りは、光源のような電磁放射線源をCROF装置内のバイオマーカーに結合された検出可能な標識の励起源として提供することを含む。光源は、検出可能な標識を励起するための任意の適切な光源であってもよい。例示的な光源は、日光、外乱光、UVランプ、蛍光ランプ、発光ダイオード(LED)、フォトダイオード、白熱灯、ハロゲンランプなどを含むが、これらに限定されない。
【0652】
CROF装置への読み取りは、試料内に存在し、かつCROF装置に結合した分析物の量を測定するための任意の適切な方法によって達成され得る。特定の実施形態において、CROF装置は、CROF装置内の分析物に結合した検出可能な標識から光信号を得るように構成された装置によって読み取られる。場合によっては、装置は、携帯電話又はスマートフォンのようなハンドヘルドデバイスである。CROF装置を読み取るように構成された任意の適切なハンドヘルドデバイスは、本発明の装置、システム及び方法に使用されてもよい。CROF装置を読み取るように構成された特定の装置の実施形態は、2014年10月21日に出願された米国仮特許出願第62/066,777号に記載され、該出願は参照文献として本明細書に組み込まれる。
【0653】
いくつかの実施形態において、装置は、CROF装置からの光信号を取得し、例えば、CROF装置の画像を取得するように構成された光記録装置を含む。場合によっては、光記録装置は、デジタルカメラのようなカメラである。用語「デジタルカメラ」とは、光学画像を形成するための撮像レンズシステム、光学画像を電気信号に変換するための画像センサ及び他の部品を備えた撮像装置を主部品とする任意のカメラであり、そのようなカメラの例は、デジタルスチルカメラ、デジタルムービーカメラ及びウェブカメラ(すなわち、ネットワークに直接接続されたものと、情報処理能力を有するパーソナルコンピュータのような装置を介してネットワークに接続されたものとの両方を含む画像の交換を可能にするために、ネットワークに接続された装置に公的に又は私的に接続されたカメラ)を含む。一例において、CROF装置への読み取りは、経時変化を捕捉してもよいビデオ撮像を含んでもよい。例えば、ビデオを取得してCROF装置に適用された試料の動的変化に関する評価を提供してもよい。
【0654】
特定の実施形態において、光記録装置は、研究/臨床実験室装置に使用された高感度光記録装置の感度よりも低い感度を有する。場合によっては、本方法に用いられた光記録装置は、研究/臨床実験室装置に使用された高感度光記録装置の感度よりも、200倍以上、500倍以上、1000倍以上を含む100倍以上のような10倍以上低い感度を有する。
【0655】
特定の実施形態において、該装置は、ビデオディスプレイを有してもよい。ビデオディスプレイは、ディスプレイページがユーザに知覚可能な方法で表示されてもよいコンポーネント、例えば、コンピュータモニタ、陰極線管、液晶ディスプレイ、発光ダイオードディスプレイ、タッチパッド又はタッチスクリーンディスプレイ、及び/又は視覚的に知覚可能な出力を発するための当技術分野で知られている他の手段を含んでもよい。特定の実施形態において、装置は、検出器から取得された画像及び/又は処理されたデータから生成されたレポートなどの情報を表示し、情報が対象によって入力されることを可能にするためのタッチスクリーンを備える。
【0656】
15 多重化
本明細書に記載の任意の実施形態において、システムは、多重アッセイを実施するように設計されてもよく、かつ複数の貯蔵部位、複数の結合部位、又は複数の貯蔵部位及び複数の結合部位を含むことにより、異なるアッセイを1つのプレートの表面上の異なる領域で実施することができる。例えば、一実施形態において、1つのプレートは、それぞれ異なる捕捉剤を含む複数の結合部位を含んでもよく、従って、同じアッセイにおける試料中の複数の分析物の検出を可能にする。これらの部位は、互いに近位であるが、空間的に分離されもよい。
【0657】
図10は、本発明の例示的な実施形態、すなわち1つのプレートの1つの結合部位と他のプレートの複数の貯蔵部位を使用する単一のCROF装置における多重検出を概略的に示す。図(a)及び(b)は、それぞれ例示的な装置の斜視図及び断面図である。例示的な場合では、多重化されたCROF装置は、第1のプレート及び第2のプレートを含み、前記第1のプレートの1つの表面は1つの結合部位を有し、前記第2のプレートの1つの表面は複数の貯蔵部位を有し、異なる貯蔵部位は、異なる濃度を有する同じ検出剤を有することができ、あるいは、同じ又は異なる濃度を有する異なる検出剤を有することができる。いくつかの実施形態において、結合部位の面積は、各貯蔵部位の面積よりも大きい。いくつかの実施形態において、結合部位の面積は、すべての貯蔵部位の総面積よりも大きく、及び/又は結合部位は貯蔵部位と整列される(すなわち、それらは相互の上部にあり、すなわち、結合部位と貯蔵部上の点との間の最短距離は同じであるか又はほぼ同じである)。
【0658】
図11は、本発明のさらなる例示的な実施形態、すなわち1枚のプレートの1つの貯蔵部位と他のプレートの複数の結合部位を使用する単一のCROF装置における多重検出を概略的に示す。図(a)及び(b)は、それぞれ例示的な装置の斜視図及び断面図である。例示的な場合では、多重化されたCROF装置は、第1のプレート及び第2のプレートを含み、前記第1のプレートの1つの表面は複数の結合部位を有し、前記第2のプレートの1つの表面は1つの貯蔵部位を有し、異なる結合部位は、異なる濃度を有する同じ捕捉剤を有することができ、あるいは、同じ又は異なる濃度を有する異なる捕捉剤を有することができる。いくつかの実施形態において、貯蔵部位の面積は、各結合部位の面積よりも大きい。いくつかの実施形態において、貯蔵部位の面積は、すべての結合部位の総面積よりも大きく、及び/又は貯蔵部位は結合部位と整列される(すなわち、それらは相互の上部にある)。
【0659】
図12は、本発明のさらなる例示的な実施形態、すなわち1枚のプレートの複数の結合部位と他のプレートの複数の対応する貯蔵部位を使用する単一のCROF装置における多重検出を概略的に示す。図(a)及び(b)は、それぞれ例示的な装置の斜視図及び断面図である。例示的な場合では、多重化されたCROF装置は、第1のプレート及び第2のプレートを含み、前記第1のプレートの1つの表面は複数の結合部位を有し、前記第2のプレートの1つの表面は複数の対応する貯蔵部位を有し、各対応する貯蔵部位は、第1のプレート上の結合部位の位置に対応する第2のプレート上の位置に配置されることにより、プレートが対向して配置される場合、各結合部位は1つの貯蔵部位のみと重なり、各貯蔵部位は1つの貯蔵部位のみと重なり、異なる貯蔵部位は、異なる濃度を有する同じ検出剤を有することができ、あるいは、同じ又は異なる濃度を有する異なる検出剤を有することができ、異なる貯蔵部位は、異なる濃度を有する同じ捕捉剤を有することができ、あるいは、同じ又は異なる濃度を有する異なる捕捉剤を有することができる。
【0660】
特定の実施形態において、
図10、11及び12のいずれか1つの装置において、第1のプレートは、その表面に、第1の所定のアッセイ部位及び第2の所定のアッセイ部位をさらに含み、プレートが閉鎖位置にある時に、複数のアッセイ部位に近接した縁部の間の距離は、均一な厚さの層の厚さより実質的に大きく、試料の均一な厚さの層の少なくとも一部は、所定のアッセイ部位の上方に位置し、試料は、試料に拡散できる1つ以上の分析物を有する。アッセイの飽和インキュベーションが2つの隣接する部位間の顕著な相互拡散の間に完了することができるので、隣接する複数のアッセイ部位の縁部間の距離を試料の厚さよりも大きくすることにより、試料の異なる部分を流体的に隔離することなく複数の結合部位を有することが可能になる。隣接する距離と試料の厚さの比を適切に選択し、かつアッセイの飽和インキュベーション時間より長いが2つの隣接する部位の間の顕著な相互拡散の時間より短い計測時間を適切に選択することにより、試料の異なる部分を離すことなく、CROFにより多重化を行うことができる。いくつかの実施形態において、閉鎖構成における試料厚さに対する隣接する距離の比は、1.5以上、3以上、5以上、10以上、20以上、30以上、50以上、100以上、200以上、1000以上、10000以上、又はこれらの値のいずれか2つの間の範囲である。この比は、好ましい実施形態において3以上であり、他の好ましい実施形態において5以上であり、特定の好ましい実施形態において10以上であり、別の好ましい実施形態において30以上であり、別の好ましい実施形態において100以上である。
【0661】
特定の実施形態において、
図10、11及び12のいずれか1つの装置では、第1のプレートは、その表面に、少なくとも3つの分析物アッセイ部位を有し、プレートが閉鎖位置にある時に、任意の2つの隣接したアッセイ部位の縁部間の距離は、均一な厚さの層の厚さより実質的に大きく、均一な厚さの層の少なくとも一部は、アッセイ部位の上方に位置し、試料は、試料に拡散できる1つ以上の分析物を有する。
【0662】
特定の実施形態において、
図10、11及び12のいずれか1つの装置では、第1のプレートはその表面に、プレートが閉鎖位置にある時に、均一な厚さの層の厚さより実質的に大きい距離により分離されない少なくとも2つの隣接した分析物アッセイ部位を有し、均一な厚さの層の少なくとも一部は、アッセイ部位の上方に位置し、試料は、試料に拡散できる1つ以上の分析物を有する。
【0663】
段落U1〜6、X−6、P1−8、W1〜6、V1−4、UAB1−8、M1−2、S1−2、Q110及びH1のいずれか、ならびにそれらの任意の組み合わせの方法又は装置では、第1及び第2のプレートは、多重化検出のために
図10、
図11、又は
図12に記載されるように、結合部位及び貯蔵部位をさらに含む。
【0664】
これらの実施形態において、該装置は、流体分離(すなわち、アッセイ領域間の物理的障壁がない)がない状況下で液体試料を比較し、多重化し、アッセイすることができる。該装置は、第1のプレート及び第2のプレートを含み、i.プレートは、異なる構成になるように互いに対して移動可能であり、1つ又は両方のプレートは可撓性であり、ii.前記プレートの1つ又は両方は、それぞれのプレートに固定されたスペーサを含み、かつスペーサは、所定の実質的に均一な高さ、及び所定の一定のスペーサ間距離を有し、iii.各プレートは、それらのそれぞれの表面上に、試料内に拡散できる1つ以上の標的分析物を含む、試料と接触するための試料接触領域を有し、iii.第1のプレートは、その表面に、各々が試料の対応する標的分析物に結合しかつそれを固定する捕捉剤含有の所定の領域を有する1つ以上の結合部位を有し、iv.第2のプレートは、その表面に、各々が試料と接触する場合に試料内に溶解しかつ試料内に拡散する濃度の検出剤を含み、かつ所定の領域を有する1つ以上の対応する貯蔵部位を有し、各捕捉剤、標的分析物及び対応する検出剤は、第1のプレートの結合部位で捕捉剤−標的分析物−検出剤サンドイッチを形成することができ、1つの構成は、開放構成であり、2つのプレートが部分的に又は完全に離され、プレート間の間隔がスペーサにより調節されず、試料がプレートの1つ又は両方に付着し、別の構成は、開放構成で試料を付着させた後に構成された閉鎖構成であり、前記閉鎖構成で、i.少なくとも一部の試料は、厚さが均一な層へと圧縮され、該層が2つのプレートの内表面と接触して限定し、かつそれにより1つ以上の結合部位と1つ以上の貯蔵部位を覆い、ii.1つ以上の対応する貯蔵部位は1つ以上の結合部位の上方にあり、iii.層の均一な厚さをスペーサ及びプレートにより調節し、それは250μmより小さく、各貯蔵部位の所定の領域の線形寸法より実質的に小さく、iv.結合部位及び/又は貯蔵部位の間に流体的隔離がなく、隣接する貯蔵部位の縁部の間の分離部と隣接する結合部位の縁部の間の分離部は、標的分析物又は検出剤の関連時間内の拡散可能な距離より大きく、かつ結合部位及び/又は貯蔵部位の間に流体的隔離がない。
【0665】
いくつかの実施形態において、第1のプレートは、その表面に、複数(少なくとも2箇所、少なくとも4箇所、又は少なくとも16箇所又はそれ以上)の結合部位を有する。
【0666】
いくつかの実施形態において、各結合部位は、異なる標的分析物に結合される。
【0667】
いくつかの実施形態において、第2のプレートは、その表面に、複数(少なくとも2箇所、少なくとも4箇所、又は少なくとも16箇所又はそれ以上)の対応する貯蔵部位を有する。
【0668】
いくつかの実施形態において、各対応する貯蔵部位は、異なる標的分析物に結合される。
【0669】
いくつかの実施形態において、第1のプレートは、その表面に、複数の結合部位を有し、第2のプレートは、その表面に、複数の対応する貯蔵部位を有し、プレートが閉鎖構成にある時、各結合部位は対応する貯蔵部位に対向する。
【0670】
いくつかの実施形態において、第1のプレートは、その表面に、複数の結合部位を有し、第2のプレートは、その表面に、1つの貯蔵部位を有し、プレートが閉鎖構成にある時に、結合部位のうちの少なくともいくつかの結合部位は貯蔵部位中の1つの領域に対向する。
【0671】
いくつかの実施形態において、第1のプレートは、その表面に、1つの結合部位を有し、第2のプレートは、その表面に、複数の貯蔵部位を有し、プレートが閉鎖構成にある時、貯蔵部位のうちの少なくともいくつかの貯蔵部位は結合部位中の1つの領域に対向する。
【0672】
いくつかの実施形態において、第1のプレートは、その表面に、複数の結合部位を有し、結合部位は、同じ標的分析物に結合し、固定する異なる捕捉剤を含む。
【0673】
いくつかの実施形態において、第1のプレートは、その表面に、複数の結合部位を有し、結合部位は、同じ捕捉剤を含む。
【0674】
いくつかの実施形態において、捕捉剤は、異なる結合部位において密度が異なる。これらの実施形態は、試料中の分析物の量を定量化する方法を提供するために使用されてもよい。
【0675】
いくつかの実施形態において、2つの隣接する結合部位又は2つの隣接する貯蔵部位の間に分離部が存在し、閉鎖構成での試料の厚さに対する分離の比は、少なくとも3であり、例えば少なくとも5、少なくとも10、少なくとも20又は少なくとも50である。
【0676】
いくつかの実施形態において、スペーサ間距離は、1μm〜120μmの範囲内にある。
【0677】
いくつかの実施形態において、可撓性プレートの厚さは、20μm〜250μmの範囲内(例えば50μm〜150μmの範囲内)にあり、かつヤング率は0.1GPa〜5GPaの範囲内(例えば、0.5GPa〜2GPaの範囲内)にあってもよい。
【0678】
いくつかの実施形態において、可撓性プレートの厚さに可撓性プレートのヤング率を乗算した値は、60GPa−μm〜750GPa−μmの範囲内にある。
【0679】
いくつかの実施形態において、該方法は以下のステップ(a)〜(e)を含む:
(a)試料内に拡散できる1つ以上の標的分析物を含有する試料を取得し、
(b)異なる構成になるように互いに対して移動可能な第1のプレート及び第2のプレートを取得し、
i.前記プレートの1つ又は両方は、それぞれのプレートに固定されたスペーサを含み、前記プレートの1つ又は両方のプレートは可撓性であり、
ii.スペーサは、所定の実質的に均一な高さ、及び所定の一定のスペーサ間距離を有し、
iii.第1のプレートは、その表面に、(a)における対応する標的分析物に結合して固定化する捕捉剤を含む所定の領域をそれぞれ有する1つ以上の結合部位を有し、
iv.第2のプレートは、その表面上に、所定の領域をそれぞれ有し、試料に接触した後に試料に溶解して拡散するある濃度の検出剤を含む1つ以上の対応する貯蔵部位を含み、各捕捉剤、標的分析物及び対応する検出剤は、第1のプレートの結合部位に捕捉剤−標的分析物−検出剤のサンドイッチを形成でき、
(c)プレートが開放構成に構成されている時に、1つ又は両方のプレートに試料を付着させ、
開放構成とは、2つのプレートが部分的に又は完全に離され、プレート間距離がスペーサにより調節されない構成を指し、
(d)(c)の後、2つのプレートを閉鎖構成にすることにより試料を圧縮し、
閉鎖構成は、
i.試料の少なくとも一部が、2つのプレートの内表面に接触して限定され、1つ以上の結合部位及び1つ以上の貯蔵部位に接触する均一な厚さの層へと圧縮され、
ii.1つ以上の対応する貯蔵部位が1つ以上の結合部位上にあり、
iii.層の均一な厚さがスペーサ及びプレートにより調節され、250μmより小さく、各貯蔵部位の所定の領域の線形寸法より実質的に小さ(e)(d)の後に、プレートが閉鎖構成にある時に、
(1)関連時間長さで試料をインキュベーションし、次にインキュベーションを停止し、あるいは
(2)関連時間長さの最小値以上の時間で試料をインキュベーションし、次に、関連時間長さの最大値以下の時間内に、各標的分析物の結合部位への結合を評価し、前記関連時間長さは、
i.(a)の標的分析物が閉鎖構成で均一な厚さの層の厚さにわたって拡散することに必要な時間以上であり、かつ
ii.(a)の標的分析物が貯蔵部位又は結合部位の所定の領域の最小線形寸法にわたって横方向に拡散する時間より著しく短く、従って、(1)におけるインキュベーションの終了で又は(2)における評価中に、各結合部位に結合した捕捉剤−標的分析物−検出剤サンドイッチの大部分が試料の対応する関連体積から由来し、インキュベーションにより、各標的分析物が結合部位及び検出剤に結合することを可能にし、対応する試料の関連体積は、閉鎖構成で対応する貯蔵部位の上にある試料の一部分であり、隣接した貯蔵部位のエッジの間の距離と隣接した結合部位のエッジとの間の距離は、標的分析物又は検出剤が関連時間内に拡散できる距離より大きく、結合部位及び/又は貯蔵部位の間に流体的隔離がない。
【0680】
上記多重化アッセイ装置の任意の実施形態は、この方法に使用されてもよい。
【0681】
16 広いウェル内の少量の試料又は試薬(E)
いくつかの応用において、プレート上のウェルは、試料がカバーしなければならないウェルの領域に対して小さい試料体積を有する試料を検査するために使用される。本発明の1つの態様は、広いウェル内の少量の試料又は試薬のアッセイ及び他の化学反応を可能にする方法及び装置である。用語「ウェル」は、ウェルの内部に付着した液体が、ウェルの固体底部及び密閉された側壁によってウェルの外側に流れることを防止する、表面での中空の区画、くぼんだ領域、又はくぼみを指す(
図8)。ウェルの領域は、側壁によって囲まれた領域である。用語「小体積の試料」と「広いウェル」は、試料がウェルの底部に滴下され、試料を分散するための装置がない場合、ウェル底部との接触領域を有するウェル底部上の試料の体積は、ウェルの領域よりも小さい(すなわち、前記「小」と「広さ」とは、試料の自然接触領域とウェルの底部領域との比較である)。ウェルは密閉スペーサ(E)の作用を果たす。
【0682】
図8及び
図9は、試料の厚さ調整のためのプレート及び密閉スペーサ(ウェル)の特定の実施形態を示す。(a)第1のプレートは、ウェルの内側に1つの密閉スペーサ(ウェル)及び少なくとも1つのスペーサを有し(
図9)、(b)第1のプレートは、ウェルの内側にスペーサを備えない(
図8)という2つの例示的な実施形態が示される。別の実施形態は、第1及び第2のプレートが閉鎖構成にある前に、密閉スペーサがその中の1つのプレートにあり、隔離されたスペーサが別のプレート上にあり、プレートの閉鎖構成では、隔離されたスペーサがウェルの内側にあることである。
【0683】
1つの実施形態において、プレートのウェルに付着した試料の体積は、ウェルの内部体積(体積を特定の体積に測定する)にほぼ等しい所定の体積(内側のウェル領域とウェルの高さとの積)を有することができ、それによりプレートが閉鎖構成にある時に、試料はほぼ完全にウェルを充填し、ウェルから流れ出る試料がないか又はほぼない。
【0684】
別の実施形態において、プレートのウェルに付着した試料の体積は測定されず、かつプレートの閉鎖構成では、試料の一部はウェルをほぼ完全に充填し、試料の他の部分はウェルから流出する。
【0685】
別の実施形態において、複数のウェルは1つのプレートである。いくつかの実施形態において、ウェルからオーバーフローする試料のためのウェル間に溝(ダンピング空間)がある。ダンピング空間は、1つのウェルからオーバーフローする試料が他のウェルに流れることを防止する。
【0686】
E1.
図8に示すように、広いウェルにおいて少量の試料を用いてアッセイ及び/又は化学反応を行う方法は、以下のステップ(a)〜(d)を含む:
(a)異なる構成になるように互いに対して移動可能な第1のプレート及び第2のプレートを取得し、
前記第1のプレートが、その表面に、所定の寸法(ウェル底部、深さ及び縁部を含む)を有するウェルと、前記ウェルの底部に結合部位とを有し、
(b)(i)結合部位に結合しかつ試料において拡散することができる標的実体を含み、(ii)体積及び湿潤特性を有し、それにより第2のプレートと接触せずにウェルの底部のみに付着した試料の接触領域がウェルの底部の領域よりも小さい試料を取得し、
(c)プレートが開放構成に構成されている時に、ウェル内又は第2のプレートの対応する領域上に、又はその両方に試料を付着させ、
前記開放構成で、2つのプレートが部分的に又は完全に離され、第2のプレートとウェルの底部との間の間隔がウェルの縁部(すなわち、ウェルの深さ)により調節されない、ステップ;
(d)(c)の後、プレートを閉鎖構成にして前記試料を広げ、
閉鎖構成で、第2のプレートがウェルに被覆され、結合部位上の試料がスペーサ及び第2のプレートにより調節され、試料とウェルの底部との接触面積が、プレートが開放構成にある時よりも大きく、
第2のプレートの対応する領域は、閉鎖構成でウェルの頂部及びウェルの縁部の内側にある領域である。
【0687】
段落E1の方法において、プレートは、少なくともウェルの内部の隔離されたスペーサ(すなわちウェルスペーサ)をさらに含む。
【0688】
段落E1の方法において、いくつかの実施形態において、試料の体積が計測される(例えば、選択された体積を有するために)。計量された体積は、ウェルの体積とほぼ等しいか、小さいか、又は大きい。
【0689】
段落E1の方法において、いくつかの実施形態において、プレートの外側からの圧縮力は、プレートを閉鎖構成に保持するように構成される。
【0690】
段落E1の方法において、いくつかの実施形態において、毛細管力は、プレートを閉鎖構成に保持するように構成される。
【0691】
図8dに示すように、段落E1の方法において、いくつかの実施形態において、ウェルの底部、第2のプレートの対応する領域、又はその両方が所定の高さのスペーサで取り付けられ、閉鎖構成では、試料の厚さは、スペーサ、縁部、又はその両方によって調整される。
【0692】
いくつかの実施形態において、スペーサの高さはウェルの深さと等しいか、それよりも小さいか、又は大きい。ウェルの底部は平面状(すなわち平坦)又は湾曲している。いくつかの実施形態において、スペーサ(1)は、所定のスペーサ間距離を有し、(2)試料の内部にあり、(3)それぞれのプレートに固定されるか、又はそれらの任意の組み合わせである。
【0693】
いくつかの実施形態において、試料の体積はウェルの体積からスペーサの体積を引いたものにほぼ等しい。いくつかの実施形態において、第2のプレートはウェルを密封するように構成される。
【0694】
いくつかの実施形態において、ウェル領域とウェル深さ平方との比は、3以上、5以上、10以上、20以上、30以上、50以上、100以上、200以上、1000以上、10000以上、又はこれらの値のいずれか2つの間の範囲である。
【0695】
ウェル領域とウェル深さ平方との比は、好ましい実施形態において3〜20であり、別の好ましい実施形態において20〜100であり、別の好ましい実施形態において100〜1000であり、別の好ましい実施形態において1000〜10000である。
【0696】
17 非試料体積による影響を補正する定量化(C)
CROFプロセスでは、試料は常に、スペーサ、気泡、塵埃又はそれらの任意の組み合わせを含むがこれらに限定されない、試料ではない物体に起因する試料なし体積と混合される。気泡又は塵埃は、CROFプロセスにおける試料付着又は他のプロセスを使用して導入されてもよい。これらの試料なし物体は、試料の関連体積(関心対象の体積)を決定する時に修正する必要がある体積を占有し、かつ試料内にある。本発明の1つの態様は、2つのプレートの間の試料の関連体積内の非試料体積で生成される影響を補正することであり、関連体積の厚さがスペーサにより調節される。
【0697】
C1. 2つのプレートの間の試料の関連体積を決定する時に、非試料材料により生成される影響を補正する方法は、以下のステップ(a)〜(f)を含む:
(a)試料の関連体積が定量化される試料を取得し、
(b)異なる構成になるように互いに対して移動可能な2つのプレートを取得し、
前記プレートの一つ又は両方が、所定のスペーサ間距離及び高さを有し、それぞれのプレートに固定されたスペーサを含み、
(c)プレートが開放構成に構成されている時に、プレートのうちの1つ又は両方に試料を付着させ、
前記開放構成とは、2つのプレートが部分的に又は完全に離され、プレート間の間隔がスペーサにより調節されない構成であり、
(d)(c)の後、プレートを閉鎖構成にし、
閉鎖構成では、プレートが互いに対向して、スペーサ及び試料の関連体積がプレートの間に位置し、試料の関連体積の厚さがプレート及びスペーサにより調節され、プレートの開放構成では、該厚さが試料の最も大きい厚さより薄く、関連体積が非試料材料の体積を含む可能性があり、
(e)プレートが閉鎖構成にある時に、(i)試料の関連体積の横方向面積及び(ii)非試料材料の体積を計測し、
(f)スペーサにより調節される関連体積の厚さを用いて試料の関連体積を計算して、非試料材料の影響を補正し、
関連体積は、試料の全体積の少なくとも一部であり、非試料材料は、試料に由来しない材料である。
【0698】
−2つのプレートの間の試料を画像化することにより非試料体積を計測する。
【0699】
18 距離の二重チェックによる高精度定量化
CROFにおいて、与えられた一組の条件に対して、スペーサ及びプレートが閉鎖構成で所定の試料厚さを与えることができても、特定のCROFの間に、実際の一組の条件は、期待されるものと異なる可能性があり、所定の最終試料厚さの誤差をもたらす。このような誤差を低減するために、本発明の一態様は、閉鎖構成で最終試料厚さを二重チェックすることである。
【0700】
C2. 2つのプレートの間の試料の関連体積の厚さを決定しチェックする方法は、以下のステップ(a)〜(f)を含む:
(a)試料の関連体積が定量化される試料を取得し、
(b)異なる構成になるように互いに対して移動可能な2つのプレートを取得し
前記プレートの一つ又は両方は、所定のスペーサ間距離及び高さを有し、それぞれのプレートに固定されたスペーサを含み、
(c)プレートが開放構成に構成されている時に、プレートのうちの1つ又は両方に試料を付着させ、
前記開放構成とは、2つのプレートが部分的に又は完全に離され、プレート間の間隔がスペーサにより調節されない構成であり、
(d)(c)の後、プレートを閉鎖構成にし、
閉鎖構成では、プレートが互いに対向して、スペーサ及び試料の関連体積がプレートの間に位置し、試料の関連体積の厚さがプレート及びスペーサにより調節され、プレートの開放構成では、該厚さが試料の最も大きい厚さより薄く、関連体積が非試料材料の体積を含む可能性があり、
(e)プレートが閉鎖構成にある時に、(i)試料の関連体積の横方向面積及び(ii)非試料材料の体積を計測し、
(f)非試料材料の影響を補正することにより、試料の関連体積を計算し、
前記関連体積は、試料の全体積の少なくとも一部であり、非試料材料は、試料に由来しない材料である。
【0701】
19 洗浄(WS)
本発明では、本明細書に記載されたプレートプレスと保持の実施形態の1つ又は任意の組み合わせが、本発明の説明全体に記載された全ての方法及び装置において使用される。
【0702】
アッセイにおける洗浄ステップのための方法は、
上記方法の1つ又は任意の組み合わせにおけるステップを実行するステップと、
プレート間の試料又は搬送媒体を洗い流すステップとを含む。
【0703】
CROFを使用する方法において、プレートを閉鎖構成に保持することにより洗浄する。
【0704】
CROFを使用する方法において、閉鎖構成からプレートを離すことにより洗浄する。
【0705】
20 多重ステップのアッセイ(MA)
本発明において、本開示によって記載された実施形態(すなわち、全てのセクション)は、
(a)一実施形態を他の実施形態と組み合わせること;
(b)同じ実施形態を1回より多く使用すること;
(c)(a)と(b)の任意の組み合わせ、により使用することができる。
【0706】
MA1. 試料中の分析物をアッセイする方法は、以下のステップを含む:
(a)分析物を含有する試料を取得し、
(b)CROFを使用する方法を実行し、
(c)プレートを離し、CROFを使用する方法を実行する。
【0707】
段落MA1の方法では、いくつかの実施形態において、MA1のステップ(c)の後に、MA1の方法における全てのステップの同じステップを少なくとも1回繰り返すステップをさらに含む。
【0708】
MA2. 試料中の分析物をアッセイする方法は、以下のステップを含む:
(a)分析物を含有する試料を取得し、
(b)CROFを使用する方法を実行し、
(c)プレートを離し、CROFを使用する方法(洗浄)を実行し、
(d)CROFを使用する方法を実行する。
【0709】
段落MA2の方法では、いくつかの実施形態において、MA2のステップ(d)の後、MA2の方法における全てのステップの同じステップを少なくとも1回繰り返すステップをさらに含む。
【0710】
段落MA2の方法では、いくつかの実施形態において、MA2のステップ(c)の後、MA1の方法における全てのステップの同じステップを少なくとも1回繰り返すステップをさらに含む。
【0711】
MA3. 試料中の分析物をアッセイするキットは、
CROFを使用する第1のCROF装置と、
第1のCROF装置のプレートが離されたとき、第1のCROF装置のプレートの1つと組み合わせて第2のCROF装置を形成する第3のプレートとを含む。
【0712】
MA4. 試料中の分析物をアッセイするキットは、
CROFを使用する第1のCROF装置と、
CROF装置のプレートの試料接触領域上にある少なくとも1つの結合部位又は貯蔵部位と、
第1のCROF装置のプレートが離されたとき、第1のCROF装置のプレートの1つと組み合わせて第2のCROF装置を形成する第3のプレートとを含む。
【0713】
結合部位は、標的分析物をプレートの表面に結合し、貯蔵部位は、試料と接触すると試料に溶解しかつ試料中に拡散することができる試薬を有する。
【0714】
画像化は、スマートフォンの使用を含む。このセクションの方法は、光源による照明のステップをさらに含む。光源は、レーザ、LED、ランプ、又はカメラフラッシュライトであってもよい。
【0715】
試料中の標的実体を検出するアッセイを行うためのキット(MQXA)
試料中の標的実体をアッセイするためのキットは、
a.その1つの表面に、標的実体を固定化することができ、標的実体に結合する結合パートナーを有する1つ以上の結合部位を有する、第1のプレートと、
b.カバープレートと、
c.試料中で移動可能な前記標的実体を含み、形状が変形可能であり、第1のプレートと第2のプレートが互いに対して移動可能であり、形状が内表面にほぼ一致し、少なくとも一部が結合部位と接触し、インキュベーションの間に内側の間隔が一定の距離より小さく、前記結合部位と接触し、カバープレートと第1のプレートとの間の内部空間にある、試料と、
d.第1のプレートの表面及び/又はカバープレートの表面に画像化を行うことができる画像化装置と、
e.内部空間の間隔を計測することができる計測装置とを含む。
【0716】
このセクションの方法は、スマートフォンの使用を含む。このセクションの方法は、照明装置の使用を含む。照明装置は、レーザ、LED、ランプ、又はカメラフラッシュライトを含む。
【0717】
21 プレートプレス及び保持(H)
圧縮力 CROFプロセスにおいて、力を入れて2つのプレートを圧縮してプレートを開放構成から閉鎖構成にする。圧縮力は、プレートの内表面間の間隔を減少させ、これによりプレート間の試料の厚さを減少させる。本発明において、圧縮力は、機械的力、毛細管力(表面張力による)、静電力、電磁力(光を含む)、及びそれらの任意の組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0718】
プレートを開放構成から閉鎖構成にするいくつかの実施形態において、第1のプレートと第2のプレートとを互いに向かって押し付けるための外からの力を加える。
【0719】
プレートを開放構成から閉鎖構成にするいくつかの実施形態において、第1のプレートと第2のプレートの外側に外からの力を加えてプレートを互いに向かって押し付け、前記圧力はプレート内の圧力よりも高い。プレート外の圧力をプレート内の圧力よりも高くするための装置が使用される。この装置は、密封装置のみに限定されている。
【0720】
いくつかの実施形態において、圧力は、第1のプレートと第2のプレートとの間の液体及び対応する表面の張力とプレートとの相互作用に起因する毛細管力によって少なくとも部分的に提供される。いくつかの実施形態において、液体は試料自体であるか、又は液体と混合された試料である。特定の実施形態において、毛細管力は、他の力とともに使用される。多くの場合、試料は液体中にあることが多く、表面張力は毛細管力を挿入するのに適する。いくつかの実施形態において、毛細管力が試料を変形させることに必要な力に等しい場合に、プレートによる試料の変形は自動的に停止することができる。
【0721】
特定の実施形態において、第1のプレートと第2のプレートとの間の圧力(内部圧力)をプレートの外側(外部圧力)から隔離し、次いで内部圧力を外部圧力よりも低くすることによって、圧縮力(これにより試料変形)が生成される。隔離は、真空密封又は他の装置を用いて行うことができる。
【0722】
いくつかの実施形態において、それは、上記方法の組み合わせである。
【0723】
段階的プレス 特定の実施形態において、プレートを閉鎖構成にする圧縮力は、「段階的プレス」という過程において加えられ、それは、まずプレートの1つの位置でプレス(すなわち、圧力を加える)を加え、その後に試料の他の位置に段階的に加えることを含む。段階的プレスのいくつかの実施形態において、ある位置で試料を所望の厚さに変形させた後に、該位置の圧縮力(試料自体の毛管力を除く)は、(i)プレス及び試料変形の全体プロセスにおいて維持され、(ii)他の位置でプレスされる時に除去され、あるいは(iii)(i)のプレートのある部分に使用され、(ii)の試料のある部分に使用される。
【0724】
段階的プレスの一実施形態において、ローラを使用して、第1のプレート及び第2のプレート(試料がプレートの間に位置し、プレートが僅かに可撓性である)を別のローラ又は平坦な表面に押し付ける。
【0725】
別の実施形態において、人の指は、プレート(従って試料)をプレスするためのツールである。プレスは、人の手の一部が人体の他の部分(人の手の他の部分を含む)と接触するか又は人の手が物体(例えば、テーブル面)と接触することである。一実施形態において、プレスは、試料のある位置から開始しかつ試料の他の位置に徐々に移動する。
【0726】
段階的プレスの一実施形態において、プレスされた空気ジェットは、最初にプレート対のある位置(例えば中心)(第1のプレートと第2のプレートの間にあり、そのうちの1つのプレートが僅かに可撓性である)に案内され、該圧縮力はプレート対の別の部分に徐々に拡張する。
【0727】
別の実施形態において、第1のプレートと第2のプレートの1つ又は両方は可撓性であり、かつ試料のある位置と接触し、その後に該位置の毛管力は、プレート対を一緒に引っ張って(相互に向かって)試料を変形させる。
【0728】
段階的プレスの利点は、小さい力で試料を変形させる(力が同じである場合、プレス面積が小さいほど圧力が大きくなるからである)ことを可能にし、試料の移動(変形)、及び/又は試料中の気泡の減少に役立つことを含む。圧力が大きいほど、試料の変形は大きくなる。段階的プレスは、変形した試料の厚さ均一性を改善することができる。
【0729】
プレス装置 CROFにおける試料変形用の圧縮力を決定する装置は、様々な実装を有する。いくつかの実施形態において、人の手を用いて、例えば、人の指を用いてプレスする。特定の実施形態において、プレス装置は、人の手、機械的クリップ、機械プレス、機械的クランプ、機械的スライダ、機械的装置、電磁気装置、表面を転がるローラ、対向する2つのローラ、流体プレス、油圧装置又はそれらの任意の組み合わせを含むが、これらに限定されない。特定の実施形態において、加圧された液体(加圧空気を含む)を用いて第1のプレート及び/又は第2のプレートを直接又は間接的にプレスする。「直接」とは、加圧された液体を第1のプレート及び/又は第2のプレートに直接加えることを指し、「間接的」とは、第3の物体により加えることを指す。プレスの特定の実施形態は、プレス装置及び方法の上記実施形態の組み合わせを使用する。
【0730】
また、試料変形の特定の実施形態において、プレス及び試料変形は監視される。監視は、プレス及び試料変形を制御するために用いることができる。変形の監視は、機械的方法、電気的、光学的、化学的、磁気的及びそれらの任意の組み合わせを含むが、これらに限定されない。機械的方法は、機械的ゲージ、スペーサ(機械的ストッパ、以下に詳細に説明する)及び音波を含むが、これらに限定されない。
【0731】
CROFにおいて、間隔制御装置は、機械的プレス、機械的移動ステージ、人の指、プレートを互いに向かって引っ張る毛細管力を提供する液体、プレートに圧力を加える液体(空気を含む)又はそれらの組み合わせを含む。
【0732】
特定の実施形態において、(並進及び/又は回転)機械的ステージは、試料変形及び試料厚さの制御に使用され、かつ監視システムとともに動作する。
【0733】
いくつかの実施形態において、圧縮力の少なくとも一部は、プレートを一緒に取り付けて閉鎖構成に形成するように構成されたプレス(プレートを閉鎖構成に変形させる装置)によって提供される。
【0734】
いくつかの実施形態において、人の手でプレートをプレスする。人は、検査される人又は検査を行う人、又は試料を採取する人であってもよい。
【0735】
いくつかの実施形態において、プレートのプレスは、毛管力を使用して2つのプレートを一緒に保持することである。毛管力は、1つ又は両方のプレートの内表面の少なくとも一部を親水性にすることにより生成される。プレートを閉鎖構成に圧縮するために使用された力の一部又は全部(毛管力を除く)が除去されても、適切な毛管力で、2つのプレートは、プレートが最初に閉鎖構成にある時と同じプレート間隔及び同じ試料の関連体積の厚さを保持することができる。
【0736】
いくつかの実施形態において、プレートの外表面に圧縮力を加えてプレートの内表面の間隔を減少させる装置は、プレートの外表面に適合する接触表面を含み、装置の接触表面は、プレートの外表面と接触する装置の表面であり、「プレートの外表面に適合する」とは、装置の表面が圧縮中に変形して、その形状がプレートの外表面の形状と一致することを指す。例示的な実施形態において、圧縮装置は、人の指を指す。別の例示的な実施形態において、圧縮装置は、軟質プラスチック又はゴムで作られた接触面を有する。
【0737】
自己保持(圧縮力を除去した後に最終の試料厚さを保持すること) CROFをプレスするいくつかの実施形態において、閉鎖構成で試料が変形した後、一部の圧縮力は除去され、かつ試料は、圧縮力が存在する時と同じ最終の試料厚さを保持する。このような状況は、「自己保持」と呼ばれる。自己保持の1つの理由は、プレート対の外側から挿入された圧縮力を除去した後、プレートの内表面の間に依然として他の力(例えば、毛管力)が存在して、プレート対を一緒に保持することである。毛管力は、プレート上の試料の湿潤特性に起因する。
【0738】
自己保持を有するために、プレートの表面の湿潤特性、試料とプレートとの全接触面積、閉鎖構成での最終の試料厚さ又はそれらの組み合わせを制御する必要がある。
【0739】
自己保持を達成するためのいくつかの実施形態において、プレートの内表面の1つ又は両方は親水性である。すなわち、親水性の内表面を有するいずれか1つのプレート、又は親水性の内表面を有する両方のプレートである。
【0740】
毛管力は、液体表面の半径曲率に依存し、曲率が小さいほど、毛細管力が高くなる。2つのプレート(すなわち、プレート対)の間に小さい間隔(従って試料厚さ)を使用することにより、小さい曲率を達成することができる。いくつかの実施形態において、自己保持を達成するための最終試料厚さは、10nm以下、100nm以下、500nm以下、1μm(マイクロメートル)以下、2μm以下、3μm以下、5μm以下、10μm以下、20μm以下、50μm以下、70μm以下、100μm以下、150μm以下、300μm以下、500μm以下、700μm以下、1000μm以下、1200μm以下、又はこれらの値のいずれか2つの間の範囲である。
【0741】
いくつかの実施形態において、自己保持用のプレートと接触する試料の面積は、最大10μm
2、最大100μm
2、最大200μm
2、最大500μm
2、最大1000μm
2、最大2000μm
2、最大5000μm
2、最大8000μm
2、最大0.01mm
2、最大0.05mm
2、最大0.1mm
2、最大0.5mm
2、最大1mm
2、最大5mm
2、最大10mm
2、最大50mm
2、最大100mm
2、最大500mm
2、最大1000mm
2、最大2000mm
2、最大5000mm
2、最大10000mm
2、最大100000mm
2、又はこれらの値のいずれか2つの間の範囲である。
【0742】
いくつかの実施形態において、自己保持をよりよくするために、プレートの内表面のうちの1つ又は両方の湿潤特性は変更される。
【0743】
HS.1 いくつかの実施形態において、CROFプロセスにおいて、装置を使用して圧縮力を挿入してプレートを閉鎖構成にし、閉鎖構成になると、装置による圧縮力は除去され、かつ試料厚さ及びプレートの内表面の間隔は、装置による圧縮力を除去する前にほぼ同じである。いくつかの実施形態において、前段落の方法は、プレート又はプレート間から信号を読み取るステップを含み、信号は、分析物、実体、標識、試料体積、物質(すなわち、化学物質)の濃度、又はそれらの任意の組み合わせに関連する信号を含むが、これらに限定されない。
【0744】
段落SH.1の方法では、装置は、人の手、機械的クリップ、機械プレス、機械的クランプ、機械的スライダ、機械的装置、電磁気装置、表面を転がるローラ、対向する2つのローラ、流体プレス、油圧装置又はそれらの任意の組み合わせである。
【0745】
段落SH.1の方法において、いくつかの実施形態において、「試料の厚さ及びプレートの内表面間隔は、装置による圧縮力を除去する前とほぼ同じである」は、圧縮力除去前後の試料厚さとプレート内表面間隔の相対差が0.001%以下、0.01%以下、0.1%以下、0.5%以下、1%以下、2%以下、5%以下、8%以下、10%以下、15%以下、20%以下、30%以下、40%以下、50%以下、60%以下、70%以下、80%以下、90%以下、99.9%以下であるか、又はこれらの任意の数値の間の範囲であることを指す。
【0746】
段落SH.1の方法では、いくつかの実施形態において、装置による圧縮力を除去した後の試料厚さとプレート内表面間隔が予め定められ、予め定められることは、所定の圧縮条件で圧縮力を加える前に、圧縮力を除去した後の厚さ及び間隔が既知であることを指す。
【0747】
H1. 試料の関連体積の厚さを減少させかつ該減少された厚さを保持する方法は、以下のステップ(a)〜(e)を含む:
(a)関連体積の厚さが減少される試料を取得し、
(b)異なる形態になるように互いに対して移動可能な2つのプレートを取得し、
前記プレートの一つ又は両方は、所定のスペーサ間距離及び高さを有し、それぞれのプレートに固定されたスペーサを含み、
(c)プレートが開放構成に構成されている時に、プレートのうちの1つ又は両方に試料を付着させ、
前記開放構成とは、2つのプレートが部分的に又は完全に離され、プレート間の間隔がスペーサにより調節されない構成であり、
(d)(c)の後、プレートを閉鎖構成にするプレス装置を使用して前記試料を広げ、
閉鎖構成では、プレートが互いに対向して、スペーサ及び試料の関連体積がプレートの間に位置し、試料の関連体積の厚さがプレート及びスペーサにより調節され、プレートの開放構成では、該厚さが試料の最も大きい厚さより薄く、少なくとも1つのスペーサが試料内に位置し、
(e)(d)の後、装置を解放し、プレス装置を解放した後、プレート間の間隔は、装置を適用する時と同じか又はほぼ同じであるように保持する。
前記関連体積は、試料の一部又は全体積である。
【0748】
段落H1の方法において、プレート間の間隔とほぼ同じである割合は、最大1%、最大2%、最大5%、最大10%、最大20%、最大50%、最大60%、最大70%、最大80%、最大90%、又はこれらの値のいずれか2つの間の範囲である。
【0749】
例えば、CROFにおいて、人の手で2つのプレートを閉鎖位置に圧縮し、その後に手及び手による圧縮力を除去するが、最終の試料厚さは、依然として手による圧縮力が存在する時と同じである。
【0750】
22 他の組み合わせ
本発明において、本開示の各実施形態(すなわち、全てのセクション)は、
(a)単独で使用すること;
(b)他の実施形態と組み合わせること;
(c)複数回使用すること;
(d)(a)〜(c)の任意の組み合わせにより使用することができる。
【0751】
本発明において開示された方法及び装置は、単独で又はそれらの任意の組み合わせで使用することができる。「QMAX」方法又は装置という用語は、本明細書に記載された実施形態の方法又は装置を指す。
【0752】
いくつかの実施形態において、本発明において開示された方法及び装置は、Q、X、A、M、QX、QA、QM、XA、XM、AM、QXA、QAM、XAM及びQXAMの形態で使用することができる。
【0753】
表面固定化アッセイへのQ、X、A及びMの応用のいくつかの実施形態は、以下の態様a〜fを含む:
a.第1のプレートを有し、
第1のプレート表面は、既知の深さ及び体積の少なくとも1つのウェルを有し、該ウェルの底面は、試料中の標的実体を固定化することができる1以上の結合部位を有し、
b.ウェル体積とほぼ同じ試料をウェル内に付着させ、
前記試料は前記標的実体を含み、標的実体は試料内で移動可能であり、試料の形状が変形可能であり、試料はウェルの一部のみを被覆し(従って、ウェル深さよりも大きな厚さを有する)、
c.カバープレートを有し、
d.第1のプレートとカバープレートを互いに向かい合わせることにより、試料は第1のプレートと第2のプレートの内表面の間にあり、
e.第1のプレートと第2のプレートの内表面間の間隔を減少させることにより試料の厚さを減少させ、
f.減少した試料厚さで試料を一定の時間インキュベートする。
【0754】
これらの方法の1つの変動は、1つ以上の上記ステップを96ウェルプレート又は他のプレートに適用することである。
【0755】
本発明のセクション1、2、3、5に開示された方法及び装置は、単独で又はそれらの任意の組み合わせで使用することができる。具体的には、セクション1及びセクション2に開示された発明に対してQを使用し、セクション3及びセクション5に開示された発明に対してAを使用し、セクション4及びセクション5に開示された発明に対してXを使用し、セクション6に開示された発明に対してMを使用する。従って、セクション1、2、3及び5に開示される発明の方法及び装置は、Q、X、A、M、QX、QA、QM、XA、XM、AM、QXA、QAM、XAM、及びQXAMの形態で使用することができる。
【0756】
表面固定化アッセイへのQ、X、A及びMの応用のいくつかの実施形態は、以下の態様a〜fを含む:
a.第1のプレートを有し、
第1のプレート表面は、既知の深さ及び体積の少なくとも1つのウェルを有し、該ウェルの底面は、試料中の標的実体を固定化することができる1以上の結合部位を有し、
b.ウェル体積とほぼ同じ試料をウェル内に付着させ、
前記試料は前記標的実体を含み、標的実体は試料内で移動可能であり、試料の形状が変形可能であり、試料はウェルの一部のみを被覆し(従って、ウェル深さよりも大きな厚さを有する)、
c.カバープレートを有し、
d.第1のプレートとカバープレートを互いに向かい合わせることにより、試料は第1のプレートと第2のプレートの内表面の間にあり、
e.第1のプレートと第2のプレートの内表面間の間隔を減少させることにより試料の厚さを減少させ、
f.減少した試料厚さで試料を一定の時間インキュベートする。
【0757】
この方法の1つのバリエーションは、1つ以上の上記ステップを96ウェルプレート又は他のプレートに適用することである。
【0758】
前記方法、装置及びシステムのいくつかの実施形態は、試料体積量(Q)、試薬添加(A)及び/又はアッセイ加速(X)(対応する頭字語QA、QX、AX及びQAXと呼ばれる)の1つ以上の特徴を組み合わせる。Q、A、X、QA、QX、AX及びQAXの方法及び装置のいくつかの実験的実証を以下に説明する。
【0759】
23 試薬
特に断らない限り、用語「試薬」とは、生物剤、生化学剤及び/又は化学薬品のうちの一種又は複数種を指す。例えば、試薬は、捕捉剤、検出剤、化学化合物、光標識、放射性標識、酵素、抗体、タンパク質、核酸、DNA、RNA、脂質、炭水化物、塩、金属、界面活性剤、溶媒又はそれらの任意の組み合わせを含むことができる。
【0760】
いくつかの実施形態において、プレート上の試薬は、液体、固体、分子蒸気又はそれらの組み合わせの形態で存在してもよい。試薬の付着は、堆積、配置、印刷、スタンピング、液体分配、蒸発(熱蒸発、蒸気蒸発、ヒト呼吸)、化学気相成長、及び/又はスパッタリングを含むが、これらに限定されない。異なる試薬は、異なる位置に存在してもよい。試薬は、試薬の小さいドットで印刷されてもよく、かつ/又は付着してもよい。
【0761】
いくつかの実施形態において、まず試薬を液体又は蒸気の形態でプレートに付着させ、その後にCROFプロセスの前に乾燥してプレート上の乾燥試薬にする。
【0762】
試薬放出時間の制御 A方法は、試薬放出時間(すなわち、試薬が試料中でどのくらい速く溶解するかを計測する時間)を制御するステップをさらに含む。試薬の試薬放出時間を制御するいくつかの実施形態は、試薬の頂部に試薬放出に影響する一種又は複数種の「放出制御材料」を混合するか又は塗布するステップを含む。いくつかの態様においては、放出制御材料は、別の試薬であってもよい。例えば、AとBの2種類の試薬を有し、試薬Aは、試薬Bの上面に塗布され、一定の条件下で、試薬Aは、試薬Bの前に試料中に溶解する。
【0763】
また、第1のプレート及び第2のプレートの表面特性を使用して試薬放出を制御することができる。1つの実施例は、表面の湿潤特性を制御することである。多くの試薬において、疎水性表面が試薬に十分に結合するため、試薬は試料中に放出されるか又は放出されず(試薬層の厚さに依存する)、親水性表面が試薬に不十分に結合するため、試薬は試料中に迅速に放出される。
【0764】
試薬の乾燥 いくつかの実施形態において、試薬付着ステップ(c)の後、試料付着ステップ(d)の前に、A方法は、ステップ(c)で付着させた試薬の一部又は全部を乾燥するステップをさらに含む。
【0765】
試薬の位置 試薬は、1つ又は両方のプレートに適用及び/又は配置することができる。試薬は、プレート上の貯蔵部位(位置)に存在してもよく、各貯蔵部位は一種又は複数種の試薬を含む。異なる貯蔵部位は異なる試薬、同じ試薬又は一種又は複数種の一般的な試薬を含むことができる。
【0766】
添加された試薬の濃度制御 いくつかの実施形態において、前記方法は、貯蔵部位(すなわち、試薬を有する表面)上の試料の厚さを制御することにより、添加された試薬の濃度を制御するステップをさらに含むことができる。
【0767】
本発明で使用される試薬は、アッセイに必要な任意の適切な試薬、例えば、標識又は非標識抗体、標識又は非標識核酸、親和性部分を含有してもしなくてもよい酵素等であってもよい。いくつかの実施形態において、上記のように、貯蔵された試薬は、分析物の存在について血液又は他の液体試料を検査するために設計されたアッセイ成分であってもよい。例えば、塩化物イオンは、以下の方法のいずれかによって計測することができ、かつこれらのアッセイ成分は貯蔵部位に存在することができる。比色法:塩化物イオンはチオシアン酸水銀からチオシアネートを置換する。遊離チオシアネートは、第二鉄イオンと反応して、測光法で計測された着色複合体−チオシアン酸第二鉄を形成する。電量測定法:銀電極間に一定の直流電流が流れることにより、塩化物イオンと反応して塩化銀を形成する銀イオンを生成する。全ての塩化物イオンが銀イオンと結合した後、遊離銀イオンは蓄積し、電極間の電流は増加し、反応の終点を示す。水銀法:塩化物イオンを水銀イオンの標準溶液で滴定し、HgCl2可溶性錯体を形成する。過剰の水銀イオンが指示色素のジフェニルカルバゾンに結合して青色を形成する時に、反応の終点は、比色的に検出される。同様に、マグネシウムと反応すると赤紫色に変色するカルマジトを使用して、マグネシウムを測色的に計測することができ、ホルマザン色素検査により、マグネシウムと反応するか、又はマグネシウムに結合して青色の錯体を形成するメチルチモールブルーを使用する時に、600nmで発光する。同様に、O−クレゾールフタレイン複合体とカルシウムが反応すると紫色を呈するO−クレゾールフタレインを使用して、比色法でカルシウムを検出することができる。同様に、ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼ(PEPC)によって触媒される反応において炭酸水素イオン(HCO3−)及びホスホエノールピルビン酸(PEP)がオキサロ酢酸及びリン酸に変換されるため、炭酸水素イオンを二色性で検査することができる。リンゴ酸デヒドロゲナーゼ(MD)は、還元ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NADH)の付随した酸化を伴い、オキサロ酢酸のリンゴ酸への還元を触媒する。このNADHの酸化は、試料の炭酸水素イオンに比例して、380/410nmで二色性で計測した反応混合物の吸光度の減少をもたらす。血中尿素窒素は、ジアセチル又はフェアロンが尿素を含む黄色の色原体を生成し、かつ測光法又は尿素をアンモニア及び炭酸に変換する酵素ウレアーゼの複数回使用により定量することができるという比色試験で検出することができ、それは、例えばi)アンモニアがα−ケトグルタル酸と反応する時に340nmでの吸光度を減少させ、ii)尿素が加水分解される溶液の伝導率の増加率を計測することによりアッセイすることができる。同様に、クレアチニンは、試料をアルカリ性ピクリン酸塩溶液で処理して赤色錯体を得ることによって比色分析で計測することができる。さらに、クレアチンは、クレアチニンがクレアチニンイミノヒドロラーゼによって加水分解されるときに生成されたアンモニアを計測する非Jaffe反応を用いて計測することができる。グルコースは、濃度を推定するために血液を一定量のグルコースオキシダーゼに一定の時間曝露するアッセイにおいて計測することができる。特定の時間後に、余分な血液を除去し、かつ発色することを可能して、それによりグルコース濃度を推定することができる。例えば、グルコースオキシダーゼとグルコースは反応して新生酸素を形成し、それはヨウ化カリウムを(濾紙中)ヨウ素に変換して茶色を形成する。グリコシル化ヘモグロビンの濃度は、血液中のグルコースレベルの間接的な読み値とする。赤血球の溶血にクロマトグラフ分析を行うとき、ヘモグロビンA1a、A1b及びA1cと名付けられた3つ以上の小さなピークは、主要ヘモグロビンAピークの前に溶出される。これらの「迅速」ヘモグロビンは、二段階反応におけるグルコースとヘモグロビンとの不可逆的結合によって形成される。ヘキソキナーゼは、グルコースがヘキソキナーゼ(HK)によりアデノシン三リン酸(ATP)及びマグネシウムイオンの存在下でリン酸化されて、グルコース−6−リン酸及びアデノシン二リン酸(ADP)を生成する測定において計測することができる。グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ(G6P−DH)は、グルコース−6−リン酸をグルコン酸−6−リン酸に特異的に酸化し、同時にNAD+をNADHに還元する。340nmでの吸光度の増加は、試料中のグルコース濃度に比例する。HDL、LDL、トリグリセリドは、加水分解及びコレステロールの抽出後に、620nmでのLiebermann−Burchard試薬(無水酢酸、氷酢酸及び濃硫酸の混合試薬)による発色を含むAbell−Kendall方法を用いて計測することができる。蛍光分析を使用してトリグリセリド基準値を決定することができる。ヘパリン−塩化マンガンにより全血漿(LDL及びVLDL)におけるアポタンパク質B含有リポタンパク質を沈殿した後、血漿総コレステロールと同じ手順で血漿高密度リポタンパク質コレステロール(HDL−C)を計測する。これらの化合物は、また、コレステロールエステル及び遊離コレステロールの両方を定量する酵素駆動反応に基づくアッセイにおいて比色検出を行うことができる。コレステロールエステルは、コレステロールエステラーゼを介してコレステロールに加水分解され、その後にコレステロールオキシダーゼによってコレスタ−4−エン−3−オンと過酸化水素に酸化される。その後に特異性の高い比色プローブで過酸化水素を検出する。西洋ワサビペルオキシダーゼは、1:1の比で結合されるプローブと過酸化水素との反応を触媒する。試料は、コレステロール標準の既知の濃度と比較することができる。
【0768】
24 応用、試料及びより多くのバイオ/化学バイオマーカー
本発明の応用は、(a)感染症及び寄生虫疾患、傷害、心臓血管疾患、がん、精神障害、神経精神障害及び器質性疾患(例えば肺疾患、腎疾患)などの特定の疾患の段階と相関する化合物又は生体分子の検出、精製及び定量、(b)水、土壌などの環境、又は組織、体液などの生体試料からのウイルス、真菌及び細菌などの微生物の検出、精製及び定量化、(c)食品安全性又は国家安全保障に危険をもたらす有害廃棄物、炭疽菌などの化学物質又は生体試料の検出、定量化、(d)グルコース、血液酸素レベル、全血球数などの医学又は生理学的モニタにおける重要なパラメータの定量化、(e)細胞、ウイルス、体液などの生体試料からの特異的DNA又はRNAの検出及び定量化、(f)ゲノム解析のための染色体及びミトコンドリア中のDNA中の遺伝子配列の配列決定及び比較、又は(g)例えば、医薬品の合成又は精製中の反応生成物の検出を含むが、これらに限定されない。本発明は、さらにヒト、獣医学、農業、食品、環境、薬物検査などを含むが、これらに限定されない様々な分野で使用することができる。
【0769】
検出は、細胞、組織、体液及び糞便などの様々な試料マトリックス中で実行することができる。関心対象となる体液は、羊水、房水、硝子体液、血液(例えば全血、分画血液、血漿、血清等)、母乳、脳脊髄液(CSF)、耳垢(耳あか)、乳糜、糜汁、内リンパ液、外リンパ液、糞便、胃酸、胃液、リンパ液、粘液(鼻漏及び粘液質を含む)、心膜液、腹膜液、胸膜液、膿液、炎症性分泌物、唾液、皮脂(皮膚の油)、精液、喀痰、汗、滑液、涙液、嘔吐物、尿及び呼気凝縮液を含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、試料はヒト体液を含む。いくつかの実施形態において、試料は、細胞、組織、体液、糞便、羊水、房水、硝子体液、血液、全血、分画血液、血漿、血清、母乳、脳脊髄液、耳垢、乳糜、糜汁、内リンパ液、外リンパ液、糞便、胃酸、胃液、リンパ液、粘液、鼻漏、粘液質、心膜液、腹膜液、胸膜液、膿液、炎症性分泌物、唾液、皮脂、精液、喀痰、汗、滑液、涙液、嘔吐物、尿及び呼気凝縮液のうちの少なくとも1種を含む。
【0770】
いくつかの実施形態において、試料は、生体試料、環境試料、生化学試料のうちの少なくとも1種である。
【0771】
いくつかの実施形態において、試料は、生体試料、環境試料、生化学試料のうちの少なくとも1種である。
【0772】
任意の実施形態において、CROF装置は、マイクロ流体デバイスに配置されてもよく、ステップb)の適用は、CROF装置を含むマイクロ流体デバイスへの試料の適用を含むことができる。
【0773】
任意の実施形態において、読み取りステップd)は、CROF装置からの蛍光信号又は発光信号の検出を含むことができる。
【0774】
任意の実施形態において、読み取りステップd)は、CROF装置を読み取るように構成されたハンドヘルドデバイスを使用して、CROF装置を読み取ることを含むことができる。ハンドヘルドデバイスは、スマートフォンのような携帯電話であってもよい。
【0775】
任意の実施形態において、CROF装置は、CROF装置上の分析物−捕捉剤複合体に結合可能な標識剤を含むことができる。
【0776】
任意の実施形態において、本発明の装置、システム及び方法は、ステップc)及びd)の間に、CROF装置上の分析物−捕捉剤複合体に結合した標識剤をCROF装置に適用するステップと、CROF装置を洗浄するステップとをさらに含むことができる。
【0777】
任意の実施形態において、読み取りステップd)は、CROF装置の識別子を読み取ることを含むことができる。識別子は、光学バーコード、無線周波数IDタグ又はそれらの組み合わせであってもよい。
【0778】
任意の実施形態において、本発明の装置、システム及び方法は、分析物に結合する捕捉剤を含む対照CROF装置に、既知の検出可能な量の分析物を含む対照試料を適用することと、対照CROF装置を読み取ることにより、試料中の既知の検出可能な量の分析物の対照計測値を得ることとをさらに含む。
【0779】
任意の実施形態において、試料は、対象から得られた診断試料であってもよく、分析物はバイオマーカーであってもよく、試料から計測した分析物の量は、病気又は病状を診断することができる。
【0780】
試料の量は約1滴の試料であってもよい。試料の量は、刺された指又は指先から採取した量であってもよい。試料の量は、マイクロニードル又は静脈ドローから採取した量であってもよい。
【0781】
試料源から得た後、試料をさらに処理せずに使用してもよく、あるいは処理して、関心対象の分析物の濃縮、大きな粒子状物質の除去、固体試料の溶解又は再懸濁等を達成してもよい。
【0782】
任意の適切な方法で試料をCROF装置に適用することができる。適切な方法は、ピペット、滴下器、注射器等を使用することを含む。特定の実施形態において、CROF装置がディップスティック形式の支持具に配置される場合、以下に説明するように、ディップスティックの試料受容領域を試料に浸漬することにより、試料をCROF装置に適用することができる。
【0783】
試料は一回で採取されてもよく、あるいは複数回で採取されてもよい。経時的に採取された試料は、(本明細書に記載されるように、CROF装置に適用し、かつ試料中の分析物の計測量を得ることにより)集約及び/又は個別に処理されてもよい。いくつかの実施例において、経時的に得られた計測結果は集約されてもよく、またスクリーニング、診断、治療及び/又は疾患予防を促進するために、縦断的解析に経時的に使用されてもよい。
【0784】
上記のように、任意の便利な方法でCROF装置を洗浄して、結合していない試料成分を除去することができる。特定の実施形態において、結合緩衝液を使用してCROF装置の表面を洗浄して、結合していない試料成分を除去する。
【0785】
分析物の検出可能な標識は、任意の便利な方法で完了することができる。分析物は、直接的又は間接的に標識されてもよい。直接標識において、試料をCROF装置に適用する前に試料中の分析物を標識する。間接標識において、以下に説明するように、試料をCROF装置に適用した後、標識されない試料中の分析物を標識して、標識されない分析物を得る。
【0786】
データ処理
特定の実施形態において、本発明の装置は、CROF装置を読み取って取得されたデータを処理するように構成される。該装置は、本発明の方法におけるデータを処理するために、任意の適切な方式で構成されてもよい。特定の実施形態において、該装置は、データ格納及び/又はデータ処理用の命令の格納及び/又はデータベース格納用メモリ位置を有する。データは、任意の適切なフォーマットでメモリに格納することができる。
【0787】
特定の実施形態において、該装置は、データを処理するためのプロセッサを有する。特定の実施形態において、データを処理するための命令は、プロセッサに格納されてもよく、あるいは別個のメモリ位置に格納されてもよい。いくつかの実施形態において、該装置は、処理を実装するためのソフトウェアを含むことができる。
【0788】
特定の実施形態において、CROF装置から取得されたデータを処理するように構成された装置は、処理を実行するソフトウェア実装方法を含む。ソフトウェア実装方法は、画像取得アルゴリズム、画像処理アルゴリズム、ユーザと計算装置との間の相互作用を容易にし、データ収集、送信及び分析、通信プロトコルのための手段として機能するユーザインタフェース方法、及びデータ処理アルゴリズムのうちの1つ以上を含むことができる。特定の実施形態において、画像処理アルゴリズムは、粒子数、LUT(ルックアップテーブル)フィルタ、粒子フィルタ、パターン認識、形態学的決定、ヒストグラム、ラインプロファイル、地形表現、2進数換算又はカラーマッチングプロファイルのうちの1つ以上を含む。
【0789】
特定の実施形態において、該装置は、表示ページが装置のメモリに常駐するソフトウェアによって解釈される時に、ビデオディスプレイ又はタッチスクリーンディスプレイで情報を表示するように構成される。本明細書で説明する表示ページは、例えば、ハイパーテキストマークアップ言語(「HTML」)、ダイナミックハイパーテキストマークアップ言語(「DHTML」)、拡張可能ハイパーテキストマークアップ言語(「XHTML」)、拡張可能マークアップ言語(「XML」)、又はユーザによって知覚可能な方法でビデオ又は他のディスプレイに表示可能なコンピュータファイルを作成するように使用されてもよい別のソフトウェア言語などの任意の適切なソフトウェア言語を使用して作成することができる。論理、コード、データ、命令を有する任意のコンピュータ可読媒体を使用して、任意のソフトウェア又はステップ又は方法を実施することができる。ネットワークがインターネットを含む場合、表示ページは、適切なタイプのウェブページを含むことができる。
【0790】
本発明に係る表示ページは、例えば、VBScriptルーチン、JScriptルーチン、JavaScriptルーチン、Javaアプレット、ActiveXコンポーネント、ASP.NET、AJAX、Flashアプレット、Silverlightアプレット、又はAIRルーチンのようなメモリ装置に格納されたソフトウェアプログラムを含む組み込み機能を含むことができる。
【0791】
表示ページは、例えば、フレーム、ウィンドウ、スクロールバー、ボタン、アイコン、及びハイパーリンクなどのグラフィカルユーザインタフェース技術の周知の特徴と、「クリック」インタフェース又はタッチスクリーンインタフェースのような周知の特徴とを含む。グラフィカルユーザインタフェースボタン、アイコン、メニューオプション、又はハイパーリンクをポイントしてクリックすることは、ボタン、オプション、又はハイパーリンクを「選択」することとしても知られている。本発明に係る表示ページは、マルチメディア機能、マルチタッチ、ピクセルセンス、IR LEDベースの表面、カメラの有無にかかわらず視覚に基づく相互作用を組み込むことができる。
【0792】
ユーザインタフェースは、ビデオディスプレイ及び/又は表示ページに表示されてもよい。ユーザインタフェースは、以下にさらに説明するように、試料に関する分析データに基づいて生成されたレポートを表示することができる。
【0793】
プロセッサは、任意の適切な方式で本発明の方法に使用されるデータを処理するように構成することができる。データは、例えば、ビニングされたデータ、変換されたデータ(例えば、フーリエ変換によって周波数領域に変換された時間領域データ)に処理されるか、又は他のデータと組み合わされて処理される。該処理は、データを所望の形式にすることができ、データのフォーマットを変更することを含むことができる。処理は、試料からの信号の検出、試料を検査するために使用された装置又は試薬に特有の数学的操作又は補正及び/又は較正に基づく生データの補正、濃度値などの値の計算、(ベースライン、閾値、標準曲線、履歴データ又は他のセンサからのデータなどとの)比較、検査が正確であるか否かの決定、(正常範囲又は許容範囲を上回るか又は下回るか、又は異常状態を示すなどの)異常値であるか又は懸念の原因となり得る値又は結果の強調表示、又は異常条件の存在を共に示すことができる結果の組み合わせ、カーブフィッティング、数学的又は他の分析的推論(演繹的、誘導的、ベイジアン、又は他の推論を含む)の基礎としてのデータの使用及び他の適切な処理形式を含むことができる。特定の実施形態において、処理は、処理されたデータを装置に格納されたデータベースと比較して、対象によって実行される一連の動作のための命令を検索することを含むことができる。
【0794】
特定の実施形態において、装置は、入力データをメモリに格納されたデータベースと比較することにより入力データを処理して、対象によって実行される一連の動作のための命令を検索するように構成されてもよい。いくつかの実施形態において、データベースは、関心対象の分析物の閾値を含む、格納された情報を含むことができる。閾値は、1つ以上の分析物の存在又は濃度を決定するために使用されてもよい。閾値は、アラートが有用である状況を検出するために使用されてもよい。データ格納ユニットは、試料に関するレポートの生成に有用な記録又は他の情報を含むことができる。
【0795】
特定の実施形態において、装置は、CROF装置からのデータを受信するように構成されてもよい。従って、場合によっては、装置は、対象によって提供された試料に関連しないが診断に関連するデータを受信するように構成されてもよい。これらのデータは、年齢、性別、身長、体重、個人及び/又は家族の病歴などを含むが、それらに限定されない。特定の実施形態において、該装置は、CROF装置に適用された試料から導出されるか、又は該試料から独立するデータを処理するように構成される。
【0796】
ネットワーク 特定の実施形態において、装置は、ローカルエリアネットワーク(LAN)などのネットワーク、インターネットなどの広域ネットワーク(WAN)、パーソナルエリアネットワーク、電話ネットワークなどの電気通信ネットワーク、携帯電話ネットワーク、移動ネットワーク、無線ネットワーク、データ提供ネットワーク、又は任意の他の種類のネットワークを介して通信するように構成されてもよい。特定の実施形態において、装置は、ブルートゥース又はRTM技術などの無線技術を利用するように構成されてもよい。いくつかの実施形態において、装置は、モデムを使用するダイヤルアップ有線接続、TI、統合サービスデジタルネットワーク(ISDN)又はケーブル回線などの直接リンクのような様々な通信方法を利用するように構成されてもよい。いくつかの実施形態において、無線接続は、セルラ、サテライト、又はページャーネットワーク、(汎用パケット無線サービス)GPRS、又はLAN上のイーサネット又はトークンリングなどのローカルデータ転送システムのような例示的な無線ネットワークを使用することができる。いくつかの実施形態において、該装置は、赤外線通信コンポーネントを使用して無線通信することができる。
【0797】
特定の実施形態において、該装置は、ネットワークを介してサーバから送信され、メモリに記憶されたコンピュータファイルを受信するように構成される。装置は、装置の永続的なメモリ又は一時的なメモリに記憶される命令、ロジック、データ、又はコードを含むことができる有形のコンピュータ可読媒体を受信してもよく、又は装置により動作に影響を及ぼすか、又は動作を開始してもよい。1つ以上の装置は、他のコンピュータファイルへのアクセスを提供できるコンピュータファイル又はリンクと通信することができる。
【0798】
いくつかの実施形態において、装置は、パーソナルコンピュータ、サーバ、ラップトップコンピュータ、モバイル装置、タブレット、携帯電話、移動電話、衛星電話、スマートフォン(例えば、iPhone、Android、Blackberry、Palm、Symbian、Windows)、パーソナルデジタルアシスタント、ブルートゥース装置、ページャ、固定電話、又は他のネットワーク装置である。このような装置は、通信可能な装置であってもよい。本明細書で使用される「携帯電話」という用語は、セルラネットワークで動作することができる電話ハンドセット、セッション開始プロトコル(SIP)のようなボイスオーバーIP(VoIP)ネットワーク、又は802.11xプロトコルを使用する無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)、又はそれらの任意の組合せを指す。特定の実施形態において、該装置は、消費者の財布及び/又はポケット(例えば、ポケットサイズ)に適合することができるように、手持ち式かつコンパクトである。
【0799】
環境検査 上に要約したように、本発明の装置、システム及び方法は、環境試料(例えば、水、土壌、産業廃棄物等の試料)における環境マーカーの有無を分析するために用いられてもよい。環境マーカーは、捕捉剤で構成されたCROF装置内の環境マーカーに特異的に結合する捕捉剤により捕捉され得るいずれかの適切なマーカーである。環境試料は、川、海、湖、雨、雪、汚水、汚水処理排水、農業排水、工業排水、水道水又は飲料水等のいずれかの適切な供給源から得てもよい。いくつかの実施形態において、本発明の装置及びシステムは、水中の鉛又は毒素の濃度を検出する。いくつかの実施形態において、試料中の環境マーカーの有無又は定量レベルは、試料が得られた環境の状態を示してもよい。場合によっては、環境マーカーは、環境に曝露されるヒト、伴侶動物、植物等に有毒であるか又は有害である物質であってもよい。場合によっては、環境マーカーは、環境に曝露されるいくつかの個体においてアレルギー反応を引き起こしてもよいアレルゲンであってもよい。場合によっては、試料における環境マーカーの有無又は定量レベルは、環境の健康全般と相関する可能性がある。このような場合、環境の健康全般は、数週間、数ヶ月間、数年間又は数十年間のような期間にわたって計測されてもよい。
【0800】
いくつかの実施形態において、本発明の装置、システム及び方法は、さらに報告書を受信するか又は提供することを含み、報告書は、試料が環境マーカーの測定量を含む情報に基づいて得られた環境に曝される対象の安全性又は有害性を示す。環境の安全リスク又は健康を評価するために用いられる情報は、環境マーカーのタイプ及び測定量以外のデータを含んでもよい。これらの他のデータは、位置、高度、温度、日/月/年の時間、圧力、湿度、風向と速度、天気等を含んでもよい。このデータは、所定の期間(数分間、数時間、数日間、数週間、数ヶ月、数年間等)にわたる平均値又は傾向、又はより短い期間(数ミリ秒間、数秒間、数分間等)にわたる瞬時値を表してもよい。
【0801】
この報告書は、CROF装置を読み取るように構成された装置により生成されてもよく、あるいは環境マーカーの測定量を含むデータを送信する際に遠隔地で生成されてもよい。場合によっては、専門家は、遠隔地にいるか又は遠隔地に送信されたデータにアクセスしてもよく、かつデータを分析するか又はレビューして報告書を生成してもよい。専門家は、米国疾病対策センター(CDC)又は米国環境保護庁(EPA)のような政府機関、大学のような研究機関、又は私企業での科学者又は管理者であってもよい。特定の実施形態において、専門家は、装置により送信されたデータ及び/又は遠隔地で分析されたデータに基づいた指示又は推奨をユーザに送信してもよい。
【0802】
食品検査 上に要約したように、本発明の装置、システム及び方法は、食品試料(例えば、未加工食品、加工食品、調理済食品、飲料水等の試料)における食品マーカーの有無を分析するために用いられてもよい。食品マーカーは、捕捉剤で構成されたCROF装置内の食品マーカーに特異的に結合する捕捉剤により捕捉され得る以下の表B9に示されるようないずれかの適切なマーカーであってもよい。環境試料は、水道水、飲料水、加工調理済食品、調理済食品又は未加工食品等どのいずれかの適切な供給源から得られてもよい。いくつかの実施形態において、試料中の食品マーカーの有無又は定量レベルは、食品が消費された場合、対象に対する安全性又は有害性を示してもよい。いくつかの実施形態において、食品マーカーは、試料が得られた食物における生物の存在を示す病原性生物又は微生物に由来する物質である。いくつかの実施形態において、食品マーカーは、対象により消費されると、毒性又は有害物質である。いくつかの実施形態において、食品マーカーは、生理活性化合物であってもよく、それは対象により消費されると、意図せずに、又は意外に生理機能を変えてもよい。いくつかの実施形態において、食品マーカーは、食品が得られた方法(栽培、獲得、捕獲、収穫、加工、調理等)を示す。いくつかの実施形態において、食品マーカーは、食品の栄養成分を示す。いくつかの実施形態において、食品マーカーはアレルゲンであり、該アレルゲンは、試料が得られた食品が対象により消費されると、アレルギー反応を誘発する可能性がある。
【0803】
いくつかの実施形態において、本発明の装置、システム及び方法は、さらに報告書を受信するか又は提供することを含み、報告書は、試料が食品マーカーの測定レベルを含む情報に基づいて得られた食品を消費する対象の安全性又は有害性を示す。消費用の食品の安全性を評価するために使用される情報は、食品マーカーのタイプ及び測定量以外のデータを含んでもよい。これらの他のデータは、消費者に関連するいずれかの健康状態(アレルギー、妊娠、慢性又は急性疾患、現在の処方薬等)を含んでもよい。
【0804】
この報告書は、CROF装置を読み取るように構成された装置により生成されてもよく、あるいは食品マーカーの測定量を含むデータを送信する際に遠隔地で生成されてもよい。場合によっては、食品安全専門家は、遠隔地にいるか又は遠隔地に送信されたデータにアクセスしてもよく、かつデータを分析するか又はレビューして報告書を生成してもよい。食品安全専門家は、米国食品医薬品局(FDA)又は米国疾病対策センター(CDC)のような政府機関、大学のような研究機関、又は私企業での科学者又は管理者であってもよい。特定の実施形態において、食品安全専門家は、装置により送信されたデータ及び/又は遠隔地で分析されたデータに基づいた指示又は推奨をユーザに送信してもよい。
【0805】
25 血液検査
本発明のアプリケーションのいくつかの例示的な実施形態は、スマートフォンを使用して血球を簡単かつ迅速に計数する。
【0806】
いくつかの実施形態において、第1のプレート及び第2のプレートは、相対的に平坦な表面の、薄いガラススライド(例えば0.2mmの厚さ)又は薄いプラスチックフィルム(例えば15mmの厚さ)から選択され、各々は約0.5cm〜10cmの長さと幅を有する領域を有する。スペーサは、ガラス、プラスチック、又は押圧下で大きく変形しない他の材料で作られている。試料付着の前に、スペーサは、第1のプレート、第2のプレート又はその両方に配置され、第1のプレート、第2のプレート又はその両方に、血液計数(染色色素及び/又は抗凝血剤)を促進する試薬が任意で被覆される。第1のプレート及び第2のプレートは、輸送を容易にしかつ保存期間を長くにするためバッグに任意で封入され得る。
【0807】
血球計数検査では、わずかに約1uL(マイクロリットル)(又は約0.1uL〜3uL)の血液が、指又は他の人体位置から取られる試料に関して必要である。血液試料は、希釈せずに、人体(例えば、指)から第1のプレート及び第2のプレートに直接付着し得る。次に、第1のプレートと第2のプレートを互いに向かい合わせることにより、血液試料は第1のプレートと第2のプレートの内面の間にある。いずれかの試薬を予め付着させる場合(染色色素又は抗凝血剤)、それらは試料と混合するために内面に付着させる。次いで、第1のプレート及び第2のプレートは、指又は簡単な機械的装置(例えば、ばねを用いて押すクリップ)により押圧される。押圧下で、内側の間隔は減少し、減少は、最終的にスペーサの高さにより設定された値で停止し、最終的な試料の厚さに達し、該最終試料の厚さは最終的な内部間隔に等しい。最終的な内部間隔が既知であるので、最終的な試料の厚さは既知になり、すなわちこの方法で定量化(計測)される。
【0808】
血液試料が希釈されていない場合、押圧(試料変形)後に、従って、スペーサ及び最終的な試料の厚さは薄く、例えば、1μmよりも小さく、2μmよりも小さく、3μmよりも小さく、4μmよりも小さく、5μmよりも小さく、7μmよりも小さく、10μmよりも小さく、15μmよりも小さく、20μmよりも小さく、30μmよりも小さく、40μmよりも小さく、50μmよりも小さく、60μmよりも小さく、80μmよりも小さく、100μmよりも小さく、150μmよりも小さく、又はこれらの値のいずれか2つの間のいずれかの範囲にある。最終的な試料の厚さが厚い場合、イメージング中に多くの赤血球が重なり合う可能性があることで、細胞計数が不正確になる可能性があるので、薄い最終的な試料は有用である可能性がある。例えば、希釈されていない厚さが約4μmの全血は、約1層の血液赤血球を与える。
【0809】
押圧後、試料は、スマートフォンにより、直接的に、又は追加の光学素子(例えば、必要なレンズ、フィルタ、又は光源)を介して画像化されてもよい。試料の画像は、細胞のタイプ及び細胞の数量を識別するために処理される。画像処理は、画像を撮る同じスマートフォンでローカルに行うか、又はリモートで行うことができるが最終的な結果はスマートフォンに送信される(画像は遠隔地に送信され、かつそこで処理される)。スマートフォンは、特定の細胞の、細胞の数量を示す。場合によっては、特定のアドバイスを表示する。アドバイスは、検査の前にスマートフォンに格納されるか又はリモートマシン又は専門家に由来し得る。
【0810】
特定の実施形態において、セクション5(試薬混合)に記載された方法及び装置を用いて、試薬を第1のプレート及び/又は第2のプレートの内面に置く。
【0811】
血液検査用の装置又は方法は、(a)本明細書に記載された段落における装置又は方法と、(b)閉鎖構成でのプレート間隔(すなわち、2つのプレートの内面の間の距離)又はそのような間隔の使用とを含み、プレート間隔における希釈されていない全血は、赤血球(RBC)の横方向の平均細胞間距離がRBCのディスク形状の平均直径よりも大きい。
【0812】
非球形細胞の配向を配列する装置又は方法は、(a)本明細書に記載された装置又は方法と、(b)閉鎖構成でのプレート間隔(すなわち、2つのプレートの内面の間の距離)又はそのような間隔の使用とを含み、間隔は、その長さ方向(長さ方向は細胞の最大寸法方向である)において細胞の平均寸法よりも小さい。このような配列は、試料体積(例えば、赤血球体積)の測定値を改善することができる。
【0813】
本発明では、血液検査中の分析物は、タンパク質マーカーを含み、タンパク質マーカーのリストは、米国臨床化学協会のウェブサイトで見つけることができる)。
【0814】
26 包装
本発明の別の態様は、使用される試薬の寿命を延ばし、かつ使用を容易にする包装に関する。
【0815】
いくつかの実施形態において、試薬を有するか又は有さないCROFにおけるプレートは包装の中に置かれ、1つの包装に1つのプレートを置くか又は1つの包装に1つ以上のプレートを置く。一実施形態において、第1のプレート及び第2のプレートは、使用前に異なる包装に包装される。いくつかの実施形態において、異なるアッセイは、共通の第1のプレート又は共通の第2のプレートを共有する。
【0816】
いくつかの実施形態において、各包装は密閉されている。いくつかの実施形態において、密閉は、包装の外部の空気、化学薬品、湿気、汚染物、又はそれらのいずれかの組合せが包装の内部に入るのを防止するために用いられる。いくつかの実施形態において、包装は、真空密閉されているか又は窒素ガス又は内部ガスで充填されている。いくつかの実施形態において、プレート及び/又は試薬(捕捉剤、検出剤などを含む)の保存期間を延ばすことができる材料は、プレートとともに包装内に包装される。
【0817】
いくつかの実施形態において、包装材料が薄い層の形態であるので、包装は人間の手により容易に引き裂かれ得る。
【0818】
27 PoC、スマートフォン、ネットワーク
本発明の一態様は、対象の健康状態を監視する方法に関し、該方法は、対象から提供された試料を、試料を表す出力を示すように構成されたCROFベースの検出器に適用し、検出器の出力を入力データとして取得し、入力データを分析してレポートを生成するように構成された装置で検出器の出力を処理し、そしてレポートを受信することを含む。信号増強検出器は、迅速に検出し、読みやすく(例えば、スマートフォンで従来の大型の典型的なリーダを代替する)、コストが低いという利点を提供する。
【0819】
体液 特定の実施形態において、試料は異なる液体又は固体の試料を含むことができる。いくつかの実施例において、試料は対象からの体液試料であってもよい。いくつかの実施例において、固体又は半固体の試料を提供してもよい。これらの試料は対象から採取される組織及び/又は細胞を含んでもよい。試料は生体試料であってもよい。生物学的試料の例は、血液、血清、血漿、鼻腔スワブ、鼻咽頭洗浄液、唾液、尿、胃液、脊髄液、涙、便、粘液、汗、耳垢、油、腺分泌物、脳脊髄液、組織、精液、膣液、腫瘍組織由来の間質液、眼液、脊髄液、咽頭スワブ、呼気、髪、指の爪、皮膚、生検、胎盤液、羊水、臍帯血、リンパ液、腔液、痰、膿、微生物叢、胎便、母乳及び/又は他の排泄物を含むことができるが、これらに限定されない。試料は鼻咽頭洗浄液を含んでもよい。鼻スワブ、咽頭スワブ、大便試料、髪、指の爪、耳垢、呼気、及び他の固体、半固体、又は液体試料は例えば一定又は可変の時間量で分析前に抽出緩衝液中に処理してもよい。場合によっては、抽出緩衝液又はその等分試料は次に他の液体試料と同様に処理されてもよい。対象の組織試料の実例は、結締組織、筋肉組織、神経組織、上皮組織、軟骨、がん性試料又は骨を含むが、それらに限定されることはない。
【0820】
特定の実施形態において、対象は、ヒト又は非ヒトの動物であってもよい。対象は、哺乳動物、脊椎動物、例えば、ネズミ、サル、ヒト、家畜、スポーツ動物又はペットであってもよい。いくつかの実施形態において、対象は患者であってもよい。他の実施形態において、対象は、疾患と診断されてもよく、又は対象は疾患と診断されなくてもよい。いくつかの実施形態において、対象は健康な対象であってもよい。
【0821】
装置の読取
以上要約したように、本方法の態様は、検出器の出力を入力データとして取得し、入力データを処理してレポートを生成するように構成された装置を用いて信号増強検出器の出力を処理することを含む。検出器の出力を入力データとして取得し、入力データを処理してレポートを生成するのに適した任意の装置を使用することができる。いくつかの実施形態において、装置は、入力データとして光検出器の出力を取得するように構成された光記録装置を含む。場合によっては、光記録装置は、デジタルカメラのようなカメラである。用語「デジタルカメラ」とは、光学画像を形成するための撮像レンズシステム、光学画像を電気信号に変換するための画像センサ及び他の部品を備えた撮像装置を主部品とする任意のカメラであり、そのようなカメラの例は、デジタルスチルカメラ、デジタルムービーカメラ及びウェブカメラ(すなわち、ネットワークに直接接続されたものと、情報処理能力を有するパーソナルコンピュータのような装置を介してネットワークに接続されたものとの両方を含む画像の交換を可能にするために、ネットワークに接続された装置に公的に又は私的に接続されたカメラ)を含む。一例において、入力データは、経時的な変化を捕捉できるビデオ撮像を含むことができる。例えば、ビデオを取得して試料の動的変化に関する評価を提供することができる。
【0822】
特定の実施形態において、装置は、装置と検出器との間のインタフェースを形成するアダプタによって、検出器の出力を取得する。特定の実施形態において、インタフェースは、一般的なもので、本発明の方法の実行に適した任意の装置と互換性がある。関心対象のインタフェースは、USB、ファイヤワイヤ、イーサネットなどを含むが、それらに限定されない。特定の実施形態において、装置は、セルラ、ブルートゥース、WiFiなどを含む無線通信によって検出器の出力を取得する。
【0823】
特定の実施形態において、該装置は、ビデオディスプレイを有してもよい。ビデオディスプレイは、ディスプレイページがユーザに知覚可能な方法で表示されてもよいコンポーネント、例えば、コンピュータモニタ、陰極線管、液晶ディスプレイ、発光ダイオードディスプレイ、タッチパッド又はタッチスクリーンディスプレイ、及び/又は視覚的に知覚可能な出力を発するための当技術分野で知られている他の手段を含んでもよい。特定の実施形態において、装置は、検出器から取得された入力データ及び/又は処理されたデータから生成されたレポートなどの情報を表示し、情報が対象によって入力されることを可能にするためのタッチスクリーンを備える。
【0824】
特定の実施形態において、装置は、例えば、検出器の出力を処理する際に生成されたレポートの方法として、又は検出器からの出力を取得するための準備で、対象に警告する振動機能を備える。
【0825】
特定の実施形態において、該装置は、表示ページが装置のメモリに常駐するソフトウェアによって解釈される時に、ビデオディスプレイ又はタッチスクリーンディスプレイで情報を表示するように構成される。本明細書で説明する表示ページは、例えば、ハイパーテキストマークアップ言語(「HTML」)、ダイナミックハイパーテキストマークアップ言語(「DHTML」)、拡張可能ハイパーテキストマークアップ言語(「XHTML」)、拡張可能マークアップ言語(「XML」)、又はユーザによって知覚可能な方法でビデオ又は他のディスプレイに表示可能なコンピュータファイルを作成するように使用されてもよい別のソフトウェア言語などの任意の適切なソフトウェア言語を使用して作成することができる。論理、コード、データ、命令を有する任意のコンピュータ可読媒体を使用して、任意のソフトウェア又はステップ又は方法を実施することができる。ネットワークがインターネットを含む場合、表示ページは、適切なタイプのウェブページを含むことができる。
【0826】
本発明に係る表示ページは、例えば、VBScriptルーチン、JScriptルーチン、JavaScriptルーチン、Javaアプレット、ActiveXコンポーネント、ASP.NET、AJAX、Flashアプレット、Silverlightアプレット、又はAIRルーチンのようなメモリ装置に格納されたソフトウェアプログラムを含む組み込み機能を含むことができる。
【0827】
表示ページは、例えば、フレーム、ウィンドウ、スクロールバー、ボタン、アイコン、及びハイパーリンクなどのグラフィカルユーザインタフェース技術の周知の特徴と、「クリック式」インタフェース又はタッチスクリーンインタフェースのような周知の特徴とを含む。グラフィカルユーザインタフェースボタン、アイコン、メニューオプション、又はハイパーリンクをポイントしてクリックすることは、ボタン、オプション、又はハイパーリンクを「選択」することとしても知られている。本発明による表示ページはまた、マルチメディア機能、マルチタッチ、ピクセルセンス、IR LEDベースの表面、カメラの有無にかかわらず視覚ベースの相互作用を組み込むことができる。
【0828】
特定の実施形態において、装置は、信号増強検出器からの出力ではないデータを取得するように構成されてもよい。従って、場合によっては、装置は、対象によって提供された試料を代表しないが対象を依然として代表するデータを取得するように構成されてもよい。これらのデータは、年齢、性別、身長、体重、個人及び家族の病歴などを含むが、それらに限定されない。特定の実施形態において、装置は、検出器の出力から取得された入力データを、検出器の出力と独立して取得されたデータと組み合わせて処理するように構成される。
【0829】
特定の実施形態において、装置は、ローカルエリアネットワーク(LAN)などのネットワーク、インターネットなどの広域ネットワーク(WAN)、パーソナルエリアネットワーク、電話ネットワークなどの電気通信ネットワーク、携帯電話ネットワーク、移動ネットワーク、無線ネットワーク、データ提供ネットワーク、又は任意の他の種類のネットワークを介して通信するように構成されてもよい。特定の実施形態において、装置は、ブルートゥース又はRTM技術などの無線技術を利用するように構成されてもよい。いくつかの実施形態において、装置は、モデムを使用するダイヤルアップ有線接続、TI、ISDN又はケーブル回線などの直接リンクのような様々な通信方法を利用するように構成されてもよい。いくつかの実施形態において、無線接続は、セルラ、サテライト、又はページャーネットワーク、GPRS、又はLAN上のイーサネット又はトークンリングなどのローカルデータ転送システムのような例示的な無線ネットワークを使用することができる。いくつかの実施形態において、該装置は、赤外線通信コンポーネントを使用して無線通信することができる。
【0830】
特定の実施形態において、該装置は、ネットワークを介してサーバから送信され、メモリに記憶されたコンピュータファイルを受信するように構成される。装置は、装置の永続的なメモリ又は一時的なメモリに格納されてもよい命令、ロジック、データ、又はコードを含むことができる有形のコンピュータ可読媒体を受信してもよく、又は装置によって何らかの形で影響を及ぼすか、又は動作を開始してもよい。1つ以上の装置は、他のコンピュータファイルへのアクセスを提供できるコンピュータファイル又はリンクと通信することができる。
【0831】
いくつかの実施形態において、装置は、パーソナルコンピュータ、サーバ、ラップトップコンピュータ、モバイル装置、タブレット、携帯電話、移動電話、衛星電話、スマートフォン(例えば、iPhone、Android、Blackberry、Palm、Symbian、Windows)、パーソナルデジタルアシスタント、ブルートゥース装置、ページャ、固定電話、又は他のネットワーク装置である。このような装置は、通信可能な装置であってもよい。本明細書で使用される「携帯電話」という用語は、セルラネットワークで動作することができる電話ハンドセット、セッション開始プロトコル(SIP)のようなボイスオーバーIP(VoIP)ネットワーク、又は802.11xプロトコルを使用する無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)、又はそれらの任意の組合せを指す。特定の実施形態において、該装置は、消費者の財布及び/又はポケット(例えば、ポケットサイズ)に適合することができるように、手持ち式及びコンパクトである。
【0832】
特定の実施形態において、方法は、試料由来のデータを、送信されたデータが分析される遠隔地に送信することを含む。遠隔地は、装置が配置された位置と異なる位置であってもよい。遠隔地は、病院、診療所又は他の医療施設、又は研究室を含むことができるが、これらに限定されない。いくつかの例において、遠隔地は、ネットワークを介して装置と通信する(すなわち、装置から情報を受信し、また装置に情報を送信する)ように構成されたコンピュータ、例えばサーバを有してもよい。いくつかの実施形態において、装置は、データをクラウドコンピューティングインフラストラクチャに送信することができる。装置は、クラウドコンピューティングインフラストラクチャにアクセスすることができる。いくつかの実施形態において、計算リソース(データ、ソフトウェア)のオンデマンド提供は、ローカルコンピュータからではなく、コンピュータネットワークを介して行われてもよい。装置は、インターネットに接続された基本的な表示端末として機能する、ごくわずかなソフトウェア又はデータ(恐らく最小のオペレーティングシステム及びウェブブラウザのみ)を含むことができる。クラウドは基本的な配信メカニズムである可能性があるため、クラウドベースのアプリケーション及びサービスは、あらゆる種類のソフトウェアアプリケーション又はサービスをサポートすることができる。装置によって提供され、及び/又は装置によってアクセスされた情報は、様々な計算リソースに分布されてもよい。あるいは、情報は、1つ以上の固定データ格納ユニット又はデータベースに格納されてもよい。
【0833】
特定の実施形態において、遠隔地は、装置から送信されたデータを受信し分析するデータ格納ユニットに格納された中央データベースを含む。データ格納ユニットは、プロセッサが1つ以上のステップを実行するためのコード、ロジック又は命令を含むことができるコンピュータ可読媒体を格納することができる。いくつかの実施形態において、受信されたデータは、中央データベースに含まれたデータと比較して分析され、またその結果が対象に返送された。分析は、試料を検査するために使用された装置又は試薬に特有の数学的操作又は補正及び/又は較正に基づく生データの補正、濃度値などの値の計算、(ベースライン、閾値、標準曲線、履歴データ又は他のセンサからのデータなどとの)比較、検査が正確であるか否かの決定、(正常範囲又は許容範囲を上回るか又は下回るか、又は異常状態を示すなどの)異常値であるか又は懸念の原因となり得る値又は結果の強調表示、又は異常条件の存在をともに示すことができる結果の組み合わせ、カーブフィッティング、数学的又は他の分析的推論(演繹的、誘導的、ベイジアン、又は他の推論を含む)の基礎としてのデータの使用及び他の適切な処理形式を含むことができる。
【0834】
特定の実施形態において、分析は、分析されたデータを遠隔地のデータ格納ユニットに格納されたデータベースと比較して、対象によって実行される行動コースのための命令を検索することを含むことができる。いくつかの実施形態において、データベースは、関心対象の分析物の閾値を含む、格納された情報を含むことができる。閾値は、1つ以上の分析物の存在又は濃度を決定することに有用であり得る。閾値は、アラートが有用である状況を検出するために使用されてもよい。データ格納ユニットは、試料上で実行されてもよい試料調製又は臨床検査に関する任意の他の情報を含むことができる。データ格納ユニットは、分析されたデータに関するレポートを生成するために有用である可能性がある記録又は他の情報を含むことができる。
【0835】
特定の実施形態において、医療従事者は遠隔地にいる。他の実施形態において、医療従事者は、遠隔地又は装置の位置と異なる第3の位置で、装置によって送信されたデータにアクセスする。医療専門家は、ヘルスケアシステムに関連付けられている個人又は団体を含んでもよい。医療専門家は、医療従事者であってもよい。医療専門家は、医者であってもよい。医療専門家は、予防的、治療的、促進的又はリハビリなヘルスケアサービスを、個人、家庭及び/又は地域社会に系統的に提供する個人又は機関であってもよい。医療専門家の例は、医師(一般開業医及び専門家を含む)、歯科医、医師助手、看護師、助産師、薬理学者/薬剤師、栄養士、セラピスト、心理学者、指圧師、臨床職員、理学療法士、採血専門家、作業療法士、検眼医、救急医療技師、医療補助員、医療検査技術者、医療補綴技術者、レントゲン技師、ソーシャルワーカー、各種のヘルスケアサービスを提供するために訓練された多種多様な人材を含んでもよい。医療専門家は、処方箋を書くことが認可されてもよいか又は認可されなくてもよい。医療専門家は、病院、ヘルスケアセンター及び他のサービス提供ポイント、又は学術的訓練、研究及び管理で働くか又は属してもよい。いくつかの医療専門家は、民家で患者にケア及び治療サービスを提供してもよい。コミュニティーの保健医療労働者は、正式なヘルスケア機関外で働いてもよい。ヘルスケアサービス、診療記録の管理者と医療情報技術者及びその他の支援労働者は、医療専門家であってもよいか又は医療提供者に属してもよい。
【0836】
いくつかの実施形態において、医療専門家は、対象と馴染んでいるか又は対象と連絡している可能性がある。対象は、医療専門家の患者であってもよい。いくつかの実施例では、医療専門家は、対象が臨床検査を受けるように指示してもよい。一例では、医療専門家は、対象のプライマリケア医であってもよい。医療専門家は、対象(一般開業医及び専門家を含む)用のいずれかのタイプの医師であってもよい。
【0837】
従って、医療従事者は、装置から送信されたデータ及び/又は遠隔地で実行された分析の結果を分析又は検討することができる。特定の実施形態において、医療専門家は、装置により送信されたデータ及び/又は遠隔地で分析されたデータに基づいた指示又は推奨を対象に送信してもよい。
【0838】
28 スペーサを使用しない試料の厚さの制御及び計測
本発明のいくつかの実施形態において、試料又は試料の関連体積を調節するために使用されるスペーサは、(a)プレート間の間隔を計測することができる位置決めセンサ、及び(b)プレート位置を制御し、センサにより提供された情報に基づいてプレートを所望のプレート間の間隔に移動させることができる装置によって置き換えられる。いくつかの実施形態において、全てのスペーサは、移動ステージ、監視センサ及びフィードバックシステムにより置き換えられる。
【0839】
光学的方法を用いた間隔及び/又は試料の厚さの計測 いくつかの実施形態において、内表面間の間隔の計測(f)は、光学干渉の使用を含む。光学干渉は、複数の波長を使用することができる。例えば、第1のプレートと第2のプレートの内表面で反射された光の干渉による光信号は、光の波長で振動する。振動から、内表面間の間隔を決定することができる。干渉信号を補強するために、1つ又は両方の内表面を光反射材料で被覆することができる。
【0840】
いくつかの実施形態において、内表面間の間隔の計測(f)は、光学撮像(例えば、試料の2D(2次元)/3D(3次元)画像を撮像し、該撮像は、異なる視野角、異なる波長、異なる位相、及び/又は異なる偏光で行うことができる)及び画像処理を含む。
【0841】
光学的方法を用いた試料全体の面積又は体積の計測 いくつかの実施形態において、試料全体の面積又は体積の計測(f)は、光学撮像(例えば、試料の2D(2次元)/3D(3次元)画像を撮像し、該撮像は、異なる視野角、異なる波長、異なる位相、及び/又は異なる偏光で行うことができる)及び画像処理を含む。試料の面積は、第1のプレート及び第2のプレートにほぼ平行な方向の面積を指す。3D画像化は、オブジェクトの3次元(3D)画像を取得するための最も一般的な方法の1つである干渉縞投影プロフィロメトリー(FPP)の方法を使用することができる。
【0842】
いくつかの実施形態において、画像化による試料の面積又は体積の計測は、(a)面積又は体積が既知の試料を使用して画像スケールを較正すること(例えば、撮像装置はスマートフォンであり、該スマートフォンで撮像された画像の寸法は、同一のスマートフォンで撮像された寸法が既知の試料の画像と比較することにより較正できる)、(b)画像と、第1のプレート及び第2のプレートに又はその近くに配置されたスケールマーカー(定規)とを比較すること(本明細書でさらに論じる)、及び(c)それらの組み合わせを含む。
【0843】
本明細書で使用されるように、光は、可視光、紫外光、赤外光、及び/又は近赤外光を含むことができる。光は、20nm〜20000nmの範囲の波長を含むことができる。
【0844】
29 実施形態のその他の説明
以下の方法、装置及びシステムを提供する。これらの実施形態は、上記又は下記の構成要素、材料、パラメータ又はステップのいずれかを使用して実施することができる。次の実施形態は、CROFプレートを使用する。
【0845】
実施形態1.
液体試料を分析する方法は、以下のステップ(a)〜(e)を含む:
(a)分析物を含有する試料を取得し、
(b)異なる構成になるように互いに対して移動可能な第1のプレートと第2のプレートを取得し、
それぞれのプレートが実質的に平坦な試料接触面を有し、1つ又は両方のプレートが可撓性であり、前記プレートのうちの1つ又は両方がスペーサを含み、これらのスペーサが各々の試料接触面に固定され、前記スペーサが所定の実質的に均一な高さと所定の一定のスペーサ間距離を有し、前記距離が前記分析物のサイズよりも少なくとも約2倍大きく、最大200μm(マイクロメータ)になり、
(c)プレートが開放構成に構成されている時に、試料をプレートのうちの1つ又は両方に付着させ、
前記開放構成とは、2つのプレートが部分的に又は完全に離され、かつプレート間の距離がスペーサにより調節されない構成であり、
(d)(c)の後、前記2つのプレートを用いて前記試料の少なくとも一部を略均一な厚さの層へと圧縮し、
前記均一な厚さが前記プレートの前記試料接触面に制限され、前記層の前記均一な厚さが前記スペーサと前記プレートに規制され、前記圧縮は、以下:
前記2つのプレートを一体に合わせることと、
閉鎖構成へと前記プレートを押し付けるように、並行して又は順次のいずれかで前記プレートのうち少なくとも1つのプレートの1つの領域を適切に押すことを含み、前記適切に押すことにより前記試料の前記少なくとも一部を介して前記プレートに略均一な圧力を発生させ、前記押すことにより前記試料の前記少なくとも一部を前記プレートの前記試料接触面間に横方向に広げ、前記閉鎖構成が、均一な厚さ領域の前記層において前記プレート間の前記距離が前記スペーサにより調節される構成であり、
(e)前記プレートが前記閉鎖構成にある時に、前記均一な厚さの層内の前記分析物を分析し、
前記適切に押すことは、前記プレートの外面の形状の違いに関わらず、ある領域に加えた圧力を実質的に一定にする方法であり、
前記並行して押すことは、同時に所望の領域に圧力を加え、前記順次押すことは、所定の領域の一部に圧力を加え、かつ徐々に他の領域に移行する。
【0846】
実施形態2.
液体試料を分析する装置は、
第1のプレート及び第2のプレートを含み、
i.前記プレートは、異なる構成になるように互いに対して移動可能であり、
ii.1つ又は両方のプレートは可撓性であり、
iii.各プレートは、そのそれぞれの表面に、分析物を含む試料と接触するための試料接触領域を有し、
iv.前記プレートの1つ又は両方は、それぞれの試料接触領域に固定されたスペーサを含み、前記スペーサは、所定の実質的に均一な高さ、及び分析物の寸法より少なくとも約2倍大きく、最大200μmの所定の一定のスペーサ間の距離を有し、少なくとも1つのスペーサは、前記試料接触領域内にあり、
前記構成の1つは、開放構成であり、2つのプレートが離され、プレート間の間隔がスペーサにより調節されず、試料を1つ又は両方のプレートに付着させ、
別の構成は、開放構成で試料を付着させた後に構成された閉鎖構成であり、前記閉鎖構成で、試料の少なくとも一部は、2つのプレートにより非常に均一な厚さの層へと圧縮され、該層の均一な厚さは、プレートの試料接触表面により限定され、スペーサ及びプレートにより調節される。
【0847】
実施形態3.
血液試料を分析する方法は、以下のステップ(a)〜(e)を含む:
(a)血液試料を取得し、
(b)異なる構成になるように互いに対して移動可能な第1のプレート及び第2のプレートを取得し、
各プレートが、実質的に平坦な試料接触表面を有し、1つ又は両方のプレートが可撓性であり、1つ又は両方のプレートが、それぞれの試料接触表面に固定されたスペーサを含み、スペーサは、
i.所定の実質的に均一な高さと、
ii.実質的に均一な断面及び平坦な上面を有する柱の形状と、
iii.1以上の、高さに対する幅の比と、
iv.10μm〜200μmの範囲内の所定の一定のスペーサ間の距離と、
v.1%以上の充填率と、
vi.スペーサの充填率とヤング率との2MPa以上の積とを有し、
(c)プレートが開放構成に構成されている時に、1つ又は両方のプレートに血液試料を付着させ、
前記開放構成とは、2つのプレートが部分的に又は完全に離され、プレート間の間隔がスペーサにより調節されない構成であり、
(d)(c)の後、2つのプレートを用いて、血液試料の少なくとも一部を、プレートの試料接触表面により限定された実質的に均一な厚さの層へと圧縮し、
該層の均一な厚さが、スペーサ及びプレートにより調節され、10%より小さいばらつきで1.8μm〜3μmの範囲内にある平均値を有し、前記圧縮は、以下:
前記2つのプレートを一体に合わせることと、
閉鎖構成へと前記プレートを押し付けるように、並行して又は順次のいずれかで前記プレートのうち少なくとも1つのプレートの1つの領域を適切に押すことを含み、前記適切に押すことにより前記試料の前記少なくとも一部を介して前記プレートに略均一な圧力を発生させ、前記押すことにより前記試料の前記少なくとも一部を前記プレートの前記試料接触面間に横方向に広げ、前記閉鎖構成が、均一な厚さ領域の前記層において前記プレート間の前記距離が前記スペーサにより調節される構成であり、
(e)プレートが閉鎖構成にある時に、均一な厚さの層内の血液を分析し、
前記充填率が、総プレート面積に対するスペーサ接触面積の比であり、
前記適切に押すことが、前記プレートの外面の形状の違いに関わらず、ある領域に加えた圧力を実質的に一定にする方法であり、
前記並行して押すことが、同時に所望の領域に圧力を加え、前記順次押すことが、所定の領域の一部に圧力を加え、かつ徐々に他の領域に移行する。
【0848】
実施形態4.
液体試料を分析する装置は、
第1のプレート及び第2のプレートを含み、
v.前記プレートは、異なる構成になるように互いに対して移動可能であり、
vi.1つ又は両方のプレートは可撓性であり、
vii.各プレートは、そのそれぞれの表面に、血液試料と接触するための試料接触領域を有し、
viii.前記プレートの1つ又は両方は、それぞれのプレートに固定されたスペーサを含み、スペーサは、所定の実質的に均一な高さ、及び7μm〜200μmの範囲内の所定の一定のスペーサ間の距離を有し、少なくとも1つのスペーサは、試料接触領域内にあり、
前記構成の1つは、開放構成であり、2つのプレートが離され、プレート間の間隔がスペーサにより調節されず、試料を前記プレートの1つ又は両方に付着させ、
別の構成は、開放構成で試料を付着させた後に構成された閉鎖構成であり、前記閉鎖構成で、試料の少なくとも一部は、2つのプレートにより非常に均一な厚さの層へと圧縮され、該層の均一な厚さは、2つのプレートの試料内表面により限定され、スペーサ及びプレートにより調節され、小さいばらつきで1.8μm〜3μmの範囲内にある平均値を有する。
【0849】
実施形態5.
標的実体を液体試料の一部に局所的に結合する方法は、以下のステップ(a)〜(e)を含む:
(a)試料内に拡散できる標的実体を含有する試料を取得し、
(b)異なる構成になるように互いに対して移動可能な第1のプレート及び第2のプレートを取得し、
1つ又は両方のプレートが、それぞれのプレートに固定され、所定の実質的に均一な高さを有するスペーサを含み、第1のプレートが、その表面に、所定の領域を有し、標的実体に結合して固定化した結合部位を含み、
(c)プレートが開放構成に構成されている時に、試料をプレートのうちの1つ又は両方に付着させ、
前記開放構成とは、2つのプレートが部分的に又は完全に離され、かつプレート間の距離がスペーサにより調節されない構成であり、
(d)(c)の後、2つのプレートを閉鎖構成にすることにより試料を圧縮し、
閉鎖構成は、試料の少なくとも一部が、2つのプレートの内表面に接触し、それによって限定され、かつ結合部位に接触する均一な厚さの層へと圧縮される構成であり、層の均一な厚さがスペーサ及びプレートにより調節され、250μmより小さく、結合部位の所定の領域の線形寸法より実質的に小さく、
(e)(d)の後、プレートが閉鎖構成にある時に、
(1)関連のある時間長さで試料をインキュベーションし、次にインキュベーションを停止し、あるいは、
(2)関連のある時間長さの最小値以上の時間で試料をインキュベーションし、次に、関連のある時間長さの最大値以下の時間内に、標的分析物の結合部位への結合を評価し、
前記関連のある時間長さは、
i.標的実体が閉鎖構成で均一な厚さの層の厚さにわたって拡散することに要する時間以上であり、そして
ii.標的実体が横方向に結合部位の最小の横方向寸法にわたって拡散することに要する時間より顕著に短く、
(1)におけるインキュベーションが終了する時又は(2)における評価期間において、結合部位に結合される大部分の標的実体は試料関連体積から由来し、
インキュベーションにより、標的実体が結合部位に結合することを可能にし、関連体積は、閉鎖構成で結合部位にある試料の一部である。
【0850】
実施形態6.
標的実体を液体試料の一部に局所的に結合するための装置は、
第1のプレート及び第2のプレートを含み、
i.プレートは、異なる構成になるように互いに対して移動可能であり、1つ又は両方のプレートは可撓性であり、
iii.各プレートは、そのそれぞれの表面に、試料内に拡散できる実体を含む試料と接触するための試料接触領域を有し、
iv.前記プレートの1つは、その試料接触領域上に、所定の領域を有し、前記標的実体に結合して固定化した結合部位を有し、
v.前記プレートの1つ又は両方は、それぞれのプレートに固定されたスペーサを含み、スペーサは、所定の実質的に均一な高さ、及び所定の一定のスペーサ間の距離を有し、少なくとも1つのスペーサは、試料接触領域内にあり、
前記構成の1つは、開放構成であり、2つのプレートが部分的に又は完全に離され、プレート間の間隔がスペーサにより調節されず、試料を前記プレートの1つ又は両方に付着させ、
別の構成は、開放構成で試料を付着させた後に構成された閉鎖構成であり、前記閉鎖構成で、試料の少なくとも一部は、2つのプレートにより均一な厚さの層へと圧縮され、均一な厚さの層の少なくとも一部は、結合部位にあり、かつ層の均一な厚さは、2つのプレートの試料内表面により限定され、スペーサ及びプレートにより調節され、250μmより小さく、結合部位の所定の領域の平均線形寸法より実質的に小さい。
【0851】
実施形態7.
液体試料の一部に試薬を局所的に放出する方法は、以下のステップ(a)〜(e)を含む:
(a)試料を取得し、
(b)異なる構成になるように互いに対して移動可能な第1のプレート及び第2のプレートを取得し、
(i)1つ又は両方のプレートが、それぞれのプレートに固定されたスペーサを含み、
(ii)スペーサが、所定の均一な高さを有し、
(iii)第1のプレートが、その表面に、所定の領域を有し、試料に接触すると試料に溶解して試料内に拡散する試薬を含む貯蔵部位を含み、
(c)プレートが開放構成に構成されている時に、試料をプレートのうちの1つ又は両方に付着させ、
前記開放構成とは、2つのプレートが部分的に又は完全に離され、かつプレート間の距離がスペーサにより調節されない構成であり、
(d)(c)の後、2つのプレートを閉鎖構成にすることにより試料を圧縮し、
閉鎖構成は、試料の少なくとも一部が、2つのプレートの内表面によって限定され、かつ貯蔵部位を被覆する均一な厚さの層へと圧縮される構成であり、層の均一な厚さがスペーサ及びプレートによって調節され、250μmより小さく、貯蔵部位の所定の領域の線形寸法より局所的に小さく、
(e)(d)の後、プレートが閉鎖構成にある時に、関連のある時間長さで試料をインキュベーションし、次にインキュベーションを停止し、
前記関連のある時間長さは、
i.閉鎖構成で、標的実体が均一な厚さの層の厚さにわたって拡散することに必要な時間以上であり、そして
ii.標的実体が結合部位の所定の領域の線形寸法にわたって横方向に拡散することに要する時間より短く、
従って、インキュベーションの後、最初に貯蔵部位にある試薬の大部分は、試料の関連体積内にあり、
インキュベーションは、試薬が試料と結合又は混合することを可能にする過程であり、前記関連体積は、閉鎖構成で結合部位にある試料の一部分である。
【0852】
実施形態8.
液体試料の一部に試薬を局所的に放出する装置は、
第1のプレート及び第2のプレートを含み、
i.前記プレートは、異なる構成になるように互いに対して移動可能であり、ii.1つ又は両方のプレートは可撓性であり、
vi.各プレートは、そのそれぞれの表面に、試料と接触するための試料接触領域を有し、
vii.プレートの1つは、その試料接触領域に、所定の領域を有し、試料に接触すると試料に溶解して試料内に拡散し、標的実体に結合する試薬を含む貯蔵部位を含み、
viii.前記プレートの1つ又は両方は、それぞれのプレートに固定されたスペーサを含み、スペーサは、(a)250μm以下で、試薬部位の所定の領域の平均線形寸法より実質的に小さい所定の実質的に均一な高さ、及び(b)200μm以下の範囲内の所定の一定のスペーサ間の距離を有し、少なくとも1つのスペーサは、試料接触領域内にあり、
前記構成の1つは、開放構成であり、2つのプレートが部分的に又は完全に離され、プレート間の間隔がスペーサにより調節されず、試料を1つ又は両方のプレートに付着させ、
別の構成は、開放構成で試料を付着させた後に構成された閉鎖構成であり、前記閉鎖構成で、試料の少なくとも一部は、2つのプレートにより均一な厚さの層へと圧縮され、均一な厚さの層の少なくとも一部は、結合部位にあり、かつ層の均一な厚さは、2つのプレートの試料内表面により限定され、スペーサ及びプレートにより調節される。
【0853】
実施形態9.
試料の関連体積中の標的実体をプレート表面の結合部位に結合するための時間を短縮する方法は、以下のステップ(a)〜(d)を含む:
(a)試料内に拡散できる標的実体を含有する試料を取得し、
(b)異なる構成になるように互いに対して移動可能な第1のプレート及び第2のプレートを取得し、
前記プレートの1つ又は両方が、それぞれのプレートに固定され、所定の実質的に均一な高さ及び所定の一定のスペーサ間の距離を有するスペーサを含み、1つ又は両方のプレートが可撓性であり、第1のプレートが、その表面に、所定の領域を有し、標的実体に結合して固定化した結合部位を含み、
(c)プレートが開放構成に構成されている時に、試料をプレートのうちの1つ又は両方に付着させ、
前記開放構成とは、2つのプレートが部分的に又は完全に離され、かつプレート間の距離がスペーサにより調節されない構成であり、
(d)(c)の後、2つのプレートを閉鎖構成にすることにより試料を圧縮し、
閉鎖構成は、試料の関連体積の厚さが、プレートの開放構成の場合と比較して、少なくとも1mm
2の横方向面積を有し、2つのプレートの内表面によって限定され、かつ結合部位を被覆する実質的に均一な厚さの層に減少される構成であり、該層の均一な厚さがスペーサ及びプレートによって調節され、250μmより小さく、結合部位の所定の領域の線形寸法より実質的に小さく、関連体積は、試料の体積の一部又は全部であり、
試料の関連体積の厚さを減少させることは、関連体積における結合部位と標的実体との間の結合が平衡に達する時間を短縮する。
【0854】
実施形態10.
標的実体を液体試料の一部に局所的に結合するための装置は、
第1のプレート及び第2のプレートを含み、
i.プレートは、異なる構成になるように互いに対して移動可能であり、1つ又は両方のプレートは可撓性であり、
iii.各プレートは、そのそれぞれの表面に、試料内に拡散できる実体を含む試料と接触するための試料接触領域を有し、
前記プレートの1つは、その試料接触領域上に、所定の領域を有し、前記標的実体に結合して固定化した結合部位を有し、
v.前記プレートの1つ又は両方は、それぞれのプレートに固定されたスペーサを含み、スペーサは、所定の実質的に均一な高さ、及び所定の一定のスペーサ間の距離を有し、少なくとも1つのスペーサは、試料接触領域内にあり、
前記構成の1つは、開放構成であり、2つのプレートが部分的に又は完全に離され、プレート間の間隔がスペーサにより調節されず、試料を1つ又は両方のプレートに付着させ、
別の構成は、開放構成で試料を付着させた後に構成された閉鎖構成であり、前記閉鎖構成で、試料の少なくとも一部は、2つのプレートにより均一な厚さの層へと圧縮され、均一な厚さの層の少なくとも一部は、結合部位にあり、かつ層の均一な厚さは、2つのプレートの試料内表面により限定され、スペーサ及びプレートにより調節され、250μmより小さく、結合部位の所定の領域の平均線形寸法より実質的に小さく、
試料の関連体積の厚さを減少させることは、関連体積における結合部位と標的実体との間の結合が平衡に達する時間を短縮する。
【0855】
実施形態11.
流体的隔離がない状況下で液体試料を比較し、多重化し、アッセイする方法は、以下のステップ(a)〜(e)を含む:
(a)試料内に拡散できる1つ以上の標的分析物を含有する試料を取得し、
(b)異なる構成になるように互いに対して移動可能な第1のプレート及び第2のプレートを取得し、
i.前記プレートの1つ又は両方が、それぞれのプレートに固定されたスペーサを含み、1つ又は両方のプレートが可撓性であり、
ii.スペーサが、所定の実質的に均一な高さ、及び所定の一定のスペーサ間の距離を有し、
iii.第1のプレートが、その表面に、(a)における対応する標的分析物に結合して固定化する捕捉剤を含む所定の領域をそれぞれ有する1つ以上の結合部位を有し、
iv.第2のプレートが、その表面に、所定の領域をそれぞれ有し、試料に接触すると試料に溶解して試料内に拡散するある濃度の検出剤を含む1つ以上の対応する貯蔵部位を含み、
各捕捉剤、標的分析物及び対応する検出剤が、第1のプレートの結合部位に捕捉剤−標的分析物−検出剤のサンドイッチを形成でき、
(c)プレートが開放構成に構成されている時に、試料をプレートのうちの1つ又は両方に付着させ、
前記開放構成とは、2つのプレートが部分的に又は完全に離され、かつプレート間の距離がスペーサにより調節されない構成であり、
(d)(c)の後、2つのプレートを閉鎖構成にすることにより試料を圧縮し、
閉鎖構成で、
i.試料の少なくとも一部が、2つのプレートの内表面に接触し、それによって限定され、かつ1つ以上の結合部位及び1つ以上の貯蔵部位に接触する均一な厚さの層へと圧縮され、
ii.1つ以上の対応する貯蔵部位が1つ以上の結合部位にあり、
iii.層の均一な厚さがスペーサ及びプレートによって調節され、250μmより小さく、各貯蔵部位の所定の領域の線形寸法より実質的に小さい構成であり、
(e)(d)の後、プレートが閉鎖構成にある時に、
(1)関連のある時間長さで試料をインキュベーションし、次にインキュベーションを停止し、あるいは、
(2)関連のある時間長さの最小値以上の時間で試料をインキュベーションし、次に、関連のある時間長さの最大値以下の時間内に、各標的分析物の結合部位への結合を評価し、
前記関連のある時間長さは、
i.閉鎖構成で、(a)における標的分析物が均一な厚さの層の厚さにわたって拡散することに要する時間以上であり、そして、
ii.(a)における標的分析物が結合部位の所定の領域の線形寸法にわたって横方向に拡散することに要する時間より短く、
それにより、(1)におけるインキュベーションの終了の場合又は(2)における評価中に、各結合部位に結合した捕捉剤−標的分析物−検出剤サンドイッチの大部分が試料のそれぞれの関連体積に由来する反応が発生し、
インキュベーションにより、各標的分析物が結合部位及び検出剤に結合することを可能にし、それぞれの関連体積は、閉鎖構成でそれぞれの貯蔵部位にある試料の一部分であり、隣接した貯蔵部位のエッジと隣接した結合部位のエッジとの間の間隔は、標的分析物又は検出剤が関連時間内に拡散できる距離より大きく、結合部位及び/又は貯蔵部位の間に流体的隔離がない。
【0856】
実施形態12.
流体的隔離がない状況下で液体試料を比較し、多重化し、アッセイする装置は、第1のプレート及び第2のプレートを含み、
i.プレートは、異なる構成になるように互いに対して移動可能であり、1つ又は両方のプレートは可撓性であり、
ii.前記プレートの1つ又は両方は、それぞれのプレートに固定されたスペーサを含み、スペーサは、所定の実質的に均一な高さ、及び所定の一定のスペーサ間距離を有し、
iii.各前記プレートは、そのそれぞれの表面に、試料内に拡散できる1つ以上の標的分析物を含む試料と接触するための試料接触領域を有し、
iv.前記第1のプレートは、その表面に、試料の対応する標的分析物に結合して固定する捕捉剤を含む所定の領域をそれぞれ有する1つ以上の結合部位を有し、
v.第2のプレートは、その表面上に、所定の領域をそれぞれ有し、試料に接触すると試料に溶解して試料内に拡散するある濃度の検出剤を含む1つ以上の対応する貯蔵部位を有し、
各捕捉剤、標的分析物及び対応する検出剤は、第1のプレートの結合部位に捕捉剤−標的分析物−検出剤のサンドイッチを形成でき、
前記構成の1つは、開放構成であり、2つのプレートが部分的に又は完全に離され、プレート間の間隔がスペーサにより調節されず、試料を1つ又は両方のプレートに付着させ、
別の構成は、開放構成で試料を付着させた後に構成された閉鎖構成であり、前記閉鎖構成で、
i.試料の少なくとも一部が、2つのプレートの内表面に接触し、それによって限定され、かつ1つ以上の結合部位及び1つ以上の貯蔵部位に接触する均一な厚さの層へと圧縮され、
ii.1つ以上の対応する貯蔵部位が1つ以上の結合部位にあり、
iii.層の均一な厚さがスペーサ及びプレートによって調節され、250μmより小さく、貯蔵部位の所定の領域の線形寸法より実質的に小さく、
iv.結合部位及び/又は貯蔵部位の間に流体的隔離がなく、
隣接した貯蔵部位のエッジと隣接した結合部位のエッジとの間の間隔は、標的分析物又は検出剤が関連のある時間内に拡散できる距離より大きく、結合部位及び/又は貯蔵部位の間に流体的隔離がない。
【0857】
実施形態13A.
携帯電話を用いて試料を迅速に分析するシステムは、
(a)1つ又は両方のプレートが、異なる構成になるように互いに対して移動可能であり、
i.構成の1つは、2つのプレートが部分的に又は完全に離され、プレート間の間隔がスペーサにより調節されず、試料を1つ又は両方のプレートに付着させる開放構成であり、
ii.別の構成は、開放構成で試料を付着させた後に構成された閉鎖構成であり、前記閉鎖構成で、試料の少なくとも一部は、2つのプレートにより均一な厚さの層へと圧縮され、均一な厚さの層は、2つのプレートの試料内表面に接触し、それにより限定され、スペーサ及びプレートにより調節されるCROF装置と、
(b)
i.試料を検出及び/又は画像化するための1つ以上のカメラ、
ii.検出された信号及び/又は試料の画像を受信及び/又は処理し、遠隔通信するための電子機器、信号プロセッサ、ハードウェア及びソフトウェア
を含む移動通信装置と、
(c)移動通信装置又は外部源のいずれか一方からの光源と、を含む。
【0858】
実施形態13B.
携帯電話を用いて試料を迅速に分析する方法は、以下のステップを含む:
(a)実施形態13AのシステムのCROF装置に試料を付着させ、
(b)CROF装置に付着させた試料をアッセイして、結果を生成し、
(c)移動通信装置からの結果を移動通信装置から離れた位置に伝達する。
【0859】
実施形態14.
液体試料を分析する方法は、以下のステップ(a)〜(f)を含む:
(a)試料内に拡散できる分析物を含有する試料を取得し、
(b)異なる構成になるように互いに対して移動可能な第1のプレート及び第2のプレートを取得し、
1つ又は両方のプレートが、それぞれのプレートに固定され、所定の均一な高さを有するスペーサを含み、第1のプレートが、その表面に、所定の領域を有する分析物アッセイ領域を含み、
(c)プレートが開放構成に構成されている時に、試料をプレートのうちの1つ又は両方に付着させ、
前記開放構成とは、2つのプレートが部分的に又は完全に離され、かつプレート間の距離がスペーサにより調節されない構成であり、
(d)(c)の後、2つのプレートを用いて、試料の少なくとも一部を、2つのプレートの内表面により限定された均一な厚さの層へと圧縮し、
層の均一な厚さが、スペーサ及びプレートにより調節され、分析物アッセイ領域の所定の横方向領域の線形寸法より実質的に小さく、前記圧縮は、以下:
前記2つのプレートを一体に合わせることと、
プレートを一緒にプレスして閉鎖構成にするように、プレートの外表面に外からの力を加えることを含み、前記力は、試料の少なくとも一部の上方に位置するプレート上に圧力を生成し、圧力は、前記試料の少なくとも一部をプレートの内表面の間に横方向に広げ、前記閉鎖構成は、均一な厚さ領域の層内のプレート間の間隔がスペーサにより調節される構成であり、
(e)プレートが閉鎖構成にある時に、(i)分析物が均一な厚さの層の厚さ全体にわたって拡散することに必要な時間以上で、(i)分析物が分析物アッセイ領域全体にわたって拡散することに要する時間より著しく短い時間で試料をインキュベーションし、
(f)(e)の直後に、
アッセイ領域内の分析物のインキュベーション及び計測を停止するか、あるいは、プレートの閉鎖構成で、インキュベーションを継続し、分析物が分析物アッセイ領域全体にわたって拡散することに要する時間より著しく短い時間で、アッセイ領域内の分析物を計測する。
【0860】
以下の説明は、上記の実施形態1〜14に適用されてもよい。
【0861】
CROFを使用する任意の実施形態において、スペーサは、試料厚さ制御の良好な均一性のために、試料領域の内にあり、試料の関連する領域の内側にある。
【0862】
CROFを使用する任意の実施形態において、2つのプレートのうちの少なくとも1つは、厚さが1μm〜50μmのプラスチックフィルムであってもよい。
【0863】
CROFを使用する任意の実施形態において、2つのプレートのうちの少なくとも1つは、厚さが50μm〜100μmのプラスチックフィルムであってもよい。
【0864】
CROFを使用する任意の実施形態において、2つのプレートのうちの少なくとも1つは、厚さが100μm〜150μmのプラスチックフィルムであってもよい。
【0865】
CROFを使用する任意の実施形態において、2つのプレートのうちの少なくとも1つは、厚さが150μm〜250μmのプラスチックフィルムであってもよい。
【0866】
CROFを使用する任意の実施形態において、2つのプレートは、各プレートの厚さが10μm〜300μmから独立して選択される薄いプラスチックフィルムであってもよい。
【0867】
CROFを使用する任意の実施形態において、2つのプレートは、各プレートの厚さが100μm〜200μmから独立して選択される薄いプラスチックフィルムであってもよい。
【0868】
CROFを使用する任意の実施形態において、2つのプレートは、各プレートの厚さが10μm〜100μmから独立して選択される薄いプラスチックフィルムであってもよい。
【0869】
CROFを使用する任意の実施形態において、プレート上のスペーサの高さは5nm〜100nmの範囲にあってもよい。
【0870】
CROFを使用する任意の実施形態において、プレート上のスペーサの高さは100nm〜500nmの範囲にあってもよい。
【0871】
CROFを使用する任意の実施形態において、プレート上のスペーサの高さは500nm〜1μmの範囲にあってもよい。
【0872】
CROFを使用する任意の実施形態において、プレート上のスペーサの高さは1μm〜2μmの範囲にあってもよい。
【0873】
CROFを使用する任意の実施形態において、プレート上のスペーサの高さは2μm〜5μmの範囲にあってもよい。
【0874】
CROFを使用する任意の実施形態において、プレート上のスペーサの高さは5μm〜10μmの範囲にあってもよい。
【0875】
CROFを使用する任意の実施形態において、プレート上のスペーサの高さは10μm〜30μmの範囲にあってもよい。
【0876】
CROFを使用する任意の実施形態において、プレート上のスペーサの高さは30μm〜50μmの範囲にあってもよい。
【0877】
CROFを使用する任意の実施形態において、プレート上のスペーサの高さは50μm〜100μmの範囲にあってもよい。
【0878】
CROFを使用する任意の実施形態において、スペーサ間距離(ISD)は200μm以下である。
【0879】
CROFを使用する任意の実施形態において、スペーサ間距離(ISD)は150μm以下である。
【0880】
CROFを使用する任意の実施形態において、スペーサ間距離(ISD)は100μm以下である。
【0881】
CROFを使用する任意の実施形態において、スペーサ間距離(ISD)は80μm以下、例えば、60μm以下、40μm以下、又は20μm以下である。
【0882】
CROFを使用する任意の実施形態において、スペーサのアスペクト比は少なくとも1.5(例えば、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4又は少なくとも5)である。
【0883】
CROFを使用する任意の実施形態において、柱の高さに対する柱幅の比は少なくとも1、少なくとも2、少なくとも5、又は少なくとも10であってもよい。
【0884】
CROFを使用する任意の実施形態において、プレートの間の距離は2〜50μmの範囲にあり、かついかなるアッセイも1分間より少ない飽和時間を有する。
【0885】
CROFを使用する任意の実施形態において、方法は洗浄を含む。
【0886】
CROFを使用する任意の実施形態において、方法は洗浄を含まない。
【0887】
CROFを使用する任意の実施形態において、1分間未満のインキュベーション後に、方法は、1nM未満の感度を有し、例えば、0.1nmol、10pmol、1pmol、0.1pmol、10fmol、1fmol又は0.1fmolである。
【0888】
CROFを使用する任意の実施形態において、特に柱の高さが約100μm未満である場合、スペーサの幅に対する周期の比は約7.0未満(例えば、約7.0〜1.0)であってもよい。
【0889】
CROFを使用する任意の実施形態において、プレートは、20〜200μm、例えば10〜50μm又は50〜200μmの厚さを有してもよい。
【0890】
CROFを使用する任意の実施形態において、試料の体積は0.5μm未満、例えば0.5μm未満、0.4μm未満、0.3μm未満、0.2μm未満、又は0.1μm未満であってもよい。
【0891】
CROFを使用する任意の実施形態において、スペーサ間の距離は200μm未満、例えば、20〜200μm、20〜50μm又は50〜200μmであってもよい。
【0892】
他の実施形態結合プロセス、試薬混合プロセス、2つの組み合わせ、又は他のプロセスの飽和インキュベーション時間を短縮するための好ましい実施形態において、閉鎖構成での最終のサンプルの厚さは0.5μm(ミクロン)未満である。別の好ましい実施形態において、最終のサンプルの厚さは0.5μm〜1μmの範囲である。別の好ましい実施形態において、最終のサンプルの厚さは1μm〜4μmの範囲である。別の好ましい実施形態において、最終のサンプルの厚さは4μm〜10μmの範囲である。別の好ましい実施形態において、最終のサンプルの厚さは10μm〜30μmの範囲である。別の好ましい実施形態において、最終のサンプルの厚さは30μm〜100μmの範囲である。
【0893】
結合プロセス、試薬混合プロセス、2つの組み合わせ、又は他のプロセスの飽和インキュベーション時間を短縮するための好ましい実施形態において、最終のサンプルの厚さは、飽和インキュベーション時間が2秒未満になるように選択される。別の好ましい実施形態において、最終の試料の厚さは、飽和インキュベーション時間が4秒未満、8秒未満、12秒未満、20秒未満、30秒未満、40秒未満、60秒未満、120秒未満、300秒未満、420秒未満、又はこれらの値のいずれか2つの間の範囲内であるように選択される。
【0894】
CROFを使用する任意の実施形態において、装置は、1分間より少なく、例えば、10秒より少ない期間、手でプレスされてもよい。
【0895】
特定の実施形態において、CROF装置は、一体化されたマイクロ流体プラットフォーム又はマイクロ流体装置である。マイクロ流体装置は、試料を受け入れ、CROF装置を用いて試料中の分析物を検出し、リザーバ内の廃棄物を収集するための異なる領域を有するように構成される。従って、特定の実施形態において、上記のように、マイクロ流体チャネルプラットフォームは、マイクロ流体装置の試料受け入れ領域に適用された試料を、分析物を検出するように構成されたCROF装置に案内する流体ハンドリング構成要素を含むことができる。流体ハンドリング構成要素は、1つ以上の流体をマイクロ流体装置に案内するように構成されてもよい。いくつかの実例において、流体ハンドリング構成要素は、試料溶液、緩衝液などの流体を案内するように構成されるが、それらに限定されない。流体ハンドリング構成要素は、パッシブポンプ及びマイクロ流体チャネルを含むが、これらに限定されない。場合によっては、パッシブポンプは、本明細書で開示されるマイクロ流体装置を通じた毛管作用駆動のマイクロ流体ハンドリング及び流体ルーティングのために構成される。特定の実例において、マイクロ流体ハンドリング構成要素は、例えば100μL以下、50μL以下、又は25μL以下、又は10μL以下、又は5μL以下、又は1μL以下を含む500μL以下、1mL以下などの少量の流体を送達するように構成される。従って、特定の実施形態において、マイクロ流体装置を操作し、本発明の装置、システム及び方法を実行するために外部電源は必要とされない。
【0896】
特定の実施形態において、マイクロ流体装置は、50mm×50mm以下、例えば25mm×25mm以下、又は10mm×10mm以下の寸法を含む5mm×5mm〜100mm×100mmの範囲内の寸法を有する。特定の実施形態において、マイクロ流体装置は、2mm〜0.3mm、又は1mm〜0.4mmを含む5mm〜0.1mm、例えば3mm〜0.2mmの範囲内の厚さを有する。
【0897】
特定の実施形態において、CROF装置は、容器、例えばマルチウェルプレートのウェル内に配置される。CROF装置は、また、マルチウェルプレートのウェルの底部又は壁に一体化されてもよい。
【0898】
いくつかの実施形態において、マイクロ流体装置又はマルチウェルプレートのようなCROF装置を含むサポートは、サポートに含まれるCROF装置の識別子を有することができる。識別子は、マイクロ流体装置のようなサポートに形成された物理的物体であってもよい。場合によっては、上述したように、識別子は、携帯電話又はスマートフォンのようなハンドヘルド装置により読み取られてもよい。
【0899】
いくつかの実施形態において、カメラが識別子の画像を取り込み、該画像を分析してマイクロ流体装置に含まれるCROF装置を識別することができる。1つの実例において、識別子はバーコードであってもよい。バーコードは、1D又は2Dバーコードであってもよい。いくつかの実施形態において、識別子は、信号増強検出器を識別できる1つ以上の信号を発することができる。例えば、識別子は、CROF装置の識別情報を示すことができる赤外線、超音波、光、音声、電気又は他の信号を提供することができる。識別子は、無線周波数識別(RFID)タグを利用することができる。
【0900】
識別子は、マイクロ流体装置又はマルチウェルプレートに存在するCROF装置の特定のタイプの決定を可能にする情報を含むことができる。特定の実施形態において、識別子は、各識別子キーをマイクロ流体装置又はマルチウェルプレートに存在するCROF装置のタイプの固有情報に関連付けるキーをデータベースに提供する。CROF装置のタイプに固有の情報は、CROF装置が検出するように構成された分析物の識別、特定の分析物がCROF装置に結合することができる位置の座標、各分析物のための検出感度などを含むが、それらに限定されない。データベースは、有効期限、ロット番号などを含む特定のCROF装置に関連する他の情報を含むことができる。データベースは、ハンドヘルド装置に存在し、コンピュータ可読媒体に提供されてもよいか、又はハンドヘルド装置によってアクセス可能な遠隔サーバにあってもよい。
【0901】
特定の実施形態において、CROFカード(例えば、CROFプレート)が閉鎖構成にある時に、CROFカードの総厚さは、10μm〜3mm(例えば、10μm〜100μm、100μm〜500μm、500μm〜1mm、1mm〜2mm、又は2mm〜3mm)の範囲であり、CROFカードの横方向の寸法は、2mm〜50mm(例えば、2mm〜5mm、5mm〜10mm、10mm〜20mm、20mm〜30mm、30mm〜40mm又は40mm〜50mm)の範囲であり、x方向及びy方向はそれぞれ該範囲の値をとる。
【0902】
特定の実施形態において、CROFプレートは検査のために光アダプタに出入りする。
【0903】
特定の実施形態において、光アダプタの厚さは、2mm〜40mm(例えば、2mm〜5mm、5mm〜10mm、10mm〜20mm、20mm〜30mm、又は30mm〜40mm)の範囲であり、横方向の寸法は、10mm〜100mm(例えば、10mm〜20mm、20mm〜30mm、30mm〜40mm、40mm〜50mm、50mm〜60mm、50mm〜60mm、60mm〜70mm、70mm〜80mm、又は80mm〜100mm)の範囲であり、特定の厚さ、x横方向の寸法及びy横方向の寸法はそれぞれ該範囲の値をとる。
【0904】
特定の実施形態において、白血球を検査するためのスペーサは、2μm〜40μm(例えば、2μm〜10μm、10μm〜20μm、20μm〜30μm、又は30μm〜40μm)の範囲である。
【0905】
30 信号増幅表面を用いた均一アッセイ
アッセイの多くの応用において、特にPoC又は他の迅速アッセイにおいて、洗浄ステップを回避することが望ましい。本発明の一態様は、アッセイ洗浄を回避できる装置、システム及び方法に関する。
【0906】
信号増幅表面を含有及び/又は使用することにより、開示された装置、システム及び方法は、洗浄しない状況でアッセイの実行を容易にすることができる。表面増幅表面は、表面から短距離(例えば、20nm、又は50nm、又は100nm)に放射された光のみを増幅することができる。表面増幅層の一実施例は、D2PAである。
【実施例】
【0907】
31 リング状(囲い)スペーサ付きのCROFを用いるアッセイ加速の実施例
ポリスチレン薄膜を一方のCROFプレートとし、薄板ガラスを他方のプレートとし、ワックスリングをスペーサとしかつポリスチレンプレートに固定するアッセイ加速の実験を行う。CROFプロセスにおいて、リング状スペーサ内に、2uL(マイクロリットル)の試料を滴下し(かつ中心に、滴下する時に小さな液滴を形成する)、かつ2つのプレートでより薄いフィルムに圧縮し、プレートの間の距離をリング状スペーサにより調節する(すなわち、2つのCROFプレートの閉鎖構成である)。プレートを手でプレスする。試料厚さがプレートの閉鎖構成において均一であることが見出された。均一である主な理由は、試料の体積がリング状スペーサと2つのプレートとの間の体積と同じであることである。免疫学的アッセイとDNAハイブリダイゼーションアッセイをいずれも実行する。
【0908】
免疫学的アッセイ検査(高さが約40μm、直径が0.8cmのワックスリング状スペーサ)において、プロテインAを捕捉剤としてポリスチレン表面に塗布して、標識されたIgGを分析物として使用する。プロテインAと標識されたIgGとの結合のためにインキュベーションした後、結合しないIgGを洗浄し、かつ捕捉されたIgG標識を計測する。異なるインキュベーション時間を試験する。本発明者の実験によると、結合は、1分より少ないインキュベーション時間内に飽和する(すなわち、1分を超えると、捕捉されたIgG標識の信号はインキュベーション時間とともに変化しない)。このような短い飽和インキュベーション時間は、溶液中で40μmの距離にわたるIgGの拡散時間が約数秒であるため、40μmの間隔(その故に試料厚さ)の場合に期待される。
【0909】
本発明者はさらに、厚さが3mmの試料厚さを有する通常の96ウェルプレートでこのような直接アッセイのインキュベーションを試験し、典型的な飽和インキュベーション時間が約120分であることを発見した。インキュベーションプロセスが、標識されたIgGの拡散によって制限される場合、試料厚さを3mmから40μmに減少させることにより、インキュベーション時間を約120分から1.28秒に減少させることができ、それは1分以下の飽和インキュベーション時間の観察と一致する。
【0910】
DNAハイブリダイゼーション試験(高さが約52μm、直径が0.7cmのワックスリング状スペーサ)において、ストレプトアビジン−BSAはポリスチレン基材上の分子連結層であり、かつビオチン化捕捉鎖に連結され、捕捉鎖はハイブリダイゼーションにより標識された標的鎖を捕捉する。インキュベーション後に、ハイブリダイゼーションしない標的鎖を洗浄し、標識信号を試験する。異なるインキュベーション時間を試験する。本発明者の実験によると、ハイブリダイゼーションは、30秒のインキュベーション時間内に飽和する(すなわち、1分を超えると、捕捉されたIgG標識の信号はインキュベーション時間とともに変化しない)。このような短い飽和インキュベーション時間は、溶液中で52μmの距離にわたる標的プローブの拡散時間が約数秒であるため、52μmの間隔(その故に試料厚さ)の場合に期待される。(実験の詳細は、例えば仮出願番号第62/202、989号において開示される)。
【0911】
参照として、より厚い試料の厚さを有する同じアッセイを試験し、厚さが1mmの試料では、飽和インキュベーションに達するまでに約20分を必要とすることを見出した(実験の詳細は、例えば仮出願番号第62/202、989号に開示されている)。
【0912】
32 柱状スペーサ付きのCROFを用いるアッセイ加速(QAX及びQMAX)の実施例
E−1.1 飽和インキュベーション時間が30秒未満であるアッセイを達成するために、30μmのスペーサ高さの柱状スペーサアレイのCROF装置を用いるQAXアッセイ
CROFによるQAXを試験し、かつ約30秒の飽和時間を達成する。
図13a及び13bは、この実験を示す。実験において、CROFプロセスの前に、CROFプレートのうちの一方に捕捉剤及び標識検出剤を予め付着させかつ乾燥し、その後に試料をプレートに滴下し、CROFプロセスにより他方のプレートで閉鎖する。試料の滴下には数秒かかり、CROFプロセスは、10秒未満で完了した。本発明者の実験によると、30μmのスペーサの高さの場合、飽和インキュベーション時間は30秒以内である。
【0913】
プレート、試料、試薬 (1)自己保持CROF装置を用いたCROFは、(i)175μmのPMMAフィルムで作られて、試料接触領域にスペーサアレイを有する2.5cm×2.5cm面積のX−プレートであって、前記スペーサアレイが、120μm/110μm(それぞれx及びyの横方向)の一定周期を有する長方形格子を有し、全てのスペーサが柱状で、同じ30μmの高さ、x方向の40μmの幅、及びy方向の30μmの幅を有する同じ長方形形状を有し、前記スペーサが、プレートと同じ試料材料(PMMAフィルム)をモールドでナノインプリントにより製造される(従って、スペーサは所定のスペーサ高さ及び80μmのスペーサ間間隔でプレートに固定される)、X−プレートと、(ii)表面が平坦なガラス板(厚さが1mm、3cm×5cm)と、を含む。X−プレートとガラス板は未処理であり、かつ試料に対して親水性である。(2)試料滴下とCROFプロセスの前に、ガラス板に乾燥した抗IgGの捕捉剤(cAb)を予め塗布し、(3)試料滴下とCROFプロセスの前に、X−プレートに乾燥した抗IgGの検出剤(dAb)を予め塗布し、(4)試料は、規定濃度の異なるBSA緩衝液中のヒトIgGである。
【0914】
実験ステップ及び結果 分析物(ヒトIgG)含有の少量の試料を、E2−1に記載のCROF装置のうちの一方のプレートの表面に滴下する。最初にプレート上の試料は水溜まりを形成するが、CROF装置の他方のプレートを水溜まりに配置しかつ2つのプレートを共に圧縮することにより、元の血溜りは、スペーサアレイによって調節された、大面積かつ超薄型試料フィルム(約30μm)に広がり、その中に広がった試料がある。その後、人の手でガラス板に触れて液滴上でX−プレートを(中心と中心を合わせ)、均一に5〜10秒プレスし、手を放し、30秒待ち、かつプレートをその閉鎖構成に保持する。
【0915】
その後、異なる試料(異なるCROF装置とともに)を異なる時間内にインキュベーションし、洗浄しかつ計測する(光信号)。結果は
図13bに示され、
図13aに記載のQAXアッセイの飽和インキュベーション時間が30秒未満であることを示す。
【0916】
E.1.2 QMAXアッセイと均一アッセイ
信号を増幅するために、M−プレート(例えばD2PA)を用いて、QMAXを実験的に試験する。また、QMAXアッセイを、信号を増幅するM0PateがないQAXアッセイと比較する。不均一アッセイ(洗浄)と均一アッセイ(洗浄しない)を試験する。試験アッセイは、QAXとQMAXを用いるヒトIgG蛍光免疫アッセイである。
【0917】
材料及び方法: (30μmの柱の高さ、30μm×40μmの柱寸法、80μmのISD)25mm×25mmのX−プレート; 寸法が25mm×25mmのM−プレート; (塗布順に)(a)DSU、プロテインA、抗ヒトIgG(基板プレートに塗布しかつ乾燥する)、(b)ヒトIgG(分析物)、及び(c)抗ヒトIgG−IR800試薬(X−プレートの貯蔵部位に塗布しかつ乾燥する)であるアッセイ試薬。
【0918】
結果(
図14に示される): 本発明者の実験によると、閉鎖構成における30μmの間隔のCROF装置に対して、飽和インキュベーションは1分以内であり、かつQMAX洗浄を伴う場合に、総読み取り感度がLoD=2pMであり、QMAX洗浄がない(不均一)場合、総読み取り感度がLoD=10pMであり、QAX洗浄を伴う場合に総読み取り感度がLoD=200pMであり、QAX洗浄がない(不均一)場合に総読み取り感度がLoD=(読み取ることができず、異なる分析物濃度の差はない)であることが示された。
【0919】
33 追加の例示的な実験検査及び好ましい実施形態
この部分では、以下の条件を用いて以下の共通の観察を共有する本発明の追加の例示的な実験検査及び観察、並びに追加の好ましい実施形態を提供する。
【0920】
付着した試料の体積 特に断らない限り、CROFプレートに付着した全ての試料は、未知の体積を有し、すなわち、正確な体積は付着時には未知である。
【0921】
プレート この部分で使用されるCROF装置において、特に断らない限り、2つのプレートのうちの一方は「X−プレート」と呼ばれ、スペーサを有する唯一のプレートである。他方のプレートは「基板プレート」と呼ばれ、平坦な表面を有し、かつ任意のスペーサを有しない。プレート及びスペーサのための異なる材料(ガラス、PMMA(ポリメタクリレート)、及びPS(ポリスチレン)を含む)、異なるプレートの厚さ及びスペーサの幾何学(形状及び寸法)を試験する。各プレートの試料接触表面は、一般的に30nmより小さい表面平滑度変化を有する平坦な表面(突出スペーサを除く)であるが、多くの平坦な表面は、プレートの柔軟性、固有の表面平坦度(プレートの柔軟性に関係しない)、又は両者による表面平坦度変化を有する。いくつかのプレートは、30nmより大きい内表面平滑度変化を有する。特に断らない限り、実施例に使用されるプレートは、一般的な寸法は、幅が少なくとも25mmで、長さが少なくとも25mmである。
【0922】
スペーサ 特に断らない限り、このセクションの全てのスペーサは、(i)X−プレートの試料表面に固定され、かつ表面をエンボス加工すること(これによりスペーサの材料がX−プレートと同じである)によって製造され、(ii)丸い角、法線からの5度未満の傾斜角を有するほぼ真っ直ぐな側壁、平坦な上面、及び均一なスペーサの高さを有する長方形又は正方形のほぼ均一な断面を有する柱状アレイであり、(iii)それぞれX方向及びY方向において固定された内部スペーサ間の距離(ISD)(X方向の間隔はY方向の間隔と異なる場合があることに注意する)(
図17.b参照)を有する。また、柱状スペーサの横方向の形状は正方形又は丸い角付きの長方形であり、異なるスペーサの高さ、寸法、スペーサ間の距離、形状及び材料を試験する。
【0923】
スペーサの製造 X−プレート表面にエンボス加工されたスペーサをナノインプリントにより製造し、金型をプレートに直接プレスし、かつ元々完全に平坦な表面を、表面から突出した柱状スペーサを有する平坦な表面へとエンボス加工する。プラスチック材料が流動可能なエンボス加工において、プラスチック材料のガラス転移温度よりも高い温度を使用する。リトグラフ及びエッチングにより金型を製造し、場合によっては、マスターモデルに電気めっきすることにより製造する。金型はケイ素、二酸化ケイ素又はニッケルで製造される。
【0924】
図17は、プレートに製造されたスペーサの実施例を示す。金型を用いてプラスチックプレート表面を直接エンボス加工してスペーサを製造する。
図17(a)と17(b)は、正方形スペーサ格子の光学顕微鏡写真の上面図である。(a)柱状スペーサの寸法が46μm×46μmでありかつ柱間の距離が54μmであり、また(b)柱状スペーサの寸法が10μm×70μmでありかつ柱間の距離が10μmの画像の上面図であり、また(c)柱状スペーサの寸法が30μm×40μmでありかつスペーサの高さが2μmであり、また(d)柱状スペーサの寸法が30μm×40μmでありかつスペーサの高さが30μmの眺望
図SEMである。顕微鏡写真は、(1)柱状スペーサの頂部が非常に平坦であることと、(2)スペーサはほぼ均一な断面を有することと、(3)柱状スペーサの角が丸く、約1μmの曲率半径を有することとを示す。円形エッジに比べて鋭いエッジは、細胞を溶解させるか又は流体の流動に影響するため、好ましくは大きな曲率半径(例えば、小さい鋭いエッジ)である。
【0925】
表面形状測定装置を用いて、本発明者は、X−プレートの2cm×2cm領域の柱の高さを計測する。上記方法で製造されたX−プレートの柱状スペーサの高さの一般的な均一性は、それぞれ2μm、5μm及び30μmのスペーサ高さに対して、4nm、10nm、100nmの平均変化量と、0.2%、0.2%及び0.33%の相対平均変化を有する。
【0926】
一般的な実験過程
図15に示すように、1番目に、小さい体積(数μL以下)の試料を基板又はX−プレートに付着させ、水溜まりを形成する。2番目に、プレートの試料表面が重なるように、プレートを一緒にする。3番目に、試料が、面積が元の水溜まりよりも大きいフィルムになる閉鎖構成へと、プレートを手でプレスする。4番目に、手に関連する。そして5番目に、閉鎖構成で様々な計測を実行する。ステップの詳細を以下に示す。
【0927】
試料付着方法 2種類の試料付着方法を使用する。1つの方法において、ピペットで試料をプレートに付着させる。別の方法において、対象の血液とプレートとを接触させることにより、血液試料を対象の指(器具で取られる)から直接付着させる。指からプレートに直接付着させた血液は希釈しない。本発明者の実験において、特別に説明しない限り、最終の実験結果は試料付着方法とは独立していることを見出した。
【0928】
試料付着は、室内で、任意の特別な温度制御又は除塵濾過を使用せずに標準的な室内条件で行われる。このような条件の下で、(1)塵埃に適合して使用された可撓性プレートは、他の領域の試料厚さがスペーサによって調節されかつ試料厚さの自己保持に影響しないことを可能にし、(2)塵埃のある領域は利用可能な総領域のうち非常に小さい部分であり、かつ計測は塵埃による影響を受けない領域で行われるため、試料に落ちた塵埃は、最終計測結果に影響しないことを見出した。塵埃が無い領域の選択は、光画像により行った。
【0929】
場合によっては、2つのプレートは、プレートに落ちる塵埃の数を減少させるための表面保護カバーを有する。場合によっては、塵埃及び他の汚染を防止するために、2つのプレートを試料の内部表面とともに配置する。
【0930】
プレートの表面濡れ性 本発明者は、例示的な実験において使用された異なるプレートの表面湿潤特性を計測した。下記表は、5μLの試料の計測接触角を示す。これは、異なるプレート材料(ガラス、PMMA及びPS)と異なる表面形状(平坦な表面及びX−プレートの試料表面)を有する未処理又は処理後の表面に、異なる試料形式(水、PBS緩衝液(リン酸緩衝食塩水)及び血液)置かれ、X−プレートは175μmの厚さのPMMAであり、かつその試料表面は2μmの高さ、30μm×40μmの横方向寸法、及び110μm/120μmの周期(すなわち、スペーサ間距離が80である)の柱状アレイ(すなわち、スペーサ)を有する。
【0931】
【0932】
実験によると、(1)ガラス、PMMA及びPSの未処理表面は、すべて親水性表面(すなわち、接触角が90度未満である)を有し、(2)未処理のガラス表面は、未処理のPMMA及びPSより小さい濡れ角(より大きい親水性)を有し、(3)水、PBS及び血液の接触角は同様であり、血液は、水及びPBSより僅かに優れた湿潤性を有し、(4)未処理のPMMAのX−プレートは、未処理のPMMAプレートとほぼ同じ試料接触角を有し、かつ(5)予想通り、表面湿潤特性は、表面処理によって、より親水性又は疎水性になるように大きく変化し得る。
【0933】
プレートの表面疎水性は、表面処理により変化することができる。例えば、PMMAのX−プレートに対して、酸素プラズマ中で表面を露出させることにより親水性を向上させ、かつトリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチルトリクロロシランで表面を処理することにより、疎水性を向上させた。水、PBS緩衝液及び血液試料に対して、接触角は、それぞれ疎水性処理後のX−プレートについては25、27、28度であり、親水性処理後のX−プレートについては105、104及び103度であった。
【0934】
以下の説明において、特別に説明しない限り、プレートの全ての試料表面(すなわち、試料と接触した内表面)はいずれも未処理である。
【0935】
付着試料の面積及び高さ ピペットで水試料を開放構成のプレートに付着させる時に、プレート上の試料の面積及び高さを計測した。
【0936】
【0937】
実験は、開放構成でプレートに付着させた一般的な試料は、閉鎖構成よりもはるかに大きい厚さを有することを示した。
【0938】
プレートの閉鎖構成の下で、(1)総試料面積は、数ミリメートルの直径から数センチメートル(スペーサの高さに応じて)に拡大することと、(2)スペーサアレイが正方形格子を有する場合、プレートの閉鎖構成における試料の領域も、試料のエッジがスペーサの正方形格子の方向に位置合わせされる、ほぼ正方形であることとが観察された。従って、スペーサの異なる間隔配置により、閉鎖構成の下の最終試料領域を制御することができることが示された。スペーサが長方形格子を有すると、閉鎖構成の最終試料領域は長方形のはずである。スペーサが放射状の円形パターンであると、閉鎖構成の最終試料領域は円形であり得る。
【0939】
ハンドプレス セクション30の全ての実験において、CROFプロセスにおけるプレートを一緒にしかつ人の手でプレートの閉鎖構成に圧縮した。CROFプレートの広い領域で最後にプレスして均一な試料厚さを取得して、一般的には親指で1つの領域をプレスしかつCROFプレートの異なる領域を摩擦する。手でCROF装置(プレート)を閉鎖構成にプレスする過程を「ハンドプレス」と呼ぶ。
【0940】
自己保持 観察によると、特に断らない限り、CROFプレートを最終状態にプレスしかつ圧縮力(例えば手をプレスし)を解放した後、2つのプレートの間の試料厚さは、依然としてスペーサの高さによって調節され、かつ長期間(試料が最終的に乾燥するまで)一定の厚さに保持された。この観察結果は、「自己保持」と呼ばれる。自己保持は、表面張力によって引き起こされる、プレート、液体試料及び環境(例えば空気)の間の毛細管力である。
図E−1に示すように、CROF装置のハンドプレス及び自己保持は、良好な試料厚さを与えることを観察した。
【0941】
プレート間隔及び試料の厚さの計測 全ての実験において、閉鎖構成の2つのプレートの内表面(すなわち、試料表面)の間の距離は、プレートの内表面によって引き起こされるファブリ・ペロー空洞共振(FP共振)により計測された。試料(及び空気)と内表面の間の光学的屈折率の差により、プレートの各内表面は光反射器として作用し、かつ2つの内表面は光共振器を形成する。FP共鳴スペクトルは周期的であり、かつ光学測定点における内表面間隔h(従って試料厚さ)は、以下の式から計算可能であり:
ここで、cは光速であり、Δvは周波数領域における期間であり、nはプレート間の試料の屈折率である。
【0942】
本発明者のFP共鳴検査において、光源は約2μm×2μmの面積を有した。一般的に、本発明者は、CROF装置の中心周囲の1.6cm×1.6cmの領域内の25個の異なる点でプレートの内表面の間隔を計測した。25個の点は、4mm周期(すなわち、2つの隣接する点の間の距離)を有する5×5の正方形の格子である。スペーサ(すなわち、柱体)によって占有された領域は計測しなかった。
【0943】
プレートの閉鎖構成で内表面が試料と接触するため、計測した内表面の間隔は計測点の試料厚さと同じである。
【0944】
平均試料厚さ、H。 平均試料厚さHは、25個の点で計測されたプレートの間隔及び以下の式により計算される。
【0945】
試料の厚さの偏差は、所定のスペーサの高さH
0に対する、所定の領域上の試料平均厚さHの、偏差:(H−H
0)を指す。相対的な試料の厚さの偏差は、所定のスペーサの高さで割った偏差([(H−H
0)/H
0])を指す。正の厚さ偏差とは、試料がスペーサの高さよりも平均的に厚いことを指し、負の厚さの偏差は、試料がスペーサの高さより平均的に薄いことを指す。
【0946】
試料厚さ均一性 所定の領域上の試料厚さの均一性は、所定の領域上の試料厚さの標準偏差として定義される。
【0947】
32.1 ハンドプレス及び自己保持におけるCROF中の厚さの偏差と均一性
実験的に、本発明者は、CROF装置及びプロセスにおいて、手を放した後にプレートの閉鎖構成の試料厚さの偏差及び均一性に影響する可能性のあるパラメータを研究した。パラメータは、スペーサ間距離(ISD)、スペーサの形状及び寸法(例えば、スペーサの横方向寸法、スペーサの高さ、スペーサのアスペクト比、スペーサ領域充填率(総面積に対するスペーサ面積の比又はスペーサの周期と幅との比)、スペーサとプレートの材料の機械的強度(ヤング率)、プレートの厚さ、及び各プレートの表面平坦度を含むが、これらに限定されないことを見出した。以下に実験から得られたある発見と好ましい実施形態を示す。スペーサの高さ、IDS、周期及びスペーサの横方向寸法の定義は、
図16に示される。
【0948】
E−1.1 IDS(スペーサ間距離)、プレートの厚さ及び材料による試料の厚さへの影響
実験的に、本発明者は、周期的スペーサアレイのスペーサ間の距離(ISD)がCROFプロセスにおける閉鎖構成の試料の厚さの偏差(スペーサの高さ由来)及び均一性に顕著に影響する可能性のあることを観察した。
【0949】
図18は、IDS、プレートの厚さ及び材料による試料の厚さへの影響を示す。異なるプレート及びスペーサ材料、異なるプレートの厚さ及び異なる試料での、スペーサ間の距離(IDS)に対する、試料の厚さの偏差及び均一性の計測値。スペーサは周期的アレイであり、かつ5μmのスペーサの高さ、平坦な頂部、正方形形状(10×10μmの柱横方向寸法、ほぼ均一な断面、及び丸い角)を有する。IDSはそれぞれ20μm、50μm、100μm、200μm及び500μmであった。基板は、未処理の250μmの厚さの平坦な表面(面積が1インチ×1インチ)のPMMAプレートであった。スペーサが直接作成されたX−プレートは、それぞれ未処理の175μm及び50μmの厚さのPMMAプレート、及び未処理の125μm及び25μmの厚さのPSであった。試料は、それぞれ2μLの血液(指と直接接触させて滴下する)、唾液又はPBS(ピペットで滴下する)であった。CROF装置を手でプレスしかつ1インチ×1インチの領域で擦り、かつプレス後に自己保持した。試料厚さは、CROF装置の閉鎖構成で計測した。
【0950】
図18に示すように、所定の実験条件及び正方形形状のスペーサ(10×10μmの柱横方向寸法、ほぼ均一な断面、及び丸い角)に対して、
(1)ISDが20μm、50μm、100μmである場合、平均最終試料の厚さは5.1μm〜5.2μmであり、所定の5μmのスペーサの高さに非常に近く、かつ4%未満の厚さの偏差及び均一性(すなわち、ISDが約120μm以下であれば、偏差及び均一性は4%未満であってもよい)を有する。
【0951】
(2)しかし、ISDが200μm及び500μmである場合、平均最終試料の厚さは、それぞれ4.3μm及び3.5μmになり、所定のスペーサの高さ(5μm)より明らかに小さく、かつそれぞれ−13.9%及び−30.9%の厚さの偏差とそれぞれ10.9%及び27.7%の均一性を有する。これは、ISDが約200μmより大きい場合、厚さの平均値は顕著に低下するだけでなく、均一性も非常に低くなることを示す。
【0952】
40μm×40μmの横方向寸法の柱状スペーサアレイ(
図18)に対して、ISDが60μm、150μm、100μmである場合、平均最終試料の厚さは5.1μm〜5.2μmであり、所定の5μmのスペーサの高さに非常に近く、かつ4%未満の厚さの偏差及び均一性(すなわち、ISDが約100μm以下であれば、偏差及び均一性は4%未満であってもよい)を有する。
【0953】
E−1.2 ISD/(Eb^3)による試料厚さへの影響
本発明者の実験によると(
図19に示すように)、小さい試料厚さの差と良好な均一性を達成するために、X−プレートのSD4/(hxE)(図中x=1)は10^6μm^3/GPa未満であるべきであり、ISDはスペーサ間の距離であり、hは材料の高さ(厚さ)であり、Eは材料のヤング率である。
【0954】
CROFを使用する全ての方法及び装置において、特定の実施形態において、SD4/(hxE)(図中x=1)の値は、10^6μm^3/GPa未満、5×10^5未満、1×10^6未満、5×10^6未満等である。
【0955】
任意の実施形態において、可撓性プレートは、20μm〜250μm範囲内(例えば50μm〜150μmの範囲内)の厚さを有し、かつヤング率は範囲0.1〜5GPa(例えば、0.5〜2GPaの範囲内)である。
【0956】
任意の実施形態において、可撓性プレートの厚さと可撓性プレートのヤング率との乗積は、60〜750GPa−μmの範囲内にあってもよい。
【0957】
E−1.3 スペーサ寸法と高さによる試料厚さへの影響
本発明者の実験によると(例えば、
図20)、小さい試料厚さの偏差を達成するために、所定のプレートの厚さ、試料及びプレスに対して、IDSは約150μm以下であるべきである。
【0958】
E−1.4 スペーサのアスペクト比による試料厚さへの影響
本発明者の実験によると(例えば
図21)、小さい試料厚さの偏差を達成するために、所定のプレートの厚さ、試料及びプレスに対して、ISDは20μm〜150μmであり、柱体のアスペクト比(WRH)が1よりも大きく、かつある実施形態において、好ましくは2以上である。
【0959】
WRHが約1以上である場合、スペーサは、ハンドプレスの加圧と擦りを維持するのに十分に強く、そうでなければ、全てのISDに対して、偏差及び均一性の両方は低くかつ大きいことを示す。
【0960】
E−1.5 スペーサの充填因子による試料厚さへの影響
本発明者の実験によると(例えば
図22)、小さい試料厚さの偏差と良好な厚さ均一性を達成するために、所定のプレートの厚さ、試料に対して、スペーサの充填因子は約2.3以上であるべきである。
【0961】
例えば、
図22において達成した4%未満の偏差及び均一性は、所定の柱体面積及びIDS、及び所定のスペーサの領域充填率(例えば、総面積に対する柱状断面の比)に対して、PS柱体は、ハンドプレスの加圧及び擦りを支持するのに十分に強い。PS柱体の変形は、親指圧力が約1〜10kg/cm2(10^5Pa)であり、PSのヤング率が約3GPaであり、かつ幅20μmの柱状スペーサ充填率及び100μmのISDが約4%であることに基づいて推定され、それにより柱体の親指のプレスでの相対的な変形(圧力)は1%〜0.1%であり、これは本発明者の実験的観察と一致する。
【0962】
E−1.6 プレート厚さによる試料厚さへの影響
本発明者の実験によると(例えば
図23)、(i)小さい試料厚さの偏差(5%以下)と良好な厚さ均一性を達成するために、所定のプレートの厚さ、試料に対して、少なくとも1つのプレートは、200μm未満のプレート厚さを有するべきであり、(ii)X−プレートと基板がいずれも200μmよりも厚いと、それらは硬すぎ、塵埃を克服できず、より低いスペーサの均一性/偏差をもたらす。
【0963】
E−1.7 基板プレートによる試料厚さへの影響
本発明者の実験によると(例えば、
図25)、厚い(1mm)ガラス基板プレートを使用すると、小さい試料厚さの偏差と良好な厚さ均一性の最大のIDSは、PMMA基板に対して150μmから200μmに拡張することができることが見出された。
【0964】
E−1.8 プレートの表面湿潤特性の修正による自己保持への影響
本発明者の実験によると(例えば
図24)、以下が見出された:(1)CROF装置の良好な自己保持は、CROF装置の2つの内表面の少なくとも1つが親水性であることを必要とする。(2)CROF装置の両方の内表面がいずれも親水性であると、それは最も良い自己保持と試料厚さの調節及び均一性を提供する。(3)CROF装置の一方の内表面が親水性でかつ他方の内表面が疎水性であると、良好な自己保持を得るために、試料面積は0.5cm2より大きい必要がある。(4)両方の内表面がいずれも疎水性であると、自己保持は不十分又は不合格(不安定)である。(図中の線は視線誘導のためのものである。)。
【0965】
E−1.9 ハンドプレス時間による試料厚さへの影響
本発明者らの実験は、CROF装置が1秒〜60秒のプレス時間で自己保持でき、かつ同様の良好な性能を有することを見出した。プレスされない(0秒プレスする)場合、CROF装置は、性能が低く、かつ自己保持することができない。
【0966】
E−1.10. 周期柱状スペーサ及びランダムボールスペーサの試料厚さに与える影響の比較
図27の計測結果は、所与の実験条件で、周期柱状スペーサを有するCROF装置がランダムボール(例えばビーズ)スペーサよりもはるかに小さい試料厚さ偏差とより高い均一性(両方とも5%未満)を有することを示す。具体的には、20μm、50μm及び100μmISDについて、周期的で、均一断面の柱状スペーサの平均厚さ偏差及び均一性は2.3%及び約3.4%である。しかし、平均ISDが20μm、50μm、100μmのランダムボールスペーサを用いた場合、厚さが220μmのガラスカバープレートを用いる平均厚さ偏差及び均一性は11.2%及び12.5%であり、厚さが175μmのPMMAカバープレートを用いる試料厚さ偏差及び均一性は10.8%及び20%であり、約5倍以上の試料厚さ偏差及びより低い均一性を有する。
【0967】
E1.12.他の発見
図28は、異なるX−プレート厚さ及び基板厚さの、試料厚さへの影響を示す。
【0968】
本発明者らの実験は、指から直接的にピペットによって落とされた液体が最終的な試料厚さ及び均一性において同様の性能を有することを見出した。
【0969】
本発明者らの実験は、基材又はX−プレートに滴下された液体が、測定された試料厚さ及び均一性において同様の性能を有することも見出した。
【0970】
32.2 自己保持型CROFを用いた未希釈全血の完全血球数
E2.1 使用されるCROF装置
実施例32.2のすべての試験で用いられるCROF装置は、X−プレート及び平坦なガラスプレートを含む。X−プレートは、面積が2.5cm×2.5cmで厚さが175μmのPMMAであり、かつ試料接触区域において周期的スペーサアレイを有する。ガラスプレートは、厚さが1mmで面積が3cm×5cmの平坦な表面である。X−プレート上のスペーサは、初期平坦なPMMA膜に直接的にエンボス加工され、これによりPMMA(X−プレートと同じ材料)で製造され、かつX−プレートと接触する。
【0971】
各スペーサは、ほぼ均一な横断面、平坦な頂部、及びx及びy横方向におけるそれぞれ幅が40um及び30umの長方形を有する柱である。所与のX−プレート上のすべてのスペーサは同じスペーサの高さを有する。周期的スペーサアレイは、一定周期が120μm及び110μm(それぞれx及びy)の長方形格子を有し、所与の一定スペーサ間隔(IDS)が80μmである。
【0972】
X−プレートとガラスプレートの表面は、未処理であり、かつ接触角が約40〜50度の表面に滴下したヒトの血液に対しては親水性である。両方のプレートは、可視光透明である。
【0973】
E2.2 試料、製造、付着、CROFプロセス、自己保持
特に断らない限り、全ての血液試料は、健康な対象に由来し、新鮮であり、かつCROFプレートに直接付着させ、希釈せず、抗凝固剤は添加しなかった。
【0974】
実施例3の全ての実験において、特に断らない限り、血液がヒトの指から採取され、血液とプレートとの直接接触により血液がCROFプレートに付着させた。通常、直接的な接触は、プレートの表面に約0.1〜1μLの血液を付着させる。血液付着から約60秒内に、CROFプロセスを適用して血液試料を薄膜に圧縮させ、次に測定を実施した。特に断らない限り、抗凝固剤も液体希釈剤も血液試料に添加されなかった。
【0975】
WBCの染色を必要とする特定の実験において、血液検査の前に、CROF装置のプレートの1つの内面(試料接触表面)に試薬、すなわち乾燥アクリジンオレンジ色素層を予め塗布した。乾燥色素層の塗布は、順に、以下のステップを含む:(a)水中、濃度が20μg/mLであるアクリジンオレンジ色素、30μLをガラスプレートに滴下し、(b)それを約1cm
2の領域に広げ、(c)約1時間乾燥させる。
【0976】
CROFプレートの1つに約1μL以下の体積の血液を付着させる方法にかかわらず、プレートに付着させた血液は、数ミリメートル以下の直径の血溜りを形成した。次に、CROF装置の2枚のプレートを手で閉鎖構成状態にし、数秒間手でプレスして、元の血液体を2つのプレートによって大面積の薄い血液膜(横方向寸法が約1〜3cmである)に圧縮した。本発明者らは、実施例3の全てにおいて、特に断らない限り、手でプレスされたCROF装置は、スペーサによって調節された均一な試料厚さを有し、手を放した後に均一な試料厚さを自己保持することができた。試料は、通常の室内条件で付着させた。本発明者らは、大きな試料面積上に所定の最終的な試料厚さを達成することに塵埃が影響しないことを見出した。本発明者らはまた、最終的な血液試料が、丸い角を有する矩形形状に広がっていることも見出した。これは、周期的スペーサの矩形格子によって引き起こされるからだと考えている。このステップを
図15に示す。
【0977】
プレートに乾燥色素を用いた試料については、試料は、測定前に30秒間待機した。
【0978】
プレートに直接付着した血液試料は、液体で希釈されず(すなわち、液体希釈がない)、プレートに塗布された乾燥試薬のみと混合されていた。
【0979】
全てのスペーサは、同じスペーサ高さが2μmの矩形形状を有する。
【0980】
2μmのスペーサの高さは、赤血球(RBC)の厚さ(2〜2.5μm)にほぼ等しいCROF装置の閉鎖構成の最終的な血液試料の間隔を約2μmにするように選択されるが、RBCの直径(6.2〜8.2μm)よりはるかに小さい。このような最終的な試料厚さは、CROFの閉鎖構成において、各RBCが互いに良好に分離され、異なるRBCの間の重複又は積み重なりがなく、試料領域の画像を撮ることによるRBCの正確な計数を可能にする。
【0981】
E2.3 血液細胞の画像化
特に断らない限り、閉鎖構成における2つのCROFプレートの間の試料を用い、かつ商用のDSLRカメラ(Nikon)及びiPhoneをそれぞれ用いて、実施例3の血液試料の画像化を行った。各タイプのカメラの結果は類似する。特に断らない限り、画像は、透明であるプレートの1つを通る試料の上面図である(すなわち、プレートの表面に平行な平面上の試料の2次元画像)。
【0982】
Nikonカメラ 試料は、2つのフィルタ(励起フィルタとしての470±20nmのバンドパスフィルタ及び放射フィルタとしての500nmのロングパスフィルタ)と、1つの光源(キセノンランプ)と、ある倍率/焦点レンズセットとを有する通常の商用DSLRカメラ(Nikon)によって観察される。明視野モードでは、いずれのフィルタも用いない広帯域白色光源である。蛍光モードでは、470±20nmのフィルタをキセノンランプの前に置き、470nmの波長の狭い帯域の励起源を作り出し、カメラに入る500nm未満の波長の光を遮断するために、500nmのロングパスフィルタをカメラの前に置いた。
【0983】
携帯電話 本発明者らの実験にはiPhone−6を用いた。
【0984】
E2.4 スペーサの高さ(試料厚さ)の血液細胞及び赤血球計数への影響
本発明者らの実験において、試料厚さがスペーサの高さと同じになるように制御した。本発明者らは、CROFプロセスにおいてスペーサの高さ(従って試料厚さ)が血液細胞に及ぼす影響、ならびにそれらの画像化及び計数に及ぼす影響を実験的に調べた。用いたCROF装置及びプロセスならびに血液付着は、実施例2のこのセクションの始めに記載されたものである。血液試料は、同じ健康な対象由来であった。本発明者らの実験の1つにおいて、4つの異なるスペーサの高さ(1μm、2μm、3μm及び5μm)を試験した。
【0985】
図29は、4つの異なるCROF装置内でCROFが行われた血液試料の光学顕微鏡図(明視野光学顕微鏡)の上面図を示し、各CROF装置が周期的スペーサの矩形格子と、1μm(a)、2μm(b)、3μm(c)及び5μm(d)の異なる一定のスペーサ高さを有する。血液試料を、対象の指によってCROF装置のプレートに直接付着させ、抗凝固剤も液体希釈剤も血液に添加されなかった。
【0986】
明視野光学顕微鏡において、RBC細胞はWBCよりはるかに容易に見える。赤血球(erythrocyte)とも呼ばれる赤血球(RBC)は、約6.2〜8.2μmのディスク直径及び2〜2.5μmの最も厚い点の(ディスクの縁の付近)、及び0.8〜1μmの中心箇所の最小の厚さを有する。
【0987】
本発明者らの光学顕微鏡による観察は、1μmのスペーサの高さに対して、約99%のRBCが溶解されることを示した。例えば、
図29(a)は、RBCのみが観察領域に残ったことを示している。1μmのスペーサの高さは、平均RBC厚さよりも著しく小さい。該実験は、最終的なプレートスペーサ(スペーサの高さの制御による)を細胞の最小寸法より小さくすることによって、細胞を溶解するためにCROF装置及びプロセスを用いることができることを実証した。
【0988】
本発明者らの光学顕微鏡による観察(例えば、
図29)は、2μmのスペーサの高さ(試料厚さ)について、RBCが全て互いに分離し、それらの間に実質的に重なりがなく、かつほぼ丸く対称な形状を有することを示した。各RBC間の距離は、2D顕微鏡画像内の各RBCの完全な円形の暗い境界線によって明確に示される(すなわち、境界線はそれぞれの(かつ1つだけの)細胞の周囲を完全に回っている)。さらに、顕微鏡による観察は、RBCの中心が細胞の中心において縁部の中心よりも暗いことを示し、スペーサの2μmの高さ(試料厚さ)で、RBCの中心が依然として縁部より薄いことを示した。
【0989】
本発明者らの光学顕微鏡による観察(例えば、
図29)は、スペーサの高さ(従って試料厚さ)が3μmである場合、血液試料の画像が2μmのスペーサの高さとはいくつかの点で大きく異なっていたが、これらに限られず、(1)RBCは顕著に重なり、大部分のRBCが2μmスペーサの高さに存在するように各細胞を隔てる完全な円形の暗い境界線を有さず、むしろいくつかのRBCは長い円形ではない単一の暗い境界線を共有し、(2)いくつかのRBCは、2μmのスペーサの高さにおいてほぼ丸い形状で現れ、より楕円形状で現れず、2μmのスペーサ高さで透明である各RBCの中心のダークディスクは見えにくくなる。スペーサの高さが5μmになると、RBCはより多くの重なりを有し、より多くの赤血球は非円形の形状を有し、ほとんど見えない暗い中心を有した(例えば、
図29)。
【0990】
空間で限定されない血液において、RBCが互いに重なり合いやすいことがよく知られている(例えば、積み重なりを含む)。スペーサの高さ及びプレートを用いて間隔が2μmの2つの平面プレートの間の血液試料を限定することによって、血液の厚さは、RBC(これは2〜2.5μm)の最も厚い点にほぼ等しく、従って、プレート表面上の所与の位置において、限定により、一つのRBCのみが2つのプレートの間を出て、かつプレート表面に平行なディスクを向けるようにRBCを配向させ、トップビュー光学顕微鏡法を用いて観察した場合、RBC間の良好な分離である完全円形の暗い境界線とほぼ丸い形状がもたらされる。
【0991】
スペーサの高さ及びこれによる試料厚さが3μm及び5μmのスペーサの高さのように大きくなると、試料厚さは、プレートの位置において2つのプレート間に2つ以上のRBCを許容し、RBC重複及び各RBCの明確な境界の消失をもたらし、RBCを2つのプレートの間で回転させ、プレートの表面位置に平行なディスクから回転させ、RBCの上面図の画像が非円形の形状を呈することをもたらす。
【0992】
(例えば、RBC濃度測定に用いられる)RBCの数を計数するために、試料厚さを2μm(例えば、2μmのスペーサの高さを用いる)にすることは、試料厚さ3μm及び5μmの試料厚さよりも容易かつ正確であることが実験的に明確に示された。
【0993】
スペーサの高さ(従って、2つのプレートの間の距離と血液試料厚さ)を約2μmにして、赤血球(RBC)の厚さ(2〜2.5μm)にほぼ等しいが、RBC(6.2〜8.2μm)の直径よりも小さくすると、より大きな試料の厚さの場合よりも血球計数ははるかに容易で正確である。
【0994】
最終的な試料厚さが、2〜2.5μm、又は好ましくは1.9μm〜2.2μmである場合、CROFが閉鎖構成では、各RBCが互いに良好に分離され、異なるRBCの間の重複又は積み重なりがなくなり、試料領域の画像を撮ることによるRBCの正確な計数が可能になる。
【0995】
他方では、本発明者らは、1μmのスペーサ高さのCROF装置で、RBCの大部分が溶解されたが、WBC又は血小板が溶解されなかったことを観察した。本発明者らの実験において、CROFの上部(すなわち、CROFプレートは、顕微鏡又はカメラの画像化平面にほぼ平行である)からの光学画像化は、(a)領域内の細胞の数及び(b)その領域の横方向の寸法を決定する。CROF装置の横方向の寸法は、事前較正によって決定することができる。又は、スペーサの横方向の寸法をマーカーとして用いて、画像化を行っている間に、CROF装置の領域の横方向の寸法を決定することができる。本発明者らの実験においては、両方を用いた。
【0996】
実施例2の実験において、所与のCROFプレートについて、2つのCROFプレートの間の距離(従って、血液試料厚さ)は、スペーサの高さと5%以内で同じであった。この試料厚さ情報を、光学的画像化から決定された所与の領域の横方向寸法とともに用いると、所与の領域に関連する試料体積が決定され、これは試料の横方向の面積×試料厚さに等しい。試料体積と体積内の細胞数(画像化によって決定される)を知ることによって、本発明者らは、その試料体積内の細胞の濃度を決定することができた。
【0997】
図29bは、さらに(b)赤血球面積(2D上面図から測定)とCROFプレートの横方向総面積との比を示す。プレート間隔(すなわち、サンプルの厚さ)が2μmである場合にそれは最も大きい。その原因は、2μm未満の場合にはいくつかのRBCが溶解し、2μmより大きい場合にはRBCが重なりかつ回転することにって2D画像でのRBC面積が小さくなるからである。
【0998】
以下の実験からの1つの結論は、血球計数(RBC及びWBC)のCROF装置の最適化された間隔の寸法は、1.9μm〜2.2μm、又は2μm〜2.2μm、又は2μm〜2.1μmであるということである。
【0999】
別の、本発明者らが見出したことは、2つのプレートの間に1μmの間隔を有するCROF装置は、大部分の赤血球を溶解するが、WBCを溶解しないことである:CROF装置
本発明者らは、CROF装置のギャップ間隔がRBCの厚さ(例えば、1μmのプレート間の距離)よりはるかに小さい場合、RBCが溶解されることを見出した。WBCはより弾力性があり、それらの大部分が溶解されない可能性があることが依然として観察される。
【1000】
E3.5 RBC(赤血球)計数
1つの実施形態において、RBCは、フィルタなしで、明視野モードで計数された。4倍、10倍、20倍、又は40倍の倍率で写真を撮影した。各倍率のX−プレートのギャップ間隔(t)と視野(A)は既知である(スペーサ及びそれらの周期はスケールマーカー(すなわち定規)として用いられた)ので、血液試料中のRBC濃度が計算される。例えば、1つの視野内のN RBCの計数について、血液におけるRBC濃度(C)はC=N/t/Aである。この計算方法はWBC、PLT濃度計測にも同様に適用される。
【1001】
E2.6.WBC及び血小板計数
白血球細胞(leucocyte)又は白血球(leucocyte)と呼ばれる、各白血球細胞(WBC)もまた、典型的な約10〜15μmのディスク直径を有する。典型的な血小板(PLT)は1〜2μmの典型的な寸法を有する。WBC及びPLTは、それ自体で目に見える色素を有していないので、通常の顕微鏡検査ではRBCよりも観察されにくい。1つの実施形態において、WBC及びPTLを計数する際により目立たせるために、アクリジンオレンジ(AO)色素でWBC及びPTLを染色する。
【1002】
アクリジンオレンジは、核酸に対する天然の親和性を有する安定な色素である。DNAに結合すると、AOは単量体としてDNAとインターカレートされ、青色励起で強い緑色蛍光(WBCに対する470nm励起、525nm緑色発光)を生じる。RNA及びタンパク質に結合すると、アクリジンオレンジは、青色励起で赤色蛍光(WBC、PLTに対する470nm励起、685nm赤色発光)を生じるポリマー形態の静電複合体を形成する。RBCは核酸を有さず、従って染色することができない。WBCは、核を有し、DNA及びRNAの両方を有し、従って強く染色される。PLTは、微量のRNAを有し、従って弱く染色される。
図33を参照されたい。
【1003】
WBCは、470±20nmの励起フィルタの蛍光モードで計数され、かつ発光フィルタは、500nmのロングパスフィルタであり、撮影する場合に4x、10x、20x又は40xの拡大倍率を選択した。これらの実施形態を用いて、WBC及びPLTを適切に計数した。
【1004】
E2.7 異なるWBCの計測
WBCは、好中球、好酸球、好塩基球、リンパ球及び単球の5つの主なサブクラスに分類でき、又は時には、顆粒球、リンパ球及び単球の3つの主なクラスに分類することができる。ウイルス、バクテリア、若しくは真菌による異なる感染、又はアレルギーが、特定のWBCサブクラス濃度の濃度を変化させる可能性があるため、対象の血液中の各クラスの濃度は、臨床的意義を有する可能性がある。
【1005】
WBCは、有核赤血球及び血小板からそれらを区別する有核である。さらに、WBCの異なるサブクラスは、DNAとRNA及びタンパク質との異なる比を有するため、適切な色素を用いてそれらを区別することによってDNA及びRNAを別々に染色することができる。
【1006】
例えば、AO色素は単量体としてDNAとインターカレートされ、青色励起で強い緑色蛍光(WBCに対する470nm励起、525nm緑色発光)を生じる。RNA及びタンパク質に結合すると、アクリジンオレンジは、青色励起で赤色蛍光(WBC、PLTに対する470nm励起、685nm赤色発光)を生じるポリマー形態の静電複合体を形成する。従って、異なるWBCは、AOで染色された後に、異なるR/G色彩比(緑色発光及び赤色発光)を有する。
【1007】
AO色素は、顆粒球(好中球、好酸球、好塩基球を含む)、リンパ球、単球の3つのWBCを区別することができる。さらに、本発明者らは、RGBフィルタセットに内蔵されたカメラ(又はiPphone)を直接的に用いて、1つの写真からGチャンネルとRチャンネルの緑色と赤色発光を区別することができる。従って、本発明者らは、2つの別個のフィルタセット(525nm及び685nmバンドパスフィルタ)を用いる必要がある。
【1008】
図34に示すように、合計で594個の白血球が計数され、プロットされている。本発明者らは、3つの主な白血球亜集団に対応する3つの異なる領域(眼のためのガイドとして提供される陰影領域)に細胞がクラスター化することを明確に見ることができる。各亜集団の百分率は表に示されており、正常なヒトの血液値とよく一致している。
【1009】
E2.8. ヘマトクリット値の計測
血中血球容積(PCV)又は赤血球容積率(EVF)とも呼ばれるヘマトクリット値(Ht又はHCT)は、血液における赤細胞の体積百分率(%)である。X−CBC設定において、本発明者らは、基板とX−PlateによってすべてのRBCをしっかりとパックする2μmのギャップ間隔を用いる。従って、この場合のHCTは、総血液量に対するRBC体積に等しい。
【1010】
E2.10. 乾燥AO色素によるWBC染色速度
30秒、10分、30分、90分後に、WBCを乾燥AO色素で染色した。プレート表面上の乾燥AO色素を用いたCROFプロセスにおいて、AO色素は、WBCを1分未満で完全に染色することができ、長時間経過しても他の領域には影響を及ぼさない。また、結合AOは、非結合色素よりも強い蛍光を発するので、洗浄工程が必要ではなかった。
【1011】
E2.11. WBCを染色する他の非蛍光色素
WBCを染色する非蛍光色素は、WBC計数ステップを簡略化することができる。クリスタルバイオレット又はゲンチアナバイオレット(メチルバイオレット10B又はヘキサメチルパラクロロアニリンクロライドとしても呼ばれる)は、WBCの核を染色するために用いることができるトリアリールメタン色素である。AO色素と同様に、水中、1mg/mLであるアクリジンオレンジ色素30μLをガラススライド上の1cm
2の面積で1時間乾燥させた。次に、X−CBC実験プロセスを繰り返す。WBCは紫色に染色される。この方法の1つの欠点は、WBC亜集団を区別することが難しいことである。
【1012】
E2.12. CROPによる抗凝固剤が不要な血液試験
本発明の1つの利点は、実験的に観察されるように、計数を支援するために抗凝固剤を用いる必要がないことである。本発明者らの実験において、CROF装置において間隔が2μm、3μm及び10μmで、血液面積が1cm×1cmのX−プレート上の血液試料を試験した。0分から80分までの期間において、10分ごとに、中心から縁部までの5つの典型的な点での試料の写真を撮影した。検査したすべての試料は、抗凝固剤を含まない。所与の実験条件で、観察期間において閉鎖構成で血液試料が凝集しなかったことが観察された。これは、(1)約2μm間隔(閉鎖構成での試料厚さ)を有するCROFが血液細胞を互いに分離し、(2)CROFプレートが血液細胞の大部分を酸素から保護するためである。
【1013】
E2.13 CROF及びiPhoneを使用する血球計数における更なる実験
他の実験において、本発明者は、個人がその個人自身によりスマートフォンを用いて1滴未満の血液(<1μL)で20秒内に血球計数を行うことを可能にする技術及び小型使いやすい装置を試験しかつ検証する。人が行う必要があるのは、刺された指からの微量(任意の未知量)の血液をカードと接触させ、カードを閉じてスマートフォンで撮影することである。
【1014】
本発明の一態様は、1細胞のみの赤血球の厚さ(約2um)であり、かつ2つのプレートの間に閉じ込められた均一な血液層に、血液滴を正確に再形成することにより、血球計数における前例のない利点を提供する観察である。利点は、(i)抗凝固剤が添加されない新鮮な未希釈の全血であるため、血球は互いによく分離され、凝固せず、撮像によって容易に認識することができること、並びに(ii)試料は、蒸発(試験領域において)がほぼゼロであり、長期間にわたって血球濃度を一定に保持することを含む。本発明者が開発した第2の重要な技術は、CROFカード(手で操作された折り畳み可能、使い捨て、切手サイズ(幅が1インチで、紙のように薄い)のプラスチックフィルム)を使用して、血液再形成を実行し、再形成された血液試料の厚さ(これにより体積)を計測し、予め塗布した乾燥試薬を血液に(必要に応じて)混合する(すべての機能を1回で5秒内に完了する)、「圧縮調節開放流」(CROF)と呼ばれるものである。ここで報告された最近の2つの技術は、スマートフォン撮像用の小型マッチボックスサイズの光学アダプタ、及びスマートフォンを制御して画像を分析するためのソフトウェアである。スマートフォンによる方法(「CROFと撮像を使用する血球計数」又はBCI)を、標準市販機械、市販の手動血球計及び顕微鏡撮像(スマートフォンの代わりに)と比較して検証する。2タイプ(対象に貯蔵された新鮮な)の血液を使用する42以上の試験を各方法について行い、赤血球(RBC)、白血球(WBC)、血小板、3つのWBC差分、ヘマトクリット値(HCT)及び平均赤血球体積(MCV)を計測する。検証によると、スマートフォンによるBCIは、市販の手動血球計(さらに改善することができる)と同じ精度又はそれ以上の精度を有し、かつ市販の機器と同じ日常の安定性を有する。明らかに、BCI技術は、細胞イメージング、免疫学的アッセイ、核酸アッセイ、個人健康モニタリング及び他の生化学的検出において、広くかつ重要な応用を有する。
【1015】
BCI装置は、使い捨ての切手サイズのプラスチック製CROFカード(1インチ×1インチの面積、紙のように薄い)、スマートフォン、及びマッチボックスサイズの光学アダプタ(1.5×1.5×0.7インチ(L×W×H))の3つのハードウェアコンポーネントと、スマートフォンを制御し、ユーザインタフェースを作成し、血球を分析するソフトウェアとを含む。それらのすべて(スマートフォンを除く)は、発明者によって設計されかつ開発される。レンズ、ミラー、及びフィルタを含む光学アダプタ(「アダプタ」)は、スマートフォンに取り付けられ、スマートフォンのフラッシュライト及びカメラをそれぞれ光源及び試験用撮像装置とする。光学アダプタはさらに、CROFカードをカメラ正面の適切な位置にスライドさせるためのスロット(
図30)を有する。本発明者の現在の試験において、iPhone−6を使用する。
【1016】
BCIを使用した血液試験(
図30)では、まず1人が指を刺した後、カードに触れて少量(任意の未知の体積)の血液(例えば1滴未満(<1μL))を指からCROFカードに直接付着させ、カードを閉じ、カードを光学アダプタに挿入し、最後にスマートフォンを使用して該カードを撮影する。ソフトウェアは、撮影された写真を分析し、かつ血球数及び他のパラメータを与える。
【1017】
CROFカードへの血液の付着から血球数の表示までの合計時間は、スマートフォン上の結果が約12〜19秒であり、CROFカードに血液を付着させるために1〜2秒で、カードを閉じるために3〜5秒で、カードをアダプタに挿入するために約2〜4秒で、画像を撮像するために約3〜5秒で、及び分析を終了して血球数の結果を表示するために3秒である。
【1018】
BCIの重要な革新は、本発明者が開発したCROFカード技術[Ref]である。CROFカードは、2枚の薄いプラスチックを含み、それぞれ面積が約1インチ×1インチであり、1枚の紙の厚さであり、1つのエッジで別のプラスチックとヒンジ結合される(ヒンジ結合は必要ではないが、便利であることに留意されたい)(
図30)。CROFカードは、血液試料の処理時に、(i)CROFの2つのプレートによって閉じ込められた重要な領域(約500mm
2)で、付着させた形状(例えば、直径2mm、高さ0.4mmの水たまり)から血液試料を厚さが2μm(元の厚さの約1/200)の均一なフィルムに迅速に(例えば1秒)広げる機能と、(ii)2μmの厚さに達すると、試料の厚さの更なる減少を停止する機能と、(iii)手がプレスから解放されても、均一な2umの厚さを保持する(すなわち、血液とプレートとの間の毛細管力に起因する自己保持)機能と、(iv)このような薄い厚さで、試料の蒸発を防止する(すなわち、2つのプレートによって閉じ込められることにより、蒸発は血液膜の縁部のみで発生し、かつ試料の試験領域において長時間にわたって蒸発がゼロである)機能という重要な機能を提供する。実験的に、光学干渉(すなわち、CROFカードの2つの内表面からのファブリ・ペロー効果)を使用して、本発明者は、Essenlix会社のCROFカードが少なくとも20mm×20mmの面積内に、5%の均一性(すなわち、100nm)で2μmの均一な厚さを保持することができることを見出した。
【1019】
従来の方法に比べて、CROFカードは、血球計数に重要でかつ前例のない利点をいくつか提供する。最も顕著な利点は、本発明者の観察した結果、血液滴が1細胞のみの赤血球(約2um)の厚さに再形成され、かつ2つのプレートの間の均一な血液層に閉じ込められる時に、(i)抗凝固剤が添加されない新鮮な未希釈の全血中の血球は互いによく分離され、凝固せず、血球の動きがはるかに少なく、かつ撮像により容易に認識することができること、並びに(ii)試料は、試験領域において蒸発がほぼゼロであり、これにより長期間にわたって血球濃度を一定に保持することを含む。
【1020】
CROFカードの第2の重要な利点は、(試料厚さが決定されるので)血液試料の体積の「自動」計測である。第3の重要な利点は、血液試料の最小量を使用することである(流体の入口又は出口、又は任意の試料転送チャネル及び/又は装置がないため)。他の利点は、(i)数秒でCROFカードの表面上の乾燥試薬と試料を混合することができ、(ii)簡単かつ迅速であり、手で操作され、(iii)便利でコストが低いことである。
【1021】
2つのプレートの間に閉じ込められた血液試料を撮像することによる血球計数の方法は、150年以上の歴史を持ち、かつ市販の手動血球計の基礎であるが、私たちの知る限りでは、誰も1細胞の赤血球の厚さのような均一な厚さのプレートに閉じ込められた血液層を使用して、血球計数を行ったことはなく、かつ誰も1細胞の赤血球の厚さ又はその付近にある均一な閉じ込められた血液試料で血球挙動を試験したことはない。従来の撮像に基づく方法においては、血液試料の閉じ込め間隔は赤血球の厚さより大きいため、赤血球の重なり(これによるミスカウント)を回避するために、血液試料を希釈する(常に抗凝固剤を使用する)必要がある。
【1022】
本発明者の研究において、2つのプレートの間に閉じ込められ、かつ1細胞の赤血球の厚さ又はそれより僅かに大きい又は小さい厚さの均一な試料厚さを有する全血試料中の血球の興味深い挙動を観察する。CROFカードの閉じ込めギャップ(すなわち、試料厚さ)に応じて、血球の挙動は大幅に異なる。
【1023】
まず、刺された指からCROFカードへ移した、抗凝固剤が添加されない新鮮な未希釈の全血を観察する(
図31.a)。2umの閉じ込めギャップについて、光学顕微鏡画像によると、全ての血液細胞(RBC、WBC、PLT)は、試料の平面内で互いに分離され(すなわち、重なることはない)、かつ各RBCは、陰影のある中心を有する各細胞を取り囲む明確な境界を有し、かつ各境界は他のRBCの境界と交差しない。さらに、撮像の間に、細胞運動はほとんど観察されなかった。このような挙動の1つの説明は、2umの閉じ込めギャップが赤血球の平均厚さより僅かに小さく、各RBCは、閉じ込めプレートによって僅かに挟まれ、他の細胞が重なる空間を残さないため、移動することができないことである。明らかに、2umのギャップにおける細胞の挙動は、撮像による細胞計数に最適な条件を与える。
【1024】
しかしながら、2.2umのギャップの場合、いくつかのRBCは、他のRBCと重なり始めるが、血小板が重なることは観察されない。考えられる理由は、血小板がPLTと重なるために十分な空間がないことである。2.6um及び3umのギャップにおいては、より多くのRBCが重なり、3つのRBCの重なりが目に見えるようになり、かつ血小板がRBCと重なる。これらの重なりは、ギャップとともに増加する。これらの撮像による血球計数は、2.2um、2.6um及び3umのギャップの場合で可能であるが、ギャップの増加とともに精度が低下する。5um及び10umのギャップの場合、大量の細胞が重なり(例えば、凝固)、RBCの重なりが見え、かつ多くのRBCは、撮像面に対するRBCの回転(大きいギャップが回転を可能にする)による狭い楕円形を有する。明らかに、これらのギャップで血球を正確に計数することは、不可能ではないにしても、非常に困難である。
【1025】
貯蔵された抗凝固剤含有の未希釈の全血(商業サービス(Bioreclamation会社)によって収集された対象物)を観察すると、本発明者の研究(
図31.b)によると、抗凝固剤が添加されない新鮮な未希釈の血液に比べて、それはCROFカードの閉じ込めギャップに異なる応答を有する。2umのギャップの場合、貯蔵された血液中での血球挙動は、抗凝固剤が添加されない新鮮な血液と同様である。しかしながら、より大きいギャップの場合、貯蔵された抗凝固剤含有の血液は、抗凝固剤が添加されない新鮮な血液と異なる2D画像挙動を有する。抗凝固剤含有の2umの閉じ込めギャップの場合、RBCは凝固しないが、(a)互いの頂部に重なり、(b)2D平面画像で狭い楕円形に回転し、これらはいずれも細胞計数精度を大幅に低下させる。
【1026】
ここで示されたスマートフォンBCIによる血球計数において、CROFカードの閉じ込めギャップ(これにより試料厚さ)を5%より高い精度で2umに予め設定する。試料の体積は、CROFカードによって予め設定された試料の厚さと、スマートフォンが撮影した関連領域の画像とによって決定される。血球濃度(RBC、WBC、PLT)は、スマートフォンで撮影した画像から関連領域で細胞を計数し、かつ関連体積で除算することにより決定される。RBCの平均赤血球体積(MCV)は、予め設定された2μmの試料厚さを使用して、2D平面画像の各RBCの面積及び各RBCに関連する平均全体積を計測することにより決定される。ヘマトクリット値は、MCVとRBC濃度の積から決定される。
【1027】
3つのWBC差分(顆粒球、リンパ球、単球)を計数するために、本発明者は、乾燥したアクリジンオレンジ(AO)色素層をCROFカードのうちの1つの表面に置くことにより、血液試料を染色した。AOが核酸を染色し、かつDNAとRNAを異なって染色するため、WBC及びPLTのみを染色し、かつ各細胞中のDNA及びRNAの数量及び割合に応じて異なって染色し、RBCを染色しない。染色の差異により、異なる蛍光波長(例えば、染色されたDNAに対して、525nmの緑色発光で、染色されたRNAに対して、685nmの赤色発光である)及び強度を取得して、3つのWBC差分のそれぞれとPLTを認識することが可能である。CROFカードを使用すると、小さい試料厚さ及びこれによる短い色素拡散時間のために、WBCは5秒内に予め塗布したAO色素層により染色されることを見出した。WBCの色素染色及びその蛍光提供に対して、明視野顕微鏡に加えて、WBCを計測する別の方法が、以下の検証で使用された。
【1028】
光学アダプタは、RBCの場合に0.84mm×0.63mm、WBCの場合に2.8mm×2.1mm、PLTの場合に半径0.2mmの円の有効視野を可能にする。現在、光学アダプタは、RBCとWBCを分離するためにスライダ内で移動する必要があり、約5秒の操作時間が追加される。次世代では、スライダを必要としない複合光学アダプタが開発されると考えられる。画像分析、ユーザインタフェース及びiPhoneコントロール用の全てのソフトウェアは、独自のコードを作成し、特定のオープンソースコードを使用して構築される。現在、本明細書で提示された全ての血球分析は、次世代では5秒未満になると考えられるPLT分析を除き、画像から血球計数まで2秒未満で、本発明者のソフトウェアによって完了された。
【1029】
スマートフォンBCIを検証するために、本発明者はそれを以下の4つの異なる参照方法(RM)と比較した。RM−1は、高解像度顕微鏡(ニコンジアフォト反転顕微鏡)と、iPhoneではないDSLRカメラ(Nikon D5100)と、光アダプタとを使用して現在のiPhone BCIと同じ読取領域でCROFカードを読み取る。CROFカードの読取領域が8mm周期を有する3×3アレイ(合計で9個の読取領域)に拡張し、16mm×16mmのCROFカードの領域に均一に分布されることを除いて、RM−2はRM−1と同じである。RM−3は、市販手動血球計(Sigma−Aldrichから購入され、Z359629)と、RM1及び2同じ顕微鏡及びカメラとを使用して撮像するが、撮像領域が3mm×3mmである。手動血球計は、2つのチャンバを有し、各計測領域が3mm×3mmであり、かつギャップが100μmである。PLTを計測するためには、100倍の血液希釈とRBCの溶解が必要である。RM−4は、市販PoC血球計(最大の血液試験装置企業の1社によって製造される)を使用し、それはフローサイトメトリーを使用し、かつ寸法は約1立方フィートで重量が約20ポンドで、コストは約20000ドルである。PoC装置は、少なくとも10μLの血液(10滴以上)、血液希釈液、3種類の液体試薬(溶解、希釈及び洗浄)、5分間の操作時間及び30分間の毎日較正を必要とする。比較により、個々の機能と、CROFカード、光学アダプタ及びスマートフォンによる撮像、及び血球計数においてそれらの性能に関連する顕微鏡による撮像の組み合わせ機能とを試験することを可能にする。
【1030】
検証には、(i)市販のベンダー(Boreclamation会社)から購入され、抗凝固剤(EDTA)と混合された貯蔵血液と、(ii)2人のボランティアの指から取られた新鮮な血液と(各試験において、指から取られた新鮮な血液を指から、(a)CROFカード試験用のCROFカードに、(b)市販のPoC及び手動血球計用のEDTA被覆チューブに直ちに直接付着させる)の2種類の血液を使用する。数日間にわたって、各方法に合計42の試料を試験した。
【1031】
異なる4日に合計24個の試料(3種、3種、3種及び15種の試料)を試験した。血液試料は最初の3日間は同じロットのものであるが、最終日は異なるロットのものであった。新鮮な血液試料において、異なる3日間に合計18の試料(6種、6種、及び6種の試料)を試験した。
【1032】
試験結果は、多くの重要な事実を示した。(1)所定の血液試料に対して、毎日の透視投影CV(変動係数、平均値に対する標準偏差の比)において、スマートフォンBCI(p−BCI)の血球数の日間平均値と4つの参照方法の全ては互いに一致する。
【1033】
(2)p−BCIとRM−1と比較によると、所定のCROFカード試料に対して、本発明者が開発した、iPhone及び光学アダプタを使用する血球計数は、高解像度顕微鏡及びDSLRカメラを使用する場合と同じ精度(CV)有する(例えば、RBCについていずれも約12%のCVを有する)ことが示された(
図32)。
【1034】
(3)RM−1とRM−2との比較によると、CROFカードのマルチフィールド撮像は、現在の単一フィールド撮像より高い精度を提供することが示された。RBCについて、CVは約12%から約6%に改善された。マルチフィールドの表示機能は、より高い精度のために、次世代のスマートフォンBCIに実装されると考えられる。
【1035】
(4)RM−2とRM−3との比較によると、(i)CROFカードは、使用しやすいだけでなく、血球計数において市販の手動血球計と同じか又はそれより良好な細胞計数精度を提供し、(ii)、(i)の事実とRM1とRM2の比較を考慮して、マルチフィールドのスマートフォンBCIは、血球計数において市販の手動血球計と同じ又はそれ以上の精度を有するべきであるという結論に至る。現在のCROFカードと手動血球計で同じであるが、変動は様々な理由から生じることをさらに指摘しておきたい。血球計については、この変動は希釈、溶解及び手動計数から生じるが、CROFカードについては、現在の変動(RBCに対して約7%)は主に試料厚さの変化(約5%)から生じ、それはさらに改善することができる。
【1036】
(5)スマートフォンBCIは、染色により3つのWBC差分をそれぞれ識別し、かつ緑色の蛍光強度と赤色の蛍光強度との比の関数として、各WBC細胞の強度の比を計測することができる。標準偏差は、他の血球計測の標準偏差と同様である。それは、白血球の各サブタイプが蛍光色の特殊比(それらのRNA(赤色蛍光)とDNA(緑色蛍光)の相対量に依存する)を有し、顆粒球が大量のRNA及び顆粒(従って赤色蛍光が高く緑色蛍光が低い)を有し、リンパ球が少量のRNA量及び大量のDNA(従って、赤色蛍光が低く緑色蛍光が高い)を有し、単球が顆粒球とリンパ球との間の赤色蛍光と緑色蛍光との比を有するためである。
【1037】
(6)統計的有意性の範囲内で、試験された全ての5種類の方法の日間(すなわち、毎日の)変動は本質的に同じであり、それはスマートBCIが試験を実施した複数日の期間にわたって、非常に安定していることを示す。
【1038】
最後に、(7)本発明者らの現在の光学撮像ハードウェア及びソフトウェアを使用した場合、撮像による血球計数は、市販のフローサイトメトリーPoC装置ほど正確ではない(例えば、RBCについて約7%対1%)。しかしながら、(i)現在の精度により、ここで実証されたp−BCIは、健康監視上の重要な価値と、遠隔地や発展途上国での臨床的価値を持ち、(ii)より良好な精度を得るために、p−BCIの精度をさらに向上させることができる、という2つの重要な事実を認識する必要がある。明らかに、BCI技術は、細胞イメージング、免疫学的アッセイ、核酸アッセイ、個人健康モニタリング及び他の生化学的検出において、広くかつ重要な応用を有する。
【1039】
本発明の特定の態様は、
2012年4月10日出願の米国仮出願第61/622,226号の利益を主張し、2011年5月20日出願の第US2011/037455号の§371出願であり、かつ2010年5月21日出願の米国仮出願第61/347,178号の利益を主張する2013年6月13日出願の米国出願第13/699,270号の一部継続出願である、2013年3月15日出願の米国出願第13/838,600号(NSNR−003)、
2010年5月21日出願の米国仮出願第61/347,178号の利益を主張し、2011年5月20日出願の国際出願シリアル第US2011/037455号の§371出願である、2013年6月13日出願の米国出願第13/699,270号(NSNR−001)、
2013年3月15日出願の米国仮出願第61/801,424号(NSNR−004PRV)、2013年3月15日出願の米国仮出願第61/801,096号(NSNR−005PRV)、2013年3月15日出願の米国仮出願第61/800,915号(NSNR−006PRV)、2013年3月15日出願の米国仮出願第61/793,092号(NSNR−008PRV)、2013年3月15日出願の米国仮出願第61/801,933号(NSNR−009PRV)、2013年3月15日出願の米国仮出願第61/794,317号(NSNR−010PRV)、2013年3月15日出願の米国仮出願第61/802,020号(NSNR−011PRV)及び2013年3月15日出願の米国仮出願第61/802,223号(NSNR−012PRV)
という文献に記載され、かつこれらの文献は様々な目的のために参照により組み込まれる。
【1040】
本発明の主題のさらなる例は、以下の列挙された段落で説明される。
【1041】
本明細書で使用されるように、用語「適応する」と「構成する」とは、部品、コンポーネント又は所定の機能を実行するために設計及び/又は意図される他の主題を指す。従って、用語「適応する」と「構成する」の使用は、所定の部品、コンポーネント又は所定の機能を実行「可能」な他の主題ではなく、部品、コンポーネント及び/又は他の主題は、機能を実行する目的のために選択され、作成され、実装され、利用され、プログラム及び/又は設計されることを指す。本開示の範囲内で、特定の機能の実行に適する部品、コンポーネント及び/又は他の主題は、その機能を実行するように構成されるものとして追加的又は代替的に説明され、逆でも同じである。同様に、特定の機能を実行するように構成されるものとして説明される主題は、その機能を実行するように動作可能なものとして追加的又は代替的に説明することができる。
【1042】
本明細書で使用されるように、本発明に係る1つ以上の部品、特徴、詳細、構造、実施例及び/又は方法を参照して使用される場合、語句「例えば」、語句「例として」及び/又は単に用語「例」及び「例示的」は、説明された部品、特徴、詳細、構造、実施例及び/又は方法は例示的なものであり、本発明に係る部品、特徴、詳細、構造、実施例及び/方法の限定的な例ではないことを伝えることを意図する。従って、記載された部品、特徴、詳細、構造、実施例及び/又は方法は、限定的、要求及び排他的/網羅的であることを意図するものではなく、構造的及び/又は機能的に類似及び/又は等価な部品、特徴、詳細、構造、実施例及び/又は方法を含む他の特徴、詳細、構造、実施例及び/又は方法は本開示の範囲内である。
【1043】
本明細書で使用されるように、1つ以上の実体リストを参照する時に使用される用語「少なくとも1つ」及び「1つ以上」とは、実体リストのうちの任意の1つ以上を指し、かつ実体リスト内に特に記載された各実体と各実体の少なくとも1つに限定されない。例えば、「AとBの少なくとも1つ」(又は同等に「A又はBの少なくとも1つ」又は同等に「A及び/又はBの少なくとも1つ」)は、Aのみ、Bのみ、AとBとの組み合わせであってもよい。
【1044】
本明細書で使用されるように、第1の実体と第2の実体の間に置かれる「及び/又は」との用語は、(1)第1の実体、(2)第2の実体、及び(3)第1の実体及び第2の実体のうちの1つを指す。「及び/又は」で列挙された複数の実体は、同じ方式で解釈されるべきであり、例えば、そのように結合された「1つ以上」の実体である、「及び/又は」用語によって具体的に特定された実体以外に、他の実体は、特定された実体に関連するか否かに関わらず、任意に存在してもよい。従って、非限定的な例として、「A及び/又は」は、「含む」等のオープンエンド言語と組み合わせて使用される場合、いくつかの実施例において(B以外の実体を任意に含む)Aのみを指し、特定の実施例において、(A以外の実体を任意に含む)Bのみを指し、更なる別の実施例において(他の実体を任意に含む)A及びBの両方を指すことができる。これらの実体は部品、動作、構造、ステップ、操作、値等であってもよい。
【1045】
任意の特許、特許出願又は他の参考文献が参照により本明細書に組み込まれ、かつ(1)矛盾方式で用語を定義し、及び/又は(2)他の方式で本開示の組み込まれていない部分又は他の組み込まれた参考文献のいずれかと矛盾する場合、本発明の組み込まれていない部分を制御し、かつその中の用語又は組み込まれた開示は、用語が定義される参照及び/又は組み込まれた開示が本来存在する参照に関してのみを制御するべきである。
【1046】
以下の特許請求の範囲は、開示された発明に向けられた新規かつ非自明な特定の組み合わせと部分的組み合わせを特に指摘すると考えられる。特徴、機能、要素及び/又は特性の他の組み合わせ又は部分的組み合わせに具体化された発明は、本発明の請求項の補正又は本願又は関連出願における新規の請求の提示によって要求されてもよい。そのような修正又は新しい請求項は、それらが異なる発明に向けられたものであっても、同じ発明に向けられたものであっても、異なり、より広く、より狭く、あるいは元の特許請求の範囲に等しいか否かに関わらず、本開示の発明の主題内に含まれるものとも見なされる。