特許第6703604号(P6703604)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6703604移動端末、その制御方法、プログラム及び記録媒体
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6703604
(24)【登録日】2020年5月12日
(45)【発行日】2020年6月3日
(54)【発明の名称】移動端末、その制御方法、プログラム及び記録媒体
(51)【国際特許分類】
   H04R 17/00 20060101AFI20200525BHJP
   H04M 1/60 20060101ALI20200525BHJP
   G10K 11/178 20060101ALI20200525BHJP
   H04R 1/00 20060101ALI20200525BHJP
【FI】
   H04R17/00
   H04M1/60 A
   G10K11/178
   H04R1/00 317
【請求項の数】12
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2018-529525(P2018-529525)
(86)(22)【出願日】2018年4月10日
(65)【公表番号】特表2020-506561(P2020-506561A)
(43)【公表日】2020年2月27日
(86)【国際出願番号】CN2018082532
(87)【国際公開番号】WO2019114162
(87)【国際公開日】20190620
【審査請求日】2018年6月7日
(31)【優先権主張番号】201711324367.9
(32)【優先日】2017年12月13日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】516180667
【氏名又は名称】北京小米移動軟件有限公司
【氏名又は名称原語表記】Beijing Xiaomi Mobile Software Co.,Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】向 迪▲イン▼
【審査官】 堀 洋介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−055571(JP,A)
【文献】 実開昭56−139199(JP,U)
【文献】 実開昭61−195698(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0150323(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 17/00
G10K 11/178
H04M 1/60
H04R 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、制御ユニットと、前記ハウジングの内部に設けられている圧電励振ユニットと、を備え、
前記圧電励振ユニットは、圧電効果を生じることができ、
前記圧電励振ユニットは、第1の励振源と、前記第1の励振源と所定の間隔を離隔し、前記第1の励振源を囲むように設けられた第2の励振源と、を備え、
前記制御ユニットは、
動端末が受話器モードになっている場合、前記第1の励振源が第1の振動駆動力を生成するように制御し、前記第2の励振源が第2の振動駆動力を生成するように制御し、前記第2の励振源が位置している箇所において、前記第1の振動駆動力により発生された第1の振動波の振動方向と前記第2の振動駆動力により発生された第2の振動波の振動方向とが逆になり、且つ、前記第2の振動波の振幅が前記第1の振動波の振幅以下になるように、構成され
前記第2の励振源は、間隔を置いて配列された複数の励振部材を備え、
前記複数の励振部材の配列軌跡は、前記第1の励振源の幾何中心を中心とする円形である
ことを特徴とする移動端末。
【請求項2】
前記制御ユニットは、さらに、
前記移動端末がスピーカーフォンモードになっている場合、前記第1の励振源が第3の振動駆動力を生成するように制御し、前記第2の励振源が第4の振動駆動力を生成するように制御し、前記第2の励振源が位置している箇所において、前記第3の振動駆動力により発生された第3の振動波の振動方向と前記第4の振動駆動力により発生された第4の振動波の振動方向とが同じになるように、構成される
ことを特徴とする請求項1に記載の移動端末。
【請求項3】
前記複数の励振部材は、いずれもストリップ構造であり、
前記励振部材のそれぞれの延在方向と前記円形とが共線である
ことを特徴とする請求項に記載の移動端末。
【請求項4】
前記第1の励振源は、円形又は矩形をなしている
ことを特徴とする請求項に記載の移動端末。
【請求項5】
前記ハウジングには、表示画面が設けられ、前記表示画面の前記ハウジングの内部に向かう側には、前記圧電励振ユニットが設けられ、或いは、
前記ハウジングには、中間フレームが設けられ、前記中間フレームには、前記圧電励振ユニットが設けられる
ことを特徴とする請求項1に記載の移動端末。
【請求項6】
前記移動端末は、さらに、第1の信号発生器と、第1の電圧増幅器と、第2の信号発生器と、第2の電圧増幅器と、を備え、
前記制御ユニット、前記第1の信号発生器、前記第1の電圧増幅器及び前記第1の励振源は、順次に接続され、
前記制御ユニット、前記第2の信号発生器、前記第2の電圧増幅器及び前記第2の励振源は、順次に接続される
ことを特徴とする請求項1に記載の移動端末。
【請求項7】
前記圧電励振ユニットは、圧電セラミックスから作製される
ことを特徴とする請求項1に記載の移動端末。
【請求項8】
移動端末の制御方法であって、
前記移動端末は、ハウジングと、ハウジングの内部に設けられた圧電励振ユニットと、を備え、前記圧電励振ユニットは、圧電効果を発生させることができ、前記圧電励振ユニットは、第1の励振源と、前記第1の励振源と所定の間隔を離隔し、前記第1の励振源を囲むように設けられた第2の励振源とを備え、前記移動端末の制御方法は、
前記移動端末が受話器モードになっている場合、前記第1の励振源が第1の振動駆動力を生成するように制御し、前記第2の励振源が第2の振動駆動力を生成するように制御し、前記第2の励振源が位置している箇所において、前記第1の振動駆動力により発生された第1の振動波の振動方向と前記第2の振動駆動力により発生された第2の振動波の振動方向とが逆になり、且つ、前記第2の振動波の振幅が前記第1の振動波の振幅以下になるようにするステップを、含み、
前記第2の励振源は、間隔を置いて配列された複数の励振部材を備え、
前記複数の励振部材の配列軌跡は、前記第1の励振源の幾何中心を中心とする円形である
ことを特徴とする移動端末の制御方法。
【請求項9】
前記移動端末がスピーカーフォンモードになっている場合、前記第1の励振源が第3の振動駆動力を生成するように制御し、前記第2の励振源が第4の振動駆動力を生成するように制御し、前記第2の励振源が位置している箇所において、前記第3の振動駆動力により発生された第3の振動波の振動方向と前記第4の振動駆動力により発生された第4の振動波の振動方向とが同じになるようにするステップを、さらに含む
ことを特徴とする請求項に記載の移動端末の制御方法。
【請求項10】
ハウジングと、ハウジングの内部に設けられた圧電励振ユニットとを備える移動端末であって、
前記圧電励振ユニットは、圧電効果を発生させることができ、
前記圧電励振ユニットは、第1の励振源と、前記第1の励振源と所定の間隔を離隔し、前記第1の励振源を囲むように設けられた第2の励振源と、を備え、
前記移動端末は、さらに、
プロセッサーと、
前記プロセッサーが実行可能な指令を記憶するメモリと、を備え、
前記プロセッサーは、
前記移動端末が受話器モードになっている場合、前記第1の励振源が第1の振動駆動力を生成するように制御し、前記第2の励振源が第2の振動駆動力を生成するように制御し、前記第2の励振源が位置している箇所において、前記第1の振動駆動力により発生された第1の振動波の振動方向と前記第2の振動駆動力により発生された第2の振動波の振動方向とが逆になり、且つ、前記第2の振動波の振幅が前記第1の振動波の振幅以下になるように、構成され
前記第2の励振源は、間隔を置いて配列された複数の励振部材を備え、
前記複数の励振部材の配列軌跡は、前記第1の励振源の幾何中心を中心とする円形である
ことを特徴とする移動端末。
【請求項11】
指令が記憶されている記録媒体であって、
前記指令が処理ユニットにより実行される時、処理ユニットが請求項又はに記載の移動端末の制御方法を実行するようにさせる
ことを特徴とする記録媒体。
【請求項12】
プロセッサーに実行されることにより、請求項又は請求項に記載の方法を実現することを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子技術の応用分野に関し、特に移動端末その制御方法、プログラム及び記録媒体に関する。
【0002】
本願は、出願番号がCN201711324367.9であり、出願日が2017年12月13日であって、発明の名称が「移動端末及びその制御方法、記録媒体」である中国特許出願に基づいて優先権を主張し、当該中国特許出願のすべての内容を本願に援用する。
【背景技術】
【0003】
現在、多くの移動端末の表示画面は、移動端末の画面占有率(即ち、移動端末の表示画面の面積が当該移動端末の正面の面積に占める割合)を高めるために、狭額縁設計、さらにフレームレス設計を用いている。
【0004】
伝統的な受話器の音声再生技術(即ち、受話器の振動によって音声を再生する技術)では、表示画面の上部に受話器を設置するための部分を保留する必要があるので、移動端末の画面占有率に影響を与えてしまう。このため、当該受話器の音声再生技術は、だんだん圧電駆動器技術とも呼ばれている表示画面の表示面積を占めない圧電型画面音声再生技術に代替されつつある。
【0005】
当該圧電型表示画面音声再生技術とは、圧電セラミックスにより電圧信号を機械的エネルギーに変換し、音声を再生させるように、圧電セラミックスに貼り付けられているユニット(例えば、表示画面や中間フレーム)を振動させることで、音声を耳に伝えることを指す。
【0006】
しかしながら、上述した圧電型画面音声再生技術では、圧電セラミックスにより音声を再生する時、圧電セラミックスに貼り付けられているユニットも広い範囲で振動しまうので、音漏れが発生するという問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、関連技術における音漏れ問題を改善できる移動端末その制御方法、プログラム及び記録媒体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の技術案は、以下のとおりである。
【0009】
本発明に係る第1の態様によれば、移動端末を提供する。前記移動端末は、ハウジングと、制御ユニットと、前記ハウジングの内部に設けられている圧電励振ユニットと、を備え、前記圧電励振ユニットは圧電効果を生じることができ、前記圧電励振ユニットは、第1の励振源と、前記第1の励振源を囲むように設けられている第2の励振源と、を備える。
【0010】
前記制御ユニットは、前記移動端末が受話器モードになっている場合、前記第1の励振源が第1の振動駆動力を生成するように制御し、前記第2の励振源が第2の振動駆動力を生成するように制御し、前記第2の励振源が位置している箇所において、前記第1の振動駆動力により発生された第1の振動波の振動方向と前記第2の振動駆動力により発生された第2の振動波の振動方向とが逆になり、且つ前記第2の振動波の振幅が前記第1の振動波の振幅以下になるように構成される。
【0011】
選択的に、前記制御ユニットは、さらに、前記移動端末がスピーカーフォンモードになっている場合、前記第1の励振源が第3の振動駆動力を生成するように制御し、前記第2の励振源が第4の振動駆動力を生成するように制御し、前記第2の励振源が位置している箇所において、前記第3の振動駆動力により発生された第3の振動波の振動方向と前記第4の振動駆動力により発生された第4の振動波の振動方向とが同じになるように構成される。
【0012】
選択的に、前記第2の励振源は、間隔を置いて配列された複数の励振部材を備え、前記複数の励振部材の配列軌跡は、前記第1の励振源の幾何中心を中心とする円形である。
【0013】
選択的に、前記複数の励振部材は、いずれもストリップ構造であり、前記複数の励振部材のそれぞれの延在方向と前記円形とが共線である。
【0014】
選択的に、前記第1の励振源は、円形又は矩形をなしている。
【0015】
選択的に、前記ハウジングには、表示画面が設けられ、前記表示画面の前記ハウジングの内部に向かう側には、前記圧電励振ユニットが設けられ、或いは、前記ハウジングには、中間フレームが設けられ、前記中間フレームには、前記圧電励振ユニットが設けられる。
【0016】
選択的に、前記移動端末は、第1の信号発生器と、第1の電圧増幅器と、第2の信号発生器と、第2の電圧増幅器と、をさらに備え、前記制御ユニット、前記第1の信号発生器、前記第1の電圧増幅器及び前記第1の励振源は順次に接続され、前記制御ユニット、前記第2の信号発生器、前記第2の電圧増幅器及び前記第2の励振源は順次に接続されている。
【0017】
選択的に、前記圧電励振ユニットは、圧電セラミックスから作製される。
【0018】
本発明に係る第2の態様によれば、移動端末の制御方法を提供する。前記移動端末は、ハウジングと、ハウジングの内部に設けられている圧電励振ユニットと、を備え、前記圧電励振ユニットは圧電効果を生じることができ、前記圧電励振ユニットは、第1の励振源と、前記第1の励振源を囲むように設けられている第2の励振源と、を備える。前記移動端末の制御方法は、
前記移動端末が受話器モードなっている場合、前記第1の励振源が第1の振動駆動力を生成するように制御し、前記第2の励振源が第2の振動駆動力を生成するように制御し、前記第2の励振源が位置している箇所において、前記第1の振動駆動力により発生された第1の振動波の振動方向と前記第2の振動駆動力により発生された第2の振動波の振動方向とが逆になり、且つ前記第2の振動波の振幅が前記第1の振動波の振幅以下になるようにするステップを含む。
【0019】
選択的に、前記移動端末の制御方法は、さらに、
前記移動端末がスピーカーフォンモードになっている場合、前記第1の励振源が第3の振動駆動力を生成するように制御し、前記第2の励振源が第4の振動駆動力を生成するように制御し、前記第2の励振源が位置している箇所において、前記第3の振動駆動力により発生された第3の振動波の振動方向と前記第4の振動駆動力により発生された第4の振動波の振動方向とが同じになるようにするステップを、含む。
【0020】
本発明に係る第3の態様によれば、移動端末を提供する。前記移動端末は、ハウジングと、ハウジングの内部に設けられている圧電励振ユニットと、を備え、前記圧電励振ユニットは圧電効果を発生させることができ、前記圧電励振ユニットは、第1の励振源と、前記第1の励振源を囲むように設けられた第2の励振源と、を備える。
【0021】
前記移動端末は、さらに、
プロセッサーと、
前記プロセッサーが実行可能な指令を記憶するメモリと、を備え、
前記プロセッサーは、
前記移動端末が受話器モードになっている場合、前記第1の励振源が第1の振動駆動力を生成するように制御し、前記第2の励振源が第2の振動駆動力を生成するように制御し、前記第2の励振源が位置している箇所において、前記第1の振動駆動力により発生された第1の振動波の振動方向と前記第2の振動駆動力により発生された第2の振動波の振動方向とが逆になり、且つ前記第2の振動波の振幅が前記第1の振動波の振幅以下になるように構成される。
【0022】
本発明に係る第4の態様によれば、指令が記憶されている記録媒体を提供する。前記指令が処理ユニットにより実行される時、処理ユニットが第2の態様の移動端末の制御方法を実行するようにさせる。
本発明に係る第5の態様によれば、プロセッサーに実行されることにより、第2の態様に記載の方法を実現するプログラムを提供する。
【発明の効果】
【0023】
本発明の実施例に係る技術案によれば、下記のような技術効果を奏することができる。
【0024】
本発明に係る移動端末及びその制御方法、記録媒体によれば、移動端末が受話器モードになっている場合、第1の励振源が第1の振動駆動力を生成するように制御し、第2の励振源が第2の振動駆動力を生成するように制御することによって、第1の振動駆動力により発生された第1の振動波と第2の振動駆動力により発生された第2の振動波とを、第2の励振源が位置している箇所において打ち消し合われるようにさせることで、第1の振動波の継続的な伝達を抑制し、さらに遮断までできるので、移動端末の振動面積も低減させ、音漏れを低減させる効果を実現することができる。
【0025】
なお、上記の一般的な記載及び後述の詳細な記載は、単に例示的及び解釈的なものであり、本発明はこれに対し限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0026】
以下、本発明の実施例をさらに明瞭に説明するために、実施例の説明に使用される必要がある図面を簡単に説明する。なお、以下の記載における図面は、本発明の一部の実施例のみに過ぎず、当業者は、創造的な労働を払わない前提で、これらの図面により別の図面を得ることができる。
図1A】関連技術に係る移動端末の断面構造を示す模式図である。
図1B】一例示的な実施例に係る移動端末の構造を示す模式図である。
図1C】一例示的な実施例に係る圧電励振ユニットの構造を示す模式図である。
図1D】一例示的な実施例に係る圧電励振ユニットの動作原理を示す模式図である。
図1E】一例示的な実施例に係る他の圧電励振ユニットの動作原理を示す模式図である。
図2A】一例示的な実施例に係る他の移動端末の構造を示す模式図である。
図2B】一例示的な実施例に係る他の圧電励振ユニットの構造を示す模式図である。
図3】一例示的な実施例に係る移動端末の制御方法を示すフローチャートである。
図4】一例示的な実施例に係る移動端末を示すブロック図である。
【0027】
ここでの図面は、明細書を構成する一部として見なされ、本発明に適した実施例を示し、且つ、明細書の文字記載とともに本発明の仕組みを解釈するために用いられる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の目的、技術案、及び利点をより明確にするために、図面を参照しながら、本発明をさらに詳細に説明する。なお、説明する実施例は、単に本発明の一部の実施例に過ぎず、すべての実施例ではない。当業者が創造的な労働を払わない前提で、本発明の実施例に基づいて獲得する別のすべての実施例は、本発明の保護範囲に属すべきである。
【0029】
図1Aを参照すると、図1Aは、関連技術に係る移動端末の断面構造の模式図である。上記移動端末00は、1つの励振源01を備えている。上記励振源01は、移動端末00の表示画面の内側又は中間フレームに設けられ、圧電セラミックスであってもよい。図1Aは、励振源01が移動端末00の表示画面02の内側に設けられている場面を示している。
【0030】
図1Aに示すように、移動端末00において、励振源01に電圧信号を印加すると、励振源01は、当該電圧信号に応じて振動駆動力を生成する。当該振動駆動力により発生される振動波は、励振源01を中心として常に外側を向いて伝達する。当該伝達方向は、図1Aにおける伝達方向wであってもよい。当該振動駆動力の作用によって、励振源01は表示画面02と一緒に振動する。当該振動は、表示画面近傍の空気も一緒に振動させることによって音声を生成させる。
【0031】
しかしながら、実際の応用において、音声は回り込み(即ち、回折)特性を有している。即ち、音声は、その伝達の過程において、障害物を回り込むことができる。このため、上記の励起源01により発生された振動波が励起源01を設けたユニット(例えば、表示画面又は中間フレーム)のエッジに伝達された場合、当該振動波は当該ユニットの周囲の空気を振動させる。これにより生成された音声は、当該ユニットを回り込んで伝播し続けるので、音漏れの現象が現れてしまう。
【0032】
本発明の実施例は、移動端末10を提供する。上記移動端末10は、図1Bに示すように、通話又はオーディオ再生などの機能を有する携帯電話又はタブレットPCなどの機器であってもよい。
【0033】
上記移動端末10は、ハウジング11と、制御ユニット12と、ハウジング11の内部に設けられている圧電励振ユニット13と、を備える。上記制御ユニット12は、圧電励振ユニット13に接続される。
【0034】
選択的に、ハウジングには、表示画面が設けられ、表示画面におけるハウジングの内部に向かう側(即ち、表示画面の内側)には、圧電励振ユニットが設けられることができる。或いは、ハウジングには、中間フレームが設けられ、中間フレームには、当該圧電励振ユニットが設けられている。実際に実現する時、ハウジングは、フロントカバー、中間フレーム及びバックカバーから構成されており、表示画面がフロントカバーに設けられることができる。或いは、ハウジングは、フロントカバー及び中間フレームから構成され、表示画面がフロントカバーに設けられることができる。或いは、ハウジングは、中間フレーム及びバックカバーから構成され、表示画面が中間フレームに設けられることができる(この時、移動端末が全画面の移動端末である。)。或いは、ハウジングは、中間フレームから構成され、表示画面が中間フレームに設けられることができる(この時、移動端末が全画面の移動端末である。)。本発明の実施例は、これに対して特に限定しない。図1Bに示したのは、圧電励振ユニット13がハウジング11の表示画面111に設けられた場面である。
【0035】
図1Cを参照すると、図1Cは、本発明に係る圧電励振ユニット13の構造を示す模式図である。上記圧電励振ユニット13は、第1の励振源131と、第1の励振源131を囲むように設けられた第2の励振源132と、を備えることができる。
【0036】
圧電励振ユニット13は、圧電材料から作製されることができる。圧電材料は、機械的エネルギーと電気的エネルギーとの相互変換を実現可能な材料である。上記圧電材料は、圧電効果を生じることができる。当該圧電効果は、逆圧電効果を含んでいる。当該逆圧電効果とは、圧電材料の表面に電圧信号を印加すると、当該電圧信号が圧電材料を励起して駆動力を生成させることによって、圧電材料を変形させることを指し、当該過程は、電気的エネルギーを機械的エネルギーに変換させる過程である。本発明の実施例において、圧電励振ユニット13の圧電材料は、主に上記の逆圧電効果を実現するために用いられる。選択的に、当該圧電材料は、無機圧電材料(例えば、圧電結晶や圧電セラミックス)或いは有機圧電材料(例えば、圧電ポリマー)を含むことができる。
【0037】
上記圧電励振ユニットは、移動端末の音声を出力する機能を実現するために用いられることができ、その作用は、受話器或いはスピーカーなどに類似している。本発明の実施例に係る移動端末は、受話器モード及びスピーカーフォンモードという2つの音声出力モードを有している。ここで、受話器モードは、移動端末が圧電励振ユニットによって第1の範囲内で音声を出力するモードであり、ハンドセットモードとも呼ばれる。スピーカーフォンモードは、移動端末が圧電励振ユニットによって第2の範囲内で音声を出力するモードである。上記第1の範囲は、上記第2の範囲より小さく、且つ、通常、受話器モードで出力される音声の音量は、スピーカーフォンモードで出力される音声の音量より低いので、受話器モードは、スピーカーフォンモードよりも高い秘匿性を有している。
【0038】
図1B及び図1Cを同時に参照すると、制御ユニット121は、1つ又は複数の中央処理装置(CPU)或いは制御チップであってもよい。上記制御ユニット121は、移動端末10が受話器モードになっている場合、第1の励振源131が第1の振動駆動力を生成するように制御し、第2の励振源132が第2の振動駆動力を生成するように制御し、第2の励振源132が位置している箇所において、第1の振動駆動力により発生された第1の振動波の振動方向と第2の振動駆動力により発生された第2の振動波の振動方向とが逆になり、且つ、第2の振動波の振幅が第1の振動波の振幅以下になるように、構成される。
【0039】
上記第2の励振源132が位置している箇所において、図1Dに示すように、二つの振動波である第1の振動波x1及び第2の振動波x2(図1Dにおいて、2つの振動波の振動方向のみを示している。)の振幅は、代数和をとることができる。第2の振動波x2の振幅が第1の振動波x1の振幅より小さい場合、第2の振動波は、第1の振動波の一部を打ち消し合うことができるので、第1の振動波の伝播を抑制する効果を実現することができる。さらに、第2の振動波の振幅が第1の振動波の振幅に等しい場合、第2の振動波は、上記第2の励振源132が位置している箇所において第1の振動波を完全に打ち消し合うことができるので、第1の振動波の伝播を抑制する効果を実現することができる。
【0040】
図1Dに示すように、第2の励起源132に囲まれた領域には、受話器モードで音声が正常に耳に伝わることを確保するための振動領域が存在している。また、第2の励振源132に囲まれた領域以外の領域には、第2の振動波による第1の振動波への抑制又は打ち消し合われることによって、振動減衰領域が形成される。第2の振動波が第1の振動波の一部を打ち消し合う場合、上記振動減衰領域に伝達される振動波の振動強度が第1の振動波の振動強度よりも遥かに小さい。上記第2の振動波が第1の振動波を完全に打ち消し合う場合、第2の励振源132が遮蔽プレートをなしているので、第1の振動波の伝達を完全に遮断することができる。実際には、上記振動減衰領域は非振動領域であり、即ち、振動波が伝達されない領域である。
【0041】
以上の第2の振動波が第1の振動波の伝達を抑制又は遮断する場面は、いずれも圧電励振ユニットが設けられているユニットのエッジに伝達される振動波を低減させることができる(例えば、図1Bにおいて、表示画面111のエッジに伝達された振動波を低減させることができる。)ことによって、音声の回り込み現象を低減させるので、音漏れ現象を低減させることができる。これにより、受話器モードでの通話の秘匿性を確保することができる。
【0042】
なお、図1Dを参照しながら、第1の励振源131が位置している箇所において、第1の振動波の初期振動方向が表示画面に垂直に外側に向き(即ち、図1Dにおいて上向き方向である。)、且つ、第2の励振源132が位置している箇所に伝達される第1の振動波の振動方向も表示画面に垂直に外側に向いていることを、一例として説明したが、実際の応用において、第1の振動波の初期振動方向及び第2の励起源132が位置している箇所に伝達される第1の振動波の振動方向が、表示画面に垂直に内側に向いているか、それとも表示画面に垂直に外側に向いているかに関係なく、第2の励起源132が位置している箇所に伝達される第1の振動波の振動方向と第2の振動波の振動方向とが逆になればよい。従って、本発明の実施例において、第1の振動波の初期振動方向及び第2の励振源132が位置している箇所における振動方向を限定しない。
【0043】
つまり、本発明の実施例に係る移動端末によれば、移動端末が受話器モードになっている場合、第1の励振源及び第2の励振源を制御することによって、両方により発生された振動波が第2の励振源が位置している箇所で打ち消し合われるようにさせることで、第1の励振源が生成した第1の振動波の継続的な伝達を抑制し、さらに遮断まですることができるので、移動端末の振動面積を低減させ、音漏れ現象を低減させることができる。
【0044】
受話器モードに対して、スピーカーフォンモードで移動端末から出力される音声は、主に音声の音量及び伝達の範囲を考慮する必要があるので、音漏れ問題を考慮する必要がない。従って、制御ユニットは、第2の励振源により生成された振動波を制御することによって、第1の励振源により生成された振動波の伝達を促進することができる。
【0045】
制御ユニットは、さらに、前記移動端末がスピーカーフォンモードになっている場合、第1の励振源131が第3の振動駆動力を生成するように制御し、第2の励振源132が第4の振動駆動力を生成するように制御することによって、第2の励振源132が位置している箇所において、第3の振動駆動力により発生された第3の振動波の振動方向と第4の振動駆動力により発生された第4の振動波の振動方向とが同じになるように構成される。
【0046】
当該第2の励振源132が位置している箇所において、図1Eに示すように、二つの振動波である第3の振動波y1及び第4の振動波y2(図1Eにおいて、2つの振動波の振動方向のみを示している。)の振幅は、代数和をとることができる。第4の振動波y1の振動方向と第3の振動波y2の振動方向とが同じである場合、両方の代数和により第3の振動波の伝達を促進させることで、空気の振幅及び音声の回り込み現象を向上させるので、移動端末から出力される音声強度がより強くなり、その範囲がより広くなり、音声の外部出力の効果を向上させることができる。図1Eに示すように、第2の励振源132に囲まれた領域には、振動領域があり、第2の励振源132に囲まれた領域以外の領域には、第2の振動波による第1の振動波への促進によって振動増幅領域が形成される。上記振動増幅領域で発生された音声は、その伝達範囲がさらに広くなり、その音量がさらに高くなる。
【0047】
なお、図1Eを参照しながら、第1の励振源131が位置している箇所において、第3の振動波の初期振動方向が表示画面に垂直に外側に向き(即ち、図1Eにおいて上向き方向である。)、且つ、第2の励振源132が位置している箇所に伝達された振動方向も表示画面に垂直に外側に向いていることを、一例として説明したが、実際の応用において、第3の振動波の初期振動方向及び第2の励起源が位置している箇所に伝達される第3の振動波の振動方向が、表示画面に垂直に内側に向いているか、それとも表示画面に垂直に外側に向いているかに関係なく、第2の励起源132が位置している箇所に伝達される第3の振動波の振動方向と第4の振動波の振動方向とが同じになればよい。従って、本発明の実施例において、第3の振動波の初期振動方向及び第2の励振源が位置している箇所における振動方向を限定しない。
【0048】
実際に実現する時、移動端末10は、図2Aに示すように、第1の信号発生器14と、第1の電圧増幅器15と、第2の信号発生器16と、第2の電圧増幅器17と、をさらに備えることができる。
【0049】
ここで、制御ユニット12、第1の信号発生器14、第1の電圧増幅器15及び第1の励振源131は、順次に接続することによって第1の回路を形成する。制御ユニット12、第2の信号発生器16、第2の電圧増幅器17及び第2の励振源132は、順次に接続することによって第2の回路を形成する。
【0050】
移動端末が音声出力モード(例えば、受話器モード又はスピーカーフォンモード)になっている場合、第1の回路において、制御ユニット12は、当該移動端末10が取得したオーディオデータ(例えば、再生しようとするオーディオデータ又は通話中の通話データ)に基づいて第1のデジタル信号を生成し、そして、当該第1のデジタル信号を第1の信号発生器14に伝送する。当該第1の信号発生器14は、当該第1のデジタル信号に基づいて第1の電圧信号を生成し、そして、当該第1の電圧信号を第1の電圧増幅器15に伝送する。第1の電圧増幅器15は、当該第1の電圧信号を増幅させ、そして、増幅された第1の電圧信号を第1の励振源131に伝送する。第1の励振源131は、増幅された第1の電圧信号を受信した後、逆圧電効果によって、増幅された第1の電圧信号に応じて対応する振動駆動力を生成する。
【0051】
第1の回路の伝送過程に類似するように、第2の回路において、制御ユニット12は、当該移動端末10が取得したオーディオデータに基づいて第2のデジタル信号を生成し、そして、当該第2のデジタル信号を第2の信号発生器16に伝送する。当該第2の信号発生器16は、当該第2のデジタル信号に基づいて第2の電圧信号を生成し、そして、当該第2の電圧信号を第2の電圧増幅器17に伝送する。当該第2の電圧増幅器17は、当該第2の電圧信号を増幅させ、そして、増幅された第2の電圧信号を第2の励振源132に伝送する。第2の励振源132は、増幅された第2の電圧信号を受信した後、逆圧電効果によって、増幅された第2の電圧信号に応じて対応する振動駆動力を生成する。
【0052】
なお、同じ音声出力モードでは、上記第1の回路及び第2の回路の動作が同期して行われる。上記のオーディオデータは、同じデータである。音声出力モードが受話器モードである場合、第1の励振源131により生成される振動駆動力は、上記の第1の振動駆動力であり、第2の励振源132により生成される振動駆動力は、上記の第2の振動駆動力である。これに対して、音声出力モードがスピーカーフォンモードである場合、第1の励振源131により生成される振動駆動力は、上記の第3の振動駆動力であり、第2の励振源132により生成される振動駆動力は、上記の第4の振動駆動力である。
【0053】
実際に実現する時、上記の制御ユニットは、2つのサブ制御ユニットを含むことができる。当該2つのサブ制御ユニットは、第1の信号発生器及び第2の信号発生器に一対一に対応するように接続されることができる。本発明の実施例において、これに対して限定しない。本発明における技術案に基づいて、簡単な変形するにより得られる技術案は、いずれも本発明の範囲に含まれる。
【0054】
以下、圧電励振ユニット13の動作をより良く説明する。図2Bを参照すると、当該図2Bは、他の圧電励振ユニット13の構造を示す模式図である。振動駆動力によって第1の励振源131から生成された振動波が周囲に均一に伝達されることを確保するために、上記第1の励振源131は、円形又は矩形をなすことができる。当該矩形が長方形又は正方形(実際に実現する時、例えば、楕円形又はその他の不規則な形状などのような他の形状をなしてもよいが、本発明の実施例は、これに対して限定しない。)であってもよい。上記第1の励振源131は、表示画面又は中間フレームの幾何中心に設けられる。第2の励振源132は、第1の励振源131を囲むように設けられている。当該第2の励振源132の形状は、図1Cに示すような閉じられた円環状であってもよい。或いは、当該第2の励振源132は、図2Bに示すように、間隔を置いて配列された複数の励振部材1321を備えてもよい。図2Bは、当該第2の励振源が間隔を置いて配列された4つの励振部材1321を備える構造を示す模式図である。当該複数の励振部材1321の配列軌跡は、図2Bに示すように、前記第1の励振源131の幾何中心Oを中心とする円形Lである。第2の励振源132が第1の励振源131の周囲において円形状に分布される場合、当該第2の励振源132から生成される振動波が第1の励振源131から生成される振動波に均一に作用することができる。例示的に、当該複数の励振部材1321は、いずれもストリップ構造を有し、それぞれの励振部材1321の延在方向と円形Lとが共線である。実際に実現する時、複数の励振部材1321の配列軌跡は、例えば、楕円形、矩形又はその他の不規則な形状などの他の形状であってもよいが、本発明の実施例において、これに対して限定しない。選択的に、当該配列軌跡の形状及び第1の励振源131がなした形状は、共通の幾何中心を有する類似な図形であってもよいが、両方の間のピッチ幅が同じである。
【0055】
本発明の実施例において、第1の励振源131と第2の励振源132は、間隔を置いて配列されている。実際に実現する時、第2の励振源132と第1の励振源131との間の間隙の寸法は、移動端末の最大音声出力の範囲(当該範囲は、通常、第1の励振源131の幾何中心を円の中心として形成された円形の範囲であり、その半径が音声の最大出力半径である。)と正の相関を持ち、即ち、両方の間隙が大きいほど、移動端末の最大音声出力の範囲が大きくなる。また、第1の励振源131の寸法も、移動端末の最大音声出力の範囲と正の相関を持っているので、第1の励振源131の寸法が大きいほど、移動端末の最大音声出力の範囲が大きくなる。このため、移動端末を製造する時、当該移動端末が比較的大きい音声出力の範囲を維持できる必要がある場合、即ち、スピーカーフォンモードの効果が比較的良好にする必要がある場合、第2の励振源132と第1の励振源131との間の間隙の寸法を比較的大きく(即ち、予め設定された間隙の閾値より大きく)設定することができ、及び/又は、第1の励振源131の寸法を比較的大きく(即ち、予め設定された寸法の閾値より大きく)設定することができる。当該移動端末が比較的小さい音声出力の範囲を維持できる必要がある場合、即ち、受話器モードの効果が比較的良好にする必要がある場合、第2の励振源と第1の励振源との間の間隙の寸法を比較的小さく(即ち、予め設定された間隙の閾値より小さく)設定することができ、及び/又は、第1の励振源131の寸法を比較的小さく(即ち、予め設定された寸法の閾値より小さく)設定することができる。本発明の実施例において、これに対して限定しない。
【0056】
続いて、図2Bに示すように、第1の励振源131の半径をbmmとし、第2の励振源の内環の半径をammとした時、a−bの大きさが間隙の寸法であり、aが大きいほど及び/又はbが小さいほど、移動端末の最大音声出力の範囲が大きくなる。
【0057】
実際の応用において、振動波の伝達は、第1の励起源の形状、第2の励起源の形状及び第2の励起源の配列軌跡などの要因に影響されるが、このほか、第1の励起源の材質、寸法、厚さ及び当該第1の励起源が設けられるためのユニットの材質などの要因にも関連される。例えば、制御ユニットが第1の励振源を制御して第1の振動駆動力を生成させる場合、第1の励振源131の厚さが大きいほど、当該第1の励振源131により生成される第1の振動駆動力が小さくなり、これに対して、その生成された第1の振動波も弱くなる。このため、上記制御ユニットが第1のデジタル信号及び第2のデジタル信号を生成する場合、上記の要因をさらに考慮する必要がある。本発明の実施例において、これに対して限定しない。
【0058】
以上説明したように、本発明の実施例に係る移動端末によれば、移動端末が受話器モードになっている場合、第1の励振源及び第2の励振源を制御することによって、両方により生成された振動波を第2の励振源が位置している箇所において打ち消し合われるようにさせ、第1の励振源が生成した第1の振動波の継続的な伝達を抑制し、さらに遮断までできるので、移動端末の振動面積を低減させ、音漏れ現象を低減させることができる。また、移動端末がスピーカーフォンモードになっている場合、第1の励振源及び第2の励振源を制御することによって、両方により生成した振動波を第2の励振源が位置している箇所において増幅させることで、第1の励振源が生成した第3の振動波の継続的な伝達を促進するので、移動端末から出力される音声強度がさらに強くなり、その範囲がさらに広くなり、音声の外部出力の効果を向上させることができる。
【0059】
本発明の実施例は、さらに、上記の実施例において説明した移動端末を制御するための移動端末の制御方法を提供する。前記移動端末は、ハウジングと、ハウジングの内部に設けられている圧電励振ユニットと、を備え、前記圧電励振ユニットは圧電効果を生じることができ、前記圧電励振ユニットは、第1の励振源と、第1の励振源を囲むように設けられている第2の励振源と、を備える。上記移動端末の制御方法は、
移動端末が受話器モードになっている場合、第1の励振源が第1の振動駆動力を生成するように制御し、第2の励振源が第2の振動駆動力を生成するように制御し、第2の励振源が位置している箇所において、第1の振動駆動力により発生された第1の振動波の振動方向と第2の振動駆動力により生成された第2の振動波の振動方向とが逆になり、且つ第2の振動波の振幅が第1の振動波の振幅以下になるようにするステップを含む。
【0060】
つまり、本発明の実施例に係る移動端末の制御方法によれば、移動端末が受話器モードになっている場合、第1の励振源及び第2の励振源を制御することによって、両方により生成された振動波を第2の励振源が位置している箇所において打ち消し合われるようにさせることで、第1の励振源が生成した第1の振動波の継続的な伝達を抑制し、さらに遮断までできるので、移動端末の振動面積を低減させ、音漏れ現象を低減させることができる。
【0061】
本発明の実施例は、図3に示すように、移動端末の制御方法を提供する。上記移動端末の制御方法は、以下のステップを含む。
【0062】
ステップ301、音声出力モードのトリガ指令を受信した後、受話器モード又はスピーカーフォンモードを含む音声出力モードに入る。
【0063】
移動端末の使用過程において、ユーザが当該移動端末を通じて通話又はオーディオ再生を行おうとする場合、トリガすることにより音声出力モードに入ることができる。移動端末は、少なくとも1つの音声出力モードのトリガ方式を提供することができる。例えば、移動端末は、エンティティ又は仮想のトリガボタンを提供することができる。ユーザがトリガボタンをクリック又は押下すると、移動端末は対応するトリガ指令を受信することで、音声出力モードに入る。
【0064】
例えば、移動端末は、通話指令を受信すると、受話器モード及びスピーカーフォンモードのトリガボタンを含む通話インタフェースを表示する。移動端末は、ユーザの選択に応じて対応する音声出力モードに入る。
【0065】
もちろん、移動端末は、音声出力モードに入った後、音声出力モードを調整することもできる。例えば、移動端末に位置センサーがさらに設けられることができる。当該位置センサーは、移動端末が所定の音声出力モードに入った後、人間の顔と移動端末の表示画面との間の距離を検出することができる。上記移動端末は、当該距離が予め設定された距離の閾値より小さい場合、受話器モードに入り、当該距離が予め設定された距離の閾値以上である場合、スピーカーフォンモードに入る。
【0066】
ステップ302、移動端末が受話器モードになっている場合、第1の励振源が第1の振動駆動力を生成するように制御し、第2の励振源が第2の振動駆動力を生成するように制御し、第2の励振源が位置している箇所において、第1の振動駆動力により発生された第1の振動波の振動方向と第2の振動駆動力により発生された第2の振動波の振動方向とが逆になり、且つ第2の振動波の振幅が第1の振動波の振幅以下になるようにする。
【0067】
ステップ303、移動端末がスピーカーフォンモードになっている場合、第1の励振源が第3の振動駆動力を生成するように制御し、第2の励振源が第4の振動駆動力を生成するように制御し、第2の励振源が位置している箇所において、第3の振動駆動力により発生された第3の振動波の振動方向と第4の振動駆動力により発生された第4の振動波の振動方向とが同じになるようにする。
【0068】
上記制御方法の実施過程に関して、上記の装置の実施例における内容を参照してもよく、本発明の実施例において、これに対して限定しない。
【0069】
以上説明したように、本発明の実施例に係る移動端末の制御方法によれば、移動端末が受話器モードになっている場合、第1の励振源及び第2の励振源を制御することによって、両方により発生された振動波が第2の励振源が位置している箇所において打ち消し合われるようにさせることで、第1の励振源が生成した第1の振動波の継続的な伝達を抑制し、さらに遮断までできるので、移動端末の振動面積を低減させ、音漏れ現象を低減させることができる。また、移動端末がスピーカーフォンモードになっている場合、第1の励振源及び第2の励振源を制御することによって、両方により生成した振動波を第2の励振源が位置している箇所において増幅させることで、第1の励振源が生成した第3の振動波の継続的な伝達を促進するので、移動端末から出力される音声強度がさらに強くなり、その範囲をさらに広くなり、音声の外部出力の効果を向上させることができる。
【0070】
図4は例示的な一実施例に係る移動端末400を示すブロック図である。例えば、移動端末400は、携帯電話、デジタルブロードキャスト端末、メッセージ送受信機、ゲームコンソール、タブレットデバイス、医療機器、フィットネス機器、PDA(Personal Digital Assistant)等であってもよい。
【0071】
図4を参照すると、移動端末400は、処理ユニット402、メモリ404、電源ユニット406、マルチメディアユニット408、オーディオユニット410、入力/出力(I/O)インタフェース412、センサーユニット414、及び通信ユニット416からなる群から選ばれる少なくとも1つを備えてもよい。
【0072】
処理ユニット402は、一般的には、移動端末400の全体の操作、例えば、表示、電話呼び出し、データ通信、カメラ操作及び記録操作に関連する操作を制御する。処理ユニット402は、上述した実施例における制御ユニット12であってもよく、上述した方法におけるステップの一部又は全部を実現できるように、指令を実行する少なくとも1つのプロセッサー420を備えてもよい。また、処理ユニット402は、他のユニットとのインタラクションを便利にさせるように、少なくとも1つのモジュールを備えてもよい。例えば、処理ユニット402は、マルチメディアユニット408とのインタラクションを便利にさせるように、マルチメディアモジュールを備えてもよい。
【0073】
メモリ404は、移動端末400での操作をサポートするように、各種のデータを記憶するように構成される。これらのデータは、例えば、移動端末400において何れのアプリケーション又は方法を操作するための指令、連絡先データ、電話帳データ、メッセージ、画像、ビデオなどを含む。メモリ404は、何れの種類の揮発性又は不揮発性メモリ、例えば、SRAM(Static Random Access Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read−Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、PROM(Programmable ROM)、ROM(Read Only Member)、磁気メモリ、フラッシュメモリ、磁気ディスク、或いは光ディスクにより、或いはそれらの組み合わせにより実現することができる。
【0074】
電源ユニット406は、移動端末400の各種ユニットに電力を供給するためのものであり、電源管理システム、1つ又は複数の電源、及び移動端末400のために電力を生成、管理及び分配することに関連する他のユニットを備えてもよい。
【0075】
マルチメディアユニット408は、移動端末400とユーザとの間に出力インタフェースを提供するスクリーンを備えてもよい。スクリーンは、例えば、液晶ディスプレイ(LCD)やタッチパネル(TP)を備えてもよい。スクリーンは、タッチパネルを備える場合、ユーザからの入力信号を受信するように、タッチスクリーンになることができる。また、タッチパネルは、タッチや、スライドや、タッチパネル上の手振りを感知するように、少なくとも1つのタッチセンサーを有する。前記タッチセンサーは、タッチやスライド動作の境界を感知できるだけではなく、タッチやスライド操作と関連する持続時間や圧力も感知できる。一実施例において、マルチメディアユニット408は、フロントカメラ及び/又はバックカメラを有してもよい。移動端末400が、例えば、撮影モードやビデオモードのような操作モードにある時、フロントカメラ及び/又はバックカメラが外部のマルチメディアデータを受信できる。フロントカメラ及びバックカメラのそれぞれは、固定の光学レンズ系であってもよいし、可変の焦点距離及び光学ズーム能力を有するものであってもよい。
【0076】
オーディオユニット410は、オーディオ信号を出力及び/又は入力するように構成される。例えば、オーディオユニット410は、マイクロフォン(MIC)を有してもよい。移動端末400が、例えば、呼び出しモード、記録モード、又は音声認識モードのような操作モードにある時、マイクロフォンは、外部のオーディオ信号を受信するように構成される。受信したオーディオ信号は、メモリ404にさらに記憶されてもよいし、通信ユニット416を介して送信されてもよい。本発明の実施例において、オーディオユニット410は、音声を出力するための上記の実施例における圧電励振ユニット13をさらに備えてもよい。
【0077】
I/Oインタフェース412は、処理ユニット402と外部のインタフェースモジュールとの間にインタフェースを提供するためのものである。上記外部のインタフェースモジュールは、キーボードや、クリックホイールや、ボタンなどであってもよい。これらのボタンは、ホームボタンや、音量ボタンや、スタートボタンや、ロックボタンであってもよいが、それらに限らない。
【0078】
センサーユニット414は、移動端末400のために各方面の状態を評価するための少なくとも1つのセンサーを備えてもよい。例えば、センサーユニット414は、移動端末400のオン/オフ状態や、ユニットの相対的な位置を検出することができる。例えば、前記ユニットは、移動端末400のディスプレイ及びキーパッドである。センサーユニット414は、移動端末400又は移動端末400の1つのユニットの位置の変化、ユーザによる移動端末400への接触の有無、移動端末400の方向又は加速/減速、移動端末400の温度変化などを検出することができる。センサーユニット414は、何れの物理的な接触もない場合に付近の物体を検出するように構成される近接センサーを有してもよい。センサーユニット414は、イメージングアプリケーションに用いるための光センサー、例えば、CMOS又はCCD画像センサーを有してもよい。一実施例において、当該センサーユニット414は、距離センサー、加速度センサー、ジャイロスコープセンサー、磁気センサー、圧力センサー又は温度センサーをさらに備えてもよい。
【0079】
通信ユニット416は、移動端末400と他の設備の間との無線又は有線通信を便利にさせるように構成される。移動端末400は、通信標準に基づく無線ネットワーク、例えば、WiFi、2G又は3G、又はそれらの組み合わせにアクセスできる。1つの例示的な実施例において、通信ユニット416は、ブロードキャストチャンネルを介して外部のブロードキャスト管理システムからのブロードキャスト信号又はブロードキャストに関する情報を受信する。1つの例示的な実施例において、前記通信ユニット416は、近距離通信を促進するために近距離無線通信(NFC)モジュールをさらに備えてもよい。例えば、NFCモジュールは、無線周波数認識装置(RFID:Radio Frequency IDentification)技術、赤外線データ協会(IrDA:Infrared Data Association)技術、超広帯域無線(UWB:Ultra Wide Band)技術、ブルートゥース(登録商標)(BT:Bluetooth(登録商標))技術及び他の技術によって実現されてもよい。
【0080】
例示的な実施例において、移動端末400は、上述した方法を実行するために、1つ又は複数の特定用途向け集積回路(ASIC:Application Specific Integrated Circuit)、デジタル信号プロセッサー(DSP:Digital Signal Processor)、デジタル信号処理デバイス(DSPD:Digital Signal Processing Device)、プログラマブルロジックデバイス(PLD:Programmable Logic Device)、書替え可能ゲートアレイ(FPGA:Field−Programmable Gate Array)、コントローラ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサー、又は他の電子機器によって実現されてもよい。
【0081】
例示的な実施例において、指令を含む非一時的コンピュータ読み取り可能な記録媒体、例えば、指令を含むメモリ404をさらに提供する。前記指令は、移動端末400のプロセッサー420により実行することにより上述した方法を実現する。例えば、前記非一時的コンピュータ読み取り可能な記録媒体は、ROM、RAM、CD−ROM、磁気テープ、フロッピー(登録商標)ディスク及び光データメモリなどであってもよい。
【0082】
非一時的コンピュータ可読記録媒体は、前記記録媒体における指令が端移動端末400のプロセッサーにより実行される場合、移動端末400が上記の移動端末の制御方法を実行するようにする。前記制御方法は、移動端末が受話器モードになっている場合、第1の励振源が第1の振動駆動力を生成するように制御し、第2の励振源が第2の振動駆動力を生成するように制御し、前記第2の励振源が位置している箇所において、前記第1の振動駆動力により発生された第1の振動波の振動方向と前記第2の振動駆動力により発生された第2の振動波の振動方向とが逆になり、且つ前記第2の振動波の振幅が前記第1の振動波の振幅以下になるようにするステップを含む。
【0083】
選択的に、前記制御方法は、さらに、移動端末がスピーカーフォンモードになっている場合、第1の励振源が第3の振動駆動力を生成するように制御し、第2の励振源が第4の振動駆動力を生成するように制御することによって、前記第2の励振源が位置している箇所において、前記第3の振動駆動力により発生された第3の振動波の振動方向と前記第4の振動駆動力により発生された第4の振動波の振動方向とが同じになるようにするステップを、含む。
【0084】
当業者は、明細書に対する理解及び明細書に記載された発明に対する実施を介して、本発明の他の実施形態を容易に取得することができる。本発明は、本明細書に対する任意の変形、用途、又は適応的な変化を含み、これらの変形、用途、又は適応的な変化は、本発明の一般的な原理に従い、本発明に開示されていない当分野の公知知識、又は通常の技術手段を含む。明細書及び実施例は、単に例示的なものであり、本発明の本当の範囲と主旨は、特許請求の範囲によって示される。
【0085】
本発明は、上記で記述され、図面で図示した特定の構成に限定されず、その範囲を離脱しない状況で、様々な修正や変更を実施してもよい。本発明の範囲は、添付される特許請求の範囲のみにより限定される。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図2A
図2B
図3
図4