(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
1又は複数の前記パラメータに関連するデータが、記憶装置内に設けられ、少なくとも改質(2)を生成する前に制御装置に供給され、ここで、該制御装置は、生成すべき改質(2)の各位置に依存して前記レーザ適用装置(8)を調整し、
及び/又は、
改質(2)を生成するための前記レーザビーム(10)は、高い伝導性を持つ領域よりも低い伝導性を持つ領域においてより大きなエネルギーを持ち、ここで、前記レーザ適用装置(8)は、レーザビームエネルギーを調整するための手段を備える、
請求項1又は2の方法。
前記固体物(1)の最初に露出された表面の上又は上方に複数の層及び/又はコンポーネント(150)を配置又は生成することにより、複合構造を生成する工程を更に含み、ここで、前記露出された表面は、剥離されるべき固体層の一部であり、
前記複合構造を生成する前に、剥離面を形成するために複数の前記改質が生成される、
請求項1乃至5のいずれかの方法。
前記剥離面を形成する前に、前記固体物(1)が少なくとも1つの高温方法を使用して処理され、ここで、該高温方法は、70℃と前記固体物(1)の材料の融点又は蒸発温度との間の温度で実行され、
前記少なくとも1つの高温方法が、エピタキシ方法、ドーピング方法、又はプラズマを使用する方法であり、該高温方法によって前記固体物(1)上に少なくとも1つの層(145)が生成され、該生成された少なくとも1つの層(145)は予め定義された複数のパラメータを持ち、少なくとも1つの該パラメータはレーザ光波の屈折及び/又は吸収及び/又は反射の最大値を特定するものであり、屈折及び/又は吸収及び/又は反射の度合いは、5%未満である、
請求項7の方法。
【発明の概要】
【0007】
本発明の目的は、公知の製造方法を改善すること、特に、より効率的にする若しくはスピードアップすることである。
【0008】
上記目的は、請求項1に従う方法によって、本発明に従って解決される。そこで、本発明は、好ましくは、固体物から少なくとも1つの固体層を剥離するための方法に関し、ここで、固体部分特に1つの固体層を該固体物から剥離するための亀裂を誘導するために、亀裂誘導領域が改質によって提供される。好ましくは、本発明に従う方法は、レーザ適用装置に対して相対的に固体物を動かす工程と、少なくとも1つの改質をそれぞれ生成するために該レーザ適用装置によって複数のレーザビームを相次いで生成する工程とを少なくとも含み、該レーザ適用装置は、レーザビームの定義された焦点合わせのために及び/又はレーザエネルギーの適応化のために、少なくとも1つのパラメータに依存して、特に複数のパラメータに依存して、特に連続的に、調整される。
【0009】
好ましくは、位置に依存するレーザパワー調節が、試料又は固体物又は基材の不均質性に対する適応化のために行われる。
【0010】
製造方法に依存して、例えば、ドーピングの不均質性が固体物において起こり、これは前記解決策によって有利に補償され得る。一例として、炭化珪素(SiC)のドーピングは、ドーピングガス(N
2)の膨張によって生成され、この場合、はっきりと目視できるドーピングスポットが形成される。順次のレーザ改質(特に好ましくは亀裂を生じさせないのに十分な損傷)のために、これらの不均質性は、そうではない均質とみなされるワークピース/試料のための平均的なレーザパラメータではなく、異なるレーザパラメータをしばしば要求する。大部分の試料にとって、平均的な均質性の試料のための平均的なレーザパラメータを用いて次々に改質生成するために、処理パラメータはロバスト的である(すなわち、処理窓が十分に広い)。材料特性(素材性質)の大きな局所的変動に対しては、局所的に適応化されたレーザパラメータを使用しなければならない。従って、事前知識によるインライン適応化が考えられる。
【0011】
この解決策は、いくつかの材料(例えばSiC)が局所的な屈折率及びその他の素材性質の差異(例えば、吸収性、伝達性、散乱性)を持ち、それらがレーザ動作の位置に依存した調整によって補償され得るので、有利である。好ましくは、個々の又はいくつかの素材性質(吸収性、伝達性、散乱性、屈折率、その他)が、個別ケースにおいて、可能なパラメータとして使用され得る。ここで、位置に依存するとは、処理されるべき固体物の相対的移動がレーザ適用装置に対してなされるということを意味する。そこで、レーザ適用装置及び/又は固体物が動かさせることが考えられる。少なくとも1つのパラメータは、分析工程の過程において、固体物に対するレーザビームの適用の前に、好ましく記録される。レーザ放射が作用する照射面にわたる及び/又は固体物の体積にわたるパラメータの変化は、性質プロフィルデータの形態でデータ形式内に準備されたものから取り出し可能に好ましく保持され、固体物に対する位置に依存するレーザ適用のために、レーザ適用装置を作動するために特に好ましく使用される。加えて、固体物を配置した移動装置、特にX−Yテーブル又は回転テーブルが該性質プロフィルデータに依存して作動される又は動作される。代替的に、性質プロフィルデータがリアルタイムに発生され評価されることが考慮される、すなわち、性質プロフィルデータはレーザ適用装置及び/又は移動装置を作動するために直接的に使用される。
【0012】
そこで、インライン適応化は、(位置を処理する前のセンサ入力によって)リアルタイムに検出され得る変動に好ましく基づいている。特に適切なものは、非接触的な一方向の(つまり伝達性ではなく反射性の)測定方法、例えばスペクトル反射のような測定方法である。事前知識による適応化のために、好ましくは、レーザシステムは、処理の前に、事前知識としての複数の修正ファクタK(x,y)のマップを読み込み、そして、この助けによりレーザパラメータを局所的に(x,y)調整する。試料は、好ましくは正確な方向付けで、移動装置上に、特にチャック又はキャリア上に固定して、好ましく提供され、この事前知識が機械のチャック又はキャリアにより登録され得るようになる。局所的なエネルギー密度の適応化のために、例えば、パワー追跡、適応化された書き込みパターン(その他の貫通密度)又は異なる書き込みパターンによる複数のオーバーランが適切である。
【0013】
さらに好ましい実施例によれば、追加の又は代替のパラメータは固体物材料のドーピング度であり、それは、後方散乱光(好ましくはラマン散乱)の分析によって好ましく決定され、該後方散乱光は、該後方散乱をトリガするために定められた放射光とは異なる波長又は異なる波長範囲を持ち、該後方散乱光は、予め定義された位置又は予め定義された領域から後方散乱され、ラマン機器が前記装置の一部であり、前記ドーピング度は該ラマン機器によって決定され、1以上の又は全てのこれらパラメータが共通の検出ヘッドによって、特に同時に、好ましく検出される。ラマン分光学は、ガラス、サファイア、及び酸化アルミニウムセラミックスにおいても、好ましく使用され得る。ラマン方法は、一面側からのみ材料の深さを測定し、高い伝達性が要求されず、ラマン・スペクトルにフィットさせることによってレーザパラメータと相関され得る電荷担体密度/ドーピングを出力するので、有利である。
【0014】
本発明のさらに好ましい実施例に従う、追加の又は代替の1つのパラメータは、特に前記固体物内の、特に前記固体物の表面から或る距離をおいた、所定の位置又は所定の領域における前記固体物のドーピング度である。好ましくは、該ドーピング度は、処理マップが生成される又は空間的に分解された処理命令が提供されるように、位置情報にリンクされる。該処理マップ及び/又は処理命令は、レーザパラメータ特にレーザ焦点及び/又はレーザエネルギー、及び/又は更なる機械パラメータ特に進行速度、を位置に依存して予め定義する。
【0015】
本発明のさらに好ましい実施例によれば、前記ドーピング度は、非弾性散乱(ラマン散乱)を持つ後方散乱光の分析によって予め決定され、前記後方散乱光は、該後方散乱を誘発するために定められた放射光とは異なる波長又は異なる波長範囲を持ち、該後方散乱光は、予め定義された位置又は予め定義された領域から後方散乱される。
【0016】
この実施例は、レーザ処理、特にSiC(他の材料でもよいが)に対するレーザ処理において、該処理が位置適応化された手法(例えば異なるレーザエネルギーその他)でガイドされねばならないので、有利である。例えばSiCの場合、処理波長に応じて材料の透過性が変化し且つ高度のドーピングはより高いレーザエネルギーを必要とするので、このために特にドーピングが必須であるということが本発明によって確認された。
【0017】
本発明のさらに好ましい実施例によれば、偏光解析測定(例えば、後方反射を伴うミューラー・マトリクス偏光解析法)によってドーピング度が決定される。偏光解析測定は材料の光学的伝達率に好ましく基づく。
【0018】
本発明のさらに好ましい実施例によれば、純粋に光学的に較正された伝達率測定によってドーピング度が決定される。この較正はホール測定及び4点測定によってもたらされる。この方法は、また、材料内のドーピング/自由電荷担体を判定し得、そして、処理に必要なレーザエネルギーを判定し得る。
【0019】
本発明のさらに好ましい実施例によれば、前記ドーピング度は、渦電流測定によって好ましく決定され、好ましくは、前記固体物材料における導電率の相違が決定され評価される。
【0020】
渦電流測定において、又は渦電流センサを使用するとき、又は渦電流測定技術において、好ましくは、局所的な導電率の相違を検出するために送信及び受信コイルが使用される。高周波数の1次交流電磁界が送信コイルで発生される。それから、渦電流(局所的に流れる電流)が導電性物質内に誘起され、次に、反対方向を指向する2次交流電磁界を生成する。これらの磁界の重ね合わせが測定され、分離され、評価され得る。主に薄い導電層の若しくは材料塊の種々の性質特徴(層の厚さ、層の抵抗、材料の均質性)がこうして測定され得る。伝送配置構成(送信及び受信コイル間の試料)において、最適の解決策が達成され、しかし、試料側の両コイルの配置は反射測定にも可能である。コイルの適応化された設計と、周波数、様々な入射深さ及び感度の選択とが採用され得る。
【0021】
原理的に、ドーピングを原理的に測定し得る数多くの測定方法がある。素早い、非接触、非破壊的な方法がここでは重要である。
【0022】
本発明のさらに好ましい実施例によれば、第1のパラメータは、固体物の材料の平均屈折率、又はレーザビームの定義された改質を生成するために横切られねばならない固体物の領域における該固体物の材料の屈折率、又は該固体物の定義された点における且つ好ましくは定義された固体深さのための該固体物の伝達特性、である。本発明のさらに好ましい実施例によれば、第2のパラメータは、レーザビームの定義された改質を生成するために横切られねばならない固体物の前記領域における処理深さである。本発明のさらに好ましい実施例によれば、前記第1のパラメータは屈折率決定手段によって特にスペクトル反射によって決定され、及び/又は、前記第2のパラメータはトポグラフィ決定手段によって特に共焦点クロマチック距離センサによって決定される。本発明のさらに好ましい実施例によれば、前記第1のパラメータに関連するデータ及び前記第2のパラメータに関連するデータが、記憶装置内に設けられ、少なくとも改質を生成する前に制御装置に供給され、該制御装置は、生成すべき改質の各位置に依存して前記レーザ適用装置を調整する。
【0023】
本発明は、固体物から少なくとも1つの固体層を剥離するための方法であり、ここで、固体部分特に1つの固体層を該固体物から剥離するための亀裂を誘導するために、亀裂誘導領域が改質によって提供される。本発明によれば、この方法は、レーザ適用装置に対して相対的に固体物を動かす工程と、少なくとも1つの改質をそれぞれ生成するために該レーザ適用装置によって複数のレーザビームを相次いで生成する工程とを少なくとも含み、該レーザ適用装置は、改質の定義された生成のために、少なくとも1つのパラメータ、特に、定義された複数位置での及び定義された固体深さについての前記固体物の伝達特性、に依存して調整され、ここで、前記表面における又は作用を受けた面の領域における及び/又は固体物の体積の領域における又は作用を受けた固体物の体積の領域における前記固体物の不均質性が、前記レーザ適用装置の前記調整によって補償され、さらに、前記固体物から前記固体層を剥離する工程を含む。好ましくは、この領域は、レーザ放射の回りにおいて、1mm以内又は0.5mm以内又は0.1mm以内で半径方向に広がる。
【0024】
本発明のさらに好ましい実施例によれば、1又は複数の前記パラメータに関連するデータが、記憶装置内に設けられ、少なくとも改質を生成する前に制御装置に供給され、ここで、該制御装置は、生成すべき改質各位置に依存して前記レーザ適用装置を調整する。
【0025】
本発明のさらに好ましい実施例によれば、改質を生成するための前記レーザビームは、高い伝導性を持つ領域よりも低い伝導性を持つ領域においてより大きなエネルギーを持ち、ここで、前記レーザ適用装置は、レーザビームエネルギーを調整するための手段特に音響光学変調器を備える。
【0026】
本発明のさらに好ましい実施例によれば、記固体層が、前記改質の生成の結果としての前記亀裂誘導領域に沿って前記固体物から剥離される、又は、前記固体物が、前記改質の生成後に、熱的に作用され、特に冷却され、該熱的作用の結果として、前記固体層が前記亀裂誘導領域に沿って前記固体物から剥離される、又は、ポリマー層が前記固体物において配置又は形成され、ここで、前記ポリマー層は剥離されるべき固体層の表面に好ましく配置又は形成され、該ポリマー層は、熱的に作用され、特に冷却され、該熱的作用に応じて該ポリマー層の強度が変化され、該ポリマー層の強度の変化の結果として、前記固体物において機械的応力が発生され、該機械的応力は、前記固体物から前記固体層を剥離するために、前記亀裂誘導領域に沿う亀裂伝播を引き起す。
【0027】
本発明は、固体物から固体部分特に1つの固体層を剥離するために、該固体物において剥離領域を生成するための方法に関し、ここで、剥離されるべき該固体部分は、好ましくは、該固体部分によって減少された前記固体物よりも薄い。好ましくは、本発明に従う方法は、処理されるべき固体物を提供する工程と、ここで、該固体物は化合物からなり、レーザ光源を提供する工程と、該レーザ光源のレーザ放射を前記固体物に適用する工程とを少なくとも含み、ここで、レーザビームが、剥離されるべき固体部分の表面を越えて前記固体物内に入射し、及び/又は、レーザ放射温度が、剥離領域又は複数の部分的剥離領域を形成すべく、該固体物内部の該固体物の予め定義された部分を、定義されたやり方で制御する。好ましくは、レーザビームによって固体物の予め定義された部分に生成された温度は、該予め定義された部分を形成する材料が所定の物質変換の形態で改質を受けるほどに高い。特に好ましくは、改質は固体物内の圧力上昇をもたらす。
【0028】
追加的又は代替的に、本発明は、固体物から少なくとも1つの固体層を剥離する方法に関する。この場合における剥離方法は、好ましくは、処理されるべき固体物を提供する工程と、ここで、該固体物は化合物からなり、レーザ光源を提供する工程と、該レーザ光源のレーザ放射を前記固体物に適用する工程とを少なくとも含み、ここで、レーザビームが、剥離されるべき固体部分の表面を越えて前記固体物内に入射し、レーザ放射温度が、剥離領域又は複数の部分的剥離領域を形成すべく、該固体物内部の該固体物の予め定義された部分を、定義されたやり方で制御する。好ましくは、レーザビームによって固体物の予め定義された部分に生成された温度は、該予め定義された部分を形成する材料が所定の物質変換の形態で改質を受けるほどに高い。特に好ましくは、改質は固体物内の圧力上昇をもたらす。
【0029】
この場合、亀裂誘導領域に沿う圧力上昇の結果として、亀裂の伝播によって、固体物から固体層が好ましく剥離される。
【0030】
さらに好ましい実施例によれば、前記レーザビームは、前記固体物の長手方向に沿って、又は前記固体層の好ましくは一部である1つの面特に平面にわたって該固体物の長手方向に対して60度以下の角度で傾いて、該固体物内に入射する。前記亀裂誘導領域は、前記改質の複数層で形成され、各層は、互いに分離して又はオフセットされて、前記長手方向に生成され、及び/又は、少なくとも複数の前記改質が、前記長手方向において1乃至50μmの範囲又は5μm乃至50μmの範囲を持ち、及び/又は、該改質を生成するための前記レーザビームは、0.8未満の開口数となるように、特に0.5以下の開口数となるように、前記固体物内に導入される。
【0031】
本発明は、さらに、少なくとも部分ごとにドーム又はカーブをなす少なくとも1つの固体層を生成するための方法に関する。本発明によれば、該方法は、レーザ適用装置に対して相対的に固体物を動かす工程と、前記固体物の内部に少なくとも1つの改質をそれぞれ生成するために該レーザ適用装置によって複数のレーザビームを相次いで生成する工程とを少なくとも含み、前記改質の結果として、前記固体物から固体部分特に固体層を剥離するための亀裂を誘導するために亀裂誘導領域が設けられ、前記改質は前記固体物内に圧力上昇をもたらし、前記亀裂誘導領域に沿う該圧力上昇の結果としての亀裂の伝播により該固体物から固体層が剥離され、前記固体層の一部として前記改質の少なくとも一部分が前記固体物から分離され、該固体層は前記改質の結果としてカーブした又はドーム形状に変換され、これにより、前記亀裂誘導領域に由来する前記固体層の表面部分が少なくとも部分ごとに湾曲して形作られる。さらに好ましい実施例によれば、前記レーザビームは、前記固体物の長手方向に沿って、又は前記固体層の好ましくは一部である1つの面特に平面にわたって該固体物の長手方向に対して60度以下の角度で傾いて、該固体物内に入射し、前記亀裂誘導領域は、前記改質の複数層で形成され、各層は、互いに分離して又はオフセットされて、前記長手方向に生成され、及び/又は、少なくとも複数の前記改質が、前記長手方向において1乃至50μmの範囲又は5μm乃至50μmの範囲を持ち、及び/又は、該改質を生成するための前記レーザビームは、0.8未満特に0.5以下の開口数となるように前記固体物内に導入される。
【0032】
本発明は、さらに、固体物又はドナー基材から少なくとも1つの固体層特に固体ウェハを剥離するための方法に関する。本発明従う該方法は、好ましくは、固体物を提供する工程と、レーザビームによって前記固体物の内部に改質を生成する工程であって、ここにおいて、亀裂誘導領域に沿って固体層が前記固体物から剥離されるべく、該改質の結果として剥離領域又は亀裂誘導領域が規定される前記工程と、特に周辺の凹みを生成するために前記固体物の材料を取り外す工程とを少なくとも含み、ここで、該材料の取り外しは該固体物の長手方向において行われ、該材料の取り外しの結果として前記剥離領域が露出される。
【0033】
前記固体物から固体層を剥離する工程。好ましくは、前記固体物から固体層が剥離され、ここで、前記材料の取り外しの結果として固体層が前記固体物から剥離されるように、前記固体物が前記亀裂誘導領域において脆弱化され、若しくは、前記材料の取り外しの後に、前記固体物から固体層が剥離されるようになるように、前記固体物が前記亀裂誘導領域において脆弱化されるほどの数の改質が生成され、若しくは、周囲面に対して或る傾きで整列した前記固体物の特に平らな面において、応力発生層が配置又は形成され、該応力発生層における熱的作用の結果として、前記固体物において機械的応力が発生され、該機械的応力の結果として、該固体層を剥離するための亀裂が生成され、前記材料の取り外しによって露出された前記固体物の表面から開始する改質に沿って、該亀裂が伝播し、若しくは、前記固体物が熱的に作用され、特に改質の生成後に冷却され、該熱的作用の結果として、固体層が亀裂誘導領域に沿って前記固体物から剥離される。
【0034】
したがって、固体物上に受理層を配置又は生成する工程は、受理層がポリマー材料特にポリメチルシロキサン又はエラストマー又はエポキシ樹脂又はそれらの組み合わせからなる若しくはそれらを含むという特徴を好ましく持ち、そして、特に機械的な固体物内の亀裂伝播応力を生成するための、該受理層に対する熱的作用の結果として、該ポリマー材料はガラス転移を受け、ここで、亀裂伝播応力の結果として、亀裂が亀裂伝播領域に沿って固体物内に伝播する(広がる)。
【0035】
本発明のさらに好ましい実施例によれば、前記受理層は、重さに関して、少なくとも殆どの部分について好ましくは完全に、ポリマー材料を含むか又はポリマー材料からなり、ここで、ポリマー材料のガラス転移は−100℃乃至0℃の間、特に−85℃乃至−10℃の間又は−80℃乃至−20℃の間又は−65℃乃至−40℃の間又は−60℃乃至−50℃の間にある。
【0036】
前記受理層は、好ましくは、ポリマーハイブリッド材料からなり、又は、特に好ましくはポリマーマトリクスを形成するような材料を含み、ここで、充填物(filler: フィラー)が該ポリマーマトリクス内に配置され、該ポリマーマトリクスは好ましくはポリメチルシロキサンマトリクスであり、ポリマーマトリクス材料におけるポリマーマトリクスの質量分率は好ましくは80%乃至99%であり、特に好ましくは90%乃至99%である。
【0037】
前記受理層は、予め製造されたフィルムとして好ましく用意され、特に積み重ねて又は接着して、前記固体物に結合される。
【0038】
本発明によれば、分離方法において使用されるためのポリマーハイブリッド材料が、少なくとも2つの固体物部分片が固体物開始材料から生成される該方法において特定される。本発明に従う該ポリマーハイブリッド材料は、ポリマーマトリクスとそこに埋め込まれた少なくとも1つの第1の充填物とを含む。これに関して、充填物について以下述べるように、同時にまた、複数の充填物の可能性を含むべきである。例えば、充填物は異なる複数物質の混合物、例えば金属粒子及び無機的繊維、を含み得る。何らかのポリマー又は異なる複数ポリマーの混合物がポリマーマトリクスとして使用されることができ、その助けを借りて、固体物開始材料の分離に必要な応力が生成され得る。例えば、ポリマーマトリクスは、エラストマーマトリクスとして、好ましくはポリダイオルガノシロキサンマトリクスとして、特に好ましくはポリダイメチルシロキサンマトリクスとして、生成され得る。可変的な架橋結合度の結果として、その特性がフレキシブルに調整され各充填物及び分離されるべき固体物開始材料に適応化され得るので、そのようなポリマー材料は、充填物を混合したマトリクス材料として、特に容易に使用され得る。一実施例によれば、ポリマーハイブリッドマトリクス材料におけるポリマーマトリクスの質量分率は好ましくは80%乃至99%であり、特に好ましくは90%乃至99%である。
【0039】
第1の充填物は、有機的又は無機的性格のものであり得、また、化学元素及び化合物の両方からなること若しくは例えば合金のような混合物質からなることが可能である。
【0040】
第1の充填物は、分離後に固体物部分片からポリマーハイブリッド材料を剥離するときに、反応物、開始剤、触媒、若しくは促進剤として作用するように構成されることができ、これにより、第1の充填物を持たないポリマー材料に比べて、分離後の固体物部分片からのポリマーハイブリッド材料の素早い剥離をもたらす。
【0041】
この場合、第1の充填物の特定の化学組成及び構成並びにその重量分率は、分離されるべきポリマーマトリクスの特定の材料、この目的に使用された溶媒、及び使用された反応物質に、特に依存する。さらに、固体物開始材料の材質及び分離されるべき固体物開始材料の寸法も、役割を演ずる。
【0042】
ポリマーマトリクスにおける第1の充填物の具体的な比率は、該充填物の材質とその作用モードに強く依存する。一方、充填物にかかわらず、ポリマーマトリクスは、応力を生成する役目を依然として満たさねばならない。他方、該第1の充填物の該比率は、ポリマー除去の望みの影響を達成するように十分高いものでなければならない。この分野の熟練者は、単純な濃度依存テストの過程で、第1の充填物の最適な重量分率を決定し得る。
【0043】
機械的特性を改善するために、例えばポリマーの無機質組織網の形態からなる焼成珪酸のような更なる充填物が、追加的貢献をなし得る。組織網状の形態におけるこれらの強い相互作用に加えて、純粋に流体力学的な補強による弱い相互作用もまた、改善に貢献し得る。例えば、目標とする粘着性の増加がここで述べられてよく、これは、この分離方法における改善された処理を可能にし、かつ、改善された製造寛容性に貢献し得る。さらに、この相互作用の結果として、増加する補強による構造的再配向に関する内部自由度の減少が難しくされる。これは、ポリマーハイブリッド材料で使用されるポリマーのガラス転移温度の所望の低下をもたらし、この分離方法においてより低い温度の利点を可能にする。本発明によれば、固体物開始材料を少なくとも2つの固体物部分片に分離する分離方法によって得られる該固体物部分片からのポリマーハイブリッド材料の剥離を加速するために、ポリマーハイブリッド材料において第1の充填物が使用される。
【0044】
分離方法のときに固体物開始材料に結合されているポリマーハイブリッド材料の外側すなわち下部境界面から始まる第1の充填物の質量分率が、前記下部境界面に平行な該ポリマーハイブリッド材料の別の境界面の方向に減少するようなやり方で、該第1の充填物はポリマーマトリクス内に分布され得る。これは、固体物開始材料又は部分片に近い該充填物の質量分率が該ポリマーハイブリッド材料の残りの領域においてよりも大きいということを意味する。この第1の充填物の分布は、該第1の充填物が固体物部分片の境界面に近接して位置され且つその作用をそこで発展し得るので、分離後のポリマーハイブリッド材料の特に効果的な除去を可能にする。同時に、該ポリマーハイブリッド材料の残りの領域は、第1の充填物を少ししか持たないか又は全く持たず、これにより、該ポリマーの機能が可能な限り僅かしか影響されないようにする。
【0045】
一実施例において、該ポリマーハイブリッド材料は層形状で構成されており、固体物開始材料に面する一層だけが前記第1の充填物を含むが、残りのポリマーハイブリッド材料には第1の充填物がない。さらに、下部境界面に直接的に隣接しているポリマーハイブリッド材料の下部領域は、前記第1の充填物を含まないようにし得る。したがって、一連の領域が次のようにして得られ得る:最初に第1の充填物の無い領域が固体物開始材料に隣接して位置され、第1の充填物を高い比率で持つ領域が次に来て、そして、第1の充填物を低い比率で持つか若しくは全く持たない領域が続く。
【0046】
これらのそして以下述べるすべての領域は層の形態で構成され得る。すなわち、該領域は、ポリマーハイブリッド材料が適用される固体物開始材料の境界面に顕著に平行に延びており、かつ、少なくとも該境界面の領域において長手及び横方向に延びている。第1の充填物の無い下部領域は、特に、該第1の充填物が固体物開始材料に対するポリマーハイブリッド材料の粘着性の劣化を引き起こす場合のために、設けられ得る。これが無いようにするために、まず、充填物の無い領域が設けられ、続いて、充填物を高い比率で持つ領域が設けられ、これにより、第1の充填物がその機能を叶え得る。第1の充填物の無い下部領域は、例えば、厚さ10μm乃至500μm例えば100μmを持ち得る。
【0047】
さらに、その上部境界面に直接隣接するポリマーハイブリッド材料の上部領域には、第1の充填物が無いようにし得る。ここで、該上部境界面は、前記下部境界面の反対側のポリマーハイブリッド材料を限界づけ且つ周辺環境に対して該固体物開始材料を限界づけるものとして理解されるべきである。上部境界面及び下部境界面は、互いに平行に配置され得る。
【0048】
そのような第1の充填物が無い上部領域は、第1の充填物が周辺環境とポリマーハイブリッド材料との間の熱伝達に不利な影響を及ぼすときに、例えばポリマーハイブリッド材料の冷却が遅れるときに、特に設けられ得る。
【0049】
第1の充填物は、反応物、好ましくはガス状の生成物を放出する酸化剤、と反応し得る材質を含む又は該材質で成ることができる。
【0050】
その結果、ポリマーマトリクス内に複数の空洞が発生され得るようになり、それは、ポリマーマトリクス及び任意の存在する犠牲層に対する反応物及び溶媒のより急速なアクセスを可能にし、加えて、抽出物及び溶解成分のより急速な除去をもたらす。
【0051】
ガス状の反応生成物の発生結果として、追加の駆動力が導入され得るようになり、ポリマーハイブリッド材料の除去をさらに手助けする。追加の空洞の形成及びガス状反応生成物の発生は、ポリマーの除去を加速し、これにより、当該分離方法の全体的歩留りの増大に貢献する。第1の充填物の比率の変化によって、固体物部分片とポリマーハイブリッド材料との間の又は犠牲層とポリマーハイブリッド材料との間の境界領域における空洞密度が特に影響され得る。
【0052】
第1の充填物は、金属、特にアルミニウム、鉄、亜鉛、及び/又は銅を含むことができ、若しくは、金属、特に今述べた金属からなることができる。「からなる」とは、今述べた金属を全て含むことであり、例えば充填物の製造又はポリマーマトリックスへの充填物の配分若しくは結合のために使用される、技術上誘起された不純物又は技術上誘起された追加物を含み得る。
【0053】
金属の充填物は、例えば塩酸、硝酸、クエン酸又はスルファミン酸のような酸化剤によって、ガス状生成物を放出して、反応することができ、これによって、ポリマーハイブリッド材料から取り除かれる。
【0054】
例えば、アルミニウムは、濃縮された塩酸で反応し、次式に従って、溶媒和金属イオン及び水素を形成する:
6 HCl + 2 Al + 12 H
2O ! 2 [AlCl
3*6 H
2O] + 3 H
2
【0055】
同様に、充填物としての亜鉛の反応は、濃縮された塩酸による反応によって、5個の追加の空洞の形成をもたらす:Zn + 2 HCl!ZnCl
2 + H
2である。前記例において、水素の発生によって追加の駆動力が導入され、それはポリマーハイブリッド材料の取り除きをさらに手助けする。加えて、例えばポリマーマトリクスのポリマーよりも高い熱拡散率を持つ第1の充填物によって、該第1の充填物はポリマーハイブリッド材料内部の熱伝達率を改善することができる。これは、該第1の充填物が金属を含む場合における更なる利点がポリマーハイブリッド材料内部の改善された熱伝達率にあるときの実例ケースであり得る。改善された熱伝達率により、冷却による固体物開始材料の分離のために生成された応力は、結果的に、より効率的に、すなわち、より急速に且つ冷却物質のより低い消費で、発生され得る。これは、当該分離方法の全体的な歩留りを増大し得る。
【0056】
さらに、第2の充填物をポリマーハイブリッド材料内に設けることができ、該第2の充填物は、第2の充填物の無いポリマーハイブリッド材料に比べて、固体物開始材料へのポリマーハイブリッド材料の接着性を増強する。好ましくは、この接着性は、充填物の無いポリマー材料に比べて増強される。
【0057】
例えば、該第2の充填物は、プラズマによって活性化され得る充填物を含み得る。プラズマ活性化は新たな表面種(species: スピーシーズ)をもたらし、ここで、該新たな表面種は、固体物開始材料の表面とのより強固な相互作用をもたらし且つその結果としてポリマーハイブリッド材料の接着性が改善されるように、作成され得る。
【0058】
プラズマ処理によって実現され得る表面種のタイプは、主に、プラズマ処理の処理制御に依存する。例えば、プラズマ処理中に、窒素、酸素、シラン又はクロロシランのようなガスが添加され得、これにより、固体物開始材料の表面とより強固に相互作用し得る例えば極性基が形成される。
【0059】
第2の充填物は、該第2の充填物の質量分率が下部境界面に向かって減少するように、ポリマーマトリクスにおいて分布され得る。例えば、ポリマーハイブリッド材料は、下部境界面に隣接する領域においてのみ該第2の充填物を含むことができ、該下部境界面は上述した定義の意味合いでの層としても構成され得る。
【0060】
これは、好ましくはポリマーハイブリッド材料と固体物開始材料との間の境界面の近くにおける該第2の充填物の配置を可能にし、これにより、接着が改善され、分離されるべき固体物開始材料へのより大きな力の伝達が可能とされる。例えば、該第2の充填物は、コアシェルポリマー粒子を含み得る。
【0061】
この場合において、ポリマーハイブリッド材料のポリマーマトリクスとは異なるポリマー合成物からなる粒子が好ましく、特に、その表面すなわちコアシェル粒子のシェルは、例えば低温プラズマにより、より強固に活性化され得る。
【0062】
実例において、コアシェル粒子は、アクリル塩酸シェルを持つポリシロキサンコア、又はエポキシシェルを持つナノスケールの珪酸塩コア、又はエポキシシェルを持つゴム粒子コア、又はエポキシシェルを持つニトリルゴム粒子コアを備える。第2の充填物は、低温プラズマ例えば冷プラズマによって活性化され得る。例えば、該プラズマは誘電体バリア放電(DBE)によって生成され得る。この場合において、10
14 乃至 10
16 m
-3の範囲の電子密度が生成され得る。DBEによって生成された“冷”非平衡プラズマの平均温度(プラズマ容積)は、雰囲気圧で約300 ± 40 Kである。DBEによって生成された非熱的プラズマの平均温度は、雰囲気圧で約70℃である。
【0063】
DBE処理中に、例えば、数マイクロ秒乃至数十ナノ秒のパルス間隔及び単一ビット乃至2ビットキロボルト領域の振幅を持つ単極性又は双極性パルスに表面が曝される。この場合、放電空間に金属電極が無く、よって、金属不純物又は電極磨滅は予期されない。
【0064】
加えて、充電キャリアが電極で出入りする必要がないので、高能率であるという利点を持つ。
【0065】
誘電体表面は、低温において改質され且つ化学的に活性化され得る。この表面改質は、例えば、イオン衝撃による表面種の相互作用及び反応によって達成され得る。さらに、該表面上に特定の化学基を生成するために、例えば窒素、酸素、水素、シラン、又はクロロシランのような処理ガスが、例えば、SixHyEz(ここで、E=F, Cl, Br, I, O、H及びx=0乃至10、z=0乃至10)、SiH
4 、Si(EtO)
4 、又は Me
3SiOSiMe
3が、プラズマ処理中に添加され得る。さらに、第2の充填物は、コロナ処理、火炎処理、フッ素付加、オゾン処理若しくは紫外線処理、又は、エキシマ照射によって活性化され得る。例えば、そのような活性化の結果として、該第2の充填物の表面上に複数の極性基が発生され、それらは固体物開始材料の表面と相互作用することができ、こうして、接着性を改善する。ポリマーハイブリッド材料は、第1の充填物を持つポリマーハイブリッド材料に対して又は第1及び第2の充填物を持つポリマーハイブリッド材料に対して、さらに第3の充填物を追加して含み得る。この第3の充填物は、ポリマーマトリクスのポリマーに比べて、より高い熱拡散性及び/又はより高い弾性率を持つ。
【0066】
例えば、低温条件下でのポリマーの弾性率は、より低い方の単一桁のギガパスカル範囲(約1乃至3GPa)にあるが、例えば金属充填物は2桁乃至3桁のギガパスカル範囲の弾性率を持つ。対応して高い充填物比率によって、浸透充填物組織網が可能であり、それは固体物開始材料への改善された“力結合”を可能にする。
【0067】
浸透は、各充填物の充填体積度合い(例えば、目的の比率に応じて、0.1体積%、1体積%乃至10体積%など)によって実質的に影響される。導入する力の増加によって、ポリマー構造の粘弾性構造が浸されることができ、複数の浸透通路が有効となる。ここで、固体物開始材料の表面への充填物の改善された接触により、改善された熱伝達が可能とされる。
【0068】
ポリマーハイブリッド材料の機械的安定性もまた、低温にて、より急速に達成され得る。全体的にこのことは、例えばポリマーハイブリッド材料の破壊応力及び破壊歪みのような、対応する構造特性プロフィルのより低い標準偏差をもたらし、したがって、当該分離方法の全体的な歩留りの増加をもたらす。空間的に分解された、従って固体物における、特性プロフィルの変化(ポリマーハイブリッド材料における応力ピーク)はより小さくなり、このことは、当該分離方法の全体的に高い歩留り及びより高品質な固体物部分片の生成をもたらす。
【0069】
第3の充填物は、周辺環境とポリマーハイブリッド材料との間の改善された熱伝達及びポリマーハイブリッド材料内部でのより素早い熱伝導をもたらし、これにより、ポリマーハイブリッド材料をより急速に冷却することができ、この分離方法が全体としてより急速に、よって、より効果的に実行され得る。
【0070】
弾性率の増加により、より高い応力が固体物開始材料の分離のために生成され得るようになり、これによって、特により高い応力が要求される固体物開始材料が分離され得るようにもなる。
【0071】
加えて、第3の充填物は、熱膨張係数に影響するように使用され得る。ここで、この目的は、分離に必要な応力を実現し得るようにするために、ポリマーハイブリッド材料及び分離されるべき固体物開始材料の各熱膨張係数の最大の可能な差である。好ましくは、第3の充填物は、高い熱膨張係数すなわちポリマーマトリクスよりも高い熱膨張係数を持つ。例えば、第3の充填物の熱膨張係数は、300ppm/Kよりも大きくされ得る。
【0072】
第3の充填物は、特に周辺環境に対する境界面においてより急速な熱伝達を可能にするために、該第3の充填物の重量分率が上部境界面に向かって増加するようにポリマーマトリクスにおいて分布され得る。
【0073】
第3の充填物は、金属、特にアルミニウム、鉄、亜鉛、及び/又は銅を含むことができ、若しくは、今述べた金属の1つからなることができる。金属は、一般に、高い熱伝達率及び熱拡散性によって特徴付けられる。
【0074】
上述の(第1、第2、第3の)充填物は、ポリマーマトリクス内で微粒子状に分布した状態で提供されることができ、その粒子サイズは、少なくとも1つの粒子の寸法に関して、μm乃至nmの範囲である。充填物の粒子は、球形に加えて、例えば棒状、円板状など、複数の異なる形状を持ち得る。
【0075】
充填物の粒子は、例えば単一モード又は二峰モード、特に単分散又は広いものなど、あらゆる特定の分布を持ち得る。該充填物は、例えばポリマー組織網内に埋め込まれることによって物理的に及び化学的にも、結合され得る。さらに、1以上の上述の充填物が、無機的又は有機的ファイバ、例えばカーボン、ガラス、玄武岩又はアラミドファイバを含み、若しくは、上述した機能がこれらと調和され得るならば、これらからなる。必要に応じて、これらのファイバを含む又はこれらのファイバからなる更なる充填物が追加され得る。
【0076】
通常、ファイバは高い異方性の特性を持つ。ポリマーハイブリッド材料内における該充填物の方向に依存した位置決めによって、固体物開始材料を分離するのに必要な応力に特別に影響を及ぼすことができる。これは、当該分離方法の全体的な歩留りを増す手助けをなし得る。ポリマーハイブリッド材料内部の機械的特性の改善が実現され得ることなく、高い異方性構造を持つ繊維性物質として、無機的又は有機的な充填物が使用される、という追加の利点が存在する。
【0077】
上述の充填物は、コアシェル粒子を追加的に含み得るか、若しくはこれらからなる。追加的に又は代替的に、コアシェル粒子を含む又はこれらからなる更なる充填物は、ポリマーハイブリッド材料内に設けられ得る。
【0078】
改善された活性化可能性に加えて、コアシェルポリマー粒子の使用は、また、新たなエネルギー吸収メカニズムの構成を可能にし、これは、衝撃強度及び破損靱性の向上をもたらし、特に当該分離方法において使用される時にポリマーハイブリッド材料の低温衝撃強度の増加をもたらし、これにより、当該分離方法の高い全体的な歩留りの手助けをなし得る。例えば、ポリマーハイブリッド材料製のフィルムの機械的破壊は低い確率でしか起こり得ず、そのため、該フィルムの再使用の可能性が高まり得る。
【0079】
例えば、コアシェルポリマー粒子の結果としての引き裂き伝播の阻止により、当該分離方法における前記フィルムの破壊が阻止され、その再使用の道が開かれる。
【0080】
この場合、得られたエラストマー粒子は、プラスチック変形を被って空洞を形成し得るものとなり、これにより、さらに追加のエネルギーが吸収され得る。また、マトリクスの剪断流による追加のエネルギー吸収が補償されることができ、全体的に機械的特性を改善する。コアシェル粒子は、普通は球形の1つの材質のコアが第2の材質のシェルによって包囲されたものからなることを特徴としている。このシェルは、コアを完全に包囲し得るか、又は透過性を持ち得る。これらの材質は、例えば金属のような無機的材質、又は、例えばポリマーのような有機的材質の両者であり得る。例えば、2つの異なる金属が組み合わされ得る。しかし、ポリマー製のコアを金属製又は第2の材質製のシェルによって包囲することも可能である。
【0081】
コアシェル粒子は、第1及び第2の材質の特性を組み合わせることを可能にする。例えば、充填物の粒子のサイズ及び密度は、費用がかからないポリマーコアによって具現化され得るが、金属シェルは上述したように反応し得る。それらの普通の単分散粒子サイズ分布の結果として、コアシェル粒子の特性は厳密に予測され且つ調整され得る。
【0082】
さらに、1以上の前記充填物(第1、第2、第3の充填物)は、工業的煤(カーボンブラック)の形をとるカーボン、グラファイト、裁断されたカーボンファイバ、カーボンナノファイバ、好ましくは例えば多層カーボンナノチューブ(MWCNT)及び単層カーボンナノチューブ(SWCNT)のようなカーボンナノチューブ(CNT)の形をとるカーボンナノファイバを含むことができ、若しくは、これらからなるもので有り得る。カーボンナノチューブは、円筒状のグラファイトの複数層からなり、各層は異なる数の円筒で構成される。
【0083】
もしこれらのチューブが1つの円筒のみからなるならば、それらは単層カーボンナノチューブ(SWCNT)と称される。もし2以上の円筒が存在するならば、2層カーボンナノチューブ(DWCNT)又は多層カーボンナノチューブ(MWCNT)が形成される。これらは互いの内部で同心円状に好ましくネスト化され得る。
【0084】
様々な実施例によると、第3の充填物は複数のMWCNTを含み得るか又は複数のMWCNTからなることができ、これらは特に高い熱伝導率(3000 W*(m*K)-1より大)を持ち且つ同時に5乃至60GPaの範囲の非常に高い引き裂き強度を持つ。ここで、高い機械的安定性は、充填物の高い引き裂き値、極端な弾性、及び非常に良好な弾力において示される。
【0085】
この基礎は、3つの隣り合う炭素原子に対するπ結合としての非局在化されたp軌道に関連したsp2混成された強力なσ-C-C-結合である。
【0086】
高い特性値すら、SWCNTによって実現され得る(弾性率:410GPa乃至4150GPa、これに対して、グラファイト:1000GPaであり、SWCNT:熱伝導率は約6000 W*(m*K)-1)。しかし、MWCNTに比べて、劣ったコスト/パフォーマンス比が示される。500nm乃至1000nmの長さで、MWCNTの円筒直径は典型的には1nm乃至100nmの範囲、好ましくは5nm乃至50nmの範囲である。
【0087】
さらなる実施例によれば、熱伝導率の改善(例えば200 W*(m*K)-1まで)もまた達成され得るので、第3の充填物はMWCNTを含み、同時に第2及び/又は第1の充填物はカーボンブラックを含むか若しくはカーボンブラックからなる。例えばカーボンブラックの使用は0.4GPa未満の値のかなり低い引き裂き強度を持つので、2以上の充填物の組み合わせが可能であり、当該分離方法における全体的な分離歩留りの改善及び全体的なコストの改善をもたらし得る。
【0088】
この場合、煤粒子(カーボンブラック)の平均的直径は、5nm乃至100nmの範囲、好ましくは20nm乃至200nmの範囲、特に好ましくは40nm乃至100nmの範囲である。
【0089】
さらに、充填物は、珪酸例えば焼成珪酸からなる又はこれを含むものであり得る。追加的に又は代替的に、珪酸を含む又は珪酸からなる更なる充填物がポリマーハイブリッド材料内に設けられ得る。
【0090】
焼成珪酸は、三次元的組織網を形成することができ、それにより、機械的安定性の改善に貢献し得る。したがって、そのような充填物が、ポリマーハイブリッド材料の機械的特性の意図する調整のために使用され得る。1以上の前記充填物(第1、第2、第3の充填物)は、これらに帰する機能に調和され得るのであれば、同じ材質からなることができる。例えば、第1及び第3の充填物の両方がアルミニウムを含むか又はアルミニウムからなることができる。アルミニウムは、上述したように、複数の空洞を発生するために及び固体物開始材料からのポリマーハイブリッド材料の除去を加速するために使用されることができ、また、熱拡散を増加するために使用され得る。そのような構成は、全ての機能を満たすために1又は2個の充填物のみを追加するだけで十分とし得るので、製造工程を簡素化する。
【0091】
第1及び第2の充填物は、追加的な第3の充填物も同様に、異なる材質からなることができる。これは、所望の機能に向けて、個別の及びより良好な適応化を可能にする。
【0092】
本発明に従うフィルムは上述したようなポリマーハイブリッド材料を備える。該フィルムは例えば0.5乃至5mmの厚みを持つ。少なくとも表面に、本発明に従うポリマーハイブリッド材料又はフィルムが適用され、それに対応する複合構造が得られる。適用されたポリマーハイブリッド材料又はフィルムは、以下、受理層と称される。そのような受理層の厚みは、例えば0.5mm乃至5mm、特に1mm乃至3mmで有り得る。オプションとして、ポリマーハイブリッド材料又はフィルムは、いくつかの露出された表面、特に互いに平行に配置された表面に適用され得る。
【0093】
該受理層を10℃以下に冷却するように、特に好ましくは0℃以下、さらに好ましくは−10℃以下若しくは−40℃以下に冷却するように、熱的作用が働く。
【0094】
該受理層の冷却は、該受理層の少なくとも一部がガラス転移するようなやり方で、ほとんど好ましく実現され得る。ここで、冷却は、例えば液体窒素によって、−100℃以下まで冷却するように行われ得る。この実施例は、温度変化に依存する受理層が収縮し及び/又はガラス転移され、それによって生成された力が固体物開始材料に伝達され、その結果、機械的応力が該固体物内に生成され得、亀裂のトリガ(切っ掛け)及び/又は亀裂の伝播をもたらすので、有利であり、ここにおいて、該亀裂は、固体層を切り開くための第1の剥離面に沿って、最初に伝播する。
【0095】
更なる工程において、前記ポリマーハイブリッド材料又はフィルムは、例えば化学的反応、物理的引き剥がし処理、及び/又は機械的除去によって、固体物部分片から除去される。
【0096】
固体物部分片からのポリマーハイブリッド材料の除去処理は、適度の周辺温度例えば20℃乃至30℃の範囲で行われることができ、好ましくは、より高い30℃乃至95℃の温度範囲で、例えば50℃乃至90℃の温度範囲で行われることができ、しかし、より低い1℃乃至19℃の温度範囲でも行われ得る。
【0097】
増加された温度範囲は、例えばポリマーハイブリッド材料と固体物との間で犠牲層を使用する場合において、反応速度の増加の結果として、化学的な除去反応を短時間で行わせることができる。犠牲層が使用されるとき、該除去は、水溶液において、有利には2乃至6の範囲のpHを持つ水溶液において、行われ得る。様々な実施例によると、該除去処理は、適宜の無極溶媒に由来する溶液による処理の形態で行われ得る。ここで、適度の周辺温度としては、1℃乃至50℃の範囲が好ましく、特に好ましいのは20℃乃至40℃の範囲である。
【0098】
ここで、フィルム上に如何なる温度作用も無しに前記除去を行うことが特に有利である。例えばトルエン、n−ペンタン、n−ヘキサンのような脂肪族の及び芳香族の炭化水素が、また、例えば四塩化炭素のようなハロゲン化された溶媒もまた、使用され得る。この場合、非常に強い可逆的な膨張が溶媒処理によってポリマーハイブリッド材料に引き起こされ得るので、除去されるべきポリマーハイブリッド材料と前記固体物部分片に対する境界面に追加的な力が導入されることができ、その結果、該除去が全体として簡単化される。
【0099】
さらなる実施例によれば、上述した犠牲層の除去メカニズムと適宜の無極溶媒との組み合わせによっても、フィルム上に如何なる温度作用も無しに前記除去を行うことができる。ここで、材料は、好ましくは前記固体物の長手方向において除去される。
【0100】
本発明は、さらに、固体物又はドナー基材から少なくとも1つの固体層特に固体ウェハを剥離するための方法に関する。本発明従う該方法は、好ましくは、固体物を提供する工程と、レーザビームによって前記固体物の内部に改質を生成する工程であって、ここにおいて、それに沿って前記固体物からの固体層の剥離を行うべく、該改質によって剥離領域又は亀裂誘導領域が規定される前記工程と、特に周辺の凹みを生成するために前記固体物の材料を取り外す工程とを少なくとも含み、ここで、該材料の取り外しは該固体物の長手方向において行われ、該材料の取り外しの結果として前記剥離領域が露出される。
【0101】
前記固体物から固体層を剥離する工程。好ましくは、前記固体物から固体層が剥離され、ここで、前記材料の取り外しの結果として固体層が前記固体物から剥離されるように、前記固体物が前記亀裂誘導領域において脆弱化され、若しくは、前記材料の取り外しの後に、前記固体物から固体層が剥離されるようになるように、前記固体物が前記亀裂誘導領域において脆弱化されるほどの数の改質が生成され、若しくは、周囲面に対して或る傾きで整列した前記固体物の特に平らな面において、応力発生層が配置又は形成され、該応力発生層における熱的作用の結果として、前記固体物において機械的応力が発生され、該機械的応力の結果として、該固体層を剥離するための亀裂が生成され、前記材料の取り外しによって露出された前記固体物の表面から開始する改質に沿って、該亀裂が伝播し、若しくは、前記固体物が熱的に作用され、特に改質の生成後に冷却され、該熱的作用の結果として、固体層が亀裂誘導領域に沿って前記固体物から剥離される。
【0102】
前記固体物からの剥離は、外部力を導入するための他の方法を使用してさらに達成することができる。ワークピースに適用する十分な力を生成するために、特に、音波とりわけ超音波が使用され得る。他の力は、開離力圧力に匹敵する引張力であり、ワークピースの前後側から反対の回転力を介して及ぼされる重力の力と同様に、ターゲットとした局所的な力適用(ハンマー及び鑿)。外部力の適用は、レーザ放射によって生成された微小な亀裂同士を接続し、これにより、レーザ面に沿う固体物の完全な分離を可能にする。
【0103】
本発明のさらに好ましい実施例によれば、材料の取り外しは前記固体物の露出した面から開始して行われ、該露出した面は特に平らな面であり、該平らな面は、前記固体物の長手方向に、かつ、少なくとも部分ごとに前記固体物の周囲面から離隔した、前記固体物の周囲面に特に平行な面である。
【0104】
本発明のさらに好ましい実施例によれば、前記材料の取り外しは、少なくとも部分ごとに連続して延びた溝の形態で行われ、該溝は、前記周囲面から好ましくは少なくとも30μm又は少なくとも100μm又は少なくとも500μm又は少なくとも1mmだけ離隔されており、好ましくは該周囲面に平行に延びている。
【0105】
本発明のさらに好ましい実施例によれば、前記固体層の剥離後に、前記溝と周囲面との間に形成された前記固体物の少なくとも固体部分が、特に既に取り外された1又は複数の固体層の厚み分だけ、少なくとも部分ごとに取り外され、特に研削、ラップ磨き、エッチング又は研磨される。本発明のさらに好ましい実施例によれば、前記材料の取り外しは、レーザ切除又はジェット水切断又はエッチングによって行われる。
【0106】
本発明は、さらに、固体物から固体部分特に固体層を剥離するために該固体物内に剥離領域を生成するための方法に関し、ここで、剥離されるべき固体部分は、該固体部分によって減少される前記固体物の厚みよりも好ましく薄いものである。本発明に従う方法は、好ましくは、固体物を提供する工程と、レーザ放射領域における塵の滞留を防止するために、ガスの流れ方、特に固体物とレーザ適用装置との間に位置する空気の流れ方を調整する工程と、及び/又は、レーザ適用装置のレーザビームによって前記固体物の内部に改質を生成する工程とを少なくとも含み、ここで、該改質によって剥離領域又は亀裂誘導領域が規定され、該改質に沿って前記固体物からの固体層の剥離が行われることになる。
【0107】
さらに、本発明は、固体物又はドナー基材から少なくとも1つの固体層特に固体ウェハを剥離するための方法に関する。本発明に従う方法は、好ましくは、固体物を提供する工程と、レーザ放射領域における塵の滞留を防止するために、ガスの流れ方、特に固体物とレーザ適用装置との間特にレーザ放射経路の領域に位置する空気の流れ方を調整する工程と、レーザ適用装置のレーザビームによって前記固体物の内部に改質を生成する工程とを少なくとも含み、ここで、該改質によって剥離領域又は亀裂誘導領域が規定され、該改質に沿って前記固体物からの固体層の剥離が行われることになる。
【0108】
前記固体物から前記固体層を剥離する工程を含み、ここで、特に、材料の取り外しの結果として前記固体層が前記固体物から剥離されるように、亀裂誘導領域における改質によって、特に前記固体物が好ましく脆弱化され、又は、材料の取り外し後、固体層が前記固体物から剥離されることになるように、前記固体物が亀裂誘導領域において脆弱化されるような数の改質が生成され、又は、周囲面に対して或る傾きで整列した前記固体物の特に平らな面において応力発生層が生成若しくは配置され、且つ、固体層に対する熱的作用の結果として、機械的応力が前記固体物において発生され、該機械的応力の結果として、該固体層を剥離するための亀裂が生成され、該亀裂は、前記材料の取り外しによって露出された固体物の表面から始まって、前記改質に沿って伝播し、又は、前記固体物は、熱的に作用され、特に前記改質の生成後に冷却され、該熱的作用の結果として、前記固体層が前記亀裂誘導領域に沿って前記固体物から剥離される。
【0109】
本発明のさらに好ましい実施例によれば、前記流れ方の調整は、流体特にイオン化されたガスを、対物レンズと前記固体物の間のレーザビーム経路の領域に供給することによって行われる、若しくは、前記流れ方の調整は、前記対物レンズと前記固体物の間のレーザビーム経路の領域に負圧を発生させる特に真空にすることによって行われる。
【0110】
本発明は、さらに、固体物又はドナー基材から少なくとも1つの固体層特に固体ウェハを剥離するための方法に関し、固体物を提供する工程と、ここで、該固体物は少なくとも1つのコーティングを有していて、該コーティングの屈折率は該コーティングが配置された固体物の表面の屈折率とは異なり、若しくは、該固体物上にコーティングが生成されていて、該コーティングの屈折率は該コーティングが配置された固体物の表面の屈折率とは異なり、レーザ適用装置のレーザビームによって前記固体物の内部に改質を生成する工程とを少なくとも含み、前記改質によって亀裂誘導領域が規定され、該改質に沿って前記固体物からの固体層の剥離が実現される。
【0111】
前記固体物から前記固体層を剥離する工程を含み、ここで、材料の取り外しの結果として前記固体層が前記固体物から剥離されるように、亀裂誘導領域における改質によって、特に前記固体物が好ましく脆弱化され、又は、材料の取り外し後、固体層が前記固体物から剥離されることになるように、前記固体物が亀裂誘導領域において脆弱化されるような数の改質が生成され、又は、周囲面に対して或る傾きで整列した前記固体物の特に平らな面において応力発生層が生成若しくは配置され、且つ、固体層に対する熱的作用の結果として、機械的応力が前記固体物において発生され、該機械的応力の結果として、該固体層を剥離するための亀裂が生成され、該亀裂は、前記材料の取り外しによって露出された固体物の表面から始まって、前記改質に沿って伝播し、又は、前記固体物は、熱的に作用され、特に前記改質の生成後に冷却され、該熱的作用の結果として、前記固体層が前記亀裂誘導領域に沿って前記固体物から剥離される。
【0112】
本発明のさらに好ましい実施例によれば、前記コーティングはスピンコーティングによって生成され、該コーティングは、ナノ粒子、特に、少なくともシリコン、炭化珪素、酸化チタン、ガラス特に石英ガラス、又は酸化アルミニウム(Al
2O
3)を含むリストから選択された少なくとも1つの材質からなるナノ粒子からなる。
【0113】
本発明のさらに好ましい実施例によれば、複数のコーティングが互いに重ねられて配置又は生成され、その屈折率が互いに異なり、好ましくは、前記固体物上に配置又は生成された第1のコーティングは、該第1のコーティングの上に生成された付加的なコーティングよりも大きな屈折率を持つ。
【0114】
該コーティングは、各層の屈折率が前記固体物からの該各層の距離につれて減少する又はより小さくなるように、好ましく選択され且つ生成又は配置される。したがって、1.固体物、2.第1コーティング、3.第2コーティング、4.第3コーティング、というコーティングの場合、固体物の屈折率は第1コーティングの屈折率よりも好ましく大きく、第1コーティングは第2コーティングの屈折率よりも好ましく大きく、第2コーティングは第3コーティングの屈折率よりも好ましく大きい。これら屈折率の間の段階は、連続的又は不連続的であり得る。さらに、異なるコーティングは異なる厚みを持ち得る。しかし、ここで、2又は3又はそれ以上のコーティングが同じ厚みを持つことも考えられる。好ましくは、該コーティングは、各ケースにおいて、50乃至400nmの範囲内の厚みを持つ。これは、例えば、第1コーティングが100nmの厚み(又は平均厚)を持ち得ることを意味する。第2コーティング及び第3コーティングの厚みは、そのように実質的に同じか又は完全に同じであり得、ここで、少なくとも1つのコーティング及び好ましくは両方が異なる厚みを持つ。そこで、例えば、第2コーティングは150nmの厚み(又は平均厚)を持ち得る。さらに、第3コーティングは、第1コーティング及び/又は第2コーティングよりも厚いか又は薄いものであり得、例えば、70nm、110nm、又は300nmの厚み(又は平均厚)を持ち得る。
【0115】
本発明は、さらに、固体物から固体部分特に固体層を剥離するために該固体物内に剥離領域を生成するための方法に関し、ここで、剥離されるべき固体部分は、該固体部分によって減少される前記固体物の厚みよりも好ましく薄いものである。本発明に従う方法は、好ましくは、固体物を提供する工程と、レーザ適用装置のレーザビームによって前記固体物の内部に改質を生成する工程であって、ここにおいて、それに沿って前記固体物からの固体層の剥離を行うべく、該改質によって亀裂誘導領域が規定される前記工程とを少なくとも含み、ここで、レーザ放射は、ブリュースター角で又は該ブリュースター角から−5度乃至+5度の範囲のずれで前記固体物に入射される。
【0116】
本発明は、さらに、固体物又はドナー基材から少なくとも1つの固体層特に固体ウェハを剥離するための方法に関する。この場合における本発明に従う方法は、固体物を提供する工程と、レーザ適用装置のレーザビームによって前記固体物の内部に改質を生成する工程であって、ここにおいて、前記改質によって亀裂誘導領域が規定され、該改質に沿って前記固体物からの固体層の剥離が実現され、レーザ放射はブリュースター角で又は該ブリュースター角から−5度乃至+5度の範囲のずれで前記固体物に入射される前記工程と、前記固体物から前記固体層を剥離する工程とを少なくとも含む。好ましくは、前記固体物からの固体層の剥離が亀裂誘導領域に沿って行われ、ここで、材料の取り外しの結果として前記固体層が前記固体物から剥離されるように、改質の結果としての亀裂誘導領域において前記固体物が脆弱化され、又は、材料の取り外し後、固体層が前記固体物から剥離されることになるように、前記固体物が亀裂誘導領域において脆弱化されるような数の改質が生成され、又は、周囲面に対して或る傾きで整列した前記固体物の特に平らな面において応力発生層が生成若しくは配置され、且つ、固体層に対する熱的作用の結果として、機械的応力が前記固体物において発生され、該機械的応力の結果として、該固体層を剥離するための亀裂が生成され、該亀裂は、前記材料の取り外しによって露出された固体物の表面から始まって、前記改質に沿って伝播し、又は、前記固体物は、熱的に作用され、特に前記改質の生成後に冷却され、該熱的作用の結果として、前記固体層が前記亀裂誘導領域に沿って前記固体物から剥離される。
【0117】
ここにおける及びここで述べる全ての実施例における前記レーザ放射は、好ましくは偏光照射である。
【0118】
本発明のさらに好ましい実施例によれば、ブリュースター角の放射に起因する前記レーザ適用装置の球面収差を補償するために補償装置、特に回折光学要素又は連続的くさびのような光学要素が設けられる。
【0119】
本発明は、さらに、固体物から少なくとも1つの固体層を剥離するための方法に関し、ここで、固体部分特に1つの固体層を該固体物から剥離するための亀裂を誘導するために、改質によって亀裂誘導領域が規定される。好ましくは、該方法は、レーザ適用装置に対して相対的に固体物を動かす工程と、少なくとも1つの改質をそれぞれ生成するために該レーザ適用装置によって複数のレーザビームを相次いで生成する工程と、前記固体物から前記固体層を剥離する工程、の1つ又はいくつか又は全てを含む。
【0120】
本発明のさらに好ましい実施例によれば、材料の取り外しの結果として前記固体層が前記固体物から剥離されるように、改質の結果としての亀裂誘導領域において前記固体物が脆弱化され、又は、材料の取り外し後、固体層が前記固体物から剥離されることになるように、前記固体物が亀裂誘導領域において脆弱化されるような数の改質が生成され、又は、周囲面に対して或る傾きで整列した前記固体物の特に平らな面において応力発生層が生成若しくは配置され、且つ、固体層に対する熱的作用の結果として、機械的応力が前記固体物において発生され、該機械的応力の結果として、該固体層を剥離するための亀裂が生成され、該亀裂は、前記材料の取り外しによって露出された固体物の表面から始まって、前記改質に沿って伝播し、又は、前記固体物は、熱的に作用され、特に前記改質の生成後に冷却され、該熱的作用の結果として、前記固体層が前記亀裂誘導領域に沿って前記固体物から剥離される。
【0121】
本発明のさらに好ましい実施例によれば、前記レーザ適用装置は、少なくとも1つのパラメータ、すなわち、定義された複数位置における及び定義された固体深さのための前記固体物の伝達特性、に依存して調整され、及び/又は、前記改質は前記固体物内に圧力上昇をもたらし、前記亀裂誘導領域に沿う該圧力上昇の結果として、亀裂伝播によって該固体物から固体層が剥離され、ここで、好ましくは前記固体層の一部として前記改質の少なくとも一部分が前記固体物から剥離され、該固体層は前記改質の結果としてカーブした又はドーム形状に好ましく変換され、これにより、前記亀裂誘導領域に由来する前記固体層の更なる表面部分が少なくとも部分ごとに湾曲して形作られ、及び/又は、前記固体物は、少なくとも1つのコーティングを有していて、該コーティングの屈折率は該コーティングが配置された固体物の表面の屈折率とは異なり、若しくは、該固体物上にコーティングが生成されていて、該コーティングの屈折率は該コーティングが配置された固体物の表面の屈折率とは異なり、及び/又は、前記レーザ放射は、ブリュースター角で又は該ブリュースター角から−5度乃至+5度の範囲のずれで前記固体物上に入射され、追加的に又は代替的に、前記方法は、特に周辺の凹みを生成するために前記固体物の材料を取り外す工程であって、該材料が前記固体物の長手方向において取り外され、前記亀裂誘導領域が該材料の取り外しの結果として露出される、前記工程、及び/又は、レーザ放射領域における塵の滞留を防止するために、ガスの流れ方、特に固体物とレーザ適用装置との間特にレーザ放射経路の領域に位置する空気の流れ方を調整する工程、の少なくとも1つを含む。
【0122】
本発明のさらに好ましい実施例によれば、本発明に従う方法は、さらに、前記固体物の最初に露出された表面の上又は上方に複数の層及び/又はコンポーネントを配置又は生成することにより、複合構造を生成する工程を含み、ここで、前記露出された表面は、剥離されるべき固体層の一部である。
【0123】
前記複合構造を生成する前に、剥離面を形成するために複数の前記改質が、特に好ましく生成される。
【0124】
したがって、本発明によれば、コンポーネントの処理の前に、その後の薄い層又は剥離層を規定する、固体物又は基材におけるレーザ改質層の生成が行われる。層を構成又は生成するための及び/又はコンポーネントを生成するための(リソグラフィその他の)更なる処理は、その後、行われる。
【0125】
固体層と共に複合構造を形成する層及び/又はコンポーネントは、リソグラフによって、特に例えば金属化合物、バニシング、光学的露出(例えばフォトマスクを通した走査)、フォトバニシュ(photovarnish)の展開(特に、70℃未満の温度で、とりわけ。50℃未満又は30℃未満又は周辺温度未満又は20℃未満又は5℃未満又は0℃未満の温度で)、あるいはエッチング構造などによるコーティングによって、好ましく生成される。1つの回路特に完成した回路を生成するために、これらの処理特に複数のリソグラフィ処理の各1つ又はいくつか又は全てが、10回より多い又は10回以下の、あるいは20回より多い又は20回以下の、あるいは40回より多い又は40回以下の、あるいは80回より多い又は80回以下の、回数だけ繰り返され得る。
【0126】
1つの固体層の剥離後に残る固体物は、好ましくは、該剥離された固体層の厚みより大きな厚み、特にその何倍かの厚み、を持つ。固体物材料は、好ましくは半導体材料であり、若しくは半導体材料を含む。
【0127】
ここで、剥離されるべき固体層の表面の「上に又は上方に」とは、改質を生成するためのレーザ処理に先行する高温工程の場合、高温手法で生成された表面のコーティングが完成され、その上に前記複合構造を生成するための更なる1又は複数層及び/又はコンポーネントが配置又は生成される、というように理解され得る、ということが理解できる。該複合構造は、レーザ処理の後に生成されるもののみを定義し、レーザ処理の前に存在するかもしれない多層配置は本発明における複合構造とは言わず、多層配置と言う。
【0128】
ここで、薄くするとは、好ましくはウェハである固体物の厚みが、コンポーネントを備えた固体物特にウェハ製造の慣用的手法において挽きとられる又は磨きとられる材料部分だけ、減少することを意味する。
【0129】
本発明のさらに好ましい実施例によれば、剥離面を形成する前に、前記固体物が少なくとも1つの高温方法を使用して処理され、ここで、該高温方法は、70℃と前記固体物の材料の融点又は蒸発温度との間の温度で実行される。
【0130】
したがって、部分的に処理したウェハに対するレーザ工程の実行は別の可能性であり、本発明によると、これは、高温処理工程の後かつ残りの処理の前に、特に好ましく実行され得る。この解決策は、レーザ方法によって損傷し得る全ての構造がまだ形成されないので、有利である。
【0131】
この場合、レーザ方法のパラメータは、例えば各横切り毎のより大きな線間隔と減少したエネルギーによる固体物上の穏やかな複数動作によって、固体物内の応力が可能な限り最小になるように好ましく最適化される。
【0132】
レーザ処理は、基材の結晶方位に依存して好ましく実行される。すなわち、処理中に形成される微小亀裂がリソグラフィを妨げることも改質面から超臨界的に逸脱して亀裂剥離の開始後に基材の損失をもたらす可能性もないように、レーザ改質が可能な限り特に好ましくガイドされる。この場合、例えばSiCにおいて、最初の複数ラインが、亀裂面を定義するために、該面に平行に且つ好ましい亀裂方向に対して平行にガイドされ得る。次に、第2の工程において、それに90度の方向に複数ラインが亀裂を最終的に開始し、分割面を規定する。
【0133】
70℃を超える温度の顕著な増加が、ドーピング原子の可動性の増加、金属の汚染物質及び転位の原子、又はその他の結晶構造に関連するので、剥離面を生成する前に高温工程を実行することが最も有利である。もし、高温工程の前に、剥離面が生成されてしまったならば、あるいは部分的に生成されたならば、その結果生成された微小亀裂が例えば分離されるべき固体物内に延びてさらに成長する可能性があり、その結果、より多くの材料が除去されねばならず、よって、より大きな損失が生ずるであろう。
【0134】
本発明のさらに好ましい実施例によれば、少なくとも1つの高温方法が、エピタキシ方法、ドーピング方法、又はプラズマを使用する方法である。高温方法は、全ての方法、特に70℃を超える温度で実行される材料デポジット方法、であると理解される。結果的な温度は、好ましくは2000℃未満又は固体物の溶融又は蒸発温度未満である。好ましくは、固体物の多層配置及び1つの又は少なくとも1つの生成された又は配置された層は、高温方法によって生成される。
【0135】
本発明のさらに好ましい実施例によれば、該高温方法によって前記固体物上に少なくとも1つの層が生成され、該生成された少なくとも1つの層は予め定義された複数のパラメータを持ち、少なくとも1つの該パラメータはレーザ光波の屈折及び/又は吸収及び/又は反射及び/又は光効果による電荷担体発生の最大値を特定するものであり、ここで、屈折及び/又は吸収及び/又は反射及び/又は光効果による電荷担体発生の度合いは、5%未満、好ましくは1%未満、特に好ましくは0.1%未満である、この実施例は、レーザ光と回路の全ての金属元素との相互作用が阻止されるので、有利である。金属層又は金属コンポーネントとレーザ光又はレーザ放射との間の相互作用の結果として、該金属層又はコンポーネントは、特に電気的ライン接続が損傷され得る。
【0136】
さらに、この実施例は、金属構造又はコンポーネント(例えば、長手方向に若しくはレーザ入射方向に20nmより大きな広がり)が基材上に配置又は生成されるときのレーザ面の導入に際しての更なる問題、すなわち、該構造における後方反射により若しくは該基材それ自体により、レーザ処理が乱され、例えば伝達が理想的でなくなる、という問題を解決する。材料の改質を生成するために多光子処理が好ましく使用されるので、必要な高い強度を、同時に乱されない波面を可及的に可能にした状態で可能にするために、材料内の焦点は、好ましくは非常に正確、特に理想的、であるに違いない。そのため、この利点は、最終的な構造の、特に層及び/又はコンポーネントの加工処理又は生成の前の、レーザ処理を好む。
【0137】
本発明のさらに好ましい実施例によれば、複数の改質が多光子励起、特に2光子励起又は多光子励起(2光子より多くの光子による)、によって好ましく生成される。
【0138】
好ましくは、最初に、少なくとも部分毎に均質に走る特にカーブした線上に、特に均質に走る部分において、少なくとも複数の基礎の改質が生成される。これらの基礎の改質は複数の予め定義された処理パラメータを用いて又はそれに依存して生成される。該複数の予め定義された処理パラメータは、少なくともパルス持続時間、パルスエネルギー、1ライン(行)内のパルス離間間隔(配置間隔)、複数ライン(行)間の相互の離間(並び間隔)、深さ、及び/又は、開口数を含む。好ましくは、前記処理パラメータの少なくとも1つの値及び好ましくは両方の値又はこれら処理パラメータの全ての値若しくはこれら処理パラメータの2以上の値が、前記固体物の結晶格子安定性に依存して特定される。該値は、結晶格子が各基礎の改質の回りにそのまま残るように特に好ましく選択され、すなわち、好ましくは、20μm未満又は10μm未満又は5μm未満又は1μm未満に入る。
【0139】
本発明のさらに好ましい実施例によれば、複数のトリガ改質が未臨界の亀裂を開始するために生成され、ここで、トリガ改質を発生するための少なくとも1つの処理パラメータは、基礎の改質を発生するための少なくとも1つの処理パラメータとは異なっており、好ましくは、複数の処理パラメータが互いに異なっている。追加的に又は代替的に、前記トリガ改質は、前記基礎の改質が並んで発生されているラインの進行方向に角度をなす若しくは間隔をあけた方向に生成され、ここで、前記未臨界の亀裂は、5mm未満で、特に4mm未満又は3mm未満又は2mm未満又は1mm未満又0.5mm未満で、好ましく伝播する(広がる)。ここで、角度をなした整列は、例えば、5度乃至90度の角度に、好ましくは85度乃至90度の角度に、特に好ましくは90度の角度に相当し得る。
【0140】
これは閾処理であり、臨界強度(パワー/面積)が超過される時にトリガされる。すなわち、短いパルスはより少ない1パルス当たりのレーザエネルギーしか要求せず、より高い開口数はより小さなポイントにエネルギーを集中し、これにより、閾強度に到達するために必要とされるのは、より低いエネルギーとなる。
【0141】
より大きな深さは、通常、吸収損失を意味するので、レーザエネルギーは再度適応化されねばならない。SiCの例では、NA=0.4、深さ180μm、パルス長3ns、パルスエネルギー約7μJであり、深さ350μmでは9μJである。
【0142】
一般に、より硬い材料(サファイア、酸化アルミニウムセラミック、SiC、Gan)が要求されるほど、より多くのパルスがラインにおいて重なり合う。すなわち、より小さなパルス配置間隔(1μm未満)となり、その一方で、ライン並び間隔はより大きくなる(例えば5μmより大)ように選択される傾向がある。これに対して、GaAs及びSiのような柔らかな材料は、より広いパルス配置間隔(1μmより大)及びより小さなライン並び間隔(5μm未満)が要求される傾向がある。
【0143】
試料例SiCでは、fsパルスを使用して、パルスエネルギー800nJ近辺、パルス配置間隔50nm乃至200nmであり、ラインパターンは、1μm間隔で30ラインが並び、それから20μmのギャップを空けて、別の30ラインが並び、それから96μmのギャップを空け、そして、前部から、30ラインと20μmのギャップと別の30ラインとによって交差され(各ライン間の間隔は依然として1μmである)、それから300μmのギャップを空け、そして、別の30/20/30ラインブロックがある。深さ180μm、SiCのドーピング度(21mOhm cmより大きい表面抵抗で特徴付けられる)、パルス長400fs、開口数0.65である。
【0144】
好ましい実施例によれば、前記固体物の材料はシリコンであり、その開口数は0.5乃至0.8の間、特に0.65であり、放射の深さは200μm乃至400μmの間、特に300μmであり、パルス配置間隔は1μm乃至5μmの間、特に2μmであり、ライン(並びライン)の間隔は1μm乃至5μmの間、特に2μmであり、パルス持続時間は50ns乃至400nsの間、特に300nsであり、パルスエネルギーは5μJ乃至15μJの間、特に10μJである。
【0145】
好ましい実施例によれば、前記固体物の材料はSiCであり、その開口数は0.5乃至0.8の間、特に0.4であり、放射の深さは100μm乃至300μmの間、特に180μmであり、パルス配置間隔は0.1μm乃至3μmの間、特に1μmであり、ライン(並びライン)の間隔は20μm乃至100μmの間、特に75μmであり、パルス持続時間は1ns乃至10nsの間、特に3nsであり、パルスエネルギーは3μJ乃至15μJの間、特に7μJである。
【0146】
試料例、酸化アルミニウムセラミックでは、パルス配置間隔500nm、ラインの並び間隔10μm、パルス持続時間3ns、パルスエネルギー22μJ、開口数NA=0.4である。
【0147】
試料例、サファイアでは、平面に対して0度、45度、90度の角度でラインが3回書き込まれ、各ケースにおいて、ラインの並び間隔は1.5μm、パルス配置間隔は300nmであり、パルスエネルギーは第1経路で350nJ、第2経路で300nJ、第3経路で250nJであり、開口数NA=0.65、パルス持続時間は250fsである。
【0148】
一般に、表面の粗さは、より短いパルスによって減少し、良好な表面は、ナノ秒のパルスではなく(3μmを超過しがち)、フェムト秒のパルスによって生成されることができ(3μm未満の粗さ)、翻って、処理が高価となり且つ長い時間がかかる。ピコ秒のパルスは、中間ルートを形成する。より短いパルスの利点は、相転移が非熱的に行われることである、すなわち、レーザパルスと結晶格子との間で結合がなされ、それにより、僅かな振動(光子)しか励起されず、したがって、処理は全体的に冷えた状態で行われる。翻って、亀裂を開始する臨界応力が構築されるように、より多くの領域が非結晶化(相転移)されねばならない。
【0149】
本発明のさらに好ましい実施例によれば、前記未臨界の亀裂は、前記固体物において、5μm乃至200μmの間で、特に、10μm乃至100μmの間又は10μm乃至50μmの間又は10μm乃至30μmの間又は20μm乃至100μmの間又は20μm乃至50μmの間又は20μm乃至30μmの間で伝播する。より小さな亀裂伝播はやり直し手間をほとんど必要としないので、この実施例は有利である。未臨界の亀裂が結晶格子の境界に沿って伝播するが、固体物の結晶格子は剥離面に対して特に2度乃至6度の角度で傾きをなすので、鋸歯形状のプロフィルを持つ表面がもたらされる。亀裂伝播が広範になるほど、鋸歯形状の表面のピークと谷との間の距離が大きくなり、その結果、80nm未満又は50nm未満又は20nm乃至50nmの間の表面粗さが生成されるならば、より多くの材料が取り外されるに違いない。
【0150】
本発明のさらに好ましい実施例によれば、未臨界の亀裂の亀裂伝播は、レーザビームの入射方向に関して、90度の角度とは異なる傾きを成す方向に進行する。特に、該亀裂伝播方向は、照射方向に関して、93度乃至95度の間で、特に好ましくは94度で、好ましく傾きを成す。
【0151】
本発明のさらに好ましい実施例によれば、例えばガラス転移又は超音波処理によって生成される外部力の導入又は応力の結果として、未臨界の亀裂が伝播しているいくつかのライン状の領域の間で、部分が裂ける。この実施例は、固体物内部に事前に生じさせた予備損傷の結果、特に未臨界の亀裂の結果、必要とされる応力が低減され得るので、有利である。さらに、亀裂が非常に正確に誘導される。
【0152】
本発明のさらに好ましい実施例によれば、前記受理層は、前記コンポーネント構造を形成するために前記層及び/又はコンポーネントが配置される前記固体物の前記表面の反対側の、該固体物の1表面に配置又は生成される。
【0153】
好ましくは、前記改質は、3nsより短い特に2ns又は1nsより短いレーザパルスを使用してそれぞれ生成される。特に好ましくは、個々のレーザパルスの持続時間が、50ps乃至1500psの間又は50ps乃至1200psの間又は50ps乃至1000psの間、特に50ps乃至900psの間又は50ps乃至700psの間又は50ps乃至500psの間又は50ps乃至300psの間又は300ps乃至900psの間又は500ps乃至900psの間又は700ps乃至900psの間又は300ps乃至500psの間又は500ps乃至700psの間又は300ps乃至700psの間であること、若しくは、900psより又は700psより又は500psより又は300psより又は100psより又は50psより短いことである。
【0154】
「実質的に」という用語の使用は、本発明においてこの用語が使用される場合に、この用語を使用せずになされる説明からの1%乃至30%の範囲の違い、特に1%乃至20%、特に1%乃至10%、特に1%乃至5%、特に1%乃至2%の範囲の違い、を好ましく定義する。以下で説明する図面の個別の表現又は全ての表現は、設計図面として、好ましくみなされるべきであり、すなわち、図面から得られる寸法、比率、機能的関係、及び/又は配列が、本発明に従う装置及び/又は本発明に従う生産物におけるそれらに正確に又は好ましく実質的に対応している。本発明の更なる利点、目的及び特質は、本発明に従う装置を一例として説明する添付図面に従う以下の説明書に基づき、説明される。機能に関して少なくとも実質的に一致する本発明に従う装置及び方法の要素は、同じ参照番号で図面において特徴付けられ得るが、それらの要素又は構成成分は、必ずしも、全ての図面において符号付けされるか若しくは説明されているわけではない。以下、添付図面に基づき、純粋に一実例として、本発明を詳細に説明する。
【発明を実施するための形態】
【0156】
図1は、固体物1から少なくとも1つの固体層14を剥離するための方法を実施するための構造を概略的に示す図である。該固体物1から固体部分14、特に固体層、を剥離するための亀裂を誘導するための亀裂誘導領域4が、改質2によって、規定される。固体物1の様々な箇所にレーザビーム10、11が図示されているので、レーザ適用装置8に対して相対的に該固体物1が動かされるということが明らかである。従って、各レーザビーム10、11は、異なる時点における該レーザビームの存在を示している。原理的に、レーザビーム10は、少なくとも1つの改質2をそれぞれ生成するために、レーザ適用装置8によって生成される。該レーザ適用装置8は、改質の定義された生成のために、少なくとも1つのパラメータ、すなわち定義された複数位置における及び定義された1つの固体深さのための前記固体物の伝達特性、に依存して調整される。従って、
図1において、各レーザビーム10、11は、異なる性質を持つ又は少なくとも1つの性質を持つレーザビームを表している。レーザビーム10からレーザビーム11へと変化される性質は、固体物1の各作用領域(レーザビームの作用を受ける領域)における材料特性の変化を考慮するものである。図示例において、レーザビーム11は、例えばドープ点に起因する可能性のある、伝達特性変化を持つ固体物1の或る領域に作用する。
【0157】
好ましくは、改質2が生成された後に、
図19bに従い、固体層14が固体物1から剥離される。
【0158】
図2aは、第1の広がりを持つ改質2が固体物1の長手方向Lに生成される状況を示す。この場合、長手方向の広がりLは、固体物の照射面17に直交して若しくは実質的に直交して好ましく延びており、固体物1の照射面17は、固体層14の剥離後の該固体層14の一部分である。これは、この工程で述べられる全ての実施例に、特に好ましく、関連する。
図2aに従って生成された改質2は、固体層14の剥離するための亀裂を誘導するのに十分なものである。
【0159】
図2bは、
図2aに比べて固体物の長手方向Lに大きな広がりを持つ改質2の生成を示す。付加的に又は代替的に、複数の、特に2又は3個の、若しくは2又は3個より多い、改質2の層が少なくとも部分ごとに生成され得る。
【0160】
この利点は、ビームの方向(深さ又は固体の長さの方向)におけるレーザ層の必要な広がりよりも大きい広がりを持つ結果として、改質されていない材料において該レーザ層によって生成される応力が増大され得ることである。したがって、好ましくは、より多くの材料が相転移され得る若しくはアモルファス化(非結晶化)され得る又はポリマー分割(
図19b)に必要とされるのとは別のやり方で改質され得る。この増大された応力は、材料の自然な(ポリマー無しの)分離を促進するために寄与する。自然な分割のために及びポリマー処理のためにレーザ適用装置に構成されるレーザパラメータ又はレーザビームパラメータは、その結果、かなり相違し得る。レーザ層のより大きな広がりは、固体物においてより高い圧力をもたらし、その結果、自然な分割の可能性が増加する。さらに、この実施例は、固体層14が湾曲した又はカーブした固体層14として生成され得るので、有利である。したがって、この方法は、また、少なくとも部分ごとにカーブした又は湾曲した少なくとも1つの固体層14を生成するために好ましく使用され得る。カーブした又は湾曲した固体層(若しくは湾曲又はカーブしたウェハ)を生成するために、該方法は、レーザ適用装置8に対して相対的に固体物1を動かす工程と、該固体物1の内部に少なくとも1つの改質2をそれぞれ生成するために該レーザ適用装置8によって複数のレーザビーム10を相次いで生成する工程とを少なくとも含み、該改質2の結果として、固体物1から固体部分14、特に固体層、を剥離するための亀裂を誘導するために亀裂誘導領域4が設けられ、前記改質は前記固体物1内に圧力上昇をもたらし、該亀裂誘導領域4に沿う該圧力上昇の結果としての亀裂の伝播(広がり)により該固体物1から固体層14が剥離され、該固体層14の一部として前記改質2の少なくとも一部分が前記固体物1から分離され、該固体層14は前記改質2の結果としてカーブした又はドーム形状に変換され、これにより、前記亀裂誘導領域4に由来する前記固体層14の表面部分が少なくとも部分ごとに湾曲して形作られる。
【0161】
図3は、好ましくは亀裂誘導領域4が固体物1内に生成された後、溝26が少なくとも部分ごとに生成され、かつ、固体物1の長手方向Lにおいて、照射面17から好ましくは周辺に開始する、というような構造を示す。溝26を生成した後、照射面17を介して再び好ましく導入されるレーザビーム10によって更なる改質2を生成することにより、固体層14が固体物から剥離され得る。別の例として、溝26によって包囲された又は囲まれた又は範囲づけられた領域上に、特に次の固体層14の表面上に、応力発生層18が好ましく配置又は生成され得る。
【0162】
前記応力発生層は、ポリマー素材特にPDMSからなり、その後の工程において、熱的に特に冷却されるように、特に少なくとも断続的に又は特に好ましくは完全にガラス転移温度以下に冷却されるように、作用される。これは、好ましくは、ここで述べる応力発生層が使用される又は配置される全ての実施例に関係している。
【0163】
該応力発生の結果として、亀裂は残りの固体物1から固体層14を剥離する。
【0164】
好ましくは、更なる工程において固体物1の表面加工処理が行われる。好ましくは、溝26と前記周囲面及び/又は固体層14の剥離によって露出された固体物1の表面との間に得られるフレーム28がスムーズ化処理される、特に研削、ラップ磨き、研磨、又はエッチング処理される。好ましくは、フレーム28及び露出面は、それらの表面が同一面にあるように、特に切断加工によって、処理される。
【0165】
こうして、固体物又はドナー基材1から少なくとも1つの固体層特に固体ウェハ14を剥離するための方法が提供され、該方法は、固体物1を提供する工程と、レーザビーム10によって該固体物1の内部に改質2を生成する工程と、ここで、亀裂誘導領域4に沿って固体層14が該固体物1から剥離されるべく、該改質2の結果として剥離領域又は該亀裂誘導領域4が規定され、特に周辺の凹み12を生成するために該固体物1の材料を取り外す工程と、ここで、該材料の取り外しは該固体物の長手方向において行われ、該材料の取り外しの結果として該亀裂誘導領域が露出され、該固体物から固体層14を剥離する工程とを少なくとも含む。
【0166】
これは、縁部までのレーザ加工は問題があり、そして、生成される固体層14はその縁部領域においても均一な性質を持つので、有利である。したがって、ここで提示される基本概念は、上からの材料のレーザ切除/研削/取り外しを好ましく含み、先に生成されたレーザ層が開放又は露出される結果として、切り込み又は溝を生成することである。最後に、固体層14又は目的のウェハが、応力発生層18によって取り外される。その後、残された縁部又はフレーム28は、次の表面を準備する最中に、再び削り取られ得る。したがって、上からの切除、特にジェット水切断又はレーザ切除によって、レーザ層が露出され、かつ、ポリマー分離時のエッジ結果が避けられる。
【0167】
図4aは、例えば塵のような粒子類が、参照番号30で示される反射放射の交差点において集まり、これによって改質の生成に悪影響を及ぼすことを概略的に示す図である。
【0168】
図4bは、噴流装置32又は噴流が設けられることを概略的に示す図である。したがって、流体流によって交差点30に集まっている粒子類を吹き飛ばすために、流体、特にガス、好ましくはイオン化されたガスが交差点30に供給される。
【0169】
したがって、固体物又はドナー基材1から少なくとも1つの固体層特に固体ウェハ14を剥離するための方法は、固体物1を提供する工程と、レーザ放射領域における塵の滞留を防止するために、ガスの流れ方、特に固体物1とレーザ適用装置8との間特にレーザ放射経路の領域に位置する空気の流れ方を調整する工程と、レーザ適用装置8のレーザビーム10によって前記固体物1の内部に改質2を生成する工程と、ここで、前記固体物1から固体層14を剥離するための改質2によって剥離領域又は亀裂誘導領域が規定され、前記固体物1から前記固体層14を剥離する工程とを少なくとも含む。この解決手段は、高いレーザ強度が塵を静電的に帯電させ、この塵が、噴流によって特にイオン化されたガスによって、対象レンズとワークピースとの間の領域から吹き飛ばされることを可能にするので、有利である。こうして、ガス噴流は、レーザ適用装置8の対象レンズ9とワークピースすなわち固体物1との間の空間から塵を吹き飛ばす。加えて、又は代替的に、該流体流特にガス流は、吸収された屈折力に対する冷却効果を生ずるように、対象レンズを介してガイドされ得る。したがって、対象レンズは、流体特に噴流流体を好ましくガイドするように構成されている。
【0170】
さらに若しくは追加的に、対象レンズの球面収差の補償が行われ得る。これは、表面における焦点を変化し(異なる屈折率で材料の組み込みを経験する)、その結果、空中の焦点が悪化して、より低い強度を持ち、より低い粒子吸引効果又は塵吸引効果を相次いでもたらす。追加的に又は代替的に、該表面における反射の減少がもたらされ得る。これは、例えば特定の層又はコーティング(被覆物)の適用によって、特にスピンコーティングによって、及び/又は偏光された光によるブリュースター放射によって、実現され得る。
【0171】
図5は、固体物1が少なくとも1つコーティング(被覆物)34を備える配列構成を概略的に示す。該コーティング34は、単一層又は多層であり得る。好ましくは、該コーティング34は、固体物1の素材の屈折率に対して屈折率差を持ち、特に、固体物1の素材の屈折率の方が該コーティング34の屈折率よりも高い。また、該コーティング34はいくつかの層で構成されることが可能であり、該いくつかの層のうち好ましくは2つが異なる屈折率を持つ。ここで、好ましくは、各層の屈折率は、固体物1に近い層の屈折率の方が固体物1から離れている層の屈折率よりも大きい。
【0172】
この大略構成は、固体物又はドナー基材1から少なくとも1つの固体層特に固体ウェハ14を剥離するための、本発明に従う方法を提供することを可能にする。好ましくは、該方法は、固体物1を提供する工程と、ここで、該固体物1は少なくとも1つのコーティング34を有するか、若しくは、該固体物1上にコーティング34が生成され、該コーティング34の屈折率は該コーティング34が配置された固体物1の表面の屈折率とは異なり、レーザ適用装置8のレーザビーム10によって前記固体物1の内部に改質2を生成する工程とを少なくとも含み、前記改質2によって亀裂誘導領域4(
図1と同様)が規定され、該改質2に沿って前記固体物1からの固体層14の剥離が実現される。
【0173】
前記コーティングは、例えばスピンコーティングによって実現され得る。したがって、高い屈折率を持つ複数素材の例えば溶媒混合されたナノ粒子が、前記固体物1又はワークピース1に、幾分高い屈折率を持つ1以上の薄い(サブ波長の)層を適用し、これは、減少された屈折率差、より低い表面反射、より低い汚染、より効果的な材料加工のための該材料のより大きな力、を持つ中間面をもたらす。スピンコーティングは、早く好都合であり、安くて早いから有利であり、その他と一緒に又はその他に追加して可能なナノ粒子は、例えば、シリコン(n=3.55)、炭化珪素(n=2.6)、酸化チタン(n=1.8)、ガラス(n=1.5)、酸化アルミニウムAl
2O
3(n=1.72)である。徐々に増加する屈折率を持ついくつかの層の場合、より効果的な屈折率マッチングと反射防止効果のためにさえ、多層処理が可能である。純粋に一例として、その後、次に述べる層からなる層の配置が生成される:第1の層がシリコンSi、第2の層が炭化珪素SiC、第3の層が酸化チタンTiO
2であり、各層が好ましくは50乃至400ナノメータの厚みである。この方法は、そのようなスピンコーティング層により、材料表面上の非常に小さな粗さが境界面でのより僅かな散乱によって補償され得るので(より良好な材料結合)、さらに有利であり、前記定義された深さにおける焦点でのより良好な波面の重複及びより低いレーザパワーが必要であり、これは、より高い多光子遷移の可能性が得られるので、より効果的な処理をもたらす。スピンコーティング層又はコーティング34の生成は、固体層14の分割又は剥離後のインゴット又は固体物1の表面調整及び表面再準備のための工程の過程において適用され得る。そこで、まず、研削、ラップ磨き、エッチング又は研磨の工程が、実行されることができ、それから若しくは先行する工程の1つと組み合わせて、スピンコーティング工程又はコーティング工程が薄い層又はコーティング34を実現する。
【0174】
図6は、反射を減らしてレーザビーム10を結合するための配置を概略的に示す。好ましくは、レーザビーム10はブリュースター角で結合される。ブリュースター角は、反射が生じない特定の偏光の光入射角度である(材料内へのEベクトル点は表面に沿わない)。このための必要事項は、空気と材料の屈折率の差に依存する角度で光が入射することである。さらに、該光は偏光されていなければならない(レーザ光において通常与えられるのは、シングルモードレーザを要求し、フォトニック結晶ファイバーではない)。そこで、ブリュースター角での結合は、後方反射を最小にするために使用される。もし照射がブリュースター角で行われるならば、30%の表面反射が、該材料の前記定義された深さにおける材料処理のために殆ど完全に使用され得る。
【0175】
ブリュースター角での照射は、複数の異なるビーム成分が高屈折媒体内における異なる長さの経路をカバーするので、複雑である。焦点は、より高いエネルギーによって及び/又はビーム形成によって調和して適応されねばならない。該ビーム形成は、ここでは、例えば、レーザビームプロフィルに従ってこの差を補償する1以上の回折光学要素(DOE)を介して実行される。ブリュースター角は、比較的広く、高開口数の場合、光学系及びその寸法に、及び作動距離も同様に、要求を課す。しかし、この解決手段は、表面における反射の減少が表面損傷を減少し、光強度が材料内に良好に結合されるので、有利である。本発明の趣旨において、本書類において開示した他の全ての実施例において、レーザビーム10は、また、ブリュースター角で若しくは実質的にブリュースター角で照射され得る。ブリュースター角での結合に関して、「テクスチュア単結晶シリコン基材上にスピンコーティングされたTiO
2反射防止フィルムの光学的特質」("Optical Properties of Spin-Coated TiO2 Antireflection Films on Textured Single-Crystalline Silicon Substrates")(ヒンダウィ(Hindawi)出版社刊行の「インターナショナル・ジャーナル・オブ・フォトエネルギー」、ボリューム2015, 品目ID 147836, 全8頁, http://dx.doi.org/10.1155/2015/147836)という文献をここに引用する。この文献は、その全範囲において引用されることにより、本出願の主題に含まれる。上述した且つ本書に含まれる該文献は、特に、異なる材料及び屈折率についての最適な入射角の計算を開示している。レーザのエネルギー又はレーザ適用装置8は、材料にそれほど多くは依存せず、むしろ特定の角度での可能な伝達に依存するように適合化される。そこで、もし最適な伝達が例えば93%であるならば、垂直照射に対する実験結果及びそのときの損失例えば17%に比べて、それらの損失が考慮されねばならず、そして、レーザパワーがそれに従って適合化される。
【0176】
一例:或る角度での垂直の93%に対する83%の伝達率は、前記定義された深さにおいて同じエネルギーを実現するために、垂直照射のために使用されたレーザパワーの89%だけが必要とされるということを意味する(0.83/0.93=0.89)。そこで、本発明の趣旨において、斜め照射の部分は、表面反射による光損失をより少なくし、その深さにより多くの光をもたらすように作用する。或る構成における結果として起こる可能性のある次の問題は、焦点がその深さにおいて「スキュー」(非対称)特性を得ることであり、したがって、実現される強度−多光子処理のための重要な量−が再び低下し、全てのビーム成分が材料内において同じ光学的経路をカバーする垂直照射の場合よりも低下することすらあり得る。これは、ビーム経路内の1つの回折光学要素によって又はいくつかの回折光学要素によって又は1つの連続的なくさびによって又はいくつかの連続的なくさびによって−及び/又はその他の光学要素−によって好ましく実現され得、追加の経路及び/又は個別ビームへの影響、特にビームプロフィルにわたる異なる球面収差、を補償する。これらのDOEは、適切なソフトウェア解決手段(例えば、イェーナ市のLighttrans社からの「Virtuallab」)を使用して数値的に計算され得、それから、装置化又は準備され得る。
【0177】
したがって、本発明は、固体物又はドナー基材1から少なくとも1つの固体層特に固体ウェハ14を剥離するための方法である。本発明に従う方法は、固体物1を提供する工程と、レーザ適用装置8のレーザビーム10によって該固体物1の内部に改質2を生成する工程とを少なくとも含み、ここで、前記改質2によって亀裂誘導領域が規定され、該改質2に沿って前記固体物1からの固体層14の剥離が実現され、ここで、レーザ放射は、ブリュースター角で又は該ブリュースター角から−10度乃至+10度の範囲のずれで固体物1に入射される。該方法は、固体物1から固体層14を剥離する工程をさらに含む。
【0178】
したがって、空気と材料との間の高い屈折率差が垂直放射に対して30%までのパワー損失を意味するということが、本発明において認められた。したがって、100ワットレーザの場合、30ワットが材料加工に利用されないか若しくは別の効果を持つ。こうして、例えば「光挟み」と言われるような汚れが光学系に形成され得る、ということが更に認められた。この場合、空気中及び液体中の両方において極端に小さな粒子がいつもレーザビーム(最高強度)の焦点に移動する−表面で反射したパワーが空気中の又は光学系近辺の焦点を持ち、塵埃が光学系に追いやられる/引き寄せられる。さらに、同時に、100ミリワットパワーで及び対物レンズにおいて97%伝達で、かなりの熱(3ワット)が対物レンズ内に入り得るということが認められ、これは処理に対する熱的損傷/改質を無効にすることを取り除く/補償するに違いない。さらに、高いパワーが表面損傷の危険性をもたらすということが認められた。これは、物質の吸収作用が表面上の面状態により増加され得るので、非常に小さな塵埃粒子がレーザビーム10において燃え、そして、吸収による更なる損傷をもたらし得る吸収核を形成する可能性があるからである。さらに、複数の回折光学要素(DOEs)によって焦点面におけるいくつかの焦点に高いパワーが分配されることが認められた。これらの回折光学要素は該焦点面の前ですら干渉効果を見せ、そして、該焦点面の前のある表面における干渉が、該表面に損傷をもたらし得且つ前記深さにおいて加工を行うためのレーザ放射の透過率の減少をもたらし得る局所的な干渉極値を生成し得る、ということが認められた。さらに、いくつかの材料(例えば炭化珪素SiC)は、例えば該材料のドーピング(頻繁な発生は、ドーピングスポットである)のために、局所的な屈折率及びその他の材料特性の相違(例えば、吸収、伝達、散乱)を持つことが認められた。さらに、レーザ結合表面上の材料の表面粗さに依存して、該レーザの波面が該材料の前記深さにおいてかなり損なわれ得るということが認められ、これにより、焦点が減少された強度(低い多光子遷移確率)を持つことになり、次に、より高い強度を上記問題に巻き込むであろう。
【0179】
個別の、いくつかの、又は全ての、これらの問題は、ここで説明する複数の方法の各1又は組み合わせによって対処され得る。したがって、本発明は、固体物から少なくとも1つの固体層を剥離するための方法として、好ましく理解され得るものであり、ここにおいて、固体部分6特に1つの固体層を該固体物1から剥離するための亀裂を誘導するために、改質2によって亀裂誘導領域4が好ましく設けられる。本発明に従う該方法は、レーザ適用装置8に対して相対的に固体物1を動かす工程と、少なくとも1つの改質2をそれぞれ生成するために該レーザ適用装置8によって複数のレーザビーム10を相次いで生成する工程と、前記固体物1からの前記固体層14を剥離する工程とを少なくとも含む。
【0180】
本発明によると、特に、300mmまでの又は300mmよりも大きな直径を持つ広い面積の半導体基材にとって有利にスケールするスポーリング工程が述べられる。ウォルナー線パターンを解消するために、レーザ調整処理が、特に高開口数で、材料のバンドギャップエネルギーより好ましくは小さい光子エネルギーで、行われる。この処理は、該材料における多光子相互作用をもたらし、該スポーリング処理後に、好ましくは1μmより小さい表面粗さRa(Ra < 1μm)を届ける。
【0181】
本発明に従う上記した解決手段の好ましくは個々が又はいくつかが組み合わされ、結果として、より良好な固体層製造又は固体層剥離がもたらされ得る。すなわち、本発明に従う方法によると、前記レーザ適用装置8は、少なくとも1つのパラメータ、特に、定義された複数位置での及び定義された固体深さについての前記固体物の伝達特性、に依存して調整され、及び/又は、前記改質は前記固体物内に圧力上昇をもたらし、前記亀裂誘導領域に沿う該圧力上昇の結果としての亀裂の伝播により該固体物から固体層が剥離され、前記固体層の一部として前記改質の少なくとも一部分が前記固体物から分離され、該固体層は前記改質の結果としてカーブした又はドーム形状に好ましく変換され、これにより、前記亀裂誘導領域4に由来する前記固体層14の更なる表面部分が少なくとも部分ごとに湾曲して形作られ、及び/又は、前記固体物1は、少なくとも1つのコーティング34を有するか、若しくは、該固体物1上にコーティング34が生成され、該コーティングの屈折率は該コーティング34が配置された固体物の表面の屈折率とは異なり、及び/又は、前記レーザ放射は、ブリュースター角で又は該ブリュースター角から−5度乃至+5度の範囲のずれで前記固体物1上に入射され、特に、該ブリュースター角から−4度乃至+4度の範囲のずれで、又は−3度乃至+3度の範囲のずれで、又は−2度乃至+2度の範囲のずれで、又は−1度乃至+1度の範囲のずれで入射され、及び/又は、前記方法は、追加的に又は代替的に、特に周辺の凹み12を生成するために前記固体物1の材料を取り外す工程であって、該材料が前記固体物1の長手方向において取り外され、前記亀裂誘導領域4が該材料の取り外しの結果として露出される、前記工程、又は、レーザ放射領域10における塵の滞留を防止するために、ガスの流れ方、特に固体物1とレーザ適用装置8との間特にレーザ放射経路の領域に位置する空気の流れ方を調整する工程、の少なくとも1つを含む。
【0182】
図7〜
図18は、1/e
2ガウス分布に関する最適な入射角度と表面反射の屈折率依存を考慮に入れた異なる開口数についての計算例を示す図である。
【0183】
図7〜
図10は、炭化珪素(n=2.7)を使用するときの分布を示す。
【0184】
目的:p偏光された光に対する最小の表面反射のために、理想的にブリュースター角を使用することによって、試料に結合するレーザパワーを最大にすること。結果:NA(開口数)=0.8に関して、ブリュースター角での結合はやってみる価値がなく(放射円錐はブリュースター角においては殆ど外で結合する)、より小さなNAがこれで利益を得ることができ、特にNA=0.2、より高いNAはその中間の理想的角度を持つ。
【0185】
図7は、上段のグラフにおいて、ガウス分布の入射角度にわたって相対的な結合パワーを示し、下段のグラフにおいて、p偏光(赤)とs偏光(青)に関する反射係数及び測量したNA=0.2(緑)についての角度のガウス分布を示し、最適な入射角度が63.8度であることを示す。
【0186】
図8は、上段のグラフにおいて、ガウス分布の入射角度にわたって相対的な結合パワーを示し、下段のグラフにおいて、p偏光(赤)とs偏光(青)に関する反射係数及び測量したNA=0.4(緑)についての角度のガウス分布を示し、最適な入射角度が52.5度であることを示す。
【0187】
図9は、上段のグラフにおいて、ガウス分布の入射角度にわたって相対的な結合パワーを示し、下段のグラフにおいて、p偏光(赤)とs偏光(青)に関する反射係数及び測量したNA=0.6(緑)についての角度のガウス分布を示し、最適な入射角度が35.6度であることを示す。
【0188】
図10は、上段のグラフにおいて、ガウス分布の入射角度にわたって相対的な結合パワーを示し、下段のグラフにおいて、p偏光(赤)とs偏光(青)に関する反射係数及び測量したNA=0.8(緑)についての角度のガウス分布を示し、最適な入射角度が0度であることを示す。
【0189】
図11〜
図14は、シリコン(n=3.6)を使用するときの分布を示す。
【0190】
目的は、p偏光された光に対する最小の表面反射のために、理想的にブリュースター角を使用することによって、試料に結合するレーザパワーを最大にすることである。結果:NA(開口数)=0.8に関して、ブリュースター角での結合はやってみる価値がなく(放射円錐はブリュースター角においては殆ど外で結合する)、より小さなNAがこれで利益を得ることができ、特にNA=0.2、より高いNAはその中間の理想的角度を持つ。
【0191】
図11は、上段のグラフにおいて、ガウス分布の入射角度にわたって相対的な結合パワーを示し、下段のグラフにおいて、p偏光(赤)とs偏光(青)に関する反射係数及び測量したNA=0.2(緑)についての角度のガウス分布を示し、最適な入射角度が67.9度であることを示す。
【0192】
図12は、上段のグラフにおいて、ガウス分布の入射角度にわたって相対的な結合パワーを示し、下段のグラフにおいて、p偏光(赤)とs偏光(青)に関する反射係数及び測量したNA=0.4(緑)についての角度のガウス分布を示し、最適な入射角度が57.4度であることを示す。
【0193】
図13は、上段のグラフにおいて、ガウス分布の入射角度にわたって相対的な結合パワーを示し、下段のグラフにおいて、p偏光(赤)とs偏光(青)に関する反射係数及び測量したNA=0.6(緑)についての角度のガウス分布を示し、最適な入射角度が43.6度であることを示す。
【0194】
図14は、上段のグラフにおいて、ガウス分布の入射角度にわたって相対的な結合パワーを示し、下段のグラフにおいて、p偏光(赤)とs偏光(青)に関する反射係数及び測量したNA=0.8(緑)についての角度のガウス分布を示し、最適な入射角度が0度であることを示す。
【0195】
図15〜
図18は、サファイア/ALO(n=1.72)を使用するときの分布を示す。
【0196】
目的は、p偏光された光に対する最小の表面反射のために、理想的にブリュースター角を使用することによって、試料に結合するレーザパワーを最大にすることである。結果:NA(開口数)=0.8に関して、ブリュースター角での結合はやってみる価値がなく(放射円錐はブリュースター角においては殆ど外で結合する)、より小さなNAがこれで利益を得ることができ、特にNA=0.2、より高いNAはその中間の理想的角度を持ち、ここで、NA=0.6は放射のための角度を殆ど必要としていない。
【0197】
図15は、上段のグラフにおいて、ALOについてのガウス分布の入射角度にわたって相対的な結合パワーを示し、下段のグラフにおいて、p偏光(赤)とs偏光(青)に関する反射係数及び測量したNA=0.2(緑)についての角度のガウス分布を示し、最適な入射角度が54.9度であることを示す。
【0198】
図16は、上段のグラフにおいて、ALOについてのガウス分布の入射角度にわたって相対的な結合パワーを示し、下段のグラフにおいて、p偏光(赤)とs偏光(青)に関する反射係数及び測量したNA=0.4(緑)についての角度のガウス分布を示し、最適な入射角度が41.2度であることを示す。
【0199】
図17は、上段のグラフにおいて、ALOについてのガウス分布の入射角度にわたって相対的な結合パワーを示し、下段のグラフにおいて、p偏光(赤)とs偏光(青)に関する反射係数及び測量したNA=0.6(緑)についての角度のガウス分布を示し、最適な入射角度が14.5度であることを示す。
【0200】
図18は、上段のグラフにおいて、ALOについてのガウス分布の入射角度にわたって相対的な結合パワーを示し、下段のグラフにおいて、p偏光(赤)とs偏光(青)に関する反射係数及び測量したNA=0.8(緑)についての角度のガウス分布を示し、最適な入射角度が0度であることを示す。
【0201】
図19aは、広い面積の基材のレーザ無しのスポーリングのための標準的な方法を概略的に示す図であり、通常使用されているものは、丸みのある縁部による複雑さを回避するために、シャープな縁部を持つ。内方に走って基材及びその製造工程を乱すことがある、ウェハの周縁部における亀裂の発生を防ぐために、従来からあるウェハにおいて、丸みのある縁部が用いられる。
【0202】
その工程は、好ましくは、標準的な洗浄工程の後、表面の接着性を改善するためのポリマー層及び端部でのポリマー−ウェハ間の分離性を改善するための犠牲層によって、ウェハがコーティングされることを含む。該ウェハは、それから、別の厚さのPDMS(ポリジメチルシロキサン)ポリマーフィルム及びPDMS接着物質で、プラチナ重合触媒で、コーティングされる。
【0203】
それから、試料は、液体窒素に浸される前に、ポリマーのガラス遷移温度のちょうど上の温度まで再冷却される。該試料のサイズに依存して、該試料は、20秒後までには液体窒素の温度に到達するであろう。このときに、システムは熱平衡となる。それから、半導体層は、自然に引き起こるスポーリング現象の中で分離される。このスポーリング法は、ポリマーのガラス遷移によって誘導され、その結果として、ポリマー内の縦弾性係数が実質的に増加する。半導体とポリマー間の熱膨張係数(CTE)における追加的な相違は、結晶を水平方向に分離する十分な応力を誘起する。この方法は、半導体に対してポリマーが相対的に収縮することを必要とする、ということが重要である。次の工程は、留められたPDMSフィルムを備えた半導体部分を、最終的に前記犠牲層を溶解する分離槽内に浸けることであり、それにより、該ポリマーのリサイクルを可能にし、かつ、次の工程のために半導体ウェハを準備することを可能にする。
【0204】
図19aは、好ましくは2つのポリマー層すなわちポリマーフィルムのアンサンブルを備えた基材の従来のスポーリングを示す図である。該フィルムは該基材の両面に留め付けられており、次に温度変化応力を誘起するために急速冷却工程があり、次に亀裂形成と基材の剥離がある。
【0205】
図19bに示すレーザアシストされたスポーリング工程は、著しく類似している。主な違いは、試料内における定義された面又は定義された輪郭にレーザビームの焦点が合わせられ、それから該試料を走査する、ということを行うレーザ処理工程が追加されることである。これによって生成されるレーザ層は、亀裂形成面を定義し、かつ、次のスポーリング工程における分離をも定義する。
【0206】
よって、
図19bはレーザアシストされたスポーリング処理を示す。
図19aに示した処理工程に加えて、さらなる処理工程おけるレーザビーム又はレーザシステムによって生成される改質層により、構造的に脆弱な層が材料内に生成され、該脆弱な層はスポーリング亀裂伝播のために好適な面を定義する。
【0207】
レーザ無しのスポーリングに由来する典型的なウェハ面は、
図19cに示される。ウォルナー線のパターンが、材料内部の亀裂伝播により出来ている。材料の表面上に複数の溝が形成され得、材料内の分離面に沿う亀裂の様子を再現する。該亀裂は、試料の縁部で形作られ、そして、内部に移動し、その結果、
図19cにおいて示されたような具体的なパターンが形作られる。該パターンの四方対称性は、該試料の中央において亀裂波の特異性又は中心点を持つ、シリコンの四方結晶対称の結果である。しかし、ワイヤ鋸加工と技術的に競うために、分離後の表面品質は各スポーリング処理毎に確定的な重要性を持つ。しかし、結果として得られるレーザ処理無しのスポーリング面の総体的な厚み変化(TTV)は、普通、その部門の要求からかけ離れている。ポーリング処理の典型的なTTVは50μmオーダーであり、ここで、次の工程の前に、研磨工程を行う必要があり、コストをかなり高める。これに代えて、LAS(レーザアシストされたスポーリング)処理の使用は、1μm表面未満の粗さ値Saをもたらす(Sa < 1μm)。Saは、表面座標z(x,y)の絶対値の算術平均である。
【0208】
図19cは、従来のスポーリングによる分離後の30mmシリコンウェハの半分の写真を示す。ウォルナー線が亀裂の溝としてはっきりと見え、高い表面高さ変化(TTV)を示している。
【0209】
図19dは、レーザアシストされたスポーリング後の300mmシリコンウェハの半分の写真を示す。その表面は、1μm未満の表面粗さを持ち、亀裂伝播による目に見える線条のない、均質さである。基材の左側の垂直線は、レーザシステムの基材保持テーブルの移動限界から始まる。
【0210】
図20a〜
図20fは、レーザアシストされたスポーリング処理後の材料表面の概観を示す。
図20aは、表面粗さSa=0.79μmを持つ、
図19bに示す試料のシリコン表面を示す。
図20bは、表面粗さSa=1.96μmを持つ、レーザアシストされたスポーリング処理後のサファイア(Al
2O
3)基材表面(C面)を示す。
図20c及び
図20dは、それぞれ表面粗さSa=1.85μm及びSa=1.29μmを持つ、レーザアシストされたスポーリング処理後の炭化珪素多形体4H及び6H(両方とも、Nドーピング)の表面を示す。
図20eは、非結晶性材料のスポーリングについての一例を示し、表面粗さSa=3.89μmを持つ、多結晶体Al
2O
3の表面を示す。
図20fは、表面粗さSa=6.89μmを持つ、基本研究のレーザアシストされたスポーリング実験結果の、石英ガラスを示す。
【0211】
図21aはスポーリング後の表面の顕微鏡写真を示す図である。
図21bは6H炭化珪素の異なる3カ所のラマン・スペクトルを示す図である。より暗い領域(
図21aの右側)のラマン・スペクトルは、カーブK1及びK2であり、
図21aの左側のより明るい領域のラマン・スペクトルとしてのカーブK3を伴う。より暗い領域のピーク高は、殆どすべてのピークにおいて減少され、より暗い領域における位置2ではもうラマンピークを見ることができない。
【0212】
図22は、更なる追加の又は代替のレーザビーム分布を示す。高開口数のブリュースター適用において、レーザのビーム分布は本発明に従って適合され得る。したがって、高いNAでは、照射されたレーザビーム分布の脇腹において、より高い強度をもたらし得る。極限の場合において、これは、中央において明白な強度最小値を持つドーナツ分布のタイプである。しかし、中央において平坦化されたガウス分布としてレーザビーム分布が構成されることが可能である。好ましくは、高いNAではレーザ分布の縁部ゾーンがブリュースター角の近辺に既に入り得る、という環境が使用される。したがって、
図22に示す分布例は、脇腹において(他の実施例に比べて)相対的に高い強度部分を伴って好ましく生成されるであろう。
【0213】
図23aは、第1の固体生成構成を説明する。この構成によれば、固体物1から固体層14を剥離することが可能である。この構成によれば、第1の数の改質2が該固体物内に生成される。ここで、この改質2は、剥ぎ取られた固体層14の撓みを好ましくもたらす。
【0214】
図23bは、第2の固体生成構成を説明する。この構成も、固体物1から固体層14を剥離することが可能である。しかし、この構成によれば、第2の数の改質2が該固体物内に生成される。ここで、好ましくは、この第2の数は前記第1の数よりも大きい。追加的に又は代替的に、この構成は、いくつかの改質層2.1、2.2を持ち、若しくは、いくつかの改質層を生成し得る前記第1の構成よりも多数の改質層2.1、2.2を持つ。追加的に又は代替的に、この第2の構成に従う改質2の各1つ又は大部分が前記第1の構成におけるものよりも強いように構成されることが可能である。このようにより強く構成されることは、それぞれの場合の個々の改質が前記第1の構成におけるものよりも大きな体積で延びていることを、好ましく意味する。レーザビーム10は、ここで、固体物1の長手方向において、又は該固体物の長手方向Lに対して60度までの角度で傾いて、固体層の好ましくは一部である面特に平面にわたって、該固体物1内に好ましく入射し、そして、亀裂誘導領域4が改質2のいくつかの層から好ましく形成される。これらの層は、長手方向Lにおいて互いに間隔をあけて若しくはオフセットして、好ましく生成される。好ましくは、少なくともいくつかの改質2が、長手方向Lにおいて1乃至50μmの広がりを持ち、及び/又は、開口数が1未満、好ましくは0.9未満又は0.7未満又は0.6未満又は0.5未満であるように、レーザビーム10が固体物1内に好ましく導入される。
【0215】
本発明は、固体物から少なくとも1つの固体層を剥離するための方法を述べるものであり、ここで、固体部分特に1つの固体層を該固体物から剥離するための亀裂を誘導するために、亀裂誘導領域が改質によって提供され、前記方法は、レーザ適用装置に対して相対的に固体物を動かす工程と、少なくとも1つの改質をそれぞれ生成するために該レーザ適用装置よって複数のレーザビームを相次いで生成する工程とを少なくとも含み、前記レーザ適用装置は、改質の定義された生成のために、少なくとも1つのパラメータ、すなわち、定義された複数位置での及び定義された固体深さについての前記固体物の伝達特性、に依存して調整され、前記レーザ適用装置の前記調整によって、作用を受けた面の領域及び/又作用を受けた固体物の体積の領域において前記固体物の不均質性が補償され、さらに、前記固体物から前記固体層を剥離する工程を含む。
【0216】
図24aはラマン機器58を示す。ここに示されたラマン機器58は放射線を発光するレーザ60を持つ。該放射線は、好ましくは該光学システムから或る光学システムへの励振のために、少なくとも1つの光ファイバ61によって好ましく供給され、特にレンズ64が好ましく焦点合わせし、特に固体物内に焦点合わせする。該放射線は、少なくとも部分的に散乱され、好ましくはフィルタ装置又は励振フィルタ62によって、該レーザによって発光された放射線と同じ波長を持つ光成分がフィルタ出力される。他の放射線成分は、分光写真機68に供給され、カメラ装置特にCCD検出器70により記録され、制御装置14、72特にコンピュータによって評価され又は準備される。
【0217】
こうして、結晶における原子振動が、好ましくは外部特に好ましくは更なるレーザによって、好ましく励振される。これらの振動は、観測可能な散乱光をもたらす結晶原子での光散乱によって生成され、振動エネルギー量によって変化した光子エネルギーを持つ。いくつかの励振可能な振動の場合、散乱光のスペクトルにおいていくつかのピークが現れる。その結果であるラマン散乱スペクトルは、分光計(格子分光計)(所謂ラマン分光計)を使用して詳細に調査され得る。この方法において、結晶内の局所的状態は、その形状における個々のラマン線によって認識され、ドーピング度は該ラマン線の形状の分析から結論づけられ得る。
【0218】
図24bは、SiCにおいてどのような格子振動が起こり得るかを示し、これらのモードは結晶対称性と方向によって予め定義され、また、同時に励振され得る。示された図は、結晶軸Aに沿って延びている。この場合、原子の振動は、或るいくつかの方向においてのみ可能であり、該方向は該結晶の対称性によって予め定義される。
【0219】
図25aは、窒素でドーピングした4H炭化珪素の固体物のラマン分布の1区間を示す(ドープされたSiCのラマン分布例)。ここで、LO(PC)モードの形状は、ドーピング濃度の測定のために使用され、フィットされる。下の区画は、残余をフィットしている。
【0220】
図25bは、前記ラマン分布のより小さな区間を示す。
【0221】
示すような直接方法は、前記形状の測定とそれに続くにLO(PC)モードへのフィットに基づくラマン測定結果を使用してドーピングした不純物の濃度を判定することを得る。
【0222】
概して、この狙いは、レーザのパラメータを調整することによって、材料内における最適な(可及的に小さく、可及的に手短に)亀裂分布を調整することであり、すなわち、全ての材料損失(研磨工程においてすら)を最小化する又は減少することとは異なることによって、亀裂伝播の結果としての成功した分離をもたらすように、亀裂分布を調整することである。
【0223】
図26a及び
図26bは、ブール又はインゴットから個々のウェハを引き上げる構成に関する2つの可能性を示す。
【0224】
図26aによると、これはフィードフォワードループとして構成され、
図26bによると、これはフィードバックループとして構成されている。
【0225】
フィードフォワードの場合、この配列はレーザ処理の前において特徴記述され、そして、これから、マップ又は処理命令又はパラメータ適応化(特に位置に依存して)がレーザ処理のために(特に改質生成のために)計算される。フィードフォワードは、インゴット又はブールに対して好ましく実行される。
【0226】
代替的に、
図26bに示すように、フィードバックループが実行され得る。これによれば、各分離工程の後に、形成されたウェハが特徴記述され、次のウェハのためのテンプレートとして奉仕する。
【0227】
材料及びドーピングに依存して、異なる適応化がレーザ処理中に行われ得る:
【0228】
SiC材料の場合、複数レーザパラメータの異なる適応化が、結果として得られたドーピングに依存して異なる深さで行われ得る。以下述べる境界条件の下で、以下述べるのと同様の関数をもたらし得る。
深さ180μm、パルス持続時間3ns(ナノ秒)、開口数0.4:
低ドーピング:7μJ−21mOhmcm
高ドーピング:8μJ−16mOhmcm
【0229】
深さ350μm、パルス持続時間3ns、開口数0.4:
低ドーピング:9.5μJ−21mOhmcm
高ドーピング:12μJ−16mOhmcm
【0230】
深さ180μmの式:
Eは、μJ単位のエネルギー
E0は、最低ドーピングでのオフセットエネルギー
Kは、エネルギー・スケーリング係数
Rは、測定したドーピング度
Bは、基礎のドーピング度(21mOhmcm)
【0232】
ここで、
K=1/(21−16)μJ/mOhmcm=0.2μJ/mOhmcm
E0=7μJ
B=21mOhmcm
である。
【0233】
例:測定したドーピング度が19mOhmcmの場合: E=7.4μJである。
【0234】
深さ350μmの式:
Eは、μJ単位のエネルギー
E0は、最低ドーピングでのオフセットエネルギー
Kは、エネルギー・スケーリング係数
Rは、測定したドーピング度
Bは、基礎のドーピング度(21mOhmcm)
【0236】
ここで、
K=2.5/(21−16)μJ/mOhmcm=0.5μJ/mOhmcm
E0=9.5μJ
B=21mOhmcm
である。
【0237】
例:測定したドーピング度が19mOhmcmの場合: E=10,5μJである。
【0238】
図27a〜
図27iは、亀裂を引き起こすための更なる材料層又はコンポーネント150を生成した後に提供され得る様々な配列構成を示す。
【0239】
図27a〜
図27iは、亀裂を誘導する及び/又は亀裂を開始させる応力を引き起こすために有利であるような、種々の固体物配列176を示す。
【0240】
ここで、
図27aは、構造体又はコンポーネント150を持つ処理された固体物1又はウェハを示す。
【0241】
図27aに示す固体物1に比べて、
図27bに示す固体物1においては、コンポーネントの側に、特にコンポーネント150又は更なる材料層150の側に、受理層140が配置又は生成されている。この場合、該受理層140は、分離フィルムと称されることができ、かつ、該構造体の側で好ましくラミネート化され得る。続く工程において、全体的な配列構成が冷却され、その結果、分離又は亀裂開始及び/又は亀裂誘導がもたらされる。
【0242】
図27bに示す固体物1に比べて、
図27cによれば、固体物の下面に又は固体物の露出された表面上に、保持層若しくは接合されたウェハが配置されている。該保持層は、ツール・キャリア又はチャック300でもあり得る。続く工程において、全体的な配列構成が冷却され、その結果、分離又は亀裂開始及び/又は亀裂誘導がもたらされる。
【0243】
図27dは、
図27cに比べて、固体物が両面に受理層140、146を備えている配列構成を示す。この場合、更なる受理層146は、続く残りの残余固体物の表面に配置され、接着促進層148及び/又は犠牲層149が該更なる受理層146と固体物1との間に配置又は生成され得る。2つの受理層140、146は、好ましくラミネート化される。続く工程において、全体的な配列構成が冷却され、その結果、分離又は亀裂開始及び/又は亀裂誘導がもたらされる。
【0244】
図27eは、
図27dから知られた配列構成に比べて、接着促進層148及び/又は犠牲層149及び/又は保護層142が該更なる受理層146と固体物1との間に配置又は生成されていない配列構成を示す。続く工程において、全体的な配列構成が冷却され、その結果、分離又は亀裂開始及び/又は亀裂誘導がもたらされる。
【0245】
図27fは、
図27dから知られた配列構成とは反対に、接着促進層148及び/又は犠牲層149及び/又は保護層142が、該更なる受理層146と固体物1との間に配置又は生成されずに、受理層140と固体物1との間に配置又は生成される配列構成を示し、したがって、接着促進層148及び/又は犠牲層149及び/又は保護層142は、剥離されるべき固体層上に配置又は生成されることになる。ここでは、例えばスピンコーティングによって、1以上の層がコンポーネント150上に又は該構造上に生成され得る。続く工程において、全体的な配列構成が冷却され、その結果、分離又は亀裂開始及び/又は亀裂誘導がもたらされる。
【0246】
図27gは、
図27d及び
図27fによる配列構成の組み合わせに対応する配列構成を示す。固体物は両面上に分離フィルムで好ましくラミネートされ、同様に、保護層及び/又は接着促進層及び/又は犠牲層が該両面上の分離フィルムの下に設けられることができ、さらに、例えば、スピンコーティングを該構造上に施すことが可能である。続く工程において、全体的な配列構成が冷却され、その結果、分離又は亀裂開始及び/又は亀裂誘導がもたらされる。
【0247】
図27hは、
図27bに示された配列構成と同様の配列構成を示し、受理層140は、剥離されるべき固体層の表面の一面に配置又はラミネートされることなく、剥離後に残っている残余固体物上に配置又はラミネートされる。該剥離は、インゴットからの剥離と同様に又はインゴット処理においてと同様に、冷却の結果として行われる。
【0248】
図27iは、
図27cに示された配列構成と同様の配列構成を示し、以下述べる1以上の層又はデバイスが、前記固体物のコンポーネント側に又はコンポーネント150の上若しくは上方に配置又は生成される。この場合、これらの層又はデバイスは、好ましくは、少なくとも1つの又は厳密に1つの接着促進層148、及び/又は少なくとも1つの又は厳密に1つの犠牲層149、及び/又は少なくとも1つの又は厳密に1つの保護層142、及び/又は少なくとも1つの又は厳密に1つの安定化装置3、特にツール・キャリア又はチャック300(好ましくは冷却装置)若しくはその他のウェハ、である。続く工程において、全体的な配列構成が冷却され、その結果、分離又は亀裂開始及び/又は亀裂誘導がもたらされる。
【0249】
図28は、X−Y処理による書き込みパターンの一例の説明図である。
【0250】
矢印170、172はレーザ送り装置を表し、黒丸は異なるレーザスポット又は改質9を表し、これらは材料における損傷結果を重複させないようになっている。ここで、初め、レーザは一方向に移動して複数改質9を生成したならば、その後反転して、第2の(下側)方向において複数改質9を書き込む。
【0251】
図29a乃至
図29dは、様々な冷却装置174を示す。これらの冷却装置174内で処理された各固体物配列構成176は、
図27a乃至
図27iに示されて説明された1以上の受理層140、146を備えた固体物1の異なる装備又は構成からもたらされるものである。ここに示された冷却装置174は、すべて、冷却用の出力冷却媒体として液化ガス178を使用する。この出力冷却媒体は、実施例に応じて、霧状又は気化されたもののどちらかである。好ましくは、出力冷却媒体は液体窒素である。別の冷却方法は、例えば、ピエゾ素子によるものが考えられ、かつ、可能である。
【0252】
冷却装置174は、好ましくは、受理層140、146を−85℃乃至−10℃の間の温度まで、特に−80℃乃至−50℃の間の温度まで、冷却するために使用される。
【0253】
図29aによると、冷却装置174は窒素槽からなり、この窒素槽内に保持された液体窒素に対して、距離を空けて、特に調節可能な位置決め装置180によって、受理層が配置される。したがって、固体物配列構成は、位置決め装置上に又は窒素槽の上方のホルダー上に、
好ましく配置される。
【0254】
図29b乃至
図29dの実施例によると、冷却装置は噴霧手段からなり、特に、少なくとも1つの又は厳密に1つの液体窒素噴霧用の孔開きパイプライン又は液体窒素噴霧用の噴霧手段からなり、冷却効果は霧状又は気化された窒素によって生成され得る。
【0255】
図29bによれば、均質なスプレイ装置又は噴霧器がスプレイ又は噴霧のために設けられる。このスプレイ又は噴霧は、固体物配列構成176の上方で好ましく実行される。さらに好ましくは、温度制御のために温度測定がなされ、バルブ特に窒素バルブを調節するための出力データが出力される。この温度測定は、基材上又は固体物1上又は受理層140上で好ましくなされる。
【0256】
基材又は固体物1又は固体物配列構成176は、室の底部における窒素溜まりを避けるために、室の底部の上方に好ましく配置される。
【0257】
図29cによれば、均質なスプレイ装置として孔開きパイプラインが好ましく使用される。さらに好ましくは、温度制御のために温度測定がなされ、バルブ特に窒素バルブを調節するための出力データが出力される。この温度測定は、基材上又は固体物1上又は受理層140上で好ましくなされる。
【0258】
基材又は固体物1又は固体物配列構成176は、室の底部における窒素溜まりを避けるために、室の底部の上方に好ましく配置される。
【0259】
図29dによれば、好ましくはいくつかの側又はそれぞれの側を冷却するための均質なスプレイ装置又は噴霧器182からなる冷却装置174を示している。さらに好ましくは、温度制御のために温度測定がなされ、バルブ特に窒素バルブを調節するための出力データが出力される。この温度測定は、基材上又は固体物1上又は受理層140上で好ましくなされる。
【0260】
基材又は固体物1又は固体物配列構成176は、室の底部における窒素溜まりを避けるために、室の底部の上方に好ましく配置される。
【0261】
冷却装置174の室184は、孤立化によって可能な限り温度傾斜を減少すべく、好ましく閉鎖される。
【0262】
図30は、結晶格子方位と改質生成との好ましい関係性についての3つの例を示す。この方法は、特に、SiCからなる若しくはSiCを含む固体物からの固体層の剥離にとって適している。これらの関係性は、本発明に従う更なる方法をもたらす。本発明に従う、この更なる方法は、少なくとも1つの固体物1から、特にインゴットからウェハの、少なくとも1つの固体層を剥離するために、又はウェハを薄くするために、好ましく使用される。本発明に従う、この更なる方法は、好ましくは、剥離面4を形成するためにレーザビームによって固体物1の内部に複数の改質2を生成する工程と、該固体物1内で応力を発生するために該固体物1内に外部力を導入する工程とを少なくとも含み、ここで、外部力は該応力が前記剥離面4に沿う亀裂伝播をもたらすような強さを持つ。
【0263】
本発明によれば、複数の改質は少なくとも1つの行又は並び又は連なりにおいて連続的に生成され、1つの行又は並び又は連なりにおいて連続的に生成された複数の改質2は、距離Xをおいて及び高さHで好ましく生成され、これにより、2つの連続する改質の間の亀裂伝播、特に結晶格子方向の亀裂伝播が、該2つの改質を相互接続し、該亀裂伝播の方向が剥離面に対して角度Wで整列するようにされる。ここで、該角度Wは、好ましくは2度乃至6度の間にあり、特に好ましくは4度である。好ましくは、亀裂は第1の改質の中央の下方の領域から第2の改質の中央の上方の領域へと伝播する。ここで、本質的な関係性は、1つの改質のサイズが改質間の距離及び角度Wに依存して変化され得る又は変化されねばならないということである。
【0264】
さらに、この方法は、前記固体物1の最初に露出された表面の上又は上方に複数の層及び/又はコンポーネント150を配置又は生成することにより、複合構造を生成する工程をも含み得、ここで、前記露出された表面は、剥離されるべき固体層の一部である。特に好ましくは、剥離面を形成するための前記複数の改質は、前記複合構造を生成する前に、生成される。
【0265】
外部力を導入するために、例えば、既に述べた方法と似たように、受理層140が該固体物の前記複合構造の露出された表面上に配置され得る。
【0266】
3つの
図30a〜30cは、レーザによってアモルファス化された/位相変換された損傷/改質領域のサイズが、亀裂の鋸歯波パターンによってカバーされた高さに、如何に影響するかを図示することを意図している。一般的に、亀裂は、結晶の個々の原子の間の結晶面に沿って走る。改質されたゾーンにおいては、これら明確な面はもはや存在せず、よって、亀裂は停止することになる。
【0267】
ビーム方向に沿う且つ焦点面で横方向の損傷ゾーンは、開口数によって減少され得、該開口数はできるだけ高いことが好ましい。閾強度に到達しさえすればよいので、ここでは、より小さなパルスエネルギーで十分である。
【0268】
今や、損傷ゾーンは適度により小さくなるように構成され、複数のレーザ改質は、より密集して設定され得、それは、前記鋸歯波がより短く走るようにし且つ全体的に改質面の広がりがより小さな高さとされるようにする(最初の図)。
【0269】
他方、もし損傷ゾーンがより大きくなるように構成されるならば(より高いエネルギー及び/又はより低い開口数−
図30b)、より大きなマクロ亀裂がアモルファス化されたゾーンの増加された圧力によって始まり、それは、より大きな距離でより大きな広がりを持つ損傷ゾーンによって阻止され得る。
【0270】
最後に、
図30cは、もし損傷ゾーンが十分に大きくなく且つ余りに広く走った亀裂がレーザ改質によってトリガされたならば生じるリスクを示し、一方では、亀裂は余りに広く−すなわち該亀裂によって生成された高さの差が望みよりも大きく−、そして、他方では、各亀裂が隣の損傷ゾーンの下側を通り越して走り、アモルファス化された材料によって停止されない、ということになる。これは、すべての亀裂化した材料層が最終製品又は更新されるレーザ処理のために取り除かれねばならないので、再び、材料の無駄を招く。
【0271】
図31は、本発明に従う更なる方法から抽出して概略的に描いた1場面を示す。この更なる方法は、少なくとも1つの固体物1から、特にインゴットからウェハの、少なくとも1つの固体層を剥離するために、又はウェハを薄くするために、好ましく使用される。本発明に従う、この更なる方法は、好ましくは、剥離面4を形成するためにレーザビームによって固体物1の内部に複数の改質2を生成する工程と、該固体物1内で応力を発生するために該固体物1内に外部力を導入する工程とを少なくとも含み、ここで、外部力は該応力が前記剥離面4に沿う亀裂伝播をもたらすような強さを持つ。
【0272】
本発明によれば、第1工程において、ライン(行)130上に、好ましくは互いに等間隔で、複数の改質が生成される。さらに、該第1工程において複数のこれらライン(行)が生成されることが考慮される。これらの第1ラインは、特に好ましくは、亀裂伝播方向と平行に、好ましくは直線的に又は弧状に、特に同一面において、生成される。これら第1ラインの生成後に、好ましくは未臨界の亀裂をトリガする及び/又は駆動するために、複数の第2ライン150を好ましく生成する。該第2ラインは、また、好ましくは直線的に生成される。特に好ましくは、第2ラインは第1ラインに対して傾きをなしており、特に好ましくは直交する。該第2ラインは、前記第1ラインと同様に同一面において好ましく延びており、若しくは、特に好ましくは、前記第1ラインが延びている面と平行な面において延びている。好ましくは、それから、未臨界の亀裂を接続するために、複数の第3ラインが生成される。
【0273】
この方法は、SiCからなる又はSiCを含む固体物から固体層を剥離するために、特に適している。
【0274】
さらに、複数の改質は少なくとも1つの行又は並び又は連なりとして連続的に生成され得、該1つの行又は並び又は連なりにおいて生成された複数の改質2は、距離Xをおいて及び高さHで好ましく生成され、これにより、2つの連続する改質の間の亀裂伝播、特に結晶格子方向の亀裂伝播が、該2つの改質を相互接続し、該亀裂伝播の方向が剥離面に対して角度Wで整列するようにされる。ここで、該角度Wは、好ましくは2度乃至6度の間にあり、特に好ましくは4度である。好ましくは、亀裂は第1の改質の中央の下方の領域から第2の改質の中央の上方の領域へと伝播する。ここで、本質的な関係性は、1つの改質のサイズが改質間の距離及び角度Wに依存して変化され得る又は変化されねばならないということである。
【0275】
さらに、この方法は、前記固体物1の最初に露出された表面の上又は上方に複数の層及び/又はコンポーネント150を配置又は生成することにより、複合構造を生成する工程をも含み得、ここで、前記露出された表面は、剥離されるべき固体層の一部である。特に好ましくは、剥離面を形成するための前記複数の改質は、前記複合構造を生成する前に、生成される。
【0276】
外部力を導入するために、例えば、既に述べた方法と似たように、受理層140が該固体物の前記複合構造の露出された表面上に配置され得る。
【0277】
したがって、本発明に従う更なるレーザ方法においては、長手方向のラインが亀裂を駆動する前に好ましい亀裂開始(亀裂初期化)のための面を最初に定義するために、亀裂伝播方向に平行な複数のライン(行)(好ましくは「横方向ライン」と呼ぶ)がSiC(その他の材料でもよいが)の上に好ましく生成される。この場合において、亀裂は、まず、横方向に開始され、それから、長手方向に延び、その後、最後の工程が、亀裂を拡張し始めるために第2工程の長手方向の複数ラインの間に複数のラインを設定する。これは、よりの短い亀裂経路を可能にし、最終的な表面の粗さを最小化する。
横方向ライン(鋸歯波付き)及び亀裂開始ライン(鋸歯の波頭上)についての一例図。