特許第6703624号(P6703624)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6703624
(24)【登録日】2020年5月12日
(45)【発行日】2020年6月3日
(54)【発明の名称】車両用エアバッグ
(51)【国際特許分類】
   B60R 21/2338 20110101AFI20200525BHJP
   B60R 21/235 20060101ALI20200525BHJP
   B60R 21/232 20110101ALI20200525BHJP
   B60R 21/36 20110101ALI20200525BHJP
【FI】
   B60R21/2338
   B60R21/235
   B60R21/232
   B60R21/36 320
【請求項の数】12
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2018-555656(P2018-555656)
(86)(22)【出願日】2017年6月26日
(65)【公表番号】特表2019-515835(P2019-515835A)
(43)【公表日】2019年6月13日
(86)【国際出願番号】EP2017065737
(87)【国際公開番号】WO2018001979
(87)【国際公開日】20180104
【審査請求日】2018年10月25日
(31)【優先権主張番号】16177009.4
(32)【優先日】2016年6月29日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】503358097
【氏名又は名称】オートリブ ディベロップメント エービー
(74)【代理人】
【識別番号】100098143
【弁理士】
【氏名又は名称】飯塚 雄二
(72)【発明者】
【氏名】ウートン、ゲリー
(72)【発明者】
【氏名】フィン、ヒュー
【審査官】 飯島 尚郎
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2007/0200329(US,A1)
【文献】 特開2001−138852(JP,A)
【文献】 特開2016−068831(JP,A)
【文献】 特開2003−166144(JP,A)
【文献】 特表2011−521837(JP,A)
【文献】 特開2015−016722(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第02520471(EP,A1)
【文献】 特開平05−124480(JP,A)
【文献】 特表2014−515712(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 21/00−21/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用エアバッグ(1)であって、
織り合わされた複数の経糸及び緯糸をそれぞれ含む第1の布地層(2)及び第2の布地層(3)と、
前記第1の布地層(2)及び前記第2の布地層(3)のうちの少なくとも一方に配置され、ガス源に接続されるように構成された入口開口(4)と、
前記第1の布地層(2)と前記第2の布地層(3)との間に少なくとも部分的に設けられ、前記入口開口(4)と流体連通するとともに、前記入口開口(4)からのガスによって膨張するように構成されたチャンバー(6)と、
細長いテザー(8)と、を備え、
前記細長いテザー(8)は、
当該エアバッグ(1)の第1の部位(11)における少なくとも1つの経糸(10a)とともに織り合わされる第1の部分(9)と、
経糸とともに織り合わされず、当該エアバッグの前記第1の部位(11)から当該エアバッグ(1)の第2の部位(14)まで延在する前記テザー(8)の第2の部分(12)と、
当該エアバッグ(1)の前記第2の部位(14)における少なくとも1つの経糸(10b)とともに織り合わされる第3の部分(13)であって、前記テザー(8)の前記第1の部分(9)及び該第3の部分(13)の織合せにより、当該エアバッグ(1)の前記第1の部位及び前記第2の部位の構造的特性を変更するようになっている、第3の部分(13)と、を有し、
前記第1の布地層(2)及び前記第2の布地層(3)の前記緯糸セットは、第1の所定量であり、前記エアバッグ(1)の前記第1の部位(11)及び前記第2の部位(14)における前記緯糸セットは、前記第1の所定量よりも小さい第2の所定量であり、
当該エアバッグ(1)の前記第1の部位(11)及び前記第2の部位(14)のうちの少なくとも一方は、前記入口開口(4)に位置するか又は前記入口開口(4)に隣接して位置する、車両用エアバッグ。
【請求項2】
前記テザー(8)の前記第1の部分(9)、前記第2の部分(12)、及び前記第3の部分(13)を組み合わせた長さは、前記テザー(8)の全長と実質的に等しい、請求項1に記載の車両用エアバッグ。
【請求項3】
前記第1の布地層(2)の前記第1の部位(11)と前記第2の布地層(3)の第2の部位(14)とにおいて、前記テザー(8)の前記第1の部分(9)と前記第3の部分(13)が、前記第1の布地層(2)と前記第2の布地層(3)と一体化されることを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用エアバッグ。
【請求項4】
前記第2の所定の緯糸セットは、1cmあたり12〜20である、請求項3に記載の車両用エアバッグ。
【請求項5】
前記エアバッグ(1)の前記第1の部位及び前記第2の部位のガス透過度は、0l/dm〜4l/dmである、請求項3に記載の車両用エアバッグ。
【請求項6】
前記エアバッグは、前記第1の布地層(2)及び前記第2の布地層(3)のうちの一方に対して、前記入口開口(4)に取り付けられるか又は前記入口開口(4)に隣接して取り付けられる補強部材を更に備える、請求項1〜5のいずれか1項に記載の車両用エアバッグ。
【請求項7】
前記補強部材は、Yソックスである、請求項6に記載の車両用エアバッグ。
【請求項8】
前記エアバッグ(1)の前記布地層(2、3)のうちの少なくとも一方の引裂強度は、第1の所定の引裂強度であり、前記エアバッグ(1)の前記第1の部位及び前記第2の部位のそれぞれの引裂強度は、前記第1の所定の引裂強度よりも大きい第2の所定の引裂強度である、請求項1〜7のいずれか1項に記載のエアバッグ。
【請求項9】
前記エアバッグ(1)の前記布地層(2、3)のうちの少なくとも一方の引張強度は、第1の所定の引張強度であり、前記エアバッグ(1)の前記第1の部位及び前記第2の部位のそれぞれの引張強度は、前記第1の所定の引張強度よりも大きい第2の所定の引張強度である、請求項1〜8のいずれか1項に記載のエアバッグ。
【請求項10】
前記テザーは、
前記エアバッグ(1)の第3の部位における少なくとも1つの経糸とともに織り合わされる第4の部分と、
経糸とともに織り合わされず、前記エアバッグの前記第3の部位から前記エアバッグ(1)の第4の部位まで延在する前記テザーの第5の部分と、
前記エアバッグ(1)の前記第4の部位における少なくとも1つの経糸とともに織り合わされる第6の部分と、を更に有する、請求項1〜9のいずれか1項に記載の車両用エアバッグ。
【請求項11】
前記エアバッグ(1)は、歩行者保護エアバッグ又はカーテンエアバッグのうちの一方である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の車両用エアバッグ。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか1項に記載の車両用エアバッグ(1)を備える車両用エアバッグモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用エアバッグに関し、より詳細には、内部テザー(tether:つなぎ紐)を組み込んだ車両用エアバッグに関する。
【背景技術】
【0002】
車両用エアバッグは、通常、織り合わされた経糸及び緯糸からそれぞれ形成される2つの布地層を有する。エアバッグは、ワンピース織り(one piece weaving:一枚織り)技法を用いて製造されることが多い。なぜなら、この技法は、織機での単独の作業で素早く行うことができるためである。
【0003】
エアバッグが膨張する際のエアバッグの拡大又は移動を制限するために、エアバッグの部位間にテザーを設けることが知られている。テザーは、膨張時にエアバッグを適切な形状に維持するために、歩行者保護エアバッグ又はカーテンエアバッグに設けられることが多い。テザーは、膨張時にエアバッグの部位の奥行き又は厚さを制御するように、エアバッグの内部チャンバーを横切って延在し、エアバッグの布地層に接続される。
【0004】
テザーは、エアバッグの布地の短尺部分に沿って接続される複数のテザー糸から形成される。テザー糸の不使用分の長さを切断して除去することは困難であるため、テザー糸の不使用分の長さは、通常、エアバッグ内に自由に垂れ下がるようにして取り残される。
【0005】
テザー糸の不使用分の長さは、エアバッグの膨張には干渉しないが、テザー糸の不使用分の長さがエアバッグの内部チャンバーを横切って延在することにより、製造中に補強部材をエアバッグに挿入することが困難になる。例えば、テザー糸の不使用分の長さは、エアバッグの一部を補強するプラスチック補強材又は布地補強材の挿入を困難にする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
少なくとも上記に概説した問題を軽減する改良された車両用エアバッグが必要とされている。
【0007】
本発明は、改良された車両用エアバッグを提供することを目指す。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様によれば、車両用エアバッグであって、織り合わされた複数の経糸及び緯糸をそれぞれ含む第1の布地層及び第2の布地層と、第1の布地層及び第2の布地層のうちの少なくとも一方に配置され、ガス源に接続されるように構成された入口開口と、第1の布地層と第2の布地層との間に少なくとも部分的に設けられ、入口開口と流体連通するとともに、入口開口からのガスによって膨張するように構成されたチャンバーと、細長いテザーとを備え、細長いテザーは、エアバッグの第1の部位における少なくとも1つの経糸とともに織り合わされる第1の部分と、経糸とともに織り合わされず、エアバッグの第1の部位からエアバッグの第2の部位まで延在するテザーの第2の部分と、エアバッグの第2の部位における少なくとも1つの経糸とともに織り合わされる第3の部分であって、テザーの第1の部分及び第3の部分の織合せにより、エアバッグの第1の部位及び第2の部位の機械的特性を変更するようになっている、第3の部分とを有し、エアバッグの第1の部位及び第2の部位のうちの少なくとも一方は、入口開口に位置するか又は入口開口に隣接して位置する、車両用エアバッグが提供される。
【0009】
テザーの第1の部分、第2の部分、及び第3の部分を組み合わせた長さは、テザーの全長と実質的に等しいことが好ましい。
【0010】
第1の布地層及び第2の布地層の緯糸セット(weft sett)は、第1の所定量であり、エアバッグの第1の部位及び第2の部位における緯糸セットは、第1の所定量よりも小さい第2の所定量であることが好都合である。
【0011】
第2の所定の密度は、1cmあたり12〜20であることが有利である。
【0012】
エアバッグの第1の部位及び第2の部位のガス透過度は、0l/dm〜4l/dmであることが好ましい。
【0013】
エアバッグは、第1の布地層及び第2の布地層のうちの一方に対して、入口開口に取り付けられるか又は入口開口に隣接して取り付けられる補強部材を更に備えることが好都合である。
【0014】
補強部材は、Yソックス(Y-sock)であることが有利である。
【0015】
エアバッグの布地層のうちの少なくとも一方の引裂強度は、第1の所定の引裂強度であり、エアバッグの第1の部位及び第2の部位のそれぞれの引裂強度は、第1の所定の引裂強度よりも大きい第2の所定の引裂強度であることが好ましい。
【0016】
エアバッグの布地層のうちの少なくとも一方の引張強度は、第1の所定の引張強度であり、エアバッグの第1の部位及び第2の部位のそれぞれの引張強度は、第1の所定の引張強度よりも大きい第2の所定の引張強度であることが好都合である。
【0017】
テザーは、エアバッグの第3の部位における少なくとも1つの経糸とともに織り合わされる第4の部分と、経糸とともに織り合わされず、エアバッグの第3の部位からエアバッグの第4の部位まで延在するテザーの第5の部分と、エアバッグの第4の部位における少なくとも1つの経糸とともに織り合わされる第6の部分とを更に有することが有利である。
【0018】
エアバッグは、歩行者保護エアバッグ又はカーテンエアバッグのうちの一方であることが好ましい。
【0019】
本発明の別の態様によれば、添付の請求項1〜11のいずれか1項に記載の車両用エアバッグを備える車両用エアバッグモジュールが提供される。
【0020】
本発明をより容易に理解することができるように、ここで、添付の図面を参照しながら、例として、本発明の実施形態が説明されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】エアバッグのスロート部を示すエアバッグの線図である。
図2】本発明の一実施形態のエアバッグの経糸とともに織り合わされたテザーの斜視線図である。
図3】本発明の一実施形態のエアバッグの線図である。
図4図3に示されているエアバッグの部位の断面線図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
添付図面の図1を最初に参照すると、エアバッグ1は、重なり合う第1の布地層2及び第2の布地層3(図1ではそのうちの一方のみが見えている)を有する。布地層は、それぞれ、複数の織り合わされた経糸及び緯糸を含む。この実施形態では、布地層2、3は、ワンピース織り技法を用いて製造される。
【0023】
この実施形態では、エアバッグ1は、歩行者保護エアバッグである。しかし、他の実施形態では、エアバッグ1は、カーテンエアバッグ又は一体型カーテンエアバッグである。本発明の他の実施形態では、エアバッグ1は、更に別のタイプのエアバッグとすることができることが理解されよう。
【0024】
エアバッグ1は、第1の布地層2及び第2の布地層3のうちの少なくとも一方に設けられた入口開口4を有する。この実施形態では、入口開口4は、重なり合う2つの布地層2、3の間に形成される。入口開口4は、火工式ガス発生器等のガス源(図示せず)に接続されるように構成されている。
【0025】
入口開口4は、任意の入口導管5の一端部に設けられる。入口導管5の他端部は、重なり合う第1の布地層2と第2の布地層3との間に少なくとも部分的に設けられるチャンバー6と流体連通する。エアバッグ1は、入口開口4内に導かれるガスが、チャンバー6に流入し、エアバッグ1を膨張させるように構成されている。
【0026】
エアバッグ1のスロート部7は、入口開口4に位置するか又は入口開口4に隣接して位置する。スロート部7は、エアバッグ1の第1の布地層2及び第2の布地層3のうち、エアバッグ1が膨張するときにエアバッグ1に注入されるガスによる強い力及び高温にさらされる部分を含む。この実施形態では、エアバッグ1のスロート部7は、第1の布地層2及び第2の布地層3のうち、膨張時にエアバッグに注入されるガスが直接作用する部分を含む。
【0027】
更なる実施形態において、エアバッグ1は、スロート部7が補強部材(図示せず)によって補強される。補強部材は、スロート部7内に取り付けられ、膨張時にエアバッグ内に導かれる高温ガスからスロート部7を保護する。補強部材は、1つの実施形態において、プラスチック材料及び/又は布地材料製のYソックスである。補強部材は、製造中にエアバッグ1のチャンバー6に挿入される。エアバッグ1がワンピース織り(one piece woven)エアバッグである実施形態において、補強部材は、ワンピース織りプロセスが完了した後、入口開口4を通してチャンバー6に挿入される。
【0028】
ここで、添付図面の図2図4を参照すると、エアバッグ1は、この実施形態では複数のテザー糸を含む細長いテザー8を備える。単純にするために、複数のテザー糸は、以降の記載では「テザー」と称する。
【0029】
テザー8は、第1の布地層2と第2の布地層3との間に接続され、エアバッグ1が膨張する際にエアバッグの形状を制限又は変形する。この実施形態では、テザー8は、エアバッグ1が膨張する際にチャンバー6の一部の膨張を制限することにより、エアバッグ1の厚さ又は奥行きを制御するように構成されている。
【0030】
テザー8の第1の部分9は、エアバッグ1の第1の部位11における複数の経糸10aとともに織り合わされる。他の実施形態では、テザー8の第1の部分9は、エアバッグ1の第1の部位11における少なくとも1つの経糸10aとともに織り合わされる。
【0031】
テザー8の第2の部分12は、エアバッグ1の経糸とともに織り合わされない。テザー8の第2の部分12は、図4に示されているように、エアバッグ1の第1の布地層2からエアバッグ1の第2の布地層3まで延在する。テザー8の第2の部分12は、膨張時にエアバッグ1の形状を制限又は変形するテザーとして機能する。
【0032】
テザー8の第3の部分13は、テザー8を第2の布地層3に取り付けるために、エアバッグ1の第2の布地層3の複数の経糸10bとともに織り合わされる。他の実施形態では、テザー8の第3の部分13は、テザー8をエアバッグ1の第2の布地層3に取り付けるために、エアバッグ1の第2の部位14における少なくとも1つの経糸10bとともに織り合わされる。
【0033】
ここで、添付図面の図3を参照すると、テザー8の第1の部分9及び第3の部分13は、この実施形態では、第1の部分9及び第3の部分13がエアバッグ1の布地層2、3に一体化されるように、布地層2、3において経糸10a、10bとともに織り合わされる。したがって、テザー8の第1の部分9及び第3の部分13は、図3において文字Hで示されている隠れた部分であり、テザー8の第1の部分9及び第3の部分13は、エアバッグ1のチャンバー6内に自由に垂れ下がらない。テザー8の第2の部分12は、膨張時にエアバッグ1の形状を制御するテザーとして機能し、図3における文字Tによって示される。
【0034】
本発明のこの実施形態のエアバッグ1は、図3において文字Hで示されているエアバッグ1の布地の複数の異なる部位とともに織り合わされた複数のテザーを含む。テザーの織合せ部分を含まず、エアバッグ1の布地層2、3の間を横切って延在するテザーの部分を有しないエアバッグ1の部位は、図3において文字PLで示されている。
【0035】
この実施形態では、テザー8の第1の部分9、第2の部分12、及び第3の部分13を組み合わせた長さは、テザー8の全長と実質的に等しい。エアバッグ1は、チャンバー6内に自由に垂れ下がるテザー8の不使用部分を含まない。したがって、製造中にエアバッグ1のチャンバー6に補強部材を挿入することを阻止又は別様に妨害するテザー8の不使用部分が存在しない。
【0036】
更なる一実施形態において、テザー8は、エアバッグ1の第3の部位における少なくとも1つの経糸とともに織り合わされる第4の部分を更に有する。テザー8の第5の部分は、経糸とともに織り合わされず、エアバッグ1の第3の部位からエアバッグ1の第4の部位まで延在する。テザー8は、エアバッグ1の第4の部位における少なくとも1つの経糸とともに織り合わされる第6の部分を更に有する。
【0037】
不使用部分を布地層2、3の経糸とともに織り合わせることにより、テザー8の不使用部分を「隠す」ことに加えて、この織合せは、布地層2、3の構造的又は機械的特性を変更する。布地層2、3にテザー8の不使用部分を一体化することにより、布地層2、3の引裂強度が、1つの実施形態では80N〜300N、若しくは別の実施形態では300N〜800Nに増大し、及び/又は、布地層2、3の引張強度が、1つの実施形態では2200N〜2900N、若しくは別の実施形態では3000N〜5000Nに増大する。この引裂強度及び/又は引張強度の増大は、テザー8の不使用部分を隠すことの利益を上回る更なる利益となり、エアバッグ1の製造を容易にする。
【0038】
本発明の一実施形態において、布地層2、3にテザーの不使用部分を一体化することにより、エアバッグ1のうち、織り合わされたテザー8を含む部位における緯糸セットを低減することが可能になる。緯糸セットの低減により、第1の布地層2及び第2の布地層3のこれらの部位のガス透過性が、エアバッグ1の布地層2、3の残りの部分と比べて増大する。このガス透過性の増大は、エアバッグ1の布地の高圧領域において、エアバッグ1内の圧力の抑制に役立ち、それにより、エアバッグ1の膨張時に、布地層2、3に過剰な圧力がかかり、テザー8が破断する可能性を最小限にすることから望ましい。
【0039】
本発明の1つの実施形態において、第1の布地層2及び第2の布地層3の緯糸セットは、第1の所定量であり、エアバッグ1のうち、テザー8が経糸及び緯糸とともに織り合わされる部位における緯糸セットは、第1の所定量よりも小さい第2の所定量である。好ましい一実施形態において、エアバッグのうち、テザー8が第1の布地層2及び第2の布地層3とともに織り合わされる部位の緯糸セットは、1cmあたり12〜20である。更なる一実施形態において、緯糸セットは、1cmあたり20〜26である。
【0040】
好ましい一実施形態において、テザー8が経糸及び緯糸とともに織り合わされるエアバッグ1の布地層2、3のガス透過度は、0l/dm〜4l/dmである。
【0041】
本明細書及び特許請求の範囲において使用されるときに、「備える("comprises" and "comprising")」という用語及びその変形は、規定された特徴、ステップ又は整数が含まれることを意味する。その用語は、他の特徴、ステップ又は複合体の存在を除外するように解釈されるべきではない。
【0042】
これまでの説明において、又は添付の特許請求の範囲において、又は添付の図面において開示される特徴は、必要に応じて、特定の形において表されるか、開示される機能を実行するための手段に関して表されるか、又は開示される結果を得るための方法若しくはプロセスに関して表され、その多様な形において本発明を実現するために、別々に、又はそのような特徴の任意の組み合わせにおいて利用される場合がある。
図1
図2
図3
図4