特許第6703625号(P6703625)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6703625ロボット把持装置及びその方法、並びにロボット装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6703625
(24)【登録日】2020年5月12日
(45)【発行日】2020年6月3日
(54)【発明の名称】ロボット把持装置及びその方法、並びにロボット装置
(51)【国際特許分類】
   B25J 15/08 20060101AFI20200525BHJP
   B25J 19/06 20060101ALI20200525BHJP
【FI】
   B25J15/08 G
   B25J19/06
【請求項の数】20
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2018-555681(P2018-555681)
(86)(22)【出願日】2017年4月27日
(65)【公表番号】特表2019-514710(P2019-514710A)
(43)【公表日】2019年6月6日
(86)【国際出願番号】US2017029832
(87)【国際公開番号】WO2017192353
(87)【国際公開日】20171109
【審査請求日】2018年12月18日
(31)【優先権主張番号】15/146,692
(32)【優先日】2016年5月4日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516326438
【氏名又は名称】エックス デベロップメント エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100126480
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 睦
(72)【発明者】
【氏名】シュトラウス,マーク
【審査官】 貞光 大樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−245568(JP,A)
【文献】 実開昭61−120492(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3156145(JP,U)
【文献】 国際公開第2008/069306(WO,A1)
【文献】 実開昭61−64986(JP,U)
【文献】 特開2007−132325(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00 − 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボット把持装置であって、
基端に結合されたウォームギヤを有する指と、
モータとシャフトとを有するアクチュエータであって、前記シャフトは、前記ウォームギヤに結合されたウォームを回転させるように構成され、前記アクチュエータは、前記アクチュエータが軸に沿って摺動するようにキャリッジ上に取り付けられた、アクチュエータと、
第1の端部および第2の端部を有するバネであって、前記第1の端部は前記アクチュエータの前記モータに結合され、前記第2の端部は固定され、その結果、前記バネが平衡状態にあるとき、前記アクチュエータは前記軸に沿った第1の位置に保持される、バネと、を備え、
前記ウォームギヤの形状は、部分的な円であり、
前記アクチュエータは、
前記モータに対して前記シャフトを第1の量だけ回転させ、それによって前記ウォームおよび前記ウォームギヤを回転させて前記指を物体の方に動かすように構成されると共に、
前記指が前記物体に接触して前記指がそれ以上動かなくなると、前記モータに対して前記シャフトをさらに回転させて、前記バネがもはや平衡状態でない第2の位置に前記アクチュエータを前記軸に沿って摺動させ
閾値トルクを超えるトルクが前記指に加えられると前記ウォームを前記ウォームギヤから離脱させるように構成された、ロボット把持装置。
【請求項2】
前記指は、並進運動するように構成されている、請求項1に記載のロボット把持装置。
【請求項3】
前記軸に沿った前記アクチュエータの前記第1の位置と前記第2の位置との間の差を決定するように構成されたリニアエンコーダと、
前記アクチュエータの前記第1の位置と前記第2の位置との間の前記差に基づいて、前記指に加えられたトルクの量を決定するように構成された制御システムと
をさらに備えた、請求項1に記載のロボット把持装置。
【請求項4】
前記バネは、前記アクチュエータの周囲に配置されている、請求項1に記載のロボット把持装置。
【請求項5】
前記指は、第1の指を備え、
前記ロボット把持装置は、それぞれのウォームギヤと、関連するウォーム、アクチュエータおよびバネとを有する第2の指をさらに備える、請求項1に記載のロボット把持装置。
【請求項6】
前記バネは、二つのバネを有し、各バネが、前記アクチュエータの両側にそれぞれ配置されている、請求項1に記載のロボット把持装置。
【請求項7】
前記指は、劣駆動される指である、請求項1に記載のロボット把持装置。
【請求項8】
ロボット把持装置と、
前記ロボット把持装置を制御するように構成された制御システムと、を備え、
前記ロボット把持装置は、
基端に結合されたウォームギヤを有する指と、
モータとシャフトとを有するアクチュエータであって、前記シャフトは、前記ウォームギヤに結合されたウォームを回転させるように構成され、前記アクチュエータは、前記アクチュエータが軸に沿って摺動するようにキャリッジに取り付けられた、アクチュエータと、
第1の端部および第2の端部を有するバネであって、前記第1の端部は前記アクチュエータの前記モータに結合され、前記第2の端部は固定され、その結果、前記アクチュエータは、前記バネが平衡状態にあるとき、前記軸に沿った第1の位置に保持される、バネと、
を備え、
前記制御システムは、
1つまたは複数のプロセッサと、
非一時的コンピュータ可読メモリと、
前記非一時的コンピュータ可読メモリに記憶されたプログラム命令であって、前記1つまたは複数のプロセッサによって、
前記アクチュエータが前記モータに対して前記シャフトを第1の量だけ回転させるようにし、それによって、前記ウォームおよび前記ウォームギヤを回転させて前記指を物体の方に動かすと共に、
前記指が前記物体に接触して前記指がそれ以上動かなくなると、前記アクチュエータが前記モータに対して前記シャフトをさらに回転させるようにし、前記バネがもはや平衡状態でない第2の位置に前記アクチュエータを前記軸に沿って摺動させるように
実行可能であるプログラム命令と
を含み、
前記ウォームギヤの形状は、部分的な円であり、
前記アクチュエータは、閾値トルクを超えるトルクが前記指に加えられると前記ウォームを前記ウォームギヤから離脱させるように構成されている、ロボット装置。
【請求項9】
前記指は、並進運動するように構成されている、請求項8に記載のロボット装置。
【請求項10】
前記ロボット把持装置は、前記軸に沿った前記アクチュエータの前記第1の位置と前記第2の位置との間の差を決定するように構成されたリニアエンコーダをさらに備え、
前記プログラム命令は、前記アクチュエータの前記第1の位置と前記第2の位置との間の前記差に基づいて、前記指に加えられたトルクの量を決定するようにさらに実行可能である、請求項8に記載のロボット装置。
【請求項11】
前記バネは、前記アクチュエータの周囲に配置されている、請求項8に記載のロボット装置。
【請求項12】
前記指は、第1の指を備え、
前記ロボット把持装置は、それぞれのウォームギヤと、関連するウォーム、アクチュエータおよびバネとを有する第2の指をさらに備える、請求項8に記載のロボット装置。
【請求項13】
前記バネは、二つのバネを有し、各バネが、前記アクチュエータの両側にそれぞれ配置されている、請求項8に記載のロボット装置。
【請求項14】
前記指は、劣駆動される指である、請求項8に記載のロボット装置。
【請求項15】
指、アクチュエータおよびバネを備えたロボット把持装置が掴む物体を特定することであって、
(i)前記指は、基端に結合されたウォームギヤを有し、前記ウォームギヤの形状は、部分的な円であり、
(ii)前記アクチュエータは、モータとシャフトとを有し、前記シャフトは、前記ウォームギヤに結合されたウォームを回転させ、前記アクチュエータは、前記アクチュエータが軸に沿って摺動するようにキャリッジに取り付けられ、
(iii)前記バネは、第1の端部と第2の端部とを有し、前記第1の端部は前記アクチュエータの前記モータに結合され、前記第2の端部は固定され、その結果、前記バネが平衡状態にあるとき、前記アクチュエータは前記軸に沿った第1の位置に保持される、ロボット把持装置が掴む物体を特定することと、
前記モータに対して前記シャフトを第1の量だけ回転させ、それによって前記ウォームおよび前記ウォームギヤを回転させて前記指を物体の方に動かすことと、
前記指が前記物体に接触して前記指がそれ以上動かなくなると、前記シャフトを前記モータに対してさらに回転させて、前記バネがもはや平衡状態ではない第2の位置へ前記アクチュエータを前記軸に沿って摺動させることと
閾値トルクを超えるトルクが前記指に加えられると前記ウォームを前記ウォームギヤから離脱させることと、
を含む方法。
【請求項16】
前記指は、並進運動するように構成されている、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記ロボット把持装置は、
前記軸に沿った前記アクチュエータの前記第1の位置と前記第2の位置との間の差を決定するように構成されたリニアエンコーダと、
制御システムと、
をさらに備え、
前記方法は、前記制御システムによって、前記アクチュエータの前記第1の位置と前記第2の位置との間の前記差に基づいて、前記指に加えられたトルクの量を決定することをさらに、含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記バネは、前記アクチュエータの周囲に配置されている、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記指は、第1のシャフトと、モータと、アクチュエータと、バネと、ウォームギヤと、ウォームとを有する第1の指を備え、
前記ロボット把持装置は、それぞれの第2のシャフトと、モータと、アクチュエータと、バネと、ウォームギヤと、ウォームとを有する第2の指をさらに備え、
前記方法は、
前記第1および前記第2のそれぞれのシャフト、モータ、アクチュエータ、バネ、ウォームギヤ、およびウォームのそれぞれについて、
前記モータに対して前記シャフトを第1の量だけ回転させ、それによって前記ウォームおよび前記ウォームギヤを回転させて前記指を物体の方に動かすことと、
前記指が前記物体に接触して前記指がそれ以上動かなくなると、前記シャフトを前記モータに対してさらに回転させて、前記バネがもはや平衡状態ではない第2の位置へ前記アクチュエータをそれぞれの軸に沿って摺動させることと
をさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記指は、劣駆動される指である、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
[0001] 技術が進歩するにつれて、ユーザを補助し得る様々な機能を実行するための様々なタイプのロボット装置が創出されている。ロボット装置は、とりわけ、材料取扱い、輸送、溶接、組み立て、および分配を含む用途に使用され得る。時間の経過とともに、これらのロボットシステムが動作する方法は、より知的、効率的、かつ直感的になってきている。ロボットシステムは、現代の生活の多くの側面においてますます普及しているので、ロボットシステムは効率的であることが望ましい。したがって、効率的なロボットシステムの需要は、アクチュエータ、動き、検出技術、ならびに構成要素の設計および組立てにおける革新の分野を切り開くのを後押ししてきた。
【0002】
[0002] ロボット脚およびアームなどのロボット装置は、環境と相互作用するように設計された様々な構成要素または付属物を含み得る。このような構成要素は、ロボットの足および手を含み得、それらは、支持する、安定させる、把持するおよび別の方法でロボット装置が1つまたは複数の動作を効果的に実行するのを可能にするために使用することができる追加の構成要素を含み得る。
【0003】
[0003] 特に、ロボットアームは、環境と相互作用する1つまたは複数の「エンドエフェクタ」を含み得る。例えば、エンドエフェクタは、衝撃的(爪など)、侵入的(ピンまたは針など)、収斂的(真空または吸引要素など)または近接的(接着剤など接着のための接触を必要とする)であり得る。
【発明の概要】
【0004】
[0004] 本出願は、ロボット把持装置の指に加えられるトルクの量を決定することに関する実装形態を開示する。ロボット把持装置が物体を掴むとき、ロボット把持装置の指が物体に圧力を加えることができ、これが次に指に応答力またはトルクを加えることができる。ユーザ、オペレータ、または制御システムが、どれだけのトルクまたは力が指および/または物体に加えられているかを知るおよび/または制御することは有益であり得る。
【0005】
[0005] 一例では、本出願は、ロボット把持装置を記載する。ロボット把持装置は、基端にウォームギヤが結合された指を含む。ロボット把持装置はまた、モータとシャフトとを有するアクチュエータを含み、シャフトは、ウォームギヤに結合されたウォームを回転させるように構成され、アクチュエータは、アクチュエータが軸に沿って摺動するように構成されたキャリッジ上に取り付けられる。ロボット把持装置はさらに、第1の端部および第2の端部を有するバネを含み、第1の端部はアクチュエータのモータに結合され、第2の端部は固定され、その結果、バネが平衡状態にあるとき、アクチュエータは軸に沿った第1の位置に保持される。把持装置のアクチュエータは、モータに対してシャフトを第1の量だけ回転させ、それによってウォームおよびウォームギヤを回転させて指を物体の方に動かすように構成されている。アクチュエータはさらに、指が物体に接触して指がそれ以上動かなくなると、モータに対してシャフトをさらに回転させて、アクチュエータを軸に沿って、バネがもはや平衡状態でない第2の位置に摺動させるように構成される。
【0006】
[0006] 別の例では、ロボット装置が記載される。ロボット装置は、ロボット把持装置および制御システムを含む。ロボット把持装置は、基端にウォームギヤが結合された指を含む。ロボット把持装置はまた、モータとシャフトとを有するアクチュエータを含み、シャフトは、ウォームギヤに結合されたウォームを回転させるように構成され、アクチュエータは、アクチュエータが軸に沿って摺動するように構成されたキャリッジに取り付けられる。ロボット把持装置はまた、第1の端部および第2の端部を有するバネを含み、第1の端部はアクチュエータのモータに結合され、第2の端部は固定され、その結果、アクチュエータは、バネが平衡状態にあるとき、軸に沿った第1の位置に保持される。制御システムは、ロボット把持装置を制御するように構成される。制御システムは、1つまたは複数のプロセッサを含む。制御システムはまた、非一時的コンピュータ可読メモリを含む。制御システムは、非一時的コンピュータ可読メモリに記憶され、動作のセットを実行するために1つまたは複数のプロセッサによって実行可能なプログラム命令をさらに含む。動作のセットは、アクチュエータに第1の量だけモータに対してシャフトを回転させ、それによって、ウォームおよびウォームギヤを回転させて指を物体の方に動かすことを含む。動作のセットはさらに、指が物体に接触して指がそれ以上動かなくなると、アクチュエータにモータに対してシャフトをさらに回転させて、アクチュエータを軸に沿って、バネがもはや平衡状態でない第2の位置に摺動させることを含む。
【0007】
[0007] 第3の例では、方法が記載される。この方法は、ロボット把持装置が掴む物体を特定することを含み、ロボット把持装置は、指、アクチュエータ、およびバネを備える。指は、ウォームギヤが基端に結合されている。アクチュエータはモータとシャフトとを有し、シャフトはウォームギヤに結合されたウォームを回転させ、アクチュエータは、アクチュエータが軸に沿って摺動できるようにキャリッジに取り付けられる。バネは第1の端部と第2の端部とを有し、第1の端部はアクチュエータのモータに結合され、第2の端部は固定され、その結果、バネが平衡状態にあるとき、アクチュエータは軸に沿った第1の位置に保持される。この方法はまた、モータに対してシャフトを第1の量だけ回転させ、それによってウォームおよびウォームギヤを回転させて指を物体の方に動かすことを含むことができる。この方法はさらに、指が物体に接触し指がそれ以上動かなくなると、シャフトをモータに対してさらに回転させて、アクチュエータを軸に沿って、バネがもはや平衡状態ではない第2の位置へ摺動させることを含むことができる。
【0008】
[0008] 別の例では、制御システムが記載される。制御システムは、ロボット把持装置が掴む物体を特定するための手段を含み、ロボット把持装置は、指、アクチュエータ、およびバネを備える。指は基端にウォームギヤが結合されている。アクチュエータはモータとシャフトとを有し、シャフトはウォームギヤに結合されたウォームを回転させ、アクチュエータは、アクチュエータが軸に沿って摺動できるようにキャリッジに取り付けられる。バネは第1の端部と第2の端部とを有し、第1の端部はアクチュエータのモータに結合され、第2の端部は固定され、その結果、バネが平衡状態にあるときアクチュエータは軸に沿った第1の位置に保持される。制御システムはまた、第1の量だけモータに対してシャフトを回転させ、それによって、ウォームおよびウォームギヤを回転させて、指を物体の方に動かす手段を含む。制御システムはまた、指が物体に接触して指がそれ以上動かなくなると、シャフトをモータに対してさらに回転させて、アクチュエータを軸に沿って、バネがもはや平衡状態でない第2の位置に摺動させる手段を含む。
【0009】
[0009] 上記の概要は例示に過ぎず、決して限定することを意図するものではない。上記の例示された態様、実施形態、および特徴に加えて、さらなる態様、実施形態、および特徴が、図面および以下の詳細な記載および添付図面を参照することによって明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】[0011]実装形態例によるロボットシステムの構成を示す。
図2】[0012]実装形態例によるロボットアームの例を示す。
図3】[0013]実装形態例による、ロボット把持装置を有する図2のロボットアームの例を示す。
図4】[0014]実装形態例による、ロボット把持装置の機構例を示す。
図5】[0015]実装形態例による、ロボット把持装置の例を示す。
図6】[0016]実装形態例による、ロボット把持装置の機構例を示す。
図7】[0017]実装形態例による、ロボット把持装置を動作させる方法の例を示す。
図8A】[0018]実装形態例による、ロボット把持装置の状態例を示す。
図8B】[0018]実装形態例による、ロボット把持装置の状態例を示す。
図8C】[0018]実装形態例による、ロボット把持装置の状態例を示す。
図9A】[0019]実装形態例による、ロボット把持装置の2つの追加の状態例を示す。
図9B】[0019]実装形態例による、ロボット把持装置の2つの追加の状態例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[0020] 以下の詳細な記載は、添付の図面を参照して、開示された装置、システム、および方法の様々な特徴および機能を記載する。本明細書に記載される説明に役立つ装置、システム、および方法の実施形態は、限定することを意味しない。「例示的」、「例」および「例示された」という語は、本明細書では、「例、事例、または例示された役割を果たす」ことを意味するために使用されることを理解されたい。本明細書において「例示的」、「例」または「例示された」と記載された実装形態、実施形態、または特徴は、必ずしも他の実装形態、実施形態または特徴よりも好ましいまたは有利であると解釈されるべきではない。さらに、本明細書に記載された実装形態および実施形態は、限定を意味するものではない。開示された装置、システム、および方法の特定の態様は、多種多様な異なる構成で配置することおよび組み合わせることができ、それらのすべてが本明細書で企図されることは容易に理解されるであろう。さらに、以下の詳細な記載は、添付の図面を参照して本開示の様々な特徴および機能を記載する。図面において、同様の記号は、文脈が特段に記載しない限り、典型的には同様の構成要素を特定する。
【0012】
I.概要
[0021] ロボットエンドエフェクタは、環境内の1つまたは複数の物体を押す、引っ張る、掴む、保持する、または他の方法で相互作用することによってロボット装置が環境との相互作用が可能になる多くの状況で使用され得る。例えば、ロボット装置は、その形状を変化させるように作動させることができる1つまたは複数の指を有するロボットグリッパを含むことができ、それによってロボットグリッパが環境と相互作用することが可能になる。
【0013】
[0022] ロボット工学、特にロボットグリッパの分野では、ロボット装置の制御システムは、ロボット装置の各構成要素に作用する位置、向き、および力に関する情報が提供されると、より効果的に動作し得る。この情報を提供するために、異なるタイプのセンサを1つまたは複数の構成要素上に配置するか、または1つまたは複数の構成要素に含めることができる。しかしながら、センサの数を増やすことは、システムの複雑さを増すこと、および発生し得る故障箇所の数を増やすことを意味する。
【0014】
[0023] これらの概念を念頭に置いて、本明細書で開示されるロボット把持装置の例は、可動キャリッジ上に取り付けられ、バネによりベースセクションに接続されたアクチュエータによって制御され得るロボット指を含むことができる。指は、軸の周りを回転することができ、指の基端にウォームギヤを有することができる。アクチュエータは、指の基端のウォームギヤに結合されたウォームリダクションステージ(すなわち、ウォームねじまたはウォームシャフト)を有することができる。このように、アクチュエータは、第1軸に沿ってシャフトを回転させて、指を垂直軸に沿って回転させることができる。トルクが指に作用すると、力はアクチュエータおよび/またはキャリッジを軸に沿って摺動させ、それによりバネを圧縮または伸張させることができる。バネの圧縮および/または伸張により、制御システムが指に作用するトルクの量を決定することが可能になる。
【0015】
[0024] 本明細書に開示されるロボット把持装置の実施形態例は、基端にウォームギヤが結合された指を含み得る。ウォームギヤの形状は、完全な円でもよいし、別の形状であってもよい。さらに、指は劣駆動指であってもよい。
【0016】
[0025] ロボット把持装置は、モータとシャフトとを有するアクチュエータを含むこともできる。アクチュエータは、キャリッジ上に取り付けられてもよく、キャリッジは、軸に沿って摺動するように構成されてもよい。さらに、アクチュエータのシャフトは、ウォームに結合されるか、またはウォームを含んでもよく、ウォームは、指のウォームギヤに結合される。したがって、シャフトの回転は、ウォームを回転させ、指のウォームギヤを駆動させることができる。
【0017】
[0026] ロボット把持装置はまた、1つまたは複数のバネを含むことができる。バネは、一端がアクチュエータおよび/またはキャリッジに結合され、他端がロボット把持装置のベースになど固定されるように配置されてもよい。この構成により、アクチュエータの動きに応じてバネが圧縮または伸張することが可能になる。さらに、バネは、バネが平衡状態にあるときにアクチュエータをほぼ安定した位置に保持することができる。このように、アクチュエータを軸に沿って動かすためにアクチュエータに作用するいかなる力も、バネを圧縮または伸張させ、それに応じてアクチュエータを平衡位置に戻すようにアクチュエータに力を与えることができる。
【0018】
[0027] いくつかの例では、アクチュエータは、モータに対してシャフトを回転させる(すなわち、アクチュエータを係合する、オンにする、または作動させる)ように構成されてもよい。シャフトが回転すると、ウォームが回転し、これによりウォームギヤが回転して指を動かすことができる。アクチュエータは第1の位置にあってもよく、指が接触する前に動いている間、第1の位置に留まってもよく、この時物体は。指は、物体に接触して物体からの反力に直面するまで動き続けてもよい。この時点で、アクチュエータはモータに対してシャフトを回転させ続けることができるが、指をさらに回転させる代わりに、シャフトのさらなる回転が、アクチュエータを軸に沿って摺動させ、それによってバネを圧縮または伸張させてもよい。この時点で、アクチュエータは、バネがもはや平衡状態にない第2の位置にある。バネは、指をさらに回転させるために、アクチュエータに反対方向の力を与えることができ、その力がシャフト、ウォームおよびウォームギヤを通して指に伝わる。」バネは、指をさらに回転させるために、シャフト、ウォームおよびウォームギヤを通過して指に至ることができる力をアクチュエータに反対方向に与えることができる。
【0019】
[0028] いくつかの例では、モータおよび/またはロボット把持装置の別の構成要素に対するシャフトの回転を検出するためにエンコーダを使用することができる。さらに他の例では、ロボット把持装置は、アクチュエータが摺動する軸上のアクチュエータの位置を検出するように構成されたスライドポテンショメータなどのリニアエンコーダを含むことができる。ロボット把持装置は、エンコーダ、ポテンショメータ、および/またはバネの1つまたは複数の特性に基づいて、指に作用するトルクの量を決定し得る制御システムを含むか、または制御システムによって制御されてもよい。
【0020】
[0029] なおもさらに、いくつかの例では、指に結合されたウォームギヤは、部分円で成形されてもよい。このように、ウォームギヤが閾値を超えて回転すると、ウォームギヤの歯とウォームがもはや噛み合わないので、ウォームギヤがウォームから離脱する可能性がある。この回転の閾値は、ウォームギヤを回転させる指に作用する閾値トルクに対応し得る。ウォームから離脱するウォームギヤの利点は、ロボット把持装置の構成要素への損傷を防止できることである。実際の用途では、物体または負荷は、意図しない方法で把持装置に作用することがある。例えば、ロボット装置は、ロボット把持装置を含む付属物の上に倒れ、そこに載ることがある。その場合、意図しない大きな負荷が指に作用し、指を後方に駆動する可能性がある。しかしながら、ウォームは逆駆動できないので、ギヤの歯が離脱して経路を外れることができなければ、駆動伝達系の損傷が生じる可能性がある。しかし、ウォームギヤが部分円であり、指が準後方駆動可能である場合、指が閾値を超えて動く(すなわち、閾値トルクが指に作用する)と、ウォームギヤが離脱して損傷を防止することができる。
【0021】
[0030] いくつかの例では、本明細書に開示されているロボット把持装置の例は、モータがオフにされているかまたはモータに動力が供給されないとき、一定のトルクを維持することができる。モータは、動力が供給されるとシャフトを回転させ、次にウォーム、ウォームギヤを回転させ、そして指を動かすように構成することができる。ウォームとウォームギヤとの間には大きな減速比が存在し得、その結果、ウォームギヤを完全に回転させるためには、ウォームの完全な回転が比較的多く必要である。この大きな減速比は、ウォームがウォームギヤを駆動することはできるが、ウォームギヤがウォームを駆動することは防止し得る。したがって、モータへの電力がオフにされると、指はその現在の位置を維持することができる。なおもさらに、バネが圧縮され、モータへの電力がオフにされると、その瞬間に指に作用するトルクが維持され得る。圧縮バネの力と、ウォームギヤおよびウォームの逆駆動できない品質との組み合わせは、ロボット把持装置に指に作用する現在のトルクを維持させることができる。他の変形も可能である。
【0022】
II.ロボットシステムの例
[0031] 図1は、本明細書に記載された実装形態に関連して使用され得るロボットシステムの構成例を示す。ロボットシステム100は、自律的に、半自律的に、および/またはユーザによって提供される指示を使用して動作するように構成されてもよい。ロボットシステム100は、ロボットアーム、産業用ロボット、または他の何らかの構成など、様々な形態で実装することができる。さらに、ロボットシステム100は、とりわけ、ロボット、ロボット装置、または移動ロボットと呼ぶことができる。
【0023】
[0032] 図1に示すように、ロボットシステム100は、プロセッサ102、データ記憶装置104、およびコントローラ108を含むことができ、それらは制御システム118の一部であってもよい。ロボットシステム100はまた、センサ112、電源114、機械的構成要素110、および電気的構成要素116を含むことができる。しかし、ロボットシステム100は、例示目的で示されており、より多くまたはより少ない構成要素を含むことができる。ロボットシステム100の様々な構成要素は、有線または無線接続を含む任意の方法で接続することができる。さらに、いくつかの例では、ロボットシステム100の構成要素は、単一の物理的存在物ではなく、複数の物理的存在物に分散されてもよい。ロボットシステム100の他の例の図も同様に存在し得る。
【0024】
[0033] プロセッサ102は、1つまたは複数の汎用ハードウェアプロセッサまたは専用ハードウェアプロセッサ(例えば、デジタル信号プロセッサ、特定用途向け集積回路、その他)として動作することができる。プロセッサ102は、コンピュータ可読プログラム命令106を実行し、データ107を処理するように構成されてもよく、それらは両方ともデータ記憶装置104に記憶される。プロセッサ102は、センサ112、電源114、機械的構成要素110、および/または電気的構成要素116など、ロボットシステム100の他の構成要素と直接的または間接的に相互作用することもできる。
【0025】
[0034] データ記憶装置104は、1つまたは複数のタイプのハードウェアメモリであってもよい。例えば、データ記憶装置104は、プロセッサ102によって読み取られるかまたはアクセスされ得る1つまたは複数のコンピュータ可読記憶媒体の形態を含むか、または取り得る。1つまたは複数のコンピュータ可読記憶媒体は、プロセッサ102と全体的または部分的に一体化することができる、光学的、磁気的、有機的または別の種類のメモリまたは記憶装置などの揮発性および/または不揮発性記憶構成要素を含むことができる。いくつかの実装形態では、データ記憶装置104は、単一の物理的装置であり得る。他の実装形態では、データ記憶装置104は、有線または無線通信を介して互いに通信することができる2つ以上の物理的装置を使用して実装され得る。前述のように、データ記憶装置104は、コンピュータ可読プログラム命令106およびデータ107を含むことができる。データ107は、とりわけ、構成データ、センサデータ、および/または診断データなどの任意の種類のデータとすることができる。
【0026】
[0035] コントローラ108は、(おそらく他のタスクの中でもとりわけ)機械的構成要素110、センサ112、電源114、電気的構成要素116、制御システム118、および/またはロボットシステム100のユーザの任意の組み合わせの間をインターフェースするように構成された1つまたは複数の電気回路、デジタル論理ユニット、コンピュータチップ、および/またはマイクロプロセッサを含むことができる。いくつかの実装形態では、コントローラ108は、ロボット装置100の1つまたは複数のサブシステムと特定の動作を実行するための専用組込み装置であり得る。
【0027】
[0036] 制御システム118は、ロボットシステム100の動作状態を監視し、物理的に変化させることができる。このようにすることで、制御システム118は、機械的構成要素110および/または電気的構成要素116の間など、ロボットシステム100の部分間のリンクとして機能することができる。いくつかの例では、制御システム118は、ロボットシステム100と別のコンピューティング装置との間のインターフェースとして機能することができる。さらに、制御システム118は、ロボットシステム100とユーザとの間のインターフェースとして機能することができる。いくつかの例では、制御システム118は、ジョイスティック、ボタン、および/またはポート、その他を含む、ロボットシステム100と通信するための様々な構成要素を含むことができる。上記のインターフェースの例および通信は、有線または無線接続、またはその両方を介して実装することができる。制御システム118は、ロボットシステム100のための他の動作も行うことができる。
【0028】
[0037] 動作中、制御システム118は、有線接続または無線接続を介してロボットシステム100の他のシステムと通信することができ、ロボットの1人または複数人のユーザと通信するようにさらに構成することができる。1つの可能な例として、制御システム118は、特定の歩容を特定の方向におよび特定の速度で実行するための命令を示す入力を(例えば、ユーザまたは別のロボットから)受け取ることができる。歩容は、動物、ロボット、または他の機械的構造体の四肢の動きのパターンである。
【0029】
[0038] この入力に基づいて、制御システム118は、要求された歩容に従ってロボット装置100を動かす動作を実行することができる。別の例として、制御システムは、特定の地理的場所に移動する命令を示す入力を受け取ることができる。それに応答して、制御システム118は(おそらく他の構成要素またはシステムの助けを借りて)、ロボットシステム100が地理的場所まで途中移動する環境に基づいて、方向、速度、および/または歩容を決定することができる。
【0030】
[0039] 制御システム118の動作は、プロセッサ102によって実行されてもよい。あるいは、これらの動作は、コントローラ108によって、またはプロセッサ102とコントローラ108との組み合わせによって実行されてもよい。いくつかの実装形態では、制御システム118は、ロボットシステム100以外の装置に部分的にまたは全体的に存在してもよく、したがって、少なくとも部分的にロボットシステム100を遠隔式に制御してもよい
【0031】
[0040] 機械的構成要素110は、ロボットシステム100が物理的動作を実行することを可能にし得るロボットシステム100のハードウェアを表す。いくつかの例として、ロボットシステム100は、脚、アーム、車輪、手、指、足、および/またはエンドエフェクタなどの物理的部材を含むことができる。ロボットシステム100の物理的部材または他の部分は、互いに関連して物理的部材を動かすように構成されたアクチュエータをさらに含んでもよい。ロボットシステム100はまた、制御システム118および/または他の構成要素を収容するための1つまたは複数の構造化本体を含むことができ、他のタイプの機械構成要素をさらに含むことができる。所与のロボットに使用される特定の機械的構成要素110は、ロボットの設計に基づいて変化することができ、ロボットが実行するように構成され得る動作および/またはタスクに基づくこともできる。
【0032】
[0041] いくつかの例では、機械的構成要素110は、1つまたは複数の取り外し可能な構成要素を含むことができる。ロボットシステム100は、そのような取り外し可能な構成要素を追加および/または取り外すように構成されてもよく、それはユーザおよび/または別のロボットからの支援を伴うかもしれない。例えば、ロボットシステム100は、取り外し可能なアーム、手、足、および/または脚を備えて構成されてもよく、その結果これらの付属物は、必要に応じて、または要望に応じて交換または変更することができる。いくつかの実装形態では、ロボットシステム100は、1つまたは複数の取り外し可能なおよび/または交換可能なバッテリユニットまたはセンサを含むことができる。他のタイプの取り外し可能な構成要素がいくつかの実装形態に含まれていてもよい。
【0033】
[0042] ロボットシステム100は、ロボットシステム100の態様を感知するように構成されたセンサ112を含むことができる。センサ112は、とりわけ、1つまたは複数の力センサ、トルクセンサ、速度センサ、加速度センサ、ポジションセンサ、近接センサ、モーションセンサ、場所センサ、負荷センサ、温度センサ、タッチセンサ、深さセンサ、超音波距離センサ、赤外線センサ、物体センサ、および/またはカメラを含むことができる。いくつかの例では、ロボットシステム100は、ロボットから物理的に分離されたセンサ(例えば、他のロボット上に配置されるか、またはロボットが動作している環境内に配置されるセンサ)からセンサデータを受信するように構成されてもよい。
【0034】
[0043] センサ112は、ロボットシステム100の動作を監視するだけでなく、ロボットシステム100の環境との相互作用を可能するために、(おそらくデータ107によって)プロセッサ102にセンサデータを提供してもよい。センサデータは、制御システム118による機械的構成要素110および電気的構成要素116の起動、移動、および停止のための様々な要因の評価に使用されてもよい。例えば、センサ112は、環境認識およびナビゲーションを支援し得る環境の地形または近くの物体の場所に対応するデータを捉えることができる。構成例では、センサ112は、RADAR(例えば、長距離物体検出、距離判定、および/または速度判定のため)、LIDAR(例えば、短距離物体検出、距離判定、および/または速度判定のため)、SONAR(例えば、水中物体検出、距離判定、および/または速度判定のため)、VICON(登録商標)(例えば、モーションキャプチャのため)、1つまたは複数のカメラ(例えば、3D画像のためのステレオカメラ)、全地球測位システム(GPS)送受信機、および/またはロボットシステム100が動作している環境の情報を捉えるための他のセンサを含むことができる。センサ112は、環境をリアルタイムで監視し、障害物、地形の要素、気象条件、温度、および/または環境の他の態様を検出することができる。別の例では、センサ112は、物体のサイズ、形状、輪郭、構造、または向きなど、標的または特定された物体の1つまたは複数の特性に対応するデータを捉えることができる。
【0035】
[0044] さらに、ロボットシステム100は、ロボットシステム100の様々な構成要素の状態を監視することができるセンサ112を含む、ロボットシステム100の状態を示す情報を受信するように構成されたセンサ112を含むことができる。センサ112は、ロボットシステム100のシステムの活動を測定し、伸展可能な脚、アーム、またはロボットシステム100の他の機械的および/または電気的特徴の動作など、ロボットシステム100の様々な特徴の動作に基づく情報を受け取ることができる。センサ112によって提供されるデータは、制御システム118がロボットシステム100の構成要素の全体的な動作を監視するだけでなく動作中のエラーを判定することを可能にし得る。
【0036】
[0045] 例として、ロボットシステム100は、力センサを使用して、ロボットシステム100の様々な構成要素の負荷を測定することができる。いくつかの実装形態では、ロボットシステム100は、アーム、脚、手、足、または指の1つまたは複数の部材を動かすアクチュエータの負荷を測定するためにアーム、脚、手、足、または指に1つまたは複数の力センサを含むことができる。別の例として、ロボットシステム100は、ロボットシステムのアクチュエータのポジションを感知するために1つまたは複数のポジションセンサを使用することができる。例えば、そのようなポジションセンサは、アーム、脚、手、足、指またはエンドエフェクタ上のアクチュエータの伸展、後退、ポジショニング、または回転の状態を感知することができる。
【0037】
[0046] 別の例として、センサ112は、1つまたは複数の速度センサおよび/または加速度センサを含むことができる。例えば、センサ112は、慣性測定ユニット(IMU)を含むことができる。IMUは、重力ベクトルに関して、世界基準において速度および加速度を感知することができる。次に、IMUによって感知された速度および加速度は、ロボットシステム100内のIMUの場所およびロボットシステム100の運動学に基づいて、ロボットシステム100の速度および加速度に変換され得る。
【0038】
[0047] ロボットシステム100は、本明細書において明示的に論じられていない他のタイプのセンサを含んでもよい。追加的または代替的に、ロボットシステムは、本明細書に列挙されていない目的のために特定のセンサを使用してもよい。
【0039】
[0048] ロボットシステム100はまた、ロボットシステム100の様々な構成要素に動力を供給するように構成された1つまたは複数の電源114を含むことができる。他の可能な動力システムの中でもとりわけ、ロボットシステム100は、油圧システム、電気システム、バッテリ、および/または他のタイプの動力システムを含むことができる。例として、ロボットシステム100は、ロボットシステム100の構成要素に電荷を供給するように構成された1つまたは複数のバッテリを含むことができる。機械的構成要素110および/または電気的構成要素116のいくつかは、それぞれ異なる電源に接続されてもよく、同じ電源によって動力供給されても、または複数の電源によって動力供給されてもよい。
【0040】
[0049] 電力またはガソリンエンジンなど、ロボットシステム100に動力を供給するために、任意のタイプの電源を使用することができる。追加的または代替的に、ロボットシステム100は、流体力を使用して機械的構成要素110に動力を提供するように構成された油圧システムを含むことができる。ロボットシステム100の構成要素は、例えば、油圧システム全体を通して様々な油圧モータおよび油圧シリンダに伝達される作動流体に基づいて動作することができる。油圧システムは、チューブ、フレキシブルホース、またはロボットシステム100の構成要素間の他のリンクを介して、加圧された油圧流体によって油圧動力を伝達することができる。電源114は、外部電源への有線接続、無線充電、燃焼、または他の例など、様々な種類の充電を用いて充電することができる。
【0041】
[0050] 電気的構成要素116は、電荷または電気信号を処理し、伝達し、および/または提供することができる様々な機構を含むことができる。可能な例の中で、電気的構成要素116は、ロボットシステム100の動作を可能にするために、電気ワイヤ、回路、および/または無線通信送信機および受信機を含んでもよい。電気的構成要素116は、ロボットシステム100が様々な動作を実行することを可能にするために、機械的構成要素110と相互作用することができる。電気的構成要素116は、例えば、電源114から様々な機械的構成要素110に動力を供給するように構成することができる。さらに、ロボットシステム100は、電気モータを含むことができる。電気的構成要素116の他の例も同様に存在してよい。
【0042】
[0051] 図1には示されていないが、ロボットシステム100は、ロボットシステムの付属物および構成要素に接続するか、またはそれらを収容することができる本体を含むことができる。このように、本体の構造は例の中で変化してもよく、所与のロボットが実行するように設計された特定の動作にさらに依存してもよい。例えば、重い荷物を運ぶために開発されたロボットは、荷物を置くことができる幅広い本体を有し得る。同様に、高速で動くように設計されたロボットは、相当な重量を有さない幅の狭い小型の本体を有し得る。さらに、本体および/または他の構成要素は、金属またはプラスチックなどの様々なタイプの材料を使用して開発され得る。他の例では、ロボットは、異なる構造を有するかまたは様々なタイプの材料から作られた本体を有し得る。
【0043】
[0052] 本体および/または他の構成要素は、センサ112を含むか、または備えることができる。これらのセンサは、本体の上、および/または他の例の中でも付属物の1つまたは複数の上など、ロボット装置100上の様々な場所に配置されてもよい。
【0044】
[0053] その本体上で、ロボット装置100は、運搬されるべき一種の貨物などの貨物を運ぶことができる。荷物は、ロボット装置100が利用し得る外部バッテリまたは他のタイプの電源(例えば、ソーラーパネル)を表す場合もある。荷物を運ぶことは、ロボット装置100が構成され得る1つの使用例を表しているが、ロボット装置100は他の動作も実行するように構成することができる。
【0045】
[0054] 上述したように、ロボットシステム100は、様々なタイプの脚、アーム、車輪、エンドエフェクタ、把持装置などを含むことができる。一般に、ロボットシステム100は、0本または複数の脚で構成されてもよい。脚のないロボットシステムの実装形態は、車輪、トレッド、または他の何らかの形態の移動力を含むことができる。2本の脚を備えたロボットシステムの実装形態は、二足ロボットと呼ばれ得、4本の脚を備えた実装形態は、四足ロボットと呼ばれ得る。6本または8本の脚を備えた実装形態も可能である。例示目的で、ロボットシステム100のロボットアームの実装形態を以下に記載する。
【0046】
[0055] 図2はロボットアーム200の例を示す。図示のように、ロボットアーム200はベース202を含み、それは固定ベースであってもよいし、可動ベースであってもよい。可動ベースの場合、ベース202は、機械的構成要素110の1つと考えられてもよく、ロボットアーム200全体の移動を可能にするアクチュエータの1つまたは複数のアクチュエータによって動力を供給される車輪(図示せず)を含むことができる。
【0047】
[0056] さらに、ロボットアーム200は、1つまたは複数のアクチュエータにそれぞれ結合されたジョイント204A〜204Fを含む。ジョイント204A〜204F内のアクチュエータは、付属物206A〜206Fおよび/またはエンドエフェクタ208などの様々な機械的構成要素110を動かすように動作してもよい。例えば、ジョイント204F内のアクチュエータは、付属物206Fおよびエンドエフェクタ208を動かしてもよい(すなわち、エンドエフェクタ208は付属物206Fに結合されているため)。さらに、エンドエフェクタ208は様々な形態をとることができ、様々な部品を含むことができる。一例では、エンドエフェクタ208は、ここに示されているようなフィンガグリッパなどのグリッパ、または吸引グリッパなどの異なるタイプのグリッパの形態を取り得る。別の例では、エンドエフェクタ208は、ドリルまたはブラシなどの工具の形態を取ることができる。さらに別の例では、エンドエフェクタは、力センサ、場所センサ、および/または近接センサなどのセンサを含むことができる。他の例も可能であり得る。
【0048】
[0057] 実装形態例では、ロボットアーム200などのロボットシステム100は、ティーチングモードで動作可能であり得る。具体的に、ティーチングモードは、ユーザがロボットアーム200と物理的に相互作用し、ロボットアーム200を誘導して様々な動きを実行し記録するができるロボットアーム200の動作モードであってもよい。ティーチングモードでは、特定のタスクを実行する方法に関してロボットシステムにティーチングすることを意図したティーチング入力に基づいて、ロボットシステム100に(例えば、ユーザによって)外力が加えられる。したがって、ロボットアーム200は、ユーザからの命令および誘導に基づいて特定のタスクをどのように実行するかに関するデータを得ることができる。そのようなデータは、とりわけ、機械的構成要素110の複数の構成、ジョイント位置データ、速度データ、加速度データ、トルクデータ、力データ、および動力データに関連し得る。
【0049】
[0058] 例えば、ティーチングモードの間、ユーザは、ロボットアーム200のいずれかの部分を掴み、ロボットアーム200を物理的に動かすことによって外力を提供することができる。特に、ユーザは、ロボットアーム200を、物体を掴んで第1の場所から第2の場所に移動させるように誘導してもよい。ユーザがティーチングモード中にロボットアーム200を誘導するにつれて、システムは、ロボットアーム200がこの先、独立して動作する間(例えば、ロボットアーム200がティーチングモードではなく独立して動作するとき)に独立してタスクを実行するように構成され得るように、動きに関連するデータを取得し記録することができる。しかしながら、外力は、とりわけ、他の物体、機械、および/またはロボットシステムによってなど、物理的作業空間内の他の実在物によって加えられてもよいことに留意されたい。
【0050】
[0059] 図3は、ロボット把持装置308を備えたロボットアーム200の例を示す。ロボット把持装置308は、以下でより詳細に記載するロボット把持装置500、800、および900と同様または同一のものであってもよい。
【0051】
III.ロボット把持装置の例
[0060] 上述したように、本開示は、ロボット把持装置および/またはエンドエフェクタに関する実装形態を含む。図4は、本開示の一実施形態の簡略化された例を示す。図4では、アセンブリ400は、モータ410およびシャフト420を有するアクチュエータを含むことができる。シャフト420は、ウォーム430に結合されてもよい。ウォーム430は、ウォームギヤ440に結合されてもよい。ウォームギヤ440は、ウォームギヤ440の回転がロボットの指を動かすようにロボットの指(図示せず)に結合されてもよい。さらに、アセンブリ400は、第1の端部でモータ410に結合され、第2の端部で固定されたバネ450を含んでもよい。
【0052】
[0061] 一例では、モータ410を作動させ、シャフト420を時計回りの方向に回転させることができる。シャフト420は、同様にウォーム430を時計回り方向に回転させることができる。さらに、ウォーム430は、ウォームギヤ440を回転させ、ロボット指を動かすことができる。ウォーム430は、ウォームギヤ440をいずれかの方向に駆動可能であり得る。しかしながら、ウォームギヤ440は、ウォーム430を駆動することができない。このように、この向きは、逆駆動はできず、モータがオフにされるまたは切り離される場合、シャフト420、ウォーム430、およびウォームギヤ440が静止したまままたは相対的に静止したまま維持され得る。この状態において、トルクがウォームギヤ440に作用し得る(すなわち、力がウォームギヤ440に結合された指に作用する)。その力は、ウォームを逆駆動するようにウォームギヤを回転させようとし得るが、ウォームは逆駆動できないので、サブアセンブリ全体が摺動してバネを圧縮する。このようにして、ウォームギヤに結合された指に作用する力またはトルクは、アセンブリを通過し、バネを圧縮または伸張させることができる。
【0053】
[0062] 図5は、図4を参照して考察した機構の動作を実行するように構成された構成要素を含むロボット把持装置500の例を示す。ロボット把持装置500は、システム100および/またはロボットアーム200の機械的構成要素として実装されてもよい。図5に例示された構成要素は特定の向きおよび/または設計で示されているが、ロボット把持装置500の1つまたは複数の構成要素は、本開示の範囲内であれば除去、追加および/または修正されてもよいことを理解されたい。同様に、構成要素の向きおよび組み合わせは、所望の実装形態に基づいて変更されてもよい。
【0054】
[0063] ロボット把持装置500は、1つまたは複数の指502A〜B、アクチュエータ504、および/またはバネ506を含む1つまたは複数の物理的構成要素を含むことができる。いくつかの例では、ロボット把持装置500は、図5に示されるように2本の対向可能な指を含むことができる。他の例では、より多くのまたはより少ない指が含まれてもよい。3本以上の指が含まれる場合、指は互いに対向する2つのグループで構成されてもよく、その結果、指は作動されると互いに近づく。2本の指は第3の指に対向する側に配置されてもよく、その結果、指は近づくと組み合う。他の例では、指は手のひらまたはベースセクションの周りに配置または等間隔に置くことができる。他の構成も可能である。
【0055】
[0064] 各指502A〜Bは、把持方向に動き、物体と接触する、物体を掴む、保持する、把持する、または他の方法で物体と相互作用するように構成されてもよい。本開示では、指の動きは、1つまたは複数の軸周りの回転を指し得る。例えば、各指の基部は、それぞれの軸に沿ってロボット把持装置の1つまたは複数の他の構成要素に回転可能に結合されてもよく、各指の動きは、各軸の周りの指の回転を含み得る。いくつかの例では、指の回転軸は、指に結合されたウォームギヤが回転する軸であってもよい。
【0056】
[0065] 他の例では、指の動きは、クランプまたは摺動式の動きなど、軸に沿った並進運動を含み得る。指は、ロボット把持装置の1つまたは複数の構成要素に、把持装置に対してそれらの向きを維持できるように(すなわち、回転させることなく)結合することができる。例えば、指が動いている間、指の把持面によって形成される平面が把持装置に対して固定されたままになるように、指は、万力の構成要素の動き方と同様に動くことができる。あるいは、動きは回転と並進運動の組み合わせであってもよい。他のタイプの動きが考えられ、上記の例は、説明のためにおよび本明細書に含まれる概念の理解を助けるために含まれる。
【0057】
[0066] 指の把持面は、可撓性および/または変形可能であってもよく、可撓性プラスチック、ゴム、または物体を把持するのに適した他の材料であってもよい。結果として、指の動きは、把持面および/または指の構造の変形を含むことができる。例えば、指は、衝撃力または圧力などの1つまたは複数の要因に基づいて、その形状を変形する、屈曲する、湾曲する、歪曲する、歪ませる、伸張する、または別の方法で変えることができる。実施形態例では、図5に示すような2本指のロボット把持装置は、指の中点に置かれた物体を包含することができる。指が物体上で閉じると、指の先端は物体の周りで屈曲するか巻き付き得る。本明細書に記載するように、指の動きは、指のこの変形を含むことができる。
【0058】
[0067] いくつかの例では、指は劣駆動されるかもしれない。劣駆動される指は指の指骨ごとにアクチュエータを備えず、代わりにより少ないアクチュエータを備え、各指骨を独立して制御することはできない。指骨は指の一部である。例として、典型的な人間の人差し指は3つの指骨を含む。劣駆動される指の利点の1つは、それらがより複雑さの少ない制御システムを必要とし、完全に作動する指よりも簡単に製造できることである。
【0059】
[0068] 説明のために、図5の構成要素を1本の指に関して記載する。しかしながら、複数の指、アクチュエータ、バネ、およびギヤが、本開示によるロボット把持装置に含まれてもよい。
【0060】
[0069] 図5において、指502Aは、ウォームギヤ522に結合されてもよい。いくつかの例では、ウォームギヤ522は、指502Aの底端部に直接接続されてもよい。他の例では、ウォームギヤ522は、1つまたは複数の他のギヤおよび/または構成要素を介して指502Aに結合されてもよく、底端部以外の他の指の部分に結合されてもよい。本明細書で使用される場合、第2の構成要素に「結合」された第1の構成要素は、2つの構成要素が互いに直接接続されてもよいこと、またはそれらの間に1つまたは複数の構成要素、ギヤ、シャフトまたは接続要素が配置されてもよいことを意味する。図5に示すように、ウォームギヤ522は指502Aに直接接続されている。
【0061】
[0070] ウォームギヤ522は、円形のウォームギヤまたはウォームホイールであってもよく、歯が内輪を囲んで外側に面している。いくつかの例では、ウォームギヤ522の形状は、図5に示すウォームギヤなど、部分円であってもよい。さらに、ウォームギヤ522の形状は、対称または非対称、完全または部分的であってもよく、円または他の任意の形状であってもよい。ウォームギヤ522は、ウォームギヤ522の回転により指502Aが動くおよび/または回転するように指502Aに結合されてもよい。さらに、ウォームギヤ522は、指502Aの回転および/または動きがウォームギヤを回転させる(すなわち、ウォームギヤ522および指502Aが互いに駆動できる)ように結合されてもよい。いくつかの例では、ウォームギヤ522の歯は、ウォーム520へのより滑らかな結合を提供するように、湾曲および/または傾斜していてもよい。これは、ロボット把持装置のより滑らかな動作をもたらすことができる。
【0062】
[0071] ロボット把持装置500はまた、アクチュエータ504を含むことができる。アクチュエータ504は、モータ514およびシャフト512を含むことができる。アクチュエータがオンにされ、係合され、または他の方法で起動されると、モータ514は、シャフト512を時計回りまたは反時計回り方向に回転させることができる。シャフト512は、ウォーム520に結合されてもよく、ウォーム520を回転させるように構成されてもよい。ウォーム520は、ねじまたはボルトのねじ山に似た歯を有する円筒ギヤであってもよい。ウォーム520は、「ウォームねじ」と呼ばれることもある。ウォーム520は、ウォーム520の回転軸がウォームギヤ522の回転軸に垂直になるようにウォームギヤ522に結合されてもよい。
【0063】
[0072] ウォーム520およびウォームギヤ522は、大きい減速比を有することができる。高い減速比が存在する場合、ウォーム520の完全な1回転は、ウォームギヤ522の完全な回転の1/32(または他の少量)に対応し得る。減速比は、ウォームギヤ522およびウォーム520の歯の数および間隔に依存し得る。大きい減速比の特徴は、ウォームが逆駆動できないことである。このように、ウォーム520を回転させる力は応じてウォームギヤ522を回転させ得るが、ウォームギヤ522を回転させる力は応じてウォーム520を回転させ得ない。
【0064】
[0073] いくつかの例では、アクチュエータ504は、アクチュエータ504およびキャリッジ530が軸に沿って共に摺動するように構成されたキャリッジ530に取り付けられてもよい。アクチュエータ504の1つまたは複数の構成要素は、キャリッジ530に接着、ねじ止め、または他の方法で固定されてもよい。次に、キャリッジ530は、摺動カップリングまたは他の低摩擦カップリングを介してベースセクションに結合されてもよい。このように、キャリッジ530は1つの軸に沿って自由に摺動することができる。キャリッジ530は、アクチュエータ504が軸に沿って摺動することを可能にする任意の構成要素であり得る。このように、キャリッジ530は、アクチュエータが軸に沿って摺動できるようにアクチュエータ504に結合する任意の形状または寸法であってよく、プラスチック、金属、複合材料または他の材料であってもよい。
【0065】
[0074] ロボット把持装置500はまた、バネ506を含むことができる。バネ506は、第1の端部がアクチュエータ504に結合され、第2の端部が固定された2つの端部を有してもよい。図5では、バネ506の第2の端部は、ロボット把持装置500のベースに固定されている。バネ506は、ロボット把持装置500の別の構成要素に固定されてもよい。いくつかの例では、バネ506は、キャリッジ530およびアクチュエータ504が摺動すると第1の端部が移動するように構成されてもよい。アクチュエータ504およびキャリッジ530が第1の位置にあるとき、バネ506は平衡状態にあり得る。平衡は、バネに作用する力が釣り合い、バネを圧縮または伸張させるために追加の力を必要としていることを意味する。次に、アクチュエータ504が(ロボット把持装置に作用する1つまたは複数の力またはトルクのために)第2の位置に摺動すると、バネ506は、バネ506がもはや平衡状態でないように、圧縮または伸張され得る。この状態で、バネ506は、バネが平衡状態にある第1の位置に戻るように、アクチュエータ504に応答力を与えることができる。
【0066】
[0075] いくつかの例では、バネは、図5に示すバネ506など、アクチュエータを取り囲んでもよい。図5に示すよりも多くのまたはより少ないアクチュエータ504をバネ506で囲むことができる。アクチュエータ504の周りにバネ506を配置すると、よりコンパクトな設計になり、これによりロボット把持装置はより小型になる、したがってより多くの使用および用途に適するようになる。他の例では、2つ以上のバネが使用されてもよく、バネは側方に配置されてもよく、すなわちアクチュエータを囲んでいなくてもよい。例えば、図6は、各アクチュエータが各アクチュエータの両側に配置された2つのバネに結合されている2つのアクチュエータ604A〜Bの構成を示している。アクチュエータ604Aおよびキャリッジ630が軸660に沿って摺動するとき、対応するバネ606A〜Bは圧縮または伸張する。
【0067】
[0076] バネ506は、サイズ、硬度、バネ定数、および/または材料など1つまたは複数の特性を有してもよい。これらの特性のそれぞれは、ロボット把持装置の特定の用途に基づいて変更されてもよい。例えば、より高いバネ定数を有するバネは、圧縮または伸張するためにより多くの力を必要とし得るものであり、それは特定の用途に使用する適切なバネを決定するために使用され得る。
【0068】
[0077] いくつかの例では、ロボット把持装置は、ロボット把持装置の1つまたは複数の部分に作用する回転、位置、動きおよび/または力を検出するように構成された1つまたは複数のエンコーダ、センサ、または検出器を含むこともできる。例えば、ロボット把持装置500は、ロボット把持装置500のベースに配置されるかまたは結合され得るアクチュエータエンコーダ524を含み得る。アクチュエータエンコーダ524は、シャフト512の回転を検出するように構成されてもよく、また回転の程度または量に関する情報を制御システムへ提供してもよい。アクチュエータエンコーダ524はまた、シャフト512上に配置されてもよく、またはロボット把持装置500の1つまたは複数の他の構成要素上に配置されてもよい。いくつかの例では、アクチュエータエンコーダ524は、モータ514、ロボット把持装置のベース、および/または1つまたは複数の他の構成要素に対するアクチュエータの回転を検出してもよい。このように、シャフト512の相対回転量および絶対回転量の両方を検出することができる。さらに、ロボット把持装置500は、1つまたは複数の指の回転および/または動きを検出するように構成された1つまたは複数の指エンコーダを含むことができる。
【0069】
[0078] アクチュエータエンコーダ524および/または1つまたは複数の指エンコーダは、ロータリエンコーダであってもよい。場合によっては、エンコーダは、機械式、光学式、磁気式、容量式、または別のタイプのエンコーダであってもよい。さらに、エンコーダは絶対的であってもよいし、増分的であってもよい。
【0070】
[0079] いくつかの例では、ロボット把持装置500は、1つまたは複数のリニアエンコーダまたはポテンショメータ526を含むことができる。ポテンショメータ526は、ロボット把持装置のベースに対するキャリッジ530の位置を検出し、制御システムによって受信され得る出力を提供するように構成されてもよい。ポテンショメータはまた、キャリッジ530の相対的な動きを検出することができる。いくつかの例では、ポテンショメータは、バネ506が平衡状態にある第1の位置におけるキャリッジ530の位置を検出し、バネが圧縮または伸張されたときのキャリッジ530の位置を検出することができる。ポテンショメータは、第1の位置と第2の位置との間の差を決定し、この情報を制御システムに提供することができる。光学式、磁気式、容量式、または誘導式エンコーダなどの様々なタイプのリニアエンコーダを使用することができる。
【0071】
[0080] ロボット把持装置500はまた、ロボット把持装置500の1つまたは複数の態様を制御することができる図1の制御システム118などの制御システムを含むことができる。制御システムは、1つまたは複数のプロセッサを含むことができ、本開示で記載した1つまたは複数の動作を実行するために1つまたは複数のプロセッサによって実行可能な命令が格納されている非一時的コンピュータ可読メモリを含むことができる。
【0072】
[0081] いくつかの例では、制御システムは、ポテンショメータ526から情報を受け取ることによって、指502Aに作用するトルクの量を決定することができる。ポテンショメータ526によって提供される情報は、アクチュエータが第1の位置(平衡)と第2の位置(非平衡)との間で並行移動した距離を含み得る。次に、制御システムは、第1の位置と第2の位置との差と、バネ定数などのバネの特性とに基づいて、トルクの量を決定することができる。
【0073】
[0082] いくつかの例では、制御システムは、ロボット把持装置が掴む物体を特定し、ロボット把持装置の1つまたは複数の指を動かすために1つまたは複数のアクチュエータを起動するように構成されてもよい。これらの動作は、図7に関して以下でより詳細に記載される。
【0074】
IV.動作の例
[0083] 図7は、本開示のロボット把持装置を動作させる方法700の例のフローチャートを示す。この例は、ロボット把持装置500などのロボット把持装置に適用されるが、本明細書に記載されたものとは異なる構成および/または異なる構成要素を有する他のロボット把持装置に適用されてもよい。さらに、方法700は、ロボットシステム100および/またはロボットアーム200の1つまたは複数の制御システムによって実行されてもよい。方法700は、1本のロボット指に対して実行されるように記載されているが、方法700のブロックの一部または全部は2本以上の指、アクチュエータ、およびばねに対して実行されてもよい。
【0075】
[0084] ブロック702において、方法700は、ロボット把持装置が掴む、把持する、挟む、握るまたは保持する物体を特定することを含むことができる。いくつかの例では、物体を特定することは、その形状、向き、プロファイル、サイズ、または別の特性に基づいて物体を決定することを含むことができる。他の例では、物体は、遠隔操作者および/またはロボット把持装置に結合されたコンピュータシステムによって特定されてもよい。この決定は、例えば、視覚センサ、タッチセンサ、圧力センサ、または他のセンサなどの1つまたは複数のセンサから受信されたセンサデータに基づいて行うことができる。ブロック702はまた、物体がロボット把持装置の指の間にあるようにロボット装置がロボット把持装置を位置決めすることを含むことができる。
【0076】
[0085] いくつかの例では、ロボット把持装置は、物体を掴むために互いに近づくように構成された1つまたは複数の指を含むことができる。各指は、指の基端部でそれぞれのウォームギヤに結合されてもよい。ロボット把持装置はまた、モータとシャフトとを有するアクチュエータを含んでもよく、シャフトは、指のウォームギヤに結合されたウォームを回転させるように構成される。アクチュエータは、アクチュエータが軸に沿って摺動するようにキャリッジに取り付けられてもよい。ロボット把持装置はまた、第1の端部および第2の端部を有するバネを含むことができ、第1の端部はアクチュエータのモータに結合され、第2の端部は固定され、その結果、アクチュエータはバネが平衡状態のとき、軸に沿った第1の位置に保持される。
【0077】
[0086] ブロック704において、方法700は、アクチュエータのシャフトをモータに対して第1の量だけ回転させることを含むことができる。モータに対してシャフトを回転させる前、シャフトおよびモータは、ロボット把持装置の指が開位置にある第1の位置に存在し得る。この位置は図8Aで見ることができ、ここでロボット把持装置800の指802A〜Bは開位置にある。同じく図8Aにおいて、物体850が指802A〜Bの間に配置される。ブロック704において、モータに対してシャフトを第1の量だけ回転させることにより、ウォームが回転して、これが次にウォームギヤを回転させ、これが次に、例えば回転させることで特定された物体の上で閉じるように特定された物体に向かって指を動かすことができる。この位置は図8Bに見ることができる。バネ806A〜Bは、図8Bでは圧縮されていないことに留意されたい。モータに対するシャフトの第1の回転量は、指が閉じて特定された物体と接触するような量であり得る。
【0078】
[0087] いくつかの例では、モータに対するシャフトの第1の回転量は、特定された物体、または対向する指、またはグリッパ上のハードストップによってそれ以上回転しなくなるまで指が動き続けるまたは回転し続けるようなものであってもよい。指は物体上で閉じ続けることができ、物体が、例えばスポンジなど圧縮可能な場合、圧縮することができる。
【0079】
[0088] 特定された物体によって指がそれ以上動かなくなると、ウォームギヤも回転しなくなる。この点で、方法700のブロック706は、シャフトをモータに対してさらに回転させることが含まれ得る。しかし、このさらなる回転によってそれ以上指を閉じるのではなく、追加の回転はウォームを静止ウォームギヤに抗して回転させ、これが次にアクチュエータを軸に沿って摺動させ得る。図8Cは、ロボット把持装置のこの位置を示し、アクチュエータは軸860に沿って摺動している。
【0080】
[0089] 図8Cに示すように、指802Aがそれ以上動かなくなると、指802Aに対応するウォームギヤもそれ以上回転しなくなる。さらに、シャフトがウォーム820を回転し続けると、ウォーム820の追加の回転により、ウォーム820は後方に摺動し、次にアクチュエータを軸に沿って第2の位置まで摺動させる。この第2の位置で、バネ806A〜Bが圧縮される。
【0081】
[0090] いくつかの例では、方法700を実行するロボット把持装置は、図5に関して上述したアクチュエータエンコーダおよび/またはポテンショメータなどの1つまたは複数のエンコーダを含むことができる。それらの例において、方法700は、ロボット把持装置の指に加えられるトルクの量を決定することをさらに含むことができる。トルクは、把持方向において決定されてもよく、上述のように、指が物体または別の指によってそれ以上動かなくなるときにアクチュエータによって指に加えられるトルクであり得る。
【0082】
[0091] 指に加えられるトルクの量を決定するために、制御システムは、アクチュエータの位置を示す情報をポテンショメータから受け取ることができる。この値は、バネの特性(例えば、サイズ、硬度、バネ定数、および/または材料)と組み合わせて、ロボット把持装置の指および他の構成要素に作用するトルクを決定するために使用することができる。
【0083】
V.ロボット装置の例
[0092] 本開示の実施形態例は、1つまたは複数の構成要素を含むロボット装置であってもよい。ロボット装置は、上述のようなものなどのロボット把持装置を含むことができる。加えて、ロボット装置の例は、制御システムを含むことができる。制御システムは、1つまたは複数のプロセッサ、非一時的コンピュータ可読メモリ、および1つまたは複数の動作を実行するために1つまたは複数のプロセッサによって実行可能な非一時的コンピュータ可読メモリに格納されたプログラム命令を含むことができる。1つまたは複数の動作は、(i)ロボット把持装置が掴む物体を特定すること、(ii)モータに対してシャフトを第1の量だけ回転させ、それによってウォームおよびウォームギヤを回転させて、指を特定された物体の方に動かすこと、および(iii)指が物体に接触して指がそれ以上動かなくなると、シャフトをモータに対してさらに回転させて、アクチュエータを軸に沿って、バネがもはや平衡状態でない第2の位置まで摺動させること、を含むことができる。いくつかの例では、命令を実行するロボット装置は、方法700を実行するのと同様または同一のものであってもよい。
【0084】
VI.変形の例
[0093] 上記の例のいくつかは、1本の指、ウォームギヤ、ウォーム、アクチュエータ、およびバネを有するロボット把持装置を含んでいた。他の実施形態例は、それぞれがウォームギヤを有する2本以上の指を含むことができる。各指は、ロボット把持装置の各指が本明細書に記載の動作を実行することができるように、関連するウォーム、アクチュエータ、およびバネを有することもできる。
【0085】
[0094] 図9Aおよび図9Bは、本開示の実施形態による2つの状態におけるロボット把持装置900の例を示す。図9Aおよび図9Bは、閾値トルクを超えるまたは閾値トルクより大きなトルクが指に作用するときに起こり得る状態を示す。
【0086】
[0095] 図9Aは、第1の状態のロボット把持装置900を示し、ここで指902Aには力もトルクも作用していない。ウォームギヤ922はウォーム920に結合され、バネ906は平衡状態にある。
【0087】
[0096] 図9Bは、第2の状態のロボット把持装置900を示し、指902Aをより開かれた位置へ回転させる力またはトルクが指902Aに加えられている。指902Aをより開かれた位置へ回転させる。指902Aの回転により、ウォームギヤ922が回転し、これが次にウォーム920を(アクチュエータ906およびキャリッジ930と共に)摺動させる。モータ914は起動されていないため、シャフト912およびウォーム920は回転していない。
【0088】
[0097] 図9Bは、閾値トルクを超えるトルクが指に作用すると、ウォームギヤ922がウォーム920から離脱し得ることを示す。図9Bに示すように、ウォーム920の最後の歯は、ウォームギヤ922の歯を越えている。ウォーム920からのウォームギヤ922の分離は、衝撃物体が指に当たった場合、ロボット把持装置900のギヤおよび/または構成要素を損傷することなく、指が経路から外れるようにすることができる。
【0089】
[0098] 閾値トルクは、バネおよび/またはロボット把持装置の1つまたは複数の構成要素の特性に対応することができる。例えば、バネが大きいバネ定数を有し、圧縮に大きな力を必要とする場合、ウォームギヤをウォームから離脱させるために必要な指に作用する閾値トルクもまた大きくてもよい。あるいは、小さいバネ定数を有するバネが使用される場合、ウォームギヤをウォームから離脱させるために必要とされる相対的に低い閾値力が存在し得る。
【0090】
VII.結論
[0099] 本明細書に記載された構成は、例示のみを目的としていることを理解されたい。したがって、当業者であれば、他の構成および他の要素(例えば、機械、インターフェース、動作、命令、および動作のグループ化、その他)を代わりに使用することができ、いくつかの要素は所望の結果に従って全て省略してもよいことを認識するだろう。さらに、記載されている要素の多くは、別個のまたは分散された構成要素として、または任意の適切な組み合わせおよび位置で他の構成要素と組み合わせて実装されてもよい機能的実在物であり、または独立構造として記載される他の構造要素が組み合わされてもよい。
【0091】
[0100] 様々な態様および実装形態を本明細書に開示したが、他の態様および実装形態が当業者には明らかであろう。本明細書に開示された様々な態様および実装形態は説明を目的とし、限定することを意図したものではなく、真の範囲は、以下の請求項によって、そのような請求項が権利を与えられる等価物の全範囲とともに示されている。また、本明細書で使用する用語は、特定の実装形態を記載する目的のためのものに過ぎず、限定することを意図しないことも理解されたい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図9A
図9B