特許第6703635号(P6703635)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6703635放熱基板を収容するパッケージおよび梱包箱
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6703635
(24)【登録日】2020年5月12日
(45)【発行日】2020年6月3日
(54)【発明の名称】放熱基板を収容するパッケージおよび梱包箱
(51)【国際特許分類】
   B65D 85/86 20060101AFI20200525BHJP
   B65D 81/20 20060101ALI20200525BHJP
   B65D 81/26 20060101ALI20200525BHJP
【FI】
   B65D85/86 400
   B65D81/20 C
   B65D81/26 Q
【請求項の数】13
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2019-105030(P2019-105030)
(22)【出願日】2019年6月5日
(62)【分割の表示】特願2018-213469(P2018-213469)の分割
【原出願日】2018年11月14日
【審査請求日】2019年6月5日
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003296
【氏名又は名称】デンカ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(72)【発明者】
【氏名】太田 寛朗
(72)【発明者】
【氏名】石原 庸介
(72)【発明者】
【氏名】後藤 大助
【審査官】 杉田 剛謙
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−269391(JP,A)
【文献】 特開平01−202436(JP,A)
【文献】 特開2009−096155(JP,A)
【文献】 特開平11−116361(JP,A)
【文献】 特開平11−139889(JP,A)
【文献】 特開2007−314236(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 67/00−79/02
B65D 81/00−81/26
B65D 85/30−85/48
B65D 85/86−85/90
C04B 41/88
H01L 23/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに積み重ねられた複数の放熱基板と、
最も下の前記放熱基板の下、最も上の前記放熱基板の上、および互いに隣り合う前記放熱基板の間のそれぞれに配置された中間シートと、
最も上の前記放熱基板の上に配置された前記中間シートより上又は最も下の前記放熱基板の下に配置された前記中間シートより下に配置された乾燥剤と、
前記複数の放熱基板、前記複数の中間シート、および前記乾燥剤を密封する袋と、
を備え、
前記乾燥剤が、吸湿特性を有するシート部材で構成され、厚みが0.1mm以上5.0mm以下である、
パッケージ。
【請求項2】
請求項1に記載のパッケージであって、
JIS Z0222:1959(温度40℃、相対湿度90%)に準拠して測定される、前記袋の水蒸気透過度が、0.1g/m・day以上15.0g/m・day以下である、パッケージ。
【請求項3】
請求項1または2に記載のパッケージであって、
JIS K7126−2:2006(温度20℃、相対湿度90%)に準拠して測定される、前記袋の酸素透過度が、0.1cm/(m・24h・atm)以上50.0cm/(m・24h・atm)以下である、パッケージ。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載のパッケージであって、
前記放熱基板が炭化珪素質多孔体中にアルミニウムおよびマグネシウムのいずれか1種を含む金属が含浸されてなる金属−炭化珪素質複合体で構成された板状の基板である、パッケージ。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載のパッケージであって、
前記袋がアルミラミネートフィルムで構成される、パッケージ。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載のパッケージであって、
前記中間シートが紙系基材である、パッケージ。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載のパッケージであって、
前記最も上の放熱基板の上に配置された前記中間シートは、少なくとも一つの前記放熱基板の側面を覆う、パッケージ。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載のパッケージであって、
前記放熱基板の積層数が2枚以上6枚以下である、パッケージ。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載のパッケージであって、
前記袋の端部がヒートシールされている、パッケージ。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載のパッケージであって、
前記袋は、真空状態で密封するものである、パッケージ。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか一項に記載のパッケージであって、
前記乾燥剤の形状は、積み重ね方向に見たとき、矩形形状、正方形形状あるいは円形形状である、
パッケージ。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか一項に記載のパッケージであって、
前記乾燥剤は、吸湿材料からなるシート基材、または吸湿材料と樹脂等の他の成分を含む複合シート基材の両面に、それぞれ、フィルムが形成された構造を有する、
パッケージ。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか一項に記載の複数個の前記パッケージと、
緩衝材と、
を備える、梱包箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放熱基板を収容するパッケージおよび梱包箱に関する。
【背景技術】
【0002】
これまで基板の保管方法について様々な開発がなされてきた。この種の技術として、例えば、特許文献1に記載の技術が知られている。特許文献1には、乾燥部材と、単数の回路基板と、を樹脂袋中に密封する手法が記載されている(特許文献1の請求項1、図1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−51072号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、本発明者が検討した結果、上記特許文献1に記載の単数の基板の保管方法は、複数枚の放熱基板の搬送性および保存性の点で改善の余地があることが判明した。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者はさらに検討したところ、放熱基板を単数のみ収容するパッケージは、梱包箱内でかさばるため、放熱基板の梱包密度の低下を引き起こし、複数の放熱基板の搬送性を低下させてしまうことが判明した。しかしながら、複数の放熱基板を収容するパッケージにおいて、基板同士の接触や梱包作業の操作時や搬送時の外力等に起因して、放熱基板に基板ダメージが生じる恐れがある。
【0006】
このような知見に基づきさらに鋭意研究したところ、積み重ねた複数の放熱基板を収容するパッケージにおいて、最も下の放熱基板の下、最も上の放熱基板の上、および互いに隣り合う放熱基板の間のそれぞれに中間シートを配置することで、放熱基板の搬送性を向上させつつも、基板ダメージの発生を抑制できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
本発明によれば、
互いに積み重ねられた複数の放熱基板と、
最も下の前記放熱基板の下、最も上の前記放熱基板の上、および互いに隣り合う前記放熱基板の間のそれぞれに配置された中間シートと、
最も上の前記放熱基板の上に配置された前記中間シートより上又は最も下の前記放熱基板の下に配置された前記中間シートより下に配置された乾燥剤と、
前記複数の放熱基板、前記複数の中間シート、および前記乾燥剤を密封する袋と、
を備え、
前記乾燥剤が、吸湿特性を有するシート部材で構成され、厚みが0.1mm以上5.0mm以下である、
パッケージが提供される。
【0008】
また本発明によれば、
請上記の複数個の前記パッケージと、
緩衝材と、
を備える、梱包箱が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、放熱基板の搬送性および保存性に優れたパッケージ、それを内包する梱包箱が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態のパッケージの構成の一例を示す模式図である。
図2図1のパッケージのA−A矢視の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。また、図は概略図であり、実際の寸法比率とは一致していない。
なお、本実施の形態では図示するように前後左右上下の方向を規定して説明する。しかし、これは構成要素の相対関係を簡単に説明するために便宜的に規定するものである。従って、本発明を実施する製品の製造時や使用時の方向を限定するものではない。
【0012】
本実施形態のパッケージの概要を説明する。
本実施形態のパッケージは、互いに積み重ねられた複数の放熱基板と、最も下の放熱基板の下、最も上の放熱基板の上、および互いに隣り合う放熱基板の間のそれぞれに配置された中間シートと、複数の放熱基板より上又は下に配置された乾燥剤と、複数の放熱基板、複数の中間シート、および前記乾燥剤を密封する袋と、を備えるものである。
【0013】
本実施形態によれば、複数枚の放熱基板を重ねた状態で袋に密封したパッケージを搬送することで、放熱基板の梱包密度が高まり、放熱基板の搬送効率を高めることができる。
【0014】
しかしながら、近年、放熱基板の特性に対する要求水準が高くなり、放熱基板に対して高度な保存性が要求されている。例えば、搬送時や梱包時で生じた基板ダメージは、熱サイクルによる熱応力が繰り返し加わることで、放熱基板の特性や耐久性に大きな影響を与える恐れがある。また、酸素や水などの外部環境に曝露された場合にも、放熱基板の特性が低下する恐れがある。
【0015】
これに対して、本実施形態によれば、互いに隣り合う放熱基板の間のみにならず、最も下の放熱基板の下、最も上の放熱基板の上のそれぞれに中間シートを配置することで、積み重ねられた複数の放熱基板において基板ダメージが発生しやすい部分を中間シートで保護することができる。このため、搬送時や梱包時において、複数枚の放熱基板に生じる基板ダメージを抑制することができる。
また、複数の放熱基板は、乾燥剤とともに袋中に密封される。このため、湿気により放熱基板の特性が低下することを抑制できる。
【0016】
本実施形態のパッケージは、放熱基板の搬送性を高めつつも、基板ダメージや湿気などによる基板劣化を抑制できるため、複数積み重ねられた放熱基板の保存性を向上させることができる。
【0017】
以下、本実施形態のパッケージの詳細な構成について、図1、2に基づいて説明する。
【0018】
図1は、パッケージ100の構成の一例を示す模式図である。図2は、図1のパッケージ100のA−A矢視の断面図であり、パッケージ100中の積層構造の一例を示す模式図である。
【0019】
図1のパッケージ100は、複数枚の放熱基板10、複数枚の中間シート20、および乾燥剤30を、積み重ねた状態で収容する袋50で構成される。袋50は、放熱基板10、中間シート20および乾燥剤30を密封し、その内部において、これらが、積み重ね方向に対して直交する方向に移動することを抑制できる。
【0020】
袋50は、アルミラミネートフィルムまたは樹脂フィルムで構成されている。水蒸気透過率や酸素透過率が低いアルミラミネートフィルムを用いることが好ましい。これにより、袋50の気密性を高められる。
【0021】
アルミラミネートフィルムは、アルミニウム層と樹脂層とが積層されたラミネートフィルムであってもよい。なお、袋50は、アルミニウムや樹脂以外にも、ガスバリア性を高め、水蒸気透過率を低くする目的で、他の材料を含んでもよい。
【0022】
アルミラミネートフィルム中のアルミニウム層としては、例えば、アルミニウム箔やアルミニウム蒸着層が用いられる。アルミニウム材としては、純アルミニウムの他に、Al−Mn系、Al−Mg系、Al−Fe系のアルミニウム合金を用いることができる。
【0023】
アルミラミネートフィルム中の樹脂層としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、塩化ポリエチレン樹脂(SPE)、ナイロン樹脂等を含む樹脂層が挙げられる。これにより袋50のガスバリア性を向上できる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。袋50の最内層には、ヒートシール層として、熱溶融性に優れた樹脂層が設けられていることが好ましい。
【0024】
袋50は、アルミニウム層と樹脂層とが複数積層されていてもよい。袋50は、アルミニウム層の両面側に1層または2層以上の樹脂層が積層されるように構成され得る。袋50の積層数は、例えば、3層以上10層以下としてもよい。
【0025】
アルミニウム層と樹脂層とは、互いに公知の手法で接着され得るが、例えば、熱圧着または接着剤を用いて接着されていてもよい。接着剤としては、加熱硬化型接着剤または紫外線硬化型接着剤が用いられる。
【0026】
JIS Z0222:1959(温度40℃、相対湿度90%)に準拠して測定される、袋50の水蒸気透過率は、例えば、0.1g/m・day以上15.0g/m・day以下、より好ましくは0.2g/m・day以上10.0g/m・day以下、さらに好ましくは0.3g/m・day以上5.0g/m・day以下である。このような数値範囲内とすることで、放熱基板10の保存性を向上できる。
【0027】
JIS K7126−2:2006(温度20℃、相対湿度90%)に準拠して測定される、袋50の酸素透過率が、例えば、0.1cm/(m・24h・atm)以上50.0cm/(m・24h・atm)以下、好ましくは0.3cm/(m・24h・atm)以上45.0cm/(m・24h・atm)以下、より好ましくは0.8cm/(m・24h・atm)以上30.0cm/(m・24h・atm)以下である。このような数値範囲内とすることで、放熱基板10の保存性を向上できる。
【0028】
一方、袋50を構成する樹脂フィルムは、例えば、上記で例示した樹脂層を1または2以上用いることができる。樹脂フィルムとしては、ヒートシール性に優れた樹脂と酸素等のガス透過度が比較的低い樹脂との複合樹脂フィルムを用いることができる。樹脂フィルムで構成された袋50は、例えば、ポリエチレンにナイロンが積層したナイロン袋を用いてもよい。ナイロン袋は、ヒートシール可能で、ポリエチレン単体と比較的して酸素透過率が低いものであり、透明性を有するものである。透明性を有する袋50を用いることで、袋内部を外観検査できる。
【0029】
袋50は、帯電防止性を有することができる。帯電防止性の袋50において、例えば、帯電防止剤が袋50を構成するフィルム中に含まれていてもよいが、当該フィルムの表面に付与されていてもよい。
【0030】
袋50は、真空包装またはガス置換包装するものである。これにより、放熱基板10の酸化劣化を抑制できる。
【0031】
真空包装の袋50の内部は、酸素などの空気が脱気され、真空状態とし得る。
【0032】
また、ガス置換包装の袋50の内部は、空気が除去され不活性ガスで置換されていてもよい。不活性ガスとしては、放熱基板と反応しないガスであれば特に限定されないが、例えば、窒素ガスやアルゴンガスなどが挙げられる。ガス置換包装の袋50内部は、減圧された状態とする。
【0033】
袋50の厚みは、特に限定されないが、50μm以上300μm以下であり、より好ましくは55μm以上200μm以下であり、さらに好ましくは65μm以上100m以下である。上記下限値以上とすることで、袋50の機械的強度やガスバリア性を向上できる。上記上限値以下とすることで、梱包時に袋50のヒートシール端部を折り曲げやすくできる等、袋50の取扱性が向上する。
【0034】
袋50の形状は、放熱基板10を積み重ね方向から見たとき、放熱基板10の外形形状に沿う構造を有することができ、例えば、略矩形形状となる。
【0035】
袋50のサイズは、収容する放熱基板10のサイズや積層枚数に応じて適切に選択し得る。
【0036】
袋50の形態としては、例えば、3方シール、4方シール等が用いられる。すなわち、積み重ね方向に見たときに略矩形形状の袋50は、3つの端部、あるいは上下左右の4つの端部がヒートシールされる。例えば、4方シールの場合、積み重ね方向に見た袋50は、放熱基板10が収容された収容領域の外側に、当該収容領域の全周囲を覆う端部にヒートシール部分を有し得る。このヒートシール部分が袋50の内部に収容された放熱基板10の側面を保護できる。
なお、ヒートシール部分は、アルミラミネートフィルムまたは樹脂フィルムで構成される表面材と裏面材とを重ね合わせ、熱融着した部分である。
【0037】
袋50の表面には、各種の情報を表示するラベルが付与され得る。ラベルは、袋50の表面に、直接印字されていてもよいが、印刷物として接着されていてもよい。
【0038】
放熱基板10は、炭化珪素質多孔体中にアルミニウムおよびマグネシウムのいずれか1種を含む金属が含浸されてなる金属−炭化珪素質複合体で構成された板状の基板で構成され得る。
【0039】
放熱基板10は、実質的に矩形平板状である。放熱基板10は、その一方の主面を上面として上面視したとき、実質的に矩形の平板状である。放熱基板10は、典型的には、その四隅に金属部を備えている。
【0040】
放熱基板10の厚みは、一例として1mm以上10mm以下、好ましくは3mm以上5mm以下である。
【0041】
放熱基板10の積層数は、例えば、2枚以上6枚以下、好ましくは3枚以上5枚以下である。このような数値範囲内とすることで、搬送性を高めつつも、自重による基板ダメージの発生を抑制できる。
【0042】
中間シート20は、放熱基板10と密着せずに、折り曲げ可能で、緩衝材として機能するものであれば特に限定されない。中間シート20は、例えば、紙系基材、金属箔、または樹脂基材で構成され得る。
【0043】
上記紙系基材としては、例えば、クリーン紙、クラフト紙、和紙、グラシン紙、上質紙、合成紙、トップコート紙等が挙げられる。
上記金属箔としては例えばアルミニウム箔等が挙げられる。
また、樹脂基材としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル等の樹脂材料で形成された樹脂シートが用いられる。
【0044】
中間シート20の厚みは、例えば、0.01mm以上0.1mm以下とする。このような数値範囲内とすることで、機械的強度と柔軟性のバランスを図ることができる。
【0045】
中間シート20のサイズは、積み重ね方向に見たとき、放熱基板10と略同一か、あるいは放熱基板10より一回り大きいものであってもよい。これにより、積み重ねられた放熱基板10が互いに接触することを抑制できる。
【0046】
最も上の放熱基板10aの上に配置された中間シート20aは、放熱基板10aの上面全体とともに、図2に示すように、少なくとも一つの放熱基板10aの側面を覆うように構成され得る。中間シート20aは、放熱基板10aの側面のみならず、放熱基板10aの下に位置する放熱基板10bの側面、あるいは最も下の放熱基板10dの側面まで覆うものであってもよい。また、放熱基板10aと放熱基板10bとの間に配置された中間シート20bが、放熱基板10bの側面を覆うように構成されてもよい。したがって、中間シート20によって、放熱基板10の側面を保護し、その破損を抑制することができる。
【0047】
また、中間シート20aは、放熱基板10aの側面のみならず、放熱基板10aの角部を覆うことができる。角部としては、放熱基板10aの上面と側面とが交差した第一角部、2つの側面が交差した第二角部、上面と2つの側面が交差した第三角部が挙げられる。このように、中間シート20は放熱基板10の角部を覆うことができる。角部は局所的に外力が加わりやすい部分である。したがって、中間シート20によって、放熱基板10の角部の破損を抑制することができる。
【0048】
乾燥剤30は、複数の放熱基板10より上又は下に配置される。この乾燥剤30は、パッケージ100中、放熱基板10で覆われた放熱基板10の表面・裏面について、視覚または触覚で判断可能なラベルとして使用できる。
【0049】
乾燥剤30は、吸湿特性を有するシート部材で構成され得る。乾燥剤30の厚みは、例えば、0.1mm以上5.0mm以下としてもよい。乾燥剤30を薄くすることで、密封後、乾燥剤30から放熱基板10への応力を抑制できる。乾燥剤30を厚くすることで、乾燥剤30の吸湿性を高めることができる。
【0050】
乾燥剤30の形状は、積み重ね方向に見たとき、例えば、矩形形状、正方形形状あるいは円形形状でもよい。乾燥剤30のサイズは、積み重ね方向に見たとき、放熱基板10と同程度か、それよりも小さくてもよい。
【0051】
乾燥剤30に用いられる吸湿材料としては、例えば、無機質材、吸水性ポリマー、あるいは無機質材と吸水性ポリマーとを組み合わせたもの等が挙げられる。上記無機質材は、公知のものが用いられるが、例えば、石灰(酸化カルシウム、水酸化カルシウム)、シリカゲル、塩化カルシウム、ゼオライト、塩化リチウム等が挙げられる。上記吸水性ポリマーは、公知のものを用いることができる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0052】
また、乾燥剤30は、吸湿材料からなるシート基材、または吸湿材料と樹脂等の他の成分を含む複合シート基材の両面に、それぞれ、フィルムが形成された構造を有していてもよい。これにより、吸湿材料が放熱基板10に誤着することを防止できる。フィルムは、ある程度水蒸気透過率が高い材料が用いられる。
【0053】
以下、本実施形態のパッケージ100の製造方法について説明する。
下記のパッケージ100の製造方法は一例であり、その他様々な工程を採用し得る。
【0054】
複数の放熱基板10、複数の中間シート20、および乾燥剤30を準備する。
放熱基板10、中間シート20を交互に重ねて、図2に示す放熱基板10と中間シート20とを積層し、頂部に乾燥剤30を載せることで積層体を得る。
得られた積層体を、袋50を構成するアルミラミネートフィルムの表面材と裏面材との間に配置する。
袋50の内部を脱気し、真空状態としつつ、表面材と裏面材が重なる端部をヒートシールする。
以上により、図1のパッケージ100が得られる。
【0055】
以下、本実施形態の梱包箱について説明する。
【0056】
本実施形態の梱包箱は、箱中に、複数個のパッケージ100と、パッケージ100の周囲の少なくとも一部に設けられた緩衝材と、内包するものである。
複数個のパッケージ100を備える梱包箱を搬送することで、パッケージ100の搬送効率を高めることができる。
【0057】
上記箱は、例えば、段ボール箱やプラスチックケースなどで構成されている。
【0058】
上記緩衝材は、公知の緩衝材が使用し得る。
発泡ポリエチレンシートなどのシート状緩衝材を用いて、パッケージ100を個別に梱包できる。
発泡スチロールやポリウレタン等のシート状または粒状緩衝材を用いて、パッケージ100と箱の底面または側面との間隙、あるいは箱内の間隙を埋めることができる。
【0059】
シート状緩衝材で梱包されたパッケージ100は、箱の底面に対して、積み重ね方向が並行となるように、複数個が横並びに配置され得る。これにより、複数のパッケージ100を積み重ね方向に平積みする場合と比較して、パッケージ100の破損を抑制しつつも、効率的に箱に収容することができる。
【0060】
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
以下、参考形態の例を付記する。
1. 互いに積み重ねられた複数の放熱基板と、
最も下の前記放熱基板の下、最も上の前記放熱基板の上、および互いに隣り合う前記放熱基板の間のそれぞれに配置された中間シートと、
前記複数の放熱基板より上又は下に配置された乾燥剤と、
前記複数の放熱基板、前記複数の中間シート、および前記乾燥剤を密封する袋と、
を備える、パッケージ。
2. 1.に記載のパッケージであって、
JIS Z0222:1959(温度40℃、相対湿度90%)に準拠して測定される、前記袋の水蒸気透過度が、0.1g/m・day以上15.0g/m・day以下である、パッケージ。
3. 1.または2.に記載のパッケージであって、
JIS K7126−2:2006(温度20℃、相対湿度90%)に準拠して測定される、前記袋の酸素透過度が、0.1cm/(m・24h・atm)以上50.0cm/(m・24h・atm)以下である、パッケージ。
4. 1.〜3.のいずれか一つに記載のパッケージであって、
前記放熱基板が炭化珪素質多孔体中にアルミニウムおよびマグネシウムのいずれか1種を含む金属が含浸されてなる金属−炭化珪素質複合体で構成された板状の基板である、パッケージ。
5. 1.〜4.のいずれか一つに記載のパッケージであって、
前記袋がアルミラミネートフィルムで構成される、パッケージ。
6. 1.〜5.のいずれか一つに記載のパッケージであって、
前記中間シートが紙系基材である、パッケージ。
7. 1.〜6.のいずれか一つに記載のパッケージであって、
前記最も上の放熱基板の上に配置された前記中間シートは、少なくとも一つの前記放熱基板の側面を覆う、パッケージ。
8. 1.〜7.のいずれか一つに記載のパッケージであって、
前記放熱基板の積層数が2枚以上6枚以下である、パッケージ。
9. 1.〜8.のいずれか一つに記載のパッケージであって、
前記袋の端部がヒートシールされている、パッケージ。
10. 1.〜9.のいずれか一つに記載のパッケージであって、
前記袋は、真空状態で密封するものである、パッケージ。
11. 1.〜10.のいずれか一つに記載の複数個の前記パッケージと、
緩衝材と、
を備える、梱包箱。
【符号の説明】
【0061】
100 パッケージ
10、10a、10b、10c、10d 放熱基板
20、20a、20b、20c、20d、20e、20f 中間シート
30 乾燥剤
50 袋
【要約】
【課題】放熱基板の搬送性および保存性に優れたパッケージを提供する。
【解決手段】本発明のパッケージ100は、互いに積み重ねられた複数の放熱基板10と、最も下の放熱基板10aの下、最も上の放熱基板10dの上、および互いに隣り合う放熱基板の間のそれぞれに配置された中間シート20と、複数の放熱基板より上又は下に配置された乾燥剤30と、複数の放熱基板、複数の中間シート、および乾燥剤を密封する袋50と、を備えるものである。
【選択図】図2
図1
図2