(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でもよい。
【0013】
また、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
【0014】
また、「Aからなる」、「Aよりなる」、「Aを有する」、「Aを含む」と言うときは、特にその要素のみである旨明示した場合等を除き、それ以外の要素を排除するものでないことは言うまでもない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
【0015】
また、以下の実施の形態を説明するための図面において、各部位の大きさは実デバイスと対応するものではなく、図面を分かりやすくするため、特定の部位を相対的に大きく表示する場合がある。また、同一機能を有するものは原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
以下、本実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
(実施の形態1)
【0016】
本実施の形態1によるシャーベット氷製造装置について
図1〜
図7を用いて説明する。
図1は、本実施の形態1によるシャーベット氷製造装置を模式的に示す構成図である。
図2は、本実施の形態1によるシャーベット氷取出し部に設置された濃縮器を示す側面図である。
図3は、本実施の形態1によるシャーベット氷取出し部に設置された濃縮器を示す正面図である。
図4は、
図3のA−A´線に沿った断面図である。
図5(a)および(b)はそれぞれ、本実施の形態1によるシャーベット氷取出し部に設置された濃縮器に備わるウェッジワイヤスクリーンの表面および裏面を示す平面図である。
図6は、
図5(b)のB−B´線に沿った断面図である。
図7は、
図5(b)のC−C´線に沿った断面図である。
【0017】
図1に示すように、シャーベット氷製造装置SM1は、シャーベット氷製造部10、窒素ガス溶解部20、窒素ガスパージ部30およびシャーベット氷取出し部40から構成される。
《シャーベット氷製造部》
【0018】
図1に示すように、シャーベット氷製造部10は、主として、貯留槽11、撹拌機12、アイスジェネレータ13、循環ポンプ14および冷凍機15から構成される。
貯留槽11は、その内部にシャーベット氷および液体(水、塩水など)を貯留する。
【0019】
撹拌機12は、貯留槽11内に設けられており、回転軸12aおよび当該回転軸12aの周囲に取り付けられた撹拌羽根12bから構成される。回転軸12aを回転させることにより、回転軸12aに取り付けられた撹拌羽根12bによって貯留槽11内のシャーベット氷および液体を撹拌する。
【0020】
アイスジェネレータ13は、循環ポンプ14を介して貯留槽11から供給された液体を製氷して、シャーベット氷を生成する。生成されたシャーベット氷は、配管LP1を通じてアイスジェネレータ13から貯留槽11に戻される。
循環ポンプ14は、貯留槽11から液体を吸い込んで、当該液体を加圧してアイスジェネレータ13に供給する。
冷凍機15は、アイスジェネレータ13がシャーベット氷を生成するために、アイスジェネレータ13を冷却する。
【0021】
このように、貯留槽11内のシャーベット氷および液体を撹拌機12で撹拌しながら、貯留槽11内の液体を、冷凍機15で冷却されるアイスジェネレータ13に循環ポンプ14によって加圧供給する。そして、アイスジェネレータ13において液体を冷却することにより、シャーベット氷は生成される。
【0022】
貯留槽11内では、シャーベット氷と液体とが混在しているが、シャーベット氷の液体に対する割合は、貯留槽11内で不均一となっており、上部(液面側)のシャーベット氷の液体に対する割合は、下部(底面側)のシャーベット氷の液体に対する割合よりも高い。例えば塩分濃度が1%の塩水を用いてシャーベット氷を−1℃の温度で生成した場合、上部のシャーベット氷の液体に対する割合は、例えば20%程度である。
【0023】
また、シャーベット氷は、貯留槽11内の下部にも存在することから、循環ポンプ14で吸い込まれてアイスジェネレータ13に供給される液体には、シャーベット氷も含まれる。
《窒素ガス溶解部》
【0024】
図1に示すように、窒素ガス溶解部20は、主として、溶解ノズル21、溶解ポンプ22および窒素ボンベ23から構成される。
【0025】
溶解ノズル21は、貯留槽11から溶解ポンプ22を介して供給された液体に窒素ガスを溶解させ、窒素ガスが溶解した液体を貯留槽11に戻す機能を有する。溶解ノズル21は、貯留槽11の筐体の外周に、1個または複数個設けられている。例えば3個の溶解ノズル21が、筐体の同一外周に等間隔で設けられている。なお、シャーベット氷の詰まりを回避するため、溶解ノズル21は、シャーベット氷の液体に対する割合が相対的に低い貯留槽11の下部の周囲に設けるのが好ましい。
溶解ポンプ22は、貯留槽11と溶解ノズル21との間に設けられており、貯留槽11から液体を吸い込んで、当該液体を加圧して溶解ノズル21に供給する。
【0026】
前述したように、シャーベット氷は、貯留槽11内の下部にも存在することから、溶解ポンプ22で吸い込まれる液体には、シャーベット氷も含まれる。さらに、溶解ノズル21から貯留槽11へ戻される液体にもシャーベット氷は含まれる。
【0027】
窒素ボンベ23は、溶解ノズル21へ供給する窒素ガスが充填されたボンベであり、窒素ボンベ23から溶解ノズル21へ窒素ガスを供給する窒素ガス配管には、減圧弁24および窒素ガス電磁弁25が設けられている。
【0028】
溶解ポンプ22は、貯留槽11から吸い込んだ液体を、例えば0.08MPa以上かつ0.3MPa以下のゲージ圧で加圧して溶解ノズル21へ供給する。さらに、窒素ボンベ23から窒素ガスを溶解ノズル21へ供給することにより、溶解ノズル21において溶解ポンプ22から加圧供給された液体に窒素ガスを溶解させる。貯留槽11内の液体に含まれる溶存酸素濃度が、例えば0.1mg/L以上かつ0.2mg/L以下になるまで、貯留槽11→溶解ポンプ22→溶解ノズル21→貯留槽11の順で液体を循環させる。この液体の循環は、シャーベット氷の製造前に完了しておくことが望ましく、シャーベット氷の製造完了まで行う必要はない。
【0029】
なお、前述の特許文献3に記載されたシャーベットアイス製造装置では、窒素ガスの溶解にガス溶解機を用いている。しかし、ガス溶解機には液体のみでなくシャーベット氷も溶解ポンプから供給されるため、そのシャーベット氷がガス溶解機に詰まる恐れがある。しかし、本実施の形態1では、窒素ガスの溶解に溶解ノズル21を用いているので、ガス溶解機を用いた場合よりもシャーベット氷は詰まりにくい。
溶解ポンプ22および窒素ガス電磁弁25の運転時間は、制御盤26によって制御される。
《窒素ガスパージ部》
【0030】
図1に示すように、窒素ガスパージ部30は、主として、微圧センサ31、軸シール32および電磁弁33から構成される。
微圧センサ31は、貯留槽11内の圧力を検知する微差圧計である。
軸シール32は、撹拌機12の回転軸12aと貯留槽11の筐体との間を封止するシール材であり、貯留槽11内を微圧に保つために設けられている。
【0031】
電磁弁33は、窒素ボンベ23から貯留槽11へ窒素ガスを供給する窒素ガス配管に設けられており、貯留槽11内を微圧に保つため、微圧センサ31の検知結果に基づいて貯留槽11への窒素ガスの供給を制御する。
【0032】
具体的には、撹拌機12の軸シール32によって貯留槽11内を微圧に保つ。そして、窒素ボンベ23から供給された窒素ガスによって貯留槽11内が微圧、例えば1kPa以上かつ2kPa以下のゲージ圧になるように、微圧センサ31の検知結果に基づいて制御盤26が電磁弁33の開閉を制御する。これにより、貯留槽11内の空間に空気が混入しないようにする。貯留槽11内を微圧にすることによって、窒素ガスの消費量を抑えることができる。窒素ガスのパージは、シャーベット氷を製造前からシャーベット氷の製造完了まで行うことが望ましい。
《シャーベット氷取出し部》
【0033】
図1に示すように、シャーベット氷取出し部40は、主として、濃縮器41およびシャーベット氷保管容器42から構成される。
【0034】
前述したように、アイスジェネレータ13で生成されたシャーベット氷SI(貯留槽11内から循環ポンプ14で吸い込まれてアイスジェネレータ13を通過するシャーベット氷を含む)は貯留槽11に戻される。しかし、アイスジェネレータ13から貯留槽11へシャーベット氷SIを戻す配管LP1には、濃縮器41へシャーベット氷SIを供給するための配管LP2が接続されている。シャーベット氷を取出す際には、切替バルブ16によって、配管LP1から配管LP2へ切替えることにより、アイスジェネレータ13で生成されたシャーベット氷SI(貯留槽11内から循環ポンプ14で吸い込まれてアイスジェネレータ13を通過するシャーベット氷を含む)は、配管LP2を通じて濃縮器41へ供給される。
なお、切替バルブ16に代えて比例制御弁を用いることにより、シャーベット氷SIの貯留槽11への供給と、濃縮器41への供給とを同時に行ってもよい。
【0035】
濃縮器41は、アイスジェネレータ13から供給されたシャーベット氷SIを濃縮する機能を有し、具体的には、アイスジェネレータ13から供給されたシャーベット氷SIの余分な液分をシャーベット氷SIから分離することによって、アイスジェネレータ13から供給されたシャーベット氷SIを濃縮する。シャーベット氷SIから分離された余分な液分は、貯留槽11に戻される。
濃縮器41は、例えばステンレス製であり、外部から内部へ空気が入らないように、濃縮器41内は密閉されている。
【0036】
シャーベット氷保管容器42は、濃縮器41で濃縮されたシャーベット氷SICを保管する容器である。濃縮器41からシャーベット氷保管容器42までの間には配管LP3が設けられているので、空気に触れずに濃縮されたシャーベット氷SICをシャーベット氷保管容器42へ供給することができる。すなわち、濃縮されたシャーベット氷SICを、溶存酸素濃度が低い状態、例えば0.1mg/L以上かつ0.2mg/L以下のまま、シャーベット氷保管容器42へ供給することができる。
【0037】
図2に示すように、濃縮器41は、鉛直方向に対し、所定の角度を有して設置してあり、その角度は、例えば鉛直方向に対して0°以上かつ40°以下の範囲で自由に設定することができる。
図2の実線は、鉛直方向に対して30°傾いた濃縮器41を示し、
図2の破線は、鉛直方向に対して20°傾いた濃縮器41を示している。
【0038】
なお、濃縮器41は、鉛直方向に対し、所定の角度を有して設置していることから、濃縮器41を設置したときに、上に位置する部分を上部、下に位置する部分を下部という。
図3および
図4に示すように、濃縮器41は、主として、ウェッジワイヤパネル43および収納容器44から構成される。
【0039】
濃縮器41は、濃縮器41の上部からシャーベット氷SIを供給すると、濃縮器41の傾斜、すなわち、ウェッジワイヤパネル43の傾斜に沿ってシャーベット氷SIが流れ、濃縮器41の下部から濃縮されたシャーベット氷SICが排出される構造となっている。
【0040】
ウェッジワイヤパネル43は、収納容器44内に設けられており、ウェッジワイヤスクリーン43aおよび当該ウェッジワイヤスクリーン43aを支えるサポートロッド43bから構成される。ウェッジワイヤパネル43の上部(シャーベット氷SIが供給される側)および下部(濃縮されたシャーベット氷SICが排出される側)にはそれぞれ、上部押さえ45aおよび下部押さえ45bが設けられており、上部押さえ45aおよび下部押さえ45bによって、ウェッジワイヤパネル43は収納容器44に固定されている。
【0041】
ウェッジワイヤスクリーン43aは、鉛直方向に対し、所定の角度を有して設置してあり、アイスジェネレータ13(
図1参照)から供給されたシャーベット氷SIが流れる一方の面(表面、第1の面)S1と、一方の面S1の裏側であって、シャーベット氷SIが流れない他方の面(裏面、第2の面)S2と、を有している。ウェッジワイヤスクリーン43aの上部からシャーベット氷SIを供給すると、シャーベット氷SIは、ウェッジワイヤスクリーン43aの一方の面S1上をウェッジワイヤスクリーン43aの傾斜に沿って、ウェッジワイヤスクリーン43aの下部へと流れる。
【0042】
ウェッジワイヤスクリーン43aは、鉛直方向に対し、例えば0°以上かつ40°以下の角度を有して設置してあるが、シャーベット氷SIの余分な液分が分離されやすくするため、ウェッジワイヤスクリーン43aの一部または全部の鉛直方向に対する角度は、5°以上かつ20°以下の範囲に設定することが望ましい。さらに、ウェッジワイヤスクリーン43aの上部において多くの余分な液分が分離されることから、鉛直方向に対する角度を5°以上かつ20°以下の範囲とする部分は、シャーベット氷SIが供給されるウェッジワイヤスクリーン43aの上部に設けることが望ましい。
【0043】
図4には、上部の鉛直方向に対する角度θ1を20°、中部の鉛直方向に対する角度θ2を30°および下部の鉛直方向に対する角度θ3を40°としたウェッジワイヤスクリーン43aを例示している。
【0044】
なお、
図4には、3つの傾きを有するウェッジワイヤスクリーン43aを例示したが、これに限定されるものではない。ウェッジワイヤスクリーン43aは、例えば1つの傾きまたは3以外の複数の傾きを有していてもよい。また、ウェッジワイヤスクリーン43aは、その一部に垂直面、すなわち鉛直方向に対する角度が0°の面を有していてもよい。
【0045】
また、ウェッジワイヤスクリーン43aの鉛直方向に対する角度は、前述の
図2を用いて説明したように、濃縮器41を傾けることによって調整し、所望の角度に設定することもできる。
【0046】
図5(a)および(b)に示すように、ウェッジワイヤスクリーン43aは、複数のウェッジワイヤ43cから構成される。シャーベット氷が流れる方向(図中に示す白抜きの矢印の方向)である上部から下部へ向かう方向(以下、第1方向と言う。)と直交する方向(以下、第2方向と言う。)に延在し、第1方向に互いに離間して複数配置されている。
【0047】
複数のウェッジワイヤ43cは、第1方向に延在する複数のサポートロッド43bによって保持されている。複数のサポートロッド43bは、ウェッジワイヤスクリーン43aのシャーベット氷SIが流れない他方の面S2側に設けられており、シャーベット氷SIの流れを妨げることはない。
【0048】
図6および
図7に示すように、シャーベット氷SIが流れる一方の面S1側のウェッジワイヤ43cの第1方向の幅は、シャーベット氷SIが流れない他方の面S2側のウェッジワイヤ43cの第1方向の幅よりも大きく、ウェッジワイヤ43cは、断面視において、略三角形状を有している。
【0049】
また、ウェッジワイヤ43cは、第1方向に互いに離間して配置されているので、隣り合うウェッジワイヤ43cの間隔(シャーベット氷SIが流れる一方の面S1側のウェッジワイヤ43cの間隔)よりも大きい粒径を有するシャーベット氷SIは、そのままウェッジワイヤスクリーン43aの一方の面S1上を流れる。しかし、隣り合うウェッジワイヤ43cの間隔(シャーベット氷SIが流れる一方の面S1側のウェッジワイヤ43cの間隔)よりも小さい粒径を有するシャーベット氷SIおよび液分は、隣り合うウェッジワイヤ43cの間を通り、ウェッジワイヤスクリーン43aの他方の面S2側へ流れる。
【0050】
第1方向におけるウェッジワイヤ43cのピッチL1は、例えば1mmであり、シャーベット氷SIが流れる一方の面S1側の隣り合うウェッジワイヤ43cの間隔L2は、例えば0.1mm以上かつ0.2mm以下である。
【0051】
前述の
図4に示すように、収納容器44は、ウェッジワイヤパネル43をその内部に収納する。さらに、前述の
図1および
図4に示すように、収納容器44は、シャーベット氷SIを供給する供給口44aと、濃縮されたシャーベット氷SICをシャーベット氷保管容器42へ排出するシャーベット氷排出口(第1排出口)44bと、シャーベット氷SIから分離された余分な液分を貯留槽11へ排出する液分排出口(第2排出口)44cと、を備えている。シャーベット氷排出口44bは、シャーベット氷SIが流れる一方の面S1側の収納容器44の空間に繋がるように設けられ、液分排出口44cは、シャーベット氷SIが流れない他方の面S2側の収納容器44の空間に繋がるように設けられている。
【0052】
アイスジェネレータ13から濃縮器41へ配管LP2を通じて供給されたシャーベット氷SIは、ウェッジワイヤスクリーン43aの一方の面S1へ供給される。
【0053】
そして、ウェッジワイヤスクリーン43aに設けられたウェッジワイヤ43c(
図6参照)の間隔、例えば0.1mmよりも大きい粒径を有するシャーベット氷SIは、そのままウェッジワイヤスクリーン43aの一方の面S1上を流れ、濃縮されたシャーベット氷SICとなって、シャーベット氷排出口44bへと流れる。シャーベット氷排出口44bへ流れた濃縮されたシャーベット氷SICは、配管LP3を通じてシャーベット氷保管容器42へ排出される。
【0054】
一方、ウェッジワイヤスクリーン43aに設けられたウェッジワイヤ43c(
図6参照)の間隔、例えば0.1mmよりも小さい粒径を有するシャーベット氷SIおよび液分は、隣り合うウェッジワイヤ43cの間を通り、ウェッジワイヤスクリーン43aの他方の面S2側へ流れ、さらに、液分排出口44cへと流れる。液分排出口44cへ流れたシャーベット氷SIおよび液分は、配管LP4を通じて貯留槽11へ戻される。
【0055】
このように、本実施の形態1によれば、溶存酸素濃度が低い状態(例えば溶存酸素濃度が0.1mg/L以上かつ0.2mg/L以下)の濃縮されたシャーベット氷SICを、空気(酸素)に接触させることなく、シャーベット氷保管容器42へ送給することができる。従って、例えばシャーベット氷保管容器42に魚などの水産物を入れておけば、溶存酸素濃度が低い状態のままで濃縮されたシャーベット氷SICが送給されるので、水産物の鮮度保持効果が高まる。
【0056】
また、一般的に、シャーベット氷の製造方法では、所望の温度および所望の氷量(IPF:Ice Packing Factor)のシャーベット氷を得ようとしても、塩分濃度および最大氷量の制約などから、1回の製氷では、シャーベット氷の氷量は制限される。例えば塩分濃度が1%の塩水を用いて−1℃の温度でシャーベット氷を生成した場合、1回の製氷で製造できるシャーベット氷の氷量は20%程度である。
【0057】
しかし、本実施の形態1によれば、アイスジェネレータ13によって生成されたシャーベット氷SIは、切替バルブ16によって、貯留槽11への供給と濃縮器41への供給に容易に切り替えることができる。従って、アイスジェネレータ13によって生成されたシャーベット氷SIを濃縮器41へ直接供給することにより、貯留槽11内のシャーベット氷の氷量を減らすことができるので、製氷を止めることなく、常にシャーベット氷SIを製造することができる。その結果、製氷効率が向上する。
【0058】
(変形例)
本実施の形態1の変形例によるシャーベット氷取出し部に設置された濃縮器について
図8を用いて説明する。
図8は、本実施の形態1の変形例によるシャーベット氷取出し部に設置された濃縮器を示す断面図である。
【0059】
図8に示すように、シャーベット氷取出し部に設置された濃縮器41Aでは、ウェッジワイヤスクリーン43aの他方の面S2側に、余分な液分の多くが分離されるウェッジワイヤスクリーン43aの上部と対向する位置を除いて、ウェッジワイヤパネル43から離間し、ウェッジワイヤスクリーン43aに沿って捕集板46が設けられている。
【0060】
ウェッジワイヤスクリーン43aの上部において多くの余分な液分は分離されるが、ウェッジワイヤスクリーン43aの中部および下部においても上部で分離できなかった余分な液分は分離される。このウェッジワイヤスクリーン43aの上部で分離できなかった余分な液分を、捕集板46において捕集し、その液分を、ウェッジワイヤスクリーン43aの一方の面S1側を流れた濃縮されたシャーベット氷SICに混合する。これにより、濃縮されたシャーベット氷SICの液分量を調整することができる。
【0061】
さらに、捕集板46は、長さを調整することができる構造となっている。捕集板46は、ウェッジワイヤスクリーン43aの中部および下部において、他方の面S2側へ流れる液分を捕集するが、その長さを調整することにより、捕集板46で捕集する液分の量、すなわち、濃縮されたシャーベット氷SICと混合する液分の量を調整することができる。
【0062】
このように、濃縮器41Aに捕集板46を設置することにより、濃縮されたシャーベット氷SICの液分の量、言い換えればスラリー濃度を調整することができる。通常、濃縮されたシャーベット氷の空隙の容積は、シャーベット氷量の約30%であり、この空隙に空気が入り込むと溶存酸素が上昇する。そこで、空隙の液分の量を調整して、空隙を無くすることが重要である。
(実施の形態2)
【0063】
本実施の形態2によるシャーベット氷製造装置について
図9を用いて説明する。
図9は、本実施の形態2によるシャーベット氷製造装置を模式的に示す構成図である。
【0064】
図9に示すように、シャーベット氷製造装置SM2は、前述のシャーベット氷製造装置SM1と同様に、シャーベット氷製造部10、窒素ガス溶解部20、窒素ガスパージ部30およびシャーベット氷取出し部40から構成される。しかし、シャーベット氷製造部10におけるアイスジェネレータ13への液体の供給方法が、前述のシャーベット氷製造装置SM1と相違する。
【0065】
前述のシャーベット氷製造装置SM1では、貯留槽11から循環ポンプ14へシャーベット氷を供給する配管は1つであり、貯留槽11の下部に設けられている。
【0066】
これに対して、シャーベット氷製造装置SM2では、貯留槽11の上部から下部にかけて、貯留槽11から循環ポンプ14へシャーベット氷および液体を供給する複数の配管LP5がそれぞれ独立して筐体に設けられている。複数の配管LP5にはそれぞれバルブが設けられており、任意の箇所のシャーベット氷および液体を貯留槽11から吸い込み、循環ポンプ14で加圧してアイスジェネレータ13へ供給することができる。
【0067】
貯留槽11内では、シャーベット氷と液体とが混在しているが、シャーベット氷の液体に対する割合、すなわち、シャーベット氷のスラリー濃度は、貯留槽11内で不均一となっており、上部(液面側)のシャーベット氷の液体に対する割合は、下部(底面側)のシャーベット氷の液体に対する割合よりも高い。
【0068】
シャーベット氷製造装置SM2では、配管LP5を通じてスラリー濃度の高い領域のシャーベット氷と液体をアイスジェネレータ13へ供給することができるので、アイスジェネレータ13で生成されるシャーベット氷に加えて、貯留槽11内に貯留されていたスラリー濃度の高いシャーベット氷を濃縮器41へ供給することができる。これにより、シャーベット氷製造装置SM2は、シャーベット氷製造装置SM1と比べて、アイスジェネレータ13を介して濃縮器41へ供給するシャーベット氷SIのスラリー濃度を高くすることができる。
このように、本実施の形態2によれば、濃縮器41へスラリー濃度の高いシャーベット氷SIを供給することができるので、製氷効率が向上する。
【0069】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【解決手段】シャーベット氷製造装置は、ウェッジワイヤスクリーン43aと、ウェッジワイヤスクリーン43aを収納する収納容器44とから構成される濃縮器41を備え、濃縮器41へは溶存酸素濃度が相対的に低いシャーベット氷がアイスジェネレータから供給される。ウェッジワイヤスクリーン43aの一部または全部が、鉛直方向に対して角度を有するように、ウェッジワイヤスクリーン43aは設置されており、ウェッジワイヤスクリーン43aに設けられた複数のウェッジワイヤを用いて、ウェッジワイヤの間隔よりも粒径の大きいシャーベット氷と、ウェッジワイヤの間隔よりも粒径の小さいシャーベット氷および液分とを分離して、溶存酸素濃度が相対的に低いシャーベット氷を濃縮する。