特許第6703670号(P6703670)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6703670
(24)【登録日】2020年5月13日
(45)【発行日】2020年6月3日
(54)【発明の名称】ゴルフボール拾得具
(51)【国際特許分類】
   A63B 47/02 20060101AFI20200525BHJP
【FI】
   A63B47/02 A
【請求項の数】9
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2019-562662(P2019-562662)
(86)(22)【出願日】2019年7月30日
(86)【国際出願番号】JP2019029876
【審査請求日】2019年11月26日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】512029364
【氏名又は名称】株式会社エス・ティー・オー
(74)【代理人】
【識別番号】100095337
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100174425
【弁理士】
【氏名又は名称】水崎 慎
(74)【代理人】
【識別番号】100203932
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 克宗
(72)【発明者】
【氏名】坂倉 克之
【審査官】 比嘉 翔一
(56)【参考文献】
【文献】 実開平04−037466(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3110281(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B47/00−47/04
A63B57/00−57/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
手で把持する長手形状のグリップ部と、
ばね性を有する材料を用いて形成されて、ゴルフボールを狭持する2つの狭持片と、
を備え、
前記グリップ部は、
前記2つの狭持片を所定の可動方向へ移動自在に支持する可動支持部を備え、
前記可動支持部によって支持された前記2つの狭持片を収納する大きさを有し、
前記2つの狭持片は、
該2つの狭持片の基端が互いに接合されて前記可動支持部に支持され、該2つの狭持片の先端の間が閉じるように付勢されており、
前記可動支持部は、
前記グリップ部の長手方向の一端側を中心に前記2つの狭持片を回動させる回動支持部であり、
前記グリップ部に収納されていた前記2つの狭持片が回動することによって、該2つの狭持片が前記グリップ部から延設された状態になっているとき、前記先端の間にゴルフボールが狭持される、
ことを特徴とするゴルフボール拾得具。
【請求項2】
前記2つの狭持片は、
薄板材を用いてアーム部を有する形状に形成され、前記アーム部よりも先端側に、前記ゴルフボールを挿入して狭持する狭持孔を有し、
重ね合わせた該2つの狭持片の前記基端が接合されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のゴルフボール拾得具。
【請求項3】
手で把持する長手形状のグリップ部と、
ばね性を有する薄板材を用いてアーム部を有する形状に形成され、前記アーム部よりも先端側に設けた狭持孔にゴルフボールを挿入して狭持する2つの狭持片と、
を備え、
前記グリップ部は、
前記2つの狭持片を所定の可動方向へ移動自在に支持する可動支持部を備え、
前記可動支持部によって支持された前記2つの狭持片を収納する大きさを有し、
前記2つの狭持片は、
重ね合わせた該2つの狭持片の基端が互いに接合されて前記可動支持部に支持され、該重ね合わせた2つの狭持片の先端の間が閉じるように付勢されており、
前記グリップ部に収納されていた前記2つの狭持片が前記可動支持部に支持されて移動することによって、前記2つの狭持片が前記グリップ部から延設された状態になっているとき、前記2つの狭持片の各狭持孔に挿入された前記ゴルフボールが前記先端の間に狭持される、
ことを特徴とするゴルフボール拾得具。
【請求項4】
前記可動支持部は、
前記アーム部に当接して前記グリップ部の長手方向に前記2つの狭持片を摺動させる摺動ガイド部であり、
前記2つの狭持片が、前記摺動ガイド部に沿って摺動することによって前記グリップ部から延設された状態になっているときに前記ゴルフボールを狭持する、
ことを特徴とする請求項3に記載のゴルフボール拾得具。
【請求項5】
前記グリップ部は、該ゴルフボール拾得具を他の装備品に取付け固定するクリップ部を備える、
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のゴルフボール拾得具。
【請求項6】
前記狭持孔は、前記ゴルフボールの直径よりも小さい孔径を有する、
ことを特徴とする請求項2または請求項3に記載のゴルフボール拾得具。
【請求項7】
前記狭持孔は、該狭持孔に前記ゴルフボールの一部分が挿入され、前記2つの狭持片の先端の間に前記ゴルフボールが狭持されたとき、該2つの狭持片がそれぞれ弓形に撓む略楕円形状に形成されている、
ことを特徴とする請求項2または請求項3に記載のゴルフボール拾得具。
【請求項8】
前記2つの狭持片は、該重ね合わせた各狭持片の先端側が開くように反り返っている、
ことを特徴とする請求項2または請求項3に記載のゴルフボール拾得具。
【請求項9】
前記2つの狭持片は、該各狭持片の先端が、該重ね合わせた各狭持片が開く方向へ折り曲げられている、
ことを特徴とする請求項2または請求項3に記載のゴルフボール拾得具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ゴルフボールを拾い上げる際に用いるゴルフボール拾得具に関する。
【背景技術】
【0002】
これまでのゴルフ競技のルールでは、ボールがグリーン上のカップに入る際には、旗竿(ピン)をカップから抜いておくことが定められていたが、ルール改定によってピンをカップに挿したままでプレイを行うことが可能になった。
カップは、直径108[mm]、深さ101.6[mm]以上と規定されている。また、日本において、ピンは、長さ2.13[m]以上のものが推奨されている。なお、ピンの直径は規定されていないが、一般的には、上記の長さに対応した(十分な強度が得られる)、適当な太さのピンが用いられている。
上記サイズのカップにピンを挿した状態において、当該カップに直径42.67[mm]以上のゴルフボールが入ると、特に、手の大きな男性は、カップの中に手を入れてボールを取り出すことが困難になる場合がある。また、カップ内に手を入れたときに、指や手の甲などに傷がついてしまう場合がある。
【0003】
そこで、カップ内に手を入れることなくゴルフボールを取り出す拾得具が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
この拾得具は、ゴルフボールを狭持する弾性狭持部と、ゴルフクラブのグリップエンドに弾性狭持部を装着するバンド部によって構成されている。
弾性狭持部は、ステンレスなどの金属線を環状(リング部)に形成し、一対のリング部を対向配置して構成されている。対向配置されたリング部は、当該リング部の間に設けられた連結部によって連結されている。
連結部は、リング部間を押し広げる弾性を備えており、接着剤の塗布や縫い付けなどによってバンド部に取り付けられている。
バンド部は、帯状弾性部材を環状に形成したもので、ゴルフクラブのグリップエンドに着脱自在に構成されている。
【0004】
この拾得具を使用する場合には、バンド部を任意のゴルフクラブのグリップエンドに装着し、グリップエンドから突出しているリング部をカップの中へ挿入する。
リング部をカップの奥底側へ押し込むと、カップ内のゴルフボールにリング部が当接し、一対のリング部の間が押し広げられてゴルフボールが挟み込まれる。
この状態で、グリップエンドを上方へ持ち上げ、カップからゴルフボールを取り出す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】登録実用新案第3110281号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のゴルフボール拾得具は以上のように構成されているので、ボールをカップから拾得する際にはゴルフクラブに装着し、ゴルフクラブでボールを打つ際には当該ゴルフクラブから取り外しておくことが必要になる。
即ち、ゴルフコース内を移動しながら、もしくは、ゴルフプレイ中に、頻繁にゴルフゴール拾得具の着脱を行うことになる。また、例えば、ゴルフクラブから取り外した際にゴルフボール拾得具を置いた場所(収納した場所)を忘れてしまい、紛失することも考えられる。
また、無理のない姿勢でカップからボールを拾い上げるためには、例えば長い柄を備える必要があるが、ボール拾得に適した長さの拾得具は、ゴルフプレイ中の携帯に不便を感じることがある。
【0007】
本開示は、上記のような問題点に鑑みなされたもので、ゴルフボールを拾得する際には適当な長さになり、また、携帯するときには長さを短くすることができるゴルフボール拾得具を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示に係るゴルフボール拾得具は、手で把持する長手形状のグリップ部と、ばね性を有する材料を用いて形成されて、ゴルフボールを狭持する2つの狭持片とを備え、前記グリップ部は、前記2つの狭持片を所定の可動方向へ移動自在に支持する可動支持部を備え、前記可動支持部によって支持された前記2つの狭持片を収納する大きさを有し、前記2つの狭持片は、該2つの狭持片の基端が互いに接合されて前記可動支持部に支持され、該2つの狭持片の先端の間が閉じるように付勢されており、前記可動支持部は、前記グリップ部の長手方向の一端側を中心に前記2つの狭持片を回動させる回動支持部であり、前記グリップ部に収納されていた前記2つの狭持片が回動することによって、該2つの狭持片が前記グリップ部から延設された状態になっているとき、前記先端の間にゴルフボールが狭持されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、全長を可変とすることにより、携帯に便利であるとともに、無理のない姿勢でボールを拾得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の実施例1によるゴルフボール拾得具の構成を示す説明図である。
図2図1のゴルフボール拾得具を側方から見た場合の構成を示す説明図である。
図3】本実施例1のゴルフボール拾得具がゴルフボールを狭持したときの態様を示す説明図である。
図4】ゴルフボールを狭持した図3のゴルフボール拾得具を側方から見たときの態様を示す説明図である。
図5】本実施例1のゴルフボール拾得具がカップの中からゴルフボールを拾得する状態を示す説明図である。
図6】本開示の実施例2によるゴルフボール拾得具の構成を示す説明図である。
図7図6のゴルフボール拾得具を側方から見た場合の構成を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示のゴルフボール拾得具は、ばね性を有する材料によって2つの狭持片を形成し、グリップ部に可動支持部を設けて2つの狭持片を移動自在に支持し、該2つの狭持片を移動させることによって前記グリップ部に収納するように構成されている。
前記2つの狭持片は、一端を互いに接合固定して前記可動支持部に支持させており、該2つの狭持片の他端の間が閉じるように付勢されている。そして、該付勢された他端の間にゴルフボールを狭持する。
【0012】
前記可動支持部は、前記グリップ部の長手方向に前記2つの狭持片を摺動させる摺動ガイド部、または、前記グリップ部の長手方向の一端側を中心に前記2つの狭持片を回動させる回動支持部である。
【0013】
前記グリップ部は、該ゴルフボール拾得具を他の装備品に取付け固定するクリップ部を備えている。
【0014】
前記狭持片は、前記他端の先端側に前記ゴルフボールが挿入される狭持孔を有し、前記狭持孔は、前記ゴルフボールの直径よりも小さい孔径を有している。
【0015】
前記狭持孔は、該狭持孔に前記ゴルフボールの一部分が挿入され、前記2つの狭持片の他端間に前記ゴルフボールが狭持されたとき、該2つの狭持片がそれぞれ弓形に撓む略楕円状に形成されている。
【0016】
前記2つの狭持片は、該2つの狭持片を重ね合わせたとき、該各狭持片の他端側が開くように反り返っている。
【0017】
前記2つの狭持片は、該各狭持片の他端の先端部分が、該重ね合わせた各狭持片が開く方向へ折り曲げられている。
【0018】
以下、この発明の実施の一形態を説明する。
(実施例1)
図1は、本開示の実施例1による拾得具1の構成を示す説明図である。図1は、ゴルフボールに当接する狭持孔14aまたは狭持孔14bを正面視した場合の、拾得具1の構成を示している。図2は、図1の拾得具1を側方から見た場合の構成を示す説明図である。
拾得具1は、手のひらで把持することが可能な長手形状のグリップ部10と、グリップ部10に支持され、先端でゴルフボールを狭持するように構成された狭持片11a,11bと、例えば、パターカバー、使用者の腰ベルトなどの装備品に拾得具1を着脱可能に取り付け固定するクリップ部16等によって構成されている。
【0019】
グリップ部10は、把持などによって変形することのない剛性を備えた材料を用いて形成され、例えば、金属製、硬質樹脂製等の板材を適当な形状に加工し、狭持片11a,11bを収納することができる長さに形成されている。
また、グリップ部10は、狭持片11a,11bを支持するとともに、当該グリップ部10の長手方向に摺動させる摺動ガイド部17(可動支持部)を備えている。
摺動ガイド部17は、例えば、グリップ部10の長手方向に沿った縁辺部分を折り曲げて形成されたもので、長手方向に延設された両側の縁辺を同じ側に折り曲げて、狭持片11a,11bを挟み込んで(摺動可能な程度に隙間を有して)支持するように形成されている。
なお、例えば、摺動ガイド部17にラッチ機構などの位置決め機構を備え、図1ならびに図2に実線で示した狭持片11a,11bの位置に、当該狭持片11a,11bを位置決め固定し、また、図中、二点鎖線で示した狭持片11a,11bの位置に、当該狭持片11a,11bを位置決め固定するように構成してもよい。
【0020】
狭持片11a,11bは、互いに重ね合わせられて、例えば、接着剤等を用いて、各狭持片11a,11bの一端側(基端側)の部位が接合(接着)固定されている。
狭持片11a,11bは、ばね性を有する、例えば、金属製または樹脂製の薄板材を用いて形成されており、当該狭持片11a,11bを重ね合わせて一端側(基端側)を接合固定することにより、他端側(先端側)を閉じるように付勢が生じる。
狭持片11a,11bは、概ね同様な形状に(狭持片11aと狭持片11bを重ね合わせたとき、厚み方向において対称形状となるように)形成されている。
即ち、アーム部12bはアーム部12aと同様な大きさ形状をしており、狭持部位13bは狭持部位13aと同様な大きさ形状をしている。
また、狭持孔14bは狭持孔14aと同様な大きさ形状をしており、先端部15bは先端部15aと同様な大きさ形状をしている。
ここでは、狭持片11aの構成を例示して説明する。
【0021】
狭持片11aは、グリップ部10の摺動ガイド部17に当接させるアーム部12a、拾い上げるゴルフボールと当接する(ゴルフボールの一部分を挿入する)狭持孔14aを設けた狭持部位13aを有する。
狭持部位13aは、アーム部12aから延設された部位であり、アーム部12aよりも狭持片11aの他端側(先端側)の部分である。
狭持部位13aは、前述の接着剤などによる接合固定が施されておらず、容易に撓むことを可能にした部位であり、若干、先端側が反り返るように形成されている。即ち、狭持片11aと狭持片11bとを重ね合わせたとき、当該狭持片11a,11bの先端側が開くように形成されている。
【0022】
狭持孔14aは、狭持部位13aの先端側(反り返った部分)に設けられ、ゴルフボールの直径よりも小さい孔径を有する貫通孔で、真円とは異なる孔形状をしており、例えば、狭持片11aの幅方向に長軸を有する略楕円形状に形成されている。
詳しくは、狭持孔14aは、ゴルフボール2の一の部位が当該狭持孔14aの孔内へ入り、また、ゴルフボール2の他の部位が狭持孔14bの孔内に入って、狭持片11a,11bの間、もしくは、狭持部位13a,13bの間に狭持されたとき、先端側が開いた状態の狭持片11a,11b(狭持部位13a,13b)が、それぞれ弓形に撓む略楕円形状をしている。
狭持片11a,11b(狭持部位13a,13b)が弓形に撓むことにより、当該狭持片11a,11bは、ゴルフボール2に対して強く付勢する(強く狭持する)ことが可能になる。
なお、狭持孔14a,14bを、上記の略楕円形状と同様な機能を有する、例えば、長軸ならびに短軸に相当する大きさ、形状等が、上記の略楕円形状と概ね同様な、略ハート型に形成してもよい。
【0023】
狭持片11a、もしくは、狭持部位13aの先端部15aは、略鉛直状に折り曲げ形成されており、狭持片11aと狭持片11bを重ね合わせた状態において、各狭持片11a,11bが開くそれぞれの方向に向かって折り曲げられている。
先端部15a等の折り曲げ形状は、具体的には、狭持片11aと狭持片11bとを重ね合わせて摺動ガイド部17に支持させたとき、この状態において先端部15a,15bのいずれか、あるいは両方にゴルフボール2の球面が当接すると、当該ゴルフボール2が先端部15aと先端部15bとの間に移動する(導かれる)形状に形成されている。
【0024】
狭持片11aと狭持片11bとを重ね合わせ、これらの基端側を摺動ガイド部17に支持させたとき、例えば、摺動ガイド部17から狭持片11b側が露出するように構成した場合には、当該狭持片11bに突起部18が設置される。
突起部18は、例えば、アーム部12bの適当な位置に設けられ、摺動ガイド部17などによって覆われることなく露出し、グリップ部10の外側へ向かって突出するように形成されている。
突起部18は、狭持片11a,11bを摺動させる際に指などを掛けることができる大きさに形成されている。
【0025】
摺動ガイド部17に支持された狭持片11a,11bは、図1および図2において、実線で示した位置から二点鎖線で示した位置の間を摺動するように、グリップ部10に備えられている。
狭持片11a,11bを摺動ガイド部17に沿って摺動させ、図中、二点鎖線で示した位置に狭持片11a,11bを配置したとき、グリップ部10の先端部分から、狭支持片11a,11bの先端部15a,15b、ならびに、その近傍の部分が若干突出する。即ち、グリップ部10は、概ね狭持片11a,11bを収納することができる大きさ(長さ、幅、厚み)を有している。
【0026】
拾得具1を携帯する場合には、狭持片11a,11bを摺動させてグリップ部10に収納し、即ち、狭持片11a,11bを二点鎖線の位置に配置し、拾得具1の全長を短くする。
また、グリップ部10の後端部分(グリップ部10の長手方向において、先端部15a,15bが突出する先端部分と対向配置される部分)には、クリップ部16が設けられている。
拾得具1を携帯する際には、前述のように拾得具1の全長を短くして、例えば、クリップ部16を用いてパターカバーなどの装備品に装着する。
【0027】
図3は、拾得具1がゴルフボール2を狭持したときの態様を示す説明図である。また、図4は、ゴルフボール2を狭持した図3の拾得具1を側方から見たときの態様を示す説明図である。
拾得具1によって、ゴルフボール2を狭持する場合には、例えば、摺動ガイド部17に沿って狭持片11a,11bを摺動させて、グリップ部10の先端部分からアーム部12a,12b等を引き出し、狭持部位13a,13b等が自在に撓むことができる状態にする。即ち、狭持片11a,11bがグリップ部10から延設された状態とし、拾得具1の全長を長くする。
【0028】
狭持部位13a,13b等が撓むことによって、狭持孔14aにゴルフボール2の一の部位が挿入され、狭持孔14bにゴルフボール2の他の部位(概ね、一の部位に対向配置される部位)が挿入される。
狭持孔14a,14bにゴルフボール2が挿入されたとき、狭持片11a,11bの先端側が開いて、それぞれ弓形に撓んだ狭持部位13a,13b等には、概ね対向する2方向からゴルフボール2の中心へ向かう付勢が生じる。
即ち、ゴルフボール2の両側方を挟み込む力が生じ、狭持片11a,11bの間にゴルフボール2が固定される。
【0029】
図5は、拾得具1がカップ3の中からゴルフボール2を拾得する状態を示す説明図である。この図は、ゴルフコースのグリーンに設けられたカップ3の縦断面を示したもので、カップ3にピン4を挿した状態において、カップ3内部のゴルフボール2を拾得具1によって拾得する態様を示している。
カップ3の中からゴルフボール2を拾い上げるときには、グリップ部10から狭持片11a,11bを引き出し、狭持片11a,11bの先端側、即ち、狭持部位13a,13b等が撓み易い状態にする。
この状態の拾得具1を(狭持片11a,11bの先端側から)カップ3に挿入すると、カップ3内部に位置するゴルフボール2の上側部分に、狭持部位13a,13b、もしくは、先端部15a,15bが当接する。
【0030】
さらに、拾得具1をカップ3の奥側へ挿入すると、前述のように折り曲げられた先端部15aと先端部15bとの間にゴルフボール2が導かれ、当該ゴルフボール2が当接することによって先端部15aと先端部15bとの間が開く。このように開いた先端部15aと先端部15bとの間、即ち、狭持部位13aと狭持部位13bとの間にゴルフボール2が挿入され、狭持孔14aにゴルフボール2の一の部位が入り、狭持孔14bにゴルフボール2の他の部位が入る。
狭持孔14a,14bにゴルフボール2の各部分が入ると、狭持部位13a,13b等が弓形に撓み、狭持部位13a,13b等に生じる付勢によってゴルフボール2が狭持される。
この状態で、拾得具1、もしくは、狭持片11a,11bを上方へ引き抜き、カップ3からゴルフボール2を拾得する。
【0031】
以上のように、本実施例1によれば、狭持片11a,11bを摺動させることにより、グリップ部10に収容するように構成したので、拾得具1を携帯する場合などには全長を短くすることによって、他の装備品などに当該拾得具1を取り付けることが容易になり、ゴルフプレイの邪魔になることや、当該拾得具1を紛失することを抑制することができる。
また、撓むことが可能な狭持片11a,11bをグリップ部10に収容することにより、余剰の撓みや曲がり、ねじれなどが狭持片11a,11bに生じることを防ぐことができる。
【0032】
ここで説明した拾得具1は、摺動ガイド部17等を備えて狭持片11a,11bをグリップ部10に収納するように構成されているが、摺動ガイド部17などを備えることなくグリップ部10を構成し、当該グリップ部10に狭持片11a,11bを接合固定して、狭持片11a,11bがグリップ部10から延設された状態を維持するゴルフボール拾得具を構成してもよい。
また、拾得具1は、薄板状の狭持片11a,11bを備えて構成されているが、例えば、ばね性を備えた線材を用いて、上記の狭持片11a,11bと同様な機能を有する、2つの狭持片等を構成してもよい。
【0033】
(実施例2)
図6は、本開示の実施例2による拾得具1aの構成を示す説明図である。図6は、ゴルフボール2(図示省略)に当接する、例えば、狭持孔24を正面視した場合の、拾得具1aの構成を示している。図7は、図6の拾得具1aを側方から見た場合の構成を示す説明図である。
拾得具1aは、手のひらで把持するグリップ部20と、グリップ部20に支持され、先端でゴルフボール2を狭持するように構成された狭持片21a,21bと、例えば、パターカバー、使用者の腰ベルトなどの装備品に拾得具1aを着脱可能に取り付け固定するクリップ部16等によって構成されている。
【0034】
グリップ部20は、前述のグリップ部10と同様な材料を用いて形成され、図6および図7において、二点鎖線で示した狭持片21a,21bの位置に、当該狭持部21a,21bを収納することができる長さを有している。
グリップ部20は、例えば、グリップ部20の厚み部分となる部位に空隙を備え、当該空隙に狭持部21a,21bを収納することができる形状に形成されている。
具体的には、例えば、グリップ部20は、二つの板状部材を重ね合わせて一部分を接合し、当該二つの板状部材の間に空隙を設けて狭持部21a,21bを収納するように形成されている。
【0035】
グリップ部20は、図6において、破線で示した狭持部21a,21bの基端側を回動自在に支持する回動支持部26(可動支持部)を備えている。
即ち、回動支持部26は、例えば、狭持部21a,21bの基端側が位置するグリップ部20の先端側(一端側)に固定されている。
また、回動支持部26は、回動軸が、グリップ部20の厚み方向に対して平行となるように(厚み方向に沿うように)、即ち、回動軸がグリップ20の長手側面に対して直交するように、当該グリップ部20に設置されている。
狭持片21a,21bは、前述の狭持片11a,11bと同様な材料によって構成されており、前述のアーム部12a,12bに相当するアーム部22a,22b、前述の先端部15a,15bに相当する先端部25a,25bを有している。
【0036】
また、狭持片21a,21bは、前述の狭持部位13a,13bと同様な狭持部位23a,23bを有し、前述の狭持孔14a,14bと同様な形状の狭持孔24a,24bが、狭持部位23a,23bにそれぞれ設けられている。即ち、狭持孔24a,24bは、前述の狭持孔14a,14bと同様に、略楕円形状に形成されており、また、略ハート型に形成してもよい。
狭持片21a,21bは、回動支持部26を介してグリップ部20に支持されることにより、例えば、図6の矢印Aが示す方向(双方向)に回動する。
グリップ部20に備えるクリップ部16は、狭持片21a,21bが上記の回動を行うとき、障害とならない位置に設置される。
【0037】
拾得具1aを携帯する場合などには、狭持片21a,21bをグリップ部20へ向かって回動させ、図6等において、2点鎖線で示した位置へ移動させる。2点鎖線で示した位置へ移動させることにより、狭持部21a,21bは、グリップ部20に収納され、拾得具1aの全長が短くなる。
ここで例示した拾得具1aは、グリップ部20に狭持片21a,21bを収納した場合、グリップ部20の後端部分(クリップ16を備えている側)から、狭持部位23a,23bの先端側(反り返るように形成された部分)を露出させた状態となる。
【0038】
拾得具1aを使用してゴルフボール2を拾い上げる場合などには、例えば、グリップ部20に収納されている狭持片21a,21bを回動させて、グリップ部20と狭持片21a,21bとを直線状に配置した、即ち、グリップ部20から延設された態様にし、拾得具1aの全長を長くする。
狭持具1aは、上記のように全長を長くした場合、実施例1で説明したもの(狭持具1a)と同様に、狭持片21aと狭持片21bとの間にゴルフボール2を狭持することができる。即ち、狭持部位23a,23bが弓形に撓み、狭持孔24a,24bに、それぞれゴルフボール2の一部分が入り、ゴルフボール2を拾得することができる。
【0039】
以上のように、本実施例2によれば、狭持片21a,21bを回動させることにより、グリップ部20に収容するように構成したので、拾得具1aを携帯する場合などには全長を短くすることによって、他の装備品などに当該拾得具1aを容易に取り付けることができ、ゴルフプレイの邪魔になることや、当該拾得具1aを紛失することを抑制することができる。
また、撓むことが可能な狭持片21a,21bをグリップ部20に収容することにより、余剰の撓みや曲がり、ねじれなどが狭持片21a,21bに生じることを防ぐことができる。
【符号の説明】
【0040】
1,1a拾得具
2ゴルフボール
3カップ
4ピン
10グリップ部
11a,11b,21a,21b狭持片
12a,12b,22a,22bアーム部
13a,13b,23a,23b狭持部位
14a,14b,24a,24b狭持孔
15a,15b,25a,25b先端部
16クリップ部
17摺動ガイド部
18突起部
26回動支持部
【要約】
ゴルフボールを拾得する際には適当な長さになり、また、携帯するときには長さを短くすることができるゴルフボール拾得具を提供する。
グリップ部10は、摺動ガイド部17に沿って摺動させた狭持片11a,11bを収納する大きさを有し、狭持片11a,11bは、一端が互いに接合固定され、他端の間が閉じるように付勢されており、狭持片11a,11bをグリップ部10から引き出したとき、狭持片11a,11bの他端の間にゴルフボールを狭持する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7