【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は、かかる課題に対応するものであり、その第1の局面は次のように規定される。即ち。
背景と供に検査対象を撮影した原画像を複数の領域に分割するステップと、
該分割された領域において前記検査対象が映り込んでいるか否かを判断し、該検査対象が映り込んでいる領域を有効領域とする有効領域特定ステップと、
前記原画像より選択された複数の領域からなり、少なくとも一つの前記有効領域を含む処理対象ブロックを特定する処理対象ブロック特定ステップと、
特定された処理対象ブロックに対しAI処理を実施して欠陥の有無を検出し、欠陥が存在したとき処理対象ブロックにおける該欠陥の座標とその確率を特定する欠陥特定ステップと、
欠陥特定ステップで得られた欠陥の座標を前記原画像の原座標に変換する座標変換ステップと、
該原座標における欠陥の座標とその確率に基づき、欠陥の検査結果を作成する検査結果作成ステップ、とを含む検査対象品の欠陥件検出方法であって、
前記処理対象ブロック特定ステップは、
前記原画像においてm×n(m、nは2以上の自然数)の領域からなる前記処理対象ブロックを特定する主処理対象ブロック特定ステップと、
前記原画像において前記処理対象ブロックを前記mの並び方向に領域単位で偏移させて第1補完ブロックを形成する第1補完ブロック形成ステップと、
記原画像において前記処理対象ブロックを前記nの並び方向に領域単位で偏移させて第2補完ブロックを形成する第2補完ブロック形成ステップと、を備え、
前記欠陥特定ステップは、
前記処理対象ブロックにおける欠陥の座標とその確率を特定する主欠陥特定ステップと、
前記第1補完ブロックにおける欠陥の座標とその確率を特定する第1の補完的な欠陥特定ステップと、
前記第2補完ブロックにおける欠陥の座標とその確率を特定する第2の補完的な欠陥特定ステップと、を含み、
前記座標変換ステップは、前記主欠陥特定ステップ、前記第1の補完的な欠陥特定ステップ及び前記第2の補完な欠陥特定ステップでそれぞれ特定された欠陥の座標を前記原画像の原座標に変換する、
検査対象品の欠陥検出方法。
【0006】
このように規定される第1の局面の欠陥検索方法によれば、欠陥特定ステップにおいて、処理対象ブロックに対する主欠陥特定ステップに加えて、補完ブロックを利用して補完的な欠陥特定ステップが実行される。その結果、有効領域に対する欠陥検査が、補完的な欠陥特定ステップを実行した数だけ、多く実行されたこととなる。処理対象ブロックに含まれる有効領域は、第1補完ブロックや第2補完ブロックでは、ブロック全体において相対的に異なる位置に存在するので、AI処理においては、異なる対象となるからである。
【0007】
有効領域に映り込んでいる検査対象品の部分に欠陥があったとき、AI処理装置への入力態様が異なる(ブロックにおける相対的な位置が異なる)と、その確率に変化が生じる。この場合、最も高い確率の欠陥を採用することができる(第2の局面)。
なお、各ブロックにおいて特定された欠陥の座標は、原画像における原座標(絶対座標)に変換され、その座標が重複するものは同じ欠陥を指すものと考えられる。第2の局面では、各ブロックで検出された欠陥の座標が原座標において重複したとき、最も確率が高いものを採用することとした。
【0008】
他方、各ブロックで検出された欠陥の座標が原座標において重複したとき、重複したもののアンド集合又はオア集合を作成して、それを欠陥の座標とすることができる(第3の局面)。なお、アンド集合は、各ブロックにおいて特定された欠陥の座標の集合体に対応する原座標の座標の集合体の重複部分を指す。アンド集合では、各ブロックにおいて欠陥として特定されたもののなかで最も高い確率のもの(欠陥)を採用することができる。
オア集合は、各ブロックにおいて特定された欠陥の座標の集合体に対応する原座標の集合体の外郭で規定される。その確率は、各ブロックにおける欠陥の確率の平均を採用することができる。
【0009】
この発明の第4の局面は次の様に規定される。
第1〜第3のいずれかに規定の方法において、前記第1補完ブロック形成ステップでは前記第1補完ブロックを回転させる、前記第2補完ブロック形成ステップでは前記第2補完ブロックを回転させる。
このように規定される第4の局面の欠陥検査方法によれば、各補完ブロックに含まれる有効領域は、処理対象ブロックとの比較において、ブロックにおける相対的な位置に変化がつけられたことに加えて、補完ブロックを回転することにより、AI処理装置への入力態様に更に変化を与えられる。
【0010】
なお、処理対象ブロックが2×2の領域からなるときは、例えば横方向(m側)へ1つの領域分偏移させた第1補完ブロックを時計方向へ90度回転させ、縦方向(n側)へ1つの領域分偏移させた第2補完ブロックを同じく270度回転させ、横縦側へそれぞれ1つの領域分偏移させた第3補完ブロックは同じく180度回転させ、それぞれのブロックに対して欠陥特定処理を実行する(第5の局面)。これにより、ブロックに含まれる有効領域をAI処理装置へ入力する際の態様に均一かつ規則的な変化を与えることができる。
各補完ブロックを回転するときの回転中心は特に限定されるものではないが、ブロックの中心とすることが好ましい。
【0011】
以上を敷衍して、第6の局面は次のように規定される。即ち、
背景と供に検査対象を撮影した原画像を複数の領域に分割するステップと、
該分割された領域において前記検査対象が映り込んでいるか否かを判断し、該検査対象が映り込んでいる領域を有効領域とする有効領域特定ステップと、
前記原画像より選択された複数の領域からなり、少なくとも一つの前記有効領域を含む処理対象ブロックを特定する処理対象ブロック特定ステップと、
特定された処理対象ブロックに対しAI処理を実施して欠陥の有無を検出し、欠陥が存在したとき処理対象ブロックにおける該欠陥の座標とその確率を特定する欠陥特定ステップと、
欠陥特定ステップで得られた欠陥の座標を前記原画像の原座標に変換する座標変換ステップと、
該原座標における欠陥の座標とその確率に基づき、欠陥の検査結果を作成する検査結果作成ステップ、とを含む検査対象品の欠陥件検出方法であって、
前記処理対象ブロック特定ステップは、
前記原画像において前記処理対象ブロックを特定する主処理対象ブロック特定ステップと、
前記処理対象ブロックを基準に該処理対象ブロックの少なくとも一つの領域を共有する補完ブロックを形成する補完ブロック形成ステップと、を備え、
前記欠陥特定ステップは、
前記処理対象ブロックにおける欠陥の座標とその確率を特定する主欠陥特定ステップと、
前記補完ブロックにおける欠陥の座標とその確率を特定する補完的な欠陥特定ステップと、を含み、
前記座標変換ステップは、前記主欠陥特定ステップ及び前記補完的な欠陥特定ステップでそれぞれ特定された欠陥の座標を前記原画像の原座標に変換する、
検査対象品の欠陥検出方法。
【0012】
この発明は装置の発明として次のように規定することもできる。
背景と供に検査対象を撮影した原画像を複数の領域に分割する願画像分割部と、
該分割された領域において前記検査対象が映り込んでいるか否かを判断し、該検査対象が映り込んでいる領域を有効領域とする有効領域特定部と、
前記原画像より選択された複数の領域からなり、少なくとも一つの前記有効領域を含む処理対象ブロックを特定する処理対象ブロック特定部と、
特定された処理対象ブロックに対しAI処理を実施して欠陥の有無を検出し、欠陥が存在したとき処理対象ブロックにおける該欠陥の座標とその確率を特定する欠陥特定部と、
欠陥特定ステップで得られた欠陥の座標を前記原画像の原座標に変換する座標変換部と、
該原座標における欠陥の座標とその確率に基づき、欠陥の検査結果を作成する検査結果作成部、とを含む検査対象品の欠陥件検出装置であって、
前記処理対象ブロック特定部は、
前記原画像においてm×n(m、nは2以上の自然数)の領域からなる前記処理対象ブロックを特定する主処理対象ブロック特定部と、
前記原画像において前記処理対象ブロックを前記mの並び方向に領域単位で偏移させて第1補完ブロックを形成し、記原画像において前記処理対象ブロックを前記nの並び方向に領域単位で偏移させて第2補完ブロックを形成する補完ブロック形成部と、を備え、
前記欠陥特定部は、
前記処理対象ブロックにおける欠陥の座標とその確率を特定する主欠陥特定ステップと、
前記第1補完ブロックにおける欠陥の座標とその確率を特定する第1の補完的な欠陥特定ステップと、
前記第2補完ブロックにおける欠陥の座標とその確率を特定する第2の補完的な欠陥特定ステップと、を実行し、
前記座標変換部は、前記主欠陥特定ステップ、前記第1の補完的な欠陥特定ステップ及び前記第2の補完な欠陥特定ステップでそれぞれ特定された欠陥の座標を前記原画像の原座標に変換する、
検査対象品の欠陥検出装置。
このように規定される第7の局面の発明によれば、第1の局面に規定の発明と同じ効果が得られる。
【0013】
この発明の第8の局面は次のように規定される。即ち、
第7の局面に規定の装置において、前記検査結果作成部は、前記主欠陥特定ステップ、前記第1の補完的な欠陥特定ステップ及び前記第2の補完な欠陥特定ステップでそれぞれ特定され、前記原座標に変換された欠陥において、確率の最も高いものを選択する。
このように規定される第8の局面の発明によれば、第2の局面の発明と同じ効果が得られる。
【0014】
この発明の第9の局面は次のように規定される。即ち、
第7の局面に規定の装置において、前記検査結果作成部は、前記主欠陥特定ステップ、前記第1の補完的な欠陥特定ステップ及び前記第2の補完な欠陥特定ステップでそれぞれ特定され、前記原座標に変換された欠陥の座標より、前記原座標において欠陥座標のアンド集合若しくはオア集合を作成する。
このように規定される第9の局面の発明によれば、第3の局面の発明と同じ効果が得られる。
【0015】
この発明の第10の局面は次のように規定される。即ち、
第7〜9のいずれかの局面に規定の装置において、前記補完ブロック形成部は、前記第1補完ブロック及び前記第2補完ブロックを回転させる。
このように規定される第10の局面の発明によれば、第4の局面の発明と同じ効果が得られる。
【0016】
この発明の第11の局面は次のように規定される。即ち、
第10の局面に規定の装置において、処理対象ブロックがm×nの領域からなるとき、前記前記補完ブロック形成部は、m側へ1つの領域分偏移させた前記第1補完ブロック90度回転させ、n側へ1つの領域分偏移させた第2補完ブロックを270度回転させ、m側とn側へそれぞれ1つの領域分偏移させた第3補完ブロックを180度回転させ、
前記欠陥特定部は、得られた回転補完ブロックに対してそれぞれ欠陥の材料とその確率を特定する。
このように規定される第11の局面の発明によれば、第5の局面の発明と同じ効果が得られる。
【0017】
この発明の第12の局面は次のように規定される。即ち、
背景と供に検査対象を撮影した原画像を複数の領域に分割する願画像分割部と、
該分割された領域において前記検査対象が映り込んでいるか否かを判断し、該検査対象が映り込んでいる領域を有効領域とする有効領域特定部と、
前記原画像より選択された複数の領域からなり、少なくとも一つの前記有効領域を含む処理対象ブロックを特定する処理対象ブロック特定部と、
特定された処理対象ブロックに対しAI処理を実施して欠陥の有無を検出し、欠陥が存在したとき処理対象ブロックにおける該欠陥の座標とその確率を特定する欠陥特定部と、
欠陥特定ステップで得られた欠陥の座標を前記原画像の原座標に変換する座標変換部と、
該原座標における欠陥の座標とその確率に基づき、欠陥の検査結果を作成する検査結果作成部、とを含む検査対象品の欠陥件検出装置であって、
前記処理対象ブロック特定部は、
前記原画像において前記処理対象ブロックを特定する主処理対象ブロック特定部と、
前記処理対象ブロックを基準に該処理対象ブロックの少なくとも一つの領域を共有する補完ブロックを形成する補完ブロック形成部と、を備え、
前記欠陥特定部は、
前記処理対象ブロックにおける欠陥の座標とその確率を特定する主欠陥特定ステップと、
前記補完ブロックにおける欠陥の座標とその確率を特定する補完的な欠陥特定ステップと、を実行し、
前記座標変換部は、前記主欠陥特定ステップ、及び前記補完的な欠陥特定ステップでそれぞれ特定された欠陥の座標を前記原画像の原座標に変換する、
検査対象品の欠陥検出装置。
【0018】
この発明はプログラムの発明として次のように規定することもできる。
背景と供に検査対象を撮影した原画像を複数の領域に分割する願画像分割部と、
該分割された領域において前記検査対象が映り込んでいるか否かを判断し、該検査対象が映り込んでいる領域を有効領域とする有効領域特定部と、
前記原画像より選択された複数の領域からなり、少なくとも一つの前記有効領域を含む処理対象ブロックを特定する処理対象ブロック特定部と、
特定された処理対象ブロックに対しAI処理を実施して欠陥の有無を検出し、欠陥が存在したとき処理対象ブロックにおける該欠陥の座標とその確率を特定する欠陥特定部と、
欠陥特定ステップで得られた欠陥の座標を前記原画像の原座標に変換する座標変換部と、
該原座標における欠陥の座標とその確率に基づき、欠陥の検査結果を作成する検査結果作成部、とを含む検査対象品の欠陥件検出装置に用いられるコンピュータ用のプログラムであって、
前記処理対象ブロック特定部は主処理対象ブロック特定部及び補完ブロック形成部を備え、
前記主処理対象ブロック特定部に、前記原画像においてm×n(m、nは2以上の自然数)の領域からなる前記処理対象ブロックを特定させ、
前記補完ブロック形成部に、前記原画像において前記処理対象ブロックを前記mの並び方向に領域単位で偏移させて第1補完ブロックを形成させ、記原画像において前記処理対象ブロックを前記nの並び方向に領域単位で偏移させて第2補完ブロックを形成させ、
前記欠陥特定部に
前記処理対象ブロックにおける欠陥の座標とその確率を特定させ、
前記第1補完ブロックにおける欠陥の座標とその確率を特定させ、
前記第2補完ブロックにおける欠陥の座標とその確率を特定させ、
前記座標変換部に、前記主欠陥特定ブロック、前記第1補完ブロック及び第2補完ブロックについてそれぞれ特定された欠陥の座標を前記原画像の原座標に変換させる。
コンピュータ用のプログラム。 このように規定される第13の局面の発明によれば、第1の局面に規定の発明と同じ効果が得られる。
【0019】
この発明の第14の局面は次のように規定される。即ち、
第13の局面に規定のプログラムにおいて、前記主欠陥特定ブロック、前記第1補完ブロック及び第2補完ブロックについてそれぞれ特定され、前記原座標に変換された欠陥において、確率の最も高いものを選択させる。
このように規定される第14の局面の発明によれば、第2の局面の発明と同じ効果が得られる。
【0020】
この発明の第15の局面は次のように規定される。即ち、
第7の局面に規定のプログラムおいて、前記主欠陥特定ブロック、前記第1補完ブロック及び第2補完ブロックについてそれぞれ特定され、前記原座標に変換された欠陥の座標より、前記原座標において欠陥座標のアンド集合若しくはオア集合を作成させる。
このように規定される第15の局面の発明によれば、第3の局面の発明と同じ効果が得られる。
【0021】
この発明の第16の局面は次のように規定される。即ち、
第13〜15のいずれかの局面に規定のプログラムにおいて、前記補完ブロック形成部に、前記第1補完ブロック及び前記第2補完ブロックを回転させる。
このように規定される第16の局面の発明によれば、第4の局面の発明と同じ効果が得られる。
【0022】
この発明の第17の局面は次のように規定される。即ち、
第16の局面に規定のプログラムにおいて、処理対象ブロックがm×nの領域からなるとき、前記前記補完ブロック形成部に、m側へ1つの領域分偏移させた前記第1補完ブロック90度回転させ、n側へ1つの領域分偏移させた第2補完ブロックを270度回転させ、m側とn側へそれぞれ1つの領域分偏移させた第3補完ブロックを180度回転させ、
前記欠陥特定部に、得られた回転補完ブロックに対してそれぞれ欠陥の材料とその確率を特定させる。
このように規定される第17の局面の発明によれば、第5の局面の発明と同じ効果が得られる。
【0023】
この発明の第18の局面は次のように規定される。即ち、
背景と供に検査対象を撮影した原画像を複数の領域に分割する願画像分割部と、
該分割された領域において前記検査対象が映り込んでいるか否かを判断し、該検査対象が映り込んでいる領域を有効領域とする有効領域特定部と、
前記原画像より選択された複数の領域からなり、少なくとも一つの前記有効領域を含む処理対象ブロックを特定する処理対象ブロック特定部と、
特定された処理対象ブロックに対しAI処理を実施して欠陥の有無を検出し、欠陥が存在したとき処理対象ブロックにおける該欠陥の座標とその確率を特定する欠陥特定部と、
欠陥特定ステップで得られた欠陥の座標を前記原画像の原座標に変換する座標変換部と、
該原座標における欠陥の座標とその確率に基づき、欠陥の検査結果を作成する検査結果作成部、とを含む検査対象品の欠陥件検出装置に用いられるコンピュータ用のプログラムであって、
前記処理対象ブロック特定部は主処理対象ブロック特定部及び補完ブロック形成部を備え、
前記主処理対象ブロック特定部に前記処理対象ブロックを特定させ、
前記補完ブロック形成部に、前記処理対象ブロックを基準に該処理対象ブロックの少なくとも一つの領域を共有する補完ブロックを形成させ
前記欠陥特定部に
前記処理対象ブロックにおける欠陥の座標とその確率を特定させ、
前記補完ブロックにおける欠陥の座標とその確率を特定させ、
前記座標変換部に、前記主欠陥特定ブロック及び前記補完ブロックについてそれぞれ特定された欠陥の座標を前記原画像の原座標に変換させる、
コンピュータ用のプログラム。