特許第6703676号(P6703676)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6703676
(24)【登録日】2020年5月13日
(45)【発行日】2020年6月3日
(54)【発明の名称】オゾン水生成装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C25B 1/13 20060101AFI20200525BHJP
   C25B 9/00 20060101ALI20200525BHJP
   C25B 9/02 20060101ALI20200525BHJP
   C25B 15/00 20060101ALI20200525BHJP
   C25B 11/02 20060101ALI20200525BHJP
   C25B 11/10 20060101ALI20200525BHJP
   C02F 1/461 20060101ALI20200525BHJP
【FI】
   C25B1/13
   C25B9/00 A
   C25B9/02 302
   C25B15/00 302Z
   C25B11/02 302
   C25B11/10 B
   C02F1/461 Z
【請求項の数】1
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2018-215314(P2018-215314)
(22)【出願日】2018年11月16日
【審査請求日】2019年11月27日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】599067053
【氏名又は名称】株式会社ピーエムティー
(72)【発明者】
【氏名】那須 一男
【審査官】 ▲辻▼ 弘輔
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−080488(JP,A)
【文献】 特開2014−198310(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3213250(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C25B 1/00 − 15/08
C02F 1/461
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の工程を含むオゾン水生成装置の製造方法:
(a)上面に、第1整形用溝と第2整形用溝とが互いに離間しかつ並行して渦巻状に形成された電極整形冶具を用意する工程;
(b)第1電極板を前記第1整形用溝に差し込みながら渦巻状に巻回して、前記第1電極板からなるアノード電極を形成し、第2電極板を前記第2整形用溝に差し込みながら渦巻状に巻回して、前記第2電極板からなるカソード電極を形成する工程;
(c)一辺に第1間隔を有して複数の第1溝が形成された複数の第1スペーサを用意し、前記複数の第1溝に、前記第1電極板および前記第2電極板のうち、渦巻状に延在する長手方向に沿ったそれぞれの一方の辺を差し込み、前記第1電極板および前記第2電極板の動径方向に前記複数の第1スペーサを設置する工程;
(d)前記複数の第1スペーサによって前記第1電極板および前記第2電極板を保持した状態で、前記電極整形冶具から前記第1電極板、前記第2電極板および前記複数の第1スペーサを取り外す工程;
(e)一辺に前記第1間隔を有して複数の第2溝が形成された複数の第2スペーサを用意し、前記複数の第2溝に、前記第1電極板および前記第2電極板のうち、渦巻状に延在する長手方向に沿ったそれぞれの他方の辺を差し込み、前記第1電極板および前記第2電極板の動径方向に前記複数の第2スペーサを設置する工程;
(f)前記第1電極板に第1電極端子を接続し、前記第2電極板に第2電極端子を接続する工程。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水の電気分解によってオゾン水を生成するオゾン水生成装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
オゾン水を生成させる方法の一つとして、水を電気分解することによって発生させたオゾンガスを水に溶解させてオゾン水を生成する方法(以下、「電気分解法」という)がある。
【0003】
例えば特開2014−198310号公報(特許文献1)には、オゾン発生用の陽極と陰極とを微小間隔を設けて対設し、陽極と陰極との間に供給した原料水を電解し、陽極よりオゾンを含有する電解生成物を生成する小型電解水生成装置が記載されている。陽極と陰極との間隔は、10μm〜100μmである。
【0004】
また、登録実用新案第3213250号公報(特許文献2)には、アノード電極とカソード電極のそれぞれを右螺旋状体または左螺旋状体で形成し、アノード電極とカソード電極とを、接合面をずらして二重螺旋構造として、円筒状体に接合したオゾン水生成器が記載されている。
【0005】
また、特開2007−075674号公報(特許文献3)には、二酸化鉛からなる一対の電極を備え、水を電気分解することによって発生させたオゾンガスを水に溶解させてオゾン溶解水を生成する微細気泡発生装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2014−198310号公報
【特許文献2】登録実用新案第3213250号公報
【特許文献3】特開2007−075674号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
電気分解法は、他のオゾン水生成方法、例えば放電によって発生させたオゾンガスを水に溶解させてオゾン水を生成する放電法などと比較して、例えば4ppm程度のオゾン水が得られることから、近年、電気分解法を採用したオゾン水生成装置が検討されている。しかしながら、実用性および経済性を考慮すると、高濃度のオゾン水が得られることに加えて、小型かつ安価なオゾン水生成装置が望まれる。
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施の形態によるオゾン水生成装置は、互いに離間しかつ並行するアノード電極とカソード電極とを渦巻状に巻回してなる電極部と、電極部を収納する電極固定部品と、を備え、原料水中においてアノード電極とカソード電極との間に電圧を印加することにより、オゾンガスを発生させる。さらに、電極部の動径方向に設置された複数の第1スペーサによって、渦巻状に延在するアノード電極およびカソード電極の長手方向の一方の辺側を保持し、電極部の動径方向に設置された複数の第2スペーサによって、渦巻状に延在するアノード電極およびカソード電極の長手方向の他方の辺側を保持する。
【0009】
一実施の形態によるオゾン水生成装置の製造方法は、上面に、第1整形用溝と第2整形用溝とが互いに離間しかつ並行して渦巻状に形成された電極整形冶具を用意した後、第1電極板を第1整形用溝に差し込みながら渦巻状に巻回してアノード電極を形成し、第2電極板を第2整形用溝に差し込みながら渦巻状に巻回してカソード電極を形成する。続いて、一辺に第1間隔を有して複数の第1溝が形成された複数の第1スペーサを用意し、複数の第1溝に第1電極板および第2電極板を差し込み、動径方向に複数の第1スペーサを設置した後、電極整形冶具から第1電極板、第2電極板および複数の第1スペーサを取り外す。続いて、一辺に第1間隔を有して複数の第2溝が形成された複数の第2スペーサを用意し、複数の第2溝に第1電極板および第2電極板を差し込み、動径方向に複数の第2スペーサを設置した後、第1電極板に第1電極端子を接続し、第2電極板に第2電極端子を接続する。
【発明の効果】
【0010】
一実施の形態によれば、小型かつ安価なオゾン水生成装置を実現することができる。
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば、以下のとおりである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】一実施の形態によるオゾン水生成装置を示す平面図である。
図2図1に示すA−A´線に沿った断面図である。
図3】一実施の形態によるオゾン水生成装置を構成する電極固定部品を示す斜視図である。
図4】一実施の形態による第1スペーサおよび第2スペーサの他の設置例を示す平面図である。
図5】(a)、(b)および(c)は、一実施の形態による第1スペーサおよび第2スペーサの他の設置例を示す平面図である。
図6】一実施の形態によるオゾン水のオゾン濃度と生成時間との関係を示すグラフ図である。
図7】一実施の形態によるオゾン水生成装置の他の例を示す平面図である。
図8】(a)および(b)は、それぞれ一実施の形態による電極整形冶具を示す平面図および同図(a)に示すB−B´線に沿った断面図である。
図9】(a)および(b)は、それぞれ一実施の形態による電極板を装着した電極整形冶具を示す平面図および同図(a)に示すB−B´線に沿った断面図である。
図10】(a)および(b)は、それぞれ一実施の形態による電極板と第1スペーサを装着した電極整形冶具を示す平面図および同図(a)に示すB−B´線に沿った断面図である。
図11】(a)および(b)は、それぞれ一実施の形態による電極板と第1スペーサを示す平面図および同図(a)に示すB−B´線に沿った断面図である。
図12】(a)および(b)は、それぞれ一実施の形態による電極板と第1スペーサと第2スペーサを示す平面図および同図(a)に示すB−B´線に沿った断面図である。
図13】(a)および(b)は、それぞれ一実施の形態による電極板と第1スペーサと第2スペーサと接続端子を示す平面図および同図(a)に示すB−B´線に沿った断面図である。
図14】(a)、(b)および(c)は、それぞれ一実施の形態によるオゾン水生成装置を構成する電極固定部品の上面図、断面図(同図(a)に示すC−C´線に沿った断面図)および裏面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一または関連する符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、複数の類似の部材(部位)が存在する場合には、総称の符号に記号を追加し個別または特定の部位を示す場合がある。また、以下の実施の形態では、特に必要なとき以外は同一または同様な部分の説明を原則として繰り返さない。
【0013】
また、実施の形態で用いる図面においては、断面図であっても図面を見易くするためにハッチングを省略する場合もある。また、平面図であっても図面を見易くするためにハッチングを付す場合もある。
【0014】
また、平面図および断面図において、各部位の大きさは実デバイスと対応するものではなく、図面を分かりやすくするため、特定の部位を相対的に大きく表示する場合がある。また、平面図および断面図が対応する場合においても、図面を分かりやすくするため、特定の部位を相対的に大きく表示する場合がある。
【0015】
また、以下の説明において、「渦巻」とは、旋回するにつれ中心から遠ざかる2次元曲線であり、渦巻の中心から外側に向かう方向を「動径方向」という。また、「平面視」とは、アノード電極およびカソード電極の渦巻状に延在する長手方向の一辺を含む平面をその平面に対して垂直な方向から見ることをいう。
(本発明者らが比較検討を行ったオゾン水生成装置)
【0016】
まず、本実施の形態によるオゾン水生成装置およびその製造方法がより明確になると思われるため、本発明者が比較検討を行ったオゾン水生成装置における課題について説明する。
【0017】
電気分解法を採用して高濃度のオゾン水を生成する方法の一つとして、微細なオゾンガスを水に混入する方法が挙げられる(例えば前記特許文献1、2および3)。ガス径を小さくすることによって、オゾンガスは水に溶解しやすくなり、高濃度にオゾンが溶解した水を生成することができる。また、ガス径を小さくすることによって、オゾンガスの滞留が少なくなるので、電流値の継時変化が抑えられて、安定したオゾン濃度を得ることができる。
【0018】
前記特許文献1では、アノード電極とカソード電極との間隔を10μm〜100μmとし、前記特許文献2では、アノード電極およびカソード電極を2重螺旋構造とすることにより、オゾンガスの滞留を少なくしている。ところで、安定したオゾン濃度を得るためには、対設するアノード電極とカソード電極との間隔が一定となるように電極部を製造する必要がある。しかし、アノード電極とカソード電極との間隔を10μm〜100μmとするまたはアノード電極およびカソード電極を2重螺旋構造とすると、アノード電極とカソード電極との間隔を一定にするためには、これらの加工費用が高くなり、その結果、オゾン水生成装置のコストが高くなることが懸念される。
【0019】
また、前記特許文献3では、気泡混入部の入水口から吐水口までの間に設けられた電極を用いて、水の電気分解によりガス径の小さいオゾンガスを発生させている。しかし、入水口に近いアノード電極で発生したオゾンガスが吐水口へ流れて、吐水口側のアノード電極の表面に付着すると、アノード電極の水の電気分解に寄与する電極表面積が減少して、オゾン濃度が低下する虞がある。
(実施の形態)
≪オゾン水生成装置の構造≫
本実施の形態によるオゾン水生成装置の構造を図1図7を用いて説明する。
【0020】
図1は、本実施の形態によるオゾン水生成装置を示す平面図である。図2は、図1に示すA−A´線に沿った断面図である。図3は、本実施の形態によるオゾン水生成装置を構成する電極固定部品を示す斜視図である。図4は、本実施の形態による第1スペーサおよび第2スペーサの他の設置例を示す平面図である。図5(a)、(b)および(c)は、本実施の形態による第1スペーサおよび第2スペーサの他の設置例を示す平面図である。図6は、本実施の形態によるオゾン水のオゾン濃度と生成時間との関係を示すグラフ図である。図7は、本実施の形態によるオゾン水生成装置の他の例を示す平面図である。
【0021】
図1および図2に示すように、オゾン水生成装置1は、互いに離間しかつ並行するアノード電極2とカソード電極3とを渦巻状に巻回してなる電極部4と、電極部4を収納する電極固定部品5とから構成される。
1.電極部4
【0022】
アノード電極2は、例えばその表面をルテニウム膜で被覆したチタンの平板からなり、その厚さは(t1)は、例えば0.3mm程度である。渦巻状に整形されたアノード電極2の直径は、例えば48.0mm程度であり、渦巻状に延在する長手方向の一辺を含む平面に対して垂直方向である短手方向のアノード電極2の幅(w1)は、例えば10.0mm程度である。
【0023】
また、動径方向において、アノード電極2は、例えば4.0mm程度のピッチで設置されており、互いに最も近くに位置する2つのアノード電極2の間にカソード電極3が配置されている。
【0024】
カソード電極3は、例えばチタンの平板からなり、その厚さ(t2)は、例えば0.3mm程度である。渦巻状に整形されたカソード電極3の直径は、例えば48.0mm程度であり、渦巻状に延在する長手方向の一辺を含む平面に対して垂直方向である短手方向のカソード電極3の幅(w2)は、例えば10.0mm程度である。
【0025】
また、動径方向において、カソード電極3は、例えば4.0mm程度のピッチで設置されており、互いに最も近くに位置する2つのカソード電極3の間にアノード電極2が配置されている。
【0026】
従って、動径方向において、アノード電極2とカソード電極3とは、例えば2.0mm程度のピッチ(s1)を有して交互に配置されており、アノード電極2とカソード電極3とが対向している。
【0027】
このように、電極部4は、互いに離間しかつ並行するアノード電極2とカソード電極3とが渦巻状に巻回して形成されているので、小型のオゾン水生成装置1を構成することができる。また、オゾン発生効率を調整するために、アノード電極2とカソード電極3との対向表面積を変更する必要が生じた場合であっても、巻回数を変更するまたはアノード電極2の短手方向の幅(w1)およびカソード電極3の短手方向の幅(w2)を変更することにより、容易に電極表面積、言い換えれば対向表面積を変更することができる。
【0028】
なお、本実施の形態では、アノード電極2の厚さ(t1)およびカソード電極3の厚さ(t2)を、例えば0.3mm程度としたが、0.1mm以上かつ1.0mm以下が望ましい。0.1mmよりも薄いとアノード電極2およびカソード電極3の形状維持が難しくなり、1.0mmよりも厚いとアノード電極2およびカソード電極3の整形が難しくなるという問題が生じる。
【0029】
また、本実施の形態では、動径方法において、アノード電極2とカソード電極3とのピッチ(s1)を、例えば2.0mm程度としたが、1.0mm以上かつ5.0mm以下が望ましい。1.0mmよりもピッチが狭くなるとアノード電極2の表面で生成したオゾンガスの滞留が生じる可能性があり、5.0mmよりもピッチが広くなると電極部4が大きくなり、オゾン水生成装置の小型化が難しくなる。
2.第1スペーサ6および第2スペーサ7
【0030】
渦巻状に巻回されたアノード電極2とカソード電極3とは、渦巻状に延在する長手方向の一方の辺側を4つの第1スペーサ6によって保持され、渦巻状に延在する長手方向の他方の辺側を4つの第2スペーサ7によって保持されている。これにより、動径方向のアノード電極2とカソード電極3との間隔は、ほぼ一定に維持される。
【0031】
第1スペーサ6は、例えば樹脂などの絶縁材からなる。第1スペーサ6は、第1方向と、第1方向と直交する第2方向とを含む面が略四角形であり、第1方向と第2方向とに直交する第3方向に、例えば2.0mm程度の厚さを有している。第1方向の寸法は、例えば20.0mm〜22.0mm程度であり、第2方向の寸法は、例えば6.0mm程度である。そして、第1方向に延在する一方の辺には、第2方向に沿って形成された複数の溝6aが第1方向に等間隔で形成されている。第1方向に隣り合う溝6aの間隔は、例えば1.5mm程度であり、複数の溝6aの第1方向の幅は、例えば0.5mm程度である。複数の溝6aは、第1方向に延在する他方の辺に達しておらず、複数の溝6aの第2方向の深さ(h1)は、例えば3.0mm程度である。
【0032】
同様に、第2スペーサ7は、例えば樹脂などの絶縁材からなる。第2スペーサ7は、第1方向と、第1方向と直交する第2方向とを含む面が略四角形であり、第1方向と第2方向とに直交する第3方向に、例えば2.0mm程度の厚さを有している。第1方向の寸法は、例えば20.0mm〜22.0mm程度であり、第2方向の寸法は、例えば6.0mm程度である。そして、第1方向に延在する一方の辺には、第2方向に沿って形成された複数の溝7aが第1方向に等間隔で形成されている。第1方向に隣り合う溝7aの間隔は、例えば1.5mm程度であり、複数の溝7aの第1方向の幅は、例えば0.5mm程度である。複数の溝7aは、第1方向に延在する他方の辺に達しておらず、複数の溝7aの第2方向の深さ(h2)は、例えば3.0mm程度である。
【0033】
4つの第1スペーサ6に設けられた複数の溝6aに、アノード電極2およびカソード電極3のうち渦巻状に延在する長手方向の一方の辺を差し込むことにより、アノード電極2およびカソード電極3を保持することができる。本実施の形態では、4つの第1スペーサ6のそれぞれは、アノード電極2およびカソード電極3が変動しないように、互いに90度の角度を有して動径方向に設置されているが、上記角度は90度に限定されるものではない。また、第1スペーサ6の数も4つに限定されるものではない。
【0034】
同様に、4つの第2スペーサ7に設けられた複数の溝7aに、アノード電極2およびカソード電極3のうち渦巻状に延在する長手方向の他方の辺を差し込むことにより、アノード電極2およびカソード電極3を保持することができる。本実施の形態では、4つの第2スペーサ7のそれぞれは、アノード電極2およびカソード電極3が変動しないように、互いに90度の角度を有して動径方向に設置されているが、上記角度は90度に限定されるものではない。また、第2スペーサ7の数も4つに限定されるものではない。
【0035】
また、本実施の形態では、第1スペーサ6と第2スペーサ7とは、平面視において、互いに重なるように、すなわち、アノード電極2およびカソード電極3を介して互いに対向するように配置されているが、後述するように、これに限定されるものではない。
【0036】
さらに、渦巻状に巻回されたアノード電極2の内側に位置する端部(内側端部)、渦巻状に巻回されたアノード電極2の外側に位置する端部(外側端部)、渦巻状に巻回されたカソード電極3の内側に位置する端部(内側端部)および渦巻状に巻回されたカソード電極3の外側に位置する端部(外側端部)は、第1スペーサ6および第2スペーサ7によって保持されている。すなわち、渦巻状に巻回されたアノード電極2の内側端部および外側端部は、対向する一対の第1スペーサ6と第2スペーサ7とによって保持され、渦巻状に巻回されたカソード電極3の内側端部および外側端部は、他の対向する一対の第1スペーサ6と第2スペーサ7とによって保持されている。
【0037】
渦巻状に巻回されたアノード電極2の外側端部近傍には、電極端子8が接続されている。同様に、渦巻状に巻回されたカソード電極3の外側端部近傍には、電極端子8が接続されている。電極端子8は、例えばチタンの平板からなる。本実施の形態では、アノード電極2の外側端部近傍およびカソード電極3の外側端部近傍にそれぞれ電極端子8を接続したが、電極端子8の接続箇所は、これに限定されるものではない。
【0038】
オゾン水生成装置1では、水は、電極固定部品5の底面から上面に向かって流れるので、アノード電極2とカソード電極3との間を流れる。従って、アノード電極2とカソード電極3との間に電圧を印加すると、アノード電極2側にオゾンガスが発生し、オゾンガスが水に溶解することによりオゾン水が生成される。オゾン水生成装置1では、電極部4内の水の流れる方向(渦巻状に延在する長手方向の一辺を含む平面に対して直交する方向)におけるアノード電極2の幅は、例えば10.0mm程度であり、また、電極部4の動径方向におけるアノード電極2とカソード電極3とのピッチは、例えば2.0mm程度である。これにより、電極固定部品5の底面側のアノード電極2の表面でオゾンガスが発生しても、当該オゾンガスは電極部4から電極固定部品5の上面側へ容易に抜けることができるので、オゾンガスの滞留を低減することができる。その結果、有効な電極表面積の減少が少なくなり、電流値の継時変化が抑えられるので、オゾン濃度の低下が少なく、オゾン濃度の安定したオゾン水を提供することができる。
3.電極固定部品5
【0039】
電極部4は、複数の第1スペーサ6および複数の第2スペーサ7によって保持されて、電極固定部品5に収納されている。電極固定部品5は、例えば樹脂などの絶縁材からなる。
【0040】
図1図2および図3に示すように、電極固定部品5は、円柱5aと、円柱5aから第1の距離を有して円柱5aの周囲に設けられた円筒形の外周部5bと、電極固定部品5の底面に設けられ、円柱5aと外周部5bとを繋ぐ複数の接続部分5cとから構成される。円柱5aの直径は、例えば8.0mm程度であり、外周部5bの内周の直径(図2に示すd1)は、例えば50.0mm程度であり、接続部分5cの幅は、例えば5.0mm程度である。円柱5aと外周部5bとの間に渦巻状に巻回されてなる電極部4が収納されている。
【0041】
なお、本実施の形態では、電極固定部品5の底面に設けられた接続部分5cは、円柱5aの中心から外周部5bに向かって4つ形成されているが、接続部分5cの数は4つに限定されるものではない。
4.第1スペーサ6および第2スペーサ7の他の設置例
【0042】
本実施の形態では、平面視において、第1スペーサ6と第2スペーサ7とが互いに重なるように配置したが、これに限定されるものではない。第1スペーサ6と第2スペーサ7とが重ならないように配置してもよい。
【0043】
例えば図4に示すように、平面視において、隣り合う第1スペーサ6と第2スペーサ7とが互いに電極部4の中心(電極固定部品5の円柱5aの中心)を軸とした45度の角度を有するように、4つの第1スペーサ6および4つの第2スペーサ7を配置してもよい。
【0044】
また、本実施の形態では、渦巻状に巻回されたアノード電極2の内側端部および外側端部を、対向する一対の第1スペーサ6と第2スペーサ7とによって保持し、渦巻状に巻回されたカソード電極3の内側端部および外側端部を、他の対向する一対の第1スペーサ6と第2スペーサ7とによって保持したが、これに限定されるものではない。
【0045】
例えば図5(a)に示すように、渦巻状に巻回されたアノード電極2の内側端部、渦巻状に巻回されたアノード電極2の外側端部、渦巻状に巻回されたカソード電極3の内側端部および渦巻状に巻回されたカソード電極3の外側端部のそれぞれを、互いに異なる一対の第1スペーサ6および第2スペーサ7によって保持してもよい。
【0046】
さらに、平面視において、隣り合う第1スペーサ6と第2スペーサ7とが互いに電極部4の中心を軸とした45度の角度を有するように、4つの第1スペーサ6および4つの第2スペーサ7を配置した場合は、第1スペーサ6および第2スペーサ7による電極部4の様々な保持態様がある。
【0047】
例えば図5(b)に示すように、4つの第1スペーサ6のそれぞれで、渦巻状に巻回されたアノード電極2の内側端部、渦巻状に巻回されたアノード電極2の外側端部、渦巻状に巻回されたカソード電極3の内側端部および渦巻状に巻回されたカソード電極3の外側端部を保持してもよい。
【0048】
また、図5(c)に示すように、2つの第1スペーサ6のそれぞれで、渦巻状に巻回されたアノード電極2の内側端部および渦巻状に巻回されたカソード電極3の内側端部を保持し、2つの第2スペーサ7のそれぞれで、渦巻状に巻回されたアノード電極2の外側端部および渦巻状に巻回されたカソード電極3の外側端部を保持してもよい。
【0049】
また、図示はしないが、渦巻状に巻回されたアノード電極2の内側端部、渦巻状に巻回されたアノード電極2の外側端部、渦巻状に巻回されたカソード電極3の内側端部および渦巻状に巻回されたカソード電極3の外側端部から離れた位置において、アノード電極2およびカソード電極3を第1スペーサ6、第2スペーサ7または第1スペーサ6および第2スペーサ7によって保持してもよい。
5.オゾン濃度
【0050】
図6に、生成されるオゾン水のオゾン濃度の時間変化を示す。オゾン水生成装置1に備わる、アノード電極2に接続された電極端子8とカソード電極3に接続された電極端子8との間に(図1参照)、5.0V以上かつ12.0V以下の電圧を印加した。図6には、両電極端子8間に、12.0Vの電圧を印加した場合に生成されるオゾン水のオゾン濃度の時間変化を示している。
【0051】
図6に示すように、オゾン水の生成開始後、約6分で4.0ppmのオゾン濃度に達し、約8分で6.0ppmのオゾン濃度に達しており、短時間で、殺菌水として効果のあるオゾン濃度(1.0ppm以上かつ10.0ppm以下)を有するオゾン水を生成することができる。
6.オゾン水生成装置1の他の例
図7に、オゾン水生成装置1と大きさの異なるオゾン水生成装置21の一例を示す。
【0052】
図7に示すように、オゾン水生成装置21は、互いに離間しかつ並行するアノード電極22とカソード電極23とを渦巻状に巻回してなる電極部24と、電極部24を収納する電極固定部品25とから構成される。
【0053】
アノード電極22の厚さおよび幅は、前述したアノード電極2の厚さおよび幅と同じであり、カソード電極23の厚さおよび幅も、前述したカソード電極3の厚さおよび幅と同じである。アノード電極22とカソード電極23とは、例えば2.0mm程度のピッチを有して動径方向に交互に配置されており、アノード電極22とカソード電極23とが対向している。
【0054】
渦巻状に整形されたアノード電極22の直径および渦巻状に整形されたカソード電極23の直径は、例えば78.0mm程度であり、渦巻状に巻回されたアノード電極22とカソード電極23とは、4つの第1スペーサ26および4つの第2スペーサ27によって保持されている。これにより、動径方向のアノード電極22とカソード電極23との間隔は、ほぼ一定に維持される。
【0055】
電極部24は、4つの第1スペーサ26および4つの第2スペーサ27によって保持されて、電極固定部品25に収納されている。電極固定部品25は、例えば樹脂などの絶縁材からなる。
【0056】
電極固定部品25は、円柱25aと、円柱25aから第2の距離を有して円柱25aの周囲に設けられた円筒形の外周部25bと、電極固定部品25の底面に設けられ、円柱25aと外周部25bとを繋ぐ4つの接続部分(図示は省略)とから構成される。円柱25aの直径は、例えば8.0mm程度であり、外周部25bの内周の直径は、例えば80.0mm程度であり、接続部分の幅は、例えば5.0mm程度である。電極固定部品25の底面に設けられた接続部分は、円柱25aの中心から外周部25bに向かって4つ形成されているが、接続部分の数は4つに限定されるものではない。
≪オゾン水生成装置の製造方法≫
本実施の形態によるオゾン水生成装置の製造方法について、図8図14を用いて工程順に説明する。
【0057】
図8(a)および(b)は、それぞれ本実施の形態による電極整形冶具を示す平面図および同図(a)に示すB−B´線に沿った断面図である。図9(a)および(b)は、それぞれ本実施の形態による電極板を装着した電極整形冶具を示す平面図および同図(a)に示すB−B´線に沿った断面図である。図10(a)および(b)は、それぞれ本実施の形態による電極板と第1スペーサを装着した電極整形冶具を示す平面図および同図(a)に示すB−B´線に沿った断面図である。図11(a)および(b)は、それぞれ本実施の形態による電極板と第1スペーサを示す平面図および同図(a)に示すB−B´線に沿った断面図である。図12(a)および(b)は、それぞれ本実施の形態による電極板と第1スペーサと第2スペーサを示す平面図および同図(a)に示すB−B´線に沿った断面図である。図13(a)および(b)は、それぞれ本実施の形態による電極板と第1スペーサと第2スペーサと接続端子を示す平面図および同図(a)に示すB−B´線に沿った断面図である。図14(a)、(b)および(c)は、それぞれ本実施の形態によるオゾン水生成装置を構成する電極固定部品の上面図、断面図(同図(a)に示すC−C´線に沿った断面図)および裏面図である。
【0058】
まず、図8に示すように、電極整形冶具10を準備する。電極整形冶具10は、円形の略平面板であり、例えば樹脂などの絶縁材からなる。電極整形冶具10の上面10aの中心部に、例えば直径が8.0mm程度の円柱10bが設けられている。そして、電極整形冶具10には、上面10a側に、円柱10bを中心とする渦巻状の第1整形用溝11が形成されており、さらに、上面10a側であって第1整形用溝11の間に、円柱10bを中心とする渦巻状の第2整形用溝12が形成されている。すなわち、上面視において、第1整形用溝11と第2整形用溝12とが互いに離間しかつ並行して渦巻状に形成されている。また、動径方向において第1整形用溝11と第2整形用溝12とは交互に形成されている。言い換えれば、円柱10bの中心(渦巻の中心)から外側に向かう方向において、第1整形用溝11と第2整形用溝12とは交互に形成されている。
【0059】
本実施の形態では、電極整形冶具10は、平面視において円形としたが、平面視において四角形とし、その中心部に設けられた円柱10bを中心とする第1整形用溝11および第2整形用溝12がそれぞれ渦巻状に形成された構造であってもよい。
【0060】
第1整形用溝11には、後述するアノード電極となる電極板が差し込まれて渦巻状に巻回され、第2整形用溝12には、後述するカソード電極となる電極板が差し込まれて渦巻状に巻回される。アノード電極となる電極板を差し込む渦巻状の第1整形用溝11と、カソード電極となる電極板を差し込む渦巻状の第2整形用溝12とは離間しており、動径方向において第1整形用溝11と第2整形用溝12とは、例えば1.5mm程度離れている。第1整形用溝11および第2整形用溝12の幅は、例えば0.5mm程度であり、第1整形用溝11および第2整形用溝12の深さは、例えば3.0mm程度である。
【0061】
次に、図9に示すように、第1整形用溝11に電極板2Aを差し込みながら渦巻状に巻回して、電極板2Aからなるアノード電極2を形成し、第2整形用溝12に電極板3Aを差し込みながら渦巻状に巻回して、電極板3Aからなるカソード電極3を形成する。アノード電極2となる電極板2Aは、例えばその表面をルテニウム膜で被覆したチタンからなる平板であり、その厚さは、例えば0.3mm程度、その幅は、例えば10.0mm程度である。カソード電極3となる電極板3Aは、例えばチタンからなる平板であり、その厚さは、例えば0.3mm程度、その幅は、例えば10.0mm程度である。また、電極板2Aと電極板3Aとのピッチは、例えば2.0mm程度である。
【0062】
本実施の形態では、電極板2A,3Aの厚さを、例えば0.3mm程度としたが、0.1mm以上かつ1.0mm以下が望ましい。また、本実施の形態では、動径方向において、電極板2Aと電極板3Aとのピッチを、例えば2.0mm程度としたが、1.0mm以上かつ5.0mm以下が望ましい。
【0063】
電極板2A,3Aの幅は、例えば10.0mm程度、第1整形用溝11および第2整形用溝12の深さは、例えば3.0mm程度であるので、電極整形冶具10の上面10aから、電極板2A,3Aは、例えば7.0mm程度突出する。
【0064】
次に、図10に示すように、第1スペーサ6を複数個準備する。第1スペーサ6は、例えば樹脂などの絶縁材からなる。本実施の形態では、4つの第1スペーサ6を使用したが、これに限定されるものではなく、例えば3つであってもよい。
【0065】
第1スペーサ6は、第1方向と、第1方向と直交する第2方向とを含む面が略四角形であり、第1方向と第2方向とに直交する第3方向に、例えば2.0mm程度の厚さを有している。第1方向の寸法は、例えば20.0mm〜22.0mm程度であり、第2方向の寸法は、例えば6.0mm程度である。そして、第1方向に延在する一方の辺には、第2方向に沿って形成された複数の溝6aが第1方向に等間隔で形成されている。第1方向に隣り合う溝6aの間隔は、例えば1.5mm程度であり、複数の溝6aの第1方向の幅は、例えば0.5mm程度である。複数の溝6aは、第1方向に延在する他方の辺に達しておらず、複数の溝6aの第2方向の深さは、例えば3.0mm程度である。
【0066】
次に、第1スペーサ6に設けられた複数の溝6aに、電極整形冶具10に装着された電極板2A、3Aを差し込む。このとき、渦巻状に整形された電極板2Aの内側端部および外側端部を1つの第1スペーサ6によって保持し、渦巻状に整形された電極板3Aの内側端部および外側端部を他の1つの第1スペーサ6によって保持する。
【0067】
さらに、4つの第1スペーサ6のそれぞれは、電極整形冶具10の中心部に設けられた円柱10bの中心から電極整形冶具10の外側に向かうように、すなわち動径方向に設置されるが、電極板2A,3Aが変動しないようにするためには、それぞれが互いに均一な角度(本実施の形態では90度の角度)を有して設置することが望ましい。
【0068】
電極板2A,3Aは、前述したように、電極整形冶具10の上面10aから、例えば7.0mm程度突出しているので、容易に第1スペーサ6に差し込むことができる。
【0069】
次に、図11に示すように、電極整形冶具10から、電極板2A,3Aおよび第1スペーサ6を取り外す。電極板2A,3Aは、第1スペーサ6によって固定されているので、その形状を渦巻状に維持することができる。
【0070】
次に、図12に示すように、第2スペーサ7を複数個準備する。第2スペーサ7は、例えば樹脂などの絶縁材からなる。本実施の形態では、4つの第2スペーサ7を使用したが、これに限定されるものではなく、例えば3つであってもよい。
【0071】
第2スペーサ7は、前記第1スペーサ6と同様の形状をしている。すなわち、第2スペーサ7は、第1方向と、第1方向と直交する第2方向とを含む面が略四角形であり、第1方向と第2方向とに直交する第3方向に、例えば2.0mm程度の厚さを有している。第1方向の寸法は、例えば20.0mm〜22.0mm程度であり、第2方向の寸法は、例えば6.0mm程度である。そして、第1方向に延在する一方の辺には、第2方向に沿って形成された複数の溝7aが第1方向に等間隔で形成されている。第1方向に隣り合う溝7aの間隔は、例えば1.5mm程度であり、複数の溝7aの第1方向の幅は、例えば0.5mm程度である。複数の溝7aは、第1方向に延在する他方の辺に達しておらず、複数の溝7aの第2方向の深さは、例えば3.0mm程度である。
【0072】
次に、第2スペーサ7に設けられた複数の溝7aに、第1スペーサ6で固定された電極板2A,3Aを差し込む。電極板2A,3Aのうち、第1スペーサ6によって保持された一方の辺側と反対の他方の辺側を第2スペーサ7によって保持する。このとき、渦巻状に整形された電極板2Aの内側端部および外側端部を1つの第2スペーサ7によって保持し、渦巻状に整形された電極板3Aの内側端部および外側端部を他の1つの第2スペーサ7によって保持する。
電極板2A,3Aは、第1スペーサ6から、例えば7.0mm程度突出しているので、容易に第2スペーサ7に差し込むことができる。
【0073】
これにより、電極板2A,3Aのうち、渦巻状に延在する長手方向に沿った一方の辺側が第1スペーサ6によって保持され、渦巻状に延在する長手方向に沿った他方の辺側が第2スペーサ7によって保持される。
【0074】
なお、本実施の形態では、渦巻状に整形された電極板2Aの内側端部、渦巻状に整形された電極板2Aの外側端部、渦巻状に整形された電極板3Aの内側端部および渦巻状に整形された電極板3Aの外側端部を第1スペーサ6および第2スペーサ7によって保持したが、これに限定されるものではない。すなわち、電極板2A,3Aが変動しないようにするためには、渦巻状に整形された電極板2Aの内側端部、渦巻状に整形された電極板2Aの外側端部、渦巻状に整形された電極板3Aの内側端部および渦巻状に整形された電極板3Aの外側端部を保持することが望ましいが、それぞれの端部から離れた位置において、電極板2A,3Aを第1スペーサ6および第2スペーサ7によって保持してもよい。
【0075】
また、本実施の形態では、4つの第1スペーサ6のそれぞれおよび4つの第2スペーサ7のそれぞれを、渦巻状に整形された電極板2A,3Aの中心から動径方向に設置し、平面視において、4つの第1スペーサ6をそれぞれ互いに90度の角度を有して設置し、4つの第2スペーサ7をそれぞれ互いに90度の角度を有して設置したが、上記角度を一定にする必要はない。また、本実施の形態では、第1スペーサ6と第2スペーサ7とは、平面視において、互いに重なるように、すなわち、電極板2A,3Aを介して互いに対向するように設置したが、これに限定されるものではない。
【0076】
すなわち、第1スペーサ6および第2スペーサ7によって、電極板2A,3Aが変動しないようにできればよく、第1スペーサ6および第2スペーサ7の数は限定されない。また、平面視において、第1スペーサ6と第2スペーサ7とが互いにずれるように、第1スペーサ6および第2スペーサ7を設置してもよい。例えば平面視において、第1スペーサ6と第2スペーサ7とが互いに45度の角度を有するように、これらを配置してもよく(図4参照)、または、第1スペーサ6と第2スペーサ7とが互いに60度の角度を有するように、これらを配置してもよい。さらに、例えば平面視において、3つの第1スペーサ6をそれぞれ互いに120度の角度を有して設置し、2つの第2スペーサ7をそれぞれ互いに180度の角度を有して設置してもよい。
【0077】
ただし、第1スペーサ6および第2スペーサ7の数が多くなると、オゾン水生成装置1を流れる水の流れが悪くなるので、第1スペーサ6および第2スペーサ7のそれぞれの数は1以上、4つ以下が望ましい。
【0078】
以上の工程により、電極板2Aから構成されるアノード電極2と、電極板3Aから構成されるカソード電極3とが、互いに離間しかつ並行して渦巻状に巻回してなる電極部4が形成される。電極部4では、動径方向にアノード電極2とカソード電極3とは交互に配置されており、アノード電極2とカソード電極3とは、第1スペーサ6および第2スペーサ7によって保持されていることから、動径方向のアノード電極2とカソード電極3との間隔は、ほぼ一定に維持される。動径方向のアノード電極2とカソード電極3との間隔は、電極整形冶具10に形成された第1整形用溝11と第2整形用溝12との間隔によって決定される。
【0079】
ところで、電極表面積を大きくする、またはアノード電極2とカソード電極3との間に印加される電圧を高くすることによって、高濃度のオゾン水を生成することができる。本実施の形態では、電極板2A,3Aの巻回数を増やして長手方向の長さを大きくし、または電極板2A,3Aの短手方向の幅を大きくすることにより、容易に電極表面積を増やすことができる。従って、電極表面積の変更が必要となった場合でも、電極板2A,3Aの巻回数または幅を変更することにより、所望する電極表面積が得られるので、製造コストの増加を抑えることができる。
【0080】
電極板2A,3Aの巻回数を変更した場合は、第1スペーサ6および第2スペーサ7の形状を変更する必要があるが、第1スペーサ6および第2スペーサ7は、例えば三次元造形法により容易に形成できるので、製造コストの著しい増加は生じない。
【0081】
次に、図13に示すように、渦巻状に整形されたアノード電極2の外側端部近傍および渦巻状に整形されたカソード電極3の外側端部近傍のそれぞれに、電極端子8を、例えば溶接により接続する。電極端子8は、例えばチタンの平板からなる。本実施の形態では、アノード電極2およびカソード電極3のそれぞれの外側端部近傍に電極端子8を接続したが、電極端子8の接続箇所は、これに限定されるものではない。
次に、図14に示すように、電極固定部品5を準備する。電極固定部品5は、例えば樹脂などの絶縁材からなる。
【0082】
電極固定部品5は、円柱5aと、円柱5aから第1の距離を有して円柱5aの周囲に設けられた円筒形の外周部5bと、電極固定部品5の底面に設けられ、円柱5aと外周部5bとを繋ぐ複数の接続部分5cとから構成される。円柱5aの直径は、例えば8.0mm程度であり、外周部5bの内周の直径は、例えば50.0mm程度であり、接続部分5cの幅は、例えば5.0mm程度である。本実施の形態では、電極固定部品5の底面に設けられた接続部分5cは、円柱5aの中心から外周部5bに向かって4つ形成されているが、接続部分5cの数は4つに限定されるものではない。
【0083】
次に、前述の図1および図2に示したように、円柱5aと外周部5bとの間に電極部4を収納する。渦巻状に巻回されてなる電極部4は、電極整形冶具10に設けられた円柱10bを中心として渦巻状に形成されており、電極部4の中心部には、アノード電極2およびカソード電極3は形成されていないので、電極部4の中心部に、電極固定部品5に設けられた円柱5aを差し込むことができる。
【0084】
以上の製造工程により、互いに離間しかつ並行するアノード電極2とカソード電極3とを渦巻状に巻回してなる電極部4と、電極部4を収納する電極固定部品5とからなるオゾン水生成装置1が略完成する。
【0085】
水は、電極固定部品5の底面から上面に向かって流れる。従って、水は、アノード電極2とカソード電極3との間を流れることになり、アノード電極2とカソード電極3との間に電圧を印加することにより、アノード電極2側にオゾンガスが発生し、オゾンガスが水に溶解することによりオゾン水を生成することができる。
【0086】
このように、本実施の形態によれば、互いに離間しかつ並行するアノード電極2とカソード電極3とを渦巻状に巻回してなる電極部4と、電極部4を収納する電極固定部品5とから、オゾン水生成装置1を構成することができるので、オゾン水生成装置1の小型化を実現することができる。
【0087】
また、電極部4内の水の流れる方向(渦巻状に延在する長手方向の一辺を含む平面に対して直交する方向)におけるアノード電極2の幅は、例えば10.0mm程度であり、また、電極部4の動径方向におけるアノード電極2とカソード電極3とのピッチは、例えば2.0mm程度であることから、電極固定部品5の底面側のアノード電極2の表面でオゾンガスが発生しても、当該オゾンガスは電極部4から電極固定部品5の上面側へ容易に抜けることができるので、オゾンガスの滞留を低減することができる。その結果、有効な電極表面積の減少が少なくなり、電流値の継時変化が抑えられるので、オゾン濃度の低下が少なく、オゾン濃度の安定したオゾン水を提供することができる。
また、電極表面積を容易に変更することができるので、要求性能に応じたオゾン水製造装置1を短期間に製造することができる。
【0088】
また、電極板2A,3Aを渦巻状に巻回することによって電極部4が形成されるので、複雑な加工技術は不要である。また、アノード電極2を、その表面をルテニウム膜で被覆したチタンの平板で構成し、カソード電極3をチタンの平板で構成しているので、例えば白金またはダイヤモンド電極を使用するよりも、安価に電極部4を形成することができる。これらにより、オゾン水生成装置1を安価に製造することができる。
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0089】
1 オゾン水生成装置
2 アノード電極
2A 電極板
3 カソード電極
3A 電極板
4 電極部
5 電極固定部品
5a 円柱
5b 外周部
5c 接続部分
6 第1スペーサ
6a 溝
7 第2スペーサ
7a 溝
8 電極端子
10 電極整形冶具
10a 上面
10b 円柱
11 第1整形用溝
12 第2整形用溝
21 オゾン水生成装置
22 アノード電極
23 カソード電極
24 電極部
25 電極固定部品
25a 円柱
25b 外周部
26 第1スペーサ
27 第2スペーサ
【要約】
【課題】小型かつ安価なオゾン水生成装置を実現する。
【解決手段】オゾン水生成装置1は、互いに離間しかつ並行するアノード電極2とカソード電極3とを渦巻状に巻回してなる電極部4を備え、原料水中においてアノード電極2とカソード電極3との間に電圧を印加することにより、オゾンガスを発生させる。さらに、渦巻状に延在するアノード電極2およびカソード電極3の長手方向の一方の辺側を、電極部4の動径方向に設置される複数の第1スペーサ6によって保持し、渦巻状に延在するアノード電極2およびカソード電極3の長手方向の他方の辺側を、電極部4の動径方向に設置される複数の第2スペーサ7によって保持して、電極部4は電極固定部品5に収納される。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14