(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1記載の眼用デバイスにあっては、装着面が破損した場合は、安全面から眼用デバイス全体を交換しなければならない。また、装着面が汚損した場合も、衛生面から眼用デバイス全体を交換しなければならない。すなわち、高価な眼用デバイスが、電子的な機能が損なわれていないのに安全面や衛生面等の事情により交換を余儀なくされることがある。
【0006】
また、特許文献2記載のコンタクトレンズにあっては、コンタクトレンズの原料樹脂内に薬剤を混入してコンタクトレンズ型に成形するため、製造上の制約があるという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、このような従来の技術の有する未解決の課題に着目してなされたものであって、破損や汚損等への対応に好適な又は製造上の制約が少ない眼用ケース、被収容物、基体及び蓋体を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
〔発明1〕 上記目的を達成するために、発明1の眼用ケースは、眼に装着可能な眼用ケースであって、基体及び蓋体を備え、前記基体と前記蓋体との間に被収容物を挿入可能な開口及び被収容物を収容可能な収容領域を有して前記蓋体が前記基体に結合されている。
【0009】
このような構成であれば、被収容物を開口から挿入し、基体と蓋体との間の収容領域に被収容物が収容される。そして、被収容物を収容した状態で眼用ケースを装着する。
【0010】
ここで、基体及び蓋体は、一体成形により接合されていてもよいし、別体に構成しこれらを接着することにより接合されていてもよい。そのほか、結合構造により結合されていてもよい。結合構造としては、基体及び蓋体が結びついて一つになっているあらゆる構造(結合状態となっている構造)を含み、例えば、ヒンジ構造、ねじ構造、かしめ構造、ソケット構造、インロー嵌合構造、嵌め込み構造、差し込み構造、組み付け構造、連結構造その他任意の結合構造を採用することができる。また、結合構造として、例えば、(1)基体及び蓋体を直接結合する構造、(2)1又は複数の部材を介して基体及び蓋体を間接的に結合する構造を採用することができる。また、結合構造として、例えば、(1)基体又は蓋体が取り外し可能な構造を採用することもでき、(2)さらに基体又は蓋体が再結合可能な構造を採用することもできる。本発明において「結合」とは、接合及びこれ以外の方法により2以上のものが結びついて一つになることを概念として包摂する。以下、発明6の眼用ケースにおいて同じである。
【0011】
また、基体及び蓋体は、被収容物を収容しない状態で両者が密着する密着構造とすることもでき、両者の間に空間を設け、その空間内に被収容物を収容する空間構造とすることもできる。以下、発明6の眼用ケースにおいて同じである。
【0012】
また、被収容物を挿入可能な開口は、基体と蓋体との境界であってもよいし、基体又は蓋体に形成された開口であってもよい。前者の場合、基体と蓋体との間に間隙を有する状態であってもよいし、基体及び蓋体が密着した状態であってもこれを開いて被収容物を挿入可能となれば当該密着状態であってもよい。
【0013】
また、被収容物を収容可能な収容領域は、空所(立体)であってもよいし、面同士で密着される領域(平面)であってもよい。以下、発明4の眼用ケースにおいて同じである。
【0014】
また、基体は、眼球に装着可能な基体として、より具体的には、眼球の表面形状に沿った球面形状の基体として構成することができる。また、蓋体は、眼球に装着可能な蓋体として、より具体的には、眼球の表面形状に沿った球面形状の蓋体として構成することができる。以下、発明4の眼用ケースにおいて同じである。
【0015】
また、被収容物としては、例えば、眼用デバイス、薬剤、サプリメント、矯正具及び磁性流体が含まれる。眼用デバイスとしては、例えば、(1)眼に対し情報の提供を行うデバイス、(2)眼に関する情報の収集を行うデバイス、(3)眼の外側に対し情報の提供を行うデバイス、(4)眼の外側に関する情報の収集を行うデバイス、(5)眼に対し機能の維持、回復若しくは付与又は作用を行うデバイス、及び(6)眼の外側に対し機能の付与又は作用を行うデバイスが含まれる。これらのうち(3)の機能としては、例えば、認証装置等に対し認証情報を投影する機能が挙げられる。また、眼用デバイスとしては、例えば、(1)光学デバイス(例えば、レンズ、光ファイバー、光導波路、光アイソレータ、半導体レーザ)、及び(2)電子デバイス(例えば、カメラ、投影機、センサ)が含まれる。以下、発明4の眼用ケース、及び発明20の被収容物において同じである。
【0016】
また、被収容物は、例えば、固体、液体、気体又はその2以上が混在する状態であってもよいし、粒状、粉状、線状、棒状、板状、シート状、球状、ブロック状、錠剤状、チュアブル状、ウェハース状、ビスケット状、カプセル状、グミ状、ゲル状、クリーム状、ペースト状、ゼリー状、ジェル状、シロップ状、シャーベット状、ゾル状又は液状であってもよい。以下、発明4の眼用ケース、及び発明20の被収容物において同じである。
【0017】
〔発明2〕 さらに、発明2の眼用ケースは、発明1の眼用ケースにおいて、被収容物である薬剤が所定の流出量となるように前記開口の度合いが設定されている。
【0018】
〔発明3〕 さらに、発明3の眼用ケースは、発明1及び2のいずれか1の眼用ケースにおいて、前記開口は、前記基体又は前記蓋体の周端、正面又は背面に設けられている。
【0019】
〔発明4〕 さらに、発明4の眼用ケースは、眼に装着可能な眼用ケースであって、被収容物を挿入可能な開口及び被収容物を収容可能な収容領域を有する基体と、前記開口を覆う蓋体とを備える。
【0020】
このような構成であれば、被収容物を基体の開口から挿入し、基体の収容領域に被収容物が収容される。そして、基体の開口を蓋体で覆い、被収容物を収容した状態で眼用ケースを装着する。
【0021】
〔発明5〕 さらに、発明5の眼用ケースは、発明4の眼用ケースにおいて、前記蓋体が前記基体に結合可能な結合構造を有する。
【0022】
このような構成であれば、基体の収容領域に被収容物を収容し、蓋体を基体に結合して基体の開口を覆う。
【0023】
ここで、基体及び蓋体は、結合可能な結合構造(以下、発明1の説明中の「結合構造」と区別するため発明5の説明において「結合可能な結合構造」と表記する。)を有していれば、結合されていなくてもよいし、結合されていてもよい。
【0024】
また、「結合可能な結合構造」としては、基体及び蓋体を結びつけて一つにすることができるあらゆる構造(非結合状態にもなり得る構造)を含み、例えば、ヒンジ構造、ねじ構造、かしめ構造、ソケット構造、インロー嵌合構造、嵌め込み構造、差し込み構造、組み付け構造、連結構造その他任意の結合構造を採用することができる。一体成形により接合されている状態及び別体に構成しこれらを接着することにより接合されている状態は、基体及び蓋体が結びついて既に一つになっている状態であって、例えば、非結合状態の基体及び蓋体を結びつけて一つにすることができる構造、又は結合状態の基体及び蓋体を分離して再び結びつけて一つにすることができる構造ではないので、「結合可能な結合構造」に含まれない。すなわち、発明1の説明中の「結合構造」は、完成後(例えば製造後)に結合状態が解除できず又は解除が困難であり若しくは想定されていない結合構造(結合状態構造)も、完成後(例えば製造後)に基体及び蓋体を結合することができる結合構造(結合可能構造)も含むのに対し、「結合可能な結合構造」は、結合可能構造は含むが結合状態構造は含まない点で相違する。また、「結合可能な結合構造」として、例えば、(1)基体及び蓋体を直接結合可能な構造、(2)1又は複数の部材を介して基体及び蓋体を間接的に結合可能な構造を採用することができる。また、「結合可能な結合構造」として、例えば、(1)基体又は蓋体が取り外し可能な構造を採用することもでき、(2)さらに基体又は蓋体が再結合可能な構造を採用することもできる。また、「結合可能な結合構造」としては、基体が蓋体に結合可能な結合構造(結合のための構成を蓋体に施さない構造を含む。)、蓋体が基体に結合可能な結合構造(結合のための構成を基体に施さない構造を含む。)、基体及び蓋体が結合可能な結合構造が含まれる。本発明において「結合」とは、接合及びこれ以外の方法により2以上のものが結びついて一つになることを概念として包摂する。
【0025】
また、基体及び蓋体は、結合状態において、被収容物を収容しない状態で両者が密着する密着構造とすることもでき、両者の間に空間を設け、その空間内に被収容物を収容する空間構造とすることもできる。
【0026】
〔発明6〕 さらに、発明6の眼用ケースは、発明4の眼用ケースにおいて、前記蓋体が開閉可能に前記基体に結合されている。
【0027】
このような構成であれば、基体の収容領域に被収容物を収容し、蓋体を閉じて基体の開口を覆う。
【0028】
〔発明7〕 さらに、発明7の眼用ケースは、発明4乃至6のいずれか1の眼用ケースにおいて、前記基体及び前記蓋体の一方又は両方は、ハードコンタクトレンズである。
【0029】
〔発明8〕 さらに、発明8の眼用ケースは、発明1乃至6のいずれか1の眼用ケースにおいて、前記基体及び前記蓋体の一方又は両方は、ソフトコンタクトレンズである。
【0030】
〔発明9〕 さらに、発明9の眼用ケースは、発明1乃至8のいずれか1の眼用ケースにおいて、前記基体及び前記蓋体は、眼の装着方向に配置されている。
【0031】
〔発明10〕 さらに、発明10の眼用ケースは、発明1乃至9のいずれか1の眼用ケースにおいて、前記基体及び前記蓋体は、被収容物を非挟持方向に自由に挟持可能である。
【0032】
ここで、非挟持方向に自由に挟持可能とは、非挟持方向に被収容物が規制されない状態であって、被収容物の複数の箇所を選択的に挟持可能であることをいう。
【0033】
また、被収容物を挟持する構成としては、例えば、(1)基体の面と蓋体の面で被収容物を挟持する構成、(2)基体の線と蓋体の面、基体の面と蓋体の線、基体の点と蓋体の面、基体の面と蓋体の点、基体の線と蓋体の線、基体の線と蓋体の点、基体の点と蓋体の線又は基体の点と蓋体の点で被収容物を挟持する構成を採用することができる。前者の構成(1)の場合は、例えば、基体及び蓋体を対面して配置することができ、後者の構成(2)の場合は、例えば、基体及び蓋体を対向して配置することができる。以下、発明11の眼用ケースにおいて同じである。
【0034】
〔発明11〕 さらに、発明11の眼用ケースは、発明1乃至10のいずれか1の眼用ケースにおいて、前記基体及び前記蓋体は、被収容物を密着挟持可能である。
【0035】
〔発明12〕 さらに、発明12の眼用ケースは、発明1乃至11のいずれか1の眼用ケースにおいて、前記基体及び前記蓋体の一方又は両方は、被収容物の突起を受けるための孔又は被収容物の孔に嵌め込むための突起が形成されている。
【0036】
〔発明13〕 さらに、発明13の眼用ケースは、発明1乃至12のいずれか1の眼用ケースにおいて、前記基体及び前記蓋体の一方又は両方は、被収容物である薬剤の成分を通過させるための孔が形成されている。
【0037】
〔発明14〕 さらに、発明14の眼用ケースは、発明13の眼用ケースにおいて、前記薬剤の成分を通過させるための孔の径は、瞳孔径と同径又はこれよりも大径である。
【0038】
〔発明15〕 さらに、発明15の眼用ケースは、発明13及び14のいずれか1の眼用ケースにおいて、前記薬剤が所定の通過量となるように前記薬剤の成分を通過させるための孔の開口の度合い、深さ、数、位置、範囲又は素材若しくはその密度が設定されている。
【0039】
〔発明16〕 さらに、発明16の眼用ケースは、発明1乃至15のいずれか1の眼用ケースにおいて、前記基体及び前記蓋体の一方の他方に対向する箇所には突起が、前記基体及び前記蓋体の他方の一方に対向する箇所には当該突起を受けるための孔が形成されている。
【0040】
〔発明17〕 さらに、発明17の眼用ケースは、発明1乃至16のいずれか1の眼用ケースにおいて、前記基体及び前記蓋体は、2以上の点で結合され又は結合可能となっている。
【0041】
〔発明18〕 さらに、発明18の眼用ケースは、発明1乃至17のいずれか1の眼用ケースにおいて、前記被収容物は、電子デバイスである。
【0042】
〔発明19〕 さらに、発明19の眼用ケースは、眼に装着可能なケースである。
〔発明20〕 一方、上記目的を達成するために、発明20の被収容物は、発明1乃至18のいずれか1の眼用ケースに収容される被収容物である。
【0043】
〔発明21〕 一方、上記目的を達成するために、発明21の基体は、発明1乃至18のいずれか1の眼用ケースにおける前記蓋体が取り付けられる前記基体である。
【0044】
〔発明22〕 一方、上記目的を達成するために、発明22の蓋体は、発明1乃至18のいずれか1の眼用ケースにおける前記基体に取り付けられる前記蓋体である。
【発明の効果】
【0045】
以上説明したように、発明1又は4の眼用ケースによれば、例えば、電子デバイス等の被収容物を収容する場合は、装着部分に破損等が生じても眼用ケースを交換すれば被収容物を継続利用できる可能性があるので、従来に比して、破損等への対応が容易となる。また例えば、薬剤等の被収容物を収容する場合は、被収容物は収容領域に収容可能な任意の形状を採用することができるので、従来に比して、製造上の制約が少ない。
【0046】
さらに、発明2の眼用ケースによれば、開口から流出する薬剤の量を調整することができる。
【0047】
さらに、発明3の眼用ケースによれば、被収容物が挿入しやすい。
さらに、発明5の眼用ケースによれば、蓋体が基体に結合されるので、被収容物が脱落しにくい。
【0048】
さらに、発明6の眼用ケースによれば、蓋体が基体に結合されているので、被収容物が脱落しにくい。
【0049】
さらに、発明7の眼用ケースによれば、基体又は蓋体がハードコンタクトレンズであるので、基体及び蓋体を結合しやすく又は閉じやすい。
【0050】
さらに、発明8の眼用ケースによれば、基体又は蓋体がソフトコンタクトレンズであるので、ハードコンタクトレンズや電子デバイスのような硬い被収容物を装用する場合に装用感を向上することができる。
【0051】
さらに、発明10の眼用ケースによれば、被収容物が非挟持方向に自由であるので、異なる複数の形状の被収容物又は異なる複数の位置で被収容物を挟持することができる。
【0052】
さらに、発明11の眼用ケースによれば、基体及び蓋体が被収容物を密着挟持可能であるので、異なる複数の形状の被収容物又は異なる複数の位置で被収容物を挟持することができる。
【0053】
さらに、発明12の眼用ケースによれば、基体若しくは蓋体に形成された孔で被収容物の突起を受け、又は基体若しくは蓋体に形成された突起を被収容物の孔で受けて被収容物が収容されるので、被収容物の位置がずれにくい。
【0054】
さらに、発明13の眼用ケースによれば、収容された薬剤が溶け出し、基体又は蓋体に形成された孔を通過して眼瞼や眼球等の部位にその成分が供給されるので、従来に比して、薬剤を効果的に供給することができる。
【0055】
さらに、発明14の眼用ケースによれば、瞳孔領域への薬剤の供給を効果的に行うことができる。
【0056】
さらに、発明15の眼用ケースによれば、孔から通過する薬剤の量を調整することができる。
【0057】
さらに、発明16の眼用ケースによれば、突起を孔で受けることにより基体及び蓋体が閉止されるので、被収容物が脱落しにくい。
【0058】
さらに、発明17の眼用ケースによれば、基体及び蓋体が2以上の点で結合されるので、被収容物が脱落しにくい。
【0059】
さらに、発明18の眼用ケースによれば、電子デバイスを眼に装着するための眼用ケースとして利用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0061】
〔第1の実施の形態〕
以下、本発明の第1の実施の形態を説明する。
図1乃至
図4は、本実施の形態を示す図である。
【0062】
まず、本実施の形態の構成を説明する。
図1は、コンタクトレンズ10の正面図である。
【0063】
図2は、
図1のA−A線に沿った断面図である。
コンタクトレンズ10は、
図1及び
図2に示すように、ソフトコンタクトレンズからなる内レンズ12と、内レンズ12の前面に対面して配置されるソフトコンタクトレンズからなる外レンズ14とを有して構成されている。内レンズ12及び外レンズ14は、ソフトコンタクトレンズとして従来周知の基本形状であり、全体として球殻形状となっている。
【0064】
内レンズ12及び外レンズ14は開閉可能に下端が接合されている。内レンズ12と外レンズ14の接合部16以外は開口しており、被収容物は、この開口から挿入可能となっている。コンタクトレンズ10は、内レンズ12及び外レンズ14を一体成形により製造することができる。
【0065】
内レンズ12と外レンズ14との間には、例えば、被収容物として電子デバイス20を収容することができる。電子デバイス20は、内レンズ12と外レンズ14との間で密着挟持され、内レンズ12の面方向に規制されず自由である。電子デバイス20は、内レンズ12及び外レンズ14と同様に全体として球殻形状となっている。具体的には、電子デバイス20の後面は、内レンズ12の前面にフィットするように内レンズ12の前面と同一又は近い曲率となる球面形状となっている。同様に、電子デバイス20の前面は、外レンズ14の後面にフィットするように外レンズ14の後面と同一又は近い曲率となる球面形状となっている。電子デバイス20としては、カメラ、投影機、センサ等の公知の眼用デバイスを採用することができる。
【0066】
次に、本実施の形態の動作を説明する。
図3は、電子デバイス20の装着方法を説明するための図である。
【0067】
図4は、コンタクトレンズ10を装用した眼40の縦断面図である。
使用者は、
図3(a)に示すように、内レンズ12と外レンズ14との間を開き、
図3(b)に示すように、内レンズ12の前面に電子デバイス20を取り付け、
図3(c)に示すように、内レンズ12と外レンズ14との間を閉じる。これにより、電子デバイス20は、内レンズ12の前面と外レンズ14の後面との間で挟持される。そして、使用者は、
図4に示すように、電子デバイス20を収容した状態でコンタクトレンズ10を装着する。コンタクトレンズ10は、眼40の角膜42上に重ね合わされて装用されることにより使用者の眼光学系に光学特性を与える。また、装用時は、電子デバイス20により眼40に関する情報の収集等が行われる。
【0068】
次に、本実施の形態の効果を説明する。
本実施の形態では、コンタクトレンズ10は、内レンズ12と、内レンズ12の前面に対面して配置される外レンズ14とを備え、内レンズ12と外レンズ14との間に電子デバイス20を挿入可能な開口を有して内レンズ12及び外レンズ14が接合されている。
【0069】
これにより、コンタクトレンズ10の装着面に破損等が生じてもコンタクトレンズ10を交換すれば電子デバイス20を継続利用できる可能性があるので、従来に比して、破損等への対応が容易となる。また、内レンズ12と外レンズ14との間で電子デバイス20が挟持され、且つ内レンズ12及び外レンズ14が接合されているので、コンタクトレンズ10から電子デバイス20が脱落しにくい。
【0070】
さらに、本実施の形態では、内レンズ12及び外レンズ14は、電子デバイス20をその前面及び後面から内レンズ12の面方向に自由に挟持可能である。また、内レンズ12及び外レンズ14は、電子デバイス20を密着挟持可能である。
【0071】
これにより、異なる複数の形状の電子デバイス20又は異なる複数の位置で電子デバイス20を挟持することができる。例えば、電子デバイス20の形状が円形状や矩形状であっても挟持することができるし、電子デバイス20の位置が内レンズ12の中央や周縁であっても挟持することができる。
【0072】
さらに、本実施の形態では、内レンズ12の周端と外レンズ14の周端との間が電子デバイス20を挿入可能に開口している。
【0073】
これにより、内レンズ12と外レンズ14との間を開き、内レンズ12の前面から電子デバイス20を挿入することができるので、電子デバイス20が挿入しやすい。
【0074】
さらに、本実施の形態では、内レンズ12及び外レンズ14は、ソフトコンタクトレンズである。
【0075】
これにより、電子デバイス20のような硬い電子デバイス20を装用する場合に装用感を向上することができる。
【0076】
さらに、本実施の形態では、コンタクトレンズ10は、電子デバイス20を収容するものである。
【0077】
これにより、電子デバイス20を眼に装着するための眼用ケースとして利用することができる。
【0078】
さらに、本実施の形態では、電子デバイス20と眼球との間に内レンズ12が介在しているので、電子デバイス20が破損しても配線等による眼球損傷の影響を低減することができる。また、内レンズ12をシリコン等の絶縁素材で構成する場合、電子デバイス20が破損しても漏電による感電の影響を低減することができる。したがって、電子デバイス20装用時の安全性を確保することができる。
【0079】
本実施の形態において、内レンズ12は、発明1、3、8乃至11、21又は22の基体に対応し、外レンズ14は、発明1、3、8乃至11、21又は22の蓋体に対応し、電子デバイス20は、発明1、10、11、18又は20の被収容物に対応している。
【0080】
〔第2の実施の形態〕
次に、本発明の第2の実施の形態を説明する。
図5乃至
図7は、本実施の形態を示す図である。なお、以下、上記第1の実施の形態と異なる部分についてのみ説明し、重複する部分については同一の符号を付して説明を省略する。
【0081】
まず、本実施の形態の構成を説明する。
図5は、電子デバイス20の外観形状を示す図であり、(a)は電子デバイス20の正面図、(b)は電子デバイス20の縦断面図である。
【0082】
図6は、コンタクトレンズ10の正面図である。
図7は、コンタクトレンズ10の縦断面図であり、(a)は
図1のA−A線に沿った断面図、(b)は(a)における挟持部の部分拡大図、(c)は電子デバイス20を装着した場合の図である。
【0083】
電子デバイス20の前面には、
図5に示すように、突起22aが形成されている。突起22aは、電子デバイス20よりも小径の円柱状となっている。
【0084】
外レンズ14の後面には、
図6及び
図7に示すように、電子デバイス20の突起22aを受けるための孔(凹部)14aが形成されている。孔14aの径は突起22aとほぼ同径となっている。
【0085】
次に、本実施の形態の動作を説明する。
使用者は、内レンズ12と外レンズ14との間を開き、電子デバイス20の突起22aを外レンズ14の孔14aに嵌め込んで外レンズ14の後面に電子デバイス20を取り付け、内レンズ12と外レンズ14との間を閉じる。これにより、
図7(c)に示すように、突起22aの移動が孔14aで拘束される。
【0086】
次に、本実施の形態の効果を説明する。
本実施の形態では、外レンズ14は、電子デバイス20の突起22aを受けるための孔14aが形成されている。
【0087】
これにより、孔14aで突起22aを受けて内レンズ12と外レンズ14との間で電子デバイス20が挟持されるので、電子デバイス20の位置がずれにくい。
【0088】
〔第3の実施の形態〕
次に、本発明の第3の実施の形態を説明する。
図8及び
図9は、本実施の形態を示す図である。なお、以下、上記第1の実施の形態と異なる部分についてのみ説明し、重複する部分については同一の符号を付して説明を省略する。
【0089】
まず、本実施の形態の構成を説明する。
図8は、電子デバイス20の外観形状を示す図であり、(a)は電子デバイス20の縦断面図、(b)は電子デバイス20の背面図である。
【0090】
図9は、コンタクトレンズ10の縦断面図であり、(a)は
図1のA−A線に沿った断面図、(b)は(a)における挟持部の部分拡大図、(c)は電子デバイス20を装着した場合の図である。
【0091】
電子デバイス20の後面には、
図8に示すように、突起22bが形成されている。突起22bは、電子デバイス20よりも小径の円柱状となっている。
【0092】
内レンズ12の前面には、
図9に示すように、電子デバイス20の突起22bを受けるための孔(凹部)12aが形成されている。孔12aの径は突起22bとほぼ同径となっている。
【0093】
次に、本実施の形態の動作を説明する。
使用者は、内レンズ12と外レンズ14との間を開き、電子デバイス20の突起22bを内レンズ12の孔12aに嵌め込んで内レンズ12の前面に電子デバイス20を取り付け、内レンズ12と外レンズ14との間を閉じる。これにより、
図9(c)に示すように、突起22bの移動が孔12aで拘束される。
【0094】
次に、本実施の形態の効果を説明する。
本実施の形態では、内レンズ12は、電子デバイス20の突起22bを受けるための孔12aが形成されている。
【0095】
これにより、孔12aで突起22bを受けて内レンズ12と外レンズ14との間で電子デバイス20が挟持されるので、電子デバイス20の位置がずれにくい。
【0096】
〔第4の実施の形態〕
次に、本発明の第4の実施の形態を説明する。
図10及び
図11は、本実施の形態を示す図である。なお、以下、上記第1乃至第3の実施の形態と異なる部分についてのみ説明し、重複する部分については同一の符号を付して説明を省略する。
【0097】
まず、本実施の形態の構成を説明する。
図10は、電子デバイス20の外観形状を示す図であり、(a)は電子デバイス20の正面図、(b)は電子デバイス20の縦断面図、(c)は電子デバイス20の背面図である。
【0098】
図11は、コンタクトレンズ10の縦断面図であり、(a)は
図1のA−A線に沿った断面図、(b)は(a)における挟持部の部分拡大図、(c)は電子デバイス20を装着した場合の図である。
【0099】
電子デバイス20の前面には、
図10に示すように、突起22aが形成されている。また、電子デバイス20の後面には突起22bが形成されている。
【0100】
外レンズ14の後面には、
図11に示すように、孔14aが形成されている。また、内レンズ12の前面には孔12aが形成されている。
【0101】
次に、本実施の形態の動作を説明する。
使用者は、内レンズ12と外レンズ14との間を開き、電子デバイス20の突起22aを外レンズ14の孔14aに嵌め込んで外レンズ14の後面に電子デバイス20を取り付け、内レンズ12と外レンズ14との間を閉じる。その際、電子デバイス20の突起22bが内レンズ12の孔12aに嵌め込まれる。これにより、
図11(c)に示すように、突起22a、22bの移動が孔14a、12aで拘束される。
【0102】
次に、本実施の形態の効果を説明する。
本実施の形態では、外レンズ14は、電子デバイス20の突起22aを受けるための孔14aが形成されているとともに、内レンズ12は、電子デバイス20の突起22bを受けるための孔12aが形成されている。
【0103】
これにより、孔14a、12aで突起22a、22bを受けて内レンズ12と外レンズ14との間で電子デバイス20が挟持されるので、電子デバイス20の位置がさらにずれにくい。
【0104】
〔第5の実施の形態〕
次に、本発明の第5の実施の形態を説明する。
図12は、本実施の形態を示す図である。なお、以下、上記第1及び第2の実施の形態と異なる部分についてのみ説明し、重複する部分については同一の符号を付して説明を省略する。本実施の形態では、電子デバイス20に代えて、被収容物として薬剤30を収容する。
【0105】
まず、本実施の形態の構成を説明する。
図12は、コンタクトレンズ10の縦断面図であり、(a)は
図1のA−A線に沿った断面図、(b)は(a)における挟持部の部分拡大図、(c)は薬剤30を装着した場合の図である。
【0106】
薬剤30は、
図5に示す電子デバイス20と同様の形状となっている。薬剤30の前面には突起32aが形成されている。突起32aは、薬剤30よりも小径の円柱状となっている。
【0107】
外レンズ14には、
図12に示すように、薬剤30の成分を通過させるための貫通孔14bが形成されている。貫通孔14bは、外レンズ14を前後方向に貫通する。貫通孔14bの径は突起32aとほぼ同径となっている。
【0108】
次に、本実施の形態の動作を説明する。
使用者は、内レンズ12と外レンズ14との間を開き、薬剤30の突起32aを外レンズ14の貫通孔14bに嵌め込んで外レンズ14の後面に薬剤30を取り付け、内レンズ12と外レンズ14との間を閉じる。これにより、
図12(c)に示すように、突起32aの移動が貫通孔14bで拘束される。また、装用時は、薬剤30が溶け出し、貫通孔14bを通過して眼瞼や眼球等の部位にその成分が供給される。
【0109】
次に、本実施の形態の効果を説明する。
本実施の形態では、コンタクトレンズ10は、内レンズ12と、内レンズ12の前面に対面して配置される外レンズ14とを備え、内レンズ12と外レンズ14との間に薬剤30を挿入可能な開口を有して内レンズ12及び外レンズ14が接合されている。
【0110】
これにより、薬剤30は内レンズ12及び外レンズ14で挟持可能な任意の形状を採用することができるので、従来に比して、製造上の制約が少ない。
【0111】
さらに、本実施の形態では、外レンズ14は、薬剤30の成分を通過させるための貫通孔14bが形成されている。
【0112】
これにより、内レンズ12と外レンズ14との間に収容された薬剤30が溶け出し、貫通孔14bを通過して眼瞼や眼球等の部位にその成分が供給されるので、従来に比して、薬剤30を効果的に供給することができる。
【0113】
さらに、本実施の形態では、貫通孔14bは、薬剤30の突起32aを受けるための孔である。
【0114】
これにより、貫通孔14bで突起32aを受けて内レンズ12と外レンズ14との間で薬剤30が挟持されるので、薬剤30の位置がずれにくい。
【0115】
さらに、本実施の形態では、コンタクトレンズ10は、薬剤30を収容するものである。
【0116】
これにより、薬剤30を眼に装着するための眼用ケースとして利用することができる。
本実施の形態において、内レンズ12は、発明1、3、8乃至13、21又は22の基体に対応し、外レンズ14は、発明1、3、8乃至13、21又は22の蓋体に対応し、薬剤30は、発明1、10乃至13、18又は20の被収容物に対応している。
【0117】
〔第6の実施の形態〕
次に、本発明の第6の実施の形態を説明する。
図13は、本実施の形態を示す図である。なお、以下、上記第1、第3及び第5の実施の形態と異なる部分についてのみ説明し、重複する部分については同一の符号を付して説明を省略する。
【0118】
まず、本実施の形態の構成を説明する。
図13は、コンタクトレンズ10の縦断面図であり、(a)は
図1のA−A線に沿った断面図、(b)は(a)における挟持部の部分拡大図、(c)は薬剤30を装着した場合の図である。
【0119】
薬剤30の後面には突起32bが形成されている。突起32bは、薬剤30よりも小径の円柱状となっている。
【0120】
内レンズ12には、
図13に示すように、薬剤30の成分を通過させるための貫通孔12bが形成されている。貫通孔12bは、内レンズ12を前後方向に貫通する。貫通孔12bの径は突起32bとほぼ同径となっている。
【0121】
次に、本実施の形態の動作を説明する。
使用者は、内レンズ12と外レンズ14との間を開き、薬剤30の突起32bを内レンズ12の貫通孔12bに嵌め込んで内レンズ12の前面に薬剤30を取り付け、内レンズ12と外レンズ14との間を閉じる。これにより、
図13(c)に示すように、突起32bの移動が貫通孔12bで拘束される。また、装用時は、薬剤30が溶け出し、貫通孔12bを通過して眼瞼や眼球等の部位にその成分が供給される。
【0122】
次に、本実施の形態の効果を説明する。
本実施の形態では、内レンズ12は、薬剤30の成分を通過させるための貫通孔12bが形成されている。
【0123】
これにより、内レンズ12と外レンズ14との間に収容された薬剤30が溶け出し、貫通孔12bを通過して眼瞼や眼球等の部位にその成分が供給されるので、従来に比して、薬剤30を効果的に供給することができる。
【0124】
さらに、本実施の形態では、貫通孔12bは、薬剤30の突起32bを受けるための孔である。
【0125】
これにより、貫通孔12bで突起32bを受けて内レンズ12と外レンズ14との間で薬剤30が挟持されるので、薬剤30の位置がずれにくい。
【0126】
〔第7の実施の形態〕
次に、本発明の第7の実施の形態を説明する。
図14は、本実施の形態を示す図である。なお、以下、上記第1及び第4乃至第6の実施の形態と異なる部分についてのみ説明し、重複する部分については同一の符号を付して説明を省略する。
【0127】
まず、本実施の形態の構成を説明する。
図14は、コンタクトレンズ10の縦断面図であり、(a)は
図1のA−A線に沿った断面図、(b)は(a)における挟持部の部分拡大図、(c)は薬剤30を装着した場合の図である。
【0128】
薬剤30の前面には突起32aが、薬剤30の後面には突起32bがそれぞれ形成されている。
【0129】
外レンズ14には、
図14に示すように、貫通孔14bが形成されている。また、内レンズ12には貫通孔12bが形成されている。
【0130】
次に、本実施の形態の動作を説明する。
使用者は、内レンズ12と外レンズ14との間を開き、薬剤30の突起32aを外レンズ14の貫通孔14bに嵌め込んで外レンズ14の後面に薬剤30を取り付け、内レンズ12と外レンズ14との間を閉じる。その際、薬剤30の突起32bが内レンズ12の貫通孔12bに嵌め込まれる。これにより、
図14(c)に示すように、突起32a、32bの移動が貫通孔14b、12bで拘束される。また、装用時は、薬剤30が溶け出し、貫通孔14b、12bを通過して眼瞼や眼球等の部位にその成分が供給される。
【0131】
次に、本実施の形態の効果を説明する。
本実施の形態では、外レンズ14は、薬剤30の成分を通過させるための貫通孔14bが形成されているとともに、内レンズ12は、薬剤30の成分を通過させるための貫通孔12bが形成されている。
【0132】
これにより、内レンズ12と外レンズ14との間に収容された薬剤30が溶け出し、貫通孔14b、12bを通過して眼瞼や眼球等の部位にその成分が供給されるので、従来に比して、薬剤30を効果的に供給することができる。
【0133】
さらに、本実施の形態では、貫通孔14bは、薬剤30の突起32aを受けるための孔であり、貫通孔12bは、薬剤30の突起32bを受けるための孔である。
【0134】
これにより、貫通孔14b、12bで突起32a、32bを受けて内レンズ12と外レンズ14との間で薬剤30が挟持されるので、薬剤30の位置がさらにずれにくい。
【0135】
〔第8の実施の形態〕
次に、本発明の第8の実施の形態を説明する。
図15は、本実施の形態を示す図である。なお、以下、上記第1の実施の形態と異なる部分についてのみ説明し、重複する部分については同一の符号を付して説明を省略する。
【0136】
まず、本実施の形態の構成を説明する。
図15は、
図1のA−A線に沿った断面図である。
【0137】
外レンズ14の後面上部には、
図15に示すように、突起14cが形成されている。内レンズ12の前面上部には、突起14cを受けるための孔(凹部)12cが形成されている。孔12cの径は突起14cとほぼ同径となっている。
【0138】
次に、本実施の形態の動作を説明する。
使用者は、内レンズ12と外レンズ14との間を開き、内レンズ12の前面に電子デバイス20を取り付け、内レンズ12と外レンズ14との間を閉じる。その際、外レンズ14の突起14cが内レンズ12の孔12cに嵌め込まれる。これにより、
図15(b)に示すように、突起14cの移動が孔12cで拘束される。
【0139】
次に、本実施の形態の効果を説明する。
本実施の形態では、外レンズ14の後面には突起14cが、内レンズ12の前面には突起14cを受けるための孔12cが形成されている。
【0140】
これにより、突起14cを孔12cで受けることにより内レンズ12及び外レンズ14が閉止されるので、コンタクトレンズ10から電子デバイス20がさらに脱落しにくい。
【0141】
〔第9の実施の形態〕
次に、本発明の第9の実施の形態を説明する。
図16は、本実施の形態を示す図である。なお、以下、上記第1の実施の形態と異なる部分についてのみ説明し、重複する部分については同一の符号を付して説明を省略する。
【0142】
まず、本実施の形態の構成を説明する。
図16は、コンタクトレンズ10の正面図である。
【0143】
内レンズ12及び外レンズ14は、
図16に示すように、下端及び上端が接合されている。内レンズ12と外レンズ14の接合部16、16a以外は開口しており、電子デバイス20は、この開口から挿入可能となっている。
【0144】
次に、本実施の形態の効果を説明する。
本実施の形態では、外レンズ14は、上端及び下端の2点で内レンズ12に接合されている。
【0145】
これにより、コンタクトレンズ10から電子デバイス20がさらに脱落しにくい。
〔第10の実施の形態〕
次に、本発明の第10の実施の形態を説明する。
図17は、本実施の形態を示す図である。なお、以下、上記第1の実施の形態と異なる部分についてのみ説明し、重複する部分については同一の符号を付して説明を省略する。本実施の形態では、電子デバイス20に代えて、被収容物として薬剤30を収容する。
【0146】
まず、本実施の形態の構成を説明する。
図17は、コンタクトレンズ10の正面図である。
【0147】
内レンズ12及び外レンズ14は、
図17に示すように、下端、上端及び左端3点が接合されている。この接合部の数は、薬剤30が所定の流出量となるように設定されている。接合部の数が多いほど開口が狭くなるので薬剤30の流出量は小さくなる。これに対し、接合部の数が少ないほど開口が広くなるので薬剤30の流出量は大きくなる。また、内レンズ12と外レンズ14の接合部16、16b〜16e以外は開口しており、薬剤30は、この開口から挿入可能となっている。
【0148】
次に、本実施の形態の効果を説明する。
本実施の形態では、薬剤30が所定の流出量となるように内レンズ12と外レンズ14との開口の度合いが設定されている。
【0149】
これにより、内レンズ12と外レンズ14との開口から流出する薬剤30の量を調整することができる。
【0150】
〔変形例〕
なお、上記第1乃至第10の実施の形態の他の変形例として、例えば、
図18に示す接合構造を採用することもできる。
【0151】
図18は、コンタクトレンズ10の正面図である。
図18(a)の例では、内レンズ12及び外レンズ14の下部において約1/4円弧及びその両端を結ぶ弦で区画される円弧領域16を接合する。
【0152】
図18(b)の例では、内レンズ12及び外レンズ14の下部において約1/2円弧及びその両端を結ぶ弧(円弧、楕円弧等)で区画される円弧領域16を接合する。
【0153】
図18(c)の例では、内レンズ12及び外レンズ14の上部及び下部において約1/4円弧及びその両端を結ぶ弦で区画される円弧領域16を接合する。
【0154】
図18(d)の例では、内レンズ12及び外レンズ14の上部、左部及び下部において約1/4円弧及びその両端を結ぶ弦で区画される円弧領域16を接合する。上部の円弧領域16と左部の円弧領域16との間、及び左部の円弧領域16と下部の円弧領域16との間にはそれぞれ薬剤の流路としての間隙が形成されている。
【0155】
図18(e)の例では、内レンズ12及び外レンズ14の右部を開口として、約3/4円弧及びその両端を結ぶ弧(円弧、楕円弧等)で区画される円弧領域16を接合する。
【0156】
図18(f)の例では、
図18(e)の円弧領域16を複数(同図の例では5つ)の領域に分割した各円弧領域16を接合する。
【0157】
また、上記第5の実施の形態の他の変形例として、例えば、
図19に示す接合・挿入構造を採用することもできる。
【0158】
図19は、コンタクトレンズ10の変形例を示す図であり、(a)はコンタクトレンズ10の正面図、(b)は(a)のA−A線に沿った断面図である。
【0159】
図19の例では、内レンズ12及び外レンズ14の周縁16を全周にわたって接合する。この場合、薬剤30は、被収容物を挿入可能な開口である貫通孔14bから挿入する。したがって、貫通孔14bの径は、薬剤30が挿入可能な大きさに設定されている。
【0160】
なお、
図19の接合・挿入構造は、上記第6及び第7の実施の形態についても同様に適用することができる。また、上記第2乃至第4の実施の形態において孔12a、14aを貫通孔として形成する下記変形例についても同様に適用することができる。また、
図19の接合構造に対し
図18の接合構造を適用することもできる。
【0161】
また、上記第1乃至第10の実施の形態及びその変形例において、外レンズ14は、内レンズ12と同様に球殻形状としたが、これ限らず、内レンズ12とは異なる形状を採用することもできる。また、内レンズ12及び外レンズ14は、任意の形状を採用することができる。例えば、板状、棒状又はアーム状とすること、被収容物を収容する最小限の大きさとなる形状とすること、
図20及び
図21に示す形状とすることが考えられる。
【0162】
図20は、コンタクトレンズ10の変形例を示す図であり、(a)はコンタクトレンズ10の正面図、(b)は(a)のA−A線に沿った断面図である。
【0163】
外レンズ14は、
図20に示すように、瞳孔径よりもやや大径となっており、瞳孔領域44の全域を覆っている。内レンズ12には外レンズ14の下端が接合されている。内レンズ12と外レンズ14の接合部16以外は開口しており、被収容物は、この開口から挿入可能となっている。
【0164】
図21は、コンタクトレンズ10の変形例を示す図であり、(a)はコンタクトレンズ10の正面図、(b)は(a)のA−A線に沿った断面図である。
【0165】
外レンズ14は、
図21に示すように、長軸を上辺とする半楕円形状に形成されており、瞳孔領域44の下方に配置されている。内レンズ12には外レンズ14の弧が接合され、外レンズ14は全体としてポケット状となっている。内レンズ12と外レンズ14の接合部16以外は開口しており、被収容物は、この開口から挿入可能となっている。例えば、電子デバイス20に支持脚を設け、内レンズ12と外レンズ14との間で支持脚を挟持し、電子デバイス20が瞳孔領域44に臨むように装着することができる。
【0166】
なお、
図20及び
図21の接合構造に対し
図18の接合構造を適用することもできる。また、瞳孔領域の全域又は一部を覆う電子デバイス20の下部その他周縁の一部を挟持するように外レンズ14を形成又は配置する構造を採用することができる。また、
図20及び
図21の変形例に対し上記第1乃至第10の実施の形態及びその変形例を同様に適用することができる。
【0167】
また、上記第2乃至第7の実施の形態及びその変形例において、電子デバイス20及び薬剤30は、孔12a、12b、14a、14bに嵌め込み可能な突起22a、22b、32a、32bを形成したが、これに限らず、孔12a、12b、14a、14bを介さずに、内レンズ12又は外レンズ14の前面又は後面に直接差し込み可能な突起を形成することもできる。この突起は、例えば、先端を尖らせた形状等として構成すればよい。例えば、
図22の変形例を採用することができる。
【0168】
図22は、電子デバイス20の変形例を示す図であり、(a)(b)は
図1のA−A線に沿った断面図、(c)は電子デバイス20の縦断面図、(d)は電子デバイス20の斜視図、(e)は電子デバイス20の正面図である。
【0169】
図22の例では、電子デバイス20の前面には複数(同図の例では2つ)の突起22c、22dが形成されている。突起22cは、先端が尖った円錐状となり、電子デバイス20の前面上部に形成されている。突起22dは、先端が尖った円錐状となり、電子デバイス20の前面下部に形成されている。使用者は、内レンズ12と外レンズ14との間を開き、
図22(a)に示すように、内レンズ12の前面に電子デバイス20を取り付け、
図22(b)に示すように、内レンズ12と外レンズ14との間を閉じる。その際、電子デバイス20の突起22c、22dが外レンズ14の後面に差し込まれる。
【0170】
これにより、電子デバイス20は、突起22c、22dにより外レンズ14に固定されるのでコンタクトレンズ10から脱落しにくい。
【0171】
なお、同様に、(1)電子デバイス20の後面に突起22c、22dを形成し、内レンズ12の前面に突起22c、22dを差し込む構成、(2)電子デバイス20の前面及び後面に突起22c、22dを形成し、内レンズ12の前面及び外レンズ14の後面に突起22c、22dを差し込む構成、(3)薬剤30の前面に突起22c、22dを形成し、外レンズ14の後面に突起22c、22dを差し込む構成、(4)薬剤30の後面に突起22c、22dを形成し、内レンズ12の前面に突起22c、22dを差し込む構成、(5)薬剤30の前面及び後面に突起22c、22dを形成し、内レンズ12の前面及び外レンズ14の後面に突起22c、22dを差し込む構成、(6)内レンズ12の前面に突起22c、22dを形成し、外レンズ14の後面に突起22c、22dを差し込む構成、(7)外レンズ14の後面に突起22c、22dを形成し、内レンズ12の前面に突起22c、22dを差し込む構成、(8)内レンズ12の前面及び外レンズ14の後面に突起22c、22dを形成し、内レンズ12の前面及び外レンズ14の後面に突起22c、22dを差し込む構成を採用することもできる。また、突起は、任意の数、任意の大きさ、任意の形状で、任意の箇所に形成することができる。また、(6)〜(8)の変形例の場合、内レンズ12及び外レンズ14が差し込み構造により接合されるので接合部16は必ずしも設けなくてもよい。
【0172】
また、上記第1乃至第10の実施の形態及びその変形例において、コンタクトレンズ10は、内レンズ12及び外レンズ14を一体成形により製造したが、これに限らず、(1)内レンズ12及び外レンズ14を別体に製造し、これらを接着することにより接合することもできるし、(2)完成後(例えば製造後)に結合状態が解除できず又は解除が困難であり若しくは想定されていない結合構造(以下「結合状態構造」という。)により内レンズ12及び外レンズ14を結合することもできるし、(3)完成後(例えば製造後)に内レンズ12及び外レンズ14を結合することができる結合構造(以下「結合可能構造」という。)により内レンズ12及び外レンズ14を結合することもできる。
【0173】
結合状態構造としては、例えば、ヒンジ構造、ねじ構造、かしめ構造、ソケット構造、インロー嵌合構造、嵌め込み構造、差し込み構造、組み付け構造、連結構造その他任意の結合構造を採用することができる。ねじ構造としては、例えば、(1)内レンズ12及び外レンズ14を貫通する雌ねじを形成し、これに雄ねじをねじ込んで接合した構造、(2)内レンズ12及び外レンズ14の一方に雄ねじを形成し、他方に雌ねじを形成し、一方を他方にねじ込んで接合した構造を採用することができる。連結構造としては、例えば、継手、連結器その他の連結手段で内レンズ12及び外レンズ14を連結した構造を採用することができる。また、結合状態構造として、例えば、(1)内レンズ12及び外レンズ14を直接結合した構造、(2)1又は複数の部材を介して内レンズ12及び外レンズ14を間接的に結合した構造を採用することができる。
【0174】
これに対し、結合可能構造としては、例えば、ヒンジ構造、ねじ構造、かしめ構造、ソケット構造、インロー嵌合構造、嵌め込み構造、差し込み構造、組み付け構造、連結構造その他任意の結合構造を採用することができる。ねじ構造としては、例えば、(1)内レンズ12及び外レンズ14を貫通する雌ねじを形成し、これに雄ねじをねじ込んで接合することができる構造、(2)内レンズ12及び外レンズ14の一方に雄ねじを形成し、他方に雌ねじを形成し、一方を他方にねじ込んで接合することができる構造を採用することができる。連結構造としては、例えば、継手、連結器その他の連結手段で内レンズ12及び外レンズ14を連結することができる構造を採用することができる。また、結合可能構造として、例えば、(1)内レンズ12及び外レンズ14を直接結合可能な構造、(2)1又は複数の部材を介して内レンズ12及び外レンズ14を間接的に結合可能な構造を採用することができる。また、結合可能構造として、例えば、(1)内レンズ12又は外レンズ14が取り外し可能な構造を採用することもでき、(2)さらに内レンズ12又は外レンズ14が再結合可能な構造を採用することもできる。
【0175】
例えば、結合構造として
図23乃至
図31の変形例を採用することができる。
図23は、コンタクトレンズ50を示す図であり、(a)はコンタクトレンズ50の正面図、(b)(c)は(a)のA−A線に沿った断面図である。
【0176】
コンタクトレンズ50は、
図23に示すように、ハードコンタクトレンズからなる内レンズ52と、内レンズ52の前面に対面して配置されるハードコンタクトレンズからなる外レンズ54とを有して構成されている。内レンズ52及び外レンズ54は、ハードコンタクトレンズとして従来周知の基本形状であり、全体として球殻形状となっている。
【0177】
内レンズ52の前面周縁にはフランジ52aが形成されている。フランジ52aは、内レンズ52の内側に向けて斜め前方に立ち上がっている。外レンズ54の径は、内レンズ52の内径(フランジ52aの内側付け根の径)とほぼ同径となっている。使用者は、外レンズ54を折り曲げた状態で内レンズ52から取り外し、内レンズ52の前面に被収容物を取り付け、外レンズ54を折り曲げた状態でフランジ52aの内側に嵌め込むことにより内レンズ52に取り付ける。
【0178】
これにより、被収容物は、内レンズ52の前面と外レンズ54の後面との間で挟持されるので、コンタクトレンズ50から脱落しにくい。また、外レンズ54がフランジ52a内に嵌め込まれているので、外レンズ54が外れにくく被収容物がさらに脱落しにくい。さらに、内レンズ52及び外レンズ54がハードコンタクトレンズからなるので、外レンズ54を内レンズ52に嵌め込みやすい。さらに、被収容物を挿入可能な開口が内レンズ52の前面に形成されているので、内レンズ52の前面から被収容物を挿入することができ、被収容物が挿入しやすい。
【0179】
また、上記第1乃至第10の実施の形態及びその変形例において、内レンズ12と外レンズ14は、被収容物を収容しない状態で両者が密着する密着構造としたが、これに限らず、両者の間に空間を設け、その空間内に被収容物を収容する空間構造とすることもできる。具体的には、例えば、上記第2乃至第4の実施の形態における孔12a、14aのように、被収容物を収容するための空間を内レンズ12の前面又は外レンズ14の後面に形成することが考えられる。この空間は、任意の数、任意の大きさ、任意の形状で、任意の箇所に形成することができ、一部が開口していてもよい。例えば、
図24乃至
図31の変形例を採用することができる。
【0180】
図24は、コンタクトレンズ50を示す図であり、(a)はコンタクトレンズ50の正面図、(b)(c)は(a)のA−A線に沿った断面図である。
【0181】
図24の変形例が
図23の変形例と異なるのは、内レンズ52のフランジ52aがさらに立ち上がっており、外レンズ54の径がフランジ52aの先端径よりもやや大径となっている点である。このため、外レンズ54をフランジ52a内に嵌め込むとフランジ52aの先端付近で固定することができるので、内レンズ52と外レンズ54との間には空間58が形成される。使用者は、外レンズ54を折り曲げた状態で内レンズ52から取り外し、厚みのある被収容物を空間58内に収容し、外レンズ54を折り曲げた状態でフランジ52aの内側に嵌め込むことにより内レンズ52に取り付ける。
【0182】
これにより、厚みのある被収容物を収容することができる。
図25は、コンタクトレンズ50を示す図であり、(a)はコンタクトレンズ50の正面図、(b)(c)は(a)のA−A線に沿った断面図である。
【0183】
図25の変形例が
図24の変形例と異なるのは、外レンズ54に対し前後方向に貫通する貫通孔54aが形成されている点である。貫通孔54aは、外レンズ54の中央に形成されている。貫通孔54aの役割は、光学的な干渉を少なくすること、薬剤30の成分を通過させること、酸素透過性を高めること等にある。光学的な干渉を少なくする必要については、被収容物としてレンズを収容する場合、視力を調整する必要がない使用者が装用する場合等が想定される。
【0184】
これにより、空間58内に薬剤30を収容した場合、収容された薬剤30が溶け出し、貫通孔54aを通過して眼瞼や眼球等の部位にその成分が供給されるので、薬剤30を効果的に供給することができる。また、空間58内に薬剤30を貯留することができるので、液状の薬剤30を用いることもできる。
【0185】
図26は、コンタクトレンズ50を示す図であり、(a)はコンタクトレンズ50の正面図、(b)(c)は(a)のA−A線に沿った断面図である。
【0186】
図26の変形例が
図25の変形例と異なるのは、外レンズ54に対し前後方向に貫通する複数(同図の例では4つ)の貫通孔54bが形成されている点である。貫通孔54bは、貫通孔54aよりも小径で、貫通孔54aの上方、右方、下方及び左方にそれぞれ形成されている。
【0187】
これにより、空間58内に薬剤30を収容した場合、収容された薬剤30が溶け出し、貫通孔54a及び各貫通孔54bを通過して眼瞼や眼球等の部位にその成分が供給されるので、薬剤30の量を調整することができる。
【0188】
図27は、コンタクトレンズ50を示す図であり、(a)はコンタクトレンズ50の正面図、(b)は(a)のA−A線に沿った断面図である。
【0189】
図27の変形例が
図23の変形例と異なるのは、内レンズ52と外レンズ54が一体成形されている点である。外レンズ54は、内レンズ52の下部において約1/3円弧及びその両端を結ぶ弧(円弧、楕円弧等)で区画される円弧形状となっている。内レンズ52には外レンズ54の円弧が接合され、外レンズ54は全体としてポケット状となっている。そして、内レンズ52と外レンズ54との間には空間58が形成されている。また、内レンズ52と外レンズ54の接合部56以外は開口しており、被収容物は、この開口から挿入可能となっている。使用者は、厚みのある被収容物を空間58内に収容する。
【0190】
これにより、空間58内に薬剤30を収容した場合、収容された薬剤30がポケットの開口から溶け出し、眼瞼や眼球等の部位にその成分が供給されるので、薬剤30を効果的に供給することができる。さらに、空間58内に薬剤30を貯留することができるので、液状の薬剤30を用いることもできる。
【0191】
図28は、コンタクトレンズ50を示す図であり、(a)はコンタクトレンズ50の正面図、(b)はコンタクトレンズ50の斜視図、(c)は(a)のA−A線に沿った断面図である。
【0192】
図28の変形例が
図27の変形例と異なるのは、外レンズ54が内レンズ52とは別体に構成され、外レンズ54の後面周端56が全周にわたって内レンズ52に当接している点である。外レンズ54の後面周端56には、複数(同図の例では4つ)の突起54cが形成されている。内レンズ52の前面には、突起54cを受けるための複数(同図の例では4つ)の孔(凹部)52bが形成されている。内レンズ52と外レンズ54との間には空間58が形成されている。使用者は、外レンズ54を内レンズ52から取り外し、厚みのある被収容物を空間58内に収容し、外レンズ54の突起54cを内レンズ52の孔52bに嵌め込むことにより外レンズ54を内レンズ52に取り付ける。
【0193】
これにより、外レンズ54の後面周端56が全周にわたって内レンズ52に当接しているので、コンタクトレンズ50から被収容物が脱落しにくい。また、突起54cを孔52bで受けることにより外レンズ54が内レンズ52に固定されるので、外レンズ54が外れにくく被収容物がさらに脱落しにくい。
【0194】
図29は、コンタクトレンズ50を示す図であり、(a)はコンタクトレンズ50の正面図、(b)はコンタクトレンズ50の斜視図、(c)は(a)のA−A線に沿った断面図である。
【0195】
図29の変形例が
図28の変形例と異なるのは、外レンズ54に対し前後方向に貫通する貫通孔54dが形成されている点である。貫通孔54dは、外レンズ54の中央に形成されている。
【0196】
これにより、空間58内に薬剤30を収容した場合、収容された薬剤30が溶け出し、貫通孔54dを通過して眼瞼や眼球等の部位にその成分が供給されるので、薬剤30を効果的に供給することができる。また、空間58内に薬剤30を貯留することができるので、液状の薬剤30を用いることもできる。
【0197】
図30は、コンタクトレンズ50を示す図であり、(a)はコンタクトレンズ50の正面図、(b)(c)は(a)のA−A線に沿った断面図である。
【0198】
図30の変形例が
図28の変形例と異なるのは、内レンズ52の中央に取り付けられている点である。外レンズ54は、瞳孔径よりもやや大径となっており、瞳孔領域の全域を覆っている。外レンズ54の後面周端56には、全周にわたってリング状の突起54eが形成されている。内レンズ52の前面には、突起54eを受けるためのリング状の孔(凹部)52cが形成されている。内レンズ52と外レンズ54との間には空間58が形成されている。使用者は、外レンズ54を内レンズ52から取り外し、厚みのある被収容物を空間58内に収容し、外レンズ54の突起54eを内レンズ52の孔52cに嵌め込むことにより外レンズ54を内レンズ52に取り付ける。
【0199】
これにより、突起54eを孔52cで受けることにより外レンズ54が内レンズ52に固定されるので、外レンズ54が外れにくく、コンタクトレンズ50から被収容物が脱落しにくい。
【0200】
図31は、コンタクトレンズ50を示す図であり、(a)はコンタクトレンズ50の正面図、(b)(c)は(a)のA−A線に沿った断面図である。
【0201】
図31の変形例が
図30の変形例と異なるのは、外レンズ54に対し下面を上下方向に貫通する貫通孔54fが形成されている点である。
【0202】
これにより、空間58内に薬剤30を収容した場合、収容された薬剤30が溶け出し、貫通孔54fを通過して眼瞼や眼球等の部位にその成分が供給されるので、薬剤30を効果的に供給することができる。また、空間58内に薬剤30を貯留することができるので、液状の薬剤30を用いることもできる。
【0203】
なお、
図23乃至
図31の変形例においては、内レンズ52及び外レンズ54をハードコンタクトレンズとして構成したが、これに限らず、内レンズ52又は外レンズ54をソフトコンタクトレンズ又はレンズ以外の部材として構成することもできる。また、
図30及び
図31の変形例において、外レンズ54の径は任意であり、例えば、瞳孔径と同径又はこれよりも小径とすることができる。また、
図23乃至
図31の変形例に対し上記第1乃至第10の実施の形態及びその変形例を同様に適用することができる。
【0204】
また、
図24乃至
図26の変形例においては、内レンズ52に対し外レンズ54を眼の装着方向に嵌め込み、外レンズ54を眼の装着方向に着脱可能に構成したが、これに限らず、結合方向は、上下方向や左右方向など内レンズ52の面方向であってもよい。例えば、内レンズ52及び外レンズ54が形成するカプセル形状を中央水平線で分割し、下端が開口した筒状の上レンズ及び上端が開口した筒状の下レンズでコンタクトレンズ50を構成し、上レンズ又は下レンズを上下方向に着脱可能に構成することができる。結合構造としては、上記例示を含む任意の結合構造を採用することができる。また、上記第1乃至第10の実施の形態及びその変形例(
図22、
図23、
図27乃至
図31の変形例を含む。)についても、結合方向に関するこの変形例を同様に適用することができる。
【0205】
また、
図23乃至
図26の変形例においては、被収容物を前面から挿入するため、外レンズ54を蓋体として構成したが、これに限らず、被収容物を後面から挿入するため、内レンズ52を蓋体として構成することもできる。例えば、外レンズ54の内側に向けて斜め前方に立ち上がるフランジを外レンズ54の後面周縁に形成し、内レンズ52を外レンズ54のフランジの内側に嵌め込むことにより外レンズ54に取り付ける構成である。すなわち、被収容物の挿入方向が前面、後面、面方向その他の方向となるように内レンズ52及び外レンズ54の構成を決定することができる。また、上記第1乃至第10の実施の形態及びその変形例(
図22、
図27乃至
図31の変形例を含む。)についても、挿入方向に関するこの変形例を同様に適用することができる。
【0206】
また、上記第1乃至第10の実施の形態及びその変形例において、コンタクトレンズ10は、瞳孔領域を覆う眼球の正面に装着したが、これに限らず、眼球に対し任意の箇所に装着することができる。例えば、
図32及び
図33の変形例を採用することができる。なお、
図32及び
図33では、説明の便宜上、コンタクトレンズ10として説明するが、瞳孔領域又はその他の角膜領域に被収容物を装着する例ではないので、必ずしもコンタクトレンズとして構成する必要はなく眼用ケースとして構成すればよい。
【0207】
図32及び
図33は、コンタクトレンズ10の装着箇所の変形例を示す図である。
図32(a)は眼球46を正面から見た正面図、(b)は(a)のA−A線に沿った断面図である。
【0208】
図32(a)(b)の例では、コンタクトレンズ10を横長三日月形状に形成し、眼球46の下部で下眼瞼48b内に装着する。
【0209】
図32(c)は眼球46を正面から見た正面図、(d)は(c)のB−B線に沿った断面図である。
【0210】
図32(c)(d)の例では、コンタクトレンズ10を横長楕円形状に形成し、眼球46の上部で上眼瞼48a内に装着する。
【0211】
図32(e)は眼球46を正面から見た正面図、(f)は(e)のC−C線に沿った断面図である。
【0212】
図32(e)(f)の例では、コンタクトレンズ10を縦方向3つの円を連結した形状に形成し、コンタクトレンズ10の上円部を眼球46の上部で上眼瞼48a内に、コンタクトレンズ10の中央円部を眼球46の正面に、コンタクトレンズ10の下円部を眼球46の下部で下眼瞼48b内に装着する。ここで、被収容物は、コンタクトレンズ10の上円部及び下円部にそれぞれ取り付けられている。
【0213】
図33(a)は眼球46を正面から見た正面図である。
図33(a)の例では、複数(同図の例では2つ)のコンタクトレンズ10をそれぞれ円形状に形成し、眼球46の下部で下眼瞼48b内に横並びに装着する。
【0214】
図33(b)は眼球46を正面から見た正面図である。
図33(b)の例では、コンタクトレンズ10をリング状に形成し、上眼瞼48a内及び下眼瞼48b内に跨がって装着する。ここで、被収容物は、コンタクトレンズ10の上部及び下部にそれぞれ取り付けられている。
【0215】
図33(c)は眼球46を正面から見た正面図である。
図33(c)の例では、コンタクトレンズ10を縦長三日月形状に形成し、眼球46の鼻側で上眼瞼48a内及び下眼瞼48b内に跨がって装着する。
【0216】
図33(d)は眼球46を正面から見た正面図である。
図33(d)の例では、コンタクトレンズ10を縦長三日月形状に形成し、眼球46の耳側で上眼瞼48a内及び下眼瞼48b内に跨がって装着する。
【0217】
なお、コンタクトレンズ10は、上記第1乃至第10の実施の形態並びにその変形例及び
図32及び
図33の変形例に限らず、任意の数、任意の大きさ、任意の形状を採用することができる。また、
図23乃至
図31のコンタクトレンズ50についても
図32及び
図33の変形例を同様に適用することができる。
【0218】
また、上記第1乃至第10の実施の形態及びその変形例においては、内レンズ12及び外レンズ14をソフトコンタクトレンズとして構成したが、これに限らず、内レンズ12又は外レンズ14をハードコンタクトレンズとして構成することもできる。
【0219】
また、上記第1乃至第10の実施の形態において、内レンズ12及び外レンズ14をレンズとして構成したが、これに限らず、内レンズ12又は外レンズ14をレンズ以外の部材として構成することもできる。両方をレンズ以外の部材で構成する場合、例えば、瞳孔領域又は角膜領域の全域を覆う被収容物を装着する眼用ケースとして構成することができる。この場合、部材12、14には必ずしも光学特性が必要ないからである。
【0220】
また、上記第1乃至第10の実施の形態及びその変形例においては、内レンズ12及び外レンズ14の材質について説明しなかったが、可溶性の材質で構成することもできる。これにより、薬剤30を収容する場合、コンタクトレンズ10を薬剤30とともに溶解させることができる。この場合、内レンズ12及び外レンズ14の材質として薬剤30よりも溶解速度が遅い材質を採用することができる。
【0221】
また、上記第1乃至第10の実施の形態及びその変形例においては、内レンズ12及び外レンズ14のレンズ特性について説明しなかったが、両者のレンズ特性を同一としてもよいし、異ならせてもよい。
【0222】
また、上記第1乃至第10の実施の形態及びその変形例において、基体である内レンズ12を外レンズ14の後面に対面して配置したが、これに限らず、基体であるレンズ12をレンズ14の前面に対面して配置することもできる。また、蓋体である外レンズ14を内レンズ12の前面に対面して配置したが、これに限らず、蓋体であるレンズ14をレンズ12の後面に対面して配置することもできる。
【0223】
また、上記第1乃至第10の実施の形態及びその変形例においては、内レンズ12及び外レンズ14の2層構造としたが、これに限らず、3層以上の構造を採用することもできる。
【0224】
また、上記第2乃至第4及び第8の実施の形態並びにその変形例において、孔12a、12c、14a、52b、52cは凹部として形成したが、これに限らず、貫通孔として形成することもできる。
【0225】
また、上記第5乃至第7の実施の形態及びその変形例において、貫通孔12b、14b、54a、54b、54d、54fは貫通孔として形成したが、これに限らず、凹部として形成することもできる。薬剤30の成分が内レンズ12又は外レンズ14を拡散等により透過する場合は、必ずしも貫通している必要はないからである。
【0226】
また、上記第1乃至第8の実施の形態及びその変形例において、内レンズ12及び外レンズ14の下端を接合したが、これに限らず、任意の箇所を接合することができる。
【0227】
また、上記第9の実施の形態及びその変形例において、内レンズ12及び外レンズ14の下端及び上端を接合したが、これに限らず、任意の箇所を接合することができる。また、3点以上接合してもよい。
【0228】
また、上記第10の実施の形態及びその変形例において、内レンズ12及び外レンズ14の下端、上端及び左端3点を接合したが、これに限らず、任意の箇所を接合することができる。また、薬剤30の特性又は患者の症状等に応じて接合部の数、位置、大きさ又は範囲を設定することができる。接合部の形状も任意である。また、開口の度合いを調整する構造として、例えば、内レンズ12の前面又は外レンズ14の後面に薬剤30の流路パターンをプリントしてもよい。
【0229】
また、上記第5乃至第7の実施の形態及びその変形例において、薬剤30には突起32a、32bを形成したが、これに限らず、発明の本質として薬剤30の成分が通過すればよいことを考えれば、薬剤30には突起32a、32bを必ずしも形成しなくてもよい。
【0230】
また、上記第5乃至第7の実施の形態及びその変形例においては、貫通孔12b、14b、54aの径の大きさについて説明しなかったが、薬剤30の成分の通過に好適な貫通孔12b、14b、54aの径としては、薬剤30の特性又は患者の症状等にもよるが、瞳孔径と同径又はこれよりも大径(例えば、瞳孔径の1〜3/2程度)に設定することが好ましい。
【0231】
これにより、瞳孔領域への薬剤30の供給を効果的に行うことができる。
また、上記第10の実施の形態及びその変形例においては、薬剤30が所定の流出量となるように内レンズ12と外レンズ14との開口の度合いを設定したが、これと同様に、上記第5乃至第7の実施の形態において、薬剤30が所定の通過量となるように貫通孔12b、14bの開口の度合い(例えば、径の大きさ)を設定することもできる。また、貫通孔12b、14bを凹部として形成する上記変形例において、薬剤30が所定の通過量となるように孔12b、14bの深さを設定することもできる。その他、薬剤30が所定の通過量となるように孔12b、14bの数、位置、範囲又は素材若しくはその密度(孔12b、14bが凹部の場合は孔12b、14bの底の素材若しくはその密度を含む。)を設定することもできる。
【0232】
これにより、貫通孔12b、14bから通過する薬剤30の量を調整することができる。なお、この変形例に対しては、上記第10の実施の形態の変形例を適用することができる。
【0233】
また、上記第8の実施の形態及びその変形例においては、外レンズ14の後面に突起14cを、内レンズ12の前面に孔12cを形成したが、これに限らず、(1)内レンズ12の前面に突起14cを、外レンズ14の後面に孔12cを形成することもできるし、(2)内レンズ12の前面及び外レンズ14の後面に突起14c及び対向面の突起14cを受けるための孔12cを形成することもできる。
【0234】
また、上記第8の実施の形態及びその変形例においては、突起14c及び孔12cを1組だけ形成したが、これに限らず、2以上の組形成することもできる。
【0235】
また、上記第1乃至第4、第8及び第9の実施の形態並びにその変形例においては、内レンズ12と外レンズ14との間に電子デバイス20を収容したが、これに限らず、薬剤30を収容することもできる。
【0236】
また、上記第5乃至第7及び第10の実施の形態並びにその変形例においては、内レンズ12と外レンズ14との間に薬剤30を収容したが、これに限らず、電子デバイス20を収容することもできる。
【0237】
また、上記第1乃至第10の実施の形態及びその変形例においては、内レンズ12と外レンズ14との間に電子デバイス20又は薬剤30を収容したが、これに限らず、被収容物として任意の眼用器具を収容することができる。眼用器具としては、例えば、(1)電子デバイス、(2)ソフトコンタクトレンズ、ハードコンタクトレンズその他のレンズ、光ファイバー、光導波路、光アイソレータ、半導体レーザ等の光学デバイス、(3)薬剤供給補助具、(4)矯正具、又は(5)その他の眼用器具を採用することができる。ハードコンタクトレンズの場合、ソフトコンタクトレンズからなる内レンズ12の可撓性によりハードコンタクトレンズのフィッティング又は瞳孔領域への位置決めがしやすくなるので、円錐角膜の患者に対し特注のハードコンタクトレンズではなく市販のハードコンタクトレンズを適用することができる。また、特注又は市販の別にかかわらず、ハードコンタクトレンズが眼瞼や眼球に直接接触しにくいので装用感を向上することができる。また、被収容物として任意の眼用装着物を収容することができる。眼用装着物としては、例えば、上記(1)〜(5)以外に、(6)薬剤、(7)サプリメント、(8)磁性流体、又は(9)その他の眼用装着物を採用することができる。その他、任意の物を収容することができる。
【0238】
また、上記第1乃至第4、第8及び第9の実施の形態並びにその変形例においては、電子デバイス20の機能について詳細な説明を行わなかったが、例えば、電子デバイス20としては、(1)眼に対し情報の提供を行うデバイス(例えば、投影機)、(2)眼に関する情報の収集を行うデバイス(例えば、カメラ、生体センサその他のセンサ)、(3)眼の外側に対し情報の提供を行うデバイス(例えば、ディスプレイ)、(4)眼の外側に関する情報の収集を行うデバイス(例えば、カメラ、生体センサその他のセンサ)、(5)眼に対し機能の維持、回復若しくは付与又は作用を行うデバイス(例えば、医療機器、発光素子、圧電素子、振動素子、発熱素子)、又は(6)眼の外側に対し機能の付与又は作用を行うデバイス(例えば、医療機器、発光素子、圧電素子、振動素子、発熱素子)を採用することができる。また、電子デバイス20に代えて光学デバイスその他の眼用デバイスを採用する場合も、同様に上記(1)〜(6)の機能を備えるデバイスを採用することができる。
【0239】
また、上記第1乃至第4、第8及び第9の実施の形態並びにその変形例において、電子デバイス20は球殻形状としたが、これに限らず、瞳孔領域又は角膜領域を中空とするリング状(例えば、特開2015−107323号公報に開示の眼用デバイスの形状)、直方体状、シート状その他の幾何学形状など、任意の形状を採用することができる。
【0240】
また、上記第1乃至第4、第8及び第9の実施の形態並びにその変形例において、電子デバイス20は内レンズ12の中央(瞳孔領域)に取り付けたが、これに限らず、内レンズ12の任意の箇所に取り付けることができる。
【0241】
また、上記第2乃至第4の実施の形態及びその変形例においては、電子デバイス20に突起22a、22bを形成し、内レンズ12又は外レンズ14に孔12a、14aを形成したが、これに限らず、電子デバイス20に孔12a、14aを形成し、内レンズ12又は外レンズ14に突起22a、22bを形成することもできる。
【0242】
また、上記第5乃至第7及び第10の実施の形態並びにその変形例において、薬剤30は球殻形状としたが、これに限らず、瞳孔領域又は角膜領域を中空とするリング状、直方体状、シート状その他の幾何学形状など、任意の形状を採用することができる。
【0243】
また、上記第5乃至第7及び第10の実施の形態並びにその変形例において、薬剤30は内レンズ12の中央(瞳孔領域)に取り付けたが、これに限らず、内レンズ12の任意の箇所に取り付けることができる。
【0244】
また、上記第5乃至第7の実施の形態及びその変形例においては、薬剤30に突起32a、32bを形成し、内レンズ12又は外レンズ14に貫通孔12b、14bを形成したが、これに限らず、薬剤30に貫通孔12b、14bを形成し、内レンズ12又は外レンズ14に突起32a、32bを形成することもできる。
【0245】
また、上記第2及び第5の実施の形態並びにその変形例において、孔14aの径は突起22aとほぼ同径としたが、これに限らず、例えば、突起22aと同径又はこれよりも大径とすることができる。孔12a、12c、52b、52c及び貫通孔12b、14bについても同様である。
【0246】
また、上記第2乃至第8の実施の形態及びその変形例において、孔12a、12c、14a及び貫通孔12b、14bは、瞳孔領域又は角膜領域を周回するリング状など、任意の形状を採用することができる。孔52b及び貫通孔54a、54b、54d、54fについても同様である。
【0247】
また、
図30及び
図31の変形例並びにその変形例において、突起54e及び孔52cはリング状に構成したが、これに限らず、上記同様に任意の形状を採用することができ、例えば、
図28及び
図29の変形例のように複数の突起及び孔で構成することができる。突起及び孔の組は任意の数を採用することができ、4つ未満でも5つ以上でもよい。
【0248】
また、上記第1乃至第10の実施の形態及びその変形例においては、本発明に係る眼用ケースを眼球の表面に装着するコンタクトレンズ10として構成したが、これに限らず、例えば、人工水晶体として構成し、被収容物を収容した人工水晶体を眼球内に装着することもできる。また、例えば、薬剤等を収容した眼用ケースを硝子体内に装着することもできる。
【0249】
また、上記第1乃至第10の実施の形態及びその変形例においては、コンタクトレンズ10に本発明を適用したが、これに限らず、本発明の主旨を逸脱しない範囲で他の場合にも適用可能である。