特許第6703703号(P6703703)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6703703
(24)【登録日】2020年5月13日
(45)【発行日】2020年6月3日
(54)【発明の名称】ネットワーク中継機器
(51)【国際特許分類】
   H04L 12/46 20060101AFI20200525BHJP
【FI】
   H04L12/46 Z
【請求項の数】7
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2015-211049(P2015-211049)
(22)【出願日】2015年10月27日
(65)【公開番号】特開2017-85316(P2017-85316A)
(43)【公開日】2017年5月18日
【審査請求日】2018年10月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】515298305
【氏名又は名称】合同会社サクセスナレッジ
(73)【特許権者】
【識別番号】515298316
【氏名又は名称】株式会社アンフェイク
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(72)【発明者】
【氏名】玉井 成知
(72)【発明者】
【氏名】時得 賢治
【審査官】 森田 充功
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−204330(JP,A)
【文献】 特開2000−312360(JP,A)
【文献】 特開2009−182450(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のLAN接続ポートと、第2のLAN接続ポートと、前記第1のLAN接続ポートから入力されたLANフレーム内のデータに所定の変換を行って第2のLAN接続ポートに出力するLANフレーム変換処理部と、からなるネットワーク中継機器であって、
前記LANフレーム変換処理部は、
前記LANフレームのネットワークインターフェース層ヘッダ及びトレーラと搬送されるIPパケットを分離して前記IPパケットを抽出するIPパケット抽出部、
前記抽出されたIPパケットのIPヘッダ及びトランスポート層ヘッダと搬送されるデータを分離して前記データを抽出するデータ抽出部、
前記抽出されたデータに基づいてアプリケーション層で使用される変換対象データを再構成し、一時的記憶領域に記憶させる変換対象データ再構成部、
前記一時的記憶領域に記憶された前記変換対象データに、前記変換対象データが表わしているアナログ的特性を変換し、それを同じ符号化形式で符号化するデータ変換を実行して変換データを生成するデータ変換部、
前記生成された変換データをパケットに分解し、それぞれにトランスポート層ヘッダ及びIPヘッダを付加してIPパケットを生成するIPパケット生成部、及び
前記生成されたIPパケットにネットワークインターフェース層ヘッダ及びトレーラを付加して出力LANフレームを生成するLANフレーム生成部、
を含むことを特徴とするネットワーク中継機器。
【請求項2】
前記変換対象データは、ストリーミングオーディオデータであり、前記データ変換部で実行される前記データ変換は、音量レベル調節処理、明瞭化処理、のいずれかを含む、請求項1に記載のネットワーク中継機器。
【請求項3】
前記変換対象データは、ストリーミングビデオデータであり、前記データ変換部で実行される前記データ変換は、輝度レベル調節処理、鮮明化処理、のいずれかを含む、請求項1に記載のネットワーク中継機器。
【請求項4】
前記LANフレーム変換処理部は、前記データ変換部で実行される前記データ変換の種類及び/又は条件を記憶したデータ変換条件記憶部、をさらに含み、
前記データ変換部は、前記データ変換の種類及び/又は条件に従った所定のデータ変換で前記データ変換を実行する、請求項1から3のいずれかに記載のネットワーク中継機器。
【請求項5】
前記LANフレーム生成部で前記生成されたIPパケットに付加されるネットワークインターフェース層ヘッダは、前記IPパケット抽出部で分離される前記ネットワークインターフェース層ヘッダと同じものである、請求項1から4のいずれかに記載のネットワーク中継機器。
【請求項6】
前記ネットワーク中継機器は、第3のLAN接続ポート、をさらに含み、
前記LANフレーム変換処理部は、前記LANフレーム生成部で生成された前記出力LANフレームの出力先が、前記出力LANフレームのヘッダ内の宛先MACアドレスと一致するMACアドレスを有するネットワーク機器が接続されているLAN接続ポートとなるように、前記第2のLAN接続ポートと前記第3のLAN接続ポートとの間で出力先を切り替える出力LAN接続ポート切り替え部、をさらに含む、請求項1から4のいずれかに記載のネットワーク中継機器。
【請求項7】
前記ネットワーク中継機器は、宛先への経路の一覧を記憶したルーティングテーブルを記憶しており、それに従って前記IPパケットのルーティングを実行する、請求項1から4のいずれかに記載のネットワーク中継機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はネットワーク中継機器に関し、より詳しくは、受信したLANフレーム中で伝送される変換対象データを抜き出し、それに所定のデータ変換を実行した変換データをLANフレームに収めて送信するネットワーク中継機器に関する。
【背景技術】
【0002】
ネットワークカメラなどから送信されるストリーミングビデオデータのようなデータをパーソナルコンピュータ(PC)で受信して表示させる技術がある。その際に、ネットワークを流れる元のビデオデータをより有用な形態で利用するために、受信したビデオデータに対して解像度変換、輝度レベル変換などのデータ処理を行った上で表示させることも可能であり、用途によっては、そのようなデータ処理は必須である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、そのようなデータ処理をストリーミングデータに対して行うためには、高機能な又は専用のソフトウェアをそれぞれのPCにインストールする必要がある。また、PCは通常そのような画像のデータ処理のための専用ハードウェアを有していないため、ソフトウェアでデータ処理を行うためにはPCに相当の処理能力が必要となり、また、PCの処理能力によってはデータ処理が間に合わない事態も発生し得る。一方、ネットワークビデオカメラ側にそのようなデータ処理の専用ハードウェアを内蔵させることも考えられるが、専用設計にしなくてはならないため、ビデオカメラ機能の汎用ハードウェアに対して非常に高価な専用ハードウェアを1台1台に搭載する必要があり、時間とコストがかかる上、そのためにビデオカメラ自体を取り替える必要がある。このように、ネットワークを流れるデータをより有用な形態で利用するためには、様々な制限が存在する。従って、ネットワーク上を流れるデータに有用なデータ変換を実施する必要性が考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、以下のような特徴を有している。すなわち本発明は、第1のLAN接続ポートと、第2のLAN接続ポートと、前記第1のLAN接続ポートから入力されたLANフレーム内のデータに所定の変換を行って第2のLAN接続ポートに出力するLANフレーム変換処理部と、からなり、LANフレーム変換処理部は、受信したLANフレーム内のパケットから搬送されるデータを抽出して変換対象データを再構成し、それに対してデータ変換を実行して変換データを生成し、それをパケット化してLANフレームを再構築して出力することを特徴とする。
【0005】
また本発明は、変換対象データが、ストリーミングオーディオデータであり、データ変換は、周波数特性変換処理、音量レベル調節処理、ビットレート変換処理、ノイズ低減処理、明瞭化処理、のいずれかを含むものとすることができる。
【0006】
また本発明は、変換対象データが、ストリーミングビデオデータであり、データ変換は、解像度変換処理、輝度レベル調節処理、ビットレート変換処理、ノイズ低減処理、鮮明化処理、のいずれかを含むものとすることができる。
【0007】
また本発明は、データ変換の種類及び/又は条件を記憶したデータ変換条件記憶部をさらに含み、それに従ってデータ変換を実行するように構成できる。
【0008】
また本発明は、LANフレーム生成部で付加されるネットワークインターフェース層ヘッダを、IPパケット抽出部で分離されるネットワークインターフェース層ヘッダと同じものとすることができる。
【0009】
また本発明は、第3のLAN接続ポートをさらに含み、出力LANフレームの出力先が、出力LANフレームのヘッダ内の宛先MACアドレスと一致するMACアドレスを有するネットワーク機器が接続されているLAN接続ポートとなるように、第2のLAN接続ポートと第3のLAN接続ポートとの間で出力先を切り替える出力LAN接続ポートスイッチング部、をさらに含むものとすることができる。
【0010】
また本発明は、宛先への経路の一覧を記憶したルーティングテーブルを記憶しており、それに従ってIPパケットのルーティングを実行することができるものとすることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、第1のLAN接続ポートと、第2のLAN接続ポートと、それらの間のLANフレーム変換処理部と、からなり、LANフレーム変換処理部は、受信したLANフレーム内のパケットから搬送されるデータを抽出して変換対象データを再構成し、それに対してデータ変換を実行して変換データを生成し、それをパケット化してLANフレームを再構築して出力するネットワーク中継機器であるため、ネットワークを流れるデータを、データ発信元のネットワークカメラやデータ受信先であるPCを個別に改修する必要なく、ネットワーク上で、より有用な形態で利用できるように変換できる。
【0012】
また本発明は、変換対象データが、ストリーミングオーディオデータであり、データ変換は、周波数特性変換処理、音量レベル調節処理、ビットレート変換処理、ノイズ低減処理、明瞭化処理、のいずれかを含むものとすることができるため、オーディオデータをネットワーク上で種々の変換方法によって有用なデータに変換できる。
【0013】
また本発明は、変換対象データが、ストリーミングビデオデータであり、データ変換は、解像度変換処理、輝度レベル調節処理、ビットレート変換処理、ノイズ低減処理、鮮明化処理、のいずれかを含むものとすることができる、ビデオデータをネットワーク上で種々の変換方法によって有用なデータに変換できる。
【0014】
また本発明は、データ変換の種類及び/又は条件を記憶したデータ変換条件記憶部をさらに含み、それに従ってデータ変換を実行するように構成できるため、データ受信先の要求に応じ、柔軟かつ動的にデータ変換の種類や条件を変更することができる。
【0015】
また本発明は、LANフレーム生成部で付加されるネットワークインターフェース層ヘッダを、IPパケット抽出部で分離されるネットワークインターフェース層ヘッダと同じものとすることができるため、リピータと置換することよって、ネットワークを流れるデータに有用なデータ変換を実施することができる。
【0016】
また本発明は、第3のLAN接続ポートをさらに含み、出力LANフレームの出力先が、出力LANフレームのヘッダ内の宛先MACアドレスと一致するMACアドレスを有するネットワーク機器が接続されているLAN接続ポートとなるように、第2のLAN接続ポートと第3のLAN接続ポートとの間で出力先を切り替えることができるため、L2スイッチと置換することよって、ネットワークを流れるデータに有用なデータ変換を実施することができる。
【0017】
また本発明は、宛先への経路の一覧を記憶したルーティングテーブルを記憶しており、それに従ってIPパケットのルーティングを実行することができるため、ルータやL3スイッチと置換することよって、ネットワークを流れるデータに有用なデータ変換を実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の第1の実施形態に係るネットワーク中継機器100のブロック図である。
図2】本発明の第2の実施形態に係るネットワーク中継機器200のブロック図である
図3】本発明の第3の実施形態に係るネットワーク中継機器300のブロック図である
図4】ネットワークを流れるデータ信号のプロトコルデータユニットの説明図である
図5】ネットワークを流れるUDPパケットの構造の説明図である
図6】本発明の第1の実施形態に係るネットワーク中継機器100の動作フロー図である。
図7】本発明の第2の実施形態に係るネットワーク中継機器200の動作フロー図である。
図8】本発明の第3の実施形態に係るネットワーク中継機器300の動作フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(4階層モデルとプロトコルデータユニット)
本発明では、各階層のプロトコル毎に適切な情報処理を実施する。ここで、図4を参照し、TCP/IP4階層モデルと、それぞれの階層でのデータの単位であるプロトコルデータユニットの説明をする。図4は、ネットワークを流れるデータ信号のプロトコルデータユニットの説明図である。TCP/IPの階層モデルにおいては、図4の左側に示されるように、プロトコル階層は、上位の階層から、アプリケーション層、トランスポート層、インターネット層、ネットワークインターフェース層で構成されている。図4の右側には、それぞれのプロトコル階層におけるデータユニットの構造が示されている。図に示されているように、HTTP、SIPなどのアプリケーション層においては、変換対象となるデータにヘッダが付加された単純な構造のデータユニットである。TCP、UDPなどのトランスポート層においては、アプリケーション層のデータユニットが再構築され、トランスポート層のヘッダが付加されたセグメントがデータユニットとなる。IPなどのインターネット層においては、トランスポート層のデータユニットが再構築され、インターネット層のヘッダが付加されたパケットがデータユニットとなる。イーサネット(登録商標。以下同様)などのネットワークインターフェース層においては、インターネット層のデータユニットが再構築され、ネットワークインターフェース層のヘッダが付加されたフレームがデータユニットとなる。なお、イーサネットにおいては、必要な場合は、ヘッダに加え、トレーラも付加されてフレームが構成されることもある。
【0020】
(UDPパケットの構造)
次に、図5を参照し、UDPパケットの構造を説明する。UDPはストリーミングデータの配送に使用されることが多いプロトコルである。UDPパケットは、14バイトのイーサネットヘッダ部、20バイトのIPヘッダ部、8バイトのUDPヘッダ部、データ本体であるUDPメッセージ部、CRCチェックコード(トレーラ)から構成される。まず、イーサネットヘッダ部は、6バイトの宛先MACアドレス、6バイトの発信元MACアドレス、08H及び00Hからなる数値部(この場合、IPを表わすタイプの値)から構成される。MACアドレスはネットワークインターフェース層におけるアドレスである。次に、IPヘッダ部は、45H及び00Hからなる数値部、全データ長(ヘッダを含む)を表わす数値、識別子、0000Hの数値部、FFHの数値部、上位のプロトコルの種別を示す数値部(図ではUDPを示す11Hである。TCPでは6H、ICMPでは1Hの値を取る)、チェックサム、4バイトの発信元IPアドレス、4バイトの宛先IPアドレスから構成される。次に、UDPヘッダ部は、発信元ポート番号(ポートがRTPなら5004、RTCPなら5005)、宛先ポート番号、UDPデータ長、チェックサムから構成される。UDPメッセージ部は、制限内で任意の長さを取ることができる。そして、最後にCRCチェックコードが付加される。
【0021】
(ネットワーク中継機器100の構成)
これから本発明の第1の実施形態の説明を行う。まず、本発明の第1の実施形態に係るネットワーク中継機器100の構成の説明をする。図1は、ネットワーク中継機器100のブロック図である。第1の実施形態は、ローカルエリアネットワーク(LAN)などのネットワークから受信したデータ信号であるLANフレームを、宛先及び送信元のMACアドレスを変えずに送出するリピータハブの構成を基本とする一方、搬送されるデータに所定のデータ変換を実行するネットワーク中継機器である。
【0022】
図1を参照すると、ネットワーク中継機器100は、LAN接続ポート101a、101b、LANフレーム変換処理部110から構成される。LANフレーム変換処理部110は、さらに、IPパケット抽出部102、データ抽出部103、変換対象データ再構成部104、データ変換部105、IPパケット生成部106、LANフレーム生成部107から構成される。
【0023】
LAN接続ポート101a、101bは、イーサネットなどのネットワークインターフェース層における物理的接続がなされ、必要な信号の電気的増幅などを行う機能を有するポートである。本実施形態においては、LAN接続ポート101aはネットワークからのデータ信号が入力されるポートである。LAN接続ポート101aはIPパケット抽出部102に接続されており、ネットワークから受信したデータ信号を、IPパケット抽出部102に伝達する。一方、LAN接続ポート101bはネットワークにデータ信号を送信するポートである。LAN接続ポート101bは、LANフレーム生成部107に接続されており、LANフレーム生成部107から出力されたデータ信号をネットワークに送出する。なお、1つのLAN接続ポートは、送信側にも受信側にもなれるが、本実施例では、LAN接続ポート101aは受信側、LAN接続ポート101bは送信側のポートとして使用される場合を想定している。
【0024】
IPパケット抽出部102は、ネットワークからのデータ信号をデジタル化し、ネットワークインターフェース層のデータ送出単位であるLANフレームとして認識し、LANフレームの構成に従って、LANフレームで搬送されているIP(インターネットプロトコル)パケットを、ネットワークインターフェース層ヘッダ及びトレーラと分離することによって抽出する構成要素である。抽出したIPパケットは、IPパケット抽出部102に接続されているデータ抽出部103に送出される。典型的には、分離されたネットワークインターフェース層ヘッダは、LANフレーム生成部107でLANフレームを生成する際に再利用される。変換対象データを含むLANフレームが送出されるMACアドレスを登録しておくことができ、その場合は、IPパケット抽出部102は、発信元MACアドレスが登録したMACアドレスに等しいLANフレームを選別して処理することができる。また、LANフレーム変換処理部110内にデータ変換条件記憶部(図示せず)を設けておき、そこに複数の発信元MACアドレスと、それに対してデータ変換部105で行うべきデータ変換の条件を記憶させておくこともできる。IPパケット抽出部102は、具体的には、上述の情報処理を行うためのプロセッサやメモリを備えたカスタムICとすることができる。
【0025】
データ抽出部103は、IPパケット抽出部102から受信したIPパケットに対して、変換対象のデータを含むIPパケットを特定し、それに対してIPヘッダ及びトランスポート層ヘッダと搬送されるデータを分離してデータを抽出する構成要素である。抽出したデータは、データ抽出部103に接続されている変換対象データ再構成部104に送出される。変換対象データを含むパケットが送出されるIPアドレスを登録しておくことができ、その場合、データ抽出部103は、当該IPアドレスのIPパケットを選別することができる。また、LANフレーム変換処理部110内にデータ変換条件記憶部(図示せず)を設けておき、そこに複数の発信元IPアドレスと、それに対してデータ変換部105で行うべきデータ変換の条件を記憶させておくこともできる。典型的には、分離されたIPヘッダ及びトランスポート層ヘッダは、IPパケット生成部106でIPパケットを生成する際に再利用される。図5に示すように、IPヘッダには、どのトランスポート層プロトコルが使用されるのかを示す数値部(TCPなら6H、UDPなら11H、ICMPなら1Hなど)があるため、それに従ってトランスポート層プロトコルが特定され、その規則に従って処理される。データ抽出部103は、具体的には、上述の情報処理を行うためのプロセッサやメモリを備えたカスタムICとすることができる。
【0026】
変換対象データ再構成部104は、データ抽出部103で抽出されたデータから変換対象のデータを含むものを特定し、それに基づいて、アプリケーション層で使用される変換対象データを再構成し、一時的記憶領域に記憶させる構成要素である。ストリーミングデータは、アプリケーション層でRTP(Real-time Transport Protocol)、RTCP(Real time Transport Control Protocol)はなどのプロトコルが使用されることが多い。図5に示すように、UDPプロトコルにおけるヘッダには、どのアプリケーション層プロトコルが使用されるのかを示す数値部(RTPなら5004、RTCPなら5005など)があるため、それに従ってアプリケーション層プロトコルが特定され、その規則に従って処理される。変換対象のデータがどのアプリケーション層プロトコルで送られてくるのかをあらかじめ指定しておくことができ、RTPプロトコルが指定されている場合は、変換対象データ再構成部104はRTPのデータを選別し、それに対して、要すればヘッダ分離などの処理を行ってデータを抽出する。そして、パケットに分割されていたデータを結合して、適切な単位にまとめてメモリ上に展開する。なお、ビデオデータはH.264、MPEG2、MPEG4などの形式で符号化されていてもよい。また、オーディオデータであれば、MP3などの形式で符号化(エンコード)されていてもよい。符号化されている場合は、復号(デコード)して元のデータを取得する。変換対象データ再構成部104は、具体的には、上述の情報処理を行うためのプロセッサやメモリを備えたカスタムICとすることができる。
【0027】
データ変換部105は、一時的記憶領域に記憶された変換対象データに所定のデータ変換を実行して変換データを生成する構成要素である。データ変換は、搬送されているビデオデータやオーディオデータなどをより視聴に適した画像や音声に変換するものである。すなわち、ビデオデータやオーディオデータによって表わされるアナログ的な画像情報や音声情報を変換する。その際に、データ変換によって、データ量が増減することがあるが、それによって、変換データをIPパケットにしたときのパケット数が変化することとなる。このように、本願発明は、パケットで搬送されるデータに単に何らかの修正を加えるというものではなく、パケットで搬送されるデータが集まって表わす画像、音声などのユーザによって体験されるアナログ的情報の特性を変換するものであり、それによって生じるパケット数の増減などを許容している。なお、ビデオデータがH.264、MPEG2、MPEG4などの符号化ビデオデータであったり、オーディオデータがMP3などの符号化オーディオデータであった場合には、アナログ的特性を変換したデータを同じ符号化形式で符号化し、それを変換データとすると好適である。どのようなデータに対してどのようなデータ変換を行うかを、LANフレーム変換処理部110内のデータ変換条件記憶部(図示せず)に記憶させている場合は、それに応じてデータ変換の種類や条件を変更することができる。例えば、特定のMACアドレスや特定のIPアドレスからのデータや、特定のデータ形式(ビデオ、オーディオ、符号化ビデオ、符号化オーディオ)に対して、特定の種類のデータ変換を特定の条件で実施させることができる。データ変換した結果である変換データは、IPパケット生成部106に送出される。データ変換部105は、具体的には、上述の情報処理を行うためのプロセッサやメモリを備えたカスタムICとすることができる。
【0028】
具体的には、変換対象データをストリーミングオーディオデータとすることができ、データ変換によるアナログ的特性の変換は、音声スペクトラムの周波数毎の強度を変更する(例えば、低音を強調するなど)周波数特性変換処理、音量レベルを変更する(音量が小さい場合に音量を上げるなど)音量レベル調節処理、ビットレートやサンプリング周波数を変更するビットレート変換処理、音声のノイズ成分のレベルを低減させるノイズ低減処理、音声の鮮明度を強化・向上させる明瞭化処理、などとすることができる。
【0029】
また、前記変換対象データをストリーミングビデオデータとすることができ、データ変換によるアナログ的特性の変換は、画面の縦×横の解像度を変換する解像度変換処理、画面の明るさを変換する輝度レベル調節処理、ビットレートを変更するビットレート変換処理、画像のノイズ成分のレベルを低減させるノイズ低減処理、画像の鮮明度を強化・向上させる鮮明化処理、などとすることができる。
【0030】
IPパケット生成部106は、生成された変換データをパケットに分解し、それぞれにトランスポート層ヘッダ及びIPヘッダを付加してIPパケットを生成する構成要素である。生成されたIPパケットは、LANフレーム生成部107に送出される。変換データは、まず、適切なデータ長に分割される。付加されるトランスポート層ヘッダ及びIPヘッダは、データ抽出部103で分離されたトランスポート層ヘッダ及びIPヘッダを再利用すると好適である。
【0031】
LANフレーム生成部107は、生成されたIPパケットにネットワークインターフェース層ヘッダ及びトレーラを付加して出力LANフレームを生成する構成要素である。生成された出力LANフレームは、LAN接続ポート101bに送出され、ネットワークへと流される。付加されるネットワークインターフェース層ヘッダは、IPパケット抽出部102で分離されたネットワークインターフェース層ヘッダを再利用すると好適である。
【0032】
(ネットワーク中継機器100の動作)
次に、第1の実施形態にかかるネットワーク中継機器100の動作の説明をする。図6は、ネットワーク中継機器100の動作フロー図である。LAN接続ポート101aには、ネットワークカメラなどのストリーミングビデオデータなどを送信する機材がネットワークで接続されている。ネットワークカメラは、動画を撮影し、それを例えばH.264で符号化した符号化ビデオデータを生成する。その符号化ビデオデータは、例えば、アプリケーション層でRTPプロトコルによってデータ転送が制御され、トランスポート層ではUDPプロトコルによってセッションが制御され、インターネット層ではIPプロトコルによってネットワーク間中継が制御され、ネットワークインターフェース層ではイーサネットによってデータ伝達が制御されことにより、LANフレームとしてネットワークに送出される。LAN接続ポート101aは、接続されたネットワークから一連のLANフレームを受信してIPパケット抽出部102に伝達し、IPパケット抽出部102はそのLANフレームからIPパケットを抽出する(ステップS101)。
【0033】
その際に、使用するネットワークカメラなどのMACアドレスを予め登録していた場合は、受信したLANフレームのヘッダに含まれる発信元MACアドレスが、登録したMACアドレスに等しいLANフレームのみを選別し、他のLANフレームを廃棄することもできる。また、データ変換条件記憶部に、特定の発信元MACアドレスからのデータに対して実施されるべきデータ変換の種類や条件が記憶されている場合は、LANフレームのヘッダに含まれる発信元MACアドレスあるいはそれに対応して実施されるべきデータ変換の種類や条件をデータ変換部105に伝達して、それに従ってデータ変換を実行させることもできる。抽出したIPパケットは、データ抽出部103に送出される。ここで分離されたネットワークインターフェース層ヘッダの値はLANフレーム変換処理部110内で記憶されており、LANフレーム生成部107でLANフレームを生成する際に再利用される。
【0034】
次に、データ抽出部103は、IPパケット抽出部102から受信したIPパケットに対して、変換対象のデータを含むIPパケットを特定し、それに対してIPヘッダ及びトランスポート層ヘッダと搬送されるデータを分離して搬送されるデータを抽出する(ステップS102)。ストリーミングデータであればトランスポート層のプロトコルはTCPではなくUDPが使用されることが多い。従って、その場合は、データ抽出部103は、まずUDPのトランスポート層ヘッダが付加されているパケットを選別し、それに対して、IPヘッダ及びトランスポート層ヘッダの分離を行ってデータを抽出する。
【0035】
その際に、使用するネットワークカメラなどのIPアドレスを予め登録していた場合は、IPパケットのヘッダに含まれる発信元IPアドレスが、登録したIPアドレスに等しいIPパケットのみを選別し、他のIPパケットを廃棄することもできる。また、データ変換条件記憶部に、特定の発信元IPアドレスからのデータに対して実施されるべきデータ変換の種類や条件が記憶されている場合は、IPヘッダに含まれる発信元IPアドレスあるいはそれに対応して実施されるべきデータ変換の種類や条件をデータ変換部105に伝達して、それに従ってデータ変換を実行させることができる。
【0036】
上記の例ではIPヘッダ及びトランスポート層ヘッダの分離を同時に実施したが、まず、IPパケットからIPヘッダを分離してIPパケットに搬送されるデータを抽出し、必要であれば何らかの処理を実行し、その後にトランスポート層ヘッダを分離してもよい。
【0037】
次に、変換対象データ再構成部104は、トランスポート層(UDPなど)のヘッダ部よりアプリケーション層プロトコルを判別し、変換対象データを搬送するものとして指定されたアプリケーション層プロトコルで搬送されているデータを選別し、それに基づいて変換対象データを再構成して一時的に処理領域に格納する(ステップS103)。再構成された変換対象データは、変換対象データ再構成部104に接続されているデータ変換部105に送出される。変換対象データ再構成部104は、指定された変換対象のデータのためのアプリケーション層プロトコル(RTPなど)はRTPのデータを選別し、それに対して、プロトコルの規格に基づいて要すればヘッダ分離などの処理を行って搬送されるデータを抽出する。そして、パケットに分割されていたデータを結合し、例えば、ビデオデータであれば1フレーム単位などの、オーディオデータであれば所定の時間単位などの、適切な単位にまとめてメモリ上に展開して一時的に記憶させる。なお、ビデオデータはH.264、MPEG2、MPEG4などの形式で符号化されていてもよく、この場合、データ抽出部103は、それらの符号化ビデオデータの規格に定められた適切な単位で復号し、元のビデオデータを得ることになる。また、オーディオデータであれば、MP3などの形式で符号化(エンコード)されていてもよく、この場合、データ抽出部103は、それらの符号化オーディオデータの規格に定められた適切な単位で復号(デコード)し、元のオーディオデータを得ることになる。
【0038】
次に、データ変換部105は、一時的に格納された変換対象データに所定のデータ処理(鮮明化処理など)を施すことによってデータ変換を実行する(ステップS104)。データ変換により生成された変換データは、データ変換部105に接続されているIPパケット生成部106に送出される。データ変換では、変換対象データが表わしているアナログ的特性(ビデオであればRGB毎の信号強度を有する画素の集合、オーディオであれば波形など)が表わされている変換対象データのアナログ特性を変換した変換データを生成する。どのようなデータに対してどのようなデータ変換を行うかを、LANフレーム変換処理部110内のデータ変換条件記憶部(図示せず)に記憶させている場合は、それに応じてデータ変換の種類や条件を変更する。
【0039】
なお、変換対象データ再構成部104において、ビデオデータがH.264、MPEG2、MPEG4などの符号化ビデオデータであったり、オーディオデータがMP3などの符号化オーディオデータであった場合には、アナログ的特性を変換したデータを同じ符号化形式で符号化し、それを変換データとすると好適である。あるいは、符号化時に別の符号化形式で符号化することによって、搬送されるデータの符号化形式を変換することも可能である。
【0040】
変換対象データがストリーミングオーディオデータである場合には、以下のようなデータ変換の種類や条件を使用することができる。例えば、データ変換の種類を周波数特性変換処理とすることができ、オーディオデータが表わす音声の周波数分布(スペクトラム)の周波数毎の強度を変更することができる。このとき、何Hzから何Hzまでの音声のレベルを何dB増加あるいは減少させるかということをデータ変換条件とすることができる。
【0041】
また、データ変換の種類を音量レベル調節処理とすることができ、オーディオデータが表わす音声のレベルを変更することができる。このとき、音声のレベルをどの程度増加あるいは減少させるかということをデータ変換条件とすることができる。
【0042】
また、データ変換の種類をビットレート変換処理とすることができ、オーディオデータが音声を表わすために量子化しているデータのビットレートやサンプリング周波数を変更することができる。このとき、ビットレートやサンプリング周波数をデータ変換条件とすることができる。
【0043】
また、データ変換の種類をノイズ低減処理とすることができ、オーディオデータが表わす音声からノイズ成分を低減させることができる。このとき、ノイズとして除去する音声成分の特性や低減の程度などをデータ変換条件とすることができる。
【0044】
また、データ変換の種類を明瞭化処理とすることができ、オーディオデータが表わす音声の波形を処理することにより明瞭度を上げることができる。このとき、波形の処理の方法や程度などをデータ変換条件とすることができる。
【0045】
また、変換対象データがストリーミングビデオデータである場合には、以下のようなデータ変換の種類や条件を使用することができる。例えば、データ変換の種類を解像度変換処理とすることができ、画面の縦×横の解像度を変換することができる。このとき、縦×横の解像度をデータ変換条件とすることができる。
【0046】
また、データ変換の種類を輝度レベル調節処理とすることができ、ビデオが表わす画面の輝度レベルを変更することができる。このとき、このとき、輝度レベルをどの程度増加あるいは減少させるかということをデータ変換条件とすることができる。
【0047】
また、データ変換の種類をビットレート変換処理とすることができ、ビデオデータが画像を表わすために量子化しているデータのビットレートやサンプリング周波数を変更することができる。このとき、ビットレートやサンプリング周波数をデータ変換条件とすることができる。
【0048】
また、データ変換の種類をノイズ低減処理とすることができ、ビデオデータが表わす画像からノイズ成分を低減させることができる。このとき、ノイズとして除去する画像成分の特性や低減の程度などをデータ変換条件とすることができる。
【0049】
また、データ変換の種類を明瞭化処理とすることができ、ビデオデータが表わす画像の波形信号を処理することにより画像の鮮明度を強化・向上させることができる。このとき、波形の処理の方法や程度などをデータ変換条件とすることができる。
【0050】
次に、IPパケット生成部106は、処理された変換データをパケット処理のデータ格納領域に格納した後、パケットに分解してIPパケットを生成する(ステップS105)。すなわち、IPパケット生成部106は、生成された変換データをパケットに分解し、それぞれにトランスポート層ヘッダ及びIPヘッダを付加してIPパケットを生成する。生成されたIPパケットは、LANフレーム生成部107に送出される。具体的には、変換データは、まず、パケット化のための適切なデータ長に分割され、トランスポート層ヘッダ(UDPヘッダなど)が付加され、さらにIPヘッダが付加されてIPパケットが生成される。付加するヘッダは、データ抽出部103で分離されたトランスポート層ヘッダ及びIPヘッダを再利用すると好適である。
【0051】
上記の例ではIPヘッダ及びトランスポート層ヘッダの付加を同時に実施したが、まず、トランスポート層ヘッダを付加してセグメントを生成し、必要であれば何らかの処理を実行し、その後IPヘッダを付加してIPパケットを生成してもよい。
【0052】
次に、LANフレーム生成部107が、生成されたIPパケットから出力LANフレームを生成して、LAN接続ポート101bへと出力する(ステップS106)。具体的には、LANフレーム生成部107は、生成されたIPパケットにネットワークインターフェース層ヘッダ及びトレーラを付加して出力LANフレームを生成する。付加されるネットワークインターフェース層ヘッダは、IPパケット抽出部102で分離されたネットワークインターフェース層ヘッダを再利用すると好適である。
【0053】
(ネットワーク中継機器200の構成)
次に、本発明の第2の実施形態の説明を行う。まず、本発明の第1の実施形態に係るネットワーク中継機器100の構成の説明をする。図1は、ネットワーク中継機器100のブロック図である。第1の実施形態は、ローカルエリアネットワーク(LAN)などのネットワークから受信したデータ信号であるLANフレームを、宛先及び送信元のMACアドレスを変えずに送出するリピータハブの構成を基本とする一方、搬送されるデータに所定のデータ変換を実行するネットワーク中継機器である。
【0054】
図1を参照すると、ネットワーク中継機器100は、LAN接続ポート101a、101b、LANフレーム変換処理部110から構成される。LANフレーム変換処理部110は、さらに、IPパケット抽出部102、データ抽出部103、変換対象データ再構成部104、データ変換部105、IPパケット生成部106、LANフレーム生成部107から構成される。
【0055】
LAN接続ポート101a、101bは、イーサネットなどのネットワークインターフェース層における物理的接続がなされるポートである。本実施形態においては、LAN接続ポート101aはネットワークからのデータ信号が入力されるポートである。LAN接続ポート101aはIPパケット抽出部102に接続されており、ネットワークから受信したデータ信号を、IPパケット抽出部102に伝達する。一方、LAN接続ポート101bはネットワークにデータ信号を送信するポートである。LAN接続ポート101bは、LANフレーム生成部107に接続されており、LANフレーム生成部107から出力されたデータ信号をネットワークに送出する。このようにして、LAN接続ポート101aから入力されたデータ信号に含まれる変換対象データに適切なデータ変換がなされて、変換データを含むデータ信号としてLAN接続ポート101bから出力される。
【0056】
(ネットワーク中継機器200の構成)
次に、本発明の第2の実施形態の説明を行う。まず、本発明の第2の実施形態に係るネットワーク中継機器200の構成の説明をする。図2は、ネットワーク中継機器200のブロック図である。第2の実施形態は、ローカルエリアネットワーク(LAN)などのネットワークから受信したデータ信号であるLANフレームを、宛先及び送信元のMACアドレスを変えずに送出するが、宛先MACアドレスによって送出するLAN接続ポートを切り替えるL2スイッチの構成を基本とする一方、搬送されるデータに所定のデータ変換を実行するネットワーク中継機器である。
【0057】
図2を参照すると、ネットワーク中継機器200は、LAN接続ポート201a、201b、201c、LANフレーム変換処理部210から構成される。LANフレーム変換処理部210は、さらに、IPパケット抽出部202、データ抽出部203、変換対象データ再構成部204、データ変換部205、IPパケット生成部206、LANフレーム生成部207、LAN接続ポート切り替え部208から構成される。
【0058】
ネットワーク中継機器200の構成要素において、ネットワーク中継機器100の構成要素と、100番台の数値のみが異なる参照番号を有する構成要素は、それと同様の構造を有している。ネットワーク中継機器200においては、ネットワーク中継機器100と比較すると、LAN接続ポート101c、LAN接続ポート切り替え部208を構成要素として更に有しているところが大きく異なっている。以下、その異なる部分について説明する。
【0059】
LAN接続ポート201cは、LAN接続ポート201a、201bと同じく、イーサネットなどのネットワークインターフェース層における物理的接続がなされ、必要な信号の電気的増幅などを行う機能を有するポートである。LAN接続ポート201aはネットワークからのデータ信号が入力されるポートである。LAN接続ポート201b、201cはネットワークにデータ信号を送信するポートである。LAN接続ポート201b、201cは、LAN接続ポートス切り替え部208に接続されており、そこでどちらにデータ信号を送出するかが切り替えられる。なお、1つのLAN接続ポートは、送信側にも受信側にもなれるが、本実施例では、LAN接続ポート201aは受信側、LAN接続ポート201b、201cは送信側のポートとして使用される場合を想定している。
【0060】
LAN接続ポート切り替え部208は、LANフレーム生成部207に接続されており、LANフレーム生成部207から出力されたデータ信号をLAN接続ポート201b、201cのいずれかを選択して送出し、データ信号をネットワークに送出する。LAN接続ポート201b、201cのいずれを選択するかは、データ信号の宛先MACアドレスと、それぞれのネットワーク側に接続された機器のMACアドレスとの関係で決定される。すなわち、LAN接続ポート201b、201cは、それに接続されているネットワーク機器のMACアドレスに関連付けられており、送出するデータ信号のネットワークインターフェース層の宛先MACアドレスがそれと一致するLAN接続ポートが選択されて、そちらにデータ信号が送出される。
【0061】
(ネットワーク中継機器200の動作)
次に、第2の実施形態にかかるネットワーク中継機器200の動作の説明をする。図7は、本発明の第2の実施形態に係るネットワーク中継機器200の動作フロー図である。
【0062】
ネットワーク中継機器200の動作フローにおいて、ネットワーク中継機器100の動作フローと、100番台の数値のみが異なる参照番号を有するステップは、それと同様の処理を実施する。ネットワーク中継機器200においては、ネットワーク中継機器100と比較すると、ステップS207を更に有しているところが大きく異なっている。以下、その異なる部分について説明する。
【0063】
LAN接続ポート切り替え部208は、あらかじめ、LAN接続ポート201b、201cに接続されているネットワーク機器のMACアドレスを、それとの通信時に取得している。LAN接続ポート切り替え部208は、LANフレーム生成部207から出力された出力LANフレームを受信し、出力LANフレームのヘッダ内の宛先MACアドレスと同じMACアドレスのネットワーク機器が接続されているLAN接続ポートをLAN接続ポート201b、201cの間で選択して、そちらに出力LANフレームを送出する(ステップS207)。出力LANフレームのヘッダ内の宛先MACアドレスと同じMACアドレスのネットワーク機器が接続されていない場合は、いずれのLAN接続ポート201b、201cにもデータ信号を出力しない。なお、LAN接続ポート切り替え部208には、3つ以上のLAN接続ポートを接続して、同様に出力を切り替えることもできる。
【0064】
(ネットワーク中継機器300の構成)
次に、本発明の第3の実施形態の説明を行う。まず、本発明の第3の実施形態に係るネットワーク中継機器300の構成の説明をする。図3は、ネットワーク中継機器300のブロック図である。第3の実施形態は、ローカルエリアネットワーク(LAN)などのネットワークから受信したデータ信号であるLANフレーム内のIPヘッダにおいて、ネットワーク中継機器300に割り当てられたIPアドレスに従って発信元IPアドレスを付与し、ネットワーク経路に従った宛先IPアドレスを含むルーティングテーブルに従って宛先IPアドレスを付与するようなルータの構成を基本とする一方、搬送されるデータに所定のデータ変換を実行するネットワーク中継機器である。
【0065】
図3を参照すると、ネットワーク中継機器300は、LAN接続ポート301a、301b、LANフレーム変換処理部310から構成される。LANフレーム変換処理部310は、さらに、IPパケット抽出部302、データ抽出部303、変換対象データ再構成部304、データ変換部305、IPパケット生成部306、LANフレーム生成部307、ルーティングテーブル309から構成される。
【0066】
ネットワーク中継機器300の構成要素において、ネットワーク中継機器100の構成要素と、100番台の数値のみが異なる参照番号を有する構成要素は、それと同様の構造を有している。ネットワーク中継機器300においては、ネットワーク中継機器300と比較すると、ルーティングテーブルを構成要素として更に有しており、IPパケット生成部306がそれと接続されているところが大きく異なっている。以下、その異なる部分について説明する。
【0067】
ルーティングテーブル309は宛先への経路の一覧を記憶したメモリ領域であり、公知のデータテーブル構造を有している。ルーティングテーブル309は、IPパケット生成部306と接続されており、IPパケット生成部306がIPヘッダ内の宛先IPアドレスを決定する際に使用される。
【0068】
(ネットワーク中継機器300の動作)
次に、第3の実施形態にかかるネットワーク中継機器300の動作の説明をする。図8は、本発明の第3の実施形態に係るネットワーク中継機器300の動作フロー図である。
【0069】
ネットワーク中継機器300の動作フローにおいて、ネットワーク中継機器100の動作フローと、100番台の数値のみが異なる参照番号を有するステップは、それと同様の処理を実施する。ネットワーク中継機器300においては、ネットワーク中継機器100と比較すると、ステップS105に対応するステップが、追加的な処理を行うステップS305Aとなっているところが大きく異なっている。以下、その異なる部分について説明する。
【0070】
ルーティングテーブル309は宛先への経路の一覧を記憶している。IPパケット生成部306は、処理された変換データをパケット処理のデータ格納領域に格納した後、ルーティングテーブル309を参照し公知の方法によりヘッダを決定することによりルーティングを行うと共に、変換データをパケットに分解してIPパケットを生成する(ステップS305A)。すなわち、IPパケット生成部106は、生成された変換データをパケットに分解し、それぞれにトランスポート層ヘッダ及びIPヘッダを付加してIPパケットを生成する。生成されたIPパケットは、LANフレーム生成部107に送出される。具体的には、変換データは、まず、パケット化のための適切なデータ長に分割され、トランスポート層ヘッダ(UDPヘッダなど)が付加され、さらにIPヘッダが付加されてIPパケットが生成される。付加するヘッダは、データ抽出部103で分離されたトランスポート層ヘッダ及びIPヘッダを参照し、ルーティングテーブル309を参照して決定される。なお、一連のルーティング動作の間に、MACアドレスのレベルの操作を含むプロトコル(ARPなど)を実施する必要がある場合は、公知の方法によって実行される。
【0071】
以上に説明してきた各実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない限り、種々の形態で実施することができる。
【符号の説明】
【0072】
100 ネットワーク中継機器
101a、101b LAN接続ポート
102 IPパケット抽出部
103 データ抽出部
104 変換対象データ再構成部
105 データ変換部
106 IPパケット生成部
107 LANフレーム生成部
200 ネットワーク中継機器
201a、201b、201c LAN接続ポート
202 IPパケット抽出部
203 データ抽出部
204 変換対象データ再構成部
205 データ変換部
206 IPパケット生成部
207 LANフレーム生成部
208 出力LAN接続ポート切り替え部
300 ネットワーク中継機器
301a、301b LAN接続ポート
302 IPパケット抽出部
303 データ抽出部
304 変換対象データ再構成部
305 データ変換部
306 IPパケット生成部
307 LANフレーム生成部
309 ルーティングテーブル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8