(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
捕獲された鳥獣を所定の搬入場所に搬入した搬入者を特定する搬入者特定データと前記捕獲された鳥獣の捕獲状況を記録する捕獲状況データとを含む搬入報告データを、前記搬入者により操作される通信端末から搬入管理サーバに送信するステップと、
前記搬入管理サーバにおいて、前記捕獲された鳥獣が搬入された搬入時刻を前記搬入報告データに付加することにより搬入受付データを作成し、前記搬入受付データを前記搬入管理サーバから前記通信端末に送信するステップと、
前記搬入管理サーバから照合サーバに対して前記搬入受付データの控えである受付控えデータを送信するステップと、
前記通信端末から前記照合サーバに対して前記搬入受付データを送信するステップと、
前記照合サーバにおいて、前記搬入管理サーバから送信された前記受付控えデータと前記通信端末から送信された前記搬入受付データとを照合して前記捕獲された鳥獣の処分費用の支払いを決定するステップと、
を備える鳥獣処分管理方法。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態を詳しく説明する。図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0016】
[1.鳥獣処分管理システム100の構成]
[1.1.全体構成]
図1は、本発明の実施の形態に係る鳥獣処分管理システム100の構成を示す機能ブロック図である。鳥獣処分管理システム100は、野生のニホンジカを捕獲した狩猟者が捕獲費用の支払いを地方自治体に申請し、捕獲されたニホンジカを解体する解体業者が処分費用の支払いを地方自治体に申請するために用いられる。
【0017】
図1に示すように、鳥獣処分管理システム100は、携帯通信端末1と、搬入管理サーバ2と、照合サーバ3と、インターネット4とを備える。
【0018】
携帯通信端末1は、狩猟者が所有する通信端末である。捕獲したニホンジカが解体業者により指定された搬入場所に搬入された際に、携帯通信端末1は、狩猟者の操作に応じて、搬入報告データ41を作成して搬入管理サーバ2に送信する。搬入報告データ41は、ニホンジカを搬入した狩猟者に関するデータと、ニホンジカの捕獲状況に関するデータとを含む。搬入報告データ41の詳細については、鳥獣処分管理システム100の動作において詳しく説明する。
【0019】
搬入管理サーバ2は、捕獲されたニホンジカを解体する解体業者によって操作されるコンピュータであり、搬入場所に隣接する解体業者の事務所に設置される。搬入管理サーバ2は、搬入報告データ41を携帯通信端末1から取得し、取得した搬入報告データ41を用いて、搬入受付データ42と、受付控えデータ43とを作成する。
【0020】
搬入受付データ42は、管理番号及び搬入時刻を搬入報告データ41に付加したデータである。管理番号は、搬入受付データ42を一意に特定する識別番号である。搬入時刻は、搬入管理サーバ2が搬入報告データ41を取得した時刻である。搬入受付データ42は、搬入管理サーバ2から携帯通信端末1へ送信される。受付控えデータ43は、搬入受付データ42のコピーであり、搬入管理サーバ2から照合サーバ3に送信される。
【0021】
搬入受付データ42及び受付控えデータ43の詳細については、後述する鳥獣処分管理システム100の動作において詳しく説明する。
【0022】
照合サーバ3は、地方自治体の庁舎に設置されるコンピュータであり、地方自治体の職員によって操作される。上述のように、携帯通信端末1は、搬入受付データ42を搬入管理サーバ2から取得した後に、捕獲費用の申請のために、取得した搬入受付データ42を照合サーバ3に送信する。照合サーバ3は、取得した搬入受付データ42と取得した受付控えデータ43とを照合して、捕獲費用及び処分費用を支払うか否かを決定する。具体的には、照合サーバ3は、搬入受付データ42の内容が受付控えデータ43の内容と一致する場合、捕獲費用及び処分費用の支払いを決定する。
【0023】
[1.2.携帯通信端末1の構成]
図2は、
図1に示す携帯通信端末1の構成を示す機能ブロック図である。
図1に示す携帯通信端末1は、例えば、タブレット型端末、スマートフォン、携帯電話などである。
【0024】
携帯通信端末1は、CPU11(Central Processing Unit)と、RAM(Random Access Memory)12と、タッチパネル13と、フラッシュメモリ14と、無線通信インタフェース15とを備える。
【0025】
CPU11は、フラッシュメモリ14に格納された各種プログラムをRAM12にロードし、ロードされたプログラムを実行して携帯通信端末1を制御する。RAM12は、携帯通信端末1のメインメモリである。タッチパネル13は、CPU11によるプログラムの実行結果等を表示するとともに、タッチされた位置を操作情報として出力する。
【0026】
フラッシュメモリ14は、不揮発性の半導体メモリであり、報告プログラム17と、搬入報告データ41とを記憶する。報告プログラム17は、搬入報告データ41を作成するためのアプリケーションプログラムである。
【0027】
無線通信インタフェース15は、図示しない携帯電話通信網を介してインターネット4に接続し、搬入管理サーバ2及び照合サーバ3と通信する。
【0028】
[1.3.搬入管理サーバ2の構成]
図3は、
図1に示す搬入管理サーバ2の構成を示す機能ブロック図である。
図3に示すように、搬入管理サーバ2は、CPU21と、RAM22と、ディスプレイ23と、HDD(hard disk drive)24と、USB(Universal Serial Bus)インタフェース25と、通信インタフェース26とを備える。
【0029】
CPU21は、HDD24に格納された各種プログラムをRAM22にロードし、ロードされたプログラムを実行して搬入管理サーバ2を制御する。RAM22は、搬入管理サーバ2のメインメモリである。ディスプレイ23は、プログラムの実行結果を表示する。
【0030】
HDD24は、搬入管理プログラム29と、搬入受付データ42と、受付控えデータ43と、動画像データ44とを記憶する。搬入管理プログラム29は、コンピュータを搬入管理サーバ2として動作させるためのプログラムである。動画像データ44は、ニホンジカが解体場所に搬入される様子を撮影したデータであり、カメラ27により生成される。
【0031】
USBインタフェース25は、USB通信を行うためのインタフェースであり、カメラ27及びプリンタ28と接続される。カメラ27は、搬入場所に設置され、捕獲されたニホンジカの搬入される様子を撮影する。プリンタ28は、搬入場所に設置され、搬入受付データ42を印刷する。
【0032】
なお、カメラ27の設置位置と搬入管理サーバ2の設置位置とが離れているため、USBケーブルを用いてカメラ27を搬入管理サーバ2に接続できない場合がある。この場合、カメラ27を、無線LANや、インターネット4等を介して搬入管理サーバ2に接続すればよい。
【0033】
通信インタフェース26は、インターネット4を介して携帯通信端末1及び照合サーバ3と通信する。
【0034】
[1.4.照合サーバ3の構成]
図4は、
図1に示す照合サーバ3の構成を示す機能ブロック図である。
図3に示すように、照合サーバ3は、CPU31と、RAM32と、ディスプレイ33と、HDD34と、通信インタフェース35とを備える。
【0035】
CPU31は、HDD34に格納された各種プログラムをRAM32にロードし、ロードされたプログラムを実行して照合サーバ3を制御する。RAM32は、照合サーバ3のメインメモリである。ディスプレイ33は、プログラムの実行結果を表示する。
【0036】
HDD34は、照合プログラム36を記憶する。照合プログラム36は、コンピュータを照合サーバ3として動作させるためのプログラムである。通信インタフェース35は、インターネット4を介して携帯通信端末1及び搬入管理サーバ2と通信する。
【0037】
[2.ニホンジカの処分の概略]
図5は、ニホンジカを捕獲してから処分するまでの概略を説明する図である。ニホンジカの処分の概略の説明では、携帯通信端末1、搬入管理サーバ2及び照合サーバ3の動作に関する説明を省略する。
【0038】
地方自治体は、1年間にニホンジカを捕獲する頭数を決定し、決定した頭数のニホンジカの捕獲を、猟友会や地方自治体内の集落など、狩猟免許を保持する団体に委託する。
【0039】
捕獲を委託された団体の構成員(以下、「狩猟者」と呼ぶ。)は、予め定められている狩猟期間において、ニホンジカを捕獲する(ステップS1)。ニホンジカは、銃や、わななどにより捕獲される。狩猟者は、捕獲したニホンジカが生きている場合、その場で殺処分を行う。
【0040】
狩猟者は、捕獲したニホンジカを、解体業者により指定された搬入場所に搬入する(ステップS2)。狩猟者は、捕獲したニホンジカを解体場所に設置された冷蔵庫に収め、捕獲したニホンジカを搬入したことを解体業者に報告する。
【0041】
解体業者は、搬入場所に搬入されたニホンジカを解体する(ステップS3)。ニホンジカが解体されることにより、搬入されたニホンジカが最終的に処分される。解体により得られた鹿肉が食用として適している場合、解体業者は、得られた鹿肉を食肉業者に販売する。解体により得られた鹿肉が食用として適していない場合、解体業者は、例えば、ペットフードの原材料として鹿肉を使用する。
【0042】
狩猟者は、ニホンジカの捕獲費用の支払いを地方自治体に申請し、解体業者は、ニホンジカの処分費用の支払いを地方自治体に申請する(ステップS4)。地方自治体は、狩猟者及び解体業者からの申請に応じて、捕獲費用及び処分費用を支払う。
【0043】
このように、狩猟者が捕獲したニホンジカを解体場所に搬入し、解体業者が搬入されたニホンジカを解体して鹿肉として利用する。この結果、解体業者は、原料であるニホンジカを安定的に入手することができるため、ニホンジカを入手する労力から解放される。また、狩猟者は、捕獲したニホンジカの最終処分(埋め立て処分、焼却処分など)を行わなくても良いため、狩猟者の負担が軽減される。特に、集落の住民において、捕獲したニホンジカを単に殺して処分することにより生じる倫理上の心理的負担の軽減が図られる。
【0044】
なお、上述した鹿肉の用途は、あくまで一例であり、解体された鹿肉を他の用途で使用してもよい。
【0045】
[3.鳥獣処分管理システム100の動作]
以下、鳥獣処分管理システム100を構成する携帯通信端末1、搬入管理サーバ2及び照合サーバ3の動作を詳しく説明する。以下、ニホンジカを捕獲した狩猟者が、搬入場所に捕獲したニホンジカを搬入する場合を例にして説明する。
【0046】
[3.1.ニホンジカの搬入]
図6は、捕獲したニホンジカを搬入する搬入場所を示す図であり、搬入場所を上から見た見取り図に対応する。
図6に示すように、搬入場所において、自動車の駐車スペース53が予め指定されている。カメラ27は、駐車スペース53を撮影可能な位置に配置される。これにより、カメラ27は、ニホンジカを搬入する車のナンバーを撮影するとともに、捕獲されたニホンジカが搬入される様子を撮影することができる。
【0047】
図7は、
図1に示す鳥獣処分管理システム100の動作を示すシーケンス図である。
図7に示すように、カメラ27は、ニホンジカの搬入が開始された場合、撮影を開始する(ステップS11)。具体的には、図示しない距離センサが、自動車が予め指定された駐車スペースに停車したことを検出した場合、カメラ27は、ニホンジカの搬入が開始されると判断して、動画像データ44の生成を開始する。搬入管理サーバ2は、カメラ27により生成された動画像データ44を取得して、HDD24に記憶する。あるいは、カメラ27は、搬入場所にニホンジカを搬入することができる指定時間において、撮影を継続してもよい。
【0048】
狩猟者は、駐車スペース53に自動車を駐車した後に、自動車に積まれているニホンジカを、冷蔵庫51及び52のいずれかに搬入する。洗車設備54は、自動車に付着したニホンジカの血を洗い流すために設けられる。
【0049】
[3.2.搬入報告データ41の作成]
狩猟者は、捕獲したニホンジカを冷蔵庫51及び52のいずれかに収めた後に、携帯通信端末1を操作して、搬入したニホンジカの捕獲状況等を携帯通信端末1に入力する。携帯通信端末1は、狩猟者による入力される情報に基づいて搬入報告データ41を作成し(ステップS12)、作成した搬入報告データ41を搬入管理サーバ2に送信する(ステップS13)。
【0050】
図8は、携帯通信端末1に表示される搬入報告画面50の一例を示す図である。狩猟者が捕獲したニホンジカを搬入しているため、狩猟者は、搬入者に関する情報として、狩猟者の氏名、住所、電話番号、自動車登録番号、団体を搬入報告画面50に入力する。搬入報告画面50において、自動車登録番号の欄には、狩猟者がニホンジカを搬入する際に使用する自動車のナンバーが入力される。団体の欄には、「集落」、「猟友会」及び「自治体職員」の各々に対応するチェックボックスが配置されている。狩猟者(搬入者)は、自身が所属する団体に対応するチェックボックスにチェックを入れる。
【0051】
次に、狩猟者は、搬入するニホンジカの捕獲状況に関する情報として、捕獲日時、捕獲場所、捕獲方法、状態、性別を搬入報告画面50に入力する。
【0052】
狩猟者は、捕獲日時として、ニホンジカを捕獲した日付と、捕獲時のおおよその時刻を入力する。捕獲場所は、ニホンジカを捕獲した場所を示す。
図8に示す搬入報告画面50において、狩猟者は、捕獲場所を入力する際に、地方自治体(多可町)における地区名(中区、八千代区、加美区)のいずれかのチェックボックスにチェックを入れた上で、捕獲場所の集落名を入力する。
【0053】
捕獲方法は、ニホンジカを捕獲した手段であり、狩猟者は、「わな」、「銃」、「網」、「事故」及び「その他」の各々に対応するチェックボックスのいずれかをチェックする。ここで、「事故」は、交通事故に遭ったニホンジカを捕獲したことを示す。上記の方法以外の方法によりニホンジカを捕獲した場合に、狩猟者は、「その他」に対応するチェックボックスにチェックを入れる。
【0054】
状態は、捕獲時におけるニホンジカの生死の状況を示す。捕獲時に既にニホンジカが死んでいた場合、狩猟者は、「死んでいた」に対応するチェックボックスにチェックを入れる。捕獲した時点でニホンジカが生きており、その後に殺処分をした場合、狩猟者は、「殺処分」に対応するチェックボックスにチェックを入れる。
【0055】
狩猟者は、搬入報告画面50において全ての項目を入力した後に、「完了」ボタンをタップする。携帯通信端末1は、「完了」ボタンがタップされた場合、
図8に示す搬入報告画面50に入力された全ての情報を記録した搬入報告データ41を作成する(ステップS12)。携帯通信端末1は、作成した搬入報告データ41を搬入管理サーバ2に送信する(ステップS13)。
【0056】
図9は、搬入報告データ41の一例を示す図である。
図9に示すように、搬入報告データ41は、搬入者特定データ411と、捕獲状況データ412とを含む。搬入者特定データ411は、
図8に示す搬入報告画面50において、搬入者氏名、住所、電話番号、自動車登録番号、団体の各々の欄に入力された情報により構成される。捕獲状況データ412は、
図8に示す搬入報告画面50において、捕獲日時、捕獲場所、捕獲方法、状態及び性別の各々の欄に入力された情報により構成される。
【0057】
なお、狩猟者が搬入報告データ41を作成する場所は特に限定されない。狩猟者は、解体場所において携帯通信端末1を操作して、搬入報告データ41を作成して送信してもよいし、ニホンジカを解体場所に搬入して帰宅した後に、搬入報告データ41を作成して送信してもよい。あるいは、狩猟者は、ニホンジカの捕獲場所において、
図8に示す入力項目の一部を予め入力しておいてもよい。
【0058】
[3.3.搬入受付データ42の作成]
搬入管理サーバ2は、ステップS13で送信された搬入報告データ41を取得する。搬入管理サーバ2は、取得した搬入報告データ41に基づいて搬入受付データ42を作成する(ステップS14)。搬入受付データ42は、搬入管理サーバ2が搬入報告データ41を取得するたびに作成されるため、搬入報告データ41と1対1に対応する。
【0059】
図10は、搬入管理サーバ2により作成された搬入受付データ42の一例を示す図である。
図10に示す搬入受付データ42は、管理番号421と、搬入日時422と、搬入者特定データ411と、捕獲状況データ412とを含む。つまり、搬入管理サーバ2は、搬入報告データ41に管理番号421及び搬入日時422を付加することにより、搬入受付データ42を作成する。
【0060】
管理番号421は、搬入受付データ42に一意に割り当てられる識別番号である。搬入日時422は、捕獲したニホンジカが搬入された日付及び時刻を示す。搬入日時422は、具体的には、搬入管理サーバ2が搬入報告データ41を取得した時刻である。
【0061】
搬入管理サーバ2は、搬入場所に設置されたプリンタ28に搬入受付データ42を出力する。プリンタ28は、搬入管理サーバ2から入力した搬入受付データ42を印刷する(ステップS15)。狩猟者は、搬入受付データ42の印刷物を、冷蔵庫内のニホンジカに貼り付ける。
【0062】
ニホンジカに貼り付けられた搬入受付データ42の印刷物は、ニホンジカを解体する際に参照される。例えば、ニホンジカが銃により捕獲されていた場合、ニホンジカの体内に銃弾が残っている可能性があるため、銃弾がニホンジカの体内に残っているかを否かを確認する必要がある。また、捕獲時点でニホンジカが既に死んでいた場合、ニホンジカが実際に死んでからの経過時間が不明である。この場合、ニホンジカが食用に適さない可能性があるため、解体業者は、このニホンジカから得られる鹿肉を、食用ではなく、ペットフードの原材料として使用することを決定する。このように、搬入受付データ42の印刷物を冷蔵庫内のニホンジカに貼り付けておくことにより、搬入されたニホンジカの解体方法や、解体により得られた鹿肉の用途を解体業者が容易に決定することができる。
【0063】
次に、搬入管理サーバ2は、搬入受付データ42の控えとして、受付控えデータ43を作成する(ステップS16)。具体的には、搬入管理サーバ2は、作成した搬入受付データ42のコピーを作成する。搬入管理サーバ2は、作成したコピーにおいて管理番号を変更することにより、受付控えデータ43を作成する。例えば、搬入管理サーバ2は、
図10に示す搬入受付データ42のコピーにおいて、管理番号「123456」の末尾に受付控えデータ43であることを示す文字「C」を付加することにより、受付控えデータ43を作成する。これにより、搬入受付データ42に対応する受付控えデータ43を特定することが容易となる。
【0064】
搬入管理サーバ2は、受付控えデータ43を作成した後に、作成した搬入受付データ42を携帯通信端末1に送信する(ステップS17)。携帯通信端末1は、搬入受付データ42を受信した場合、捕獲したニホンジカの搬入の受付が完了したことを通知するメッセージを表示する。これにより、ニホンジカの搬入が終了する。
【0065】
[3.4.照合サーバ3における照合]
狩猟者は、捕獲したニホンジカを搬入した後に、捕獲したニホンジカの捕獲費用の支払いを地方自治体に申請する。具体的には、携帯通信端末1は、狩猟者の操作に応じて、搬入管理サーバ2から送信された搬入受付データ42(
図10参照)を、照合サーバ3に送信する(ステップS18)。このとき、携帯通信端末1は、搬入受付データ42とともに、捕獲費用の支払先となる金融機関の口座番号を照合サーバ3に送信する。照合サーバ3が、搬入受付データ42と、金融機関の口座番号とを受信することにより、捕獲費用の申請が完了する。
【0066】
解体業者は、搬入されたニホンジカを解体した後に、搬入されたニホンジカの処分費用の支払いを地方自治体に申請する。具体的には、搬入管理サーバ2が、解体業者の操作に応じて、搬入受付データ42(
図10参照)から生成された受付控えデータ43を、照合サーバ3へ送信する(ステップS19)。
【0067】
照合サーバ3は、携帯通信端末1から搬入受付データ42を受信し、搬入管理サーバ2から受付控えデータ43を受信した場合、搬入受付データ42を受付控えデータ43と照合する(ステップS20)。
【0068】
搬入受付データ42の内容が受付控えデータ43の内容と一致する場合、照合サーバ3は、捕獲費用の申請と、処分費用の申請とが正当なものであると判断し、捕獲費用及び処分費用の支払いを決定する。後日、捕獲費用が、狩猟者により指定された振込先に振り込まれ、処分費用が、解体業者が予め指定していた振込先に振り込まれる。
【0069】
一方、搬入受付データ42の内容が受付控えデータ43の内容と一致しない場合、照合サーバ3は、捕獲費用の申請及び処分費用の申請が適切でないと判断し、捕獲費用及び処分費用を支払わないことを決定する。
【0070】
また、地方自治体の職員は、搬入受付データ42の内容又は受付控えデータ43の内容に疑義がある場合、動画像データ44を確認して、捕獲費用の申請及び処分費用の申請が適切である否かを判断することができる。例えば、同一人物が短期間に大量のニホンジカを搬入したと認められる場合、地方自治体の職員は、解体業者に対して、搬入受付データ42及び受付控えデータ43に記録された搬入日時に対応する動画像データ44の提供を依頼する。地方自治体の職員は、動画像データ44に記録されたニホンジカの搬入の様子を確認して、捕獲費用の申請及び処分費用の申請が適切であるか否かを判断することができる。
【0071】
このように、本実施の形態に係る鳥獣処分管理システム100において、携帯通信端末1は、狩猟者が捕獲したニホンジカを搬入した場合に、搬入報告データ41を搬入管理サーバ2に送信する。搬入管理サーバ2は、搬入報告データ41に管理番号及び搬入日時を付加した搬入受付データ42を生成し、携帯通信端末1に送信する。携帯通信端末1は、搬入受付データ42を照合サーバ3に送信し、搬入管理サーバ2は、搬入受付データ42の控えである受付控えデータ43を照合サーバ3に送信する。照合サーバ3は、搬入受付データ42の内容が受付控えデータ43の内容に一致する場合、捕獲費用及び処分費用の支払いを決定する。これにより、地方自治体は、狩猟者が捕獲したニホンジカのうち、解体業者が受け付けたニホンジカの捕獲費用及び処分費用を支払えばよいため、狩猟者による捕獲費用の不正請求を防ぐことができる。
【0072】
また、狩猟者がニホンジカに搬入した車輌のナンバーは、上述のようにカメラ27により撮影されている。従って、狩猟者が搬入報告画面に入力した自動車登録番号と、カメラにより撮影されたナンバーとが一致しているか否かを事後的に確認することが可能である。従って、狩猟者による不正な搬入を把握することができ、狩猟者による捕獲費用の支払の不正な申請を防ぐことができる。
【0073】
{変形例}
なお、上記の実施の形態において、狩猟者が携帯通信端末1を用いて、搬入報告データ41を作成する例を説明したが、これに限られない。例えば、解体業者は、
図8に示す搬入報告画面50に列挙した項目を書き込むことが可能な、複写式の3枚綴りの搬入報告書を搬入場所に置いてもよい。
【0074】
この場合、狩猟者は、搬入報告書に、
図8に示す各項目に対応する情報を書き込む。その後、狩猟者は、搬入報告書のうち1枚を冷蔵庫内のニホンジカに貼り付け、もう1枚を解体場所に予め設けられたポストに投入し、最後の1枚を捕獲費用の支払申請用の書類として持ち帰る。解体業者が、ポストに投入された搬入報告書の内容を搬入管理サーバ2に入力することにより、搬入管理サーバ2は、搬入受付データ42及び受付控えデータ43を作成する。搬入管理サーバ2は、作成した搬入受付データ42を携帯通信端末1に送信し、作成した搬入控えデータ43を照合サーバ3に送信する。
【0075】
あるいは、搬入管理サーバ2は、受付控えデータ43のみを作成して照合サーバ3に送信してもよい。この場合、狩猟者は、持ち帰った書類を地方自治体に提出して捕獲費用の支払いを申請すればよい。
【0076】
また、上記実施の形態において、狩猟者がニホンジカを搬入する例を説明したが、捕獲者と搬入者とが別々の人物であってもよい。この場合、搬入報告画面50において、捕獲者に関する情報と、搬入者に関する情報とを入力できるようにしておけばよい。捕獲費用の支払いの申請については、捕獲者及び搬入者のいずれか一方が行えばよい。
【0077】
また、上記実施の形態において、解体業者が、受付控えデータ43を照合サーバ3に送信する例を説明したが、これに限られない。解体業者は、複数の受付控えデータ43をリスト化したデータ(搬入リスト)を作成して、照合サーバ3に送信してもよい。この場合、照合サーバ3は、搬入受付データ42と搬入者リストの内容との照合を行う。これにより、地方自治体が捕獲費用及び処分費用を支払う際の事務処理を軽減することができる。搬入管理サーバ2は、搬入者リストの送信を、例えば1月に1回行えばよい。
【0078】
また、上記実施の形態において、ニホンジカを捕獲する場合を例に説明したが、これに限られない。鳥獣処分管理システム100は、ニホンジカ、イノシシ、クマなどの鳥獣を捕獲した場合における処分費用の支払いの申請に使用することが可能である。
【0079】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、本発明は上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変形して実施することが可能である。