特許第6703754号(P6703754)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6703754手差しトレイ、およびこれを備えた画像形成装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6703754
(24)【登録日】2020年5月13日
(45)【発行日】2020年6月3日
(54)【発明の名称】手差しトレイ、およびこれを備えた画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 11/00 20060101AFI20200525BHJP
   B41J 13/10 20060101ALI20200525BHJP
【FI】
   B65H11/00 A
   B41J13/10
【請求項の数】5
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-83693(P2017-83693)
(22)【出願日】2017年4月20日
(65)【公開番号】特開2018-177508(P2018-177508A)
(43)【公開日】2018年11月15日
【審査請求日】2019年1月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067828
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 悦司
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100178582
【弁理士】
【氏名又は名称】行武 孝
(72)【発明者】
【氏名】前田 浩之
【審査官】 西本 浩司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−162581(JP,A)
【文献】 特開2003−312904(JP,A)
【文献】 特開2014−170058(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3192597(JP,U)
【文献】 国際公開第2016/111073(WO,A1)
【文献】 特開2002−167083(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 11/00 − 11/02
B65H 1/00 − 3/68
B65H 31/00 − 31/40
B41J 13/00 − 13/32
G03G 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置の装置本体の側壁に回動可能に支持され、前記装置本体に対して開閉する手差しトレイであって、
ベース板と、前記ベース板に固定されシートを載置する載置板と、前記ベース板と前記載置板との間に所定の隙間をもって形成される収納部と、を有する主トレイと、
前記収納部から引き出し可能とされ、前記主トレイと共にシートを載置可能な補助トレイと、
前記補助トレイの引き出し方向に沿って前記補助トレイをガイドし、前記引き出し方向と直交するシート幅方向への前記補助トレイの移動を規制する第1規制部と、
前記収納部において、前記補助トレイのシートの厚さ方向への移動を規制する第2規制部と、
を備え、
前記補助トレイは、
前記シートが載置される補助上面部と、
前記補助上面部の前側端部および後側端部にそれぞれ接続され前記引き出し方向に沿って延びる一対の補助トレイ側壁部と、
前記一対の補助トレイ側壁部の外側面にそれぞれ配置された一対の係合片と、
を有し、
前記主トレイは、前記収納部において前記補助トレイの前記一対の補助トレイ側壁部に向けてそれぞれ突設され、前記補助トレイの引き出し動作に伴ってそれぞれ前記係合片と係合することで、前記補助トレイを引き出し位置にロックする係合突起を更に有し、
前記補助トレイは、前記引き出し位置から前記引き出し方向とは反対の方向に押し込まれ前記一対の係合片が前記一対の係合突起から脱離された位置において、前記主トレイに対して所定角度の範囲で任意に回動することが可能であり、前記補助トレイが前記主トレイに対して所定角度で交差した姿勢から、前記手差しトレイが前記装置本体に閉止される方向に更に回動されると、前記補助トレイが自重によって前記主トレイの前記収納部に収納可能とされる、手差しトレイ。
【請求項2】
前記補助トレイのうち、前後方向における前記補助トレイの中心を通り前記引き出し方向に延びる中心線よりも前側部分に配置され、前記手差しトレイの開閉動作および前記補助トレイの引き出し動作において把持される把持部を更に備える、請求項1に記載の手差しトレイ。
【請求項3】
前記一対の係合片は、それぞれ前記一対の補助トレイ側壁部の外側面に設けられるとともに、前記補助トレイの引き出し方向に向かって延びる一対のフック部材であって、
前記一対のフック部材の先端が、前記一対の係合突起に係合することで、前記補助トレイが前記引き出し位置にロックされる、請求項1または2に記載の手差しトレイ。
【請求項4】
前記ベース板には、前記補助トレイの前記把持部に対向して切欠き部が形成されており、
前記手差しトレイが前記装置本体に閉止された状態において、前記切欠き部から露出した前記把持部が把持されることで、前記手差しトレイが開放可能とされている、請求項2に記載の手差しトレイ。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか1項に記載の手差しトレイと、
前記装置本体と、
前記装置本体に配置され、前記手差しトレイに載置された前記シートに画像を形成する画像形成部と、
を有する、画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装置本体に対して開閉可能な手差しトレイ、およびこれを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シートに画像を形成する画像形成装置に備えられた手差しトレイが知られている。手差しトレイは、画像形成装置の装置本体に対して開閉可能とされる。手差しトレイが装置本体に対して開放されると、手差しトレイ上にシートが載置される。当該シートには、装置本体内で、画像が形成される。
【0003】
特許文献1には、手差しトレイがトレイ本体および補助トレイを備えた技術が開示されている。手差しトレイは、画像形成装置の装置本体の側壁に対して開閉可能とされる。また、補助トレイがトレイ本体に対してスライド移動することで、手差しトレイの長さが可変とされる。手差しトレイが伸長することで、大きなサイズのシートが載置可能とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−51906号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の技術では、補助トレイのシート幅方向の中央部には、引き出し取っ手が配置されている。画像形成装置の使用者は、手差しトレイを装置本体に対して開放した後、引き出し取っ手を把持しながら、補助トレイをスライド移動させる。この場合、補助トレイの姿勢が安定しにくいため補助トレイがトレイ本体と干渉し、補助トレイの引き出し動作がスムーズに実行できないという問題があった。
【0006】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、装置本体に対して開閉可能な手差しトレイ、およびこれを備えた画像形成装置において、補助トレイの引き出し動作をスムーズに実行可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一局面に係る手差しトレイは、画像形成装置の装置本体の側壁に回動可能に支持され、前記装置本体に対して開閉する手差しトレイであって、ベース板と、前記ベース板に固定されシートを載置する載置板と、前記ベース板と前記載置板との間に所定の隙間をもって形成される収納部と、を有する主トレイと、前記収納部から引き出し可能とされ、前記主トレイと共にシートを載置可能な補助トレイと、前記補助トレイの引き出し方向に沿って前記補助トレイをガイドし、前記引き出し方向と直交するシート幅方向への前記補助トレイの移動を規制する第1規制部と、前記収納部において、前記補助トレイのシートの厚さ方向への移動を規制する第2規制部と、を備える。
【0008】
本構成によれば、第1規制部および第2規制部によって、引き出し時の補助トレイの姿勢が安定する。この結果、使用者は補助トレイをスムーズに引き出すことができる。
【0009】
上記の構成において、前記補助トレイのうち、前後方向における前記補助トレイの中心を通り前記引き出し方向に延びる中心線よりも前側部分に配置され、前記手差しトレイの開閉動作および前記補助トレイの引き出し動作において把持される把持部を更に備えることが望ましい。
【0010】
本構成によれば、手差しトレイを開放するために把持される把持部が、手差しトレイの前側部分に配置されている。このため、使用者は、手差しトレイの開放動作のために、装置本体の側壁の奥側まで手を伸ばす必要がない。したがって、使用者による手差しトレイの開放動作の操作性が向上される。更に、上記の構成では、装置本体に対して手差しトレイが開放されると、使用者は把持部を把持したまま、補助トレイを引き出すことができる。このため、手差しトレイの開放動作に加え、補助トレイの引き出し動作が装置本体の前側部分において、容易に実現可能とされる。更に、把持部が手差しトレイの前側に配置されることによって、引き出し時における補助トレイの姿勢が崩れやすい場合であっても、第1規制部および第2規制部によって、引き出し時の補助トレイの姿勢が安定する。
【0011】
上記の構成において、前記補助トレイは、前記シートが載置される補助上面部と、前記補助上面部の前側端部および後側端部にそれぞれ接続され前記引き出し方向に沿って延びる一対の補助トレイ側壁部と、前記一対の補助トレイ側壁部の外側面にそれぞれ配置された一対の係合片と、を有し、前記主トレイは、前記収納部において前記補助トレイの前記一対の補助トレイ側壁部に向けてそれぞれ突設され、前記補助トレイの引き出し動作に伴ってそれぞれ前記係合片と係合することで、前記補助トレイを引き出し位置にロックする係合突起を更に有することが望ましい。
【0012】
本構成によれば、一対の係合片および一対の係合突起によって、補助トレイを引き出し位置で容易に固定することができる。
【0013】
上記の構成において、前記一対の係合片は、それぞれ前記一対の補助トレイ側壁部の外側面に設けられるとともに、前記補助トレイの引き出し方向に向かって延びる一対のフック部材であって、前記一対のフック部材の先端が、前記一対の係合突起に係合することで、前記補助トレイが前記引き出し位置にロックされることが望ましい。
【0014】
本構成によれば、補助トレイの引き出し動作に伴って、フック部材の先端を係合突起に係合させることができる。この結果、補助トレイを引き出し位置に容易にロックすることができる。
【0015】
上記の構成において、前記一対の係合片が前記一対の係合突起から脱離されるまで、前記引き出し位置に配置された前記補助トレイが、前記引き出し方向とは反対の方向に押し込まれ、かつ、前記手差しトレイが前記装置本体に閉止される方向に回動されると、前記補助トレイが自重によって主トレイの前記収容部に収納されることが望ましい。
【0016】
本構成によれば、使用者は手差しトレイを装置本体に容易かつスムーズに収容することができる。
【0017】
上記の構成において、前記ベース板には、前記補助トレイの前記把持部に対向して切欠き部が形成されており、前記手差しトレイが前記装置本体に閉止された状態において、前記切欠き部から露出した前記把持部が把持されることで、前記手差しトレイが開放可能とされていることが望ましい。
【0018】
本構成によれば、使用者は把持部の位置を装置本体の外側から容易に認識することができる。
【0019】
本発明の他の局面に係る画像形成装置は、上記に記載の手差しトレイと、前記装置本体と、前記装置本体に配置され、前記手差しトレイに載置された前記シートに画像を形成する画像形成部と、を有する。
【0020】
本構成によれば、画像形成装置において、手差しトレイの開閉動作および補助トレイの引き出し動作の作業性を向上するができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、装置本体に対して開閉可能な手差しトレイ、およびこれを備えた画像形成装置において、補助トレイの引き出し動作をスムーズに実行可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の斜視図である。
図2】本発明の一実施形態に係る手差しトレイの斜視図である。
図3】本発明の一実施形態に係る手差しトレイにおいて、補助トレイがトレイ本体から引き出された状態の平面図である。
図4】本発明の一実施形態に係る手差しトレイの断面図である。
図5A】本発明の一実施形態に係る手差しトレイの断面斜視図である。
図5B】本発明の一実施形態に係る手差しトレイの断面斜視図である。
図6A】本発明の一実施形態に係る手差しトレイの拡大断面斜視図である。
図6B】本発明の一実施形態に係る手差しトレイの拡大断面斜視図である。
図7】本発明の一実施形態に係る手差しトレイにおいて、補助トレイがトレイ本体に収容された状態の断面図である。
図8】本発明の一実施形態に係る手差しトレイにおいて、補助トレイが引き出し位置に至る直前の断面図である。
図9図8の一部を拡大した断面図である。
図10】本発明の一実施形態に係る手差しトレイにおいて、補助トレイが引き出し位置にロックされた状態の断面図である。
図11図10の一部を拡大した断面図である。
図12】本発明の一実施形態に係る手差しトレイが、画像形成装置の装置本体に閉止される様子を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態につき詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置1の外観を示す斜視図である。ここでは、画像形成装置1として胴内排紙型の複写機を例示しているが、画像形成装置は、プリンター、ファクシミリ装置、或いは、これらの機能を備える複合機であってもよい。
【0024】
画像形成装置1は、略直方体形状の筐体構造を有し胴内空間を備えた装置本体10を備える。装置本体10は、シートに対して画像形成処理を行う。装置本体10の上方には、不図示の自動原稿給送装置が配置される。装置本体10は、前壁10Fと、右壁10R(側壁)と、を備える。前壁10Fは、装置本体10の前面部を画定し、右壁10Rは、装置本体10の右側面部を画定する。右壁10Rは、右壁10Rの一部が部分的に凹没することで形成された、挿入部15を備える。
【0025】
更に、画像形成装置1は、画像形成部11と、給紙カセット12と、排出空間13と、コンタクトガラス14と、手差しトレイ20と、を備える。
【0026】
画像形成部11は、給紙カセット12に収容されたシート、または、手差しトレイ20に載置されたシートにそれぞれ画像を形成する。本実施形態では、公知の電子写真方式に基づいて、シート上にトナー画像が形成される。なお、画像形成部11の画像形成方式は、インクジェット方式など他の方式でもよい。
【0027】
給紙カセット12は、画像形成部11の下方に配置され、装置本体10に対して前方に引き出し可能とされている。給紙カセット12は、内部にシートを収容する。
【0028】
排出空間13は、装置本体10の左側面部が凹没されることで形成された空間である。画像形成部11において画像が形成されたシートが排出空間13に排出される。本実施形態では、排紙部101および排紙トレイ102の2つの排紙先が備えられている。
【0029】
手差しトレイ20は、装置本体10の右壁10Rに回動可能に支持され、装置本体10に対して開閉可能とされている。手差しトレイ20は、把持部20Tを備える。また、前述の挿入部15は、手差しトレイ20の把持部20Tに対向するように、右壁10Rに配置されている。作業者は、挿入部15に手を挿入した後、手差しトレイ20の把持部20Tを把持しながら手差しトレイ20を開閉することができる。
【0030】
図2は、本実施形態に係る手差しトレイ20の斜視図である。図3は、本実施形態に係る手差しトレイ20において、補助トレイ22がトレイ本体21から引き出された状態の平面図である。図4は、本実施形態に係る手差しトレイ20の簡易的な断面図であって、手差しトレイ20に載置されるシートのシート幅方向に沿った断面図(図3の位置B−Bにおける断面図)である。図5Aおよび図5Bは、本実施形態に係る手差しトレイ20の断面斜視図であって、それぞれ図3の位置B−Bにおける断面を含む。図6Aおよび図6Bは、手差しトレイ20の拡大断面斜視図であって、それぞれ図3の位置B−Bにおける断面を含む。図7は、本実施形態に係る手差しトレイ20において、補助トレイ22がトレイ本体21に収容された状態の断面図である。図8は、本実施形態に係る手差しトレイ20において、補助トレイ22が引き出し位置に至る直前の断面図である。図9は、図8の一部を拡大した断面図である。図10は、本実施形態に係る手差しトレイ20において、補助トレイ22が引き出し位置にロックされた状態の断面図である。図11は、図10の一部を拡大した断面図である。図12は、本実施形態に係る手差しトレイ20が、画像形成装置1の装置本体10に閉止される様子を示す断面図である。なお、図7乃至図12の断面図は、図3の位置A−Aにおける断面図に相当する。
【0031】
図2に示すように、手差しトレイ20は、矩形形状からなる部材である。手差しトレイ20が開放されると、その上面部にシートが載置される。このため、手差しトレイ20は、開放状態において、手差しトレイ20の上面部が略上方を向くような姿勢とされる。手差しトレイ20は、トレイ本体21(主トレイ)と、トレイ本体21から引き出し可能な補助トレイ22と、カーソルユニット23と、を備える。補助トレイ22がトレイ本体21から引き出されると、シートの搬送方向における手差しトレイ20の長さが増大する。この結果、手差しトレイ20上に、より大きなサイズのシートが載置可能とされる。
【0032】
トレイ本体21は、本体上壁部211(載置板)と、本体底壁部212(図4)(ベース板)と、一対の本体側壁部213(図2)と、一対のリンク支点部20Rと、一対の回動支点部20S(支点部)と、開口部21Tと、を備える。
【0033】
本体上壁部211は、手差しトレイ20が開放された状態における、トレイ本体21の上面部(本体上面部)を画定する。なお、本体上壁部211は、手差しトレイ20が装置本体10に閉止された状態(図1)では、手差しトレイ20の内側側面に相当する。手差しトレイ20が装置本体10に対して開状態とされると、本体上壁部211の上面部にシートが載置される。
【0034】
同様に、本体底壁部212は、手差しトレイ20が開放された状態における、トレイ本体21の下面部を画定する。換言すれば、本体底壁部212は、トレイ本体21において本体上壁部211とは反対側に配置されている。なお、手差しトレイ20が装置本体10に閉止された状態(図1)では、本体底壁部212は、手差しトレイ20の外側側面に相当し、装置本体10の右壁10Rの一部を画定する。本体上壁部211と本体底壁部212との間に、補助トレイ22が収容される空間部T(収納部)が所定の隙間をもって形成されている(図4)。また、図1に示すように、本体底壁部212の上端部かつ前端部には、切欠き部20Lが形成されている。切欠き部20Lは、後述の補助トレイ22の把持部20Tに対向するように、本体底壁部212の上端部の一部が切り欠かれることで形成されている。
【0035】
一対の本体側壁部213は、トレイ本体21の前後方向の両端部に配置され、それぞれ本体上壁部211と本体底壁部212とを接続する側壁である。リンク支点部20Rは、シート搬送方向において、本体側壁部213の略中央部に配置される。リンク支点部20Rは、本体側壁部213に開口された孔部である。リンク支点部20Rには不図示のリンク部材の一端が軸支されている。一方、前記リンク部材の他端は装置本体10の右壁10Rに軸支されている。前記リンク部材は、手差しトレイ20の開放角度を規制する。回動支点部20Sは、本体側壁部213の下端部(シート搬送方向の下流側端部)に配置されている。回動支点部20Sは、装置本体10の右壁10Rに回動可能に軸支されており、装置本体10に対する手差しトレイ20の開閉動作における支点となる。なお、図2では、前側の本体側壁部213、リンク支点部20Rおよび回動支点部20Sが現れているが、後側にも同様の部材がそれぞれ配置されている。
【0036】
開口部21T(図3)は、トレイ本体21のシート搬送方向上流側の端部、換言すれば、装置本体10に対する手差しトレイ20の閉状態において、トレイ本体21の上端部に形成された開口部である。開口部21Tは、トレイ本体21の空間部Tに連通しており、補助トレイ22は開口部21Tを通じてトレイ本体21に対してスライド移動可能とされている。なお、図2図3を参照して、本実施形態では、本体底壁部212および本体側壁部213が一体の部材から構成されている。そして、本体上壁部211が本体底壁部212に複数のビス(不図示)で固定されることで、トレイ本体21が構成される。この際、本体上壁部211は、本体底壁部212のうちシート搬送方向上流側(図3の右側部分)を覆い、シート搬送方向下流側(図3の左側部分)を露出させる。また、本体上壁部211は、図3の平面視で、右側が開放された略コの字形状を有する。そして、本体上壁部211の前後方向の両端部が、シート搬送方向上流側に突出した一対の突出部211Vが形成されている。当該一対の突出部211Vの間に、補助トレイ22が配置される。本体上壁部211は、一対の開口部側面21Hを備える。一対の開口部側面21Hは、それぞれ、突出部211Vの内側面である。なお、図3では、開口部側面21Hが接続されている、本体上壁部211の上面部の端縁に開口部側面21Hの矢印を示している。一対の開口部側面21Hは、それぞれ補助トレイ22の両側面(一対の補助トレイ側壁部223、図8参照)に対向して配置される。
【0037】
カーソルユニット23(図2)は、トレイ本体21の基端部に装着される。詳しくは、カーソルユニット23は、トレイ本体21の上面に、シート搬送方向上流側を支点として揺動可能に支持されている。カーソルユニット23は、1枚のカーソル基板231と、カーソル基板231に取り付けられた一対のカーソル232と、一対のガイド溝232Gと、給紙パッド233と、3つのリフトばね(不図示)と、を備える。更に、カーソル基板231の裏面には、一対のカーソル232をスライド移動させるラックおよびピニオン(不図示)が設けられている。なお、図3では、カーソルユニット23の図示が省略されている。また、図3に示すように、トレイ本体21の本体底壁部212には、3つのリフトばねをそれぞれ支持する3つのボス21Vが設けられている。
【0038】
一対のカーソル232は、シート搬送方向に沿って延びるように配置された板状部材である。なお、図2では、一対のカーソル232がそれぞれシート幅方向(前後方向)の外側に移動した状態が破線で示されている。一対のガイド溝232Gは、カーソル基板231においてシート搬送方向と直交するシート幅方向に沿って形成された溝部である。一対のカーソル232は、上記のラックおよびピニオンによって接続されており、ガイド溝232Gに沿ってシート幅方向に沿って同期して移動可能とされている。一対のカーソル232のスライド移動によって、トレイ本体21上に載置されるシートのシート幅方向における位置が規制される。給紙パッド233は、カーソル基板231のシート幅方向の中央部に配置されている。給紙パッド233は、装置本体10に備えられた不図示の給紙ローラーとの間で、ニップ部を形成する。
【0039】
前述のように、補助トレイ22は、開口部21Tを介して本体上壁部211と本体底壁部212とで画定される空間部Tに装着されており、トレイ本体21に対してシート搬送方向に沿って、スライド移動可能とされている。なお、図3および図7では、トレイ本体21に対する補助トレイ22の引き出し方向DSが図示されている。図2に示すように、補助トレイ22がトレイ本体21に収納された状態(手差しトレイ20の縮小状態)では、補助トレイ22の上端部が開口部21Tから露出している。補助トレイ22は、補助トレイ上面部221(図3図4)と、補助トレイ下面部222(図4)と、一対の補助トレイ側壁部223(図8)と、を備える。
【0040】
補助トレイ上面部221は、手差しトレイ20が開放されかつ補助トレイ22が引き出された状態における、補助トレイ22の上面部に相当する。同様に、補助トレイ下面部222は、手差しトレイ20が開放された状態における、補助トレイ22の下面部に相当する。一対の補助トレイ側壁部223は、補助トレイ22の前後方向の両端部に配置され、それぞれ補助トレイ上面部221と補助トレイ下面部222とを接続する側壁である。換言すれば、一対の補助トレイ側壁部223は、補助トレイ上面部221の前側端部および後側端部にそれぞれ接続され、補助トレイ22の引き出し方向に沿って延びている。
【0041】
更に、トレイ本体21は、一対の本体規制部211S(第2規制部)と、一対の本体突起部212S(第1規制部)と、を備える。
【0042】
一対の本体規制部211Sは、図4に示すように、トレイ本体21の本体上壁部211の裏面の一部(両端部)に相当する。換言すれば、一対の本体規制部211Sは、本体上壁部211の平面状の裏面のうち、一対の補助トレイ突起部22Sにそれぞれ対向する部分である。一対の本体規制部211Sは、それぞれシート搬送方向(図4の紙面と直交する方向)に延びるように形成されている。一対の本体規制部211Sは、補助トレイ22の補助トレイ突起部22Sに当接し引き出し時に摺動することで、シートのシート面と直交する方向(図4の上下方向、シートの厚さ方向)におけるトレイ本体21に対する補助トレイ22の位置を規制する。
【0043】
一対の本体突起部212Sは、本体底壁部212の内面部から突設された突起部である。一対の本体突起部212Sは、本体底壁部212の前後方向の中央部に配置されており、それぞれシート搬送方向(図4の紙面と直交する方向、補助トレイ22の引き出し方向)に沿って延びるように形成されている。一対の本体突起部212Sは、補助トレイ22の裏面(補助トレイ下面部222)に形成された補助トレイ溝部22Tに係合することで、トレイ本体21に対する補助トレイ22の前後方向(補助トレイ22の引き出し方向と直交する方向)における位置を規制するとともに、引き出し方向に沿って補助トレイ22の移動をガイドする。なお、図5A乃至図6Bでは、説明のために、補助トレイ22の補助トレイ下面部222の図示が省略されている。
【0044】
また、補助トレイ22は、把持部20T(図2)と、一対の補助トレイ突起部22Sと、一対の補助トレイ溝部22Tと、を備える。
【0045】
把持部20Tは、補助トレイ22の上端部(シート搬送方向上流側端部)において、前後方向における補助トレイ22の中心を通り補助トレイ22の引き出し方向に延びる中心線よりも前側部分に配置されている。把持部20Tは、手差しトレイ20の開閉動作および補助トレイ22の引き出し動作において、使用者によって把持される。なお、図2に示すように、手差しトレイ20をシートが載置される載置面(補助トレイ上面部221側)から見た場合、把持部20Tは、補助トレイ上面部221の一部が没することで形成されている。また、図1に示すように、補助トレイ22がトレイ本体21に収容された状態では、本体底壁部212に形成された切欠き部20Lを介して、装置本体10の外側に把持部20Tが露出している。そして、手差しトレイ20が装置本体10に閉止された状態において、切欠き部20Lから露出した把持部20Tが使用者によって把持されることで、手差しトレイ20が開放可能とされている。したがって、使用者は、把持部20Tの位置を画像形成装置1の装置本体10の外側から容易に認識することができる。
【0046】
一対の補助トレイ突起部22Sは、補助トレイ22の前後方向の両端部からそれぞれ上方に向かって突設された突起部である。詳しくは、一対の補助トレイ突起部22Sは、図6A図6Bに示すように、補助トレイ22の補助トレイ側壁部223の上端部が、補助トレイ上面部221よりも上方に突出することで形成されている。一対の補助トレイ突起部22Sは、補助トレイ22の引き出し方向に沿って延びるように配置され、前述のトレイ本体21の本体規制部211Sにそれぞれ当接可能とされている。
【0047】
また、一対の補助トレイ溝部22Tは、補助トレイ22の補助トレイ下面部222に形成された溝部である。一対の補助トレイ溝部22Tは、補助トレイ22の引き出し方向に沿って延びるように配置され、前述のトレイ本体21の本体突起部212Sに係合する。
【0048】
なお、図4では、説明のために、本体規制部211Sと補助トレイ突起部22Sとの間、および、補助トレイ溝部22Tと本体突起部212Sとの間には、大きな隙間を設けて示している。実際には、手差しトレイ20が装置本体10に対して開放されると、補助トレイ溝部22Tは本体突起部212Sに当接している。また、本体規制部211Sと補助トレイ突起部22Sとの間には、僅かな隙間(クリアランス)が形成されている。
【0049】
図1乃至図3を参照して、本実施形態では、手差しトレイ20を開放するために把持される把持部20Tが、手差しトレイ20の前側端部に配置されている。このため、使用者は、手差しトレイ20の開放動作のために、右壁10Rの奥側まで手を伸ばす必要がない。したがって、使用者による手差しトレイ20の開放動作の操作性が向上される。更に、本実施形態では、装置本体10に対して手差しトレイ20が開放されると、使用者は把持部20Tを把持したまま、補助トレイ22を伸長させることができる。このため、手差しトレイ20の開放動作に加え、補助トレイ22の伸縮動作が装置本体10の前側部分において、容易に実現可能とされる。
【0050】
ここで、使用者が把持部20Tを把持しながら、補助トレイ22を引き出す場合、補助トレイ22の後側部分よりも補助トレイ22の前側部分に、より大きな操作力が付与される。このため、図4に示す断面において、補助トレイ22の前側部分が上方に持ち上げられ、補助トレイ22が傾きやすくなる。このような場合でも、本実施形態では、一対の補助トレイ突起部22Sが、それぞれ本体規制部211Sに当接することができる。したがって、補助トレイ22の傾きが抑止される。この結果、補助トレイ溝部22Tと本体突起部212Sとの間で大きな摺動力が発生することが防止され、使用者は補助トレイ22をスムーズに引き出すことができる。
【0051】
更に、本実施形態では、手差しトレイ20が、前後一対の固定部200を備えている。固定部200は、トレイ本体21から引き出された補助トレイ22を所定の引き出し位置で固定する機能を備えている。前後の固定部200は、それぞれ、係合フック200A(係合片)と、係合突起200Bと、を備えている。
【0052】
係合フック200Aは、補助トレイ22の補助トレイ側壁部223の外側面に配置されている。係合フック200Aは、補助トレイ側壁部223の外側面から前後方向に突設されるとともに、補助トレイ22の引き出し方向に向かって延びるフック部材である。係合フック200Aは、フック基端部200A1と、フック先端部200A2と、を備える。フック基端部200A1は、係合フック200Aの基端部である。フック先端部200A2は、フック基端部200A1から補助トレイ22の引き出し方向に沿って延びる係合フック200Aの先端部である。
【0053】
係合突起200Bは、本体上壁部211の突出部211Vの開口部側面21H(図3)から前後方向の内側に向かって(補助トレイ側壁部223に向けて)突設された円柱状の突起である。なお、前述のように、一対の開口部側面21Hは、補助トレイ22の一対の補助トレイ側壁部223に対向して配置されている。係合突起200Bは、補助トレイ22の引き出し動作に伴って係合フック200Aと係合することで、補助トレイ22を引き出し位置にロックする機能を備えている。本実施形態では、所定の引き出し方向に沿った、補助トレイ22の引き出し動作の最終段階において、固定部200によって補助トレイ22を引き出し位置に容易に固定することができる。
【0054】
図7に示されるように、補助トレイ22がトレイ本体21に収容された状態から、補助トレイ22が引き出されると、やがて、図8および図9に示すように、係合フック200Aが係合突起200Bに近づいていく。そして、係合フック200Aのフック先端部200A2が係合突起200Bに当接すると、補助トレイ上面部221のシート幅方向の両端部が下方に変形することで、フック先端部200A2が係合突起200Bの下方に潜りこみながら、図10および図11に示されるように、係合突起200Bに係合する。このとき、補助トレイ突起部22Sの作用により、補助トレイ22が係合突起200Bの上に乗り上げることがなく、フック先端部200A2が係合突起200Bの下方に確実に潜りこむことができる。この結果、補助トレイ22が所定の引き出し位置にロックされる。なお、上記のように、フック先端部200A2が係合突起200Bに係合するときに、使用者は所定のクリック感を感じる。この結果、補助トレイ22が引き出し位置に至ったことが容易に認識可能とされる。
【0055】
更に、図12を参照して、使用者が手差しトレイ20を装置本体10に収容する際には、まず、一対の係合フック200Aが一対の係合突起200Bから脱離されるまで、引き出し位置(図10図11)に配置された補助トレイ22が、引き出し方向とは反対の方向に押し込まれる。この結果、補助トレイ22は、図8図9に示される位置に至る。このとき、図12に示すように、補助トレイ22のトレイ本体21に対する角度θが0度以上10度以下の範囲で、補助トレイ22が任意に回動することができる。図12に示す状態における補助トレイ22のトレイ本体21に対する収容長さL2は、図7の場合の収容長さL1よりも小さいためである。
【0056】
図8に示される状態から手差しトレイ20が閉止方向に回動されると、図12に示されるように、補助トレイ22がトレイ本体21に対して角度θだけ交差した姿勢となる。そして、図12の状態で、手差しトレイ20が装置本体10に閉止される方向(図12の矢印D1)に回動支点部20S回りに更に回動されると、補助トレイ22が自重によってトレイ本体21部に収容可能とされる(図12の矢印D2)。したがって、使用者は手差しトレイ20を装置本体10に容易かつスムーズに収容することができる。
【0057】
以上、本実施形態に係る手差しトレイ20、およびこれを含む画像形成装置1について説明した。このような、画像形成装置1によれば、本体突起部212Sおよび補助トレイ溝部22T(図4)は、補助トレイ22の引き出し方向に沿って補助トレイ22の移動をガイドし、前記引き出し方向と直交するシート幅方向への補助トレイ22の移動を規制する第1規制部として機能する。また、本体規制部211Sおよび補助トレイ突起部22S(図4)は、空間部Tにおいて、補助トレイ22のシートの厚さ方向への移動を規制する第2規制部として機能する。したがって、手差しトレイ20の開閉動作および伸縮動作の作業性を向上することができる。
【符号の説明】
【0058】
1 画像形成装置
10 装置本体
10R 右壁(側壁)
11 画像形成部
12 給紙カセット
15 挿入部
20 手差しトレイ
200 固定部
200A 係合フック(係合片)
200A1 フック基端部
200A2 フック先端部
200B 係合突起
20L 切欠き部
20S 回動支点部
20T 把持部
21 トレイ本体(主トレイ)
211 本体上壁部(載置板)
211S 本体規制部(第2規制部)
211V 突出部
212 本体底壁部(ベース板)
212S 本体突起部(第1規制部)
213 本体側壁部
21H 開口部側面
21T 開口部
22 補助トレイ
221 補助トレイ上面部(補助上面部)
222 補助トレイ下面部
223 補助トレイ側壁部
22S 補助トレイ突起部(第2規制部)
22T 補助トレイ溝部(第1規制部)
T 空間部(収納部)
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10
図11
図12