(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6703762
(24)【登録日】2020年5月13日
(45)【発行日】2020年6月3日
(54)【発明の名称】複数連碍子用保護カバー
(51)【国際特許分類】
H01B 17/40 20060101AFI20200525BHJP
H02G 1/02 20060101ALI20200525BHJP
H02G 7/00 20060101ALI20200525BHJP
【FI】
H01B17/40 A
H02G1/02
H02G7/00
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-90673(P2016-90673)
(22)【出願日】2016年4月28日
(65)【公開番号】特開2017-199605(P2017-199605A)
(43)【公開日】2017年11月2日
【審査請求日】2019年4月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000545
【氏名又は名称】特許業務法人大貫小竹国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村本 宏朗
(72)【発明者】
【氏名】大下 雄輝
【審査官】
神田 太郎
(56)【参考文献】
【文献】
特開2014−193068(JP,A)
【文献】
特開平02−032975(JP,A)
【文献】
特開平08−072939(JP,A)
【文献】
特開平10−208571(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01B 17/40
H02G 1/02
H02G 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線とこの電線を支持する支持構造物との間に介在される複数碍子を直列接続してなる碍子連に取り付けられる複数連碍子用保護カバーであって、
前記複数の碍子の接続方向に沿った分割面を有する2分割された一対のカバー部材を備え、
それぞれのカバー部材は、絶縁素材で形成され、前記複数の碍子のそれぞれの碍子本体を密着させて変位不能に収容する複数の碍子本体収容部と、隣り合う前記碍子本体部間に設けられ、前記碍子本体収容部よりも外形を小さく形成して隣り合う前記碍子の連結部分を収容する連結部収容部と、が一体に形成され、前記連結部収容部には、該連結部収容部の変形を防止する補強手段が設けられており、
前記一対のカバー部材は、前記分割面の長手方向に沿った縁部の一方がヒンジ部を介して開閉可能に連結され、前記分割面の長手方向に沿った縁部の他方が係合手段により着脱可能に係合される
ことを特徴とする複数連碍子用保護カバー。
【請求項2】
前記連結部収容部は、間接活線把持工具で把持可能な被把持部に形成されていることを特徴とする請求項1記載の複数連碍子用保護カバー。
【請求項3】
前記ヒンジ部及び前記係合手段は、それぞれの碍子本体収容部に設けられ、前記係合手段は、一方のカバー部材に設けられた係合突起と、他方のカバー部材に設けられて前記係合突起が係合する係合孔とにより構成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の複数連碍子用保護カバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、支持構造物と電線との間に介在される耐張碍子等のように、直列に連結された複数連の碍子に着脱可能に取り付けられる保護カバーに関する。
【背景技術】
【0002】
電柱などの支持構造物に電線を引留めるためには、たとえば、
図7及び
図8に示すような碍子装置110が用いられる。この碍子装置110は、ストラップ120と、磁器製の耐張碍子100と、引留クランプ130とを備えているもので、ストラップ120は、その一方の端部が、電柱140などの支持構造物に設けられる腕金150に、ピン碍子と共にボルト121およびナットを122介して連結され、他方の端部が、耐張碍子100に、コッタピン104および割りピン107を介して連結されている(特許文献1参照)。
【0003】
高圧配電線(6.6KV)においては、絶縁性能を確保するために、通常2個の耐張碍子100をコッタピン104および割りピン107を介して直列に連結した2個連として電線160と支持構造物(腕金150)との間に設けられる。
【0004】
引留クランプ130は、電線160の被覆の一部を剥離し、この剥離部位をクランプ本体131でクランプするもので、クランプ本体131は、耐張碍子100と連結するための連結部132を備え、この連結部132に耐張碍子100の支持杆105をコッタピンおよび割りピンを介して連結している。なお、クランプ本体131は、その周囲が保護カバー133によって被覆されて絶縁処理が施されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012−253870号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、このような構成において、雷害等で耐張碍子が破損し、取り換えが必要になる場合には、1人で取替え作業を行う場合が多い。しかしながら、耐張碍子の2個連化により、耐張碍子を外す場合はともかく、新たに2個連の耐張碍子を取り付ける場合には、非常に労力と熟練を要するものであった。
【0007】
すなわち、2個連の耐張碍子を取り換える場合には、まず、
図9(a)に示されるように、シメラー200を電線と160支持構造物(電柱や腕金150)との間に取り付け、このシメラーで電線の張力を緩め、この状態を維持しつつ電線側の碍子を取り外すと共に支持構造物側の碍子を取り外す。その後、新たな2個連の碍子を取り付けるために支持構造物または電線の一方に碍子を取り付けるが、2個連の碍子は、自重により連結部分で屈曲されて全体として、同図に示されるように、逆ヘの字状となるため、他方の碍子を支持構造物または電線の他方に取り付けようとする場合には接続部位の位置合わせが困難となり、シメラーを増し締めして位置合わせをした上で他方の碍子を支持構造物または電線の他方に取り付けるようにしていた。
【0008】
また、支持構造物に碍子を取り付け、碍子を直接手で持って保持していた状態、又は、碍子を間接活線把持工具を用いて保持していた状態から誤って碍子が脱落した場合には、
図9(b)に示されるように、支持構造物に碍子本体が衝突し、破損させる恐れがあった。
さらに、充電時の作業においては、間接活線工具を用いた作業を行なう必要があるが、
図9(c)に示されるように、2個連の耐張碍子100を間接活線工具170で保持しながら取り付ける作業は1人では難しく、結局、碍子を1個ずつ取り換えなければならないものであり、作業効率が悪いものであった。
このような不都合は、2個連の碍子を交換する場合だけでなく、3個以上の碍子が直列的に連結された複数連の碍子を交換する場合においても同様に生じ得るものである。
【0009】
本発明は係る事情に鑑みてなされたものであり、複数連の碍子を取り付ける場合に、電線と支持構造物との間に容易に取り付けることができ、1人でも容易に作業することが可能となり、また、支持構造物に碍子が接触して破損させる恐れがなく、さらには、間接活線作業を行う場合でも容易に作業をすることが可能な複数連碍子用保護カバーを提供することを主たる課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を達成するために、本発明に係る複数連碍子用保護カバーは、電線とこの電線を支持する支持構造物との間に介在される複数碍子を直列接続してなる碍子連に取り付けられる複数連碍子用保護カバーであって、前記複数の碍子の接続方向に沿った分割面を有する2分割された一対のカバー部材を備え、それぞれのカバー部材は、絶縁素材で形成され、前記複数の碍子のそれぞれの碍子本体を密着させて変位不能に収容する複数の碍子本体収容部と、隣り合う前記碍子本体収容部間に設けられ、前記碍子本体収容部よりも外形を小さく形成して隣り合う前記碍子の連結部分を収容する連結部収容部と
、が一体に形成され、
前記連結部収容部には、該連結部収容部の変形を防止する補強手段が設けられており、前記一対のカバー部材は、前記分割面の長手方向に沿った縁部の一方がヒンジ部を介して開閉可能に連結され、前記分割面の長手方向に沿った縁部の他方に閉じた状態を保持する係合手段が設けられていることを特徴としている。
【0011】
したがって、対をなすカバー部材のそれぞれには、複数の碍子のそれぞれの碍子本体を密着させて変位不能に収容する複数の碍子本体収容部と、隣り合う碍子本体収容部間に設けられて隣り合う碍子の連結部分を収容する連結部収容部とが一体に形成されているので、直列接続された碍子連のそれぞれの碍子の碍子本体を碍子本体収容部に収容し、且つ、連結部分を連結部収容部に収容して、ヒンジ部を中心に分割面を重ね合わせて係合手段により閉じた状態を保持すれば、複数連の碍子は、保護カバーにより動きが規制されて連結部分で屈曲されることなく真っ直ぐに連結した状態で保持される。
【0012】
したがって、電線と支持構造物との間にシメラーを介在させて電線の張力をとった後に保護カバーが取り付けられた複数連の碍子を取り付ける場合には、複数連の碍子は、連結部分で屈曲されることがなくなるので、シメラーを増し締めしなくても連結部位の位置合わせが容易となり、支持構造物や電線への取り付けを容易に行うことが可能となる。
【0013】
また、保護カバーが取り付けられた複数連の碍子が手や間接活線把持工具から離れた場合でも、保護カバーにより碍子は保護されているので、碍子が直接支持構造物に衝突する恐れは無く、碍子の損傷を免れることができる。さらに、間接活線作業で複数連の碍子を取り換える場合でも、碍子本体収容部よりも外形が小さい連結部収容部を把持して作業することができるので、複数連の碍子を一体に操作して同時に取り換えることが可能となる。
ここで、前記連結部収容部は、間接活線把持工具で把持可能な被把持部に形成されていることが望ましい。連結部収容部を間接活線把持工具で把持可能な被把持部とすることで、この部分を間接活線把持工具で把持すれば、全体の重量バランスも大きく偏ることがなく、また、安定した把持状態を確保することが可能となる。
【0014】
なお、前記ヒンジ部及び前記係合手段は、ぞれぞれの碍子本体収容部に設けられ、前記係合手段は、一方のカバー部材に設けられた係合突起と、他方のカバー部材に設けられて前記係合突起が係合する係合孔とにより構成されているようにするとよい。
このような構成とすることで、ぞれぞれの碍子本体収容部にヒンジ部及び係合手段が設けられるので、一対のカバー部材の開閉動作をスムーズに行え、また、係合状態を安定させることができ、耐久性を持たせることが可能となる。
【0015】
また、本発明は、連結部収容部に、該連結部収容部の変形を防止する補強手段を設けるようにしたので、連結部収容部を補強してこの部分での変形(屈曲)を避けることが可能となる。補強手段としては、連結部収容部の表面にリブを形成するものであっても、カバー部材とは別体の補強部材を連結部収容部に付設するものであってもよい。
【発明の効果】
【0016】
以上述べたように、本発明に係る複数連碍子用保護カバーによれば、複数の碍子のそれぞれの碍子本体を密着させて変位不能に収容する複数の碍子本体収容部と、隣り合う碍子の連結部分を収容する連結部収容部とが一体に形成された一対のカバー部材をヒンジ部を介して開閉可能に連結し、係合手段により閉じた状態を保持するようにしたので、複数連の碍子を取り付ける場合に、この複数連の碍子を保護カバーに収容した上で取り付け作業を行なうことで、複数連の碍子が連結部分で屈曲することを避けることができるので、シメラーの増し締めをしなくても、複数連の碍子を電線と支持構造物との間に容易に取り付けることができ、1人でも容易に作業することが可能となる。
【0017】
また、複数連の碍子は保護カバーで被覆されているので、支持構造物に碍子が接触して破損させる恐れがなく、さらには、間接活線作業を行う場合でも碍子の1つ1つを把持する必要がなく、保護カバーが取り付けられた複数連の碍子をまとめて作業することが可能となるので、間接活線作業を行う場合でも、容易に作業をすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、本発明に係る複数連碍子用保護カバーを示す図であり、(a)はその側面図、(b)は、(a)の左側から軸方向に見た図、(c)は、(a)の右側から軸方向に見た図、(d)は、その平面図である。
【
図2】
図2は、
図1の複数連碍子用保護カバーを開いて内側が見えるように展開した図である。
【
図3】
図3は、嵌合部の拡大図であり、(a)は、嵌合する前の状態を示す図、(b)は、嵌合した状態を示す図である。
【
図4】
図4(a)は、2個連碍子を示す図であり、
図4(b)は、本発明に係る複数連碍子用保護カバーを(a)の2個連が碍子に取り付けた状態を示す図である。
【
図5】
図5(a)は、本発明の複数連碍子用保護カバーを取り付けた2個連碍子を電線と支持構造物との間に取り付ける工程を説明する図、
図5(b)は、本発明の複数連碍子用保護カバーを取り付けた2個連碍子を電柱にぶつけた状態を示す図、
図5(c)は本発明の複数連碍子用保護カバーを取り付けた2個連碍子を間接活線把持工具で把持する状態を示す図である。
【
図6】
図6(a)は、本発明の複数連碍子用保護カバーの連結部収容部にリブを設けた変形例を示す図であり、
図6(b)は、本発明の複数連碍子用保護カバーの連結部収容部に補強部材を設けた変形例を示す図である。
【
図7】
図7は、電柱からなる支持構造体に電線を耐張碍子を介して支持させている状態を示す斜視図である。
【
図8】
図8は、電線を引留クランプと2個連の耐張碍子を介して支持構造体である電柱の腕金に支持させている状態を示す側面図である。
【
図9】
図9(a)は、従来の2個連碍子を電線と支持構造物との間に取り付ける工程を説明する図、
図9(b)は、従来の2個連碍子を電柱にぶつけた状態を示す図、
図9(c)は従来の2個連碍子を間接活線把持工具で把持する状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、この発明に係る複数連碍子用保護カバーの実施形態を添付図面を参照しながら説明する。
【0020】
図1及び
図2において、複数連碍子用保護カバー1は、電線とこの電線を支持する支持構造物との間に介在される2つの耐張碍子を直列接続してなる碍子連に取り付けられるもので、ポリエチレン樹脂などの絶縁素材を主体とした原料によって形成され、2つの耐張碍子の接続方向に沿って分割された分割面(2つの耐張碍子の軸心を含む平面)を有する一対のカバー部材2,3を備えている。
【0021】
それぞれのカバー部材2,3は、それぞれの耐張碍子の碍子本体を収容する複数の碍子本体収容部21,22,31,32と、隣り合う碍子本体収容部間に設けられ、隣り合う前記碍子の連結部分を収容する連結部収容部23,33とが一体に形成されている。
【0022】
ここで耐張碍子100は、
図4(a)に示すように、碍子本体101と、この碍子本体101の頭部の外周に嵌合固着されたキャップ金具102と、碍子本体101の内部に嵌合固着された支持杆105とを有して構成され、碍子本体101は、円柱体状に形成された磁器製の絶縁体によって構成され、キャップ金具102と支持杆105との間の沿面距離を稼ぐために、外周面が凹凸状に形成されている。
【0023】
キャップ金具102は、円錐状に形成されて頭部が二股に形成されているもので、この二股部102aには通孔103が形成されてコッタピン104を係脱自在に貫通可能としている。支持杆105は、金属製のもので、碍子本体101の底部中央からキャップ金具102と反対側へ延設され、この支持杆105の先端に円環部105aが一体に形成され、この円環部105aを他の耐張碍子100のキャップ金具102の二股部102aに挿入可能としている。
【0024】
このような耐張碍子100は、支持杆105の円環部105aを他方の耐張碍子100のキャップ金具102の二股部102aに挿入し、二股部102aの通孔103と円環部105aの通孔106とを整合させてこれら通孔103,106にコッタピン104を挿通させ、このコッタピン104に割りピン107を係合させて連結されている。
【0025】
前記碍子本体収容部21,22(31,32)には、それぞれの耐張碍子100の少なくとも碍子本体101の外表面と密着するように碍子本体101の形状に合わせて型取られた碍子本体収容凹部21a,22a(31a,32a)が形成され、この例では、キャップ金具102の一部をも覆うように形成されている。
したがって、耐張碍子100の碍子本体101を碍子本体収容凹部21a,22a(31a,32a)に嵌め入れると、耐張碍子は碍子本体収容部に変位不能に収容される。
また、前記連結部収容部23,33には、一方の耐張碍子100のキャップ金具102と他方の耐張碍子100の支持杆105との連結部分を余裕をもって収容できるように連結部収容凹部23a(33a)が形成されている。
この連結部収容凹部23a(33a)は、キャップ金具102と支持杆105との連結部分の形状に合わせて型取られている必要はなく、連結部分と連結部収容凹部の内壁との間に十分な隙間が形成されるものであってもよい。
【0026】
連結部収容部23,33は、碍子本体収容部21,22(31,32)よりも外形が小さく形成され、したがって、対をなすカバー部材2,3を互いに最中合わせにした状態(互いの凹部が対向するように分割面を重ね合わせた状態)においては、保護カバー1の中間部が把持しやすいようにくびれた状態となる。なお、この連結部収容部23,33は、この部分で屈曲されることがないよう、他の部分よりも厚みを厚くするなどして強固に形成されている。
【0027】
そして、それぞれのカバー部材2,3の分割面の長手方向に沿った縁部の一辺、この例では、それぞれの碍子本体収容部21,22,31,32の一方の側縁は、ヒンジ部41,42を介して連結され、このヒンジ部41,42を境に互いのカバー部材2,3を開閉させ、互いの凹部(21aと31a,22aと32a,23aと33a)を向かい合わせることができるようになっている。
【0028】
また、それぞれのカバー部材2,3の分割面の長手方向に沿った縁部の他の一辺には、カバー部材2,3の閉じた状態を保持する係合手段43,44が設けられている。この例において、係合手段は、
図3にも示されるように、それぞれカバー部材2,3のヒンジ部41,42が設けられた側と反対側の側縁(それぞれの碍子本体収容部21,22,31,32のヒンジ部が設けられていない側縁)に分割面と同一面上に延設されたフランジ部21b,22b,31b,32bを設け、一方のカバー部材のフランジ部21b、22bに分割面と略垂直に突設された係合突起21c、22cを設け、また、他方のカバー部材のフランジ部31b、32bに係合突起21c、22cが係合する係合孔31c、32cを形成し、カバー部材2,3を閉じた際に係合突起21c、22cを係合孔31c、32cに係合させることで、閉じた状態が保持されるようになっている。
【0029】
また、この例において、それぞれの碍子本体収容部21,22,31,32は、断面半円状に形成され、一対のカバー部材2,3を閉じた状態において円筒状になるように形成されている。これに対して連結部収容部23,33は、断面矩形状に形成され、一対のカバー部材2,3を閉じた状態において、角筒状になるように形成され、この連結部収容部の外側面は、間接活線把持工具(絶縁ヤットコなど)で把持可能な幅に形成され、且つ、平坦に形成されている。なお、連結部収容部23,33の外側面は、間接活線把持工具で把持した際に滑らないようにするために、滑り止め処理を施すようにしてもよい。
【0030】
以上の構成において、2個連の碍子を取り替える場合には、
図5(a)に示されるように、シメラー200を電線160と支持構造物(電柱や腕金150)との間に取り付け、このシメラーで電線の張力を緩め、この状態を維持しつつ電線側の碍子を取り外すと共に支持構造物側の碍子を取り外す。
【0031】
その後、新たな2個連の碍子を取り付けるために、
図4(a)の2個連の碍子100を、
図4(b)に示すように、保護カバー1に収容して(それぞれの碍子100の碍子本体101をそれぞれの碍子本体収容凹部21a,22a、31a,32aに収容すると共に、碍子同士の連結部分を連結部収容部23,33に収容して)、一対のカバー部材2,3を互いの分割面を重ね合わせるように閉じて係合突起21c、22cを係合孔31c、32cに係合させ、保護カバー1を2個連の碍子の周囲に固定させる。
この状態においては、それぞれの碍子100は、コッタピンによって回動可能に連結されているが、周囲に保護カバーが取り付けられることで、2個連の碍子100は、軸心を一致させるように真っ直ぐに連結された状態が保持され、動きが規制されている。
【0032】
そして、支持構造物側または電線側の一方(例えば、腕金)に保護カバー1から突出した一端部(例えば、キャップ金具102)を取り付け、その後、保護カバーを持ち上げつつ全体を略水平にして、支持構造物側または電線側の他方(例えば、クランプ本体の連結部)に保護カバーから突出した他端部(例えば、支持杆105)を取り付ける。この際、2個連の碍子は、保護カバーによって動きが規制されているので、連結部分が屈曲されて逆ヘの字状になることがないため、クランプ本体の連結部に保護カバーから突出した支持杆105を取り付ける場合に、シメラーを増し締めしなくても接続部位の位置合わせが容易となり、接続作業を容易に行なうことが可能となる。
そして、接続作業が完了した後に、保護カバーの係合状態を解除して(係合突起21c、22cを係合孔31c、32cから外して)保護カバー1を碍子表面から除去すれば、2個連の耐張碍子100の取り付け作業が完了する。
【0033】
碍子の取り付け作業時においては、保護カバーは絶縁性材料で形成されているので、素手で保護カバーを持って作業することも可能であり、また、手が滑って碍子が手から離れ、
図5(b)に示されるように支持構造物に衝突した場合でも、保護カバーが支持構造物に当接するだけで、碍子が直接支持構造物に当接することがないので、碍子本体101が破損する恐れを無くすことが可能となる。
【0034】
また、充電時の作業においては、間接活線工具を用いた作業を行なう必要があるが、2個連の碍子は保護カバーが取り付けられて連結部分で屈曲することがないので、
図5(c)に示されるように、連結部収容部23,33を間接活線工具で把持して作業をすることが可能となり、このように略中央で把持されるので、全体の重量バランスが大きく偏ることはなく、また、安定した把持状態を確保することが可能となリ、一人での作業も容易に行なうことができ、作業効率を高めることが可能となる。
【0035】
なお、上述の例では、連結部収容部23,33で屈曲されることがないよう、連結部収容部23,33の厚みを厚くする等してこの部分の強度を高くした例を示したが、連結部収容部を補強してこの部分での変形(屈曲)を避けるために、
図6(a)に示されるように、連結部収容部23,33の表面にリブ45を形成したり、
図6(b)に示されるように、カバー部材2,3とは別体の補強部材46を連結部収容部23,33の表面等に付設したりして補強手段を設けるようにしてもよい。 また、以上の構成においては、2つの碍子が直接接続された2連碍子の保護カバーについて説明したが、3連以上の碍子に対して、同様の構成を採用してもよい。
【符号の説明】
【0036】
1 保護カバー
2,3 カバー部材
21,22,31,32 碍子本体収容部
23,33 連結部収容部
41,42 ヒンジ部
43,44 係合手段
21c、22c 係合突起
31c、32c 係合孔
100 耐張碍子