【実施例】
【0025】
図5は、他の実施例2のドラム型濃縮機の正面図であって、ドラム体3の上方には、一対のリターンロール14,14と駆動ロール15および従動ロール16を配設し、リターンロール14の内側と、駆動ロール15および従動ロール16の外側から吸水ろ材4を掛け回して無端状に張設している。駆動ロール15には図示しないロール駆動機を接続してあり、駆動ロール15を回転させることで無端状の吸水ろ材4で形成したろ過体1を走行自在に構成している。駆動ロール15と従動ロール16間には吸水ろ材4を洗浄するための洗浄装置21を配設している。
【0026】
ドラム体3の下方には、吸水ろ材4に摺接するように一対のサポートロール18,18を配設している。なお、サポートロール18の位置や数は、ドラム体3の直径や汚泥の供給量等に応じて適宜配設する。
【0027】
吸水ろ材4の走行方向に向かって、リターンロール14の下流側には一対の脱水ロール5,5を配設している。脱水ロール5で吸水ろ材4を押圧し、吸水ろ材4内部に吸水したろ液を排出する。
【0028】
なお、本装置に係る構成要件をサポートする部材、例えば、フレーム、軸受、リブ等は、仕様や条件に応じて適宜配設する。
【0029】
汚泥は図示しない汚泥供給ポンプ等で供給管9を介してドラム体3内部の前端の外環7近傍に供給される。内部に供給された汚泥は、重力濃縮作用により円筒状のろ過体1から液分を透過される。
【0030】
また、ろ過体1内の汚泥は、ドラム体3の回転に沿って底部から中心軸近くの高さまで搬送された後、自重によって底部に落泥する。この時、汚泥の揉み解し作用により汚泥内部の液分が表面に抽出され、ろ過体1による固液分離が促進される。螺旋状のスパイラル2の回転作用により、内部の汚泥は排出側に搬送され、その間にも揉み解し作用を受けてさらに濃縮される。スパイラル2のピッチや平板の高さ等は、搬送する汚泥が隣段に越流しないよう供給量等に応じて適宜設定する。
【0031】
円筒状のろ過体1は多数の細孔を有している。供給する汚泥に応じて開口率、孔径等を定めているが、汚泥の回収率を高くするためには孔径を小さく設定する必要がある。
孔径が小さい場合は、多量のろ液を排出する場合は自重により細孔から滴下するが、ろ液が少ない場合は、表面張力により細孔内あるいはろ過体1の外周面に張り付いてろ液が滴下しない。
【0032】
そこで、表面張力によりろ過体に張り付いているろ液を、ろ過体1から剥離するために吸水ろ材4を摺接させる。吸水ろ材4は毛細管吸水機能を有するもので、ろ過体1のろ液と接触すると、ろ液が吸水ろ材4に吸収される。また、同時に吸水ろ材4は保水機能に優れたもので、ろ液をろ材内部に含水する機能を有している。
【0033】
具体的には、吸水ろ材4を開口率が小さく目の細かいスポンジ等で構成することで、上記作用効果を奏することができる。
【0034】
吸水ろ材4と摺接したろ過体1は、細孔近傍に張り付いていたろ液が吸水ろ材4側に吸収されるので、排出抵抗が低減されるとともに、毛細管現象により汚泥からのろ液を吸収しやすくなり処理能力が向上する。また、細孔の孔径を小さくしても排水能力が下がらないので、ドラム体3内部の汚泥抜けが減少して、汚泥の回収率が向上する。
【0035】
ろ過体1に吸水ろ材4を摺接させる位置は、ろ過体1からろ液が排出される位置であればよく、汚泥性状や供給量等に応じて張力等に応じて、リターンロール14の間隔、高さを適宜設定し、吸水ろ材4の巻き掛け角度を調整する。
【0036】
濃縮度はドラム体3の回転速度あるいは吸水ろ材4の走行速度を制御することによって調整できる。
【0037】
ドラム体3の回転速度を遅くすると、内部の汚泥の滞留時間が長くなり、濃縮度が高くなる。逆に、ドラム体3の回転速度を速くすると、内部の汚泥の滞留時間が短くなり、濃縮度が低くなる。
【0038】
吸水ろ材4の走行速度を速くすると、ろ過体1に吸水ろ材4が接触する割合が高くなり、ろ過体1にろ液がたまる頻度が低くなり排水抵抗が下がるので濃縮度が高くなる。逆に、吸水ろ材4の走行速度を遅くすると、ろ過体に吸水ろ材が接触する割合が低くなり、ろ過体にろ液がたまりやすくなり排水抵抗が上がるので濃縮度が
低くなる。
【0039】
図6は、他の実施例3のドラム型濃縮機の正面図であって、2台のドラム体3,3を並設し、1枚の無端状の吸水ろ材4を2台のドラム体3,3に掛け回している。
【0040】
吸水ろ材4を一方のドラム体3に掛け回し、その上方のリターンロール14で反転させた後、他方のドラム体3の上方のリターンロール14を介して他方のドラム体3に掛け回し、それぞれのリターンロール14から駆動ロール15および従動ロール16に掛け回している。
【0041】
駆動ロール15をロール駆動機で駆動することで吸水ろ材4が複数のドラム3,3体間を走行する。それぞれのドラム体3の吸水ろ材4の走行方向に向かって下流側に、一対の脱水ロール5,5を配設しており、ドラム体3で汚泥から吸水した水分を排出する。
【0042】
なお、ドラム体3の回転は、それぞれに独立したスパイラル駆動機11,11を接続してもよく、あるいは、並設したドラム体3を1巻のチェーン10で接続し、単機のスパイラル駆動機11で同時に回転させてもよい。
【0043】
図7は、他の実施例4のドラム型濃縮機の一部縦断側面図であって、ろ過体1の内周面に固着したリボン状の中空スパイラルに代わって、中心軸19に螺旋状のスパイラル2aを巻き掛け
ると共にスパイラル2aとろ過体1の内周面を固着させドラム体3を形成してもよい。この場合、中心軸19をドラム体3から延出させ、中心軸19をスパイラル駆動機11と接続してもよい。
【0044】
汚泥の供給は、中心軸19を中空として、汚泥の供給管9を兼用する。中心軸19の前縁の外環7近傍に供給口20を開口する。中心軸19に螺旋状のスパイラル2aを巻き掛けると、隣段への汚泥の越流の心配がない。