(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
据付床を貫通して吸込水槽内に配管されている吸込管と、前記据付床上に配置されており一端側が前記吸込管に接続されている吸込エルボと、前記据付床上に配置されており一端側が前記吸込エルボに接続されているインペラケーシングと、前記据付床上に配管されており前記インペラケーシングの他端側に接続されている吐出管とを有するポンプケーシングと、
前記インペラケーシングの軸線に沿って配置されている回転軸と、
前記インペラケーシング内に位置するように前記回転軸に連結されているインペラと、
前記インペラの空転を検出するための第1の空転検出手段として前記吐出管に配置されており、前記インペラが空転する第1水位以下に前記吐出管内の水位が低下したことを検出する水位センサと、
前記インペラの空転を検出するための第2の空転検出手段として前記ポンプケーシングに配置されており、前記第1水位よりも低く、前記ポンプケーシング内の液体が前記吸込水槽に向けて逆流する第2水位以下の部分における前記液体の流れの向きを検出する流向センサと、
前記水位センサの検出結果及び前記流向センサの検出結果のうちの一方でも前記インペラの空転を示す場合、前記回転軸を介して前記インペラを回転させる駆動手段の回転速度を低減させる制御手段と
を備え、
前記流向センサは、前記吐出管に両端が接続された枝管に介設され、前記逆流を検出した場合に落水信号を出力するもので、
前記制御手段は、前記落水信号が入力された場合、前記インペラが空転していると判断する、横軸ポンプ。
前記吐出管は、前記インペラによって液体を送水できない水位以下の部分に分岐接続されている分岐管を有し、この分岐管に前記水位センサとして電極式レベルセンサが配置されている、請求項1に記載の横軸ポンプ。
前記水位センサは、前記ポンプケーシング内が液体で満たされているか否かを検出する満水検出手段の機能を兼ね備えている、請求項2から請求項4のいずれか1項に記載の横軸ポンプ。
前記インペラケーシング内に配置されている前記回転軸の水中軸受には、第3の空転検出手段として、前記水中軸受の温度を検出する温度センサが配置されている、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の横軸ポンプ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、落水状態を検出することでポンプを制御する方法では、ポンプの損傷を確実に防ぐことはできない。また、静電容量式の水位センサは、排水する液体に含まれるゴミ等の影響によって誤動作する可能性が高い。さらに、電動機の電流値又はエンジンの排気温度から落水を検出する方法は、ポンプケーシング内を間接的に検知する構成であるため、検出に関する確実性に欠けている。
【0005】
本発明は、液体の送水量が低減することに伴う横軸ポンプの損傷を抑制することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、据付床を貫通して吸込水槽内に配管されている吸込管と、前記据付床上に配置されており一端側が前記吸込管に接続されている吸込エルボと、前記据付床上に配置されており一端側が前記吸込エルボに接続されているインペラケーシングと、前記据付床上に配管されており前記インペラケーシングの他端側に接続されている吐出管とを有するポンプケーシングと、前記インペラケーシングの軸線に沿って配置されている回転軸と、前記インペラケーシング内に位置するように前記回転軸に連結されているインペラと、
前記インペラの空転を検出するための第1の空転検出手段として前記吐出管に配置されており、
前記インペラが空転する第1水位以下に前記吐出管内の水位
が低下したことを検出する水位センサと、
前記インペラの空転を検出するための第2の空転検出手段として前記ポンプケーシングに配置されており、前記第1水位よりも低く、前記ポンプケーシング内の液体が
前記吸込水槽に向けて逆流する第2水位以下の部分における前記液体の流れ
の向きを検出する流向センサと、前記
水位センサの検出結果及び前記
流向センサの検出結果のうちの一方でも前記インペラの空転を
示す場合、前記回転軸を介して前記インペラを回転させる駆動手段の回転速度を低減させる制御手段とを備
え、前記流向センサは、前記吐出管に両端が接続された枝管に介設され、前記逆流を検出した場合に落水信号を出力するもので、前記制御手段は、前記落水信号が入力された場合、前記インペラが空転していると判断する、横軸ポンプを提供する。ここで、インペラの空転とは、液体がポンプケーシングを吸込水槽へ逆流する落水状態だけでなく、インペラの回転により設定されている液体量を下流側に送水できない状態を意味する。また、駆動手段の回転速度を低減させるとは、通常運転時の回転速度より低速回転の状態は勿論、駆動手段を停止した状態を含む。
【0007】
この横軸ポンプによれば、吸込管の吸込口等から空気が吸い込まれることで、ポンプケーシング内の水位が低下すると、インペラケーシングの上側領域の部分でインペラが空転し、液体送水量が減少する。この状態を第1の空転検出手段である水位センサが検出すると、制御手段が駆動手段の回転速度を低減するため、横軸ポンプ(インペラ又は水中軸受)の損傷を抑制できる。
また、第1の空転検出手段である水位センサが何らかの要因で動作しなかった場合でも、第2の空転検出手段である流向センサによってポンプケーシング内の逆流を検出することで、インペラの空転(落水)状態を判断できる。よって、横軸ポンプの保護に関する信頼性を高めることができる。
【0008】
前記吐出管は、前記インペラによって液体を送水できない水位以下の部分に分岐接続されている分岐管を有し、この分岐管に前記水位センサとして電極式レベルセンサが配置されている。この態様によれば、分岐管に水位センサが配置されているため、ポンプによって排出する液体中に含まれるゴミ等が水位センサの検出精度に影響を及ぼすことを抑制でき、インペラの空転を高精度に検出できる。
【0009】
前記分岐管には、この分岐管内の水位を目視可能なレベル表示部が設けられている。この態様によれば、何らかの要因で水位センサに誤動作や検知不良が生じても、レベル表示部で水位を確認することで、インペラが空転する状態であるか否かを判断できる。
【0010】
前記分岐管には、前記水位センサの上流側にストレーナが配置されている。この態様によれば、液体に含まれたゴミ等によって水位センサによる誤動作及び検出不良を確実に防止できる。また、水位センサにゴミが付着しないため、水位センサの分解清掃も必要ない。また、ストレーナに付着したゴミは、分岐管に水を外部から逆方向に注水することで、ストレーナから簡単に除去できる。
【0011】
前記水位センサは、前記ポンプケーシング内が液体で満たされているか否かを検出する満水検出手段の機能を兼ね備えている。この態様によれば、インペラが空転しない状態で横軸ポンプの動作を開始することができる。また、インペラの空転を検出する水位センサがポンプケーシング内の満水を検出する機能を兼ね備えるため、横軸ポンプを制御するための部品点数の増加を抑制できる。
【0012】
前記枝管は、前記吐出管において、前記第1水位以上の部分に接続された一端と、前記第2水位以下の部分に接続された他端とを有し、前記流向センサは、前記枝管内において下向きの水流を検出した場合に前記落水信号を出力する。
【0013】
また、前記インペラケーシング内に配置されている前記回転軸の水中軸受には、第3の空転検出手段として、前記水中軸受の温度を検出する温度センサが配置されている。この態様によれば、第1の空転検出手段である水位センサが何らかの要因で動作しなかった場合でも、第3の空転検出手段である温度センサによって水中軸受の昇温を検出することで、インペラの空転状態を確実に判断できる。よって、横軸ポンプの保護に関する信頼性を高めることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明では、第1の空転検出手段である水位センサによってインペラが空転する水位を検出すると、制御手段が駆動手段の回転速度を低減させるため、横軸ポンプの損傷を抑制できる。また、分岐管に水位センサを配置することで、排出する液体中に含まれるゴミ等が水位センサの検出精度に影響を及ぼすことを抑制でき、インペラの空転を高精度に検出できる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
【0017】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る横軸ポンプ10を示す。この横軸ポンプ10は、雨水(液体)等を一時的に貯留する吸込水槽4を備える排水機場に配置されている。横軸ポンプ10は、送水用のインペラ32を動作させることで、吸込水槽4内の液体を下流側へ排水(送水)する。本実施形態では、インペラ32が空気に露出した状態で運転されることを防止するポンプ保護装置を設けることで、横軸ポンプ10の損傷を抑制する。
【0018】
横軸ポンプ10は、概ね倒L形状のポンプケーシング12を備えている。このポンプケーシング12は、据付床1の下部に形成されている吸込水槽4内に配置された吸込管13と、据付床1の上部に形成されているポンプ室3内に配置された吐出エルボ16、インペラケーシング15、及び吐出管17とを備えている。
【0019】
吸込管13は円筒状の直管であり、据付床1に形成されている挿通穴2を貫通し、概ね鉛直方向に延びるように吸込水槽4内に配管されている。この吸込管13の下端の吸込口14は、吸込水槽4の底壁5に対して所定の間隔をあけて位置している。インペラケーシング15は、径方向外向きに膨出した概ね楕円球状の筒体であり、据付床1上に配置されている。このインペラケーシング15には、一端(上流)側に吸込エルボ16が接続されており、この吸込エルボ16の一端側が吸込管13に接続されている。吸込エルボ16は、吸込管13による液体の鉛直方向の流れを水平方向に変える曲り管である。吐出管17は、インペラケーシング15の他端(下流)側に接続されている直管であり、据付床1上に配置されている。吐出管17には吐出弁18が接続され、この吐出弁18に下流側に配管されている送水管19が接続されている。なお、吐出弁18は、ポンプケーシング12内と送水管19内とを連通させた開状態、及びポンプケーシング12内と吐出管17内との連通を遮断した閉状態に切り換える開閉弁である。
【0020】
図2を併せて参照すると、ポンプケーシング12には、インペラケーシング15の軸線に沿って延びるように回転軸22が回転可能に配置されている。この回転軸22は、一端側がポンプケーシング12外に位置し、他端側がインペラケーシング15内に位置するように、吸込エルボ16に形成されている貫通部24を通して配置されている。回転軸22の外端22a側には、電動機又は内燃機関等の駆動装置(駆動手段)25が連結されている。また、回転軸22の内端22b側は、インペラケーシング15内に配置されている水中軸受27に軸支されている。この水中軸受27は概ね円錐筒状をなす軸受ケーシング28内に配置され、この軸受ケーシング28が放射状に突出するガイドベーン29を介してインペラケーシング15内に配置されている。
【0021】
回転軸22の内端22b側には、インペラケーシング15内に位置するように、インペラ32が相対的に回転不可能に連結されている。このインペラ32は、ポンプケーシング12の吸込口14より上方に位置している。インペラ32を回転させた送水処理は、ポンプケーシング12内が液体で満たされた状態で開始される。
【0022】
図1に示すように、ポンプケーシング12内に液体を充満させるために、ポンプケーシング12(インペラケーシング15)の上端部分には吸引孔34が設けられ、この吸引孔34に吸引管35を介して真空ポンプ36が接続されている。また、吸引管35の真空ポンプ36と吸引孔34との間には、ポンプケーシング12内が液体で満たされているか否かを検出する満水検知器37が配置されている。満水検知器37としては、例えば、一対の電極を有する電極式の水位センサ、又はフロート式の水位センサを用いることができる。
【0023】
吐出弁18、駆動装置25、真空ポンプ36、及び満水検知器37は、制御装置(制御手段)40に接続されている。この制御装置40は、吸込水槽4内に配置されている図示しない水位センサを介して、吸込水槽4内に排水水位まで液体が溜まったことを検出すると、吐出弁18を閉状態とした後、真空ポンプ36を動作させる。すると、ポンプケーシング12内の空気がポンプケーシング12外に排出され、吸込口14から吸込水槽4内の液体が吸い込まれる。そして、ポンプケーシング12内に液体が充満され、吸引管35内に液体が流入したことを満水検知器37が検出すると、駆動装置25の駆動を開始するとともに、吐出弁18を開状態にする。これにより、駆動装置25の駆動により回転軸22を介してインペラ32が回転することで、吸込水槽4内の液体がポンプケーシング12内に吸い込まれ、ポンプケーシング12内の液体が送水管19を介して下流側に送水される。
【0024】
例えば吸込水槽4内の液体が少なくなり、水位が吸込口14近傍まで低下すると、吸込口14から吸込水槽4内の空気が吸い込まれ、ポンプケーシング12内の水位が低下する。また、吸込管13、吐出エルボ16、インペラケーシング15、及び吐出弁18を接続する各フランジ部、そして、吐出エルボ16の貫通部24等から空気が吸い込まれると、ポンプケーシング12内の水位が低下する。さらに、横軸ポンプ10の起動前に吐出弁18の下流側の送水管19に空気が入り込んでいる場合、ポンプ起動後に送水管19内の空気が逆流することで、ポンプケーシング12内の水位が低下する。
【0025】
そして、インペラ32による液体の送水量は、インペラ32の露出領域が増加することに従って減少する。インペラ32が一定量(例えば30%)以上、空気に露出する水位L1になると、インペラ32による液体の送水が不可能になる(空転状態)。また、ポンプケーシング12内が水位L1より低い水位L2まで低下すると、インペラ32を回転させていても、ポンプケーシング12内の液体は吸込水槽4側へ逆流する(落水状態)。
【0026】
(ポンプ保護装置の詳細)
横軸ポンプ10には、インペラ32の空転を検出する3種の空転検出手段42,52,55が配置されている。本実施形態では、第1の空転検出手段として水位センサ42が配置され、第2の空転検出手段として流向センサ52が配置され、第3の空転検出手段として温度センサ55が配置されている。制御装置40は、いずれかの空転検出手段42,52,55を介してインペラ32の空転を検出すると、駆動装置25の回転速度を低減させる。なお、駆動装置25の回転速度を低減させるとは、通常運転時の回転速度より低速で、インペラ32又は水中軸受27が損傷しない回転速度にすることを意味し、駆動装置25を停止した状態を含む。そして、本実施形態では、インペラ32の空転を検出すると、駆動装置25を停止するように設定している。
【0027】
図1及び
図3に示すように、水位センサ42は、分岐管45を介して吐出管17に配置されている。この分岐管45は、吐出管17に分岐接続されている流入管部46と、水位センサ42を配置するための鉛直管部47とを備えている。流入管部46は、水位L1以下の部分である吐出管17の下端近傍に接続されている。この流入管部46は、吐出管17の軸線に対して直交する方向に突出し、据付床1に沿って水平に延びるように配管されている。鉛直管部47は、流入管部46の外端に連続し、鉛直方向上向きに延びるように配管されている。この分岐管45には、分岐管45内の圧力と吐出管17内の圧力を平衡させるための連通管48が接続されている。この連通管48は、一端が鉛直管部47の上部に接続され、他端が吐出管17の上端に接続されている。これにより、吐出管17内から流入した分岐管45内の液体の水位は、吐出管17内の水位と同一になる。
【0028】
水位センサ42は、分岐管45内の水位を検出することで、吐出管17内の水位を検出する。この水位センサ42は、一対の棒状電極43A,43Bを備える電極式レベルセンサが用いられている。第1電極43Aは、鉛直管部47の上端から下向きに突出されており、下端が流入管部46の近傍に配置されている。第2電極43Bは、鉛直管部47の上端から下向きに突出されており、下端が水位L1と概ね同一高さに配置されている。吐出管17内の水位が設定水位L1以上の場合、一対の電極43A,43Bは液体を媒体として短絡する。水位センサ42は、電極43A,43Bが短絡している場合に短絡信号を出力し、電極43A,43Bが短絡していない場合には信号を出力しない。制御装置40は、水位センサ42から短絡信号が入力されることで吐出管17内の水位が設定水位L1以上であると判断でき、短絡信号の入力が途絶えることで吐出管17内の水位が設定水位L1未満になったと判断できる。
【0029】
分岐管45には、吐出管17内の実際の水位を作業者が確認できるようにするために、分岐管45内の水位を目視可能なレベル表示部49が設けられている。このレベル表示部49は、少なくとも一部が透明な直管からなり、下端が鉛直管部47の下部に接続され、上端が鉛直管部47の上部に接続されている。また、液体に含まれたゴミ等によって水位センサ42が誤動作したり検出不良が生じたりすることを防止するために、分岐管45には、水位センサ42の上流側に位置する流入管部46にストレーナ50が配置されている。流入管部46には、ストレーナ50の上流側に排水管部46aが設けられている。この排水管部46aには、図示しない止水弁が配置されている。
【0030】
流向センサ52は、枝管53を介して吐出管17に配置されている。この枝管53は、概ね鉛直方向に延びるように吐出管17に配管されている。更に詳しく説明すると、枝管53の一端は、水位L2以下の部分である吐出管17の下端近傍に接続され、枝管53の他端は、水位L1以上の部分である吐出管17の上部に他端が接続されている。吐出管17内が通常の送水状態の場合には、枝管53内には水流が生じない。ポンプケーシング12内の水位が低下し、サイフォンを維持できない状態になると、落水により枝管53内では下向きの急激な流れが生じる。
【0031】
流向センサ52は、枝管53の中央に配置されており、磁界中に水流が生じたときに、流速に比例した電圧で流向に応じた極性の電圧を発生させる電磁式流向計が用いられている。この流向センサ52は、枝管53内の上向きの水流を検出した場合に揚水信号を出力し、枝管53内の下向きの水流を検出した場合に落水信号を出力し、いずれの水流も検出しない場合には信号を出力しない。制御装置40は、流向センサ52から落水信号が入力されるか否により、吐出管17内の水位が設定水位L2未満に低下したか否かを判断できる。
【0032】
図2を併せて参照すると、温度センサ55は、インペラケーシング15を貫通して水中軸受27に検出部55aが配置されている。インペラケーシング15には、吐出管17中の水流と隔離するための配線部56が設けられている。温度センサ55は、検出温度(検出値)に相当する温度信号を出力するサーミスタが用いられている。吐出管17内が水位L1以上の通常運転時には、水中軸受27は、液体中に浸漬されて冷却されるため、昇温が抑えられる。一方、吐出管17内が水位L2以下の空転状態になると、水中軸受27は、空気中に露出されることで冷却されないため、回転軸22の回転(摩擦)により通常運転時よりも温度が上昇する。
【0033】
制御装置40には、通常運転時より高い温度の閾値が設定(記憶)されている。この制御装置40は、温度センサ55から入力された検出値と閾値とを比較し、検出値が閾値より高いか否かにより、水中軸受27が空気に露出していか否かを判断できる。なお、制御装置40は、設定時間又は設定回数継続して検出値が閾値より高くなっている場合に、水中軸受27が空気に露出していると判断することが好ましい。
【0034】
制御装置40は、送水処理中にポンプケーシング12内に空気が入り込むことで、ポンプケーシング12内の液体水位が次第に低下していくと、その水位低下を水位センサ42、流向センサ52、温度センサ55の順番で判断できる。
【0035】
即ち、ポンプケーシング12内が満水の状態から設定水位L1未満まで低下すると、水位センサ42の電極43A,43Bが短絡状態から絶縁状態になる。水位センサ42から入力される短絡信号が途絶えることで、制御装置40は、吐出管17内の水位が設定水位L1未満に低下し、インペラ32が空転していると判断できる。水位センサ42からの入力によってインペラ32の空転を判断すると、制御装置40は、駆動装置25の駆動を停止させることで、横軸ポンプ10の送水処理を停止する。
【0036】
何らかの要因で水位センサ42が短絡信号の出力を維持したまま、ポンプケーシング12内の水位が設定水位L2未満まで低下すると、ポンプケーシング12内の流向が吐出弁18側に向けた通常状態から、吸込水槽4側に向けた落水状態になる。流向センサ52から落水信号が入力されることで、制御装置40は、吐出管17内の水位が設定水位L2未満に低下し、インペラ32が空転していると判断できる。流向センサ52からの入力によってインペラ32の空転を判断すると、制御装置40は、駆動装置25の駆動を停止させることで、横軸ポンプ10の送水処理を停止する。
【0037】
また、ポンプケーシング12内の水位が設定水位L2未満まで低下すると、水中軸受27の温度は通常運転時より昇温した状態になる。よって、ポンプケーシング12内が設定水位L2未満の状態で、何らかの要因で水位センサ42が短絡信号の出力を維持するとともに、流向センサ52が落水信号の出力を維持している場合、制御装置40は、温度センサ55からの温度信号により、インペラ32が空転していると判断できる。温度センサ55からの入力によってインペラ32の空転を判断すると、制御装置40は、駆動装置25の駆動を停止させることで、横軸ポンプ10の送水処理を停止する。
【0038】
以上のように、本実施形態の横軸ポンプ10では、いずれかの空転検出手段42,52,55によってインペラ32が空転する状態を検出すると、制御装置40によって駆動装置25の回転を停止するため、インペラ32又は水中軸受27の損傷を抑制できる。また、第1の空転検出手段である水位センサ42として電極式レベルセンサを配置しているため、インペラ32の空転状態を確実に検出できる。また、第2の空転検出手段として流向センサ52を配置しているため、水位センサ42が何らかの要因で動作しなかった場合でも、流向センサ52によってインペラ32の空転(落水)状態を検出できる。また、第3の空転検出手段として水中軸受27の温度を検出する温度センサ55を配置しているため、水位センサ42及び流向センサ52が何らかの要因で動作しなかった場合でも、温度センサ55によってインペラ32の空転(落水)状態を検出できる。よって、インペラ32の空転を高精度に検出できるため、横軸ポンプ10の保護に関する信頼性を高めることができる。
【0039】
また、水位センサ42は吐出管17から分岐した分岐管45に配置され、流向センサ52は吐出管17から分岐した枝管53に配置されているため、排出する液体中に含まれるゴミ等が検出精度に影響を及ぼすことを抑制できる。また、分岐管45にはレベル表示部49が設けられているため、何らかの要因で水位センサ42に誤動作や検知不良が生じても、レベル表示部49で実際の水位を確認することで、インペラ32が空転する状態であるか否かを判断できる。
【0040】
また、水位センサ42の上流側にはストレーナ50が配置されているため、液体に含まれたゴミ等によって水位センサによる誤動作及び検出不良を確実に防止できる。また、水位センサ42にはゴミが付着しないため、水位センサ42の分解清掃も必要ない。なお、ストレーナ50に付着したゴミは、分岐管45から水位センサ42を取り外し、分岐管45に水を外部から逆方向に注水し、排水管部46aから排出することで、ストレーナ50から簡単に除去できる。
【0041】
(第2実施形態)
図4は第2実施形態の横軸ポンプ10を示す。この第2実施形態では、水位センサ42に3本の電極43A〜43Cを配置し、この水位センサ42が
図1に示す満水検知器37の機能を兼ねるようにした点で、第1実施形態と相違する。詳しくは、第2実施形態の鉛直管部47の上端は、吐出管17の上端より高い位置に配置されている。水位センサ42の第1電極43Aは、鉛直管部47の上端から下向きに突出されており、下端が流入管部46の近傍に配置されている。第2電極43Bは、鉛直管部47の上端から下向きに突出されており、下端が水位L1と概ね同一高さに配置されている。第3電極43Cは、鉛直管部47の上端から下向きに突出されており、下端がインペラケーシング15の上端と概ね同一高さに配置されている。
【0042】
第2実施形態の制御装置40は、吸込水槽4内に排水水位まで液体が溜まると、第1実施形態と同様に、吐出弁18を閉状態とした後、真空ポンプ36を動作させ、ポンプケーシング12内に液体を流入させる。そして、水位センサ42の電極43A,43Cが短絡すると、ポンプケーシング12内に液体が充満されと判断し、駆動装置25の駆動を開始するとともに吐出弁18を開状態として、送水処理を開始する。また、第1実施形態と同様に、水位センサ42、流向センサ52、及び温度センサ55のいずれかによってインペラ32の空転を検出すると、駆動装置25を停止することで排水処理を停止する。
【0043】
このように、第2実施形態の横軸ポンプ10では、第1実施形態と同様の作用及び効果を得ることができる。しかも、インペラ32の空転を検出する水位センサ42が、ポンプケーシング12内が液体で満ちたことを検出する満水検知器37の機能を兼ね備えるため、部品点数が増加することを抑制できる。
【0044】
また、第2実施形態の分岐管45は、流入管部46の中間部分から鉛直管部47を突設したT字管を用いている。流入管部46において、鉛直管部47より外方に突出した部分は、ストレーナ50を清掃するための注入部58である。この注入部58には、流入管部46内と外部とを連通させた開状態、及び流入管部46内と外部との連通を遮断した閉状態に切り換える止水弁59が配置されている。
【0045】
この第2実施形態では、ストレーナ50に付着したゴミを除去する場合、注入部58に外部注水用の配管を接続し、止水弁59を開状態として流入管部46内に水を注水する。これにより、鉛直管部47から水位センサ42を取り外すことなく、簡単にストレーナ50に付着したゴミを除去することができる。
【0046】
なお、本発明の横軸ポンプ10は、前記実施形態の構成に限定されず、種々の変更が可能である。
【0047】
例えば、第1の空転検出手段である水位センサ42は、吐出管17内の水位を直接検出できるように、吐出管17に直接配置してもよい。また、水位センサ42は、電極式レベルセンサに限られず、フロート式の水位計を用いてもよい。また、水位センサ42に加え、流向センサ52と温度センサ55とを配置したが、水位センサ42と流向センサ52だけを配置してもよいし、水位センサ42と温度センサ55だけを配置してもよい。
【0048】
第2の空転検出手段である流向センサ52は、吐出管17に対して水平方向に延びるように配管した枝管53に配置してもよい。この場合、枝管53は、水位L2以下の部分である吐出管17の下端近傍に配管されている。このようにした枝管53内には、吐出管17内の液体の流れと同一方向の水流が生じる。よって、流向センサ52は、送水管19側に向けた水流が生じる通常の送水状態では通常信号を出力し、吸込水槽4側に向けた水流が生じる落水状態では落水信号を出力する。制御装置40は、流向センサ52から通常信号及び落水信号のいずれが入力されるかにより、インペラ32が空転しているか否かを判断できる。
【0049】
また、流向センサ52は、吐出管17に配置する構成に限られず、吸込管13、吸込エルボ16、及びインペラケーシング15のいずれに配置してもよく、ポンプケーシング12に配置する構成であればよい。流向センサ52は、電磁式流向計に限られず、ポンプケーシング12内を流れる液体の向きを検出できるものであれば、いずれでも適用可能である。また、温度センサ55も、水中軸受27の温度を検出できるものであれば、いずれでも適用可能である。