特許第6703852号(P6703852)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6703852
(24)【登録日】2020年5月13日
(45)【発行日】2020年6月3日
(54)【発明の名称】可変バンドパスフィルタ
(51)【国際特許分類】
   H03H 7/12 20060101AFI20200525BHJP
   H03H 7/01 20060101ALI20200525BHJP
   H03H 7/38 20060101ALI20200525BHJP
   H03H 7/09 20060101ALI20200525BHJP
【FI】
   H03H7/12
   H03H7/01 B
   H03H7/38 Z
   H03H7/09 Z
【請求項の数】6
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2016-26861(P2016-26861)
(22)【出願日】2016年2月16日
(65)【公開番号】特開2017-147540(P2017-147540A)
(43)【公開日】2017年8月24日
【審査請求日】2019年2月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004330
【氏名又は名称】日本無線株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119677
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100115794
【弁理士】
【氏名又は名称】今下 勝博
(72)【発明者】
【氏名】千葉 隆
(72)【発明者】
【氏名】横野 聡
(72)【発明者】
【氏名】山下 和郎
【審査官】 志津木 康
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−072738(JP,A)
【文献】 特公昭46−028486(JP,B1)
【文献】 実開平06−007315(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03H7/00−H03H7/13
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複同調器と、前記複同調器のインピーダンスと入出力側のソースインピーダンスの間の整合を図るインピーダンス整合回路と、を備える可変バンドパスフィルタであって、
前記複同調器では、可変キャパシタンスを有する共振コンデンサと固定インダクタンスを有する共振インダクタが並列接続される並列共振器が2個互いに磁界結合され、
前記インピーダンス整合回路は、固定キャパシタンスを有するフィルタ用コンデンサと、固定インダクタンスを有するフィルタ用インダクタと、からなる固定バンドパスフィルタを前記入出力側に有し、固定インダクタンスを有し前記共振インダクタと磁界結合される結合インダクタと、固定インダクタンスを有し前記結合インダクタと直列接続される直列インダクタと、可変キャパシタンスを有し前記共振コンデンサに含有されるシャントコンデンサと、からなる磁界結合部を前記複同調器側に有し、
前記可変バンドパスフィルタの中心周波数の可変範囲のうち、最も低周波数側の第1可変範囲において、前記可変バンドパスフィルタの中心周波数を変数とする前記インピーダンス整合回路を介した前記入出力側のソースインピーダンスの関数は、前記直列インダクタ及び前記シャントコンデンサに起因して正の曲率を有し、前記可変バンドパスフィルタの中心周波数にほぼ比例する前記複同調器のインピーダンスより所定の許容量だけ小さく、
前記可変バンドパスフィルタの中心周波数の可変範囲のうち、前記第1可変範囲より高周波数側において、前記インピーダンス整合回路を介した前記入出力側のソースインピーダンスは、前記固定バンドパスフィルタに起因して、前記可変バンドパスフィルタの中心周波数にほぼ比例する前記複同調器のインピーダンスより所定の許容量だけ異なる、
ことを特徴とする可変バンドパスフィルタ。
【請求項2】
前記フィルタ用コンデンサは、前記結合インダクタと並列接続され、
前記フィルタ用インダクタは、前記結合インダクタと直列接続され、
前記可変バンドパスフィルタの中心周波数の可変範囲のうち、前記第1可変範囲より高周波数側の第2可変範囲において、前記可変バンドパスフィルタの中心周波数を変数とする前記インピーダンス整合回路を介した前記入出力側のソースインピーダンスの関数は、前記フィルタ用コンデンサに起因して負の曲率を有し、前記可変バンドパスフィルタの中心周波数にほぼ比例する前記複同調器のインピーダンスより所定の許容量だけ大きく、
前記可変バンドパスフィルタの中心周波数の可変範囲のうち、前記第2可変範囲より高周波数側の第3可変範囲において、前記可変バンドパスフィルタの中心周波数を変数とする前記インピーダンス整合回路を介した前記入出力側のソースインピーダンスの関数は、前記フィルタ用インダクタに起因して正の曲率を有し、前記可変バンドパスフィルタの中心周波数にほぼ比例する前記複同調器のインピーダンスより所定の許容量だけ小さい、
ことを特徴とする、請求項1に記載の可変バンドパスフィルタ。
【請求項3】
前記磁界結合部は、固定インダクタンスを有し前記結合インダクタ及び前記直列インダクタと並列接続されるシャントインダクタ、をさらに有し、
前記インピーダンス整合回路を介した前記入出力側のソースインピーダンスは、前記結合インダクタ、前記直列インダクタ、前記共振インダクタ及び前記結合インダクタの間の相互インダクタ、並びに、前記シャントインダクタにおける分圧比に応じて決まる、
ことを特徴とする、請求項1又は2に記載の可変バンドパスフィルタ。
【請求項4】
前記結合インダクタは、前記共振インダクタと逆相で磁界結合され、
各入出力側の前記磁界結合部は、固定キャパシタンスを有し前記直列インダクタと並列接続され各入出力側の前記並列共振器と直列接続される飛越コンデンサ、をさらに有し、
前記可変バンドパスフィルタの中心周波数の可変範囲のうち、前記第1可変範囲より高周波数側において、前記可変バンドパスフィルタの中心周波数を変数とする前記インピーダンス整合回路を介した前記入出力側のソースインピーダンスの関数は、前記結合インダクタ及び前記飛越コンデンサにより並列共振周波数が虚数である虚数共振並びに前記フィルタ用コンデンサに起因して負の曲率を有し、前記可変バンドパスフィルタの中心周波数にほぼ比例する前記複同調器のインピーダンスより所定の許容量だけ大きい、
ことを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載の可変バンドパスフィルタ。
【請求項5】
前記複同調器では、前記並列共振器が2個互いに逆相で磁界結合され、前記共振インダクタ同士の間の寄生コンデンサと前記共振インダクタ同士の間の相互インダクタにより、並列共振周波数が虚数である前記複同調器内の虚数共振が起こり、
前記可変バンドパスフィルタの中心周波数の可変範囲のうち、前記第1可変範囲より高周波数側において、前記インピーダンス整合回路を介した前記入出力側のソースインピーダンスは、前記複同調器内の虚数共振により負の曲率を有する、前記可変バンドパスフィルタの中心周波数を変数とする前記複同調器のインピーダンスの関数より、所定の許容量だけ異なる、
ことを特徴とする、請求項1から4のいずれかに記載の可変バンドパスフィルタ。
【請求項6】
前記複同調器では、前記並列共振器が2個互いに同相で磁界結合され、前記共振インダクタ同士の間の寄生コンデンサと前記共振インダクタ同士の間の相互インダクタにより、並列共振周波数が実数である前記複同調器内の並列共振が起こり、
前記可変バンドパスフィルタの中心周波数の可変範囲のうち、前記第1可変範囲より高周波数側において、前記インピーダンス整合回路を介した前記入出力側のソースインピーダンスは、前記複同調器内の並列共振により正の曲率を有する、前記可変バンドパスフィルタの中心周波数を変数とする前記複同調器のインピーダンスの関数より、所定の許容量だけ異なる、
ことを特徴とする、請求項1から4のいずれかに記載の可変バンドパスフィルタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複同調器を備える可変バンドパスフィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
可変バンドパスフィルタとして、単数のLC並列共振器を有する単同調器を備えるものと、複数のLC並列共振器を有する複同調器を備えるものと、が従来から存在する。
【0003】
単同調器では、LC並列共振器の回路定数を調整するのみでは、通過帯域幅を容易に調整することができないが、インピーダンスが中心周波数に依存しないため、入出力側のソースインピーダンスとの間のインピーダンス整合を容易に図ることができる。
【0004】
複同調器では、LC並列共振器の結合係数を調整することにより、通過帯域幅を容易に調整することができるが、インピーダンスが中心周波数に依存するため、入出力側のソースインピーダンスとの間のインピーダンス整合を容易に図ることができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−248121号公報
【特許文献2】特表平11−504182号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1、2では、互いに「容量」結合される複数のLC並列共振器を有する複同調器を備える可変バンドパスフィルタが開示されている。なお、入出力側のソースインピーダンスとの間のインピーダンス整合を図ることについては、特許文献1、2では開示されていないが、図1及び図2に示す技術が従来から存在する。
【0007】
従来技術の可変バンドパスフィルタの回路構成を図1に示す。従来技術の可変バンドパスフィルタ1は、複同調器11及びインピーダンス整合回路12から構成される。複同調器11は、結合コンデンサCにより互いに「容量」結合される2個の並列共振器111から構成される。インピーダンス整合回路12は、複同調器11のインピーダンスRと入出力側のソースインピーダンスRin、Routの間の整合を図る。
【0008】
複同調器11では、可変キャパシタンスを有する共振コンデンサCと固定インダクタンスを有する共振インダクタLが並列接続される並列共振器111が、固定キャパシタンスを有する結合コンデンサCにより、2個互いに容量結合される。インピーダンス整合回路12は、共振インダクタLと対向インダクタが巻き付いたトランスを有する。
【0009】
従来技術の可変バンドパスフィルタについて、インピーダンス整合特性及び中心周波数に対する通過帯域幅の比率(比帯域)を、図2の上側及び下側にそれぞれ示す。
【0010】
複同調器11のインピーダンスRは、結合コンデンサCに起因して、可変バンドパスフィルタ1の中心周波数f(=1/2π√(L))に反比例する。インピーダンス整合回路12を介した入出力側のソースインピーダンスRは、インピーダンス整合回路12のトランスに起因して、可変バンドパスフィルタ1の中心周波数fに依存しない。よって、インピーダンス整合回路12を介した入出力側のソースインピーダンスRは、複同調器11のインピーダンスRと、可変バンドパスフィルタ1の中心周波数fのあるポイントにおいてしか等しくすることができない。つまり、複同調器11のインピーダンスRと入出力側のソースインピーダンスRin、Routの間の整合は、可変バンドパスフィルタ1の中心周波数fの狭い可変範囲においてしか図ることができない。
【0011】
複同調器11の比帯域は、可変素子が共振コンデンサCであるとともに、結合素子が結合コンデンサCであることから、可変バンドパスフィルタ1の中心周波数fの2乗に比例する。よって、複同調器11の比帯域は、可変バンドパスフィルタ1の中心周波数fの狭い可変範囲においても一定とすることができない。
【0012】
そこで、前記課題を解決するために、本発明は、複同調器を備える可変バンドパスフィルタにおいて、複同調器の共振コンデンサのキャパシタンスを可変させるだけで、複同調器のインピーダンスと入出力側のソースインピーダンスの間の整合を、可変バンドパスフィルタの中心周波数の広い可変範囲において図るとともに、複同調器の比帯域を、可変バンドパスフィルタの中心周波数の広い可変範囲において一定とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、互いに「磁界」結合される2個のLC並列共振器を有する複同調器を備える可変バンドパスフィルタを採用することにした。よって、複同調器のインピーダンスは、磁界結合に起因して、可変バンドパスフィルタの中心周波数に比例する。そして、複同調器の比帯域は、可変素子が共振コンデンサである一方で、結合方法が磁界結合であることから、可変バンドパスフィルタの中心周波数に依存しない。
【0014】
さらに、LC回路からなるインピーダンス整合回路において、適切な定数に定めた固定キャパシタンス及び固定インダクタンスを有する固定バンドパスフィルタを採用することとした。よって、インピーダンス整合回路を介した入出力側のソースインピーダンスは、可変バンドパスフィルタの中心周波数に比例する複同調器のインピーダンスと、可変バンドパスフィルタの中心周波数の広い可変範囲においてほぼ等しくすることができる。つまり、複同調器のインピーダンスと入出力側のソースインピーダンスの間の整合は、可変バンドパスフィルタの中心周波数の広い可変範囲において図ることができる。そして、後述のように、可変バンドパスフィルタの中心周波数を可変にするには、複同調器の共振コンデンサを可変とすればよく、インピーダンス整合回路のLC素子を固定としてもよい。
【発明の効果】
【0015】
このように、本発明は、複同調器を備える可変バンドパスフィルタにおいて、複同調器の共振コンデンサのキャパシタンスを可変させるだけで、複同調器のインピーダンスと入出力側のソースインピーダンスの間の整合を、可変バンドパスフィルタの中心周波数の広い可変範囲において図るとともに、複同調器の比帯域を、可変バンドパスフィルタの中心周波数の広い可変範囲において一定とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】従来技術の可変バンドパスフィルタの回路構成を示す図である。
図2】従来技術の可変バンドパスフィルタのインピーダンス整合特性及び中心周波数に対する通過帯域幅の比率(比帯域)を示す図である。
図3】第1実施形態の可変バンドパスフィルタの回路構成を示す図である。
図4】第1実施形態の可変バンドパスフィルタのインピーダンス整合特性及び中心周波数に対する通過帯域幅の比率(比帯域)を示す図である。
図5】第1実施形態の可変バンドパスフィルタの回路動作原理を示す図である。
図6】第1実施形態の可変バンドパスフィルタのインピーダンス整合特性のシミュレーション結果を示す図である。
図7】第1実施形態の可変バンドパスフィルタの通過特性及びリターンロスのシミュレーション結果を示す図である。
図8】第2実施形態の可変バンドパスフィルタの回路構成を示す図である。
図9】第2実施形態の可変バンドパスフィルタのインピーダンス整合特性及び中心周波数に対する通過帯域幅の比率(比帯域)を示す図である。
図10】第3実施形態の可変バンドパスフィルタの回路構成を示す図である。
図11】第3実施形態の可変バンドパスフィルタのインピーダンス整合特性及び中心周波数に対する通過帯域幅の比率(比帯域)を示す図である。
図12】第4実施形態の可変バンドパスフィルタの回路構成を示す図である。
図13】第4実施形態の可変バンドパスフィルタのインピーダンス整合特性及び中心周波数に対する通過帯域幅の比率(比帯域)を示す図である。
図14】第4実施形態の可変バンドパスフィルタの片側等価回路を示す図である。
図15】第5実施形態の可変バンドパスフィルタの回路構成を示す図である。
図16】第5実施形態の可変バンドパスフィルタのインピーダンス整合特性及び中心周波数に対する通過帯域幅の比率(比帯域)を示す図である。
図17】第6実施形態の可変バンドパスフィルタの回路構成を示す図である。
図18】第6実施形態の可変バンドパスフィルタのインピーダンス整合特性及び中心周波数に対する通過帯域幅の比率(比帯域)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
添付の図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下に説明する実施形態は本発明の実施の例であり、本発明は以下の実施形態に制限されるものではない。
【0018】
(第1実施形態)
第1実施形態の可変バンドパスフィルタの回路構成を図3に示す。第1実施形態の可変バンドパスフィルタ2は、複同調器21及びインピーダンス整合回路22から構成される。複同調器21は、トランス等により互いに「磁界」結合される2個の並列共振器211から構成される。インピーダンス整合回路22は、複同調器21のインピーダンスRと入出力側のソースインピーダンスRin、Routの間の整合を図る。
【0019】
複同調器21では、可変キャパシタンスを有する共振コンデンサCと固定インダクタンスを有する共振インダクタLが並列接続される並列共振器211が、共振インダクタL同士間の相互インダクタンスにより、2個互いに磁界結合(結合係数k)される。
【0020】
インピーダンス整合回路22は、固定キャパシタンスを有するフィルタ用コンデンサと、固定インダクタンスを有するフィルタ用インダクタと、からなる固定バンドパスフィルタ222を入出力側に有し、固定インダクタンスを有し共振インダクタLと磁界結合(結合係数k)される結合インダクタLと、固定インダクタンスを有し結合インダクタLと直列接続される直列インダクタLと、共振コンデンサCに含有され等価的に結合インダクタLと並列接続されるシャントコンデンサC図5において、詳細について説明する。)と、からなる磁界結合部221を複同調器21側に有する。
【0021】
固定バンドパスフィルタ222では、フィルタ用コンデンサCは、結合インダクタLと並列接続され、フィルタ用インダクタLは、結合インダクタLと直列接続され、フィルタ用コンデンサCは、結合インダクタLと直列接続される。
【0022】
第1実施形態では、共振インダクタL同士は、同相で磁界結合される。変形例として、共振インダクタL同士は、逆相で磁界結合されてもよい。第1実施形態では、共振インダクタLと結合インダクタLは、同相で磁界結合される。変形例として、共振インダクタLと結合インダクタLは、逆相で磁界結合されてもよい。
【0023】
第1実施形態の可変バンドパスフィルタについて、インピーダンス整合特性及び中心周波数に対する通過帯域幅の比率(比帯域)を、図4の上側及び下側にそれぞれ示す。
【0024】
複同調器21のインピーダンスRは、共振インダクタL同士間の相互インダクタンスに起因して、可変バンドパスフィルタ2の中心周波数fにほぼ比例する。インピーダンス整合回路22を介した入出力側のソースインピーダンスRは、可変バンドパスフィルタ2の中心周波数fの可変範囲に応じて、振舞が異なる。
【0025】
ここで、可変バンドパスフィルタ2の中心周波数fは、おおよそ1/2π√(L)であるが、厳密には1/2π√(L(C−C))である。なぜならば、後述のように、共振コンデンサCは、等価的にL型整合回路の一部であるシャントコンデンサCと、並列共振器211の一部である並列共振コンデンサと、を含有するからである。
【0026】
可変バンドパスフィルタ2の中心周波数fの可変範囲のうち、最も低周波数側の第1可変範囲について説明する。インピーダンス整合回路22を介した入出力側のソースインピーダンスRは、直列インダクタL及びシャントコンデンサCに起因して、可変バンドパスフィルタ2の中心周波数fに対して正の曲率(d/df>0)を有し、複同調器21のインピーダンスRより所定の許容量だけ小さくほぼ等しい。
【0027】
具体的には、インピーダンス整合回路22を介した入出力側のソースインピーダンスRが、可変バンドパスフィルタ2の中心周波数fの2乗に比例するように、固定インダクタンスを有しL型整合回路の一部である直列インダクタLに対して、可変キャパシタンスを有し等価的にL型整合回路の一部であるシャントコンデンサCを決める。
【0028】
そして、結合インダクタL及び共振インダクタLを介するインピーダンス変換比率に応じて、可変キャパシタンスを有し等価的にL型整合回路の一部であるシャントコンデンサCに対して、可変キャパシタンスを有し並列共振器211の一部であるシャントコンデンサCを決める。よって、共振コンデンサCは、可変キャパシタンスを有し等価的にL型整合回路の一部であるシャントコンデンサCと、可変キャパシタンスを有し並列共振器211の一部である並列共振コンデンサと、を並列に含有する。
【0029】
可変バンドパスフィルタ2の中心周波数fの可変範囲のうち、第1可変範囲より高周波数側の第2可変範囲について説明する。インピーダンス整合回路22を介した入出力側のソースインピーダンスRは、フィルタ用コンデンサCに起因して、可変バンドパスフィルタ2の中心周波数fに対して負の曲率(d/df<0)を有し、複同調器21のインピーダンスRより所定の許容量だけ大きくほぼ等しい。
【0030】
可変バンドパスフィルタ2の中心周波数fの可変範囲のうち、第2可変範囲より高周波数側の第3可変範囲について説明する。インピーダンス整合回路22を介した入出力側のソースインピーダンスRは、フィルタ用インダクタLに起因して、可変バンドパスフィルタ2の中心周波数fに対して正の曲率(d/df>0)を有し、複同調器21のインピーダンスRより所定の許容量だけ小さくほぼ等しい。
【0031】
第1実施形態の可変バンドパスフィルタの回路動作原理を図5に示す。図5の上段は、直列インダクタLとシャントコンデンサCとを備えるL型整合回路を介した入出力側のソースインピーダンスRを示す。図5の中段は、フィルタ用コンデンサCをさらに備えるL型整合回路を介した入出力側のソースインピーダンスRを示す。図5の下段は、フィルタ用インダクタLとフィルタ用コンデンサCとをさらに備えるL型整合回路を介した入出力側のソースインピーダンスRを示す。
【0032】
図5の上段に示したL型整合回路において、入出力側のソースインピーダンスRin、Routは、直列インダクタLの大きさ及び可変バンドパスフィルタ2の中心周波数fに応じて、等リアクタンス円上を誘導性方向にシフトする。そして、シャントコンデンサCの大きさ及び可変バンドパスフィルタ2の中心周波数fに応じて、等サセプタンス円上を容量性方向にシフトする。ここで、インピーダンス整合回路22を介した入出力側のソースインピーダンスRが実数となるように、シャントコンデンサCの大きさが決められる。よって、インピーダンス整合回路22を介した入出力側のソースインピーダンスRは、可変バンドパスフィルタ2の中心周波数fの2乗に比例する値となる。
【0033】
図5の中段に示したL型整合回路において、入出力側のソースインピーダンスRin、Routは、フィルタ用コンデンサCの大きさ及び可変バンドパスフィルタ2の中心周波数fに応じて、等サセプタンス円上を容量性方向にシフトする。そして、直列インダクタLの大きさ及び可変バンドパスフィルタ2の中心周波数fに応じて、等リアクタンス円上を誘導性方向にシフトする。さらに、シャントコンデンサCの大きさ及び可変バンドパスフィルタ2の中心周波数fに応じて、等サセプタンス円上を容量性方向にシフトする。よって、インピーダンス整合回路22を介した入出力側のソースインピーダンスRは、低周波数側の第1可変範囲において、可変バンドパスフィルタ2の中心周波数fの2乗に比例する値となる。しかし、高周波数側の第2可変範囲において、可変バンドパスフィルタ2の中心周波数fの2乗に比例する値より小さくなり、可変バンドパスフィルタ2の中心周波数fに対して負の曲率(d/df<0)を有する。
【0034】
図5の下段に示したL型整合回路において、入出力側のソースインピーダンスRin、Routは、フィルタ用コンデンサCの大きさ及び可変バンドパスフィルタ2の中心周波数fに応じて、等サセプタンス円上を容量性方向にシフトする。そして、フィルタ用インダクタLの大きさ及び可変バンドパスフィルタ2の中心周波数fに応じて、等リアクタンス円上を誘導性方向にシフトする。よって、インピーダンス整合回路22を介した入出力側のソースインピーダンスRは、高周波数側の第2可変範囲において、フィルタ用コンデンサCに起因して、可変バンドパスフィルタ2の中心周波数fに対して負の曲率(d/df<0)を有する。そして、さらに高周波数側の第3可変範囲において、フィルタ用インダクタLに起因して、可変バンドパスフィルタ2の中心周波数fに対して正の曲率(d/df>0)を有する。さらに、フィルタ用コンデンサCの大きさを調整することにより、インピーダンス整合回路22を介した入出力側のソースインピーダンスRを複同調器21のインピーダンスRに一層フィットさせることができる。
【0035】
このように、第1〜3可変範囲において、インピーダンス整合回路22を介した入出力側のソースインピーダンスRが、複同調器21のインピーダンスRと比べて、ほぼ等しくなるように、インピーダンス整合回路22の結合インダクタL、直列インダクタL、シャントコンデンサC、フィルタ用コンデンサC、フィルタ用インダクタL、フィルタ用コンデンサC及び結合係数kを設計すればよい。
【0036】
ここで、VSWR(Voltage Standing Wave Ratio)を考慮すれば、上述の所定の許容量(R(インピーダンス整合回路22を介した入出力側のソースインピーダンス)とR(複同調器21のインピーダンス)の差分量に対する許容量)は、第1可変範囲では、第2、3可変範囲より、小さな量となることが望ましい。
【0037】
よって、インピーダンス整合回路22を介した入出力側のソースインピーダンスRは、複同調器21のインピーダンスRと、可変バンドパスフィルタ2の中心周波数fの広い可変範囲においてほぼ等しくすることができる。つまり、複同調器21のインピーダンスRと入出力側のソースインピーダンスRin、Routの間の整合は、可変バンドパスフィルタ2の中心周波数fの広い可変範囲において図ることができる。
【0038】
そして、複同調器21の比帯域は、可変素子が共振コンデンサCである一方で、結合方法が磁界結合であることから、可変バンドパスフィルタ2の中心周波数fに依存しない。よって、複同調器21の比帯域は、可変バンドパスフィルタ2の中心周波数fの広い可変範囲(第1〜3可変範囲)において一定とすることができる。
【0039】
さらに、可変バンドパスフィルタ2の中心周波数fを可変にするには、複同調器21の共振コンデンサCを可変とすればよく、インピーダンス整合回路22の結合インダクタL、直列インダクタL、シャントコンデンサC、フィルタ用コンデンサC、フィルタ用インダクタL、フィルタ用コンデンサC及び結合係数kを固定としてもよい。
【0040】
第1実施形態の可変バンドパスフィルタについて、インピーダンス整合特性のシミュレーション結果を図6に示す。固定バンドパスフィルタ222がない場合には、インピーダンス整合回路22を介した入出力側のソースインピーダンスRは、可変バンドパスフィルタ2の中心周波数fの2乗に比例する。固定バンドパスフィルタ222がある場合には、インピーダンス整合回路22を介した入出力側のソースインピーダンスRは、第1可変範囲(0.5×10Hz〜1.5×10Hz)、第2可変範囲(1.5×10Hz〜2.5×10Hz)及び第3可変範囲(2.5×10Hz〜3.5×10Hz)において、複同調器21のインピーダンスRとほぼ等しくなる。
【0041】
第1実施形態の可変バンドパスフィルタについて、通過特性及びリターンロスのシミュレーション結果を図7に示す。図7の上段は、図3及び図1に示した第1実施形態及び従来技術の可変バンドパスフィルタにおける、中心周波数fを様々に設定した場合の通過特性について、実線及び破線でそれぞれ示す。図7の下段は、図3及び図1に示した第1実施形態及び従来技術の可変バンドパスフィルタにおける、中心周波数fを様々に設定した場合のリターンロスについて、実線及び破線でそれぞれ示す。
【0042】
図1に示した従来技術の可変バンドパスフィルタ1では、中心周波数fが減少すると、通過ロスが増大し、リターンロスが劣化し、比帯域が減少し(図2の下段も参照。)、可変バンドパスフィルタ1の中心周波数fの可変範囲が狭くなる。
【0043】
図3に示した第1実施形態の可変バンドパスフィルタ2では、中心周波数fが減少しても、通過特性が高く維持され、リターンロスが低く維持され、比帯域が一定であり(図4の下段も参照。)、可変バンドパスフィルタ2の中心周波数fの可変範囲が広くなる。
【0044】
(第2実施形態)
第2実施形態の可変バンドパスフィルタの回路構成を図8に示す。第2実施形態では、第1実施形態と比べて、以下に説明する上位概念化がされる。
【0045】
インピーダンス整合回路22は、固定キャパシタンスを有するフィルタ用コンデンサと、固定インダクタンスを有するフィルタ用インダクタと、からなる固定バンドパスフィルタ222を入出力側に有し、固定インダクタンスを有し共振インダクタLと磁界結合(結合係数k)される結合インダクタLと、固定インダクタンスを有し結合インダクタLと直列接続される直列インダクタLと、共振コンデンサCに含有され等価的に結合インダクタLと並列接続されるシャントコンデンサC図5において、詳細について説明した。)と、からなる磁界結合部221を複同調器21側に有する。
【0046】
ここで、第1実施形態では、図3に示したように、固定バンドパスフィルタ222は、2段のフィルタであり、フィルタの各段は、単純な直列又は並列の共振部である。一方で、第2実施形態では、図8に示したように、固定バンドパスフィルタ222は、何段のフィルタでもよく、フィルタの各段は、任意の共振部でもよい。
【0047】
第2実施形態の可変バンドパスフィルタについて、インピーダンス整合特性及び中心周波数に対する通過帯域幅の比率(比帯域)を、図9の上側及び下側にそれぞれ示す。
【0048】
可変バンドパスフィルタ2の中心周波数fの可変範囲のうち、第1可変範囲より高周波数側の可変範囲について説明する。インピーダンス整合回路22を介した入出力側のソースインピーダンスRは、固定バンドパスフィルタ222に起因して、複同調器21のインピーダンスRより所定の許容量だけ異なりほぼ等しい。
【0049】
高周波数側の可変範囲のうちの「ある」可変範囲においては、インピーダンス整合回路22を介した入出力側のソースインピーダンスRは、可変バンドパスフィルタ2の中心周波数fに対して「負の」曲率を有し、複同調器21のインピーダンスRより所定の許容量だけ「大きく」ほぼ等しい。高周波数側の可変範囲のうちの「他の」可変範囲においては、インピーダンス整合回路22を介した入出力側のソースインピーダンスRは、可変バンドパスフィルタ2の中心周波数fに対して「正の」曲率を有し、複同調器21のインピーダンスRより所定の許容量だけ「小さく」ほぼ等しい。
【0050】
ここで、第1実施形態では、図4に示したように、可変バンドパスフィルタ2の中心周波数fが高くなるにつれて、第1可変範囲に続いて、「ある」可変範囲及び「他の」可変範囲が1回ずつ置かれている。一方で、第2実施形態では、図9に示したように、可変バンドパスフィルタ2の中心周波数fが高くなるにつれて、第1可変範囲に続いて、「ある」可変範囲及び「他の」可変範囲が交互に何回も並んでもよい。
【0051】
(第3実施形態)
第3実施形態の可変バンドパスフィルタの回路構成を図10に示す。第3実施形態では、第1実施形態と比べて、以下に説明する構成が追加される。
【0052】
磁界結合部221は、固定インダクタンスを有し結合インダクタL及び直列インダクタLと並列接続されるシャントインダクタL、をさらに有する。インピーダンス整合回路22を介した入出力側のソースインピーダンスRin、Routは、結合インダクタL、直列インダクタL、共振インダクタL及び結合インダクタLの間の相互インダクタ、並びに、シャントインダクタLにおける分圧比に応じて決まる。
【0053】
第3実施形態の可変バンドパスフィルタについて、インピーダンス整合特性及び中心周波数に対する通過帯域幅の比率(比帯域)を、図11の上側及び下側にそれぞれ示す。
【0054】
結合インダクタL及び共振インダクタLを介するインピーダンス変換比率は、結合インダクタL及び共振インダクタLの巻き数及び結合係数kで決まる。しかし、結合インダクタL及び共振インダクタLの巻き数及び結合係数kは、正確に設定することが難しい。よって、シャントインダクタLなしでは、結合インダクタL及び共振インダクタLを介するインピーダンス変換比率は、正確に設定することが難しい。そして、シャントインダクタLなしでは、インピーダンス整合回路22を介した入出力側のソースインピーダンスRは、複同調器21のインピーダンスRとほぼ等しくすることが難しい。
【0055】
そこで、シャントインダクタLの追加前に、インピーダンス整合回路22を介した入出力側のソースインピーダンスRを、複同調器21のインピーダンスRよりやや大きめにする。そして、シャントインダクタLの追加後に、インピーダンス整合回路22を介した入出力側のソースインピーダンスRを、複同調器21のインピーダンスRとほぼ等しくする。このように、シャントインダクタLの追加前にやや大きめであった、インピーダンス整合回路22を介した入出力側のソースインピーダンスRを、シャントインダクタLの追加後に分圧回路を用いて、複同調器21のインピーダンスRとほぼ等しくする。もっとも、シャントインダクタLなしでも、トランスの巻き数及び結合係数kのみにより、インピーダンス整合回路22を介した入出力側のソースインピーダンスRを、複同調器21のインピーダンスRとほぼ等しくすることができる場合もあり得る。
【0056】
(第4実施形態)
第4実施形態の可変バンドパスフィルタの回路構成を図12に示す。第4実施形態では、第3実施形態と比べて、以下に説明する構成が追加される。
【0057】
結合インダクタLは、共振インダクタLと逆相で磁界結合(結合係数k)される。磁界結合部221は、固定キャパシタンスを有し直列インダクタLと並列接続され並列共振器211と直列接続される飛越コンデンサCをさらに有する。
【0058】
第4実施形態の可変バンドパスフィルタについて、インピーダンス整合特性及び中心周波数に対する通過帯域幅の比率(比帯域)を、図13の上側及び下側にそれぞれ示す。
【0059】
可変バンドパスフィルタ2の中心周波数fの可変範囲のうち、第2可変範囲について説明する。インピーダンス整合回路22を介した入出力側のソースインピーダンスRは、結合インダクタL及び飛越コンデンサCにより並列共振周波数が虚数である虚数共振(図14において、詳細について説明する。)並びにフィルタ用コンデンサCに起因して、可変バンドパスフィルタ2の中心周波数fに対して負の曲率(d/df<0)を有し、複同調器21のインピーダンスRより所定の許容量だけ大きくほぼ等しい。
【0060】
第4実施形態の可変バンドパスフィルタの片側等価回路を図14に示す。図14の上段は、図12に示した並列共振器211及びインピーダンス整合回路22を示す。図14の中段は、図14の上段に示した磁界結合を含む回路を、T型回路に変換したものを示す。図14の下段は、図14の中段に示したT型回路に、Y−Δ変換を実行したものを示す。
【0061】
ここで、結合インダクタLと共振インダクタLは、逆相で磁界結合される。よって、T型回路への変換後において、並列インダクタのインダクタンスは、−M(=−k√(L)<0)となり、直列インダクタのインダクタンスは、L+L+M及びL+Mとなる。そして、Y−Δ変換の実行後において、直列インダクタのインダクタンスは、L(<0)となり、並列インダクタのインダクタンスは、L及びLとなる。
【0062】
ここで、直列インダクタL(<0)と飛越コンデンサC(>0)は、並列接続される。よって、並列共振周波数が虚数(=−j/2π√(|L|C))であり、共振時インピーダンスが発散しない、並列虚数共振が発生する。そして、インピーダンス整合回路22を介した入出力側のソースインピーダンスRは、可変バンドパスフィルタ2の中心周波数fに対して負の曲率(d/df<0)を有する。
【0063】
(第5実施形態)
第5実施形態の可変バンドパスフィルタの回路構成を図15に示す。第5実施形態では、第3実施形態と比べて、以下に説明する構成が追加される。
【0064】
複同調器21では、並列共振器211が2個互いに逆相で磁界結合される。そして、複同調器21内の寄生コンデンサCと共振インダクタL同士の間の相互インダクタ−m(=−k<0)により、並列共振周波数が虚数(=−j/2π√(|−m|C))である複同調器21内の虚数共振が起こる。ここで、複同調器21内の寄生コンデンサCは、共振インダクタL同士の磁界結合用のトロイダルコアの誘電率によるものである。
【0065】
第5実施形態の可変バンドパスフィルタについて、インピーダンス整合特性及び中心周波数に対する通過帯域幅の比率(比帯域)を、図16の上側及び下側にそれぞれ示す。
【0066】
可変バンドパスフィルタ2の中心周波数fが並列共振周波数(=1/2π√(|−m|C))より十分に小さければ、共振インダクタL同士間の相互インダクタンスに起因して、複同調器21のインピーダンスRは、可変バンドパスフィルタ2の中心周波数fにほぼ比例する。可変バンドパスフィルタ2の中心周波数fが並列共振周波数(=1/2π√(|−m|C))へと近づくにつれて、複同調器21内の虚数共振に起因して、並列共振器211間の結合係数は、徐々に大きくなるため、複同調器21のインピーダンスRは、可変バンドパスフィルタ2の中心周波数fに対して負の曲率を有する。
【0067】
可変バンドパスフィルタ2の中心周波数fの可変範囲のうち、第1可変範囲より高周波数側の第2可変範囲について説明する。インピーダンス整合回路22を介した入出力側のソースインピーダンスRと、複同調器21のインピーダンスRは、可変バンドパスフィルタ2の中心周波数fに対してともに負の曲率を有する。よって、インピーダンス整合回路22を介した入出力側のソースインピーダンスRは、複同調器21のインピーダンスRより、所定の許容量だけ異なりほぼ等しい。つまり、複同調器21内の寄生コンデンサCを無視できなくても、インピーダンス整合回路22を介した入出力側のソースインピーダンスRを、複同調器21のインピーダンスRに、精度よくフィットできる。
【0068】
なお、第5実施形態は、第2可変範囲を有する実施形態、つまり、第3実施形態のみならず、第1、2、4実施形態に対しても、実施することができる。
【0069】
(第6実施形態)
第6実施形態の可変バンドパスフィルタの回路構成を図17に示す。第6実施形態では、第3実施形態と比べて、以下に説明する構成が追加される。
【0070】
複同調器21では、並列共振器211が2個互いに同相で磁界結合される。そして、複同調器21内の寄生コンデンサCと共振インダクタL同士の間の相互インダクタ+m(=+k>0)により、並列共振周波数が実数(=1/2π√(mC))である複同調器21内の並列共振が起こる。ここで、複同調器21内の寄生コンデンサCは、共振インダクタL同士の磁界結合用のトロイダルコアの誘電率によるものである。
【0071】
第6実施形態の可変バンドパスフィルタについて、インピーダンス整合特性及び中心周波数に対する通過帯域幅の比率(比帯域)を、図18の上側及び下側にそれぞれ示す。
【0072】
可変バンドパスフィルタ2の中心周波数fが並列共振周波数(=1/2π√(mC))より十分に小さければ、共振インダクタL同士間の相互インダクタンスに起因して、複同調器21のインピーダンスRは、可変バンドパスフィルタ2の中心周波数fにほぼ比例する。可変バンドパスフィルタ2の中心周波数fが並列共振周波数(=1/2π√(mC))へと近づくにつれて、複同調器21内の並列共振に起因して、並列共振器211間の結合係数は、徐々に小さくなるため、複同調器21のインピーダンスRは、可変バンドパスフィルタ2の中心周波数fに対して正の曲率を有する。
【0073】
可変バンドパスフィルタ2の中心周波数fの可変範囲のうち、第2可変範囲より高周波数側の第3可変範囲について説明する。インピーダンス整合回路22を介した入出力側のソースインピーダンスRと、複同調器21のインピーダンスRは、可変バンドパスフィルタ2の中心周波数fに対してともに正の曲率を有する。よって、インピーダンス整合回路22を介した入出力側のソースインピーダンスRは、複同調器21のインピーダンスRより、所定の許容量だけ異なりほぼ等しい。つまり、複同調器21内の寄生コンデンサCを無視できなくても、インピーダンス整合回路22を介した入出力側のソースインピーダンスRを、複同調器21のインピーダンスRに、精度よくフィットできる。
【0074】
なお、第6実施形態は、第3可変範囲を有する実施形態、つまり、第3実施形態のみならず、第1、2、4実施形態に対しても、実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明の可変バンドパスフィルタは、送受信のフロントエンド等に適用することができる。そして、本発明の可変バンドパスフィルタは、所定の帯域を通過させるのみならず、インピーダンスを整合させるためにも、適用することができる。
【符号の説明】
【0076】
1:可変バンドパスフィルタ、11:複同調器、12:インピーダンス整合回路、111:並列共振器、2:可変バンドパスフィルタ、21:複同調器、22:インピーダンス整合回路、211:並列共振器、221:磁界結合部、222:固定バンドパスフィルタ

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18