(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記複同調器では、前記並列共振器が2個互いに逆相で磁界結合され、前記共振インダクタ同士の間の寄生コンデンサと前記共振インダクタ同士の間の相互インダクタにより、並列共振周波数が虚数である前記複同調器内の虚数共振が起こり、
前記可変バンドパスフィルタの中心周波数の可変範囲のうち、前記第1可変範囲より高周波数側において、前記インピーダンス整合回路を介した前記入出力側のソースインピーダンスは、前記複同調器内の虚数共振により負の曲率を有する、前記可変バンドパスフィルタの中心周波数を変数とする前記複同調器のインピーダンスの関数より、所定の許容量だけ異なる、
ことを特徴とする、請求項1から4のいずれかに記載の可変バンドパスフィルタ。
前記複同調器では、前記並列共振器が2個互いに同相で磁界結合され、前記共振インダクタ同士の間の寄生コンデンサと前記共振インダクタ同士の間の相互インダクタにより、並列共振周波数が実数である前記複同調器内の並列共振が起こり、
前記可変バンドパスフィルタの中心周波数の可変範囲のうち、前記第1可変範囲より高周波数側において、前記インピーダンス整合回路を介した前記入出力側のソースインピーダンスは、前記複同調器内の並列共振により正の曲率を有する、前記可変バンドパスフィルタの中心周波数を変数とする前記複同調器のインピーダンスの関数より、所定の許容量だけ異なる、
ことを特徴とする、請求項1から4のいずれかに記載の可変バンドパスフィルタ。
【発明を実施するための形態】
【0017】
添付の図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下に説明する実施形態は本発明の実施の例であり、本発明は以下の実施形態に制限されるものではない。
【0018】
(第1実施形態)
第1実施形態の可変バンドパスフィルタの回路構成を
図3に示す。第1実施形態の可変バンドパスフィルタ2は、複同調器21及びインピーダンス整合回路22から構成される。複同調器21は、トランス等により互いに「磁界」結合される2個の並列共振器211から構成される。インピーダンス整合回路22は、複同調器21のインピーダンスR
rと入出力側のソースインピーダンスR
in、R
outの間の整合を図る。
【0019】
複同調器21では、可変キャパシタンスを有する共振コンデンサC
rと固定インダクタンスを有する共振インダクタL
rが並列接続される並列共振器211が、共振インダクタL
r同士間の相互インダクタンスにより、2個互いに磁界結合(結合係数k
r)される。
【0020】
インピーダンス整合回路22は、固定キャパシタンスを有するフィルタ用コンデンサと、固定インダクタンスを有するフィルタ用インダクタと、からなる固定バンドパスフィルタ222を入出力側に有し、固定インダクタンスを有し共振インダクタL
rと磁界結合(結合係数k
t)される結合インダクタL
tと、固定インダクタンスを有し結合インダクタL
tと直列接続される直列インダクタL
sと、共振コンデンサC
rに含有され等価的に結合インダクタL
tと並列接続されるシャントコンデンサC
s(
図5において、詳細について説明する。)と、からなる磁界結合部221を複同調器21側に有する。
【0021】
固定バンドパスフィルタ222では、フィルタ用コンデンサC
bは、結合インダクタL
tと並列接続され、フィルタ用インダクタL
aは、結合インダクタL
tと直列接続され、フィルタ用コンデンサC
aは、結合インダクタL
tと直列接続される。
【0022】
第1実施形態では、共振インダクタL
r同士は、同相で磁界結合される。変形例として、共振インダクタL
r同士は、逆相で磁界結合されてもよい。第1実施形態では、共振インダクタL
rと結合インダクタL
tは、同相で磁界結合される。変形例として、共振インダクタL
rと結合インダクタL
tは、逆相で磁界結合されてもよい。
【0023】
第1実施形態の可変バンドパスフィルタについて、インピーダンス整合特性及び中心周波数に対する通過帯域幅の比率(比帯域)を、
図4の上側及び下側にそれぞれ示す。
【0024】
複同調器21のインピーダンスR
rは、共振インダクタL
r同士間の相互インダクタンスに起因して、可変バンドパスフィルタ2の中心周波数f
0にほぼ比例する。インピーダンス整合回路22を介した入出力側のソースインピーダンスR
mは、可変バンドパスフィルタ2の中心周波数f
0の可変範囲に応じて、振舞が異なる。
【0025】
ここで、可変バンドパスフィルタ2の中心周波数f
0は、おおよそ1/2π√(L
rC
r)であるが、厳密には1/2π√(L
r(C
r−C
s))である。なぜならば、後述のように、共振コンデンサC
rは、等価的にL型整合回路の一部であるシャントコンデンサC
sと、並列共振器211の一部である並列共振コンデンサと、を含有するからである。
【0026】
可変バンドパスフィルタ2の中心周波数f
0の可変範囲のうち、最も低周波数側の第1可変範囲について説明する。インピーダンス整合回路22を介した入出力側のソースインピーダンスR
mは、直列インダクタL
s及びシャントコンデンサC
sに起因して、可変バンドパスフィルタ2の中心周波数f
0に対して正の曲率(d
2R
m/df
02>0)を有し、複同調器21のインピーダンスR
rより所定の許容量だけ小さくほぼ等しい。
【0027】
具体的には、インピーダンス整合回路22を介した入出力側のソースインピーダンスR
mが、可変バンドパスフィルタ2の中心周波数f
0の2乗に比例するように、固定インダクタンスを有しL型整合回路の一部である直列インダクタL
sに対して、可変キャパシタンスを有し等価的にL型整合回路の一部であるシャントコンデンサC
sを決める。
【0028】
そして、結合インダクタL
t及び共振インダクタL
rを介するインピーダンス変換比率に応じて、可変キャパシタンスを有し等価的にL型整合回路の一部であるシャントコンデンサC
sに対して、可変キャパシタンスを有し並列共振器211の一部であるシャントコンデンサC
sを決める。よって、共振コンデンサC
rは、可変キャパシタンスを有し等価的にL型整合回路の一部であるシャントコンデンサC
sと、可変キャパシタンスを有し並列共振器211の一部である並列共振コンデンサと、を並列に含有する。
【0029】
可変バンドパスフィルタ2の中心周波数f
0の可変範囲のうち、第1可変範囲より高周波数側の第2可変範囲について説明する。インピーダンス整合回路22を介した入出力側のソースインピーダンスR
mは、フィルタ用コンデンサC
bに起因して、可変バンドパスフィルタ2の中心周波数f
0に対して負の曲率(d
2R
m/df
02<0)を有し、複同調器21のインピーダンスR
rより所定の許容量だけ大きくほぼ等しい。
【0030】
可変バンドパスフィルタ2の中心周波数f
0の可変範囲のうち、第2可変範囲より高周波数側の第3可変範囲について説明する。インピーダンス整合回路22を介した入出力側のソースインピーダンスR
mは、フィルタ用インダクタL
aに起因して、可変バンドパスフィルタ2の中心周波数f
0に対して正の曲率(d
2R
m/df
02>0)を有し、複同調器21のインピーダンスR
rより所定の許容量だけ小さくほぼ等しい。
【0031】
第1実施形態の可変バンドパスフィルタの回路動作原理を
図5に示す。
図5の上段は、直列インダクタL
sとシャントコンデンサC
sとを備えるL型整合回路を介した入出力側のソースインピーダンスR
mを示す。
図5の中段は、フィルタ用コンデンサC
bをさらに備えるL型整合回路を介した入出力側のソースインピーダンスR
mを示す。
図5の下段は、フィルタ用インダクタL
aとフィルタ用コンデンサC
aとをさらに備えるL型整合回路を介した入出力側のソースインピーダンスR
mを示す。
【0032】
図5の上段に示したL型整合回路において、入出力側のソースインピーダンスR
in、R
outは、直列インダクタL
sの大きさ及び可変バンドパスフィルタ2の中心周波数f
0に応じて、等リアクタンス円上を誘導性方向にシフトする。そして、シャントコンデンサC
sの大きさ及び可変バンドパスフィルタ2の中心周波数f
0に応じて、等サセプタンス円上を容量性方向にシフトする。ここで、インピーダンス整合回路22を介した入出力側のソースインピーダンスR
mが実数となるように、シャントコンデンサC
sの大きさが決められる。よって、インピーダンス整合回路22を介した入出力側のソースインピーダンスR
mは、可変バンドパスフィルタ2の中心周波数f
0の2乗に比例する値となる。
【0033】
図5の中段に示したL型整合回路において、入出力側のソースインピーダンスR
in、R
outは、フィルタ用コンデンサC
bの大きさ及び可変バンドパスフィルタ2の中心周波数f
0に応じて、等サセプタンス円上を容量性方向にシフトする。そして、直列インダクタL
sの大きさ及び可変バンドパスフィルタ2の中心周波数f
0に応じて、等リアクタンス円上を誘導性方向にシフトする。さらに、シャントコンデンサC
sの大きさ及び可変バンドパスフィルタ2の中心周波数f
0に応じて、等サセプタンス円上を容量性方向にシフトする。よって、インピーダンス整合回路22を介した入出力側のソースインピーダンスR
mは、低周波数側の第1可変範囲において、可変バンドパスフィルタ2の中心周波数f
0の2乗に比例する値となる。しかし、高周波数側の第2可変範囲において、可変バンドパスフィルタ2の中心周波数f
0の2乗に比例する値より小さくなり、可変バンドパスフィルタ2の中心周波数f
0に対して負の曲率(d
2R
m/df
02<0)を有する。
【0034】
図5の下段に示したL型整合回路において、入出力側のソースインピーダンスR
in、R
outは、フィルタ用コンデンサC
bの大きさ及び可変バンドパスフィルタ2の中心周波数f
0に応じて、等サセプタンス円上を容量性方向にシフトする。そして、フィルタ用インダクタL
aの大きさ及び可変バンドパスフィルタ2の中心周波数f
0に応じて、等リアクタンス円上を誘導性方向にシフトする。よって、インピーダンス整合回路22を介した入出力側のソースインピーダンスR
mは、高周波数側の第2可変範囲において、フィルタ用コンデンサC
bに起因して、可変バンドパスフィルタ2の中心周波数f
0に対して負の曲率(d
2R
m/df
02<0)を有する。そして、さらに高周波数側の第3可変範囲において、フィルタ用インダクタL
aに起因して、可変バンドパスフィルタ2の中心周波数f
0に対して正の曲率(d
2R
m/df
02>0)を有する。さらに、フィルタ用コンデンサC
aの大きさを調整することにより、インピーダンス整合回路22を介した入出力側のソースインピーダンスR
mを複同調器21のインピーダンスR
rに一層フィットさせることができる。
【0035】
このように、第1〜3可変範囲において、インピーダンス整合回路22を介した入出力側のソースインピーダンスR
mが、複同調器21のインピーダンスR
rと比べて、ほぼ等しくなるように、インピーダンス整合回路22の結合インダクタL
t、直列インダクタL
s、シャントコンデンサC
s、フィルタ用コンデンサC
b、フィルタ用インダクタL
a、フィルタ用コンデンサC
a及び結合係数k
tを設計すればよい。
【0036】
ここで、VSWR(Voltage Standing Wave Ratio)を考慮すれば、上述の所定の許容量(R
m(インピーダンス整合回路22を介した入出力側のソースインピーダンス)とR
r(複同調器21のインピーダンス)の差分量に対する許容量)は、第1可変範囲では、第2、3可変範囲より、小さな量となることが望ましい。
【0037】
よって、インピーダンス整合回路22を介した入出力側のソースインピーダンスR
mは、複同調器21のインピーダンスR
rと、可変バンドパスフィルタ2の中心周波数f
0の広い可変範囲においてほぼ等しくすることができる。つまり、複同調器21のインピーダンスR
rと入出力側のソースインピーダンスR
in、R
outの間の整合は、可変バンドパスフィルタ2の中心周波数f
0の広い可変範囲において図ることができる。
【0038】
そして、複同調器21の比帯域は、可変素子が共振コンデンサC
rである一方で、結合方法が磁界結合であることから、可変バンドパスフィルタ2の中心周波数f
0に依存しない。よって、複同調器21の比帯域は、可変バンドパスフィルタ2の中心周波数f
0の広い可変範囲(第1〜3可変範囲)において一定とすることができる。
【0039】
さらに、可変バンドパスフィルタ2の中心周波数f
0を可変にするには、複同調器21の共振コンデンサC
rを可変とすればよく、インピーダンス整合回路22の結合インダクタL
t、直列インダクタL
s、シャントコンデンサC
s、フィルタ用コンデンサC
b、フィルタ用インダクタL
a、フィルタ用コンデンサC
a及び結合係数k
tを固定としてもよい。
【0040】
第1実施形態の可変バンドパスフィルタについて、インピーダンス整合特性のシミュレーション結果を
図6に示す。固定バンドパスフィルタ222がない場合には、インピーダンス整合回路22を介した入出力側のソースインピーダンスR
mは、可変バンドパスフィルタ2の中心周波数f
0の2乗に比例する。固定バンドパスフィルタ222がある場合には、インピーダンス整合回路22を介した入出力側のソースインピーダンスR
mは、第1可変範囲(0.5×10
7Hz〜1.5×10
7Hz)、第2可変範囲(1.5×10
7Hz〜2.5×10
7Hz)及び第3可変範囲(2.5×10
7Hz〜3.5×10
7Hz)において、複同調器21のインピーダンスR
rとほぼ等しくなる。
【0041】
第1実施形態の可変バンドパスフィルタについて、通過特性及びリターンロスのシミュレーション結果を
図7に示す。
図7の上段は、
図3及び
図1に示した第1実施形態及び従来技術の可変バンドパスフィルタにおける、中心周波数f
0を様々に設定した場合の通過特性について、実線及び破線でそれぞれ示す。
図7の下段は、
図3及び
図1に示した第1実施形態及び従来技術の可変バンドパスフィルタにおける、中心周波数f
0を様々に設定した場合のリターンロスについて、実線及び破線でそれぞれ示す。
【0042】
図1に示した従来技術の可変バンドパスフィルタ1では、中心周波数f
0が減少すると、通過ロスが増大し、リターンロスが劣化し、比帯域が減少し(
図2の下段も参照。)、可変バンドパスフィルタ1の中心周波数f
0の可変範囲が狭くなる。
【0043】
図3に示した第1実施形態の可変バンドパスフィルタ2では、中心周波数f
0が減少しても、通過特性が高く維持され、リターンロスが低く維持され、比帯域が一定であり(
図4の下段も参照。)、可変バンドパスフィルタ2の中心周波数f
0の可変範囲が広くなる。
【0044】
(第2実施形態)
第2実施形態の可変バンドパスフィルタの回路構成を
図8に示す。第2実施形態では、第1実施形態と比べて、以下に説明する上位概念化がされる。
【0045】
インピーダンス整合回路22は、固定キャパシタンスを有するフィルタ用コンデンサと、固定インダクタンスを有するフィルタ用インダクタと、からなる固定バンドパスフィルタ222を入出力側に有し、固定インダクタンスを有し共振インダクタL
rと磁界結合(結合係数k
t)される結合インダクタL
tと、固定インダクタンスを有し結合インダクタL
tと直列接続される直列インダクタL
sと、共振コンデンサC
rに含有され等価的に結合インダクタL
tと並列接続されるシャントコンデンサC
s(
図5において、詳細について説明した。)と、からなる磁界結合部221を複同調器21側に有する。
【0046】
ここで、第1実施形態では、
図3に示したように、固定バンドパスフィルタ222は、2段のフィルタであり、フィルタの各段は、単純な直列又は並列の共振部である。一方で、第2実施形態では、
図8に示したように、固定バンドパスフィルタ222は、何段のフィルタでもよく、フィルタの各段は、任意の共振部でもよい。
【0047】
第2実施形態の可変バンドパスフィルタについて、インピーダンス整合特性及び中心周波数に対する通過帯域幅の比率(比帯域)を、
図9の上側及び下側にそれぞれ示す。
【0048】
可変バンドパスフィルタ2の中心周波数f
0の可変範囲のうち、第1可変範囲より高周波数側の可変範囲について説明する。インピーダンス整合回路22を介した入出力側のソースインピーダンスR
mは、固定バンドパスフィルタ222に起因して、複同調器21のインピーダンスR
rより所定の許容量だけ異なりほぼ等しい。
【0049】
高周波数側の可変範囲のうちの「ある」可変範囲においては、インピーダンス整合回路22を介した入出力側のソースインピーダンスR
mは、可変バンドパスフィルタ2の中心周波数f
0に対して「負の」曲率を有し、複同調器21のインピーダンスR
rより所定の許容量だけ「大きく」ほぼ等しい。高周波数側の可変範囲のうちの「他の」可変範囲においては、インピーダンス整合回路22を介した入出力側のソースインピーダンスR
mは、可変バンドパスフィルタ2の中心周波数f
0に対して「正の」曲率を有し、複同調器21のインピーダンスR
rより所定の許容量だけ「小さく」ほぼ等しい。
【0050】
ここで、第1実施形態では、
図4に示したように、可変バンドパスフィルタ2の中心周波数f
0が高くなるにつれて、第1可変範囲に続いて、「ある」可変範囲及び「他の」可変範囲が1回ずつ置かれている。一方で、第2実施形態では、
図9に示したように、可変バンドパスフィルタ2の中心周波数f
0が高くなるにつれて、第1可変範囲に続いて、「ある」可変範囲及び「他の」可変範囲が交互に何回も並んでもよい。
【0051】
(第3実施形態)
第3実施形態の可変バンドパスフィルタの回路構成を
図10に示す。第3実施形態では、第1実施形態と比べて、以下に説明する構成が追加される。
【0052】
磁界結合部221は、固定インダクタンスを有し結合インダクタL
t及び直列インダクタL
sと並列接続されるシャントインダクタL
b、をさらに有する。インピーダンス整合回路22を介した入出力側のソースインピーダンスR
in、R
outは、結合インダクタL
t、直列インダクタL
s、共振インダクタL
r及び結合インダクタL
tの間の相互インダクタ、並びに、シャントインダクタL
bにおける分圧比に応じて決まる。
【0053】
第3実施形態の可変バンドパスフィルタについて、インピーダンス整合特性及び中心周波数に対する通過帯域幅の比率(比帯域)を、
図11の上側及び下側にそれぞれ示す。
【0054】
結合インダクタL
t及び共振インダクタL
rを介するインピーダンス変換比率は、結合インダクタL
t及び共振インダクタL
rの巻き数及び結合係数k
tで決まる。しかし、結合インダクタL
t及び共振インダクタL
rの巻き数及び結合係数k
tは、正確に設定することが難しい。よって、シャントインダクタL
bなしでは、結合インダクタL
t及び共振インダクタL
rを介するインピーダンス変換比率は、正確に設定することが難しい。そして、シャントインダクタL
bなしでは、インピーダンス整合回路22を介した入出力側のソースインピーダンスR
mは、複同調器21のインピーダンスR
rとほぼ等しくすることが難しい。
【0055】
そこで、シャントインダクタL
bの追加前に、インピーダンス整合回路22を介した入出力側のソースインピーダンスR
mを、複同調器21のインピーダンスR
rよりやや大きめにする。そして、シャントインダクタL
bの追加後に、インピーダンス整合回路22を介した入出力側のソースインピーダンスR
mを、複同調器21のインピーダンスR
rとほぼ等しくする。このように、シャントインダクタL
bの追加前にやや大きめであった、インピーダンス整合回路22を介した入出力側のソースインピーダンスR
mを、シャントインダクタL
bの追加後に分圧回路を用いて、複同調器21のインピーダンスR
rとほぼ等しくする。もっとも、シャントインダクタL
bなしでも、トランスの巻き数及び結合係数k
tのみにより、インピーダンス整合回路22を介した入出力側のソースインピーダンスR
mを、複同調器21のインピーダンスR
rとほぼ等しくすることができる場合もあり得る。
【0056】
(第4実施形態)
第4実施形態の可変バンドパスフィルタの回路構成を
図12に示す。第4実施形態では、第3実施形態と比べて、以下に説明する構成が追加される。
【0057】
結合インダクタL
tは、共振インダクタL
rと逆相で磁界結合(結合係数k
t)される。磁界結合部221は、固定キャパシタンスを有し直列インダクタL
sと並列接続され並列共振器211と直列接続される飛越コンデンサC
fをさらに有する。
【0058】
第4実施形態の可変バンドパスフィルタについて、インピーダンス整合特性及び中心周波数に対する通過帯域幅の比率(比帯域)を、
図13の上側及び下側にそれぞれ示す。
【0059】
可変バンドパスフィルタ2の中心周波数f
0の可変範囲のうち、第2可変範囲について説明する。インピーダンス整合回路22を介した入出力側のソースインピーダンスR
mは、結合インダクタL
t及び飛越コンデンサC
fにより並列共振周波数が虚数である虚数共振(
図14において、詳細について説明する。)並びにフィルタ用コンデンサC
bに起因して、可変バンドパスフィルタ2の中心周波数f
0に対して負の曲率(d
2R
m/df
02<0)を有し、複同調器21のインピーダンスR
rより所定の許容量だけ大きくほぼ等しい。
【0060】
第4実施形態の可変バンドパスフィルタの片側等価回路を
図14に示す。
図14の上段は、
図12に示した並列共振器211及びインピーダンス整合回路22を示す。
図14の中段は、
図14の上段に示した磁界結合を含む回路を、T型回路に変換したものを示す。
図14の下段は、
図14の中段に示したT型回路に、Y−Δ変換を実行したものを示す。
【0061】
ここで、結合インダクタL
tと共振インダクタL
rは、逆相で磁界結合される。よって、T型回路への変換後において、並列インダクタのインダクタンスは、−M(=−k
t√(L
rL
t)<0)となり、直列インダクタのインダクタンスは、L
s+L
t+M及びL
r+Mとなる。そして、Y−Δ変換の実行後において、直列インダクタのインダクタンスは、L
1(<0)となり、並列インダクタのインダクタンスは、L
2及びL
3となる。
【0062】
ここで、直列インダクタL
1(<0)と飛越コンデンサC
f(>0)は、並列接続される。よって、並列共振周波数が虚数(=−j/2π√(|L
1|C
f))であり、共振時インピーダンスが発散しない、並列虚数共振が発生する。そして、インピーダンス整合回路22を介した入出力側のソースインピーダンスR
mは、可変バンドパスフィルタ2の中心周波数f
0に対して負の曲率(d
2R
m/df
02<0)を有する。
【0063】
(第5実施形態)
第5実施形態の可変バンドパスフィルタの回路構成を
図15に示す。第5実施形態では、第3実施形態と比べて、以下に説明する構成が追加される。
【0064】
複同調器21では、並列共振器211が2個互いに逆相で磁界結合される。そして、複同調器21内の寄生コンデンサC
pと共振インダクタL
r同士の間の相互インダクタ−m(=−k
rL
r<0)により、並列共振周波数が虚数(=−j/2π√(|−m|C
p))である複同調器21内の虚数共振が起こる。ここで、複同調器21内の寄生コンデンサC
pは、共振インダクタL
r同士の磁界結合用のトロイダルコアの誘電率によるものである。
【0065】
第5実施形態の可変バンドパスフィルタについて、インピーダンス整合特性及び中心周波数に対する通過帯域幅の比率(比帯域)を、
図16の上側及び下側にそれぞれ示す。
【0066】
可変バンドパスフィルタ2の中心周波数f
0が並列共振周波数(=1/2π√(|−m|C
p))より十分に小さければ、共振インダクタL
r同士間の相互インダクタンスに起因して、複同調器21のインピーダンスR
rは、可変バンドパスフィルタ2の中心周波数f
0にほぼ比例する。可変バンドパスフィルタ2の中心周波数f
0が並列共振周波数(=1/2π√(|−m|C
p))へと近づくにつれて、複同調器21内の虚数共振に起因して、並列共振器211間の結合係数は、徐々に大きくなるため、複同調器21のインピーダンスR
rは、可変バンドパスフィルタ2の中心周波数f
0に対して負の曲率を有する。
【0067】
可変バンドパスフィルタ2の中心周波数f
0の可変範囲のうち、第1可変範囲より高周波数側の第2可変範囲について説明する。インピーダンス整合回路22を介した入出力側のソースインピーダンスR
mと、複同調器21のインピーダンスR
rは、可変バンドパスフィルタ2の中心周波数f
0に対してともに負の曲率を有する。よって、インピーダンス整合回路22を介した入出力側のソースインピーダンスR
mは、複同調器21のインピーダンスR
rより、所定の許容量だけ異なりほぼ等しい。つまり、複同調器21内の寄生コンデンサC
pを無視できなくても、インピーダンス整合回路22を介した入出力側のソースインピーダンスR
mを、複同調器21のインピーダンスR
rに、精度よくフィットできる。
【0068】
なお、第5実施形態は、第2可変範囲を有する実施形態、つまり、第3実施形態のみならず、第1、2、4実施形態に対しても、実施することができる。
【0069】
(第6実施形態)
第6実施形態の可変バンドパスフィルタの回路構成を
図17に示す。第6実施形態では、第3実施形態と比べて、以下に説明する構成が追加される。
【0070】
複同調器21では、並列共振器211が2個互いに同相で磁界結合される。そして、複同調器21内の寄生コンデンサC
pと共振インダクタL
r同士の間の相互インダクタ+m(=+k
rL
r>0)により、並列共振周波数が実数(=1/2π√(mC
p))である複同調器21内の並列共振が起こる。ここで、複同調器21内の寄生コンデンサC
pは、共振インダクタL
r同士の磁界結合用のトロイダルコアの誘電率によるものである。
【0071】
第6実施形態の可変バンドパスフィルタについて、インピーダンス整合特性及び中心周波数に対する通過帯域幅の比率(比帯域)を、
図18の上側及び下側にそれぞれ示す。
【0072】
可変バンドパスフィルタ2の中心周波数f
0が並列共振周波数(=1/2π√(mC
p))より十分に小さければ、共振インダクタL
r同士間の相互インダクタンスに起因して、複同調器21のインピーダンスR
rは、可変バンドパスフィルタ2の中心周波数f
0にほぼ比例する。可変バンドパスフィルタ2の中心周波数f
0が並列共振周波数(=1/2π√(mC
p))へと近づくにつれて、複同調器21内の並列共振に起因して、並列共振器211間の結合係数は、徐々に小さくなるため、複同調器21のインピーダンスR
rは、可変バンドパスフィルタ2の中心周波数f
0に対して正の曲率を有する。
【0073】
可変バンドパスフィルタ2の中心周波数f
0の可変範囲のうち、第2可変範囲より高周波数側の第3可変範囲について説明する。インピーダンス整合回路22を介した入出力側のソースインピーダンスR
mと、複同調器21のインピーダンスR
rは、可変バンドパスフィルタ2の中心周波数f
0に対してともに正の曲率を有する。よって、インピーダンス整合回路22を介した入出力側のソースインピーダンスR
mは、複同調器21のインピーダンスR
rより、所定の許容量だけ異なりほぼ等しい。つまり、複同調器21内の寄生コンデンサC
pを無視できなくても、インピーダンス整合回路22を介した入出力側のソースインピーダンスR
mを、複同調器21のインピーダンスR
rに、精度よくフィットできる。
【0074】
なお、第6実施形態は、第3可変範囲を有する実施形態、つまり、第3実施形態のみならず、第1、2、4実施形態に対しても、実施することができる。