(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の端子群及び前記第2の端子群は、それぞれ接触部と端子実装部とを有しており、前記第1の端子群及び前記第2の端子群における接触部の配列方向と端子実装部の配列方向とが互いに直交するように配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のコネクタ。
前記第1の突起群又は前記第2の突起群に含まれる複数の突起は、前記第1の合わせ面又は前記第2の合わせ面の表面上において、前記第1の端子群又は前記第2の端子群に含まれる複数の端子が保持されている部分の間又は隣にそれぞれ配置されたことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のコネクタ。
前記第1の嵌合孔群又は前記第2の嵌合孔群に含まれる複数の嵌合孔は、前記第1の合わせ面又は前記第2の合わせ面の表面上において、前記第1の端子群又は前記第2の端子群に含まれる複数の端子が保持されている部分にそれぞれ重ねて形成され、前記複数の嵌合孔の各々は、前記複数の端子の各々に達することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のコネクタ。
前記第1の突起群又は前記第2の突起群に含まれる複数の突起の各々は、当該突起に隣接して配置された、前記第1の嵌合孔群又は前記第2の嵌合孔群に含まれる嵌合孔よりも、コネクタの嵌合方向において先端側又は後端側に配置されたことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のコネクタ。
前記第1の突起群又は前記第2の突起群に含まれる複数の突起の各々は、前記第1の嵌合孔群又は前記第2の嵌合孔群に含まれる複数の嵌合孔の各々と交互に並べて直線状又は曲線状に前記第1の合わせ面又は前記第2の合わせ面に配置されたことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載のコネクタ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、計測機器、音響・映像(AV)機器等の電子機器に搭載されたデータ処理装置の能力が向上し、電子機器において膨大なデータを処理できるようになり、それに伴って、大量のデータが電気信号としてコネクタを介して高速に送受信されるようになった。このような高周波の電気信号を適切に伝送するために、一方の端子群と他方の端子群を向い合せで保持する絶縁性のハウジングを備える従来型のコネクタでは、それぞれの端子群に含まれる複数の端子が一定の間隔を保つように絶縁性のハウジングに保持されることで、複数の端子間で生じ得るインピーダンス整合等の乱れを低減し、望ましい高周波特性を得ることができる。
【0006】
しかしながら、絶縁性のハウジングで複数の端子を一定の間隔を保つように保持するためには、特許2011−233337号公報(特許文献1)に記載のコネクタのように、複数の端子をそれぞれハウジングに形成された複数の溝に沿って圧入するための複数の孔を背面部に設けるか、特開2013−54844号公報(特許文献2)に記載のように、治具等で複数の端子を金型内に固定して樹脂を流し込むことで一体成型する必要がある。
【0007】
絶縁性のハウジングを成型した後に、複数の端子をハウジングに圧入する方法は、複数の端子の一部分をハウジングで覆うような構造のコネクタには適しているが、1つの端子群に含まれる複数の端子においてハウジングで覆われていない部分が多くなり、当該部分は外部からの影響を受けやすく、複数の端子のインピーダンス整合をとることが難しくなり、コネクタの高周波特性に乱れが生じ易くなるという技術的な課題が生じ得る。また、ハウジングから露出する部分が多くなるため、複数の端子を十分に保護することができない。
【0008】
一方、複数の端子を内部に保持するようにハウジングを一体成型する方法は、1つの端子群に含まれる複数の端子の多くの部分をハウジングで覆うような構造のコネクタには適しているが、複数の端子を金型内の定位置に固定する治具があるため、一体成型の際に治具の周りに合成樹脂等の材料が固まり、複数の端子から治具を外した後、ハウジングの外面に治具による孔が形成される。そのため、ハウジングで保持される複数の端子において孔から外部に露出している部分は、外部からの影響を受けやすくなり、上述したように、複数の端子をハウジングに挿入する方法と同様に、コネクタの高周波特性に乱れが生じ易くなるという技術的な課題が生じ得る。
【0009】
以上のような課題を解決するために、コネクタの嵌合方向に沿って対向するように配置された2つの端子群と、該端子群を保持する絶縁性のハウジングと、該ハウジングを収容する外部導体シェルとを備える基板側コネクタにおいて、ハウジングを第1の端子群を保持する第1のハウジング部材と第2の端子群を保持する第2のハウジング部材とに分けて構成し、第1及び第2のハウジング部材がそれぞれ対向する側面(つまり、コネクタの嵌合方向の中心軸側の側面、以下「合わせ面」という)に、第1及び第2のハウジング部材を成型する際に端子群に含まれる複数の端子を治具でそれぞれ支持したために生じた複数の孔を設けることで、合わせ面で第1及び第2のハウジング部材を合せて構成されたハウジングの外面には、端子が露出する孔はなく、外部からの高周波特性への影響を低減することが可能なコネクタを提供する。
【0010】
また、第1及び第2のハウジング部材の各々の合わせ面の嵌合孔は、ハウジング部材を成型する際に、端子群に含まれる複数の端子を支持するための治具によって絶縁性の合成樹脂が流れ込まずに形成された跡(すなわち、孔)を利用することが可能なコネクタを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の1つの実施形態に係るコネクタは、
コネクタの嵌合方向に沿って対向するように配置された第1の端子群と第2の端子群を含む端子群と、該端子群を保持して前記外部導体シェルに収容された絶縁性のハウジングとを少なくとも含むコネクタであって、
前記ハウジングは、前記第1の端子群を保持する第1のハウジング部材と、前記第2の端子群を保持する第2のハウジング部材とから構成され、前記第1のハウジング部材と第2のハウジング部材とはそれぞれ嵌合凸部を有し、
前記第1のハウジング部材の嵌合凸部は、前記第2のハウジング部材に対向する側面である第1の合わせ面に第1の嵌合孔群を有し、
前記第2のハウジング部材の嵌合凸部は、前記第1のハウジング部材に対向する側面である第2の合わせ面において前記第1の嵌合孔群に含まれる複数の嵌合孔に嵌合可能な位置に、複数の突起からなる第2の突起群を有することを特徴とする。
【0012】
本発明に係るコネクタの好ましい実施形態として、
前記第1の嵌合孔群は、前記第1の端子群に含まれる複数の端子と同じ数の複数の嵌合孔からなり、
前記第2のハウジング部材は、前記第1のハウジング部材に対向する側面である第2の合わせ面に第2の嵌合孔群を有し、該第2の嵌合孔群は、前記第2の端子群に含まれる複数の端子と同じ数の複数の嵌合孔からなり、
前記第1のハウジング部材は、前記第1の合わせ面において前記第2の嵌合孔群に含まれる複数の嵌合孔に嵌合可能な位置に、複数の突起からなる第1の突起群を有することを特徴とする。
【0013】
本発明に係るコネクタの好ましい実施形態として、
前記第1の端子群及び前記第2の端子群は、それぞれ2つの端子からなる端子ペアを少なくとも1組以上含むことを特徴とする。
【0014】
本発明に係るコネクタの好ましい実施形態として、
前記第1の端子群及び前記第2の端子群は、それぞれ接触部と端子実装部とを有しており、前記第1の端子群及び前記第2の端子群における接触部の配列方向と端子実装部の配列方向とが互いに直交するように配置されていることを特徴とする。
【0015】
本発明に係るコネクタの好ましい実施形態として、
前記第1の突起群又は前記第2の突起群に含まれる複数の突起は、前記第1の合わせ面又は前記第2の合わせ面の表面上において、前記第1の端子群又は前記第2の端子群に含まれる複数の端子が保持されている部分の間又は隣にそれぞれ配置されたことを特徴とする。
【0016】
本発明に係るコネクタの好ましい実施形態として、
前記第1の嵌合孔群又は前記第2の嵌合孔群に含まれる複数の嵌合孔は、前記第1の合わせ面又は前記第2の合わせ面の表面上において、前記第1の端子群又は前記第2の端子群に含まれる複数の端子が保持されている部分にそれぞれ重ねて形成され、前記複数の嵌合孔の各々は、前記複数の端子の各々に達することを特徴とする。
【0017】
本発明に係るコネクタの好ましい実施形態として、
前記第1の突起群又は前記第2の突起群に含まれる複数の突起の各々は、当該突起に隣接して配置された、前記第1の嵌合孔群又は前記第2の嵌合孔群に含まれる嵌合孔よりも、コネクタの嵌合方向において先端側又は後端側に配置されたことを特徴とする。
【0018】
本発明に係るコネクタの好ましい実施形態として、
前記第1の突起群又は前記第2の突起群に含まれる全ての突起は、前記第1の嵌合孔群又は前記第2の嵌合孔群に含まれる全ての嵌合孔よりも、コネクタの嵌合方向において先端側又は後端側に配置されたことを特徴とする。
【0019】
本発明に係るコネクタの好ましい実施形態として、
前記第1の突起群又は前記第2の突起群に含まれる複数の突起の各々は、前記第1の嵌合孔群又は前記第2の嵌合孔群に含まれる複数の嵌合孔の各々と交互に並べて直線状又は曲線状に前記第1の合わせ面又は前記第2の合わせ面に配置されたことを特徴とする。
【0020】
本発明に係るコネクタの好ましい実施形態として、
前記第1の突起群又は前記第2の突起群に含まれる複数の突起の各々は、該突起の側面に該側面の一部が隆起した隆起部を含むことを特徴する。
【0021】
本発明に係るコネクタの好ましい実施形態として、
前記第1の合わせ面は、柱部又は柱受部を有し、
前記第2の合わせ面は、前記柱部又は前記柱受部に嵌合可能な位置に、柱受部又は柱部を有することを特徴とする。
【0022】
本発明に係るコネクタの好ましい実施形態として、
前記コネクタは、前記ハウジングを収容する外部導体シェルを備えることを特徴とする。
【0023】
本発明に係るコネクタの好ましい実施形態として、
前記第1及び第2のハウジング部材は、前記外部導体シェルの内壁に対向する、外側の表面に圧入突起を有し、
前記外部導体シェルは、前記圧入突起を圧入可能な位置に設けられた圧入部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明に係るコネクタは、2つの端子群を保持するハウジングを、第1の端子群を保持する第1のハウジング部材と、第2の端子群を保持する第2のハウジング部材とに分けて、第1及び第2のハウジング部材の各々の合わせ面に嵌合孔と突起を設けたことで、合わせ面で第1及び第2のハウジング部材を合せてハウジングを構成した際に、該ハウジングの外側表面には、端子が露出する孔が形成されず、外部から受ける高周波特性への影響を低減することができる。
【0025】
また、第1及び第2のハウジング部材の各々の合わせ面の嵌合孔は、ハウジング部材を成型する際に、端子群に含まれる複数の端子を支持するための治具によって絶縁性の合成樹脂が流れ込まずに形成された跡(すなわち、孔)を利用することができるので、2つの端子群を保持するハウジングを成型する際に、外側の表面に複数の端子を治具で支持するための孔を形成せずに済むから、外部から受ける高周波特性への影響を低減することができる。
【0026】
さらに、合わせ面で、第1のハウジング部材と第2のハウジング部材を合せた際に、それぞれの嵌合孔にそれぞれの突起が入って嵌合されることで、嵌合孔は塞がれてハウジング内部の隙間がなくなり(又は小さくなり)、2つ端子群を保持するハウジング内部の構造の変化を最小限に抑えることができ、容易にインピーダンス整合をとることができる。
【0027】
そして、第1及び第2のハウジング部材の各々の合わせ面に形成された突起群と複数の嵌合孔群、柱部と柱受部が、それぞれ嵌合することで、合わせ面で第1及び第2のハウジング部材を合せてハウジングを構成した際に、第1のハウジング部材と第2のハウジング部材のズレや変形を防止し、コネクタの高周波特性を安定的に保つことができる。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下に図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。なお、実施の形態を説明するための全ての図において、同一部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、それぞれの実施形態は、独立して説明されているが、互いの構成要素を組み合わせてコネクタを構成することを排除するものではない。
【0030】
図1は、基板側のコネクタ及びケーブル側のコネクタの外観を示す図である。コネクタの嵌合方向は、図中のX1―X2方向(X軸方向)である。基板側のコネクタ100の先端側はX2方向側であり、ケーブル側のコネクタ200の先端側はX1方向側である。基板300に対して垂直な面はX―Z平面であり、基板300に対して水平な面(平行な面)はX―Y平面である。図中のZ軸方向に沿って上方及び下方を、それぞれのコネクタの上下とする。以上の事項は、その他の図においても同様である。
【0031】
基板側のコネクタ100は、ケーブル側のコネクタ200との接続側(X2方向側)に嵌合凸部104を形成する複数の端子を保持する合成樹脂等の絶縁性の材料で成型されたハウジング150(
図2参照)と、ハウジング150を内部に含む外部導体シェル106とから構成される。嵌合凹部102は、外部導体シェル106の嵌合側(X2側)に設けられた嵌合凸部104と、外部導体シェル106の内壁との間の空間である。外部導体シェル106は、当該外部導体シェル106を基板300に実装して固定するためのシェル実装部108a及び108bを含む。シェル実装部108a及び108bは、基板300に設けられた孔に挿入され、半田付けされるディップ端子であるが、基板の表面に実装可能な端子でも良い。シェル実装部108aは、シェル実装部108bよりもコネクタ100の先端側(X2側)の側面に設けられる。
【0032】
また、外部導体シェル106は、ケーブル側のコネクタ200のロック突部206と係合するロック孔110を備える。ロック孔110は、ケーブル側のコネクタ200のロック突部206と係合できる位置に設けられる。
図1では、ロック孔110は、コネクタ100の外部導体シェル106の上下(Z軸方向での上下)の側壁に設けられる。ロック孔110は、ロック突部206と係合できる構造であれば、必ずしも外部導体シェルを貫通した孔でなくてもよい。別の実施形態として、基板側のコネクタの外部導体シェルにロック突部を設け、ケーブル側のコネクタの外部導体シェルにロック孔を設けてもよい。
【0033】
ケーブル側のコネクタ200は、基板側のコネクタ100との接続側(X1方向側)に嵌合部202を有し、複数の端子を保持するハウジングを内部に収めた外部導体シェル204と、外部導体シェル204の孔から突出したロック突部206と連動するロック操作用ボタン208と、外部導体シェル204とケーブル400との接続部分を覆うカバー部材210とから構成される。
【0034】
嵌合部202は、基板側のコネクタ100との接続時に、嵌合凹部102に挿入される。外部導体シェル204は、ロック突部206を内側から突出させるための孔を側壁に有する。ロック突部206は、基板側のコネクタ100のロック孔110と係合できる位置に設けられる。
図1では、ロック突部206は、コネクタ200の外部導体シェル204の上下(Z軸方向での上下)の側壁に設けられる。ロック突部206は、ロック孔110と係合できる構造であればどのような構造でもよい。
【0035】
ロック突部206は、外部導体シェル204の内部で、ロック操作用ボタン208と連結され、ロック操作用ボタン208を押し込むことに連動して、ロック突部206が押し込まれる。基板側のコネクタ100との接続時に、ロック操作用ボタン208を押し込むことで、ロック突部206がロック孔110から外れて、ケーブル側のコネクタ200は、基板側のコネクタ100から抜くことができる。
【0036】
図2は、本発明の一実施形態に係る基板側コネクタ(以下、単に「コネクタ」と呼ぶ)の外部導体シェルに、ハウジングを収容する様子を示す図である。外部導体シェル106の後方(X1側)からハウジング150が収容される。ハウジング150は、側面(Y軸方向を向いた側面)に突状の圧入突起152を備え、当該側面の後方側(X1側)の縁部分が突出した突状縁部154を備える。圧入突起152は嵌合方向(X2方向)に延出し、突状縁部154は、側面の縁部分に沿って垂直方向(Z方向)に延出する。
図2では、ハウジング150の一方の側面を示しているが、他方の側面にも同様に、圧入突起152及び突状縁部154を設けることができる。圧入突起152は、
図2に示す実施例に限定されるものではなく、ハウジング150の両側側面以外に、上面、底面等、外部導体シェル106の内壁に対向する、ハウジング150(すなわち、ハウジング部材150a、150b)の外側の表面に1以上設けることができる。
【0037】
ハウジング150は、複数の端子を含む端子群を保持することができ、複数の端子の各々は、相手側コネクタの端子と接触するための接触部130を先端側(X2側)に備え、接触部130はハウジング150の嵌合凸部104から露出する。また、複数の端子の各々は、基板300に実装するため端子実装部132を後端側(X1側)に備える。
図2に示す実施形態では、1つの端子群は、4つの端子を含む2組の端子ペアから構成される。
【0038】
ハウジングで保持される1つの端子群に含まれる複数の端子は、それぞれの接触部130が基板300に対して垂直方向(Z軸方向)に並んで配置され、それぞれの端子実装部132が基板300に対してそれぞれ水平方向(Y軸方向)に並んで配置されるように、折り曲げられた形状を有する。すなわち、複数の端子は、接触部130の配列方向(Z軸方向)と端子実装部132の配列方向(Y軸方向)とが互いに直交する方向となっている。また、端子保護部156は、コネクタの嵌合方向に対して直交する水平方向(Y方向)外側に膨らんだ部分である。
【0039】
後壁部112は、外部導体シェル106の後方側(X1側)に設けられ、グランド端子114を先端部分に有する。ハウジング150を収容する前の外部導体シェル106は、内部にハウジング150を収容した際に後方側(X1側)を塞ぐための後壁部114が開いた状態である。外部導体シェル106は、側面(Y軸方向を向いた側面)の後方側(X1側)の縁部分において、ハウジング150の圧入突起152を嵌め込むことが可能な位置に、圧入爪116を有する圧入部118を有する。
【0040】
嵌合方向(X軸方向)に延出する圧入突起152の長さに対応して、圧入部118は、縁部から先端方向(X2方向)に、側面を切り取って形成される。ハウジング150を外部導体シェル106に収容する際に、圧入突起152が圧入部118に圧入又は挿入され、圧入爪116でしっかりと圧入突起152を押さえこむことができる。圧入部118は、
図2に示す実施例に限定されるものではなく、圧入部118の両側側面以外に、上面、底面に1以上設けることができる。
【0041】
図3は、ハウジングを収容したコネクタの外観を示す図である。
図3(a)は、コネクタ100を先端側(X2側)からみた正面図であり、
図3(b)は、コネクタ100を側面(Y軸方向)からみた側面図であり、
図3(c)は、コネクタ100を下方(Z軸方向の下方)からみた底面図である。
図2に示したハウジング150を外部導体シェル106に収容する前の状態から、
図3(b)に示されるように、ハウジング150を収容した後、後壁部112の根元から垂直方向(Z軸方向)下方に折り曲げたことで、外部導体シェルの両側側面に設けられた係合突部120が、後壁部112の両側縁部から延出した板状部分に設けられた係合孔122に入り、後壁部112が固定される。また、ハウジング150の突状縁部154は、外部導体シェル106の後方側(X1側)の縁部と後壁部112の縁部に挟まれて固定される。
【0042】
屈曲片124は、コネクタ100の嵌合凹部102(すなわち、相手側コネクタとの嵌合口)の縁部に設けられ、コネクタ100の外部導体シェル106と、相手側コネクタ(コネクタ200)の嵌合部202とが間違った向きで嵌合させることを防止するための構造である。
図3(a)に示す実施例では、屈曲片124は、外部導体シェル106の嵌合凹部102の長辺(Z軸方向に延びる側壁)の縁部から延出して内側に折り曲げられ、屈曲片124の先端は、嵌合凹部102の短辺(Y軸方向に延びる側壁)の縁部に達する。
【0043】
屈曲片124の裏側(X1側)には、
図3(b)に示すように、支持突起126を設けることができる。支持突起126は、相手側コネクタとの嵌合時に、屈曲片124が押し込まれた際に、屈曲片124を裏側(X1側)から支持することができる。屈曲片124及び支持突起126は嵌合凹部102の左下の縁部に設けられているが、この位置に限定されるものではなく、相手側コネクタとの誤嵌合を防止できれば、嵌合凹部102の縁部のどの位置でもよい。
【0044】
図3(a)に示されるように、外部導体シェル106に収容されたハウジング150は、コネクタ100の嵌合方向に沿って対向するように配置された2つの端子群を保持して、嵌合方向の前方(X2側)に嵌合凹部102(
図1参照)を形成する。ハウジング部材150aが保持する一方の端子群と、ハウジング部材150bが保持する他方の端子群は、それぞれ端子が配列方向(Z軸方向)に半ピッチずれて並べられる。
【0045】
ハウジング150は、嵌合方向に沿って向かい合わせで配置された2つの端子群と一体成型することができ、複数の端子の少なくとも一部分を覆うことができる。また、ハウジング150は、2つの端子群と一体成型する以外にも、複数の端子をそれぞれ圧入することもでき、ハウジング150に複数の端子を保持できる方法であればどのような方法でもよい。
【0046】
複数の端子は、外部導体シェル106の後方(X1側)のハウジング150から露出し、露出した各端子に設けられた端子実装部132によって基板300の表面上に半田付けされて固定される。端子実装部132は、端子群に含まれる各端子に設けられ、端子群毎に一群の端子実装部132を構成する。それぞれの端子実装部132は、基板300に表面実装されるが、基板に設けられた孔に差し込んで実装されるようにディップ端子として構成してもよい。
【0047】
グランド端子114は、外部導体シェル106の後壁部112と一体に形成されており、ハウジング150の後壁(X1側の壁)に沿うように外部導体シェル106の後端側に設けられ、シェル実装部も兼ねており、ハウジング150から露出した2つの端子群の間を通って基板300に実装される。
【0048】
外部導体シェル106は、一群の端子実装部132間に実装されたグランド端子114側とは反対側(コネクタ100の側部側)に絶縁体112を覆った2つのシェル実装部108bを、コネクタ100の後端側に設けられ、2つの一群の端子実装部132a及び132bは、それぞれグランド端子114と、コネクタ100の後端側(X1側)の側面に設けられたシェル実装部108bとの間に配置されている。
【0049】
端子実装部132a及び132bを露出するハウジング150の後方部分は、コネクタの嵌合方向に対して直交する水平方向(Y方向)外側に膨らんだ端子保護部156を含む。端子保護部156は、複数の端子の水平方向(Y軸方向)に折り曲げられて、並んで配置された部分を保護し、後方側(X1側)から端子実装部132を露出する。端子保護部156は、複数の端子の水平方向(Y軸方向)に折り曲げられて、並んで配置された部分を覆って保護し、後方側(X1側)から端子実装部132を露出する。
【0050】
外部導体シェル106は外側に膨らんだ端子保護部156の形状に合わせて形成されるため、
図3(a)に示されるように、外部導体シェル106の後端側(X1側)に設けられたシェル実装部108bは、先端側(X2側)に設けられたシェル実装部108aよりも、嵌合方向に直交する方向(Y方向)で、外部導体シェル106の外側に設けられる。
【0051】
また、
図3(c)に示されるように、外部導体シェル106は、外側に膨らんだ端子保護部156の底面を支持するためのカシメ片158をシェル実装部108bの隣に備える。カシメ片158は、端子保護部156を巻き込むように折り曲げることで、ハウジング150で保持される端子群を保護することができる。
【0052】
図3(a)から(c)に示されるように、外部導体シェル106の後端側に設けられたグランド端子114は、2つの端子群に含まれる複数の端子に対して接地電極の役割を果たすので、信号を伝送する複数の端子のそれぞれの間にグランド端子を設けなくても、電気信号の高速伝送に必要な高周波特性を維持することができる。それにより、コネクタに含まれる端子の数を減らすことができ、端子の数(すなわち、部品数)を減へらすことで、コネクタの内部構造は簡略化され、インピーダンス整合を容易に調整可能な内部構造にすることができる。
【0053】
図4は、本発明の一実施形態に係るハウジングと該ハウジングを構成する2つのハウジング部材の外観を示す。
図4(a)は、ハウジング150を前方(X2側)斜めからみた斜視図であり、
図4(b)は、ハウジング150を構成する2つのハウジング部材150a及び150bを前方(X2側)からみた正面図であり、
図4(c)は、2つのハウジング部材150a及び150bを上方(Z軸方向の上方)からみた上面図である。
【0054】
図4(b)に示されるように、一方のハウジング部材150aは、他方のハウジング部材150bに対向する側面(合わせ面180、
図5参照)に、突起162a、突起162b、突起162c、突起162dを含む突起群162を備える。
図4に示す実施例では、突起群162に含まれる突起は4つであるが、4つに限定されるものではなく、1つ以上あればよく、突起はそれぞれ嵌合凸部104aの裏側の面に配置されるが、この配置に限定されるものではなく、合わせ面180(
図5参照)の表面上にあればよい。柱部160については、後述する。
【0055】
また、同様に、他方のハウジング部材150bは、一方のハウジング部材150aに対向する側面(合わせ面182、
図5参照)に、突起164a、突起164b、突起164c、突起164dを含む突起群164を備える。
図4に示す実施例では、突起群164に含まれる突起は4つであるが、4つに限定されるものではなく、1つ以上あればよく、突起はそれぞれ嵌合凸部104bの裏側の面に配置されるが、この配置に限定されるものではなく、合わせ面182(
図5参照)の表面上にあればよい。
【0056】
突起群162に含まれる突起162a、突起162b、突起162c、突起162dは、合わせ面180(
図5参照)の表面上において、ハウジング部材150aが一方の端子群に含まれる複数の端子を保持している部分の間又は隣にそれぞれ配置されている(
図6(b)の断面図も参照)。
図4(b)に示す実施例では、嵌合凸部104aから露出する複数の端子(一方の接触部130)が保持されている部分の間又は隣の面上に突起162a、突起162b、突起162c、突起162dがそれぞれ配置されている(
図6(c)の断面図も参照)。
【0057】
同様に、突起群164に含まれる突起164a、突起164b、突起164c、突起164dも、合わせ面182(
図5参照)の表面上において、ハウジング部材150bが他方の端子群に含まれる複数の端子を保持している部分の間又は隣にそれぞれ配置されている。
図4(b)に示す実施例では、嵌合凸部104bから露出する複数の端子(他方の接触部130)が保持されている部分の間又は隣の面上に突起164a、突起164b、突起164c、突起164dがそれぞれ配置されている。
【0058】
図4(c)に示されるように、突起群162は、突起群164よりも後端側(X1側)に配置されている。当然のことながら、この配置に限定されるものではなく、突起群162が、突起群164よりも先端側(X2側)に配置されてもよく、突起群162に含まれる複数の突起の一部が、突起群164に含まれる複数の突起の一部よりも先端側(X2側)又は後端側(X1側)に配置されてもよい。
【0059】
図5は、
図4に示したハウジング部材の合わせ面を示す。
図5(a)又は(b)に示されるように、ハウジング部材150aの合わせ面180上には、突起群162に含まれる突起162a、突起162b、突起162c、突起162dが垂直方向に並べて配列され、ハウジング部材150bの合わせ面182上には、突起群164に含まれる突起164a、突起164b、突起164c、突起164dが垂直方向に並べて配列されている。突起の配列は、
図5に示す実施例に限定されるものではなく、例えば、突起群162に含まれる突起162a、突起162b、突起162c、突起162dが、合わせ面180の表面上において、ハウジング部材150aが一方の端子群に含まれる複数の端子を保持している部分の間又は隣にそれぞれ配置される位置であれば、直線状や曲線状等自由に並べて配列することができる。突起群164に含まれる突起164a、突起164b、突起164c、突起164dについても、同様に配列することができる。
【0060】
柱部160は、合わせ面180に設けられ、合わせ面182に設けられた柱受部166に対向する位置に配置することができる。柱受部166は、合わせ面182に設けられ、合わせ面180に設けられた柱部160に対向する位置に配置することができる。ハウジング部材150aとハウジング部材150bを合せてハウジング150を構成する際に、柱部160は、柱受部166に圧入され嵌め合わされる。柱部160及び柱受部166は、ハウジング部材150aとハウジング部材150bのズレを防止するための1つの補強部位であり、必要なければ設けなくてもよい。
【0061】
また、柱部160の幅や長さを変えること、及び、柱受部166の幅や深さを変えることで、圧入にかかる力を調整することができ、柱部160の側面の全部又は一部を突出させたリブ及び柱受部166の内壁の全部又は一部を突出させたリブの少なくとも一方を設けることでも、圧入にかかる力を調整することができる。さらに、柱部160は、円柱形状であるが、この形状に限定されるものではなく、矩形、多角形等、柱受部166と嵌め合せることが可能な形状であればどのような形状でもよい。同様に、柱受部166は円筒形状であるが、この形状に限定されるものではなく、矩形、多角形等、柱部160と嵌め合せることが可能な形状であればどのような形状でもよい。
【0062】
図5に示されるように、一方のハウジング部材150aは、合わせ面180に、嵌合孔168a、嵌合孔168b、嵌合孔168c、嵌合孔168dを含む嵌合孔群168を備える。
図5に示す実施例では、嵌合孔群168に含まれる嵌合孔は4つであるが、4つに限定されるものではなく、1つ以上あればよく、嵌合孔はそれぞれ嵌合凸部104aの裏側の面に配置されるが、この配置に限定されるものではなく、合わせ面180の表面上にあればよい。
【0063】
また、同様に、他方のハウジング部材150bは、合わせ面182に、嵌合孔170a、嵌合孔170b、嵌合孔170c、嵌合孔170dを含む嵌合孔群170を備える。
図5に示す実施例では、嵌合孔群170に含まれる嵌合孔は4つであるが、4つに限定されるものではなく、1つ以上あればよく、嵌合孔はそれぞれ嵌合凸部104bの裏側の面に配置されるが、この配置に限定されるものではなく、合わせ面182の表面上にあればよい。
【0064】
嵌合孔群168は、合わせ面180において突起群162よりも先端側に配置されている。当然のことながら、この配置に限定されるものではなく、突起群162が、嵌合孔群168よりも先端側に配置されてもよく、突起群162に含まれる複数の突起の一部が、嵌合孔群168に含まれる複数の嵌合孔の一部よりも先端側又は後端側に配置されてもよい。
【0065】
嵌合孔群170は、合わせ面182において突起群164よりも後端側に配置されている。当然のことながら、この配置に限定されるものではなく、突起群164が、嵌合孔群170よりも後端側に配置されてもよく、突起群164に含まれる複数の突起の一部が、嵌合孔群170に含まれる複数の嵌合孔の一部よりも先端側又は後端側に配置されてもよい。
【0066】
嵌合孔群168に含まれる嵌合孔168a、嵌合孔168b、嵌合孔168c、嵌合孔168dは、合わせ面180の表面上において、ハウジング部材150aが一方の端子群に含まれる複数の端子を保持している部分にそれぞれ重ねて配置され、嵌合孔168a、嵌合孔168b、嵌合孔168c、嵌合孔168dは、それぞれの端子に達する(
図6(c)の断面図も参照)。つまり、嵌合孔168a、嵌合孔168b、嵌合孔168c、嵌合孔168dから、それぞれ端子の一部が露出する。
【0067】
嵌合孔群170に含まれる嵌合孔170a、嵌合孔170b、嵌合孔170c、嵌合孔170dは、合わせ面182の表面上において、ハウジング部材150bが他方の端子群に含まれる複数の端子を保持している部分にそれぞれ重ねて配置され、嵌合孔170a、嵌合孔170b、嵌合孔170c、嵌合孔170dは、それぞれの端子に達する(
図6(b)の断面図も参照)。つまり、嵌合孔170a、嵌合孔170b、嵌合孔170c、嵌合孔170dから、それぞれ端子の一部が露出する。
【0068】
突起の配列は、
図5に示す実施例に限定されるものではなく、例えば、突起群162に含まれる突起162a、突起162b、突起162c、突起162dが、合わせ面180の表面上において、ハウジング部材150aが一方の端子群に含まれる複数の端子を保持している部分の間又は隣にそれぞれ配置される位置であれば、直線状や曲線状等自由に並べて配列することができる。突起群164に含まれる突起164a、突起164b、突起164c、突起164dについても、同様に配列することができる。
【0069】
嵌合孔の配列は、
図5に示す実施例に限定されるものではなく、例えば、嵌合孔群168に含まれる嵌合孔168a、嵌合孔168b、嵌合孔168c、嵌合孔168dが、合わせ面180の表面上において、ハウジング部材150aが一方の端子群に含まれる複数の端子を保持している部分にそれぞれ重ねて配置される位置であれば、直線状や曲線状等自由に並べて配列することができる。嵌合孔群170に含まれる嵌合孔170a、嵌合孔170b、嵌合孔170c、嵌合孔170dについても、同様に配列することができる。
【0070】
ハウジング部材150a及び150bの各々の合わせ面180、182の嵌合孔168a、168b、168c、168d、170a、170b、170c、170dには、ハウジング部材150a及び150bを成型する際に、端子群に含まれる複数の端子を支持するための治具によって絶縁性の合成樹脂が流れ込まずに形成された跡(すなわち、孔)を利用することができる。言い換えると、端子群をそれぞれ保持するハウジング部材150a及び150bを一体成型する場合に、複数の端子を金型内の定位置に固定する治具があるために、絶縁性の合成樹脂等の材料が固まって治具を取り外した後に生ずる複数の孔を、ハウジング部材150a及び150bの各々の合わせ面180、182の嵌合孔168a、168b、168c、168d、170a、170b、170c、170dとして機能させることができる。
【0071】
このように、ハウジング部材150a及び150bの各々の合わせ面180、182に、ハウジング部材150a及び150bを一体成型した場合に生ずる複数の孔を形成し、嵌合孔168a、168b、168c、168d、170a、170b、170c、170dとして利用することで、ハウジング部材150aとハウジング部材150bを合せて構成されるハウジング150の外面には孔が形成されず、外部からの高周波特性への影響を低減することができる。
【0072】
突起群162に含まれる突起162a、突起162b、突起162c、突起162dと、嵌合孔群168に含まれる嵌合孔168a、嵌合孔168b、嵌合孔168c、嵌合孔168dは、合わせ面180において半ピッチずれて配列される。同様に、突起群164に含まれる突起164a、突起164b、突起164c、突起164dと、嵌合孔群170に含まれる嵌合孔170a、嵌合孔170b、嵌合孔170c、嵌合孔170dは、合わせ面182において半ピッチずれて配列される。
【0073】
図6は、
図4に示したハウジング部材の合わせ面に設けられた突起群と嵌合孔群の嵌合の状態の断面を示す。
図6(a)に示す切断線b−bで垂直方向(Z軸方向)に、嵌合凸部104を切断した断面図が
図6(b)であり、切断線c−cで垂直方向(Z軸方向)に、嵌合凸部104を切断した断面図が
図6(c)である。
【0074】
図6(b)に示されるように、合わせ面180に設けられた突起群162に含まれる突起162a、突起162b、突起162c、突起162dと、合わせ面182に設けられた嵌合孔群170に含まれる嵌合孔170a、嵌合孔170b、嵌合孔170c、嵌合孔170dとは、それぞれ対向する位置に配置され、ハウジング部材150aとハウジング部材150bを合せてハウジング150を構成した際に、突起162a、突起162b、突起162c、突起162dは、嵌合孔170a、嵌合孔170b、嵌合孔170c、嵌合孔170dにそれぞれ圧入され嵌め合わされる。
【0075】
図6(c)に示されるように、合わせ面182に設けられた突起群164に含まれる突起164a、突起164b、突起164c、突起164dと、合わせ面180に設けられた嵌合孔群168に含まれる嵌合孔168a、嵌合孔168b、嵌合孔168c、嵌合孔168dとは、それぞれ対向する位置に配置され、ハウジング部材150aとハウジング部材150bを合せてハウジング150を構成した際に、突起164a、突起164b、突起164c、突起164dは、嵌合孔168a、嵌合孔168b、嵌合孔168c、嵌合孔168dにそれぞれ圧入され嵌め合わされる。
【0076】
突起群162、164に含まれる各突起の幅や長さを変えること、及び、嵌合孔群168、170に含まれる各嵌合孔の幅や深さを変えることで、圧入にかかる力を調整することができ、各突起の側面の全部又は一部を突出させたリブ及び各嵌合孔の内壁の全部又は一部を突出させたリブの少なくとも一方を設けることでも、圧入にかかる力を調整することができる。また、突起群162、164に含まれる各突起は、先細の四角柱形状であるが、この形状に限定されるものではなく、円形、多角形等、各嵌合孔と嵌め合せることが可能な形状であればどのような形状でもよい。同様に、嵌合孔群168、170に含まれる各嵌合孔は角筒形状であるが、この形状に限定されるものではなく、円形、多角形等、各突起と嵌め合せることが可能な形状であればどのような形状でもよい。
【0077】
図6(b)及び(c)に示されるように、合わせ面180、182で、ハウジング部材150aとハウジング部材150bを合せた際に、それぞれの嵌合孔にそれぞれの突起が入って嵌合されることで、各嵌合孔は塞がれてハウジング内部の隙間がなくなり(又は小さくなり)、2つ端子群を保持するハウジング内部の構造の変化を最小限に抑えることができ、容易にインピーダンス整合をとることができる。
【0078】
また、突起群162、164の各突起が、嵌合孔群170、168の各嵌合孔にそれぞれ嵌合されたことで、ハウジング150を構成するハウジング部材150aとハウジング部材150bのズレや変形を防止し、コネクタの高周波特性を安定的に保つことができる。
【0079】
図7から9に示す本発明の実施形態は、
図4から6に示す本発明の実施形態とは別の実施形態である。
図7は、本発明の別の実施形態に係るハウジングと該ハウジングを構成するハウジング部材の外観を示す。以下、
図4から6に示す本発明の実施形態と同様の構成についての説明は省略し、異なる構成についてのみ説明する。
【0080】
図7(a)に示されるように、一方のハウジング部材150aは、合わせ面180(
図8参照)に、突起172a、突起172b、突起172c、突起172dを含む突起群172を備える。他方のハウジング部材150bは、合わせ面182(
図8参照)に、突起174a、突起174b、突起174c、突起174dを含む突起群174を備える。
図7(b)に示されるように、突起群172と突起群174とは、互いに対向する位置に配置される。つまり、突起群172と突起群174とは、コネクタの先端側(X2)からの距離が等しい位置に配置されている。
【0081】
図8は、
図7に示したハウジング部材の合わせ面を示す。
図8(a)又は(b)に示されるように、ハウジング部材150aの合わせ面180上には、突起群172に含まれる突起172a、突起172b、突起172c、突起172dと、嵌合孔群176に含まれる嵌合孔176a、嵌合孔176b、嵌合孔176c、嵌合孔176dとが、垂直方向に交互に並べて配置されている。ハウジング部材150bの合わせ面182上には、突起群174に含まれる突起174a、突起174b、突起174c、突起174dと、嵌合孔群178に含まれる嵌合孔178a、嵌合孔178b、嵌合孔178c、嵌合孔178dとが、垂直方向に交互に並べて配置されている。
【0082】
図8に示す実施例では、突起群172に含まれる複数の突起と嵌合孔群176に含まれる複数の嵌合孔を垂直方向に交互に並べて配置しているが、垂直方向だけに限定されるものではなく、その他の方向に直線状に交互に並べて合わせ面180に配置してよく、曲線状に交互に並べて合わせ面180に配置してもよい。突起群174に含まれる複数の突起と嵌合孔群178に含まれる複数の嵌合孔のついても上記と同様交互に並べて合わせ面182に配置することができる。
【0083】
また、複数の突起及び複数の嵌合孔の配列は、
図8に示す実施例に限定されるものではなく、例えば、突起群172に含まれる複数の突起は、ハウジング部材150aが一方の端子群に含まれる複数の端子を保持している部分の間又は隣にそれぞれ配置される位置であれば、直線状や曲線状等自由に並べて配列することができる。嵌合孔群176に含まれる複数の嵌合孔は、ハウジング部材150aが一方の端子群に含まれる複数の端子を保持している部分にそれぞれ重ねて配置される位置であれば、直線状や曲線状等自由に並べて配列することができる。突起群174に含まれる突起174a、突起174b、突起174c、突起174d及び嵌合孔群178に含まれる嵌合孔178a、嵌合孔178b、嵌合孔178c、嵌合孔178dについても、合わせ面182において同様に配列することができる。
【0084】
図8(b)に示されるように、突起群172、174に含まれる複数の突起の各々は、コネクタの嵌合方向の側面を突出させたリブを設けているが、
図8(b)に示す実施例に限定されるものではなく、垂直方向(突起の配列方向)の側面にリブを設けることができる。
【0085】
突起群172、174に含まれる各突起の幅や長さを変えること、及び、嵌合孔群176、178に含まれる各嵌合孔の幅や深さを変えることで、圧入にかかる力を調整することができ、各突起の側面の全部又は一部を突出させたリブ及び各嵌合孔の内壁の全部又は一部を突出させたリブの少なくとも一方を設けることでも、圧入にかかる力を調整することができる。また、突起群172、174に含まれる各突起は、先細の四角柱形状であるが、この形状に限定されるものではなく、円形、多角形等、各嵌合孔と嵌め合せることが可能な形状であればどのような形状でもよい。同様に、嵌合孔群176、178に含まれる各嵌合孔は角筒形状であるが、この形状に限定されるものではなく、円形、多角形等、各突起と嵌め合せることが可能な形状であればどのような形状でもよい。
【0086】
図9は、
図7に示したハウジング部材の合わせ面に設けられた突起群と嵌合孔群の嵌合の状態の断面を示す。
図9(a)に示す切断線b−bで垂直方向(Z軸方向)に、嵌合凸部104を切断した断面図が
図9(b)である。
【0087】
合わせ面180に設けられた突起群172に含まれる突起172a、突起172b、突起172c、突起172dと、合わせ面182に設けられた嵌合孔群178に含まれる嵌合孔178a、嵌合孔178b、嵌合孔178c、嵌合孔178dとは、それぞれ対向する位置に配置され、ハウジング部材150aとハウジング部材150bを合せてハウジング150を構成した際に、突起172a、突起172b、突起172c、突起172dは、嵌合孔178a、嵌合孔178b、嵌合孔178c、嵌合孔178dにそれぞれ圧入され嵌め合わされる。突起群172の各突起の側面から突出したリブが、嵌合孔群178の各嵌合孔にそれぞれ圧入することによって、ハウジング部材150a、150bを固定することができる。
【0088】
合わせ面182に設けられた突起群174に含まれる突起174a、突起174b、突起174c、突起174dと、合わせ面180に設けられた嵌合孔群176に含まれる嵌合孔176a、嵌合孔176b、嵌合孔176c、嵌合孔176dとは、それぞれ対向する位置に配置され、ハウジング部材150aとハウジング部材150bを合せてハウジング150を構成した際に、突起174a、突起174b、突起174c、突起174dは、嵌合孔176a、嵌合孔176b、嵌合孔176c、嵌合孔176dにそれぞれ圧入され嵌め合わされる。突起群174の各突起の側面から突出したリブが、嵌合孔群176の各嵌合孔にそれぞれ圧入することによって、ハウジング部材150a、150bを固定することができる。
【0089】
図9に示されるように、合わせ面180、182で、ハウジング部材150aとハウジング部材150bを合せた際に、それぞれの嵌合孔にそれぞれの突起が入って嵌合されることで、各嵌合孔は塞がれてハウジング内部の隙間がなくなり(又は小さくなり)、2つ端子群を保持するハウジング内部の構造の変化を最小限に抑えることができ、容易にインピーダンス整合をとることができる。
【0090】
また、突起群172、174の各突起が、嵌合孔群176、178の各嵌合孔にそれぞれ嵌合されたことで、ハウジング150を構成するハウジング部材150aとハウジング部材150bのズレや変形を防止し、コネクタの高周波特性を安定的に保つことができる。
【0091】
本発明の個々の実施例は、独立したものではなく、それぞれ組み合わせて適宜実施することができる。