(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記粘着剤層は、天然ゴムとエポキシ化天然ゴムとの含有比率(天然ゴム/エポキシ化天然ゴム)が、重量比で、99/1〜70/30の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の粘着テープ。
前記粘着剤層は、天然ゴムとエポキシ化天然ゴムとを含むゴム成分100重量部に対して、イソシアネート系架橋剤の含有量が6重量部以上15重量部以下の範囲であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の粘着テープ。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決するために、粘着剤層を構成する粘着剤組成物の粘着特性を低下させずに粘着剤層の凝集力を向上させる必要があると考えた。そして、粘着剤組成物において、天然ゴムにイソシアネート系架橋剤を添加したところ、金属触媒からなる架橋促進剤を添加しなくても、粘着剤組成物の破断強度・破断伸度がある程度向上した。このことから、粘着剤組成物において天然ゴムにイソシアネート系架橋剤を添加することは、粘着剤層の凝集力向上に対して一定の効果があることが分かった。
【0010】
しかしながら、天然ゴムを、金属触媒からなる架橋促進剤の無存在下でイソシアネート系架橋剤により架橋した粘着剤組成物では、電気機器等の被着体に汎用される材質(ABSやSUS等)から剥離した場合の糊残を抑制するには凝集力が未だ不足しており、上述した課題を完全に解決するまでには至らなかった。
【0011】
本発明者らは、上記課題を解決するために、粘着剤組成物の粘着特性を低下させずに粘着剤層の凝集力をさらに向上させる方法について、さらに鋭意検討した結果、天然ゴムにイソシアネート系架橋剤を添加した系に、さらにエポキシ化天然ゴムを添加することにより、粘着剤組成物の破断強度・破断伸度が向上し、この結果、粘着剤層の凝集量が向上することを見出した。そして、このような粘着剤組成物を粘着剤層として用いることで、粘着テープを被着体から剥離した場合の糊残および貼付跡が低減することを確認し、本発明をなすに至った。
【0012】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本実施の形態が適用される粘着テープ1の構成の一例を示した図である。本実施の形態の粘着テープ1は、例えば、電気機器等の装置における開閉部分や収納ボックス等の仮固定等の用途に使用される。
図1に示すように、本実施の形態が適用される粘着テープ1は、基材2と粘着剤層3とが積層された構造を有している。
なお、図示は省略するが、粘着テープ1は、基材2と粘着剤層3との間に必要に応じてアンカー剤層を備えていてもよい。また、基材2の表面(粘着剤層3が積層される面とは反対側の面)に、剥離処理等の表面処理が施されていてもよい。また、粘着テープ1は、粘着剤層3上に剥離ライナーが設けられていてもよい。
【0013】
[粘着剤層]
本実施の形態の粘着剤層3は、天然ゴム、エポキシ化天然ゴムおよび架橋剤を含む。また、粘着剤層3は、必要に応じて、粘着付与剤、老化防止剤、着色剤等の添加剤をさらに含んでいてもよい。さらに、粘着剤層3は、天然ゴムおよびエポキシ化天然ゴム以外のゴム成分、例えば、ブチルゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ポリイソブチレンゴム等の合成ゴムや熱可塑性エラストマーを含んでいてもよい。
なお、本実施の形態の粘着剤層3は、REACH規制等の環境適合の観点、および基材2の表面(粘着剤層3が積層される面とは反対側の面)の離型処理剤と粘着剤層3の架橋促進剤との接触による副反応の影響(被着体への汚染)の観点から、金属触媒からなる架橋促進剤を含んでいないことが好ましい。
【0014】
詳細については後述するが、本実施の形態の粘着テープ1では、粘着剤層3がゴム成分として天然ゴムの他にエポキシ化天然ゴムを含むことで、まず、天然ゴムがイソシアネート系架橋剤と架橋反応して適度な架橋構造(架橋点間距離が長い三次元網目構造)が形成される。そして、さらにエポキシ化天然ゴムが補助的な架橋点もしくは疑似架橋点の役割をする。これら両方の効果が相まって、粘着剤層3の凝集力が向上するものと推測される。
これにより、例えば粘着剤層3がゴム成分としてエポキシ化天然ゴムを含まない場合と比較して、粘着剤層3の凝集力が上昇する。そして、例えば粘着テープ1を被着体に貼り付けた後、粘着テープ1を剥離した場合の、被着体に対する糊残を低減することができる。
【0015】
特に、粘着剤層3が金属触媒からなる架橋促進剤を含んでいない場合、エポキシ化天然ゴムによる凝集力の向上が顕著となる。すなわち、粘着剤層3が金属触媒からなる架橋促進剤を含んでいない場合、粘着剤層3がゴム成分としてエポキシ化天然ゴムを含んでいないと、その凝集力が不十分となることが多いが、粘着剤層3がゴム成分としてエポキシ化天然ゴムを含んでいると、金属触媒からなる架橋促進剤を含まなくても、その凝集力を、粘着テープ1を本発明の用途に用いるために十分なものとすることができる。
なお、本実施の形態において「糊残」とは、粘着テープ1を被着体に貼り付けた後、粘着テープ1を剥離した場合に、被着体の表面に粘着剤層3を構成する粘着剤が残存する現象をいう。
【0016】
(天然ゴム)
天然ゴムは、ゴムの樹の樹液に含まれるcis−1,4−ポリイソプレンを主成分とする物質であり、生体内での付加重合で生成されたものである。天然ゴムは、分子量30万付近と200万付近にピークを持つ分子量分布を有する。また、天然ゴムにはタンパク質や脂質など3%〜4%の非ゴム成分が含まれる。タンパク質には、N末端(アミノ基)、C末端(カルボキシル基)が存在するものと推定する。
天然ゴム分子は、末端構造に関して未解明な部分が多いが、cis−1,4−イソプレン単位の一方の末端(開始末端)がタンパク質末端(1分子中に活性水素を有する官能基であるアミノ基およびカルボキシル基を有するアミノ酸が低分子量レベルで重合したもの:短鎖のポリペプチド)で構成され、他方の末端(停止末端)にはリン脂質が結合し、このリン脂質末端にさらに長鎖脂肪酸がエステル結合した構造であるといわれている。さらに、天然ゴムを製造する過程で、天然ゴムの分子鎖中に水酸基やカルボキシル基等の活性水素を有する官能基が少量ではあるが導入されることがあるともいわれている。
詳細は定かではないが、これらの活性水素を有する官能基のいずれかは、前述したように、イソシアネート系架橋剤のイソシアネート基やエポキシ化天然ゴムのエポキシ基と反応し、適度な架橋構造を形成することが可能である。
【0017】
ところで、天然ゴムは、タンパク質と相互作用する官能基(開始末端)に結合したジメチルアリル基、2個のtrans−1,4−イソプレン単位、約5,000個のcis-1,4−イソプレン単位、およびリン脂質(停止末端)に結合したcis−1,4−イソプレン単位を基本骨格とする分岐高分子であると推定されている。すなわち、非ゴム成分として含まれているタンパク質の周りに複数の天然ゴム分子のタンパク質末端(開始末端)が相互作用して結合しており、天然ゴムのもう一方のリン脂質末端(停止末端)は複数の天然ゴムのリン脂質末端同士がドメイン状に相互作用して結合した形の分岐構造を有していると考えられている。そして、天然ゴムのcis−ポリイソプレンは疎水性であり、タンパク質や脂質等の非ゴム成分は親水性であるので、天然ゴムには、cis−ポリイソプレンと非ゴム成分から成る相分離構造が形成されていると考えられる。
これらの分岐構造を有する天然ゴムの一部が、さらに、上記イソシアネート系架橋剤により適度な架橋構造を形成しているものと推定される。
【0018】
天然ゴムとしては特に限定されず、例えば、SMR(Standard Malaysian Rubber)、SIR(Standard Indonesian Rubber)、STR(Standard Thai Rubber)等のTSR(Technically Specified Rubber)や、高純度天然ゴム(HPNR:High- Purity Natural Rubber)等が用いられる。
【0019】
(エポキシ化天然ゴム)
エポキシ化天然ゴムは、上述した天然ゴムの二重結合の一部が、エポキシ基で置換されたものである。
エポキシ化天然ゴムとしては、市販されているエポキシ化天然ゴムを用いてもよいし、上述した天然ゴムをエポキシ化して用いてもよい。天然ゴムをエポキシ化する方法としては、特に制限はないが、例えば、クロルヒドリン法、直接酸化法、過酸化水素法、アルキルヒドロペルオキシド法、過酸法等が挙げられる。過酸法としては、例えば、天然ゴムに、過酢酸や過蟻酸等の有機過酸を反応させる方法等が挙げられる。
【0020】
本実施の形態の粘着剤層3に用いるエポキシ化天然ゴムのエポキシ化率は、25モル%以上であることが好ましい。エポキシ化天然ゴムのエポキシ化率は、25モル%以上であれば、より高いほど好ましい。エポキシ化天然ゴムのエポキシ基は分子骨格内に存在するため、分子鎖末端に存在する自由度の高いエポキシ基と比べてやや反応性に劣る。したがって、エポキシ化天然ゴムにおけるエポキシ基の量を多くし、天然ゴムに含まれる活性水素を有するいずれかの官能基と接触する機会を可能な限り多くして、補助的な架橋反応を進行しやすくしておくことが好ましい。
なお、一般に入手可能なエポキシ化天然ゴムのエポキシ化率の最大値は、50モル%程度である。
【0021】
ここで、エポキシ化天然ゴムのエポキシ化率とは、エポキシ化される前の天然ゴム中の二重結合の総数に対するエポキシ化された二重結合の数の割合(モル%)を意味する。エポキシ化天然ゴムのエポキシ化率は、例えば、エポキシ化天然ゴムを重水素化クロロホルムに溶解し、その核磁気共鳴(NMR)の分光分析による測定データから求めることができる。すなわち、天然ゴムに由来するメチンプロトンのシグナルの面積強度Aと、エポキシ基に由来するプロトンのシグナルの面積強度Bとを求め、以下の式(1)により求めることができる。
エポキシ化率(%)=B/(A+B)×100 …(1)
【0022】
ところで、エポキシ化天然ゴムは、エポキシ化率が1モル%増大する毎に、ガラス転移温度が約1℃上昇するといわれている。天然ゴムのガラス転移温度を、約−70℃とすると、エポキシ化率25モル%、50モル%のエポキシ化天然ゴムのガラス転移温度は、それぞれ約−45℃、約−20℃になる。したがって、エポキシ化天然ゴムのエポキシ化率および添加量が大きいほど、粘着剤層3のガラス転移温度は、より高くなり、粘着剤層3は、より硬くなる傾向がある。
【0023】
本実施の形態では、エポキシ化天然ゴムのエポキシ化率を25モル%以上とすることで、粘着剤層3において、エポキシ化天然ゴムに含まれるエポキシ基と天然ゴムに含まれる活性水素を有するいずれかの官能基とが接触する確率が高くなるため、上述した補助的な架橋反応が進行しやすくなる。これにより、エポキシ化天然ゴムのエポキシ化率が25モル%未満である場合と比較して、粘着剤層3の凝集力が上昇する。そして、例えば粘着テープ1を被着体に貼り付けた後、粘着テープ1を剥離した場合の、被着体に対する糊残を低減することができる。
【0024】
また、粘着剤層3に含まれる天然ゴムとエポキシ化天然ゴムとの比率は、重量比で、天然ゴム/エポキシ化天然ゴム=99/1〜70/30の範囲であることが好ましい。天然ゴムとエポキシ化天然ゴムとの比率をこの範囲とすることで、エポキシ化天然ゴムのエポキシ基と天然ゴムに含まれる活性水素を有するいずれかの官能基とが接触する確率が高くなるため、粘着剤層3の補助的な架橋反応を進行しやすくすることができる。
【0025】
ここで、疎水性の天然ゴムと極性の高いエポキシ化天然ゴムとの相溶性はあまり良好ではない。このため、これらを上記比率の範囲内で混合すると、天然ゴムのマトリックス相(海)中に、エポキシ化天然ゴムがミクロンサイズの大きさの略球状の粒子からなる相(島)として分散した海島構造を形成するものと考えられる。したがって、上述したエポキシ化天然ゴムのエポキシ基に関与する補助的な架橋反応は、主にこの海島構造の界面で起こるものと推測される。
また、上述したように、天然ゴムには、疎水性のcis−ポリイソプレンと親水性の非ゴム成分とからなる相分離構造が形成されている。このため、エポキシ化天然ゴムは、天然ゴムにおける親水性の非ゴム成分と相溶もしくは近接してひとつの相(島)若しくは疑似的な相(島)を形成している可能性がある。
【0026】
さらにまた、上述したように、エポキシ化天然ゴムは天然ゴムと比較してガラス転移温度が高いため、天然ゴムとエポキシ化天然ゴムとを混合した場合には、比較的やわらかい天然ゴムの相に、やや硬めのエポキシ化天然ゴムの相が、いくらかの共有結合を相界面に有して分散した状態となる。そして、エポキシ化天然ゴムの相(島)もしくはエポキシ化天然ゴムと天然ゴムの非ゴム成分とが近接した疑似的な相(島)が、天然ゴムの中で一種の補強フィラーのような役割をし、高分子の破断を抑制するストッパーとして機能していることも考えられる。この効果も、粘着剤層3の凝集力の向上に寄与していると推測される。
仮に、天然ゴムとエポキシ化天然ゴムとの海島構造の界面において架橋による共有結合がほとんど形成されてないとした場合においても、エポキシ化天然ゴムの相(島)あるいはエポキシ化天然ゴムと天然ゴムの非ゴム成分とが近接した疑似的な相(島)はやや硬めの相であり、且つ天然ゴムの末端構造部分あるいは分子鎖の官能基との何らかの相互作用を有する。したがって、エポキシ化天然ゴムの相(島)あるいはエポキシ化天然ゴムと天然ゴムの非ゴム成分とが近接した疑似的な相(島)が、疑似的にでも、補強フィラーの役割もしくは疑似的な架橋点の役割を有するものと推測される。
【0027】
一方、粘着剤層3のゴム成分においてエポキシ化天然ゴムの含有比率が1%未満である場合、エポキシ基により架橋を進行させる効果がほとんどないため、天然ゴムのロットによって架橋にばらつきが生じるおそれがある。この場合、粘着剤層3の凝集力が低下するため、例えば粘着テープ1を被着体に貼り付けた後、粘着テープ1を剥離した場合に、被着体に対する糊残が生じるおそれがある。
また、粘着剤層3のゴム成分においてエポキシ化天然ゴムの含有比率が30%を超える場合、粘着剤層3において架橋を進行する効果が飽和し、それ以上の効果は得られない。また、エポキシ化天然ゴムの含有比率が30%を超える場合、粘着剤層3のガラス転移温度が上昇するため、粘着剤層3のボールタックが低下するおそれがある。
【0028】
(イソシアネート系架橋剤)
本実施の形態の粘着剤層3では、上述した天然ゴムに含まれる活性水素を有するアミノ基、水酸基およびカルボキシル基のいずれかの官能基、あるいは、エポキシ化天然ゴムのエポキシ基がこれらの官能基との反応により開環した際に形成される水酸基と、イソシアネート基とを架橋反応させる観点から、架橋剤として、イソシアネート化合物からなるイソシアネート系架橋剤を用いている。
【0029】
イソシアネート化合物としては、特に限定されるものではないが、分子内に少なくとも2つのイソシアネート基を含有する多官能イソシアネート化合物を用いることが好ましい。多官能イソシアネート化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水添加ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等、又は、これらのジイソシアネートとトリオールとの反応により得られるポリイソシアネート、例えば、トリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンのアダクト体、ヘキサメチレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンのアダクト体、あるいはこれらのジイソシアネートから誘導されたトリレンジイソシアネートの3量体、ヘキサメチレンジイソシアネートの3量体、ビウレット変性ヘキサメチレンジイソシアネート、カルボジイミド変性ジフェニルメタンジイソシアネート等が挙げられる。
【0030】
本実施の形態では、上述のイソシアネート化合物のうち、アダクト型のポリイソシアネートを用いることが好ましい。
イソシアネート系架橋剤として、アダクト型のポリイソシアネートを用いることで、粘着剤層3において、例えばイソシアヌレート型のポリイソシアネートを用いる場合と比較して、天然ゴムおよびエポキシ化天然ゴムの架橋をより進行させることが可能となる。これにより、粘着剤層3の凝集力が上昇し、例えば粘着テープ1を被着体に貼り付けた後、粘着テープ1を剥離した場合の、被着体に対する糊残を低減することができる。
【0031】
また、本実施の形態では、上述のイソシアネート化合物のうち、ジイソシアネートとトリオールとの反応により得られるポリイソシアネート化合物を含む多官能のイソシアネート系架橋剤を用いることが好ましい。
このようなイソシアネート系架橋剤を使用することによって、上述のイソプレン系ゴムを架橋させる場合に、網目状に架橋させることが可能になる。これにより、粘着剤層3の凝集力をより高めることが可能になり、粘着テープを被着体に貼り付けた後、剥がした際に、被着体への糊残をより少なくすることが可能になる。
【0032】
イソシアネート系架橋剤としては、上記のイソシアネート化合物のうち1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、上述のイソシアネート化合物を含むイソシアネート系架橋剤としては、例えば、東ソー株式会社製コロネートL(商品名)や東ソー株式会社製コロネートHL(商品名)等を用いることができる。
【0033】
本実施の形態の粘着剤層3において、ゴム成分(天然ゴム、エポキシ化天然ゴム)に対するイソシアネート系架橋剤の含有量は、ゴム成分100重量部に対して、6重量部以上15重量部以下の範囲であることが好ましい。
ゴム成分100重量部に対するイソシアネート系架橋剤の含有量が6重量部未満である場合、天然ゴムに含まれる活性水素を有するいずれかの官能基またはエポキシ化天然ゴムのエポキシ基が開環した際に形成される水酸基とイソシアネート系架橋剤との反応が十分に進行しない。この場合、粘着剤層3の凝集力が不十分となり、粘着テープ1を被着体に貼り付けた後、粘着テープ1を剥離した場合に、被着体に対する糊残が生じる場合がある。
一方、ゴム成分100重量部に対するイソシアネート系架橋剤の含有量が15重量部を超える場合、粘着剤層3の初期の粘着力が低下するおそれがある。また、ゴム成分100重量部に対するイソシアネート系架橋剤の含有量が15重量部を超える場合、粘着テープ1を被着体に貼り付けた際の未反応のイソシアネート系架橋剤と被着体との密着力が経時的に向上し、その結果、粘着テープ1を剥離した場合に、被着体に対する糊残が生じる場合がある。
【0034】
なお、本実施の形態の粘着剤層3では、架橋剤として、上述したイソシアネート系架橋剤に加えて、エポキシ系架橋剤、金属キレート系架橋剤、アミン系架橋剤、メラミン系架橋剤等の他の架橋剤を含んでいてもよい。
【0035】
(粘着付与剤)
粘着付与剤としては、天然ゴムとの相溶性が良いものが使用される。具体的には、ロジンエステル系樹脂、水素化ロジンエステル系樹脂、脂肪族系(C5系)石油樹脂、脂環族系石油樹脂、芳香族系(C9系)石油樹脂、脂肪族芳香族共重合系(C5C9系)石油樹脂、水素化石油系樹脂、テルペン系樹脂、水素化テルペン系樹脂、テルペンフェノール系樹脂、アルキルフェノール系樹脂、石炭酸系樹脂などを用いることができるが、特にこれらに限定されるものではない。
【0036】
(老化防止剤)
老化防止剤は、粘着剤層3の劣化を抑制する目的で、必要に応じて添加される。老化防止剤としては、特に限定されないが、例えば、フェノール系、アミン系、ベンズイミダゾール系等の老化防止剤を用いることができる。
【0037】
フェノール系の老化防止剤としては、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、スチレン化フェノール、2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン、2,5−ジ−t−アミルハイドロキノン、2,2−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4−チオビス(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、4,4−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−〔メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、n−オクタデシル−3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオネートなどが挙げられる。
【0038】
また、アミン系の老化防止剤としては、例えば、ポリ(2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン)、6−エトキシ−1,2−ジヒドロ−2,2,4−トリメチルキノリン、フェニル−α−ナフチルアミン、アルキル化ジフェニルアミン、オクチル化ジフェニルアミン、4,4−ビス(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、N,N−ジ−β−ナフチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N−(1,3−ジメチルブチル)−p−フェニレンジアミン、p−(p−トルエンスルホニルアミド)ジフェニルアミン、N−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)−N−フェニル−p−フェニレンジアミンなどが挙げられる。
さらに、ベンズイミダゾール系の老化防止剤としては、例えば、2−メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプトメチルベンズイミダゾールなどが挙げられる。
なお、老化防止剤は、特にこれらに限定されるものではない。
【0039】
(着色剤)
着色剤は、粘着剤層3に着色を行う目的で、必要に応じて添加される。
着色剤としては、特に限定されずにあらゆるものを用いることができる。例えば、ジアリライド系着色剤、縮合アゾ系着色剤、キナクリドン系着色剤、バット系着色剤、イソインドリノン系着色剤、フタロシアニン系着色剤、アニリン系着色剤、酸化チタン、ニッケルチタン、黄色酸化鉄、弁柄、群青、コバルトブルー、酸化クロム、鉄黒、黄鉛、クロムオレンジ、モリブデンレッド、カドミウム系着色剤、カーボンブラックなどがあり、好ましくは、酸化チタンやフタロシアニン系着色剤としての銅フタロシアニン、ニッケルフタロシアニン、コバルトフタロシアニンなどを用いることができる。
【0040】
(溶剤)
本実施の形態の粘着剤層3は、通常、溶剤に対して、天然ゴム、エポキシ化天然ゴム、イソシアネート系架橋剤等を溶解させて調整された粘着剤組成物により形成される。
粘着剤層3を形成する粘着剤組成物の調整に用いられる溶剤としては、例えば、トルエン、ベンゼン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、アセトンまたはこれらの混合溶剤等を挙げることができる。
【0041】
[基材]
本実施の形態の粘着テープ1に用いる基材2は、特に限定されるものではなく、例えば、プラスチック製、金属製、紙製、布製等の基材を用いることができる。これらの中でも、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン等からなるプラスチック製の基材を用いることが好ましい。
【0042】
基材2の表面(粘着剤層3が積層される面とは反対側の面)には、剥離性改良処理等の表面処理が施されていてもよい。基材2の表面に用いられる処理剤としては、シリコーン樹脂、長鎖アルキルビニルモノマー重合物、フッ化アルキルビニルモノマー重合物、ポリビニルアルコールカルバメート等が知られている。これらのなかでも、基材2の表面の剥離性能を向上させる特性が優れていることから、シリコーン樹脂を用いることが好ましい。
【0043】
[粘着テープの製造方法]
続いて、本実施の形態の粘着テープ1の製造方法について説明する。
粘着テープ1を製造する際には、まず、トルエン等の溶剤に、天然ゴム、エポキシ化天然ゴム、粘着付与剤および必要に応じて老化防止剤等の添加剤を混合した後、この混合溶液にイソシアネート系架橋剤を添加し、粘着剤組成物を作製する。
続いて、粘着剤組成物を、乾燥後の粘着剤層3の厚さが均一になるように、基材2の一方の面に対してコーター等を用いて塗布する。その後、塗布した粘着剤組成物を所定の温度で乾燥・硬化させることで、基材2上に粘着剤層3が積層された粘着テープ1が得られる。
なお、上述したように、基材2上に表面処理を施したり、基材2と粘着剤層3との間にアンカー剤層を形成したりしてもよい。
【0044】
[粘着テープの使用方法]
本実施の形態の粘着テープ1は、例えば電気機器等の装置や収納ボックス等の仮固定に用いられる仮止め用粘着テープとして使用される。例えば、冷蔵庫や洗濯機等の電気機器の運搬時や組立時に、部品を電気機器の本体に対して粘着テープ1で貼り付けて固定する。そして、電気機器の運搬や組立等が終了し固定が不要となった場合に、貼り付けた粘着テープ1を電気機器やその部品等から剥離する。
【0045】
ここで、本実施の形態の粘着剤層3は、上述したように、天然ゴム、エポキシ化天然ゴムおよびイソシアネート系架橋剤を含む。このような構成を採用することで、本実施の形態の粘着テープ1は、被着体に貼り付けた後、剥がした後の被着体に対する糊残が低減される。
より具体的には、粘着剤層3がゴム成分として天然ゴムとエポキシ化天然ゴムとを含むことにより、まず、天然ゴムに含まれる活性水素を有するいずれかの官能基、またはエポキシ化天然ゴムのエポキシ基が開環した際に形成された水酸基が、イソシアネート系架橋剤と架橋反応して、適度な架橋構造(架橋点間距離が長い三次元網目構造)が形成される。さらに、エポキシ化天然ゴムが、補助的な架橋点もしくは疑似架橋点の役割をする。この両方の効果が相まって、粘着剤層3の凝集力が向上するものと推測される。
これにより、例えば粘着剤層3がゴム成分としてエポキシ化天然ゴムを含まない場合と比較して、粘着剤層3の凝集力が上昇する。そして、例えば粘着テープ1を被着体に貼り付けた後、粘着テープ1を剥離した場合の、被着体に対する糊残を低減することができる。
【0046】
ところで、電気機器等の装置や収納ボックス等の仮固定に用いられる仮止め用粘着テープでは、被着体から剥離した後の被着体に対する糊残を低減するために、粘着剤層の架橋を進行させ凝集力を高める必要がある。このような粘着テープでは、粘着剤層における天然ゴム等と架橋剤との架橋反応を進行させる目的で、ジルコニウム触媒、スズ触媒等の金属触媒からなる架橋促進剤を添加する場合がある。
しかしながら、粘着剤層にジルコニウム触媒、スズ触媒等の金属触媒からなる架橋促進剤を用いた場合、金属触媒の種類によっては、粘着テープを被着体に貼り付けた後、剥がした場合に、被着体に貼付跡(糊残ではないが目視で確認可能な被着体表面の曇り)が残存する場合がある。特に、粘着剤層に金属触媒からなる架橋促進剤を添加した場合において、基材の表面(粘着剤層とは反対側の面)にシリコーン樹脂からなる剥離剤を塗布した場合、被着体に貼付跡が残存しやすい。これは、粘着テープを巻回した状態において、基材表面の剥離剤と粘着剤層に含まれる金属触媒とが反応し、生成された副生成物が粘着剤層3に一部転移することに由来するものと推測される。
【0047】
これに対し、本実施の形態では、粘着剤層3に金属触媒からなる架橋促進剤を用いていないため、粘着テープ1を被着体に貼り付けた後、剥がした場合に、被着体に貼付跡が生じることを抑制できる。また、粘着剤層3は、上述したように、ゴム成分として天然ゴムとエポキシ化天然ゴムとを含有するとともに、架橋剤としてイソシアネート系架橋剤を含有しているため、金属触媒からなる架橋促進剤を用いない場合であっても、粘着剤層3の架橋を適度に進行させることができ、粘着剤層3の凝集力を高めることができる。このため、粘着剤層3において金属触媒からなる架橋促進剤を用いない場合であっても、粘着テープ1を被着体に貼り付けた後、粘着テープ1を剥離した場合の、被着体に対する糊残を低減することができる。
【実施例】
【0048】
続いて、実施例および比較例を用いて本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0049】
(実施例1〜10、比較例1〜3)
1.粘着剤組成物の調整
後述する表1および表2に示した配合(単位:重量部/固形分換算)で、粘着剤組成物を調製した。
まず、天然ゴム“Thick pale Crape No.1”(商品名;野村貿易社製)、エポキシ化天然ゴム“ENR−50”(商品名、エポキシ化率50モル%;MUANG MAI GUTHURIE社製)、粘着付与剤“アルコン P−125”(商品名;荒川化学工業社製)、老化防止剤“イルガノックス 1010”(商品名;BASF社製)を、溶剤(トルエン)に溶解し、12時間攪拌した。その後、この混合溶液にイソシアネート系架橋剤“コロネート L−55E”(商品名;東ソー社製)および溶剤(酢酸エチル)を加えて20分間攪拌し、粘着剤組成物を得た。また、実施例8、9では、エポキシ化天然ゴムとして、“ENR−50”に代えて、“ENR−25”(商品名、エポキシ化率25モル%;MUANG MAI GUTHURIE社製)を用いた。
なお、比較例1では、粘着剤組成物にエポキシ化天然ゴムを用いていない。また、比較例2では、粘着剤組成物にイソシアネート系架橋剤を用いていない。さらに、比較例3では、粘着剤組成物にエポキシ化天然ゴムを用いておらず、架橋促進剤としてジブチルスズジラウレートを添加している。
【0050】
2.粘着テープの調整
続いて、上記の製法にて調整した粘着剤組成物を基材2に塗布し、粘着テープ1を調整した。
具体的には、基材2(ポリプロピレンフィルム;日本マタイ社製)の表面にアンカー剤層を形成した後、粘着剤組成物を塗工した。また、基材2のうち粘着剤組成物を塗工した面とは反対側の面には、シリコーン樹脂により剥離処理を施した。続いて、粘着剤組成物を塗工し剥離処理を施した基材2を、紙管に巻き取った。
その後、40℃で120時間エージングを行い、基材2上に粘着剤層3が積層された粘着テープ1を得た。粘着テープ1において基材2の厚さは約60μmであり、粘着剤層3の厚さは約30μmであった。
【0051】
3.評価方法
続いて、粘着テープ1の評価方法について説明する。
(1)ボールタックの測定
JIS Z 0237(2009)に記載される傾斜式ボールタック法に準拠して、粘着テープ1のボールタックの測定を行った。
具体的には、傾斜角が30°の傾斜板に、粘着剤層3が上面となるように粘着テープ1を固定し、助走路の長さが100mmとなるように、高炭素クロム軸受鋼鋼材のボールをJIS Z 0237(2009)に記載された方法で転がした。このとき、ボールの直径が2/32インチから1インチまでの大きさのものを用いた。そして、ボールを転がしたときに粘着剤層3表面で停止するボールのうち、最大径のボールナンバーの値を特定し、評価結果として表1および表2に示した。なお、ボールナンバーは、ボールの直径を32倍することで求められる。すなわち、直径1インチのものをボールナンバー32といい、2/32インチのものをボールナンバー2という。ボールナンバーが大きいほど、粘着剤層3のタック力(初期粘着力)が強いことを示す。
【0052】
(2)保持力の測定
JIS Z 0237(2009)に記載される保持力の試験に準拠して、粘着テープ1の保持力を測定した。
具体的には、表面仕上げBAのステンレス板(SUS304)に粘着テープ1を貼り付け、所定の重りを取り付けた状態で24時間保持した場合のズレ量(mm)を測定した。また、24時間を経過する前に粘着テープ1がステンレス板から剥離して落下した場合には、測定開始から粘着テープ1が落下するまでの経過時間(分)を測定した。
なお、粘着テープ1を電気機器等の仮固定に用いる場合、保持力試験における粘着テープ1のズレ量は、25mm以下であることが好ましい。
【0053】
(3)粘着力の測定
JIS Z 0237(2009)に記載される粘着力の試験に準拠して、粘着テープ1の粘着力を測定した。
具体的には、表面仕上げBAのステンレス板(SUS304)、ガラス板、ABS板(アクリロニトリル(Acrylonitrile)、ブタジエン(Butadiene)、スチレン(Styrene)共重合合成樹脂)のそれぞれに、粘着テープ1を貼り付け、質量2000gのローラーで10mm/sの速度で合計2往復させることにより圧着させた。その後、1分以内に速度300mm/minで180°方向に引き剥がし、粘着力を測定した。
使用する粘着テープ1は、19mmまたは25mm幅とし、粘着力の測定結果を10mm幅に換算した(単位:N/10mm)。
【0054】
(4)糊残試験
糊残試験は、粘着テープ1を被着体に貼り付け、剥離した後の、被着体に対する粘着剤等の残留を評価するための試験である。
ABS成形品(被着体)に粘着テープ1を貼り付けた後、質量2000gのローラーで1往復した。これを60℃で2日間、さらに23℃で2日間保管した後、粘着テープ1を手で90°方向に一気に引き剥がした。
被着体における粘着テープ1を貼り付けた部分において、被着体の表面に、粘着テープ1の粘着剤層3を構成する粘着剤が残っている現象を「糊残」といい、目視および触診により評価した。
糊残試験の評価は、以下の基準で行った。
A:粘着剤の残留が、目視および触診で確認できない。
B:粘着剤の残留が、貼付面積の5%未満で発生する。
C:粘着剤の残留が、貼付面積の5%以上で発生する。
【0055】
(5)エッジ糊残試験
エッジ糊残試験は、粘着テープ1を被着体に貼り付け、剥離した後の、剥離開始部分における被着体に対する粘着剤等の残留を評価するための試験である。
ABS成形品(被着体)に粘着テープ1を貼り付けた後、質量2000gのローラーで1往復した。これを60℃で2日間、さらに23℃で2日間保管した後、粘着テープ1を手で90°方向に一気に引き剥がした。
被着体における粘着テープ1を貼り付けた部分のうち粘着テープ1の引き剥がし開始部分において、被着体の表面に、粘着テープ1の粘着剤層3を構成する粘着剤が残っている現象を「エッジ糊残」といい、目視および触診により評価した。
エッジ糊残試験の評価は、以下の基準で行った。
A:粘着剤の残留が、目視および触診で確認できない。
B:粘着剤の残留が、目視では確認できないが、触診でわずかに確認できる。
C:粘着剤の残留が、目視および触診で確認できる。
【0056】
(6)貼付跡試験
貼付跡試験は、粘着テープ1を被着体に貼り付け、剥離した後の、被着体に対する粘着テープ1の貼付跡の有無を評価するための試験である。ここで、粘着テープ1の貼付跡とは、上述した糊残ではないが、目視が可能な被着体表面の曇りをいう。
粘着テープ1をガラス板に貼り付け、質量200gのローラーで1往復して圧着させた。次いで、温度55℃、相対湿度95%の恒温槽に168時間放置した後に取り出した。そして、0℃にて被着体から粘着テープ1を剥離し、被着体の表面を観察した。
貼付跡試験の評価は、以下の基準で行った。
A:被着体における粘着テープ1を貼り付けた部分に何も観察されない。
C:被着体における粘着テープ1を貼り付けた部分に曇った後が観察される。
【0057】
(7)せん断力試験
せん断力試験は、せん断方向にかかる力への粘着テープ1の耐久性を評価するための試験である。
具体的には、25mm幅の粘着テープ1を長さ150mmに切り出し、粘着テープ1の端面10mmを表面仕上げBAのステンレス板(SUS304)に貼り付け、質量2000gのローラーで10mm/sの速度で合計2往復させることにより圧着させた。続いて、ステンレス板を固定し、粘着テープ1を速度300mm/minで90°方向に引っ張り上げ、粘着テープ1がステンレス板から剥がれた時の力を測定した。せん断力の測定結果は、10mm幅に換算した(単位:N/10mm)。
【0058】
4.評価結果
続いて、実施例1〜10および比較例1〜3の粘着テープ1に対する各試験の評価結果について、以下の表1および表2に示す。
【0059】
【表1】
【0060】
【表2】
【0061】
表1および表2に示すように、粘着剤層3が、天然ゴム、エポキシ化天然ゴムおよびイソシアネート系架橋剤を含む実施例1〜7、9、10、12では、粘着テープ1を被着体に貼り付けた後、粘着テープ1を剥離した場合の、被着体に対する糊残、エッジ糊残および貼付跡のいずれも生じないことが確認された。
【0062】
ただし、実施例6では、天然ゴムとエポキシ化天然ゴムとの含有比率(天然ゴム/エポキシ化天然ゴム)が、重量比で68/32でありエポキシ化天然ゴムの含有量が多いため、天然ゴムとエポキシ化天然ゴムとの含有比率(天然ゴム/エポキシ化天然ゴム)が99/1〜70/30の範囲である実施例1〜5と比較して、ボールタックの評価(初期のタック感)がわずかに劣ることが確認された。
また、実施例8では、イソシアネート系架橋剤の含有量が5重量部と少ないため、イソシアネート系架橋剤の含有量が6〜15重量部である実施例2、7、12と比較して、粘着テープ1を被着体に貼り付けた後、粘着テープ1を剥離した場合の、被着体に対するエッジ糊残の評価がわずかに劣ることが確認された。
また、実施例11では、イソシアネート系架橋剤の含有量が20重量部と多いため、イソシアネート系架橋剤の含有量が6〜15重量部である実施例2、7、12と比較して、粘着テープ1を被着体に貼り付けた後、粘着テープ1を剥離した場合の、被着体に対する糊残の評価がわずかに劣ることが確認された。
さらにまた、実施例13では、天然ゴムとエポキシ化天然ゴムとの含有比率(天然ゴム/エポキシ化天然ゴム)が、重量比で99.5/0.5でありエポキシ化天然ゴムの添加量が少ないため、天然ゴムとエポキシ化天然ゴムとの含有比率(天然ゴム/エポキシ化天然ゴム)が99/1〜70/30の範囲である実施例1〜5と比較して、粘着テープ1を被着体に貼り付けた後、粘着テープ1を剥離した場合の、被着体に対するエッジ糊残の評価がわずかに劣ることが確認された。
【0063】
これに対し、粘着剤層3がエポキシ化天然ゴムを含まない比較例1は、粘着テープ1を被着体に貼り付けた後、粘着テープ1を剥離した場合に、被着体にエッジ糊残が観察された。
また、粘着剤層3がイソシアネート系架橋剤を含まない比較例2では、粘着テープ1の保持力が低く、保持力の測定において粘着テープ1がステンレス板から866分で落下した。さらに、粘着テープ1を被着体に貼り付けた後、粘着テープ1を剥離した場合に、被着体にエッジ糊残が観察された。
さらにまた、粘着剤層3がエポキシ化天然ゴムを含まず、架橋促進剤を含む比較例3では、粘着テープ1を被着体に貼り付けた後、粘着テープ1を剥離した場合に、被着体に貼付跡が観察された。また、被着体に対する糊残がわずかに観察された。